JP6276963B2 - 金属材料の疲労履歴推定方法及び余寿命推定方法 - Google Patents

金属材料の疲労履歴推定方法及び余寿命推定方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えばタービンエンジンのタービン翼等として用いられるニッケル基超合金等の金属材料が駆動、停止の繰り返しにより疲労を受けたときにその疲労履歴を推定することができる金属材料の疲労履歴推定方法及び余寿命推定方法に関する。
タービンエンジンやジェットエンジンのタービン翼には金属材料としてニッケル基超合金等が用いられるが、このニッケル基超合金は高温、高応力に晒されることから、劣化が早期に進行したり、寿命が予想以上に短くなったりする。このため、タービン翼の使用期間を考慮して適切な時期に劣化診断を行い、その結果に応じて部品の交換を行い、不測の事態を回避する手法が提案されている。
例えば、金属材料の破壊原因推定方法が特許文献1に開示されている。すなわち、この金属材料の破壊原因推定方法は、電子後方散乱回折像法(EBSD法)により破断した金属材料の破壊原因を推定する方法である。具体的には、破断した金属材料の破断箇所に沿う破断面と垂直な面を測定面とし、この測定面上の複数の照射点に電子線を照射して電子後方散乱回折像を得、その電子後方散乱回折像に基づいて各照射点における結晶方位を決定し、該結晶方位から各照射点における方位差を決定する。さらに、前記測定面を破断面からの深さ方向において所定間隔毎に複数の区分に分割し、各区分に属する複数の照射点の方位差の平均値を求め、破断面からの深さを横軸、方位差を縦軸として座標上に前記方位差の平均値をプロットし、方位差曲線を得る。
そして、方位差曲線のパターンを、予め破壊原因の分かっている標準試料を用いて求めた標準方位差曲線と比較することにより、金属材料の破壊原因を判定することができる。
特開2013−64626号公報
しかし、前記特許文献1に記載されている従来構成の金属材料の破壊原因推定方法では、金属材料の破壊原因が引張破断、衝撃破断、クリープ破断又は低サイクル疲労破断のいずれに該当するかを推定することはできるが、金属材料が駆動、停止の繰り返しにより疲労を受けたときその疲労履歴を推定することはできなかった。つまり、特許文献1に記載の発明では、方位差曲線のパターンを破壊原因が既知のパターンと比較して判断するだけであることから、金属材料の疲労履歴として、ひずみの大きさ、亀裂の進展速度等を推定することはできなかった。
そこで、本発明の目的とするところは、金属材料の疲労履歴を容易かつ精度良く推定できるとともに、金属材料の余寿命も的確に推定することが可能な金属材料の疲労履歴推定方法及び余寿命推定方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の金属材料の疲労履歴推定方法は、繰り返し荷重を受けて疲労し、亀裂が生じた金属材料に関し、荷重方向と平行な断面について電子後方散乱法(EBSD法)により、一定間隔で結晶方位データを取得し、得られた結晶方位データに基づいて基準となるベース方位を設定し、各結晶方位とベース方位との方位差を色の濃淡で表し、亀裂進展部に交差する方向に延びる色の濃部で示されるピークの濃度とピーク間の間隔に基づいて金属材料の疲労履歴を推定することを特徴とする。
請求項2に記載の発明の金属材料の疲労履歴推定方法は、請求項1に係る発明において、前記結晶方位データの結晶粒毎の平均方位をベース方位とし、当該結晶粒中の各結晶方位とベース方位との方位差を色の濃淡で表すように構成したことを特徴とする。
請求項に記載の発明の金属材料の疲労履歴推定方法は、請求項1又は請求項に係る発明において、前記亀裂を複数の領域に区分し、各領域の中央位置におけるピークに基づいて金属材料の疲労履歴を推定することを特徴とする。
請求項に記載の発明の金属材料の疲労履歴推定方法は、請求項1から請求項のいずれか一項に係る発明において、前記金属材料は、金属の単結晶であることを特徴とする。
