JP6266654B2 - 基材に固定化された鋳型核酸を配列決定する方法 - Google Patents

基材に固定化された鋳型核酸を配列決定する方法 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は核酸配列決定に関する。特に、本発明は、基材に固定化された鋳型核酸を配列決定する方法、鋳型核酸を配列決定するためのプログラム要素、コンピュータ読み取り可能な媒体、鋳型核酸を配列決定するための容器、鋳型核酸を配列決定するための容器の使用、及び固定化鋳型核酸を配列決定するための配列決定装置に関する。
発明の背景
DNA配列決定のような核酸配列決定は、DNA分子内のヌクレオチドの正確な順序を決定するプロセスである。核酸配列決定は、DNA鎖中の4つの塩基、すなわちアデニン、グアニン、シトシン及びチミンの順序を決定するために用いられる任意の方法又は技術を含む。迅速DNA配列決定法の到来は生物学的及び医学的な研究及び発見を大きく加速させた。DNA配列についての知識は、基礎生物学的研究にとって、並びに診断、生物工学、法生物学及び生物体系学のような多数の応用分野において欠くことができなくなっている。近代的DNA配列決定技術を用いて達成される配列決定の迅速な速度は、ヒトゲノム並びに多くの動物、植物及び微生物種のその他の完全DNA配列を含む多数の型及び種の生物の完全なDNA配列又はゲノムの配列決定に貢献している。
最初のDNA配列は、1970年代の初期に、学術研究者らによって、2次元クロマトグラフィーに基づく面倒な方法を用いて得られた。蛍光ベースの配列決定法と自動化分析の開発の後に、DNA配列決定は、より容易になり、何桁も速くなっている。
しかし、多くの配列決定法は、アンサンブル測定に依拠し、単一DNA分子ベースで行うことができない。さらに、近年用いられている配列決定法は、鋳型DNA鎖に取り込まれるヌクレオチドの標識化を必要とし、このことは試料調製及び測定自体においてある種の不利な点を導く。さらに、配列決定のために用いる標識dNTPの必要性はコストを増加させる。さらに、最先端の配列決定法の一部は、検出シグナルを発生するためにピロリン酸を用いるが、ピロリン酸は比較的感度が低い。
鋳型核酸の配列決定の改善を提供する必要性が存在すると考えられる。特に、非標識dNTPを用いる感度が高い配列決定に対する必要性が存在すると考えられる。
本発明の目的は独立請求項の主題によって解決される。本発明のさらなる実施形態及び利点は従属請求項に組み込まれている。
以下でより詳細に説明される本発明の実施形態は、鋳型核酸を配列決定するための方法、鋳型核酸を配列決定するためのプログラム要素、コンピュータ読み取り可能な媒体、鋳型核酸を配列決定するための容器の使用、及び鋳型核酸を配列決定するための配列決定装置に同様に関する。実施形態の異なる組み合わせによって相乗効果が生じることがあるが、相乗効果は以下で明示的には説明されないことがある。
本発明の好ましい実施形態のいくつかに関して本発明を詳細に説明する前に、以下に一般的な定義を示す。
以下に例示として説明する本発明は、本明細書に具体的に開示しない任意の1又は複数の要素、1又は複数の限定の非存在下で適切に実施できる。
本発明を、特定の実施形態に関して、そしてある種の図面に関して記載するが、本発明はこれらの実施形態及び図面に限定されず、請求項によってのみ限定される。
本明細書及び特許請求の範囲において用語「含む(comprising)」を用いる場合、該用語は、その他の要素を排除しない。本発明の目的のために、用語「からなる(consisting of)」は、用語「から構成される(comprising of)」の好ましい実施形態と考える。以下において、ある群が少なくともある数の実施形態を含むと定義されるならば、これらの実施形態のみからなることが好ましい群も開示されると理解される。
単数形の名詞に言及する場合に不定冠詞又は定冠詞、例えば「a」、「an」又は「the」を用いる場合、他のことが具体的に記載されない限り、該冠詞は、複数の該名詞を含む。本発明の関係において用語「約」及び「およそ」は、問題の特徴の技術的効果がまだ確実にあると当業者が理解するある隔たりのある精度のことをいう。該用語は、±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、さらにより好ましくは±5%の示した数値からの偏差を典型的に示す。
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」、「第3」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」又は「(i)」、「(ii)」、「(iii)」、「(iv)」などは、類似の要素間を区別するために用いられ、必ずしも順番又は時間的な順序を記載するために用いるのでない。このようにして用いられる用語は、適当な状況の下で交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は説明される以外の順序で実行できると理解される。
用語「第1」、「第2」、「第3」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」又は「(i)」、「(ii)」、「(iii)」、「(iv)」などが方法又は使用又はアッセイのステップに関する場合、特に断らない限り、ステップ間に時間又は時間間隔の整合性はない。すなわち、本出願の上記若しくは下記において特に断らない限り、ステップは同時に行うことができ、又はそのようなステップ間に秒、分、時間、日、週、月若しくはさらには年の時間間隔があってもよい。
技術用語は、それらの通常の意味で用いる。ある用語を用いて特定の意味を伝えるならば、その用語を用いる文脈において該用語の定義を続けて示す。
用語「核酸」は、DNA若しくはRNA若しくはPNA若しくはLNA又は化学単位の配列からなる任意のポリマーのような配列決定できる任意の型の核酸分子のことをいう。DNAは、好ましい核酸である。用語「核酸鋳型」は、配列決定される任意の型の核酸分子のことをいう。DNA鋳型は、好ましい核酸鋳型である。本発明の方法を用いて、5〜10000以上の間の長さの塩基を有するDNA鋳型を配列決定できる。例えば、鋳型は、約10000まで、5000まで、1000まで、900まで、約800まで、約700まで、500まで、約250まで、約100まで、約50までの長さの塩基を有することがある。DNA鋳型は、典型的に少なくとも5塩基の長さである。
本発明の目的のために、用語「核酸鋳型」及び「DNA鋳型」は、配列決定のために必須であるように、少なくとも部分的、そして好ましくは完全に1本鎖の核酸配列及び1本鎖のDNA配列のことをいうと理解される。捕捉核酸及び/又はプライマー核酸との組み合わせでは、得られる複合体は1本鎖部分と2本鎖部分とを含み得る。
用語「ヌクレオチド」は、本明細書で用いる場合、配列決定中に用いられるように、任意のデゾキシリボヌクレオチドを包含し、任意の2’−デオキシヌクレオシド−5−三リン酸(dNTP)を包含する。したがって、用語「ヌクレオチド」は、dATP、dGTP、dCTP及びdTTP等のdNTP、並びにその任意の誘導体を含む。本明細書で用いる場合、用語「ヌクレオチド」は、モノヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチド並びにそれらの混合物からなる群から選択されるいずれか1つのことをいう。このような物質は、多くの場合負電荷を有する。1本鎖及び/又は2本鎖ヌクレオチドを用いることができる。さらに、タンパク質、DNA及びヌクレオチドが混ざっていることが可能である。バイオポリマーは、生存生物を起源とするものだけでなく、生存生物を起源とするバイオポリマーから修飾されたもの、及び合成分子も含む。
用語「プライマー」及び/又は「核酸プライマー」は、配列が既知であり、鋳型核酸、好ましくはDNA鋳型にアニールできる典型的に少なくとも6塩基の長さの核酸、好ましくはDNA配列のことをいう。これらのプライマーの長さは、核酸鋳型、好ましくはDNA鋳型との効率的なアニーリングを可能にするために、典型的に5〜100塩基の長さである。しかし、他のプライマーの長さも可能である。したがって、プライマーは3’末端に遊離のOH基を有する。
