JP6269971B2 - 無方向性電磁鋼板とモータコア - Google Patents

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Description

本発明は、無方向性電磁鋼板とモータコアに関し、具体的には、高強度であるとともに歪取焼鈍後の磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板と、上記鋼板を打抜加工後、積層してなるロータコアおよびステータコアに関するものである。
近年の世界的な省エネルギーに対する要求の高まりにより、電気機器の1つである回転機の鉄心材料(モータコア)に用いられる無方向性電磁鋼板に対しても、より高性能な特性が要求されるようになってきている。なお、上記モータコアは、固定子と呼ばれるステータコアと、回転子と呼ばれるロータコアに分けられる。
また、最近では、電気自動車用モータ等において、小型高出力モータへのニーズが強く、モータの回転数を高速化することで、モータトルクを稼ぐ設計がなされるようになってきている。電気自動車用モータは、従来のモータよりも外径が大きいため、高速回転するロータ外周部には、大きな遠心力が働く。それに、ロータの構造によっては、幅が1〜2mmと非常に狭い部分が生じる。
そのため、ステータコアを構成する無方向性電磁鋼板には、モータの小型化と省エネルギー化のため、高磁束密度と低鉄損であることが要求されるが、ロータコアを構成する無方向性電磁鋼板には、磁束密度が高いだけでなく、従来よりも高強度であることが要求されるようになってきている。このように、同じモータに使用される電磁鋼板であっても、ロータコアとステータコアでは、素材鋼板に対する要求特性が大きく異なる。
高磁束密度の無方向性電磁鋼板を得る技術としては、例えば、特許文献1には、Alとともに、CとNの両者を併せて低減し、結晶粒成長性を向上させることで高磁束密度化を図る技術が提案されている。また、高強度の無方向性電磁鋼板を得る技術としては、例えば特許文献2には、Nb,Zr,Ti,Vの炭窒化物を鋼中に分散させ、結晶粒成長を抑止することで、高強度化を図る方法が提案されている。
特許第4258951号 特許第3305806号
ところで、モータコアの製造に当たっては、材料の歩留まりを高めるため、ロータコアとステータコアを構成する鋼板は、同一の素材鋼板からプレスによって打抜加工されるのが一般的である。しかし、特許文献1や特許文献2に開示されている回転機用の無方向性電磁鋼板は、ロータコアとステータコア双方の要求特性を満たすものではない。そのため、ロータコア用、ステータコア用の鋼板(以降、それらを「ロータコア材」、「ステータコア材」という)を同一の素材鋼板から採取することは、ロータコア材に要求される強度あるいはステータコア材に要求される鉄損特性のいずれかが犠牲にされているという問題がある。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的は、同一の素材鋼板から高強度かつ高磁束密度のロータコア材と、低鉄損かつ高磁束密度のステータコア材を採取することができる無方向性電磁鋼板と、その鋼板を用いたモータコアを提供することにある。なお、本発明のロータコア材に要求される降伏応力は400MPa以上とする。
発明者らは、上記課題の解決に向け、鋼板成分と、仕上焼鈍後および歪取焼鈍後の鋼板特性(強度特性、磁気特性)に着目して鋭意検討した。その結果、鋼板成分を適正範囲に制御した鋼板、具体的には、Alを無添加とし、Pを適量添加した鋼板は、仕上焼鈍後は高強度でかつ高磁束密度であるが、上記鋼板にTiを適量添加することで、粒成長性が改善され、歪取焼鈍後、低鉄損かつ高磁束密度の鋼板を得ることができることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、C:0.005mass%以下、Si:1.5〜6.0mass%、Mn:0.05〜2.0mass%、P:0.03〜0.15mass%、S:0.005mass%以下、N:0.005mass%以下、Al:0.005mass%以下およびTi:0.001〜0.02mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、仕上焼鈍後の降伏応力が400MPa以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板である。
本発明の上記無方向性電磁鋼板は、上記成分組成に加えてさらに、Sn:0.005〜0.2mass%およびSb:0.005〜0.2mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする。
