JP6286681B2 - 除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリーム - Google Patents

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本発明は、肌上にスプレーして形成した泡をのばすと速やかに破泡してオイル状に変化し優れた消毒性能や殺菌性能を発揮することができ、また液ダレがなく携帯容器で持ち歩くこともできる除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリームに関するものである。
従来からエアゾール製品としては、ヘアースプレーなどのように有効成分を霧状に噴射するものや、シェービングフォームなどのように泡状に噴射するもの、あるいはジェル状に噴射するもの等がある。一方、最近では、インフルエンザ等のウイルス拡大の防止を目的として、揮発性アルコールを主成分とした消毒剤や殺菌剤が広く使用されるようになってきた。
前記消毒剤や殺菌剤は、ポンプ付きの容器に詰められた液体やジェルの形態で提供されており、容器から消毒・殺菌剤を手にとって手のひら全体に塗り拡げて使用している。また、アルコールが有する揮発性を利用して、水等による洗い流しを不要としている。しかしながら、前記消毒・殺菌剤は液体やジェルであるため、液ダレや液漏れを生じることがあり容器周辺を汚すという問題や、携帯用の容器で持ち歩くことが難しいという問題があった。また、アルコールの脱脂作用により肌荒れ等が生じるという問題もあった。
一方、液ダレや液漏れが発生するおそれのない泡状に噴射するエアゾール製品が種々開発され、容器周辺を清潔に保つとともに携帯用容器としても実用に供されている(例えば、特許文献1や特許文献2を参照)。しかしながら、噴射された泡形状がいつまでも保持されており肌全体に塗り拡げることが難しいという問題や、泡を無理やり塗り拡げると破泡して指先等に届く前に消毒・殺菌剤が揮発してしまい全体を万遍なく洗浄することが難しいという問題があった。
特開平6−279268号公報 特許第2706668号公報
本発明は上記のような問題点を解決して、肌上にスプレーして形成した泡をのばすと速やかに破泡してオイル状に変化し優れた消毒性能や殺菌性能を発揮することができ、しかも保湿性にも優れており、また液ダレがなく携帯容器で持ち歩くことが可能で利便性が高く、更に優れた操作性も発揮できる除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリームを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた本発明の除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリーム物は、炭素数2〜4の低級アルコール60.0〜80.0質量%と水15.0〜40.0質量%を主剤として含有し、これに破泡性を付与するための炭素数8〜24の高級アルコール2.0〜10.0質量%と、保湿成分0.1〜10.0質量%を配合した噴射原液と、噴射剤とからなり、前記噴射剤の含有量が5質量%以下であり、肌上に噴射された泡がクイックブレーキング方式により破泡して、手でのばすと素早くオイル状に変化すると同時に、肌上の汚れ等を浮き上がらせるフォームを形成することを特徴とするものである。
また、前記高級アルコールが、セタノールまたはステアリルアルコールまたはベヘニルアルコールであるものが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
更に、噴射原液に、界面活性剤、殺菌剤の1種、または2種以上が添加されているものが好ましく、これを請求項3に係る発明とする。
請求項1に係る発明では、炭素数2〜4の低級アルコールと水を主剤として含有し、これにクイックブレーキング方式の破泡性を付与するための炭素数8〜24の高級アルコールと、保湿成分を配合した噴射原液と、噴射剤とからなり、肌上に噴射された泡がクイックブレーキング方式により破泡して素早くオイル状に変化すると同時に、肌上の汚れ等を浮き上がらせるフォームを形成するので、消毒・殺菌剤を肌全体に塗り拡げることができて高い洗浄効果を発揮することができ、しかも保湿性や手荒れ防止性にも優れており、また液ダレを生じることがなく操作性・利便性に優れており、更に携帯容器で持ち歩くことも可能となる。
また噴射原液は、炭素数2〜4の低級アルコール60.0〜80.0質量%、水15.0〜40.0質量%、炭素数8〜24の高級アルコール2.0〜10.0質量%、保湿成分0.1〜10.0質量%を配合したものとしたので、容易に配合ができ、またクイックブレーキング方式により素早く破泡するフォームを形成することができる。
