JP6276228B2 - 追加経路選択装置、追加経路選択方法、及びプログラム - Google Patents

追加経路選択装置、追加経路選択方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、追加経路選択装置、追加経路選択方法、及びプログラムに関する。
非特許文献1及び2では、被災エリア形状、又は被災パラメータに基づく、ネットワークを構成する設備に関する評価尺度について評価が行われている。評価結果により、現状のネットワークを構成する設備に対する被災時特性の評価を行うことができる。また、例えば、ネットワークを構成する設備を新たな設備に変更した場合に評価尺度値が改善するかどうかについて影響評価を行うことが可能であることから、被災時特性の点から、新たな設備への変更が有利であるかどうかを評価することができる。
斎藤洋,「ネットワーク」と「形」(その2)-面的被災に強いネットワークの形-,日本オペレーションズ・リサーチ学会,2014年秋季研究発表会,2014年8月 斎藤洋,面的被災時のネットワーク残存性,日本オペレーションズ・リサーチ学会,2014年秋季研究発表会,2014年8月
しかしながら、構築済のネットワークについて、リンクの追加によるネットワークの接続関係(トポロジー)の変更を検討する際において、発生が予期されている地震による影響をなるべく小さくする経路選択の仕方について、上記各非特許文献では示唆が与えられていない。
仮に、リンクを追加可能な全ての発着ノードの候補について、物理経路の決定や、各物理経路に関する地震による影響(例えば、切断確率等)を算出した場合、その計算量が大きくなる。例えば、100ノードを含むネットワーク内に5つのリンクを追加する場合、リンクの発着位置は、(100×99/2)の5乗であり、非常に計算量が大きくなる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、ネットワークに対して追加されるリンクについて災害による影響が相対的に小さくなるような物理経路の選択を支援することを目的とする。
そこで上記課題を解決するため、追加経路選択装置は、ネットワークを構成する複数のノードのうちの一部又は全部のノード対ごとに、当該ノード対の間に追加されるリンクについての候補経路の集合に含まれる各候補経路について経路長を算出する経路長算出部と、前記各候補経路について、想定される地震ごとに、当該地震による影響の大きさを示す第1の指標値を算出する指標値算出部と、前記ノード対ごとに、当該ノード対に関する候補経路の集合に属する各候補経路の経路長と前記地震ごとの前記第1の指標値とに基づいて、当該集合の中から部分集合を抽出する抽出部と、前記ノード対ごとの部分集合のいずれかに属する候補経路の中から、前記ネットワークに追加する1以上の候補経路の組み合わせを選択する組み合わせ部とを有し、前記組み合わせ部は、前記組み合わせに含まれる候補経路の経路長の総和と、前記組み合わせに含まれる候補経路を前記ネットワークに追加した場合の前記ネットワーク全体に対する前記地震による影響の大きさを示す第2の指標値とに基づいて、前記組み合わせを選択する。

ネットワークに対して追加されるリンクについて災害による影響が相対的に小さくなるような物理経路の選択を支援することができる。
本発明の実施の形態における追加経路選択装置のハードウェア構成例を示す図である。 本発明の実施の形態における追加経路選択装置の機能構成例を示す図である。 本実施の形態における既存ネットワークの構成例を説明するための図である。 追加経路選択装置が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。 対象ノード対に関する碁盤の目の一例を示す図である。 1つの候補経路の1つの地震に関する切断確率の算出処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における追加経路選択装置のハードウェア構成例を示す図である。図1の追加経路選択装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
追加経路選択装置10での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って追加経路選択装置10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
本実施の形態において、追加経路選択装置10は、追加されるリンクの物理経路長の総和が許容範囲内であるという制限において、既存のネットワークに対して追加するリンクの物理経路を選択するための処理を実行する。この際、追加経路選択装置10は、想定されている地震による影響が相対的に低いと予想される物理経路を選択する。リンクを追加することで、ネットワークが冗長化され、地震等の災害に対する影響を低下させることができる。
すなわち、本実施の形態では、リンクを追加することで、既存のネットワークの接続関係(トポロジー)が変化することが想定されている。既存のネットワークが与えられたもとで、新たなリンクを追加することで、「(単一経路の発着ノード間だけなく)任意の発着ノード間の切断確率」等のネットワークのトポロジーの効果を含む尺度を最適化するような状況が、本実施の形態が対象とする典型的な状況である。経路長の総和等のコスト条件を満たす限り、追加リンクは1つに限られない。
なお、本実施の形態において、ネットワークとは、ネットワークケーブル、ネットワークケーブル間を接続する装置(ルータ等)等を含む設備で構成される。これらのネットワークの構成要素が地震の影響で故障等することで発着対地間が切断され、ネットワークが不通となることが生じる。物理経路とは、ケーブル等が敷設されている、一連の地理的位置を表す。また、ノードとは、伝送終端装置などの通信装置が設置される局舎位置をいう。リンクとは、ノード間を接続するケーブル等の通信装置(または、無線装置によって同等の機能を果たす仮想的な通信ケーブル)をいう。
