JP5502840B2 - 落雷被害予測装置、方法およびプログラム - Google Patents

落雷被害予測装置、方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、落雷被害予測装置、方法およびプログラムに関し、特に、落雷による設備の故障状況を予測する落雷被害予測装置、方法およびプログラムに関する。
落雷による設備の故障(以下、「雷害故障」という。)が発生した場合、特に故障した設備が使用中であった場合は、迅速な対応が強く要望される。雷害故障に対して即時に対応するためには、修復に対応する要員や補修部品を雷害故障の発生の頻度に応じて効率よく確保することが望まれる。このために、落雷の発生頻度などから、雷害故障の発生頻度を精度よく導出することが必要となる。
そこで、従来より、雷害故障の発生時の後、直ちに故障した設備の修理を実施するための要員の確保や補修部品の準備を可能とするために、所定の領域における落雷の発生頻度と設備密度とを考慮した任意期間における雷害故障の発生頻度を予測する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2008−15620号公報 特開2009−15450号公報
株式会社フランクリン・ジャパン 、〔平成23年11月17日検索〕、インターネット<URL:http://www.franklinjapan.jp/cgi-bin/franklin/siteup.cgi?category=4&page=2#a>) 国土交通省ハザードマップポータルサイト、〔平成23年11月17日検索〕、インターネット<URL:http://disapotal.gsi.go.jp/>)
しかしながら、特許文献1,2に開示されている従来の技術では、所定の領域における落雷の発生頻度と設備密度とを考慮して雷害故障の発生頻度を予測することにより補修部品や保守要員の確保を実施する技術であって、後述する雷の特性を考慮して雷害故障の発生頻度を予測するものではない。
すなわち、設備の故障は瞬間的に大電流が流れるなど、設備に一定の負荷がかかり、その負荷に設備が耐えられない場合に故障が発生する。したがって、瞬間電流値が一定のレベルに達していない落雷は、通信設備の故障には影響が極めて小さい。一方で瞬間電流値が大きければ大きいほど、影響範囲が広いという特徴がある。同じ一発の落雷と言っても、瞬間電流値の大きさによって、設備故障に大きな影響を与える。
しかし、特許文献1、2に開示されている従来の技術は、このような雷の特性が考慮されておらず、雷害故障の発生頻度の予測精度が低いといった問題があった。
そこで本発明は、上述した課題を解決するために、雷の特性を考慮することにより、従来よりも高精度に雷害故障の発生頻度の予測を行うことを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明は、少なくとも落雷の発生日時、発生位置、発生時の瞬間最大電流値に関する落雷データを記憶する落雷データベースと、少なくとも通信サービスの提供エリアの位置と提供エリア内に配置された設備の総数に関する設備データを記憶する設備データベースと、落雷データと設備データとから提供エリアの落雷エネルギーを表す落雷エネルギー情報を取得する落雷エネルギー情報取得部と、設備データから提供エリアの設備の総数と設備の設置位置とを表すサービスエリア情報を取得するサービスエリア情報取得部と、落雷エネルギー情報およびサービスエリア情報に基づいて提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出する導出部とを備えることを特徴とする。
これにより、本発明によれば、少なくとも落雷の発生日時、発生位置、発生時の瞬間最大電流値に関する落雷データを記憶する落雷データベースと、少なくとも通信サービスの提供エリアの位置と提供エリア内に配置された設備の総数に関する設備データを記憶する設備データベースとを用い、落雷データベースに記憶された落雷データと設備データベースに記憶された設備データとから提供エリアの落雷エネルギーを表す落雷エネルギー情報が取得され、設備データベースに記憶された設備データから提供エリアの設備の総数と設備の設置位置とを表すサービスエリア情報が取得され、この取得された落雷エネルギー情報とサービスエリア情報とに基づいて提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報が導出される。本発明において、設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報は、例えば設備の落雷による故障回数とする。本発明では、雷害故障頻度情報の導出に際して、提供エリアの落雷エネルギーを表す落雷エネルギー情報を用いることから、落雷発生時の瞬間最大電流値などの雷の特性が考慮されるものとなり、高精度な雷害故障の発生頻度の予測が可能となる。
本発明における導出部は、落雷エネルギー情報から提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、サービスエリア情報から提供エリアの所定単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)とを導出し、提供エリアにおける設備の落雷による故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出するための予測式
Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b
(ここで、kは回帰係数、a,bは回帰乗数(0.3<a,b<1.1)、iは位置情報を表す。)
に落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)とを代入して演算することにより、雷害故障頻度情報として雷害故障密度(Nd)を導出しても良い。
なお、落雷エネルギー合計値(ΣLI)は、例えば、提供エリアにおける所定単位期間当たりのすべての落雷の瞬間最大電流値の合計として求めるようにする。また、上記予測式において、aとbの数値は、過去の実データを用いて統計解析で求めることができる。
また、本発明に係る落雷被害予測装置において、設備データベースに、更に、個々の設備の雷耐性に関するデータを雷耐性データとして記憶させるようにし、設備の雷耐性データと設備データとから提供エリアの設備の耐圧性を表す設備雷耐性情報を取得する設備雷耐性情報取得部を更に設け、導出部は、落雷エネルギー情報、サービスエリア情報および設備雷耐性情報に基づいて、提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出するものとしても良い。
設備の雷耐力は装置の種類、製造メーカ毎に異なり、雷耐性が強い設備ほど、故障しにくくなる特徴がある。異なる2つの設備に同じ電流値が流れる場合でも、故障する装置と故障しない装置が現れる。雷害故障頻度情報の導出に際して、提供エリアの設備の耐圧性を表す設備雷耐性情報を用いることから、落雷発生時の瞬間最大電流値などの雷の特性に加えて、雷耐性などの設備の特性も考慮されるものとなり、さらに高精度な雷害故障の発生頻度の予測が可能となる。
また、本発明における導出部は、落雷エネルギー情報から提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、サービスエリア情報から提供エリアの所定単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)と、設備雷耐性情報から提供エリアにおける所定単位領域あたりの設備の平均雷耐性を表す過電圧耐力影響係数(Ta)とを導出し、提供エリアにおける設備の落雷による故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出するための予測式
Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b×Ta(i) c
(ここで、kは回帰係数、a,b,cは回帰乗数(0.3<a,b,c<1.1)、iは位置情報を表す。)
に落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)と過電圧耐力影響係数(Ta)とを代入して演算することにより、雷害故障頻度情報として雷害故障密度(Nd)を導出しても良い。
なお、落雷エネルギー合計値(ΣLI)は、例えば、提供エリアにおける所定単位期間当たりの一定規模以上の落雷の瞬間最大電流値の合計として求めるようにする。一定規模以上の落雷とは、所定単位領域内の設備の過電圧耐力影響係数Taを基準に、平均的に耐えられる電流値を求め、その電流値以上の落雷として定義する。また、ある過電圧耐力影響係数Taとそれに耐えられる電流値の関係は、実験データから求めるようにすると良い。
また、本発明に係る落雷被害予測装置において、少なくとも設備の故障率に関する故障データを記憶する故障データベースと、少なくとも提供エリアの地形を表す地形データを記憶する地形データベースと、設備データ、故障データおよび地形データから提供エリアの地形の起伏に伴う設備の故障率の変化を表す地形起伏影響情報を取得する地形起伏影響情報取得部とを更に備え、導出部は、落雷エネルギー情報、サービスエリア情報、設備雷耐性情報および地形起伏影響情報に基づいて、提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出しても良い。
落雷は、高い所(周囲範囲の中で相対的に背の高い物や場所)に発生する可能性が高いという性質を有している。雷害故障頻度情報の導出に際して、提供エリアの地形の起伏に伴う設備の故障率の変化を表す地形起伏影響情報を用いることから、落雷発生時の瞬間最大電流値などの雷の特性や雷耐性などの設備の特性に加えて、地形の起伏も考慮されるものとなり、さらに高精度な雷害故障の発生頻度の予測が可能となる。
また、本発明における導出部は、落雷エネルギー情報から提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、サービスエリア情報から提供エリアの所定単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)と、設備雷耐性情報から提供エリアにおける所定単位領域あたりの設備の平均雷耐性を表す過電圧耐力影響係数(Ta)と、サービスエリア情報と地形起伏影響情報とから設備の設置位置における海抜高度の変動に伴う故障率の影響度を表す地形起伏影響度(Re)とを導出し、提供エリアにおける設備の落雷による故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出するための予測式
Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b×Ta(i) c×Re(i) f
(ここで、kは回帰係数、a,b,c,fは回帰乗数(0.3<a,b,c,f<1.1)、iは位置情報を表す。)
に落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)と過電圧耐力影響係数(Ta)と地形起伏影響度(Re)とを代入して演算することにより、雷害故障頻度情報として雷害故障密度(Nd)を導出しても良い。
