以下、本発明の一実施形態に係る業務分析装置200について説明する。本実施形態の業務分析装置200は、業務フローを可視化することにより業務分析を支援するものである。業務フローは、業務を処理するための各工程の作業を表すアクティビティをノードとし、アクティビティを処理する順序関係(フロー)を有向エッジとした有向グラフとして可視化される。
本実施形態では、具体的な業務処理のパターン(以下、系列パターンという。)の類似度に応じて、対応する業務フローのノードおよびエッジをまとめて配置して表示する処理(以下、まとまり表示処理という。)を行い、これにより有向グラフ(以下、業務フロー図ともいう。)を見やすくしようとしている。
==ハードウェア構成==
図1は、業務分析装置200のハードウェア構成例を示す図である。業務分析装置200は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)や、ワークステーションなどの計算機である。
業務分析装置200は、入力装置201と、表示装置203と、演算装置205と、主記憶装置207と、外部記憶装置209と、それぞれの装置を互いに接続するバス211と、を有する。入力装置201は、例えばキーボードやマウス、あるいはタッチペン、その他ポインティングデバイスなどの入力を受け付ける装置である。表示装置203は、例えばディスプレイなどの、表示を行う装置である。演算装置205は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算装置である。主記憶装置207は、例えばRAM(Random Access Memory)などのメモリ装置である。外部記憶装置209は、例えばハード
ディスク装置やフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置である。
==ソフトウェア構成==
図2は、業務分析装置200のソフトウェア構成例を示す図である。
業務分析装置200は、業務フロー図処理部221、頻出系列パターン抽出部223、系列パターン類似度算出部225、表示領域算出部227、要素配置部229、業務フロー図データ記憶部231および業務ログ記憶部232を備える。これらの各処理部(業務フロー図処理部221、頻出系列パターン抽出部223、系列パターン類似度算出部225、表示領域算出部227および要素配置部229)は、業務分析装置200の演算装置205が、業務フローを可視化するプログラム(以下、業務分析支援ツールという。)を実行することによって実現される。また、各記憶部(業務フロー図データ記憶部231および業務ログ記憶部232)は、主記憶装置207および外部記憶装置209の提供する記憶領域の一部として実現される。
業務分析支援ツールは主記憶装置207または外部記憶装置209内に記憶され、実行にあたって主記憶装置207上にロードされ、演算装置205により実行される。
業務フロー図データ記憶部231は、業務フローを表す有向グラフを描画するためのデータ(以下、業務フロー図データという。)を記憶する。業務フロー図データには、有向グラフを構成するノード(アクティビティ)およびエッジ(フロー)ならびにこれらの配置を指定する情報が含まれる。
業務フロー図処理部221は、業務フロー図データを表示装置203に送信することで業務フロー図を表示する。図3は業務フロー図データに基づいて描画される業務フロー図の一例を示す図である。本実施形態では、業務フロー図データには、各ノード1の位置は含まれるが、エッジ3の位置は含まれないものとする。業務フロー図処理部221は、公知のアルゴリズムにより、他のエッジ3との関係を考慮してエッジ3に対応するペアのノード1の位置に応じて曲線矢印をエッジ3として描画することができる。
業務ログ記憶部232は、具体的な案件について行われた業務処理を表す情報(以下、業務ログという。)を記憶する。図4は業務ログ記憶部232の構成例を示す図である。業務ログには、案件を特定する情報(案件番号)、業務処理の順序および対応するアクティビティ、ならびに具体的な業務処理の内容が含まれる。
頻出系列パターン抽出部223は、業務ログ記憶部232から頻出のアクティビティのパターンを系列パターンとして抽出する。頻出の系列パターンとは、例えば、一連のアクティビティA→B→G→Fが、この順序で実行され、業務の1案件が終了している、というパターンが頻繁に発生しているということである。頻出系列パターン抽出部223は、例えば、業務ログ記憶部232を参照して、案件ごとに順序の順番に並べた一連のアクティビティのパターン(図4の例では{A、B、G、F}および{A、B、C、F})の出現回数をパターンごとにカウントし、この出現回数が所定の閾値(定数としてもよいし、出現回数の平均値など出現回数に応じて算出される値としてもよい。)以上となったパターンを頻出の系列パターンとして抽出することができる。