追加されるリンク(以下、「追加リンク」という。)の物理経路長の総和が許容範囲内であるという制限において、追加リンクについて、想定されている地震による影響が相対的に低いと予想される物理経路の選択は、以下のような最適化問題として表記できる。
追加リンクを表現する記号をEとする。Eは、発着ノード対の集合E_nと、E_nに含まれる発着ノード対の間の追加リンクの物理経路の集合E_wとから構成される。
また、ノードiとノードjとの発着ノード対(i,j)間の追加リンクの物理経路の候補の集合である候補経路集合をR(i,j)、候補経路集合R(i,j)中の或る物理経路をW(i,j)、W(i,j)の経路長をL(W(i,j))、或る地震a(aは、想定されている地震の地震名を示す)による設備故障の影響で追加リンクの物理経路W(i,j)が切断される確率(以下、「切断確率」という。)をd_a(W(i,j))と表記する。なお、1つの発着ノード対(i,j)の間には、道路や鉄道等を辿ることで、複数の物理経路が探索されうる。したがって、発着ノード対(i,j)に対する候補経路集合をR(i,j)には、複数の物理経路W(i,j)が属しうる。
また、2つの必ずしも隣接でないノード対(u,v)を発着する通信に対して、追加リンクを含めても地震aによる設備故障の影響でu,v間が切断される確率(以下、「発着ノード間切断確率」という。)を、d_a(u,v|E)と表記する。また、想定される全地震に対して、(i,j)∈E_nの全(i,j)について、全物理経路E_wを与えたときの、最大の発着ノード間切断確率を、最悪発着ノード間切断確率d_A(W|E)という。すなわち、発着ノード対(i,j)の集合S、想定される地震の集合Aに対して、
d_A(W|E)=max_{a∈A,(u,v)∈S}d_a(u,v|E) ・・・(1)
である。
或る地震aと発着ノード対(u,v)に対して、d_a(u,v|E)がd_A(W|E)となるわけである。
なお、本実施の形態において、最悪発着ノード間切断確率d_A(W|E)は、ネットワーク全体に対する地震による影響の大きさを評価するための指標値又は尺度の一例である。すなわち、本実施の形態では、対象となるネットワーク全体に関して、最悪発着ノード間切断確率d_A(W|E)が最小となるように追加リンクの物理経路が選択される。その結果、設備の構築先について災害による影響が相対的に低い追加リンクの選択を支援することができる。なお、u,v間の切断とは、ノードuとノードvとの間におけるネットワークを構成する設備のいずれかの部分の破損又は故障等により、ノードu及びノードv間におけてネットワーク通信が困難になる状況をいう。
解かれるべき最適化問題は、このd_A(W|E)を用いて以下の式(2)及び式(3)によって表記される。
min_{E, W(i,j)∈R(i,j), (i,j)∈E}d_A(W|E) ・・・(2)
subj. Σ_{(i,j)∈E_n}L(W(i,j))≦c ・・・(3)
ここで、式(3)は、追加リンクの物理経路長の総和が許容コストの一例である許容経路長c以下であるという条件を意味する。すなわち、許容経路長cは、ネットワーク設計上、任意に設定する追加リンクの物理経路長の総和の上限を決める定数である。また、Eは、所与のものではない。すなわち、追加経路選択装置10は、Eを適切に選択し、かつ、Eで決まる追加リンクの全てに対して、適切に物理経路を決めることで、式(3)の条件を満たしつつ、式(2)を最適化する。
なお、上記の式(2)、式(3)の役割を入れ替えた、以下の式(4)及び式(5)が解かれてもよい。
minΣ_{E, (i,j)∈E_n}L(W(i,j)) ・・・(4)
subj. d_A(W|E)≦c' ・・・(5)
上記の最適化問題を解くべく、追加経路選択装置10は、例えば、図2に示されるような機能構成を有する。
図2は、本発明の実施の形態における追加経路選択装置の機能構成例を示す図である。図2において、追加経路選択装置10は、入出力部11、予備選択部12、多目的問題解法部13、経路長算出部14、経路切断確率算出部15、組み合わせ部16、及び発着ノード間切断確率算出部17等を有する。これら各部は、追加経路選択装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。追加経路選択装置10は、また、設備情報記憶部121、接続情報記憶部122、地理情報記憶部123、地震情報記憶部124、パレート最適経路記憶部125、及び既存網切断確率記憶部126等を利用する。これら各記憶部は、例えば、補助記憶装置102、又は追加経路選択装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
入出力部11は、追加経路選択装置10が実行する処理に対する入力情報の入力を受け付けたり、当該処理の結果を出力したりする。斯かる入出力は、ネットワークを介して行われてもよい。又は、追加経路選択装置10が、キーボード、マウス、又はタッチパネル等の入力装置や、液晶ディスプレイ等の表示装置等に接続され、当該入力装置及び当該出力装置等を介して、当該入出力が行われてもよい。
予備選択部12は、設備情報記憶部121に記憶されている情報と、接続情報記憶部122に記憶されている情報とを参照して、リンクの追加対象として選択されたネットワーク(以下、「既存ネットワーク」という。)を構成する複数のノードの中から、リンクが追加される発着ノード対について、1以上の候補を選択する。発着ノード対とは、1本のリンクによって接続される2つのノードの組(対)をいう。なお、既存ネットワークの全てのノード対(2つのノードの組)が、当該候補として選択されてもよい。
設備情報記憶部121には、既存ネットワークを構成する設備に関する情報が記憶されている。例えば、設備情報記憶部121には、管路種別等、物理経路を構成する、あるいは、構成しようとする設備の情報が記憶されている。また、設備情報記憶部121には、既存ネットワークのリンクごとに、ケーブルの敷設位置(緯度、経度)及びケーブルの両端のノードのノード番号とその地理的位置等を示す情報が記憶されている。
