JP6275018B2 - 圧電材とその製造方法、接触検出装置、荷重検出装置及び異常状態検出装置 - Google Patents

圧電材とその製造方法、接触検出装置、荷重検出装置及び異常状態検出装置 Download PDF

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Description

この発明は、複数の圧電粒子が母材中に所定の方向に配列されており、この所定の方向に荷重が作用するときに電力を発生する圧電材とその製造方法、検出対象物との接触を検出する接触検出装置、荷重を検出する荷重検出装置、及び検出対象物の異常状態を検出する異常状態検出装置に関する。
従来の複合圧電材料は、母材中に圧電材料が孤立しており、圧電性能の向上が困難であった。このため、従来の複合圧電材料に比べて圧電性能が向上するように、母材中に圧電材料を一定方向に配列した配向型の複合圧電材料が注目されている。従来の配向型の複合圧電材料は、貫通孔を有する合成ゴム又は合成樹脂材料の保持シートと、強誘電体セラミックスを柱状に形成してこの貫通孔内に整列して埋設される圧電粒子とを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の配向型の複合圧電材料は、保持シート内に圧電粒子を緊密かつ一体的に埋設して、保持シートによって圧電材を強固に保持している。
特開昭63-164483号公報
従来の配向型の圧電材料の圧電性能は、力が加わった際に母材中の配列した圧電セラミックス粒子から発生する電圧及び電荷によるものであり、その量が大きいほど圧電性能が高い。大きな電圧及び電荷を発生させるためには、配列した圧電セラミックス粒子に大きな力を加える必要があり、その方法として母材を柔らかくして配向した粒子列に力が加わり易くする手法がある。実際に柔らかい母材を用いた場合に圧電性能が大幅に向上することを見出しているが、柔らかい材料の場合、耐荷重性に劣り実用的でない。
従来の配向型の複合圧電材料は、荷重が加わる側の保持シートの表面と、この保持シートに埋設されている圧電粒子の端面とが同一面である。このため、従来の配向型の複合圧電材料では、この圧電材に荷重を加えたときに、圧電粒子に加わる荷重よりも、母材である保持シートに加わる荷重のほうが大きくなる。その結果、従来の配向型の複合圧電材料では、圧電シートが荷重の多くを分担してしまうため、圧電性能を向上させることが困難になってしまう問題点がある。また、従来の配向型の複合圧電材料では、圧電性能を向上させるためには、母材である保持シートを柔らかくする必要がある。しかし、従来の配向型の複合圧電材料では、保持シートを柔らかくすると耐荷重性が劣り実用性が低下してしまう問題点がある。さらに、従来の配向型の複合圧電材料では、圧電性能を向上させるためには、選択可能な母材が限定されてしまい、それ以外の母材では圧電性能の向上が困難になってしまう問題点がある。
この発明の課題は、圧電性能及び耐荷重性を向上させることができる圧電材とその製造方法、接触検出装置、荷重検出装置及び異常状態検出装置を提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1〜図3に示すように、複数の圧電粒子(2)が母材(3)中に所定の方向に配列されており、この所定の方向に荷重が作用するときに電力を発生する圧電材であって、前記荷重が作用する圧電粒子が前記母材の表面(3a)から突出しており、圧電材を所定の形状に成形するための成形型(5)の容積に対する前記圧電粒子及び未硬化の前記母材の合計の充填量である充填率が77〜92%であり、前記圧電粒子と前記母材とが接触する面積である接触面積割合が30〜60%の範囲内であることを特徴とする圧電材(1)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の圧電材において、前記母材の表面から突出する圧電粒子の表面(2a)の一部がこの母材によって保持されていることを特徴とする圧電材である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の圧電材において、図2(A)に示すように、前記母材の表面から前記圧電粒子が所定のパターンで突出していることを特徴とする圧電材である。
請求項4の発明は、図5及び図6に示すように、複数の圧電粒子(2)が母材(3)中に所定の方向に配列されており、この所定の方向に荷重が作用するときに電力を発生する圧電材の製造方法であって、成形型(5)との間に所定の隙間(Δ)が形成されるように、前記複数の圧電粒子及び未硬化の母材をこの成形型内に充填する充填工程(#200)と、前記荷重が作用する圧電粒子が前記母材の表面から前記隙間内に突出するように、前記複数の圧電粒子を前記未硬化の母材中に所定の方向に配列させて、この未硬化の母材を硬化させる硬化工程(#300)とを含む圧電材の製造方法(#100)である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の圧電材の製造方法において、前記硬化工程は、前記母材の表面から突出する圧電粒子の表面の一部がこの母材によって保持されるように、前記未硬化の母材を硬化させる工程を含むことを特徴とする圧電材の製造方法である。
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の圧電材の製造方法において、図2(A)に示すように、前記硬化工程は、前記母材の表面から前記圧電粒子が所定のパターンで突出するように、前記未硬化の母材を硬化させる工程を含むことを特徴とする圧電材の製造方法である。
