JP6285345B2 - ソルボサーマル法を用いる熱電変換材料の製造方法 - Google Patents

ソルボサーマル法を用いる熱電変換材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ソルボサーマル法を用いる熱電変換材料の製造方法に関する。
熱電変換材料は、熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換し得る材料である。熱電変換材料は、火力発電のように熱エネルギーを運動エネルギーに変換する工程を必要としない。このため、熱電変換材料は、熱エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換する、熱電素子のような発電デバイスの材料として注目されている。
熱電変換材料の性能は、以下の式で表される性能指数Zに基づき評価される。
Z = α2σ/κ
前記式中、αは、熱電変換材料のゼーペック係数であり、σは、熱電変換材料の導電率であり、κは、熱電変換材料の熱伝導率である。前記式から明らかなように、熱電変換材料の性能向上には、該熱電変換材料の導電率の向上及び熱伝導率の低下を図ることが必要となる。一般に、熱電変換材料の粒径が小さいほど、熱伝導率は低下する。このため、熱電変換材料の小粒径化及びそれに伴う高性能化を目的として、熱電変換材料の製造方法が種々開発された。
例えば、特許文献1は、少なくとも3種類の金属元素によって構成される合金である母相とナノ粒子とからなるナノコンポジット熱電変換材料の製造方法であって、前記少なくとも3種類の元素のうち1種類の元素が酸化物としてナノ粒子となるように少なくとも3種類の元素の組合せを選択する工程、前記少なくとも3種類の元素の各々1つを含有する少なくとも3種類の化合物を用意する工程、前記少なくとも3種類の化合物を、元素の量に基づいて、前記ナノ粒子を構成する元素の量が目的とする最終生成物における合金である母相の組成に対して過剰となるように溶液中に溶解する工程、前記溶液に還元剤を加えて、反応の開始から終了まで複数の異なるpHで還元反応が行われる工程、還元反応により生成した微粒子集合体を分離取得する工程、次いで水熱処理して合金化による前記母相の形成及び前記酸化物からなるナノ粒子の形成を行わせる工程を含む、前記方法を記載する。当該文献は、前記少なくとも3種類の元素が、テルル(Te)、アンチモン(Sb)及びビスマス(Bi)であり、過剰となるように含有させる元素がSbであってもよいことを記載する。当該文献はまた、前記水熱処理が、エタノールなどのアルコール中で行われる反応、すなわちソルボサーマル反応であることを記載する。
特許文献2は、流通方式による金属ナノ粒子の製造方法であって、金属源化合物と親水性有機溶媒と該金属源化合物に対して配位可能な有機化合物とを含む第1原料液と、親水性有機溶媒を含む第2原料液とを混合し、最終原料液を調製すること;及び、該最終原料液を加熱及び加圧して該親水性有機溶媒を超臨界状態として、ソルボサーマル法に供すること;を含む、金属ナノ粒子の製造方法を記載する。当該文献は、前記親水性有機溶媒として、エタノール等のアルコールを記載する。
前記のように、特許文献1及び2は、ソルボサーマル反応を用いる熱電変換材料のナノ粒子の製造方法を記載する。ソルボサーマル反応を用いる金属化合物のナノ粒子の製造方法について、特許文献3は、平均粒子径が50 nm以下で、単結晶粒子からなるチタン酸リチウム微粒子を製造する方法であって、チタニウム金属化合物とリチウム化合物を、亜臨界ないし超臨界状態の水を媒体として、水熱反応させることを特徴とするチタン酸リチウム微粒子の製造方法を記載する。
特許文献4は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの一部が内部に挿入された形態を有することを特徴とする熱電材料を記載する。当該文献は、前記混合粉末は、TeとBiとを必ず含み、Sbとセレン(Se)の少なくとも1つを含み得ることを記載する。当該文献はまた、前記熱電材料の製造方法として、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの一部が内部に挿入された形態を有する熱電材料にスパークプラズマ焼結工程を行って製造する方法を記載する。
特許文献5は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含有し、直径又は長軸に直交する断面における対角線の長さが500 nm以下であり、長さが1 μm以上であるナノワイヤーを、その長軸を一方向に揃えて300乃至550℃の加熱条件下で固化成形する工程を有することを特徴とする熱電材料の製造方法を記載する。当該文献は、前記ナノワイヤーを作製する工程が、アルマイト処理されたアルミニウム板を用いる電界めっき処理等によって実施されることを記載する。
特開2013-254924号公報 特開2012-167314号公報 特開2014-019617号公報 特開2011-249749号公報 特許第4453311号公報