用語「ポリメラーゼ」は、核酸鋳型にアニールしたプライマーの3’末端を伸長できる酵素のことをいう。DNAポリメラーゼが好ましい。DNAポリメラーゼは、プルーフリーディング活性をもたらすことが好ましいことがある。市販で入手可能なDNAポリメラーゼのいずれも用いることができる。好ましいDNAポリメラーゼは、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)からのBst DNAポリメラーゼである。しかし、本発明から逸脱せずに他のポリメラーゼも用いることができる。
「標識」は、本明細書で用いる場合、シグナルを発することができる任意の適切な実体(entity)であることができる。この場合のシグナルは、任意の物理的シグナル、化学的シグナル又は生物学的シグナルであってもよい。これらのうち、電磁波が好ましいことがある。電磁波、特に光の励起によって励起された場合にフォトルミネッセンスを発するフォトルミネッセンス標識が特に好ましいことがある。特に、蛍光及びリン光標識としては、蛍光色素、金属及び半導体ナノ粒子が挙げられる。
さらに、複合体上の標識の数は特に限定されず、使用目的に従って適切に選択できる。この数は、少なくとも1であり、2以上であってもよい。複合体上の標識の位置は、特に限定されず、使用目的に従って適切に選択できる。以下で定義するように複合体が直鎖状である場合、可能性のある標識の位置は、複合体の末端である。複合体がポリヌクレオチドであるか又はポリヌクレオチドを含むならば、標識の位置は、例えば3’末端又は5’末端であることがある。他の位置も可能である。以下に企図及び説明する詳細な実施形態によって、標識は、以下に説明される複合体と共有結合又は非共有結合によって結合していてもよい。好ましい実施形態では、標識(好ましくはフォトルミネッセンス標識)は、配列決定法において用いられるポリメラーゼ及び/又は鋳型核酸と結合している。これらの場合は共有結合が好ましい。標識は、配列決定中に用いられるdNTPに結合していてもよいが、本発明の好ましい実施形態では無標識のdNTPであると考える。
さらに、以下において、用語「複合体」は、分子の組み合わせを記載するものとして用いられる。複合体は、本明細書で用いる場合、少なくとも鋳型核酸とプライマー核酸とを含む。しかし、さらなる分子も含まれ得る。例えば、複合体は鋳型核酸とプライマー核酸とポリメラーゼとを含む。よって、本発明の関係では、用語「複合体」は、用語「DNA複合体」又は「DNA/ポリメラーゼ複合体」と同義に記載できる。さらに、本発明に従う好ましい複合体は、核酸鋳型と、プライマーと、ポリメラーゼと、核酸鋳型を基材に結合させるために用いられる捕捉オリゴヌクレオチド等の任意のその他の型の1又は複数の分子と、の組み合わせである。結合のための前記分子は、本明細書において「結合ユニット」と呼ぶことがある。以下で詳細に説明されるように、結合ユニットは種々の異なる様式で具現化することができる。複合体は、以下において「レバー」又は「DNA−レバー」と呼ぶこともある。さらに、用語「複合体」と用語「結合ユニット」とはいずれの特定の形状にも限定されないので、この用語は、むしろ比喩的であり、複合体及び又は結合ユニットの型又は形状に対して何らかの制限を課するものとは理解されない。さらに、DNAの代わりに、本発明との関係でRNAを用いることもできる。
鋳型核酸は、接着力及び/又は粘着力によって基材に固定化してもよい。しかし、より好ましい実施形態は、固定化が達成されるように基材に鋳型を結合させる結合ユニットを用いる。結合ユニットは、捕捉核酸からなるか又は捕捉核酸を含むことができる。さらに、用語「結合ユニット」は、本明細書において以下のように用いられる。結合ユニットは、例えば、鋳型核酸を基材に結合させるための化学リンカーとして具現化することができる。このようなリンカーの例は以下に示す。あるいは、結合ユニットは、鋳型核酸を基材に結合させるための捕捉核酸として具現化することができる。しかし、化学リンカーと捕捉核酸との組み合わせも、結合ユニットを実現するために可能である。用語「結合ユニット」は、基材での実体鋳型核酸の固定化の種々の異なるその他の可能性を包含する。種々の例を、以下、図1との関係でより詳細に説明する。
用語「鋳型核酸と共有結合又は非共有結合によって結合する」は、本明細書において、鋳型核酸への直接的又は間接的結合を含む意味で用いる。例えば、標識は、それ自体が鋳型核酸に結合するポリメラーゼに結合してもよい。標識は、例えば標識ポリメラーゼ特異的抗体によって鋳型核酸と共有結合又は非共有結合によって結合してもよい。しかし、例えば、フォトルミネッセンス標識のような標識は、鋳型核酸の末端に結合してもよいし、捕捉/プライマーオリゴヌクレオチドに結合してもよい。さらに、用語「複合体に結合」及び「鋳型核酸に結合」は、本明細書において、それぞれ直接的又は間接的結合を含む意味で用いる。例えば、標識は、それ自体が複合体に結合するポリメラーゼに結合してもよい。しかし、標識は、鋳型核酸の末端に結合してもよいし、結合ユニットの一部である捕捉/プライマーオリゴヌクレオチドに結合してもよい。
本発明の例示的な実施形態によると、基材に固定化された鋳型核酸を配列決定するための方法であって、標識が鋳型核酸と共有結合又は非共有結合によって結合しており、核酸プライマーが前記鋳型核酸にアニールされており、標識のシグナルをクエンチするためのクエンチ媒体が提供されている、方法。この方法は、
a)ヌクレオチドを添加するステップと、
b)前記ヌクレオチドが、前記鋳型核酸にアニールした前記核酸プライマーの3’末端に取り込まれたか否かを、
ヌクレオチドを添加する少なくとも前後に標識のシグナルを観察すること、及び
標識の観察されたシグナルの変化に基づいて鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みを検出するために標識の観察されたシグナルを使用すること
によって決定するステップであって、
シグナルの変化は、鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体までの標識の距離の変化に起因する、ステップと、
を少なくとも含む。
さらなる例示的な実施形態によると、クエンチ媒体はクエンチ層である。
別の例示的な実施形態によると、以下でより詳細に説明されるように、クエンチ層は基材上に設けられ得る。しかし、他の実施形態では、クエンチ層は基材上にない。クエンチ層に関する以前に述べた実施形態は、特に断らない限り、本明細書に含まれる他の実施形態のそれぞれと組み合わせて用いることができる。特に、プログラム要素、コンピュータ読み取り可能な媒体、容器、容器の使用及び/又は配列決定装置に関する実施形態でも、クエンチ媒体は、例えば基材上のクエンチ層として具現化することができる。
本発明の配列決定法は、標識が発するシグナルの変化に基づいて鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みを検出するステップを含む。さらに、シグナルの変化は、基材までの標識の距離の変化に起因し、この距離の変化は、鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされる。このことは、以下でより詳細に説明され、例えば図1〜12から推測される。
本発明の方法は、鋳型核酸の配列決定の精度と信頼度の増加をもたらす。有利なことに、非標識ヌクレオチド、dNTPが使用可能である。よって、ポリメラーゼによるヌクレオチド取り込みが化学タグによって影響/妨害されず、天然の処理能力が保持される。さらに、このアプローチは費用効果がある。なぜなら、このアプローチは高価なヌクレオチドの標識化を廃止できるからである。さらに、本発明の方法は単一分子配列決定を可能にする。例えば、光退色に対して耐性がある光安定性PL標識を用いて、前述のアプローチは、市販で入手可能な光学器械を用いて単一分子レベルにてヌクレオチドの取り込みをモニタリングするために用いることができる。効率の改善及び作業の流れの迅速化に加えて、このアプローチは、エピジェネティックな修飾を調べる重要な機会を提供する。特に、DNA鋳型に沿ってのヌクレオチドのメチル化状態をマッチ(matching)ヌクレオチドの取り込み時間の測定から推断できる。これとは対照的に、慣習的な従来技術の配列決定スキームはPCRプロセスによる鋳型DNAの増幅を必要とし、PCRプロセス中に元のDNA鎖のメチル化状態は不都合にも失われる。本発明の方法によってヌクレオチド取り込み速度をリアルタイムで測定できるが、このリアルタイムでの測定は市販のほとんどの配列決定システムでは不可能である。このようにすることによって、鋳型鎖に沿う異なるヌクレオチドを、溶液からマッチdNTPを組み込み、鋳型上の次の塩基に移動する所定のポリメラーゼの異なる処理能力に従って区別できる。有利なことに、化学修飾された、例えばエピジェネティックプロセス中にメチル化されたか又はあるその他の様式で損傷(例えば酸化)されたヌクレオチドは、配列決定のための本発明の方法及び装置によって同定できる。さらに、取り込み時間は、鋳型上のヌクレオチド反復(すなわち同じヌクレオチドのストレッチ)(これは、一般的に、確立された方法を用いて定量することは困難である。)の長さについての情報をもたらす。しかし、本発明の方法及び装置はこの必要性に合致する。さらに、鋳型及びプライマーDNAへの/からのポリメラーゼ会合及び解離速度は、標識ポリメラーゼを用いる場合に測定できる。本発明の方法及び装置のこれらの態様は以下でより詳細に説明される。
