JP6278187B2 - 磁性微粒子制御システム - Google Patents

磁性微粒子制御システム Download PDF

Info

Publication number
JP6278187B2
JP6278187B2 JP2014056546A JP2014056546A JP6278187B2 JP 6278187 B2 JP6278187 B2 JP 6278187B2 JP 2014056546 A JP2014056546 A JP 2014056546A JP 2014056546 A JP2014056546 A JP 2014056546A JP 6278187 B2 JP6278187 B2 JP 6278187B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
case
fine particles
magnetic force
magnetic fine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014056546A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015178470A (ja
Inventor
晋 徳良
晋 徳良
正一 原
正一 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IHI Corp
Original Assignee
IHI Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IHI Corp filed Critical IHI Corp
Priority to JP2014056546A priority Critical patent/JP6278187B2/ja
Publication of JP2015178470A publication Critical patent/JP2015178470A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6278187B2 publication Critical patent/JP6278187B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Infusion, Injection, And Reservoir Apparatuses (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

本発明は磁性微粒子の位置を制御する磁性微粒子制御システムに関する。
医療分野やバイオテクノロジーの分野等において、磁力や磁性微粒子を利用する技術が広く研究されている。例えば、医療分野では、磁性微粒子に薬剤を結合させて血管等の患者の体内に注入し、磁力を用いて目的位置まで誘導するドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究が進められている(例えば、非特許文献1参照)。
また、バイオテクノロジーの分野では、磁性微粒子に細胞等を保持させ、シャーレの下に配置した磁石を利用してシャーレ中で目的の場所に磁性微粒子に保持される細胞を配置する技術の研究が進められている(例えば、非特許文献2参照)。
非特許文献1に記載されるようなドラッグデリバリーシステムでは、磁性微粒子は体内に注入されるため、一度注入された磁性微粒子を外部から視認することはできない。したがって、体内に磁性微粒子を注入すると、その後、磁性微粒子の位置は不明であって、フィードバック制御等の正確な制御をすることはできず、シミュレーション等で予測された位置を利用して磁性微粒子に磁力を与えて目的位置まで誘導するのが現状である。したがって、実際に薬剤を結合させた磁性微粒子が目的位置に届いているか否か不明であり、高精度な位置制御を実現できていない現状がある。
非特許文献2に記載されるようにシャーレ中で目的の場所に磁性微粒子を配置する場合、単に、不特定の磁性微粒子をシャーレの底面におよそのエリアに配置する等の単純な操作のみが可能である。したがって、特定の磁性微粒子を所定の場所に精度よく配置する操作、複数の磁性微粒子を配置する場合の磁性微粒子同士の間隔を調整する操作や、多層に磁性微粒子を配置する等の操作を実現することは困難であり、高精度な位置制御を実現できていない現状がある。
F.Mishima, S.Fujimoto, S.Takeda, Y.Izumi and S.Nishijima, "Development of control system for magnetically targeted drug delivery", J.Magn.Magn.Mater., Vol.310,No.2, pp.2883-2885, 2007 A.Ito, Y.Takizawa, H.Honda, K.Hata, H.Kagami, M.Umeda and T.Kobayashi, "Tissue engineering using magnetite nanoparticles and magnetic force: hetorotypic layers of cocultured hepatocytes and endothelical cells", Tissue Eng., Vol.10,No.5-6, pp.833-840, 2004
上述したように、従来の磁性微粒子を利用する技術では、高精度な位置制御ができない課題があった。
上記課題に鑑み、本発明は、磁性微粒子の位置を高精度に制御することを目的とする
上記目的を達成するために、第1の発明は、人体を構成する器官の少なくとも一部を模擬して透明材料で形成され、内部に当該器官が有する空間と同一形状の空間を有するとともに、当該器官の空間を満たす液体と粘性が同一で透明な液体が存在するケースと、前記ケースの周囲に配置され、前記ケース内に磁力を与える第1磁力発生部と、前記ケース内に注入された磁性微粒子を撮影する撮影部と、前記撮影部で撮影された磁性微粒子の画像を用いて、当該磁性微粒子を前記ケース内で目的位置まで移動させる磁力を与えるように前記第1磁力発生部をフィードバック制御する第1制御信号を生成するとともに、前記ケースと対応する人体の器官の周囲に配置されて当該人体に磁力を与える第2磁力発生部に前記第1制御信号と対応する第2制御信号を出力する制御装置とを備える。
また、第2の発明は、人体を構成する器官の少なくとも一部を模擬して透明材料で形成され、内部に当該器官が有する空間と同一形状の空間を有するとともに、当該器官の空間を満たす液体と粘性が同一で透明な液体が存在するケースと、前記ケースの周囲に配置され、前記ケース内に磁力を与える第1磁力発生部と、前記ケース内に注入された磁性微粒子を撮影する撮影部と、前記ケースと対応する人体の周囲に配置され、磁性微粒子が注入された当該人体の器官に磁力を与える第2磁力発生部と、前記撮影部で撮影された磁性微粒子の画像を用いて、当該磁性微粒子を前記ケース内で目的位置まで移動させる磁力を与えるように前記第1磁力発生部をフィードバック制御する第1制御信号を生成するとともに、前記第2磁力発生部に前記第1制御信号と対応する第2制御信号を出力する制御装置とを備える。
