以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.本技術の実施の形態に至る経緯
2.第1の実施の形態(干渉指標予測制御:予測経路上の干渉指標を予測する例)
3.第2の実施の形態(干渉指標予測制御:干渉指標をサーバから取得する例)
4.第3の実施の形態(干渉指標予測制御:干渉指標をサーバで予測する例)
5.第4の実施の形態(通信速度予測制御:予測経路上の通信速度を予測する例)
6.第5の実施の形態(通信速度予測制御:通信速度をサーバで予測する例)
7.第6の実施の形態(無線設定制御:予測経路上の通信速度の予測に基づいて適切な通信網を選択する例)
8.第7の実施の形態(無線設定制御:無線通信を行うアプリケーションの種類に応じて無線設定を変更するか否か判断する例)
9.第8の実施の形態(通信速度予測制御:OFDMA方式の例)
10.第9の実施の形態(アンテナバー表示制御:干渉指標とセル混雑度とRSSIとに基づいてアンテナバー表示を生成する例)
11.第10の実施の形態(干渉指標予測制御:指向性が変化する基地局の例)
<1.本技術の実施の形態に至る経緯>
まず、本技術の実施の形態に至った経緯について、図1および図2を参照して説明する。
[周辺セルからの無線信号により発生する干渉の概略]
図1は、本技術の実施の形態における無線通信装置が無線通信を行っている最中に発生する周辺セルからの無線信号による干渉を概念的に示す図である。図1(a)には、周辺セルからの干渉が多い場合が模式的に示され、図1(b)には、周辺セルからの干渉が少ない場合が模式的に示されている。なお、図1では、無線通信装置として、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)方式による無線通信を行う無線通信装置(携帯電話)を想定して説明する。
図1(a)には、携帯電話(無線通信装置120)がデータを送受信する無線基地局(セル)として、サービングセル111が示されている。さらに、図1(a)には、サービングセル111以外の無線基地局のうち無線通信装置120に電波(無線信号)が受信されてしまう無線基地局として、周辺セル112および113が示されている。
サービングセル111は、無線通信装置120に最も近い無線基地局であるため、無線通信装置120と無線通信(矢印114)を行っている。また、周辺セル112および113は、発信した無線信号が無線通信装置120に受信されるほど近いもののサービングセル111よりも遠いため無線通信は行っていない。しかしながら、周辺セル112および113が発信した無線信号は無線通信装置120に届いている(矢印115および矢印116)。この周辺セル112および113からの電波(無線信号)は、サービングセル111と無線通信を行っている無線通信装置120にとっては、無線通信を妨げる干渉源となってしまう。
図1(b)には、携帯電話(無線通信装置150)がデータを送受信する無線基地局(セル)として、サービングセル141が示されている。さらに、図1(b)には、サービングセル111以外の無線基地局のうちの無線通信装置120に無線信号が受信されてしまう無線基地局として、周辺セル142が示されている。
図1(b)において示すサービングセル141は、図1(a)のサービングセル111よりも携帯電話の近くに位置する。また、図1(b)において示す周辺セル142は、図1(a)において示した周辺セル112および113と比較して、携帯電話から遠い位置にある。
すなわち、図1(b)の無線通信装置150が受信する無線基地局からの無線信号は、サービングセルからの無線信号の強度(レベル)は図1(a)の場合よりも強い。一方、周辺セルからの無線信号のレベルは、図1(a)の場合よりも弱い。これにより、図1(b)の無線通信装置150は、図1(a)の無線通信装置120と比較して、無線通信を妨げる干渉の影響が弱くなる。
次に、干渉の強弱により発生する問題について、図2を参照して説明する。
[干渉の強弱と通信品質表示との間の関係例]
図2は、図1(a)および(b)において示した携帯電話(無線通信装置120および150)における干渉の強弱と通信品質表示との間の関係を模式的に示す図である。
図2(a)には、図1(a)および(b)において示した携帯電話(無線通信装置120および150)が受信する無線信号における受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)のレベル(強度)を示す棒グラフが示されている。このグラフには、縦軸をRSSIの強度を示す軸として、無線通信装置120のRSSI強度(RSSI強度121)と、無線通信装置150のRSSI強度(RSSI強度151)とが示されている。なお、図2では、RSSI強度151とRSSI強度121とは同じ強さ(レベル)であることを想定する。
RSSI強度121には、サービングセル111からの無線信号がRSSI強度121に寄与した割合を示すRSSI割合量122と、周辺セル112からの無線信号がRSSI強度121に寄与した割合を示すRSSI割合量123とが示されている。また、RSSI強度121には、周辺セル113からの無線信号がRSSI強度121に寄与した割合を示すRSSI割合量124が示されている。
RSSI強度151には、サービングセル141からの無線信号がRSSI強度151に寄与した割合を示すRSSI割合量152と、周辺セル142からの無線信号がRSSI強度151に寄与した割合を示すRSSI割合量153とが示されている。
図2(a)において示したRSSI強度(RSSI強度121およびRSSI強度151)は、一般的に、無線通信装置(特に、携帯電話)が通信品質を検出するために用いられる。すなわち、無線通信装置120および150は、受信している無線信号の強度(RSSI強度)を検出し、その検出したRSSI強度に基づいて通信品質を測定する。図2(a)に示すように、RSSI強度には、サービングセルからの無線信号の強度の他に、周辺セルからの無線信号の強度が含まれている。環境によって、この周辺セルからの無線信号の強度が無視できないほど大きくなることがある。
図2(b)は、図2(a)において示したRSSI強度121に基づいて無線通信装置120に表示される通信品質表示(アンテナバー125)と、この状態におけるダウンロード結果(通信速度)を模式的に示す表示画面(画面126)とが示されている。また、図2(c)には、図2(a)において示したRSSI強度151に基づいて無線通信装置150に表示される通信品質表示(アンテナバー155)と、この状態におけるダウンロード結果(通信速度)を模式的に示す表示画面(画面156)とが示されている。
アンテナバー125およびアンテナバー155には、両方ともに、アンテナバーが3本示されている。しかしながら、RSSI強度における周辺セルからの無線信号の割合が図2(b)の方が多い(干渉が強い)ため、例えば、画面126には平均通信速度が0.4Mbpsと示され、画面156には平均通信速度が1.2Mbpsと示される。すなわち、アンテナバーが3本示されて通信品質の表示が良好を示しているにも係わらずに、平均通信速度に大きな差が生じている。
このように、RSSI強度に基づいて表示されるアンテナバーは通信品質(通信状態)を適切に知るためには当てにできない。しかしながら、適切な通信品質を知ることはユーザにとって重要な内容である。例えば、重要な会話をする場合には、通信品質が少しでも良好な場所で発信したいとユーザが考えることが想定される。また、移動しながら無線通信を使用している場合には、移動経路上における通信品質が気になることが想定される。
そこで、通信品質(通信状態)を適切に検出することが必要になる。本技術の実施の形態では、このような機能を備える携帯端末(無線通信装置)について説明する。
<2.本技術の第1の実施の形態>
[無線通信装置の構成例]
図3は、本技術の第1の実施の形態における無線通信装置200の構成例を示すブロック図である。
なお、図3には無線通信装置200の他に、無線通信装置200が無線通信する無線基地局(基地局160)が示されている。
無線通信装置200は、携帯型の通信装置(例えば、携帯電話やスマートフォン)であり、通信部210と、パイロット信号検出部220と、周辺セル情報取得部230と、周辺セル情報保持部240と、パイロット信号レベル保持部250とを備える。また、無線通信装置200は、サービングセル決定部260と、サービングセル情報保持部270と、干渉指標生成部280と、位置情報取得部310と、干渉指標情報保持部320と、位置情報履歴保持部330と、移動経路予測部340と、干渉指標予測部350と、表示画像生成部360と、表示部370とを備える。
通信部210は、電波(無線信号)の送受信により通信を行うものである。この通信部210は、基地局160からの無線信号(無線回線161)から、少なくとも、パイロット信号と、周辺セルに関する報知情報とを受信する。
パイロット信号検出部220は、通信部210が受信した無線信号のうちからパイロット信号を検出するものである。このパイロット信号検出部220は、通信部210が受信した無線信号に対して、基地局ごとに割り当てられている異なるコードであるスクランブルコードを用いてこの無線信号に含まれているパイロット信号を検出する。これにより、無線通信装置200は、通信部210が受信した無線信号に複数の基地局からの無線信号が含まれている場合においても、その複数の基地局のパイロット信号をそれぞれ検出することができる。パイロット信号検出部220は、検出したパイロット信号の強度(パイロット信号レベル)と、そのパイロット信号を発信した基地局を特定するための情報(例えば、スクランブルコード)とを紐付けた情報(パイロット信号レベル情報)を生成する。そして、パイロット信号検出部220は、生成したパイロット信号レベル情報をパイロット信号レベル保持部250に供給し、パイロット信号レベル保持部250にパイロット信号レベル情報を保持させる。
また、パイロット信号検出部220は、サービングセル、周辺セル等のスクランブルコードが特定できていない場合には、3段階セルサーチにより相関検出を行い、最も高い相関が検出されるスクランブルコードを特定する。そして、パイロット信号検出部220は、その特定されたスクランブルコードが割り当てられた基地局(セル)をサービングセルとして決定する。ここで、サービングセルとは、無線通信装置が無線通信を行っていて接続中のセル(基地局)、または、セルサーチにより特定された接続予定のセルである。すなわち、サービングセルは、接続対象のセル(基地局)を示す。
なお、パイロット信号検出部220は、パイロット信号レベル保持部250に保持されているパイロット信号レベル情報を定期的または不定期に更新する。パイロット信号検出部220は、パイロット信号レベル情報を更新する場合には、周辺セル情報保持部240およびサービングセル情報保持部270から、周辺セルを特定するための情報(周辺セル情報)と、サービングセルを特定するための情報(サービングセル情報)とを取得する。そして、パイロット信号検出部220は、サービングセルおよび周辺セルのパイロット信号の強度(パイロット信号レベル)をそれぞれ検出して、パイロット信号レベル保持部250に供給して、パイロット信号レベル情報の更新を行う。
パイロット信号レベル保持部250は、サービングセルおよび周辺セルのパイロット信号レベル情報をそれぞれ保持するものである。このパイロット信号レベル保持部250が保持するパイロット信号レベル情報は、パイロット信号検出部220が定期的または不定期にパイロット信号のレベルを検出するため、定期的にまたは不定期に更新される。なお、パイロット信号レベル保持部250が保持するパイロット信号レベル情報については、図4を参照して説明するため、ここでの説明を省略する。
周辺セル情報取得部230は、サービングセルが発信した報知情報に含まれる周辺セルに関する情報(周辺セル情報)を取得するものである。この周辺セル情報取得部230は、サービングセル情報保持部270から供給されるサービングセル情報が示すセル(サービングセル)の報知情報を受信して、その受信した報知情報から周辺セル情報を取得する。
周辺セル情報取得部230は、周辺セル情報として、少なくとも、周辺セルに割り当てられたスクランブルコードと、周辺セルのパイロット信号のそれぞれのタイミング差分情報とを取得する。ここで、タイミング差分情報とは、サービングセルのパイロット信号の受信タイミングと、周辺セルのパイロット信号の受信タイミングとの間の差分を周辺セルごとに示す情報である。なお、基地局がGPS(Global Positioning System)信号を利用する同期システムであって、GPS信号に対するタイミング差をタイミング差分情報の代わりに報知する場合には、このGPS信号に対するタイミング差を取得する。周辺セル情報取得部230は、取得した周辺セル情報を、周辺セル情報保持部240に供給し、周辺セル情報保持部240に周辺セル情報を保持させる。
周辺セル情報保持部240は、周辺セル情報取得部230から供給された周辺セル情報を保持するものである。すなわち、周辺セル情報保持部240は、少なくとも、周辺セルのスクランブルコードとタイミング差分情報とを周辺セルごとに保持する。この周辺セル情報保持部240に保持される周辺セル情報は、パイロット信号検出部220がパイロット信号レベルを取得する際に用いられる。
サービングセル決定部260は、パイロット信号レベル保持部250に保持されているパイロット信号レベル情報に基づいて、サービングセルを決定するものである。このサービングセル決定部260は、最もパイロット信号のレベルが高いパイロット信号レベル情報を検出して、このパイロット信号レベル情報のスクランブルコードが示すセル(基地局)をサービングセルとして決定する。
また、サービングセル決定部260は、サービングセル切り替え(再選択)処理を行う。まず、サービングセル決定部260は、サービングセル情報保持部270から供給されるサービングセル情報が指定するセルのパイロット信号レベル情報をパイロット信号レベル保持部250から取得して、現在のサービングセルのパイロット信号レベルを特定する。そして、サービングセル決定部260は、この特定したパイロット信号レベルよりも高いレベルのパイロット信号を発信する周辺セルの有無を解析する。サービングセル決定部260は、現在のサービングセルよりパイロット信号レベルが高い周辺セルを検出した場合には、このパイロット信号を発信したセルをサービングセルとするサービングセル切り替え処理を行う。
サービングセル決定部260は、サービングセルとして決定したセルに関する情報(サービングセル情報)を、サービングセル情報保持部270に供給して、サービングセル情報保持部270に保持させる。なお、サービングセル情報には、少なくとも、サービングセルとして決定されたセルのスクランブルコードと、この決定されたセルのパイロット信号の受信レベルに関する情報とを含む。
サービングセル情報保持部270は、サービングセル決定部260から供給されたサービングセル情報を保持するものである。このサービングセル情報保持部270が保持するサービングセル情報は、周辺セル情報取得部230、パイロット信号検出部220、サービングセル決定部260および干渉指標生成部280に供給される。
干渉指標生成部280は、パイロット信号レベル保持部250に保持されているパイロット信号レベル情報に基づいて、干渉指標を生成するものである。ここで干渉指標とは、周辺セルからの無線信号が起因となって発生する通信の妨害(干渉)の度合いを示す指標である。すなわち、干渉指標は、図2(a)のRSSI強度121のような通信状態においては強い干渉を示す値となり、図2(b)のRSSI強度151のような通信状態においては弱い干渉を示す値となる。なお、干渉指標の算出方法については、図4を参照して説明するため、ここでの説明を省略する。干渉指標生成部280は生成した干渉指標を、干渉指標情報保持部320に供給する。
位置情報取得部310は、無線通信装置200の現在位置を示す位置情報(経度、緯度)を定期的にまたは不定期に取得するものである。この位置情報取得部310は、少なくとも、干渉指標生成部280が干渉指標を生成したタイミング(その干渉指標の生成の基となったパイロット信号の検出タイミング)における位置情報を取得する。なお、この位置情報取得部310による現在位置の検出については種々の検出方法が考えられる。例えば、GPS(Global Positioning System)を用いる方法や、基地局から報知される基地局の位置情報を利用する方法、または、基地局ごとに固有の識別子(セルID)を用いてネットワークから基地局の位置情報をダウンロードする方法等がある。位置情報取得部310は、取得した位置情報を、干渉指標情報保持部320および位置情報履歴保持部330に供給する。