接続情報記憶部122は、既存ネットワークのノード間の接続関係を示す情報が記憶されている。
すなわち、設備情報記憶部121に記憶されている情報と、接続情報記憶部122に記憶されている情報とに基づいて、既存ネットワークの構成を特定することができる。但し、接続情報記憶部122に記憶されている情報は、設備情報記憶部121に記憶されているケーブルとその両端のノードのノード番号から導出されてもよい。この場合、接続情報記憶部122は設けられなくてもよい。
なお、本実施の形態において、既存ネットワークは、1つ以上のリングネットワークによって構成されるネットワークであるとする(以下、「条件1」という。)。また、E_n内の発着ノード対(すなわち、追加リンクの発着ノード対)は、同一のリングネットワーク内にあるとする(以下、「条件2」という。)。
図3は、本実施の形態における既存ネットワークの構成例を説明するための図である。図3において、実線は、既存ネットワークの各リンクの物理経路を示す。また、黒丸は、ノードを示す。
図3の(a)には、単一のリングネットワークによって既存ネットワークが構成される例が示されている。この場合、条件2を満たすためには、既存ネットワークのいずれのノード対が、追加リンクの発着ノード対として選択される。図3では、追加リンクの例が、破線によって示されている。なお、追加リンクは、既存ネットワークに対して追加されるリンクであり、初期状態の既存ネットワークを構成するものではない。
図3の(b)には、複数の(2つの)リングネットワークによって既存ネットワークが構成される例が示されている。この場合、条件2を満たすためには、図示されているように、各追加リンクの発着ノード対が、それぞれのリングネットワーク内におけるノードから選択される必要が有る。
条件1及び条件2の設定理由は、次の通りである。「Hiroshi Saito, Spatial Design of Physical Network Robust Against Earthquakes, IEEE J. Lightwave Technology, 33, 2, pp.443-457, 2015.」によれば、(A)リングネットワーク内の追加リンクは、被災確率(すなわち、被災エリアにかかるリンクは必ず壊れるという仮定での発着ノード間切断確率)を向上させないことを目的とし、(B)被災時のリンクの切断確率が低い場合で、1つのリングネットワークが被災エリアより大きい場合は、発着ノード間の切断は、近似的には、被災エリアが発ノード、あるいは、着ノードで生じた場合に限られる。このとき、発ノード、あるいは、着ノードからの経路数が多いほど発着ノード間切断確率が低下することから、多数の追加リンクが生じる方が、つまり、一定の経路長総和制限下では、短い追加リンクが有る方が発着ノード間切断確率は低下する。これらのことから、リングネットワークをまたぐ追加リンクはあまり有効ではないという判断に基づく。但し、条件1及び条件2は、必ずしも設定されなくてもよい。
なお、予備選択部12は、上記の(B)に基づいて、既存ネットワークの各リングネットワークについて、当該リングネットワーク上の全ノード対のうちで、直線距離が短い方から或る一定の割合のノード対を、E内の(追加リンクの)発着ノード対の候補とする。例えば、図3(a)に示されるように、リングネットワーク上に6つのノードが有る場合、ノード対は全部で15である。この場合、短い方から40%を候補とすると、6対が当該リングネットワークに対する追加リンクの発着ノード対の候補となる。但し、一定の割合ではなく、一定数の候補が選択されてもよい。なお、追加リンクの発着ノード対の候補の選択に関して、隣接ノード間には追加リンクを設定しない等のルールが追加されてもよい。以下、第kリングネットワークにおける、追加リンクの発着ノード対の候補の集合(E内の発着ノード対の候補の集合)を、H(k)と表記し、更に、既存ネットワークを構成する各リングネットワークに関するH(k)の和集合(H(1)∪H(2)∪・・・)を、H(all)と表記する。
多目的問題解法部13は、予備選択部12によって選択された発着ノード対(i,j)の候補ごとに、候補経路集合R(i,j)を生成する。多目的問題解法部13は、また、上記の式(2)及び式(3)で定義される最適化問題(以下、「親問題」という。)を、予備選択部12によって選択されたH(all)内のノード対(i,j)ごとの多目的問題(以下、子問題C(i,j)という。)に分解し、各子問題C(i,j)に対するパレート最適解集合P(i,j)を算出する。多目的問題解法部13は、算出結果のパレート最適解集合P(i,j)を、ノード対(i,j)、候補経路W(i,j)、及び切断確率d_a(i,j)に関連付けて、パレート最適経路記憶部125に記憶する。
パレート最適解とは、複数の目的を含む問題に対して、全ての目的関数値が良くなるような解が無い解のことである。この多目的問題(子問題C(i,j))は、A={a1,…,an}(すなわち、想定される地震は、a1,…,an)としたとき、
min_{W(i,j)∈R(i,j)} (L(W(i,j)), d_a1(W(i,j)), … , d_an(W(i,j))) ・・・(6)
で定義される。すなわち、ノード対(i,j)間に追加リンクを付与したとき、当該追加リンクの物理経路W(i,j)を候補経路集合R(i,j)中から上手に選択することにより、経路長L(W(i,j))を小さくすると共に、地震ak(k=1,..,n)による物理経路W(i,j)の切断確率d_ak(W(i,j))を小さくしたいということである。したがって、子問題C(i,j)のパレート最適解集合P(i,j)は、候補経路集合R(i,j)の部分集合である。すなわち、多目的問題解法部13は、発着ノード対(i,j)ごとに、候補経路集合R(i,j)の中から、経路長L(W(i,j))を小さくすると共に、地震ak(k=1,..,n)による物理経路W(i,j)の切断確率d_ak(W(i,j))が小さくなるような部分集合を抽出する。例えば、L(W(i,j))が最小である発着ノード対(i,j)は、子問題C(i,j)のパレート最適解集合P(i,j)に含まれうる。