さらに、本発明の方法は、クエンチ媒体、例えば基材上のクエンチ層によってもたらされ、標識からクエンチ媒体への非放射性エネルギー移動を可能にするクエンチ機序の使用を容易にする。本発明のこの及び他のすべての実施形態において、使用する標識と使用するクエンチ媒体との組み合わせは、クエンチ媒体における励起された標識から表面プラスモンへの非放射性エネルギー移動が、標識がクエンチ媒体に近づく場合に標識のシグナルの放出をクエンチし、その逆も生じるように、選択できる。物理的観点から、以下のことに留意すべきである。前記クエンチ媒体に印加されるバイアスは、クエンチ媒体、例えば図1の電極107を分極させ、グイ−チャップマン−スターン(Gouy−Chapman−Stern)スクリーニング層の形成を導く。クエンチ層における標識から表面プラスモンへの非放射性エネルギー移動は、標識が表面に対して距離依存的様式で近づく場合に、発せられるシグナル強度をクエンチできる。よって、高いシグナル強度は、クエンチ媒体からの標識の距離が大きいことを示し、この場合、クエンチ媒体はクエンチ媒体として機能する。低いシグナル強度は、クエンチ媒体からの標識の距離が近いことを示す。このことは、例えば図1〜12から明らかであり、そして解明される。
したがって、本発明の方法は、単一ヌクレオチドの取り込みを、クエンチ媒体と標識との間の距離を変化させることによって、例えば光学的に検出する方法と見ることができる。フォトルミネッセンスシグナル変化は、本発明の方法中に又は本発明の装置によって記録でき、ヌクレオチド取り込み事象の決定を容易にできる。その結果、本発明の方法は、非標識ヌクレオチドの取り込みに基づいて鋳型核酸を配列決定するための方法と見ることができる。
例示的な実施形態では、本発明は、数百ナノメートルにわたってクエンチ媒体の上方の標識の距離を測定するために、非常に長い範囲であるエネルギー移動機序を利用する。通常、従来技術では、研究者らは、「蛍光共鳴エネルギー移動」(FRET、フェルスター共鳴エネルギー移動とも呼ばれる)を用いて分子距離を光学的に測定していた。従来のFRETは、ドナーからアクセプター分子に対して生じ、たった10nmの典型的な範囲を有する。これとは対照的に、我々は、アクセプターを2次元クエンチ層として実行できるスキームを開発した。この様式(modality)は、概念的に異なり、例外的に長い範囲のエネルギー移動距離依存性を特徴とする。この様式によって、以下に説明されるように配列決定の改善が導かれる。
特に開発された実施形態では、本発明の方法は、ヌクレオチドの取り込みを、距離依存的クエンチに基づいて検出するための方法と見ることができる。クエンチについての種々の態様及び適当なクエンチ手段が以下で開示及び説明される。特に、本方法は、クエンチ媒体と標識との組み合わせを利用するので、クエンチ媒体の吸収スペクトルが標識の放射スペクトルとある程度一致できる。上記組み合わせは、非放射性エネルギー移動が容易になるように選択できる。本発明の方法が用いるクエンチ機序は、長距離にわたってもたらされるクエンチ媒体と標識との間の連続的プロセス又は相互作用と見ることができる。このような長距離の相互作用は、少なくとも0〜300ナノメートルの間で存在できる。より長い距離にわたってこれもまた効果的であるクエンチ機序を用いることができる。クエンチ機序は、0.2〜0.4ナノメートルの範囲で感受性があるように選択できる。このことは、鋳型核酸への単一ヌクレオチドの取り込みの検出を容易にする。
クエンチ媒体はクエンチ層として具現化できることが当業者によって理解される。クエンチ層は、厚みが少なくてもよい薄層として、例えば導電性電極として具現化することができる。厚みが少ないために、このようなクエンチ媒体は、以下、2次元クエンチ層と呼ぶことができる。厚みは例えば5〜300nmの間であり得る。この層は、基材上に設けることができ、標識からクエンチ層への非放射性エネルギー移動によるクエンチ機序の使用を容易にすることができる。単原子層も用いることができる。用いる標識と用いるクエンチ層との組み合わせは、クエンチ層における励起された標識から表面プラスモンへの非放射性エネルギー移動が、標識がクエンチ層に近づく場合に標識のシグナルの放出をクエンチし、その逆も生じるように選択できる。クエンチ層は、したがって、印加されるバイアスによって分極され、グイ−チャップマン−スターンスクリーニング層の形成を導くように構成できる。クエンチ層の非限定的な例として、電極が分極され、標識と表面プラスモンとの相互作用が生じ得るように、図1の電極107にDC又はACバイアスを供給できる。このようなクエンチ層の例示的な変形例を以下に詳細に示す。
例示的な実施形態では、標識はフォトルミネッセンス(PL)標識であり、クエンチ媒体はバイオチップの基材上の金属層である。用いるクエンチ効果は、フォトルミネッセンス標識から金属層までの0.2〜0.4ナノメートルの範囲の距離に関して感受性であるように選択できる。しかし、他の感度も可能である。一般的に、DNA又はRNAの塩基対間隔は0.34ナノメートルである。本発明は、この範囲、すなわち0.34ナノメートルでのヌクレオチドの取り込みによる標識のシフトを利用する。以下の説明から明らかになりそして解明されるように、フォトルミネッセンス強度は、1ヌクレオチドが取り込まれた場合、特有の所定値だけ増加又は急増する。このような特有の所定値に基づいて、本発明の方法は、例えば溶液中で基材に対して備えられたヌクレオチドの型が、1本鎖/2本鎖接合部の隣の鋳型DNAに沿った、次の不対ヌクレオチドに相補的であるか、を光学的に検出できる。
本発明の方法の別の価値のある態様は、単一分子測定及び複数の鋳型DNA分子を含むアンサンブル測定がともに容易になることである。前記単一分子測定では1つの鋳型核酸だけを用いる。このことは、例えば図1a、1b、5及び6から推測される。前記アンサンブル測定では、それぞれの核酸プライマーにアニールした複数の鋳型核酸を、基材上又は異なる基材上に設けることができる。以下でより詳細に説明されるように、1ヌクレオチドだけの取り込みを、単一分子及びアンサンブル分子測定の両方の測定において、配列決定のための本発明の方法及び装置によって検出可能である。アンサンブル配列決定の構成では、複数の複合体を含む複合体層を設ける。以下において、本発明は、ほぼ、単一分子構成の関係において説明される。しかし、複数の複合体も本発明によって同時に配列決定できる。この点に関して、我々は、以下、用語「(1又は複数の)DNA層」を用いることによってそのような構成に言及する。
さらに、本発明の方法は、配列決定において用いるための方法と見ることができる。鋳型核酸の配列を完全に決定するためにいくつかの反復又は追加のステップが行われ得る。このような反復及び追加の方法ステップは以下でより詳細に説明される。
本発明の方法を用いて配列決定する間に、無標識のヌクレオチド、例えばdATP、dCTP、dGTP及び/又はdTTP並びに任意のそれらの誘導体は、基材の表面の上方で逐次的に交換できるが、標識のシグナル強度は、リアルタイムで記録できる。鋳型DNAに沿ってのポリメラーゼによるマッチヌクレオチドの取り込みは、シグナル強度の増加として検出される。なぜなら、標識は、クエンチ媒体から離れて移動するからである。DNAの2本鎖部分が伸長するにつれ、伸長は、基材及びクエンチ媒体までの標識の距離の増加をもたらす。有利なことに、以下に説明されるように、マッチヌクレオチドはミスマッチヌクレオチドから区別できる。また、鋳型上の修飾された、例えばメチル化又は損傷されたヌクレオチドを同定できる。ヌクレオチド取り込み速度及び鋳型核酸上のポリメラーゼの会合速度/解離速度を決定できる。