また、本発明の上記無方向性電磁鋼板は、上記成分組成に加えてさらに、Ca:0.0005〜0.03mass%およびREM:0.0005〜0.03mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の無方向性電磁鋼板を打抜加工後、積層してなるものであることを特徴とする回転機のロータコアである。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の無方向性電磁鋼板を打抜加工し、積層した後、歪取焼鈍を施してなるものであることを特徴とする回転機のステータコアである。
本発明によれば、同一の素材鋼板から高強度かつ高磁束密度のロータコア材と、低鉄損かつ高磁束密度のステータコア材を採取することができるので、素材コストの低減のみならず、モータ効率の向上に寄与することができる。
PとAlの添加量が磁束密度B50に及ぼす影響を示すグラフである。 PとAlの添加量が歪取焼鈍前および後の鉄損W10/400に及ぼす影響を示すグラフである。 PとTiの添加量が歪取焼鈍後の鉄損W10/400に及ぼす影響を示すグラフである。 仕上焼鈍後の粒径と仕上焼鈍後の降伏応力との関係を示すグラフである。
本発明を開発するに至った実験について説明する。
<実験1>
最初に、高強度で高磁束密度のロータコア材を得るため、磁束密度に及ぼすPの影響を調査した。
C:0.003mass%、Si:3.0mass%、Mn:0.05mass%、S:0.002mass%、N:0.002mass%、Ti:0.0005mass%を含有し、さらに、Pを0.01〜0.15mass%の範囲で種々に変化させ、Alを0.2mass%(Al添加鋼)および0.002mass%(Al無添加鋼)の2水準で変化させた鋼を実験室的に溶解し、鋳塊とした後、熱間圧延して板厚2.0mmの熱延板とした。次いで、上記熱延板に、1000℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、酸洗し、冷間圧延して板厚0.25mmの冷延板とした後、20vol%H−80vol%Nの雰囲気下で800℃×10sの仕上焼鈍を施し、無方向性電磁鋼板とした。
斯くして得た無方向性電磁鋼板について、JIS C2550に規定された25cmエプスタイン法で、磁束密度B50を測定し、その結果を図1に示した。図1から、磁束密度B50は、Alの添加量に影響され、Alの添加量が0.2mass%のときは、Pの添加量が増加しても磁束密度はほとんど変化しないが、Alの添加量が0.002mass%のときは、Pの添加量が0.03mass%以上で、磁束密度が大きく上昇することがわかった。Al無添加鋼で、Pの含有量の増加に伴って磁束密度が向上する理由については、まだ十分に明らかとなっていないが、Alを含まないことによって、AlとPとの間の何らかの相互作用が無くなることで、Pの結晶粒界への偏析が促進され、それによって再結晶が影響され、集合組織が改善されたためであると考えられる。
<実験2>
次に、高磁束密度、低鉄損のステータコア用を得るため、Al無添加、P添加とした鋼板の鉄損特性に及ぼす歪取焼鈍の影響を調査した。
<実験1>で得られた材料に、N雰囲気下で750℃×2hrの歪取焼鈍を施した後、JIS C2550に規定された25cmエプスタイン法で鉄損W10/400を測定し、その結果を図2に示した。図2から、歪取焼鈍の影響はAlの添加量に影響され、Alの添加量が0.2mass%のときは鉄損が大きく改善されるが、Alの添加量が0.002mass%のときには鉄損はあまり改善されないことがわかった。
この原因を調査するため、TEMで鋼板組織を観察したところ、Al:0.2mass%の鋼板では、粒内に、2.0μm程度の比較的大きなAlNの析出物が認められたが、Al:0.001mass%の鋼板では、粒界に、0.1μm程度の非常に微細なSiの析出物が多数認められた。この結果から、Al添加鋼では、NとAlが窒化物AlNとして粗大に析出し、安定して析出状態を保持しているが、Al無添加鋼ではAlが少ないため、NがSiとして粒界に微細に析出するため、歪取焼鈍における粒成長が阻害され、鉄損が改善されなかったものと考えられる。
<実験3>
そこで、窒化物(Si)の微細析出を防止し、歪取焼鈍による低鉄損化を達成するため、歪取焼鈍における粒成長に及ぼすTi添加の影響を調査した。
C:0.003mass%、Si:3.0mass%、Mn:0.05mass%、S:0.002mass%、N:0.002mass%、Al:0.001mass%を含有し、Tiを0.0003〜0.02mass%の範囲で変化させ、さらに、Pを0.005mass%(P無添加鋼)および0.04mass%(P添加鋼)の2水準で変化させた鋼を実験室的に溶解し、鋳塊とした後、熱間圧延して板厚2.0mmの熱延板とした。次いで、上記熱延板に、1000℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、酸洗し、冷間圧延して板厚0.25mmの冷延板とした後、20vol%H−80vol%N雰囲気下で800℃×10sの仕上焼鈍し、引き続き、N雰囲気下で750℃×2hrの歪取焼鈍を施した。
