JP6282095B2 - 画像処理装置、画像処理方法およびプログラム。 - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法およびプログラム。 Download PDF

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Description

本発明は、散乱光の影響を低減する画像処理に関する。
監視カメラなどの分野において、カメラから被写体までの間に存在する微粒子(例えば、霧)の影響によって視認性が低下し、撮像画像の画質が劣化することが問題となっている。この原因として、光が大気中を通過する際に、微粒子成分によって散乱することが挙げられる。そして、この大気中による光散乱には2種類あることが知られている。1つはミー散乱であり、塵、埃、水蒸気の粒など光の波長と比較して粒子径が大きい粒子によって引き起こされる散乱である。ミー散乱は光の波長に依存せず起こるため、ミー散乱が起きた場合、遠方の被写体ほどコントラストが低下して白く見えるようになる。もう1つはレイリー散乱であり、空気分子のような光の波長と比較して粒子径が小さい粒子によって引き起こされる散乱である。レイリー散乱では波長の短い光ほどよく散乱するため、散乱されて眼に届く光は青色成分の方が多くなり、遠くの被写体ほど全体的に青く見えるようになる。
散乱により視認性が低下した画像を補正する技術として、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1に記載の技術では、着目画素ごとに、その着目画素の周囲の所定範囲におけるRGB全てのチャンネル内での最小の画素値を抽出した画像(ダークチャンネル画像)を用いて、コントラストを補正することで視認性の改善を行う。
米国特許第8340461号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、上述したミー散乱とレイリー散乱の2つの光散乱特性の違いを考慮せずにコントラストを補正するため、特に、レイリー散乱によって散乱された青い光が補正不足となる。そのため、特許文献1に記載の技術を用いて補正された画像では、例えば遠方の被写体ほど青みが強調される傾向にある。
そこで本発明では、これら2つの散乱の特性の違いを考慮し、それぞれの散乱成分を除去することで、散乱光の影響をより低減した画像を得ることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、散乱光を含むカラー画像を示す画像データを取得する取得手段と前記カラー画像において、前記散乱光の基準強度の導出に用いる画素を選択する選択手段と、前記選択された画素の第一の色成分の画素値に基づいて、前記散乱光の、前記第一の色成分に対応する第一の基準強度を導出、前記選択された画素の第二の色成分の画素値に基づいて、前記散乱光の、前記第二の色成分に対応する第二の基準強度を導出する導出手段と、前記カラー画像の各画素について前記第一の色成分に第一の重み値を設定し、前記第二の色成分に第二の重み値を設定する設定手段と、前記第一の基準強度と前記第一の重み値とを用いて、前記カラー画像の各画素の第一の色成分の画素値を補正し、前記第二の基準強度と前記第二の重み値とを用いて、前記カラー画像の各画素の第二の色成分の画素値を補正した、補正画像を生成する生成手段と、を備える。
散乱光の影響がより低減された画像を得ることができる。
画像処理装置の構成を示す図。 実施例1の画像処理装置の構成を示す図。 実施例1の画像処理装置における処理の流れを示すフローチャート。 ダークチャンネルの抽出処理を説明する図。 最小値フィルタ処理を説明する図。 散乱光基準強度算出処理の流れを示すフローチャート。 参照画素値抽出処理を説明する図。 実施例2の画像処理装置の構成を示す図。 実施例2の画像処理装置における処理の流れを示すフローチャート。 実施例3の画像処理装置の構成を示す図。 実施例3の画像処理装置における処理の流れを示すフローチャート。
<実施例1>
本実施例では、散乱光の検出をRGBの各チャンネルについて行うことで、ミー散乱によるコントラストの低下だけでなく、レイリー散乱による色づきも補正する。以下、本実施例の構成について述べる。
図1は、本実施例の画像処理装置100の構成を示すブロック図である。本実施例の画像処理装置100は、CPU101、RAM102、ROM103、HDD I/F104、HDD105、入力I/F106、出力I/F107、システムバス108を有している。CPU101は、以下に述べる各構成を統括的に制御するプロセッサである。RAM102はCPU101の主メモリ、ワークエリアとして機能するメモリであり、ROM103は、画像処理装置100内での処理を司るプログラムを格納するメモリである。