なお、子問題C(i,j)の各目的関数は、親問題の目的関数あるいは条件の一部となっている。したがって、親問題の最適解は、子問題C(i,j)ごとに得られる各パレート最適解集合から1つずつ選択されるパレート最適解の組み合わせになる。
経路長算出部14は、地理情報記憶部123に記憶されている情報を参照して、予備選択部12によって選択された発着ノード対(i,j)の候補ごとに、候補経路集合R(i,j)に含まれる各物理経路W(i,j)について、距離(経路長)を算出する。算出結果は、多目的問題解法部13によって利用される。
地理情報記憶部123には、既存ネットワークが構築されている地域の道路網や交通網等の地理的情報が記憶されている。
経路切断確率算出部15は、地震情報記憶部124に記憶されている情報を参照して、予備選択部12によって選択された発着ノード対(i,j)の候補ごとに、候補経路集合R(i,j)に含まれる各物理経路W(i,j)について、地震の集合Aに属する各地震aによる切断確率を算出する。算出結果は、多目的問題解法部13によって利用される。
地震情報記憶部124には、地震の集合Aに属する各地震aに関する情報が記憶されている。例えば、地震情報記憶部124には、各地震aの発生確率、震源域、深度(震源の深さ)、及び震源マグニチュードが記憶され、さらに、各地域の想定震度を計算するための評価式及び地表の構造に基づく増幅率等が記憶されている。又は地震情報記憶部124には、地震ごとの各地域の想定震度が予め記憶されていてもよい。
組み合わせ部16は、パレート最適経路記憶部125に記憶されている各パレート最適解集合P(i,j)から、発着ノード対(i,j)の候補ごとに、制約条件を満たす範囲でパレート最適解を1つずつ選択する。組み合わせ部16は、選択されたパレート最適解を組み合わせることで、親問題の最適解を得る。
発着ノード間切断確率算出部17は、発着ノード対(i,j)の候補から抽出されるノード対(i,j)ごとに、当該ノード対(i,j)間にリンクが追加された場合の発着ノード間切断確率を算出する。発着ノード間切断確率の算出に際し、追加リンクに係る切断確率は、経路切断確率算出部15によって算出された値が利用される。一方、既存ネットワークにおける既存のリンクについては、既存網切断確率記憶部126に記憶されている値が利用される。すなわち、既存網切断確率記憶部126は、既存のリンクごとに、経路切断確率算出部15による処理手順と同様の処理手順によって予め算出された切断確率が、地震集合Aに属する地震aごとに記憶されている。
以下、追加経路選択装置10が実行する処理手順について説明する。図4は、追加経路選択装置が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、予備選択部12は、既存ネットワークを構成するリングネットワークごとに、ステップS101及びS102を実行する。当該ステップにおいて処理対象とされているリングネットワークを、「リングネットワークk」という。
ステップS101において、予備選択部12は、リングネットワークkにおけるノード対の中から、一部のノード対を、追加リンクの発着ノード対の候補として選択し、選択結果をH(k)に代入する。例えば、上記したように、ノート対の間の直線距離の短い方から一定の割合又は一定数の範囲内に含まれるノード対が、当該候補として選択される。
なお、既存ネットワークに含まれている各リングネットワーク及び各リングネットワークに含まれるノード群は、接続情報記憶部122に記憶されている情報に基づいて特定可能である。また、リングネットワークkにおける各ノード対の間の直線距離は、設備情報記憶部121等に記憶されている、各ノードの地理的位置に基づいて算出可能である。
続いて、予備選択部12は、H(all)に対して、H(k)∪H(all)を代入する(ステップS102)。なお、図4の処理手順の開始時において、H(all)は空集合である。
全てのリングネットワークについて、ステップS101及びS102が完了すると、H(all)に属するノート対(i,j)ごとに、ステップS103〜S106が実行される。以下、ステップS103〜S106において処理対象のノード対(i,j)を、「対象ノード対(i,j)」という。
ステップS103において、多目的問題解法部13は、対象ノード対(i,j)について、W(i,j)∈R(i,j)となる各候補経路W(i,j)を生成する。候補経路集合R(i,j)は、道路網や鉄道網などネットワークを物理的に設置できる地理的要素によって構成される。なお、各候補経路W(i,j)は、例えば、以下のように生成されてもよい。
まず、多目的問題解法部13は、ノードi及びノードjの中間点を中心に、適当な間隔で碁盤の目(格子)を生成する。
図5は、対象ノード対に関する碁盤の目の一例を示す図である。碁盤の目の間隔は、対象ノード対(i,j)間の距離にもよるが、例えば、ノードiが東京の或る地点であり、ノードjが横浜の或る地点であるとすると、当該間隔は、5km程度でもよい。また、碁盤の目において直交する一方の方向は、南北方向であり、他方の方向は、東西方向であってもよいし、他の方向同士が直交していてもよい。なお、各ノードの地理的な位置情報(例えば、緯度及び経度)は、例えば、設備情報記憶部121に記憶されている。
多目的問題解法部13は、碁盤の目における格子点(直交する直線の交点)ごとに、当該格子点の近辺の道路網上又は鉄道網上の1点を通ることを制約条件として、対象ノード対(i,j)間について経路探索を行う。探索される経路は、道路網又は鉄道網等によって構成される経路である。ネットワークを構成する設備は、道路や鉄道に沿って施設されるのが一般的だからである。道路網及び鉄道網の地理的情報は、例えば、地理情報記憶部123に記憶されている。なお、経路探索には、例えば、ナビゲーションシステム等における経路探索技術等が用いられてもよい。