特許文献1に記載のように、エタノール中のソルボサーマル反応によって、Te、Sb及びBi等の金属元素を含有する熱電変換材料を製造する方法が知られている。しかしながら、従来技術の方法によって製造される熱電変換材料には、改良の余地が存在した。熱電変換材料の性能向上には、該熱電変換材料の導電率の向上及び熱伝導率の低下を図ることが必要となる。一般に、熱電変換材料の粒径が小さいほど、熱伝導率は低下する。このため、粒径の小さい熱電変換材料を製造することにより、高性能の熱電変換材料を製造できる可能性がある。しかしながら、ナノ粒子のような小粒径の熱電変換材料を効率的に製造する手段は知られていなかった。
前記課題に鑑み、本発明は、小粒径の熱電変換材料を効率的に製造する手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、熱電変換材料の原料となる金属元素を、特定の性質を有する有機溶媒中でソルボサーマル反応させることにより、小粒径の熱電変換材料を効率的に製造できることを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)Bi及びSbからなる群より選択される少なくとも1種の元素Aと、Te、Se及びSからなる群より選択される少なくとも1種の元素Bとを、4.3超のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒中でソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含む、少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bを含有する熱電変換材料の製造方法。
本発明により、小粒径の熱電変換材料を効率的に製造する手段を提供することが可能となる。
前記以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、実施例1及び2、並びに比較例1におけるソルボサーマル反応に使用した有機溶媒のSnyderの極性パラメーター値と、結果として得られた熱電変換材料の合金粒子の平均粒径との関係を示す。 図2は、実施例1で得られた熱電変換材料の合金粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 図3は、実施例2で得られた熱電変換材料の合金粒子のSEM画像を示す。 図4は、比較例1で得られた熱電変換材料の合金粒子のSEM画像を示す。 図5は、実施例1及び2、並びに比較例1におけるソルボサーマル反応に使用した有機溶媒のSnyderの極性パラメーター値と、SPS焼結法によって得られたバルク体の形態の熱電変換材料の合金粒子の格子熱伝導率との関係を示す。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1:熱電変換材料の製造方法>
本発明は、熱電変換材料の製造方法に関する。本発明の方法によって製造される熱電変換材料は、少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bを含有する。前記少なくとも1種の元素Aは、ビスマス(Bi)及びアンチモン(Sb)からなる群より選択されることが必要であり、Biであることが好ましい。前記少なくとも1種の元素Bは、テルル(Te)、セレン(Se)及び硫黄(S)からなる群より選択されることが必要であり、Te及びSeであることが好ましい。前記熱電変換材料は、(Bi, Sb)2(Te, Se)3±xで表される合金であることが好ましい。前記化学式において、xは、通常は0〜3の範囲である。前記熱電変換材料は、(Bi, Sb)2(Te, Se)3±x(式中、xは0以上且つ1以下である)で表される合金であることがより好ましい。なお、前記熱電変換材料の元素組成は、例えば、X線回折(XRD)に基づき、決定することができる。前記元素組成を有する熱電変換材料は、高い熱電変換性能を発現することができる。それ故、本発明の方法により、高い熱電変換性能を有する熱電変換材料を製造することができる。
一般に、約100 nm超の平均粒径を有する合金粒子はサブマイクロ粒子と分類され、約100 nm以下の平均粒径を有する合金粒子はナノ粒子と分類される。本発明の方法によって製造される熱電変換材料は、通常は、微細粒径の粒子の形態であり、典型的には、ナノ粒子の形態である。前記熱電変換材料は、通常は、170 nm以下の平均粒径を有し、典型的には、100 nm以下の平均粒径を有する。前記熱電変換材料は、通常は、50 nm以上の平均粒径を有し、典型的には、70 nm以上の平均粒径を有する。本発明の方法によって製造される熱電変換材料は、前記平均粒径を有する微細粒径の粒子(以下、「一次粒子」とも記載する)を焼結等することによって得られるバルク体の形態であってもよい。一般に、熱電変換材料の粒子(例えばバルク体の形態の熱電変換材料の粒子)において、該粒子の平均粒径(例えばバルク体を構成する一次粒子の粒径)が低下するほど、熱伝導率は低下する。本発明の方法によって製造される熱電変換材料は、通常は、0.7 W/(m・K)以下の格子熱伝導率を有し、典型的には、0.65 W/(m・K)以下の格子熱伝導率を有する。熱電変換材料は、通常は、0.4 W/(m・K)以上の格子熱伝導率を有し、典型的には、0.5 W/(m・K)以上の格子熱伝導率を有する。前記のように、本発明の方法によって製造される熱電変換材料は、低い格子熱伝導率を有する。それ故、本発明の方法により、高い熱電変換性能を有する熱電変換材料を製造することができる。
