図1は、本発明に係る画像形成装置10の一実施形態を示す斜視図であり、図1(A)は、原稿押さえ部材13が閉じられた状態、図1(B)は、原稿押さえ部材13が開かれた状態をそれぞれ示している。また、図2は、図1に示す画像形成装置10の断面図であり、図2(A)は、図1(A)のIIA−IIA線断面図、図1(A)のIIB−IIB線断面図である。なお、図1および図2において、X−X方向を幅方向(左右方向)、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
これらの図に示すように、画像形成装置10は、原稿に形成された画像を読み取る原稿読取部20と、この原稿読取部20の下方に設けられた画像形成部30と、前記原稿読取部20の前方位置から前方に向かって突設された部分に設けられた操作部40と、画像形成部30により画像形成処理が施されることによって印刷された用紙Pが排紙される排紙部50とを備えた基本構成を有している。
かかる画像形成装置10は、所定の筐体11内に前記各部が内装されることによって形成されている。かかる筐体11は、原稿読取部20の構成要素である後述の光学系ユニット23を内装するための扁平な直方体状を呈した画像読取部筐体(画像読取部本体)12と、この画像読取部筐体12の上部に開閉可能に積み重ねられる原稿押さえ部材13と、この原稿押さえ部材13上に形成された後述の原稿自動供給部21が内装される原稿自動供給部筐体14と、画像形成部30を内装するべく画像読取部筐体12の下方に形成された画像形成部筐体(画像形成部本体)15とを備えている。原稿自動供給部筐体14は、原稿押さえ部材13の略左半分の位置に設けられている。
画像読取部筐体12と、画像形成部筐体15との間には、前方を除いて三方が囲まれた状態の平面視でコ字状を呈する連結部16が設けられている。本実施形態においては、この連結部16は、画像形成部筐体15の前方を除く三方が上方に向けて延設されることによって形成されている。そして、前記排紙部50は、連結部16を介して原稿自動供給部筐体14と画像形成部筐体15との間に形成されている。これにより本実施形態に係る画像形成装置10は、胴内排紙型と称されている。
そして、本実施形態においては、原稿読取部20における原稿P1の搬送方向と、画像形成部30における用紙Pの搬送方向とは互いに直交するように方向設定されている。具体的には、図1(A)に二点鎖線の矢印で示すように、原稿P1は左右方向に向けて搬送されるのに対し、用紙Pは、前後方向に向けて搬送される。
このようにされるのは、以下の理由による。すなわち、ユーザーが原稿P1を筐体11頂部の原稿トレイ22に載置する際、その載置状態(特に原稿束の先端が確実に装着位置に位置したか否かの状態)を視認するためには、ユーザーから見て原稿P1が横向きになっている方が好都合である。これに対し、胴内排紙型の排紙部50の場合、用紙Pがユーザーに向かって排紙される方が、当該用紙Pの束を排紙部50から引き出すのに都合がよい。これら両条件を満足させるべく、本実施形態においては、用紙Pの搬送方向と、用紙Pの搬送方向とを直交させている。
前記原稿読取部20は、原稿を所定の画像読み取り位置へ自動的に供給する原稿自動供給部21と、この原稿自動供給部21へ供給されるべき原稿P1の束を載置する、原稿自動供給部21の右面開口から右方へ向かって斜め上に延設された原稿トレイ22と、原稿自動供給部21によって供給される1枚ずつの原稿から原稿画像を光学的に読み取る光学系ユニット23とを備えている。
画像読取部筐体12には、矩形状で大きく開かれた上面開口に原稿の画像形成面を当接させるためのコンタクトガラス24が嵌め込まれている。このコンタクトガラス24は、図1(B)に示すように、画像読取部筐体12の上面中央部を略覆う載置原稿用ガラス241と、この載置原稿用ガラス241の直ぐ左側に配設された前後方向に細長く延びる自動給紙原稿用ガラス242とを有している。
一方、前記原稿押さえ部材13は、その後縁部が左右方向一対の蝶番部材131を介して画像読取部筐体12の後縁部上面に連結され、各蝶番軸132回りに正逆回動操作することにより、コンタクトガラス24を塞いだ閉止姿勢(図1(A)参照)と、コンタクトガラス24を開放した開放姿勢(図1(B)参照)との間で姿勢変更することができる。
そして、例えばブック原稿のように厚手の原稿P1の原稿画像を読み取るときは、原稿押さえ部材13を開いた状態で原稿面が密着するように載置原稿用ガラス241上に当該原稿P1を載置し、その後、原稿押さえ部材13が閉じられた状態で光学系ユニット23により原稿画像が読み取られる。