また、第3の発明は、細胞のマニピュレーションに利用される容器を模擬して透明材料で形成され、内部に当該容器と同一形状の空間を有するとともに、当該容器を満たす液体と粘性が同一で透明な液体が存在するケースと、前記ケースの周囲に配置され、前記ケース内に磁力を与える第1磁力発生部と、前記ケース内に注入された磁性微粒子を撮影する撮影部と、前記撮影部で撮影された磁性微粒子の画像を用いて、当該磁性微粒子を前記ケース内で目的位置まで移動させる磁力を与えるように前記第1磁力発生部をフィードバック制御する第1制御信号を生成するとともに、前記ケースと対応する容器の周囲に配置されて当該容器に磁力を与える第2磁力発生部に前記第1制御信号と対応する第2制御信号を出力する制御装置とを備える。
また、第4の発明は、細胞のマニピュレーションに利用される容器を模擬して透明材料で形成され、内部に当該容器と同一形状の空間を有するとともに、当該容器を満たす液体と粘性が同一で透明な液体が存在するケースと、前記ケースの周囲に配置され、前記ケース内に磁力を与える第1磁力発生部と、前記ケース内に注入された磁性微粒子を撮影する撮影部と、前記ケースと対応する容器の周囲に配置され、磁性微粒子が注入された当該容器に磁力を与える第2磁力発生部と、前記撮影部で撮影された磁性微粒子の画像を用いて、当該磁性微粒子を前記ケース内で目的位置まで移動させる磁力を与えるように前記第1磁力発生部をフィードバック制御する第1制御信号を生成するとともに、前記第2磁力発生部に前記第1制御信号と対応する第2制御信号を出力する制御装置とを備える。
また、第5の発明は、前記制御装置は、前記ケース内で磁性微粒子が目的位置まで移動されると、当該目的位置で前記磁性微粒子を把持するとともに、前記磁性微粒子を発熱させる制御信号を出力する。
また、第6の発明は、前記ケースは、内部の液体を当該ケースが模擬する器官内の液体と同一の流速で当該ケース内の液体の流れを形成するポンプを有する。
また、第7の発明は、前記ケースと、前記磁力発生部の位置関係を調整する駆動機構を備える。
本発明によれば、磁性微粒子の位置を高精度に制御することができる。
図1は、第1実施形態に係る磁性微粒子制御システムを説明する図である。 図2は、図1の磁性微粒子制御システムの第1システムを説明する図である。 図3は、図1の磁性微粒子制御システムが利用する磁石を説明する図である。 図4は、図1の磁性微粒子制御システムの第2システムを説明する図である。 図5は、図1の磁性微粒子制御システムにおける処理を説明するフローチャートである。 図6は、図5の各処理を説明するフローチャートである。 図7は、実験で撮影された画像の一例である。 図8は、図7の実験で得られた各磁性微粒子の移動を表すグラフである。 図9は、第2実施形態に係る磁性微粒子制御システムにおける処理を説明するフローチャートである。 図10は、第3実施形態に係る磁性微粒子制御システムの第1システムを説明する図である。 図11は、第3実施形態に係る磁性微粒子制御システムの第2システムを説明する図である。 図12は、第3実施形態に係る磁性微粒子制御システムにおける処理を説明するフローチャートである。
以下に、図面を用いて本発明の各実施形態に係る磁性微粒子制御システムについて説明する。磁性微粒子制御システムは、磁性微粒子の位置を制御するものである。なお、以下の説明において、同一の構成については、同一の符号を用いて、説明の繰り返しは省略する。
磁性微粒子制御システムで制御の対象となる磁性微粒子は、磁性体材料で形成される微粒子である。また、磁性微粒子は、血液や細胞の培養液等の液体に注入されるため、これらの液体による影響を受けない材料であることが好ましい。例えば、磁性微粒子は、マグネタイト(Fe34)等のフェライトで形成される。フェライトは、比較的生体親和性が良く、医療分野等で利用するのに適している。あるいは、磁性微粒子は、フェライト等を生体親和性の良い高分子等でコーティングした磁性ビーズであってもよい。また、磁性微粒子は、球状であることが好ましい。
〈第1実施形態〉
第1実施形態に係る磁性微粒子制御システムは、患者の体内である血管等に薬剤を結合させた磁性微粒子を注入し、この磁性微粒子を患部等の目的の位置に誘導するドラッグデリバリーシステムである。図1に示すように、第1実施形態に係る磁性微粒子制御システム1は、制御装置2、マスタのシステムである第1システム3及びスレーブのシステムである第2システム4を有する。
磁性微粒子制御システム1の制御装置2は、患者を模擬して生成されたマスタの第1システム3に対し、注入した磁性微粒子が目的位置に移動するようフィードバック制御を実行する。また、制御装置2は、スレーブの第2システムに対し、第1システム3の制御で実行した制御と同一の制御を実行し、患者に注入された磁性微粒子を体内で実際に目的位置に移動させる。
制御装置2は、図1に示すように、CPU20、記憶装置21、操作の入力等に利用される入力装置22、処理結果等の出力に利用される出力装置23及び通信I/F24を備える情報処理装置である。記憶装置21に記憶される制御プログラムPが実行されることで、CPUが撮影制御手段201、解析手段202、磁力制御手段203、位置制御手段204、第2システム制御手段205として処理を実行する。各手段201〜205において実行される処理については、後に詳述する。
ここで、制御装置2、第1システム3及び第2システム4は、同一の場所に設置される必要はなく、それぞれ異なる場所に設置されていてもよい。
《第1システム》
第1システム3は、図2(a)に示すように、人体を構成する器官の少なくとも一部を模擬して形成されたケース30と、ケース30内に磁力を与える第1磁力発生部31と、第1磁力発生部31に電流を供給する第1電源装置32と、ケース30内を撮影する撮影部33と、ケース30の位置を駆動する第1駆動機構34とを有する。
ケース30は、例えば、人体の血管や内臓等の器官の一部を模擬し、模擬した器官が有する空間と同一形状の空間を有して形成される。また、このケース30は、例えば、石英ガラス等、透明材料で形成され、内部が視認可能である。ケース30の内部には、模擬した器官の空間を満たす液体と粘性が同一で透明な液体が存在する。ケース30が血管を模擬する場合、血液と粘性が同一で透明な液体が内部に存在する。ここでは、ケース30は、血管を模擬したものとして説明する。また、このケース30は、模擬した血管と同一サイズで形成されたものとして説明する。
図2(b)に示すように、ケース30の上流側は、注入ラインL1を介してケース30に液体及び磁性微粒子M1を注入する注入装置35と接続される。また、ケース30の下流側は、回収ラインL2を介してケース30から液体及び磁性微粒子M1を回収する回収装置36と接続される。注入ラインL1は、ポンプP1を有しており、ケース30内での液体の流速を模擬する血管での血液の流速と同一に合わせることができる。
第1磁力発生部31は、図2(a)に示すように、ケース30の周囲に配置され、ケース30内に磁力を与える。具体的には、第1磁力発生部31は、図2(a)中の紙面でケース30の上側に配置される第1磁石31a、下側に配置される第2磁石31b、左側に配置される第3磁石31c、右側に配置される第4磁石31d、前側に配置される第5磁石31e、後側に配置される第6磁石31fを有する。具体的には、各磁石31a〜31fは、それぞれ独立して制御される電磁石や超伝導磁石である。第1磁力発生部31は、これらの磁石31a〜31fを利用して、ケース30内に磁場勾配を形成する。第1システム3では、この磁場勾配により、ケース30内の磁性微粒子M1の位置を制御することができる。なお、図2(a)では、第5磁石31e及び第6磁石31fが表されるが、これらは、z軸に対して平行に配置される。
