JP6292487B2 - 電極を組織に位置決めするためのデバイス - Google Patents

Description

関連出願の相互参照
本願は、２０１０年９月２８日に出願された「心拍支援デバイス２」という表題の米国仮特許出願第６１／３８７，１８５号、２０１０年１１月１２日に出願された「ペーシングデバイス」という表題の米国仮特許出願第６１／４１２，９９２号、２０１０年１２月６日に出願された「ペーシングデバイス」という表題の米国仮特許出願第６１／４２０，０６０号、２０１０年１２月２７日に出願された「心拍支援デバイス５」という表題の米国仮特許出願第／６１／４２７，３０６号、２０１１年２月２３日に出願された「ペーシングデバイス」という表題の米国仮特許出願第６１／４４５，９９２号、２０１１年６月２７日に出願された「ペーシングデバイス」という表題の米国仮特許出願第／６１／５０１，４５０号の恩恵を主張するものである。本願は、更に、２０１１年８月２９日に出願された「電極を組織に位置決めするためのデバイス及び方法」という表題の米国特許出願第１３／２１９，８７４号の恩恵を主張するものである。出典を明示することにより、６件の仮特許出願及び１件の特許出願を含むこれらの７件の特許出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。

本発明は、全体として、電極刺激デバイスの分野に関し、更に詳細には、電極刺激デバイスの分野で電極を組織に位置決めするための新規であり且つ有用なシステム及び方法に関する。

心拍緩徐（心拍減少）は、毎年数百万人の患者にみられる一般的な病態である。このような患者の多くは、心拍数の調節を補助するための長期ペースメーカーデバイスの埋め込みを必要とし、その他の患者は可逆的原因の心拍緩徐であり、長期ペースメーカーの埋め込みを必要とせず、その代わり、一週間よりも短い期間に亘って一時的心拍緩徐支援を行う。一時的心拍緩徐支援を行うための一つの一般的な治療は、心機能を刺激し、調節するために心臓の右心室に直接挿入される経静脈的電極ペーシングリードを含むシステムを必要とする。しかしながら、これらのシステムの従来の態様には重大な欠点があった。

米国仮特許出願第６１／３８７，１８５号 米国仮特許出願第６１／４１２，９９２号 米国仮特許出願第６１／４２０，０６０号 米国仮特許出願第／６１／４２７，３０６号 米国仮特許出願第６１／４４５，９９２号 米国仮特許出願第／６１／５０１，４５０号 米国特許出願第１３／２１９，８７４号

かくして、電極刺激デバイスの分野において、電極を組織に位置決めするための新規であり且つ有用なデバイス及び方法を創造することが必要とされている。

本発明は、添付の請求の範囲に記載のとおりの電極を組織に位置決めするための新規であり且つ有用なデバイス及び方法を提供する。

図１は、好ましい実施例のシステムの全体図である。 図２は、好ましい実施例のシステムの詳細図である。 図３Ａ−３Ｃ、好ましい実施例のシステムのリード本体の様々な態様の詳細図である。 図３Ｄは、好ましい実施例のシステムのリード本体の様々な態様の詳細図である。 図３Ｅは、好ましい実施例のシステムのリード本体の様々な態様の詳細図である。 図３Ｆは、好ましい実施例のシステムのリード本体の様々な態様の詳細図である。 図３Ｇは、好ましい実施例のシステムのリード本体の様々な態様の詳細図である。 図３Ｈは、好ましい実施例のシステムのリード本体の様々な態様の詳細図である。 図４Ａ−４Ｂは、好ましい実施例のシステムのリード本体の非外傷性チップの一態様を示す図である。 図５Ａ−５Ｃは、好ましい実施例のシステムのリード本体の非外傷性チップの一態様を示す図である。 図６Ａ−６Ｂは、好ましい実施例のシステムのリード本体の非外傷性チップの一態様を示す図である。 図７Ａ−７Ｄは、好ましい実施例のシステムのリード本体の非外傷性チップの一態様を示す図である。 図８は、好ましい実施例のシステムのハンドルの分解図である。 図９は、好ましい実施例のシステムのハンドルの作動を示す長さ方向断面図である。 図１０Ａ−１０Ｅは、好ましい実施例のシステムのハンドルの一態様を示す図である。 図１１は、好ましい実施例のシステムのハンドルの一態様を示す図である。 図１２Ａ−１２Ｄは、好ましい実施例のシステムのハンドルの一態様を示す図である。 図１３Ａ−１３Ｂは、好ましい実施例のシステムのハンドルの一態様を示す図である。 図１４は、好ましい実施例のシステムの電極アレイを組み立てるためのプロセスの概略図である。 図１５は、電極アレイの一態様を示す概略図である。 図１６Ａ−１６Ｂは、好ましい実施例のシステムにおけるアンカーエレメントの第１及び第２の形態での概略図である。 図１７Ａ−１７Ｃは、好ましい実施例のシステムのアンカーエレメントの一態様を示す図である。 図１８は、好ましい実施例のシステムのアンカーエレメントの一態様を示す図である。 図１９Ａ−１９Ｃは、好ましい実施例のシステムのアンカーエレメントの一態様を示す図である。 図２０Ａ−２０Ｄは、好ましい実施例のシステムのアンカーエレメントの一態様を示す図である。 図２１Ａ−２１Ｂは、好ましい実施例のシステムのアンカーエレメントの固定及び電極アレイの位置を確認するための態様の図である。 図２２Ａ−２２Ｂは、好ましい実施例のシステムのアンカーエレメントの固定及び電極アレイの位置を確認するための態様の図である。 図２３は、好ましい実施例のシステムのアンカーエレメントの固定及び電極アレイの位置を確認するための態様の図である。 図２４は、好ましい実施例のシステムのアンカーエレメントの固定及び電極アレイの位置を確認するための態様の図である。 図２５Ａ−２５Ｂは、好ましい実施例のシステムの変位機構の構成の様々な態様を示す概略図である。 図２６は、変位機構の好ましい組み立て態様を示す図である。 図２７Ａ−２７Ｂは、変位機構の変形例の組み立て態様を示す図である。 図２８Ａは、好ましい実施例のシステムの一例の概略図である。 図２８Ｂは、好ましい実施例のシステムの一例の概略図である。 図２９Ａ−２９Ｂは、電極を組織に位置決めする好ましい実施例の方法の概略図である。 図２９Ｃは、電極を組織に位置決めする好ましい実施例の方法の概略図である。 図２９Ｄは、電極を組織に位置決めする好ましい実施例の方法の概略図である。 図２９Ｅは、電極を組織に位置決めする好ましい実施例の方法の概略図である。 図２９Ｆは、電極を組織に位置決めする好ましい実施例の方法の概略図である。

本発明の好ましい実施例の以下の説明は本発明をこれらの好ましい実施例に限定しようとするものではなく、当業者は本発明を形成し、使用できるようにするものである。

１．電極を組織に位置決めするためのデバイス
図１に示すように、電極を組織に位置決めするための好ましい実施例のデバイス１００は、遠位部分１１２を持つ細長いリード本体１１０と、細長いリード本体の遠位部分に連結された電極アレイ１５０と、細長いリード本体内に配置された、遠位アンカーチップ１６２を持つアンカーエレメント１６０であって、アンカーチップが細長いリード本体内に実質的に格納された第１形態１６４、及びアンカーチップが細長いリード本体の外に少なくとも部分的に延び、組織１０２内に固定されるように形成された第２形態１６６で選択的に作動できるアンカーエレメント１６０と、細長いリード本体１１０の遠位部分１１２に連結された、電極アレイ１５０及び／又はアンカーエレメント１６０を組織１０２に向かって押圧するように選択的に膨張できる変位機構１７０とを含む。デバイス１００は、更に、リード本体１１０内に配置された、アンカーエレメント１６０を第１及び第２の形態間で作動するため、当接係合又は他の態様でアンカーエレメント１６０に連結されたアクチュエータ１４０を含む。デバイス１００は、更に、細長い本体に連結されたハンドル１９０を含む。ハンドル１９０は、アクチュエータに連結されたスライドを含む。スライドは、アンカーエレメントの第１及び第２の形態と夫々対応する第１及び第２のスライド位置をとる。