請求項7の発明は、図8に示すように、検出対象物(8)との接触を検出する接触検出装置であって、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の圧電材(1)を備え、前記圧電材は、前記検出対象物と接触したときに電力を発生することを特徴とする接触検出装置(7)である。
請求項8の発明は、図9に示すように、荷重(F)を検出する荷重検出装置であって、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の圧電材(1)を備え、前記圧電材は、この圧電材に作用する荷重に応じて電力を発生することを特徴とする荷重検出装置(12)である。
請求項9の発明は、図10〜図12に示すように、検出対象物(14)の異常状態を検出する異常状態検出装置であって、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の圧電材(1)と、前記検出対象物の振動に応じて前記圧電材が発生する電力に基づいて、前記検出対象物の異常状態を判定する異常状態判定部(16)とを備える異常状態検出装置(13)である。
この発明によると、圧電性能及び耐荷重性を向上させることができる。
この発明の第1実施形態に係る圧電材を模式的に示す透視図である。 この発明の第1実施形態に係る圧電材を模式的に示す外観図であり、(A)は平面図であり、(B)はII-IIB線で切断した状態を示す断面図である。 図2(B)のIII部分を拡大して示す断面図である。 この発明の第1実施形態に係る圧電材の作用を示す模式図であり、(A)は機械電気変換部としての作用を示し、(B)は電源が交流であるときの電気機械変換部としての作用を示し、(C)は電源が直流であるときの電気機械変換部としての作用を示す。 この発明の第1実施形態に係る圧電材の製造方法の工程図である。 この発明の第1実施形態に係る圧電材の製造工程を模式的に示す概念図である。 この発明の第1実施形態に係る圧電材の製造工程で使用される成形型を模式的に示す外観図であり、(A)は平面図であり、(B)はVII-VIIB線で切断した状態を示す断面図である。 この発明の第2実施形態に係る接触検出装置を概略的に示す構成図である。 この発明の第3実施形態に係る荷重検出装置を概略的に示す構成図である。 この発明の第4実施形態に係る異常状態検出装置の使用状態を模式的に示す斜視図である。 この発明の第4実施形態に係る異常状態検出装置を概略的に示す全体図である。 この発明の第4実施形態に係る異常状態検出装置を概略的に示す構成図である。 この発明の実施例及び比較例に係る圧電材の充填率と接触面積割合及び圧電性能の関係を示すグラフであり、(A)は充填率と接触面積割合との関係を示すグラフであり、(B)は接触面積割合と圧電性能との関係を示すグラフである。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1〜図3に示す圧電材1は、複数の圧電粒子2が母材3中に所定の方向に配列されており、この所定の方向に荷重が作用するときに電力を発生する部材である。圧電材1は、圧電性能及び耐荷重性が向上するように、圧電粒子2が母材表面3aから突出するように母材3中に配列されている突出配向型の複合圧電材料である。圧電材1は、図4に示すように、母材3に加わる電界Eの方向と複数の圧電粒子2の分極方向とが同一になるように、この電界Eの方向にこれらの圧電粒子2が連続して配列されている。圧電材1は、例えば、図2に示すように、所定の直径及び厚さに形成された円板状の部材であり、シリコーンゴムなどの母材3内にチタン酸ジルコン酸鉛などの圧電粒子2が厚さ方向に連続して配列された圧電ゴムの一種である。圧電材1は、図1〜図3に示すように、圧電粒子2と母材3などを備えている。
圧電材1は、荷重が作用する圧電粒子2が母材表面3aから突出している。圧電材1は、母材表面3a側が凹凸に形成されており、母材表面3b側が平坦に形成されている。圧電材1は、一方の母材表面3aと他方の母材表面3bとの間(圧電材1の厚み方向)に圧電粒子2が配列されており、母材3中に配列されている複数の圧電粒子2のうち最も端に位置する圧電粒子2のみがこの母材表面3aから突出している。圧電材1は、図3に示すように、母材表面3aから突出する圧電粒子2の粒子表面2aの一部が母材3によって保持されている。圧電材1は、母材表面3aから突出している圧電粒子2の粒子端面2bのみが母材3から僅かに露出している。圧電材1は、母材表面3aから突出している圧電粒子2の粒子端面2b以外のこの圧電粒子2の粒子表面2aが母材3によって被覆され保護されている。圧電材1は、図2(A)に示すように、母材表面3aから圧電粒子2が所定のパターンで突出している。圧電材1は、例えば、母材表面3aから突出している圧電粒子2が母材表面3aの縦方向及び横方向に所定の間隔をあけて、複数行及び複数列に配置されている。圧電材1は、圧電粒子2と母材3とが接触する面積の割合(接触面積割合)が30%を下回ると、圧電粒子2を母材3によって保持することが困難となるため耐荷重性が低下する。一方、圧電材1は、接触面積割合が49%を超えると、圧電材1に加わる荷重の殆どを母材3が負担して圧電粒子2に荷重が加わり難くなるため圧電性能が低下する。このため、圧電材1は、接触面積割合を30%以上49%以下の範囲内に設定することが好ましい。