また、本発明に係る落雷被害予測装置において、少なくとも提供エリア内に敷設された通信線の種別と位置と距離とに関する通信線データを記憶する通信線データベースと、通信線データから提供エリア内に施設された通信線のうち地上に露出しているメタルケーブルの距離に関する地上メタルケーブル情報を取得する地上メタルケーブル情報取得部とを更に備え、導出部は、落雷エネルギー情報、サービスエリア情報、設備雷耐性情報、地形起伏影響情報および地上メタルケーブル情報に基づいて、提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出しても良い。
落雷による雷サージの伝搬ルートは、地上に露出している電線の距離や、ある領域内に露出している電線の密度と深い関係がある。雷害故障頻度情報の導出に際して、提供エリア内に施設された通信線のうち地上に露出しているメタルケーブルの距離に関する地上メタルケーブル情報を用いることから、落雷発生時の瞬間最大電流値などの雷の特性や雷耐性などの設備の特性や地形の起伏に加えて、雷サージの伝搬ルートも考慮されるものとなり、さらに高精度な雷害故障の発生頻度の予測が可能となる。
また、本発明における導出部は、落雷エネルギー情報から提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、サービスエリア情報から提供エリアの所定単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)と、設備雷耐性情報から提供エリアにおける所定単位領域あたりの設備の平均雷耐性を表す過電圧耐力影響係数(Ta)と、サービスエリア情報と地形起伏影響情報とから設備の設置位置における海抜高度の変動に伴う故障率の影響度を表す地形起伏影響度(Re)と、地上メタルケーブル情報から提供エリアの所定単位領域当たりに敷設されたメタルケーブルのうち地上に露出しているメタルケーブルの総距離を表す地上メタルケーブル総距離(Cd)とを導出し、提供エリアにおける設備の落雷による故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出するための予測式
Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b×Ta(i) c×Re(i) f×Cd(i) g
(ここで、kは回帰係数、a,b,c,f,gは回帰乗数(0.3<a,b,c,f,g<1.1)、iは位置情報を表す。)
に落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)と過電圧耐力影響係数(Ta)と地形起伏影響度(Re)と地上メタルケーブル総距離(Cd)とを代入して演算することにより、雷害故障頻度情報として雷害故障密度(Nd)を導出しても良い。
また、本発明に係る落雷被害予測装置において、配置密度(Nt)の代わりに人口密度(P)を使うようにしても良い。また、本発明における雷害故障頻度情報は、提供エリアにおける特定の期間に発生する落雷による設備の故障回数の推定結果を表す故障回数情報を含み、導出部は、故障回数情報に基づいて提供エリア内における設備の保守計画に関する保守計画情報を導出しても良い。
また、本発明は、上述した落雷被害予測装置に適用される落雷被害予測方法としても実現することが可能である。また、本発明に係る落雷被害予測装置や落雷被害予測方法は、コンピュータによって実行されるプログラムとしても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
本発明によれば、提供エリアの落雷エネルギーを表す落雷エネルギー情報と設備の総数と設備の設置位置とを表すサービスエリア情報とに基づいて、提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出するようにしたので、落雷発生時の瞬間最大電流値などの雷の特性が考慮されるものとなり、従来よりも高精度な雷害故障の発生頻度の予測を行うことが可能となる。
また、本発明によれば、提供エリアの落雷エネルギー情報とサービスエリア情報とに加え、提供エリアの設備の耐圧性を表す設備雷耐性情報に基づいて、提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出するようにしたので、落雷発生時の瞬間最大電流値などの雷の特性に加えて、過電圧耐力などの設備の特性も考慮されるものとなり、さらに高精度な雷害故障の発生頻度の予測が可能となる。
また、本発明によれば、提供エリアの落雷エネルギー情報とサービスエリア情報と雷害故障頻度情報とに加え、提供エリアの地形の起伏に伴う設備の故障率の変化を表す地形起伏影響情報に基づいて、提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出するようにしたので、落雷発生時の瞬間最大電流値などの雷の特性や雷耐性などの設備の特性に加えて、地形の起伏も考慮されるものとなり、さらに高精度な雷害故障の発生頻度の予測が可能となる。
また、本発明によれば、提供エリアの落雷エネルギー情報とサービスエリア情報と雷害故障頻度情報と地形起伏影響情報とに加え、提供エリア内に施設された通信線のうち地上に露出しているメタルケーブルの距離に関する地上メタルケーブル情報に基づいて、提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出するようにしたので、落雷発生時の瞬間最大電流値などの雷の特性や雷耐性などの設備の特性や地形の起伏に加えて、雷サージの伝搬ルートも考慮されるものとなり、さらに高精度な雷害故障の発生頻度の予測が可能となる。
本発明にかかる落雷被害予測装置の第1の実施の形態(実施の形態1)の構成を示すブロック図である。 実施の形態1の落雷被害予測装置による雷害故障の発生頻度の予測機能を概念的に説明する図である。 実施の形態1の落雷被害予測装置の動作を示すフローチャートである。 落雷データベースに記憶されている落雷データの一例を示す図である。 設備データベースに記憶されている設備データの一例を示す図である。 本発明にかかる落雷被害予測装置の第2の実施の形態(実施の形態2)の構成を示すブロック図である。 実施の形態2の落雷被害予測装置による雷害故障の発生頻度の予測機能を概念的に説明する図である。 実施の形態2の落雷被害予測装置の動作を示すフローチャートである。 落雷データベースに記憶されている落雷データの一例を示す図である。 本発明にかかる落雷被害予測装置の第3の実施の形態(実施の形態3)の構成を示すブロック図である。 実施の形態3の落雷被害予測装置による雷害故障の発生頻度の予測機能を概念的に説明する図である。 実施の形態3の落雷被害予測装置の動作を示すフローチャートである。 故障データベースに記憶されている故障データの一例を示す図である。 地形データベースに記憶されている地形データの一例を示す図である。 本発明にかかる落雷被害予測装置の第4の実施の形態(実施の形態4)の構成を示すブロック図である。 実施の形態4の落雷被害予測装置による雷害故障の発生頻度の予測機能を概念的に説明する図である。 実施の形態4の落雷被害予測装置の動作を示すフローチャートである。 通信線データベースに記憶されている通信線データの一例を示す図である。 提供エリアおよびこの提供エリア内の計算単位(単位領域)を示す図である。 落雷エネルギー情報取得部の出力結果(落雷エネルギー情報)を例示する図である。 サービスエリア情報取得部の出力結果(サービスエリア情報)を例示する図である。 設備雷耐性情報取得部の出力結果(設備雷耐性情報)を例示する図である。 地形起伏影響情報取得部の出力結果(地形起伏影響情報)を例示する図である。 地上メタルケーブル情報取得部の出力結果(地上メタルケーブル情報)を例示する図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態(実施の形態1)にかかる落雷被害予測装置は、通信サービスの提供エリア(以下、単に「提供エリア」という。)に配置された設備の雷害故障の発生頻度を、落雷エネルギー量を考慮して予測するものである。
この実施の形態1にかかる落雷被害予測装置の構成を示すブロック図を図1に、この実施の形態1にかかる落雷被害予測装置による雷害故障の発生頻度の予測機能を概念的に説明する図を図2に示す。以下、実施の形態1にかかる落雷被害予測装置の構成および機能について、図1,2を参照して説明する。
図1,2に示すように、実施の形態1の落雷被害予測装置100は、落雷データベース111と、設備データベース112と、落雷エネルギー情報取得部121と、サービスエリア情報取得部122と、導出部130とから構成されている。
落雷データベース111は、少なくとも落雷の発生日時、発生位置、発生時の瞬間最大電流値に関する落雷データを記憶するデータベースである。本実施の形態において、落雷データベース111は、あるエリアにおける落雷発生数の実績を表すデータや発生した落雷毎に落雷発生日時と落雷発生位置情報と落雷エネルギー情報とを関連付けたデータを落雷データとして記憶する。
図4に落雷データベース111に記憶されている落雷データの一例を示す。この落雷データにおいて、「落雷発生日」および「時刻」が落雷発生日時を示し、「緯度」および「経度」が落雷発生位置情報を示し、「瞬間最大電流値」および「特性」が落雷エネルギー情報を示す。なお、図4中に示したデータの内容はあくまでも一例である。このような落雷データは、一般に公開されている気象情報の落雷に関する情報に基づいて取得することができる(非特許文献1など参照)。
設備データベース112は、少なくとも提供エリアの位置と提供エリア内に配置された設備の総数に関する設備データを記憶するデータベースである。本実施の形態において、設備データベース112は、提供エリアの位置を表すデータや提供エリア内に配置された設備の総数や設備の設置位置を表すデータを設備データとして記憶する。
図5に設備データベース112に記憶されている設備データの一例を示す。この設備データにおいて、テーブル1の「提供エリア毎の加入者数(設備数)」が提供エリア内に配置された設備の総数を表すデータを含み、テーブル2の「各加入者の位置情報」が設備の設置位置を表すデータを含む。なお、図5中に示したデータの内容はあくまでも一例である。このような設備データは、通信サービスを提供する通信事業者によって設置された設備の配置状況と地図データと、設備製造情報に基づいて取得することができる。
なお、上記の落雷データベース111、設備データベース112は、それぞれ独立したデータベースとしても良いが、一つのデータベース上に統合された構成としても良い。
落雷エネルギー情報取得部121は、落雷データベース111に記憶されている落雷データと設備データベース112に記憶されている設備データとに基づいて、提供エリアと落雷エネルギー情報とを関連付けた落雷エネルギー情報を取得する機能部である。
本実施の形態において、落雷エネルギー情報取得部121は、落雷データベース111と設備データベース112とから落雷データと設備データとを読み出し、読み出した落雷データに含まれる落雷発生時の瞬間最大電流値と落雷発生位置を表すデータと、読み出した設備データに含まれる提供エリアの位置を表すデータとから、提供エリアの位置と落雷発生位置とを対応させることにより提供エリア毎の落雷エネルギーを表す情報を求め、この求めた情報を計算単位(例えば、5kmメッシュごと:図19参照)に合わせて集計しなおし、落雷エネルギー情報として出力する(図20参照)。
図19において、ARは提供エリアを示し、MSは提供エリアS1内の計算単位(単位領域)を示す。落雷エネルギー情報取得部121は、図20に示されるように、各提供エリアARについて、メッシュ緯度とメッシュ経度とで表される単位領域MS毎に、集計した落雷エネルギー量の合計(瞬間最大電流値の合計)を落雷エネルギー情報として出力する。
