図1は、電子センサとして機能可能、酸化還元分子を検出可能、および/または酸化還元サイクル・センサとして機能可能なナノギャップ・トランスデューサを示している。図1において、基板105は、誘電体層110および第1の電極115を備える。第2の電極120は、高さh1のギャップを介して第1の電極から離隔している。本発明の実施形態において、ギャップの高さh1は、500nm未満すなわち10〜200nm、10〜150nm、または25〜150nmである。任意選択として、誘電体層110を貫通するビア等の電子的相互接続125および127は、基板105に収容された任意選択の電子機器(図示せず)との接続を提供している。本発明の実施形態において、基板105は、集積回路(integrated circuit:IC)チップであって、たとえば電極115および120の駆動用、信号読み出し用、信号増幅用、ならびに/またはデータ出力用の電子機器を備える。基板は、たとえばガラス、不動態化金属、ポリマー、半導体、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane:PDMS)、および/または柔軟なエラストマ材等の他の材料であってもよい。基板が電子機器を収容していない実施形態においては、絶縁層110の表面に沿うか、または基板105を貫通して、電極115および120との電気的接続が延在していてもよいし、その他の構成であってもよい。
図1のナノギャップ・トランスデューサは、電極115および120に近接した分子結合領域130を備える。分子結合領域130は、優先的に官能化可能な材料131の層で構成されている。分子結合領域130は、優先的に官能化可能な材料131の露出領域を含む。優先的に官能化可能な材料131の層は、第1の誘電材料の層135と第2の誘電材料の層140との間に存在する。第1の誘電材料の層135は任意選択の層であり、本発明の実施形態においては、優先的に官能化可能な材料131の層が第2の電極120上に配設されている。図1の装置における第1の誘電材料の層135の有無は、第2の電極を構成する材料と優先的に官能化可能な材料131を構成する材料との間の接着等の因子によって決まる。優先的に官能化可能な材料131の層は、関心のあるリンカー分子または生体分子を結合または付着させるナノギャップ・トランスデューサの露出領域(動作条件下において液体と接触する表面領域)を含む材料の能力と比較して、優先的に関心のあるリンカー分子および/または生体分子を結合または付着可能な材料である。本発明の実施形態において、優先的に官能化可能な材料131の層は二酸化ケイ素で構成されており、第1および第2の誘電材料の層135および140は酸窒化ケイ素で構成されている。電極115および120が白金、パラジウム、金、炭素材料(たとえば、ダイヤモンド、黒鉛状炭素、または非晶質炭素等)、ニッケル、および/またはインジウム・スズ酸化物で構成されている場合、露出二酸化ケイ素領域(分子結合領域130)は、たとえばアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランを用いて優先的に官能化可能であってもよい。本発明の別の実施形態において、優先的に官能化可能な材料131の層は、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、または酸化タンタルで構成されており、電極115および120が白金、パラジウム、金、炭素材料(たとえば、ダイヤモンド、黒鉛状炭素、または非晶質炭素等)、ニッケル、および/またはインジウム・スズ酸化物で構成されている場合は、たとえばアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランを用いて優先的に官能化可能であってもよい。本発明の別の実施形態において、優先的に官能化可能な材料131は、金、白金、またはパラジウムで構成されており、結果的に得られる分子結合領域130は、電極115および120がダイヤモンド、黒鉛状炭素、または非晶質炭素等の炭素材料で構成されている場合、チオール基(−SH)またはジスルフィド基(−S−S−)を含む分子により優先的に官能化可能であってもよい。優先的に官能化可能な材料131ならびに誘電体層135および140については、その他の材料も可能である。
本発明の実施形態において、分子結合領域130は、リンカー分子、リンカー分子の組み合わせ、および/またはプローブ分子を含む。リンカー分子は、分子結合領域130の表面に付着していてもよく、関心のある分子(たとえば、プローブ分子または別のリンカー分子等)に付着可能な官能基を備える。また、リンカー分子は、分子結合領域130と選択的に反応する(ただし、誘電材料135および140または電極材料115および120とは反応しない)ように選択可能であって、たとえばシラン、チオール、ジスルフィド、イソチオシネート(isothiocynates)、アルケン、およびアルキン等の分子が挙げられる。プローブ分子は、たとえばDNA配列、RNA配列、ビオチンまたはアビジン、ならびに抗体、抗原、受容体およびその特定の結合パートナー、タンパク質およびその特定の小分子結合パートナー、および/またはペプチド等の関心のある標的分子と選択的に結合可能な分子である。プローブ分子は、1または複数の分子認識部位を含む。抗体としては、たとえばポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のほか、これら抗体の抗原結合フラグメントが挙げられる。抗体または抗体の抗原結合フラグメントは、たとえば検体のエピトープに対する特定の結合活性を有することを特徴とする。プローブは、たとえば抗原/抗体、ビオチン/アビジン、ホルモン/ホルモン受容体、二重鎖核酸、IgG/タンパク質A、ならびにDNA/DNAおよびDNA/RNA等のポリヌクレオチド対といった免疫学的な対等の特定の結合対のいずれかの要素であってもよい。また、プローブ分子は、既知のカップリング構造を介してリンカー分子とカップリングされていてもよい。
電極115および120は、導電性材料で構成されている。本発明の実施形態において、電極115および120は、ダイヤモンド、白金、および/または金で構成されている。本発明の別の実施形態において、電極115および120は、パラジウム、ニッケル、黒鉛状炭素、非晶質炭素、および/またはインジウム・スズ酸化物で構成されている。本発明の実施形態において、少なくとも一方の電極115または120は、導電性ダイヤモンド材料で構成されている。本発明の実施形態において、電極115は、導電性ダイヤモンドで構成されている。本発明のさらに別の実施形態において、電極115および120はともに、導電性ダイヤモンド材料で構成されている。ダイヤモンドは、たとえばドーピングによって導電性を有するように作製してもよい。ドーパントとしては、たとえばホウ素、窒素、およびリンが挙げられる。本発明の一実施形態において、ドーパントはホウ素である。ホウ素をドープしたダイヤモンド材料のドーピング濃度としては、1020atoms/cm3より大きく1022atoms/cm3より小さな濃度が挙げられる。本発明の実施形態において、第1の電極115が導電性ダイヤモンド材料で構成されている場合、電極の高さh2は、200〜1000nmである。別の実施形態において、導電性ダイヤモンド電極の高さh2は、5〜25nmである。本発明の実施形態において、導電性ダイヤモンド膜は、マイクロ結晶またはナノ結晶ダイヤモンドである。動作時には通常、ナノギャップ・トランスデューサと併せて基準電極(図示せず)も使用する。基準電極は、測定対象ではあるがナノギャップ内に配置する必要のない溶液と接触する。
図2は、電子センサとして機能可能、酸化還元分子を検出可能、および/または酸化還元サイクル・センサとして機能可能なナノギャップ・トランスデューサを示している。図2において、基板205は、誘電体層210および第1の電極215を備える。第2の電極220は、高さh1のギャップを介して第1の電極から離隔している。本発明の実施形態において、ギャップの高さh1は、500nm未満すなわち10〜200nm、10〜150nm、または25〜150nmである。任意選択として、誘電体層210を貫通するビア等の電子的相互接続225および227は、基板205に収容された任意選択の電子機器(図示せず)との接続を提供している。本発明の実施形態において、基板205は、集積回路(IC)チップであって、たとえば電極215および220の駆動用、信号読み出し用、信号増幅用、ならびに/またはデータ出力用の電子機器を備える。基板は、たとえばガラス、不動態化金属、ポリマー、半導体、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、および/または柔軟なエラストマ材等の他の材料であってもよい。基板が電子機器を収容していない実施形態においては、絶縁層210の表面に沿うか、または基板205を貫通して、電極215および220との電気的接続が延在していてもよいし、その他の構成であってもよい。