HDD I/F104は、例えばシリアルATA(SATA)等のインタフェースであり、二次記憶装置としてのHDD105をシステムバス108に接続する。CPU101は、HDD I/F104を介してHDD105からのデータ読み出し、およびHDD105へのデータ書き込みが可能である。さらにCPU101は、HDD105に格納されたデータをRAM102に展開し、同様に、RAM102に展開されたデータをHDD105に保存することが可能である。そしてCPU101は、RAM102に展開したデータをプログラムとみなし、実行することができる。なお、二次記憶装置はHDDの他、光ディスクドライブ等の記憶デバイスでもよい。
入力I/F106は、例えばUSBやIEEE1394等のシリアルバスインタフェースである。
画像処理装置100は、入力I/F106を介して、外部メモリ109および撮像部111に接続されている。CPU101は、入力I/F106を介して、外部メモリ109および撮像部111からデータを取得することができる。 出力I/F107は、例えばDVIやHDMI(登録商標)等の映像出力インタフェースである。画像処理装置100は出力I/F107を介して表示部110と接続されている。CPU101は、出力I/F107を介して表示部110に画像を出力し、出力した画像を表示部110に表示することができる。
システムバス108は、各種データの転送経路であり、画像処理装置100内の各構成部はシステムバス108を介して相互に接続されている。
外部メモリ109はハードディスク、メモリカード、CFカード、SDカード、USBメモリなどの記憶媒体であり、画像処理装置100で処理された画像データなどを保存することができる。
表示部110は、ディスプレイなどの表示装置であり、画像処理装置100で処理された画像などを表示することができる。
撮像部111は、被写体の光情報をセンサで受光し、取得した画像をデジタルデータとして出力するカメラである。本実施例では、撮像部111は散乱光によりコントラストが低下した画像データを撮像により取得し、画像処理装置100がその画像データに処理を施すことで、散乱光の影響が低減された画像を生成する。
[散乱光除去処理]
以下、本実施例の画像処理装置における処理を、図2に示すブロック図と、図3に示すフローチャートを用いて説明する。図2は、画像処理装置100の処理ブロック図である。本実施例では、CPU101がROM103やHDD105に格納された図3のフローチャートに示すプログラムを実行することにより、図2に記載の各ブロックとして機能する。もちろん、全ての処理ブロックの機能をCPU101が有していなくてもよく、各処理ブロックに対応する処理回路を画像処理装置100内に新たに設けるようにしてもよい。
まず、ステップS301では、取得部201が、撮像部111から出力された画像データを取得する。この画像データを、以下入力画像データと呼び、入力画像データが示す画像を入力画像と呼ぶ。取得部201は、取得した入力画像データを、ダークチャンネル抽出部202、基準強度算出部203、フィルタ処理部204、散乱光除去部206に出力する。
ステップS302では、ダークチャンネル抽出部202が、取得部201から出力された入力画像データを用いて、入力画像のダークチャンネルを抽出する。ダークチャンネル抽出部202は、抽出したダークチャンネルを並べたダークチャンネル画像を基準強度算出部203に出力する。
ダークチャンネルとは、ある画素が持つ、画素値のR、G、B成分の中で最も小さい画素値を持つ値として定義する。画素値のR,G,B成分の中で最も小さい画素値は、その中で散乱光に由来する成分が占める割合が元の画像信号に対して相対的に大きくなるため、ダークチャンネル画像はカラー画像よりも散乱光の成分の強度が強く反映された画像となる。図4は、ダークチャンネル抽出部202が、ある注目画素に対応するダークチャンネルを導出する過程を示す模式図である。図4の左側の画像で示すように、入力画像の注目画素Tにおいて、Tの画素値が(R0,G0,B0)であったとする。このとき、画素値の絶対値がR0>G0>B0であったとすると、注目画素TのダークチャンネルはB0となる。以後、この処理を全ての画素に対して適用することにより、ダークチャンネル画像を生成する。
ステップS303では、基準強度算出部203が、ダークチャンネル抽出部202から出力されたダークチャンネル画像および、取得部201から出力された入力画像データを用いて、散乱光の各色成分の基準強度を求める。ここで、基準強度は、画像データの各画素位置における散乱光の成分の大きさを決定する基準となる値であり、散乱光の色プロファイルを最も表わす画素として、散乱光の成分が支配的な、霧などにより白くかすんだ空の画素などの画素値を基に決定される。この処理の詳細については後述する。