サービスエリア情報取得部122は、設備データベース112に記憶されている設備データに基づいて、提供エリアの設備の総数と設備の設置位置とを表したサービスエリア情報を取得する機能部である。
本実施の形態において、サービスエリア情報取得部122は、設備データベース112から設備データを読み出し、この設備データに含まれる提供エリア内に配置された設備の総数を表すデータと設備の設置位置を表すデータと、提供エリアの位置を表すデータとを提供エリア毎に選別することにより、提供エリア毎に設置されている設備の総数と設置位置とを表す情報を求め、この求めた情報を計算単位(例えば、5kmメッシュごと:図19参照)に合わせて集計しなおし、サービスエリア情報として出力する(図21参照)。
図19において、ARは提供エリアを示し、MSは提供エリアS1内の計算単位(単位領域)を示す。サービスエリア情報取得部122は、図21に示されるように、各提供エリアARについて、メッシュ緯度とメッシュ経度とで表される単位領域MS毎に、集計した設備の総数をサービスエリア情報として出力する。
導出部130は、落雷エネルギー情報取得部121によって取得された落雷エネルギー情報と、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報とに基づいて、提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出する機能部である。本実施の形態では、設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報として、設備の落雷による故障回数を導出する。
導出部130の構成について、図1および図2を参照してさらに詳しく説明する。図1,2に示すように、導出部130は、故障数導出部131と故障数出力部132とから構成されている。
故障数導出部131は、図2に示すように、落雷エネルギー情報取得部121によって取得された落雷エネルギー情報から提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報から提供エリアの所定の単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)とを導出する。そして、故障数導出部131は、導出した落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)とを用いて、提供エリアにおける設備の落雷による所定の単位期間および所定の単位領域当たりの設備の故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出する。
ここで、落雷エネルギー合計値(ΣLI)、配置密度(Nt)、雷害故障密度(Nd)について、以下に、さらに詳しく説明する。
<落雷エネルギー合計値(ΣLI)について>
落雷エネルギー合計値(ΣLI)は、該当する提供エリアにおいて、予め定められた単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表すものである。例えば、春期(3月〜6月)、夏期(6月〜9月)、秋期(9月〜12月)、冬期(12月〜3月)と単位期間を設定した場合、故障数導出部131は、夏期として設定した単位期間に該当の提供エリアに発生したすべての落雷のエネルギー量(瞬間最大電流値)の合計を落雷エネルギー情報から求め、夏期における落雷エネルギー合計値(ΣLI)として導出する。
<配置密度(Nt)について>
配置密度(Nt)は、提供エリア内の予め定められた単位領域当たりの設備の密度を表すものである。例えば、提供エリア内に設置されている設備の総数がSであり、提供エリア内の予め定められた単位領域内に設置されている設備の総数がTである場合、配置密度(Nt)は、T/Sで表されるものである。
<雷害故障密度(Nd)について>
雷害故障密度(Nd)は、該当する提供エリアにおいて、予め定められた単位期間および単位領域当たりの設備の故障回数を表すものであり、下記の(1)式によって表すことができる。故障数導出部131は、導出した配置密度(Nt)、落雷エネルギー合計値(ΣLI)を下記の(1)式にそれぞれ代入して演算することにより、雷害故障密度(Nd)を導出する。
Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b ・・・・(1)
ここで、kは回帰係数、a,bは回帰乗数、iは位置情報である。また、kとa,bは、上述した各データベースに記憶されている各種データに基づいて解析的に定まる値であり、それぞれ落雷エネルギー合計値(ΣLI)、配置密度(Nt)の重み付けを行う。
k,a,bは例えば以下のようにして求めることができる。まず、(1)過去数年分の雷害故障データと落雷エネルギーデータと収容密度データを入手する。次に、(2)上記データを対数変換して、次式のような重回帰モデルを構築する。
log(Nd(i))=log(k)+a×log(ΣLI(i))+b×log(Nt(i)) ・・・・(2)
対数変換をする理由としては、各変数の値が小さい側(0に近いところ)に偏っている場合が多く、そのまま推定式を求めることは不適切と考えられるためである。
そして、(3)公知の統計ソフトウェアを用いて、上記データの対数変換値を入力し、k,a,bの値を求める。なお、このような統計解析の結果から、各回帰乗数は、0.3<a,b<1.1の範囲の値となることが分かっている。
導出部130の故障数出力部132は、特定の単位期間および特定の単位領域毎の故障数導出部131による雷害故障密度(Nd)の算出結果を、提供エリアにおいて特定の期間に発生する落雷による設備の故障回数の推定結果を表す故障回数情報として導出する。導出方法としては、サービスの提供エリアと計算単位(例えば、5kmメッシュ:図19参照)の情報をかけ合わせて、ある提供エリアに入るメッシュの推定故障回数を足し合わせすることによって、その提供エリアの推定故障回数を求める。また、導出した故障回数情報に基づいて、故障数出力部132は、提供エリア内における設備の保守計画に関する保守計画情報を導出する。
例えば、図2に示すように、故障数出力部132は、導出した故障回数情報に基づいて、雷害故障の修理の対応に必要な要員数(以下、単に「要員数」という。)を表す情報や、要員数と期間とを関連付けた情報や、要員数と派遣先とを関連付けた情報といった保守計画情報を導出する。例えば、その提供エリアに推定された故障回数を保守者一人あたりが一日で修理できる件数で割れば、延べの要員数を導出することができ、さらに、この延べの要員数を、期間で割れば要員数を導出することができ、要員数で割れば期間を導出することができる。
次に、この実施の形態1の落雷被害予測装置100の動作について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
落雷被害予測装置100において、落雷エネルギー情報取得部121は、落雷データベース111に記憶されている落雷データと設備データベース112に記憶されている設備データとから落雷エネルギー情報を取得し、サービスエリア情報取得部122は、設備データベース112に記憶されている設備データからサービスエリア情報を取得する(ステップS101)。
故障数導出部131は、落雷エネルギー情報取得部121によって取得された落雷エネルギー情報から落雷エネルギー合計値(ΣLI)を導出し、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報から配置密度(Nt)を導出する(ステップS102)。
故障数導出部131は、落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)とを導出すると、導出した落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)とを用いて、該当する提供エリアにおける所定の単位期間および単位領域当たりの設備の故障回数の推定値、すなわち雷害故障密度(Nd)を導出する(ステップS103)。
故障数導出部131によって雷害故障密度(Nd)が導出されると、故障数出力部132は、特定の単位期間および特定の単位領域毎の雷害故障密度(Nd)の算出結果より、提供エリアにおける特定の期間に発生する落雷による設備の故障回数の推定値を故障回数情報として導出する(ステップS104)。
故障回数情報が導出されると、故障数出力部132は、導出された故障回数情報に基づいて、設備の保守管理に必要な要員数、要員数と必要期間とを関連付けた情報、要員数と派遣先とを関連付けた情報といった保守計画情報を導出する(ステップS105)。
このようにして、本実施の形態によれば、通信サービスの提供エリアにおける落雷エネルギーと設備の配置密度とに基づいて、提供エリア内の設備の雷害故障回数の予測が行われるものとなる。すなわち、落雷発生時の瞬間最大電流値などの雷の特性を考慮して提供エリア内の設備の雷害故障回数の予測が行われるものとなり、従来よりも高精度に雷害故障の発生頻度の予測を行うことが可能となる。
また、本実施の形態によれば、予測結果に基づいて通信サービスの提供エリア毎に雷害故障の危険度の順位付けを行った雷害故障発生危険度リストを作成することができ、従来よりも効率的で効果的な通信サービスにおける設備の保守計画を構築することが可能となる。
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態(実施の形態2)にかかる落雷被害予測装置は、通信サービスの提供エリアに配置された設備の雷害故障の発生頻度を、落雷エネルギー量と設備の雷耐性を考慮して予測するものである。
この実施の形態2にかかる落雷被害予測装置の構成を示すブロック図を図6に、この実施の形態2にかかる落雷被害予測装置による雷害故障の発生頻度の予測機能を概念的に説明する図を図7に示す。以下、実施の形態2にかかる落雷被害予測装置の構成および機能について、図6,7を参照して説明する。
なお、図6,7中、実施の形態1において説明した落雷被害予測装置100の構成要素と同一の構成および機能を有するものには、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図6,7に示すように、実施の形態2の落雷被害予測装置200は、落雷データベース111と、設備データベース112’と、落雷エネルギー情報取得部121と、サービスエリア情報取得部122と、設備雷耐性情報取得部125と、導出部230とから構成されている。
本実施の形態において、設備データベース112’には、提供エリアの位置を表すデータや提供エリア内に配置された設備の総数や設備の設置位置を表すデータに加えて、設備の過電圧耐力を表すデータを設備データとして記憶させる。
図9に設備データベース112’に記憶されている設備データの一例を示す。この設備データにおいて、テーブル1の「提供エリア毎の加入者数(設備数)」が提供エリア内に配置された設備の総数を示すデータを含み、テーブル2の「各加入者の位置情報」が設備の設置位置を表すデータを含み、テーブル2中の設備の設置位置を表すデータに設備の過電圧耐力を表すデータが含まれている。なお、図9中に示したデータの内容はあくまでも一例である。このような設備データは、通信サービスを提供する通信事業者によって設置された設備の配置状況と地図データと、設備製造情報に基づいて取得することができる。
設備雷耐性情報取得部125は、設備データベース112に記憶されている設備データに基づいて、設置されている個々の設備の過電圧耐力(V)と設置位置を提供エリア毎に表わした設備雷耐性情報を取得する機能部である。
