JP6271043B2 - 軌道制御装置および衛星 - Google Patents

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Description

この発明は、衛星の軌道を保持するための軌道制御装置、および軌道制御装置を搭載する衛星に関する。
赤道上の高度約36000km上空を円軌道で飛行する衛星もしくは宇宙飛翔体は、軌道運動の周期と地球の自転周期がほぼ一致するため、地上の観測者から見ておおよそ静止しているように見える。このような衛星は静止衛星と呼ばれている。しかしながら実際には、静止衛星には、地球・太陽の潮汐力、地球の重力ポテンシャルの非一様性による摂動力、太陽輻射圧といった種々の摂動力が働くため、徐々に緯度と経度が変動してゆく。そのため、緯度と経度の変動を補正するためのスラスタ噴射を衛星が実施する必要がある。経度の変動を補正するスラスタ噴射は一般に東西制御と呼ばれ、緯度の変動を補正する制御は一般に南北制御と呼ばれる。東西制御および南北制御を行って衛星の緯度と経度を所望の範囲内に留めることは、一般に軌道保持と呼ばれる。
静止衛星の軌道保持を実現するための技術として、例えば非特許文献1が挙げられる。非特許文献1の技術では、電気推進装置を花弁状に配置した静止衛星を対象として、非線形最適制御の手法を用いて軌道保持制御を行う。非特許文献1では4本のスラスタを同時に噴射し、軌道保持精度は0.005°程度である。
しかしながら、非特許文献1に示される先行技術例では、少ない推薬消費で高精度な軌道保持を実現するために、非線形計画法によって電気推進装置の噴射量を算出している。そのため、大きな計算コストを必要としており、噴射則を算出するのに適していない。
本発明は、推薬消費量を抑えながら、高精度な軌道保持を行うためのスラスタ噴射則を少ない計算コストで算出することを目的とする。
この発明に係る軌道制御装置は、それぞれが衛星の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて衛星に配置された4本のスラスタを備える衛星の軌道制御装置であって、衛星の平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を決定する軌道決定部と、平均軌道要素の目標値を設定する目標値設定部と、平均軌道要素、平均軌道要素の時間変化率および目標値から、平均軌道要素の制御量を計算する制御量計算部と、衛星の運動を軌道要素で表現し、スラスタ配置角度と複数回のスラスタ噴射量による軌道面外運動および軌道面内運動の連成を考慮した方程式を解き、主として軌道面外方向を制御するスラスタ噴射および主として軌道面内方向を制御するスラスタ噴射を複数回組み合わせることによって、制御量計算部で計算した平均軌道要素の制御量を実現させるためのスラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する分配部と、分配部で計算された噴射タイミングおよび噴射量に従って、スラスタを制御するスラスタ制御部と、を備える。
この発明によれば、消費推薬を抑えたスラスタ噴射則を少ない計算コストで算出することができる。
この発明の実施の形態1に係る衛星の軌道制御装置の構成を示すブロック図である。 スラスタの配置を示す図である。 実施の形態1に係る制御量計算部の動作を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る分配部の動作を示すフローチャートである。 実施の形態2に係る分配部の動作を示すフローチャートである。 実施の形態3に係る分配部の動作を示すフローチャートである。 本発明のハードウェア構成の例を示す図である。 本発明のハードウェア構成の例を示す図である。
従来は、高精度な軌道保持を実現するために複数の電気推進スラスタを同時に噴射している。電気推進スラスタは大きな電力を消費するため、複数のスラスタを同時に噴射することは実運用上の大きな制約となる。また、先行技術例では高精度な軌道保持を実現するために非線形最適化計算によって電気推進装置の噴射量を決定するため、大きな計算コストを必要とし、衛星搭載計算機で噴射量を計算するのに適していない。本発明は、消費電力または推薬量を抑制するとともに、高精度に衛星の軌道を保持する軌道制御装置および衛星を提供するものである。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る衛星の軌道制御装置の構成を示すブロック図である。軌道制御装置9は衛星7に搭載される。実施の形態では、衛星7として静止衛星を想定する。衛星7は、4つのスラスタ91、92、93、94とそれを制御する軌道制御装置9を備える。軌道制御装置9は、目標値設定部1、制御量計算部2、分配部5、軌道決定部8、およびスラスタ制御部6から構成される。制御量計算部2は、フィードフォワード制御量計算部3とフィードバック制御量計算部4を含む。軌道制御装置9は、衛星7の軌道を保持するためにスラスタ91、92、93、94それぞれの噴射タイミングと噴射量を決定し、決定した噴射タイミングと噴射量でスラスタ91、92、93、94に噴射させるよう制御する。
実施の形態1の軌道制御装置9では、軌道決定部8は、例えばGPS情報、地上局に対する衛星のレンジ及びレンジレート情報、地上の光学カメラでの観測で得られる衛星の方位角・仰角情報などから、衛星7の平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を決定する。ここで、平均軌道要素とは、衛星の軌道要素から周期的に変動する成分を除去して得られる、平均的な軌道要素である。目標値設定部1は、衛星7の軌道保持を実現する上で適切な平均軌道要素の目標値を設定する。平均軌道要素の目標値とは、平均直下経度や平均離心率ベクトル,平均傾斜角ベクトルの目標値などである。制御量計算部2は、軌道決定部8で計算した平均軌道要素、平均軌道要素の時間変化率、および目標値設定部1で設定した平均軌道要素の目標値を元に、衛星7の平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルのフィードフォワード制御量およびフィードバック制御量を計算する。分配部5は、制御量計算部2で計算した平均傾斜角ベクトルの制御量、および目標値設定部1で設定した平均直下点経度の目標値、軌道決定部8で計算した平均軌道要素、および平均軌道要素の時間変化率を受け取り、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量および平均直下点経度を目標値近傍に維持するための平均直下点経度の制御量を計算する。そして、計算した制御量を実現するためのスラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する。スラスタ制御部6は、分配部5で計算したスラスタの噴射タイミングと噴射量に従ってスラスタ91、92、93、94に噴射を実行させる。
スラスタ91、92、93、94は、衛星7の反地球面に花弁状に4台配置される。言い換えると、スラスタ91、92、93、94は、衛星7の質量中心から見て中心天体(地球)から遠ざかる向きに、衛星7の質量中心を通る直線上で、各スラスタが互いに異なる方向に噴射方向を持つように配置される。図2は、スラスタの配置を示す。図2において、C.M.(Center of Mass)は、衛星7の質量中心を表す。図2においてX軸は、中心天体、典型的には地球の中心から衛星質量中心C.M.を指す方向に一致し、Z軸は衛星の速度方向に一致し、Y軸はX軸とZ軸に対して右手座標系を構成する。図2において、スラスタ91、92、93および94は、噴射方向がそれぞれ、北西方向、北東方向、南西方向および南東方向に向いている。スラスタ91、92、93および94は、それぞれNWスラスタ、NEスラスタ、SWスラスタおよびSEスラスタとも呼ぶこととする。図2において角度θは、スラスタ91、92、93および94がY軸と成す角度である。角度φは、スラスタ91、92、93および94の各スラスタと衛星7の質量中心を結ぶ線分をX平面に投影した線分が、X軸と成す角度である。