干渉指標情報保持部320は、干渉指標生成部280が生成した干渉指標と、位置情報取得部310が生成した位置情報とを紐付けた情報(干渉指標情報)を保持するものである。すなわち、干渉指標情報保持部320は、干渉指標と、干渉指標を検出したタイミングにおける無線通信装置200の位置とを紐付けて保持する。なお、干渉指標情報保持部320は、周波数チャンネルごとの基地局の配置の違いに起因する干渉指標の差異を保持するために、干渉指標を周波数チャンネルごとに保持するようにしてもよい。このように、干渉指標と、干渉指標を検出したタイミングにおける無線通信装置200の位置とを紐付けて保持することにより、干渉指標情報保持部320は、ユーザが1度在圏したことのあるエリアでの干渉指標を蓄積することができる。なお、干渉指標情報の一例については、図5を参照して説明するためここでの説明を省略する。干渉指標情報保持部320が保持する干渉指標情報は、干渉指標予測部350に供給される。なお、干渉指標情報保持部320は、特許請求の範囲に記載の保持部の一例である。
位置情報履歴保持部330は、位置情報取得部310から供給される位置情報を時系列に保持して、無線通信装置200の位置の履歴を保持するものである。すなわち、位置情報履歴保持部330は、現在位置までの移動経路の履歴(移動履歴)を保持する。なお、この位置情報履歴保持部330が保持する位置情報は、少なくとも、移動経路予測部340において無線通信装置200の今後の移動経路を予測するために必要な量ほど保持される。位置情報履歴保持部330は、保持する移動履歴を、移動経路予測部340に供給する。
移動経路予測部340は、位置情報履歴保持部330に時系列に保持されている位置情報(移動履歴)に基づいて、今後の移動経路の予測を行うものである。移動経路予測部340は、予測した今後の移動経路(予測経路)を、干渉指標予測部350に供給する。
干渉指標予測部350は、移動経路予測部340から供給された予測経路上における各位置の干渉指標を、干渉指標情報保持部320から供給される干渉指標に基づいて算出(予測)するものである。すなわち、干渉指標予測部350は、予測経路の各位置を干渉指標の検出の対象エリアとして、この対象エリアにおける通信状態(干渉指標)を予測する。この干渉指標予測部350は、予測経路上の位置やこの位置に近接する位置に紐付けられている干渉指標を干渉指標情報保持部320から取得し、この取得した干渉指標に基づいて予測経路上における干渉指標を算出(特定)する。干渉指標予測部350は、予測経路上の位置と同じ位置に紐付けられている干渉指標が干渉指標情報保持部320に保持されている場合には、この干渉指標をその位置の干渉指標とする。また、近接する位置に紐付けられている干渉指標のみが干渉指標情報保持部320に保持されている場合には、この干渉指標から予測経路上の干渉指標を予測する。干渉指標予測部350は、予測経路の各位置の干渉指標が位置情報に付された予測経路(干渉指標付予測経路)を、表示画像生成部360に供給する。なお、干渉指標予測部350は、特許請求の範囲に記載の取得部および生成部の一例である。
表示画像生成部360は、干渉指標予測部350から供給された干渉指標付予測経路に基づいて、表示部370に表示させる画像(表示画像)を生成するものである。例えば、表示画像生成部360は、無線通信装置200の現在位置付近の地図の画像に、干渉指標付予測経路が示す予測経路と、この予測経路上の干渉指標とを記載した画像を生成し、この生成した画像を表示部370に表示させる。この表示により、ユーザに予測経路上の干渉指標(通信状態)が通知される。なお、干渉指標付予測経路の表示例については、図6および図7を参照して説明する。
表示部370は、各種情報(文字情報や時刻情報等)をユーザに表示するものである。表示部370は、例えば、干渉指標予測部350から供給された干渉指標付予測経路(例えば、図6および図7参照)を表示する。なお、表示部370として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)パネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示パネルを用いることができる。
[パイロット信号レベル保持部に保持されるパイロット信号レベル情報の例]
図4は、本技術の第1の実施の形態におけるパイロット信号レベル保持部250に保持されるパイロット信号レベル情報の一例を簡略化して示す図である。
なお、図4では、パイロット信号レベル保持部250には、パイロット信号レベルが大きいものから順(図4の上側)に保存されていることを想定して説明する。
図4には、パイロット信号レベル保持部250に保持されるパイロット信号レベル情報を簡略化して示す表(表251)が示されている。表251に示すように、パイロット信号レベル保持部250では、スクランブルコード(列253)と、パイロット信号レベル(列254)とが関連付けられて保持されている。また、表251では、ここで示すパイロット信号レベル(列254)の例におけるサービングセルと周辺セルとを識別するために、各パイロット信号レベルの基地局(セル)を示す列252が示されている。
ここで、サービングセル決定部260によるサービングセルの決定について、表251を用いて説明する。
表251に示すように、7つのセルのパイロット信号が検出されている状態において、サービングセル決定部260は、パイロット信号のレベルが最も高いパイロット信号レベル情報を検出する。そして、サービングセル決定部260は、この検出されたパイロット信号レベル情報(「−78」dBm)のスクランブルコード(「128」)が示すセルをサービングセルとして決定し、サービングセル情報保持部270に保持させる。また、サービングセルが既に決定されている場合において、サービングセル決定部260は、サービングセルよりも高いレベルのパイロット信号レベルのセルがある場合には、サービングセルを更新する(セル再選択)。なお、このセル再選択処理においては、サービングセルと、周辺セル1のパイロット信号レベルが同等のエリアで頻繁にサービングセルが入れ替わることを避けるために、ヒステリシス特性を持たせる。具体的には、現在のサービングセルのパイロット信号レベルに対して、周辺セル1(最もパイロット信号レベルが高い周辺セル)のパイロット信号レベルが任意の閾値以上大きくなった条件において、サービングセルを入れ替える処理を行えばよい。
次に、干渉指標生成部280による干渉指標の算出について、表251を用いて説明する。
サービングセルおよび周辺セルのそれぞれのパイロット信号レベルが表251に示すように検出されている場合において、干渉指標(kif)を、例えば、次の式1を用いて算出する。
ここで、PCPICHservは、サービングセルのパイロット信号レベルを真数に変換した値である。右辺の分子のΣにより算出される値は、周辺セルのパイロット信号レベルを真数に変換した値を総和した値である。すなわち、PCPICHneighb#1乃至PCPICHneighb#6は、周辺セル#1乃至#6のパイロット信号レベルを真数に変換した値を示す。
上述の式1により算出される干渉指標(Kif)は、干渉が全く存在しない環境では、「0」となる値である。干渉が増加し、干渉の度合い(レベル)と、サービングセルのパイロット信号レベルとが等しくなると「1」になり、干渉の度合いがさらに大きくなると、もっと大きな値になる。
なお、表251に示す7つのパイロット信号レベル情報のパイロット信号レベルから式1を用いて算出される干渉指標は、「0.218」となる。
[干渉指標情報保持部に保持される位置ごとの干渉指標の例]
図5は、本技術の第1の実施の形態における干渉指標情報保持部320に保持される干渉指標情報の一例を簡略化して示す図である。
図5には、検出された位置とともに保持される干渉指標情報(干渉指標と、その干渉指標を検出した位置とを紐付けた情報)を簡略化して示す表(表321)が示されている。表321に示すように、干渉指標情報保持部320では、干渉指標を検出した位置を示す位置情報(経度を表す列322、緯度を表す列323)と、干渉指標(列324)とが関連付けられて(紐付けられて)保持されている。なお、図3において説明したように、この表を周波数チャンネルごとに保持してもよい。
表321に示すように、干渉指標情報保持部320を設けることによって、干渉指標を、その干渉指標を検出した位置に紐付けて保持させることができる。なお、干渉指標情報保持部320に保持される干渉指標情報は、できる限り多いことが望ましいが、記録容量に制限がある場合には、干渉指標予測部350における使用頻度を記録しておき、使用頻度の少ないものから順に削除することが考えられる。
[干渉指標付予測経路の表示例]
図6および図7は、本技術の第1の実施の形態における表示部370に表示される干渉指標付予測経路を示す表示画面の一例を示す模式図である。
図6では、予測経路上の干渉指標を数値で表す例について説明する。また、図7では、予測経路上の干渉指標を、予測経路を示す表示の色彩や、線の太さなどの違いにより示す例について説明する。なお、図6および図7では、上述の式1を用いて干渉指標を算出したことを想定して説明する。また、なお、図7の予測経路および予測経路上の干渉指標は、図6において示したものと同様のものであることを想定する。
図6に示す干渉指標付予測経路の表示画面(画面410)には、無線通信装置200の現在位置を示す目印(携帯電話411)と、予測経路を示す太線の矢印(矢印416)とが示されている。また、画面410には、予測経路上における各干渉指標を示す数値(干渉指標値412乃至415)が示されている。
干渉指標値412乃至415において示す値から、ユーザは、干渉指標値412および414で示す経路において干渉が比較的に低い(0.125および0.103)ことを認識することができる。また、ユーザは、干渉指標値415で示す経路においては干渉が比較的に高い(0.233および0.333)ことを認識することができ、干渉指標値413で示す経路においては干渉が予測経路上の平均的な値に近いことを認識することができる。
図7に示す干渉指標付予測経路の表示画面(画面420)には、現在位置を示す目印(携帯電話421)と、予測経路における干渉指標と予測経路とを共に示す線(線422乃至425)とが示されている。なお、線422および線424は直線により示され、線423は破線により示され、線425は点線により示されている。
線422乃至425における線種の直線は干渉が比較的に低い予測経路を示し、点線は干渉が比較的に高い予測経路を示し、破線は干渉が予測経路上の平均的な値に近いことを示している。なお、図7では、線種の違いにより干渉指標と予測経路とを共に示したが、カラー表示が可能な表示部370であれば、予測経路を示す線の色彩を変化させることにより、より明確に表すことができる。例えば、干渉が低い位置を青色とし、干渉が高い位置を赤色とし、干渉が予測経路上の平均的な値に近いところを黄色とすることにより、より明確に表すことができる。
画面410および画面420に示すように、無線通信装置200は、移動経路予測部340が予測した移動経路上の干渉指標を、干渉指標情報保持部320に保持されている干渉指標に基づいて予測することができる。現在位置での干渉指標の数値や、移動経路上の干渉指標を表示画像(画面410)としてユーザに表示することにより、ユーザは、今後の無線通信品質(通信状態)を容易に認識することができる。これにより、ユーザは、無線を介した大きな容量のデータのダウンロードを伴うアプリケーションの起動を、今実行すべきなのか、あるいは、移動経路上の任意の地点で実行すべきなのかを容易に判断することができる。
なお、画面410および画面420では、数値および線種により干渉指標を表示する例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、干渉の大きさを想起させるアイコンなどで表現することも考えられる。また、干渉指標のユーザへの表示は、地図情報に併せて表示させる方法だけではない。他に、干渉の増減を表すテキスト、あるいは、干渉の増減を想起するアイコンを用いて、予測経路を移動するに従って今後の干渉が増加するか、若しくは、減少するかをユーザに示すようにすることも考えられる。
また、画面410および画面420の表示タイミングについては図6および図7において触れなかったが、例えば、常時表示する場合や、アプリケーション(例えば、ブラウザ)を起動させるタイミングに同期して表示を開始する場合などが考えられる。また、同期したアプリケーションを終了した際には、画面410および画面420の表示を止めてもよいし、表示画面の一部に表示を継続してもよい。
[無線通信装置の動作例]
次に、本技術の第1の実施の形態における無線通信装置200の動作について図面を参照して説明する。
図8は、本技術の第1の実施の形態における無線通信装置200によって干渉指標付予測経路が生成される際の干渉指標付予測経路生成処理手順例を示すフローチャートである。なお、図8では、新たなパイロット信号レベルが検出されてから干渉指標付予測経路が表示部370に表示されるまでの干渉指標付予測経路の生成における1回の動作について説明する。
まず、パイロット信号検出部220によって、サービングセルおよび周辺セルのパイロット信号が検出される(ステップS901)。なお、このステップS901の際に、サービングセルおよび周辺セルのパイロット信号のレベルもそれぞれ検出される。
そして、検出されたパイロット信号レベルが、スクランブルコードと関連付け(紐付け)られて、パイロット信号レベル情報としてパイロット信号レベル保持部250に保持される(ステップS902)。続いて、パイロット信号レベル保持部250に保持されたパイロット信号レベルに基づいて、干渉指標が干渉指標生成部280により生成される(ステップS903)。この干渉指標の生成は、例えば、図4の説明において示した式1を用いて生成される。
次に、干渉指標の検出した位置(干渉指標の基となったパイロット信号を検出した位置)が位置情報取得部310により取得される(ステップS904)。そして、干渉指標生成部280が生成した干渉指標と、位置情報取得部310が取得した位置(位置情報)とが関連付けられて、干渉指標情報として干渉指標情報保持部320に保持される(ステップS905)。
また、位置情報取得部310が取得した位置情報が、現在までの位置情報の履歴(移動履歴)として位置情報履歴保持部330に時系列順に保持される(ステップS906)。その後、位置情報履歴保持部330に保持された移動経路に基づいて、今後の予測経路が移動経路予測部340により生成される(ステップS907)。そして、移動経路予測部340により生成された予測経路に基づいて、この予測経路の位置または予測経路付近の位置と紐付けられている干渉指標が干渉指標情報保持部320から取得される(ステップS908)。その後、予測経路上の各位置における干渉指標が干渉指標予測部350により予測される(ステップS909)。なお、ステップS908は、特許請求の範囲に記載の取得手順の一例である。また、ステップS909は、特許請求の範囲に記載の生成手順の一例である。
そして、予測経路上の干渉指標を予測経路と共に表示するための表示画像が生成された後に(ステップS910)、この表示画像が表示部370に表示されて(ステップS911)、干渉指標付予測経路生成処理手順は終了する。
このように、本技術の第1の実施の形態によれば、予測経路上の干渉指標を予測して、この予測した干渉指標を予測経路とともに表示することができる。すなわち、無線通信における通信状態を取得して、この通信状態をユーザに通知することができる。
なお、パイロット信号は基地局から常に発信されているため、無線通信装置200は、通信の待ち受け状態などにおいて接続候補として検出した基地局との無線通信における干渉指標を生成することができる。すなわち、普段の待ち受け状態の際に検出しているパイロット信号から干渉指標情報を生成することができるため、干渉指標情報を生成する際の無線通信装置の負担を軽減させることができる。
