JP6283193B2 - 荷重支持機構 - Google Patents

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Description

本発明は、様々な物品等の荷重を支持するための支持機構に関し、特に対象の物品を所望の位置にかつ変位可能に支持するための荷重支持機構に関する。
従来より、コンピューターやテレビのモニター装置、OA机や作業テーブルの天板、重量物等の物品を所望の高さ位置にかつ昇降可能に支持するために、様々な支持機構が提案されている。例えば、モニター装置を上下に移動でき、一定の支持力で位置決めできるモニター装置支持機構が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1記載のモニター装置支持機構は、少なくとも1つのカムと、少なくとも1つのカム従動部材と、ばね等のエネルギー保存部材と、モニター装置を取り付けるための移動体とを備える。このモニター装置支持機構は、固定された基台に沿って移動体が移動すると、ばねがカムによって圧縮/伸張し、該ばねに保存される弾性エネルギーが増加/減少する。前記ばねのばね力は、カム従動部材に対するカム面からの反力に変換され、この反力には、移動体の移動方向への第1成分と、それに略直交する第2成分とが含まれる。カムの形状は、ばねの圧縮/伸張によって第2成分が増加/減少しても、移動方向への第1成分が一定に保たれ、移動体及びモニター装置に対して略一定の支持力が作用するように設計される。
特許文献1によれば、このようなばねとカム形状との組み合わせによって、移動中の移動体及びモニターをその移動方向に付勢する力は略一定に保たれる。従って、移動体又はモニター装置に手で僅かな力を加えると、モニター装置を簡単に移動でき、前記力を解除すると、移動体及びモニター装置はその新たな支持位置に定位する。
特開2002−303304号公報
この種の物品支持機構は、実用上の観点から見て、構造が簡単で部品点数が少なく、小型かつ軽量に構成することが好ましい。ところが、特許文献1に記載のモニター装置支持機構では、エネルギー保存部材のコイルばねが、その軸方向をモニター装置の移動方向と略直交させた向きに配置され、そのばね力で、移動体に回転可能に取り付けられた腕部材の先端のカム従動部材をカム面に押圧している。モニター装置を支持する力は、カム従動部材に対するカム面からの反力の全部ではなく、移動体の移動方向の第1成分によってのみ得られる。
そのため、エネルギー保存部材として、移動体及びモニター装置の重量よりも相当大きいばね力を発揮し得る大型のコイルばねが必要である。しかも、このコイルばねは、カムの前側及び/又は背後に配置されている。その結果、特許文献1のモニター装置支持機構は、装置全体が特に奥行き方向に大型化し、構造が複雑になるから、小型化・軽量化を図ることは困難である。
更に、特許文献1に記載のモニター装置支持機構は、モニター装置の支持力がばねとカム形状との組み合わせによって決定されるから、重量の異なるモニター装置を支持するためには、ばねとカム形状とを取り替えたり支持機構自体を交換することが必要になる。そのため、支持する対象物品の重量毎に個別の支持機構又は構成部品を用意しなければならず、価格も高くなるという問題が生じる。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、物品等の荷重を支持するための荷重支持機構であって、構造が比較的簡単で部品点数が少なく、小型かつ軽量であり、構成部品や装置全体を取り替えることなく、荷重の異なる対象物品を所望の位置にかつ変位可能に支持することができる荷重支持機構を提供することにある。
本発明の荷重支持機構は、固定部材に関して所定の移動方向に沿って所定の範囲で移動可能な、荷重を支持するための支持部材と、
その一端が固定部材に固定され、かつ他端が前記荷重に抗して支持部材にその移動方向に沿った向きに付勢力を発揮するばね部材と、
支持部材又はばね部材の少なくともいずれか一方に、前記付勢力の方向に関して所定の角度で傾斜するように設けられ、支持部材とばね部材の他端との間で前記荷重及び付勢力を伝達しかつそれらと共に前記移動方向に沿って変位する第1カム面と、
固定部材に、前記付勢力の方向に関して所定の角度で傾斜するように設けられた第2カム面と、
第1カム面及び第2カム面に当接し、第1カム面と第2カム面との間に保持されるカムフォロアと、
固定部材に設けられ、前記荷重及び/又は付勢力に対して第1カム面に前記付勢力の方向と直交する向きにその変位を規制する反力を発生する側方支持部とを備え、
第2カム面のカムフォロアへの押圧力が、支持部材の移動可能な前記所定の範囲においてその位置によって発生する前記付勢力の方向に沿った第1方向の成分と、少なくとも前記付勢力の方向に直交する第2方向の成分とを含み、
ばね部材の前記一端がその位置を前記付勢力の方向に沿って調節可能であり、
第1カム面及び第2カム面が、ばね部材の前記一端の位置を調節しても、カムフォロア周りに作用する前記荷重とばね部材の付勢力と第2カム面のカムフォロアへの押圧力と側方支持部の第1カム面への反力とが、支持部材の移動可能な前記所定の範囲において平衡するように設計されていることを特徴とする。
ここで、「平衡」とは、本願明細書を通して、或る物体又は部材(例えば、カムフォロア)にいくつかの外力が作用しているときに、それらの合力が0であり、その結果、その物体又は部材が静止している状態にあることをいうものとする。また、前記物体又は部材に作用する外力には、該物体又は部材と他の物体又は部材との間に発生する摩擦力、該物体又は部材に前記外力を作用させる他の物体又は部材において発生する摩擦力が含まれる。