斯くして得た歪取焼鈍後の鋼板について、JIS C2550に規定された25cmエプスタイン法で鉄損W10/400を測定し、その結果を図3に、鉄損W10/400とTi添加量との関係として示した。図3から、P添加量が0.005mass%のときは、Tiの添加量を増加させても歪取焼鈍後の鉄損はほとんど改善されないが、Pの添加量が0.04mass%のときは、Tiを0.001mass%以上添加することで、鉄損が大きく改善されていることがわかる。
この原因を調査するため、TEMで鋼板組織の観察を行ったところ、P:0.005mass%の鋼板では、Tiの添加によって、粒界に、Siに代わり、微細なTiNの析出物が多数認められたのに対し、P:0.04mass%の鋼板では、粒内に、比較的大きなTiNの析出物が認められた。この結果から、P無添加鋼では、Ti添加によって、Siの代わりに窒化物TiNが粒界に微細析出し、歪取焼鈍における粒成長が阻害され、一方、P添加鋼では、その原因はまだ明確ではないが、TiNがPの何らかの作用によって粗大に析出し、窒化物の粒界への微細析出が防止されたため、歪取焼鈍における粒成長が阻害されずに鉄損が改善されたものと考えられる。
<実験4>
次に、ロータコア材に要求される高強度かつ高磁束密度の特性を達成するため、強度に及ぼす粒径の影響の調査を行った。
C:0.003mass%、Si:3.0mass%、Mn:0.05mass%、P:0.08mass%、S:0.002mass%、N:0.002mass%、Al:0.001mass%、Ti:0.004mass%の鋼を実験室的に溶解し、鋳塊とした後、熱間圧延して板厚2.0mmの熱延板とし、1000℃×30秒の熱延板焼鈍を施し、酸洗し、冷間圧延して板厚0.25mmの冷延板とした後、20vol%H−80vol%N雰囲気下で、600〜1000℃の温度で10s間保持する仕上焼鈍を施して粒径を種々に変化させた。
斯くして得た仕上焼鈍後(歪取焼鈍前)の鋼板について、JIS G0551の切断法に準拠して結晶粒径を測定し、さらに、仕上焼鈍後の鋼板について、JIS Z2241に準拠して引張試験を行い、降伏応力YSを測定した。なお、引張試験片にはJIS Z2201に規定された5号試験片を用いた。
仕上焼鈍後の結晶粒径と降伏応力との関係を図4に示した。図4から、仕上焼鈍後(歪取焼鈍前)の結晶粒径が小さくなると、降伏応力が高くなることがわかる。ここで、本発明のロータコア材に要求される降伏応力を400MPa以上とすると、上記鋼板における仕上焼鈍後(歪取焼鈍前)の結晶粒径は40μm以下が必要であることがわかる。なお、ロータコア材に要求される降伏応力は、好ましくは430MPa以上である。
上記の結果から、Alを添加せず、Pを添加することで、高磁束密度の無方向性電磁鋼板が得られ、また、上記鋼板にさらにTiを適正量添加することで、粒成長性が改善され、鉄損を改善することができるので、同一の素材鋼板からロータコア材及びステータコア材を採取することができること、すなわち、ロータコア材に要求される高強度を有する無方向性電磁鋼板を製造し、モータコア材およびステータコア材を打抜加工して積層してモータコアおよびステータコアを組み立てた後、ステータコアのみに歪取焼鈍を施すことで、ステータコアの低鉄損化を図ることができることがわかった。
本発明は、上記の知見に基き開発したものである。
次に、本発明の無方向性電磁鋼板の成分組成について説明する。
C:0.005mass%以下
Cは、0.005mass%を超えて過剰に存在すると、磁気時効を起こして鉄損特性が劣化する。よって、本発明では、Cは0.005mass%以下に制限する。好ましくは0.003mass%以下である。
Si:1.5〜6.0mass%
Siは、鋼の固有抵抗を高め、鉄損を低減するのに有効な元素である。なお、本発明では、同様の効果を有するAlを添加してしない。そこで、本発明では、Siを1.5mass%以上添加する。しかし、6mass%を超える添加は、鋼の脆化を招くため、上限を6mass%とする。好ましくは1.5〜4.0mass%の範囲である。
Mn:0.05〜2.0mass%
Mnは、熱間圧延時の赤熱脆性を防止するため、0.05mass%以上添加する必要がある。しかし、2.0mass%を超えると、原料コストの上昇を招く。よって、Mnは0.05〜2.0mass%の範囲とする。好ましくは0.05〜1.0mass%の範囲である。
P:0.03〜0.15mass%