次に、本実施の形態のハードウェア構成について説明する。図7は、ハードウェア構成の例を示す図である。図のように、衛星7は、GPS信号やレンジ及びレンジレート信号を受信する受信部111、受信部111からの信号を受けて軌道決定してスラスタの制御を行う軌道制御装置9、並びに制御対象のスラスタ91、92、93および94を備える。また、軌道制御装置9は、目標値設定部1、制御量計算部2、分配部5および軌道決定部8の各機能を実現する処理回路101と、分配部5の計算結果に基づきスラスタを制御するスラスタ制御部6を備える。処理回路は、専用のハードウェアであっても、メモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSPともいう)であってもよい。
また、図8は、本実施の形態のハードウェア構成の別の例を示す図である。図のように、衛星7は、GPS信号やレンジ及びレンジレート信号を受信する受信部111、受信部111からの信号を受けて軌道決定してスラスタの制御を行う軌道制御装置9、並びに制御対象のスラスタ91、92、93および94を備えるように構成してもよい。図7の処理回路101は、プロセッサ(CPU)102とメモリ103に当たる。
処理回路101が、専用のハードウェアである場合、処理回路101は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC,FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。目標値設定部1、制御量計算部2、分配部5および軌道決定部8の各部の機能それぞれを処理回路で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路で実現してもよい。
処理回路がプロセッサ(CPU)102の場合、目標値設定部1、制御量計算部2、分配部5および軌道決定部8の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。処理回路は、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、軌道制御装置9は、処理回路101により実行されるときに、目標設定ステップ、制御量計算ステップ、分配ステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリを備える。また、これらのプログラムは、目標値設定部1、制御量計算部2、分配部5および軌道決定部8の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリとは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等が該当する。
メモリは、上述のプログラムの他、軌道決定部8で決定される平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率、目標値設定部1で設定される平均軌道要素の目標値、制御量計算部2で計算される平均軌道要素のフィードフォワード制御量およびフィードバック制御量、分配部5で計算されるおのおののスラスタの噴射量および噴射タイミングを記憶する。上述のメモリに記憶された情報は適宜読みだされ処理に用いられ、修正される。
なお、目標値設定部1、制御量計算部2、分配部5および軌道決定部8の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、軌道決定部8については専用のハードウェアとしての処理回路でその機能を実現し、 分配部5については処理回路がメモリに格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。なお、上記において、図8では、処理回路101は、図8のプロセッサ102に当たり、メモリは、図8のメモリ103に当たる。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。以下、軌道制御装置9の各部の動作を説明する。
目標値設定部1では、衛星7の平均軌道要素の目標値を設定する。平均軌道要素としては、例えば平均平均直下点経度Λ、平均平均直下点経度角速度Λ'、平均平均直下点経度角加速度Λ"、平均離心率ベクトルe、e、平均傾斜角ベクトルi、iが挙げられる。ただし、平均直下点経度λは、衛星の昇交点赤経Ω、近地点引数ω、平均近点離角M、グリニッジ緯度引数θとして、λ=ω+Ω+M−θで定義され、平均平均直下点経度Λとは、平均直下点経度λの時間平均をとったものである。なお平均軌道要素として他のパラメータを用いてもよいことは言うまでもない。衛星7の平均離心率ベクトルの目標値をexref、eyref、および平均傾斜角ベクトルの目標値をixref、iyref、および平均平均直下点経度の目標値をΛMrefと記述する。ここで、角度の単位は、特に明示しない場合には〔rad〕とする。
平均離心率ベクトルの目標値exrefとeyrefの設定方法は、例えばexref=0、eyref=0と設定することが挙げられる。その他の設定方法として、離心率ベクトルが太陽輻射圧の影響により1年間で半径eの円状の軌跡を描くという特性を利用することも可能である。ここで、半径eの大きさは、衛星7の質量、有効断面積、および衛星表面の光学定数によって定まる。半径eの大きさが離心率として許容できる場合には、原点を中心とした半径eの円に沿って、平均離心率ベクトルの目標値exrefとeyrefを設定することが可能であり、これにより制御量計算部2における平均離心率ベクトルの制御量を抑えることができる。平均傾斜角ベクトルの目標値ixrefとiyrefの設定方法は、例えばixref=0、iyref=0と設定することが挙げられる。
また、平均平均直下点経度の目標値ΛMrefの設定方法は、例えば衛星7を日本の上空に保持する場合にはΛMref=140degと設定することが挙げられる。
制御量計算部2は、平均軌道要素、平均軌道要素の時間変化率および目標値から、平均軌道要素の制御量を計算する。制御量計算部2は、フィードフォワード制御量計算部3とフィードバック制御量計算部4から構成される。フィードフォワード制御量計算部3では、軌道決定部8で計算した平均軌道要素の時間変化率をもとに、衛星7の平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードフォワード制御量を計算する。フィードバック制御量計算部4では、軌道決定部8で計算した平均軌道要素および目標値設定部1で設定した平均軌道要素の目標値を元に、衛星7の平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードバック制御量を計算する。以下、フィードフォワード制御量計算部3とフィードバック制御量計算部4の動作について説明する。
フィードフォワード制御量計算部3では、軌道決定部8で計算した平均軌道要素の時間変化率をもとに、衛星7の平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードフォワード制御量を計算する。平均離心率ベクトルの時刻tにおける時間変化率をe'x0、e'y0とし、平均傾斜角ベクトルの時刻tにおける時間変化率をi'x0、i'y0と定義する。このとき、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの軌道1周期あたりの変化量Δe、Δiは以下の式(1)、(2)で表される。右肩の添え字「」は転置を表す。
Δe=[e'x0T e'y0T] (1)
Δi=[i'x0T i'y0T] (2)