このような構成において、第1カム面からカムフォロアへの押圧力は、前記付勢力の方向に沿った第1方向の成分と、それに直交する第2方向の成分とを含み、この第2方向の成分は側方支持部の第1カムへの反力である。従って、カムフォロア周りに作用する前記力が平衡状態にあるとき、前記付勢力の方向には、前記荷重と、ばね部材の付勢力と、第2カム面のカムフォロアへの押圧力の第1方向の成分とが平衡し、前記付勢力の方向に直交する方向には、側方支持部の第1カム面への反力、即ち第1カムからカムフォロアへの押圧力の第2方向の成分と、第2カム面のカムフォロアへの押圧力の第2方向の成分とが平衡している。
通常、ばね部材の付勢力はその変位によって変動するから、支持部材の位置によって荷重より小さく又は大きくなる。本発明によれば、カムフォロア周りで前記荷重、付勢力、押圧力及び反力が平衡状態にあるとき、前記付勢力の方向において、第2カム面のカムフォロアへの押圧力の第1方向の成分が、ばね部材の付勢力が荷重より小さい場合は、これを補助する向きに作用し、荷重より大きい場合は、これを削減する向きに作用することになる。従って、支持部材の移動可能な所定の範囲において、荷重を支持した状態で支持部材を所望の位置に保持しかつ少ない力で簡単に移動させることができる。
しかも、本発明の荷重支持機構は、ばね部材の前記一端の位置を前記付勢力の方向に沿って調節することによって、ばね部材の初期付勢力を調整でき、異なる大きさの荷重に対しても、第1カム面及び第2カム面がカムフォロア周りにおける前記平衡状態を維持するので、支持部材を所望の位置に静止させかつ移動可能に保持することができる。しかも、荷重の大きさの変動に対して、第1カム面、第2カム面又はばね部材を取り替えたり装置全体を交換する必要がないから、有利である。
また、ばね部材は、支持部材の全移動範囲において荷重を超える大きさの付勢力を発揮する必要が無い。従って、比較的小型で軽量なものを採用することが可能であり、装置全体の小型化、軽量化を図ることができる。
或る実施態様では、第2カム面が、支持部材の移動可能な前記所定の範囲において、第2カム面のカムフォロアへの押圧力の第1方向の成分が前記付勢力の方向に作用する第1の領域と、該第2カム面のカムフォロアへの押圧力の第1方向の成分が前記付勢力の方向とは逆向きに作用する第2の領域とを有する。このように構成すると、第2カム面の前記付勢力の方向に対する傾きの大きさは、第1の領域又は第2の領域の一方が過度に大きくなったり小さくなることがない。従って、支持部材を所望の位置に移動させる際に、カムフォロアを第2カム面の全体に亘って円滑に従動させることができる。
別の実施態様では、前記荷重支持機構は、第1カム面が、支持部材と一体に移動方向に沿って変位するように設けられた支持部材のカム面と、ばね部材の他端と一体に移動方向に沿って変位するように設けられたばね部材の他端のカム面とからなり、支持部材のカム面とばね部材の他端のカム面とがそれぞれカムフォロアに当接し、かつ該カムフォロアを挟んで互いに対向し、第2カム面との間で前記カムフォロアを保持する。
図1は、本発明による荷重支持機構の実施態様の斜視図である。 図2は、本実施態様の分解斜視図である。 図3は、標準モードで載置プレートが最上位置にある本実施態様の縦断面図である。 図4は、図3のIV-IV線における断面図である。 図5は、図3における要部間の関係を説明する図である。 図6は、載置プレートが中間位置にある場合の図5と同様の説明図である。 図7は、載置プレートが最下位置にある場合の図5と同様の説明図である。 図8は、軽量モードにおける図3と同様の縦断面図である。 図9は、重量モードにおける図3と同様の縦断面図である。
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施態様を詳細に説明する。尚、添付図面において、本明細書全体を通して類似の構成要素には、同様の参照符号を付して表すこととする。
図1及び図2は、本発明による荷重支持機構の好適実施態様である物品支持装置1を概略的に示している。同図に示すように、本実施態様の物品支持装置1は、基部部材2と、支持部材3と、圧縮コイルばねからなるばね部材4と、ばね力伝達部材5と、カムフォロア部材7とを備える。更に物品支持装置1は、ナット付きばね座板6と調節ねじ軸10とを組み合わせてなる、後述する直線作動機構を備える。
基部部材2は、垂直方向に延長しかつ上向きに開口する矩形筒状の固定コラム8を有する。固定コラム8の下端には、物品支持装置1を床面や作業台面に設置するために、ベースプレート9が一体に設けられている。
支持部材3は、垂直方向に延長しかつ下向きに開口する矩形筒状の可動コラム11と、所望の物品を載置するために可動コラム11の上端に一体に設けられた載置プレート12とを有する。載置プレート12の上面中央には、前記物品を位置決めするための位置決めピン13が突設されている。可動コラム11の対向する1対の側面11aには、可動コラム11の長手方向に関して斜めに、該可動コラムの略全幅に亘って延長する同一形状かつ寸法の1対の第1カム溝14が、対向位置に形成されている。各第1カム溝14は、可動コラム11の中心軸に関して所定の角度で直線状に傾斜する内周上側の端面からなる下向きカム面15を有する。
ばね力伝達部材5は、垂直方向に延長しかつ下向きに開口する短い八角形筒状のスライド部16と、該スライド部の上端に一体に設けられた同一形状かつ寸法の1対のカム17とを有する。カム17は、互いにかつスライド部16の対向する或る1対の側面16aと平行に、該スライド部の中心軸に関して鏡面対称に配置された平板カムである。各カム17は、スライド部16の略全幅に亘って延長し、該スライド部の中心軸に関して所定の角度で直線状に傾斜する上端面からなる上向きカム面18を有する。