図2のナノギャップ・トランスデューサは、電極215および220に近接した分子結合領域230を備える。分子結合領域230は、優先的に官能化可能な材料231の層で構成されている。分子結合領域230は、優先的に官能化可能な材料231の露出領域を含む。優先的に官能化可能な材料231の層は、第1の誘電材料の層235と第2の誘電材料の層240との間に存在する。第1の誘電材料の層235は任意選択の層であり、本発明の実施形態においては、優先的に官能化可能な材料231の層が第2の電極220上に配設されている。図2の装置における第1の誘電材料の層235の有無は、第2の電極を構成する材料と優先的に官能化可能な材料231を構成する材料との間の接着等の因子によって決まる。優先的に官能化可能な材料231の層は、関心のあるリンカー分子または生体分子を結合または付着させるナノギャップ・トランスデューサの露出領域(動作条件下において液体と接触する表面領域)を含む材料の能力と比較して、優先的に関心のあるリンカー分子および/または生体分子を結合または付着可能な材料である。本発明の実施形態において、優先的に官能化可能な材料231の層は二酸化ケイ素で構成されており、第1および第2の誘電材料の層235および240は酸窒化ケイ素で構成されている。電極215および220が白金、パラジウム、金、炭素材料(たとえば、ダイヤモンド、黒鉛状炭素、または非晶質炭素等)、ニッケル、および/またはインジウム・スズ酸化物で構成されている場合、露出二酸化ケイ素領域(分子結合領域230)は、たとえばアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランを用いて優先的に官能化可能であってもよい。本発明の別の実施形態において、優先的に官能化可能な材料231の層は、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、または酸化タンタルで構成されており、電極215および220が白金、パラジウム、金、炭素材料(たとえば、ダイヤモンド、黒鉛状炭素、または非晶質炭素等)、ニッケル、および/またはインジウム・スズ酸化物で構成されている場合は、たとえばアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランを用いて優先的に官能化可能であってもよい。本発明の別の実施形態において、優先的に官能化可能な材料231は、金、白金、またはパラジウムで構成されており、結果的に得られる分子結合領域230は、電極215および220がダイヤモンド、黒鉛状炭素、または非晶質炭素等の炭素材料で構成されている場合、チオール基(−SH)またはジスルフィド基(−S−S−)を含む分子により優先的に官能化可能であってもよい。優先的に官能化可能な材料231ならびに誘電体層235および240については、その他の材料も可能である。
本発明の実施形態において、分子結合領域230は、リンカー分子、リンカー分子の組み合わせ、および/またはプローブ分子を含む。リンカー分子は、分子結合領域230の表面に付着していてもよく、関心のある分子(たとえば、プローブ分子または別のリンカー分子等)に付着可能な官能基を備える。また、リンカー分子は、分子結合領域230と選択的に反応する(ただし、誘電材料235および240または電極材料215および220とは反応しない)ように選択可能であって、たとえばシラン、チオール、ジスルフィド、イソチオシネート、アルケン、およびアルキン等の分子が挙げられる。プローブ分子は、たとえばDNA配列、RNA配列、ビオチンもしくはアビジン、ならびに抗体、抗原、受容体およびその特定の結合パートナー、タンパク質およびその特定の小分子結合パートナー、ならびに/またはペプチド等の関心のある標的分子と選択的に結合可能な分子である。プローブ分子は、1または複数の分子認識部位を含む。抗体としては、たとえばポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のほか、これら抗体の抗原結合フラグメントが挙げられる。抗体または抗体の抗原結合フラグメントは、たとえば検体のエピトープに対する特定の結合活性を有することを特徴とする。プローブは、たとえば抗原/抗体、ビオチン/アビジン、ホルモン/ホルモン受容体、二重鎖核酸、IgG/タンパク質A、ならびにDNA/DNAおよびDNA/RNA等のポリヌクレオチド対といった免疫学的な対等の特定の結合対のいずれかの要素であってもよい。また、プローブ分子は、既知のカップリング構造を介してリンカー分子とカップリングされていてもよい。
電極215および220は、導電性材料で構成されている。本発明の実施形態において、電極215および220は、ダイヤモンド、白金、および/または金で構成されている。本発明の別の実施形態において、電極215および220は、パラジウム、ニッケル、黒鉛状炭素、非晶質炭素、および/またはインジウム・スズ酸化物で構成されている。本発明の実施形態において、少なくとも一方の電極215または220は、導電性ダイヤモンド材料で構成されている。本発明の実施形態において、電極215は、導電性ダイヤモンドで構成されている。本発明のさらに別の実施形態において、電極215および220はともに、導電性ダイヤモンド材料で構成されている。ダイヤモンドは、たとえばドーピングによって導電性を有するように作製してもよい。ドーパントとしては、たとえばホウ素、窒素、およびリンが挙げられる。本発明の一実施形態において、ドーパントはホウ素である。ホウ素をドープしたダイヤモンド材料のドーピング濃度としては、1020atoms/cm3より大きく1022atoms/cm3より小さな濃度が挙げられる。本発明の実施形態において、第1の電極215が導電性ダイヤモンド材料で構成されている場合、電極の高さh2は、200〜1000nmである。別の実施形態において、導電性ダイヤモンド電極の高さh2は、5〜25nmである。本発明の実施形態において、導電性ダイヤモンド膜は、マイクロ結晶またはナノ結晶ダイヤモンドである。動作時には通常、ナノギャップ・トランスデューサと併せて基準電極(図示せず)も使用する。基準電極は、測定対象ではあるがナノギャップ内に配置する必要のない溶液と接触する。
図3は、電子センサとして機能可能、酸化還元分子を検出可能、および/または酸化還元サイクル・センサとして機能可能な別のナノギャップ・トランスデューサを示している。図3において、基板305は、誘電体層310および第1の電極315を備える。第2の電極320は、高さh1のギャップを介して第1の電極から離隔している。本発明の実施形態において、ギャップの高さh1は、500nm未満すなわち10〜200nm、10〜150nm、または25〜150nmである。任意選択として、誘電体層310を貫通するビア等の電子的相互接続325および327は、基板305に収容された任意選択の電子機器(図示せず)との接続を提供している。本発明の実施形態において、基板305は、集積回路(IC)チップであって、たとえば電極315および320の駆動用、信号読み出し用、信号増幅用、ならびに/またはデータ出力用の電子機器を備える。基板は、たとえばガラス、不動態化金属、ポリマー、半導体、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、および/または柔軟なエラストマ材等の他の材料であってもよい。基板が電子機器を収容していない実施形態においては、絶縁層310の表面に沿うか、または基板305を貫通して、電極315および320との電気的接続が延在していてもよいし、その他の構成であってもよい。
図3のナノギャップ・トランスデューサは、電極315上に配設された分子結合領域330を備える。分子結合領域330は、優先的に官能化可能な材料で構成されている。優先的に官能化可能な材料は、関心のあるリンカー分子または生体分子を結合または付着させるナノギャップ・トランスデューサの露出領域(動作条件下において液体と接触する表面領域)を含む材料の能力と比較して、優先的に関心のあるリンカー分子および/または生体分子を結合または付着可能な材料である。本発明の実施形態において、優先的に官能化可能な材料の領域330は二酸化ケイ素で構成されており、第2の誘電材料の層335は酸窒化ケイ素で構成されている。電極315および320が白金、パラジウム、金、炭素材料(たとえば、ダイヤモンド、黒鉛状炭素、または非晶質炭素等)、ニッケル、および/またはインジウム・スズ酸化物で構成されている場合、露出二酸化ケイ素領域(分子結合領域330)は、たとえばアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランを用いて優先的に官能化可能であってもよい。本発明の別の実施形態において、分子結合領域330は、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、または酸化タンタルで構成されており、電極315および320が白金、パラジウム、金、炭素材料(たとえば、ダイヤモンド、黒鉛状炭素、または非晶質炭素等)、ニッケル、および/またはインジウム・スズ酸化物で構成されている場合は、たとえばアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランを用いて優先的に官能化可能であってもよい。本発明の別の実施形態において、分子結合領域330は、金、白金、またはパラジウムで構成されており、電極315および320がダイヤモンド、黒鉛状炭素、または非晶質炭素等の炭素材料で構成されている場合は、チオール基(−SH)またはジスルフィド基(−S−S−)を含む分子により優先的に官能化可能であってもよい。優先的に官能化可能な材料330および誘電体層335については、その他の材料も可能である。
本発明の実施形態において、分子結合領域330は、所望の分子を1つだけ結合可能な有効表面積(ナノギャップ空洞内の溶液に露出可能であるとともに分子と結合可能な表面積)を有する。本発明の実施形態において、分子結合領域330は、40nm2〜500,000nm2の有効表面積を有する。採用する分子結合領域330のサイズは、使用するリンカー分子のサイズ等の因子によって決まってもよい。分子結合領域330上の結合部位数はリンカー分子のサイズによって制限されるため、リンカー分子が大きくなると、分子結合領域330のサイズも大きくすることができる。別の実施形態において、分子結合領域330における分子付着反応の数は、ナノギャップ・トランスデューサのアレイの分子結合領域330への付着時におけるリンカー分子および/またはプローブ分子の溶液濃度によって制限されてもよい。分子結合領域330への付着率を原則100%とするには、ナノギャップ・トランスデューサの一部についてのみ、分子結合領域330に分子が1つだけ付着し、残りのトランスデューサについては、分子結合領域330に2つ以上の分子が付着するようにしてもよい。分子結合領域330当たりの分子数は、使用前の試験および/または分子結合領域330の単一分子と一致しない結果のフィルタリングによって決定してもよい。