ここで、静止衛星の場合、衛星7の軌道運動の周期Tは、地球の自転周期に等しい。平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルが軌道1周期あたりにΔe、Δiだけ変化することを見越して、Δe、Δiを定数倍したものを平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードフォワード制御量に設定する。平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルそれぞれのフィードフォワード制御量δeFF、δiFFを、例えば以下の式(3)、(4)のように設定することができる。
δeFF=−(3/4)Δe (3)
δiFF=−(3/4)Δi (4)
以上が、フィードフォワード制御量計算部3の動作の説明である。続いて、フィードバック制御量計算部4の動作について説明する。
フィードバック制御量計算部4では、軌道決定部8で計算した平均軌道要素および目標値設定部1で設定した平均軌道要素の目標値を元に、衛星7の平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードバック制御量を計算する。時刻tにおける平均離心率ベクトルをe=[ex0y0とし、時刻tにおける平均傾斜角ベクトルをi=[ix0y0と表す。また、目標値設定部1で設定した平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの目標値をeref=[exrefyref、iref=[ixrefyrefと表す。そして、eとerefの差分をDe=e−erefと定義し、iとirefの差分をDi=i−irefと定義する。平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードバック制御量をそれぞれδeFB、δiFBと定義すると、δeFBとδiFBは、DeとDiを基に決定される。例えば以下の式(5)、(6)のようにPID制御として決定することが可能である。
Figure 0006271043
式(5)、(6)において、kep、kedおよびkedはそれぞれ、平均離心率ベクトルのフィードバック制御量を計算するための比例ゲイン、微分ゲインおよび積分ゲインである。kip、kidおよびkiiはそれぞれ、平均傾斜角ベクトルのフィードバック制御量を計算するための比例ゲイン、微分ゲインおよび積分ゲインである。
以上が、フィードバック制御量計算部4の動作の説明である。制御量計算部2が出力する制御量は、フィードフォワード制御量計算部3で計算したフィードフォワード制御量と、フィードバック制御量計算部4で計算したフィードバック制御量を足したものである。
制御量計算部2が出力する平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量をそれぞれδe、δiと定義すると、δeとδiは以下の式(7)、(8)のように表される。
δe=δeFF+δeFB (7)
δi=δiFF+δiFB (8)
平均離心率ベクトルの制御は、衛星7の軌道面内方向の制御であり、平均傾斜角ベクトルの制御は、衛星7の軌道面外方向の制御である。
制御量計算部2では、式(1)から式(8)の演算に従って、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量を計算する。制御量計算部2では、フィードフォワード制御量によって高精度な軌道制御を実現し、フィードバック制御によって制御系の安定性・ロバスト性を高めている。以上が制御量計算部2の動作の説明であるが、以下、フローチャートにて説明する。
図3は、実施の形態1に係る制御量計算部2の動作を表すフローチャートである。制御量計算部2は、フィードフォワード制御量計算部3とフィードバック制御量計算部4から構成される。以下フローチャートに沿って説明する。ステップS250は、フィードフォワード制御量計算部3が、軌道決定部8から平均軌道要素の時間変化率を受け取る(ステップS250)。次に、ステップS251は、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの軌道1周回あたりの変化量Δe、Δiを算出する(Sステップ251)。次に、ステップS252は、Δe、Δiを定数倍したものをフィードフォワード制御量δeFF,δiFFに設定する(ステップS252)。以上のステップS250からS252までは、フィードフォワード制御量計算部3が実行する。フィードフォワード制御量計算部3は、処理回路101、またはプロセッサ102で処理してもよいし、独立した処理回路で実現してもよい。また、フィードフォワード制御量計算部3は、平均軌道要素の時間変化率等をメモリから読出し、算出した変化量Δe、Δi、フィードフォワード制御量δeFF,δiFFをメモリに記憶する。
次に、フィードバック制御量計算部4の動作に移る。まず、ステップS253は、フィードバック制御量計算部4が、軌道決定部8から平均軌道要素を受け取り、目標値設定部1から平均軌道要素の目標値を受け取る(ステップS253)。次に、ステップS254は、平均軌道要素の軌道決定値と目標値の差分De,Diを算出する(ステップS254)。次に、ステップS255は、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードバック制御量δeFB、δiFBを算出する(ステップS255)。以上のステップS253からS255までは、フィードバック制御量計算部4が実行する。フィードバック制御量計算部4は、処理回路101、またはプロセッサ102で処理してもよいし、独立した処理回路で実現してもよい。また、フィードバック制御量計算部4は、平均軌道要素、平均軌道要素の目標値等をメモリから読出し、算出した差分De,Di、フィードバック制御量δeFB、δiFBをメモリに記憶する。
次に、ステップS256は、フィードフォワード制御量とフィードバック制御量は最終的に加算され、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量が算出される(ステップS256)。さらに、ステップS257では、算出された平均軌道要素の制御量が、分配部5へ渡される(ステップS257)。以上のステップS256とS257とは、制御量計算部2によって実行される。制御量計算部2は、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量をメモリに記憶する。
軌道制御装置9の分配部5では、制御量計算部2で計算した平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量、目標値設定部1で設定した平均直下点経度の目標値、ならびに軌道決定部8で計算した平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を受け取る。そして、平均離心率ベクトル(軌道面内方向)と平均傾斜角ベクトル(軌道面外方向)の制御量および平均直下点経度を目標値近傍に維持するための平均直下点経度(軌道面内方向)の制御量を実現するスラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する。
分配部5はまず、制御量計算部2で計算した時刻tにおける平均傾斜角ベクトルの制御量δiの大きさδ=|δi|と偏角βを計算する。すなわち、δiを以下の式(9)のように表現する。
δi=[δcosβ δsinβ] (9)
ただしδ>0を満たす。
次に分配部5は、1回目の南北制御(軌道面外制御)のタイミングの判定を行う。ここで、経度の変動を補正する制御は一般に東西制御と呼ばれ、緯度の変動を補正する制御は一般に南北制御と呼ばれる。傾斜角ベクトルに関する方程式(例えばガウスの惑星方程式)より、南北制御を行う最適なタイミングは、衛星7の平均経度がβもしくはβ+πと一致する場合であることが示される。πは円周率である。それ故に、時刻tにおける衛星7の平均経度λがβもしくはβ+πと一致する場合に、時刻tにて1回目の南北制御を行う。平均経度λがβにもβ+πにも一致しない場合には、時刻tにては噴射量の計算を行わず、南北制御を行わない。以下では、平均経度λがβに一致する場合と平均経度λがβ+πに一致する場合の2通りに分けて、分配部5の動作について説明する。