請求項に記載の発明の金属材料の疲労履歴推定方法は、請求項1から請求項のいずれか一項に係る発明において、前記金属材料は、ニッケル基超合金であることを特徴とする。
請求項に記載の発明の金属材料の余寿命推定方法は、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の金属材料の疲労履歴推定方法を用いた金属材料の余寿命推定方法であって、前記金属材料に荷重を付与する適用装置の荷重の付与及び停止の繰り返し回数を横軸とし、金属材料の亀裂の深さを縦軸とする座標上に、前記金属材料の疲労履歴推定方法で得られる繰り返し回数と亀裂の深さをプロットして履歴曲線を描き、その履歴曲線を延長して金属材料の余寿命を推定することを特徴とする。
請求項に記載の発明の金属材料の余寿命推定方法は、請求項に係る発明において、前記適用装置は、ガスタービンの動翼であることを特徴とする。
本発明の金属材料の疲労履歴推定方法によれば、金属材料の疲労履歴を容易かつ精度良く推定することができるという効果を奏する。
第1実施形態における金属材料の疲労時の断面を示し、(a)は亀裂の全体を示す断面図、(b)は亀裂の始端側における結晶方位の方位差を色の濃淡で示した説明図、(c)は亀裂の中間部における結晶方位の方位差を色の濃淡で示した説明図、(d)は亀裂の先端側における結晶方位の方位差を色の濃淡で示した説明図。 荷重の繰り返し回数と亀裂の深さとの関係を示すグラフ。 (a)は、第1実施形態において、疲労履歴を有する金属材料の一定領域における測定点とベース方位との関係を示す説明図、(b)は測定点とベース方位との方位差を示す説明図。 (a)は、従来において、疲労履歴を有する金属材料の一定領域における測定点とその周囲の測定点との関係を示す説明図、(b)は測定点とその周囲の測定点との方位差を示す説明図。 (a)は第2実施形態における金属材料の疲労時の結晶方位の方位差を色の濃淡で示した説明図、(b)は従来における金属材料の疲労時の結晶方位の方位差を色の濃淡で示した説明図。 荷重の繰り返し回数と亀裂の深さとの関係を示すグラフ。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態に関し、図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
図1(a)に示すように、例えばタービンエンジンのタービン翼として用いられるニッケル基超合金等の金属材料11は、タービンエンジンの起動、停止の繰り返しにより、荷重の負荷及び停止を繰り返し受け、やがて亀裂12が生じて疲労破断に到る。図1(a)は金属材料11に生じた亀裂12の断面を示し、この断面は荷重方向と平行な断面である。金属材料11は、多結晶の金属や一方向凝固材でもよいが、金属の単結晶が好適に用いられる。
前記ニッケル基超合金としては、例えばタービン用ニッケル基超合金が用いられ、このタービン用ニッケル基超合金としては、例えばガンマプライム相を有するガンマプライム析出強化型ニッケル基超合金が挙げられる。ガンマプライム相は、ニッケル、アルミニウム及びチタンを含む金属間化合物が析出した相である。このガンマプライム析出強化型ニッケル基超合金として具体的には、Special Metals社のインコネルIN-738LC、GE社製のGTD111(DS)等が挙げられる。
前記インコネルIN-738LCの組成は、Cr16%、Co8.5%、C0.10%、Mo1.7%、W2.6%、Ti3.4%、Al3.4%、Ta1.7%、残りはNiである(%は質量%)。また、GTD111(DS)の組成は、Cr14%、Co9.5%、C0.10%、Mo1.5%、W3.8%、Ti4.9%、Al3.0%、Ta2.8%、残りはNiである(%は質量%)。