これに対し、枚葉紙からなる原稿P1の束から各原稿P1の原稿画像を読み取るときには、原稿押さえ部材13が閉止姿勢に姿勢設定された状態(図1(A))で当該原稿束が原稿トレイ22上に載置され、この状態でスタートボタン43が押釦される。これにより原稿自動供給部21の所定の動作で原稿トレイ22上の原稿束から原稿P1が一枚ずつ自動給紙原稿用ガラス242へ向けて繰り出され、原稿面が自動給紙原稿用ガラス242上を通過するときに当該原稿画像が光学系ユニット23によって読み取られる。
以下、図2(A)を基に光学系ユニット23について説明する。光学系ユニット23は、いわゆるCCD(charge coupled device)移動タイプと称されるものであり、左右方向へ移動する移動枠体230と、この移動枠体230に内装された照射ランプ231、この照射ランプ231から照射された光の原稿面からの反射光をさらに反射させる複数枚の反射ミラー232、これら反射ミラー232からの反射光を集光して焦点距離を調節するレンズユニット234およびレンズユニット234から入光された光による画像情報を電気信号に変換するCCDイメージセンサ235とを備えて構成されている。前記照射ランプ231は、移動枠体230内の左右方向の中央位置より若干右寄りの位置の上部に設けられている。
前記反射ミラー232は、移動枠体230内の右半分の位置に設けられ、照射ランプ231が照射した光の原稿P1からの反射光を最初に受けて反射する第1ミラー232aと、この第1ミラー232aの反射光を受けて反射する第2ミラー232bと、この第2ミラー232bからの反射光をさらに反射させてレンズユニット234へ入光させる第3ミラー232cとの3枚が採用されている。第3ミラー232cは、特に凹面鏡によって形成され、その焦点位置にレンズユニット234が位置するようになされている。
前記レンズユニット234は、画像読取部筐体12の略中央位置に設けられているとともに、前記CCDイメージセンサ235は、前後方向の略中央位置で、かつ、レンズユニット234の直ぐ左側に設けられ、レンズユニット234で集光された光は、そのままCCDイメージセンサ235に向けて出力される。そして、レンズユニット234からの光が入光されたCCDイメージセンサ235は、当該光をその強弱に応じた電気信号に変換した上でデジタル化し、所定の記憶装置を介して画像形成部30の露光装置315に向けて出力する。
かかる光学系ユニット23において、移動枠体230を移動させるための移動機構25が設けられている。この移動機構25は、画像読取部筐体12内の右端部の底板121上に据え付けられた駆動モータ251と、この駆動モータ251の駆動力が減速状態で伝達されるギヤ機構252と、このギヤ機構252を介して前記駆動モータ251の駆動力が伝達される駆動プーリ253と、底板121の左端位置で駆動プーリ253と対向配置された従動プーリ254と、この従動プーリ254および前記駆動プーリ253間に張設されたスキャナベルト255とを備えている。そして、前記スキャナベルト255の一部が光学系ユニット23の移動枠体230の適所に固定されている。
かかる移動機構25によれば、駆動モータ251を正逆駆動させることにより、この駆動がギヤ機構252を介して減速状態で駆動プーリ253に伝達され、これによるスキャナベルト255の駆動プーリ253および従動プーリ254間の周回によって当該スキャナベルト255に固定された光学系ユニット23が正逆移動することになる。
従って、載置原稿用ガラス241上に載置された原稿P1の原稿面を読み取るときは、駆動モータ251の駆動によるスキャナベルト255の周回で移動枠体230が画像読取部筐体12内の左端部(ホームポジション)からの右方に向けて移動されつつ、照射ランプ231からの光で載置原稿用ガラス241上の原稿P1の画像が走査され、当該走査による反射光を介しCCDイメージセンサ235に入力されて原稿画像が読み取られる。
これに対し、原稿トレイ22上に載置された原稿P1の束から自動的に原稿P1を1枚ずつ繰り出させて各原稿P1の画像を読み取るときには、まず、移動枠体230がホームポジションに停止したままとされる。この状態で原稿自動供給部21が駆動されて原稿束から1枚ずつの原稿P1が繰り出され、当該原稿P1の原稿面が自動給紙原稿用ガラス242に対向するタイミングを見計らって照射ランプ231が点灯される。そして、原稿面が自動給紙原稿用ガラス242を順次通過することにより原稿画像が照射ランプ231からの光の反射光でCCDイメージセンサ235により読み取られることになる。
ついで、図2(B)を基に画像形成部30の概要を説明する。前記画像形成部30は、原稿読取部20で読み取られた原稿画像を用紙にトナー画像として転写する転写部31と、この転写部31で転写された用紙のトナー画像を定着する定着部32と、前記転写部31に向けて給紙する用紙を貯留する用紙貯留部33とが箱形を呈した画像形成部筐体15に内装されることによって形成されている。
