JP6273317B2 - 印刷回路用銅箔 - Google Patents
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Description
最終的に、所要の素子が半田付けされて、エレクトロニクスデバイス用の種々の印刷回路板を形成する。
第二に、印刷回路板を作製する際、銅箔と絶縁基板を熱を加えながらキュワリングして接着させることが多い。このとき、遠赤外線、赤外線等の長波を用いることにより加熱する場合、処理面の色調が黒い方が、加熱効率が良くなる。
本発明において使用する銅箔は、電解銅箔或いは圧延銅箔いずれでも良い。通常、銅箔の、樹脂等の絶縁基板と接着する面即ち粗化面には積層後の銅箔の引き剥し強さを向上させることを目的として、脱脂後の銅箔の表面に、「ふしこぶ」状の電着を行なう粗化処理が施される。電解銅箔のM面は製造時点で凹凸を有しているが、粗化処理により電解銅箔の凸部を増強して凹凸を一層大きくする。
単純に銅箔の上に銅−コバルト−ニッケル合金めっき層を形成しただけでは、樹枝状となるために、上記の通り粉落ちの問題が発生する。
銅箔の上に銅−コバルト−ニッケル合金めっき層を形成した銅箔の表面の顕微鏡写真を図3に示す。この図3に示すように、樹枝状に発達した微細な粒子を見ることができる。一般に、この図3に示す樹枝状に発達した微細な粒子は高電流密度で作製される。
このような高電流密度で処理された場合には、初期電着における粒子の核生成が抑制されるため、粒子先端に新たな粒子の核が形成されるため、次第に樹枝状に、細く長く粒子が成長することになる。
上記一次粒子層及び二次粒子層は、電気めっき層により形成する。この二次粒子の特徴は、前記一次粒子の上に成長した1又は複数個の樹枝状の粒子である。
上記の通り、二次粒子層の平均粒子径を0.05〜0.25μmと小さくしているが、この粒子径は粒子の高さと言い換えることもできる。すなわち、二次粒子の高さを抑制し、粒子の剥離(粉落ち)を抑制したのが、本願発明の特徴の一つとも言える。
銅の一次粒子のめっき条件の一例を挙げると、下記の通りである。
なお、このめっき条件はあくまで好適な例を示すものであり、銅の一次粒子は銅箔上に形成される平均粒子径が粉落ち防止の役割を担うものである。したがって、平均粒子径が本願発明の範囲に入るものであれば、下記に表示する以外のめっき条件であることは何ら妨げるものではない。本願発明はこれらを包含するものである。
液組成 :銅10〜20g/L、硫酸50〜100g/L
液温 :25〜50℃
電流密度 :1〜58A/dm2
クーロン量:4〜81As/dm2
なお、上記と同様に、このめっき条件はあくまで好適な例を示すものであり、二次粒子は一次粒子の上に形成されるものであり、平均粒子径が粉落ち防止の役割を担うものである。したがって、平均粒子径が本願発明の範囲に入るものであれば、下記に表示する以外のめっき条件であることは何ら妨げるものではない。本願発明はこれらを包含するものである。
液組成 :銅10〜20g/L、ニッケル5〜15g/L、コバルト5〜15g/L
pH :2〜3
液温 :30〜50℃
電流密度 :24〜50A/dm2
クーロン量:34〜48As/dm2
以上から、銅−コバルト−ニッケル合金めっきの付着量は、10〜30mg/dm2銅−100〜3000μg/dm2コバルト−50〜500μg/dm2ニッケルであることが望ましいと言える。この3元系合金層の各付着量はあくまで、望ましい条件であり、この量を超える範囲を否定するものではない。
粗化処理層の上にはニッケル−タングステン合金めっき層が形成され、銅箔表面の黒色化に寄与する。例えば、上述した銅からなる一次粒子層と銅−コバルト−ニッケル合金からなる二次粒子層で構成される粗化処理層は灰色である。しかし、粗化処理層の表面にニッケル−タングステン合金層を形成することで黒い色が得られる。ニッケルとタングステンの二元系合金めっきとしたのは、ニッケルによって黒色化効果が得られる上に、タングステンによってエッチング性も確保することができるからである。このニッケル−タングステン合金めっき層は、黒色化の観点からニッケルの付着量を2000μg/dm2以上とするのが好ましく、3000μg/dm2以上とするのがより好ましいが、ニッケルの付着量が多すぎる場合は、ピール強度が低下し始めるので、5000μg/dm2以下とするのがより好ましい。タングステンは合金めっき層中に共存すればよい。