本実施の形態において、設備雷耐性情報取得部125は、設備データベース112から設備データを読み出し、この設備データに含まれる提供エリア内に配置された個々の設備の過電圧耐力を表すデータと設備の設置位置を表すデータと、提供エリアの位置を表すデータを提供エリア毎に選別することにより、提供エリア毎に設置されている設備の雷耐性を表す情報を求め、この求めた情報を計算単位(例えば、5kmメッシュごと:図19参照)に合わせて集計しなおし、設備雷耐性情報として出力する(図22参照)。
図19において、ARは提供エリアを示し、MSは提供エリアS1内の計算単位(単位領域)を示す。設備雷耐性情報取得部125は、図22に示されるように、各提供エリアARについて、メッシュ緯度とメッシュ経度とで表される単位領域MS毎に、集計した設備の過電圧耐力の平均を設備雷耐性情報として出力する。
導出部230は、落雷エネルギー情報取得部121によって取得された落雷エネルギー情報と、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報と、設備雷耐性情報取得部125によって取得された設備雷耐性情報とに基づいて、提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出する機能部である。本実施の形態では、設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報として、設備の落雷による故障回数を導出する。
導出部230の構成について、図6および図7を参照してさらに詳しく説明する。図6,7に示すように、導出部230は、故障数導出部231と故障数出力部232とから構成されている。
故障数導出部231は、図7に示すように、落雷エネルギー情報取得部121によって取得された落雷エネルギー情報から提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報から提供エリアの所定の単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)と、設備雷耐性情報取得部125によって取得された設備雷耐性情報から提供エリアの所定単位領域あたりの設備の雷耐性を表す過電圧耐力影響係数(Ta)とを導出する。そして、故障数導出部231は、導出した落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)と過電圧耐力影響係数(Ta)とを用いて、提供エリアにおける設備の落雷による所定の単位期間および所定の単位領域当たりの設備の故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出する。
なお、この実施の形態において、落雷エネルギー合計値(ΣLI)は、提供エリアにおける所定単位期間当たりの一定規模以上の落雷の瞬間最大電流値の合計として求める。一定規模以上の落雷とは、所定単位領域内の設備の過電圧耐力影響係数Taを基準に、平均的に耐えられる電流値を求め、その電流値以上の落雷として定義する。また、ある過電圧耐力影響係数Taとそれに耐えられる電流値の関係は、実験データから求めるようにすると良い。
ここで、過電圧耐力影響係数(Ta)と雷害故障密度(Nd)について、以下に、さらに詳しく説明する。
<過電圧耐力影響係数(Ta)について>
過電圧耐力影響係数(Ta)は、提供エリア内の予め定められた単位領域当たりの設備の平均雷耐性を表すものである。個々の設備の過電圧耐力(V)は、メーカ毎に製造時の設計基準からその情報を取得できる。また、所定単位領域当たりの設備平均雷耐性、つまり、過電圧耐力影響係数(Ta)は、下記の(3)式または(4)式によって導出する。
Ta(i)=ΣT(i,m)/m ・・・・(3)
Ta(i)=(T(i,1)×T(i,2)×・・・・×T(i,m)1/m ・・・・(4)
なお、上記(3),(4)式において、iは該当エリア(単位領域)の位置情報を表し、mは該当エリア(単位領域)内の設備の個数を表す。
<雷害故障密度(Nd)について>
雷害故障密度(Nd)は、該当する提供エリアにおいて、予め定められた単位期間および単位領域当たりの設備の故障回数を表すものであり、下記の(5)式によって表すことができる。故障数導出部231は、導出した配置密度(Nt)、落雷エネルギー合計値(ΣLI)、過電圧耐力影響係数(Ta)をそれぞれ下記の(5)式に代入して演算することにより、雷害故障密度(Nd)を導出する。
Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b×Ta(i) c ・・・・(5)
ここで、kは回帰係数、a,bは回帰乗数、iは位置情報である。また、kとa,b,cは、上述した各データベースに記憶されている各種データに基づいて解析的に定まる値であり、それぞれ落雷エネルギー合計値(ΣLI)、配置密度(Nt)、過電圧耐力影響係数(Ta)の重み付けを行う。
k,a,b,cは、実施の形態1におけるk,a,bと同様の統計解析の手法によって求めることができる。すなわち、(1)過去数年分の雷害故障データと落雷エネルギーデータと収容密度データを入手する。次に、(2)上記データを対数変換して、次式のような重回帰モデルを構築する。
log(Nd(i))=log(k)+a×log(ΣLI(i))+b×log(Nt(i)) +c×log(Ta(i)) ・・・・(6)
そして、(3)公知の統計ソフトウェアを用いて、上記データの対数変換値を入力し、k,a,b,cの値を求める。なお、このような統計解析の結果から、各回帰乗数は、0.3<a,b,c<1.1の範囲の値となることが分かっている。
導出部230の故障数出力部232は、特定の単位期間および特定の単位領域毎の故障数導出部231による雷害故障密度(Nd)の算出結果より、提供エリアにおける特定の期間に発生する落雷による設備の故障回数の推定値を故障回数情報として導出する。導出方法としては、サービスの提供エリアと計算単位(例えば、5kmメッシュ:図19参照)の情報をかけ合わせて、ある提供エリアに入るメッシュの推定故障回数を足し合わせすることによって、その提供エリアの推定故障回数を求める。また、導出した故障回数情報に基づいて、故障数出力部232は、提供エリア内における設備の保守計画に関する保守計画情報を導出する。
例えば、図7に示すように、故障数出力部232は、導出した故障回数情報に基づいて、雷害故障の修理の対応に必要な要員数を表す情報や、要員数と期間とを関連付けた情報や、要員数と派遣先とを関連付けた情報といった保守計画情報を導出する。例えば、その提供エリアに推定された故障回数を保守者一人あたりが一日で修理できる件数で割れば、延べの要員数を導出することができ、さらに、この延べの要員数を、期間で割れば要員数を導出することができ、要員数で割れば期間を導出することができる。
次に、この実施の形態2の落雷被害予測装置200の動作について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。
落雷被害予測装置200において、落雷エネルギー情報取得部121は、落雷データベース111に記憶されている落雷データと設備データベース112’に記憶されている設備データとから落雷エネルギー情報を取得し、サービスエリア情報取得部122は、設備データベース112’に記憶されている設備データからサービスエリア情報を取得し、設備雷耐性情報取得部125は、設備データベース112’に記憶されている設備データから設備雷耐性情報を取得する(ステップS201)。
故障数導出部231は、落雷エネルギー情報取得部121によって取得された落雷エネルギー情報から落雷エネルギー合計値(ΣLI)を導出し、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報から配置密度(Nt)を導出し、設備雷耐性情報取得部125によって取得された設備雷耐性情報から過電圧耐力影響係数(Ta)を導出する(ステップS202)。
故障数導出部231は、落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)と過電圧耐力影響係数(Ta)とを導出すると、導出した落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)と過電圧耐力影響係数(Ta)とを用いて、該当する提供エリアにおける所定の単位期間および単位領域当たりの設備の故障回数の推定値、すなわち雷害故障密度(Nd)を導出する(ステップS203)。
故障数導出部231によって雷害故障密度(Nd)が導出されると、故障数出力部232は、特定の単位期間および特定の単位領域毎の雷害故障密度(Nd)の算出結果より、提供エリアにおける特定の期間に発生する落雷による設備の故障回数の推定値を故障回数情報として導出する(ステップS204)。
故障回数情報が導出されると、故障数出力部232は、導出された故障回数情報に基づいて、設備の保守管理に必要な要員数、要員数と必要期間とを関連付けた情報、要員数と派遣先とを関連付けた情報といった保守計画情報を導出する(ステップS205)。
このようにして、本実施の形態によれば、通信サービスの提供エリアにおける落雷エネルギーと設備の配置密度と設備の雷耐性に基づいて、提供エリア内の設備の雷害故障回数の予測が行われるものとなる。すなわち、落雷発生時の瞬間最大電流値などの雷の特性に加えて、過電圧耐力などの設備の特性も考慮して提供エリア内の設備の雷害故障回数の予測が行われるものとなり、実施の形態1よりも更に高精度に雷害故障の発生頻度の予測を行うことが可能となる。
また、本実施の形態によれば、予測結果に基づいて通信サービスの提供エリア毎に雷害故障の危険度の順位付けを行った雷害故障発生危険度リストを作成することができ、従来よりも効率的で効果的な通信サービスにおける設備の保守計画を構築することが可能となる。
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態(実施の形態3)にかかる落雷被害予測装置は、通信サービスの提供エリアに配置された設備の雷害故障の発生頻度を、落雷エネルギー量と設備の雷耐性とに加え、その設備が設置されている地形の起伏を考慮して予測するものである。
この実施の形態3にかかる落雷被害予測装置の構成を示すブロック図を図10に、この実施の形態3にかかる落雷被害予測装置による雷害故障の発生頻度の予測機能を概念的に説明する図を図11に示す。以下、実施の形態3にかかる落雷被害予測装置の構成および機能について、図10,11を参照して説明する。
なお、図10,11中、実施の形態2において説明した落雷被害予測装置200の構成要素と同一の構成および機能を有するものには、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図10,11に示すように、実施の形態3の落雷被害予測装置300は、落雷データベース111と、設備データベース112’と、故障データベース113と、地形データベース114と、落雷エネルギー情報取得部121と、サービスエリア情報取得部122と、設備雷耐性情報取得部125と、地形起伏影響情報取得部123と、導出部330とから構成されている。
故障データベース113は、少なくとも、設備の故障履歴に関する故障データを記憶するデータベースである。本実施の形態において、故障データベース113は、設備の故障箇所、故障原因といった故障履歴を故障データとして記憶する。
図13に故障データベース113に記憶されている故障データの一例を示す。なお、図13中に示したデータの内容はあくまでも一例である。このような故障データは、通信事業者による設備の保守点検情報に基づいて取得することができる。