前記転写部31は、周面に静電画像およびトナー画像が順次形成される感光体ドラム311と、この感光体ドラム311の周面にタイミングを見計らって用紙を送り込むレジストローラ対312と、感光体ドラム311の周面にトナーを供給する現像器313とを備えている。
そして、軸心回りに回転しつつ帯電器314により一様に帯電された感光体ドラム311の周面には、光学系ユニット23での走査によって読み取られ、記憶装置に記憶されている原稿の画像情報に基づくレーザー光が露光装置315から照射され、これによって感光体ドラム311の周面に静電画像が順次形成されるとともに、走査光照射位置の下流側で静電画像に現像器313からトナーが供給されることにより感光体ドラム311の周面にトナー画像が形成される。この感光体ドラム311周面のトナー画像がレジストローラ対312を介して給紙された用紙Pに転写される。
前記定着部32は、転写部31で感光体ドラム311によりトナー画像の転写された用紙Pの転写画像に対し定着処理を施すものである。かかる定着部32は、内部にハロゲンランプ等の通電発熱体が内装された定着ローラ321と、下部でこの定着ローラ321に対向配置された加圧ローラ322とを有している。
そして、前記転写部31から感光体ドラム311の駆動回転により搬送された用紙Pは、定着ローラ321および加圧ローラ322間に給紙され、ここで定着ローラ321により加熱されることでトナー画像が用紙Pに定着される。定着部32を通過した用紙Pは、最下流端に設けられた搬出路34を通り、排紙口35から排紙部50へ向けて排紙されることになる。
前記用紙貯留部33は、画像形成部筐体15に対して挿脱自在に装着された用紙カセット331と、この用紙カセット331の一方の端部(図2(B)に示す例では前端部)に対応して設けられたピックアップローラ332とを備えている。このピックアップローラ332の駆動回転で用紙カセット331に装填されている用紙Pの束の最上位のものが順次繰り出され、転写部31に向けて給紙される。
そして、ピックアップローラ332を介して用紙カセット331から導出された用紙Pは、レジストローラ対312を介して搬送されつつ、感光体ドラム311の周面のトナー画像が転写され、引き続き定着部32で定着ローラ321による熱定着処理が施された後、搬出路34を通って排紙口35から排紙部50の排紙トレイ51に排紙される。
また、画像形成部筐体15の前面位置には用紙手差し部60が設けられている。この用紙手差し部60は、開閉可能な手差しトレイ61と、開放状態の手差しトレイ61に載置された用紙Pを取り込んで転写部31へ向けて給紙するピックアップローラ62とを有している。
前記操作部40は、図1に示すように、画像読取部筐体12の前縁部分が前方に向かって突設されることにより形成された操作部用筐体41と、この操作部用筐体41の上面に形成された操作パネル42とを備えている。操作パネル42には、スタートボタン43や、各種の操作ボタン44さらには各種の画像形成用の情報を画面表示するLCDための(Liquid crystal display)からなるディスプレー45等の操作用の部材が設けられ、これらの操作用部材を操作したり視認したりすることによって具体的な画像形成処理が実行される。
以下、図3〜図5を基に、必要に応じて図1、図2を参照しながら、収納構造70、前方逆三角壁76(三角板部)および前方枠フレーム80について説明する。図3および図4は、収納構造70の一実施形態を示す斜視図であり、図3は、分解斜視図、図4は、組み立て斜視図である。また、図5は、前方枠フレーム80の一実施形態を示す斜視図である。なお、図3〜図5におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
まず、本実施形態に係る収納構造70は、図2(A)に示すように、前記画像読取部筐体12の左右幅寸法が、画像形成部筐体15の左右幅寸法より大きいことを利用して形成されている。すなわち、画像読取部筐体12の方が、画像形成部筐体15より左右方向の寸法が長尺であると、画像形成部筐体15の上面に画像読取部筐体12の中央部を重ね合わせた状態で、画像読取部筐体12の縁部は、図3に示すように、画像形成部筐体15の左右の縁部(但し図3では左側の縁部しか示されていない)から外方に向けて突出した突出縁部122になる。
従って、突出縁部122の先端縁部と、画像形成部筐体15の下端の左右の下縁部151とを結んだ面(平面または曲面)Sの内側には、物品を他者に干渉することなく適正に収納することが可能な余裕空間Vが形成される。そして、本発明は、かかる余裕空間Vを利用して各種の物品を収納することができる収納構造70が形成されている。
そして、本実施形態においては、収納構造70は、図3に示すように、画像形成部筐体15の左フレーム板152に装着される面Sに沿ったカバー体(外装板)71と、このカバー体71に開閉可能に取り付けられる収納ドアー72とを備えている。