<3.本技術の第2の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態では、干渉指標生成部280が生成した干渉指標に位置情報取得部310が取得した位置情報を紐付けた干渉指標情報を干渉指標情報保持部320に保持する例について説明した。この例では、干渉指標情報保持部320は、無線通信装置200が在園したことのある位置の干渉指標だけが干渉指標情報保持部320に保持される。すなわち、移動経路予測部340が予測した移動経路が無線通信装置200の通過(在園)したことのない経路の場合には、この経路付近における干渉指標のデータが干渉指標情報保持部320にないため、干渉指標予測部350は予測経路における干渉指標を適切に予測することができない。
そこで、本技術の第2の実施の形態では、予測経路上の干渉指標を予測するために必要な干渉指標情報が干渉指標情報保持部320にない場合には、干渉指標を保持するサーバから干渉指標情報を取得する例について、図9を参照して説明する。
[無線通信システムの構成例]
図9は、本技術の第2の実施の形態における通信システム500の構成例を示すブロック図である。
通信システム500は、無線通信装置510と、基地局160と、公衆回線網170と、サーバ600を備える。なお、基地局160は、図3において示したものと同様のものであるため、ここでの説明を省略する。
無線通信装置510は、図3において示した無線通信装置200の変形例であり、無線通信装置200の各構成に加えて、送信干渉指標情報生成部520と、干渉指標情報受信部530とを備える。また、無線通信装置510は、図3において示した干渉指標予測部350に、サーバ600が保持する干渉指標情報を取得する機能を加えた干渉指標予測部(干渉指標予測部550)を備える。ここでは、送信干渉指標情報生成部520と、干渉指標情報受信部530と、干渉指標予測部550とに着目して説明する。
送信干渉指標情報生成部520は、無線通信装置510が検出した干渉指標を、干渉指標情報を保持するサーバ(サーバ600)に送信するものである。この送信干渉指標情報生成部520は、少なくとも、干渉指標生成部280が生成した干渉指標と、位置情報取得部310が生成した位置情報とを紐付けた情報(干渉指標情報)を、サーバ600に送信する。送信干渉指標情報生成部520は、送信する干渉指標情報を生成し、この生成した干渉指標情報を通信部210に送信する。そして、通信部210は、無線通信(無線回線161)を介して基地局160に干渉指標情報を送信する。その後、基地局160が公衆回線網(公衆回線網170)を経由してサーバ600に干渉指標情報を送信して、送信干渉指標情報生成部520が生成した干渉指標情報がサーバ600に受信される。
なお、送信干渉指標情報生成部520が生成した干渉指標情報をサーバ600に送信するタイミングについては、サーバ600がリアルタイムで干渉指標情報を使用する訳ではないため、固定のタイミングであっても可変のタイミングであってもよい。可変のタイミングであってもよいため、無線通信品質の良いエリアでは送信頻度を増やして、無線通信品質の良くないエリアでは送信頻度を減らす等の無線通信の負担を軽減させることが可能である。例えば、無線通信品質の良いエリアに在圏するまで、送信干渉指標情報生成部520が生成した干渉指標情報を一時的に保存し、無線通信品質の良いエリアに在圏したタイミングにおいてまとめてサーバ600に送信する方法などが考えられる。
干渉指標予測部550は、図3において示した干渉指標予測部350と同様に、移動経路予測部340から供給された予測経路上における干渉指標を算出するものである。なお、干渉指標予測部550は、予測経路上における干渉指標を算出するために必要な干渉指標情報が干渉指標情報保持部320に保持されていない場合には、サーバ600から干渉指標情報を取得するための情報(取得情報)を生成する。この取得情報には、少なくとも、予測経路の位置情報(経度、緯度)が含まれる。
干渉指標予測部550は、生成した取得情報を、通信部210に供給し、通信部210から無線回線161を介してサーバ600へ送信させる。そして、取得情報に基づいて取得された干渉指標情報が干渉指標情報受信部530から供給された場合には、その干渉指標情報を用いて干渉指標を算出する。すなわち、干渉指標予測部550は、干渉指標情報保持部320に保持されている干渉指標情報と、サーバ600から供給された干渉指標情報と、移動経路予測部340が生成した予測経路とに基づいて、干渉指標付予測経路を生成する。
干渉指標情報受信部530は、干渉指標予測部550が生成した取得情報に基づいてサーバ600から送信された干渉指標情報を受信するものである。この干渉指標情報受信部530は、受信した干渉指標情報を干渉指標予測部550に供給する。また、干渉指標情報受信部530は、受信した干渉指標情報を干渉指標情報保持部320に供給し、干渉指標情報保持部320に保持させる。
公衆回線網170は、電話網、インターネット等の公衆回線網である。
サーバ600は、干渉指標情報を保持し、無線通信装置510からの干渉指標情報の取得要求(取得情報)に応じて保持する干渉指標情報を無線通信装置510に供給するためのサーバである。また、サーバ600は、無線通信装置510から送信された干渉指標情報を保持するためのサーバでもある。サーバ600は、通信部610と、干渉指標情報保持部620とを備える。
通信部610は、公衆回線網170を介して通信を行うものである。この通信部210は、無線通信装置510から送信された取得情報に基づいて、干渉指標情報保持部620に保持する干渉指標情報を無線通信装置510に送信する。通信部610は、取得情報を受信した場合には、その取得情報に含まれている位置(予測経路の位置)付近の位置に紐付けられている干渉指標を検出する。そして通信部610は、検出された干渉指標を、紐付けられている位置とともに(すなわち、干渉指標情報を)、無線通信装置510に送信する。
また、通信部610は、無線通信装置510から送信された干渉指標情報を干渉指標情報保持部620に保持する。この保持する際において、送信された干渉指標情報と同じ位置の干渉指標情報を既に保持している場合には、干渉指標情報の更新が行われる。更新方法は様々なものがあるが、例えば、前のデータを新たなデータで置き換える方法や、重み付けした上で平均値を保存する方法などが考えられる。すなわち、複数の無線通信装置510から送信された干渉指標情報を干渉指標情報保持部620に蓄積することにより、干渉指標に関するデータベースを構築することができる。
干渉指標情報保持部620は、無線通信装置510が送信した干渉指標情報を保持するものである。すなわち、この干渉指標情報保持部620は、複数の無線通信装置510から送信された干渉指標情報に基づいて、干渉指標のデータベースを保持する。
[無線通信装置の動作例]
次に、本技術の第2の実施の形態における無線通信装置510の動作について図面を参照して説明する。
図10は、本技術の第2の実施の形態における無線通信装置510によって干渉指標付予測経路が生成される際の干渉指標付予測経路生成処理手順例を示すフローチャートである。
なお、図10に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートの変形例であり、サーバ600から干渉指標情報を取得する点が異なる。そこで、図10では、図8と共通する部分については、図8と同一の符号を付してここでの説明を省略する。
ステップS907において予測経路が移動経路予測部340により生成されると、干渉指標予測部550は、予測経路の位置または予測経路付近の位置と紐付けられている干渉指標が干渉指標情報保持部320に保持されているか否かを判断する(ステップS921)。そして、この干渉指標が干渉指標情報保持部320に保持されていると判断された場合には(ステップS921)、ステップS908に進む。
一方、予測経路の位置または予測経路付近の位置と紐付けられている干渉指標が干渉指標情報保持部320に保持されていないと判断された場合には(ステップS921)、サーバ600から干渉指標情報を取得するための情報(取得情報)が生成される(ステップS922)。
そして、生成された取得情報がサーバ600へ送信された後に(ステップS923)、その送信された取得情報に基づいてサーバ600が送信した干渉指標情報を受信したか否かが、干渉指標情報受信部530により判断される(ステップS924)。そして、サーバ600が送信した干渉指標情報を受信していないと判断された場合には(ステップS924)、干渉指標情報を受信するまで待機する。
一方、サーバ600が送信した干渉指標情報を受信したと判断された場合には(ステップS924)、その受信した干渉指標情報が干渉指標情報保持部320に保持される(ステップS925)。また、受信した干渉指標情報が干渉指標予測部550に供給され、予測経路の位置または予測経路付近の位置と紐付けられた干渉指標を干渉指標予測部550が取得する(ステップS908)。なお、ステップS908以降は図8と同様のものであるため、ここでの説明を省略する。
このように、本技術の第2の実施の形態によれば、干渉指標情報を保持するサーバを設けることにより、無線通信装置が通過(在園)したことがない移動経路においても、適切に干渉指標を予測することができる。
また、サーバに干渉指標情報を保持させるため、干渉指標生成部280を備えていない無線通信装置(例えば、従来の携帯電話)についても、無線通信装置の位置が送信可能であれば、サーバから干渉指標情報を取得することができる。すなわち、干渉指標生成部280を備えていない無線通信装置にサーバから干渉指標情報を取得するアプリケーションをインストールすることにより、干渉指標を検出できない無線通信装置に対しても干渉指標を用いるサービスを提供することができる。
<4.本技術の第3の実施の形態>
本技術の第2の実施の形態では、予測経路の位置または予測経路付近の位置と紐付けられている干渉指標が干渉指標情報保持部320に保持されていない場合において、干渉指標情報を保持するサーバから干渉指標情報を取得する例について説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、予測経路の生成や予測経路における干渉指標の予測などもサーバに行わせる場合も考えられる。
そこで、本技術の第3の実施の形態では、無線通信装置511が送信した位置情報に基づいて、予測経路および予測経路上の干渉指標をサーバが算出する例について、図11および図12を参照して説明する。
[無線通信システムの構成例]
図11は、本技術の第3の実施の形態における通信システム501の無線通信装置511の構成例を示すブロック図である。
通信システム501は、無線通信装置511と、基地局160と、公衆回線網170と、サーバ601とを備える。なお、基地局160は、図3において示したものと同様のものであるため、ここでの説明を省略する。また、サーバ601については、図12において詳細に説明するため、ここでの説明を省略する。
無線通信装置511は、図9において示した無線通信装置510の変形例であり、送信干渉指標情報生成部520に代えて、送信データ生成部560を備える。また、無線通信装置511は、無線通信装置510の干渉指標情報受信部530に代えて、予測情報取得部570を備える。また、無線通信装置511は、無線通信装置510の干渉指標情報保持部320と、位置情報履歴保持部330と、移動経路予測部340と、干渉指標予測部350とを備えていない。ここでは、送信データ生成部560および予測情報取得部570に着目して説明する。
送信データ生成部560は、位置情報取得部310が取得した位置情報を、その位置情報を取得した時間とともに、サーバ(サーバ601)に送信するものである。この取得した時間が紐付けられた位置情報(取得時間付位置情報)は、サーバ601において、無線通信装置511の位置情報の履歴を管理するために用いられる。
なお、本技術の第3の実施の形態では、干渉指標生成部280が生成した干渉指標についても、取得時間付位置情報とともにサーバ601に送信される。すなわち、送信データ生成部560は、少なくとも、位置情報と、位置情報を取得した時間と、位置情報を取得したタイミングにおいて生成された干渉指標とが紐付けられたデータをサーバ601に送信する。送信される干渉指標は、図9で示したサーバ600と同様に、サーバ601において干渉指標情報(位置情報が紐付けられた干渉指標)のデータベースを更新するために用いられる。
なお、送信データ生成部560による取得時間付位置情報の送信タイミングについては、干渉指標付予測経路を供給して欲しいタイミングまでに無線通信装置511の移動履歴がサーバ601に保持されていればよい。このため、取得時間付位置情報の送信タイミングについては、固定のタイミングであっても可変のタイミングであってもよい。可変のタイミングであってもよいため、無線通信品質の良いエリアでは送信頻度を増やして、無線通信品質の良くないエリアでは送信頻度を減らす等の通信の負担を軽減させる処理が可能である。また、干渉指標付予測経路を供給して欲しいタイミングにおいて、まとめて送信することも可能である。
また、干渉指標については、データベースの更新のために用いられるため、取得時間付位置情報とは別に送信することも可能である。すなわち、取得時間が紐付けられた位置情報(取得時間付位置情報)と、取得位置が紐付けられた干渉指標(干渉指標情報)とを別々に送信することも可能である。例えば、取得時間付位置情報は固定のタイミングもしくは可変のタイミングで送信し、干渉指標情報は無線通信品質の良いエリアでまとめて送信することにより、通信における負担を軽減させることができる。
予測情報取得部570は、サーバ601が生成した干渉指標付予測経路のデータ(予測情報)を受信するものである。この予測情報取得部570は、予測情報が必要な場合には、予測要求をサーバ601へ送信する。そして、予測情報取得部570は、予測要求に応じてサーバ601が送信した予測情報を受信して、受信した予測情報に基づいて、干渉指標付の予測経路を表す表示画像を生成し、この表示画像を表示部370に表示させる。
図12は、本技術の第3の実施の形態における通信システム501のサーバ601の構成例を示すブロック図である。
サーバ601は、通信部610と、干渉指標情報保持部620と、位置情報履歴保持部630と、移動経路予測部640と、干渉指標予測部650と、予測情報生成部660とを備える。
通信部610は、図9のサーバ600の通信部610と同様に、公衆回線網170を介して通信を行うものである。この通信部610は、干渉指標が紐付けられた取得時間付位置情報を受信すると、干渉指標および位置情報を干渉指標情報保持部620に供給し、取得時間および位置情報を位置情報履歴保持部630に供給する。また、通信部610は、無線通信装置511が送信した予測要求を受信した場合には、移動経路予測部640と、干渉指標予測部650と、予測情報生成部660とに、予測情報を送信するための各処理を開始させる。
位置情報履歴保持部630は、無線通信装置から供給される取得時間付位置情報を無線通信装置ごと(ユーザごと)に保持して、無線通信装置ごとの位置情報の履歴(移動履歴)を保持するものである。すなわち、位置情報履歴保持部630は、図3において示した位置情報履歴保持部330に対応する。位置情報履歴保持部630は、予測要求を送信した無線通信装置511の移動経路を移動経路予測部640が予測する場合には、その無線通信装置511の移動履歴を移動経路予測部640に供給する。なお、位置情報履歴保持部630は、特許請求の範囲に記載の位置情報保持部の一例である。
移動経路予測部640は、予測情報の生成対象の無線通信装置の移動履歴に基づいて、今後の移動経路の予測を行うものである。移動経路予測部640は、サーバ601が無線通信装置511からの予測要求を受信した場合には、位置情報履歴保持部630に保持されている移動履歴のうち、予測要求を送信した無線通信装置511の移動履歴を取得する。そして、移動経路予測部640は、その取得した移動履歴を用いて、予測要求を送信した無線通信装置511の今後の移動経路を予測する。すなわち、移動経路予測部640は、図3の移動経路予測部340に対応する。この移動経路予測部640は、予測経路を、干渉指標予測部650に供給する。