地形データベース114は、少なくとも提供エリアの地形を表す地形データを記憶するデータベースである。本実施の形態において、地形データベース114は、提供エリアの各地点における海抜高度を表すデータや提供エリア毎の平均海抜高度を表すデータを地形データとして記憶する。
図14に地形データベース114に記憶されている地形データの一例を示す。なお、図14中に示したデータの内容はあくまでも一例(仮数値)である。このような地形データは、一般に公開されている標高地図などから取得することができる(例えば、非特許文献2など参照)。
地形起伏影響情報取得部123は、設備データベース112’に記憶されている設備データ、故障データベース113に記憶されている故障データ、および地形データベース114に記憶されている地形データに基づいて、提供エリアの地形の起伏に伴う設備の故障率の変化を表す地形起伏影響情報を取得する機能部である。
本実施の形態において、地形起伏影響情報取得部123は、設備データベース112’と故障データベース113と地形データベース114とから設備データと故障データと地形データとを読み出し、設備データに含まれる提供エリア内に配置された設備の総数および設備の設置位置を表すデータと、故障データに含まれる設備の設置位置の海抜高度の変動と設備の故障率の変化との関係を統計的に表したデータと、地形データに含まれる提供エリアの海抜高度を表すデータや提供エリア毎の平均海抜高度を表すデータとから、提供エリア内に配置された設備の設置位置の平均海抜高度と提供エリアの平均海抜高度の変動と設備の故障率の変動との関係を解析することにより、提供エリア毎の地形の起伏に伴う設備の故障率の変化を求め、この故障率の変化を計算単位(例えば、5kmメッシュごと:図19参照)に合わせて集計しなおし、地形起伏影響情報として出力する(図23参照)。
図19において、ARは提供エリアを示し、MSは提供エリアS1内の計算単位(単位領域)を示す。地形起伏影響情報取得部123は、図23に示されるように、各提供エリアARについて、メッシュ緯度とメッシュ経度とで表される単位領域MS毎に、集計した地形の起伏に伴う設備の故障率の変化を地形起伏影響情報として出力する。
導出部330は、落雷エネルギー情報取得部121によって取得された落雷エネルギー情報と、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報と、設備雷耐性情報取得部125によって取得された設備雷耐性情報と、地形起伏影響情報取得部123によって取得された地形起伏影響情報とに基づいて、提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出する機能部である。本実施の形態では、設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報として、設備の落雷による故障回数を導出する。
導出部330の構成について、図10および図11を参照してさらに詳しく説明する。図10、11に示すように、導出部330は、故障数導出部331と故障数出力部332とから構成されている。
故障数導出部331は、図11に示すように、落雷エネルギー情報取得部121によって取得された落雷エネルギー情報から提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報から提供エリアの所定の単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)と、設備雷耐性情報取得部125によって取得された設備雷耐性情報から提供エリアの所定単位領域あたりの設備の雷耐性を表す過電圧耐力影響係数(Ta)と、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報と地形起伏影響情報取得部123によって取得された地形起伏影響情報とから設備の設置位置における海抜高度の変動に伴う故障率の影響度を表す地形起伏影響度(Re)とを導出する。そして、故障数導出部331は、導出した落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)と過電圧耐力影響係数(Ta)と地形起伏影響度(Re)とを用いて、提供エリアにおける設備の落雷による所定の単位期間および所定の単位領域当たりの故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出する。
ここで、地形起伏影響度(Re)と雷害故障密度(Nd)について、以下に、さらに詳しく説明する。
<地形起伏影響度(Re)について>
地形起伏影響度(Re)は、該当する提供エリア内に設置されている設備の設置位置の海抜高度の平均値と該当する提供エリアの海抜高度の平均値との差分による設備の故障率の変化量とすることができ、下記の(7)式によって表すことができる。故障数導出部131は、下記の(7)式を演算することによって地形起伏影響度(Re)を導出する。
Re=Ft(NtA−MA) ・・・・(7)
ここで、Ftは設備の設置位置の高度の1m当たりの故障率の変化量を表し、NtAは提供エリアに配置された設備の設置位置の平均海抜高度を表し、MAは提供エリアの平均海抜高度を表す。
<雷害故障密度(Nd)について>
上記の海抜高度を考慮した雷害故障密度(Nd)は、下記の(8)式によって表すことができる。故障数導出部331は、導出した落雷エネルギー合計値(ΣLI)、配置密度(Nt)、過電圧耐力影響係数(Ta)、地形起伏影響度(Re)を下記の(8)式にそれぞれ代入して演算することにより、雷害故障密度(Nd)を導出する。
Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b×Ta(i) c×Re(i) f ・・・・(8)
ここで、kは回帰係数、a,b,c,fは回帰乗数、iは位置情報である。また、kとa,b,c,fは、上述した各データベースに記憶されている各種データに基づいて解析的に定まる値であり、それぞれ落雷エネルギー合計値(ΣLI)、配置密度(Nt)、過電圧耐力影響係数(Ta)、地形起伏影響度(Re)の重み付けを行う。
k,a,b,c,fは、実施の形態2におけるk,a,b,cと同様の統計解析の手法によって求めることができる。なお、統計解析の結果から、各回帰乗数は、0.3<a,b,c,f<1.1の範囲の値となることが分かっている。
導出部330の故障数出力部332は、特定の単位期間および特定の単位領域毎の故障数導出部331による雷害故障密度(Nd)の算出結果より、提供エリアにおける特定の期間に発生する落雷による設備の故障回数の推定値を故障回数情報として導出する。導出方法としては、サービスの提供エリアと計算単位(例えば、5kmメッシュ:図19参照)の情報をかけ合わせて、ある提供エリアに入るメッシュの推定故障数を足し合わせすることによって、その提供エリアの推定故障数を求める。また、導出した故障回数情報に基づいて、故障数出力部332は、提供エリア内における設備の保守計画に関する保守計画情報を導出する。
例えば、図11に示すように、故障数出力部332は、導出した故障回数情報に基づいて、雷害故障の修理の対応に必要な要員数を表す情報や、要員数と期間とを関連付けた情報や、要員数と派遣先とを関連付けた情報といった保守計画情報を導出する。例えば、その提供エリアに推定された故障回数を保守者一人あたりが一日で修理できる件数で割れば、延べの要員数を導出することができ、さらに、この延べの要員数を、期間で割れば要員数を導出することができ、要員数で割れば期間を導出することができる。
次に、この実施の形態3の落雷被害予測装置300の動作について、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
落雷被害予測装置300において、落雷エネルギー情報取得部121は、落雷データベース111に記憶されている落雷データと設備データベース112’に記憶されている設備データとから落雷エネルギー情報を取得し、サービスエリア情報取得部122は、設備データベース112’に記憶されている設備データからサービスエリア情報を取得し、設備雷耐性情報取得部125は、設備データベース112’に記憶されている設備データから設備雷耐性情報を取得し、地形起伏影響情報取得部123は、設備データベース112’に記憶されている設備データと故障データベース113に記憶されている故障データと地形データベース114に記憶されている地形データとから地形起伏影響情報を取得する(ステップS301)。
故障数導出部331は、落雷エネルギー情報取得部121によって取得された落雷エネルギー情報から落雷エネルギー合計値(ΣLI)を導出し、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報から配置密度(Nt)を導出し、設備雷耐性情報取得部125によって取得された設備雷耐性情報から過電圧耐力影響係数(Ta)を導出し、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報と地形起伏影響情報取得部123によって取得された地形起伏影響情報とから地形起伏影響度(Re)を導出する(ステップS302)。
故障数導出部331は、落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)と過電圧耐力影響係数(Ta)と地形起伏影響度(Re)とを導出すると、導出した落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)と過電圧耐力影響係数(Ta)と地形起伏影響度(Re)とを用いて、該当する提供エリアにおける所定の単位期間および単位領域当たりの設備の故障回数の推定値、すなわち雷害故障密度(Nd)を導出する(ステップS303)。
故障数導出部331によって雷害故障密度(Nd)が導出されると、故障数出力部332は、特定の単位期間および特定の単位領域毎の雷害故障密度(Nd)の算出結果より、提供エリアにおける特定の期間に発生する落雷による設備の故障回数の推定値を故障回数情報として導出する(ステップS304)。
故障回数情報が導出されると、故障数出力部332は、導出された故障回数情報に基づいて、設備の保守管理に必要な要員数、要員数と必要期間とを関連付けた情報、要員数と派遣先とを関連付けた情報といった保守計画情報を導出する(ステップS305)。
このようにして、本実施の形態によれば、通信サービスの提供エリアにおける落雷エネルギーと設備の配置密度と設備の雷耐性と設備の設置された地形起伏に応じた故障率の影響度とに基づいて、提供エリア内の設備の雷害故障回数の予測が行われるものとなる。すなわち、落雷発生時の瞬間最大電流値などの雷の特性や過電圧耐力などの設備の特性に加えて、地形の起伏も考慮して提供エリア内の設備の雷害故障回数の予測が行われるものとなり、実施の形態2よりも更に高精度に雷害故障の発生頻度の予測を行うことが可能となる。
また、本実施の形態によれば、予測結果に基づいて通信サービスの提供エリア毎に雷害故障の危険度の順位付けを行った雷害故障発生危険度リストを作成することができ、従来よりも効率的で効果的な通信サービスにおける設備の保守計画を構築することが可能となる。
〔第4の実施の形態〕
近年の通信サービスにおける通信線は、一般的に、メタルケーブルと光ケーブルの2種類に分類される。このような通信線のうち、光ケーブルは導電体でないため落雷の影響を受ける可能性が低いが、メタルケーブルは導電体であるため、落雷の影響を受ける可能性が高い。また、地下に敷設された場合は、光ケーブルとメタルケーブルの双方とも落雷の影響を受ける可能性が低い。