デバイスは、好ましくは、一時的心拍緩徐支援等を行うため、ペーシング電極リードを心臓組織に固定的に配置するのに使用される。このデバイスにより、電極リードを確実に埋め込むことができ、所定位置に維持できる。詳細には、図２に示すように、細長い本体は、心血管系（例えば静脈、動脈）を通して心臓の右心室内に操縦できる。好ましくは、変位機構１７０を膨張したとき、電極アレイ１５０及び／又は一つ又はそれ以上のアンカーエレメント１６０が心室中隔に向かって押圧される。アンカーエレメント１６０は、電極アレイを心室中隔（組織１０２）と接触した状態で固定するため、組織内に固定されるように形成されている。電極アレイは、刺激により心拍の調節を補助する。しかしながら、デバイスは、別の態様では、任意の適当な電極アレイを任意の適当な組織に固定するのに使用してもよい。例えば、一つの変形例（例えば、電極アレイ、アンカーエレメント、及びカテーテル等の一送出態様を含み、変位機構を含まない変形例）では、デバイスは、腹腔鏡手術、一般外科、脊椎手術、及び／又は任意の適当な組織に対するこの他の手術等で使用してもよい。

１．１リード本体
デバイスの細長いリード本体１１０は、電極アレイ１５０、アンカーエレメント１６０、及び変位機構１７０を収容し、体内のターゲット組織に送出する機能を備えている。細長いリード本体は、好ましくは、湾曲が予備成形されたスタイレットを含むカテーテル等の操向可能なリード又は細長い本体、又は他の内部操向システムである。このような操向システムは当業者に周知であるが、細長い本体即ちリードは、心血管系又は身体のその他の部分で操縦するための任意の適当な操向システムを備えていてもよい。リードは、好ましくはほぼ円筒形であるが、別の態様では、実質的に平らであってもよく、又は任意の適当な断面を備えていてもよい。リードは、好ましくは可撓性であり、ポリウレタンやポリイミド等の生体親和性材料で形成されているが、少なくとも幾つかの部分が剛性であってもよい。

図３に示すように、リードは、好ましくは、制御エレメント（例えば、操向エレメント、電極アレイ１５０に接続された電気導体１１６、アンカーエレメント１６０、アンカーエレメントに連結されたアクチュエータ１４０、及び／又は変位機構１７０に連結された流体チャンネル）を通す複数の内腔を含む。これらの内腔のうちの少なくとも幾つかは、内部に制御エレメントが入れ子式に配置された内部チューブを含む。内腔は、群をなして配置されていてもよい。即ち、アクチュエータ１４０及びアンカーエレメント１６０用の少なくとも一つの内腔１３２を含む第１群、導体１１６（接地ワイヤ１１８が含まれていてもよい）用の少なくとも一つの内腔１３４を含む第２群、及び変位機構用の流体アクチュエータ又は他のアクチュエータ用の少なくとも一つの内腔１３６を含む第３群を含んでいてもよい。制御エレメントがリード内で回転しないようにするため、これらの内腔及び／又は内部チューブのうちの一つ又はそれ以上にキー又は他の特徴が形成されていてもよい。例えば、図３Ｃに示すように、アンカーエレメント１６０用の内腔１３２は、アンカーエレメントの整合を特定方向に制限するため、ほぼ矩形断面を備えていてもよい。

リードに沿って延びる第１内腔群は、好ましくは、アクチュエータ１４０用の内腔１３２を含む。アクチュエータ１４０は、好ましくは、細長い本体内で長さ方向に並進可能であり、アンカーエレメント１６０を第１及び第２の形態間で作動するため、アンカーエレメント１６０と当接係合している。アクチュエータは、例えば組織を通して操縦するため、及び組織の損傷を低減するため、リード本体１１０全体を可撓性に保持するのを補助するため、好ましくは可撓性である。一態様では、図３Ｅに示すように、アクチュエータ１４０は、アクチュエータの長さに沿って及びアクチュエータの周囲に亘って延びる螺旋状カット即ち溝経路１４２を含む少なくとも一つの可撓性部分を有する。例えば、アクチュエータは、螺旋状カット１４２を持つチューブ部分内に配置された、又はここにそれ以外の方法で連結されたワイヤ部分を含んでいてもよい。しかしながら、アクチュエータは、アクチュエータの可撓性に寄与するプリーツ、ジグザグカット、又は任意の適当なカット及び／又はその他の特徴を含む一連の周囲リングを備えていてもよい。別の態様では、アクチュエータは、追加として及び／又は別の態様として、メッシュ又は可撓性材料で形成される。

第１内腔群は、好ましくは、アクチュエータ１４０用の内腔１３２から延び、これとほぼ同心のアンカーエレメント１６０用の内腔１３２を含む。リードは、好ましくは、アンカーエレメント及びアクチュエータ用の内腔間に、スリーブ１４４を更に含む。スリーブ１４４は、アクチュエータ及び／又はリードの回転からアンカーエレメントを切り離すように機能する。好ましい態様では、図３Ａに示すように、スリーブはアンカーエレメント１６０に固定されており、アクチュエータ１４０には固定されておらず、アクチュエータ１４０はスリーブ１４４内のアンカーエレメントとは独立して自由に回転し、アクチュエータ１４０は自由に並進し、アンカーエレメント１６０と当接係合する。例えば、アクチュエータ１４０の遠位端に連結された当接円筒体１４６は、好ましくは、アンカーエレメント１６０をリード本体１１０内で押したり引いたりするように形成されている。別の態様では、アクチュエータ１４０がスリーブに取り付けられていてもよく、アンカーエレメントがスリーブに取り付けられていなくてもよい。更に別の態様では、アクチュエータ及びアンカーエレメントの両方がスリーブ１４４に取り付けられていてもよく（図３Ｄ参照）、スリーブ１４４に取り付けられていなくてもよく、又は任意の適当な方法でスリーブに連結されていてもよい。他の態様では、アクチュエータ１４０は、アンカーエレメント１６０に直接連結（例えばクリンプ加工、溶接等）されていてもよく、又は同じピースからアンカーエレメントとして一体に形成されていてもよい。アクチュエータ１４０及び／又はアンカーエレメント１６０は、ボール継手等のスナップロック、クリンプ加工、ファスナ、又は接着剤によってスリーブに取り付けられていてもよい。

第２内腔群は、好ましくは、電流を搬送する導体１１６及び／又は接地リード１１８用の一つ又はそれ以上の内腔１３４を含む。導体は、好ましくは、導電体製のワイヤであるが、チューブであってもよく、又は別の細長い形状であってもよい。図１に示すように、導体の近位端は、好ましくは、患者の体外のジェネレータ電極１９９及び電源Ｐに接続されており、導体の遠位端は、好ましくは、電極アレイ１５０に接続されている。一態様では、デバイスは、各電極を個々に制御できるように、電極アレイの電極毎に一つの電流搬送導体リードを含んでいてもよい。第２の態様では、電流搬送導体の少なくとも一部が多数の電極に接続されていてもよい。第３の態様では、電流搬送導体の少なくとも一部が一つ又はそれ以上の電極に間接的に接続されるように、電流搬送導体の少なくとも一部が一つの電極に直接的に接続されており、この電極が一つ又はそれ以上の追加の電極に接続されていてもよい。しかしながら、デバイスは、電極アレイ及び任意の適当な構成の電極の数に対する導体の数が任意の適当な比をなしてもよい。

リードに沿って延びる第３内腔群は、好ましくは、変位機構１７０のアクチュエータ用の一つ又はそれ以上の内腔１３６を含む。好ましい態様では、第３内腔群は、変位機構の膨張に使用できる流体（好ましくは空気）を通す内腔又はチャンネルを含む。この態様では、図１に示すように、流体搬送内腔の近位端は、流体搬送内腔１３６を通して流体を変位する注射器又は他のポンプ１９７に連結されていてもよく、流体搬送内腔の遠位端は、変位機構１７０に連結されていてもよい。他の態様では、ワイヤ、ロッド、ばね、又はデバイスの特定の種類の変位機構用の任意の適当なアクチュエータを第３内腔群に通してもよい。