干渉指標予測部650は、移動経路予測部640から供給された予測経路上における干渉指標を、干渉指標情報保持部620から取得した干渉指標に基づいて算出するものである。すなわち、干渉指標予測部650は、図3の干渉指標予測部350に対応する。干渉指標予測部650は、生成した干渉指標付予測経路を、予測情報生成部660に供給する。なお、干渉指標予測部650は、特許請求の範囲に記載の取得部および生成部の一例である。
予測情報生成部660は、干渉指標予測部650から供給された干渉指標付予測経路に基づいて、干渉指標付予測経路の送信対象の無線通信装置511に送信するデータ(予測情報)を生成するものである。例えば、予測情報生成部660は、無線通信装置511が地図を表示するために必要なデータ(地図データ)を保持している場合には、予測情報として、予測経路を示す各位置にその位置の干渉指標を紐付けたデータを無線通信装置511に送信する。また、予測情報生成部660は、無線通信装置511が地図データを保持していない場合には、表示させる地図に予測経路および干渉指標を記載した画像データ(例えば、図6および図7の表示画面の画像データ)を予測情報として生成する。また、予測情報生成部660は、地図を介さずに予測経路の干渉指標をユーザに通知する場合には、干渉の増減を表すテキスト、あるいは、干渉の増減を想起するアイコンなどを表示させるための情報を予測情報として生成してもよい。このように、予測情報生成部660は、無線通信装置511が備えている機能に合わせて予測情報を生成する。
そして、予測情報生成部660は、生成した予測情報を通信部610に供給する。その後、予測情報は、通信部610から送信されて、公衆回線網170を経由して無線通信装置511に受信される。
このように、本技術の第3の実施の形態によれば、干渉指標情報を保持するサーバにおいて移動経路の予測および移動経路上の干渉指標の予測を行うことにより、無線通信装置における処理の負担を軽減することができる。また、サーバにおいて予測処理を行うため、本技術の第2の実施の形態と同様に、干渉指標生成部280を備えていない無線通信装置に対しても干渉指標を用いるサービスを提供することができる。なお、本技術の第3の実施の形態では、無線通信装置511自身の移動履歴から予測経路を算出する例について説明したが、これに限定されるものではない。自身の移動履歴だけでなく、さらに、位置情報履歴保持部630に保持されている他の無線通信装置511の移動履歴を活用してもよい。これにより、移動履歴のないエリアに在圏する任意の無線通信装置511に対しても、予測経路上の干渉指標の予測を提供することが可能になる。
<5.本技術の第4の実施の形態>
本技術の第1乃至第3の実施の形態では、予測経路上における干渉指標をユーザに表示して、予測経路上における干渉の度合い(干渉指標)をユーザに通知する例について説明した。これにより、ユーザは、予測経路上における無線通信品質を知ることができる。そして、ユーザは無線通信品質から通信速度を推定することができるが、通信速度は、干渉の度合いの影響のみにより決定されるものではない。すなわち、予測経路上の通信速度を表示できるとより便利であることが考えられる。
そこで、本技術の第4の実施の形態では、予測経路上の通信速度を算出する例について、図13を参照して説明する。
[無線通信装置の構成例]
図13は、本技術の第4の実施の形態における無線通信装置710の構成例を示すブロック図である。
なお、図13では、説明の便宜上、予測経路の距離は、サービングセルが変わらない距離であることを想定する。また、予測経路付近における干渉指標情報は、干渉指標情報保持部320に全て保持されていることを想定する。なお、干渉指標情報が干渉指標情報保持部320に全て保持されていない場合については、図9の本技術の第2の実施の形態のように、サーバから取得することにより対応することができる。また、サービングセルが変わるほど予測経路が長い場合に対応できる無線通信装置については、本技術の第5の実施の形態として説明する。
無線通信装置710は、図3において示した無線通信装置200の各構成に加えて、信号混雑度生成部720と、サービングセル混雑度生成部730と、通信速度予測部740とを備える。なお、信号混雑度生成部720、サービングセル混雑度生成部730および通信速度予測部740以外の各構成は、図3において示したものと同様のものであるため、同一の符号を付してここでの説明を省略する。
なお、無線通信装置710では、干渉指標生成部280が生成する干渉指標は、サービングセル混雑度生成部730にも供給される。また、干渉指標予測部350が生成する干渉指標付予測経路は、通信速度予測部740に供給される。
信号混雑度生成部720は、無線通信装置710が受信する無線信号のうちの無線通信装置710の通信速度に影響を与える信号の度合いを示す情報を生成するものである。通信速度に影響を与える要素としては、周辺セルからの干渉の度合いや、周辺セルにおける混雑の度合いや、サービングセルにおける混雑の度合いが含まれている。なお、ここでは、この情報を、信号混雑度と称することとする。この信号混雑度は、接続対象の基地局に接続するユーザ数(サービングセルの混雑の度合い)、周辺セルからの干渉の度合いまたは周辺セルでの混雑の度合いが大きくなると値が大きくなる。信号混雑度生成部720は、サービングセルの初期選択(3段セルサーチ)や、サービングセルの再選択の際に行われる相関検出において相関が検出されたスクランブルコードの相関出力のうち、最も大きい相関出力をパイロット信号検出部220から取得する。また、信号混雑度生成部720は、この相関検出において相関が検出されたスクランブルコードの相関出力のうち、最も小さい相関出力もパイロット信号検出部220から取得する。
そして、信号混雑度生成部720は、取得した2つの相関出力に基づいて信号混雑度を算出し、算出した信号混雑度をサービングセル混雑度生成部730に供給する。
ここで、信号混雑度の算出方法について説明する。なお、本技術の第4の実施の形態では、サービングセルおよび周辺セルについては、図4と同様であることを想定して説明する。すなわち、本技術の第4の実施の形態では、1つのサービングセルと6つの周辺セルとからの無線信号を受信しており、また、周辺セルのうちの6番目のセル(#6)からの無線信号が最も弱いことを想定する。
信号混雑度(kcong(w))は、例えば、次の式2を用いて算出される。
ここで、aは、相関検出において相関が検出されたスクランブルコードの相関出力のうちの最も大きい相関出力である。すなわち、相関出力aは、サービングセルに割り当てられているスクランブルコードの相関出力を示す。また、bは、相関検出において相関が検出されたスクランブルコードの相関出力のうちの最も小さい相関出力である。すなわち、bは、無線通信装置510が無線信号を受信可能な周辺セルのうちの、無線信号が最も弱い周辺セルに割り当てられているスクランブルコードの相関出力を示す。
上述の式2に示すように、信号混雑度生成部720は、相関出力aと相関出力bとの比に基づいて信号混雑度kcong(w)を生成する。上述の式2を用いて算出された信号混雑度kcong(w)は、基地局に接続するユーザ数(サービングセルの混雑の度合い)や周辺セルからの干渉の度合いが大きくなると、値が大きくなる。なお、値が大きくなる理由については、式4および式5を参照して後で説明するため、ここでの説明を省略する。
なお、信号混雑度kcong(w)は、上述の式2を用いて算出する他に、受信信号強度(RSSI)と相関出力aとの比や、受信信号強度(RSSI)をパイロット信号の拡散率で除した値と相関出力aとの比などを用いて算出することもできる。
サービングセル混雑度生成部730は、サービングセルが送信する無線信号における混雑の度合いを示す情報(セル混雑度)を生成するものである。すなわち、サービングセル混雑度生成部730は、サービングセルが送信する無線信号のうちの無線通信装置710の通信速度に影響を与える信号の度合いを示す情報をセル混雑度として生成する。サービングセル混雑度生成部730は、信号混雑度生成部720から供給された信号混雑度と、干渉指標生成部280から供給された干渉指標とに基づいて、セル混雑度を算出する。サービングセル混雑度生成部730は、周辺セルからの干渉の成分と、周辺セルにおける混雑の度合いの成分とを信号混雑度から除くことによりセル混雑度を算出する。そして、サービングセル混雑度生成部730は、算出したセル混雑度を、通信速度予測部740に供給する。なお、サービングセル混雑度生成部730は、特許請求の範囲に記載の基地局混雑度生成部の一例である。
ここで、セル混雑度の算出方法について説明する。セル混雑度(kcong(c))は、例えば、次の式3を用いて算出される。
なお、式3において用いられている各変数は、式1および式2において示したものと同様のものであるため、ここでの説明を省略する。また、式3以降においても、既に示した式において説明したものと同様のものについては、説明を省略する。
この式3を用いることにより、信号混雑度kcong(w)と、干渉指標kifとに基づいて、サービングセルの混雑度を算出することができる。
ここで、式3によりセル混雑度kcong(c)が算出される原理について説明する。
まず、セル混雑度kcong(c)について説明する。セル混雑度kcong(c)は、サービングセルに接続して通信を行っているユーザの数が多いほど、大きくなる値である。通信を行っているユーザの数については、無線信号においてデータを多重化するチャネル(高速下りリンク共有チャネル:HS−DSCH:High Speed-Downlink Shared CHannel)のレベルを用いることにより推測することができる。ここで、サービングセルのHS−DSCHの信号レベルを真数に変換した値をPDSCHservとすると、セル混雑度kcong(c)は、例えば、次の式4により表すことができる。
なお、無線通信装置710は、HS−DSCHの信号レベルのみを分離検出する機能を備えていない。そのため、サービングセル混雑度生成部730は、セル混雑度にさらに干渉の影響なども含まれている混雑度である信号混雑度kcong(w)から干渉の影響を除く計算(式3)により、セル混雑度kcong(c)を算出する。
次に、信号混雑度(kcong(w))の算出に用いられる相関出力aおよび相関出力bについて説明する。相関出力aは、最もパイロット信号レベルが高いスクランブルコードの相関出力であるため、相関検出において相関出力aの生成に寄与する信号は、サービングセルのパイロット信号が大部分を占めていると考えることができる。そこで、相関出力aは、次の式5のように表すことができる。
また、相関出力bは、最もパイロット信号レベルが弱いスクランブルコードの相関出力であるため、相関検出において相関出力bの生成に寄与する無線信号は、そのスクランブルコードが割り当てられた基地局のパイロット信号だけではないと考えることができる。パイロット信号レベルが弱いため、その基地局からのHS−DSCH信号レベルや、他の基地局からのパイロット信号レベルや、他の基地局からのHS−DSCH信号レベルなどが影響して相関出力bが生成されると考えることができる。そこで、相関出力bは、次の式6のように表すことができる。
ここで、Ptotalは、相関算出の際に相関の検出対象の無線信号のレベルを真数に変換した値である。すなわち、Ptotalは、サービングセルおよび周辺セルからの無線信号の総和のレベルの真数の値である。また、SFは、パイロット信号の拡散率である。また、PDSCHservは、サービングセルからの無線信号におけるHS−DSCH信号レベルを真数に変換した値である。また、PDSCHneighb#1乃至PDSCHneighb#6は、6つの周辺セルそれぞれのHS−DSCH信号レベルを真数に変換した値を示す。なお、本技術の実施の形態では、計算の都合上、制御チャンネル等の信号レベルはHS−DSCH信号レベルに含まれていることとする。
上述の式6に示すように、相関出力bは、最も低いパイロット信号レベル(PCPICHneighb#6)に、その他の信号の影響(拡散率SFが分母である分数の箇所)を加算した値により表すことができる。なお、上述の式6に示すように、相関出力bは、無線通信装置が受ける干渉の度合いが増加(周辺セルのパイロット信号レベルPCPICHneighb#1乃至PCPICHneighb#6が増加)すると大きくなる。また、相関出力bは、セルに接続して通信を行っているユーザの数が増加(PDSCHservおよびPDSCHneighb#1乃至PDSCHneighb#6が増加)すると大きくなる。すなわち、信号混雑度kcong(w)についても、干渉の度合いやユーザの数が増加すると値が大きくなる。
上述の相関出力aおよび相関出力bが上述の式5および式6で表せることから、上述の式4から式3が導き出される。すなわち、信号混雑度kcong(w)および干渉指標kifからセル混雑度kcong(c)を算出することができる。
ここで、式4から式3を導き出す過程を説明する。まず、上述の式2に、上述の式5および式6を代入する。この代入の結果、上述の式2は、次の式7に変形される。なお、この代入において、最も低いパイロット信号レベルの真数の値PCPICHneighb#6は、非常に小さいことが想定されるため、「0」であることを仮定する。
次に、この式7において、セル(基地局)における混雑度は、どのセルにおいても同程度であることを仮定する。この場合には、HS−DSCH信号レベルは、各セルにおいて発信されるタイミングでは同じ信号レベルであると仮定される。同じ信号レベルであると仮定されるHS−DSCH信号は、パイロット信号と同様の減衰をすることが考えられるため、上述の式1に基づいて次の式8を仮定することができる。
そして、上述の式7を上述の式8を用いて変形すると、次の式9が求められる。
そして、この式9を、セル混雑度kcong(c)を求める式に変形すると、上述の式3となる。
なお、ここでは、セル(基地局)における混雑度は、どのセルにおいても同程度であることを仮定した。この仮定は、ある程度長い時間における混雑度の平均値を求める場合に適用することができる。しかしながら、瞬間の混雑度を用いる場合には、この仮定が成立しないことが想定される。特に、周辺セルが一時的に混雑している場合には、干渉の度合いが上昇して周辺セルからの影響が大きくなり、式3の算出結果とずれてしまう。
周辺セルが混雑している場合にセル混雑度kcong(c)を適切に算出するためには、どのセルにおいても混雑度が同程度であると仮定せずに、セルごとの混雑度を用いて計算する必要がある。この計算は、本技術の第5の実施の形態において行うことが可能である。そこで、セルごとの混雑度を用いて計算する例については、図18を参照して説明し、ここでの説明を省略する。
通信速度予測部740は、通信速度を予測するものである。この通信速度予測部740は、サービングセル混雑度生成部730から供給されたセル混雑度と、予測経路上の干渉指標とに基づいて、予測経路上における通信速度を予測する。すなわち、通信速度予測部740は、予測経路の各位置を通信速度の検出の対象エリアとして、この対象エリアにおける通信状態(通信速度)を予測する。例えば、通信速度予測部740は、図6に示すように予測経路上に干渉指標が異なる4つの区間がある場合には、その4つの区間の通信速度をそれぞれ予測する。また、通信速度予測部740は、現在の予測通信速度を算出する場合には、信号混雑度生成部720から供給された信号混雑度に基づいて現在の通信速度を予測する。そして、通信速度予測部740は、予測した通信速度(予測通信速度)を表示画像生成部360に供給し、表示部370に表示させる。なお、通信速度予測部740は、特許請求の範囲に記載の生成部の一例である。
ここで、予測通信速度の算出方法について説明する。予測通信速度は無線通信品質に依存するため、例えば、SIR(Signal to Interference Ratio)から算出することができる。なお、SIRは、例えば、次の式10から算出される。
上述の式10に示すように、SIRは、信号混雑度kcong(w)を用いて算出することができる。なお、信号混雑度kcong(w)には干渉の影響が含まれているため、サービングセルが同じであっても、干渉指標の値が異なれば(位置が異なれば)値が変わる。すなわち、予測した移動経路においてサービングセルが切り替わらない場合においても、現在位置の信号混雑度kcong(w)を用いて他の位置のSIRを求めることはできない。