本方法及び配列決定装置のユーザは、どの型のヌクレオチド(例えば、dATP、dGTP、dTTP、又はdCTP)が配列決定中の所定の時点で基材に添加されるかを知っているので、取り込み事象が検出されれば、鋳型核酸中の相補ヌクレオチドは決定できる。しかし、以下でより詳細に説明されるように、溶液中で複数のヌクレオチドも基材に供給することができ、これらは同じ型のものであり得、異なる型のものでもあり得る。
一般的に、シグナルは、シグナル強度又はそれから派生したものと見ることができる。言い換えると、本発明の方法は、標識とクエンチ媒体との間の距離に関するシグナル強度の形でのフィードバックと見ることができる。
特別のリンカー及び/又は共吸着分子及び/又はDCモードでの印加される電場によって、鋳型核酸は、表面上に所望の向きで、例えば準垂直の向きで堅く整列させることができる。しかし、このような有利な整列は任意選択によるものにすぎず、以下でより詳細に説明される。
さらに、ヌクレオチドを添加する少なくとも前後に標識のシグナルを観察するステップを、まずヌクレオチドを添加する前に、次いで添加した後にシグナルを観察することによって行うことができる。しかし、図3に示されるように、連続観察もこの方法ステップによって含まれる。よって、添加の前、後及び最中の標識のシグナルも包含される。例示的な実施形態として、標識のシグナルの連続的で時間分解的観察、検出及び/又は記録が示される。
この及び他のすべての例示的な実施形態では、捕捉核酸を用いて鋳型及びプライマーを基材又は電極と結合させることができる。ここで、捕捉核酸は、第1の鎖末端と第2の鎖末端とを有する2本鎖捕捉核酸であり得る。このことは以下でより詳細に説明される。
本発明は、1本鎖固定化、すなわちDNA鋳型を1つの鎖だけで固定化することを包含することに留意されたい。鋳型核酸、プライマー及び捕捉核酸も1つの鎖だけで基材に固定化できる。DNAの移動の自由度に関して十分に堅い基材との接続を確立できるならば、この接続は、本発明を行うために十分であり得る。したがって、この場合もまた、ユーザは、非常に感度が高い配列決定法を得ることができる。このような1本鎖固定化は、例えば、鋳型若しくは捕捉オリゴの鎖の一方の末端を化学的に修正することによって、及び/又は適当に選択した化学リンカーを結合させて基材との結合を確立することによって達成できる。しかし、好ましい実施形態では、鋳型及びプライマーとの複合体の両末端は、図1a及び1bに示されるように、両方の鎖を介して基材と結合する。特に、捕捉核酸を用いる場合、前記捕捉オリゴは、その鎖の両方を介して基材と結合できる。プライマー及び鋳型核酸だけを、捕捉核酸なしで用いる場合、本発明は、得られる2本鎖が、ユーザがどちらを好むかに関わらず、1つの鎖のみを介して又は両方の鎖の末端を介して基材と結合できることを含む。
本発明の方法は、当業者によって適当な温度にて行われる。適当な例示的な温度範囲は、所望の配列決定を達成するために、4℃〜80℃の間であり得る。しかし、他の範囲を用いることもできる。特に、用いる温度/適用する温度は、用いるポリメラーゼに基づいて最適化して選択できる。異なるポリメラーゼを用いることができるので、適用する温度は変動してもよい。温度は、用いるプライマーが鋳型とハイブリダイズしたままであるように選択することもできる。
別の例示的な実施形態によると、2本鎖捕捉核酸のいわゆる「50%集団」が提供される。ここで、捕捉核酸の50%は、長いほうの鎖にて/長いほうの鎖を介して基材と結合し、捕捉核酸の残りの50%は、短いほうの鎖にて/短いほうの鎖を介して基材と結合する。
このことは、回転の影響が打ち消されるという利点をもたらすことがあり、塩基対間隔の標識の正味の高さ増加、およそ0.34nm*sinα(αは表面に対する角度である)が観察される。このことによって、DNAが完全に垂直に整列されないならば、ある種のヌクレオチド添加についてΔhの正味の増加が消えるか又は負になることができるが、他のものについては0.34nmより大きくなるという不利な点が回避される。よって、この実施形態はシグナルの質の改善をもたらすことがある。
本発明の別の例示的な実施形態によると、方法は、ステップa)及びb)を反復して前記鋳型核酸の完全配列を決定するステップをさらに含む。
前述したように、ヌクレオチドが取り込まれたか否かの決定、すなわち取り込み事象の検出は、例えば、フォトルミネッセンス(PL)標識の修正されたPLシグナルの光学的検出として具現化することができる。
本発明の別の例示的な実施形態によると、ヌクレオチドは非標識である。
本発明の別の例示的な実施形態によると、鋳型核酸を基材に捕捉核酸を介して固定化するステップが示される。
ここで、捕捉核酸は結合ユニットと見ることができる。捕捉核酸はDNAの移動の自由度を低減し、このことは、本明細書で説明されるように、取り込み事象の決定のために有利である。捕捉核酸を介して鋳型核酸を基材に固定化することによって整列が行われ、このことは、標識が発するシグナルの検出の改善を導くことがある。
本発明の別の例示的な実施形態によると、捕捉核酸は、第1の鎖末端と第2の鎖末端とを有する2本鎖捕捉核酸である。本方法は、2本鎖捕捉核酸を基材に、第1の鎖末端にて第1の化学リンカーによって、及び第2の鎖末端にて第2の化学リンカーによって固定化するステップをさらに含む。
前述の実施形態に関して既に説明したように、この固定化ステップも、捕捉核酸を介して基材と結合している鋳型核酸の整列を導く。このことは、例えば図1a及び1bにおいて見ることができる。前述の実施形態はともに、鋳型核酸の整列が適当且つ堅く固定されていること、及び向きが基材の表面に関してほぼ垂直になるように選択できることを確実にする。所望により、本発明によって追加の整列手段を用いてもよい。さらに、例えばリンカー系を、DNAの移動の自由度をさらにより強く低減するように選択できる。よって、構造的に堅い接続をDNAと表面との間に確立できる。
本発明の別の例示的な実施形態によると、本方法は、捕捉核酸に対して力を加えることによって、基材の表面に対して所望の角度構成で捕捉核酸を整列させるステップをさらに含む。
特に、捕捉核酸が垂直方向で備えられるように整列手段を設けることができる。このことは、本発明の配列決定法のシグナルの質をさらに改善できる。ここで、整列させるとは、例えば垂直方向で固定する、保持する、空間的に定常に維持すること、と見ることができる。以下でより詳細に説明されるように、例えばDC電圧を印加し共吸着分子を用いることによって、捕捉核酸に対して加えられるすべての力を総計する組み合わせ力を用いてもよい。
本発明の別の例示的な実施形態によると、捕捉核酸の整列は垂直である。
ここで、用語「垂直」は、実質的に垂直又はほぼ垂直方向と見ることができる。鋳型核酸の正確に90°の向きからの偏差が、本発明のこの実施形態において許容できる。特に、用語「垂直方向」は、基材との関連で解釈される。よって、基材の表面に対する捕捉核酸の垂直の向きは、前述の整列措置によって達成される。
別の例示的な実施形態によると、本方法は、DC電圧又はAC電圧をクエンチ層に印加するステップを含む。したがって、クエンチ層は電極と見ることができる。電圧は、以下でより詳細に説明されるように、基材上のクエンチ層/電極と対電極との間に印加してもよい。
本発明の別の例示的な実施形態によると、捕捉核酸に対する力を、基材上の電極と対電極との間にDC電圧を印加することによってもたらす。
この実施形態は例えば図1a及び1bから推測され、以下でより詳細に説明される。
本発明の別の例示的な実施形態によると、本方法は、鋳型核酸及び/又は捕捉核酸を立体的に反発させるために、捕捉核酸の近傍の基材上に共吸着分子を適用するステップをさらに含む。
共吸着分子の例示的な適用は例えば図1a及び1bから推測され、この関係において、共吸着分子の異なる実施形態が開示される。
本発明の別の例示的な実施形態によると、本方法は、鋳型核酸において高さh1にて標識を提供するステップと、ヌクレオチドを鋳型核酸に取り込むことによって、標識の高さをクエンチ媒体の上方の高さh1から高さh2に変化させるステップと、を含む。さらに、高さh1から高さh2への変化に基づいて標識のシグナルの変化を記録するステップが含まれる。