本実施形態の金属材料11の疲労履歴推定方法は、このような繰り返し荷重を受けて亀裂12が生じた金属材料11の疲労履歴を推定するものである。すなわち、まず荷重方向と平行な断面について電子後方散乱法(EBSD法)により、一定間隔で結晶方位データを取得する。得られた結晶方位データの結晶粒毎の平均方位をベース方位とし、当該結晶粒中の各結晶方位とベース方位との方位差を色の濃淡で表す。そして、亀裂12の進展軌跡を示す亀裂進展部12aに交差する方向に延びる色の濃部で示されるピーク13に基づいて金属材料11の疲労履歴を推定する。
前記EBSD法自体は公知であることから、簡単に説明する。
まず、亀裂12が生じた金属材料11を図示しない走査型電子顕微鏡のサンプル台上に載せ、金属材料11に電子線を照射することにより、電子後方散乱回折像が得られる。この電子後方散乱回折像は、高感度カメラにより撮影され、画像データが形成される。その画像データを解析することにより、各測定点における結晶方位データが得られる。
本実施形態においては、それらの結晶方位データの平均値としてベース方位を使用する。そして、各測定点の結晶方位とベース方位との方位差が色の濃淡で表される。この色の濃淡のうち濃部は亀裂進展部12aに沿ってその近傍に形成されるとともに、その色の濃部で表されるピーク13は亀裂進展部12aに交差する方向に延びている。従って、このピーク13に基づいて、金属材料11の疲労履歴を推定することができる。
この金属材料(単結晶)の疲労履歴推定方法を具体的に説明すると、図1(a)に示すように、前記亀裂12をその亀裂進展部12aにおいて3つのほぼ均等な領域、すなわち亀裂12の先端側から基端側に向かって第1領域14、第2領域15及び第3領域16に区分する。第1領域14の中央位置における方位差を示す色の濃淡特にその濃部17が図1(d)に示され、第2領域15の中央位置における方位差を示す色の濃淡特にその濃部17が図1(c)に示され、第3領域16の中央位置における方位差を示す色の濃淡特にその濃部17が図1(b)に示されている。
図1(d)に示すように、前記第1領域14においては、亀裂進展部12aにほぼ直交するピーク13がほぼ一定間隔で形成されるとともに、ピーク13以外の部分は色の淡部18となっている。このピーク13の数は、金属材料11に作用する荷重負荷の回数に対応するとともに、ピーク13の色の濃淡はひずみの大小を表し、ピーク13の間隔は亀裂12の進展速度を表している。各ピーク13の濃部17及び最濃部19は少なく、ピーク13間の間隔20が狭いことから、この第1領域14においては、金属材料11のひずみ(歪)は小さく、亀裂12の進展速度は遅いことが示されている。
一方、図1(b)に示すように、第3領域16における各ピーク13の濃部17及び最濃部19は多く、ピーク13間の間隔20は広くなっている。このため、第3領域16においては、金属材料11のひずみは大きく、亀裂12の進展速度は速いことが示されている。
また、図1(c)に示すように、第2領域15における各ピーク13の濃部17及び最濃部19は、第1領域14と第3領域16におけるピーク13の濃部17及び最濃部19の中間の濃度を示し、ピーク13間の間隔20も第1領域14と第3領域16のピーク13間の間隔20の中間値を示している。そのため、第2領域15におけるひずみと亀裂12の進展速度は、第1領域14と第3領域16の中間状態が示されている。
従って、荷重の負荷及び停止の繰り返しによる金属材料11のひずみは第3領域16において大きく、亀裂12の進展速度も速く、第1領域14に到るほどひずみが小さく、亀裂12の進展速度も遅くなる傾向である。
次に、図2に示すように、亀裂12が第1領域14の先端部に到ったとき、荷重の負荷及び停止の繰り返し回数は560回であり、そのときの亀裂12の深さは8mmであったため、荷重の繰り返し回数(回)を横軸とし、亀裂の深さ(mm)を縦軸とする図2の座標上にこの点aをプロットする。
続いて、図1(d)に示すように、第1領域14の基端部における亀裂12の深さを測定すると5.5mmであることから、第1領域14の深さは2.5mmである。また、第1領域14におけるピーク13間の間隔20を測定すると12μmである。従って、第1領域14におけるピーク13の数は、210本である〔2.5÷0.012≒210〕。すなわち、第1領域14の基端部における荷重の繰り返し回数は350回である。そのため、この点bを図2の座標上にプロットする。