好ましい実施例では、図３Ｂ及び図３Ｃに示すように、第１内腔群（アクチュエータ１４０及びアンカーエレメント１６０を収容するための内腔を含む）は、リード本体１１０に沿ってほぼ軸線方向に延びる中央内腔１３２であり、第２内腔群及び第３内腔群（導体及び変位機構アクチュエータを収容する）は、中央内腔１３２の周囲に配置された周囲内腔１３４及び１３６である。別の態様では、図３Ｆに示すように、アクチュエータ及びアンカーエレメントを収容するための内腔１３２が中央からずらしてあってもよく、第２内腔群１３４及び第３内腔群１３６が中央からずらして配置された他のオフセンタ内腔であってもよい。しかしながら、これらの内腔群は、任意の適当な方法で配置され、組み合わされ、又は他の態様で配置されていてもよい。

図１に示すように、リードは、更に、好ましくは、電極アレイ１５０、一つ又はそれ以上のアンカーエレメント１６０、及び一つ又はそれ以上の変位機構が連結された遠位部分１１２を含む。図３Ｇに示すように、遠位部分には一つ又はそれ以上の穴１３３が設けられている。これらの穴を通してアンカーエレメント１６０を展開する。好ましくは、アンカーエレメント毎に一つの穴１３３が設けられているが、変形例では、穴１３３の数のアンカーエレメントの数に対する比は、１：１よりも小さくてもよいし、これよりも大きくてもよい。同様に、遠位部分１１２には一つ又はそれ以上の穴１３５が設けられている。これらの穴を通して導体１１６が延び、電極アレイに接続する。導体リード毎に一つの穴が設けられているか或いは、穴の数の導体に対する比は、１：１よりも小さくてもよいし、これよりも大きくてもよい。別の態様では、導体の遠位部分が細長いリード本体１１０内にあり、電極アレイ１５０又は他の相互接続部が穴１３５を通って細長いリード本体内に延び、導体に接続されていてもよい。同様に、遠位部分１１２には、好ましくは、少なくとも一つの穴１３７が形成されている。この穴に通した空気又は他の流体が変位機構を作動する。図３Ｈに示すように、リードの遠位部分１１２又は他の部分には、デバイスの位置又は配置を視覚的に確認するのを補助するように、Ｘ線透視検査で可視化できる材料で形成された対照マーカー１２４が設けられている。

リードの遠位部分１１２には、好ましくは、非外傷性チップ１１４が設けられている。非外傷性チップは、組織を通してリードを操縦する際に組織に穿孔等の損傷を加える可能性を減少し又はなくすように機能する。非外傷性チップ１１４は、少なくともほぼ前方への力（近位方向長さ方向力）を吸収し、更に好ましくは、追加の方向に力を加える。非外傷性チップ１１４は、ジュロメータ硬度が比較的低いエラストマー等の比較的軟質な衝撃吸収材料で形成されていてもよく、及び／又は力の吸収を補助する形状を備えていてもよい。好ましい実施例では、図４Ａ及び図４Ｂに示すように、非外傷性チップ１１４は、チューブ状中空構造を備えている。チューブ状中空構造は、好ましくは、自由非圧縮モード（図４Ａ参照）では、非外傷性チップ１１４が右心室又は他の組織に遭遇した場合等の圧縮モード（図４Ｂ参照）にある場合と比べると、比較的小径であり且つ細長い。非外傷性チップ１１４が圧縮されたとき、チューブ状中空構造は、好ましくは半径方向に拡がり、組織と接触する可能性がある表面を増大し、これによって穿孔の危険を低減する。非外傷性チップ１１４は、追加として及び／又は変形例では、幾つかの態様のうちの一つ又はそれ以上の特徴を含む。第１の態様では、非外傷性チップ１１４は、図５Ａ及び図５Ｂに示すような膨張可能なキャップ（「マッシュルーム」形状）、図５Ｃに示すような膨張可能な「傘状」タイン、図６Ａ及び図６Ｂに示すような「引き剥がし」タイン、又は図７Ｃに示すような遠位バルーン等の膨張可能なチップの他の態様を含む。第２の態様では、非外傷性チップは、対向面に当たった際、巻くように即ちカールして変形する。一例では、図７Ａに示すように、非外傷性チップは、対向面に当たったときにカールする可撓性チップを含んでいてもよく、更に、チップが力を吸収する際に可撓性チップのカールを補助する内部スタイレットを含んでいてもよい。別の例では、図７Ｂに示すように、非外傷性チップは、力を吸収するため、チップを特定方向にカールするノッチを含んでいてもよい。第３の態様では、図７Ｄに示すように、非外傷性チップは、柔らかく潰れ易い材料で形成されていてもよく、及び／又は丸みのある（例えば半球状）又は滑らかな形状を備えていてもよい。

デバイスは、好ましくは、リード本体１１０に連結されたハンドル１９０を更に含む。図１に示すように、ハンドルは、好ましくは、ハンドルの回転によりリード本体をこれと対応して回転するように、リード本体に一直線上にあるように連結されるが、ハンドルは、別の態様では、リード本体１１０に任意の適当な方法で連結されていてもよい。ハンドル１９０は、好ましくは、アクチュエータ、導体、及び／又は変位機構１７０用アクチュエータを収容するチューブ状ハウジングである。図８及び図９に示すように、ハンドルの全体形状は、好ましくは円筒形（例えば、幾分ペン形状）であり、テーパした遠位端から細長いリード本体が延びているが、別の態様では、断面が幾分平らなバー形状であってもよく、又は任意の適当な断面又は全体形状を備えていてもよい。ハンドル１９０は、アクチュエータ１４０に連結されたスライド１９４を含む。第１及び第２のスライド位置が、アンカーエレメントの第１及び第２の形態と夫々対応する。図９Ａに示すように、ハンドル１９０は、更に、スライド１９４と選択的に係合するトリガーレリース１９５を含む。トリガーレリースがスライドと係合したとき、スライドは第１スライド位置に拘束され、これによってアンカーエレメントを第２形態に保持する。好ましい実施例ではスライド１９４は第２スライド位置に向かって押圧され（例えばばね１９３によってばね負荷され）ており、トリガーレリースがスライドから外れたとき（図９Ｂ参照）、スライドは第１スライド位置から第２スライド位置（図９Ｃ参照）まで強制的に移動され、これによってアンカーエレメントをリード本体から展開する。別の態様では、トリガーレリースがスライドから外れたとき、使用者がスライドを第１及び第２の位置間で移動できる。トリガーレリース１９５は、好ましくは、スライドが第１スライド位置から第２スライド位置（図９Ａ参照）まで移動しないようにする第１ストップ、及びスライドが第２位置よりも遠位方向に移動しないようにする（即ちスライドを図９Ｄの第２位置に保持する）第２ストップを提供する。ハンドル１９０は、好ましくは、更に、スライドを第２スライド位置から第１スライド位置に引っ込めることによってアンカーエレメントをリード本体内に格納する（図９Ｄ参照）リロードスイッチ１９６を含む。

変形例では、図１０Ａ乃至図１０Ｅに示すように、ハンドルは十字形状ハンドル１９０’であってもよい。リロードスイッチ１９６がスライド１９４から外されている。そのため、トリガーレリース１９５をスライド１９４と係合した状態から外したとき（図１０Ｂ参照）、スライドに負荷が加わり（例えばばね１９３によって）、リロードスイッチ１９６の対応する移動に影響を及ぼすことなく、第１スライド位置から第２スライド位置（図１０Ｃ参照）まで移動する。ハンドルの好ましい実施例と同様に、リロードスイッチ１９６は、スライドを第２スライド位置から第１スライド位置まで引っ込め、これによってアンカーエレメントをリード本体内に格納し（図１０Ｄ参照）、アンカーエレメントを繰り返し展開する（図１０Ｅ参照）ため、トリガーレリース１９５をスライドと再係合できる。既定では、リロードスイッチは、図１０Ｂ及び図１０Ｃに示す「リロード準備完了」位置にある。