なお、熱電変換材料の粒径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて該熱電変換材料の粒子を観察し、得られたSEM画像から任意に選択した複数(例えば30個程度)の粒子の粒径の平均値を算出すること、或いはBET法により、平均粒径として決定することができる。また、熱電変換材料の熱伝導率は、例えば、パルス加熱法又は定常熱流法等の一般的な手段によって測定することができる。本明細書において、熱伝導率λは、比熱Cp、熱拡散率α、及び試験片の密度ρの積(λ=α・Cp・ρ)によって表される値を意味する。熱拡散率αは、例えばレーザーフラッシュ法により、比熱Cpは、例えば示差走査熱量測定(DSC)法により、試験片の密度ρは、例えば試験片の重量測定値及び体積測定値より、それぞれ測定することができる。
本発明の方法は、ソルボサーマル工程を含むことが必要である。本発明の方法はまた、場合により、準備工程及び焼結工程を含むことができる。以下、本発明の方法の各工程について、詳細に説明する。
[1-1:準備工程]
本発明の方法は、場合により、少なくとも1種の元素Aと少なくとも1種の元素Bとを準備する、準備工程を含むことができる。
本工程において、少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bは、当該技術分野で公知の手段に基づき、及び/又は以下で説明する手段に基づき、準備することができる。或いは、予め所望の形態に調製された少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bを購入等して準備してもよい。いずれの場合も、本工程の実施形態に包含される。
本工程において準備される少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bは、金属形態であってもよく、塩形態であってもよい。以下において説明するソルボサーマル工程で使用される少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bの形態に基づき、適宜選択することができる。
例えば、ソルボサーマル工程で使用される少なくとも1種の元素A及び/又は少なくとも1種の元素Bが金属形態の場合、本工程は、塩形態の少なくとも1種の元素A及び/又は塩形態の少なくとも1種の元素Bを還元する、還元工程をさらに含んでもよい。還元工程を実施することにより、塩形態の少なくとも1種の元素A及び/又は塩形態の少なくとも1種の元素Bを原料として、金属形態の少なくとも1種の元素A及び/又は金属形態の少なくとも1種の元素Bを準備することができる。
還元工程において使用される塩形態の少なくとも1種の元素A及び/又は塩形態の少なくとも1種の元素Bは、前記で説明した少なくとも1種の元素A及び/又は少なくとも1種の元素Bのカチオンと、無機酸又は有機酸の共役塩基との塩であることが好ましい。対イオンとして使用される無機酸又は有機酸の共役塩基としては、例えば、ハロゲン化水素酸、オキソ酸及びC1〜C4脂肪酸の共役塩基を挙げることができる。対イオンは、Cl-、NO3 -、CH3COO-(アセテート、Ac-)、C5H7O2 -(アセチルアセトナート、Acac-)、CH3CH2COO-、又はC6H5O7 3-(シトレート)であることが好ましい。前記対イオンとの塩形態の場合、少なくとも1種の元素A及び/又は少なくとも1種の元素Bは、前記塩の無水物の形態であってもよく、前記塩の水和物の形態であってもよい。塩形態の少なくとも1種の元素Aは、例えば、BiCl3、Bi(C6H5O7)又はSbCl3であることが好ましい。塩形態の少なくとも1種の元素Bは、例えば、TeCl4又はSeCl4であることが好ましい。前記塩形態の少なくとも1種の元素A及び塩形態の少なくとも1種の元素Bは、工業的に利用可能な安価な物質である。それ故、塩形態の少なくとも1種の元素A及び/又は塩形態の少なくとも1種の元素Bを使用して還元工程を実施することにより、低コストで所望の熱電変換材料を製造することができる。
還元工程は、前記塩形態の少なくとも1種の元素A及び/又は塩形態の少なくとも1種の元素Bを、液相還元法によって還元することにより、実施することができる。この場合、液相還元法に使用される還元剤は、NaBH4又はH4N2であることが好ましい。また、液相還元法に使用される溶媒は、水、メタノール若しくはエタノール、又はそれらの混合物であることが好ましい。液相還元法の処理温度は、-20〜100℃の範囲であることが好ましく、0〜60℃の範囲であることがより好ましい。前記条件で塩形態の少なくとも1種の元素A及び/又は塩形態の少なくとも1種の元素Bを還元することにより、金属形態の少なくとも1種の元素A及び/又は金属形態の少なくとも1種の元素Bを得ることができる。