請求項2に係る発明では、高級アルコールとして、セタノールまたはステアリルアルコールまたはベヘニルアルコールを選択することで、人体に無害で安全であり、また入手も容易で生産コストの低廉化を図ることができる。
請求項3に係る発明では、噴射原液に、界面活性剤、殺菌剤の1種、または2種以上が添加されているものとしたので、洗浄性能や殺菌性能を向上させ、またその持続性能を向上させたり、アルコール成分による肌荒れを防止する等、種々の性能を付加することができる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を示す。
本発明の泡状エアゾール組成物は、有効成分を泡状(ムースと称される)に噴射するものであって、基本的には炭素数2〜4の低級アルコールと水を主剤として含有し、これにクイックブレーキング方式により破泡性を付与するための炭素数8〜24の高級アルコールと、保湿成分を配合した噴射原液と、噴射剤とからなる。
前記主剤は、洗浄により、洗浄対象である手、指、腕、足などといった身体の表面、すなわち皮膚上に付着した細菌やウイルスの除去、死滅、あるいは感染能力を失わせることを目的として使用される。従って、該主剤はウイルスを除去あるいはウイルスの感染能力を失わせる消毒性能、あるいは細菌を除去あるいは死滅させる殺菌性能を発揮するために低級アルコールを含んでいる。
前記低級アルコールは、炭素数が2〜4のものである。該低級アルコールは、細菌あるいはウイルスに対すると、該細菌であれば脂質よりなる細胞膜、ウイルス(特にインフルエンザウイルス、HIVウイルス)であれば感染に重要な役割を果たす脂質よりなる膜状構造のエンベロープを溶解させることで、殺菌性能及び消毒性能を発揮する。
低級アルコールの具体例としては、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等が挙げられる。特にエタノールは、人体にほぼ無害であり、温度が高く接触時間が長いほど殺菌効果を増すため、主剤に用いる低級アルコールとして望ましい。
噴射原液中における低級アルコールの濃度は、好適な消毒、殺菌性能を得られるという観点から、60〜80質量%配合することが好ましい。60質量%未満では、洗浄効果が劣って十分な消毒、殺菌性能を得ることができず、一方、80質量%より多いと噴射時の泡の形成が不十分となる。
例えば、使用する低級アルコールがエタノールの場合、約70質量%のとき、水とアルコールの分子組成が1:1となり、疎水基が平面状に広がって疎水面をつくることで、該疎水面により細菌の細胞膜を破壊して細胞中のタンパクを溶出させるため、最も殺菌能力が高くなることを確認している。
前記低級アルコールの水溶液を作成するために水が配合される。この水は、イオン交換水、蒸留水、ろ過水などの精製水を用いるのが好ましい。この水は、噴射原液中における低級アルコールのほぼ残部を占めるものであり、その配合量は、15〜40質量%の範囲である。
本発明では、前記噴射原液中に、更に炭素数8〜24の高級アルコール0.5〜10.0質量%を配合する。この高級アルコールは、噴射形成した泡を速やかに破泡し、手でのばすとオイル状にするための成分で、粘性が高く揮発性が低いものである。
このような泡は、クイックブレーキングフォームと称されており、破泡して素早くオイル状に変化すると同時に、肌上の汚れ等を浮き上がらせることができる。従って、肌上に噴射された泡は、手でのばすと素早くオイル状に変化して、とろけるように肌に馴染んで表面の汚れは勿論のこと、毛穴や皺や爪の内部など奥に入り込んだ汚れ、雑菌等も浮き上がらせて簡単に除去できることとなる。なお、このように泡が破泡するのをクイックブレーキング方式による破泡という。
また、前記高級アルコールは、主剤である低級アルコールを皮膚上に適度な時間留めおくことにより、該皮膚上に付着した細菌やウイルスに対する主剤の殺菌性能及び消毒性能を十分に保持することができる。更に、高級アルコールは、保湿剤あるいは皮膚保護剤としても機能する。即ち、低級アルコールは皮膚への浸透作用によって脂質成分やアミノ酸成分などを溶出させてしまい、皮膚の水分保持機能を低下させることで手荒れ等を発生させてしまうのに対し、高級アルコールは洗浄対象の表面である皮膚を覆い保護することで該皮膚からの水分の蒸発をも抑制し、さらに低級アルコールによる皮膚への刺激を緩和することができる。
前記高級アルコールは、炭素数が8〜24であり、低級アルコールを含む主剤水溶液にそのまま溶かすことができる。