そこで、通信速度予測部740は、サービングセル混雑度生成部730から供給されたセル混雑度と、干渉指標予測部350から供給された予測経路上の干渉指標とに基づいて、予測経路上(他の位置)の信号混雑度を算出する。そして、通信速度予測部740は、算出した予測経路上の信号混雑度を用いて、予測経路上のSIRを算出する。
なお、予測経路上の信号混雑度kcong(w)は、例えば、次の式11を用いて算出される。なお、次の式11における干渉指標kifは、干渉指標予測部350が予測した予測経路上の干渉指標である。
上述の式11に示すように、式3を変形した式を用いれば、セル混雑度kcong(c)と干渉指標kif(p)とに基づいて、信号混雑度kcong(w)を算出することができる。そして、通信速度予測部740は、予測経路上の信号混雑度を用いて式10を計算し、予測経路上のSIRを算出する。
予測経路上のSIRが算出されると、通信速度予測部740は、算出されたSIRを用いて、SIRの値に応じた最大通信速度を算出する。この最大通信速度の算出は、例えば、SIRの各値に対応する最大通信速度のテーブルを用意しておき、SIRを引数にしてこのテーブルから最大通信速度(RMAX)を取得する方法が考えられる。
なお、この最大通信速度は、混雑の度合いが余り考慮していない通信速度である。そこで、通信速度予測部740は、算出された最大通信速度RMAXから信号混雑度の度合いに応じて速度を低下させて、混雑度を考慮した予測通信速度(実効通信速度Reff)を算出する。なお、実効通信速度Reffは、例えば、次の式12を用いて算出される。
Reff=(1.225−4.5×kcong(w))×RMAX ・・・式12
上述の式12に示すように、実効通信速度Reffは、信号混雑度kcong(w)が大きくなるに従い、最大通信速度RMAXからの減少幅が大きくなる。つまり、信号混雑度kcong(w)が小さいほど(基地局が空いているほど)、実効通信速度Reffは最大通信速度RMAXに近い値になる。また、信号混雑度kcong(w)が大きいほど(基地局が混雑しているほど)、実効通信速度Reffは最大通信速度RMAXには及ばない低い値になる。
なお、本技術の第4の実施の形態では、SIRに基づいて最大通信速度RMAXを取得する例について説明したがこれに限定されるものではない。他に、CQI(Channel Quality Indicator)に基づいて最大通信速度RMAXを取得することも可能である。CQIの値で最大通信速度(RMAX)を取得する場合には、各CQIの値ごとに定められているトランスポートブロックサイズの値を用いる。各CQIの値ごとのトランスポートブロックサイズを、伝送時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)で割ることにより、最大通信速度RMAXを算出することができる。なお、HSDPAの伝送時間間隔は、2msである。例えば、CQIの値が「30」であって、トランスポートブロックサイズが7168ビットである場合には、最大通信速度RMAXは、3.584Mbpsとなる。
このように、信号混雑度生成部720と、サービングセル混雑度生成部730とを設けることによって、現在位置の信号混雑度と現在位置の干渉指標とに基づいてサービングセルのセル混雑度を算出することができる。そして、この算出したセル混雑度と、他の位置(サービングセルが切り替わらない範囲内の他の位置)の干渉指標とに基づいて、その干渉指標に係る位置の信号混雑度を算出することができる。また、この算出された信号混雑度を用いることによって、通信速度を予測することができる。
[予測通信速度の表示例]
図14は、本技術の第4の実施の形態の表示部370に表示される現在位置付近の通信速度を示す表示画面の一例を示す模式図である。
図14に示す表示画面(画面430)には、無線通信装置710の現在位置付近における予測通信速度の通知(通信速度通知431)と、通信品質表示(アンテナバー432)とが示されている。
画面430に示すように、通信速度予測部740を設けることによって、信号混雑度生成部720から供給される信号混雑度に基づいて予測した現在位置付近の予測通信速度を表示することができる。また、通信速度予測部740を設けることによって、サービングセルが切り替わらないと考えられる範囲内において予測経路付近の干渉指標の情報が干渉指標情報保持部320に保持されていれば、予測経路上の予測通信速度を地図上に表示することができる。なお、この地図を用いた予測通信速度の表示は、後の本技術の第5の実施の形態において示す図18と同様であるため、ここでの説明を省略する。
[無線通信装置の動作例]
次に、本技術の第4の実施の形態における無線通信装置710の動作について図面を参照して説明する。
図15は、本技術の第4の実施の形態における無線通信装置710によって予測通信速度が生成される際の予測通信速度生成処理手順例を示すフローチャートである。
なお、図15に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートの変形例であり、2つの混雑度(信号混雑度およびセル混雑度)の算出と、予測経路上の予測通信速度の算出とが追加される点が異なる。そこで、図15では、図8と共通する部分については、図8と同一の符号を付してここでの説明を省略する。なお、予測経路上における干渉指標の算出と、2つの混雑度の算出とは平行して行える処理であるが、説明の便宜上、図15では、予測経路上における干渉指標の算出のステップ(ステップS909)の後から混雑度の算出を示す。
ステップS909において予測経路上における干渉指標が生成されると、相関検出において相関が検出されたスクランブルコードの相関出力のうち、最も大きい相関出力が信号混雑度生成部720に供給される(ステップS931)。また、相関検出において相関が検出されたスクランブルコードの相関出力のうち、最も小さい相関出力が信号混雑度生成部720に供給される(ステップS932)。
そして、取得した2つの相関出力に基づいて、現在位置の信号混雑度が信号混雑度生成部720により算出される(ステップS933)。この信号混雑度の算出は、例えば、上述の式2を用いて行われる。その後、算出された現在の信号混雑度と、干渉指標生成部280から供給される現在位置の干渉指標とに基づいて、現在位置のセル混雑度(現在のサービングセルのセル混雑度)がサービングセル混雑度生成部730により算出される(ステップS934)。なお、このセル混雑度の算出は、例えば、上述の式3を用いて行われる。
そして、算出されたセル混雑度と、予測経路上の干渉指標とに基づいて、予測経路上の予測通信速度が通信速度予測部740により予測される(ステップS935)。なお、この予測経路上の予測通信速度の算出は、例えば、上述の式10乃至式12と、SIRの各値に対応する最大通信速度のテーブルとを用いて算出される。
その後、予測通信速度と予測経路とを表示する表示画像が表示画像生成部360により生成され(ステップS936)、この生成された表示画像が表示部370に表示され(ステップS911)、予測通信速度生成処理手順は終了する。
このように、本技術の第4の実施の形態によれば、現在位置や予測移動経路上における通信速度を予測することができる。
<6.本技術の第5の実施の形態>
本技術の第4の実施の形態では、無線通信装置が算出した現在のサービングセルのセル混雑度のみで通信速度を予測する例について説明した。セル混雑度は、セル(基地局)ごとの値であるため、サービングセルが切り替わる場合には、適切に通信速度を予測することができない。また、セル混雑度は、セルの使用状況に応じて変化する値であるため、過去に算出したセル混雑度を無線通信装置が保持していたとしても余り役に立たず、適切に通信速度を予測することができない。
すなわち、サービングセルが切り替わるような長い距離における通信速度を適切に予測するためには、切り替わるセルの現在のセル混雑度を取得する必要がある。この取得は、例えば、本技術の第2および第3の実施の形態において干渉指標を保持するサーバを設けたように、多くの無線通信装置が検出したセル混雑度を集積して管理するサーバを設け、他のセルの現在のセル混雑度をこのサーバから取得する方法が考えられる。
そこで、本技術の第5の実施の形態では、他のセルの現在のセル混雑度を保持するサーバを設ける例について、図16乃至図17を参照して説明する。
なお、他のセルの現在のセル混雑度を保持するサーバを設ける例についても、本技術の第2および第3の実施の形態と同様に、予測経路を無線通信装置で算出させる例と、予測経路をサーバで算出させる例とが考えられる。本技術の第5の実施の形態では、本技術の第3の実施の形態と同様に、予測経路をサーバで算出させる例について説明する。
[無線通信システムの構成例]
図16は、本技術の第5の実施の形態における通信システム701の無線通信装置711の構成例を示すブロック図である。
通信システム701は、無線通信装置711と、基地局160と、公衆回線網170と、サーバ800とを備える。なお、基地局160および公衆回線網170は、図3において示したものと同様のものであるため、ここでの説明を省略する。また、サーバ800については、図17において詳細に説明するため、ここでの説明を省略する。
無線通信装置711は、図11において示した無線通信装置511の変形例であり、図13において示した信号混雑度生成部720およびサービングセル混雑度生成部730をさらに備える。また、無線通信装置711は、図11の送信データ生成部560に代えて、セル混雑度もサーバへ送信する送信データ生成部760を備える。ここでは、送信データ生成部760に着目して説明する。
送信データ生成部760は、図11において示した送信データ生成部560と同様に、位置情報取得部310が取得した位置情報を、その位置情報を取得した時間とともに、サーバ(サーバ800)に送信するものである。また、送信データ生成部760は、サービングセル混雑度生成部730が生成したセル混雑度を、混雑度を検出した位置におけるサービングセルを示す情報(サービングセル情報)とともに、サーバ800に送信する。なお、サービングセル情報は、例えば、サービングセル情報保持部270から供給されたスクランブルコードおよび位置情報である。サーバ800は、混雑度に紐付けられたスクランブルコードおよび位置情報から、その位置でそのスクランブルコードを受信できるセル(基地局)を特定し、供給された混雑度に関するセルを特定する。なお、無線通信装置711がセルID(セルごとの識別情報)を取得できる場合には(例えば、セルIDを管理するサーバから取得する、あるいは、基地局から報知されている報知情報から取得する)、そのセルIDをサービングセル情報とすることもできる。なお、LAC(Location Area Code)をさらに併せてサービングセル情報としてもよい。
また、送信データ生成部760は、干渉指標をサーバ800に送信する場合には、その干渉指標を取得した位置およびその位置におけるサービングセルの情報(サービングセル情報)を紐付けて送信する。すなわち、図11において示した送信データ生成部560と比較すると、サービングセル情報をさらに紐付けて送信する。
なお、送信データ生成部760による混雑度の送信タイミングについては、データベースの更新のために用いられるため、図11の送信データ生成部560が行う干渉指標の送信と同様である。すなわち、固定のタイミングもしくは可変のタイミングで送信することもできるし、干渉指標情報は無線通信品質の良いエリアでまとめて送信することもできる。また、送信データ生成部760による位置情報および干渉指標の送信タイミングについては、図11の送信データ生成部560と同様であるため、ここでの説明を省略する。
このように、サービングセル混雑度生成部730が生成したセル混雑度は、セル(基地局)を特定するための情報(サービングセル情報)とともに、サーバ800へ送信される。
図17は、本技術の第5の実施の形態における通信システム701のサーバ800の構成例を示すブロック図である。
サーバ800は、図12において示したサーバ601の変形例であり、サーバ601の各構成に加えて、混雑度情報保持部860と、通信速度予測部870とを備える。また、サーバ800は、図12の干渉指標情報保持部620に代えて、その位置のサービングセルのセルIDを干渉指標情報にさらに紐付けて保持する干渉指標情報保持部820を備える。また、サーバ800は、図12の干渉指標予測部650に代えて、干渉指標予測部850を備える。
干渉指標情報保持部820は、図12において示した干渉指標情報保持部620と同様に、干渉指標情報を保持するものである。さらに、干渉指標情報保持部820は、無線通信装置711から送信された干渉指標情報に紐付けられているサービングセル情報から特定されたサービングセルのセルIDも紐付けて保持する。すなわち、干渉指標情報保持部820が保持する干渉指標には、その干渉指標を検出した位置(位置情報)と、その干渉指標を検出した位置におけるサービングセルを特定するための情報(例えば、セルID)とが紐付けられている。
混雑度情報保持部860は、セル(基地局)ごとのセル混雑度を保持するものである。すなわち、この混雑度情報保持部860は、複数の無線通信装置711から送信されたセル混雑度に基づいて、セル混雑度のデータベースを保持する。混雑度情報保持部860は、セル混雑度を、そのセル混雑度が混雑度を示すセルのセルIDとともに保持する。
また、混雑度情報保持部860は、セル(基地局)の制御装置が混雑度を自己解析し、この混雑度をサーバ800に送信可能である場合には、このセル自身が検出した混雑度をセルIDに紐付けて保持するようにしても良い。
干渉指標予測部850は、図12において示した干渉指標予測部650と同様に、予測経路上における干渉指標を算出するものである。さらに、干渉指標予測部850は、干渉指標情報保持部620から干渉指標を取得する際に、干渉指標に紐付けられているセルIDも取得して、予測経路上におけるサービングセルも予測して、予測経路上の各位置とセルIDを紐付ける。
通信速度予測部870は、図13において示した通信速度予測部740と同様に、移動経路予測部640が予測した予測経路上における通信速度を予測するものである。通信速度予測部870は、干渉指標予測部850が予測した予測経路上の各位置のサービングセルのセルIDを引数として、混雑度情報保持部860に保持されているセル混雑度を取得する。そして、通信速度予測部870は、取得したセル混雑度と、予測経路上の干渉指標とに基づいて、予測経路上における通信速度を予測する。なお、通信速度の予測方法については、通信速度予測部740と同様であるため、ここでの説明を省略する。
そして、通信速度予測部870は、予測通信速度付の予測経路を予測情報生成部660に供給し、予測通信速度付の予測経路の情報(予測情報)を無線通信装置711へ送信させる。
なお、混雑度はユーザの使用状況に応じて変化するため、混雑度情報保持部860に保持されているセル混雑度は、現時刻に近い時刻のセル混雑度であることが望ましい。しかしながら、全てのセルのセル混雑度を現時刻に近い時刻の情報に常に維持することは難しい。そこで、混雑度情報保持部860は、セルごとのセル混雑度をさらに時間帯ごとに分けて保持し、現時刻に近い時刻の情報がない場合には、前日の同じ時間帯の混雑度を通信速度予測部870が取得するようにしても良い。
なお、時間帯ごとのセル混雑度を保持させる場合には、セル混雑度の時系列の変化が分かる。このため、予測経路が長い距離であって、到達するのに時間がかかる(例えば、3時間後)場合においても、将来の時刻におけるセル混雑度を予測することができ、通信速度の予測精度を向上させることができる。
なお、ここまでは、図13において示した通信速度予測部740と同様の方法により通信速度予測部870が通信速度を予測することを想定して説明した。すなわち、上述の式8に示すように、各セルの混雑度はどのセルでも一緒であるとの仮定の上で現在のセル混雑度が算出され、そして、そのセル混雑度を用いて予測経路上の各位置の信号混雑度が算出される。しかしながら、本技術の第5の実施の形態のように、サーバに混雑度を保持する場合には、周辺セルごとのセル混雑度をサーバから取得することができる。すなわち、本技術の第5の実施の形態では、周辺セルごとのセル混雑度を考慮して信号混雑度およびセル混雑度を算出することができる。
そこで、ここからは、周辺セルごとのセル混雑度を考慮して信号混雑度およびセル混雑度を算出する例について説明する。なお、ここでは、これまでと同様に、1つのサービングセルと、6つ(#1乃至#6)の周辺セルからの無線信号を無線通信装置が受信することを想定して説明する。