そこで、本発明の第4の実施の形態(実施の形態4)にかかる落雷被害予測装置は、通信サービスの提供エリアに配置された設備の雷害故障の発生頻度を、落雷エネルギー量と設備の雷耐性とその設備が設置されている地形の起伏に加えて、地上に露出して敷設されているメタルケーブルの総距離(雷サージの伝搬ルート)を考慮して予測するものである。このために、実施の形態3において説明した落雷被害予測装置300に、通信サービスの提供エリア内に敷設された通信線に関するデータを記憶する通信線データベースと、地上に露出しているメタルケーブルの位置と距離に関する情報を取得する構成を追加した構成とする。
この実施の形態4にかかる落雷被害予測装置の構成を示すブロック図を図15に、この実施の形態4にかかる落雷被害予測装置による雷害故障の発生頻度の予測機能を概念的に説明する図を図16に示す。以下、実施の形態4にかかる落雷被害予測装置の構成および機能について、図15,16を参照して説明する。
なお、図15,16中、実施の形態3において説明した落雷被害予測装置300の構成要素と同一の構成および機能を有するものには、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図15,16に示すように、実施の形態4の落雷被害予測装置400は、落雷データベース111と、設備データベース112’と、故障データベース113と、地形データベース114と、通信線データベース115と、落雷エネルギー情報取得部121と、サービスエリア情報取得部122と、設備雷耐性情報取得部125と、地形起伏影響情報取得部123と、地上メタルケーブル情報取得部124と、導出部430とから構成されている。
通信線データベース115は、少なくとも提供エリア内に敷設された通信線の種別、位置、距離に関する通信線データを記憶するデータベースである。本実施の形態において、通信線データベース115は、提供エリア内の地上に敷設された通信線の種別と敷設された位置情報と敷設された通信線の距離とを関連付けたデータを通信線データとして記憶する。
図18に通信線データベース115に記憶されている通信線データの一例を示す。なお、図18中に示したデータの内容はあくまでも一例である。このような通信線データは、通信サービスを提供する通信事業者および工事請負事業者によって敷設された通信線の配置状況を表す情報と地図データとに基づいて取得することができる。
地上メタルケーブル情報取得部124は、通信線データベース115に記憶されている通信線データに基づいて、提供エリア内に敷設された通信線のうち、地上に露出しているメタルケーブルの位置と距離に関する地上メタルケーブル情報を取得する機能部である。
本実施の形態において、地上メタルケーブル情報取得部124は、通信線データベース115から通信線データを読み出し、この通信線データに含まれる提供エリア内の地上に敷設された通信線の種別と敷設された位置情報と敷設された通信線の距離とを関連付けたデータから、通信線の種別がメタルケーブルであり、地上に露出されて敷設されているメタルケーブルの位置と距離を表す情報を求め、この求めた情報を計算単位(例えば、5kmメッシュごと:図19参照)に合わせて集計しなおし、地上メタルケーブル情報として出力する(図24参照)。
図19において、ARは提供エリアを示し、MSは提供エリアS1内の計算単位(単位領域)を示す。地上メタルケーブル情報取得部124は、図24に示されるように、各提供エリアARについて、メッシュ緯度とメッシュ経度とで表される単位領域MS毎に、集計した地上に露出されて敷設されているメタルケーブルの合計(地上メタルケーブル長)を地上メタルケーブル情報として出力する。
導出部430は、落雷エネルギー情報取得部121によって取得された落雷エネルギー情報と、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報と、設備雷耐性情報取得部125によって取得された設備雷耐性情報と、地形起伏影響情報取得部123によって取得された地形起伏影響情報と、地上メタルケーブル情報取得部124によって取得された地上メタルケーブル情報とに基づいて、提供エリアにおける設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出する機能部である。本実施の形態では、設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報として、設備の落雷による故障回数を導出する。
導出部430の構成について、図15および図16を参照してさらに詳しく説明する。図15,16に示すように、導出部430は、故障数導出部431と故障数出力部432とから構成されている。
故障数導出部431は、落雷エネルギー情報取得部121によって取得された落雷エネルギー情報から提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報から提供エリアの所定の単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)と、設備雷耐性情報取得部125によって取得された設備雷耐性情報から提供エリアの所定単位領域あたりの設備の雷耐性を表す過電圧耐力影響係数(Ta)と、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報と、地形起伏影響情報取得部123によって取得された地形起伏影響情報とから設備の設置位置における海抜高度の変動に伴う故障率の影響度を表す地形起伏影響度(Re)と、地上メタルケーブル情報取得部124によって取得された地上メタルケーブル情報から提供エリアの所定の単位領域当たりに敷設されているメタルケーブルのうち地上に露出しているメタルケーブルの総距離を算出し、算出した距離を表すデータを地上メタルケーブル総距離(Cd)として導出する。
そして、故障数導出部431は、導出した落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)と過電圧耐力影響係数(Ta)と地形起伏影響度(Re)と地上メタルケーブル総距離(Cd)とを用いて、提供エリアにおける設備の落雷による所定の単位期間および所定の単位領域当たりの故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出する。
なお、この例では、地上メタルケーブル情報取得部124から提供エリアの単位領域当たりの地上メタルケーブルの合計が送られてくるので、この送られてくる地上メタルケーブルの合計をメタルケーブルの総距離(Cd)として使用する。
ここで、地上メタルケーブル総距離(Cd)雷害故障密度(Nd)とについて、以下に、さらに詳しく説明する。
<地上メタルケーブル総距離(Cd)について>
地上メタルケーブル総距離(Cd)は、提供エリア内の予め定められた単位領域に敷設されているメタルケーブルのうち、地上に露出されて敷設されているメタルケーブルの総距離を表すものであり、該当する提供エリア内の単位領域における雷害規模を示すパラメータである。
<雷害故障密度(Nd)について>
上記の雷害規模を考慮した雷害故障密度(Nd)は、下記の(9)式によって表すことができる。故障数導出部431は、導出した落雷エネルギー合計値(ΣLI)、配置密度(Nt)、過電圧耐力影響係数(Ta)、地形起伏影響度(Re)、地上メタルケーブル総距離(Cd)を下記の(9)式にそれぞれ代入して演算することにより、雷害故障密度(Nd)を導出する。
Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b×Ta(i) c×Re(i) f×Cd(i) g ・・・・(9)
ここで、kは回帰係数、a,b,c,f,gは回帰乗数、iは位置情報である。また、kとa,b,c,f,gは、上述した各データベースに記憶されている各種データに基づいて解析的に定まる値であり、それぞれ落雷エネルギー合計値(ΣLI)、配置密度(Nt)、過電圧耐力影響係数(Ta)、地形起伏影響度(Re)、地上メタルケーブル総距離(Cd)の重み付けを行う。
k,a,b,c,f,gは、実施の形態2におけるk,a,b,cと同様の統計解析の手法によって求めることができる。なお、統計解析の結果から、各回帰乗数は、0.3<a,b,c,f,g<1.1の範囲の値となることが分かっている。
導出部430の故障数出力部432は、特定の単位期間および特定の単位領域毎の故障数導出部431による雷害故障密度(Nd)の算出結果より、提供エリアにおける特定の期間に発生する落雷による設備の故障回数の推定値を故障回数情報として導出する。導出方法としては、サービスの提供エリアと計算単位(例えば、5kmメッシュ:図19参照)の情報をかけ合わせて、ある提供エリアに入るメッシュの推定故障数を足し合わせすることによって、その提供エリアの推定故障数を求める。また導出した故障回数情報に基づいて、故障数出力部432は、提供エリア内における設備の保守計画に関する保守計画情報を導出する。
例えば、図16に示すように、故障数出力部432は、導出した故障回数情報に基づいて、雷害故障の修理の対応に必要な要員数を表す情報や、要員数と期間とを関連付けた情報や、要員数と派遣先とを関連付けた情報といった保守計画情報を導出する。例えば、その提供エリアに推定された故障回数を保守者一人あたりが一日で修理できる件数で割れば、延べの要員数を導出することができ、さらに、この延べの要員数を、期間で割れば要員数を導出することができ、要員数で割れば期間を導出することができる。
次に、この実施の形態4の落雷被害予測装置400の動作について、図17に示すフローチャートを参照して説明する。
落雷被害予測装置400において、落雷エネルギー情報取得部121は、落雷データベース111に記憶されている落雷データと設備データベース112’に記憶されている設備データとから落雷エネルギー情報を取得し、サービスエリア情報取得部122は、設備データベース112’に記憶されている設備データからサービスエリア情報を取得し、設備雷耐性情報取得部125は、設備データベース112’に記憶されている設備データから設備雷耐性情報を取得し、地形起伏影響情報取得部123は、設備データベース112’に記憶されている設備データと故障データベース113に記憶されている故障データと地形データベース114に記憶されている地形データとから地形起伏影響情報を取得し、地上メタルケーブル情報取得部124は、通信線データベース115に記憶されている通信線データから地上メタルケーブル情報を取得する(ステップS401)。
故障数導出部431は、落雷エネルギー情報取得部121によって取得された落雷エネルギー情報から落雷エネルギー合計値(ΣLI)を導出し、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報から配置密度(Nt)を導出し、設備雷耐性情報取得部125によって取得された設備雷耐性情報から過電圧耐力影響係数(Ta)を導出し、サービスエリア情報取得部122によって取得されたサービスエリア情報と、地形起伏影響情報取得部123によって取得された地形起伏影響情報から地形起伏影響度(Re)を導出し、地上メタルケーブル情報取得部124によって取得された地上メタルケーブル情報から地上メタルケーブル総距離(Cd)を導出する(ステップS402)。