平均経度λがβに一致する場合、分配部5は1回目と2回目の南北制御のタイミングと噴射量を計算する。1回目と2回目の南北制御を行うときの平均経度をそれぞれλ、λと記すと、λとλは以下の式(10)、(11)で与えられる。
λ=β (10)
λ=β+π (11)
1回目の南北制御ではSWスラスタとSEスラスタを使用し、2回目の南北制御ではNWスラスタとNEスラスタを使用する。1回目の南北制御におけるSWスラスタとSEスラスタの噴射量の合計をfとし、2回目の南北制御におけるNWスラスタとNEスラスタの噴射量の合計をfと定義する。このとき、ガウスの惑星方程式(Walker M J H, Ireland B, Owens J., A set of modified equinoctial orbit elements. Celestial Mechanics 1985, 36(4): 409-419.)より、fとfは以下のように定まる。
まず制御量計算部2において計算した平均離心率ベクトルの制御量δeの成分をδe=[δe δeと表す。また衛星7の軌道長半径aと平均軌道角速度nを用いて、δeとδiに依存する変数A、Bを以下の式(12)、(13)のように定義する。
A=naδ(−δecosβ+δesinβ)/(sinθcosφ) (12)
B=naδ/cosθ (13)
ここで、角度θはスラスタ91、92、93および94がY軸と成す角度であり、角度φは、スラスタ91、92、93および94の各スラスタと衛星7の質量中心を結ぶ線分をX平面に投影した線分が、X軸と成す角度である(図2)。
ここで、上記変数AとBとは、速度の次元を有する。変数Bは、傾斜角ベクトルに関するガウス惑星方程式にSWスラスタとSEスラスタの噴射で生じるYB軸方向の力積の成分を代入することで得られる。また、上記変数Aは、離心率ベクトルに関するガウス惑星方程式にSWスラスタとSEスラスタの噴射で生じるXB軸方向の力積の成分を代入することで得られる。
分配部5は、AとBの大きさに応じて、fとfを以下の式(14)のように与える。
Figure 0006271043
次に分配部5は、平均離心率ベクトルを制御(軌道面内制御)するための制御量の計算を行う。平均離心率ベクトルの制御は、NWスラスタとSEスラスタを組み合わせてそれぞれ等しく噴射すること、またはNEスラスタとSWスラスタを組み合わせてそれぞれ等しく噴射することで、衛星7に軌道半径方向の力を加えることで達成する。平均離心率ベクトルの制御を行うときの平均経度をλとし、そのときの衛星に加わる軌道半径方向の制御量をfと定義する。また、偏角β方向の単位ベクトルをρβ=[cosβ sinβ]と定義する。単位ベクトルρβと平均離心率ベクトルの制御量δeのなす角に応じて、λを以下の式(15)で与える。
Figure 0006271043
ここで、δe・ρβはδeとρβの内積を表す。また、fを以下の式(16)で与える。
=−na|δe・ρβ| (16)
次に分配部5は、1回目の南北制御におけるSWスラスタとSEスラスタの噴射量の配分率α、および2回目の南北制御におけるNWスラスタとNEスラスタの噴射量の配分率αを、拘束条件付き最適化問題を解くことで決定する。最適化問題における評価関数Jを、例えば以下の式(17)のように設定することができる。
J=|(2α−1)f−(2α−1)f| (17)
式(17)で表される評価関数は、1回目の南北制御で発生するZB軸方向の力積と,2回目の南北制御で発生するZB軸方向の力積の差が小さくなることを要請している。
また、拘束条件を例えば以下の式(18)のように設定できる。
ΛMT=ΛMref−(1/2)ΔΛMtotal (18)
式(18)は、平均直下点経度を目標値ΛMrefに制御するための拘束条件である。式(18)において、ΔΛMtotalは、平均経度λにおける1回目の南北制御と平均経度λにおける2回目の南北制御と平均経度λにおける平均離心率ベクトル制御によって生じる衛星7の平均平均直下点経度の変化量の総和であり、以下の式(19)のように表せる。
ΔΛMtotal=2tanθcosφδ+2|δe・ρβ| (19)
式(19)は、平均直下点経度に関するガウス惑星方程式に、平均経度λにおける1回目の南北制御、平均経度λにおける2回目の南北制御、および平均経度λにおける平均離心率ベクトル制御によって生じるXB軸方向の力積を代入することで得られる。式(18)において、ΛMrefは衛星7の直下点経度の目標保持値であり、目標値設定部1にて設定される。また、式(18)において、ΛMTは1回目の南北制御を行ってから軌道1周期後の衛星7の平均平均直下点経度であり、以下の式(20)のように表せる。
ΛMT=ΛM0+Λ'M0T+(1/2)Λ"M0+ΔΛMtotal
−(3/a)sinθsinφ[(2α−1)f+(1/2)(2α−1)f]T
(20)
式(20)において、最初の3項は,1回目の南北制御を実行する直前の平均平均直下点経度の角速度と角加速度を時間積分することで得られる。また、最後の項は、1回目と2回目の南北制御で生じる平均平均直下点経度の角速度を時間積分することで得られる。ここで、Λ'M0、Λ'M0、Λ"M0はそれぞれ時刻tにおける衛星7の平均平均直下点経度、平均平均直下点経度の角速度、および平均平均直下点経度の角加速度である。これらは軌道決定部8にて計算される。分配部5は、式(18)で与えられる平均直下点経度を目標値ΛMrefに制御するための拘束条件を満たしつつ、式(17)で与えられる評価関数Jが最小となるように、配分率αとαを決定する。
次に分配部5は、計算した配分率αとαから、1回目と2回目の南北制御の噴射量を以下の式(21)、(22)のように決定する。式(21)、(22)で、噴射量fの添え字NW、NE、SW、SEはそれぞれ、NWスラスタ、NEスラスタ、SWスラスタ、SEスラスタを表す。また、添え字の1は1回目を、添え字の2は2回目を示す。式(21)は、1回目の南北制御における各スラスタの噴射量を示す。式(22)は、2回目の南北制御における各スラスタの噴射量を示す。
NW1=0、fNE1=0、fSW1=α、fSE1=(1−α)f (21)
NW2=α、fNE2=(1−α)f、fSW2=0、fSE2=0 (22)
分配部5は、計算した南北制御および平均離心率ベクトル制御の噴射タイミングと噴射量をスラスタ制御部6へ渡す。スラスタ制御部6は、分配部5で計算された噴射タイミングおよび噴射量に従って、スラスタ91、92、93および94を制御する。
南北制御のタイミング判定に戻って、平均経度λがβ+πに一致する場合の分配部5の動作を説明する。平均経度λがβ+πに一致する場合、分配部5は、1回目と2回目の南北制御のタイミングと噴射量を計算する。1回目と2回目の南北制御を行うときの平均経度をそれぞれλ、λと記すと、λとλは以下の式(23)、(24)で与えられる。
λ=β+π (23)
λ=β+2π (24)
1回目の南北制御ではNWスラスタとNEスラスタを使用し、2回目の南北制御ではSWスラスタとSEスラスタを使用する。1回目の南北制御におけるNWスラスタとNEスラスタの噴射量の合計をfとし、2回目の南北制御におけるSWスラスタとSEスラスタの噴射量の合計をfと定義する。以下、fとfの計算方法について述べる。
計算した平均離心率ベクトルの制御量δeの成分をδe=[δe δeと表す。また衛星7の軌道長半径と平均軌道角速度をそれぞれa、nと表す。そして、δeとδiに依存する変数A、Bを以下の式(25)、(26)ように定義する。
A=naδ(−δecosβ+δesinβ)/(sinθcosφ) (25)
B=naδ/cosθ (26)
角度θはスラスタ91、92、93および94がY軸と成す角度であり、角度φはスラスタ91、92、93および94の各スラスタと衛星7の質量中心を結ぶ線分を向けX平面に投影した線分が、X軸と成す角度である(図2)。
分配部5は、AとBの大きさに応じて、fとfを以下の式(27)のように与える。
Figure 0006271043