まず、無線通信装置は、図13において示した方法と同様の方法により、セルの混雑度はどのセルでも一緒であるとの仮定の上でのサービングセルのセル混雑度を算出する。なお、ここでは、この仮定の上でのセル混雑度を、近似セル混雑度と称することとする。この近似セル混雑度はサーバに送信され、サーバにおいてセルごとに保持される。
まず、無線通信装置は、サーバに予測通信速度を算出させる場合には、周辺セルごとのセル混雑度が考慮された2つの混雑度(信号混雑度、セル混雑度)を算出するために必要な情報をサーバに送信する。無線通信装置は、少なくとも、現在位置の位置情報と、サービングセルの近似セル混雑度と、無線信号が受信できた周辺セルを特定するための情報(周辺セル情報)と、サービングセルおよび周辺セルのパイロット信号レベルと、信号混雑度とをサーバに送信する。
そして、受信したサーバでは、周辺セル情報に基づいて無線通信装置の周辺セルが特定され、各周辺セルの近似セル混雑度が保持部から取得される。そして、サーバにおいて、サービングセルの近似セル混雑度と周辺セルの近似セル混雑度との比(近似セル混雑度比)が周辺セルごとに算出される。
なお、各周辺セル(#1乃至#6)の近似セル混雑度比(kn)は、例えば、次の式12を用いて算出される
ここで、kcong(ac−serv)は、サービングセルの近似セル混雑度である。また、kcong(ac−neighb#n)は、周辺セルの近似セル混雑度である。
上述の式12を用いて、周辺セル(#1乃至#6)ごとの近似セル混雑度比(k#1乃至k#6)が算出されると、サーバは、次の式13を用いて、第2の干渉指標(ksif)を算出する。
なお、上述の式13により算出された第2干渉指標ksifは、上述の式1より算出された干渉指標kifとともに干渉指標情報保持部820に保持される。
そして、この算出された第2干渉指標ksifと、現在位置の信号混雑度kcong(w)とに基づいて、サービングセルのセル混雑度kcong(c)が算出される。なお、このセル混雑度kcong(c)の算出は、例えば、次の式14を用いて算出される。
上述の式14により算出されたセル混雑度(kcong(c))は、混雑度情報保持部860に、近似セル混雑度kcong(ac)とともに保持される。
そして、サーバでは、この算出されたセル混雑度kcong(c)と、予測経路上の各位置の第2干渉指標ksifとに基づいて、各位置の信号混雑度kcong(w)が算出される。なお、この信号混雑度kcong(w)の算出は、例えば、上述の式14を変形した次の式15を用いて算出される。
上述の式12乃至式15を用いて、周辺セルごとの混雑度を考慮して移動経路上の各位置の信号混雑度を算出することにより、通信速度の予測の精度を向上させることができる。
なお、上述の式12乃至式15において、セルの混雑度はどのセルでも一緒であると仮定すると、第2干渉指標ksifを算出する際の近似セル混雑度比(kn)は、全ての周辺セル(#1乃至#6)に関して「1」となる。近似セル混雑度比(kn)が「1」となると、上述の式14および式15は、上述の式3および式11と同一になる。
ここで、周辺セルごとの混雑度を考慮して移動経路上の各位置の信号混雑度を算出するために、式12乃至式15を用いる理由について説明する。
まず、周辺セルのセル混雑度について説明する。周辺セルのセル混雑度(kcong#n(c))は、近似セル混雑度比(kn)と、上述の式4とから、次の式16のように表すことができる。
この式16を変形すると、次の式17を経て次の式18になる。
そして、上述の式7に式18を代入すると、次の式19になる。
ここで、上述の式4を変形すると、次の式20を経て次の式21になる。
そして、式19に式21を代入すると、次の式22になる。
ここで、式22に式13を代入すると、次の式23になる。
この式23を変形すると、上述の式14および式15になる。
このように、周辺セルの近似セル混雑度をサーバに保持させることにより、周辺セルごとの混雑度を考慮してサービングセルのセル混雑度を算出することができる。すなわち、混雑度を保持するサーバを設けることにより、セルの混雑度の算出の精度を向上させることができる。
[予測通信速度の表示例]
図18は、本技術の第5の実施の形態の表示部370に表示される予測経路および予測経路上の予測通信速度が付された地図の表示画面の一例を示す模式図である。
なお、図18では、予測経路上の予測通信速度を数値で表す例について説明する。すなわち、図18では、図6に対応する表示例を示す。図7に対応する表示例については、干渉指標の代わりに予測通信速度を表していること以外は変わらないため、説明を省略する。
図18において示す通信速度付の予測経路の表示画面(画面440)には、無線通信装置711の現在位置を示す目印(携帯電話441)と、予測経路を示す太線の矢印(矢印446)とが示されている。また、画面440には、予測経路上における予測通信速度を示す数値(予測通信速度値442乃至445)が示されている。画面440に示すように、予測経路上における予測通信速度を地図に付して表示することができる。なお、予測通信速度のユーザへの表示は、地図情報に併せて表示させる方法だけではない。他に、予測通信速度の増減を表すテキスト、あるいは、予測通信速度の増減を想起するアイコンを用いて、予測経路を移動するに従って今後の予測通信速度が速くなるか、若しくは、遅くなるかをユーザに示すようにしても良い。
[無線通信装置の動作例]
次に、本技術の第5の実施の形態におけるサーバ800の動作について図面を参照して説明する。
図19は、本技術の第5の実施の形態におけるサーバ800によって予測情報が生成される際の予測情報生成処理手順例を示すフローチャートである。
まず、無線通信装置711が送信した予測要求を受信したか否かが、通信部610により判断される(ステップS941)。そして、予測要求を受信していないと判断された場合には、(ステップS941)、予測要求を受信するまで待機する。
一方、予測要求を受信したと判断された場合には(ステップS941)、その予測要求を送信した無線通信装置711の移動履歴が、移動経路予測部640により位置情報履歴保持部630から取得される(ステップS942)。その後、その取得された移動履歴に基づいて、予測要求を送信した無線通信装置711の予測経路が移動経路予測部640により生成される(ステップS943)。続いて、生成された予測経路に基づいて、予測経路付近の干渉指標と、その干渉指標に紐付けられているセルID(その位置のサービングセルのセルID)とが、干渉指標予測部850により干渉指標情報保持部820から取得される(ステップS944)。
そして、取得された干渉指標に基づいて、予測経路上の各位置の干渉指標が干渉指標予測部850により予測される(ステップS945)。続いて、取得されたセルIDに基づいて、予測経路上の各位置のサービングセルが干渉指標予測部850により予測される(ステップS946)。
次に、予測された予測経路上の各位置のサービングセルのセルIDに基づいて、そのセルIDにより特定されるセル(基地局)のセル混雑度が、混雑度情報保持部860から通信速度予測部870に供給される(ステップS947)そして、供給されたセル混雑度と、予測された予測経路上の干渉指標とに基づいて、予測経路上の各位置の通信速度が、通信速度予測部870により予測される(ステップS948)。そして、予測経路および予測経路上の各位置の通信速度を含む情報が予測情報として予測情報生成部660により無線通信装置711へ送信されて(ステップS949)、予測情報生成処理手順は終了する。なお、ステップS946において、サービングセルを予測する際には、セルIDと併せて前述のLACを利用してサービングセルを予測するようにしてもよい。
このように、本技術の第5の実施の形態によれば、経路上でサービングセルが切り替わるほど予測経路の距離が長い場合においても、予測経路上の通信速度を適切に予測することができる。本技術の第5の実施の形態では、周辺セルのセル混雑度を保持するサーバが設けられるため、周辺セルの現在のセル混雑度を利用することにより、周辺セルも含めた広いエリアの通信速度を適切に予測することができる。一方、本技術の第4の実施の形態の無線端末装置では、周辺セルのセル混雑度が検出できないためサービングセルが切り替わるような広い範囲における通信速度を適切に予測することは難しいが、サーバと交信する必要がないために、迅速に算出することができる。そのため、短い時間(例えば、2分ぐらい)における予測通信速度を算出する場合は本技術の第4の実施の形態を適用し、長い時間の場合(移動距離が長い場合)には本技術の第5の実施の形態を切り替えて適用して予測通信速度を算出する方法が考えられる。
<7.本技術の第6の実施の形態>
本技術の第4および第5の実施の形態では、予測経路上における予測通信速度を表示する例について説明した。これらの例において説明したように、干渉指標と、信号混雑度と、セル混雑度を用いることにより、現在位置以外の位置における予測通信速度を算出することができる。しかしながら、予測通信速度の用途は、予測経路上における予測通信速度を表示することに限定されるものではなく、他にも種々の用途が考えられる。例えば、通信品質が悪い位置にいるユーザ(例えば、データ通信速度が遅くなる、あるいは、通話が頻繁に切れたりするユーザ)を、近くの通信品質がよい位置までナビゲートすることが考えられる。また、複数の通信網の予測通信速度を算出できる場合には、現在位置において最も予測通信速度が速い通信網をユーザに通知することも考えられる。
そこで、本技術の第6の実施の形態では、予測経路上において通信速度が最も速い通信事業者をサーバが検出し、その検出結果に基づいた通信を無線通信装置に行わせる例について、図20乃至図22を参照して説明する。
[無線通信システムの構成例]
図20は、本技術の第6の実施の形態における通信システム1100の無線通信装置1200の構成例を示すブロック図である。
なお、本技術の第6の実施の形態では、無線通信装置1200のユーザは、複数(4つ)の通信事業者と契約していることを想定する。また、本技術の第6の実施の形態では、予測経路上において無線通信サービスを提供している通信事業者は、4社であることを想定する。
通信システム1100は、無線通信装置1200と、基地局160と、公衆回線網170と、サーバ1300とを備える。
無線通信装置1200は、図16において示した無線通信装置711の変形例であり、無線通信装置711の各構成に加えて、通知データ受信部1210と、無線設定部1220と、USIM(Universal Subscriber Identity Module)情報記憶部1230と、操作受付部1240とをさらに備える。
通知データ受信部1210は、通信事業者に関する通知の情報(通知データ)を受信するものである。ここで、通知データは、無線通信装置1200の予測経路上において無線通信装置1200に適切な通信事業者を通知するための情報であり、サーバ1300から無線通信装置1200へ送信される。例えば、通知データには、予測経路上において予測通信速度が最も速い通信事業者を特定するための情報が含まれる。なお、本技術の第6の実施の形態では通信速度が最も速い通信事業者を通知する例について説明するが、他に、最も安い通信事業者を通知する場合なども考えられる。通知データ受信部1210は、受信した情報(通知データ)を、無線設定部1220に送信する。
無線設定部1220は、通知データ受信部1210から供給された通知データに基づいて、無線通信装置1200が行う無線通信に関する設定を行うものである。無線設定部1220は、通知データが示す通信網と、現在の設定において使用可能な通信網とを比較して、無線通信に関する設定の変更が必要か否かを判断する。そして、無線設定部1220は、設定の変更が必要と判断した場合には、通知データが示す通信網を無線設定部1220が利用できるように設定を変更する制御を行う。例えば、無線設定部1220は、通知データにより特定される通信網が、現在利用している通信網の通信事業者の異なる無線方式である場合には、この無線方式を用いて通信が行えるように各種の設定を変更する。また、無線設定部1220は、通知データにより特定される通信網を提供する通信事業者が、現在利用している通信網の通信事業者とは異なる場合には、その通信事業者の通信網を利用可能にするために、USIM情報記憶部1230に記憶されて有効となっているUSIM情報の書き換えを行う。なお、無線設定部1220は、特許請求の範囲に記載の取得部および制御部の一例である。
また、無線設定部1220は、無線方式の変更やUSIM情報の書き換えに関する情報を表示部370に表示させて、その情報をユーザに通知する。なお、表示例については、図22を参照して説明するため、ここでの説明を省略する。
また、サーバ1300がセル混雑度や干渉指標を通信網ごとに保持するためにセル混雑度や干渉指標をサーバ1300へ送信する際には、現在設定されている通信網を特定するための情報(通信網特定情報)をさらに紐付けて送信する。
USIM情報記憶部1230は、無線通信装置1200が特定の通信事業者のサービス(通信網)を使用するのに必要なUSIM情報を記憶(保持)するものである。ここで、USIM情報は、契約認証情報の一例であり、契約認証情報は、電話の加入者(Subscriber)情報と、認証鍵(Authentication)の情報とを含む情報である。すなわち、USIM情報は、無線通信装置1200のユーザと特定の通信事業者との間における無線接続サービスの契約に基づいて、その特定の通信事業者から発行される情報である。
USIM情報記憶部1230は、USIM情報の書き換え、または、USIM情報の有効化処理および無効化処理が行えるようにUSIM情報を保持する。例えば、無線設定部1220が、通知データに基づいてUSIM情報の書き換えを実行すると判断した場合には、通知データが示す通信事業者のサーバから取得した新たなUSIM情報により、USIM情報記憶部1230に記録されているUSIM情報が書き換えられる。そして、新たなUSIM情報に基づいて無線通信の設定が行われ、通知データが示す通信網での通信が可能となる。
操作受付部1240は、ユーザにより操作された操作入力を受け付ける操作受付部である。例えば、操作受付部1240は、受け付けられた操作入力に応じた信号を無線設定部1220に出力する。
図21は、本技術の第6の実施の形態における通信システム1100のサーバ1300の構成例を示すブロック図である。
サーバ1300は、図17において示したサーバ800の変形例であり、無線通信装置1200のユーザの目的に合っている通信網を検出し、その検出した通信網をユーザに通知するために通知データを送信することができる。例えば、サーバ1300は、予測経路上における通信速度の速い通信網を無線通信装置1200のユーザに通知する場合には、予測経路上において通信速度の最も速い回線網を検出し、検出した通信網を示す通知データを無線通信装置1200へ送信する。また、サーバ1300は、例えば、通信費が基地局の混雑に応じて変化する課金方式の場合において、予測経路上における最も通信費の安い通信網を通知する場合には、予測経路上において最も通信費の安い通信網を検出し、その通信網を示す通知データを送信する。
サーバ1300は、通信部610と、位置情報履歴保持部630と、移動経路予測部640と、干渉指標情報保持部1320と、干渉指標予測部1350とを備える。また、サーバ1300は、混雑度情報保持部1360と、通信速度予測部1370と、通信網選択部1380と、通知データ生成部1390とを備える。なお、通信部610と、位置情報履歴保持部630と、移動経路予測部640とについては、これまでに示したものと同様のものであるため、ここでの説明を省略する。
干渉指標情報保持部1320は、複数の通信網ごとに干渉指標情報を分類して保持するものである。また、干渉指標情報保持部1320は、図17の干渉指標情報保持部820と同様に、干渉指標と、その干渉指標を検出した位置(位置情報)と、その干渉指標を検出した位置におけるサービングセルを特定するための情報(セルID)とを関連付けて保持する。例えば、サーバ1300による通信網の検出サービスが4つの通信網を対象としている場合には、その4つの通信網(ここでは、第1通信網乃至第4通信網と称する)の干渉指標をそれぞれ保持する。この場合において、干渉指標情報保持部1320は、第1通信網乃至第4通信網の干渉指標を、第1通信網乃至第4通信網それぞれの干渉指標のデータベースとして管理する。干渉指標情報保持部1320は、第1通信網のUSIM情報が設定されている無線通信装置1200から第1通信網を示す通信網特定情報が付された干渉指標情報が供給された場合には、第1通信網の干渉指標のデータベースを更新する。