本発明の実施形態において、分子結合領域330は、リンカー分子、リンカー分子の組み合わせ、および/またはプローブ分子を含む。リンカー分子は、分子結合領域330の表面に付着していてもよく、関心のある分子(たとえば、プローブ分子または別のリンカー分子等)に付着可能な官能基を備える。また、リンカー分子は、分子結合領域330と選択的に反応する(ただし、誘電材料335または電極材料315および320とは反応しない)ように選択可能であって、たとえばシラン、チオール、ジスルフィド、イソチオシネート、アルケン、およびアルキン等の分子が挙げられる。プローブ分子は、たとえばDNA配列、RNA配列、ビオチンもしくはアビジン、ならびに抗体、受容体およびその特定の結合パートナー、タンパク質およびその特定の小分子結合パートナー、ならびに/またはペプチド等の関心のある標的分子と選択的に結合可能な分子である。プローブ分子は、1または複数の分子認識部位を含む。抗体としては、たとえばポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のほか、これら抗体の抗原結合フラグメントが挙げられる。抗体または抗体の抗原結合フラグメントは、たとえば検体のエピトープに対する特定の結合活性を有することを特徴とする。プローブは、たとえば抗原/抗体、ビオチン/アビジン、ホルモン/ホルモン受容体、二重鎖核酸、IgG/タンパク質A、ならびにDNA/DNAおよびDNA/RNA等のポリヌクレオチド対といった免疫学的な対等の特定の結合対のいずれかの要素であってもよい。また、プローブ分子は、既知のカップリング構造を介してリンカー分子とカップリングされていてもよい。
電極315および320は、導電性材料で構成されている。本発明の実施形態において、電極315および320は、ダイヤモンド、白金、および/または金で構成されている。本発明の別の実施形態において、電極315および320は、パラジウム、ニッケル、黒鉛状炭素、非晶質炭素、および/またはインジウム・スズ酸化物で構成されている。本発明の実施形態において、少なくとも一方の電極315または320は、導電性ダイヤモンド材料で構成されている。本発明の実施形態において、電極315は、導電性ダイヤモンドで構成されている。本発明のさらに別の実施形態において、電極315および320はともに、導電性ダイヤモンド材料で構成されている。ダイヤモンドは、たとえばドーピングによって導電性を有するように作製してもよい。ドーパントとしては、たとえばホウ素、窒素、およびリンが挙げられる。本発明の一実施形態において、ドーパントはホウ素である。ホウ素をドープしたダイヤモンド材料のドーピング濃度としては、1020atoms/cm3より大きく1022atoms/cm3より小さな濃度が挙げられる。本発明の実施形態において、第1の電極315が導電性ダイヤモンド材料で構成されている場合、電極の高さh2は、200〜1000nmである。別の実施形態において、導電性ダイヤモンド電極の高さh2は、5〜25nmである。本発明の実施形態において、導電性ダイヤモンド膜は、マイクロ結晶またはナノ結晶ダイヤモンドである。動作時には通常、ナノギャップ・トランスデューサと併せて基準電極(図示せず)も使用する。基準電極は、測定対象ではあるがナノギャップ内に配置する必要のない溶液と接触する。
図4は、電子センサとして機能可能、酸化還元分子を検出可能、および/または酸化還元サイクル・センサとして機能可能なさらに別のナノギャップ・トランスデューサを示している。図4において、基板405は、誘電体層410および第1の電極415を備える。第2の電極420は、高さh1のギャップを介して第1の電極から離隔している。本発明の実施形態において、ギャップの高さh1は、500nm未満すなわち10〜200nm、10〜150nm、または25〜150nmである。任意選択として、誘電体層410を貫通するビア等の電子的相互接続425および427は、基板405に収容された任意選択の電子機器(図示せず)との接続を提供している。本発明の実施形態において、基板405は、集積回路(IC)チップであって、たとえば電極415および420の駆動用、信号読み出し用、信号増幅用、ならびに/またはデータ出力用の電子機器を備える。基板は、たとえばガラス、不動態化金属、ポリマー、半導体、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、および/または柔軟なエラストマ材等の他の材料であってもよい。基板が電子機器を収容していない実施形態においては、絶縁層410の表面に沿うか、または基板405を貫通して、電極415および420との電気的接続が延在していてもよいし、その他の構成であってもよい。
図4のナノギャップ・トランスデューサは、電極415の孔に配設された分子結合領域430を備える。分子結合領域430は、優先的に官能化可能な材料で構成されている。優先的に官能化可能な材料は、関心のあるリンカー分子または生体分子を結合または付着させるナノギャップ・トランスデューサの露出領域(動作条件下において液体と接触する表面領域)を含む材料の能力と比較して、優先的に関心のあるリンカー分子および/または生体分子を結合または付着可能な材料である。分子結合領域430は、誘電体層410の露出領域または誘電体層410とは異なる優先的に官能化可能な材料の任意選択領域412を含んでいてもよい。優先的に官能化可能な材料の任意選択領域412は、第1の電極415の孔に近接して配置されており、優先的に官能化可能な材料の領域412の表面は、この電極の孔を介して露出している。優先的に官能化可能な材料を含む任意選択領域412は、その他の形状およびサイズを有していてもよく、誘電体領域410内または誘電体領域410の表面に凹設されていてもよい。本発明の実施形態において、優先的に官能化可能な材料の領域430は二酸化ケイ素で構成されており、第2の誘電材料の層435は酸窒化ケイ素で構成されている。電極415および420が白金、パラジウム、金、炭素材料(たとえば、ダイヤモンド、黒鉛状炭素、または非晶質炭素等)、ニッケル、および/またはインジウム・スズ酸化物で構成されている場合、露出二酸化ケイ素領域(分子結合領域430)は、たとえばアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランを用いて優先的に官能化可能であってもよい。本発明の別の実施形態において、分子結合領域430は、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、または酸化タンタルで構成されており、電極415および420が白金、パラジウム、金、炭素材料(たとえば、ダイヤモンド、黒鉛状炭素、または非晶質炭素等)、ニッケル、および/またはインジウム・スズ酸化物で構成されている場合は、たとえばアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランを用いて優先的に官能化可能であってもよい。本発明の別の実施形態において、分子結合領域430は、金、白金、またはパラジウムで構成されており、電極415および420がダイヤモンド、黒鉛状炭素、または非晶質炭素等の炭素材料で構成されている場合は、チオール基(−SH)またはジスルフィド基(−S−S−)を含む分子により優先的に官能化可能であってもよい。優先的に官能化可能な材料430および誘電体層435については、その他の材料も可能である。
本発明の実施形態において、分子結合領域430は、所望の分子を1つだけ結合可能な有効表面積(ナノギャップ空洞内の溶液に露出可能であるとともに分子と結合可能な表面積)を有する。本発明の実施形態において、分子結合領域430は、40nm2〜500,000nm2の有効表面積を有する。採用する分子結合領域430のサイズは、使用するリンカー分子のサイズ等の因子によって決まってもよい。分子結合領域430上の結合部位数はリンカー分子のサイズによって制限されるため、リンカー分子が大きくなると、分子結合領域430のサイズも大きくすることができる。別の実施形態において、分子結合領域430における分子付着反応の数は、ナノギャップ・トランスデューサのアレイの分子結合領域430への付着時におけるリンカー分子および/またはプローブ分子の溶液濃度によって制限されてもよい。分子結合領域430への付着率を原則100%とするには、ナノギャップ・トランスデューサの一部についてのみ、分子結合領域430に分子が1つだけ付着し、残りのトランスデューサについては、分子結合領域430に2つ以上の分子が付着するようにしてもよい。分子結合領域330当たりの分子数は、使用前の試験および/または分子結合領域430の単一分子と一致しない結果のフィルタリングによって決定してもよい。
本発明の実施形態において、分子結合領域430は、リンカー分子、リンカー分子の組み合わせ、および/またはプローブ分子を含む。リンカー分子は、分子結合領域430の表面に付着していてもよく、関心のある分子(たとえば、プローブ分子または別のリンカー分子等)に付着可能な官能基を備える。また、リンカー分子は、分子結合領域430と選択的に反応する(ただし、誘電材料435または電極材料415および420とは反応しない)ように選択可能であって、たとえばシラン、チオール、ジスルフィド、イソチオシネート、アルケン、およびアルキン等の分子が挙げられる。プローブ分子は、たとえばDNA配列、RNA配列、ビオチンもしくはアビジン、ならびに抗体、受容体およびその特定の結合パートナー、タンパク質およびその特定の小分子結合パートナー、ならびに/またはペプチド等の関心のある標的分子と選択的に結合可能な分子である。プローブ分子は、1または複数の分子認識部位を含む。抗体としては、たとえばポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のほか、これら抗体の抗原結合フラグメントが挙げられる。抗体または抗体の抗原結合フラグメントは、たとえば検体のエピトープに対する特定の結合活性を有することを特徴とする。プローブは、たとえば抗原/抗体、ビオチン/アビジン、ホルモン/ホルモン受容体、二重鎖核酸、IgG/タンパク質A、ならびにDNA/DNAおよびDNA/RNA等のポリヌクレオチド対といった免疫学的な対等の特定の結合対のいずれかの要素であってもよい。また、プローブ分子は、既知のカップリング構造を介してリンカー分子とカップリングされていてもよい。