系列パターン類似度算出部225は、系列パターンの類似度を算出する。系列パターン類似度算出部225は、例えば系列パターンを構成する要素(アクティビティ)を先頭から順に他の系列パターンの同じ位置の要素と比較して一致する個数により類似度を判定することができる。また系列パターン類似度算出部225は、系列パターンの類似度に応じて、系列パターンを複数のグループ(以下、類似パターン群という。)に分類する。
表示領域算出部227は、各類似パターン群に表示領域を割り当てる。本実施形態では、各類似パターン群に割り当てる表示領域は、類似パターン群に含まれる系列パターンの長さ(系列パターンを構成するアクティビティの数)に応じて決定されるものとするが、例えば類似パターン群の数に応じて決定してもよいし、類似パターン群に含まれる系列パターンの数に応じて決定してもよい。
また、表示領域算出部227は、類似パターン群に割り当てられた表示領域の中で、当該類似パターン群に属する系列パターンの先頭からの位置ごとに表示領域を割り当てる。系列パターンの位置ごとの表示領域は、各系列パターンにおける同じ位置の要素の類似度に応じて決定される。表示領域算出部227は、先頭から同じ位置の要素の類似度(一致度)が高ければ狭い表示領域を割り当て、同じ位置の要素の類似度(一致度)が低ければ広い表示領域を割り当てる。なお、要素ごとの表示領域の決定処理の詳細については後述する。
要素配置部229は、表示領域算出部227が割当てた表示領域にアクティビティおよびフローが配置されるように業務フロー図データを作成する。作成した業務フロー図デー
タは業務フロー図処理部221に戻され、業務フロー図処理部221により業務フロー図データ記憶部231に登録されて表示装置203に描画される。
==まとまり表示処理==
図5は、業務分析装置200による処理手順を説明するためのフローチャートである。図6は、系列パターンを利用したまとまり表示処理による業務フロー表示変更の流れの例である。
ステップ101:利用者から、まとまり表示処理を行うための指示入力を入力装置201で受け付ける。このとき、図6の例では、業務フロー図は、初期の表示の状態302である。入力装置201は業務フロー図処理部221に指示入力を送信する。
ステップ103:指示入力を受信した業務フロー図処理部221は、業務ログ記憶部232に記憶されている個々の案件の処理系列の業務ログを読み出して、頻出系列パターン抽出部223に送信する。
頻出系列パターン抽出部223は個々の案件の業務ログから、頻繁に発生している系列パターンを抽出する。図6では、頻出の系列パターンとして、{A、B、G、F}、{A、B、C、F}、{A、H、I}、{A、D、H、I}、{A、D、E、I}が抽出された例を示している(状態304)。
ステップ105:頻出系列パターン抽出部223は、抽出された頻出系列パターンがあれば、頻出系列パターンを系列パターン類似度算出部225に送信する。抽出された系列パターンがなければ、処理を終了する。
ステップ107:系列パターン類似度算出部225は、受信した頻出系列パターンから、それぞれの系列パターン間の類似度を算出し、類似パターン群に分類する。図4では、類似パターン群(1){A、B、G、F}、{A、B、C、F}と類似パターン群(2){A、H、I}、{A、D、H、I}、{A、D、E、I}の2群に分類した例を示している(状態306)。
ステップ109:系列パターン類似度算出部225は、分類した類似パターン群のうち、表示領域が未決定の類似パターン群があるかどうか判定する。表示領域が未決定の類似パターン群があれば、当該の類似パターン群を表示領域算出部227に送信する。表示領域が未決定の類似パターン群がなければ、処理を終了する。
ステップ111:類似パターン群のデータを受信した表示領域算出部227は、類似パターン郡に属する系列パターンの先頭から各位置の要素の類似度に基づいて、各位置の表示領域のサイズを算出する。具体的には、系列パターン類似度算出部225は、類似パターン群に属する系列パターンの先頭から順に同じ位置の要素を比較して類似度を算出する。本実施形態では、系列パターンの先頭からn番目の要素として登場する要素の重複ない数(以下、ユニーク要素数という。)から1を引いた数に2を乗じて1を加算した数値を表示領域の類似度とする。すなわち、類似度は次式(1)により算出される。
類似度=2×(ユニーク要素数−1)+1 ・・・(1)
したがって、類似度が高いほど小さな値となることになる。図6の例では、類似パターン群(1)において、先頭の要素「A」と「A」とは一致するため類似度が高く「1」となる。3番目の要素「G」と「C」とは不一致のため類似度が低く「3」(GとCの2種類から1を引いた「1」に2を乗じて1を足す。)となる。なお、類似度の算出は上述のものに限らず、一致する要素の数が少ないほど類似度が低く表示領域が広くなるように算