ハンドル１９０は、更に、リード本体を体内に配置するとき、血液又は他の流体がリード本体１１０に入る（例えば、アンカーエレメント１６０の穴を通って）可能性を低減する隔膜１９８を含んでいてもよい。隔膜１９８により、流体がリードに入り込まないように、リード本体１１０の内部と外部環境（例えば右心室）との間の圧力勾配をなくす。図１１に示すように、好ましい実施例では、隔膜１９８はハンドルのテーパした遠位端に連結されており、スライド又はアクチュエータ（例えばアクチュエータのワイヤ部分）が穿刺でき、アンカーエレメントの展開中及び格納中にほとんど摩擦なしで通過できる薄い膜を含む。別の態様では、隔膜１９８は、リードの内側にリードに沿った任意の場所に連結されていてもよい。隔膜は、好ましくはエラストマー材料製である。しかしながら、隔膜は、別の態様では、リードの内側と外側との間の圧力差をなくす任意の適当な構造を備えていてもよく及び／又は材料を含んでいてもよく、これによって、リードの内腔を通る流体の移動を阻止する。

幾つかの実施例では、ハンドル１９０をリードから取り外すことができる。例えば、アンカーエレメントを展開し、電極アレイを所望の位置に固定した後、ハンドルを取り外してもよい。電極リードが所期の目的を達し、アンカーエレメントを組織から引っ込める準備ができた後、ハンドルをリードに再度取り付けてもよい。これらの実施例では、ハンドル１９０は、再使用可能な工具であってもよい。ハンドルを殺菌し、多くの埋め込み型リードデバイス（これらのデバイスは、使い捨てデバイスであってもよい）とともに再使用する。しかしながら、ハンドル及びリードの両方が使い捨てであってもよい。これらの実施例では、図１２Ａ及び図１２Ｂに示すように、ハンドル１９０は、ヒンジ付きカバーを通してアクセスできる区画室を含んでいてもよい。区画室にアクセスし、特定の機構を外すことができる。第１の態様では、図１２Ｃに示すように、アクチュエータ１４０をスライドから外すことができ、これによってリード１１０をハンドルから外す。第２の態様では、アクチュエータ１４０をスリーブ１４４及び／又はアンカーエレメント１６０から外すことができる。これにより、ハンドル及びアクチュエータをリードから遠ざかる方向に近位方向に引っ張ってリード１１０から図１２Ｄに示すように外すことができる。これによって、リードをハンドルから外す。しかしながら、ハンドルは、リードから任意の適当な方法で取り外すことができる。

図１に示すように、ジェネレータ電極及び流体ポンプ（例えば注射器）は、導体及び変位機構アクチュエータに夫々連結されており、好ましくは、ハンドル１９０の近位側にハンドルと整合して配置されている。しかしながら、図１３Ａに示すように、ジェネレータ電極の変形例では、変位機構用の流体ポンプ１９７及び／又は対照流体用の流体ポンプ１９７’は、ハンドル１９０の近くで、Ｙコネクタ又は他の適当なコネクタとの接続部等で、リード本体１１０に連結されている。図１３Ｂに示すように、ジェネレータ電極１９９及び／又は流体ポンプ１９７、１９７’をハンドル１９０から外してもよい。例えば、ハンドル１９０の近位端には、ジェネレータ電極プラグ及び変位機構１７０用の流体供給部（例えばルアーロック継手）を受け入れるポートが設けられていてもよい。

１．２電極アレイ
電極アレイ１５０は、ターゲット組織に刺激電流を提供するように機能する。図１４に示すように、電極アレイは、好ましくは、リード本体１１０の遠位部分１１２に配置された一つ又はそれ以上の刺激電極を含む。詳細には、これらの電極は、心拍緩徐を一時的に支援するためのペーシング電極であってもよいが、追加として及び／変形例では、任意の適当な種類の電極であってもよい。好ましい実施例では、これらの電極は、リード本体１１０の長さに沿って連続的に配置されたリング又はバンドであるが、追加として及び／変形例では、任意の適当な方法で配置されたこの他の形状（例えば平面形状、円形形状、楕円形形状）の任意の適当な電極を含んでいてもよい。例えば、図１５に示すように、電極アレイ１５０は、リングの遠位チップに設けられた電極を含んでいてもよい。一つの好ましい実施例では、電極アレイ１５０は、リード本体１１０の遠位部分１１２に配置された二つのリング電極１５２を含む。

電極の製造中及び組み立て中、電極を、リード本体に沿って電流を搬送する導体１１６と電気的に接触した状態に置く。図１４Ａに示すように、導体は、好ましくは、リード本体内の夫々の内腔を通過し、夫々の穴を通ってリード本体の外に延びる。導体の延長端をリード本体の周囲に巻き付け、リング電極をリード本体１１０上及び巻き付けた導体上に滑らせる（図１４Ｂ参照）。これらの電極を、巻き付けた導体上にエポキシ及びクリンプ加工によって固定した後、電極がリード本体と面一になるように、リング電極の外径がリード本体の直径とほぼ等しくなるまでかしめ等で変形する。しかしながら、電極アレイ及びリングの製造及び組み立てを、任意の適当な方法で行ってもよい。

１．３アンカーエレメント
デバイスのアンカーエレメント１６０は、組織に固定することによって電極アレイ１５０をターゲット組織と隣接した状態で固定するように機能する。デバイスは、一つ又は多数のアンカーエレメントを含んでいてもよい。各アンカーエレメントは、アンカーエレメント本体及びアンカーチップ１６２を含む。図１６に示すように、アンカーエレメント１６０は、第１及び第２の形態間で選択的に作動する。アンカーエレメントは、リードを組織内でターゲット組織まで操縦する際に第１形態１６４で作動し、リードがターゲット組織と隣接したとき、第２形態１６６で作動するが、アンカーエレメントは任意の適当な方法で作動してもよい。一実施例では、第１及び第２の形態は、夫々、「格納」モード及び「展開」モードである。第１形態１６４では、アンカーエレメントは、リード本体１１０内の第１アンカーエレメント位置に位置決めされており、アンカーチップ１６２は実質的にリード本体内に格納されている（図１６Ａ参照）。第２形態１６６では、アンカーエレメントは、リード本体１１０内の第２アンカーエレメント位置に位置決めされており、アンカーチップ１６２は少なくとも一部がリード本体の外に延びており、組織内に固定されるように形成されている（図１６Ｂ参照）。第２アンカーエレメント位置は、好ましくは、第１アンカーエレメント位置に対して遠位側であり、第１形態から第２形態への移行は、アンカーエレメント（及びアクチュエータ（これは、好ましくは、アンカーエレメント１６０に連結されている））の遠位方向移動と対応する。しかしながら、他の態様では、第１形態から第２形態への移行は、アンカーエレメントの任意の他の適当な種類の移動（例えば近位方向移動、回転移動）と対応してもよい。

デバイスは、好ましくは、複数のアンカーエレメント１６０を含むが、幾つかの実施例では、デバイスは、アンカーエレメントを一つしか備えていなくてもよい。第１の態様では、アンカーエレメントは、アンカーチップがほぼ同じ方向に展開するように長さ方向で整合している（図１６参照）。第２の態様では、アンカーエレメントは、横方向に整合しており、リード本体１１０の周囲に亘って周方向に分配されている（図１７Ａ参照）。第３の態様では、アンカーエレメントは、本体１１０の長さ方向に沿って及び周方向に亘っての両方で、食い違い配置（図１７Ｂ参照）又は螺旋状配置（図１７Ｃ参照）で分配されている。更に、図１８及び図１９に示すように、複数のアンカーエレメント１６０が、リード本体１１０に沿って、電極間に、電極と交互に、及び／又は電極に対して近位側及び遠位側に（電極がアンカーエレメント間にある状態で）配置されていてもよい。特に好ましい実施例では、デバイスは、互いに長さ方向で整合した、二つのリング電極間でリード本体の遠位部分１１２に配置された二つのアンカーエレメントを含む。追加として及び／変形例では、アンカーエレメントの少なくとも一部が、変位機構１７０の表面（例えば外面又は下側）に連結されていてもよく（図１８Ｅ参照）、又はリード本体の遠位チップに連結されていてもよい。しかしながら、デバイスは、リード本体及び／又は変位機構の任意の適当な部分、又はデバイスの用途で決まるデバイスの他の部分に、任意の適当な数のアンカーエレメントを備えていてもよい。