このような経路探索が、格子点ごとに実行されることで、複数の探索結果、すなわち、複数の候補経路W(i,j)が生成される。図5には、各候補経路W(i,j)が実線によって示されている。
各候補経路W(i,j)は、相互に異なる制約条件(格子点)に基づいて探索されたものであるため、或る程度、相互に離れていることが期待できる。このことは、或る地点を震源とする地震に対する影響が、相互に異なる候補経路W(i,j)が探索されうることを意味する。なお、2つ以上の格子点に基づく制約条件のもとで、経路探索が行われてもよい。また、上記以外の方法によって、候補経路W(i,j)が生成されてもよい。
なお、碁盤の目は、際限なく生成可能であるが、実際には、最短経路から乖離している候補経路W(i,j)の価値はほとんど認められない。これは、以下の理由による。
地震による設備故障は、例えば、震度5弱以下では生じにくい。したがって、仮に、震源から遠い経路によって当該経路上の設備故障を回避するとしても、震度5弱の領域まで迂回すれば、それ以上に迂遠な経路の探索の必要性は低い。震度5強以上の領域は、ある限定された範囲であるので、際限なく広がることは無い。また、巨大地震によって、例えば、震度5強の領域が非常に広い場合にも、以下の理由により、候補経路W(i,j)にとって対象とすべき領域は、更に限られる。
或る地震aによる切断確率d_a(W(i,j))は、第1近似としては、この地震aの各震度階の領域内の経路長の正の重み付き和で与えられる。最短経路の切断確率も同様であるので、d_a(W(i,j))が最短経路よりも切断確率が小さくなるためには、経路長L(W(i,j))は、あまり大きな値を取り得ない。
なお、対象ノート対(i,j)間の候補経路W(i,j)は、入力情報として与えられてもよい。この場合、ノート対(i,j)ごとに、当該ノート対(i,j)の候補経路W(i,j)を示す情報が、開始時に入力されてもよいし、予め、補助記憶装置102等に記憶されていてもよい。
続いて、経路長算出部14は、各候補経路W(i,j)について、経路長L(W(i,j))を算出する(ステップS104)。なお、経路長L(W(i,j))は、候補経路W(i,j)の探索と共に算出されてもよい。経路長算出部14は、各候補経路W(i,j)の経路長L(W(i,j))を、対象ノード対(i,j)に関連付けてパレート最適経路記憶部125に記憶する。
続いて、経路切断確率算出部15は、各候補経路W(i,j)について、地震集合Aに含まれる地震aごとに切断確率d_a(W(i,j))を算出する(ステップS105)。すなわち、候補経路W(i,j)ごとに、d_a1(W(i,j)),…,d_an(W(i,j))が算出される。なお、切断確率d_a(W(i,j))の算出方法の詳細については後述される。経路切断確率算出部15は、各候補経路W(i,j)の地震aごとの切断確率d_a(W(i,j))を、対象ノード対(i,j)に関連付けてパレート最適経路記憶部125に記憶する。
続いて、多目的問題解法部13は、算出された各経路長L(W(i,j))及び各切断確率d_a(W(i,j))に基づいて、対象ノード対(i,j)に対応する子問題C(i,j)に対するパレート最適解集合P(i,j)を得る(ステップS106)。多目的問題解法部13は、パレート最適解集合P(i,j)を、対象ノード対(i,j)に関連付けてパレート最適経路記憶部125に記憶する。
H(all)に属する全てのノード対(i,j)について、ステップS103〜S106が完了すると、組み合わせ部16は、Eを空集合とし、変数c_rに対して許容経路長cを代入する(ステップS107)。なお、許容経路長cは、例えば、入出力部11を介して、予め入力される。
続いて、H(all)に属するノード対(i,j)ごとに、ステップS108〜S112が実行される。以下、ステップS108〜S112において処理対象のノード対(i,j)を、「対象ノード対(i,j)」という。
ステップS108において、組み合わせ部16は、対象ノード対(i,j)に関連付けられてパレート最適経路記憶部125に記憶されている、子問題C(i,j)のパレート最適解集合P(i,j)の中から、経路長L(W(i,j))がc_r以下である候補経路W(i,j)を抽出する(ステップS108)。複数の候補経路W(i,j)が該当すれば、複数の候補経路W(i,j)が抽出される。
該当する候補経路W(i,j)が1つも無い場合(ステップS109でNo)、未だ処理対象とされていないノード対(i,j)がH(all)に有れば(ステップS110でYes)、未処理のノード対(i,j)のいずれかについて、ステップS108以降が実行される。
該当する候補経路W(i,j)が1以上有る場合(ステップS109でYes)、当該候補経路(i,j)ごとに、ステップS111及びS112が実行される。
ステップS111において、発着ノード間切断確率算出部17は、E_n∪(i,j)をE_n*に代入し、E_w∪W(i,j)を、E_w*に代入することで、Eを更新する(ステップS111)。続いて、発着ノード間切断確率算出部17は、式(1)に基づいて、E_n*及びE_w*に関して、d_A(W|E*)を算出する(ステップS112)。すなわち、処理対象の候補経路(i,j)について、地震集合Aに属する各地震aによる発着ノード間切断確率のうち、最大の値が求められる。
具体的には、発着ノード間切断確率算出部17は、接続情報記憶部122に記憶されている既存ネットワークの接続情報と、対象ノード対(i,j)に関してパレート最適経路記憶部125に記憶されている地震aごとの切断確率d_a(W(i,j))と、既存網切断確率記憶部126に記憶されている、地震aごとの各既存リンクの切断確率とを得て、発着ノード間切断確率を計算する。追加リンクを含む各リンクの切断確率が既知で、既存ネットワークに対して追加リンクが追加されたネットワークの接続関係が既知の場合、各リンクの切断を独立事象と仮定するならば、斯かる発着ノード間切断確率は、よく知られたネットワーク信頼性計算と同じであるので、これを用いて計算すればよい。