電極415および420は、導電性材料で構成されている。本発明の実施形態において、電極415および420は、ダイヤモンド、白金、および/または金で構成されている。本発明の別の実施形態において、電極415および420は、パラジウム、ニッケル、黒鉛状炭素、非晶質炭素、および/またはインジウム・スズ酸化物で構成されている。本発明の実施形態において、少なくとも一方の電極415または420は、導電性ダイヤモンド材料で構成されている。本発明の実施形態において、電極415は、導電性ダイヤモンドで構成されている。本発明のさらに別の実施形態において、電極415および420はともに、導電性ダイヤモンド材料で構成されている。ダイヤモンドは、たとえばドーピングによって導電性を有するように作製してもよい。ドーパントとしては、たとえばホウ素、窒素、およびリンが挙げられる。本発明の一実施形態において、ドーパントはホウ素である。ホウ素をドープしたダイヤモンド材料のドーピング濃度としては、1020atoms/cm3より大きく1022atoms/cm3より小さな濃度が挙げられる。本発明の実施形態において、第1の電極415が導電性ダイヤモンド材料で構成されている場合、電極の高さh2は、200〜1000nmである。別の実施形態において、導電性ダイヤモンド電極の高さh2は、5〜25nmである。本発明の実施形態において、導電性ダイヤモンド膜は、マイクロ結晶またはナノ結晶ダイヤモンドである。動作時には通常、ナノギャップ・トランスデューサと併せて基準電極(図示せず)も使用する。基準電極は、測定対象ではあるがナノギャップ内に配置する必要のない溶液と接触する。
図5Aおよび図5Bは、分子結合領域を有するナノギャップ・トランスデューサの作製方法を示している。図5Aにおいて、構造(i)は、基板505、誘電体層510、および第1の電極層515を備える。本発明の実施形態において、第1の電極層515は、導電性ダイヤモンド材料、白金、金、パラジウム、ニッケル、黒鉛状炭素、非晶質炭素、またはインジウム・スズ酸化物で構成されている。第1の電極層515が導電性ダイヤモンドで構成された実施形態においては、第1の電極層515上に硬質マスク層20が配設されている。導電性ダイヤモンド材料は、たとえばホット・フィラメント化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)、マイクロ波プラズマCVD、または燃焼炎アシストCVDプロセスによって堆積させてもよい。また、導電性ダイヤモンド材料は、たとえばダイヤモンド粒子を含む溶液に基板を浸して超音波処理により表面に粒子を付着させるか、または基板表面上で回転させる材料中にダイヤモンド粒子を懸濁することによって堆積させたシード層上に堆積させてもよい。本発明の実施形態において、導電性ダイヤモンド材料は、ホウ素をドープしたダイヤモンドである。本発明の実施形態において、導電性ダイヤモンド材料は、1020atoms/cm3より大きく1022atoms/cm3より小さなホウ素ドーピング濃度で堆積させる。本発明の実施形態において、硬質マスク層20は、たとえば二酸化クロムまたは二酸化ケイ素で構成されている。第1の電極層515が白金および/または金で構成された本発明の実施形態において、この白金および/または金は、その堆積前にフォトレジスト層を堆積・パターニングした後、フォトレジストをリフトオフして不要な領域の白金および/または金を除去するリフトオフ・プロセスを用いたスパッタリングおよびパターニングによって堆積させてもよい。本発明の実施形態において、基板505は、たとえば電極駆動用、信号検出用、信号増幅用、および/またはデータ出力用の電子機器を備えたICチップである。また、任意選択として、導電性ビア525および530が誘電体層510を貫通して基板505まで設けられており、電極と基板505に収容された任意選択の電子機器とを相互接続する。基板505については、その他の材料も可能である。
本発明の実施形態において、第1の電極515が導電性ダイヤモンド材料で構成されている場合は、上下電極間の短絡の可能性を最小限に抑えるため、第1の電極の厚さを最小化するのが望ましいことが分かっている。また、第1の電極のアスペクト比が高くなると、電極の縁部において犠牲コンフォーマル・コーティングが薄くなってしまうことが分かっている。ただし、マイクロ結晶ダイヤモンド材料の表面粗度が過大にならないように第1の電極の高さを最小化することが必要であることも分かっている。第1の電極の表面粗度が過大になると、犠牲コンフォーマル・コーティングにおいて開口が発生し、第1および第2の電極間で短絡が発生する可能性があることが分かっている。本発明の実施形態において、第1の電極が導電性ダイヤモンドで構成されている場合は、高さの最小化および表面粗度に関する要件が釣り合うように、第1の電極の高さが200〜1000nm、300〜800nm、350〜700nmであってもよい。
図5Aの構造(ii)は、硬質マスク層520をパターニングし、不要領域の硬質マスク層520を除去し、露出したダイヤモンド電極層515をエッチングすることによって作成してもよい。露出したダイヤモンド電極層515のエッチングは、たとえば酸素プラズマを用いて行ってもよい。この酸素プラズマによるエッチングは、たとえば70〜100Cまで温度を上げると容易になる可能性がある。その後、硬質マスク層520を除去する。
犠牲材料のコンフォーマル膜535を堆積させてパターニングすると、図5Aの構造(iii)が得られる。犠牲材料のコンフォーマル膜535のパターニングは、まずフォトレジストを堆積させ、フォトレジストをパターニングし、たとえばスパッタリングまたは原子層成長(atomic layer deposition:ALD)によって犠牲材料を堆積させ、フォトレジストをリフトオフして所望の領域に犠牲材料のコンフォーマル膜を画成する(リフトオフ・プロセス)ことにより行ってもよい。本発明の実施形態において、犠牲材料は、クロムまたはタングステンを含む。犠牲材料のコンフォーマル膜535は、たとえばスパッタリングALDによって堆積させることにより、下部電極515を包み込む膜を実現するようにしてもよい。本発明の実施形態において、犠牲材料の薄膜535は、500nm未満すなわち10〜200nm、10〜150nm、または25〜150nmの厚さを有する。
犠牲材料のコンフォーマル膜535上に第2の電極材料540を堆積させてパターニングすると、図5Aの構造(iv)が得られる。第2の電極材料540は、リフトオフ・プロセスを用いてリソグラフィによりパターニングを行ってもよい。本発明の実施形態において、第2の電極材料540は、導電性ダイヤモンドである。導電性ダイヤモンドは、ホット・フィラメントCVD、マイクロ波プラズマCVD、または燃焼炎アシストCVDプロセスを用いてシード層形成および層堆積を行うことにより堆積させてもよい。本発明の実施形態において、第2の電極540の材料がダイヤモンドである場合、犠牲材料のコンフォーマル膜535はタングステンを含む。本発明のさらに別の実施形態において、第2の電極540は、白金、金、ニッケル、パラジウム、黒鉛状炭素、非晶質炭素、またはインジウム・スズ酸化物で構成されている。白金電極は、たとえば接着層として薄いクロム層(およそ10nmの厚さ)をスパッタリングした後、白金層をスパッタリングすることによって堆積させてもよい。金電極材料は、たとえばスパッタリング、蒸着、電着、または無電解析出プロセスによって堆積させてもよい。本発明の実施形態において、第2の電極540が金で構成されている場合、犠牲材料535はタングステンである。
その後、図5Aの構造(iv)上に第2の誘電体層545、優先的に官能化可能な材料の層550、および第3の誘電材料の層555を堆積させると、図5Bの構造(v)が得られる。第2および第3の層545および555の誘電材料は、たとえば酸窒化ケイ素であってもよく、優先的に官能化可能な材料の層550は二酸化ケイ素であってもよい。別の実施形態において、第2および第3の層545および555の誘電材料は、たとえば窒化ケイ素であってもよく、優先的に官能化可能な材料の層550は、金、白金、またはパラジウムであってもよい。そして、第2の誘電体層545、優先的に官能化可能な材料の層550、および第3の誘電材料の層555を貫通して、アクセス孔560を作成する。アクセス孔560は、フォトレジスト・マスクを用いてリソグラフィにより孔を画成した後、ドライ・エッチング・プロセスにより孔を形成することによって作成してもよい。そして、犠牲材料535を除去して、第1および第2の電極515および540間にギャップを作成する。犠牲材料535がタングステンまたはクロムである実施形態においては、たとえばウェット・エッチングにより犠牲材料535を除去してもよい。得られる構造を図5Bの(vi)に示す。本発明の実施形態において、ギャップの高さh1は、500nm未満すなわち10〜200nm、10〜150nm、または25〜150nmである。
図6Aおよび図6Bは、分子結合領域を有するナノギャップ・トランスデューサの別の作製方法を示している。図6Aにおいて、構造(i)は、基板605、誘電体層610、および第1の電極615を備える。本発明の実施形態において、第1の電極615は、導電性ダイヤモンド材料、白金、金、パラジウム、ニッケル、黒鉛状炭素、非晶質炭素、またはインジウム・スズ酸化物で構成されている。本発明の実施形態において、導電性ダイヤモンド材料は、ホウ素をドープしたダイヤモンドである。本発明の実施形態において、導電性ダイヤモンド材料は、1020atoms/cm3より大きく1022atoms/cm3より小さなホウ素ドーピング濃度で堆積させる。本発明の実施形態において、基板605は、たとえば電極駆動用、信号検出用、信号増幅用、および/またはデータ出力用の電子機器を備えたICチップである。また、任意選択として、導電性ビア625および630が誘電体層610を貫通して基板605まで設けられており、電極と基板605に収容された任意選択の電子機器とを相互接続する。基板605については、その他の材料も可能である。第1の電極615上には、優先的に官能化可能な材料で構成された分子結合領域620が配設されている。任意選択として、分子結合領域620と電極615との間には、接着層623が存在する。接着層623は、窒化ケイ素で構成されており、CVDによって堆積させてもよい。分子結合領域620は、たとえばCVDにより堆積させ、フォトリソグラフィによりパターニングを行ってもよい。本発明の実施形態において、分子結合領域620は、40nm2〜500,000nm2の露出表面積を有する。