図1〜図3に示す圧電粒子2は、圧電効果を示す粒子である。圧電粒子2は、図4(A)に示すように、機械的応力が加わると応力に応じた電気分極を発生して電界Eを発生(正効果)し、図4(B)(C)に示すように電界Eを加えて電気分極を発生させると電界Eの大きさに応じた歪みを発生(逆効果)する圧電効果を示す。圧電粒子2は、例えば、母材3中に連続して配列されている圧電セラミックスである。圧電粒子2は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(商品名PZT)、チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン又は水晶などの粒子である。圧電粒子は、平均粒径が100μm未満であると粒子配列を保持することが困難となるなどの問題点があり、平均粒径が1000μmを超えると粒子配列を直線的に形成することが困難になるなどの問題がある。このため、圧電粒子は、平均粒径が100μm以上1000μm以下であることが好ましい。
図1〜図3に示す母材3は、圧電粒子2を保持する媒体(マトリックス)である。母材3は、図2(B)に示すように、圧電粒子2が突出している側の母材表面(圧電材表面)3aと、この母材表面3aとは反対側の表面であり圧電粒子2が突出していない側の母材表面(圧電材表面)3bなどを備えている。母材3は、図4に示すように、この母材3に加わる電界Eの方向に複数の圧電粒子2が連続して配列するようにこれらの圧電粒子2を保持しており、複数の圧電粒子2が複数列になって並ぶように保持されている。母材3は、ゴム、合成樹脂又は高分子材料などによって形成されている。このような母材3としては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム又はフッ素ゴムなどの熱硬化型又は二液硬化型のゴム、スチレン系、オレフィン系又は塩化ビニル系の熱可塑性エラストマー、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのオレフィン系又は塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂、加熱硬化前のエポキシ又はポリエステルなどの熱硬化性樹脂、シリコーンオイル又はエチレングリコール(不凍液)などの液体が好ましい。母材3は、柔軟性及びたわみ性を確保することができる高分子材料が好ましく、ゴムに比べて柔軟性及びたわみ性の利点は失われるが寸法及び成型の自由度があり、圧電セラミックスに比べてもろくなく、高たわみを示す材料が好ましい。このような母材3としては、熱硬化性シリコーンゴムが好ましく、耐荷重性などを考慮すると弾性率の高いウレタンゴム又はアクリル樹脂なども好ましい。
次に、この発明の第1実施形態に係る圧電材の作用について説明する。
図4に示す電極4A,4Bは、圧電材1に電気的に接続された接点部分である。電極4A,4Bは、圧電粒子2と接触するように圧電材1の両面にそれぞれ積層されており、圧電材1の両面全域を被覆するように接合されている。電極4A,4Bは、例えば、互いに平行になるように圧電材1の両面に導電性材料を加硫接着して形成されたり、金属、金属酸化物又はカーボンなどの導電性材料を蒸着、シルクスクリーン印刷又はイオンスパッタリングなどの方法によって圧電材1の両面に形成されたり、導電性材料を含有する樹脂又は導電性高分子などの導電性樹脂を圧電材1の両面に多層化して形成されたりする。
図4(A)に示すように、圧電材1の母材表面3aに荷重が作用して圧電材1が振動すると、圧電材1に応力が加わり変形し、圧電粒子2にせん断力が作用して歪みが発生し、母材3内の各圧電粒子2が電気分極する。母材3に加わる電界Eの方向と複数の圧電粒子2の分極方向とが同一になるように、この電界Eの方向にこれらの圧電粒子2が母材3内に連続して配列されている。その結果、図4(A)に示すように、連続して配列されている複数の圧電粒子2の集合体が一つの圧電体として大きな電界Eを発生し、電極4A,4B間に抵抗Rを接続したときには電極4A,4B間に発生する電力がこの抵抗Rによって消費される。このため、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する機械電気変換部として圧電材1が機能し、この電気エネルギーを熱エネルギーに抵抗Rが変換して、圧電材1の振動が抑えられる。
一方、図4(B)に示すように、電極4A,4B間に交流電源V1によって電圧を加えて圧電材1に電界Eを発生させると、母材3内の各圧電粒子2が電気分極し電界Eの大きさに応じた歪みを発生して圧電材1が伸縮して振動する。また、図4(C)に示すように、電極4A,4B間に直流電源V2によって電圧を加えて圧電材1に電界Eを発生させると、母材3内の各圧電粒子2が電気分極し電界Eの大きさに応じた歪みを発生して、電極4A,4B間の電圧が正であるときには圧電材1が伸び、電極4A,4B間の電圧が負であるときには圧電材1が縮む。母材3に加わる電界Eの方向と複数の圧電粒子2の分極方向とが同一になるように、この電界Eの方向にこれらの圧電粒子2が母材3内に連続して配列されている。その結果、図4(B)(C)に示すように、連続して配列されている複数の圧電粒子2の集合体が一つの圧電体として大きな電界Eを発生し、圧電材1のたわみが大きくなる。このため、図4(B)に示すように、電気エネルギーを振動エネルギーに変換する電気機械変換部として圧電材1が機能し、圧電材1が所定の振幅で振動する。また、図4(C)に示すように、電気エネルギーを弾性エネルギーに変換する電気機械変換部として圧電材1が機能し、圧電材1が所定のたわみ量だけ弾性変形する。