図3及び図4に示すように、支持部材3の可動コラム11の内孔11b内には、ばね力伝達部材5が、内孔11bの各内面にスライド部16の隣接する外側面を摺接させて、上下方向に相対的に摺動可能に挿入されている。ばね力伝達部材5は、可動コラム11の中心軸に関して、各カム17とそれに対応する前記可動コラムの第1カム溝14とがそれぞれ同じ側になるように配置される。このとき、下向きカム面15と上向きカム面18とは、互いに傾斜方向を逆向きにして対向するように配置される。
固定コラム8の対向する1対の側面8aには、それぞれ上下方向に延長する同一形状かつ寸法の第2カム溝21が、対向位置に形成されている。第2カム溝21は、その内周の図3において左側、即ち上向きカム面18及び下向きカム面15を向いた側の端面からなる横向きカム面22を有する。横向きカム面22は、その上端から下端まで全長に亘って又は部分的に接線方向の傾きが変化するように、図中右向きに即ち上向きカム面18及び下向きカム面15を向いて凸状に湾曲している。
カムフォロア部材7は、例えば金属製の真直ぐな円形ロッドからなり、その外周には、前記ロッドの軸線方向に沿って複数の同一外径の転がり軸受が嵌装されている。これにより、カムフォロア部材7は、後述するように前記各軸受を上向きカム面18、下向きカム面15及び横向きカム面22にそれぞれ当接させて円滑に転動することができる。別の実施例では、前記軸受を省略することもできる。
ばね座板6は、固定コラム8の内孔8bの断面と略同じ矩形形状及び寸法を有する平板状をなし、その上面には、ばね部材の下端を受けるために円形の浅いばね受け面6aが凹設されている。ばね座板6の中央には、雌ねじ部を有するナット部19が垂直上向きに一体に立設されている。更にばね座板6には、一方の側辺の中央から小さい突起20が外向きに突設されている。
調節ねじ軸10は、比較的長いねじ部23と、六角柱状の頭部24とを有する。図3に示すように、固定コラム8の内孔8b底板には、その中央に調節ねじ軸10の軸部の外径より僅かに大径の貫通孔25が形成されている。調節ねじ軸10は、ねじ部23を貫通孔25に下側から上向きに挿通し、内孔8b側から前記ねじ部の基端に2個の止めナット28を螺着させたダブルナットで抜け止めすることによって、内孔8bの前記底板に回動自在に取り付けられている。
固定コラム8には、側面8aに隣接する一方の側壁8cの内面にその上端から下端まで垂直方向に延長するガイド溝29が凹設されている。ばね座板6は、固定コラム8の内孔8b内に、各側辺を前記内孔の内壁に整合させ、かつ突起20をガイド溝29に嵌合させて、ナット部19を調節ねじ軸10のねじ部23に螺合させて配置される。ばね座板6は、内孔8b内でその内壁により各側辺が拘束されて回転できないので、調節ねじ軸10を回転させると、その向きに応じて上下に移動する。このように、本実施態様によれば、ばね座板6の高さ位置を連続的に調節するための前記直線作動機構が得られる。
調節ねじ軸10を回動させる際、止めナット25は、固定コラム8の内孔8b底面に摺接しつつ、前記調節ねじ軸と一体に回動する。止めナット25と内孔8b底面との間に、低摩擦ワッシャやスラスト軸受等の適当な摩擦低減手段を介装すると、調節ねじ軸10の円滑な回動を妨げる摩擦や接触面の摩耗が解消又は低減されるので、好都合である。
固定コラム8のガイド溝29には、その下部に真直な溝からなる貫通窓30が開設されている。この貫通窓30を通して、ばね座板6の突起20を外側から容易に見ることができる。突起20がばね座板6と共にガイド溝29内を上下に移動することにより、貫通窓30から前記ばね座板の高さ位置を判断することができる。
固定コラム8の側面8cには、貫通窓30に沿って、物品支持装置1に適用する荷重の大きさに対応してばね座板6の高さ位置を表示する目盛りを付することが好ましい。例えば、物品支持装置1に載置可能な物品の荷重が1.5〜2.5kgに設定されていれば、その範囲に合わせて貫通窓30を形成し、対応する目盛り及び/又は数字の表示を設ければよい。
基部部材2の固定コラム8の内孔8bには、ばね部材4が、その下端をばね座板6のばね受け面6aに当接させて、垂直方向に伸縮するように配置されている。ばね力伝達部材5を内孔11b内に装着した可動コラム11が、ばね部材4の上方から固定コラム8の内孔8bに上下方向に相対的に移動可能に挿入される。ばね力伝達部材5は、スライド部16の内孔16a上端面にばね部材4の上端を当接させて、該ばね部材により上向きに付勢されるように装着されている。
固定コラム8の上端には、左右1対のガイドローラー26が、可動コラム11の第1カム溝14を設けた側面11aに直交する他の対向する1対の側面11bに当接するように設けられている。更に可動コラム11の下端の各角部には、ガイドローラー27が、それぞれ側面11bに隣接する固定コラム8の内孔8bの内面に当接するように設けられている。これらのガイドローラー26,27を介して、可動コラム11は固定コラム8によって左右方向に両側から支持されるので、該固定コラムに対して左右にガタついたり変位することなく、上下方向に円滑に移動することができる。
カムフォロア部材7は、第1カム溝14及び第2カム溝21を挿通してカム17の上側に水平に配置され、その外周面が下向きカム面15、上向きカム面18及び横向きカム面22と当接するように装着される。このとき、カムフォロア部材7の前記ロッドに嵌装される前記転がり軸受は、下向きカム面15に対して転がり軸受71、上向きカム面18に対して転がり軸受72、及び横向きカム面22に対して転がり軸受73をそれぞれ配置し、対応する前記カム面に個別に当接させる。また、第2カム溝22から外側に突出するカムフォロア部材7の両端には、適当な止め輪を装着して抜け止めすることが好ましい。