言い換えると、鋳型へのそして前記鋳型核酸にアニールした核酸プライマーの3’末端でのヌクレオチドの取り込みは、観察されるシグナルに基づき、該シグナルはh1からh2への高さの変化を示す。例えば、このことは、図1に示す計算ユニット122によって行うことができる。したがって、本発明の方法及び配列決定装置は、特有のシグナル変化に基づいて標識の高さ変化の検出を可能にする。この目的のために、この特有のシグナルの変化の値を、例えば配列決定装置において、例えば計算ユニットにおいて記憶できる。高さの変化は、図1に示されるように増加であり得る。しかし、高さの減少も、特にこの例示的な実施形態によって本発明に含まれる。クエンチ層が電極114上に又は電極114の近傍に又は電極114に近接して配置される場合、シグナルの減少が期待される。h2がh1より大きい場合、図1の実施形態において高さh2にて存在するクエンチはより小さく、h2にてより多くのシグナル強度が発せられる。h2がh1より小さい場合、発せられるシグナル強度がより小さいように、より多くのクエンチがもたらされる。クエンチ媒体は、電極から離れた場所にて、例えば対電極上の層として配置することもできる。
本発明の別の例示的な実施形態によると、本方法は、標識の放出をクエンチする、すなわち標識のシグナルをクエンチするステップを含む。
特に、このことは、距離依存的連続的クエンチの意味において部分的クエンチを包含する。全般的に、この実施形態は、ヌクレオチドの取り込みの際のクエンチ速度の量の変化を容易にすることによって、標識によって生じるシグナルを変化させ、該変化は、本実施形態/本発明によって観察及び検出される。このことは、フォトルミネッセンスシグナルのクエンチを増加し、ヌクレオチドの取り込みの際に前記シグナルを減少させるステップも含む。所望により、クエンチ媒体は、基材の一部であってもよいが、別の構成要素として含まれてもよい。例えば、DNA複合体、すなわち鋳型核酸とプライマーと捕捉ヌクレオチドとは、基材に固定化できるが、クエンチ媒体は、第1の基材から離れて配置され得る第2の基材にあってもよい。例えば、クエンチ媒体は対電極上に配置されてもよい。さらに、完全な層の代わりに、凹部を有する層を用いることもできる。さらに、距離依存的様式で各標識のシグナルをクエンチするように構成された分子をクエンチ媒体として用いることもできる。
図1の実施形態では、クエンチは基材上のクエンチ層によって行われ、ここで、クエンチ層は、距離依存的様式で、すなわち高さ依存的様式でフォトルミネッセンス標識の放出をクエンチするように構成される。
本発明の別の例示的な実施形態によると、クエンチは、鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みの際に低減することによって、標識が発するシグナルが増加する。
基材上のDNA複合体に添加されるdNTPの取り込みの際にDNA複合体の伸長が起こることによって、クエンチの量が減少するのでシグナルは増加する。本実施形態/本発明は、有利なことに、配列決定のためにこの機序を採用する。
本発明の別の例示的な実施形態によると、本方法は、標識によって発せられる時間平均シグナルを決定するステップをさらに含み、時間平均シグナルを、インキュベーションを開始する前の時点のシグナルと比較するステップがさらに含まれる。さらに、比較の結果に基づいて、ヌクレオチドが鋳型核酸に取り込まれたか否かを決定する。
この実施形態は、標識が鋳型核酸に結合している場合、特に例えば図1bに示されるように鋳型核酸の末端に結合している場合に特に有用であり得る。この構成及びこのような測定についてのさらなる詳細は以下で十分に説明される。
本発明の別の例示的な実施形態によると、方法は、以下の:基材を、複数の第1の型のヌクレオチドを含有する溶液とともにインキュベートするステップと、第1の型が、1本鎖/2本鎖接合部の隣の鋳型核酸に沿った、次の不対ヌクレオチドに相補的である第1の場合において、溶液のヌクレオチドを鋳型核酸に取り込むステップと、第1の場合において、ヌクレオチドの取り込みによるシグナルの増加を検出するか、又は第1の型が次の不対ヌクレオチドに相補的でない第2の場合において、変化していないシグナルを検出するステップと、前記ステップを、異なる型のヌクレオチドを用いて反復するステップと、を含む。
本発明の例示的な実施形態によると、本方法は、ヌクレオチドの取り込み中に標識が発するシグナルの時間展開に基づいてヌクレオチド取り込み速度又はヌクレオチド取り込み時間を決定するステップをさらに含む。
言い換えると、取り込み中に標識が発するシグナルのリアルタイム検出に基づいて、ヌクレオチド取り込み速度及びヌクレオチド取り込み時間の両方又は一方だけのパラメータを、本発明の方法によって算出できる。例えば、決定されるヌクレオチド取り込み速度を用いて、取り込まれたヌクレオチドがどの型のヌクレオチドかを同定できる。この実施形態は、アンサンブル測定で行ってもよいが、単一分子測定で行ってもよい。
本発明の別の例示的な実施形態によると、本方法は、決定されたヌクレオチド取り込み速度をデフォルトヌクレオチド取り込み速度と比較し、及び/又は決定されたヌクレオチド取り込み時間を少なくとも1つのデフォルトヌクレオチド取り込み時間と比較するステップをさらに含む。前記1又は複数の比較に基づいて、この実施形態によって、ヌクレオチドの型を決定するステップを行うことができる。
例えば、計算ユニット122は前記ステップを行うことができる。しかし、外部サーバのようなその他の異なる構成要素が、前記ステップを代わりに行うこともできる。この実施形態のさらなる態様を以下の図7及び8の関係で説明する。
本発明の別の例示的な実施形態によると、本方法は、決定されたヌクレオチド取り込み時間を少なくとも1つのデフォルトヌクレオチド取り込み時間と比較し、及び又は決定されたヌクレオチド取り込み時間を少なくとも1つのデフォルトヌクレオチド取り込み時間と比較し、鋳型ヌクレオチドの化学状態、例えば鋳型ヌクレオチドのメチル化状態を、ヌクレオチド取り込み時間の比較の結果に基づいて決定するステップをさらに含む。
特に単一分子測定において、本発明のこの実施形態は、鋳型核酸のヌクレオチドが修飾(例えばメチル化)されているか又は損傷を受けているかを同定することを容易にする。したがって、鋳型核酸のメチル化状態を、本発明の方法を用いて決定できる。従来技術の配列決定法は、アンサンブル測定に必ず依拠し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が行われなければならないことは不利である。残念なことに、鋳型DNA又は鋳型RNAのメチル化状態は、PCR中に失われる。有利なことに、本発明のこの実施形態は、ヌクレオチド取り込み時間の比較を単一分子レベルで行うことができるので、鋳型核酸の状態についての情報を得る可能性を提供する。したがって、本発明のこの実施形態は、PCRを回避し、ヌクレオチド取り込み時間の結果に基づいて、鋳型がメチル化されているか否かを検出できる。測定又は決定されたヌクレオチド取り込み時間がデフォルトヌクレオチド取り込み時間から著しくずれている場合は、現在の相補ヌクレオチドでの鋳型の状態が、その天然の状態から変化したことが検出される。
本発明の別の例示的な実施形態によると、本方法はチップ上で行われる。さらに、チップを、複数の第1の種類のヌクレオチドを含む溶液とともにインキュベートするステップが含まれ、決定されたヌクレオチド取り込み速度に基づいて鋳型核酸に沿ってのホモヌクレオチドストレッチの長さを計測するステップが含まれる。
この実施形態は単一分子測定ベースで行ってもよい。
本発明の別の例示的な実施形態によると、基材に固定化された鋳型核酸を配列決定するためのプログラム要素が提示され、該プログラム要素は、プロセッサによって実行される場合、以下を行うように適合されている。標識のシグナルのデータを使用するステップであって、シグナルはヌクレオチドの添加の少なくとも前後に観察されたものである、ステップ;前記ヌクレオチドが、前記鋳型核酸にアニールした前記核酸プライマーの3’末端に取り込まれたか否かを決定するステップであって、決定は、標識の観察されたシグナルの変化に基づき、シグナルの変化は、鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体までの標識の距離の変化に起因する、ステップ。さらなる例示的な実施形態によると、クエンチ媒体はクエンチ層である。
プログラム要素は、コンピュータプログラムの一部であってもよいが、それ自体でプログラム全体であることもできる。例えば、コンピュータプログラム要素を用いて、既に存在するコンピュータプログラムを更新して、本発明を始めることができる。例えば、プログラム要素は配列決定装置の計算ユニットに記憶されることがある。