その後、図1(c)に示すように、第2領域15の基端部における亀裂12の深さを測定すると3mmであることから、第2領域15の深さは2.5mmである。また、第2領域15におけるピーク13間の間隔20を測定すると21μmである。従って、第2領域15におけるピーク13の数は、120本である〔2.5÷0.021≒120〕。すなわち、第2領域15の基端部における荷重の繰り返し回数は230回である。そのため、この点cを図2の座標上にプロットする。
さらに、図1(b)に示すように、第3領域16の基端部における亀裂12の深さを測定すると0mmであることから、第3領域16の深さは3mmである。また、第3領域16におけるピーク13間の間隔20を測定すると25μmである。従って、第3領域16におけるピーク13の数は、120本である〔3÷0.025=120〕。すなわち、第3領域16の基端部における荷重の繰り返し回数は110回である。そのため、この点dを図2の座標上にプロットする。
そして、これらの点a、点b、点c及び点dの4点を滑らかに結ぶことにより、履歴曲線21が得られ、金属材料11の疲労履歴を推定することができる。
ここで、本実施形態における結晶方位として、ベース方位を用いた方位差を使用する方法と、従来の結晶方位として周囲の結晶方位との方位差とした方法とを比較して説明する。
図3(a)に示すように、一定範囲の結晶領域22において、全ての測定点の結晶方位23を平均してベース方位24が求められる。そして、図3(b)に示すように、ある測定点における結晶方位23とベース方位24との方位差θが大きな角度として表される。前記ベース方位24は、亀裂進展部12aの近傍では結晶方位23は変化するが、その他の領域では結晶方位の変化は殆どないため、全体の平均値はほぼ初期の結晶方位を示している。
一方、図4(a)に示すように、従来法では、ある測定点における結晶方位23と、その測定点に隣接する測定点(6測定点)における結晶方位23aとの方位差Δを平均して得られる方位差δが求められる。なお、隣接する測定点は4測定点であってもよい。そして、図4(b)に示すように、その方位差δは前記方位差θに比べて小さな角度として表される。従って、本実施形態の方位差θに基づいて得られる色の濃淡は従来の方位差δに基づいて得られる色の濃淡に比べて差が大きくなり、測定精度が向上する。
また、図2に示すように、前記履歴曲線21を延長することにより、図2の二点鎖線で表す延長曲線25が得られ、その延長曲線25に基づいて金属材料11の余寿命を推定することができる。
すなわち、図2に示すように、タービン翼として用いられる金属材料11の厚さは例えば11mmであることから、亀裂12の深さが11mmすなわち金属材料11の疲労時における荷重の繰り返し回数は、延長曲線25に基づいて1050回であることが求められる。現在の亀裂12の深さは8mmで、荷重の繰り返し回数は560回であることから、余寿命は490回(1050−560=490)であると推定することができる。
次に、前記のように構成された金属材料11の疲労履歴推定方法及び余寿命推定方法について作用とともに説明する。
さて、図1(a)に示すように、金属材料11の疲労履歴を推定する場合には、例えばタービンエンジンのタービン翼として用いられるニッケル基超合金が繰り返し荷重を受けて亀裂12が生じたとき、その金属材料11について、荷重方向と平行な断面についてEBSD法により、一定間隔で結晶方位データを取得する。
図1(b)〜(d)に示すように、得られた結晶方位データの平均方位をベース方位24とし、各結晶方位データとベース方位24との方位差θを色の濃淡で表すと、亀裂進展部12aにほぼ直交する方向に延びる色の濃部17で示されるピーク13が得られる。前記亀裂進展部12aを例えば先端部の第1領域14、中間部の第2領域15及び基端部の第3領域16の3つの領域に区分する。