ステップS304では、フィルタ処理部204が、入力画像のR成分だけを抜きだしたR画像、G成分だけを抜き出したG画像、B成分だけを抜き出したB画像のそれぞれに、最小値フィルタ処理を行う。そして、フィルタ処理により生成された最小値フィルタ画像を透過率算出部205に出力する。
図6を用いてここで画像に適用される最小値フィルタについて説明する。R画像の例について説明する。R画像において、画素値Tを持つ注目画素Tの周囲5×5画素の領域には、画素値の小さい画素として、画素値R1、R2、R3を持つ画素がそれぞれ存在する。例えば、この画素値の大小関係がR3>R2>T>R1であったとすると、フィルタ処理の対象である注目画素Tの画素値Tは、そのパッチ内で最小の画素値であるR1により置き換えられる。この処理をR,G,Bの各画像の各画素について行うことにより、各画素の画素値が、その周囲で最も散乱光の成分を反映した画素値によって置き換えられるので、局所的な構造の影響を低減した最小値フィルタ画像I(x,y,c)が得られる。I(x,y,c)は、カラープレーンcの画素位置(x,y)における最小値フィルタ処理後の画素値を示し、c=1の時はR画像、c=2の時はG画像、c=3の時はB画像を示す。この処理により、画像中の局所的な構造やノイズを散乱光由来のものと誤認する可能性が低減される。
ステップS305では、透過率算出部205が、フィルタ処理部204から出力された最小値フィルタ画像と、基準強度算出部203から出力された散乱光基準強度に基づいて、入力画像の各画素位置における透過率t(x,y,c)を決定する。t(x,y,c)は、以下の式で表わされる。
Figure 0006282095

ここで、A(c)は、ステップS303で算出された、カラープレーンcにおける散乱光の基準強度である。ωは散乱光の基準強度の算出に用いた画素における透過率を仮定した係数であり、本実施例では0.9を用いている。この値は、散乱光除去処理後の画像が好ましい画像になるように、自由に調整して別の値を用いてもよい。透過率算出部205は、式(1)の各変数に取得した値をすることで各画素について透過率を決定し、決定した透過率を散乱光除去部206に出力する。なお、透過率は式1に基づいて決定しなくてもよく、例えば、ステレオカメラなどを用いて取得した距離に基づいて決定してもよい。
ステップS306では、透過率算出部205から出力された透過率と、取得部201から出力された入力画像データと、基準強度算出部203から出力された散乱光の基準強度とを用いて、入力画像に散乱光の除去処理を行う。散乱光が除去処理は以下の式で表わされる。
Figure 0006282095
ここで、J(x,y,c)は散乱光除去処理が行われた画像の画素値を意味し、I(x,y,c)は入力画像の画素値を意味する。t0は調整のための係数であり、例えば、本実施例では0.1である。これは、t(x,y,c)が限りなく0に近い場合に、Iの値のわずかな差によってJの値が大きく変動してしまうのを防ぐために設けられた値であり、より好ましい画像が得られるように0.1以外の値を自由に設定してもよい。散乱光除去部206は、式(2)の各パラメータに取得した値を代入して、各画素におけるJを求め、散乱光除去画像として出力部207に出力する。
ステップS307では出力部207が、散乱光除去部206から出力された散乱光除去画像を取得し、HDD I/F104を介してHDD105に出力して処理を終了する。
以上が、本実施例の画像処理装置100で行われる処理の流れである。次に、ステップS303で行われる散乱光の基準強度算出の処理について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
[基準強度算出処理]
ステップS601では、基準強度算出部203が、ダークチャンネル抽出部202から出力されたダークチャンネル画像を取得する。
ステップS602では、基準強度算出部203が、ステップS601で取得したダークチャンネル画像に基づいて、基準強度算出に用いる画素を決定する。ここで、基準強度算出部203は、ダークチャンネル画像の各画素の画素値を参照し、画素値が閾値以上となる画素を、基準強度の算出に用いる参照画素として選択する。本実施例では、ダークチャンネル画像の各画素の中で、画素値が大きい画素の上位1%を参照画素とする。ダークチャンネル画像は散乱光の強度が画素値に反映された画像なので、ダークチャンネル画像において画素値が大きい画素は、散乱光の成分が支配的な画素であると考えることができる。なお、参照画素の決定に用いる閾値は上記のものに限られず、画像に対応するシーンに応じて自由に設定してもよい。