Pは、前述したように、磁束密度の改善および粒成長性の確保に有効な元素であるため、0.03mass%以上添加する必要がある。しかし、0.15mass%を超えると、鋼の脆化を招き、製造に支障をきたすようになる。よって、Pは0.03〜0.15mass%の範囲とする。好ましくは0.03〜0.10mass%の範囲である。
S:0.005mass%以下
Sは、MnS等の硫化物を形成して鉄損を増加させる有害元素であるので、上限を0.005mass%とする。好ましくは0.003mass%以下である。
N:0.005mass%以下
Nは、窒化物を形成して、粒成長を阻害し、鉄損を劣化させる有害元素であるため、0.005mass%以下に制限する。好ましくは0.003mass%以下である。
Al:0.005mass%以下
Alは、P添加による磁束密度向上効果を得るため、本発明では0.005mass%以下に制限することが必要である。好ましくは0.003mass%以下である。
Ti:0.001〜0.02mass%
Tiは、前述したように、TiNとなって析出し、微細なSiの生成を抑制する効果がある。また、P添加下では、TiNが粗大化して、歪取焼鈍時の粒成長を促進する効果がある。上記効果を得るためには、Tiは0.001mass%以上添加する必要がある。しかし、0.02mass%を超えて添加すると、磁束密度の低下を招く。よって、Tiは0.001〜0.02mass%の範囲とする。好ましくは0.002〜0.01mass%の範囲である。
本発明の無方向性電磁鋼板は、上記必須とする成分に加えてさらに、Sb:0.005〜0.2mass%およびSn:0.005〜0.2mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することができる。
SbおよびSnは、集合組織を改善し、磁束密度を向上するのに有効な元素であり、上記効果を得るためには、少なくとも0.005mass%の添加を必要とする。しかし、0.2mass%を超える添加では、上記効果が飽和する。よって、添加する場合は、それぞれ上記範囲で添加するのが好ましい。
本発明の無方向性電磁鋼板は、上記成分に加えてさらに、Ca:0.0005〜0.03mass%およびREM:0.0005〜0.03mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することができる。
CaおよびREMは、自らが粗大な硫化物を形成して析出し、微細析出を抑制するため、鉄損を低減するのに有効な元素である。上記効果を得るためには、CaおよびREMをそれぞれ0.0005mass%以上添加する必要がある。しかし、いずれの元素も0.03mass%超えでは、上記効果が飽和する。よって添加する場合は、それぞれ上記範囲で添加するのが好ましい。
次に、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明の無方向性電磁鋼板は、その素材として、Al,PおよびTiの含有量が上記に説明した適正範囲にあるスラブを用いる限り、公知の無方向性電磁鋼板の製造方法で製造することができる。例えば、転炉あるいは電気炉などで得た溶鋼を脱ガス設備等で二次精錬する公知の精錬プロセスで上記成分組成に調整した鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼素材(スラブ)とした後、該スラブを熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍した後、酸洗し、冷間圧延し、仕上焼鈍する方法で製造することができる。
ここで、上記熱間圧延した鋼板(熱延板)の板厚は、1.0〜3.0mmの範囲とするのが好ましい。1.0mm未満では、熱間圧延での圧延トラブルが増加し、一方、3.0mm超えでは、冷延圧下率が高くなり過ぎて、集合組織が劣化するからである。
また、上記熱延板に熱延板焼鈍を施す場合には、均熱温度は900〜1200℃の範囲とするのが好ましい。900℃未満では、焼鈍の効果が十分に得られないため磁気特性が向上せず、一方、1200℃を超えると、コスト的に不利となる他、スケール起因の表面疵が発生するようになるからである。
続く冷間圧延は、1回または中間焼鈍を挟む2回以上とするのが好ましい。特に、最終板厚とする冷間圧延は、板温を200℃程度として圧延する温間圧延とすることが、磁束密度を向上する効果が大きいので好ましい。なお、上記冷延板の板厚(最終板厚)は、0.1〜0.4mmの範囲とするのが好ましい。0.1mm未満では、生産性が低下し、一方、0.4mm超えでは鉄損の低減効果が小さいからである。
続き上記冷延板に施す仕上焼鈍は、700〜1100℃の温度で、5〜300秒間均熱保持する連続焼鈍とするのが好ましい。均熱温度が700℃未満では、再結晶が十分に進行せず、良好な磁気特性が得られないことに加え、連続焼鈍における鋼板の形状矯正効果が得られない。一方、1100℃を超えると、結晶粒が粗大化し、特に高周波数域での鉄損が増加するからである。