本発明の別の例示的な実施形態によると、基材に固定化された鋳型核酸を配列決定するためのコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体が提示される。コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行される場合、以下を行うように適合されている。標識のシグナルのデータを使用するステップであって、シグナルはヌクレオチドの添加の少なくとも前後に観察されたものである、ステップ;前記ヌクレオチドが、前記鋳型核酸にアニールした前記核酸プライマーの3’末端に取り込まれたか否かを決定するステップであって、決定は、標識の観察されたシグナルの変化に基づき、シグナルの変化は、鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体までの標識の距離の変化に起因する、ステップ。さらなる例示的な実施形態によると、クエンチ媒体はクエンチ層である。
コンピュータ読み取り可能な媒体は、記憶媒体、例えばUSBスティック、CD、DVD、データ記憶装置、ハードディスク又は上記のプログラム要素を記憶できる任意のその他の媒体と見ることができる。
本発明の別の例示的な実施形態によると、容器の基材に固定化された鋳型核酸を配列決定し、標識のシグナルのクエンチを容易にすることによって鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みの検出を容易にするための容器が提示される。基材、鋳型核酸、標識を含む容器であって、標識が鋳型核酸と共有結合又は非共有結合によって結合しており、鋳型核酸が基材に固定化され、容器が、標識のシグナルをクエンチするためのクエンチ媒体をさらに含む、容器。さらなる例示的な実施形態によると、クエンチ媒体はクエンチ層である。
所望により、このような容器は、上記に定義する要件及び特徴に準じたバイオチップ又は単純基材と見ることができる。このような容器の例示的な実施形態は、容器119が示される図1から推測される。このような容器は、挿入によって配列決定装置に収容され、バイオチップと装置との組み合わせが、上記及び下記の方法の実施形態を行うことができる。本発明の別の例示的な実施形態によると、容器はバイオチップである。
本発明の例示的な実施形態によると、容器は、第1の鎖末端と第2の鎖末端とを有する2本鎖捕捉核酸を含み、2本鎖捕捉核酸は、第1の鎖末端にて第1の化学リンカー及び第2の鎖末端にて第2の化学リンカーによって基材に固定化されている。
容器のこの実施形態は、鋳型核酸の整列が堅く固定され、配向が容器の表面に対してほぼ垂直であることを確実にする。この実施形態を図1に示すが、この実施形態は、上に記載され、以下の説明から明らかになるある種の利点をもたらす。
本発明の別の例示的な実施形態によると、容器は、表面に対して所望の角度構成で捕捉核酸を整列させるための整列手段を含み得る。
容器の整列手段は、捕捉核酸を整列させるために捕捉核酸に対して力を加えるように構成されてもよい。所望により、捕捉核酸は、容器上に垂直方向に整列される。整列手段は、基材上の電極及び対電極として具現化することができる。あるいは又はさらに、整列手段は、鋳型核酸及び/又は捕捉核酸を立体的に反発させるための、捕捉核酸の近傍の容器の基材上の共吸着分子として具現化することができる。このことは、本発明の配列決定の目的のためにシグナルの質を改善し得る。
本発明の別の例示的な実施形態によると、前述した容器実施形態のうちの1つに従うバイオチップの使用であって、バイオチップが、バイオチップの基材に固定化された鋳型核酸を配列決定するために用いられる使用が提示される。さらなる例示的な実施形態によると、クエンチ媒体はクエンチ層である。
本発明の別の例示的な実施形態によると、基材に固定化された鋳型核酸を配列決定するための配列決定装置が提示される。配列決定装置は、鋳型核酸が固定化されている基材と、鋳型核酸と共有結合又は非共有結合によって結合した標識と、を有する容器を収容するように構成され、ここで、基材は、標識のシグナルをクエンチするためのクエンチ媒体を含む。さらに、核酸プライマーは前記鋳型核酸にアニールしている。配列決定装置は、標識のシグナルを観察するための検出手段と、ヌクレオチドが、前記鋳型核酸にアニールした前記核酸プライマーの3’末端に取り込まれたか否かを決定するように構成された計算ユニットと、を含む。ここで、計算ユニットは、基材へのヌクレオチドの添加の少なくとも前後に観察されたシグナルの変化に基づいて前記決定を行うように構成されている。さらに、シグナルの変化は、鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体までの標識の距離の変化に起因する。さらなる例示的な実施形態によると、クエンチ媒体はクエンチ層である。
言い換えると、計算ユニットは、ヌクレオチドの取り込みの特徴であるシグナルの変化が存在する場合に、ヌクレオチドの添加前に観察される第1のシグナルと、ヌクレオチドの添加後に観察される第2のシグナルとの比較から同定するように構成される。連続的測定からの1つのシグナルを用いることもできる。このような特有の値は、以下、Δと称することがある。シグナル強度の特有の増加Δ又は減少Δが検出されるならば、配列決定装置が、組み込み事象を記録できる。あるいは、装置は、組み込み事象が検出されたことを示すシグナルを生じることができる。
本発明の配列決定装置は、特に断らない限り、本明細書に記載される異なる方法実施形態を行うように構成されている。
本発明による配列決定装置の例示的な実施形態を参照符号120で図1に示す。計算ユニットは、装置の検出手段から計算ユニットが受け取ったデータから、取り込み事象を同定するように構成されてもよい。計算ユニットは、以下の図3、7、8、9、10、11及び12に関して説明する原理に基づいて取り込みを検出するように構成されてもよい。この態様は以下でより詳細に説明される。検出手段は、例えば光検出器のような検出器として具現化することができ、さらなる実施形態は後述される。計算ユニットは、プロセッサ又はCPUであってもよいが、異なった態様で具現化してもよい。さらに、配列決定装置を、例えば、既知の鋳型によって、1又は複数の既知のヌクレオチドの取り込みの観察によって特有の値Δに関して校正することもできる。
本発明の別の例示的な実施形態によると、本配列決定装置は、鋳型核酸がチップの基材に固定化されたバイオチップを収容するための収容部を含む。さらに、バイオチップの表面の上方の無標識のヌクレオチドを含む溶液を逐次的に交換するように構成されたインキュベーションモジュールが含まれる。
例示的な実施形態によって、異なる逐次的なクエンチステップを、異なるヌクレオチドを用いて行うことができる。特に、この実施形態は、上の「配列決定ステップ」のセクションに記載されているように、インキュベーション及び読み取りステップを行うように構成されてもよい。
本発明の別の例示的な実施形態によると、検出手段は、バイオチップ上の溶液の逐次的交換中に標識のシグナルをリアルタイムで記録するように構成される。本発明の装置によって行われるこのようなリアルタイム記録は、それぞれ図3、7、8、9、10及び11から推測できる。
本発明の別の例示的な実施形態によると、本配列決定装置は、DC電源を含み、ここで、DC電源は、基材の表面に対して所望の角度構成で捕捉核酸を整列させるためである。
言い換えると、DC電源は、鋳型核酸の整列に対して前述及び後述するように、好ましくはほぼ垂直の向きでの整列手段と見ることができる。
表面の固定化核酸の配列決定に基づく配列決定法を提供することは本発明の趣旨と見得る。有利なことに、バイオチップの基材に備えられたヌクレオチドが固定化鋳型核酸に取り込まれたかを検出するために長距離検出機序が用いられる。鋳型核酸と捕捉核酸とを含むDNA複合体の向きを堅く固定することを容易にするために、種々の異なる整列手段が本発明によって提供される。種々の異なるリンカー系を用いて、第1の及び第2の鎖末端にてDNA複合体を固定化して、DNA複合体の所望の整列を達成することができる。基材表面上の共吸着分子も、このような整列措置として用いることができる。さらに又は代わりに、DNA複合体を電極から反発させ、垂直なDNA複合体の向きを容易にするために、電場を印加してもよい。例示的な実施形態では、クエンチ媒体は、クエンチ層として具現化され、導電性材料で作られ、基材上にある。本発明のこれら及びその他の特徴は、以下に説明する実施形態から明らかになり、該実施形態に関して解明される。有利なことに、所望により無標識のヌクレオチドを用いることができる。