具体的には、第1磁石31aと第2磁石31bとがセット(第1の磁石セット)となり、いずれか一方の磁石をONにするとともに、供給される電流量に応じて発生する磁力の大きさを調整することで、磁性微粒子M1の上下方向(y軸方向)の位置を制御することができる。また、第3磁石31cと第4磁石31dとがセット(第2の磁石セット)となり、いずれか一方の磁石をONにするとともに、供給される電流量に応じて発生する磁力の大きさを調整することで、磁性微粒子M1の左右方向(x軸方向)の位置を制御することができる。さらに、第5磁石31eと第6磁石31fがセット(第3の磁石セット)となり、いずれか一方の磁石をONにするとともに、供給される電流量に応じて発生する磁力の大きさを調整することで、磁性微粒子M1の前後方向(z軸方向)の位置を制御することができる。
図3(a)に一例を示すように、第1磁石31a〜第4磁石31dは、中空形状であって中心にそれぞれ軸部材311a〜311dが挿入され、一対の外側支持部材312(312a,312b)と一対の内側支持部材313(313a,313b)によって、各磁石31a〜31dの位置関係が保たれるように支持される。これら磁石31a〜31dの間にケース30が配置される。
また、図3(b)に一例を示すように、第5磁石31e及び第6磁石31fは、中空形状であって、中心に軸部材は挿入されておらず、それぞれ別の支持部材314(314a,314b)に外側から支持される。第5磁石31e及び第6磁石31fは中空形状であるため、この間をケース30が通過することが可能である。
第1磁力発生部31では、これらの支持部材312,313,314に支持される磁石が図3(c)に示すように組み合わされ、各磁石31a〜31fの位置が決定される。
第1電源装置32は、制御装置2から入力される制御信号に応じて、第1磁力発生部31の各磁石31a〜31fを制御し、ケース30内に磁場勾配を形成する。具体的には、第1電源装置32は、制御信号で特定される電流量の電流を各磁石31a〜31fに供給する。
撮影部33は、例えば、ケース30内に光を照射する光源(図示せず)と、光源により光が照射されたケース30内を撮影するカメラ(図示せず)とを有する。なお、撮影部33は、例えば、三次元での位置関係を特定するため、異なる方向から画像を撮影するため、異なる位置に配置される複数のカメラ(例えば、xy画像を撮影するカメラ及びxz画像を撮影するカメラ)を有することが好ましい。
また、ケース30の周囲には、上述したように磁石31a〜31fが配置されるため、これらの磁石31a〜31fにカメラの視野が遮られない位置に配置する必要がある。例えば、一方のカメラを、ケース30の前面側から撮像するように配置したとき、他方のカメラは、正面に対し所定角度斜め上からケース30を見下ろして撮像する位置に配置する。
この撮影部33は、制御装置2から入力される制御信号に応じて光源を制御し、ケース30内を照射する。また、撮影部33は、制御装置2から入力される制御信号に応じて、カメラを制御し、撮影された画像データを制御装置2に出力する。
撮影対象の磁性微粒子M1は微小な物質であるため、撮影部33は、カメラの能力に応じて、ケース30とカメラの間に、カメラが撮影対象の物質を拡大して撮影可能なマイクロスコープ(図示せず)を有してもよい。
また、光源としては、レーザ光を照射するレーザや、白色光を照射するハロゲンランプを利用することができる。例えば、磁性微粒子M1のサイズやカメラの倍率に合わせて光源を選択することが好ましい。
第1駆動機構34は、図2(a)に示すように、ケース30を載置するステージ341を有する。この、第1駆動機構34は、入力された制御信号に従って、ケース30が載置されたステージ341を水平方向(xz方向)に駆動させてケース30の位置を調整する。
《第2システム》
第2システム4は、図4に示すように、人体Aの対象の器官に磁力を与える第2磁力発生部41と、第2磁力発生部41に電流を供給する第2電源装置42と、人体Aの対象の器官の位置を駆動する第2駆動機構44とを有する。この人体Aには、注射器等を利用して、薬剤が結合される磁性微粒子M2が注入される。磁性微粒子M2は磁性微粒子M1と同一素材及びサイズで形成され、同一の薬剤が結合されることが好ましい。なお、仮に磁性微粒子M1と磁性微粒子M2が異なる素材で形成される場合、比透磁率と導電率が同等の素材を利用する必要がある。
第1システム3は、人体の器官を模擬したケース30に注入された磁性微粒子M1をフィードバック制御していた。これに対し、スレーブである第2システム4は、人体の器官に磁性微粒子M2を注入し、マスタである第1システム3が磁性微粒子M1に実行する制御と同一の制御で磁性微粒子M2を制御することで、第2システム4では、オープンループ制御によって磁性微粒子M2を人体の目的の位置まで移動させることができる。
第2磁力発生部41は、図4に示すように、内部に人体Aの対象の器官を含む部位が配置され、人体Aの対象の器官に磁力を与える。具体的には、第2磁力発生部41は、図4中の紙面で人体Aの上側に配置される第1磁石41a、下側に配置される第2磁石41b、左側に配置される第3磁石41c、右側に配置される第4磁石41d、前側に配置される第5磁石41e、後側に配置される第6磁石41fを有する。具体的には、第2磁力発生部41は、各磁石41a〜41fを利用して人体Aの対象の器官に磁気勾配を形成する。第2システム4では、この磁気勾配により、人体Aの対象の器官に注入された磁性微粒子M2の位置を制御することができる。
第2磁力発生部41も第1磁力発生部31と同様に、第1の磁石セットである第1磁石41a及び第2磁石41bにより、上下方向(y軸方向)の位置を制御する。また、第2の磁石セットである第3磁石41c及び第4磁石41dにより、左右方向(x軸方向)の位置を制御することができる。さらに、第3の磁石セットである第5磁石41e及び第6磁石41fにより、前後方向(y軸方向)の位置を制御することができる。
第2電源装置42は、制御装置2から入力される制御信号に応じて、第2磁力発生部41の各磁石41a〜41fを制御し、人体Aの対象の器官に磁気勾配を形成する。具体的には、第2電源装置42は、制御信号で特定される電流量の電流を各磁石41a〜41fに供給する。
ここで、第1システム3においてケース30と磁石31a〜31fの間に存在するのは大気等の気体であるのに対し、人体Aの血管と磁石41a〜41fの間には人体の皮膚や筋肉が存在する。したがって、第1システム3と第2システム4の環境が完全に一致するのではないが、その違いによる影響は小さい。
なお、第1システム3と同様に、第2システム4においても、第2電源装置42を利用して磁気勾配を調整する方法に限定されない。人体Aの対象の器官と各磁石41a〜41fとの距離を利用して対象の器官の磁気勾配を調整してもよい。この場合、第2電源装置42の代わりに、入力される制御信号に応じて、人体Aと各磁石41a〜41fとの距離を制御する駆動装置を有する。
《制御装置》
制御装置2は、図1に示すように、第1システム3の撮影部33を制御する撮影制御手段201と、撮影された画像を解析し、対象の磁性微粒子M1を検出する解析手段202と、第1電源装置32を制御する第1磁力制御信号を生成し、出力する磁力制御手段203と、第1駆動機構34を制御する第1位置制御信号を生成し、出力する位置制御手段204と、第1磁力制御信号及び第1位置制御信号に対応する第2磁力制御信号及び第2位置制御信号を第2システム4に出力する第2システム制御手段205を有する。