高級アルコールの具体例としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。なかでもセタノールやステアリルアルコールやベヘニルアルコールは、入手が容易であり、人体に略無害であるとともに、化粧品のクリームや乳液で増粘剤あるいは乳化安定剤、乳化補助剤として通常に使用されているおり、破泡性の付与剤として望ましいものである。
前記高級アルコールは、利便性を維持しつつ、消毒及び殺菌能力からなる洗浄料の洗浄能力を十分に発揮させる環境を保持するという観点から、噴射原液中において、0.5〜10.0質量%となるように添加することが望ましく、特に、2.0〜6.0質量%となるように添加することがより望ましい。配合量が0.5質量%未満の場合は、クイックブレーキングフォームの形成が難しくなり、一方、10質量%を超えると、洗浄後も皮膚上に噴射原液が残ってしまい、噴射原液の洗い流しが必要となって利便性を損なうおそれがあるからである。
保湿成分は、手の表面に保水効果を付与してしっとり感を付与するとともに、前記アルコールによる手荒れの防止を図ってハンドクリームとしての機能を発揮させるものである。
保湿成分としては、以下のようなものがある。
(1)多価アルコール
グリセリン、ジプロピレングリコール、1.3‐ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ソルビット、イソプレングリコール等
(2)糖類
グルコース、ショ糖、プルラン、トレハロース、マルトース等
(3)生体高分子
ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン・キトサン等
(4)その他の保湿成分
アミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、トリメチルグリシン、植物・海藻エキス、セラミド、コラーゲン等
これらの保湿成分は、噴射原液中において、0.1〜10.0質量%の範囲で添加することができる。
噴射剤としてはブタンやプロパンを主成分とした液化石油ガス(LPG)を用いる。この噴射剤は、噴射原液100質量%に対し、4〜10質量%となるように添加することが望ましい。4質量%未満の場合は、噴射した泡が十分に起泡せずに泡状とすることが難しくなるおそれがあり、濃度が10質量%を超えると噴射原液中における主剤等の洗浄成分が少なくなり十分な洗浄効果を得られなくなるおそれがあるからである。
更に、前記噴射原液に、界面活性剤、殺菌剤の1種、または2種以上を添加することもできる。
界面活性剤は、噴射原液の可溶化剤として、および起泡力を与える目的で添加する。
界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の4種があり、所望に応じて1種又は2種以上を添加する。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、コール酸塩等のカルボン酸系、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のスルホン酸系、あるいはリン酸系などが挙げられ、上記のような殺菌性能、消毒性能に加え、単純な汚れを落とす洗浄性能の付与を期待することができる。
カチオン性界面活性剤としては、親水基としてテトラアルキルアンモニウムを持つアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩などが挙げられ、殺菌剤として使用されることから殺菌性能の付与あるいは補助を期待することができる。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタインなどが挙げられ、洗浄力や起泡力の増補を期待することができる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸グリセリンエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテルなどが挙げられ、乳化剤あるいは油脂汚れに対する洗浄能力の向上を期待することができる。
前記の界面活性剤は、利便性を維持しつつ、洗浄料による洗浄効果を十分に維持するという観点から、噴射原液中に0.5〜1.5質量%の範囲で添加することが望ましい。0.5質量%未満では、活性剤の特性を発揮することができず1.5質量%を超えると、皮膚上に残った噴射原液がぬるつき、また手を擦り合わせる等したときに過剰に泡立ってしまうため、この噴射原液の洗い流しが必要となって利便性を損なうおそれがある。