本実施態様では、第2カム溝21におけるカムフォロア部材7の上下方向の移動範囲が、支持部材3即ち載置プレート12の上下ストロークである。この範囲内で、載置プレート12上の物品Aを昇降し、所望の高さ位置で静止させ、かつその位置に保持することができる。
次に、物品支持装置1の動作及び機能について説明する。以下の説明では、上述したように物品支持装置1に載置可能な物品の荷重を1.5〜2.5kgの範囲と仮定し、該物品の荷重が2kgの場合を標準モード、最小使用荷重1.5kgの場合を軽量モード、最大使用荷重2.5kgの場合を重量モードとする。
また、第2カム溝21の横向きカム面22は、カムフォロア部材7との当接位置によって次の3つの領域は分けられる。第1領域S1は、カムフォロア部材7との接点における法線方向が水平方向に関して上向きの領域である。第2領域S2は、前記カムフォロア部材との接点における法線方向が実質的に水平方向の領域である。別言すれば、第2領域S2は、前記カムフォロア部材との接点における接線方向が実質的に垂直方向の領域である。ここで、実質的とは、完全な水平方向よりも僅かに上向き又は下向きであるが、その程度は、本発明の作用効果上又は本実施態様の物品支持装置1の動作もしくは機能上無視できるほどに小さく、水平方向と見なし得る場合を含むという意味である。また、第3領域S3は、カムフォロア部材7との接点における法線方向が水平方向に関して下向きの領域である。
図3は、標準モードにおいて、荷重Wの物品Aを載せた載置プレート12が最上位置にある場合を示している。カムフォロア部材7は、横向きカム面22の第1領域S1の上限位置で静止している。
図5は、この上限位置においてカムフォロア部材7、固定コラム8、可動コラム11及びばね力伝達部材5からなる系に作用する力の平衡状態を模式的に示している。尚、説明を簡単化するため、支持部材3及びばね力伝達部材5の荷重、可動コラム11と固定コラム8及び前記ばね力伝達部材との間の摩擦力は省略する。実際の設計では、これらの要素を考慮しなければならないことは言うまでもなく、前記支持部材及びばね力伝達部材の荷重を、前記カムフォロア部材、固定コラム、可動コラム、ばね力伝達部材及びカムプレートからなる系に作用する力に加え、それらの合力が、前記可動コラムと固定コラム及び前記ばね力伝達部材との間で発生する摩擦力より小さければ、前記平衡状態は保たれる。
ここで、ばね定数kの圧縮コイルばねからなるばね部材4のばね力Fsは、前記圧縮コイルばねの軸方向の変位x(ばねの自由長即ち無負荷状態の長さからの変位:ここでは、圧縮方向に正とする)についてFs=k・xで表される。物品Aを最上位置で支持できるように、前記ストロークの上限位置において、前記圧縮コイルばねは、自由長から所定の初期変位量x0だけ予め圧縮され、既に垂直方向上向きに初期ばね力(Fs0=k・x0)を発揮しているように構成されている。これは、支持する荷重に合わせて、調節ねじ軸10を回転させてばね座板6の高さ位置を変化させた場合も同様である。
図5において、カムフォロア部材7と下向きカム面15との接点Paでは、物品Aの荷重Wと、カムフォロア部材7から下向きカム面15の法線方向に作用する反力Raと、固定コラム8から可動コラム11に作用する水平方向の反力Rd1とが平衡している。反力Raの垂直方向成分Ra1の大きさは荷重Wの大きさに等しく、水平方向成分Ra2の大きさは固定コラム8からの反力Rd1に等しい。下向きカム面15からカムフォロア部材7を押圧する力Faは、荷重Wと反力Rd1との合力である。
カムフォロア部材7と上向きカム面18との接点Pbでは、ばね部材4のばね力Fsと、カムフォロア部材7から上向きカム面18の法線方向に作用する反力Rbと、固定コラム8から可動コラム11を介してばね力伝達部材5に水平方向に作用する反力Rd2とが平衡している。反力Rbの垂直方向成分Rb1の大きさはばね力Fsに等しく、水平方向成分Rb2の大きさは固定コラム8の反力Rd2に等しい。上向きカム面18からカムフォロア部材7を押圧する力Fbは、ばね力Fsと反力Rd2との合力である。
カムフォロア部材7と横向きカム面22との接点Pcでは、カムフォロア部材7に下向きカム面15及び上向きカム面18から作用する力Fa、Fbと、横向きカム面22から法線方向に作用する反力Rcとが平衡している。カムフォロア部材7は横向きカム面22の第1領域S1内にあるので、反力Rcは上向きの垂直方向成分Rc1を有する。反力Rcの水平方向成分Rc2の大きさは、可動コラム11及びばね力伝達部材5が固定コラム8から受ける反力Rd1と反力Rd2との合計である。
カムフォロア部材7が横向きカム面22上の或る位置で静止しているとき、荷重Wとばね力Fsと反力Rcの垂直方向成分Rc1との間には、力の作用方向を垂直方向上向き正として、次の関係が理論上常に成立する。
W+Fs+Rc1=0
尚、実際の設計では、前述したように各部材の間で摩擦力が発生し、この関係式で表す合力が0でなく、僅かに値を持っていたとしても、その合力が前記各部材間の摩擦力よりも小さければ、平衡状態が保たれる。
図3の場合、ばね部材4のばね力Fsが最小の初期ばね力(Fs0=k・x0)であり、荷重Wの大きさよりも小さい。そこで、ばね力Fsに、横向きカム面22から上向きに作用している反力Rcの垂直方向成分Rc1をアシスト力として加えることによって、垂直方向に荷重Wとの平衡を実現している。この状態では、物品A又は載置プレート12を手で押し下げると、その押し下げ力が荷重Wに付加されて、前記平衡が崩れるため、該物品を比較的小さい力で簡単に下降させることができる。
載置プレート12を下降させると、カムフォロア部材7は、前記横向きカム面、下向きカム面及び上向きカム面に沿って左右方向に変位しながら、下方に移動する。カムフォロア部材7が横向きカム面22の第1領域S1の範囲内にある間、反力Rcの上向きの垂直方向成分Rc1がばね力Fsを、荷重Wと平衡させるように作用する。