変形例では、追加として及び／変形例では、一つ又はそれ以上のアンカーエレメント１６０が、電極アレイ１５０に代わる、又は電極アレイ１５０の機能を補助する電極として機能してもよい。例えば、アンカーエレメントは、導電性合金又はタンタル等の他の材料を含んでいてもよく、その場合、アンカーエレメント全体が導電体であり、導電体に埋め込まれ、又は導電体で被覆されている。デバイスのこの変形例は、アンカーエレメント、電極、及び変位機構の様々な相対的位置を含む。例えば、図１９Ａに示すように、リード本体１１０は、変位機構１７０の近位側及び／又は遠位側に設けられたアンカーエレメント１６０（電極として機能する）を含み、追加の別体の電極を持たなくてもよい。図１９Ｂ及び図１９Ｃに示すように、リード本体１１０は、電極として機能するアンカーエレメント、別体のリング電極、及び／又はリード本体の遠位チップに設けられたアンカーエレメントを含んでいてもよい。

アンカーエレメントのアンカーチップ１６２は、リード本体１１０の内腔内に配置された第１形態では、好ましくは、カールしていない。図２０Ａに示すように、アンカーチップ１６２は、好ましくは、尖端を形成する押圧カット１６８を有する。この押圧カットは、アンカーチップをリード本体１１０内に格納するとき、カットが内腔の壁とほぼ平行であり、壁に沿って滑らかに摺動するような角度をなしている。これにより、アンカーチップと周囲内腔の壁との間の摩擦を低減し、展開に要する力を減少する。しかしながら、押圧カットは、任意の適当な角度をなしていてもよい。一実施例では、アンカーチップ１６２は、第２形態への移行時に、少なくとも一つの部分ループ（例えば、「Ｕ」字形状又は「Ｊ」字形状等の部分的円形ループ、又は三角形や四角形等の他の形状の部分ループ）をなしてアンカーチップ自体にカールし、これにより、尖端が組織を穿刺した後、アンカーエレメントを更に展開することにより、アンカーチップが穿孔しながら進み、カールした状態で固定される。カール形状又は状態のため、アンカーチップがずれたり外れたりしないようにする。これは、力が多くの方向に分散するためである。図２０Ｂに示すように、アンカーチップ１６２は、第２形態では、好ましくは、均等な曲率半径を持つ円形のループをなしてカールするが、別の態様では、図２０Ｃに示すように、曲率半径が変化してもよい（例えば内方に螺旋を描いてもよい）。アンカーチップ１６２は、アンカーチップ自体と交差する又は重なるようにカール即ち湾曲していてもよい。アンカーチップ１６２は、更に、リード本体の外部分と接触及び／又はリード本体に再入するように、リード本体に向かって戻る経路を描くように湾曲していてもよい。展開後にアンカーエレメントを引っ込めことにより、カールしたアンカーチップを、展開中に穿孔しながら進んだ経路で逆方向に引っ込める。アンカーチップは、リード本体内で真っ直ぐな形状を取り戻す。好ましい実施例では、カールを解いた即ちアンカールド(uncurled)というのは、細長い本体内に実質的に格納されたときのアンカーチップ１６２の相対的な形態に関する。カールしたというのは、細長い本体の外に少なくとも部分的に延ばしたときのアンカーチップ１６２の相対的な形態に関する。第１及び第２の形態におけるアンカーチップ１６２の形状は、幾つかの形態のうちの一つ又はそれ以上であってもよいが、任意の適当な形状であってもよい。変形例では、図２０Ｄに示すように、追加として及び／変形例として、フック、返し（例えば急な屈曲部）、又は任意の適当な形状の他の固定特徴がアンカーチップに設けられていてもよい。更に、アンカーチップ１６２は、所定時間後、アンカーチップが溶解し、体内に吸収されるように、生体吸収性材料を含んでいてもよく、及び／又は組織の付着を促進又は阻止する材料を含んでいてもよい。アンカーエレメント１６０は、好ましくは、ニチノールワイヤ又は他の生体親和性形状記憶合金で形成されているが、別の態様では、形成されたワイヤであってもよく及び／又は任意の適当な生体親和性材料で被覆されていてもよい。変形例では、アンカーエレメントは、アンカーエレメントの選択された部分にゲルを注入すること等によって、長さに沿って剛性が変化してもよく、又は電気感受性材料(electrically-sensitive material) に電気信号を伝送し、剛性を変化してもよい。

アンカーエレメント１６０は、好ましくは、ばね負荷又は手動制御によりアクチュエータをリード本体１１０内で長さ方向に移動することによって、上文中に説明したしたように展開され、格納される。しかしながら、別の態様では、変位機構の膨張時にアンカーチップが展開され、組織内に固定されるようにアンカーチップが変位機構１７０に連結されていてもよい。更に別の態ではアンカーエレメントは、コード等の任意の適当な機構で作動されてもよい。更に、アンカーエレメントの展開及び格納は、特にアンカーエレメント用の手動式作動手段（例えばハンドル１９０に設けられたボタン又はスライド）によって、及び／又は自動手段によってトリガーされる（例えば、変位機構の膨張及び収縮によって、又はアンカーエレメントと電極アレイとの間に存在する電気的接触に基づいてトリガーされる）。

デバイスは、好ましくは、更に、アンカーエレメントの展開及び組織での固定を確認するための一つ又はそれ以上の機構を含む。これは、追加として及び／変形例として、アンカーエレメントの引っ込め及び組織からの取り外し（患者からのリードの取り外し前等）を確認するように変更してもよい。更に、アンカー展開確認機構は、組織に対する電極アレイ１５０の位置を確認するように機能してもよい。図２１に示すように、一態様では、アンカー展開確認機構は、Ｘ線透視検査でＸ線透視造影流体を放出できる流体注入ポートをリード本体に備えている。例えば、アンカーエレメントが展開される穴により、造影流体１２２をリードから流出できる。アンカーエレメントが組織に固定されていない場合には、放出された造影流体は、少なくとも、最初は、アンカーエレメントの展開方向とほぼ同じ方向に拡散する傾向がある（図２１Ａ参照）。アンカーエレメントが組織に固定された場合には、放出された造影流体は、最初は、組織によって遮断され、組織から遠ざかる方向に流れる（図２１Ｂ参照）。Ｘ線透視検査での造影流体の流れの監視及び／又はターゲット環境（例えば右心室）を視覚化するための造影流体の使用は、アンカーチップが組織１０２に固定されたことを視覚的に確認するのを補助する。造影流体の注入は、注射器１９７’等によって手動で制御されてもよく、アンカーエレメントの展開等の別の作用によって自動的にトリガーされてもよい。

アンカー展開確認機構の別の態様は、一つ又はそれ以上のアンカーエレメント及び電極アレイの一つ又はそれ以上の電極を備えた電気フィードバック回路を含む。図２２Ａに示すように、展開したアンカーチップが組織に適切に固定されていない場合には、展開したアンカーチップとその近くのリード本体の電極が、電気フィードバック回路のスイッチをトリガーし、これを使用してアンカーチップ固定失敗を知らせる信号を出す。図２２Ｂに示すように、展開したアンカーチップが組織に適切に固定された場合には、組織により、展開したアンカーチップと電極との間の接触が阻止され、スイッチは開いたままであり、これを使用してアンカーチップが正しく固定されたことを知らせる信号を出す。このスイッチを外部電気システムで実施することは当業者に周知であり且つ容易に理解される。

図２３に示すように、アンカー展開確認機構の別の態様は、リード本体１１０に設けられた少なくとも二組の電気パッド対を含む。これらのパッド対は、アンカーエレメント１６０及び電極の近くにあり且つこれと同じ側にあり、組織と接触するように形成された遠位パッド対１２８ｄと、アンカーエレメント１６０とは反対側にあり、組織から遠ざかる方向に向くように形成された近位パッド対１２８ｐとを含む。電気パッド対は、出力Ｖｄ（遠位パッド対間の電圧出力）及びＶｐ（近位パッド対間の電圧出力）を提供する。アンカーチップが適切に固定されておらず、電極が組織と接触していない場合には、Ｖｄ＝Ｖｐ（ほぼ）である。これは、電気パッド対が同じ環境（例えば血液）と接触している（けれども組織と接触していない）ためである。 アンカーチップが適切に固定されており、電極が組織と接触している場合には、Ｖｄ＞Ｖｐである。これは、遠位パッド対と接触した組織のインピーダンスのためである。ＶｄとＶｐとの間の比（ＶｄとＶｐとの間の絶対差又は相対差）を実時間グラフ又はＬＥＤディスプレー又はＬＣＤスクリーン等の他のディスプレーで、患者でデバイスを作動している使用者に表示できる。比の変化により、表示された信号が変化し、信号の差が特定の閾値を越えたとき、信号は、組織が遠位デバイスパッド対１２８ｄ、アンカーチップ１６２、及び電極アレイ１５０と接触したことを表示する。