出すればよい。系列パターン類似度算出部225は、算出した類似度を示すデータ(以下、類似度データという。)を表示領域算出部227に送信する。
表示領域算出部227は、類似度の低い要素ほど広い領域を割り当てるようにする。本実施形態では類似度が表示領域のサイズを表すものとする。図6の例では、類似度の低い3番目の要素には1番目の要素よりも広い(3倍の大きさ)表示領域が割り当てられている。表示領域算出部227は、類似パターン群ごとに表示領域を示すデータ(以下、表示領域データという。)および系列パターンを示すデータ(以下、系列パターンデータという。)を要素配置部229に送信する。
ステップ113:要素配置部229は、受信した表示領域データに従って決定した表示領域に、系列パターンを構成するアクティビティを並び順に従って配置するように業務フロー図データを生成し、業務フロー図処理部221に送信する。業務フロー図処理部221は、受信した業務フロー図データに従って、業務フロー図データ記憶部231を更新し、表示装置203に送信する。表示装置203は受信した業務フロー図データに従い、業務フロー図を表示する。これにより、類似パターン群ごとにアクティビティがまとまった位置に配置される(状態308)。
以上のようにして、本実施形態の業務分析装置200によれば、業務ログから抽出された頻出系列パターンを類似パターン群に分類して表示領域を割り当てることができる。頻繁に発生する系列パターンは、業務的に関連のあるアクティビティから構成されていると考えられることから、本実施形態の業務分析装置200によれば関連するアクティビティをまとめて配置することができる。したがって、利用者は業務のまとまりを容易に把握することができる。
また、本実施形態の業務分析装置200によれば、各類似パターン群に属する系列パターンの位置ごとに、類似度(一致度)に応じたサイズの表示領域を割り当てることができる。類似(一致)するアクティビティは、有向グラフ上では1つのノードとして表され、非類似(不一致)のアクティビティは有向グラフ上では異なる複数のノードとして表されることから、類似度に応じたサイズの表示領域を割り当てることにより、適切なサイズの領域にアクティビティを配置することができる。これによりアクティビティ(ノード)間を連結するエッジ(フロー)も描画しやすくなり、有向グラフ全体の視認性を向上することができる。また、類似(一致)したアクティビティは狭い範囲にまとめて配置し、非類似(不一致)のアクティビティは広い範囲に拡散して配置することにより、業務範囲の広さを視覚的に把握することが可能となり、業務の流れを容易に把握することができる。
図7は、系列パターン類似度算出部225が行う類似パターン群内の系列パターンの先頭からの各位置についての類似度算出、表示領域算出部227が行う表示領域のサイズの算出および要素配置部229が行うアクティビティの表示領域中での配置処理の一つの例である。
類似パターン群例402は、類似パターン群に含まれる全ての系列パターンの長さ(要素の数)が同じ「4」である場合の例である。
系列パターン類似度算出部225は、それぞれの系列パターンの先頭から同じ位置の要素を比較し、すべて同一であれば小さい数値を、異なる要素があれば異なる要素の種類数に応じて大きな数値を割り当てる。実施例1では、類似するほど小さい値となるように各位置の類似度を算出する。具体的には、同じ位置でのすべての要素が同じであれば「1」を類似度とし、同じ位置に異なる要素が出現する場合には上記式(1)により類似度を算
出する。図7の例では、系列パターン類似度算出部225は、1番目の要素は全て同じ「A」であるので1を、2番目の要素も全て同じ「B」であるので1を、3番目の要素は「G」と異なる「C」が存在するため2×1+1=3を、4番目の要素は全て同じ「F」であるので1をそれぞれ算出することになる。これにより、系列パターンの各位置の類似度は「1、1、3、1」となる。
系列パターン類似度算出部225は、各位置の類似度を示す類似度データ(1、1、3、1)および系列パターンデータ({A、B、G、F}{A、B、C、F})を表示領域算出部227に送信する。
表示領域算出部227は、各位置の類似度から、系列パターンの各位置の要素を表示するための表示領域のサイズを算出する(404)。実施例1では、類似度に比例する面積の表示領域が割り当てられる。図7の例では、正方形が1単位の広さの表示領域を示しており、系列パターンの先頭から順に1個、1個、3個、1個の正方形のサイズが割り当てられる。表示領域算出部227は、系列パターンデータ({A、B、G、F}{A、B、C、F})とともに、各位置の表示領域の広さを示す表示領域データ(1、1、3、1)を要素配置部229に送信する。