前記カバー体71は、逆三角形状を呈する前方逆三角壁(三角板部)76と、後方でこの前方逆三角壁76に対向した後方逆三角壁712と、これら前後の逆三角壁76,712の左縁部間に架設された左方壁713とを備えている。前後の逆三角壁76,712は、左方壁713が前記面Sに沿うように形状設定されている。なお、画像形成部筐体15の右面には、前記カバー体71と同様のカバー体71′(図2)が設けられているが、このカバー体71には収納ドアー72が設けられていない。従って、右側のカバー体71′内に収納部は設けられていない。
そして、後方逆三角壁712は、その面が真っ直ぐに上下方向に延びた状態で真っ直ぐに左右方向に延びるように設定されているのに対し、前方逆三角壁76は、その上縁部(カバー体71,71′の前方左右の上角部が斜めにそれぞれ切り欠かれて形成した切欠き縁部76a)が前後方向および左右方向の双方に対して斜めになり、かつ、外面側が前方と左方との略中間方向を向くように設定され、しかも、下方に向かうに従い前方へ向かうように(すなわち、前方上部の角部が斜めに切り欠かれた状態になるように)形状設定されている。
また、前後の逆三角壁76,712の上縁部間には、天井壁714が架設されている。この天井壁714は、左方壁713の上縁部に対応した上位天井壁714aと、前方逆三角壁76の上縁部に対応した下位天井壁714bと、上位天井壁714aの前方縁部および下位天井壁714bの後方縁部間に架設された垂直壁714cとからなっている。天井壁714がこのような階段状に形成されているのは、収納構造70が装着される相手側(すなわち画像読取部筐体12および画像形成部筐体15)の形状に対応させるためである。
そして、本実施形態においては、左方壁713の略中央位置を右方へ向けて凹没させることによって形成された、物品を収納するための収納部73が設けられている。この収納部73は、前後方向に延びる底板731と、逆台形状の前後一対の側板732と、これら一対の側板732の上縁部間に架設された天板733と、これら底板731,一対の側板732および天板733の各右縁部間に架設された奥板734とに囲繞された空間によって形成されている。
一方、画像形成部筐体15の左フレーム板152には、定着部32に対応した位置に通気口153が設けられているとともに、この通気口153にファン装置150が取り付けられている。そしてカバー体71の左方壁713には、その後方上部における左フレーム板152の前記ファン装置150に対応した位置にルーバー74が設けられている。そして、定着部32に冷却処理を施した後の気流は、ファン装置150の駆動により通気口153およびルーバー74を通って外部に排気される。
さらに左方壁713の前後方向中央部の上方位置には指先を差し入れ得る取っ手凹部75が凹設されている。なお、本実施形態においては、画像形成部筐体15の右側部に収納構造70のカバー体71に対応した同一外観形状のカバー体71′(図2)が設けられている。このカバー体71′には収納部73やルーバー74は設けられていないが、取っ手凹部75に対応した取っ手凹部75′が設けられている。
これら一対の取っ手凹部75,75′画像形成装置10を持ち上げて運搬するときに両手の各指が差し入れられ、これによって画像形成装置10を容易に持ち上げることができる。これにより、画像読取部筐体12を直接持ち上げることが防止されるため、精密機器が内装された画像読取部筐体12が変形することはなく、画像読取部筐体12の変形に起因した精密機器の狂いで画像の読み取り処理が適正に行い得なくなるような不都合の発生が有効に防止される。
前記前方逆三角壁76には、その前方縁部における上方位置に、半月状切欠き部761が設けられている。この半月状切欠き部761は、収納構造70が画像形成部筐体15に組み付けられた状態で、当該画像形成部筐体15の後述する前方枠フレーム80を開閉するときに指を差し入れるためのものである。前記半月状切欠き部761は、通気口としての役割も果たすことができる。
また、前方逆三角壁76には、その前縁部に上下方向に直列で設けられた3つの貫通孔762が穿設されている。一方、前記画像形成部筐体15の左フレーム板152の前縁部には、前記各貫通孔762に対応した位置にネジ孔154がそれぞれ螺設されている。そして、カバー体71が左フレーム板152に重ねられた状態で、ボルト77を貫通孔762に差し通し、後述する前方枠フレーム80の垂下支柱82を介して左フレーム板152のネジ孔154に螺着締結することにより、カバー体71が前方枠フレーム80を介して画像形成部筐体15に装着された状態になる。