ステップS108において抽出された全ての候補経路W(i,j)について、ステップS111及びS112が完了すると、組み合わせ部16は、d_A(W|E*)が最小となった候補経路W(i,j)を、W(i,j)*としてメモリ装置103又は補助記憶装置102に記憶する。また、組み合わせ部16は、当該d_A(W|E*)をd(i,j)として、当該W(i,j)*に関連付けて記憶する(ステップS113)。
H(all)に属する全てのノード対(i,j)について、ステップS108〜S113が完了すると、組み合わせ部16は、ステップS113において記憶されたd(i,j)の中で、最小のd(i,j)に対するノード対(i,j)とW(i,j)*とをメモリ装置103又は補助記憶装置102に記憶する(ステップS114)。
続いて、組み合わせ部16は、E_n∪(i,j)をE_nに対して代入し、E_w∪W(i,j)*をE_wに代入することで、Eを更新する(ステップS115)。ここで、(i,j)は、ステップS114において記憶されたノード対(i,j)であり、W(i,j)*は、ステップS114において記憶されたW(i,j)*である。
続いて、組み合わせ部16は、H(all)から当該ノード対(i,j)を除去する(ステップS116)。続いて、組み合わせ部16は、c_rからL(W(i,j)*)を減算した結果をc_rに代入することで、c_rを更新する(ステップS117)。
続いて、ステップS108以降が再実行される。このようにステップS108が繰り返される過程において、H(all)に属する全てのノード対(i,j)について、経路長L(W(i,j))がc_r以下である候補経路W(i,j)が抽出されなくなると(ステップS110でNo)、入出力部11は、その時点におけるEの内容、すなわち、E_nとE_wとを、リンクが追加される発着ノード対の集合と、各追加リンクの物理経路を示す情報として出力する(ステップS118)。すなわち、ここで出力される情報が、物理経路長の総和が許容範囲内(許容経路長c以下)である候補経路W(i,j)の組み合わせの中で、最悪発着ノード間切断確率d_A(W|E)が、最小となる候補経路W(i,j)の組み合わせである。
続いて、ステップS105の詳細について説明する。図6は、1つの候補経路の1つの地震に関する切断確率の算出処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。図6は、1つの候補経路W(i,j)の1つの地震aに関する切断確率の算出処理であるため、ステップS105では、図6の処理手順が、各候補経路W(i,j)及び各地震a∈Aについて実行されればよい。
ステップS201において、経路切断確率算出部15は、候補経路W(i,j)を、複数の部分(以下、「微小区間u」という。)に分割する。
続いて、経路切断確率算出部15は、微小区間uごとに、地震aの震源域からの距離dを算出する(ステップS202)。例えば、微小区間uごとに、当該震源域の範囲内において、当該微小区間uに最も近い地点から当該微小区間uまでの距離dが算出されてもよい。なお、地震aの震源域の地理的位置を示す情報は、地震情報記憶部124に記憶されている。
続いて、経路切断確率算出部15は、各微小区間uに関して、工学的基盤での地震の最大速度を算出する(ステップS203)。ステップS203では、地震の最大速度の距離減衰の計算式、当該計算式の補正方法、及び硬質地盤の最大速度から工学的基盤の最大速度への変換方法等が利用される。地震の最大速度の距離減衰の計算式、当該計算式の補正方法、及び硬質地盤の最大速度から工学的基盤の最大速度への変換方法は、例えば、「藤原広行ら,東日本大震災を踏まえた地震ハザード評価の改良に向けた検討,防災科学技術研究所研究資料第379号,2012年12月」に示され、非特許文献1に記載されたものが参考とされてもよい。また、「250mメッシュデータを用いた地震被害想定システムに関する研究[付録],損害保険料算出機構,2009年9月」に記載された計算方法が参考とされてもよい。また、これらの計算式は、地震情報記憶部124に記憶されていてもよい。
具体的には、距離dと、地震aの震源マグニチュード及び深度(震源の深さ)とが、地震の最大速度の距離減衰の計算式に代入されることにより、微小区間uの硬質地盤での最大速度が算出される。この際、当該計算式の補正方法によって、当該計算式について補正が行われてもよい。続いて、硬質地盤の最大速度から工学的基盤の最大速度への変換方法に基づいて、微小区間uの硬質地盤での最大速度が、微小区間uの工学的基盤での最大速度に変換される。このような演算が、各微小区間uについて実行される。
続いて、経路切断確率算出部15は、微小区間uごとに、当該微小区間uの位置に対応した表層地盤増幅率を取得し、当該微小区間uについて算出された工学的基盤の最大速度に当該表層地盤増幅率を乗じることにより、当該微小区間uの表層地盤(地表)での最大速度を得る(ステップS204)。表層地盤増幅率とは、工学的基盤(Vs=400m/s)から地表に至る最大速度の増幅率をいい、その値は場所によって異なる。表層地盤増幅率は、例えば、http://www.j-shis.bosai.go.jp/からダウンロードされてもよいし、地震情報記憶部124に記憶されていてもよい。場所ごとに異なる表層地盤増幅率が用いられることにより、各微小区間uの地質や地盤の影響を加味した最大速度(ひいては想定震度)を算出することができる。
続いて、経路切断確率算出部15は、微小区間uごとに、当該微小区間uに関して算出された表層地盤での最大速度を、最大速度から震度への変換式に当てはめることにより、想定震度を算出する(ステップS205)。最大速度から震度への変換式は、例えば、「藤原広行ら,東日本大震災を踏まえた地震ハザード評価の改良に向けた検討,防災科学技術研究所研究資料第379号,2012年12月」等が参考とされてもよい。また、「司、翠川、断層タイプおよび地盤条件を考慮した最大加速度・最大速度の距離減衰式、日本建築学会構造系論文集、第523号、1999.」が参考とされてもよい。