ステップS603では、基準強度算出部203が、取得部201から出力された入力画像データを取得する。
ステップS604では、基準強度算出部203が、ステップS603で取得した入力画像データと、ステップS602で決定された参照画素に基づいて、基準強度の算出に用いる参照画素値を抽出する。図7を用いて参照画素値抽出の方法について説明する。
図7(a)は、ダークチャンネル画像の一例を示す図である。各画素には左上から右下に向かって1〜25の番号が割り当てられており、ダークチャンネル画像の各画素では、入力画像の各画素の画素値(Rk,Gk,Bk)[k=1〜25]のうち、画素値が最も小さい色の画素値が抽出して並べられている。参照画素として選択された画素を円で囲むことによって示している。このステップでは、入力画像データのR画像、G画像、B画像の、参照画像に対応する画素の画素値が、参照画素値として抽出される。つまり、ダークチャンネル画像において画素3、12、13、18が参照画素として選択されたので、図7(b)〜(d)に示すように、R画像、G画像、B画像の画素3、12、13、18の画素値が、それぞれ参照画素値として抽出される。このように、本実施例では、散乱光が支配的であると判定された画素の画素値を色ごとに抽出して基準強度を算出するので、散乱光の波長依存性を反映した基準強度を算出することができる。
ステップS605では、基準強度算出部203が、ステップS604で抽出された参照画素値に基づいて、R,G,Bの各色成分に対応する、散乱光の基準強度A(c)を算出する。ステップS604でR画像、G画像、B画像について抽出された参照画素値をそれぞれRs、Gs、Bsとすると、A(c)は以下の式で表わされる。
A(1)=ΣRs/n
A(2)=ΣGs/n
A(3)=ΣBs/n (3)
ここで、nは各画像における参照画素の数である。このステップでは、基準強度算出部203が、ステップS604で抽出された参照画素値を式3に代入することで、R,G,Bの各色成分に対応する基準強度A(c)を算出する。なお、基準強度A(c)は必ずしも式3を用いて算出される必要はなく、散乱光の各色成分の強度の違いを表わすパラメータであればどのように求められてもよい。例えば参照画素値の参照画素値の加重平均によって求められてもよい。
ステップS606では、基準強度算出部203が、ステップS605で算出された散乱光の基準強度を、透過率算出部205と散乱光除去部206に出力する。
以上が本実施例における散乱光の基準強度算出処理である。この処理によれば、ダークチャンネル画像に基づいて基準強度算出に用いる画素を決定することで、散乱光が支配的な画素を正確に求めることができる。そして、散乱光が支配的な画素の画素値を、色成分ごとに抽出して散乱光除去処理を行うことで、散乱光のうち、波長依存性のある成分と波長依存性のない成分の両方を除去した画像を得ることができる。
なお、本実施例において、取得部201は、散乱光を含むカラー画像を示す画像データを取得する取得手段として機能した。また、基準強度算出部203は、前記カラー画像において、前記散乱光の基準強度の導出に用いる画素を選択する選択手段として機能した。また、基準強度算出部203は、前記選択された画素の第一の色成分の画素値に基づいて、前記散乱光の、前記第一の色成分に対応する第一の基準強度を導出する第一の導出手段としても機能した。また、基準強度算出部203は、前記選択された画素の第二の色成分の画素値に基づいて、前記散乱光の、前記第二の色成分に対応する第二の基準強度を導出する第二の導出手段としても機能した。
また、フィルタ処理部204は、 前記カラー画像の各画素の画素値を置き換えるフィルタ処理を行うフィルタ手段として機能した。また、透過率算出部205は、前記カラー画像の各画素について重み値を設定する設定手段として機能した。また、透過率算出部205は、前記第一の基準強度を用いて第一の重み値を導出し、前記第二の基準強度を用いて第二の重み値を導出する重み導出手段としても機能した。また、散乱光除去部206は、補正画像を生成する生成手段として機能した。前記補正画像は、前記第一の基準強度と前記重み値とを用いて、前記カラー画像の各画素の第一の色成分の画素値を補正し、前記第二の基準強度と前記重み値とを用いて、前記カラー画像の各画素の第二の色成分の画素値を補正した画像である。
<実施例2>