故障数導出部431は、落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)と過電圧耐力影響係数(Ta)と地形起伏影響度(Re)と地上メタルケーブル総距離(Cd)とを導出すると、導出した落雷エネルギー合計値(ΣLI)と配置密度(Nt)と過電圧耐力影響係数(Ta)と地形起伏影響度(Re)と地上メタルケーブル総距離(Cd)とを用いて、該当する提供エリアにおける所定の単位期間および単位領域当たりの設備の故障回数の推定値、すなわち雷害故障密度(Nd)を導出する(ステップS403)。
故障数導出部431によって雷害故障密度(Nd)が導出されると、故障数出力部432は、特定の単位期間および特定の単位領域毎の雷害故障密度(Nd)の算出結果より、提供エリアにおける特定の期間に発生する落雷による設備の故障回数の推定値を故障回数情報として導出する(ステップS404)。
故障回数情報が導出されると、故障数出力部432は、導出された故障回数情報に基づいて、設備の保守管理に必要な要員数、要員数と必要期間とを関連付けた情報、要員数と派遣先とを関連付けた情報といった保守計画情報を導出する(ステップS405)。
このようにして、本実施の形態によれば、通信サービスの提供エリアにおける落雷エネルギーと設備の配置密度と設備の雷耐性と設備の設置された地形起伏に応じた故障率の影響度と通信サービスの提供エリアにおいて地上に露出している通信線の総距離とに基づいて、提供エリア内の設備の雷害故障回数の予測が行われるものとなる。すなわち、落雷発生時の瞬間最大電流値などの雷の特性や過電圧耐力などの設備の特性や地形の起伏に加えて、雷サージの伝搬ルートも考慮して提供エリア内の設備の雷害故障回数の予測が行われるものとなり、実施の形態3よりも更に高精度に雷害故障の発生頻度の予測を行うことが可能となる。
また、予測結果に基づいて通信サービスの提供エリア毎に雷害故障の危険度の順位付けを行った雷害故障発生危険度リストを作成することができ、従来よりも効率的で効果的な通信サービスにおける設備の保守計画を構築することが可能となる。
なお、上述した各実施の形態において、雷害被害予測装置100〜400の各機能部は、CPU(中央演算装置)やメモリなどの記憶装置、インターフェースからなるコンピュータ(ハードウェア)にコンピュータプログラム(ソフトウェア)をインストールすることによって実現され、上述した各機能部は、上記のコンピュータの各種ハードウェア資源と上記コンピュータプログラムとが協働することによって実現される。
また、上記のコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体や記憶装置に格納された状態で提供されても良く、電気通信回線を介して提供されても良い。
また、上述した各実施の形態では、雷害故障密度(Nd)の導出に際して導出提供エリアの所定の単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)を使用するようにしたが、人口密度(P)を使用するようにしてもよい。
雷害故障に迅速に対応するための保守要員の管理や保守部品の管理といった保守計画を構築する落雷被害保守管理システムにおける落雷被害予測装置として利用可能である。
100、200、300,400…落雷被害予測装置、111…落雷データベース、112,112’…設備データベース、113…故障データベース、114…地形データベース、115…通信線データベース、121…落雷エネルギー情報取得部、122…サービスエリア情報取得部、123…地形起伏影響情報取得部、124…地上メタルケーブル情報取得部、125…設備雷耐性情報取得部、130,230,330,430…導出部、131,231,331,431…故障数導出部、132,232,332,432…故障数出力部。

Claims (21)

  1. 少なくとも落雷の発生日時、発生位置、発生時の瞬間最大電流値に関する落雷データを記憶する落雷データベースと、
    少なくとも通信サービスの提供エリアの位置と前記提供エリア内に配置された設備の総数に関する設備データを記憶する設備データベースと、
    前記落雷データと前記設備データとから前記提供エリアの落雷エネルギーを表す落雷エネルギー情報を取得する落雷エネルギー情報取得部と、
    前記設備データから前記提供エリアの前記設備の総数と前記設備の設置位置とを表すサービスエリア情報を取得するサービスエリア情報取得部と、
    前記落雷エネルギー情報および前記サービスエリア情報に基づいて前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出する導出部と
    を備えることを特徴とする落雷被害予測装置。
  2. 請求項1に記載された落雷被害予測装置において、
    前記導出部は、
    前記落雷エネルギー情報から前記提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、前記サービスエリア情報から前記提供エリアの所定単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)とを導出し、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出するための予測式
    Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b
    (ここで、kは回帰係数、a,bは回帰乗数(0.3<a,b<1.1)、iは位置情報を表す。)
    に前記落雷エネルギー合計値(ΣLI)と前記配置密度(Nt)とを代入して演算することにより、前記雷害故障頻度情報として雷害故障密度(Nd)を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測装置。
  3. 請求項1に記載された落雷被害予測装置において、
    前記設備データベースは、更に、個々の設備の雷耐性に関するデータを雷耐性データとして記憶し、
    前記設備の雷耐性データと前記設備データとから前記提供エリアの設備の耐圧性を表す設備雷耐性情報を取得する設備雷耐性情報取得部を更に備え、
    前記導出部は、
    前記落雷エネルギー情報、前記サービスエリア情報および前記設備雷耐性情報に基づいて、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測装置。
  4. 請求項3に記載された落雷被害予測装置において、
    前記導出部は、
    前記落雷エネルギー情報から前記提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、前記サービスエリア情報から前記提供エリアの所定単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)と、前記設備雷耐性情報から前記提供エリアにおける所定単位領域あたりの設備の平均雷耐性を表す過電圧耐力影響係数(Ta)とを導出し、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出するための予測式
    Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b×Ta(i) c
    (ここで、kは回帰係数、a,b,cは回帰乗数(0.3<a,b,c<1.1)、iは位置情報を表す。)
    に前記落雷エネルギー合計値(ΣLI)と前記配置密度(Nt)と前記過電圧耐力影響係数(Ta)とを代入して演算することにより、前記雷害故障頻度情報として雷害故障密度(Nd)を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測装置。
  5. 請求項3に記載された落雷被害予測装置において、
    少なくとも前記設備の故障率に関する故障データを記憶する故障データベースと、
    少なくとも前記提供エリアの地形を表す地形データを記憶する地形データベースと、
    前記設備データ、前記故障データおよび前記地形データから前記提供エリアの地形の起伏に伴う前記設備の故障率の変化を表す地形起伏影響情報を取得する地形起伏影響情報取得部とを更に備え、
    前記導出部は、
    前記落雷エネルギー情報、前記サービスエリア情報、前記設備雷耐性情報および前記地形起伏影響情報に基づいて、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測装置。
  6. 請求項5に記載された落雷被害予測装置において、
    前記導出部は、
    前記落雷エネルギー情報から前記提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、前記サービスエリア情報から前記提供エリアの所定単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)と、前記設備雷耐性情報から前記提供エリアにおける所定単位領域あたりの設備の平均雷耐性を表す過電圧耐力影響係数(Ta)と、前記サービスエリア情報と前記地形起伏影響情報とから前記設備の設置位置における海抜高度の変動に伴う故障率の影響度を表す地形起伏影響度(Re)とを導出し、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出するための予測式
    Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b×Ta(i) c×Re(i) f
    (ここで、kは回帰係数、a,b,c,fは回帰乗数(0.3<a,b,c,f<1.1)、iは位置情報を表す。)
    に前記落雷エネルギー合計値(ΣLI)と前記配置密度(Nt)と前記過電圧耐力影響係数(Ta)と前記地形起伏影響度(Re)とを代入して演算することにより、前記雷害故障頻度情報として雷害故障密度(Nd)を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測装置。
  7. 請求項5に記載された落雷被害予測装置において、
    少なくとも前記提供エリア内に敷設された通信線の種別と位置と距離とに関する通信線データを記憶する通信線データベースと、
    前記通信線データから前記提供エリア内に施設された通信線のうち地上に露出しているメタルケーブルの距離に関する地上メタルケーブル情報を取得する地上メタルケーブル情報取得部とを更に備え、
    前記導出部は、
    前記落雷エネルギー情報、前記サービスエリア情報、前記設備雷耐性情報、前記地形起伏影響情報および前記地上メタルケーブル情報に基づいて、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測装置。
  8. 請求項7に記載された落雷被害予測装置において、
    前記導出部は、
    前記落雷エネルギー情報から前記提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、前記サービスエリア情報から前記提供エリアの所定単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)と、前記設備雷耐性情報から前記提供エリアにおける所定単位領域あたりの設備の平均雷耐性を表す過電圧耐力影響係数(Ta)と、前記サービスエリア情報と前記地形起伏影響情報とから前記設備の設置位置における海抜高度の変動に伴う故障率の影響度を表す地形起伏影響度(Re)と、前記地上メタルケーブル情報から前記提供エリアの所定単位領域当たりに敷設されたメタルケーブルのうち地上に露出しているメタルケーブルの総距離を表す地上メタルケーブル総距離(Cd)とを導出し、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出するための予測式
    Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b×Ta(i) c×Re(i) f×Cd(i) g
    (ここで、kは回帰係数、a,b,c,f,gは回帰乗数(0.3<a,b,c,f,g<1.1)、iは位置情報を表す。)
    に前記落雷エネルギー合計値(ΣLI)と前記配置密度(Nt)と前記過電圧耐力影響係数(Ta)と前記地形起伏影響度(Re)と前記地上メタルケーブル総距離(Cd)とを代入して演算することにより、前記雷害故障頻度情報として雷害故障密度(Nd)を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測装置。
  9. 請求項2、4、6、8のいずれか1項に記載された落雷被害予測装置において、
    前記配置密度(Nt)の代わりに、人口密度(P)を使う
    ことを特徴とする落雷被害予測装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載された落雷被害予測装置において、
    前記雷害故障頻度情報は、前記提供エリアにおける特定の期間に発生する落雷による前記設備の故障回数の推定結果を表す故障回数情報を含み、
    前記導出部は、前記故障回数情報に基づいて前記提供エリア内における前記設備の保守計画に関する保守計画情報を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測装置。
  11. 少なくとも落雷の発生日時、発生位置、発生時の瞬間最大電流値に関する落雷データを落雷データベースに記憶するステップと、
    少なくとも通信サービスの提供エリアの位置と前記提供エリア内に配置された設備の総数に関する設備データを設備データベースに記憶するステップと、
    前記落雷データと前記設備データとから前記提供エリアの落雷エネルギーを表す落雷エネルギー情報を取得するステップと、
    前記設備データから前記提供エリアの前記設備の総数と前記設備の設置位置とを表すサービスエリア情報を取得するステップと、
    前記落雷エネルギー情報および前記サービスエリア情報に基づいて前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出するステップと
    を備えることを特徴とする落雷被害予測方法。
  12. 請求項11に記載された落雷被害予測方法において、
    前記雷害故障頻度情報を導出するステップは、
    前記落雷エネルギー情報から前記提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、前記サービスエリア情報から前記提供エリアの所定単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)とを導出し、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出するための予測式
    Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b
    (ここで、kは回帰係数、a,bは回帰乗数(0.3<a,b<1.1)、iは位置情報を表す。)
    に前記落雷エネルギー合計値(ΣLI)と前記配置密度(Nt)とを代入して演算することにより、前記雷害故障頻度情報として雷害故障密度(Nd)を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測方法。
  13. 請求項11に記載された落雷被害予測方法において、
    前記設備データベースには、更に、個々の設備の雷耐性に関するデータが雷耐性データとして記憶され、
    前記設備の雷耐性データと前記設備データとから前記提供エリアの設備の耐圧性を表す設備雷耐性情報を取得するステップを更に備え、
    前記雷害故障頻度情報を導出するステップは、
    前記落雷エネルギー情報、前記サービスエリア情報および前記設備雷耐性情報に基づいて、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測方法。
  14. 請求項13に記載された落雷被害予測方法において、
    前記雷害故障頻度情報を導出するステップは、
    前記落雷エネルギー情報から前記提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、前記サービスエリア情報から前記提供エリアの所定単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)と、前記設備雷耐性情報から前記提供エリアにおける所定単位領域あたりの設備の平均雷耐性を表す過電圧耐力影響係数(Ta)とを導出し、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出するための予測式
    Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b×Ta(i) c
    (ここで、kは回帰係数、a,b,cは回帰乗数(0.3<a,b,c<1.1)、iは位置情報を表す。)
    に前記落雷エネルギー合計値(ΣLI)と前記配置密度(Nt)と前記過電圧耐力影響係数(Ta)とを代入して演算することにより、前記雷害故障頻度情報として雷害故障密度(Nd)を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測方法。
  15. 請求項13に記載された落雷被害予測方法において、
    少なくとも前記設備の故障率に関する故障データを故障データベースに記憶するステップと、
    少なくとも前記提供エリアの地形を表す地形データを地形データベースに記憶するステップと、
    前記設備データ、前記故障データおよび前記地形データから前記提供エリアの地形の起伏に伴う前記設備の故障率の変化を表す地形起伏影響情報を取得するステップとを更に備え、
    前記雷害故障頻度情報を導出するステップは、
    前記落雷エネルギー情報、前記サービスエリア情報、前記設備雷耐性情報および前記地形起伏影響情報に基づいて、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測方法。
  16. 請求項15に記載された落雷被害予測方法において、
    前記雷害故障頻度情報を導出するステップは、
    前記落雷エネルギー情報から前記提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、前記サービスエリア情報から前記提供エリアの所定単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)と、前記設備雷耐性情報から前記提供エリアにおける所定単位領域あたりの設備の平均雷耐性を表す過電圧耐力影響係数(Ta)と、前記サービスエリア情報と前記地形起伏影響情報とから前記設備の設置位置における海抜高度の変動に伴う故障率の影響度を表す地形起伏影響度(Re)とを導出し、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出するための予測式
    Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b×Ta(i) c×Re(i) f
    (ここで、kは回帰係数、a,b,c,fは回帰乗数(0.3<a,b,c,f<1.1)、iは位置情報を表す。)
    に前記落雷エネルギー合計値(ΣLI)と前記配置密度(Nt)と前記過電圧耐力影響係数(Ta)と前記地形起伏影響度(Re)とを代入して演算することにより、前記雷害故障頻度情報として雷害故障密度(Nd)を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測方法。
  17. 請求項15に記載された落雷被害予測方法において、
    少なくとも前記提供エリア内に敷設された通信線の種別と位置と距離とに関する通信線データを通信線データベースに記憶するステップと、
    前記通信線データから前記提供エリア内に施設された通信線のうち地上に露出しているメタルケーブルの距離に関する地上メタルケーブル情報を取得するステップとを更に備え、
    前記雷害故障頻度情報を導出するステップは、
    前記落雷エネルギー情報、前記サービスエリア情報、前記設備雷耐性情報、前記地形起伏影響情報および前記地上メタルケーブル情報に基づいて、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障の発生頻度を表す雷害故障頻度情報を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測方法。
  18. 請求項17に記載された落雷被害予測方法において、
    前記雷害故障頻度情報を導出するステップは、
    前記落雷エネルギー情報から前記提供エリアにおける所定単位期間当たりの落雷の合計エネルギー量を表す落雷エネルギー合計値(ΣLI)と、前記サービスエリア情報から前記提供エリアの所定単位領域当たりの設備の密度を表す配置密度(Nt)と、前記設備雷耐性情報から前記提供エリアにおける所定単位領域あたりの設備の平均雷耐性を表す過電圧耐力影響係数(Ta)と、前記サービスエリア情報と前記地形起伏影響情報とから前記設備の設置位置における海抜高度の変動に伴う故障率の影響度を表す地形起伏影響度(Re)と、前記地上メタルケーブル情報から前記提供エリアの所定単位領域当たりに敷設されたメタルケーブルのうち地上に露出しているメタルケーブルの総距離を表す地上メタルケーブル総距離(Cd)とを導出し、前記提供エリアにおける前記設備の落雷による故障回数の予測値である雷害故障密度(Nd)を導出するための予測式
    Nd(i)=k×(ΣLI(i)a×Nt(i) b×Ta(i) c×Re(i) f×Cd(i) g
    (ここで、kは回帰係数、a,b,c,f,gは回帰乗数(0.3<a,b,c,f,g<1.1)、iは位置情報を表す。)
    に前記落雷エネルギー合計値(ΣLI)と前記配置密度(Nt)と前記過電圧耐力影響係数(Ta)と前記地形起伏影響度(Re)と前記地上メタルケーブル総距離(Cd)とを代入して演算することにより、前記雷害故障頻度情報として雷害故障密度(Nd)を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測方法。
  19. 請求項12、14、16、18のいずれか1項に記載された落雷被害予測方法において、
    前記配置密度(Nt)の代わりに、人口密度(P)を使う
    ことを特徴とする落雷被害予測方法。
  20. 請求項11乃至19のいずれか1項に記載された落雷被害予測方法において、
    前記雷害故障頻度情報は、前記提供エリアにおける特定の期間に発生する落雷による前記設備の故障回数の推定結果を表す故障回数情報を含み、
    前記雷害故障頻度情報を導出するステップは、前記故障回数情報に基づいて前記提供エリア内における前記設備の保守計画に関する保守計画情報を導出する
    ことを特徴とする落雷被害予測方法。
  21. 請求項11〜20の何れか1項に記載された落雷被害予測方法における各ステップの処理をコンピュータに実行させるための落雷被害予測プログラム。
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