ばね部材4のばね力Fsは、カムフォロア部材7に押圧されてばね力伝達部材5が下方に移動し、前記圧縮コイルばねの変位が大きくなるのに対応して増大する。ばね力Fsの増大に伴って、横向きカム面22からの反力Rcの垂直方向成分Rc1によるアシスト力も小さくて済むようになる。従って、横向きカム面22の接線方向の垂直方向に対する傾きも、下方に行くほど小さくなる。
下向きカム面15及び上向きカム面18からの押圧力によってカムフォロア部材7が横向きカム面22を水平方向に押圧する力が大きくなるほど、反力Rcの水平方向成分Rc2が大きくなり、従って反力Rc及びその垂直方向成分Rc1が大きくなる。反力Rd1及び反力Rd2は、それぞれ下向きカム面15及び上向きカム面18の垂直方向に対する傾きを小さくすれば大きくなり、大きくすれば小さくなる。下向きカム面15及び上向きカム面18の垂直方向に対する傾きを調整することによって、横向きカム面22に対する適当な押圧力が得られる。
別言すれば、横向きカム面22の反力Rcは、該横向きカム面に対する水平方向の押圧力が大きいと、前記横向きカム面の垂直方向に対する傾きを小さくしても、同じ大きさの垂直方向成分Rc1、即ちばね力Fsへの垂直方向上向きのアシスト力が得られる。横向きカム面22は、垂直方向に対する傾きが小さくなると、それだけ緩い即ち湾曲の小さい横向き凸形状に設計することができる。
逆に、下向きカム面15及び/又は上向きカム面18の垂直方向に対する傾きを大きくしたり、下向きカム面15又は上向きカム面18の一方を省略することによって、横向きカム面22に対する水平方向の押圧力が小さくなると、それだけ横向きカム面22の反力Rcは小さくなる。ここで、同じ大きさの上向き垂直方向成分Rc1を得るためには、横向きカム面22の垂直方向に対する傾きを大きくしなければならず、それだけきつい即ち湾曲の大きい横向き凸形状になる。
標準モードにおいて、荷重Wの物品Aを載せた載置プレート12を図3の最上位置から中間位置まで押し下げたとき、カムフォロア部材7は、図3に想像線7′で示すように、横向きカム面22の第2領域S2の範囲内に位置する。図6は、この中間位置において、カムフォロア部材7、固定コラム8、可動コラム11及びばね力伝達部材5からなる系に作用する力の平衡状態を模式的に示している。同様に簡単化のため、支持部材3及びばね力伝達部材5の荷重、可動コラム11と固定コラム8及び前記ばね力伝達部材との間の摩擦力は省略して説明する。
図5の場合と同様に、カムフォロア部材7と下向きカム面15との接点Paでは、物品Aの荷重Wと、カムフォロア部材7から下向きカム面15の法線方向に作用する反力Raと、固定コラム8から可動コラム11に作用する水平方向の反力Rd1とが平衡している。反力Raの垂直方向成分Ra1の大きさは荷重Wと等しく、水平方向成分Ra2の大きさは固定コラム8の反力Rd1と等しい。カムフォロア部材7に下向きカム面15から作用する力Faは、荷重Wと反力Rd1との合力である。
カムフォロア部材7と上向きカム面18との接点Pbでは、ばね部材4のばね力Fsと、カムフォロア部材7から上向きカム面18の法線方向に作用する反力Rbと、固定コラム8から可動コラム11を介してばね力伝達部材5に作用する水平方向の反力Rd2とが平衡している。反力Rbの垂直方向成分Rb1の大きさはばね力Fsと等しく、水平方向成分Rb2の大きさは固定コラム8の反力Rd2と等しい。カムフォロア部材7に上向きカム面18から作用する力Fbは、ばね力Fsと反力Rd2との合力である。
カムフォロア部材7と横向きカム面22との接点Pcでは、カムフォロア部材7に下向きカム面15及び上向きカム面18から作用する力Fa、Fbと、横向きカム面22から法線方向に作用する反力Rcとが平衡している。この場合、カムフォロア部材7は横向きカム面22の第2領域S2内にあるので、反力Rcは、実質的に水平方向成分だけであり、垂直方向成分を有していない。反力Rcの大きさは、可動コラム11及びばね力伝達部材5に固定コラム8から作用する反力Rd1と反力Rd2との合計である。
このようにカムフォロア部材7が横向きカム面22の第2領域S2の範囲に位置するとき、垂直方向にばね部材4のばね力Fsと荷重Wとが実質的に平衡している。従って、ばね力Fsは、横向きカム面22からの反力Rcによるアシスト力を必要としない。この状態でも、物品A又は載置プレート12を手で押し下げ又は押し上げることによって、その力が荷重W又はばね力Fsに付加されて、前記平衡が崩れるため、該物品を比較的小さい力で簡単に昇降させることができる。
同じく標準モードにおいて、荷重Wの物品Aを載せた載置プレート12を最下位置まで押し下げたとき、カムフォロア部材7は、図3に想像線7″で示すように、横向きカム面22の第3領域S3の下限位置で静止する。図7は、この下限位置においてカムフォロア部材7、固定コラム8、可動コラム11及びばね力伝達部材5からなる系に作用する力の平衡状態を模式的に示している。同様に簡単化のため、支持部材3及びばね力伝達部材5の荷重、可動コラム11と固定コラム8及び前記ばね力伝達部材との間の摩擦力は省略して説明する。
同図において、カムフォロア部材7と下向きカム面15との接点Paでは、物品Aの荷重Wと、カムフォロア部材7から下向きカム面15の法線方向に作用する反力Raと、固定コラム8から可動コラム11に水平方向に作用する反力Rd1とが平衡している。反力Raの垂直方向成分Ra1の大きさは荷重Wと等しく、水平方向成分Ra2の大きさは固定コラム8の反力Rd1と等しい。下向きカム面15からカムフォロア部材7を押圧する力Faは、荷重Wと反力Rd1との合力である。