本発明の例示的な実施形態が添付の図面に記載される。
原則として、図面において同一部分は同じ参照符号で示す。
図1a及び1b(Fig.1a及び1b)は、本発明の2つの例示的な実施形態による2つの配列決定装置を概略的に示す 図2(Fig.2)は、40塩基対DNA層の電圧レスポンスを示し、本発明の例示的な実施形態が用いるクエンチ機序の原理を説明する。 図3(Fig.3)は、本発明の例示的な実施形態によるヌクレオチド取り込みの際のフォトルミネッセンス増加を概略的に示す。 図4(Fig.4)は、本発明の例示的な実施形態による配列決定法のフローチャートである。 図5(Fig.5)は、本発明の2つの例示的な実施形態による鋳型核酸の配列決定を概略的に示す。 図6(Fig.6)は、本発明の2つの例示的な実施形態による鋳型核酸の配列決定を概略的に示す。 図7(Fig.7)は、本発明の例示的な実施形態による配列決定法のアンサンブル測定におけるヌクレオチド取り込み中の時間依存的フォトルミネッセンスシグナルを示す。 図8(Fig.8)は、本発明の例示的な実施形態による単一分子レベルでのヌクレオチド取り込み中に記録されたフォトルミネッセンスシグナルを示す。 図9a〜9c(Fig.9a〜9c)は、本発明の例示的な実施形態による、3ヌクレオチド1本鎖突出を有する表面固定化2本鎖DNA配列と、ミスマッチdNTP及びマッチdNTPと、のインキュベーションを概略的に示す。 図10a及び10b(Fig.10a及び10b)は、本発明の例示的な実施形態による配列決定法中の単一dNTPの取り込みを示す。 図11a〜11c(Fig.11a〜11c)は、本発明の例示的な実施形態による、4つすべてのdNTPの混合物とのインキュベーション(図11b)、又はマッチdNTPとの逐次的インキュベーション(図11c)による、45nt DNA配列に沿った25nt 1本鎖セグメントの重合を概略的に示す。 図12a及び12b(Fig.12a及び12b)は、本発明の例示的な実施形態による、1つのリンカーのみに連結されたDNAを用いる図11cの類似体の配列決定を概略的に示す。
実施形態の詳細な説明
図1a及び1bはそれぞれ、基材に固定化された鋳型核酸100を配列決定するための配列決定装置120を示し、ここで、標識117は、図1aにおいて鋳型核酸100に間接的に結合しており、図1bにおいて鋳型核酸に直接結合している。図1aでは、標識117はポリメラーゼ118と結合しており、したがって、鋳型100に間接的に結合している。核酸プライマー鎖104は鋳型100にアニールしている。図1a及び1bの両方の配列決定装置120は、標識のシグナルを検出するための検出手段110と、検出されたシグナルの変化に基づいて鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みを検出するように構成された計算ユニット122と、を含む。ここで、シグナルの変化は、鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされる基材までの標識の距離の変化に起因する。鋳型核酸を配列決定するための容器119は、装置120によって、装置の収容部で収容される。また、検出手段110は、容器上の溶液の逐次的交換中の標識のシグナルをリアルタイムで記録するように構成されてもよい。装置は、容器119の表面の上方の無標識のヌクレオチドを含む溶液を逐次的に交換するように構成されたインキュベーションモジュール(図示せず)を含んでもよい。励起エネルギーは符号115で示す。標識117が発し、観察、検出及び/又は記録されるシグナルを、符号102で図1a及び1bに示す。図1a及び1bはともに、クエンチ媒体107までの標識の距離103を示す。クエンチ媒体はクエンチ層として設けられる。
前記距離103の変化は、本発明の配列決定装置120によって、シグナル102の変化、特にシグナル102の強度の著しい増加又は減少として検出できる。したがって、鋳型核酸100とプライマー104とを含む鎖へのヌクレオチド(図5及び6において501又は601)の取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体107までの標識117の距離103の変化が検出される。クエンチ媒体107の上方の標識117の高さの第1の高さh1=h(n)から第2の高さh2=h(n+1)までの変化を引き起こす、取り込みの際のDNA鎖の対応する伸長プロセスは、図5及び6から容易に推測できる。図1a及び1bの両方から推測できるように、それぞれのプライマー核酸鎖104及びそれに結合する捕捉鎖は、基材101及びクエンチ媒体107として機能する電極107に対してほぼ垂直に整列される。この垂直の整列は、上述し、以下により詳細に例示されるように種々の様式で達成できる。前記整列はシグナルを改善する。及び/又は、前記整列は、取り込み事象を検出するステップ、すなわち、標識の観察されるシグナル(102)の変化に基づいて鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みを検出するために、標識117の観察されるシグナル102を使用するステップを単純化できる。
物理的な点から、以下に留意されたい。印加されたバイアスは、電極107を分極させ、グイ−チャップマン−スターンスクリーニング層の形成を導く。クエンチ層における標識から表面プラスモンへの非放射性エネルギー移動は、標識が距離依存的様式で表面に近づく場合に、発せられるシグナル強度をクエンチすることがある。したがって、高いシグナル強度は、ここではクエンチ媒体として機能する電極からの標識の距離が大きいことを示す。低いシグナル強度は、電極からの標識の距離が近いことを示す。このことは、例えば図2、3、5及び6から明らかになり、図2、3、5及び6に関して解明される。
前述したように、図1a及び1bに示される容器119及び配列決定装置120は、基材101に固定化された鋳型核酸100を配列決定するための方法であって、標識117が鋳型核酸100と共有結合又は非共有結合によって結合している方法を容易にし、該方法を行う。核酸プライマー104は前記鋳型核酸にアニールしている。容器119及び配列決定装置120は、ヌクレオチドの添加、及び前記ヌクレオチドが、前記鋳型核酸100にアニールした前記核酸プライマーの3’末端に取り込まれたか否かの決定を容易にする。ここで、ヌクレオチドの添加の少なくとも前後に標識117のシグナル102を観察する。さらに、標識の観察されたシグナル102の変化に基づいて鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みを検出するために、標識の観察されたシグナルを使用する。例えば、このことは計算ユニット122によって行うことができる。さらに、シグナルの変化は、鋳型核酸100へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体107までの標識117の距離103の変化に起因する。所望により、装置120は、前述したステップを反復して前記鋳型核酸100の完全配列を決定するように構成されてもよい。ヌクレオチドは非標識であることが好ましい。鋳型100及びプライマー104にポリメラーゼ118によって取り込まれるヌクレオチドは図5及び6において符号501及び601で示されていることに留意されたい。
図1a及び1bに関して前述した本発明の一般概念とは別に、本発明の複数の例示的なさらに開発された実施形態が図1a及び1bとの関係において説明される。したがって、以下において、これらの両方の図に用語「図1」を用いて言及する。したがって、本発明を行うための方法、装置及び容器の種々の実施形態を当業者のために示す。その結果、以下に説明する特徴は、特に断らない限り、本明細書に記載されるその他の特徴から分離して容易に用いることができる。