代表的なめっき浴組成とめっき条件は次の通りである。
液組成 :ニッケル10〜40g/L、タングステン10〜30mg/L
pH :3〜4
液温 :35〜45℃
電流密度 :2〜3A/dm2
クーロン量:15〜25As/dm2
前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上に、耐熱層、特に亜鉛−ニッケル合金めっき層の耐熱層を形成してもよい。印刷回路の製造工程で行われる処理が一段と高温となり、また製品となった後の機器使用中の熱発生がある。例えば、樹脂に銅箔を熱圧着で接合する、いわゆる二層材では、接合の際に300℃以上の熱を受ける。このような状況の中でも、銅箔と樹脂基材との間での接合力の低下を防止することが必要であり、この亜鉛−ニッケル合金めっきは有効である。
代表的なめっき浴組成とめっき条件は次の通りである。
液組成 :ニッケル2〜30g/L、亜鉛2〜30g/L
pH :3〜4
液温 :30〜50℃
電流密度 :1〜2A/dm2
クーロン量:1〜2As/dm2
また、前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上、又は、前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上に形成された耐熱層の上に、防錆層、特にクロメート層の防錆層を形成してもよい。本発明において好ましい防錆処理は、クロム酸化物単独の皮膜処理或いはクロム酸化物と亜鉛/亜鉛酸化物との混合物皮膜処理である。クロム酸化物と亜鉛/亜鉛酸化物との混合物皮膜処理とは、亜鉛塩または酸化亜鉛とクロム酸塩とを含むめっき浴を用いて電気めっきにより亜鉛または酸化亜鉛とクロム酸化物とより成る亜鉛−クロム基混合物の防錆層を被覆する処理である。
液組成 :重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0〜5g/L
pH :3〜4
液温 :50〜60℃
電流密度 :0〜2A/dm2(浸漬クロメート処理のため)
クーロン量:0〜2As/dm2(浸漬クロメート処理のため)
最後に、必要に応じ、銅箔と樹脂基板との接着力の改善を主目的として、防錆層上の少なくとも粗化面にシランカップリング剤を塗布するシラン処理が施してもよい。このシラン処理に使用するシランカップリング剤としては、オレフィン系シラン、エポキシ系シラン、アクリル系シラン、アミノ系シラン、メルカプト系シランを挙げることができるが、これらを適宜選択して使用することができる。
塗布方法は、シランカップリング剤溶液のスプレーによる吹付け、コーターでの塗布、浸漬、流しかけ等いずれでもよい。例えば、特公昭60−15654号は、銅箔の粗面側にクロメート処理を施した後シランカップリング剤処理を行なうことによって銅箔と樹脂基板との接着力を改善することを記載している。詳細はこれを参照されたい。この後、必要なら、銅箔の延性を改善する目的で焼鈍処理を施すこともある。
ソフトエッチング液には、H2SO4:10wt%、H2O2:2wt%の水溶液が使用できる。処理時間と温度は任意に調節できる。
アルカリエッチング液としては、例えば、NH4OH:6モル/リットル、NH4Cl:5モル/リットル、CuCl2:2モル/リットル(温度50℃)等の液が知られている。
圧延銅箔に、下記に示す条件範囲で、一次粒子層(Cu)、二次粒子層(銅−コバルト−ニッケル合金めっき)形成した。結果、一次粒子系は0.40μm、二次粒子径は0.15μmを得ることが出来た。一次粒子層及び二次粒子層の平均粒子径はSEM像より切断法を用いて計測した。一次粒子層の平均粒子径は二次粒子層を形成する前に測定した。
使用した浴組成及びめっき条件は、次の通りである。
[浴組成及びめっき条件]
液組成 :銅15g/L、硫酸75g/L
液温 :35℃
電流密度 :2〜58A/dm2
クーロン量:8〜81As/dm2
(B)二次粒子層の形成(Cu−Co−Ni合金めっき)
液組成 :銅15g/L、ニッケル8g/L、コバルト8g/L
pH :2
液温 :40℃
電流密度 :24〜31A/dm2
クーロン量:34〜44As/dm2
(ニッケル−タングステン合金めっき層を形成するめっき条件)
液組成 :ニッケル25g/L、タングステン20mg/L
pH :3.6
液温 :40℃
なお、電流密度とクーロン量については表1に示した。