アンカー展開確認機構の別の態様は、圧力センサを含む。一態様では、図２４に示すように、圧力センサ１２６がリード本体１１０に連結される。圧力センサは、組織がリード本体と接触したとき、これを感知する。他の態様では、圧力センサは、アンカーエレメント、電極アレイ１５０、又はデバイスの任意の適当な部分に連結されていてもよい。更に、アンカー展開確認機構の別の態様は、好ましくは、これらの態様のうちの一つ又はそれ以上であるが、機構は、追加として及び／変形例として、任意の適当な機構であってもよい。

１．４変位機構
変位機構１７０は、電極アレイ１５０及び／又はアンカーエレメント、又はリード本体の他の部分を、特定の方向に、好ましくは組織に向かって押圧するように機能する。図２１乃至図２４に示すように、変位機構は、好ましくは、少なくとも一部がリード本体１１０の遠位部分の周囲に、更に好ましくは、電極アレイ及び／又はアンカーエレメントとは反対側のリード本体の少なくとも側部に連結されている。変位機構は、追加として及び／変形例として、リード本体のアンカーエレメントと同じ側部に連結されていてもよく（例えば、アンカーエレメント１６０は、変位機構１７０の外側に連結されていてもよい）、又はアンカーエレメントから周方向に約９０°（図２５Ａ参照）又は任意の他の適当な角度だけずらして連結されていてもよい。アンカーエレメント１６０を展開し、組織に固定した後等で、変位機構１７０を選択的に萎ませ、電極アレイ１５０及び／又はアンカーエレメント１６０に加えられた押圧力を逆にしてもよい。デバイスは、好ましくは、一つの変位機構１７０を含むが、任意の適当な配置でリード本体に配置された多数の変位機構を含んでいてもよい。例えば図２５Ｂに示すように、デバイスは、電極アレイ及びアンカーエレメントの近位側に配置された近位変位機構１７０及び電極アレイ及びアンカーエレメントの遠位側に配置された遠位変位機構１７０’を含んでいてもよい。

変位機構１７０は、好ましくは、リード本体１１０の流体チャンネルを通して選択的に膨張できるバルーン１７２を含む。バルーンは、好ましくは、シリコーンやポリウレタン等のエラストマー材料で形成されているが、別の態様では、任意の適当な材料で形成されていてもよい。図２６に示すように、好ましい実施例では、バルーンは、リードに被せた周囲バンド１７４を含んでいてもよい。これらのバンドをシールし、バルーンをリードに連結する。変位機構の好ましい製造方法は、周方向に延びる二つの部分スリット１７８をチューブ１７６の長さに沿って形成する工程（図２６Ａ参照）と、これらのスリット間の中央部分を内方に折り畳み、チューブの各端に二つの周囲バンド１７４を形成する工程（図２６Ｂ参照）と、リード本体１１０の遠位部分を周囲バンドに滑り込ませる工程と、チューブの縁部をリード本体にシールする工程（図２６Ｃ参照）とを含む。リード本体は、好ましくは、バルーンの一部の下に配置された穴１３７を含み、バルーン１７２を膨張するための空気又は他の流体がこの穴を通して提供される（図２６Ｄ参照）。別の態様では、バルーンは、シートから形成されていてもよい。少なくとも二つのシート１８０の周囲を互いに面と面とを向き合わせてシールし、リード本体１１０に連結される膨張可能な容積を形成する。この容積には、リード本体の穴と整合した穴が設けられ、リード本体の流体チャンネル内の空気又は他の流体がリード本体及び膨張可能な容積の穴を通過し、膨張可能な容積を膨張する。第１の態様では、図２７Ａに示すように、膨張可能な容積は矩形のシートから形成されており、リード本体の遠位部分１１２に被せて連結したチューブ状バンド１８２に結合される。チューブ状バンド１８２には、膨張可能な容積を膨張できる他の穴と整合する穴が設けられている。第２の態様では、図２７Ｂに示すように、膨張可能な容積は、一つ又はそれ以上の延長部１８４を持つシート（例えば「Ｉ」字形状シート、「Ｈ」字形状シート、「Ｅ」字形状シート、又は「Ｌ」字形状シート）で形成されている。これらの延長部をリード本体に巻き付け、周囲バンドを形成する。変形例では、バルーンはほぼ球形又は回転楕円体形状の容積、又は他の種類の膨張可能な容積であり、リード本体の流体チャンネルに連結される。

変形例では、変位機構１７０は、拡張可能で引っ込め可能なリング、スキャッフォールド(scaffold)、又はコイル等の他の拡張可能な機構であってもよい。幾つかの実施例では、デバイスには、更に、変位機構の拡張及び／又は格納を確認するための機構が設けられていてもよい。例えば、変位機構には、Ｘ線透視検査で変位機構の拡張及び／又は格納の確認を視覚的に補助するための対照マーカーが設けられていてもよい。他の態様では変位機構の拡張及び／又は格納を確認するための機構は、アンカー展開確認機構と同様であってもよい。

デバイス１００の変形例は、上文中に説明した様々なリード本体、ハンドル、電極アレイ、アンカーエレメント、変位デバイス、及び他の機構の任意の組み合わせを含んでいてもよく、こうした機構及び他の適当な変更の追加の適当な態様を含んでいてもよい。

２．デバイスの一実施例の一例
デバイスの一実施例の一例では、デバイスは、ハンドルと、ハンドルの遠位端に連結された細長いチューブ状、ポリウレタンリード本体とを含む。リード本体の遠位部分には、二つの導電性リード穴、二つのアンカーエレメント穴、及び空気穴を含む複数の穴が設けられている。図２８Ａ及び図２８Ｂに示すように、リード本体の遠位部分には、心臓律動のペーシングを行うのに適した二つの刺激電極、夫々のアンカーエレメント穴を通してリード本体の外に選択的に展開されるアンカーチップを持つ二つのニチノール製アンカーエレメント、及びアンカーエレメント穴とは反対側でリード本体に連結された膨張可能なバルーンが連結されている。リードは、軟質で圧縮性の材料でできた非外傷性チップを有する。二つの刺激電極は、約１０ｍｍ離したプラチナ性リング電極である。長さが約１．５ｍｍの二つのアンカーエレメント穴は電極間に配置されており、近位アンカーエレメント穴は、近位電極の遠位側約３．５ｍｍのところに配置されており、遠位アンカーエレメント穴は近位アンカーエレメント穴の遠位側約３．５ｍｍのところに配置されている。リード本体の遠位部分を組織に向かって特定の方向に押圧するために選択的に膨張できる長さが約１６．５ｍｍの膨張可能なバルーンは、シリコーン製チューブで形成されており、二つの周囲バンド及びこれらのバンド間の中央部分を含む。バルーンの近位周囲バンドは、長さが約３．５ｍｍであり、近位電極の近位側約１．２５ｍｍのところに配置されており、空気供給部に流動学的に連結された穴を備えている。バルーンの遠位周囲バンドは、長さが約３ｍｍであり、遠位電極の遠位側約１．２５ｍｍのところに配置されている。各アンカーエレメントは、直径が０．２０３ｍｍ（０．００８インチ）のニチノールワイヤで形成されており、格納モード及び展開モードで選択的に作動する。アンカーエレメントのアンカーチップは、Ｘ線透視検査で材料を可視化できる放射線不透過性材料で被覆されている。格納モードでは、各アンカーエレメントはリード本体で近位位置にあり、アンカーチップはカールしておらず、リード本体内に収容されている。展開モードでは、各アンカーエレメントはリード本体で遠位位置にあり、アンカーチップはカールしたループ形態をなしており、組織内に固定する。