次に、この発明の第1実施形態に係る圧電材の製造方法について説明する。
図5及び図6に示す製造方法#100は、複数の圧電粒子2が母材3中に所定の方向に配列されており、この所定の方向に荷重が作用するときに電力を発生する圧電材1の製造方法である。製造方法#100では、図2(B)及び図3に示すように、母材表面3aから圧電粒子2が突出するように圧電材1を製造する。製造方法#100は、図5に示すように、分散工程#200と硬化工程#300などを含む。
図6に示す成形型5は、圧電材1を所定の形状に成形するための部材である。成形型5は、圧電材1の上面を成形する金型5Aと、圧電材1の下面を成形する金型5Bと、圧電材1の外周面を成形する金型5Cなどを備えている。金型5A,5Bは、圧電材1を成形する機能を有するとともに、複数の圧電粒子2を所定の方向に配列させる電極としての機能も有する。金型5Aは、正電極として機能し、金型5Bは接地電極(負電極)として機能する。金型5A,5Bは、いずれも略同一構造であり、以下では図7に示す金型5Aについて説明し、図6に示す金型5Bについては詳細な説明を省略する。金型5A,5Bは、図7に示すように、電極部5aと絶縁部5bなどを備えている。
図7に示す電極部5aは、複数の圧電粒子2を母材3中に所定の方向に配列させるために、この母材3に電力を印加する部分である。電極部5aは、例えば、図2(A)に示すようなパターンで母材表面3aから圧電粒子2を突出させるときには、図7に示すように圧電粒子2と対向する位置に縦方向及び横方向に所定の間隔をあけて、複数行及び複数列にわたり形成されている。絶縁部5bは、電極部5aの周囲を電気的に絶縁する部分である。絶縁部5bは、例えば、図2(A)に示すようなパターンで母材表面3aから圧電粒子2を突出させるときには、図7に示すように母材3と対向する位置(圧電粒子2と対向する位置以外の位置)に形成されている。図6に示す金型5Cは、金型5Aと金型5Bとを電気的に絶縁する絶縁材である。金型5Cは、金型5Aと金型5Bとの間の隙間が圧電材1の厚さと同じになるように、金型5Aと金型5Bとの間に挟み込まれる。金型5Cは、円形の貫通孔を有する板状に形成されておりスペーサとして機能する。
図6(C)に示す加熱装置6は、圧電材1を加熱する装置である。加熱装置6は、成形型5内で複数の圧電粒子2が母材3中で配列した状態で、圧電粒子2及び母材3を加熱してこれらを硬化させる。加熱装置6は、成形型5を直接又は間接に加熱することによって、成形型5内の未硬化の母材3及び圧電粒子2を加熱する。
図5に示す充填工程#200は、成形型5との間に所定の隙間Δが形成されるように、複数の圧電粒子2及び未硬化の母材3をこの成形型5内に充填する工程である。充填工程#200では、図(A)に示すように、未硬化のシリコーンゴムのような流動性を有する未硬化の母材3とチタン酸ジルコン酸鉛のような圧電粒子2とを成形型5内に充填し、未硬化の母材3中に複数の圧電粒子2を分散させる。充填工程#200では、複数の圧電粒子2及び未硬化の母材3と金型5Aとの間に所定の隙間Δを形成するように、複数の圧電粒子2及び未硬化の母材3を成形型5内に充填する。
硬化工程#300は、荷重が作用する圧電粒子2が母材表面3aから隙間Δ内に突出するように、複数の圧電粒子2を未硬化の母材3中に所定の方向に配列させて、この未硬化の母材3を硬化させる工程である。硬化工程#300では、図6に示すように、母材3に加わる電界Eの方向と複数の圧電粒子2の分極方向とが同一になるように、この電界Eの方向にこれらの圧電粒子2が連続して配列させる。硬化工程#300では、図6(A)に示すように、未硬化の母材3の上部と金型5Aとの間に所定の隙間Δを形成した状態で、図6(B)に示すように未硬化の母材3に電圧を加えながら、図6(C)に示すようにこの未硬化の母材3を加熱し硬化させる。硬化工程#300では、図3に示すように、母材表面3aから突出する圧電粒子2の粒子表面2aの一部が母材3によって保持されるように、未硬化の母材3を硬化させる。硬化工程#300では、図2(A)に示すように、母材表面3aから圧電粒子2が所定のパターンで突出するように、未硬化の母材3を硬化させる。硬化工程#300は、図5に示すように、配列工程#310と加熱工程#320などを含む。
配列工程#310は、未硬化の母材3中に複数の圧電粒子2を所定の方向に配列させる工程である。配列工程#310は、図6(B)に示すように、金型5Aと金型5Bとの間に直流電源V2によって電圧を印加して未硬化の母材3に電圧を加える電圧印加工程である。配列工程#310では、金型5Aと金型5Bとの間に電界Eを加えると母材3中に分散している各圧電粒子2が電気分極して、隣接する圧電粒子2の双極子モーメントの方向が同一方向になり、隣接する圧電粒子2が互に引力(クーロン力)を受けて、電界Eの方向に連続して配列する。図6(A)に示すように、金型5A,5B間に電界Eを加えると、圧電粒子2が未硬化の母材3内を移動して、未硬化の母材3の液面から隙間Δ内に移動する。このとき、図3に示すように、圧電粒子2の粒子表面2aに未硬化の母材3が付着した状態で、圧電粒子2が隙間Δ内を移動して金型5Aと接触する。その結果、金型5Aに圧電粒子2が接触すると、この圧電粒子2が金型5Aと接触する粒子端面(接触面)2b以外の部分の粒子表面2aが未硬化の母材3によって被覆されるとともに、この圧電粒子2に付着している未硬化の母材3の一部が金型5Aに付着する。