混雑度情報保持部1360は、複数の通信網ごとに混雑度情報を分類保持するものである。なお、混雑度情報を複数の通信網ごとに保持する以外は、図17の混雑度情報保持部860と同様のものであるため、ここでの説明を省略する。
干渉指標予測部1350は、図17の干渉指標予測部850と同様に、予測経路における干渉指標およびサービングセルを予測するものである。さらに、干渉指標予測部1350は、複数の通信網ごとに予測経路上の各位置の干渉指標およびサービングセルをそれぞれ予測する。干渉指標予測部1350は、複数の通信網ごとに干渉指標情報を干渉指標情報保持部1320から取得して、予測経路上の各位置の干渉指標を複数の通信網ごとに算出する。例えば、干渉指標予測部1350は、予測経路または予測経路付近の位置に紐付けられている第1通信網の干渉指標を干渉指標情報保持部1320から取得して、予測経路上における第1通信網の干渉指標を算出する。
通信速度予測部1370は、図17の通信速度予測部870と同様に、予測経路上における通信速度を予測するものである。さらに、通信速度予測部1370は、複数の通信網ごとの通信速度を予測する。例えば、通信速度予測部1370は、予測経路上の各位置における第1通信網の干渉指標と、この各位置においてサービングセルとなる第1通信網のセルのセル混雑度とに基づいて、予測経路上の各位置における第1通信網の通信速度を予測する。同様にして、通信速度予測部1370は、第2乃至第4通信網の通信速度を予測する。
通信速度予測部1370は、通信速度の速い通信網をユーザに通知する場合には、予測経路と、通信網ごとの予測通信速度とを通信網選択部1380に供給する。また、通信速度予測部1370は、例えば、通信費が基地局の混雑に応じて変化する課金方式の場合において、予測経路上における最も通信費の安い通信網をユーザに通知する場合には、予測経路と、通信網ごとのセル混雑度とを通信網選択部1380に供給する。
通信網選択部1380は、無線通信装置1200に通知する通信網を選択するものである。例えば、通信網選択部1380は、通信速度の速い通信網をユーザに通知する場合には、通信速度予測部1370から供給された各通信網の予測通信速度に基づいて、ユーザが契約している通信事業者の通信網のうち、予測経路上の予測通信速度の平均値が最も速い通信網を検出する。すなわち、通信網選択部1380は、予測経路上のそれぞれの通信網の通信状態を比較して、特定条件を満たす通信網を検出する。通信網選択部1380は、検出した通信網を通知データ生成部1390に供給する。なお、通信網選択部1380は、特許請求の範囲に記載の生成部の一例である。
通知データ生成部1390は、通信網選択部1380において選択された通信網を通知するための通知データを生成するものである。通知データ生成部1390は、生成した通知データを無線通信装置1200へ送信する。なお、この送信された通知データは、その時点において無線通信装置1200に設定されているUSIM情報により使用可能となる通信網を経由して無線通信装置1200へ送信される。
[無線設定変更画面の表示例]
図22は、本技術の第6の実施の形態において、通知データに基づく通信網の切り替えに関する設定を行う際に表示部370に表示される表示画面の表示例を示す図である。
図22(a)には、通知データに基づく通信網の切り替えを自動で行うか否かを選択するための表示画面(設定画面1410)を示す。また、図22(b)には、設定画面1410において手動が選択された状態において通知データを受信した際に、通信網の切り替えをするか否かを選択するための表示画面(設定画面1420)を示す。なお、ここでは、通信網の切り替えには、通信事業者の切り替え(USIMの切り替え)も伴うことを想定して説明する。
図22(a)の設定画面1410には、通信事業者の切り替えを自動で行うか手動で行うかを選択するためのラジオボタン(ラジオボタン1411および1412)と、その選択を決定するための適用ボタン(適用ボタン1413)とが示されている。
ラジオボタン1411を選択して適用ボタン1413を押下すると、通信事業者(USIM)の切り替えが自動で行われる。すなわち、通知データにより通知された通信網に自動で切り替わる。
一方、ラジオボタン1412を選択して適用ボタン1413を押下すると、通信事業者(USIM)の切り替えは手動に設定される。すなわち、通知データにより最適な通信網が通知される度に、通信網を切り替えるか否かをユーザが選択する。なお、この通信網を切り替えるか否かをユーザが選択する際の表示画面の一例が、図22(b)において示す設定画面1420である。
図22(b)の設定画面1420には、現在の通信網の通信事業者であるA社のままにする(通信網を切り替えない)ためのボタン(A社選択ボタン1421)と、通信事業者をA社からB社に切り替えるためのボタン(B社選択ボタン1422)とが示されている。この設定画面1420に示すように、通信網の切り替えを主導で行う場合には、通知データにより最適な通信網が通知される度に、通信網を切り替えるか否かをユーザが選択することができる。
このように、本技術の第6の実施の形態によれば、干渉指標およびセル混雑度を複数の通信網ごとに保持するサーバを設けることにより、最適な通信網をユーザに通知することができる。なお、本技術の第6の実施の形態では、予測経路上において通信速度が最も速い通信事業者を通知する例について説明したが、これに限定されるものではなく、通信費の安い通信事業者や、目的地まで通信が途切れない通信事業者などを通知する場合も考えられる。
<8.本技術の第7の実施の形態>
本技術の第6の実施の形態では、通知データに基づいて通信網を切り替える例について説明した。第6の実施の形態では特に言及しなかったが、通信網を切り替える処理(同一通信事業社内なら設定変更の処理、他の事業者ならUSIMを切り替える処理)にはある程度の時間が必要である。通信網の切り替えが自動に設定されている場合において、通信を行う時間が非常に短いのにもかかわらず通信網を切り替えてしまうと、トータルでは逆に時間が増えてしまう可能性が想定される。例えば、通信網の切り替えで通信速度が1.0Mbpsから1.3Mbpsに速くなる場合において、仮に通信時間が1分だけにもかかわらずUSIMの切り替えで3分ぐらいかかると、トータルの時間では切り替えないほうが速い。すなわち、通信網の切り替えが自動に設定されている場合には、無線通信装置の行う通信の状況に応じてUSIMの切り替えが行われると便利である。
そこで、本技術の第7の実施の形態では、通信網の切り替えが自動に設定されている場合において、行う予定の通信の状況に応じて通信網の切り替えが判断される例について図23を参照して説明する。
[無線通信システムの構成例]
図23は、本技術の第7の実施の形態における通信システム1101の構成例を示すブロック図である。
通信システム1101は、無線通信装置1201と、基地局160と、公衆回線網170と、サーバ1300とを備える。なお、基地局160および公衆回線網170は、図3において示したものと同様のものであるため、ここでの説明を省略する。また、サーバ1300については、図21において示したものと同様のものであるため、ここでの説明を省略する。
無線通信装置1201は、図20において示した無線通信装置1200の変形例であり、アプリケーション判定部1250をさらに備える。なお、アプリケーション判定部1250以外の各構成は無線通信装置1200と同様であるため、ここでは、アプリケーション判定部1250に着目して説明する。
アプリケーション判定部1250は、無線通信装置1200において実行されているアプリケーションのうち、通信を行うアプリケーションがどのような通信を行うのかを判定するものである。このアプリケーション判定部1250は、アプリケーションが行う通信の時間、間隔(頻度)、時間当たりのダウンロード量(通信量)などを解析する。例えば、アプリケーション判定部1250は、ウェブ・ブラウジングのように通信期間が短く、比較的に少ない通信量で間欠的に通信を行うアプリケーションであるのか、動画像のストリーミングのように、通信期間が長く、大きな通信量で連続的に通信を行うアプリケーションであるのかを判定する。
そして、アプリケーション判定部1250は、通信期間が短いアプリケーションや、少ない通信量で間欠的に通信を行うアプリケーションが実行されていると判定した場合には、現在の無線の設定で無線通信を行わせる命令を無線設定部1220に供給する。なお、この命令を受信した無線設定部1220は、判定対象のアプリケーションで通信を行っている間は、通知データにより通信網の情報が供給されたとしても無線の設定の変更やUSIMの書き換えを行わずに無線通信を継続する。すなわち、通信期間が短いアプリケーションや、間欠的に通信を行うアプリケーションの場合には設定変更を行わずに無線通信を行うことにより、設定変更の時間を含むトータルの通信時間が長くなることを抑えることができる。
また、アプリケーション判定部1250は、通信期間が比較的に長いアプリケーションや、大きな通信量を必要とするアプリケーションが実行されていると判定した場合には、通知データを取得してより高速な通信網への切り替えを要求する命令を無線設定部1220に供給する。なおこの命令を受信した無線設定部1220は、通知データの要求をサーバ1300へ送信する。
そして、通知データがサーバ1300から送信されると、無線設定部1220は、現在設定されている通信網が最も高速の場合には、現在の無線の設定で無線通信を行わせる。また、無線設定部1220は、通知データが示す通信網が現在設定されている通信事業者における異なる無線方式の通信網である場合には、その通信網で無線通信が行えるように、無線の設定を変更する。また、無線設定部1220は、通知データが示す通信網が現在設定されている通信事業者と異なる通信事業者の通信網である場合には、USIM情報記憶部1230に記憶されているUSIM情報を書き換えて、通知データが示す通信網において無線通信を行えるように無線の設定を変更する。このように、通信期間が比較的に長いアプリケーションや、大きな通信量を必要とするアプリケーションの場合には、設定変更の時間を含むトータルの時間で考えても通信品質の良い無線網を利用した方が通信時間を短くすることができる。また、通信期間が比較的に長いアプリケーションや、大きな通信量を必要とするアプリケーションの場合に設定変更を行うことにより、基地局に負荷をかけずに無線通信を行うことができ、基地局の容量の改善が期待できる。
このように、本技術の第7の実施の形態によれば、実行されるアプリケーションに応じて通信網の切り替えを判断させることができる。
<9.本技術の第8の実施の形態>
本技術の第1乃至第8の実施の形態では、無線通信方式がHSDPA方式であることを想定し、パイロット信号のレベルに基づいて干渉指標を生成する例について説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、他の無線通信方式の場合でも干渉指標を生成することができる。他の無線通信方式の場合において、干渉指標は、パイロット信号のように基地局と無線通信装置との間の距離に応じて減衰するような信号を用いることにより算出することができる。例えば、LTE(Long Term Evolution)などの直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式の無線通信方式の場合には、リファレンス信号を用いることにより干渉指標を算出することができる。
ここで、無線通信方式がOFDMA方式である場合の例について、本技術の第8の実施の形態として図24を参照して説明する。
[無線通信システムの構成例]
図24は、本技術の第8の実施の形態における通信システム1500の無線通信装置1510の構成例を示すブロック図である。
通信システム1500は、無線通信装置1510と、基地局160と、公衆回線網170と、サーバ800とを備える。なお、無線通信装置1510以外は、これまでに説明したものと同様のものであるため、ここでの説明を省略する。
無線通信装置1510は、図16において示した無線通信装置711の変形例であり、パイロット信号検出部220およびパイロット信号レベル保持部250に代えて、リファレンス信号検出部1520と、リファレンス信号レベル保持部1530とを備える。また、無線通信装置1510は、信号混雑度生成部720およびサービングセル混雑度生成部730に代えて、サービングセル混雑度生成部1540を備える。なお、図16では、通信部210は、OFDMA方式の信号を送受信することを前提とする。
リファレンス信号検出部1520は、周波数方向および時間方向にマッピングされたリファレンス信号を含んだ無線信号の中から、リファレンス信号を検出するものである。また、リファレンス信号検出部1520は、検出したリファレンス信号に基づいて基準信号受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)を算出する。リファレンス信号検出部1520は、受信した無線信号に含まれているリファレンス信号を検出することにより、少なくとも、サービングセルのRSRPと、周辺セルのRSRPとをセルごとに算出する。なお、RSRPは、周波数方向および時間方向にマッピングされている複数のリファレンス信号のうちの複数のリファレンス信号のRSRPを平均して得られる平均値を用いることにより、RSRPの値の検出誤差を減少させることができる。そして、リファレンス信号検出部1520は、算出したRSRPを、リファレンス信号レベル保持部1530に保持させる。このように、リファレンス信号検出部1520は、パイロット信号検出部220のパイロット信号レベル検出の代わりにリファレンス信号のレベル(強度)を示すRSRPを検出し、そして、リファレンス信号レベル保持部1530に保持させる。
リファレンス信号レベル保持部1530は、サービングセルおよび周辺セルのそれぞれのRSRPを保持するものである。すなわち、リファレンス信号レベル保持部1530は、サービングセルおよび周辺セルのそれぞれのリファレンス信号レベルを保持する。リファレンス信号レベル保持部1530が保持するセルごとのRSRPは、サービングセル決定部260においてサービングセルの決定を行う際に用いられる。また、リファレンス信号レベル保持部1530が保持するセルごとのRSRPは、干渉指標生成部280に供給され、セルごとのRSRPに基づいて干渉指標が算出される。すなわち、無線通信装置1510では、CDMA方式の信号を送受信する無線通信装置におけるパイロット信号レベルの代わりにRSRPが用いられる。
サービングセル混雑度生成部1540は、図16において示したサービングセル混雑度生成部730と同様に、サービングセルが送信する無線信号における混雑の度合いを示す情報(セル混雑度)を生成するものである。サービングセル混雑度生成部1540は、OFDMA方式の信号の1フレーム当たりの総サブキャリア数と、その1フレーム当たりにおける各ユーザに割り当てられたサブキャリア数とを算出する。そして、サービングセル混雑度生成部1540は、総サブキャリア数と、割り当てられたサブキャリア数との割合に基づいて、サービングセルにおける混雑度(セル混雑度)を算出する。
なお、セル混雑度の算出方法については、サブキャリア数を用いるものに限定されるものではない。例えば、1フレーム当たりの全てのサブキャリアの電力の総和と、各ユーザに割り当てられたサブキャリアの電力の総和とに基づいて算出することもできる。また、サービングセル混雑度生成部1540によるサブキャリアの検出は、1フレーム当たりのサブキャリアを直接検出する他に、OFDMA方式の信号に含まれる制御信号のうちのフレーム構造を通知する信号からも検出することができる。また、サービングセル混雑度生成部1540は、リソースブロックの総数と、各ユーザに割り当てられるリソースブロックの数との割合に基づいてセル混雑度を算出することもできる。
このように、本技術の第8の実施の形態によれば、無線通信方式がOFDMA方式の場合においても、予測経路上の通信速度を適切に予測することができる。すなわち、無線通信方式がOFDMA方式の場合においても、無線通信における適切な通信状態を把握することができる。