撮影制御手段201は、入力装置22を介して開始信号が入力されると、第1システム3の撮影部33に制御信号を出力する。具体的には、撮影制御手段201は、光源によってケース30内に光を照射させる制御信号を出力するとともに、カメラでケース30内を撮影させる制御信号を出力する。このとき、撮影制御手段201は、定期的(例えば、100フレーム/秒)に複数枚の画像を撮影するようにカメラを制御する。撮影制御手段201は、撮影部33で撮影された画像データD1を撮影時刻と関連付けて記憶装置21に記憶する。
解析手段202は、画像データD1に二値化処理を実行し、二値化データD2を生成する。解析手段202は、生成した二値化データD2を撮影時刻と関連付けて記憶装置21に記憶する。
また、解析手段202は、二値化データD2から、対象の物質である磁性微粒子M1を特定する座標を選択する。また、解析手段202は、選択した磁性微粒子M1の座標及び面積と画像の撮影時刻と関連付けて位置データD3として記憶装置21に記憶する。
具体的には、磁性微粒子M1を探索する際、解析手段202は、二値化データD2に含まれる全ての粒子の面積を求める。ここで、粒子は、二値化データD2において背景とは色が異なる部分である。例えば、背景を黒と定義した場合、白い部分が粒子であり、背景を白と定義した場合、黒い部分が粒子である。解析手段202は、二値化データに含まれる各粒子から予め定められる面積の粒子を磁性微粒子M1として検出し、検出した粒子の座標を磁性微粒子M1の位置と特定する。
また、磁性微粒子M1の位置を制御する際、解析手段202は、二値化データD2に含まれる全ての粒子の座標を求める。解析手段202は、二値化データD2に含まれる各粒子の座標のうち、前回設定した移動先と最も近い座標に存在する粒子を磁性微粒子M1として特定し、位置データD3に追加する。具体的には、解析手段202は、2枚の連続した画像の粒子の面積及び粒子の位置の差分を求める。近い場所に複数の粒子が存在する場合、過去の2枚以上の画像にさかのぼって粒子のおよその軌道を推定する。この場合、進行方向や速度、加速度も推定する。また、10msの間隔で画像を認識(撮影)するため、重なって特定困難な場合は、数画像分、磁性微粒子M1を特定する処理を行う。また、早い処理間隔のため、数コマの粒子の重なりや認識不良となっても粒子の制御は影響がない。
磁力制御手段203は、磁性微粒子M1を、現在の位置(座標)から目標位置の方向に所定距離移動させるための第1磁力制御信号を生成し、第1電源装置32に出力する。ここで、現在の磁性微粒子M1の位置は、位置データD3に含まれる最新の磁性微粒子M1の位置である。また、目標位置は、患部等の薬剤を届ける位置である。磁力制御手段203は、現在の位置から目的位置の方向に所定距離移動させた位置を磁性微粒子M1の移動先と設定し、磁性微粒子M1をこの移動先へ移動させる第1磁力制御信号を生成する。
磁力制御手段203が生成する第1磁力制御信号は、磁性微粒子M1を所定距離に移動させる磁場勾配が形成されるように各磁石31a〜31fに供給する電流量情報を含む。その後、第1電源装置32を制御して磁性微粒子M1の新たな位置が特定されると、磁力制御手段203は、この新たな位置に応じた制御信号を生成する。このとき、磁性微粒子制御システム1では、新たな位置が第1システム3を制御するフィードバック信号となり、フィードバック制御が実行される。
位置制御手段204は、位置データD3で特定される磁性微粒子M1の位置及び面積に応じて第1駆動機構34を駆動する第1位置制御信号を生成し、第1システム3に出力する。この第1位置制御信号は、第1システム3のステージ341を移動させる移動量の情報を含む。
磁性微粒子M1は、第1磁力発生部31の制御及びケース30内で形成される流速により、ケース30内で移動を続けている。したがって、制御対象の磁性微粒子M1の位置が画像中のケース30内の下流側にあるとき、時間の経過により、制御対象の磁性微粒子M1が画像に含まれなくなる。したがって、磁性微粒子M1の移動に合わせてケース30が載置されるステージ341を移動することで、磁性微粒子M1を見失うことなく磁性微粒子M1の目的位置への制御を継続することができる。磁力制御手段203による磁力を用いた磁性微粒子M1の位置制御と、位置制御手段204によるステージ341の制御は極力同時に動かさず、対象の磁性微粒子M1の磁力による位置制御の可能なエリアから外れる可能性がある場合にステージ341の制御をおこない、その後、磁性微粒子M1の制御をおこなう。ステージ341を動かしている間も、磁性微粒子M1のトラッキング(追尾)はひきつづき行っておいて見失わないようにする。
第2システム制御手段205は、第1磁力制御信号に対応する第2磁力制御信号を生成し、第1位置制御信号に対応する第2位置制御信号を生成する。また、第2システム制御手段205は、生成した第2磁力制御信号及び第2位置制御信号を第2システム4に出力する。具体的には、第1システム3のケース30のサイズと人体Aの器官のサイズが同一である場合、第1磁力制御信号と第2磁力制御信号とが含む電流量情報は同一の値である。また、第1位置制御信号と第2位置制御信号とが含む移動量情報は同一の値である。
第2磁力制御信号により、第2システム4では、第1システム3でフィードバック制御された磁気勾配と同一の磁気勾配が形成される。また、第2位置制御信号により、第2システム4のステージ441は、第1システム3でフィードバック制御されたステージ341と同一の平面移動が実行される。したがって、スレーブである第2システム4の磁性微粒子M2は人体Aの中で、マスタである第1システム3のケース30中の磁性微粒子M1の動きに合わせて動くため、容易に目的位置まで薬剤を誘導することができる。
《磁性微粒子制御処理》
図5に示すフローチャートを用いて、第1実施形態に係る磁性微粒子制御システム1において実行される磁性微粒子制御処理を説明する。
まず、磁性微粒子を制御する際には、第1システム3及び第2システム4において磁性微粒子が注入される(ST01)。ここで、第1システム3においては、注入装置35を利用して、ケース30に磁性微粒子M1が注入される。また、第2システム4においては、注射器等を利用して、人体Aに磁性微粒子M2が注入される。
ドラッグデリバリーシステムでは、1つの磁性微粒子に結合されることができる薬剤の量は限られている。したがって、適量の薬剤を目的位置に誘導できるよう、複数の磁性微粒子が同時に注入されることが一般的である。したがって、ステップST01では、それぞれ複数の磁性微粒子M1,M2が注入される。
磁性微粒子M1,M2が注入されると、制御装置2の制御により、ケース30内の画像が撮影される(ST02)。
画像が撮影されると、制御装置2により、画像が解析される(ST03)。解析処理については、図6(a)を用いて後述するが、解析処理により、対象の磁性微粒子M1の位置が特定される。
磁性微粒子M1の位置が特定されると、制御装置2により、第1磁力制御信号及び第1位置制御信号が生成され、第1システム3において磁力が制御されるとともに、ケース30の位置が制御される(ST04)。磁力の制御については、図6(b)を用いて後述する。また、位置の制御については、図6(c)を用いて後述する。
その後、制御装置2により、第1磁力制御信号及び第1位置制御信号に対応して第2磁力制御信号及び第2位置制御信号が生成され、第2システム4において磁力が制御されるとともに、人体Aの位置が制御される(ST05)。