要素配置部229は、各位置の表示領域を系列パターンの順序に従って配置するとともに、その表示領域に対応するアクティビティを配置するように業務フロー図データを生成する。要素配置部229は、生成した業務フロー図データを業務フロー図処理部221に送信する。
業務フロー図処理部221は、受信した業務フロー図データで業務フロー図データ記憶部231を更新し、表示装置203に業務フロー図データを送信して表示状態406のように表示させる。なお、表示状態406では、3番目の要素について縦に3つの正方形を並べた場合と、横に3つの正方形を並べた場合とを示しているが、これはいずれでも構わず、要素配置部229が他の類似パターン群の配置および表示領域の大きさに応じて適宜決定すればよい。
図8は、系列パターン類似度算出部225が行う類似パターン群内の系列パターンの各要素についての類似度算出、表示領域算出部227が行う表示領域のサイズの算出および要素配置部229が行うアクティビティの表示領域中での配置処理の別な例である。
類似パターン群例502は、類似パターン群に長さ(要素の数)の異なる系列パターンが含まれる例である。
系列パターン類似度算出部225は、各要素の類似度算出において、それぞれの系列パターンの先頭から同じ位置の要素を比較する。そこで、系列パターン類似度算出部225は、長さが短い系列パターンには、系列パターンにダミー要素を挿入し、系列パターンの長さを揃える。ダミー要素を挿入する位置は任意であるが、各要素の類似度の合計が最小となる位置に挿入するものとする。図8の例では、系列パターン21{A、H、I}2番目の位置にダミー要素「−」を挿入することで実現できる。
系列パターン類似度算出部225は上述したとおり式(1)により類似度を算出するが、ダミー要素は異なる要素とは判定しない(他の要素と重複すると判定する)ものとする。図8の例では、2番目の要素には「D」および「−」があるがダミー要素「−」は異なる要素とは判定されないことからユニーク要素数は1であり、類似度は「1」となる。したがって系列パターンの各要素の類似度は「1、1、3、1」となる(504)。系列パターン類似度算出部225は、前記の各要素の類似度を示す類似度データ(1、1、3、
1)および系列パターンデータ({A、−、H、I}{A、D、H、I}{A、D、E、I})を表示領域算出部227に送信する。
表示領域算出部227は、各要素の類似度から各位置の要素を表示するための表示領域のサイズを算出する(506)。図8の例では、系列パターンの先頭から順に「1、1、3、1」のサイズが割り当てられる。表示領域算出部227は、系列パターンデータ({A、−、H、I}{A、D、H、I}{A、D、E、I})とともに、各位置の表示領域のサイズを示す表示領域データ(1、1、3、1)を要素配置部229に送信する。
要素配置部229は、各位置の表示領域を系列パターンにおける順序に従って配置し、さらにその表示領域に、各要素に相当するアクティビティを配置するように業務フロー図データを生成する。なお、ダミー要素については、ノードとして業務フロー図データに含まれないようにする。要素配置部229は、生成した業務フロー図データを、業務フロー図処理部221に送信する。
業務フロー図処理部221は、受信した業務フロー図データで業務フロー図データ記憶部231を更新し、表示装置203に業務フロー図データを送信して表示状態508のように表示させる。
業務を遂行する際に、頻繁に発生する系列パターンは、業務的に関連のあるアクティビティから構成されていると考えられる。したがって、以上の実施例1のように、頻出する系列パターンを類似度に応じて類似パターン群に分けて近接した領域にまとめて配置することで、業務分析を行う利用者が、業務のまとまりの把握を容易に行えるようになる。
また、実施例1のように、類似パターン群に含まれる系列パターンの先頭からの位置ごとに要素の類似度を求め、この類似度に応じて各位置の表示領域のサイズを決定することにより、上述したとおり業務フロー図の視認性を向上し、業務範囲の広さを視覚的に把握することが可能となる。
実施例1によれば、上述のとおり、業務分析を行う利用者が業務のまとまりの把握を容易に行えるようになるという効果が得られる。実施例2では、抽出された系列パターンの異なる位置に同じ要素が含まれるような場合にも業務のまとまりをより正確に把握できるように、要素をなるべくまとめて表示する。
図9は、系列パターン類似度算出部225が行う類似パターン群内の系列パターンの各要素についての類似度算出、表示領域算出部227が行う表示領域のサイズの算出および要素配置部229が行うアクティビティの表示領域中での配置処理の別な例である。
図9の例では、類似パターン群602として系列31{A、D、H、I}と系列32{A、H、E、I}が抽出されている。ここで上述の実施例1に示した式(1)で系列パターン類似度算出部225が各位置の類似度を算出すると、2つの系列パターンの長さ(要素数)が等しいことから、そのままで各位置の要素を比較し、「1、3、3、1」となる(602)。系列パターン類似度算出部225は、各位置の類似度を示す類似度データ(1、3、3、1)および系列パターンデータ({A、D、H、I}{A、H、E、I})を表示領域算出部227に送信する。