実施例1の方法によれば、ミー散乱に相当する成分(以下、ミー散乱成分とする)とレイリー散乱に相当する成分(以下、レイリー散乱成分とする)の両方が除去された画像を得ることができる。しかし、実際の画像では、霧などが存在していない場合であっても、レイリー散乱による散乱が起こることが知られている。つまり、レイリー散乱の除去の度合いを、レイリー散乱の強度を調整する程度にとどめると、より自然な画像になる。そこで、本実施例では、実施例1で得られたミー散乱成分とレイリー散乱成分の両方が除去された画像に、強度が補正されたレイリー散乱成分を加算することで、より自然な散乱光除去画像を得る。なお、ミー散乱成分とは、入力画像において散乱光に影響を受けた画素値のうち、ミー散乱による散乱光に起因すると仮定した画素値のこととする。また、レイリー散乱成分とは、入力画像において散乱光に影響を受けた画素値のうち、レイリー散乱による散乱光に起因すると仮定した画素値のこととする。
以下、本実施例の画像処理装置における処理を、図8に示すブロック図と、図9に示すフローチャートを用いて説明する。図8は、本実施例における画像処理装置100の処理ブロック図である。本実施例では、CPU101がROM103やHDD105に格納された図9のフローチャートに示すプログラムを実行することにより、図8に記載の各ブロックとして機能する。もちろん、全ての処理ブロックの機能をCPU101が有していなくてもよく、各処理ブロックに対応する処理回路を画像処理装置100内に新たに設けるようにしてもよい。なお、実施例1と同じ処理については、同様の符号を付して説明を省略する。
ステップS903では、基準強度算出部203が、実施例1のステップS303と同様に、散乱光の基準強度を算出する。ここで行われる基準強度の算出処理は基本的にステップ303で行われるものと同じであるが、本実施例では、R画像、G画像、B画像から算出する基準強度A(c)だけでなく、ダークチャンネル画像から算出する基準強度Adarkについても算出を行う。ダークチャンネル画像の参照画素の画素値をDsとすると、Adarkは以下の式で表わされる。
dark=ΣDs/n (4)
基準強度算出部203は、上記の式4に基づいて、A(c)と同様にAdarkを求めて透過率算出部205と散乱光除去部206に出力する。Adarkは波長依存性を持たないため、ミー散乱による成分を反映した散乱光の基準強度となる。
ステップS904では、フィルタ処理部204が、取得部201から出力された入力画像データだけでなく、ダークチャンネル抽出部202で生成されたダークチャンネル画像も取得する。そして、入力画像とダークチャンネル画像それぞれに最小値フィルタを適用し、透過率算出部205に出力する。
ステップS905では、透過率算出部205が、フィルタ処理部204から出力されたフィルタ処理済みのR,G,B画像とダークチャンネル画像を取得し、ステップS305と同様に透過率の算出を行う。このステップでは、R、G、B画像のそれぞれに対応する透過率だけではなく、ダークチャンネル画像に対応する透過率tdark(x,y)も算出する。tdark(x,y)は、以下の式によって表わされる。
Figure 0006282095
ここで、IFdark(x,y)は、フィルタ処理済みのダークチャンネル画像の画素値を示している。透過率算出部205は、取得したパラメータを式5に代入することで、tdark(x,y)を算出し、散乱光除去部206に出力する。
ステップS906では、散乱光除去部206が、透過率算出部205から出力された透過率と、取得部201から出力された入力画像データと、基準強度算出部203から出力された散乱光の基準強度とを用いて、入力画像に散乱光の除去処理を行う。このステップでは、実施例1のステップS306で行う散乱光の除去処理の他に、tdarkおよびAdarkを用いた散乱光の除去処理も行う。この散乱光除去処理は以下の式で表わされる。
Figure 0006282095
ここで、Jdark(x,y,c)は散乱光除去処理が行われた画像の画素値を意味し、I(x,y,c)は入力画像の画素値を意味する。Adarkおよびtdarkは、それぞれダークチャンネル画像を用いて決定された散乱光の基準強度および透過率を示す。この散乱光除去処理では、入力画像の全ての色成分に共通のパラメータを用いた処理が行われるため、波長依存性のないミー散乱光成分だけが除去された画像が得られる。
散乱光除去部206は、A(c)およびtを用いて散乱光の除去処理を行った画像と、Adarkおよびtdarkを用いて散乱光の除去処理を行った画像の両方をレイリー散乱成分算出部801に出力する。
ステップS907では、レイリー散乱成分算出部801が、散乱光除去部206から出力された二種類の散乱光除去画像を用いて、散乱光のレイリー散乱成分を抽出する。