第1システム3及び第2システム4で制御がされると、制御装置2の制御により、再びケース30内の画像が撮影され(ST06)、制御装置2で撮影された画像が解析される(ST07)。
磁性微粒子M1の位置が特定されると、制御装置2は、磁性微粒子M1が目的位置に存在するか否かを判定する(ST08)。
制御装置2は、磁性微粒子M1が目的位置に移動するまで、ステップST04〜ST07の処理を繰り返す。
また、磁性微粒子M1が目的位置に移動すると(ST08でYES)、制御装置2は、磁性微粒子M1が目的位置に所定時間保持されるような制御信号を生成するとともに、磁性微粒子M2が目的位置に所定時間保持されるような制御信号を生成する(ST09)。
このように、人体Aに注入された磁性微粒子M2は磁性微粒子M1と同期して制御されるため、人体Aの目的位置において把持された磁性微粒子M2が所定時間留まり、人体Aの患部に磁性微粒子M2に結合された薬剤の効果がもたらされる。
《解析処理》
図6(a)に示すフローチャートを用いて、図5のフローチャートのステップST03の解析処理を説明する。解析手段202は、まず、二値化データD2を生成する(ST11)。
二値化データD2を生成すると、解析手段202は、二値化データD2中の全粒子の位置及び面積を特定する(ST12)。
全粒子の位置及び面積を特定すると、解析手段202は、全粒子の中から、制御対象の磁性微粒子M1を選択する(ST14)。具体的には、所定の面積の粒子を制御対象の磁性微粒子M1として選択する。なお、同一の面積の粒子が複数存在することもあるが、その場合、複数の粒子のうちいずれかの粒子を制御対象の磁性微粒子M1として選択する。
制御対象の磁性微粒子M1を選択すると、解析手段202は、位置データD3を生成する(ST14)。
《磁力制御処理》
図6(b)に示すフローチャートを用いて、図5のフローチャートのステップST04の磁力の制御処理を説明する。まず、磁力制御手段203は、対象の磁性微粒子M1の移動先を設定する(ST21)。移動先は、磁性微粒子M1の現在の位置から目的位置の方向に所定距離進んだ位置である。
移動先を設定すると、磁力制御手段203は、対象の磁性微粒子M1をステップST21で設定した移動先まで移動させる電流量を算出する(ST22)。
電流量を算出すると、磁力制御手段203は、算出した電流量の情報を含む制御信号を第1電源装置32に出力する(ST23)。
《位置制御処理》
図6(c)に示すフローチャートを用いて、図5のフローチャートのステップST04の位置の制御処理を説明する。まず、位置制御手段204は、対象の磁性微粒子M1の位置が所定の範囲内に存在するか否か、対象の磁性微粒子M1の面積が所定の範囲内であるか否かを判定する(ST31)。位置の範囲及び面積の範囲は、磁性微粒子M1が撮影部33の撮影視野から外れないように定められる。
位置及び面積が所定範囲内にある場合(ST31でYES)、位置の制御は不要であるため、位置制御処理を終了する。
一方、位置又は断面積の少なくともいずれかが所定範囲外にある場合(ST31でNO)、位置制御手段204は、位置及び面積を所定範囲内にするためのステージ341の移動量を算出する(ST32)。
移動量を算出すると、位置制御手段204は、算出した移動量、ステージ341を移動させる制御信号を第1駆動機構34に出力する。
《実験例》
図7及び8を用いて、磁性微粒子M1を制御した実験例について説明する。図7(a)〜図7(f)は、液体中に複数の磁性微粒子が存在する状態で、磁性微粒子Maを磁力を利用して制御した一例である。具体的には、図7(a)は制御開始時、図7(b)は制御開始から約5秒後、図7(c)は制御開始から約10秒後、図7(d)は制御開始から約15秒後、図7(e)は制御開始から約20秒後である。また、図7(e)に示す制御開始から約20秒後の時点で制御を停止し、図7(f)は、磁力による制御を停止して約1秒後の状態である。
ここで、磁性微粒子Maは、長さが20μm程度の楕円体状の粒子である。このとき、制御対象の磁性微粒子Maの周囲には、対象の磁性微粒子Maと形状及びサイズが類似する磁性微粒子Mbと、対象の磁性微粒子Maと形状及びサイズが異なる磁性微粒子が存在する。図7によると、対象の磁性微粒子Maと形状及びサイズが類似する磁性微粒子Mbは、対象の磁性微粒子Maと同期して移動していることが分かる。
図8は、図7の制御を実行した際の各磁性微粒子Ma〜Mdの挙動を表すグラフである。図8では、横軸が水平方向の位置、縦軸が垂直方向の位置である。また、磁性微粒子Mc,Mdは、対象の磁性微粒子Maとは異なる形状及びサイズの粒子である。
図7及び図8から、磁性微粒子Maを制御する場合、形状及びサイズが類似する他の磁性微粒子Mbが同一の磁力の影響を受けると、制御対象の磁性微粒子Maと同期して制御されることが分かる。これは、形状及びサイズが類似する磁性微粒子は、磁気特性が類似するためである。したがって形状及びサイズが類似する複数の磁性微粒子を同時に注入することで、これら複数の磁性微粒子を同期して制御することが可能になる。
また、マスタの第1システム3とスレーブの第2システム4とで形状及びサイズが類似する磁性微粒子を注入し、第2システム4においてフィードバック制御を実行する第1システム3の制御と同一の制御を実行することで、第2システム4では、オープンループ制御により磁性微粒子を目的位置まで制御することができる。
上述の説明では、ケース30は、模擬した人体の血管と同一のサイズで形成されたものとして説明したが、仮にケース30のサイズが模擬した血管のサイズと異なる場合、相対的に同一になるように形成される。ケース30のサイズが模擬した血管のサイズと異なる場合、ポンプP1によって形成される液体の流速は血管での流速と異なり、対応する2点間での移動に要する時間が同一になるような流速に設定される。また、必要に応じて液体の粘度も調整する。また、ケース30のサイズが模擬した血管のサイズと異なる場合、磁性微粒子M1及びM2のサイズは、そのケース30と血管のサイズの比率に応じて調整される。さらに、第1磁力制御信号が含む電流量情報と第2磁力制御信号が含む電流量情報もサイズの比率に応じて調整され、第1位置制御信号と第2位置制御信号が含む移動量情報もサイズの比率に応じて調整される。
上述の説明では、第1電源装置32が供給する電流に応じて30内の磁場勾配を調整して磁性微粒子M1の位置を制御するものとしたが、これに限定されない。例えば、ケース30と各磁石31a〜31fとの距離を利用してケース30内の磁場勾配を調整してもよい。この場合、第1電源装置32の代わりに、入力される制御信号に応じて、ケース30と各磁石31a〜31fとの距離を制御する駆動装置を有する。
上述したように、第1実施形態に係る磁性微粒子制御システム1は、マスタである第1システム3において人体A模擬して生成されたケース30を利用し、撮影部33で確認された位置を利用して磁性微粒子M1をフィードバック制御する。また、スレーブである第2システム4において人体Aで第1システム3と同一の制御であるオープンループ制御を実行する。これにより、容易な方法で人体Aにおいて目的位置まで薬剤が結合される磁性微粒子を高精度に誘導することができる。
〈第2実施形態〉
第2実施形態に係る磁性微粒子制御システムは、癌患者の温熱治療に利用されるハイパーサーミアシステムである。第2実施形態に係る磁性微粒子制御システムの構成は、図1〜4を用いて上述した第1実施形態に係る磁性微粒子制御システム1と同一であるため、図1〜図4を用いて説明する。