本発明の実施形態において、第1の電極615が導電性ダイヤモンド材料で構成されている場合は、上下電極間の短絡の可能性を最小限に抑えるため、第1の電極の厚さを最小化するのが望ましいことが分かっている。また、第1の電極のアスペクト比が高くなると、電極の縁部において犠牲コンフォーマル・コーティングが薄くなってしまうことが分かっている。ただし、マイクロ結晶ダイヤモンド材料の表面粗度が過大にならないように第1の電極の高さを最小化することが必要であることも分かっている。第1の電極の表面粗度が過大になると、犠牲コンフォーマル・コーティングにおいて開口が発生し、第1および第2の電極間で短絡が発生する可能性があることが分かっている。本発明の実施形態において、第1の電極が導電性ダイヤモンドで構成されている場合は、高さの最小化および表面粗度に関する要件が釣り合うように、第1の電極の高さが200〜1000nm、300〜800nm、350〜700nmであってもよい。
図6Aの構造(ii)は、図6Aの構造(i)上に犠牲材料のコンフォーマル膜635を堆積させてパターニングすることにより作成してもよい。犠牲材料のコンフォーマル膜635のパターニングは、まずフォトレジストを堆積させ、フォトレジストをパターニングし、たとえばスパッタリングまたは原子層成長(ALD)によって犠牲材料を堆積させ、フォトレジストをリフトオフして所望の領域に犠牲材料のコンフォーマル膜を画成する(リフトオフ・プロセス)ことにより行ってもよい。本発明の実施形態において、犠牲材料は、クロムまたはタングステンを含む。犠牲材料のコンフォーマル膜635は、たとえばスパッタリングALDによって堆積させることにより、下部電極615を包み込む膜を実現するようにしてもよい。本発明の実施形態において、犠牲材料の薄膜635は、500nm未満すなわち10〜200nm、10〜150nm、または25〜150nmの厚さを有する。
犠牲材料のコンフォーマル膜635上に第2の電極640の材料を堆積させてパターニングすると、図6Aの構造(iii)が得られる。第2の電極640の材料は、リフトオフ・プロセスを用いてリソグラフィによりパターニングを行ってもよい。本発明の実施形態において、第2の電極640の材料は、導電性ダイヤモンドである。導電性ダイヤモンドは、ホット・フィラメントCVD、マイクロ波プラズマCVD、または燃焼炎アシストCVDプロセスを用いてシード層形成および層堆積を行うことにより堆積させてもよい。本発明の実施形態において、第2の電極640の材料がダイヤモンドである場合、犠牲材料のコンフォーマル膜635はタングステンを含む。本発明のさらに別の実施形態において、第2の電極640は、白金、金、ニッケル、パラジウム、黒鉛状炭素、非晶質炭素、またはインジウム・スズ酸化物で構成されている。白金電極は、たとえば接着層として薄いクロム層(およそ10nmの厚さ)をスパッタリングした後、白金層をスパッタリングすることによって堆積させてもよい。金電極材料は、たとえばスパッタリング、蒸着、電着、または無電解析出プロセスによって堆積させてもよい。本発明の実施形態において、第2の電極640が金で構成されている場合、犠牲材料635はタングステンである。
その後、図6Aの構造(iii)上に第2の誘電体層645を堆積させると、図6Bの構造(iv)が得られる。第2の層645の誘電材料は、たとえば酸窒化ケイ素であってもよく、分子結合領域620の優先的に官能化可能な材料は二酸化ケイ素であってもよい。別の実施形態において、第2の層645の誘電材料は、たとえば二酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素であってもよく、優先的に官能化可能な材料は、金、白金、またはパラジウムであってもよい。そして、第2の誘電体層645を貫通して、アクセス孔650を作成すると、図6Bの構造(v)が得られる。アクセス孔650は、フォトレジスト・マスクを用いてリソグラフィにより孔を画成した後、ドライ・エッチング・プロセスにより孔を形成することによって作成してもよい。そして、犠牲材料635を除去して、第1および第2の電極615および640間にギャップを作成する。犠牲材料635がタングステンまたはクロムである実施形態においては、たとえばウェット・エッチングにより犠牲材料635を除去してもよい。得られる構造を図6Bの(vi)に示す。本発明の実施形態において、第1および第2の電極615および640間のギャップの高さは、500nm未満すなわち10〜200nm、10〜150nm、または25〜150nmである。
図7Aおよび図7Bは、分子結合領域を有するナノギャップ・トランスデューサのさらに別の作製方法を示している。図7Aにおいて、構造(i)は、基板705、誘電体層710、および優先的に官能化可能な材料の任意選択の領域720を備える。本発明の実施形態において、基板705は、たとえば電極駆動用、信号検出用、信号増幅用、および/またはデータ出力用の電子機器を備えたICチップである。また、任意選択として、導電性ビア725および730が誘電体層710を貫通して基板705まで設けられており、電極と基板705に収容された任意選択の電子機器とを相互接続する。基板705については、その他の材料も可能である。
図7Aの構造(ii)は、第1の電極715の材料を堆積させてパターニングすることにより作成してもよい。このパターニングにより、分子結合領域723が露出した孔が第1の電極715内に形成される。本発明の実施形態において、分子結合領域723は、40nm2〜500,000nm2の露出表面積を有する。本発明の実施形態において、第1の電極715は、導電性ダイヤモンド材料、白金、金、ニッケル、パラジウム、黒鉛状炭素、非晶質炭素、またはインジウム・スズ酸化物で構成されている。本発明の実施形態において、導電性ダイヤモンド材料は、ホウ素をドープしたダイヤモンドである。本発明の実施形態において、導電性ダイヤモンド材料は、1020atoms/cm3より大きく1022atoms/cm3より小さなホウ素ドーピング濃度で堆積させる。導電性ダイヤモンドは、たとえばホット・フィラメントCVD、マイクロ波プラズマCVD、または燃焼炎アシストCVDプロセスを用いてシード層形成および層堆積を行うことにより堆積させてもよい。また、導電性ダイヤモンド材料は、硬質マスクを用いてパターニングを行ってもよい。白金電極は、たとえばスパッタリングにより堆積させてもよい。金電極材料は、たとえばスパッタリング、蒸着、電着、または無電解析出プロセスによって堆積させてもよい。白金または金で構成された第1の電極715は、リフトオフ・プロセスを用いてリソグラフィによりパターニングを行ってもよい。
本発明の実施形態において、第1の電極715が導電性ダイヤモンド材料で構成されている場合は、上下電極間の短絡の可能性を最小限に抑えるため、第1の電極の厚さを最小化するのが望ましいことが分かっている。また、第1の電極のアスペクト比が高くなると、電極の縁部において犠牲コンフォーマル・コーティングが薄くなってしまうことが分かっている。ただし、マイクロ結晶ダイヤモンド材料の表面粗度が過大にならないように第1の電極の高さを最小化することが必要であることも分かっている。第1の電極の表面粗度が過大になると、犠牲コンフォーマル・コーティングにおいて開口が発生し、第1および第2の電極間で短絡が発生する可能性があることが分かっている。本発明の実施形態において、第1の電極が導電性ダイヤモンドで構成されている場合は、高さの最小化および表面粗度に関する要件が釣り合うように、第1の電極の高さが200〜1000nm、300〜800nm、350〜700nmであってもよい。
図7Aの構造(iii)は、図7Aの構造(ii)上に犠牲材料のコンフォーマル膜735を堆積させてパターニングすることにより作成してもよい。犠牲材料のコンフォーマル膜735のパターニングは、まずフォトレジストを堆積させ、フォトレジストをパターニングし、たとえばスパッタリングまたは原子層成長(ALD)によって犠牲材料を堆積させ、フォトレジストをリフトオフして所望の領域に犠牲材料のコンフォーマル膜を画成する(リフトオフ・プロセス)ことにより行ってもよい。本発明の実施形態において、犠牲材料は、クロムまたはタングステンを含む。犠牲材料のコンフォーマル膜735は、たとえばスパッタリングALDによって堆積させることにより、下部電極715を包み込む膜を実現するようにしてもよい。本発明の実施形態において、犠牲材料の薄膜735は、500nm未満すなわち10〜200nm、10〜150nm、または25〜150nmの厚さを有する。
犠牲材料のコンフォーマル層735上に第2の電極材料740を堆積させてパターニングすると、図7Bの構造(iv)が得られる。本発明の実施形態において、第2の電極740は、導電性ダイヤモンド、白金、金、ニッケル、パラジウム、黒鉛状炭素、非晶質炭素、またはインジウム・スズ酸化物で構成されている。本発明の実施形態において、第2の電極材料は、導電性ダイヤモンドである。導電性ダイヤモンドは、ホット・フィラメントCVD、マイクロ波プラズマCVD、または燃焼炎アシストCVDプロセスを用いてシード層形成および層堆積を行うことにより堆積させてもよい。また、導電性ダイヤモンド材料は、硬質マスクを用いてパターニングを行ってもよい。本発明の実施形態において、第2の電極740の材料がダイヤモンドである場合、犠牲材料のコンフォーマル膜735はタングステンを含む。本発明のさらに別の実施形態において、第2の電極740は、白金または金で構成されている。白金電極は、たとえば接着層として薄いクロム層(およそ10nmの厚さ)をスパッタリングした後、白金層をスパッタリングすることによって堆積させてもよい。金電極材料は、たとえばスパッタリング、蒸着、電着、または無電解析出プロセスによって堆積させてもよい。本発明の実施形態において、第2の電極740が金で構成されている場合、犠牲材料735はタングステンである。白金または金で構成された第2の電極740は、リフトオフ・プロセスを用いてリソグラフィによりパターニングを行ってもよい。