加熱工程#320は、未硬化の母材3を加熱する工程である。加熱工程#320は、図6(C)に示すように、電界Eの方向に圧電粒子2が連続して配列した状態で未硬化の母材3を加熱して硬化させる加熱硬化工程である。加熱工程#320では、複数の圧電粒子2が電界Eの方向に連続して配列した状態で、未硬化の母材3を加熱して硬化させすることによって、母材3中に圧電粒子2が保持される。その後に、図6に示す成形型5を分解して成形型5から圧電材1を取り出して、図2に示すような所定の形状の圧電材1が成形される。
この発明の第1実施形態に係る圧電材とその製造方法には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、荷重が作用する圧電粒子2が母材表面3aから突出している。このため、母材表面3aから圧電粒子2を突起状に突出させて、母材3中に配列されている複数の圧電粒子2に加わる力を大きくすることができる。その結果、母材表面3aから突出した圧電粒子2に荷重を作用させることによって、母材3中に配列されている複数の圧電粒子2に荷重を集中して作用させ、圧電性能を向上させることができる。また、母材3に柔らかい材料を選択する必要がなくなって、母材3として利用できる材料の選択の幅を広げることができる。さらに、圧電材1に荷重が加わったときにこの荷重を母材3に負担させずに、母材3中に配列している複数の圧電粒子2に荷重を負担させることができ、耐荷重性を向上させることができる。
(2) この第1実施形態では、母材表面3aから突出する圧電粒子2の粒子表面2aの一部が母材3によって保持されている。このため、母材表面3aから突出する圧電粒子2に荷重が作用しても、高強度の材料を用いた母材3によってこの圧電粒子2を強固に保持することができ、圧電性能を向上させつつ耐荷重性も向上させることができる。
(3) この第1実施形態では、母材表面3aから圧電粒子2が所定のパターンで突出している。このため、母材表面3aの任意の箇所に圧電粒子2を配列することができる。
(4) この第1実施形態では、成形型5との間に所定の隙間Δが形成されるように、複数の圧電粒子2及び未硬化の母材3をこの成形型5内に充填工程#200において充填する。また、この第1実施形態では、荷重が作用する圧電粒子2が母材表面3aから隙間Δ内に突出するように、複数の圧電粒子2を未硬化の母材3中に所定の方向に配列させて、この未硬化の母材3を硬化工程#300において硬化させる。このため、母材3中に配列されている圧電粒子2を簡単な作製方法によって母材表面3aから突起状に突出させることができる。その結果、圧電材1を安価に短時間で大量に製造することができる。
(5) この第1実施形態では、母材表面3aから突出する圧電粒子2の粒子表面2aの一部がこの母材3によって保持されるように、未硬化の母材3を硬化工程#300において硬化させる。このため、母材3に荷重を負担させずに、母材3中に配列している複数の圧電粒子2に荷重が負担するような構造に、圧電材1を簡単に製造することができる。
(6) この第1実施形態では、母材表面3aから圧電粒子2が所定のパターンで突出するように、未硬化の母材3を硬化工程#300において硬化させる。このため、任意の配置パターンで圧電粒子2を母材表面3aから簡単に突出させることができる。
(第2実施形態)
以下では、図1〜図4に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付した詳細な説明を省略する。
図8に示す接触検出装置7は、検出対象物8との接触を検出する装置である。接触検出装置7は、検出対象物8との接触の有無を検知するセンサとして機能する。接触検出装置7は、図1〜図3に示す圧電材1と、図8に示す接触判定部10と、判定結果送信部11などを備えている。圧電材1は、この圧電材1と検出対象物8とが接触することによってこの圧電材1に発生する機械的な振動を電気信号に変換する機械電気変換部として機能する。圧電材1は、検出対象物8と接触したときに電力を発生し、この電力に応じた接触検出信号(電気信号)を電極4A,4Bから接触判定部10に出力する。圧電材1は、電極4A,4Bと、保護部9などを備えている。検出対象物8は、接触検出装置7によって圧電材1との接触の有無が検出される対象物である。
保護部9は、圧電材1及び電極4A,4Bを保護する部分である。保護部9は、例えば、電気絶縁性を有するフッ素樹脂製の被覆材などである。保護部9は、圧電材1及び電極4A,4Bの表面全域を被覆するように形成されている。保護部9は、圧電材1及び電極4A,4Bを被覆することによって、検出対象物8との接触により圧電材1及び電極4A,4Bが損傷するのを防ぐ。
接触判定部10は、検出対象物8と圧電材1とが接触したときにこの圧電材1が発生する電力に基づいて、この検出対象物8との接触の有無を判定する部分である。接触判定部10は、圧電材1が発生する電力が所定値(しきい値)を超えるときには、圧電材1と検出対象物8とが接触したと判定する。接触判定部10は、圧電材1と検出対象物8とが接触したと判定したときには、判定結果信号(判定結果情報)を判定結果送信部11に出力する。
判定結果送信部11は、接触判定部10の判定結果を送信する部分である。判定結果送信部11は、例えば、検出対象物8との接触を音声又は表示画面などによって告知する告知装置などの外部機器に、接触判定部10が出力する判定結果信号を有線又は無線によって送信する。