表示領域算出部227は、各位置の類似度から、系列パターンの各位置の要素を表示するための表示領域のサイズを算出し(604)、系列パターンデータ({A、D、H、I}{A、H、E、I})とともに、各位置の表示領域の広さを示す表示領域データ(1、
3、3、1)を要素配置部229に送信する。
要素配置部229は、各表示領域を系列パターンの順序に従って配置するとともに、その表示領域に対応するアクティビティを配置するように業務フロー図データを生成する。要素配置部229は、生成した業務フロー図データを業務フロー図処理部221に送信する。
業務フロー図処理部221は、受信した業務フロー図データで業務フロー図データ記憶部231を更新し、表示装置203に業務フロー図データを送信して表示状態606のように表示させる。
図9の表示例606では、同一のアクティビティ「H」が2つ表示されている。そこで実施例2ではこのようなアクティビティをまとめて表示するようにする。
実施例2では、系列パターン類似度算出部225は、608に示すように、各系列にダミー要素を挿入し、系列パターン31’{A、D、H、−、I}と系列パターン32’{A、−、H、E、I}を生成する。これは、系列パターン類似度算出部225が、元の系列パターン31{A、D、H、I}と系列パターン32{A、H、E、I}に出現する要素を、順番を維持したまま1つ以上の組み合わせを抽出した場合における最長となる組み合わせ(以下、最長共通部分列という。){A、H、I}を特定し、最長共通部分列の各要素の位置が揃うようにダミー要素を挿入した状態である。系列パターン類似度算出部225は、このダミー要素を挿入した系列31’と系列32’について各位置の類似度を算出する。ここで類似度は「1、1、1、1、1」となる。系列パターン類似度算出部225は、各位置についての類似度を示す類似度データ(1、1、1、1、1)および系列パターンデータ({A、D、H、−、I}{A、−、H、E、I})を表示領域算出部227に送信する。
表示領域算出部227は、実施例1と同様に、各位置の類似度から各位置の要素を表示するための表示領域のサイズを算出する(610)。図9の例では各要素とも同じく「1、1、1、1、1」の広さが割り当てられる。表示領域算出部227は、系列パターンデータ({A、D、H、−、I}{A、−、H、E、I})とともに、各位置の表示領域の広さを示す表示領域データ(1、1、1、1、1)を要素配置部229に送信する。
要素配置部229は、各位置の表示領域を系列パターンにおける順序に従って配置し、さらにその表示領域に対応するアクティビティを配置するように業務フロー図データを生成する。ダミー要素については、ノードとして業務フロー図データに含まれないようにする。要素配置部229は、生成した業務フロー図データを業務フロー図処理部221に送信する。
業務フロー図処理部221は、受信した業務フロー図データで業務フロー図データ記憶部231を更新し、表示装置203に業務フロー図データを送信して表示状態612のように表示させる。
以上のようにして、実施例2によれば、類似パターン群に含まれる各系列パターンの要素の順序を保ちつつ、同じ要素が複数配置されることを最小限とすることができる。したがって、同じアクティビティが散在せず、利用者は業務フローを容易に把握することができる。
ここまで述べた実施例では、抽出された各頻出系列パターンは、互いに重要度などの違
いがないものとして扱っていた。例えば、ある閾値を設定し、それ以上の回数出現した系列パターンであれば頻出の系列パターンとし、それ以降の可視化までの処理においては、互いの取扱いに違いは設けていなかった。実施例3では、業務ログに出現回数の多い系列パターン(以下、高頻度系列パターンという。)の取扱いを変更し、高頻度系列パターンに挿入されたダミー要素の位置の表示領域を広くすることにより、業務分析を行う利用者が業務実態をより容易に把握することができるようにする。なお、高頻度系列パターンとは、業務フローの有向グラフを重み付けグラフとし、パスの重みとして出現回数を設定したものである。
図10は、出現回数に大きな違いのある系列パターンからなる類似パターン群が抽出された場合の、系列パターン類似度算出部225が行う類似パターン群内の系列パターンの各位置での類似度算出、表示領域算出部227が行う表示領域のサイズの算出および要素配置部229が行うアクティビティの表示領域中での配置処理の一例である。
図10の例では、類似パターン群702として系列パターン41{A、H、I}、系列パターン42{A、D、H、I}および系列パターン43{A、H、E、I}が抽出されている。このうち系列パターン41が出現頻度の最も多い高頻度系列パターンである。