殺菌剤や殺菌持続剤は、皮膚上で増殖する菌を死滅または減少させる目的で用いるもので、例えば、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、クレゾール、アロエエキス等を添加することができる。
その他、インフルエンザウイルスに効果のある成分等を添加したり、ノロウイルスに対する消毒用として次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加することもできる。これらの成分は、噴射原液中に0.1〜3.0質量%の範囲で添加することができる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
[噴射原液]
低級アルコール(エタノール) 70.0質量%
高級アルコール(ステアリルアルコール) 2.5質量%
水(イオン交換水) 26.5質量%
保湿成分(ヒアルロン酸ナトリウム) 0.5質量%
界面活性剤(TS-10V:日光ケミカルズ社製) 0.5質量%
上記の配合からなる噴射原液と噴射剤(LPG)を、質量比95:5の割合で缶に充填してエアゾール式の除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリームを得た(実施例1)。
[表1]に、保湿成分、界面活性剤、殺菌成分を調整したものを実施例2〜実施例5として示す。
また、保湿成分を添加せず、更に、低級アルコールが40質量%のものと、90質量%のものを比較例1、2として[表1]に示す。また、保湿成分を添加せず、更に、界面活性剤が3質量%のものと、界面活性剤を含まないものを比較例3、4として示す。また、高級アルコールと保湿成分を添加しないものを比較例5として示す。
表中におけるクイックブレーキングフォーム(QBF)の形成の評価は、次の通りである。なお、評価は、常温(20〜25℃)にて実施した。
◎:手のひら上に噴射形成した泡を擦ると消泡され、5秒以内にオイル状の液体となった。
○:手のひら上に噴射形成した泡を擦ると消泡され、10秒以内にオイル状の液体となった。
△:手のひら上に噴射形成した泡を擦っても泡が消えにくく、またべた付いた。
×:手のひら上に噴射しても泡が形成できなかった。
実施例1〜5では、手のひら上に泡を噴射形成後、手のひらをこすり合わせるようにして泡をのばした結果、いずれの泡も即座に破泡してオイル状に変化し、手のひら全体に浸透して、万遍なく馴染んだ状態になった(クイックブレーキング方式)。更に数秒経過すると、オイル状のベタベタ感はなくなり手の表面はしっとりと潤った感じになった。また、エアゾール缶を搖動させても缶から液ダレが生じることはなく、衛生的で使い勝手のよいものであることが確認できた。
一方、比較例1は、水が多いため普通のムース状態となり、消泡しにくくてクイックブレーキング効果が得られなかった。比較例2は低級アルコールが多いため、十分に泡沫を、形成することができなかった。比較例3は界面活性剤が多いため、消泡しにくく、また使用後にべた付いた。比較例5は高級アルコールを含まないため、泡沫を形成することができなかった。また、いずれの比較例も保湿成分を含まないため、しっとりと潤った感じを発揮することができなかった。

Claims (3)

  1. 炭素数2〜4の低級アルコール60.0〜80.0質量%と水15.0〜40.0質量%を主剤として含有し、これに破泡性を付与するための炭素数8〜24の高級アルコール2.0〜10.0質量%と、保湿成分0.1〜10.0質量%を配合した噴射原液と、
    噴射剤とからなり、
    前記噴射剤の含有量が5質量%以下であり、
    肌上に噴射された泡がクイックブレーキング方式により破泡して、手でのばすと素早くオイル状に変化すると同時に、肌上の汚れ等を浮き上がらせるフォームを形成することを特徴とする除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリーム。
  2. 高級アルコールが、セタノールまたはステアリルアルコールまたはベヘニルアルコールである請求項1に記載の除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリーム。
  3. 噴射原液に、界面活性剤、殺菌剤の1種、または2種以上が添加されている請求項1または2に記載の除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリーム。
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