その後、図7Aの構造(iv)上に第2の誘電体層745を堆積させてパターニングを行うと、図7Bの構造(v)が得られる。第2の層745の誘電材料は、たとえば酸窒化ケイ素であってもよく、分子結合領域723の優先的に官能化可能な材料は二酸化ケイ素であってもよい。別の実施形態において、第2の層745の誘電材料は、たとえば二酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素であってもよく、優先的に官能化可能な材料は、金、白金、またはパラジウムであってもよい。このパターニングによって、第2の誘電体層745を貫通するアクセス孔750が形成される。アクセス孔750は、フォトレジスト・マスクを用いてリソグラフィにより孔を画成した後、ドライ・エッチング・プロセスにより孔を形成することによって作成してもよい。そして、犠牲材料735を除去して、図7Bの構造(vi)が得られる。犠牲材料735がタングステンまたはクロムである実施形態においては、たとえばウェット・エッチングにより犠牲材料735を除去してもよい。本発明の実施形態において、第1および第2の電極715および740間のギャップの高さは、500nm未満すなわち10〜200nm、10〜150nm、または25〜150nmである。
表面を改変して分子付着を向上させる場合に利用可能なシラン分子は、電極に用いる材料に応じて、たとえばX3−Si−YR”、X3−Si−(N)YR”、およびX3−Si−(N2)YR”という化学式であってもよい。ここで、Xは、たとえば−Cl、−OCH3、または−OCH2CH3等の脱離基である。R”は、たとえば−NH2、−COOH、−COH、−CHCH2、または−SH等の反応カップリング基である。Nは、たとえばアルキル基等の非反応基である。カップリングする表面付着シラン分子が提供する有機基は、たとえばカルボキシル基、アルデヒド、エステル、アルケン、アルキン、チオール、イソシアネート、イソチオシアネート、置換アミン、エポキシド、ビオチン等の小分子、またはアルコールであってもよい。一般的に、Yは、1〜16個の炭素原子を有する炭化水素等の非反応基である。−YR”の例としては、−(CH2)3NH2、−(CH2)2COOH、および−(CH2)2SH等が挙げられる。シランの例としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(aminopropyltriethoxysilane:APTS)、メルカプトシラン、およびグリシドキシトリメトキシシラン(エポキシド反応カップリング基を有する)等が挙げられる。その他の官能基およびシランも可能である。シラン化する表面は、たとえば溶液またはシランガスとしてのシラン分子と反応させてもよい。
また、誘電材料としては、たとえば二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭素ドープ酸化物(carbon doped oxide:CDO)、炭化ケイ素、パーフルオロシクロブタンもしくはポリテトラフルオロエチレン等の有機ポリマー、フルオロケイ酸塩ガラス(fluorosilicate glass:FSG)、ならびに/またはシルセスキオキサン、シロキサン、もしくは有機ケイ酸塩ガラス等の有機シリケート等が挙げられる。また、有機材料は、たとえばポリイミド等のポリマーであってもよい。
導電性ダイヤモンド電極を用いるとバックグラウンド電流が小さくなることが分かっているため、2つの作動電極の一方のみを用いて少数の分子の測定結果を記録することができる。測定結果の記録は、1つの分子だけであってもよい。別の実施形態においては、両電極において記録した測定結果を用いて信号を生成する。ナノギャップ・トランスデューサにおける電極電位および電流の測定および記録を行うシステムは、たとえばバイポテンショスタットを備える。バイポテンショスタットを用いることにより、溶液の電位に対する両電極の電位を制御するとともに、電極を流れる電流を測定する。電極を駆動して電流の測定および記録を行うシステムの部品の一部または全部は、集積回路(IC)チップ上に収容された個別にアドレス可能なナノギャップ・トランスデューサのアレイに電気的に結合された当該ICチップ内に配置されていてもよい。本発明の実施形態において、個別にアドレス可能なナノギャップ・トランスデューサと関連するコンピュータ・システムは、導電性ダイヤモンドで構成された1つの電極のみでの測定結果を用いて電極電位および電流値の測定および記録を行うソフトウェアを備える。別の実施形態において、このコンピュータ・システムは、2つの電極ならびに/または2つの電極および1つの電極の両者での電極電位の測定および記録を行うソフトウェアを備える。また、電気化学的相関分光法等の技術を用いることにより、ナノギャップ・デバイスにおいて逆バイアスをかけた2つの電極での測定結果から信号を生成するようにしてもよい。
一般的に、ナノギャップ・トランスデューサ等の電極を用いた電子センサは、電極表面上またはその近傍に配置された材料のインピーダンス、抵抗、容量、および/または酸化還元電位を測定可能である。また、ナノギャップ・トランスデューサを載置する基板は、検出および/または駆動回路、スイッチング・ロジック、ラッチ、メモリ、および/または入出力装置を備えていてもよい。任意選択として、電極のセンシングおよび駆動ならびにデータの記録を行う電子機器の一部または全部は、ナノギャップ・トランスデューサのアレイを収容した基板の一部をなす集積回路である。また、任意選択として、入出力制御を提供する電子機器は、基板の集積回路チップ等に収容されるか、または基板外部の回路により提供される。さらに、任意選択として、ナノギャップ・トランスデューサのアレイには、電極への個別アドレス、選択電圧での電極駆動、電極に供給する電圧電流情報を格納するメモリ、電極特性を測定するメモリおよびマイクロプロセッサ、差動増幅器、電流検出回路(CMOS画像センサに用いる回路の変異形を含む)、ならびに/または電界効果トランジスタ(ダイレクト・フローティング・ゲート)の回路が備わっている。あるいは、外部機器および/または付属のコンピュータ・システムによって、これら機能のうちの1または複数を実行するようにしてもよい。
酸化還元サイクル測定においては、逆バイアスをかけた電極を用いて溶液中の酸化還元活性分子の荷電状態を繰り返し反転させることにより、各酸化還元活性分子が複数の酸化還元反応に参加することによって、複数の電子による電流値を測定する。酸化還元サイクル測定において、電極間のギャップの高さは、ナノメートルのオーダーである。2つの電極間の空洞内の酸化還元活性分子は、電極間で複数の電子を往復させるため、測定された電気化学的電流が増幅される。酸化還元活性種からの信号は、酸化還元種の安定性および酸化還元種の検出領域からの拡散能力等の因子に応じて、100倍より大きく増幅可能であってもよい。
本発明の実施形態において、ナノギャップ・トランスデューサの電極は、検出する酸化還元種の酸化・還元電位となるように独立してバイアスをかける。酸化還元種は電荷シャトルとして作用し、一方の電極から他方の電極へ分子が拡散すると、酸化還元分子が還元・酸化して、正味の電荷移動が生じる。両電極を流れる電流の大きさは、空洞内の検体(酸化還元種)の濃度に比例する。任意選択として、電極間のギャップは、ビーズで封止することにより、空洞からの酸化還元活性種の拡散を阻止することによって、酸化還元種の有効濃度を向上させる。空洞を封止すると、センサ測定時における空洞からの酸化還元種の漏れを防止できる。
一般的に、酸化還元活性種は、複数回にわたって酸化および/または還元の状態を可逆的にサイクル可能な分子である。
本発明の実施形態において、ナノギャップ・トランスデューサは、個別にアドレス可能なナノギャップ・トランスデューサのアレイであってもよい。アレイは、様々な寸法および個数のナノギャップ・トランスデューサで構築する。ナノギャップ・トランスデューサの個数割り付けの選択は、たとえば検出する検体の種類および個数、検出領域のサイズ、ならびにアレイの製造に伴うコスト等の因子によって決まる。たとえば、ナノギャップ・トランスデューサのアレイは、10×10、100×100、1,000×1,000、105×105、および106×106である。アレイは、超高密度、高密度、中密度、低密度、または超低密度に形成可能である。超高密度アレイの範囲としては、およそ1億〜10億個のセンサ/アレイである。高密度アレイの範囲としては、およそ百万〜1億個のセンサである。中密度アレイの範囲としては、およそ1万〜十万個のセンサである。低密度アレイは一般的に、1万個未満の空洞である。超低密度アレイは、千個未満のセンサである。
個別にアドレス可能なナノギャップ・トランスデューサのアレイは、ICチップ上に収容され、電気的に結合されていてもよい。ICチップは通常、ダイシングにより切り離して個別のICチップを生成する半導体ウェハ等の半導体基板上に構築する。ICチップを構築するベース基板は通常、シリコン・ウェハである。ただし、本発明の実施形態は、使用する基板の種類によって左右されるものではない。また、基板は、ゲルマニウム、アンチモン化インジウム、テルル化鉛、ヒ化インジウム、リン化インジウム、ヒ化ガリウム、アンチモン化ガリウム、および/またはその他のIII−V族材料が単独で構成されていてもよいし、ケイ素もしくは二酸化ケイ素との組み合わせで構成されていてもよいし、またはその他の絶縁材料で構成されていてもよい。また、各層および装置を含む各層は、本発明の実施形態を収容または製造する基板または基板の一部として特徴付けてもよい。