リード本体には、アンカーエレメントを遠位方向に押し、アンカーチップを展開するアクチュエータ（外径が０．６３５ｍｍ（０．０２５インチ）で内径が０．５０８ｍｍ（０．０２０インチ）のステンレス鋼製円筒形チューブにクリンプ止めした、外径が０．４５７ｍｍ（０．０１８インチ）のステンレス鋼製押しワイヤ）を受け入れる内腔、リード本体の横方向外側に延び、夫々のリング電極に接続された導電性リードを各々受け入れる少なくとも二つの内腔、及びバルーンを膨張するための流体を搬送するための内腔を含む複数の内腔が形成されている。アクチュエータは、アンカーエレメントに連結されているが、アクチュエータに連結されていないスリーブ又はカラー（外径が０．８１３ｍｍ（０．０３２インチ）で内径が０．７３７ｍｍ（０．０２９インチ）のステンレス鋼製のチューブ）を含む。リード本体のこの他の寸法は図２８Ａ及び図２８Ｂに示してある。

ハンドルはペン形状であり、ばね負荷されたスライドに連結されたトリガーボタンを備えている。スライドは、トリガーボタンを押したとき、アンカーエレメントを格納モードから展開モードに移行する。トリガーボタンを押すと、スライドが近位スライド位置から遠位スライド位置まで摺動する。これらの位置は、夫々、アンカーエレメントの格納モード及び展開モードと対応する。ばね負荷されたスライドにより、アクチュエータはアンカーエレメントを近位位置から遠位位置まで押し、これによってアンカーチップをカールした展開位置に打ち込む。ハンドルは、更に、スライドを第２スライド位置から第１スライド位置に引っ込めるリロードスイッチを含む。ハンドルは、バルーンを膨張するための空気を提供する空気供給装置（注射器）に遠位方向に取り外し自在に連結されており、電極に電流を提供するジェネレータ電極に遠位方向に取り外し自在に連結されている。

３．電極を組織に位置決めするための方法
図２９Ａ乃至図２９Ｆに示すように、電極を体内組織に位置決めするための方法２００は、電極アレイ、遠位アンカーチップを持つ少なくとも一つのアンカーエレメント、及び変位機構を含む細長いリード本体を、組織と隣接した所定の位置まで操縦する工程Ｓ２１０と、変位機構により、電極アレイ及び／又は少なくとも一つのアンカーエレメントを組織に向かって押圧する工程Ｓ２２０と、少なくとも一つのアンカーエレメントを展開する工程Ｓ２３０と、アンカーチップを組織内に固定する工程Ｓ２４０とを含む。この方法は、更に、組織に対する電極アレイの位置を確認する工程Ｓ２５０と、組織内でのアンカーチップの固定を確認する工程Ｓ２６０とを含んでいてもよい。好ましい実施例では、方法２００は、心拍緩徐を支援する上でペーシング電極から一時的ペーシングガイドを提供するために使用されるが、別の態様では、電極の任意の適当な用途で使用してもよい。変形例では、方法は、少なくとも一つのアンカーエレメントを展開することによって、電極アレイ及び／又は少なくとも一つのアンカーエレメントを組織に向かって押圧する工程を含む。

リード本体を組織まで操縦する工程Ｓ２１０は、当業者に周知の工程であり、リードに連結されたハンドルを操作する工程、スタイレットを操作する工程、操向ワイヤを作動する工程等を含んでいてもよい。しかしながら、リード本体の正確な設計（例えば操向可能なリード、予備成形された湾曲したスタイレット）及び／又は様々な実施例におけるリードの用途に応じて適当な工程を実施してもよい。操縦には、Ｘ線透視装置、超音波、又は他の視覚化装置(visual modalities) を使用してもよい。好ましい実施例では、図２９Ａに示すように、リード本体の操縦には、リード本体を血管を通して心臓に向かって操縦する工程が含まれる。

電極アレイ及び／又は少なくとも一つのアンカーエレメントを組織に向かって押圧する工程Ｓ２２０は、電極アレイ及び／又はアンカーエレメントと組織とを直接的に接触するように機能する。これは、組織内でのアンカーエレメントの固定を改善する。図２９Ｂに示すように、電極アレイを押圧する工程は、好ましくは、変位機構を膨張する工程Ｓ２２２を含む。好ましい態様では、変位機構を膨張する工程は、注射器、ポンプ、又は手動作動等でバルーンを膨張する工程を含む。バルーンは、バルーンが組織とは反対側の壁（心室中隔とは反対側の右心室の壁）を押し、リード本体を（電極アレイ及びアンカーエレメントと共に）組織に向かって変位するように、アンカーエレメントと反対側のリード本体の側部に設けられていてもよい。換言すると、変位機構を膨張する工程は、変位機構をアンカーエレメントの展開方向とほぼ逆方向に膨張する工程を含む。他の変形例では、電極アレイ及び／又は少なくとも一つのアンカーエレメントを組織に向かって押圧する工程は、リング、スキャッフォールド、コイル、又は他の適当な拡張機構を任意の適当な方向に拡張する工程を含む。

幾つかの実施例では、図２９Ｃに示すように、電極アレイ及び少なくとも一つのアンカーエレメントを組織に向かって押圧する工程は、追加として及び／変形例として、組織をリード本体に向かって押圧する工程Ｓ２２４を含む。例えば、組織をリード本体に向かって押圧する工程は、組織をリード本体に向かって（例えばアンカーエレメント穴又は他の穴内に）引っ張るために吸引力を加える工程、又は組織の後側（例えば心室中隔の左心室側）に圧力を加える工程を含む。

図２９Ｄに示すように、少なくとも一つのアンカーエレメントを展開する工程Ｓ２３０及びアンカーチップを組織内に固定する工程Ｓ２４０は、電極アレイを組織と接触した状態で固定するように機能する。アンカーエレメントを展開する工程は、好ましくは、ボタンやスライダー等のトリガーレリースを解放する工程を含む。これにより、ばね負荷されたアクチュエータを解放し、アンカーエレメントを第１形態から第２形態まで作動する。しかしながら、アクチュエータは、スタイレット、コード、又は任意の適当な機構によって作動されてもよい。更に、変形例ではアンカーエレメントを展開する工程は、アンカーエレメントを第１形態から第２形態に移行する任意の適当な作動工程を含んでいてもよい。アンカーチップを組織内に固定する工程は、好ましくは、アンカーチップを組織内でカールし、ループにする工程、又は追加として及び／変形例としてアンカーチップを組織内の返し、フック、又は他の固定特徴と係合する工程を含む。

図２９Ｅに示すように、組織に対する電極アレイの位置を確認する工程及び組織内にアンカーチップが固定されたことを確認する工程は、電極アレイ（及び潜在的には、リード本体の他の部分）の位置を確認するように機能する。これらの確認工程は、追加として及び／変形例として、アンカーエレメントが組織内に適切に固定されて展開されていることを確認するように機能する。第１の態様では、確認工程Ｓ２５０及びＳ２６０は、リード本体の少なくとも一部（リード、電極アレイ、アンカーエレメント、又は変位機構）に連結された対照マーカーの位置をＸ線透視法で監視する工程を含む。第２の態様では、図示のように、確認工程Ｓ２５０及びＳ２６０は、対照流体を放出する工程及び対照流体の妨げられた経路をＸ線透視法で監視する工程を含む。第３の態様では、確認工程Ｓ２５０及びＳ２６０は、アンカーエレメントが第２形態にあり、組織に固定されたとき、これを知らせる電気信号を受け取る工程を含む。第４の態様では、確認工程Ｓ２５０及びＳ２６０は、組織と接触するようになった接触点の第１の組に亘る電気的計測値（例えば電圧、インピーダンス）を計測する工程と、組織と接触しないようになった第２の接触点に亘る第２の電気的計測値（例えば電圧、インピーダンス）を計測する工程と、第１及び第２の電気的計測値間の比較を監視する工程とを含む。しかしながら、これらの又は他の適当な確認工程の任意の組み合わせを行ってもよい。