なお、カバー体71には、前方逆三角壁76の前縁部の貫通孔762以外にも各所に貫通孔が設けられ、ボルト77をこれらの貫通孔を介して画像形成部筐体15の対象位置に設けられたネジ孔に螺着するようになされている。
前記収納ドアー72は、前記収納部73の左方に向いた開口部分に開閉可能に装着されるものであり、平板状のドアー本体721と、このドアー本体721の図3における左右方向に延びる前後の側縁部および図3における左方の端縁部に固定されたコ字状を呈するコ字状枠体722とを備えている。
コ字状枠体722は、前後一対の側縁枠体722aと、これら一対の側縁枠体722a間に架設された端縁枠体722bとからなっている。そして、各側縁枠体722aの図3における右端部に貫通されたネジ軸723が収納部73の各側板732の下端部に螺設されたネジ孔732aにそれぞれ螺着されることにより、収納ドアー72は、図4に示すように、ネジ軸723回りに回動可能に側板732間に装着される。
なお、ネジ軸723に代えて収納ドアー72の一対の側縁枠体722aの基端部に、互いに反対方向に向けて突設された一対の円柱突起を設け、これら一対の円柱突起を収納部73の前後方向で互いに対向した内壁面の基端部にそれぞれ設けられた支持孔に嵌め込み、これによって収納ドアー72を円柱突起回りに一体回動させるようにしてもよい。
かかる収納ドアー72の端縁枠体722bには、前後方向一対の角孔から外方に向けって周面の一部を突出させた円柱片724が設けられている。これらの円柱片724は、図略の板バネによって端縁枠体722bの角孔から外部へ突出する方向に向けて付勢されている。
一方、収納部73の天板733には、各円柱片724に対応した位置に当該円柱片724が嵌り込み得る係止孔733aがそれぞれ設けられている。従って、図4に示すように開放された状態の収納ドアー72をネジ軸723回りに時計方向に向けて回動操作することにより、各円柱片724が天板733の左端部に干渉した時点で板バネの付勢力に抗して角孔内に一旦没入した後、係止孔733aの位置で突出して当該係止孔733aに嵌り込み、これによって収納ドアー72は、閉止状態が安定する。
また、天板733の前後方向の中央部の位置には、左方壁713が上方に向かって切り込まれることにより形成された操作凹部713aが設けられている。そして、閉止状態の収納ドアー72(図1参照)を開放するに際しては、この操作凹部713aに指を差し入れ、端縁枠体722bを左方へ向かって引けばよい。こうすることで、収納ドアー72は、ネジ軸723回りに反時計方向に回動して図4に示すように開放される。
また、本実施形態においては、端縁枠体722bにおける操作凹部713aに対応した部分に滑り止め725が形成されているため、この滑り止め725を指で押さえることにより、より容易に収納ドアー72を開放することができる。
収納構造70は、このように構成されているため、収納部73に画像形成装置10の取り扱い説明書や、クリーニング用の布類、さらには修理用の工具類等の各種の物品を収納することができる。
以下、画像形成部筐体15の前面に着脱自在に装着される前方枠フレーム80について図5を基に、必要に応じて図1〜図4を参照しながら説明する。図5は、前方枠フレーム80の一実施形態を示す斜視図であり、実線で手差しトレイ61が開放された状態を示し、二点鎖線で手差しトレイ61が閉止された状態を示している。なお、図5におけるXおよびYによる方向表示は、図3の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
この図に示すように、前方枠フレーム80は、画像形成部筐体15の上方前縁部に密着状態で取り付けられる断面視でL型を呈した上部桟材81と、この上部桟材81の左右の端部からそれぞれ垂下された画像形成部筐体15の左右の垂直縁板155に取り付けられる左右方向一対の垂下支柱82と、前記上部桟材81の左右の端部から後方に向けて先広がり状態で延設された、画像形成部筐体15の前方上部の左右の水平縁板(切欠き縁部)156に積層される左右一対の延設板片83とを備えている。前記手差しトレイ61は、一対の垂下支柱82間に介設されている。
また、前記上部桟材81は、排紙部50の前縁部に形成された排紙トレイ51と一体のC型フレーム157を押さえる水平桟材811と、この水平桟材811の左右方向へ延びる前縁部から下方へ向けて直角に折り曲げられた状態で形成した垂直桟材812とからなっている。
一方、画像形成部筐体15の前方上縁部には、L型鋼からなる外面側を上下および前方へ向けた状態のC型フレーム157(図3)が設けられている。このC型フレーム157には、前記上部桟材81がその内面側を下方および後方へ向けた状態で密着される。
前記各垂下支柱82は、上部桟材81の前面側から面一状態でそれぞれ垂下された前面支柱821と、これら一対の前面支柱821の互いに対向した縁部から後方に向けて直交状態で延設された上下方向に延びる直交支柱822とを備えている。各直交支柱822には、前記前方逆三角壁76の貫通孔762に対応した貫通孔823が穿設されている。