第1実施形態に係る磁性微粒子制御システム1では、薬剤を結合させた磁性微粒子を第1システム3のケース及び第2システム4で磁力が与えられる人体Aに注入し、目的位置で所定時間、停止させる。これに対し、第2実施形態に係る磁性微粒子制御システム1で利用される磁性微粒子には薬剤を結合させる必要はないが、目的位置に停止された磁性微粒子を所定温度まで発熱させる。この温度は、正常な細胞には致命的な影響はないが、癌細胞を死滅させたり、癌細胞の生存率を低下することのできる温度である。したがって、第2実施形態に係る磁性微粒子制御システム1では、磁性微粒子を移動させる目的位置は、癌細胞が存在する付近に設定される。
具体的には、磁力制御手段203は、磁力を制御する信号に磁性微粒子を発熱させる信号を重畳させる。例えば、磁力を制御する信号は、周囲の流速などの環境が変化しなければほぼ直流電流(20A程度の小さい電流)であるが、これに磁性微粒子を発熱させる信号として、交流電流(数k〜数十kHz程度の周波数の電流)を重畳させることで、磁性微粒子を発熱させることができる。
なお、第2実施形態に係る磁性微粒子制御システム1において、仮に磁性微粒子M1と磁性微粒子M2が異なる素材で形成される場合、比透磁率及び導電率に加え、鉄損が同等の素材を利用する必要がある。
《磁性微粒子制御処理》
図9に示すフローチャートを用いて、第2実施形態に係る磁性微粒子制御システム1において実行される、磁性微粒子制御処理を説明する。第2実施形態に係る磁性微粒子制御システム1における磁性微粒子の制御処理は、図5を用いて上述した第1実施形態に係る磁性微粒子制御システム1における処理の流れとステップST01〜ST08までは同一である。
ステップST08で、対象の磁性微粒子M1が目的位置に移動したと判定されると(ST08でYES)、制御装置2は、磁性微粒子M1が目的位置に所定時間保持するとともに、この目的位置で磁性微粒子M1を発熱させる制御信号を生成する(ST41)。これにより、人体Aに注入された磁性微粒子M2も磁性微粒子M1と同期して制御されるため、人体Aの目的位置において磁性微粒子M2が所定時間留まり、人体Aの患部が温められて温熱治療が実現する。
上述したように、第2実施形態に係る磁性微粒子制御システム1は、マスタである第1システム3において人体A模擬して生成されたケース30を利用し、撮影部33で確認された位置を利用して磁性微粒子M1をフィードバック制御する。また、スレーブである第2システム4において人体Aで第1システム3と同一の制御であるオープンループ制御を実行する。これにより、容易な方法で人体Aにおいて目的位置まで磁性微粒子を高精度に誘導し、最適な位置で温熱治療を実現することができる。
〈第3実施形態〉
第3実施形態に係る磁性微粒子制御システムは、細胞やDNAのマニピュレーションシステムである。具体的には、細胞を保持する磁性微粒子をシャーレ内で目的位置に配置し、細胞の培養等に利用することができる。第3実施形態に係る磁性微粒子制御システムは、図1を用いて上述した第1実施形態に係る磁性微粒子制御システム1と同一であるため、図1を用いて説明する。
ここで、図2を用いて上述したように、第1実施形態に係る磁性微粒子制御システム1の第1システム3は、人体の器官を模擬したケース30を有していた。これに対し、図10に示すように、第3実施形態に係る磁性微粒子制御システム1の第1システム3が利用するケース30Bは、細胞の培養等に利用するシャーレ等である。また、第3実施形態に係る磁性微粒子制御システム1の第2システム4の第2磁力発生部41は、図11に示すように、細胞の培養等に利用するシャーレ等のケース(容器)40を有し、人体Aの代わりにこのケース40内に磁力を与える。これらのケース30B,40には培養液が存在し、磁性微粒子はこの培養液中で位置が制御される。
なお、図示は省略するが、第2システム4は、細胞の培養をするものであるため、温度や湿度等の環境が重要である。また、無菌状態である必要があることも考えられる。したがって、ケース40、第2磁力発生部41及び第2駆動機構44は、細胞の培養に適した環境の培養室等に配置されることが好ましい。第2電源装置42は、第2磁力発生部41を制御することができれば、培養室の外に配置されていてもよい。また、第1システム3は実際に細胞の培養を目的とするものではないため、大気中に配置されていてかまわない。このように、必要最低限の構成のみを培養室内に配置することで、培養室内の環境を保ちやすくすることができる。
《磁性微粒子制御処理》
図12に示すフローチャートを用いて、第3実施形態に係る磁性微粒子制御システム1において実行される、磁性微粒子制御処理を説明する。第3実施形態に係る磁性微粒子制御システム1における磁性微粒子の制御処理は、図5を用いて上述した第1実施形態に係る磁性微粒子制御システム1における処理の流れとステップST01〜ST08までは同一である。
なお、第1実施形態に係る磁性微粒子制御システム1では、ステップST01で磁性微粒子M1,M2を注入する際、複数の磁性微粒子M1,M2を注入することで、多くの薬剤を同時に導入する特徴を有する。一方、細胞のマニピュレーションの場合、複数の磁性微粒子M1,M2を同時に制御するよりも磁性微粒子M1,M2を1つずつ制御したほうが高精度に制御することが可能となる。したがって、第3実施形態に係る磁性微粒子制御システム1では、ステップST01において複数の磁性微粒子M1,M2を注入するのではなく、第1システム3及び第2システム4でそれぞれ1つずつの磁性微粒子M1,M2を注入する。
ステップST08で、対象の磁性微粒子M1が目的位置に移動したと判定されると(ST08でYES)、制御装置2は、必要な全ての磁性微粒子M1,M2の制御が終了したか否かを判定する(ST42)。
他に制御する磁性微粒子M1,M2が残っている場合(ST42でNO)、ステップST01〜ST06の処理を繰り返す。
一方、全ての制御対象の磁性微粒子M1,M2の制御が終了した場合(ST42でYES)、処理を終了する。これにより、ケース40内で細胞を適した状態にして培養することができる。例えば、細胞をケース40の底面に所定の間隔で配置したり、複数層に配置したり、円筒形の内壁に配置したりすることができる。
上述したように、第3実施形態に係る磁性微粒子制御システム1は、マスタである第1システム3を利用し、撮影部33で確認された位置を利用して磁性微粒子M1をフィードバック制御する。また、スレーブである第2システム4においてオープンループ制御を実行する。これにより、複雑な磁性微粒子のマニピュレーション操作を容易な方法で高精度に実現することができる。
〈変形例〉
・使用する磁性微粒子のサイズを選別
他の磁性微粒子が制御対象の磁性微粒子に追随して制御されためには、磁気特性が制御対象の磁性微粒子と類似であることが必要である。また、同一の素材で形成された場合、サイズを類似することで、磁気特性も類似になる。したがって、類似のサイズの粒子を選別して注入することで、複数の磁性微粒子を同時に制御することができる。
例えば、第1システム3の場合、注入装置35が注入対象の磁性微粒子のサイズを選択する手段を備えていてもよい。
・記憶される制御データを利用
第2システム4における制御は、第1システム3における制御と対応する信号が利用されるが、環境が同一である場合、必ずしも同時に制御される必要はない。予め、第1システム3においてフィードバック制御を実行した際の制御信号を記憶しておき、この制御信号を利用して、後に第2システム4において同一の制御が実行されてもよい。