実施例2と同様に処理を行った場合、系列パターン類似度算出部225は、この類似パターン群702に対し、実施例2に示した方法でダミー要素を挿入する。式(1)により各位置の類似度を算出すると、704に示すように、「1、1、1、1、1」となる。系列パターン類似度算出部225は、各位置の類似度を示す類似度データ(1、1、1、1、1)および系列パターンデータ({A、H、I}{A、D、H、I}{A、H、E、I})を表示領域算出部227に送信する。
表示領域算出部227は、各位置の類似度から、各位置の要素を表示するための表示領域のサイズを算出し、系列パターンデータとともに要素配置部229に送信する。
要素配置部229は、各位置の表示領域を系列パターンにおける順序に応じて配置し、さらにその表示領域に対応するアクティビティを配置するように業務フロー図データを生成し、業務フロー図処理部221に送信する。
業務フロー図処理部221は、受信した業務フロー図データで、業務フロー図データ記憶部231を更新し、表示装置203に業務フロー図データを送信して表示状態706のように表示させる。
ここで、出現回数が他の系列パターンに比べて多い系列パターン41は、業務フローにおけるメインフローである可能性がある。すなわち、「A→H→I」が主たる業務の流れ方であって、案件の内容によってアクティビティ「D」やアクティビティ「E」が実行される場合もある、というような業務の実態となっている可能性がある。業務分析を行う利用者はこのような業務の実態を把握することが有用である。実施例3では、高頻度系列パターンにおいてダミー要素が挿入された位置の表示領域が広く割り当てられるように、高頻度系列パターンについてはダミー要素を挿入した位置の類似度を下げるようにする。なお、本実施例では高頻度系列パターンとは、出現頻度が最大である1つの系列パターンのみであるものとするが、所定の閾値以上の出現頻度である複数の系列パターンを高頻度系列パターンとしてもよい。
系列パターン類似度算出部225は、708に示すように、各系列パターンにダミー要素を挿入し、系列パターン41”{A、f、H、f、I}、系列パターン42’{A、D、H、−、I}、系列パターン43’{A、−、H、E、I}とする。ここで、出現回数
の最も多い系列パターン41に挿入するダミー要素は、他の系列パターンに挿入するダミー要素「−」とは区別して「f」とする。これは系列パターン41をメインフローとして表示領域を割り当てることを目的としたものである。
708に示すように、系列パターン類似度算出部225による各位置の類似度の算出では、ダミー要素(「−」および「f」)については、実施例1,2と同様に、異なる要素と判定しない。しかし、「f」のダミー要素が挿入された位置については、類似度に1を加算する。すなわち高頻度系列パターンについては次式(2)により類似度を算出する。
類似度=2×(ユニーク要素数−1)+1+ダミー要素値 ・・・(2)
ここでダミー要素値とは、ダミー要素が挿入された位置である場合には1であり、そうでなければ0である。この式(2)により各位置の類似度を算出すると、708に示すように「1、2、1、2、1」が求められる。つまり、高頻度系列パターンについては、ダミー要素が挿入された位置の類似度が下がることになる。
系列パターン類似度算出部225は、各位置の類似度を示す類似度データ(1、2、1、2、1)および系列パターンデータ({A、f、H、f、I}{A、D、H、−、I}{A、−、H、E、I})を表示領域算出部227に送信する。ここで系列パターン類似度算出部225は、出現頻度も表示領域算出部227に送信するようにする。
表示領域算出部227は、実施例1と同様に各位置の類似度から各位置の要素を表示するための表示領域のサイズを算出し、系列パターンデータおよび出現頻度とともに要素配置部229に送信する。
要素配置部229は、各位置の表示領域を系列パターンにおける順序に従って配置し、さらにその表示領域に対応するアクティビティを配置するように業務フロー図データを生成する。ここで、要素配置部229は、ダミー要素「f」はノードとして業務フロー図データには含めないようにするものの、同じ位置のアクティビティ「D」およびアクティビティ「E」とは異なる要素であるものとして、異なる領域に配置するように各要素の配置位置を計算する。これによりアクティビティ「D」およびアクティビティ「E」の配置位置が調整される。
また、要素配置部229は、高頻度系列パターンを配置したパスの長さが最短となるようにアクティビティの配置位置を決定する。例えば、要素配置部229は、各系列パターンには出現頻度に応じて大きくなるように重みを割り当て、パスの長さに前述の重みを乗じた値の合計が最小となる配置位置を選択することで実現できる。要素配置部229は、生成した業務フロー図データを業務フロー図処理部221に送信する。