そして、前方枠フレーム80が画像形成部筐体15の前面側に押し当てられた状態で、さらにカバー体71を左フレーム板152に押し当て、この状態で前方逆三角壁76の貫通孔762および前方枠フレーム80の直交支柱822の貫通孔823にボルト77を差し通し、左フレーム板152の前方枠フレーム154に螺着して締結することにより、カバー体71および前方枠フレーム80が、図4に示すように、画像形成部筐体15に取り付けられた状態になる。なお、カバー体71の画像形成部筐体15への装着は、これらの貫通孔762,823を介したものの他にも各所に穿設された貫通孔を介しても行われるが、その説明は省略する。
一旦画像形成部筐体15に取り付けられた前方枠フレーム80を、画像形成装置10内のメンテナンス作業のため等で取り外すに際しては、ボルト77が外された後に、前方逆三角壁76の半月状切欠き部761に手を差し入れ、前方枠フレーム80の直交支柱822を手前に引けばよい。こうすることで前方枠フレーム80は、画像形成部筐体15から容易に取り外すことができる。
しかも、貫通孔762は、前方逆三角壁76の前縁部側に設けられているため、画像形成装置10が、図6に示すように、他の機器Mの間に据え付けられているような場合であっても、カバー体71の左右の半月状切欠き部761は、それぞれ隣設された他の機器Mから離間した位置にあるため、他の機器Mに邪魔されることなく半月状切欠き部761へ手を差し入れることが可能であり、これによって前方枠フレーム80を画像形成部筐体15から容易に取り外すことができる。
そして、本実施形態においては、排紙部50が全体的に濃色に色彩設定され、これによって排紙トレイ51に排出された用紙Pを視認し易くしている。このようにされるのは、排紙部50は、排紙トレイ51が画像読取部筐体12と画像形成部筐体15との間に形成される、いわゆる胴内排紙型が採用されているので、排紙トレイ51が明色であった場合、用紙Pが排紙トレイ51上に排出されているか否かを遠目で確実に視認することが困難であるから、かかる不都合を排紙トレイ51の濃色と用紙Pの白色とのコントラストで回避するべく排紙部50が濃色に彩色されているのである。
また、本実施形態においては、前方枠フレーム80の上部桟材81の内の特に水平桟材811が白色に彩色されている。こうすることで、排紙部50は、当該排紙部50の平面図である図7(XおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方))に示すように、排紙トレイ51およびその周辺の濃色に対して水平桟材811および延設板片83の白色で縁取りされているため、手差しトレイ61がこの縁取りにより鮮やかに強調される。
そして、用紙Pが排紙トレイ51上に排出された状態で、当該用紙Pは、その白色が濃色の排紙トレイ51から浮き上がったような状態になるため、排紙トレイ51上の当該用紙Pを遠目でも容易に視認することができる。
以上詳述したように、本実施形態に係る画像形成装置10は、原稿P1の画像情報を読み取る原稿読取部20を内装した画像形成部筐体15と、原稿読取部20の下部に連設され、当該原稿読取部20が読み取った画像情報に基づき所定の画像形成処理を施す画像形成部30を内装した画像形成部筐体15と、画像形成部30での画像形成処理により印刷処理が施されて排出された用紙Pを受ける排紙部50とが備えられてなるものを前提とする。
そして、排紙部50は、周縁を除いて全体が濃色に彩色され、周縁には、帯状で明色に彩色された本発明に係る明色帯としての水平桟材811および延設板片83が設けられている。
かかる構成によれば、排出された全体的に白色の用紙Pは、排紙部50の濃色とのコントラストにより容易に、かつ、確実に視認することができるため、例えば画像形成装置から若干離間した位置から排紙部50を見たとき、排紙部50に用紙Pが排紙されているのか否かを明確に視認することができず、複写作業の作業性が低下するような不都合の発生を有効に防止することができる。
そして、排紙部50の周縁には帯状で明色に彩色された明色帯が形成されているため、濃色に彩色された排紙部50において用紙Pが排出される領域は、この明色帯に囲まれて極めて強調された状態になっていることにより、排紙部50を明確に認識することができる。従って、かかる排紙部50に排出された用紙Pは、排紙部50の濃い部分に浮き上がったような非常に見易い状態になるため、明色帯が目安になっていることとも相俟って当該用紙Pを非常に取り出され易い状態にすることができる。