・蛍光X線観察の利用
第1システム3の撮影部33が蛍光X線観察を利用してもよい。例えば、磁性微粒子M1に蛍光物質を結合させることで、蛍光X線観察により磁性微粒子M1の位置を特定することができる。
また、第3実施形態に係る磁性微粒子制御システム1の場合、第2システム4で磁性微粒子M2の位置の補正に蛍光X線観察を利用することができる。これにより、より正確な位置制御を実行することができる。
・クラスター化した磁性微粒子の分離
磁性微粒子は、長時間磁力を与えられると、磁化されることがある。また、複数の磁性微粒子を同時に注入し、連動して制御した場合、複数の磁性微粒子がチェーンクラスター化するおそれがある。血管中でクラスター化することは好ましくないため、クラスター化した磁性微粒子は、分離する必要がある。したがって、クラスター化した場合、適切な励磁条件を選択することで、これを切断する処理を行うことが好ましい。流体抵抗力と慣性力によってクラスター化された複数の磁性微粒子の結合面にせん断力が作用しこれを切り離すことができる。
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。
1 磁性微粒子制御システム
2 制御装置
20 CPU
201 撮影制御手段
202 解析手段
203 磁力制御手段
204 位置制御手段
205 第2システム制御手段
21 記憶装置
22 入力装置
23 出力装置
3 第1システム
30,30A,40 ケース
31 第1磁力発生部
31a〜31f 磁石
32 第1電源装置
33 撮影部
34 第1駆動機構
35 注入装置
36 回収装置
4 第2システム
40 ケース
41 第2磁力発生部
41a〜41f 磁石
42 第2電源装置
44 第2駆動機構

Claims (7)

  1. 人体を構成する器官の少なくとも一部を模擬して透明材料で形成され、内部に当該器官が有する空間と同一形状の空間を有するとともに、当該器官の空間を満たす液体と粘性が同一で透明な液体が存在するケースと、
    前記ケースの周囲に配置され、前記ケース内に磁力を与える第1磁力発生部と、
    前記ケース内に注入された磁性微粒子を撮影する撮影部と、
    前記撮影部で撮影された磁性微粒子の画像を用いて、当該磁性微粒子を前記ケース内で目的位置まで移動させる磁力を与えるように前記第1磁力発生部をフィードバック制御する第1制御信号を生成するとともに、前記ケースと対応する人体の器官の周囲に配置されて当該人体に磁力を与える第2磁力発生部に前記第1制御信号と対応する第2制御信号を出力する制御装置と、
    を備えることを特徴とする磁性微粒子制御システム。
  2. 人体を構成する器官の少なくとも一部を模擬して透明材料で形成され、内部に当該器官が有する空間と同一形状の空間を有するとともに、当該器官の空間を満たす液体と粘性が同一で透明な液体が存在するケースと、
    前記ケースの周囲に配置され、前記ケース内に磁力を与える第1磁力発生部と、
    前記ケース内に注入された磁性微粒子を撮影する撮影部と、
    前記ケースと対応する人体の周囲に配置され、磁性微粒子が注入された当該人体の器官に磁力を与える第2磁力発生部と、
    前記撮影部で撮影された磁性微粒子の画像を用いて、当該磁性微粒子を前記ケース内で目的位置まで移動させる磁力を与えるように前記第1磁力発生部をフィードバック制御する第1制御信号を生成するとともに、前記第2磁力発生部に前記第1制御信号と対応する第2制御信号を出力する制御装置と、
    を備えることを特徴とする磁性微粒子制御システム。
  3. 細胞のマニピュレーションに利用される容器を模擬して透明材料で形成され、内部に当該容器と同一形状の空間を有するとともに、当該容器を満たす液体と粘性が同一で透明な液体が存在するケースと、
    前記ケースの周囲に配置され、前記ケース内に磁力を与える第1磁力発生部と、
    前記ケース内に注入された磁性微粒子を撮影する撮影部と、
    前記撮影部で撮影された磁性微粒子の画像を用いて、当該磁性微粒子を前記ケース内で目的位置まで移動させる磁力を与えるように前記第1磁力発生部をフィードバック制御する第1制御信号を生成するとともに、前記ケースと対応する容器の周囲に配置されて当該容器に磁力を与える第2磁力発生部に前記第1制御信号と対応する第2制御信号を出力する制御装置と、
    を備えることを特徴とする磁性微粒子制御システム。
  4. 細胞のマニピュレーションに利用される容器を模擬して透明材料で形成され、内部に当該容器と同一形状の空間を有するとともに、当該容器を満たす液体と粘性が同一で透明な液体が存在するケースと、
    前記ケースの周囲に配置され、前記ケース内に磁力を与える第1磁力発生部と、
    前記ケース内に注入された磁性微粒子を撮影する撮影部と、
    前記ケースと対応する容器の周囲に配置され、磁性微粒子が注入された当該容器に磁力を与える第2磁力発生部と、
    前記撮影部で撮影された磁性微粒子の画像を用いて、当該磁性微粒子を前記ケース内で目的位置まで移動させる磁力を与えるように前記第1磁力発生部をフィードバック制御する第1制御信号を生成するとともに、前記第2磁力発生部に前記第1制御信号と対応する第2制御信号を出力する制御装置と、
    を備えることを特徴とする磁性微粒子制御システム。
  5. 前記制御装置は、前記ケース内で磁性微粒子が目的位置まで移動されると、当該目的位置で前記磁性微粒子を把持するとともに、前記磁性微粒子を発熱させる制御信号を出力する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の磁性微粒子制御システム。
  6. 前記ケースは、内部の液体を当該ケースが模擬する器官内の液体と同一の流速で当該ケース内の液体の流れを形成するポンプを有する
    ことを特徴とする請求項1、2又は5記載の磁性微粒子制御システム。
  7. 前記ケースと、前記第1磁力発生部の位置関係を調整する駆動機構を備える
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の磁性微粒子制御システム。
JP2014056546A 2014-03-19 2014-03-19 磁性微粒子制御システム Active JP6278187B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014056546A JP6278187B2 (ja) 2014-03-19 2014-03-19 磁性微粒子制御システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014056546A JP6278187B2 (ja) 2014-03-19 2014-03-19 磁性微粒子制御システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015178470A JP2015178470A (ja) 2015-10-08
JP6278187B2 true JP6278187B2 (ja) 2018-02-14

Family

ID=54262804