カムフォロア部材7と上向きカム面18との接点Pbでは、ばね部材4のばね力Fsと、上向きカム面18の法線方向にカムフォロア部材7からの反力Rbと、固定コラム8から可動コラム11を介してばね力伝達部材5に水平方向に作用する反力Rd2とが平衡している。反力Rbの垂直方向成分Rb1の大きさはばね力Fsと等しく、水平方向成分Rb2の大きさは固定コラム8の反力Rd2と等しい。上向きカム面18からカムフォロア部材7を押圧する力Fbは、ばね力Fsと反力Rd2との合力である。
カムフォロア部材7と横向きカム面22との接点Pcでは、カムフォロア部材7に下向きカム面15及び上向きカム面18から作用する力Fa、Fbと、横向きカム面22から法線方向に作用する反力Rcとが平衡している。カムフォロア部材7は横向きカム面22の第3領域S3内にあるので、反力Rcは下向きの垂直方向成分Rc1を有する。反力Rcの水平方向成分Rc2の大きさは、可動コラム11及びばね力伝達部材5が固定コラム8から受ける反力Rd1と反力Rd2との合計である。
カムフォロア部材7が横向きカム面22の第3領域S3の下限位置にあるとき、ばね部材4の変位が最大で、ばね力Fsが最大であり、その大きさは荷重Wよりも大きい。そこで、横向きカム面22から下向きに作用している反力Rcの垂直方向成分Rc1が、ばね力Fsによる上向きの付勢力即ち押し上げ力を削減する向きに作用することによって、垂直方向に荷重Wとの平衡を実現している。
この状態でも、物品A又は載置プレート12を手で押し上げると、その押し上げ力がばね力Fsに付加されて、前記平衡が崩れるため、該物品を比較的小さい力で簡単に上昇させることができる。載置プレート12を上昇させると、カムフォロア部材7は、横向きカム面22、下向きカム面15及び上向きカム面18に沿って左右方向に変位しながら、上方へ移動する。カムフォロア部材7が横向きカム面22の第3領域S3の範囲内にある間、反力Rcの下向きの垂直方向成分Rc1は、ばね部材4のばね力Fsによる押し上げ力を減じて荷重Wと平衡させる向きに作用する。
ばね部材4のばね力Fsは、カムフォロア部材7に抗してばね力伝達部材5が上方に移動し、前記圧縮コイルばねの変位が小さくなるのに対応して減少する。これに伴って、横向きカム面22からの反力Rcの垂直方向成分Rc1も、小さくて済むようになる。従って、横向きカム面22の接線方向の垂直方向に対する傾きも、上方に行くほど小さくなる。
第3領域S3においても、下向きカム面15及び上向きカム面18からの押圧力によってカムフォロア部材7が横向きカム面22を水平方向に押圧する力が大きくなるほど、反力Rcの水平方向成分Rc2が大きくなり、従って反力Rc及びその垂直方向成分Rc1が大きくなる。同様に、反力Rd1及び反力Rd2は、それぞれ下向きカム面15及び上向きカム面18の垂直方向に対する傾きを小さくすれば大きくなり、大きくすれば小さくなる。下向きカム面15及び上向きカム面18の垂直方向に対する傾きを調整することによって、横向きカム面22に対する適当な押圧力が得られる。
別言すれば、横向きカム面22の反力Rcは、該横向きカム面に対する水平方向の押圧力が大きいと、前記横向きカム面の垂直方向に対する傾きを小さくしても、同じ大きさの垂直方向成分Rc1、即ち前記押し上げ力を削減する垂直方向下向きの力が得られる。横向きカム面22は、垂直方向に対する傾きが小さくなると、それだけ緩い即ち湾曲の小さい横向き凸形状に設計することができる。
逆に、下向きカム面15及び/又は上向きカム面18の垂直方向に対する傾きを大きくしたり、下向きカム面15又は上向きカム面18の一方を省略することによって、横向きカム面22に対する水平方向の押圧力が小さくなると、それだけ横向きカム面22の反力Rcは小さくなる。ここで、同じ大きさの下向き垂直方向成分Rc1を得るためには、横向きカム面22の垂直方向に対する傾きを大きくしなければならず、それだけきつい即ち湾曲の大きい横向き凸形状になる。
横向きカム面22全体を見ると、垂直方向に対して傾斜した下向きカム面15と上向きカム面18とによって、カムフォロア部材7が横向きカム面22を水平方向に押圧する力を適当な大きさに設定することにより、必要かつ十分な大きさの垂直方向成分Rc1を確保しつつ、第1〜第3領域S1〜S3を通して緩やかな即ち湾曲の小さい横向き凸形状にすることができる。これによって、第2カム溝21及び固定コラム8の水平方向の寸法を比較的小さくすることができ、物品支持装置1自体の小型化が図られる。
本実施態様によれば、横向きカム面22の全領域で、カムフォロア部材7、固定コラム8、可動コラム11及びばね力伝達部材5からなる系に作用する物品Aの荷重W、ばね部材4のばね力Fs、固定コラム8からの反力、及び横向きカム面22からの反力が、カムフォロア部材7の周りで平衡している。それにより、物品Aを載せた載置プレート12をその上下ストロークの範囲において、所望の高さ位置に静止させかつその位置を保持し、また比較的少ない力で簡単に昇降させることができる。
また、実際には、載置プレート12を昇降させる際に、上記説明で省略した可動コラム11と固定コラム8及びばね力伝達部材5との間に摩擦等の抵抗が発生する。本実施態様では、固定コラム8の上端に設けたガイドローラー26と、可動コラム11の下端の各角部に設けたガイドローラー27とによって、可動コラム11と固定コラム8間の摩擦による抵抗を少なくし、それが載置プレート12の昇降動作に及ぼす影響を解消又は緩和して、円滑な動作を確保している。
図8は、軽量モードに設定された物品支持装置1を示している。軽量モードは、調節ねじ軸10を回転させて、ばね座板6を固定コラム8の内孔8b底面まで下降させることによって設定される。図3の標準モードの場合と同様に、横向きカム面22を第1領域S1と第2領域S2と第3領域S3とに分けて説明する。