次に分配部5は、平均離心率ベクトルを制御するための制御量の計算を行う。平均離心率ベクトルの制御は、NWスタスタとSEスラスタを組み合わせてそれぞれ等しく噴射すること、もしくはNEスラスタとSWスラスタを組み合わせてそれぞれ等しく噴射することで、衛星7に軌道半径方向の力を加えることで達成する。平均離心率ベクトルの制御を行うときの平均経度をλとし、そのときの衛星に加わる軌道半径方向の制御量をfと定義する。また、偏角β方向の単位ベクトルをρβ=[cosβ sinβ]と定義する。単位ベクトルρβと平均離心率ベクトルの制御量δeのなす角に応じて、平均離心率ベクトルの制御を行うときの平均経度λを以下の式(28)で与える。
Figure 0006271043
ここで、δe・ρβはδeとρβの内積を表す。また、衛星に加わる軌道半径方向(XB軸方向)の制御量fを以下の式(29)で与える。
=−na|δe・ρβ| (29)
次に分配部5は、1回目の南北制御におけるNWスラスタとNEスラスタの噴射量の配分率α、および2回目の南北制御におけるSWスラスタとSEスラスタの噴射量の配分率αを、拘束条件付き最適化問題を解くことで決定する。最適化問題における評価関数Jを、例えば以下の式(30)のように設定することができる。
J=|(2α−1)f−(2α−1)f| (30)
また、拘束条件を例えば以下の式(31)のように設定できる。
ΛMT=ΛMref−(1/2)ΔΛMtotal (31)
式(31)において、ΔΛMtotalは、平均経度λにおける1回目の南北制御、平均経度λにおける2回目の南北制御、および平均経度λにおける平均離心率ベクトル制御によって生じる衛星7の平均平均直下点経度の変化量の総和であり、以下の式(32)のように表せる。
ΔΛMtotal=2tanθcosφδ+2|δe・ρβ| (32)
ΛMrefは衛星7の直下点経度の目標保持値であり、目標値設定部1にて設定される。また、式(31)において、ΛMTは1回目の南北制御を行ってから軌道1周期経過した後の衛星7の平均平均直下点経度であり、以下の式(33)のように表せる。
ΛMT=ΛM0+Λ'M0T+(1/2)Λ"M0+ΔΛMtotal
−(3/a)sinθsinφ[(2α−1)f+(1/2)(2α−1)f]T
(33)
ここで、ΛM0、Λ'M0およびΛ"M0はそれぞれ時刻tにおける衛星7の平均平均直下点経度、平均平均直下点経度の角速度、および平均平均直下点経度の角加速度であり、これらは軌道計算部8にて計算される。分配部5は、式(31)で与えられる拘束条件を満たしつつ、式(30)で与えられる評価関数Jが最小となるように、配分率αとαを決定する。
分配部5は、計算した配分率αとαから、1回目と2回目の南北制御の噴射量を以下の式(34)、(35)のように決定する。噴射量fの添え字は、式(21)および(22)と同じである。式(34)は、1回目の南北制御における各スラスタの噴射量を示す。式(35)は、2回目の南北制御における各スラスタの噴射量を示す。
NW1=α、fNE1=(1−α)f、fSW1=0、fSE1=0 (34)
NW2=0、fNE2=0、fSW2=α、fSE2=(1−α)f (35)
式(12)〜(14)、(16)および(18)〜(20)は、軌道面外運動および軌道面内運動の連成を考慮した方程式である。分配部5は複数回のスラスタ噴射量による面外運動および面内運動の連成を考慮した方程式を解き、主として軌道面外方向を制御するスラスタ噴射および主として軌道面内方向を制御するスラスタ噴射を複数回組み合わせることによって、制御量計算部2で計算した平均軌道要素の制御量を実現させるためのスラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する。
分配部5は、以上で計算した南北制御および平均離心率ベクトル制御の各スラスタの噴射タイミングと噴射量をスラスタ制御部6に渡す。スラスタ制御部6は、分配部5で計算された噴射タイミングおよび噴射量に従って、スラスタ91、92、93および94を制御する。
図4は実施の形態1に係る分配部5の動作を示すフローチャートである。分配部5はまず、式(9)で表される平均傾斜角ベクトルの制御量の大きさと偏角を計算する(ステップS01)。そして、南北制御のタイミングを判定する(ステップS02)。衛星7の平均経度λが偏角βに一致する場合(ステップS02;Y)、式(10)および式(11)で南北制御の噴射タイミングλ、λを計算し、それぞれの合計噴射量f、fを式(12)から式(14)で計算する(ステップS03)。分配部5は、平均傾斜角ベクトルの制御量の大きさと偏角、南北制御の噴射タイミングλ、λ、合計噴射量f、fをメモリに記憶する。
分配部5は次に、平均離心率ベクトル制御の噴射タイミングλと噴射量fを、式(15)および式(16)で計算する(ステップS04)。そして、式(18)の拘束条件の下で、式(17)の評価関数Jを最小にする配分率αとαを決定する(ステップS05)。分配部5は、配分率αとαから、式(21)および式(22)で1回目と2回目の各スラスタの噴射量を計算する(ステップS06)。そして、計算した噴射タイミングと噴射量をスラスタ制御部6に送る(ステップS07)。分配部5は、平均離心率ベクトル制御の噴射タイミングλと噴射量fr、配分率αとα、および噴射タイミングと噴射量をメモリに記憶する。
ステップS02で平均経度λが偏角βに一致せず(ステップS02;N)、λがβ+πに一致する場合(ステップS08;Y)、分配部5は、式(23)および式(24)で南北制御の噴射タイミングλ、λを計算し、それぞれの合計噴射量f、fを式(25)から式(27)で計算する(ステップS09)。分配部5は、南北制御の噴射タイミングλ、λ、および合計噴射量f、fをメモリに記憶する。
分配部5は次に、平均離心率ベクトル制御の噴射タイミングλと噴射量fを、式(28)および式(29)で計算する(ステップS10)。そして、式(31)の拘束条件の下で、式(30)の評価関数Jを最小にする配分率αとαを決定する(ステップS11)。分配部5は、配分率αとαから、式(34)および式(35)で1回目と2回目の各スラスタの噴射量を計算する(ステップS12)。そして、計算した噴射タイミングと噴射量をスラスタ制御部6に送る(ステップS07)。分配部5は、平均離心率ベクトル制御の噴射タイミングλと噴射量f、配分率αとαおよび1回目と2回目の各スラスタの噴射量をメモリに記憶する。
ステップS02およびステップS08で、平均経度λが偏角βにもβ+πにも一致しない場合(ステップS02;N,ステップS08;N)、噴射量の計算も噴射も行わず(ステップS13)、その回の処理を終了する。
以上の実施の形態1の構成によれば、分配部5において、スラスタ配置角度と複数回のスラスタ噴射に依存した軌道面内と軌道面外の連成を含んだガウスの惑星方程式を解析的に解くことによって、消費推薬を抑えたスラスタ噴射則を少ない計算コストで算出することができる。
また、スラスタの同時噴射を1本もしくは2本までに制限した噴射則を計算することができ、消費電力を抑制することができる。具体的には、分配部5によって電気推進装置の同時噴射を1本もしくは2本までに制限した噴射則を少ない計算量で得ることができるので、消費電力を抑制しつつ、かつ高精度に衛星の軌道を保持することができる。そして、平均傾斜角ベクトルの制御量をもとに最適な南北制御の噴射タイミングを計算することができ、高精度な南北制御を実現することができる。また、平均平均直下点経度、平均傾斜角ベクトル、平均離心率ベクトルの制御を南北制御において同時に行うことが可能となる。さらに、2回の南北制御に加えて、平均離心率ベクトルの制御を軌道1周回あたりに1回行うことで、平均離心率ベクトルを目標値近傍に保持することが可能となり、衛星7の直下点経度を目標値近傍に高精度に保持することが可能となる。実施の形態1によれば、南北制御と平均離心率ベクトル制御の間隔を軌道1/4周期あけることが可能となり、南北制御と平均離心率ベクトル制御のスラスタ噴射のタイミングが重なることを回避できる。
実施の形態2.