業務フロー図処理部221は、受信した業務フロー図データで業務フロー図データ記憶部231を更新し、表示装置203に業務フロー図データを送信して表示状態712のように表示させる。
実施例3によれば、高頻度系列パターンにおいてダミー要素が挿入された位置における類似度が下がり、割り当てられる表示領域が広くなる。また、ダミー要素は表示されなくとも要素が存在するものとして他の要素の配置位置が選択される。さらに、高頻度系列パターンに含まれるアクティビティは、パスの長さが最短になるように配置される。したがって、高頻度系列パターンにおいて、ダミー要素が挿入された位置の表示領域よりも、最長共通部分列に含まれるアクティビティの位置の方が狭い表示領域となり、これが最短距離となるように配置されることから、最長共通部分は直線的な配置となる。よって、業務フローにおけるメインフローの可能性のある、出現頻度の高い系列パターンを構成するフ
ローを、他のアクティビティと分離して配置することができ、利用者が業務フローにおけるメインフローである可能性のある部分を把握しやすくすることができる。
業務においては、各業務機能に階層関係が定義されている場合も多い。実施例4では、業務フローを構成するアクティビティに階層関係が定義されている場合に、上位の階層のアクティビティを配置することにより、業務の流れを把握しやすくする。
図11は、頻出系列パターンからなる類似パターン群に加え、系列パターンを構成するアクティビティに関する階層関係が得られた場合の、系列パターン類似度算出部225が行う類似パターン群内の系列パターンの各位置での類似度算出、表示領域算出部227が行う表示領域のサイズの算出および要素配置部229が行うアクティビティの表示領域中での配置処理の例である。
図11の例では、類似パターン群802として、系列パターン51{A、C、H、F}、系列パターン52{A、D、H、I}および系列パターン53{A、H、E、G}が抽出されている。
また、類似パターン群802を構成するアクティビティに関する階層関係804が得られており、この階層関係804を示すデータが業務分析装置200の外部記憶装置209に格納されている。図11の例では、アクティビティ「C」およびアクティビティ「D」が上位階層のアクティビティ「B」に含まれ、また、アクティビティ「F」、アクティビティ「G」およびアクティビティ「I」が上位階層のアクティビティ「J」に含まれている。
系列パターン類似度算出部225は、アクティビティの階層関係804を示すデータを外部記憶装置209から読み出し、データの内容に従って、系列パターンに含まれるアクティビティを上位階層のアクティビティに置き換える。図11の例では、系列パターン類似度算出部225は、類似パターン群データ802に含まれるアクティビティ「C」およびアクティビティ「D」をアクティビティ「B」に置き換え、アクティビティ「F」、アクティビティ「G」およびアクティビティ「I」をアクティビティ「J」に置き換える。これにより、系列パターン51は{A、B、H、J}、系列パターン52は{A、B、H、J}、系列パターン53は{A、H、E、J}と置き換えられることになる。
また、系列パターン類似度算出部225は、実施例2と同様に、置き換え後の系列パターンにおける最長共通部分列{A、H、J}の各要素の位置が揃うようにダミー要素を挿入し、類似パターン群データ806を生成する。ここで、系列パターン51’{A、B、H、−、J}、系列パターン52’{A、B、H、−、J}および系列パターン53’{A、−、H、E、J}が求められる。
系列パターン類似度算出部225は、各位置の要素を比較し、類似度「1、1、1、1、1」を算出する。また、系列パターン類似度算出部225は、上位階層に置き換えた各位置の類似度について、置き換えたアクティビティの下位階層に定義されているアクティビティの個数に置き換えた類似度(以下、詳細類似度という。)を作成する。図11の例ではアクティビティ「B」は下位が「C,D」であるから「2」、アクティビティ「J」は下位が「F,G,I」であるから「3」であるため、アクティビティ「B」およびアクティビティ「J」に該当する位置(先頭から2番目と5番目)の類似度を、「2」および「3」にそれぞれ置き換えた詳細類似度「1、2、1、1、3」が生成される。系列パターン類似度算出部225は、各位置の類似度および詳細類似度を表示領域算出部227に送信する。
表示領域算出部227は、各位置の類似度から、各位置の要素を表示するための表示領域のサイズを算出し、系列パターンデータとともに要素配置部229に送信する。
要素配置部229は、各位置の表示領域を系列パターンにおける順序に応じて配置するとともに、その表示領域に対応するアクティビティを配置するように業務フロー図データを生成し、業務フロー図処理部221に送信する。