また、排紙部50は、画像形成部筐体15と画像形成部筐体15との間に形成されている、いわゆる胴内排紙型の排紙トレイ51が採用されているため、排紙部50が装置本体の外部に突出して設けられているものに比較し、画像形成装置の占有空間を少なくすることができる。
そして、胴内排紙型の画像形成装置にあっては、用紙Pが排紙部50の排紙トレイ51へ排出されたか否かを視認し難く、使い勝手の悪いのが通常であるが、濃色に彩色された排紙部50の縁部が明色帯によって縁取りされているため、そのコントラストにより排紙トレイ51を明確に視認することができる。従って、胴内排紙型の機種の画像形成装置に馴染みのないユーザーであっても、画像形成処理済みの用紙Pをどこから取り出せばよいのか迷うような不都合は生じない。
さらに、画像形成部筐体15は、前面側に着脱可能な前方枠フレーム80を有している。この前方枠フレーム80は、画像形成部筐体15に装着された状態で排紙部50の周縁に被さる帯状の周縁被覆帯としての上部桟材81を上縁部に有し、しかも明色帯が周縁被覆帯の上面、すなわち上部桟材81の水平桟材811により形成されている。従って、前方枠フレーム80が画像形成部筐体15に装着された状態で、排紙部50は、その周縁が前方枠フレーム80の水平桟材811により覆われた状態になっているため、その浮き上がりが防止されて強度が向上する。
加えて、画像形成部筐体15は、その横幅寸法が画像形成部筐体15の横幅寸法よりも長尺に設定され、画像形成部筐体15の横幅方向の端部の前後方向に延びる縁部と、この縁部に対応した画像形成部筐体15の横幅方向の端部の前後方向に延びる下縁部とを結ぶ面Sに沿うカバー体71が設けられ、このカバー体71の内側に物品を収納する収納部73が形成されている。そして、かかるカバー体71には、この収納部73に対し開閉可能な収納ドアー72が設けられている。
かかる構成によれば、画像形成装置10の体積を増加させることなく(具体的には、画像形成装置10の筐体11から収納用の出っ張り部分を設けることなく)画像形成装置10の取り扱い説明書や工具等の各種の物品を収納部に収納することができ便利である。また、カバー体71に設けられた収納ドアー72を開放することによって収納部内に対する物品の出し入れを行うことができるとともに、収納ドアー72を閉止することで物品が収納部から脱落するのを防止することができる。
以下、図8を基に、ボルト止めされる前方枠フレーム80に代えて回動操作により容易に開閉操作を行い得る前カバー90が採用された例につき説明する。図8は、前カバー90の一実施形態を示す斜視図であり、図8(A)は、排紙トレイ51および前カバー90が閉止された状態、図8(B)は、排紙トレイ51および前カバー90が開放された状態をそれぞれ示している。また、円内は、両用ギヤ97を示す一部切欠き斜視図である。なお、図8におけるX及びYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
まず、図8(A)に示すように、前カバー90は、上下方向に延びた左右方向一対の側部フレーム91と、これら一対の側部フレーム91の上縁部間に架設された天フレーム92と、この天フレーム92の前縁部から所定寸法だけ垂下された前フレーム93とを備えている。これら一対の側部フレーム91、天フレーム92および前フレーム93に囲繞された空間内において前記手差しトレイ61が側部フレーム91間に架設された図略の軸回りに回動可能に軸支されている。
かかる前カバー90は、一対の側部フレーム91の下端部が画像形成部筐体15の図略の筐体フレームに支持されたフレーム軸911回りに回動可能に軸支され、これによって図8(A)に示す閉止姿勢と、図8(B)に示す開放姿勢との間で姿勢変更可能とされている。
一方、前記排紙トレイ51は、前端が前カバー90の天フレーム92と同一レベルに高さ設定されたトレイ本体511と、このトレイ本体511の後端の左右方向両端部から後方に向かって突設されたU字状を呈する左右方向一対のブラケット512と、各ブラケット512から互いに反対方向に向けてそれぞれ突設された一対のトレイ軸513とを備えている。
そして、かかる排紙トレイ51は、前記一対のトレイ軸513が画像形成部筐体15の図略の筐体フレームの適所に支持され、トレイ軸513回りに正逆回動することで、図8(A)に示す横向き姿勢と、図8(B)に示す斜め姿勢との間で姿勢変更可能とされている。
そして、このような排紙トレイ51と前記前カバー90とは、同期開閉機構94を介して互いに連結されている。同期開閉機構94は、左方の側部フレーム91の上下方向の略中央部から後方に向かって突設された前カバー側ラック95と、この前カバー側ラック95と交差し得るようにトレイ本体511の左縁部の前部から垂下されたトレイ側ラック96と、これらトレイ側ラック96および前カバー側ラック95の交差位置に両者に噛合するように配設された両用ギヤ97とを備えて構成されている。