次に、この発明の第2実施形態に係る接触検出装置の作用について説明する。
図中矢印方向に検出対象物8が移動して圧電材1に接触すると、母材3中に配列している圧電粒子2に荷重が作用し、圧電粒子2が電気分極して電界Eを発生し、電極4A,4B間に電力が発生する。その結果、電極4A,4B間に発生する電力が電気信号として接触判定部10に出力されて、接触判定部10がこの電力が所定値を超えるか否かを判定する。圧電材1が発生する電力が所定値を超えていると接触判定部10が判定したときには、接触判定部10が判定結果送信部11に判定結果信号を出力する。その結果、判定結果送信部11から外部機器に判定結果信号が送信されて、検出対象物8が圧電材1と接触したことがこの外部機器によって告知される。
この発明の第2実施形態に係る接触検出装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、検出対象物8と接触したときに圧電材1が電力を発生する。このため、力に対して大きな電気信号を発生する圧電材1によって、圧電材1と検出対象物8との接触の有無を簡単に検出することができる。その結果、圧電材料として従来適用ができなかった箇所で、異物との接触を検知するセンサとして圧電材1を利用することができる。
(第3実施形態)
図9に示す荷重検出装置12は、荷重Fを検出する装置である。荷重検出装置12は、圧電材1に作用する荷重Fを検知するセンサとして機能する。荷重検出装置12は、図1〜図3に示す圧電材1などを備えている。圧電材1は、この圧電材1に作用する荷重Fに応じて電力を発生する。圧電材1は、この圧電材1に荷重Fが作用することによってこの圧電材1に発生する機械的な振動を電気信号に変換する機械電気変換部として機能する。圧電材1は、荷重Fが作用したときに発生する電力に応じた荷重検出信号(電気信号)を電極4A,4Bから出力する。
次に、この発明の第3実施形態に係る荷重検出装置の作用について説明する。
図中矢印方向に荷重Fが圧電材1に作用すると、母材3中に配列している圧電粒子2が電気分極して電界Eを発生し、圧電材1に作用する荷重Fに応じて電極4A,4B間に電力が発生する。その結果、電極4A,4B間に発生する電力が電気信号として出力されて、圧電材1に作用する荷重Fが検出される。
この発明の第3実施形態に係る荷重検出装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第3実施形態では、圧電材1に作用する荷重Fに応じてこの圧電材1が電力を発生する。このため、力に対して大きな電気信号を発生する圧電材1によって、圧電材1に作用する荷重Fを簡単に検出することができる。
(第4実施形態)
図10〜図12に示す異常状態検出装置13は、検出対象物14の異常状態を検出する装置である。異常状態検出装置13は、検出対象物14の振動の状態を検知するセンサとして機能する。異常状態検出装置13は、図1〜図3に示す圧電材1と、図10〜図12に示す異常状態判定部16と、判定結果送信部17などを備えている。圧電材1は、検出対象物14を支持することによってこの圧電材1に発生する機械的な振動を電気信号に変換する機械電気変換部として機能する。圧電材1は、検出対象物14の振動によって電力を発生し、この電力に応じた振動検出信号(電気信号)を電極4A,4Bから異常状態判定部16に出力する。圧電材1は、電極4A,4Bと、保護部9などを備えており、図10及び図12に示すように、検出対象物14、支持部15及び圧電材1から加わる力を地盤に伝達する基礎Bと支持部15との間に挟み込まれており、図10及び図11に示すように支持部15の底面の角部をそれぞれ支持するように合計4個配置されている。図10及び図12に示す検出対象物14は、異常状態検出装置13によって異常状態の有無が検出される対象物である。検出対象物14は、例えば、圧縮装置、空調装置、発電装置又は冷凍装置のような動作するときに振動を発生する振動体である。図10〜図12に示す支持部15は、検出対象物14を支持する部分である。支持部15は、図11に示すように、平面形状が四角形の板状部材であり、図10及び図11に示すように検出対象物14の底面を支持した状態で圧電材1によって支持されている。
図10〜図12に示す異常状態判定部16は、検出対象物14の振動に応じて圧電材1が発生する電力に基づいて、検出対象物14の異常状態を判定する部分である。異常状態判定部16は、圧電材1が発生する電力が所定値(しきい値)未満であるときには、検出対象物14が発生する振動が通常の範囲内であって検出対象物14が異常状態ではないと判定する。一方、異常状態判定部16は、圧電材1が発生する電力が所定値(しきい値)を超えるときには、検出対象物14が発生する振動が大きくなって検出対象物14が異常状態であると判定する。異常状態判定部16は、検出対象物14が異常状態であると判定したときには、判定結果信号(判定結果情報)を判定結果送信部17に出力する。
判定結果送信部17は、異常状態判定部16の判定結果を送信する部分である。判定結果送信部17は、例えば、検出対象物14の異常状態の発生を音声又は表示画面などによって告知する告知装置などの外部機器に、異常状態判定部16が出力する判定結果信号を有線又は無線によって送信する。
次に、この発明の第3実施形態に係る異常状態検出装置の作用について説明する。