業務フロー図処理部221は、受信した業務フロー図データで業務フロー図データ記憶部231を更新し、表示装置203に業務フロー図データを送信して表示状態808のように表示させる。これにより、上位階層のアクティビティで業務フローが可視化される。
また、上位階層アクティビティ「B」およびアクティビティ「J」について、利用者からの詳細表示への変更の指示入力を入力装置201で受け付けた場合、表示領域算出部227は、詳細類似度により表示領域のサイズを算出し、系列パターンデータとともに要素配置部229に送信する。
要素配置部229は、各位置の表示領域を系列パターンにおける順序に応じて配置するとともに、その表示領域に対応するアクティビティを配置するように業務フロー図データを生成し、業務フロー図処理部221に送信する。
業務フロー図処理部221は、受信した業務フロー図データで業務フロー図データ記憶部231を更新し、表示装置203に業務フロー図データを送信して表示状態810のように表示させる。これにより下位階層のアクティビティにより業務フローを可視化することもできる。
実施例4によれば、各アクティビティに階層関係が定義されている場合、その階層関係も反映した業務フローの可視化が可能となり、より上位階層の業務フローを可視化することにより業務の全体像を容易に把握することができる。また、実施例4では、利用者からの入力指示に従い、表示するアクティビティの粒度を変更することが可能である。したがって、業務フローの全体像を確認した後に詳細な業務フローの確認を行うようにすることが可能となり、業務の流れを容易に把握することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、業務分析支援ツールを業務分析装置200単体で実行するのではなく、業務分析装置200では業務フロー図処理部221を実行し、頻出系列パターン抽出部223、系列パターン類似度算出部225、表示領域算出部227および要素配置部229を備える業務フロー図処理サーバを設け、業務分析装置200に設けた通信装置により業務フロー図処理サーバと通信しながら、業務フロー図の可視化の処理を行うようにした構成などでもよい。
また、上記した実施例では、系列パターンの各位置の類似度を算出する際に割り当てる数値について、分かりやすくするために具体的な値を用いているが、この値に限定されるものではない。例えば、式(1)(2)において、ユニーク要素数から1を減じているが、ユニーク要素数を用いてもよいし、これに乗じる2の値も、1,1.5,3,5など任意の正の値とすることができる。また、式(1)(2)の第2項において1を加算しているが、これを加算しなくてもよいし、1よりも大きい任意の値を加算するようにしてもよい。さらに、式(1)(2)は、系列パターンにおける同じ位置での要素の類似度を計算するものであればよく、ユニーク要素数を類似度としてもよいし、一致する要素の数また
は不一致の要素の数を関数に与えた結果を類似度としてもよい。
また、上記実施例では、系列パターンの各位置で要素がどれだけ一致するかに応じて類似度を計算するものとしたが、要素の類似性を判定するようにしてもよい。たとえば、要素を表す文字列の一致度に応じて要素の類似度を計算するようにしてもよい。
また、上記実施例では、類似度は高いほど小さな値となるように計算し、類似度と表示領域のサイズとが比例するようにしたが、これに限らず、類似度が高くなるほど表示領域のサイズが小さくなるような関係となればよい。また、上記実施例では、説明を簡単にするため、1単位の大きさの正方形の数を類似度分だけ設けたものを表示領域の大きさとしたが、これに限らず、たとえば類似度の半径の円を表示領域の大きさとしてもよいし、任意の形状の表示領域としてもよい。この場合、類似度が高くなるほど表示領域の面積が小さくなるようにすればよい。
また、本実施形態および実施例1〜4では、業務ログから出現回数により頻出系列パターンを抽出するものとしたが、業務ログから業務フロー図(有向グラフ)を作成しておき、業務フロー図に含まれるパスを抽出するようにしてもよい。この場合、頻出系列パターン抽出部223は、例えば、図6の302に示すような有向グラフから、各ノードを視点として所定の最大値までの長さのパスを抽出していくことができる。
また、実施例4では、類似度を下位階層のアクティビティの個数に置き換えて詳細類似度を求めるものとしたが、詳細類似度は実施例1〜3に記載した方法により求めるようにしてもよい。
また、本実施形態および実施例1〜4では、有向グラフは業務フローを表すものとしたが、業務フローに限らず、各種の有向グラフについて視認性を向上するために用いることができる。
また、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、また
は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。