図２９Ｆに示すように、方法は、更に、アンカーチップを組織内に固定した後、変位機構を元に戻す（例えば引っ込める）工程Ｓ２７０を含んでいてもよい。変位機構を元に戻す工程は、組織の通常の作動を実質的に取り戻し（例えば、電極アレイが心室中隔に連結された状態で右心室の閉塞を減少する）、及び／又はリード本体を組織から引っ込める（例えば心血管系を通して）ことができる。変位機構を元に戻す工程は、好ましくは、バルーン変位機構を萎ませる工程を含む。バルーンを萎ませる工程は、吸引力によってバルーンから流体を抜く工程（例えば、注射器、逆ポンプ、又は手動作動を用いる）、又は流体をバルーンから解放する工程（例えば漏れを生じる）を含んでいてもよいが、他の実施例は、変位機構の膨張で行われたのと逆の任意の適当な作動工程を含む。

以上の詳細な説明、添付図面、及び特許請求の範囲から、特許請求の範囲に定義した本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施例に変形及び変更を加えてもよいということは当業者には理解されよう。

１００ デバイス
１０２ 組織
１１０ リード本体
１１２ 遠位部分
１１６ 電気導体
１１８ 接地ワイヤ
１３２、１３４、１３６ 内腔
１４０ アクチュエータ
１５０ 電極アレイ
１６０ アンカーエレメント
１６２ 遠位アンカーチップ
１６４ 第１形態
１６６ 第２形態
１７０ 変位機構
１９０ ハンドル

Claims (26)

1. 電極を体内組織に位置決めするように形成されたデバイスにおいて、該デバイスは、
   遠位部分を持つ細長い本体と、
   前記細長い本体の前記遠位部分に連結された電極アレイと、
   前記電極アレイとは別体として形成され、前記細長い本体内に配置された少なくとも１つのアンカーエレメントであって、遠位アンカーチップを含み、前記アンカーエレメントは、前記遠位アンカーチップが、実質的に、前記細長い本体内に格納された第１形態と、前記アンカーエレメントが前記細長い本体の第１の側部から少なくとも部分的に延びる第２形態との間で移動自在であり、前記アンカーエレメントは、前記第２形態にあるとき、前記細長い本体の前記第１の側部に隣接した前記組織内に侵入して固定されるように形成されている、アンカーエレメントと、
   前記細長い本体の前記遠位部分の周囲の一部のみに配置された選択的に拡張される変位機構と、を含み、前記変位機構は、前記アンカーエレメントが延びる前記第１の側部から周方向に変位された前記細長い本体の前記遠位部分の第２の側部に配置されているとともに、前記細長い本体の前記遠位部分から離れる方に拡張し、前記電極アレイ及び前記アンカーエレメントの少なくとも一方を前記組織に向かう方向に選択的に押圧するように形成されている、デバイス。
2. 請求項１に記載のデバイスにおいて、
   前記細長い本体の前記遠位部分は、前記電極アレイと近接した穴を形成し、前記第２形態では、前記遠位アンカーチップは、前記穴を通って少なくとも部分的に延びるように形成されている、デバイス。
3. 請求項１に記載のデバイスにおいて、
   前記細長い本体の前記遠位部分は、非外傷性チップを含む、デバイス。
4. 請求項１に記載のデバイスにおいて、
   前記電極アレイは、前記細長い本体の前記遠位部分の長さに沿って一連に配置された複数の電極を含む、デバイス。
5. 請求項１に記載のデバイスにおいて、
   第１形態において、前記アンカーエレメントが前記細長い本体内の第１アンカーエレメント位置に位置決めされ、
   第２形態において、前記アンカーエレメントが前記第１アンカーエレメント位置から長さ方向に変位した第２アンカーエレメント位置に位置決めされる、デバイス。
6. 請求項５に記載のデバイスにおいて、更に、
   前記細長い本体内に入れ子式に配置されたアクチュエータを含み、
   前記アクチュエータは、前記アンカーエレメントと係合し、前記アンカーエレメントを前記第１アンカーエレメント位置から前記第２アンカーエレメント位置まで移動するように形成されている、デバイス。
7. 請求項６に記載のデバイスにおいて、更に、
   前記アンカーエレメントに連結され、前記細長い本体内に入れ子式に係合したスリーブを含み、前記アクチュエータは、前記スリーブ内に入れ子式に係合するように形成されており、前記アクチュエータの回転が前記アンカーエレメントの回転と対応しないように、前記スリーブ内で回転自在である、デバイス。
8. 請求項６に記載のデバイスにおいて、更に、
   前記細長い本体に連結されたハウジングを含み、前記ハウジングは、前記アクチュエータに連結されたスライドを含み、前記スライドは、前記第１アンカーエレメント位置及び前記アンカーエレメントの前記第１形態と対応する第１スライド位置、及び前記第２アンカーエレメント位置及び前記アンカーエレメントの前記第２形態と対応する第２スライド位置を有する、デバイス。
9. 請求項８に記載のデバイスにおいて、
   前記ハウジングは、前記アクチュエータと選択的に係合するトリガーレリースを含み、前記トリガーレリースが前記アクチュエータから外れたとき、前記アクチュエータは、前記第１スライド位置から前記第２スライド位置まで自由に移動する、デバイス。
10. 請求項８に記載のデバイスにおいて、
    前記ハウジングは、前記細長い本体から選択的に外すことができる、デバイス。
11. 請求項１に記載のデバイスにおいて、更に、
    前記少なくとも１つのアンカーエレメントは、前記細長い本体内に配置され、第１の遠位アンカーチップを持つ第１アンカーエレメントと、前記細長い本体内に配置され、第２の遠位アンカーチップを持つ第２アンカーエレメントと、を含む、デバイス。
12. 請求項１１に記載のデバイスにおいて、
    前記第１及び第２の遠位アンカーチップは、前記細長い本体の前記遠位部分に沿って長さ方向に分配された遠位アンカーチップ、及び前記細長い本体の前記遠位部分の周囲に分配された遠位アンカーチップのうちの少なくとも一方である、デバイス。
13. 請求項１に記載のデバイスにおいて、
    前記アンカーエレメントは、電極として作動できるように、導体で形成されている、デバイス。
14. 請求項１に記載のデバイスにおいて、
    前記変位機構は膨張可能なバルーンを含む、デバイス。
15. 請求項１４に記載のデバイスにおいて、
    前記膨張可能なバルーンは、前記細長い本体の前記遠位部分の周囲にシールされた弾性チューブを含む、デバイス。
16. 請求項１４に記載のデバイスにおいて、
    前記膨張可能なバルーンは、前記アンカーエレメントが延びる前記第１の側部から周方向に変位された前記細長い本体の前記遠位部分の前記第２の側部でだけ拡張するように形成されている、デバイス。
17. 請求項１に記載のデバイスにおいて、更に、
    前記アンカーエレメントが前記第２形態にあり、前記組織に固定されたときに信号を発生するように形成された電気的サブシステムを含む、デバイス。
18. 請求項１に記載のデバイスにおいて、更に、
    前記細長い本体の内部部分と前記細長い本体の外側の領域との間に大きな圧力差が生じないように形成された隔膜を含む、デバイス。
19. 請求項１に記載のデバイスにおいて、
    前記少なくとも１つのアンカーエレメントは、前記電極アレイの少なくとも２つの電極の間に配置されている、デバイス。
20. 請求項１９に記載のデバイスにおいて、
    前記変位機構は、前記少なくとも１つのアンカーエレメントに隣接して配置されている、デバイス。
21. 請求項１９に記載のデバイスにおいて、
    前記変位機構は、前記電極アレイと少なくとも部分的に長手方向に同延である、デバイス。
22. 請求項４に記載のデバイスにおいて、
    前記少なくとも１つの電極は、前記細長い本体の前記遠位部分の長さに沿った少なくとも１つのリング電極である、デバイス。
23. 請求項２２に記載のデバイスにおいて、
    前記アンカーエレメントが、前記リング電極と前記リング電極の間に配置されている、デバイス。
24. 請求項１に記載のデバイスにおいて、
    前記第２の側部は、前記第１の側部の直径方向反対側にある、デバイス。
25. 請求項１に記載のデバイスにおいて、
    前記選択的に拡張される変位機構は、前記少なくとも１つのアンカーエレメントが組織内に侵入して固定された後に、萎み可能であるように構成されている、デバイス。
26. 請求項１に記載のデバイスにおいて、
    前記電極アレイは、第１の電極及び第２の電極を含み、前記選択的に拡張される変位機構は、前記細長い本体の長手方向軸線に沿って少なくとも部分的に前記第１の電極と前記第２の電極の間に位置決めされている、デバイス。