図1(b)に示すように、第3領域16のピーク13は濃部17が多いことからひずみが大きく、またピーク13間の間隔20が広いことから亀裂12の進展速度が速いと推定できる。図1(c)に示すように、第2領域15のピーク13は濃部17が第3領域16のピーク13の濃部17よりも少ないことから第3領域16よりもひずみが小さく、またピーク13間の間隔20も第3領域16のピーク13間の間隔20よりも狭いことから亀裂12の進展速度も第3領域16よりも遅いと推定できる。図1(d)に示すように、第1領域14のピーク13は濃部17が最も少ないことからひずみが最も小さく、またピーク13間の間隔20も最も狭いことから亀裂12の進展速度が最も遅いと推定できる。
このように、ベース方位24を求め、各結晶方位23とそのベース方位24との方位差θを使用することにより、ピーク13の濃部17やピーク13間の間隔20を認識しやすく、疲労履歴の推定を速やかに進めることができる。
続いて、金属材料11の余寿命を推定する場合には、図2に示すように、タービンエンジンによる荷重の付与及び停止の繰り返し回数を横軸とし、金属材料11の亀裂12の深さを縦軸として座標上に、前記亀裂進展部12aの先端部における荷重の繰り返し回数560回と亀裂12の深さ8mmの点aをプロットする。
次いで、第1領域14における亀裂12の深さを測定すると5.5mmであり、その亀裂12の深さとピーク13間の間隔20とからピーク13の数を求めると210本であることから、第1領域14と第2領域15との境界部では荷重の繰り返し回数は350回である。このため、荷重の繰り返し回数350回と亀裂12の深さ5.5mmの点bを座標上にプロットする。
同様に、第2領域15における亀裂12の深さを測定すると3mmであり、その亀裂12の深さとピーク13間の間隔20とからピーク13の数を求めると120本であることから、第2領域15と第3領域16との境界部では荷重の繰り返し回数は230回である。このため、荷重の繰り返し回数230回と亀裂12の深さ3mmの点cを座標上にプロットする。
さらに、第3領域16における亀裂12の深さを測定すると0mmであり、その亀裂12の深さとピーク13間の間隔20とからピーク13の数を求めると120本であることから、第3領域16の始端部では荷重の繰り返し回数は110回である。このため、荷重の繰り返し回数110回と亀裂12の深さ0mmの点dを座標上にプロットする。
そして、前記点a、点b、点c及び点dを滑らかな曲線で結んで履歴曲線21を作成する。さらに、この履歴曲線21を延長して延長曲線25を作成する。金属材料11の厚さは11mmであることから、延長曲線25上において、亀裂12の深さが11mmに達するときの荷重の繰り返し回数を求めると、1050回である。現在、荷重の繰り返し回数560回で、亀裂12の深さが8mmであることから、余寿命は、荷重の繰り返し回数の差として490回であり、亀裂12の深さの差として3mmであると推定することができる。
このように、荷重の繰り返し回数と亀裂12の深さとの座標上で、履歴曲線21から延長曲線25を作成し、その延長曲線25を利用することにより、金属材料11の余寿命を簡単かつ迅速に推定することができる。
以上の第1実施形態により発揮される効果を以下にまとめて記載する。
(1)第1実施形態における金属材料11の疲労履歴推定方法は、疲労により亀裂12が生じた金属材料11に関し、各結晶方位23とベース方位24との方位差θを利用することにより、金属材料11の疲労履歴を推定することができる。すなわち、結晶方位データの平均方位をベース方位24とし、各結晶方位23とベース方位24との方位差θを色の濃淡で表し、亀裂進展部12aに交差する方向に延びる色の濃部17で示されるピーク13に基づいて金属材料11の疲労履歴を推定することができる。
このように、ベース方位24を用い、各測定点の結晶方位23との方位差θを色の濃淡として表したことにより、色の濃淡を鮮明にできて疲労の状態が認識しやすくなるとともに、ピーク13を高く、シャープにでき、疲労に関する判断を良好に行うことができる。