ナノギャップ・トランスデューサのアレイによれば、たとえば多数の固定化DNA分子の配列を同時に決定可能となる。ただし、その他の用途も可能である。固定化DNA分子は、配列決定するサンプルであってもよいし、配列が既知の捕捉DNAプローブを最初に固定化した後、配列決定するサンプルを固定化プローブに交雑してもよい。捕捉プローブは、サンプルDNAの一部に交雑するように設計された配列を有する。本発明の実施形態において、固定化するDNAフラグメント(または捕捉プローブ)は、各センサが統計上、固定化されたDNA分子を1つ有するように希釈する。配列情報は、固定化されたDNA分子を1つだけ有するナノギャップ・トランスデューサから組み立てる。不明瞭な結果を示すナノギャップ・トランスデューサからの情報は、無視してもよい。
核酸サンプルの増幅(すなわち、サンプル中の核酸分子のコピー数の増加)を任意選択として行わなくてもよい核酸の配列決定方法を提供する。図8は、核酸分子の配列決定、一塩基変異多型(single nucleotide polymorphism:SNP)の検出、および遺伝子発現の検出に有用な方法を記述したフロー図を示している。図8において、核酸分子は、電子センサ内部の表面に付着する。そして、標的核酸の一部に対して相補的なプライマを含むセンサ空洞に溶液を供給する。プライマDNA分子は、空洞内部に付着したDNA分子の一部に交雑し、付着したDNA分子について、DNAの相補鎖の合成の準備をする。空洞内部のDNAの配列が既知でない場合、プライマは、センサ内部のDNA鎖に提供されたランダム配列を有する多くのうちの1つと考えられる。また、プライマは、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドで末端処理してもよい。空洞内部のDNA分子に対するプライマの交雑が可能となったら、DNAポリメラーゼ酵素および酸化還元中心改変(redox−center modified)ヌクレオチド三リン酸(nucleotide triphosphate:NTPまたはdNTP)を添加する。dNTPは、酸化還元改変デオキシアデノシン三リン酸(deoxyadenosine triphosphate:dATP)、デオキシシチジン三リン酸(deoxycytidine triphosphate:dCTP)、デオキシグアノシン三リン酸(deoxyguanosine triphosphate:dGTP)、デオキシチミジン三リン酸(deoxythymidine triphosphate:dTTP)、またはウリジン三リン酸(uridine triphosphate:UTP)を含む。たとえば、酸化還元改変dATPが提供済みであって、配列中の次の相補核酸がチミジンである場合は、酸化還元改変dATPが成長中のDNA鎖に組み込まれる。配列決定する鎖にシトシンが存在する場合はグアニンが組み込まれ、チミジンが存在する場合はアデノシンが組み込まれ、その逆も同じである。次の相補核酸がdATPでない場合は、センサ空洞内部で化学反応が起こることはない。その後、反応生成物を検出する。反応が起こらなかった場合、酸化還元中心改変反応生成物は検出されない。したがって、陽性結果(酸化還元中心改変反応生成物の検出)は、成長鎖中の次の相補核酸がdATP(この例の場合)であることを示す。陰性結果が得られた場合は、陽性結果が得られるまで、残り3つの酸化還元中心改変ヌクレオチドについてこの方法を繰り返すことにより、相補塩基の識別を行う。ヌクレオチドの識別を行ったら、相補DNAの成長鎖をヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドで末端処理してもよい。
図9は、配列決定するテンプレート鎖が提供する塩基に対してヌクレオチド塩基が相補的である場合に得られる酸化還元信号を化学的に増幅してDNA分子の配列決定を行う方法を示している。図9の方法は、相補塩基が成長中の相補鎖に組み込まれる場合の信号の化学的増幅を可能とする。準備した成長中のDNA分子は、ポリメラーゼ酵素の作用により、ヌクレアーゼ耐性塩基で末端処理する。この例において、酸化還元標識NTPは、γ−アミノフェニル−アデニン−三リン酸(dATP)である。相補的な酸化還元標識ヌクレオチドを成長鎖に組み込むと、溶液中に酸化還元標識ピロリン酸(pyrophosphate:PPi)基が放出される。そして、ホスファターゼ酵素の作用により、酸化還元分子からピロリン酸塩が除去される。有用なホスファターゼ酵素としては、たとえばアルカリ性ホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、タンパク質ホスファターゼ、ポリリン酸ホスファターゼ、糖ホスファターゼ、およびピロホスファターゼ等が挙げられる。この例においては、酸化還元活性種は、p−アミノフェノール(pAP)およびキノンイミン対である。溶液中に放出されるp−アミノフェノール分子の数は、酸化還元標識NTPの組み込みおよび切除反応のサイクルによって多くなる。具体的には、相補的な酸化還元標識ヌクレオチドが組み込まれ、エクソヌクレアーゼ酵素によって組み込まれた相補ヌクレオチドが除去された後、DNAポリメラーゼによって第2の酸化還元標識相補ヌクレオチドが組み込まれ、溶液中に第2の酸化還元標識ピロリン酸基が放出される。これら組み込みおよび除去の繰り返しサイクルにより、溶液中において、酸化還元活性種の濃度が高くなる。このように、成長中の相補鎖に相補塩基を組み込むことによって得られる信号は、増幅される。また、リン酸基の除去によって、酸化還元活性種は活性化される。リン酸基のない酸化還元活性種の有無は、電気化学的に検出する。酸化還元活性種は、ナノギャップ・トランスデューサの2つの電極間でリサイクルさせることによって、酸化還元サイクル反応により信号をさらに増幅するようにしてもよい。本明細書において詳述する通り、電極間において酸化還元活性種をサイクルさせる信号増幅技術は、酸化還元サイクルと称する。ナノギャップ・トランスデューサの電極間での移動により、各酸化還元活性種においては、複数の電子による電流が測定されるため、測定電流が増幅される。反応に供給されるヌクレオチドが成長中のDNA鎖に対して相補的でない場合、自由な酸化還元活性種は検出されない。ヌクレオチドの組み込みを検出したら、配列決定するテンプレートDNA分子の次の間隔に対して相補的なヌクレアーゼ耐性塩基を成長鎖に設ける。
酸化還元遺伝子のヌクレオチドは、ヌクレオシドのγ−リン酸基に付着した酸化還元活性種を有する。酸化還元遺伝子のヌクレオチドの塩基は、A、G、C、またはTであってもよい。酸化還元活性種としては、たとえばアミノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、および/またはナフチル基が挙げられる。また、酸化還元活性種は、ヌクレオチドの塩基に付着していてもよい。この塩基はA、G、C、またはTであってもよく、酸化還元活性種は、たとえばフェロセン、アントラキノン、またはメチレン・ブルー分子であってもよい。第3の酸化還元活性基付着モチーフとしては、ヌクレオチドの塩基の糖類に酸化還元活性基が付着したものが挙げられる。糖類が付着した酸化還元改変ヌクレオチドの場合、塩基はA、G、C、またはTであってもよく、酸化還元活性種は、たとえばフェロセン、アントラキノン、またはメチレン・ブルー分子であってもよい。
ポリメラーゼとしては、市販のTherminator DNAポリメラーゼ(マサチューセッツ州ビバリー所在のNew England Biolabs社より入手可能)または遺伝子操作したDNAポリメラーゼ等、リボヌクレオチドまたは改変ヌクレオチドをDNAに組み込み可能なものが利用可能である(たとえば、DeLucia,A.M.,Grindley,N.D.F.,Joyce,C.M.,Nucleic Acids Research,31:14,4129−4137(2003)およびGao,G.,Orlova,M.,Georgiadis,M.M.,Hendrickson,W.A.,Goff,S.P.,Proceedings of the National Academy of Sciences,94,407−411(1997)参照)。ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドは、リボヌクレオチドまたはその他の改変ヌクレオチドであってもよい。成長中のDNA鎖に組み込み可能であるがエクソヌクレアーゼ(3’→5’エクソヌクレアーゼ活性DNAポリメラーゼまたはエクソヌクレアーゼIおよびIII等)による消化に耐性を有するヌクレアーゼ耐性塩基の一例としては、α−ホスホロチオエート・ヌクレオチド(カリフォルニア州サンディエゴ所在のTrilink Biotechnologies社より入手可能)が挙げられる。また、リボヌクレオチドは、Therminator DNAポリメラーゼまたはその他の遺伝子操作または変異したポリメラーゼによって成長中のDNA鎖に組み込んでもよいが、リボヌクレオチドの塩基は、エクソヌクレアーゼIまたはエクソヌクレアーゼIII(New England Biolabs社より入手可能)等のエクソヌクレアーゼによる消化に耐性を有する。これら耐性塩基を消化できないヌクレアーゼの一例としては、エクソヌクレアーゼI、ヌクレアーゼIII、および3’→5’エクソヌクレアーゼ活性DNAポリメラーゼが挙げられる。
本発明の実施形態において、配列決定する単一の核酸分子は、ナノギャップ・トランスデューサ内部の表面に付着する。この核酸は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドで末端処理した相補鎖を用いて準備する。また、ナノギャップ・トランスデューサの空洞中の溶液に存在するDNAポリメラーゼ酵素の作用によって、相補的な酸化還元改変dNTP分子を成長鎖に組み込む。ナノギャップ・トランスデューサの電極は、酸化還元種の酸化還元電位となるように逆バイアスをかけており、酸化還元種が存在する場合は、電極表面で電流を検出する。ポリメラーゼの反応による過剰な酸化還元改変dNTPは、反応部位から洗い流す。そして、電極空洞中の溶液に存在するヌクレアーゼ酵素の作用により、成長中の相補DNA鎖から任意の組み込みdNMPを切除する。この方法は、その他3つのヌクレオチドについて、任意選択で繰り返す。次の相補ヌクレオチドが決まったら、成長中の相補核酸鎖を相補的なヌクレアーゼ耐性塩基で末端処理し、次の相補塩基を決定するようにしてもよい。