[1-2:ソルボサーマル工程]
本発明の方法は、少なくとも1種の元素Aと少なくとも1種の元素Bとを有機溶媒中でソルボサーマル反応させる、ソルボサーマル工程を含むことが必要である。本工程により、少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bを含有する熱電変換材料を形成させることができる。
本明細書において、「ソルボサーマル反応」は、有機溶媒中において、高温及び高圧下で複数の原料物質を反応させて、反応生成物を得る処理を意味する。本発明者らは、少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bをソルボサーマル反応させることにより、熱電変換材料のナノ粒子を形成できることを見出した。また、本発明者らは、ソルボサーマル反応において、4.3超のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒を使用した場合、結果として得られる熱電変換材料の粒径が低下し、且つ副生成物の形成が実質的に抑制されることを見出した。それ故、本工程を実施することにより、小粒径を有し、且つ高い熱電変換性能を有する熱電変換材料を高収率で形成させることができる。
本明細書において、「Snyderの極性パラメーター」は、Snyderによって定義された、有機溶媒の極性を定量的に表現するためのパラメーターを意味する(L.R. Snyder, Journal of Chromatography A, 第92巻, p. 223-230, 1974年)。特定の有機溶媒についてのSnyderの極性パラメーター値は、例えば、公知文献(例えば、Wako Analytical Circle No. 11, 「クロマトQ & A」;又はhttp://www.sanderkok.com/techniques/elutropic_series_extended.html)に記載の値を参照する、或いは、前記文献に従って平衡定数を測定することにより、算出することができる。
本工程において、ソルボサーマル反応に使用される有機溶媒は、4.3超のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒であることが必要である。ソルボサーマル反応に使用される有機溶媒のSnyderの極性パラメーターは、4.5以上であることが好ましく、4.9以上であることがより好ましい。ソルボサーマル反応に使用される有機溶媒のSnyderの極性パラメーターの上限値は、特に限定されないが、大きい値であることが好ましい。有機溶媒のSnyderの極性パラメーターの上限値が大きい値である場合、ソルボサーマル反応における還元性を向上させることができる。また、粒子表面への相互作用が強くなり、結果として粒子成長を阻害することができる。前記下限値超のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒を用いて本工程を実施することにより、エタノールを用いるソルボサーマル反応を開示する特開2013-254924号公報(特許文献1)等の従来技術と比較して、小粒径を有する熱電変換材料を形成させることができる。特に、4.9以上のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒を用いて本工程を実施することにより、100 nm以下の平均粒径を有する熱電変換材料のナノ粒子を形成させることができる。
本工程において、ソルボサーマル反応に使用される有機溶媒は、アセトン、シクロヘキサノン、ジオキサン、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール若しくはメタノール又はそれらの混合物であることが好ましく、アセトン若しくはシクロヘキサノン、又はそれらの混合物であることがより好ましく、アセトンであることが特に好ましい。アセトンは、5.1のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒であり、シクロヘキサノンは、4.5のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒である。それ故、前記有機溶媒を用いて本工程を実施することにより、小粒径を有する熱電変換材料を形成させることができる。