従って、第1実施形態によれば、金属材料11の疲労履歴を容易かつ精度良く推定することができるという効果を奏する。
(2)前記ピーク13の濃度とピーク13間の間隔20に基づいて金属材料11の疲労履歴を推定することにより、金属材料11のひずみと亀裂12の進展速度を容易に認識できるとともに、精度良く推定することができる。
(3)前記亀裂12を複数の領域に区分し、各領域の中央位置におけるピーク13に基づいて金属材料11の疲労履歴を推定する。このため、ピーク13の状態が近似する領域毎に疲労の状態を判断することができ、疲労履歴の推定を簡単かつ速やかに行うことができる。
(4)前記金属材料11は、金属の単結晶である。このため、結晶方位の方位差θを色の濃淡で鮮明に示すことができ、疲労履歴の推定精度を向上させることができる。
(5)前記金属材料11は、ニッケル基超合金である。従って、金属材料11の疲労履歴の推定を特にタービンエンジンのタービン翼について的確に行うことができる。
(6)金属材料11の余寿命推定方法は、適用装置による荷重の付与及び停止の繰り返し回数を横軸とし、金属材料11の亀裂12の深さを縦軸とする座標上に、荷重の繰り返し回数と亀裂12の深さをプロットして履歴曲線21を描き、該履歴曲線21を延長した延長曲線25に基づいて金属材料11の余寿命を推定するものである。このため、履歴曲線21を延長して延長曲線25を作成することにより、余寿命を迅速かつ高い精度で把握することができる。
従って、金属材料11の余寿命推定方法によれば、金属材料11の余寿命を簡易に、しかも的確に推定することができるという効果を奏する。
(7)前記適用装置は、ガスタービンの動翼であることにより、大きな荷重を繰り返し受ける金属材料11について余寿命を的確に推定することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図5及び図6に従って説明する。なお、この第2実施形態においては、主に前記第1実施形態と相違する部分について説明し、同一部分については説明を省略する。
金属材料11として、一方向凝固材(柱結晶)であるニッケル基超合金のMGA1400DS〔三菱重工業(株)製の商品名〕を使用した。このニッケル基超合金の組成は、Cr14%、Co10%、Mo1.7%、W4.6%、Ta4.8%、Ti2.4%、Al4%、残りはNiである(%は質量%)。
図5(a)は、このニッケル基超合金について、EBSD法に基づき各測定点の結晶方位23とベース方位24との方位差θを色の濃淡で表したものである。疲労試験条件は、伸びと縮みによる全ひずみ範囲が1.2%、ひずみを示す試験速度が0.1%/秒、温度が850℃、圧縮ひずみと引張ひずみとのひずみ比(最小ひずみ/最大ひずみ)が−1、波形が三角波、丸棒試験体の直径が4mm(亀裂は3.5mmまで進展し、急速破断した)である。そして、破断回数は2052回であった。
この図5(a)に示すように、各結晶方位23とベース方位24との方位差θを示すピーク13(縞模様)が認められることから、そのピーク13の濃度やピーク13間の間隔20に基づいて、第1実施形態と同様に一方向凝固材であるニッケル基超合金の疲労履歴を推定することができる。
例えば、前記ピーク13間の間隔20から、1回の繰り返しでの亀裂12の進展幅は6.3μm/本であった。また、破断に到るまでの亀裂12の深さは3.5mmであった。従って、亀裂12が発生してから破断するまでの荷重の繰り返し回数は556回である(3500/6.3=556)。つまり、亀裂12が発生するまでの破断回数(亀裂発生寿命)は1496回(2052−556=1496)であることが推定できた。
図6に示すように、前記第1実施形態と同様にして、荷重の繰り返し回数(回)と亀裂の深さ(mm)を示す座標上に、亀裂発生時及び破断時の点をプロットした。