J(x,y,c)はミー散乱成分とレイリー散乱成分の両方が除去された画像、Jdark(x,y,c)はミー散乱成分だけが除去された画像なので、散乱光のうちのレイリー成分に対応する画素値をK(x,y,c)とすると、Kは以下の式で表わされる。
K(x,y,c)=Jdark(x,y,c)−J(x,y,c) (7)
なお、Kの値が負の値になる場合は、その画素におけるKの値を0とする。レイリー散乱成分算出部801は、上記式に散乱光除去部206から出力された各画像の画素値を代入し、レイリー散乱成分の画素値K(x,y,c)を算出して合成部802に出力する。
ステップS908では、合成部802が、散乱光除去部206から出力されたJ(x,y,c)と、レイリー散乱成分算出部801から出力されたK(x,y,c)を加重合成し、最終的に出力する合成画像を生成する。合成部802は、ここで生成した合成画像を出力部207に出力する。合成画像の画素値をL(x,y,c)とすると、画素値Lは以下の式で表わされる。
L(x,y,c)=J(x,y,c)+r・K(x,y,c) (8)
ここで、rは0〜1の定数であり、レイリー散乱成分の強度を補正するために用いられる。本実施例ではr=0.5を用いているが、rの値は好ましい画像が得られるように自由に調整してもよい。
ステップS909では、出力部207が、合成部802から出力された合成画像を取得し、HDD I/F104を介してHDD105に出力して処理を終了する。
以上が本実施例の処理である。以上の処理によると、散乱光のうち、ミー散乱成分が除去され、レイリー散乱成分の強度が補正された画像を得ることができるので、より自然に近い画像を得ることができる。
なお、本実施例において、レイリー散乱成分算出部801は、前記補正画像と、前記散乱光のうちの第一の散乱成分を前記カラー画像から除去した画像とを用いて、前記散乱光のうちの第二の散乱成分を抽出する抽出手段として機能した。ここで、第一の散乱成分は波長依存性のない成分であり、第二の散乱成分は波長依存性のある成分である。また、合成部802は、前記補正画像に、前記抽出された第二の散乱成分を加重加算する加算手段として機能した。
<実施例3>
実施例2では、ミー散乱成分とレイリー散乱成分の両方が除去された画像に、強度が補正されたレイリー散乱成分を加算することで、より自然な散乱光除去画像を得る方法について説明した。しかし、画像が撮影される場所によっては、晴天時に撮影した画像であってもミー散乱による散乱が少し起きる場合がある。そういった場所で撮影された画像においては、ミー散乱の除去の度合いが強すぎると不自然な画像となってしまう場合がある。そこで、本実施例では、ミー散乱成分とレイリー散乱成分の両方が除去された画像に、強度が補正されたレイリー散乱成分だけではなく、強度が補正されたミー散乱成分も加算することで、様々なシーンに応じた、自然な散乱光除去画像を得る。
以下、本実施例の画像処理装置における処理を、図10に示すブロック図と、図11に示すフローチャートを用いて説明する。図10は、本実施例における画像処理装置100の処理ブロック図である。本実施例では、CPU101がROM103やHDD105に格納された図11のフローチャートに示すプログラムを実行することにより、図8に記載の各ブロックとして機能する。もちろん、全ての処理ブロックの機能をCPU101が有していなくてもよく、各処理ブロックに対応する処理回路を画像処理装置100内に新たに設けるようにしてもよい。なお、実施例1および2と同じ処理については、同様の符号を付して説明を省略する。
本実施例では、実施例2のフローチャートに、ミー散乱成分算出処理(S1101)が追加されている。
ステップS1101では、ミー散乱成分算出部1001が、取得部201から出力された入力画像I(x,y,c)と、散乱光除去部206から出力された、Jdark(x,y,c)を用いて、散乱光中のミー散乱成分を算出する。I(x,y,c)は散乱光が除去されていない画像であり、Jdark(x,y,c)は散乱光のうちのミー散乱成分だけが除去された画像であるので、散乱光のうちのミー散乱成分に対応する画素値をM(x,y,c)とすると、Mは以下の式で表わされる。
M(x,y,c)=I(x,y,c)−Jdark(x,y,c) (9)
なお、上記式のMの値が負の値になる場合は、その画素におけるMの値を0とする。ミー散乱成分算出部1001は、上記式に散乱光除去部206から出力された各画像の画素値を代入し、レイリー散乱成分の画素値K(x,y,c)を算出して合成部802に出力する。