実施の形態2では、軌道一周回においてスラスタ噴射が可能なタイミングを予め固定しておく。そして、その各タイミングについて制御量計算部で計算された平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量に応じて2回〜4回のスラスタの噴射量および噴射の可否を決定する。実施の形態2の構成は実施の形態1と同様であるが、軌道制御装置9における分配部5の動作のみが異なる。その他の、目標値設定部1、制御量計算部2、スラスタ制御部6および軌道決定部8は実施の形態1と共通である。
分配部5は、実施の形態1と同様に、制御量計算部2で計算した平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量、目標値設定部1で設定した平均直下点経度の目標値、ならびに軌道決定部8で計算した平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を受け取る。そして、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量および平均直下点経度を目標値近傍に維持するための平均直下点経度の制御量を実現するスラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する。
このとき実施の形態2では、スラスタの噴射タイミングを1周期において最大4回とする。それぞれのタイミングは平均経度λを用いて、λ、λ、λ、λと表し次の式(48)〜(51)で与える。
λ=λ (48)
λ=λ+π/2 (49)
λ=λ+π (50)
λ=λ+3π/2 (51)
λは予め与える1回目のスラスタ噴射タイミングである。実施の形態2においてはこのλを昇交点Ω付近の適当な値に固定する。例えばλ=80[deg]と設定する。そして1回目のスラスタ噴射から等間隔に位相をπ/2ずつ離してスラスタ噴射を行う。但しこのλおよびλ、λ、λ、λは上記の与え方以外の値を選ぶことも可能である。ここではスラスタの噴射回数を4回としているが実際に計算された制御量から、スラスタ噴射の回数が2回に抑えられる場合もありうる。以下に 軌道の保持に必要な制御力とスラスタの噴射量の計算方法について説明する。
はじめに分配部5は面外方向の制御力を計算する。まず、制御量計算部2において計算された平均離心率ベクトルの制御量δe=[δe δeと平均傾斜角ベクトルの制御量δi=[δi δiを受け取る。また目標値設定部1より平均平均直下点経度の目標値ΛMTrefを受け取る。これらを元に分配部5は各スラスタ噴射タイミングにおける面外方向の制御力fhi(i=1〜4)を計算する。制御力の計算に当たって次の単位ベクトルρei=[sinλ −cosλ 、ρii=[cosλ sinλを用いる。すると各タイミングにおける面外方向の制御力fhiは次の二つの式を満たすように与えられる。
|fhi|−|fh(i+2)|=anδe・ρei/(tanθcosφ) (52)
hi−fh(i+2)=anδi・ρei (53)
θおよびφは、図2で与えられる角度である。
式(52)の右辺をδe、式(53)の右辺をδiとおいて、δe、δiの大小関係によって場合分けしてfhiを決定する。この場合分けを行う際には、平均離心率ベクトルの制御量を実現することを優先する。スラスタの配置よりfhiが定まると自動的にfriは決まってしまう。δe>δiとなった場合は平均傾斜角ベクトルの制御量に合わせてしまうと、平均離心率ベクトルの制御量が足りなくなってしまう。そのためこのような場合は平均離心率ベクトルの制御量を基準にfhiを決めることとする。
(1) |δe|>|δi|のとき
(1a) δe<0 のとき
hi=sign(δi)|δe|、fh(i+2)=0 (54)
(1b) δe>0のとき
hi=0、fh(i+2)=−sign(δi)|δe| (55)
(2) |δe|<|δi|のとき
(2a) δe+δi>0かつδe−δi<0 のとき
hi=(1/2)(δe+δi)、fh(i+2)=(1/2)(δe−δi
(56)
(2b) δe+δi<0かつδe−δi>0のとき
hi=−(1/2)(δe+δi)、fh(i+2)=−(1/2)(δe−δi
(57)
次に東西制御(直下点経度の保持)に必要なfθi(i=1〜4) を決定する。分配部5は、次の条件式(58)を満たすように、fθi(i=1〜4)を決定する。
Figure 0006271043
aは軌道長半径、nは平均軌道角速度、θおよびφは図2で与えられる角度である。
このfθiを与えるためのスラスタ噴射は原則として、面外方向の制御力fhiを与える際にSWスラスタとSEスラスタ、または、NWスラスタとNEスラスタに対する噴射量の配分(電気推進の場合は噴射時間の配分)を行うことで実現する。この配分量は、fhiとfθiが与えられた時、スラスタ配置角にもとづいて一意に定めることができる。ただし実施の形態2ではfθiを決定する際に、fhiは制御サイクルごとに異なり、場合によっては4回の制御では十分な合計のfθiを得られない場合も考えうる。そのような場合は一回目のスラスタ噴射においてスラスタ2本もしくは1本による噴射を行い、必要なfθを追加で与えることとする。分配部5は、以上の計算結果をスラスタ制御部6へ渡す。
実施の形態2における基本の動作は以上の通りであるが、推薬のさらなる節約を目指す場合は面外制御量fhiを計算する際に次のような制御を行う。制御後の平均傾斜角ベクトルの値を予測した際に、その値が予め設定しておいた許容範囲内に収まる場合、すなわち平均傾斜角ベクトルの誤差ιが十分小さい値、例えば|ι|<0.003[deg]に収まる場は、平均的な離心率ベクトルの制御に必要な制御量にのみ制御量を合わせることとしてスラスタ噴射の回数を3回以下に削減する。
図5は、実施の形態2に係る分配部5の動作を示すフローチャートである。分配部5は、まず、平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量、平均平均直下点経度の目標値などを受け取る(ステップS21)。そして、平均経度λが設定したλ(=λ)になったとき、式(52)および(53)を満たす面外制御量fhiを、δe、δiの大小関係によって場合分けして式(54)〜(57)に従って計算する(ステップS22)。分配部5は、平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量、平均平均直下点経度の目標値およびδe、δiをメモリから読出し、面外制御量fhiをメモリに記憶する。
次に、分配部5は、制御量fhiを元に、東西制御(直下点経度の保持)に必要なfθi(i=1〜4) を式(58)を満たすように計算する(ステップS23)。Σfθiが東西制御で十分かどうか判定し(ステップS24)、十分でなければ(ステップS24;N)、Σfθiが十分となるようにfθiを再計算して追加する(ステップS25)。Σfθiが東西制御で十分なら(ステップS24;Y)、再計算を行わない。分配部5は、制御量fhiをメモリから読出し、東西制御(直下点経度の保持)に必要なfθi(i=1〜4)をメモリに記憶する。
分配部5は、実施の形態1と同様にして、各スラスタ噴射タイミングにおける各スラスタの噴射量の配分を決定し(ステップS26)、固定されている噴射タイミングと各スラスタの噴射量をスラスタ制御部6に送る(ステップS27)。分配部5は、各スラスタ噴射タイミングにおける各スラスタの噴射量の配分をメモリに記憶する。
以上のステップS21からステップS27にしたがって、実施の形態2では平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量および平均直下点経度を目標値近傍に維持するための平均直下点経度の制御量を実現するスラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する。
以上の実施の形態2の構成と動作によれば、各スラスタ噴射間の噴射間隔を固定することができ、制御時間間隔の変動によって生じる経度方向の軌道保持誤差を低減することができる。この実施の形態2は、最も高精度の東西制御(例えば直下点経度誤差Δλ=0.005[deg]以下など)が要求される場合に有用である。
実施の形態3.