一方、図5(b)に示すように、上記と同じ一方向凝固材であるニッケル基超合金について、EBSD法に基づき、従来法として各測定点の結晶方位23とその周囲の測定点の結晶方位23aとの方位差δを色の濃淡で表すと、方位差δに基づくピーク13は認められなかった。従って、従来法により一方向凝固材であるニッケル基超合金の疲労履歴を推定することはできない。
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・前記亀裂12を区分する3つの第1領域14、第2領域15及び第3領域16を、金属材料11の種類、繰り返し荷重の大きさ、亀裂12の大きさ等に応じて2つの領域に設定したり、4つ以上の領域に設定したりしてもよい。
・前記ピーク13の濃部17や最濃部19の面積をそれぞれ求め、それらの面積に基づいて金属材料11のひずみの大きさを判断してもよい。
・前記第1実施形態において、亀裂進展部12a近傍で表れる濃部17以外の淡部18における結晶方位を基準となるベース方位24としたり、淡部18における結晶方位から平均方位を求めて基準となるベース方位24としたりしてもよい。
・前記第1実施形態において、第1領域14、第2領域15又は第3領域16でそれぞれピーク13の数を測定し、そのピーク13の数とピーク13間の間隔20とに基づいて亀裂12の深さを求めるように実施してもよい。
・前記ニッケル基超合金として、単結晶合金であるGE社のPWA1483、Rene´N5、一方向凝固材であるC-M社のCM-247LC等を使用してもよい。
11…金属材料、12…亀裂、12a…亀裂進展部、13…ピーク、13a…濃部、14…第1領域、15…第2領域、16…第3領域、20…間隔、21…履歴曲線、23…結晶方位、24…ベース方位、25…延長曲線、θ…方位差。

Claims (7)

  1. 繰り返し荷重を受けて疲労し、亀裂が生じた金属材料に関し、荷重方向と平行な断面について電子後方散乱法(EBSD法)により、一定間隔で結晶方位データを取得し、得られた結晶方位データに基づいて基準となるベース方位を設定し、各結晶方位とベース方位との方位差を色の濃淡で表し、亀裂進展部に交差する方向に延びる色の濃部で示されるピークの濃度とピーク間の間隔に基づいて金属材料の疲労履歴を推定することを特徴とする金属材料の疲労履歴推定方法。
  2. 前記結晶方位データの結晶粒毎の平均方位をベース方位とし、当該結晶粒中の各結晶方位とベース方位との方位差を色の濃淡で表すように構成したことを特徴とする請求項1に記載の金属材料の疲労履歴推定方法。
  3. 前記亀裂を複数の領域に区分し、各領域の中央位置におけるピークに基づいて金属材料の疲労履歴を推定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属材料の疲労履歴推定方法。
  4. 前記金属材料は、金属の単結晶であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の金属材料の疲労履歴推定方法。
  5. 前記金属材料は、ニッケル基超合金であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の金属材料の疲労履歴推定方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の金属材料の疲労履歴推定方法を用いた金属材料の余寿命推定方法であって、
    前記金属材料に荷重を付与する適用装置の荷重の付与及び停止の繰り返し回数を横軸とし、金属材料の亀裂の深さを縦軸とする座標上に、前記金属材料の疲労履歴推定方法で得られる繰り返し回数と亀裂の深さをプロットして履歴曲線を描き、その履歴曲線を延長して金属材料の余寿命を推定することを特徴とする金属材料の余寿命推定方法。
  7. 前記適用装置は、ガスタービンの動翼であることを特徴とする請求項6に記載の金属材料の余寿命推定方法。
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