なお、地震情報記憶部124には、予め、地震aごとに、各地域の想定震度が記憶されていてもよい。この場合、各微小区間uの想定震度は、当該微小区間uが属する地域に対して地震情報記憶部124に記憶されている値が用いられてもよい。
続いて、経路切断確率算出部15は、地震aが発生した場合の、各微小区間の故障確率p(u)を算出する(ステップS206)。具体的には、各微小区間uの想定震度と、設備情報記憶部121に記憶されている、震度ごとの経路故障率とに基づいて、各微小区間uの故障確率p(u)が算出される。経路故障率とは、基準長あたりの故障部分の長さの割合である。例えば、100mあたりの故障部分が1箇所である場合、経路故障率は、0.01[1/m]である。例えば、経路切断確率算出部15は、想定震度に対応する経路故障率に、微小区間uの長さを乗じることにより、当該微小区間uの故障確率p(u)を算出する。
なお、経路故障率は、地域ごとに異なっていてよい。また、微小区間uに対応する設備要素の属性(例えば、管路又は架空、ビニール管又は鋼管、製造年等)が考慮されてもよい。例えば、設備要素の属性ごとに、震度別の経路故障率が、設備情報記憶部121に記憶されていてもよい。この場合、各微小区間uに対応する設備要素の属性と、各微小区間uの想定震度と対応する経路故障率が用いられて、各微小区間uの故障確率p(u)が算出されてもよい。
続いて、経路切断確率算出部15は、候補経路W(i,j)の切断確率d_a(i,j)を算出する(ステップS207)。具体的には、経路切断確率算出部15は、微小区間uごとに、以下の式(7)に基づいて、稼動確率を算出する。
微小区間uの稼動確率=1−当該微小区間uの故障確率p(u) ・・・(7)
経路切断確率算出部15は、また、候補経路W(i,j)に係る全ての微小区間uの稼動確率の積(1-(1-p(u_1))×・・・×(1-p(u_n)) 但し、u_kは、k番目の微小区間uを示す。)を算出する。当該積の算出結果は、候補経路W(i,j)の稼動確率である。したがって、経路切断確率算出部15は、以下の式(8)に基づいて、切断確率d_a(i,j)を算出する。
切断確率d_a(W(i,j))=1−候補経路W(i,j)の稼動確率 ・・・(8)
なお、微小区間uの長さは、故障確率p(u)が1.0以下となるように決定されるのが望ましい。すなわち、経路故障率が、0.01であり、基準長が100である場合に、微小区間uの長さが10kmを超えると、故障確率p(u)が1.0を超えてしまう。このようなことがないように、微小区間uの長さが決定されるとよい。例えば、各微小区間uの長さは、経路故障率の基準長よりも短い値とされてもよい。
なお、ネットワークを構成する設備の対する地震による影響の大きさを示す指標値又は尺度として、最悪発着ノード間切断確率d_A(W|E)の代わりに、発着ノード間切断確率総和の地震発生確率による期待値が用いられてもよい。発着ノード間切断確率総和の地震発生確率による期待値とは、Σ_{a∈A,(u,v)∈S}p_a・d_a(u,v|E)で与えられる。ここで、p_aは、地震aの(今後のある期間内に)発生する確率であり、地震情報記憶部124に記憶されている。p_aは、例えば、http://www.j-shis.bosai.go.jp/において地震ごとに公表されているものが利用されてもよい。最悪発着ノード間切断確率d_A(W|E)の代わりに、発着ノード間切断確率総和の地震発生確率による期待値が用いられる場合、上記の最悪発着ノード間切断確率d_A(W|E)が、発着ノード間切断確率総和の地震発生確率による期待値に置き換えられればよい。したがって、この場合、発着ノード間切断確率総和の地震発生確率による期待値が最小となるような追加リンクが選択される。
上述したように、本実施の形態によれば、ネットワークに対して追加されるリンクについて災害による影響が相対的に小さくなるような物理経路の選択を支援することができる。例えば、式(2)及び式(3)に基づいて、経路長の総和が許容経路長c以下であるという制約下において、最悪発着ノード間切断確率d_A(W|E)(若しくは発着ノード間切断確率総和の地震発生確率による期待値)が最小となる候補経路W(i,j)の組み合わせを、追加リンクの組み合わせとして選択することができる。又は、式(4)及び式(5)に基づいて、最悪発着ノード間切断確率d_A(W|E)(若しくは発着ノード間切断確率総和の地震発生確率による期待値)がc'以下であるという制約下において、経路長の総和が最小となる候補経路の組み合わせを、追加リンクの組み合わせとして選択することができる。
また、本実施の形態では、予備選択部12によって選択された発着ノード対(i,j)の候補ごとに、経路長の最小化と、地震aごとの切断確率d_a(i,j)の最小化とを目的とする多目的問題(子問題C(i,j))のパレート最適解集合P(i,j)が獲得され、パレート最適解集合P(i,j)の中から、追加リンクが選択される。
ここで、子問題C(i,j)ごとのそれぞれのパレート最適解集合P(i,j)が、例えば、10個の候補経路W(i,j)から構成され、隣接ノードi,j対の数が全部で10ある場合には、全ての組み合わせは10の10乗となり、現実的に解を得るには困難な程、計算量は膨大となる。しかしながら、実際には、そこまで計算量は大きくならない。何故なら、多くの場合、各子問題C(i,j)のパレート最適解集合は、最短経路のみから構成されるからであり、それ以外のパレート最適解が有る場合でも、パレート最適解集合の要素数はごく少数になる可能性が高いからである。その理由は以下の通りである。
巨大地震の場合、同一震度階の領域が大きい。同一震度階を通る経路では、近似的には、経路長が短いほど有利となる(切断確率が小さくなる)。このため、最短経路が切断確率の点でも有利であり、それ以外の解がパレート最適となるケースは少ない。局所的地震の場合、震源近くの領域では、震源域近くの領域から少し離れると、すぐに低震度階領域となるため、設備故障が発生しない。このため、震源域の近くでのみ、最短経路から離れる解があり得るが、狭い範囲での経路であるので、少数である。この結果、例えば、各隣接ノードi,j間について、各子問題C(i,j)のパレート最適解集合は、平均で2個程度の候補経路W(i,j)から構成されるようになる。この場合、隣接ノード間の数が全部で10あれば、組み合わせの数は、2の10乗であり、計算量は、現時的に計算可能な大きさとなる。
