JP6286681B2 - 除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリーム - Google Patents
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本発明の泡状エアゾール組成物は、有効成分を泡状(ムースと称される)に噴射するものであって、基本的には炭素数2〜4の低級アルコールと水を主剤として含有し、これにクイックブレーキング方式により破泡性を付与するための炭素数8〜24の高級アルコールと、保湿成分を配合した噴射原液と、噴射剤とからなる。
低級アルコールの具体例としては、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等が挙げられる。特にエタノールは、人体にほぼ無害であり、温度が高く接触時間が長いほど殺菌効果を増すため、主剤に用いる低級アルコールとして望ましい。
例えば、使用する低級アルコールがエタノールの場合、約70質量%のとき、水とアルコールの分子組成が1:1となり、疎水基が平面状に広がって疎水面をつくることで、該疎水面により細菌の細胞膜を破壊して細胞中のタンパクを溶出させるため、最も殺菌能力が高くなることを確認している。
このような泡は、クイックブレーキングフォームと称されており、破泡して素早くオイル状に変化すると同時に、肌上の汚れ等を浮き上がらせることができる。従って、肌上に噴射された泡は、手でのばすと素早くオイル状に変化して、とろけるように肌に馴染んで表面の汚れは勿論のこと、毛穴や皺や爪の内部など奥に入り込んだ汚れ、雑菌等も浮き上がらせて簡単に除去できることとなる。なお、このように泡が破泡するのをクイックブレーキング方式による破泡という。
高級アルコールの具体例としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。なかでもセタノールやステアリルアルコールやベヘニルアルコールは、入手が容易であり、人体に略無害であるとともに、化粧品のクリームや乳液で増粘剤あるいは乳化安定剤、乳化補助剤として通常に使用されているおり、破泡性の付与剤として望ましいものである。
保湿成分としては、以下のようなものがある。
(1)多価アルコール
グリセリン、ジプロピレングリコール、1.3‐ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ソルビット、イソプレングリコール等
(2)糖類
グルコース、ショ糖、プルラン、トレハロース、マルトース等
(3)生体高分子
ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン・キトサン等
(4)その他の保湿成分
アミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、トリメチルグリシン、植物・海藻エキス、セラミド、コラーゲン等
これらの保湿成分は、噴射原液中において、0.1〜10.0質量%の範囲で添加することができる。
界面活性剤は、噴射原液の可溶化剤として、および起泡力を与える目的で添加する。
界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の4種があり、所望に応じて1種又は2種以上を添加する。
カチオン性界面活性剤としては、親水基としてテトラアルキルアンモニウムを持つアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩などが挙げられ、殺菌剤として使用されることから殺菌性能の付与あるいは補助を期待することができる。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタインなどが挙げられ、洗浄力や起泡力の増補を期待することができる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸グリセリンエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテルなどが挙げられ、乳化剤あるいは油脂汚れに対する洗浄能力の向上を期待することができる。
その他、インフルエンザウイルスに効果のある成分等を添加したり、ノロウイルスに対する消毒用として次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加することもできる。これらの成分は、噴射原液中に0.1〜3.0質量%の範囲で添加することができる。
[噴射原液]
低級アルコール(エタノール) 70.0質量%
高級アルコール(ステアリルアルコール) 2.5質量%
水(イオン交換水) 26.5質量%
保湿成分(ヒアルロン酸ナトリウム) 0.5質量%
界面活性剤(TS-10V:日光ケミカルズ社製) 0.5質量%
上記の配合からなる噴射原液と噴射剤(LPG)を、質量比95:5の割合で缶に充填してエアゾール式の除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリームを得た(実施例1)。
また、保湿成分を添加せず、更に、低級アルコールが40質量%のものと、90質量%のものを比較例1、2として[表1]に示す。また、保湿成分を添加せず、更に、界面活性剤が3質量%のものと、界面活性剤を含まないものを比較例3、4として示す。また、高級アルコールと保湿成分を添加しないものを比較例5として示す。
◎:手のひら上に噴射形成した泡を擦ると消泡され、5秒以内にオイル状の液体となった。
○:手のひら上に噴射形成した泡を擦ると消泡され、10秒以内にオイル状の液体となった。
△:手のひら上に噴射形成した泡を擦っても泡が消えにくく、またべた付いた。
×:手のひら上に噴射しても泡が形成できなかった。
一方、比較例1は、水が多いため普通のムース状態となり、消泡しにくくてクイックブレーキング効果が得られなかった。比較例2は低級アルコールが多いため、十分に泡沫を、形成することができなかった。比較例3は界面活性剤が多いため、消泡しにくく、また使用後にべた付いた。比較例5は高級アルコールを含まないため、泡沫を形成することができなかった。また、いずれの比較例も保湿成分を含まないため、しっとりと潤った感じを発揮することができなかった。
Claims (3)
- 炭素数2〜4の低級アルコール60.0〜80.0質量%と水15.0〜40.0質量%を主剤として含有し、これに破泡性を付与するための炭素数8〜24の高級アルコール2.0〜10.0質量%と、保湿成分0.1〜10.0質量%を配合した噴射原液と、
噴射剤とからなり、
前記噴射剤の含有量が5質量%以下であり、
肌上に噴射された泡がクイックブレーキング方式により破泡して、手でのばすと素早くオイル状に変化すると同時に、肌上の汚れ等を浮き上がらせるフォームを形成することを特徴とする除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリーム。 - 高級アルコールが、セタノールまたはステアリルアルコールまたはベヘニルアルコールである請求項1に記載の除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリーム。
- 噴射原液に、界面活性剤、殺菌剤の1種、または2種以上が添加されている請求項1または2に記載の除菌性・保湿性に優れた泡状ハンドクリーム。
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