前記前カバー側ラック95は、その下縁部にラック歯951が設けられている。かかる前カバー側ラック95は、左方の側部フレーム91の略中央部に内側に向かって突設された第1軸952回りに回動自在に軸支されている。かかる前カバー側ラック95のラック歯951が設けられている縁面は、下側に向けて若干凹の円弧面とされている。
前記トレイ側ラック96は、その前縁部にラック歯961が設けられている。かかるトレイ側ラック96は、トレイ本体511の左方の縁部の前方位置から外方(左方)へ向かって突設された第2軸962回りに回動自在に軸支されている。かかるトレイ側ラック96のラック歯961が設けられている縁面は、前方に向けて下前方に向けて若干凸の円弧面とされている。
そして、前記両用ギヤ97は、前カバー側ラック95とトレイ側ラック96との交差位置近傍における前カバー側ラック95の下側で、かつ、トレイ側ラック96の前側の位置に配設されている。かかる両用ギヤ97は、図8の円内に示すように、仕切り円盤971と、この仕切り円盤971の左面側に同心で一体回転可能に積層され、かつ、前カバー側ラック95のラック歯951と噛合する第1ギヤ972と、前記仕切り円盤971の右面側に同心で一体回転可能に積層され、かつ、トレイ側ラック96のラック歯961と噛合する第2ギヤ973と、これら仕切り円盤971、第1ギヤ972および第2ギヤ973の中心位置に一体回転可能に貫通されたギヤ軸974とからなっている。
第1および第2ギヤ972,973は、いずれも仕切り円盤971より径寸法が小さめに設定されている。従って、前カバー側ラック95が第1ギヤ972に噛合するとともに、トレイ側ラック96が第2ギヤ973に噛合した状態で、各ラック95,96が仕切り円盤971により仕切れていることにより、両者が互いに干渉するような不都合は生じない。
このように構成された同期開閉機構94によれば、前カバー90が、図8(A)に示すように、閉止姿勢に姿勢設定された状態で、半月状切欠き部76(図4)に手を差し入れて前カバー90を前方に向けて引き出せば、当該前カバー90は、フレーム軸911回りに図8における時計方向に向けて回動する。これによって前カバー側ラック95は、第1軸952回りに反時計方向に向けて回動しながら前方に向けて移動するため、当該前カバー側ラック95のラック歯951と噛合している第1ギヤ972がギヤ軸974回りに時計方向に向けて回転する。
この第1ギヤ972の回転により仕切り円盤971を介して当該第1ギヤ972と一体の第2ギヤ973も時計方向に向けて回転し、これによりラック歯961が当該第2ギヤ973と噛合しているトレイ側ラック96が上昇する。これによりトレイ本体511が第2軸962を介して上方へ押し上げられ、トレイ軸513回りに反時計方向に回動する。
そして、前カバー90が開放姿勢に姿勢変更された状態では、排紙トレイ51も横向き姿勢から斜め姿勢に姿勢変更され、これによって画像形成部筐体15の前面上角部には、図8(B)に示すように、前方に向かうに従い先上がりになった開口が形成されるため、この開口を介してメンテナンス作業を容易に行うことができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、画像形成装置10として複写機を例に挙げて説明したが、本発明は、画像形成装置10が複写機であることに限定されるものではなく、プリンタであってもよいし、ファクシミリ装置であってもよい。また、画像形成装置10がモノクロ印刷用のものであることに限定されるものではなく、カラー印刷可能なものであってもよい。
(2)上記の実施形態においては、原稿読取部20における原稿P1の搬送方向と、画像形成部30における用紙Pの搬送方向とは互いに直交するように方向設定されているが、かかる方向設定に限定されるものではなく、原稿読取部20における原稿P1の搬送方向と、画像形成部30における用紙Pの搬送方向とが同一の方向になるように方向設定してもよい。さらに、画像形成装置が、複写機、プリンタおよびファクシミリ装置の各機能を備えた、いわゆる複合機(MFP)であってもよい。
(3)上記の実施形態においては、左側のカバー体71にのみ収納部73が設けられているが、右側のカバー体71′にも収納部を設けてもよい。
(4)上記の実施形態においては、画像読取部筐体12の画像形成部筐体15に対する突出縁部122が左右方向にのみ形成されているが、後方に形成してもよい。こうすることでより多くの収納部を確保することができる。
(5)上記の実施形態においては、排紙部50が画像読取部筐体12と画像形成部筐体15との間に形成される胴内排紙型の画像形成装置10を例に挙げて説明したが、本発明は、画像形成装置10が胴内排紙型のものであることに限定されるものではなく、排紙トレイが装置本体から外部に突出した通常の画像形成装置であってもよい。