本工程において使用される少なくとも1種の元素A及び/又は少なくとも1種の元素Bは、金属形態であってもよく、塩形態であってもよい。本工程において使用される少なくとも1種の元素A及び/又は少なくとも1種の元素Bが金属形態の場合、少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bは、前記有機溶媒中の分散液(例えばスラリー)の形態でソルボサーマル反応させることができる。本工程において使用される少なくとも1種の元素A及び/又は少なくとも1種の元素Bが塩形態の場合、少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bは、前記有機溶媒中の溶液又は分散液(例えばスラリー)の形態でソルボサーマル反応させることができる。前記少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bは、いずれも金属形態であることが好ましい。金属形態の少なくとも1種の元素A及び金属形態の少なくとも1種の元素Bを使用することにより、所望の組成を有する熱電変換材料を高収率で形成させることができる。
本工程において使用される少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bは、前記準備工程にしたがって準備することができる。
本工程は、前記少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素B、並びに前記有機溶媒に加えて、界面活性剤又は表面保護材等の1種以上の添加物の存在下で実施してもよく、添加物の非存在下で実施してもよい。本工程は、添加物を使用することなく、所望の粒径及び熱電変換性能を有する熱電変換材料を形成できることから、添加物の非存在下で実施することが好ましい。添加物の非存在下で本工程を実施することにより、低コストで所望の熱電変換材料を形成させることができる。
本工程において、ソルボサーマル反応させる温度は、200〜450℃の範囲であることが好ましく、200〜350℃の範囲であることがより好ましく、250〜350℃の範囲であることがさらに好ましい。ソルボサーマル反応させる圧力は、0〜20 MPaの範囲であることが好ましく、0.5〜15 MPaの範囲であることがより好ましい。また、ソルボサーマル反応させる時間は、1〜24時間の範囲であることが好ましく、5〜24時間の範囲であることがより好ましく、8〜12時間の範囲であることがさらに好ましい。前記条件で少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bをソルボサーマル反応させることにより、小粒径を有する熱電変換材料を形成させることができる。
本工程において、ソルボサーマル反応に使用される反応容器及び/又は反応制御装置等の手段は特に限定されない。本工程においては、オートクレーブのような当該技術分野でソルボサーマル反応に通常使用される装置を、反応容器及び反応制御装置として用いることができる。例えば、200〜250℃の範囲の温度でソルボサーマル反応させる場合、フッ素樹脂(例えばテフロン(登録商標))のような比較的安価な樹脂を用いたオートクレーブ装置を使用すればよく、250℃超且つ450℃以下の温度でソルボサーマル反応させる場合、ニッケル合金(例えばハステロイ(登録商標))のような耐熱・耐食合金を用いたオートクレーブ装置を使用すればよい。前記手段を用いることにより、特別な装置を準備することなく本工程のソルボサーマル反応を実施することができる。
[1-3:焼結工程]
本発明の方法は、場合により、前記ソルボサーマル工程によって得られる少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bを含有する熱電変換材料を焼結する、焼結工程を含むことができる。本工程により、前記熱電変換材料の一次粒子が凝集したバルク体の形態の熱電変換材料を形成させることができる。
本工程において、前記熱電変換材料を焼結する手段は特に限定されない。例えば、放電プラズマ焼結(SPS焼結)法又はホットプレス法のような当該技術分野で通常使用される焼結手段を適用することができる。本工程は、SPS焼結法を用いて実施することが好ましい。前記手段によって前記熱電変換材料の一次粒子を焼結することにより、該一次粒子が凝集したバルク体の形態の熱電変換材料を形成させることができる。
以上説明したように、本発明の方法を用いることにより、小粒径を有する熱電変換材料を高収率で製造することができる。本発明の方法によって製造された小粒径を有する熱電変換材料、特に小粒径を有する一次粒子が凝集したバルク体の形態の熱電変換材料は、高い熱電変換性能を有する。それ故、本発明の方法は、高性能の熱電変換素子の製造に有用である。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<I:ソルボサーマル反応による熱電変換材料の製造及び分析>
[I-1:合金の製造]