結果を表1に示した。ニッケル−タングステン合金めっき層のニッケル量が2000μg/dm2以上の例では黒色が得られ、エッチング性も良好であった。
なお、タングステンを含有しない液組成として上記条件で二次粒子層の上にニッケルめっき層を形成した場合(番号A)は、黒色であったが、ニッケル−タングステン合金めっき層を形成した場合に比べてエッチング性に劣る結果となった。
・ピール強度はFR−4基材10mm回路テストピースで測定した。
・ニッケル−タングステン合金めっき層のNiの付着量はめっき層溶解液をICPにて測定した。
・粉落ちの評価はテープ転写法により行い、テープに粗化粒子の転写が全くない場合を◎とし、局部的に軽微な粗化粒子転写が存在する場合を○とし、全体に粗化粒子の転写が観察される場合(軽微であっても全面の場合)を×とした。
・エッチング性はアルカリエッチング液に溶解した場合の残渣有無により評価した。
次に、実施例1と同様な条件で、一次粒子層(Cu)、二次粒子層(銅−コバルト−ニッケル合金めっき)形成した。さらに、表2に示すように、電流密度とクーロン量を変化させてニッケル−タングステン合金めっき層を形成した。
結果を表2に示す。ニッケル−タングステン合金めっき層のNi付着量が5000μg/dm2を超える例ではピール強度の低下が見られた。
圧延銅箔に、以下に示す条件範囲で、一次粒子層(Cu)、二次粒子層(銅−コバルト−ニッケル合金めっき)形成した。使用した浴組成及びめっき条件は、次の通りであり、一次粒子電流条件および二次粒子電流条件は表3に示した。ただし、No.14(Cu層)、No.15(銅―コバルト−ニッケル合金めっき層)は、従来の粗化処理の参考例である。
(A)一次粒子層の形成(Cuめっき)
液組成 :銅15g/L、硫酸75g/L
液温 :35℃
(B)二次粒子層の形成(Cu−Co−Ni合金めっき)
液組成 :銅15g/L、ニッケル8g/L、コバルト8g/L
pH :2
液温 :40℃
(ニッケル−タングステン合金めっき層を形成するめっき条件)
液組成 :ニッケル25g/L、タングステン20mg/L
pH :3.6
液温 :40℃
電流密度 :2A/dm2
クーロン量:20As/dm2
なお、No.14、15、16についてはニッケル−タングステン合金めっき層ではなく、Co−Ni合金めっき層を形成した。
結果を表3に示したが、ニッケル−タングステン合金めっき層を形成することで黒色の表面が得られる。一方、Co−Ni合金めっき層を有するNo.16は表面が灰色であった。また、二次粒子層が大きすぎるNo.17、18、19では、粉落ちをするため、好ましくない。
Claims (12)
- 銅箔の少なくとも一方の表面に、粗化処理層と、ニッケル−タングステンの二元系合金めっき層とがこの順に形成されており、当該ニッケル−タングステンの二元系合金めっき層のニッケル量が2000μg/dm2以上である印刷回路用銅箔。
- 前記粗化処理層は、色見本で判断して黒色ではない請求項1に記載の印刷回路用銅箔。
- 前記ニッケル−タングステンの二元系合金めっき層のニッケル量が2000〜5000μg/dm2である請求項1又は2に記載の印刷回路用銅箔。
- 前記ニッケル−タングステンの二元系合金めっき層の上に耐熱層が形成されている請求項1〜3何れか一項に記載の印刷回路用銅箔。
- 前記ニッケル−タングステンの二元系合金めっき層の上、又は、前記ニッケル−タングステンの二元系合金めっき層の上に形成された耐熱層の上に、防錆層が形成されている請求項1〜4何れか一項に記載の印刷回路用銅箔。
- 上記粗化処理層が、銅の一次粒子層を形成した後、該一次粒子層の上に、銅−コバルト−ニッケル合金の二次粒子層を形成したものである請求項1〜5何れか一項に記載の印刷回路用銅箔。
- 前記銅の一次粒子層の平均粒子径が0.25〜0.45μmであり、銅−コバルト−ニッケル合金からなる二次粒子層の平均粒子径が0.05〜0.25μmである請求項6に記載の印刷回路用銅箔。
- 前記一次粒子層及び二次粒子層が、電気めっき層である請求項6又は7に記載の印刷回路用銅箔。
- 前記粗化処理層が、銅−コバルト−ニッケル合金層である請求項1〜5何れか一項に記載の印刷回路用銅箔。
- 請求項1〜9何れか一項に記載の印刷回路用銅箔を備えた銅張積層板。
- 請求項10に記載の銅張積層板を材料とする印刷回路板。
- 請求項11に記載の印刷回路板を材料とするエレクトロニクスデバイス。
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