図10及び図12に示す検出対象物14が動作して振動が発生すると、この振動が支持部15を通じて圧電材1に伝達する。このため、図1〜図3に示す母材3中に配列している圧電粒子2に荷重が作用し、圧電粒子2が電気分極して電界Eを発生し、電極4A,4B間に電力が発生する。その結果、電極4A,4B間に発生する電力が電気信号として異常状態判定部16に出力されて、異常状態判定部16がこの電力が所定値を超えるか否かを判定する。圧電材1が発生する電力が所定値を超えていると異常状態判定部16が判定したときには、異常状態判定部16が判定結果送信部17に判定結果信号を出力する。その結果、判定結果送信部17から外部機器に判定結果信号が送信されて、検出対象物14が通常状態から異常状態に変化したことがこの外部機器によって告知される。
この発明の第4実施形態に係る接触検出装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第4実施形態では、検出対象物14の振動に応じて圧電材1が発生する電力に基づいて、検出対象物14の異常状態を異常状態判定部16が判定する。このため、力に対して大きな電気信号を発生する圧電材1によって検出対象物14の振動を検出して、検出対象物14の異常状態を正確に判定することができる。また、母材3との接触面積が少なくなるため、圧電材1のばね定数が低くなり防振材料としての使用が期待でき、母材3によって検出対象物14から基礎Bに伝わる振動を低減することができる。
次に、この発明の実施例について説明する。
図13(A)に示す横軸は、充填率(%)であり、縦軸は接触面積割合(%)である。ここで、充填率は、図6に示す成形型5の容積に対する圧電粒子2及び未硬化の母材3の合計の充填量である。接触面積割合は、図2(B)に示す圧電粒子2及び母材3の両方が接触している面積である。接触面積割合は、力が加わった箇所が変色する圧力測定フィルム(富士フィルム株式会社製 商品名:プレスケール超低圧用LLW)によって測定した。図13(B)に示す横軸は、接触面積割合(%)であり、縦軸は圧電ひずみ定数d33(pC/N)である。ここで、圧電ひずみ定数d33の添字は、力の入力及び分極方向がともに3軸(鉛直方向)であることを示す。圧電ひずみ定数d33は、高周波動特性測定装置(株式会社鷺宮製作所製 KC-V-2)を用いて、試料に2kN±1kNの荷重を周波数100 Hzで印加することによって測定した。
Figure 0006275018
表1は、実施例1〜5及び比較例に係る圧電材の緒元である。図13及び表1に示す実施例1〜5は、図1〜図3に示すような突起配向型の圧電材であり、図13及び表1に示す比較例は突起のない従来の配向型の圧電材である。実施例1〜5及び比較例は、圧電粒子として平均粒径が約1mmのPZT粒子(セラテックエンジニアリング株式会社製 商品名:Z-711 圧電ひずみ定数d33:約600pC/N)を使用し、母材として熱硬化性シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製 商品名:KE-109)を使用し、これらの圧電粒子と母材とを組み合わせで作製した。
図6に示すような成形型の中にPZT粒子を加えておき、このPZT粒子の上からみ硬化のシリコーンゴムを加え、正電極の金型で蓋をした。成形型は、内径50mm、深さ2mm、容積1963mmm3の金型を使用した。成形型は、図6に示すような金型5Bに、内径50mm、厚さ2mmの孔をあけたベークライト板の金型5Cを接着し、金型5Aと金型5Bとの間で実施例1〜5及び比較例に係る圧電材を作製した。実施例1〜5については、成形型の上部に隙間が空くようにシリコーンゴムの割合を変化させて、表1に示すように充填率を71〜92%に変化させた。一方、比較例については、成形型の上部に隙間が空かないように成形型の上部までシリコーンゴムを加えて、表1に示すように充填率を100%にした。その後、上下の金型間に約2kV/mmの電場を加えながら、加熱装置によって100℃で加熱し約1時間静置して、実施例1〜5及び比較例に係る圧電材を製作した。表1に示すように、PZT粒子量については成形型に対して約30vol%の一定とし、シリコーンゴムの量を調整した。
図13(A)に示すように、実施例1〜5に係る圧電材を充填率が71〜92%の範囲内にして製造すると接触面積割合が27〜60%の範囲内になり、図13(B)に示すように接触面積割合が27〜60%の範囲内では圧電性能を示す圧電ひずみ定数d33が36〜54pC/Nの範囲内になることが確認された。その結果、図13(B)に示すように、比較例の圧電ひずみ定数d33は約10pC/Nであったが、実施例1〜5の圧電ひずみ定数d33は比較例の5倍の約50pC/Nまで増加することが確認された。また、実施例1〜5では、比較例に比べて圧電性能を増加させつつ、母材であるシリコーンゴムの量を低減可能であることが確認された。