ステップS1102では、合成部802が、散乱光除去部206から出力されたJ(x,y,c)と、レイリー散乱成分算出部801から出力されたK(x,y,c)と、ミー散乱成分算出部1001から出力されたM(x,y,c)を取得する。そして取得したJ(x,y,c)とK(x,y,c)とM(x,y,c)を加重合成し、最終的に出力する合成画像を生成する。合成部802は、ここで生成した合成画像を出力部207に出力する。この時、合成画像の画素値をL(x,y,c)とすると、画素値Lは以下の式で表わされる。
L(x,y,c)=J(x,y,c)+m・M(x,y,c)r・K(x,y,c) (10)
ここで、mとrはそれぞれ0〜1の定数であり、ミー散乱成分とレイリー散乱成分の強度を補正するために用いられる。本実施例では、m=0.1、r=0.5を用いているが、mおよびrの値は好ましい画像が得られるように自由に調整してもよい。
以上の処理によれば、ミー散乱成分とレイリー散乱成分の両方を自由に補正することができるので、様々なシーンに合わせた、自然な散乱光除去画像を得ることができる。
<その他の実施例>
本発明の実施形態は、上記の実施例に限られるものではない。例えば、上記の実施例において、各画素がR、G、Bの三色の画素値を持つ場合を考えたが、例えばシアン、イエロー、マゼンタなどの、別の色の画素値を持つ場合にも本発明は適用できる。また、各色成分が、各画素値からの直接の出力だけでなく、Y,U,Vなどの輝度と色差の線型結合によって表わされる場合にも本発明は適用することができる。
また、上記の実施例ではダークチャンネル画像を用いて散乱光基準強度の算出に用いる画素を決定したが、必ずしもこの方法により散乱光基準強度の算出を行わなくてもよい。例えば、参照画素として用いる領域をユーザが画面上で選択するようにしてもよいし、画像上部に存在する、ある程度の面積を持つコントラストの低い領域に対応する画素を、参照画素として自動的に選択するようにしてもよい。
また、上記の実施例では、散乱光基準強度に透過率を乗算することで、各画素位置における散乱光の強度を決定したが、同じような結果が得られるものであれば、透過率ではない重み値を用いてもよい。例えば、被写体の距離に依存する別のパラメータを重み値として用いてもよい。
また、上記の実施例では、透過率を、散乱光基準強度に依存する計算式に当てはめて算出したが、各パラメータが得られる方法であればどのようなものでもよい。例えば、散乱光基準強度と透過率の対応表を用意しておき、その対応表に基づいて透過率を決定するようにしてもよい。また、晴天時の画像や地図情報から被写体距離を推定して、推定した被写体距離に基づいて各画素の透過率を計算してもよいし、あらかじめ外部で計算された透過率マップを取得して散乱光除去処理に用いてもよい。
なお、本発明は例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。また、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
また、本発明は、上述した実施例の機能(例えば、上記のフローチャートにより示される工程)を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても実現できる。この場合、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が、コンピュータが読み取り可能に記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することにより、上述した実施例の機能を実現する。また、プログラムは、1つのコンピュータで実行させても、複数のコンピュータを連動させて実行させるようにしてもよい。
100 画像処理装置
101 CPU
102 RAM
103 ROM
201 取得部
203 基準強度算出部
205 透過率算出部
206 散乱光除去部

Claims (14)

  1. 散乱光を含むカラー画像を示す画像データを取得する取得手段と、
    前記カラー画像において、前記散乱光の基準強度の導出に用いる画素を選択する選択手段と、
    前記選択された画素の第一の色成分の画素値に基づいて、前記散乱光の、前記第一の色成分に対応する第一の基準強度を導出
    前記選択された画素の第二の色成分の画素値に基づいて、前記散乱光の、前記第二の色成分に対応する第二の基準強度を導出する導出手段と、
    前記カラー画像の各画素について、前記第一の色成分に第一の重み値を設定し、前記第二の色成分に第二の重み値を設定する設定手段と、