したがって、本実施の形態によれば、ノード数が多くなる大規模なネットワークに関しても、現実的な計算量によって、経路長の総和や地震による影響の大きさに関する制限下において、適切な追加リンクを選択することができる。
なお、本実施の形態において、経路切断確率算出部15は、指標値算出部の一例である。多目的問題解法部13は、抽出部の一例である。切断確率d_a(W(i,j))は、第1の指標値の一例である。最悪発着ノード間切断確率d_A(W|E)は、第2の指標値の一例である。予備選択部12は、選択部の一例である。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 追加経路選択装置
11 入出力部
12 予備選択部
13 多目的問題解法部
14 経路長算出部
15 経路切断確率算出部
16 組み合わせ部
17 発着ノード間切断確率算出部
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
121 設備情報記憶部
122 接続情報記憶部
123 地理情報記憶部
124 地震情報記憶部
125 パレート最適経路記憶部
126 既存網切断確率記憶部
B バス

Claims (7)

  1. ネットワークを構成する複数のノードのうちの一部又は全部のノード対ごとに、当該ノード対の間に追加されるリンクについての候補経路の集合に含まれる各候補経路について経路長を算出する経路長算出部と、
    前記各候補経路について、想定される地震ごとに、当該地震による影響の大きさを示す第1の指標値を算出する指標値算出部と、
    前記ノード対ごとに、当該ノード対に関する候補経路の集合に属する各候補経路の経路長と前記地震ごとの前記第1の指標値とに基づいて、当該集合の中から部分集合を抽出する抽出部と
    前記ノード対ごとの部分集合のいずれかに属する候補経路の中から、前記ネットワークに追加する1以上の候補経路の組み合わせを選択する組み合わせ部とを有し、
    前記組み合わせ部は、前記組み合わせに含まれる候補経路の経路長の総和と、前記組み合わせに含まれる候補経路を前記ネットワークに追加した場合の前記ネットワーク全体に対する前記地震による影響の大きさを示す第2の指標値とに基づいて、前記組み合わせを選択する、
    ことを特徴とする追加経路選択装置。
  2. 前記ネットワークは、1以上のリングネットワークによって構成され、
    前記リングネットワークごとに、当該リングネットワークを構成する複数のノード対の中から、ノード対の間の直線距離に基づいて、一定数又は一定の割合のノード対を選択する選択部を有し、
    前記経路長算出部は、前記選択部によって選択されたノード対ごとに、当該ノード対の間に追加されるリンクについての候補経路の集合に含まれる各候補経路について経路長を算出する、
    ことを特徴とする請求項に記載の追加経路選択装置。
  3. 前記抽出部は、前記ノード対ごとの候補経路の集合ごとに、経路長の最小化と、前記地震ごとの前記第1の指標値の最小化とを目的とする多目的問題のパレート最適解集合を得ることで、前記部分集合を抽出する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の追加経路選択装置。
  4. コンピュータが、
    ネットワークを構成する複数のノードのうちの一部又は全部のノード対ごとに、当該ノード対の間に追加されるリンクについての候補経路の集合に含まれる各候補経路について経路長を算出する経路長算出手順と、
    前記各候補経路について、想定される地震ごとに、当該地震による影響の大きさを示す第1の指標値を算出する指標値算出手順と、
    前記ノード対ごとに、当該ノード対に関する候補経路の集合に属する各候補経路の経路長と前記地震ごとの前記第1の指標値とに基づいて、当該集合の中から部分集合を抽出する抽出手順と
    前記ノード対ごとの部分集合のいずれかに属する候補経路の中から、前記ネットワークに追加する1以上の候補経路の組み合わせを選択する組み合わせ手順とをコンピュータが実行し、
    前記組み合わせ手順は、前記組み合わせに含まれる候補経路の経路長の総和と、前記組み合わせに含まれる候補経路を前記ネットワークに追加した場合の前記ネットワーク全体に対する前記地震による影響の大きさを示す第2の指標値とに基づいて、前記組み合わせを選択する、
    ことを特徴とする追加経路選択方法。
  5. 前記ネットワークは、1以上のリングネットワークによって構成され、
    前記リングネットワークごとに、当該リングネットワークを構成する複数のノード対の中から、ノード対の間の直線距離に基づいて、一定数又は一定の割合のノード対を選択する選択手順を前記コンピュータが実行し、
    前記経路長算出手順は、前記選択手順において選択されたノード対ごとに、当該ノード対の間に追加されるリンクについての候補経路の集合に含まれる各候補経路について経路長を算出する、
    ことを特徴とする請求項に記載の追加経路選択方法。
  6. 前記抽出手順は、前記ノード対ごとの候補経路の集合ごとに、経路長の最小化と、前記地震ごとの前記第1の指標値の最小化とを目的とする多目的問題のパレート最適解集合を得ることで、前記部分集合を抽出する、
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の追加経路選択方法。
  7. 請求項1乃至いずれか一項記載の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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