同図は、物品Aを載せた載置プレート12が最上位置にある場合を示している。カムフォロア部材7は、横向きカム面22の第1領域S1の上限位置で静止している。この位置において、カムフォロア部材7、固定コラム8、可動コラム11及びばね力伝達部材5からなる系には、物品Aの荷重W、ばね部材4のばね力Fs、固定コラム8からの反力、及び横向きカム面22からの反力が作用し、カムフォロア部材7の周りで平衡している。
第1領域S1では、標準モードについて図5に関連して説明したように、ばね部材4の変位が小さく、そのばね力Fsは物品Aの荷重Wより小さい。カムフォロア部材7に横向きカム面22から作用する反力Rcは、上向きの垂直方向成分を含んでいる。この反力Rcの上向き垂直方向成分をアシスト力としてばね力Fsに加えることによって、垂直方向に荷重Wとの平衡を実現している。
物品Aを載せた載置プレート12を図8の最上位置から中間位置まで押し下げたとき、カムフォロア部材7は、同図に想像線7′で示すように、横向きカム面22の第2領域S2の範囲内に位置する。この中間位置でも、カムフォロア部材7、固定コラム8、可動コラム11及びばね力伝達部材5からなる系には、物品Aの荷重W、ばね部材4のばね力Fs、固定コラム8からの反力、及び横向きカム面22からの反力が作用し、カムフォロア部材7の周りで平衡している。
第2領域S2では、標準モードについて図6に関連して説明したように、横向きカム面22からの反力Rcは実質的に水平方向成分だけであり、垂直方向成分を有していない。垂直方向には、ばね部材4のばね力Fsと荷重Wとが実質的に平衡している。
物品Aを載せた載置プレート12を最下位置に押し下げたとき、カムフォロア部材7は、図8に想像線7″で示すように、横向きカム面22の第3領域S3の下限位置で静止する。この位置でも、カムフォロア部材7、固定コラム8、可動コラム11及びばね力伝達部材5からなる系には、物品Aの荷重W、ばね部材4のばね力Fs、固定コラム8からの反力、及び横向きカム面22からの反力が作用し、カムフォロア部材7の周りで平衡している。
第3領域S3では、標準モードについて図7に関連して説明したように、ばね部材4の変位が大きく、そのばね力Fsは物品Aの荷重Wより大きい。カムフォロア部材7に横向きカム面22から作用する反力Rcは、下向きの垂直方向成分を含んでいる。この反力Rcの下向き垂直方向成分が、ばね力Fsによる押し上げ力を削減する向きに作用することによって、垂直方向に荷重Wとの平衡を実現している。
図9は、重量モードに設定された物品支持装置1を示している。重量モードは、調節ねじ軸10を回転させて、ばね座板6を所定の最上位置まで上昇させることにより設定される。ここでも、横向きカム面22を第1領域S1と第2領域S2と第3領域S3とに分けて説明する。
同図は、物品Aを載せた載置プレート12が最上位置にある場合を示している。カムフォロア部材7は、横向きカム面22の第1領域S1の上限位置で静止している。この位置において、カムフォロア部材7、固定コラム8、可動コラム11及びばね力伝達部材5からなる系には、物品Aの荷重W、ばね部材4のばね力Fs、固定コラム8からの反力、及び横向きカム面22からの反力が作用し、カムフォロア部材7の周りで平衡している。
第1領域S1では、標準モード及び軽量モードについて上述したように、ばね部材4の変位が小さく、そのばね力Fsは物品Aの荷重Wより小さい。カムフォロア部材7に横向きカム面22から作用する反力Rcは、上向きの垂直方向成分を含んでいる。この反力Rcの上向き垂直方向成分をアシスト力としてばね力Fsに加えることによって、垂直方向に荷重Wとの平衡を実現している。
物品Aを載せた載置プレート12を図9の最上位置から中間位置まで押し下げたとき、カムフォロア部材7は、同図に想像線7′で示すように、横向きカム面22の第2領域S2の範囲内に位置する。この中間位置でも、カムフォロア部材7、固定コラム8、可動コラム11及びばね力伝達部材5からなる系には、物品Aの荷重W、ばね部材4のばね力Fs、固定コラム8からの反力、及び横向きカム面22からの反力が作用し、カムフォロア部材7の周りで平衡している。
第2領域S2では、標準モード及び軽量モードについて上述したように、横向きカム面22からの反力Rcは実質的に水平方向成分だけであり、垂直方向成分を有していない。垂直方向には、ばね部材4のばね力Fsと荷重Wとが実質的に平衡している。
物品Aを載せた載置プレート12を最下位置に押し下げたとき、カムフォロア部材7は、図9に想像線7″で示すように、横向きカム面22の第3領域S3の下限位置で静止する。この位置において、カムフォロア部材7、固定コラム8、可動コラム11及びばね力伝達部材5からなる系には、物品Aの荷重W、ばね部材4のばね力Fs、固定コラム8からの反力、及び横向きカム面22からの反力が作用し、カムフォロア部材7の周りで平衡している。
第3領域S3では、標準モード及び軽量モードについて上述したように、ばね部材4の変位が大きく、そのばね力Fsは物品Aの荷重Wより大きい。カムフォロア部材7に横向きカム面22から作用する反力Rcは、下向きの垂直方向成分を含んでいる。この反力Rcの下向き垂直方向成分が、ばね力Fsによる押し上げ力を削減する向きに作用することによって、垂直方向に荷重Wとの平衡を実現している。
軽量モードでは、標準モードよりも物品Aの荷重Wが小さいので、ばね部材4の初期変位量及び初期ばね力が標準モードと同じであると、相対的に物品Aを押し上げる力が大きくなる。そのため、横向きカム面22の全領域S1〜S3において、ばね部材4の付勢力を標準モードの場合よりも小さくする必要がある。