元素AとしてBiを、元素BとしてTe及びSeを、それぞれ用いた。元素Aの塩(BiCl3)、元素Bの塩(TeCl4及びSeCl4)、並びに還元剤(NaBH4)を、溶媒(エタノール)中に加えた。前記溶液を混合することによる液相還元法によって塩形態の元素A及びBを還元して、金属形態の元素A及びBのスラリー(約20 g)を得た。得られた金属形態の元素A及びBのスラリーを、所定の有機溶媒を用いて溶媒置換した。その後、金属形態の元素A及びBの有機溶媒中のスラリー(約16 g)と、所定の有機溶媒(200 ml)とを、オートクレーブ(オーエムラボテック社製、MMJ-500)に充填して、該オートクレーブ中で、270℃で10時間ソルボサーマル反応させた。ソルボサーマル反応後、得られたスラリーを、窒素気流下で乾燥させて、粉末形態の熱電変換材料の合金粒子(一次粒子)を得た(15 g)。得られた粉末形態の熱電変換材料の合金粒子を、SPS焼結法によって焼結し、バルク体の形態の熱電変換材料を得た。
[I-2:合金の物性分析]
前記手順によって得られた熱電変換材料の合金粒子について、SEM観察及びXRD測定を行った。各合金粒子のSEM画像から任意に選択した30個の粒子の粒径の平均値を算出して、各合金粒子の平均粒径とした。また、各合金粒子のXRDから、目的物及び副生成物の組成を同定した。さらに、バルク体の形態の各合金粒子の熱伝導率を測定した。
<II:結果>
ソルボサーマル反応に使用した有機溶媒及びそのSnyderの極性パラメーター値と、得られた合金粒子の平均粒径及び副生成物とを表1に示す。表中、Snyderの極性パラメーターは、公知文献(Wako Analytical Circle No. 11, 「クロマトQ & A」;又はhttp://www.sanderkok.com/techniques/elutropic_series_extended.html)に記載の値に基づき記載した。
Figure 0006285345
表1に示すように、各合金粒子のXRDから、実施例1及び2、並びに比較例1では、元素AとしてBiを、元素BとしてTe及びSeを、それぞれ含有する合金が合成されており、且つ検出可能な量の副生成物は形成されなかったことを確認した。これに対し、3.9以下のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒を用いてソルボサーマル反応を行った比較例2〜4では、元素AとしてBiを、元素BとしてTe及びSeを、それぞれ含有する合金は合成されているものの、酸化物又は炭酸塩のような副生成物が形成されたことを確認した。特に、2.4以下のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒を用いてソルボサーマル反応を行った比較例3及び4では、未反応のTeが残留していることを確認した。前記の結果から、4.3以上のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒を用いてソルボサーマル反応を行うことにより、純粋な合金が得られることが明らかとなった。
実施例1及び2、並びに比較例1におけるソルボサーマル反応に使用した有機溶媒のSnyderの極性パラメーター値と、結果として得られた合金粒子の平均粒径との関係を図1に示す。また、実施例1及び2、並びに比較例1で得られた合金粒子のSEM画像を図2、3及び4にそれぞれ示す。
図1に示すように、4.3超のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒を用いてソルボサーマル反応を行った実施例1及び2の場合、特開2013-254924号公報(特許文献1)に記載の方法のようにエタノールを用いてソルボサーマル反応を行った比較例1と比較して、平均粒径の小さい合金粒子が得られた。特に、実施例1のように、4.9以上のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒を用いてソルボサーマル反応を行うことにより、100 nm以下の平均粒径を有する合金のナノ粒子が得られることが明らかとなった。
実施例1及び2、並びに比較例1におけるソルボサーマル反応に使用した有機溶媒のSnyderの極性パラメーター値と、SPS焼結法によって得られたバルク体の形態の合金粒子の格子熱伝導率との関係を図5に示す。
図5に示すように、4.3超のSnyderの極性パラメーターを有する有機溶媒を用いてソルボサーマル反応を行った実施例1及び2の場合、特開2013-254924号公報(特許文献1)に記載の方法のようにエタノールを用いてソルボサーマル反応を行った比較例1と比較して、格子熱伝導率の小さい合金粒子が得られることが明らかとなった。

Claims (1)

  1. Biである少なくとも1種の元素Aと、Te及びSeである少なくとも1種の元素Bとを、アセトン若しくはシクロヘキサノン、又はそれらの混合物中でソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含む、少なくとも1種の元素A及び少なくとも1種の元素Bを含有する熱電変換材料の製造方法。
JP2014247193A 2014-12-05 2014-12-05 ソルボサーマル法を用いる熱電変換材料の製造方法 Expired - Fee Related JP6285345B2 (ja)

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