充填率が75%を下回り、接触面積割合が20%を下回る圧電材を作製したところ、母材となるシリコーンゴムの量が低下し電気的な絶縁破壊の可能性が高くなることに加え、圧電粒子を母材によって保持することが困難になり耐荷重性の低下が確認された。さらに、充填率が92%を上回り、接触面積が60%を上回る圧電材を作製したところ、荷重のほとんどを母材が負担し、圧電粒子に力が加わり難くなるため圧電性能の低下が確認された。このため、突起配向型の圧電材を製造するには、母材の影響を低減させながら、耐荷重性を向上させ、圧電性能を比較例よりも増加させるために、充填率を77〜92%の範囲内に設定し、接触面積割合を30〜60%の範囲内に設定することが好ましい。特に、図13(B)に示すように、圧電性能を略一定にするためには、充填率を77〜86%の範囲内に設定し、接触面積割合を30〜49%の範囲内に設定することが好ましい。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、圧電材1の一方の母材表面3aから圧電粒子2を突出させる場合を例に挙げて説明したが、圧電材1の他方の母材表面3bから圧電粒子2を突出させたり、圧電材1の両方の母材表面3a,3bから圧電粒子2を突出させたりすることもできる。また、この実施形態では、硬化前の母材3が流体又は粘性体などの液体である場合を例に挙げて説明したが、母材3が流体及び粘性体の混合物である場合についてもこの発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、圧電材1の厚さ方向に圧電粒子2が4つ配列している場合を例に挙げて説明したが、配列個数を4つに限定するものではなく、圧電材1の厚さ方向に圧電粒子2を2個以上配列させることができる。また、この第1実施形態では、圧電材1を利用して振動を抑える場合を例に挙げて説明したが、圧電材1によって騒音を受けて振動を電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを抵抗素子によって熱エネルギーに変換して騒音を低減することもできる。
1 圧電材
2 圧電粒子
2a 粒子表面
2b 粒子端面
3 母材
3a,3b 母材表面
4A,4B 電極
5 成形型
5A〜5C 金型
5a 電極部
5b 絶縁部
6 加熱装置
7 接触検出装置
8 検出対象物
9 保護部
10 接触判定部
11 判定結果送信部
12 荷重検出装置
13 異常状態判定装置
14 検出対象物
15 支持部
16 異常状態判定部
17 判定結果送信部
E 電界
1 交流電源
2 直流電源
R 抵抗
Δ 隙間
F 荷重

Claims (9)

  1. 複数の圧電粒子が母材中に所定の方向に配列されており、この所定の方向に荷重が作用するときに電力を発生する圧電材であって、
    前記荷重が作用する圧電粒子が前記母材の表面から突出しており、
    圧電材を所定の形状に成形するための成形型の容積に対する前記圧電粒子及び未硬化の前記母材の合計の充填量である充填率が77〜92%であり、
    前記圧電粒子と前記母材とが接触する面積である接触面積割合が30〜60%の範囲内であること、
    を特徴とする圧電材。
  2. 請求項1に記載の圧電材において、
    前記母材の表面から突出する圧電粒子の表面の一部がこの母材によって保持されていること、
    を特徴とする圧電材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の圧電材において、
    前記母材の表面から前記圧電粒子が所定のパターンで突出していること、
    を特徴とする圧電材。
  4. 複数の圧電粒子が母材中に所定の方向に配列されており、この所定の方向に荷重が作用するときに電力を発生する圧電材の製造方法であって、
    成形型との間に所定の隙間が形成されるように、前記複数の圧電粒子及び未硬化の母材をこの成形型内に充填する充填工程と、
    前記荷重が作用する圧電粒子が前記母材の表面から前記隙間内に突出するように、前記複数の圧電粒子を前記未硬化の母材中に所定の方向に配列させて、この未硬化の母材を硬化させる硬化工程と、
    を含む圧電材の製造方法。
  5. 請求項4に記載の圧電材の製造方法において、
    前記硬化工程は、前記母材の表面から突出する圧電粒子の表面の一部がこの母材によって保持されるように、前記未硬化の母材を硬化させる工程を含むこと、
    を特徴とする圧電材の製造方法。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の圧電材の製造方法において、
    前記硬化工程は、前記母材の表面から前記圧電粒子が所定のパターンで突出するように、前記未硬化の母材を硬化させる工程を含むこと、
    を特徴とする圧電材の製造方法。
  7. 検出対象物との接触を検出する接触検出装置であって、
    請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の圧電材を備え、
    前記圧電材は、前記検出対象物と接触したときに電力を発生すること、
    を特徴とする接触検出装置。
  8. 荷重を検出する荷重検出装置であって、
    請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の圧電材を備え、
    前記圧電材は、この圧電材に作用する荷重に応じて電力を発生すること、
    を特徴とする荷重検出装置。
  9. 検出対象物の異常状態を検出する異常状態検出装置であって、
    請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の圧電材と、
    前記検出対象物の振動に応じて前記圧電材が発生する電力に基づいて、前記検出対象物の異常状態を判定する異常状態判定部と、
    を備える異常状態検出装置。
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