別の実施形態においては、配列決定する核酸分子の2つ以上のコピーを電極空洞において付着させる。配列決定する核酸の複数のコピーを付着させると、相補ヌクレオチド三リン酸が空洞に供給されている場合は、検出信号が増幅される。その後、任意選択として、酸化還元サイクル技術により検出信号をさらに増幅させてもよい。
核酸の配列決定は、個別にアドレス可能なナノギャップ・トランスデューサのアレイを用いて大規模並列に行ってもよい。アレイには、反応空洞当たり統計上1つの核酸分子が存在するように、核酸分子を含むサンプルを提供する。反応空洞における核酸の組み込みは、空洞に結合された電子機器によって検出される。矛盾する空洞からのデータは、破棄してもよい。また、空洞における各核酸の配列情報は、複数の反応サイクルを通して構築する。
任意選択として、たとえばアミン、アルデヒド、エポキシ、およびチオール基のうちの1つまたはそれらの組み合わせにより、ナノギャップ・トランスデューサの1または複数の表面を官能化してもよい。また、付着させる分子は、アミン(カルボキシ、エポキシ、および/またはアルデヒド官能基を有する表面の場合)、カルボキシル(アミン基を有する表面の場合)、およびチオール(金表面の場合)により官能化して、分子付着を容易化してもよい。官能基の結合には、様々な共役化学が利用可能である(たとえば、アミン/カルボキシルの場合のEDC等)。基板表面上の分子の濃度は、たとえば表面官能基の密度の制限または付着させる分子の量の制限等、複数の方法で制御する。また、表面へのDNAの固定化は、たとえばチオール基で改変した表面に付着させたアクリダイト改変DNAフラグメントを用いて行う。エポキシまたはアルデヒド改変表面には、アミン改変DNAフラグメントを付着させてもよい。
ナノギャップ・トランスデューサの1または複数のアレイ(ICデバイス表面上のナノギャップ・トランスデューサのアレイ等)、トランスデューサの駆動および測定結果の記録を行う電子機器、ならびに分析データを記録するコンピュータを備えたセンサ・システムは、ナノギャップ・トランスデューサに流体を搬送可能な流体搬送系を備えていてもよい。この流体系は、試薬容器、ポンプおよび混合室、洗浄液、廃液室、ならびにナノギャップ・トランスデューサのアレイの表面に流体を搬送する流体搬送系を備えていてもよい。
一般的に、配列決定可能な核酸の種類としては、リン酸ジエステル結合で結ばれたデオキシリボヌクレオチド(DNA)またはリボヌクレオチド(RNA)およびその類似物のポリマーが挙げられる。ゲノム、遺伝子もしくはその一部、cDNA、または合成ポリデオキシリボ核酸配列は、ポリヌクレオチドであってもよい。また、オリゴヌクレオチド(たとえば、プローブまたはプライマ等)を含むポリヌクレオチドは、ヌクレオシドまたはヌクレオチド類似物、もしくはリン酸ジエステル結合以外の主鎖結合を含んでいてもよい。一般的に、ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、2’−デオキシリボースに結合されたアデニン、シトシン、グアニン、もしくはチミン等の天然由来のデオキシリボヌクレオチド、またはリボースに結合されたアデニン、シトシン、グアニン、またはウラシル等の天然由来のリボヌクレオチドである。ただし、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、天然由来ではない合成ヌクレオチドまたは天然由来のヌクレオチドを改変したもの等、ヌクレオチド類似物を含んでいてもよい。
センサからのデータは、以下のように分析してもよい。ナノギャップ・トランスデューサの空洞に2つ以上のDNA分子が付着している場合は、配列決定位置の少なくとも1つからの測定値について、2つ以上の可能性がある。したがって、配列分析においては、空洞に分子が1つだけ付着したナノギャップ・トランスデューサ(有効なセンサ)からのデータのみを使用する。有効なセンサの配列は、コンピュータ・プログラムによって整列する。配列情報は、デノボ配列情報または基準配列情報として使用してもよい。データの品質および配列決定作業の目的に依っては、さらに分析を実行する。
また、本発明の実施形態に係るナノギャップ・トランスデューサは、本明細書に記載の検出に限らず、生物学的に重要な各種検出を実行可能である。たとえば、ナノギャップ・トランスデューサは、DNAの変異を検出するとともに、DNA配列決定反応によって病原体を識別可能である。また、電子センサを用いることにより、代謝酵素の活性検査によって疾患を診断する。ピロリン酸塩は、代謝経路および信号変換経路の一部である多くの酵素反応の副産物である。実施形態に係るナノギャップ・トランスデューサには、標的検体の認識部位および結合部位を設けてもよい。関心のある認識・結合部位を有するナノギャップ・トランスデューサを作成し、バイオセンサ装置の検体結合領域に対するサンプル溶液の曝露により関心のある任意の特異的に認識された生体分子の結合を可能にすることによって、サンプル溶液の試験を行う。ナノギャップ・トランスデューサは、フィルタリングおよびサンプル精製機能を提供するマイクロ流体系またはナノ流体系に組み込まれていてもよい。このように、機能を試験する酵素を電子バイオセンサに結合させ、反応溶液を供給すると、反応生成物として酸化還元中心で標識されたPPiが生じる。たとえば、バイオセンサ装置は、関心のあるアデニル化酵素を装置に結合させ、反応溶液中に脂肪酸基板およびATPを供給することによって、脂肪酸をアデニル酸アシルに変換してPPiを生成するアデニル化酵素の機能を調べる。その他の例としては、カテコールが挙げられる。さらに別の例においては、生菌を特異的にバイオセンサに結合させる。任意選択として、生菌は、生菌上の表面抗原を特異的に認識する抗体を介して検出装置に結合させる。そして、抗体サンドイッチ測定を実行する。この抗体サンドイッチ測定においては、検出する分子に特有の抗体を有する電子センサを提供し、検出する分子に対してセンサを曝露し、当該検出する分子に対して、その異なるエピトープに特有の第2の抗体を結合させる。第2の抗体には、酸化還元標識ATPを酸化還元標識PPiに変換可能な分子が付着している。酸化還元標識PPiは、酸化還元サイクルによって検出する。酸化還元標識としては、たとえばフェロセン、アントラキノン、およびメチレン・ブルー分子、ならびにアミノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、および/またはナフチル基が挙げられる。
コンピュータまたはコンピュータ・システムは、ランダム・アクセス・メモリ(random access memory:RAM)、リード・オンリー・メモリ(read−only memory:ROM)、シリアル・アドバンスト・テクノロジ・アタッチメント(serial advanaced technology attachment:SATA)または小型コンピュータ用周辺機器インターフェース(small computer system interface:SCSI)ハード・ドライブ等の大容量記憶装置等の1もしくは複数の揮発性または不揮発性データ記憶装置ならびに/またはフロッピー(登録商標)・ディスク、光学式ストレージ、テープ、フラッシュ・メモリ、メモリ・スティック、CD−ROM、および/もしくはデジタル・ビデオ・ディスク(digital video disk:DVD)等の媒体にアクセス可能な装置に対して通信可能に結合された1または複数のプロセッサを含む処理システムを備える。ROMという用語は、消去・プログラム可能型ROM(erasable programmable ROM:EPROM)、電気的消去・プログラム可能型ROM(electrically erasable programmable ROM:EEPROM)、フラッシュROM、および/またはフラッシュ・メモリ等の不揮発性メモリ・デバイスを表す。また、プロセッサは、グラフィックス・コントローラ、メモリ・インターフェース・ハブ、SCSI(小型コンピュータ用周辺機器インターフェース)コントローラ、ネットワーク・コントローラ、ネットワーク・インターフェース、およびユニバーサル・シリアル・バス(universal serial bus:USB)コントローラ等の付加的な構成要素と通信可能に結合されていてもよい。コンピュータ・システム、付加的なプロセッサ、ならびに/または外部コンピュータおよびコンピュータ・ネットワークの要素間の通信の一部または全部は、USB、無線ローカル・エリア・ネットワーク(wireless local area network:WLAN)、高周波無線(radio frequency:RF)、衛星、マイクロ波、電気電子技術者協会(Institute of Electrical and Electronics Engineers:IEEE)802.11、Bluetooth(登録商標)、光学式、光ファイバ、赤外線、ケーブル、およびレーザ等の様々な有線および/または無線短距離プロトコルで行ってもよい。また、コンピュータ・システムは通常、たとえば表示スクリーン、キーボード、トラックパッド、マウス等の入出力装置に結合されている。
当業者には、図示および記載した種々構成要素の代替として、開示内容の全体にわたり改良および変形が可能であることが理解される。本明細書の全体において「一実施形態」という表現は、当該実施形態と関連して説明する特定の特徴、構造、材料、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれること意味しており、必ずしもすべての実施形態に存在することを示すものではない。さらに、各実施形態に開示した特定の特徴、構造、材料、または特性は、1または複数の実施形態として任意適当に組み合わせてもよい。他の実施形態においては、様々な層および/もしくは構造の追加ならびに/または記載の特徴の省略を行ってもよい。