実施の形態3では、4本のスラスタのうち2本のスラスタを組み合わせて軌道1周回あたり1回南北制御を行い、2本のスラスタを組み合わせて軌道1周回あたり2回東西制御を行う。実施の形態3の構成は実施の形態1と同様であるが、軌道制御装置9における分配部5の動作のみが異なる。その他の、目標値設定部1、制御量計算部2、スラスタ制御部6、衛星7および軌道決定部8は実施の形態1と共通である。実施の形態1と異なる部分は分配部5のみであるので、分配部5について述べる。
図2に示すスラスタ91(NWスラスタ)、スラスタ92(NEスラスタ)、スラスタ93(SWスラスタ)およびスラスタ94(SEスラスタ)の各スラスタの噴射量をそれぞれfNW、fNE、fSW、fSEと記す。スラスタを2本同時に噴射する場合を前提にすると、北方向噴射量f、南方向噴射量f、東方向噴射量f、西方向噴射量fをそれぞれ次のように表すことができる。
=fNW+fNE、f=fSW+fSE
=fNE+fSE、f=fNW+fSW
分配部5は受け取った軌道要素の制御量のうち、平均傾斜角の制御量を北方向噴射量fまたは南方向噴射量fによって制御する。東方向噴射量fや西方向噴射量fは平均傾斜角には影響を与えないので、北方向噴射量fあるいは南方向噴射量fを平均傾斜角の制御量だけから定めることができる。噴射タイミングは、平均傾斜角ベクトルの制御量δiの偏角βから決めることができる。この北方向噴射量fあるいは南方向噴射量fはどちらを用いても平均傾斜角を制御することができるが、この両方の場合を計算し、最終的に噴射量の合計値が小さくなる方を採用する。
つぎに分配部5は、北方向噴射量fあるいは南方向噴射量fによって平均離心率や平均平均直下点経度は影響を受けるのでその分の補正量を加えて、新たな平均離心率ベクトルの制御量と平均平均直下点経度の目標値を定める。この補正量は、北方向噴射量fまたは南方向噴射量fのXB軸およびZB軸方向成分を離心率ベクトルおよび平均直下点経度に関するガウスの惑星方程式に代入することで算出することができる。
分配部5は、新たな平均離心率ベクトルの制御量と平均平均直下点経度の目標値から、東方向噴射量fと西方向噴射量fを定める。平均離心率ベクトルの制御量と平均平均直下点経度の目標値に対応する噴射量を定めるためには、東方向噴射量fと西方向噴射量fは合計2回分が必要となる。すなわち、ある経度において東方向噴射量fあるいは西方向噴射量fを与え、異なる経度において東方向噴射量fあるいは西方向噴射量fを与えるような解を求める。その結果、東西方向の噴射においてはfとfが各1回ずつか、fが2回か、fが2回かのいずれかの解が得られる。この合計2回の噴射とfあるいはfの1回の噴射によって一連の制御動作は終了する。したがって一連の制御動作において、合計3回の噴射を行うことになる。
次に分配部5は、北方向噴射量fあるいは南方向噴射量fのいずれを採用するかを次のように決定する。分配部5は、fを用いたときの東西噴射量もあわせた噴射量の合計値と、fを用いたときの東西噴射量もあわせた噴射量の合計値を比較して、その合計値の小さな方を最終的な噴射として採用する。このように噴射量の少ない方を用いることにより、南北のfあるいはfの1回の噴射と東西の2回の噴射において、それらを実施するときの経度は離れることになるので、これらの噴射のタイミングが重なることはないという効果も得られる。
このように南北および東西の噴射において2本のスラスタを組み合わせて用いることにより、一連の制御動作において南北1回、東西2回のスラスタ噴射で、平均傾斜角、平均離心率、平均平均直下点経度を望ましい値に制御することができる。
また、上記のスラスタ噴射量の計算をもとに、東西における2回のスラスタ噴射において、これを東方向や西方向に力を出すような2本のスラスタの同時噴射に代えて、一部あるいは全部を1本のスラスタだけの噴射にすることで、平均傾斜角にも影響を与えるようにすることができる。この場合、東西のスラスタ噴射によって平均傾斜角が影響を受けるため、南北のスラスタ噴射量を簡単に決定することはできないが、スラスタ2本の同時噴射の解をもとに、たとえば全部を1本のスラスタだけの噴射に代えるように数値探索を行うことによって、2回の東西方向のスラスタ噴射において、その両方あるいは一方を1本のスラスタだけの噴射で計画することができる。このように計画すると東西方向のスラスタ噴射で平均傾斜角の一部を制御するため、噴射量の合計値を低く抑える効果がある。
図6は、実施の形態3に係る分配部5の動作を示すフローチャートである。分配部5は、まず、平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量、平均平均直下点経度の目標値などを受け取る(ステップS31)。そして、このうち平均傾斜角ベクトルの制御量から北方向噴射量fまたは南方向噴射量f(南北噴射量fまたはf)を決定する(ステップS32)。分配部5は、平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量、平均平均直下点経度の目標値などをメモリから読出し、北方向噴射量fまたは南方向噴射量f(南北噴射量fまたはf)をメモリに記憶する。
つぎに分配部5は、決定した南北噴射量fまたはfより新たな平均離心率の制御量と平均平均直下点経度の目標値を修正する(ステップS33)。そして、新たな平均離心率の制御量と平均平均直下点経度の目標値から、東方向噴射量fと西方向噴射量f(東西噴射量f、f)を定める(ステップS34)。分配部5は、南北噴射量fまたはfをメモリから読出し、新たな平均離心率の制御量、平均平均直下点経度の目標値、東方向噴射量fと西方向噴射量f(東西噴射量f、f)をメモリに記憶する。
分配部5は、南北噴射量fまたはfにおいて、東西噴射量を加えた合計噴射量の少ない方を採用する(ステップS35)。さらに、スラスタの噴射量の計算をもとに、東西における2回のスラスタ噴射において、これを東方向や西方向に力を出すような2本のスラスタの同時噴射に代えて、一部あるいは全部を1本のスラスタだけの噴射で代替するように再計算する(ステップS36)。そして、計算したスラスタの噴射量をスラスタ制御部6に送る(ステップS37)。分配部5は、計算したスラスタの噴射量をメモリに記憶する。
以上の実施の形態3の構成によれば、2本のスラスタを組み合わせた噴射を前提とすることで、簡単な計算により、南北に1回の噴射、東西に2回の噴射によって、平均傾斜角、平均離心率、平均平均直下点経度を望ましい値に制御することが可能になる。また、実施の形態3の構成によれば、2本のスラスタを組み合わせた噴射を前提とした解に基づいて、東西2回のスラスタ噴射の少なくとも1回をスラスタ1本だけの噴射とするような数値探索の解を求めることにより、平均傾斜角、平均離心率、平均平均直下点経度を望ましい値に制御するとともに、噴射量の合計値を低く抑える効果が得られる。
実施の形態では、静止衛星を想定して説明した。実施の形態の軌道制御装置9が適用できるのは、静止衛星には限らない。軌道制御装置9は、例えば、準天頂衛星にも適用できる。準天頂衛星は、地上の1点から観測すると南北に長い8の字の軌道に見えるが、周期と高度は静止衛星と同じで軌道面が赤道面に対して傾いている。従って、上述の式を適当に座標変換すれば、そのまま適用できる。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態および変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本出願は、2015年1月9日に出願された、明細書、特許請求の範囲、図、および要約書を含む、日本国特許出願2015−002864号に基づく優先権を主張するものである。日本国特許出願2015−002864号の開示内容は参照により全体として本出願に含まれる。
1 目標値設定部、2 制御量計算部、3 フィードフォワード制御量計算部、4 フィードバック制御量計算部、5 分配部、6 スラスタ制御部、7 衛星、8 軌道決定部、9 軌道制御装置、91,92,93,94 スラスタ。

Claims (12)

  1. それぞれが衛星の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて前記衛星に配置された4本のスラスタを備える衛星の軌道制御装置であって、