    前記第一の基準強度と前記第一の重み値とを用いて、前記カラー画像の各画素の第一の色成分の画素値を補正し、前記第二の基準強度と前記第二の重み値とを用いて、前記カラー画像の各画素の第二の色成分の画素値を補正することで、補正画像を生成する生成手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記設定手段は、前記第一の基準強度を用いて前記第一の重み値を導出し、前記第二の基準強度を用いて前記第二の重み値を導出することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  3. 前記カラー画像の各画素の画素値を置き換えるフィルタ処理を行うフィルタ手段を更に備え、
    前記フィルタ処理は、前記フィルタ処理の対象である画素の第一の色成分の画素値を、前記フィルタ処理の対象である画素を含む複数の画素の第一の色成分の画素値の最小値で置き換え、更に、前記フィルタ処理の対象である画素の第二の色成分の画素値を、前記フィルタ処理の対象である画素を含む複数の画素の第二の色成分の画素値の最小値で置き換える処理であり、
    前記設定手段は、前記フィルタ処理が行われた画像を用いて、前記第一の重み値および前記第二の重み値を導出することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
  4. 前記第一の重み値および第二の重み値は光の透過率であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  5. 前記カラー画像は、各画素が複数の色成分に対応する複数の画素値を持ち、
    前記選択手段は、前記カラー画像の画素のうち、前記複数の画素値の最小値が閾値よりも大きい画素を、前記散乱光の基準強度の導出に用いる画素として選択することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  6. 前記補正画像は、前記カラー画像における前記散乱光の影響のうちの、波長依存性のない第一の散乱成分と、波長依存性のある第二の散乱成分が低減された画像であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  7. 前記第一の散乱成分は、ミー散乱に相当する成分であることを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  8. 前記第二の散乱成分は、レイリー散乱に相当する成分であることを特徴とする請求項又はに記載の画像処理装置。
  9. 前記補正画像と、前記散乱光のうちの前記第一の散乱成分を前記カラー画像から除去した画像とを用いて、前記散乱光のうちの前記第二の散乱成分を抽出する抽出手段を更に備えることを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  10. 前記補正画像に、前記抽出された第二の散乱成分を加重加算する加算手段を更に備えることを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  11. 前記加算手段は、前記補正画像に、前記カラー画像から抽出された前記第一の散乱成分を更に加重加算することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  12. 前記第一の散乱成分は、前記カラー画像と、前記カラー画像から前記第一の散乱成分が除去された画像とを用いて抽出されたものであることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
  13. 散乱光を含むカラー画像を示す画像データを取得するステップと、
    前記カラー画像において、前記散乱光の基準強度の導出に用いる画素を選択するステップと、
    前記選択された画素の第一の色成分の画素値に基づいて、前記散乱光の、前記第一の色成分に対応する第一の基準強度を導出するステップと、
    前記選択された画素の第二の色成分の画素値に基づいて、前記散乱光の、前記第二の色成分に対応する第二の基準強度を導出するステップと、
    前記カラー画像の各画素について、前記第一の色成分に第一の重み値を設定し、前記第二の色成分に第二の重み値を設定するステップと、
    前記第一の基準強度と前記第一の重み値とを用いて、前記カラー画像の各画素の第一の色成分の画素値を補正し、前記第二の基準強度と前記第二の重み値とを用いて、前記カラー画像の各画素の第二の色成分の画素値を補正した、補正画像を生成するステップとを含むことを特徴とする画像処理方法。
  14. コンピュータを、請求項1乃至1のいずれか一項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるプログラム。
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