<10.本技術の第9の実施の形態>
ここまでに示した本技術の実施の形態では、無線通信装置が算出した干渉指標および混雑度を予測経路上の通信品質の検出に用いる例について主に説明した。当然ながら、干渉指標および混雑度は現在位置の通信品質の検出にも用いることができる。例えば、携帯電話などにおいて通信品質を表示する標識であるアンテナバーの数の算出の際に用いると、現在位置の通信品質を適切にユーザに通知することができる。
そこで、本技術の第9の実施の形態では、干渉指標や混雑度を考慮してアンテナバーの数を算出する例について、図25を参照して説明する。
[無線通信装置の構成例]
図25は、本技術の第9の実施の形態における無線通信装置1610の構成例を示すブロック図である。
無線通信装置1610は、通信部210と、パイロット信号検出部220と、周辺セル情報取得部230と、周辺セル情報保持部240と、パイロット信号レベル保持部250と、サービングセル決定部260と、サービングセル情報保持部270とを備える。また、無線通信装置1610は、干渉指標生成部280と、表示部370と、信号混雑度生成部720と、サービングセル混雑度生成部730と、RSSIレベル検出部1620と、通信品質表示生成部1630とを備える。
なお、RSSIレベル検出部1620および通信品質表示生成部1630以外の構成は、これまでの実施例において説明したものと同様のものであるため、ここでの説明を省略する。
RSSIレベル検出部1620は、無線通信装置1610が受信する無線信号におけるRSSIのレベル(強度)を検出するものである。すなわち、RSSIレベル検出部1620は、従来の無線通信装置が通信品質の目安とする信号であるRSSIのレベルを検出する。RSSIレベル検出部1620は、検出したRSSIレベルを、通信品質表示生成部1630に供給する。
通信品質表示生成部1630は、ユーザに通信品質を通知するための表示画像を生成するものである。この通信品質表示生成部1630は、アンテナバー(特定標識)の数の増減により通信品質をユーザに通知する場合には、アンテナバーの数を決定する。通信品質表示生成部1630は、RSSIレベル検出部1620から供給されたRSSIレベルと、干渉指標生成部280から供給された干渉指標と、サービングセル混雑度生成部730から供給されたセル混雑度とに基づいてアンテナバーの数を決定する。そして、通信品質表示生成部1630は、その決定した数のアンテナバーを表示部370に表示させる。なお、通信品質表示生成部1630は、特許請求の範囲に記載の検出部および表示画像生成部の一例である。
ここで、アンテナバーの数の決定方法について説明する。通信品質表示生成部1630は、アンテナバーの数を決定するために、RSSIレベルに干渉指標および混雑度を加味した値を算出する。この算出は、例えば、次の式24を用いて行う。なお、次の式24では、セル混雑度kcong(c)から算出する場合の他に、信号混雑度kcong(w)から算出する場合も示す。
ここで、RSSIは、RSSIレベル検出部1620が検出したRSSIレベルを真数に変換した値である。また、RSSImodifyは、干渉指標および混雑度を加味したRSSIレベルである。
上述の式24を用いれば、RSSIレベルに干渉指標および混雑度を加味させることができる。上述の式24により算出されるRSSIレベルRSSImodifyは、全受信電力(RSSIレベル)のうちの、サービングセルからの無線信号に含まれるパイロット信号のレベルとほぼ等価になる。すなわち、サービングセルが混雑している状態(セル混雑度の値が大きい状態)では、各ユーザへのデータの無線信号が多重される分、RSSIレベルが大きくなっているが、混雑度を加味することにより、この多重された分のレベルが減少する。
また、干渉が強い状態では、周辺セルからの無線信号が多重される分、RSSIレベルが大きくなっているが、干渉指標を加味することにより、この多重された分のレベルが減少する。
すなわち、式24により算出されたRSSIレベルRSSImodifyに基づいてアンテナバーを表示することにより、サービングセルが混んでいる場合や、干渉が高い場合には、アンテナバーの数が少なくなる。これにより、通信品質が良いとユーザが誤解する機会を減少させることができる。
なお、ここまでは、干渉指標および混雑度を考慮する例について説明したが、干渉指標のみを考慮する場合(本技術の第1乃至第3の実施の形態に対応)には、次の式25を用いてRSSIレベルRSSImodifyを算出する。これにより、通信品質が良いとユーザが誤解する機会を減少させることができる。
このように、本技術の第9の実施の形態によれば、干渉指標や混雑度を考慮してアンテナバーの数を算出することにより、通信品質を適切に表示することができる。
<11.本技術の第10の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態では、干渉指標は位置ごとに一定の値であり、大きく変化しないことを想定した。しかしながら、ユーザの分布に応じてアンテナの方向を変える基地局(指向性が変化する基地局)が設けられている場合には、指向性の変化に応じて干渉指標も変化する。
そこで、指向性が変化する基地局に対応できるように干渉指標を干渉指標情報保持部320に保持させる例について、本技術の第10の実施の形態として、図26を参照して説明する。
[干渉指標情報保持部に保持される位置ごとの干渉指標の例]
図26は、本技術の第10の実施の形態における干渉指標情報保持部320に保持される位置ごとの干渉指標の一例を簡略化して示す図である。
図26には、干渉指標情報保持部320に保持される位置ごとの干渉指標を簡略化して示す表(表326)が示されている。なお、表326は、図5において示した表321の変形例であるため、ここでは差異について説明する。
表326に示すように、本技術の第10の実施の形態では、干渉指標(列327)が時間帯ごとに保持される。
ここで、干渉指標を時間帯ごとに保持する理由について説明する。ユーザの分布は、通勤時間には多く、夜の時間には少ないというように、おおよその時間で日々同じであると仮定することができる。また、おおよその時間で日々同じであるユーザの分布に応じて指向性を変化させる基地局は、指向性がおおよその時間で日々同じであると仮定することができる。すなわち、干渉指標を時間帯ごとに保持することにより、基地局の指向性の変化に対応することができる。なお、曜日ごと、あるいは、平日、休日、祝日ごとにさらに分類することが可能なことは言うまでもない。
このように、本技術の第10の実施の形態によれば、指向性が変化する基地局が設けられている場合においても、無線通信における通信状態を適切に取得することができる。
このように、本技術の実施の形態によれば、無線通信における適切な通信状態を把握することができる。特に、現在位置以外の位置における通信状態を把握することができるため、今後の通信状態をユーザに適切に通知することができる。
なお、本技術の実施の形態では、上述の式1を用いて干渉指標を算出する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、次の式26を用いて算出することもできる。
また、この場合において、セル混雑度kcong(c)は、次の式27により算出される。なお、次の式27は、式1で干渉指標を算出した場合の式3に対応する。
すなわち、上述の式26に示すように、干渉指標kifは、サービングセルおよび周辺セルのパイロット信号レベルの総和と、サービングセルのパイロット信号レベルとの比に基づいても算出することができる。上述の式26を用いて干渉指標kifを算出すると、干渉が全く存在しない環境では、値が「1」になる。干渉が増加し、干渉の度合い(レベル)と、サービングセルのパイロット信号レベルとが等しくなると値が「0.5」になり、干渉の度合いがさらに大きくなると、値が「0」に近づく。
また、周辺セルのパイロット信号レベルの総和と、サービングセルのパイロット信号レベルとが同じである場合には、上述の式27から求めたセル混雑度と、上述の式3から求めたセル混雑度とは同じ値になる。
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、ハードディスク、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))等を用いることができる。
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1) 無線通信装置と当該無線通信装置の接続対象となる基地局との無線通信における干渉の度合いを示す干渉指標と、前記干渉指標に係る位置に関する位置情報とを取得する取得部と、
前記無線通信装置の通信状態を検出するための対象エリアに係る干渉指標を前記取得された位置情報に基づいて特定し、前記通信状態を通知するための通信状態情報を前記特定された干渉指標に基づいて生成する生成部と
を具備する情報処理装置。
(2) 前記取得部は、前記対象エリアの位置または当該対象エリアに近接する位置に係る位置情報と関連付けられている干渉指標を取得し、
前記生成部は、前記取得された干渉指標に基づいて前記対象エリアに係る干渉指標を特定する
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3) 前記情報処理装置は、無線通信装置であり、
前記接続対象となる基地局が発信するパイロット信号のレベルと、前記無線通信装置が信号を受信できる他の基地局が発信するパイロット信号のレベルの総和との比に基づいて前記干渉指標を生成する干渉指標生成部と、
前記生成された干渉指標を、当該干渉指標の生成に用いた前記パイロット信号の検出位置を示す位置情報に関連付けて保持する保持部とをさらに具備し、
前記取得部は、前記対象エリアの位置または当該対象エリアに近接する位置に係る位置情報と関連付けられている干渉指標を前記保持部から取得する
前記(2)に記載の情報処理装置。
(4) 前記取得部は、前記干渉指標を保持するサーバから前記対象エリアの位置または当該対象エリアに近接する位置に係る位置情報と関連付けられている干渉指標を取得する前記(1)または(2)のいずれかに記載の情報処理装置。
(5) 前記無線通信装置が存在した位置の履歴に基づいて当該無線通信装置の移動経路を予測する移動経路予測部をさらに具備し、
前記生成部は、前記予測された移動経路を前記対象エリアとして前記通信状態情報を生成する
前記(1)から(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
(6) 前記無線通信装置が受信する受信信号のうちの前記無線通信装置の通信速度の増減に関わる信号の度合いを示す信号混雑度を生成する信号混雑度生成部と、
前記生成された信号混雑度と当該信号混雑度が生成された位置における干渉指標とに基づいて、前記接続対象となる基地局の混雑度を示す基地局混雑度を生成する基地局混雑度生成部とをさらに具備し、
前記生成部は、前記生成された基地局混雑度と前記特定した対象エリアに係る干渉指標とに基づいて当該対象エリアにおける信号混雑度を生成し、当該生成された対象エリアにおける信号混雑度から当該対象エリアにおける前記通信速度を予測して、当該予測された通信速度を前記通信状態情報として生成する
前記(1)から(5)のいずれかに記載の情報処理装置。
(7) 前記信号混雑度生成部は、前記受信信号と前記接続対象となる基地局に割り振られた符号との相関出力と、前記受信信号と前記無線通信装置が信号を受信できる他の基地局に割り振られた符号との相関出力のうちの最も相関が小さい基地局に係る相関出力との比に基づいて前記信号混雑度を生成し、
前記基地局混雑度生成部は、前記生成された信号混雑度と当該信号混雑度が生成された位置における干渉指標との関係に基づいて前記基地局混雑度を生成する
請求項6記載の情報処理装置。
(8) 前記情報処理装置は、前記干渉指標を保持するサーバであり、
前記取得部は、前記無線通信装置から供給された位置に基づいて検出された前記対象エリアの位置または当該対象エリアに近接する位置に係る位置情報と関連付けられている前記干渉指標を取得し、
前記生成部は、前記取得された干渉指標に基づいて前記対象エリアの干渉指標を特定する
前記(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(9) 前記無線通信装置から供給された位置を時系列で保持する位置情報保持部と、
前記保持された位置に基づいて前記無線通信装置の移動経路を予測する移動経路予測部とをさらに具備し、
前記生成部は、前記予測された移動経路を前記対象エリアとして前記通信状態情報を生成する
前記(8)に記載の情報処理装置。
(10) 基地局の混雑度を示す基地局混雑度を保持する基地局混雑度保持部をさらに具備し、
前記生成部は、前記予測された移動経路における接続対象の基地局の基地局混雑度を前記基地局混雑度生成部から取得して、当該取得された基地局混雑度と前記対象エリアの干渉指標とに基づいて通信速度を予測し、当該予測された通信速度を前記通信状態情報として生成する
前記(9)に記載の情報処理装置。
(11) 前記取得部は、前記検出された前記対象エリアの位置または当該対象エリアに近接する位置に係る位置情報と関連付けられている前記干渉指標を複数の通信網ごとに取得し、
前記生成部は、前記取得された干渉指標に基づいて前記対象エリアにおける複数の通信網のそれぞれの通信状態を検出し、当該複数の通信網のうちの特定条件を満たす通信網を示す情報を前記通信状態情報として生成する
前記(8)に記載の情報処理装置。
(12) 前記生成部は、前記複数の通信網のうちの予測された通信速度が最も速い通信網を前記特定条件を満たす通信網として前記通信状態情報を生成する前記(11)に記載の情報処理装置。
(13) 接続対象となる基地局との無線通信における干渉の度合いを示す干渉指標と、前記無線通信装置が受信する信号の強度を示す受信信号強度とに基づいて通信品質を検出する検出部と、
前記検出された通信品質をユーザに通知するための表示画像を生成する表示画像生成部と
を具備する無線通信装置。
(14) 前記表示画像生成部は、前記通信品質を特定標識の増減により表す前記表示画像を生成する前記(13)に記載の無線通信装置。
(15) 受信する信号のうちの前記無線通信装置の通信速度の増減に関わる信号の度合いを示す信号混雑度を生成する信号混雑度生成部と、
前記生成された信号混雑度と、当該信号混雑度が生成された位置における前記干渉指標とに基づいて、前記接続対象となる基地局の混雑度を示す基地局混雑度を生成する基地局混雑度生成部とをさらに具備し、
前記検出部は、前記生成された基地局混雑度と、前記干渉指標と、前記受信信号強度とに基づいて前記通信品質を検出する
前記(13)に記載の無線通信装置。
(16) 当該無線通信装置の接続対象となる基地局との無線通信における干渉の度合いを示す干渉指標と、前記干渉指標に係る位置に関する位置情報とを複数の通信網ごとに取得して、当該無線通信装置の通信状態を検出するための対象エリアにおける複数の通信網のそれぞれの通信状態を前記取得した干渉指標および位置情報に基づいて検出し、当該複数の通信網のうちの特定条件を満たす通信網を示す情報を通信状態情報として生成する情報処理装置から送信された前記通信状態情報を取得する取得部と、
前記取得された通信状態情報に基づいて前記特定条件を満たす通信網と接続するための制御を行う制御部と
を具備する無線通信装置。
(17) 無線通信装置と当該無線通信装置の接続対象となる基地局との無線通信における干渉の度合いを示す干渉指標と、前記干渉指標に係る位置に関する位置情報とを供給する供給部を備える情報処理装置と、
無線通信装置の通信状態を検出するための対象エリアに係る干渉指標を前記供給された位置情報に基づいて特定し、前記通信状態を通知するための通信状態情報を前記特定された干渉指標に基づいて生成する生成部を備える無線通信装置と
を具備する通信システム。
(18) 無線通信装置と当該無線通信装置の接続対象となる基地局との無線通信における干渉の度合いを示す干渉指標と、前記干渉指標に係る位置に関する位置情報とを取得する取得手順と、
前記無線通信装置の通信状態を検出するための対象エリアに係る干渉指標を前記取得された位置情報に基づいて特定し、前記通信状態を通知するための通信状態情報を前記特定された干渉指標に基づいて生成する生成手順と
を具備する通信状態検出方法。