    前記衛星の平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を決定する軌道決定部と、
    前記平均軌道要素の目標値を設定する目標値設定部と、
    前記平均軌道要素、前記平均軌道要素の時間変化率および前記目標値から、前記平均軌道要素の制御量を計算する制御量計算部と、
    前記衛星の運動を軌道要素で表現し、スラスタ配置角度と複数回のスラスタ噴射量による軌道面外運動および軌道面内運動の連成を考慮した方程式を解き、主として軌道面外方向を制御するスラスタ噴射および主として軌道面内方向を制御するスラスタ噴射を複数回組み合わせることによって、前記制御量計算部で計算した前記平均軌道要素の制御量を実現させるための前記スラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する分配部と、
    前記分配部で計算された前記噴射タイミングおよび前記噴射量に従って、前記スラスタを制御するスラスタ制御部と、
    を備える軌道制御装置。
  2. それぞれが衛星の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて前記衛星に配置された複数のスラスタを備える衛星の軌道制御装置において、
    前記衛星の平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を決定する軌道決定部と、
    前記平均軌道要素の目標値を設定する目標値設定部と、
    前記平均軌道要素、前記平均軌道要素の時間変化率および前記目標値から、前記平均軌道要素の制御量を計算する制御量計算部と、
    前記衛星の運動を軌道要素で表現し、スラスタ配置角度と複数回のスラスタ噴射量による軌道面外運動および軌道面内運動の連成を考慮した方程式を解き、主として軌道面外方向を制御するスラスタ噴射および主として軌道面内方向を制御するスラスタ噴射を複数回組み合わせることによって、前記制御量計算部で計算した前記平均軌道要素の制御量を実現させるための前記スラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する分配部と、
    前記分配部で計算された前記噴射タイミングおよび前記噴射量に従って、前記スラスタを制御するスラスタ制御部と、
    を備える軌道制御装置。
  3. 前記制御量計算部は、
    前記軌道決定部にて計算された前記平均軌道要素および前記目標値設定部にて設定された前記平均軌道要素の目標値をもとに、前記平均軌道要素のフィードバック制御量を計算するフィードバック制御量計算部と、
    前記平均軌道要素の時間変化率をもとに、前記平均軌道要素のフィードフォワード制御量を計算するフィードフォワード制御量計算部と、
    を含む請求項1または2に記載の軌道制御装置。
  4. 前記分配部は、同時に使用するスラスタ本数が2本以下になるように前記スラスタの前記噴射タイミングおよび前記噴射量を計算する請求項1または2に記載の軌道制御装置。
  5. 前記制御量計算部は、平均傾斜角ベクトルの制御量を計算し、
    前記分配部は、前記平均傾斜角ベクトルの制御量の偏角を計算し、前記平均傾斜角ベクトルの制御量の偏角から南北制御の噴射タイミングを決定し、1回目の前記南北制御の噴射タイミングから軌道1/2周期後に2回目の南北制御を実施し、前記1回目の前記南北制御の噴射タイミングから軌道1/4周期後もしくは3/4周期後に平均離心率ベクトルの制御を行うように前記スラスタの前記噴射タイミングおよび前記噴射量を計算する、請求項1または2に記載の軌道制御装置。
  6. 前記分配部は、2本の前記スラスタを組み合わせて軌道1周回あたり1回南北制御を行い、2本の前記スラスタを組み合わせて軌道1周回あたり2回東西制御を行うように前記スラスタの前記噴射タイミングおよび前記噴射量を計算する、請求項1または2に記載の軌道制御装置。
  7. 前記分配部は、前記分配部で計算した前記スラスタの前記噴射タイミングと前記噴射量を初期解として数値探索を実行し、2回の前記東西制御のスラスタ噴射のうち、少なくとも1回は前記スラスタを1本使用しないような前記スラスタの前記噴射タイミングおよび前記噴射量を計算する、請求項に記載の軌道制御装置。
  8. 前記制御量計算部は、平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量を計算し、
    前記分配部においては、軌道一周回においてスラスタ噴射が可能なタイミングを予め固定し、その各タイミングについて前記制御量計算部で計算された前記平均離心率ベクトルおよび前記平均傾斜角ベクトルの制御量に応じて、2回から4回の前記スラスタの前記噴射量および噴射の可否を決定する、請求項1または2に記載の軌道制御装置。
  9. それぞれが衛星の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて前記衛星に配置された4本のスラスタと、
    請求項1および3から8のいずれか1項に記載の軌道制御装置と、
    を備える衛星。
  10. それぞれが衛星の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて前記衛星に配置された複数のスラスタと、
    請求項2から8のいずれか1項に記載の軌道制御装置と、
    を備える衛星。
  11. それぞれが衛星の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて前記衛星に配置された4本のスラスタを備える衛星の軌道制御方法であって、
    前記衛星の平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を決定する軌道決定ステップと、
    前記平均軌道要素の目標値を設定する目標値設定ステップと、
    前記平均軌道要素、前記平均軌道要素の時間変化率および前記目標値から、前記平均軌道要素の制御量を計算する制御量計算ステップと、
    前記衛星の運動を軌道要素で表現し、スラスタ配置角度と複数回のスラスタ噴射量による軌道面外運動および軌道面内運動の連成を考慮した方程式を解き、主として軌道面外方向を制御するスラスタ噴射および主として軌道面内方向を制御するスラスタ噴射を複数回組み合わせることによって、前記制御量計算ステップで計算した前記平均軌道要素の制御量を実現させるための前記スラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する分配ステップと、
    前記分配ステップで計算された前記噴射タイミングおよび前記噴射量に従って、前記スラスタを制御するスラスタ制御ステップと、
    を備える軌道制御方法。
  12. それぞれが衛星の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて前記衛星に配置された複数のスラスタを備える衛星の軌道制御方法において、
    前記衛星の平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を決定する軌道決定ステップと、
    前記平均軌道要素の目標値を設定する目標値設定ステップと、
    前記平均軌道要素、前記平均軌道要素の時間変化率および前記目標値から、前記平均軌道要素の制御量を計算する制御量計算ステップと、
    前記衛星の運動を軌道要素で表現し、スラスタ配置角度と複数回のスラスタ噴射量による軌道面外運動および軌道面内運動の連成を考慮した方程式を解き、主として軌道面外方向を制御するスラスタ噴射および主として軌道面内方向を制御するスラスタ噴射を複数回組み合わせることによって、前記制御量計算ステップで計算した前記平均軌道要素の制御量を実現させるための前記スラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する分配ステップと、
    前記分配ステップで計算された前記噴射タイミングおよび前記噴射量に従って、前記スラスタを制御するスラスタ制御ステップと、
    を備える軌道制御方法。
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