ここで、重要なことは、上記仕上焼鈍条件(均熱温度、均熱時間)は、仕上焼鈍後の鋼板の結晶粒径を介して、降伏応力が400MPa以上、好ましくは430MPa以上を確保できるよう、鋼板の成分組成等に応じて、適宜調整することである。降伏応力が400MPa未満では、高速回転する近年のモータコア、特に、ロータコアには使用できないからである。
次に、上記仕上焼鈍後の鋼板を用いた本発明のモータコアについて説明する。
上記のようにして得た仕上焼鈍後の鋼板は、磁束密度が高く、かつ、降伏応力が400MPa以上の高強度を有する。そのため、上記鋼板を回転機(モータ)のロータコアの形状に打抜加工し、積層することで所望の特性(高強度かつ高磁束密度)を有するロータコアとすることができる。一方、回転機(モータ)のステータコアは、上記鋼板をステータコアの形状に打抜加工し、積層してステータコアを組み立てた後、歪取焼鈍を施すことで、所望の特性(低鉄損かつ高磁束密度)を有するステータコアとすることができる。
ここで、上記歪取焼鈍は、例えば、不活性ガス雰囲気下において、700〜900℃の温度で0.1〜10hr保持する条件で行うことが好ましい。700℃未満あるいは0.1hr未満では、歪取焼鈍による粒成長が不足し、所望の鉄損低減効果が得られない。一方、900℃超えあるいは10hr超えでは、上記効果が飽和するだけでなく、生産性が低下するため、好ましくない。この際、ロータコアには、粒成長を伴う歪取焼鈍は行わず、高い強度を保ったままにするのがよい。
表1に示す各種成分組成を有する鋼を常法の精錬プロセスで溶製し、連続鋳造法でスラブとした後、該スラブを1140℃の温度に1hr再加熱し、熱間圧延して板厚2.0mmの熱延板とし、1000℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、酸洗し、冷間圧延して板厚0.25mmの冷延板とした後、700〜900℃の温度で10s間保持する仕上焼鈍を施し、無方向性電磁鋼板とした。斯くして得た各々の鋼板について、25cmエプスタイン試験法で磁気特性(鉄損W10/400、磁束密度B50)を測定するとともに、JIS G0551の切断法に準拠して結晶粒径を測定し、JIS Z2241に準拠して引張試験を行い、降伏応力YSを測定した。なお、引張試験片にはJIS Z2201に規定された5号試験片を用いた。
その後、上記鋼板に、750℃×2hrの歪取焼鈍を施した後、上記と同じ方法で、磁気特性(鉄損W10/400、磁束密度B50)を測定した。
Figure 0006269971
上記測定の結果を表1に併記した。この結果から、本発明に適合する鋼板は、仕上焼鈍後は、高強度でかつ高磁束密度の特性を有し、また、歪取焼鈍後は、高磁束密度で低鉄損の特性を有することから、同一の素材鋼板からロータコア材とステータコア材の両方を採取することができることがわかる。

Claims (5)

  1. C:0.005mass%以下、Si:1.5〜6.0mass%、Mn:0.05〜2.0mass%、P:0.03〜0.15mass%、S:0.005mass%以下、N:0.005mass%以下、Al:0.005mass%以下およびTi:0.001〜0.02mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、降伏応力が400MPa以上であり、板厚0.25mmであるときの磁束密度B 50 が1.662T以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  2. 上記成分組成に加えてさらに、Sn:0.005〜0.2mass%およびSb:0.005〜0.2mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
  3. 上記成分組成に加えてさらに、Ca:0.0005〜0.03mass%およびREM:0.0005〜0.03mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板を打抜加工後、積層してなるものであることを特徴とする回転機のロータコア。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板を打抜加工し、積層した後、歪取焼鈍を施してなるものであり、板厚0.25mmであるときの磁束密度B 50 が1.663T以上、鉄損W 10/400 が15.2W/kg以下であることを特徴とする回転機のステータコア。
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