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014056546A Active JP6278187B2 (ja) 2014-03-19 2014-03-19 磁性微粒子制御システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6278187B2 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2642025B2 (ja) * 1992-10-23 1997-08-20 科学技術振興事業団 磁性微粒子による細胞への生体物質導入方法及び磁気による細胞の選択的濃縮・分離法
JPH08155863A (ja) * 1994-12-02 1996-06-18 Fujitsu Ltd ロボット遠隔操作システム
EP1923131A4 (en) * 2005-08-12 2010-10-27 Toyo University Educational Fo PROCESS FOR HANDLING BY A ROTARY MAGNETIC FIELD
JP5020533B2 (ja) * 2006-04-27 2012-09-05 株式会社日立メディコ ドラッグデリバリーシステム、及びそれを制御するためのコンピュータプログラム
WO2011077750A1 (ja) * 2009-12-25 2011-06-30 株式会社Ihi 磁石体及び磁石体を用いたドラッグデリバリー制御装置
JP5499723B2 (ja) * 2010-01-12 2014-05-21 株式会社Ihi 粒子観察装置
JP5849503B2 (ja) * 2011-08-01 2016-01-27 株式会社Ihi 粒子観察装置及びマニピュレート装置
WO2013035739A1 (ja) * 2011-09-05 2013-03-14 株式会社Ihi 温熱治療用材料、温熱治療用システム及び温熱治療方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015178470A (ja) 2015-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Jiang et al. Control and autonomy of microrobots: Recent progress and perspective
Magdanz et al. Spermatozoa as functional components of robotic microswimmers
Xie et al. Programmable generation and motion control of a snakelike magnetic microrobot swarm
Rajabasadi et al. 3D and 4D lithography of untethered microrobots
Nacev et al. Towards control of magnetic fluids in patients: directing therapeutic nanoparticles to disease locations
Sitti et al. Biomedical applications of untethered mobile milli/microrobots
Chen et al. Recent advances in field‐controlled micro–nano manipulations and micro–nano robots
Fang et al. Advances in 3D bioprinting
US20200324469A1 (en) Systems and methods for in vivo multi-material bioprinting
CN108367498A (zh) Adept三维打印
BR112019018778A2 (pt) métodos e sistemas para impressão de material biológico
Amokrane et al. Macro–micromanipulation platform for inner ear drug delivery
JP2015066449A5 (ja)
Khalil et al. Biocompatible, accurate, and fully autonomous: a sperm-driven micro-bio-robot
Wang et al. Magnetic microrobot and its application in a microfluidic system
Jamil et al. Light-controlled microbots in biomedical application: a review
Shi et al. Nanorobots-assisted natural computation for multifocal tumor sensitization and targeting
JP6278187B2 (ja) 磁性微粒子制御システム
Elnaggar et al. State of the Art in Actuation of Micro/Nanorobots for Biomedical Applications
Hu et al. Development of 3D‐Printed Magnetic Micro‐Nanorobots for Targeted Therapeutics: the State of Art
KR20230058421A (ko) 3d 생체구조 인쇄 시스템 및 방법
Gharamaleki et al. Electromagnetic Manipulation System for Semi-Autonomous Control of Small-Scale Magnetic Objects With Sequential Programming
Yang et al. Rolling Helical Microrobots for Cell Patterning
Jeon et al. Development of magnetically driven microrobots for targeted cell delivery, and their characterization in in vitro, ex vivo and in vivo environments
Chen et al. Detachable electromagnetic actuation system for inverted microscope and its function in motion control of microrobots

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171010

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171020

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180102

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6278187

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151