これに対し、重量モードでは、標準モードよりも物品Aの荷重Wが大きいので、ばね部材4の初期変位量及び初期ばね力が標準モードと同じであると、相対的に物品Aを押し上げる力が小さくなる。そのため、横向きカム面22の全領域S1〜S3において、ばね部材4の付勢力を標準モードの場合よりも大きくする必要がある。
本実施態様では、上述したように調節ねじ軸10を回動させてばね座板6の高さ位置を調節し、それによりばね部材4の初期変位量及び初期ばね力を変更することによって、前記ばね部材及び/又は他の構成要素を交換したり物品支持装置1自体を取り替えることなく、軽量モード及び重量モードへの対応を実現している。しかも、横向きカム面22のカムプロフィールは、ばね座板6の高さ位置を変更しても、第1〜第3領域の全範囲で物品を載せた載置プレート12を所望の高さで静止させ得るように設計され形成されている。
ばね座板6の高さ位置を調節するための手段は、本実施態様の直線作動機構に限定されるものではなく、公知の様々な機構や構造を用いることができる。また、ばね部材4の下端を固定コラム8内で支持するのに、ばね座板以外の構造を採用することができ、その場合に前記直線作動機構とは異なる方法でばね部材の端部位置を調節し得ることも言うまでもない。
上記説明は、本実施態様において物品の荷重Wが1.5kg、2kg、2.5kgの場合についてなされたものであるが、本実施態様は、当然ながら、物品支持装置1に載置可能な物品の荷重範囲で同様に適用することができる。横向きカム面22は、支持する荷重に合わせてばね座板6を所定の高さ位置に設定したとき、その全領域で物品を載せた載置プレート12を所望の高さで静止させ得るカムプロフィールに設計され形成されている。
以上、本発明の好適な実施態様について説明したが、本発明は、上記実施態様に限定されるものでなく、その技術的範囲内において様々な変形又は変更を加えて実施することができる。例えば、可動コラムの下向きカム面及び固定コラムの横向きカム面は、上述したカム溝の内周縁以外に、公知の様々な形態により形成することができる。また、物品支持装置1の使用可能な荷重範囲は様々に設定することができ、それに対応して、前記可動コラムの下向きカム面、前記ばね力伝達部材の上向きカム面、及び前記固定コラムの横向きカム面は、様々なカムプロフィールに設計することができる。更に、ばね部材は、上述した圧縮コイルばね以外に、板ばね、渦巻きばね等の異なる形状のものや、空気ばね等の流体ばね、ゴム等の弾性材料や他の非金属材料からなるもの等、公知の様々なばねを適用することができる。
1 物品支持装置
2 基部部材
3 支持部材
4 ばね部材
5 ばね力伝達部材
6 ばね座板
7 カムフォロア部材
8 固定コラム
9 ベースプレート
10 調節ねじ軸
11 可動コラム
12 載置プレート
14 第1カム溝
15 下向きカム面
16 スライド部
17 カム
18 上向きカム面
21 第2カム溝
22 横向きカム面

Claims (3)

  1. 固定部材に関して所定の移動方向に沿って所定の範囲で移動可能な、荷重を支持するための支持部材と、
    その一端が前記固定部材に固定され、かつ他端が前記荷重に抗して前記支持部材にその移動方向に沿った向きに付勢力を発揮するばね部材と、
    前記支持部材又は前記ばね部材の少なくともいずれか一方に、前記付勢力の方向に関して所定の角度で傾斜するように設けられ、前記支持部材と前記ばね部材の前記他端との間で前記荷重及び前記付勢力を伝達しかつそれらと共に前記移動方向に沿って変位する第1カム面と、
    前記固定部材に、前記付勢力の方向に関して所定の角度で傾斜するように設けられた第2カム面と、
    前記第1カム面及び前記第2カム面に当接し、前記第1カム面と前記第2カム面との間に保持されるカムフォロアと、
    前記固定部材に設けられ、前記荷重及び/又は前記付勢力に対して前記第1カム面に前記付勢力の方向と直交する向きにその変位を規制する反力を発生する側方支持部とを備え、
    前記第2カム面の前記カムフォロアへの押圧力が、前記支持部材の移動可能な前記所定の範囲においてその位置によって発生する前記付勢力の方向に沿った第1方向の成分と、少なくとも前記付勢力の方向に直交する第2方向の成分とを含み、
    前記ばね部材の前記一端がその位置を前記付勢力の方向に沿って調節可能であり、
    前記第1カム面及び前記第2カム面が、前記ばね部材の前記一端の位置を調節しても、前記カムフォロア周りに作用する前記荷重と前記ばね部材の付勢力と前記第2カム面の前記カムフォロアへの押圧力と前記側方支持部の前記第1カム面への反力とが、前記支持部材の移動可能な前記所定の範囲において平衡するように設計されていることを特徴とする荷重支持機構。
  2. 前記第2カム面が、前記支持部材の移動可能な前記所定の範囲において、前記第2カム面の前記カムフォロアへの押圧力の前記第1方向の成分が前記付勢力の方向に作用する第1の領域と、前記第2カム面の前記カムフォロアへの押圧力の前記第1方向の成分が前記付勢力の方向とは逆向きに作用する第2の領域とを有することを特徴とする請求項1に記載の荷重支持機構。
  3. 前記第1カム面が、前記支持部材と一体に前記移動方向に沿って変位するように設けられた前記支持部材のカム面と、前記ばね部材の前記他端と一体に前記移動方向に沿って変位するように設けられた前記ばね部材の前記他端のカム面とからなり、前記支持部材のカム面と前記ばね部材の前記他端のカム面とがそれぞれ前記カムフォロアに当接し、かつ該カムフォロアを挟んで互いに対向し、前記第2カム面との間で前記カムフォロアを保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の荷重支持機構。
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