図1の実験装置は、以下の特徴を組み込むように修正してもよい。図1では、例えばガラス又はプラスチックから作られていてもよい非導電性固相基材101は、クエンチ層及び作用電極107のための平坦支持体として働く。任意選択により、クエンチ層は電極として同時に働くことがある。クエンチ層107は、フォトルミネッセンスエミッタ117が層に近づく場合に前記エミッタの発光を抑制するエネルギー受容材料からなる。好ましい実施形態では、クエンチ層は、金属層、特に5〜300nmの厚みの金フィルムであり得る。有機層、例えば導電性高分子又は色素増感マトリクスも用いることができる。クエンチ層の吸収スペクトルは、PLエミッタの放射スペクトルとある程度一致し、そのことによって非放射性エネルギー移動が容易になる。PLエミッタ117は有機色素分子又はナノ粒子であり得る。これは、ポリメラーゼ(図1a)に結合するか、又はDNA鋳型鎖(図1b)に結合できる。後者の場合、PLエミッタ117は、図1bに示されるようにして鋳型鎖100と共有結合によって結合してもよく、又は代わりに、1若しくはいくつかのPLマーカーを保持する短いオリゴヌクレオチドが鋳型鎖にハイブリダイズできる(図1に示さず)。PL放射は、イメージング光学機器113又はレーザ偏向光学機器113によって表面上に平行にされる光源116からの励起光115によって刺激される。PL光の検出のために、イメージング光学機器113及び光検出器110を用いることができる。所望により、検出は空間分解してもよい。電場の任意選択による適用のために、クエンチ層(これは、次いで作用電極107として機能し得る。)を電源112を介して対電極114に接続する。負の電圧を電極に印加して、負に荷電したDNAを静電的に反発させてもよい。垂直のDNAの向きを容易にするための電場の使用は整列手段の実施形態として本明細書に記載される。作用電極及び対電極は、電解液(図示せず)を満たした流体区画に組み込んでもよい。表面の上方の溶液は、ある種の液体取扱い装置、例えばマイクロ流体チャネルに接続されたポンプ又は(自動化)ピペッティング操作によって交換してもよい(図示せず)。前述した要素は配列決定装置120の構成要素として用いることができる。
配列決定されるDNA鋳型鎖100は、専用プライマー/アダプタ領域106を介してプライマー核酸104にハイブリダイズすることによって表面と結合する。さらに、捕捉オリゴヌクレオチドが含まれる。プライマー/捕捉鎖の表面に近い部分は、より短い補強オリゴヌクレオチド鎖105とともに堅いDNA二重鎖を形成する。プライマー/捕捉鎖は、一末端にて化学リンカー124、123によって固定され、該リンカーは、表面と比較的強い共有結合を形成することがある。例えば、硫黄−金結合を用いることができる。補強オリゴヌクレオチド鎖105も、専用リンカー123、124によって表面に固定される。鎖105及び106は、リガーゼによってつなぐことができるか又はできない別々の鎖であってもよい。DNAを垂直に効率よく整列させるための構造的な堅さを与えるリンカーの使用は、信頼できる改善された配列決定をもたらすための有利な手段である。このことは、2以上のリンカー、又は鋳型及びプライマー、すなわちDNAの自由度の所望の拘束若しくは束縛が達成されるように構造的完全性及び堅さのために特に設計された単一化学構造を用いることによって達成できる。鋳型DNA配列と相補的な様式でマッチするヌクレオチドの取り込みはポリメラーゼ118によって行われ、該ポリメラーゼはDNAと1本鎖/2本鎖接合部で結合する。自己組織化単分子膜(SAM)109を用いてDNA分子104、105の隣及びこれらのDNA分子の間の空間を充填してもよい。SAM形成性分子は、表面107との共有結合によるカップリングのための化学頭部基108と、層内の立体的及び/又は静電的相互作用を容易にするために用いる可変尾部基111とを特徴とする。最適化された立体的及び/又は静電的相互作用のために、SAMは、図1に示されるように、異なる尾部基を有する分子の不均質なブレンドであってもよい。堅いDNAの整列を容易にするSAMの使用は、以前及び以下に記載されるように、信頼できる改善された配列決定をもたらすための有利な手段である。
以下において、さらに好ましい又は代わりの態様を説明し、該態様は、図1の配列決定装置に取り込むことができる。好ましい実施形態では、作用電極107は、導電性高分子、又は色素分子を含有するマトリクス層であってもよい。作用電極107は、大きい単一導電性フィルム、又は代わりに、単一基材上に並べられた多くの個別にアドレス可能な微小電極であり得る。自己組織化単分子膜109は、例えばアルカン鎖の長さ=6のアルカン−チオール鎖であってもよい。ポリエチレングリコールも用いることができる。化学頭部基108は、以下の反応性基の1又は組み合わせを含有する基であってもよい:アルデヒド、ケトン、チオール、アミン、カルボキシル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、グリカン、アジド、アルキン、アルケン、ケイ素、及びこれらの任意の組み合わせ。可変尾部基111は、例えばカルボキシル又はエチレングリコール部分であってもよい。特に、可変尾部基111は、非結合特性を与えてもよく、すなわちタンパク質反発性であってもよい。リンカー124は、例えば鎖長=6のアルカン鎖であってもよい。基123は、以下の反応性基の1又は組み合わせを含有してもよい:アルデヒド、ケトン、チオール、アミン、カルボキシル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、グリカン、アジド、アルキン、アルケン、ケイ素、及びこれらの任意の組み合わせ。
さらに、捕捉オリゴヌクレオチドを固定化のために用いてもよく、捕捉オリゴヌクレオチドは例えば5〜100ヌクレオチドを含んでもよい。プライマー核酸104は例えば5〜100ヌクレオチドを含んでもよい。補強オリゴヌクレオチド鎖105は例えば5〜100ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであってもよい。プライマー/アダプタ領域は例えば5〜100ヌクレオチドを含んでもよい。鋳型オリゴヌクレオチド100は、例えば5〜10000ヌクレオチドの長さの1本鎖DNA鋳型である。標識117は、例えばCy3(登録商標)のような蛍光色素分子、又は例えばコロイド状CdSe量子ドットのようなコロイド状半導体ナノ結晶であってもよい。対電極114は、金、又は酸化インジウムスズ、又は白金で作られてもよい。標準電源12は、0〜−1.0Vの間の一般的な電圧を作用電極に印加する。印加された電圧は、SAMスペーサ層又は系内の任意のその他の誘電層の厚み及び/又は誘電率のような誘電特性に依存することがあり、必要であれば−1.0Vより著しく高くてもよい。正の電位を印加することもできる。印加された電圧は表面を分極させるのに用いられるが、界面を横切ってファラデー電流(電荷移動)を駆動させること(これは分子膜を破壊し得る。)はないことに留意するのが重要である。ポリメラーゼ118は、バチルス・ステアロサーモフィラスからのBst DNAポリメラーゼであり得る。発光ダイオード(LED)116は、レーザ、又はハロゲン若しくはその他のランプであってもよい。イメージング光学機器113は、対物レンズ、レンズ、帯域通過フィルタ及び干渉フィルタ、ビームスプリッタなどを含み得る。DNA配列決定のための市販で入手可能なシステムで用いられる標準的な落射蛍光顕微鏡又は標準的な蛍光イメージングシステムも、図1の配列決定装置120と組み合わせて用いることができる。さらに、電荷結合素子(CCD)又は光電子増倍管又はフォトダイオード検出器のような検出器110を用いることもできる。
配列決定のための容器の例示:
容器119の例示的な実施形態は、以下の例示的な構成要素を用いて作製できる。市販のガラス基材を、RCA手順に従って洗浄する。標準的な光学リソグラフィ技術を用いて、200nmの厚みのAu作用電極107及びAu対電極114を、10nmの厚みのTiフィルムを接着層として用いて真空下でガラス基材に蒸着させる。あるいは、PT及びITOを電極及び/又は対電極の材料として用いることができる。電極の形状寸法は個別に適合できる。ここで、我々は、mm寸法の大きい矩形のAu対電極で囲まれた100又は120μm径の円形の作用電極を用いた。電極構造体は、エラストマーで作られたマイクロ流体チャネル及び頂部ガラスカバープレートの内部に密封する。励起シグナル115を発生させ、Cy3(登録商標)色素117の蛍光を発光波長λemおよそ570nmで検出するために、市販の落射蛍光顕微鏡(Olympus)を用いる。Cy3(登録商標)色素117の蛍光は鋳型DNA鎖100又はポリメラーゼ118と結合させる。励起波長λexcおよそ530nmを有する緑色LEDを、光源及び検出のための単一光子計数モジュールを有する標準的な光電子増倍管として用いる。混合配列のオリゴヌクレオチド104及び105は、固定化のための標準的な(CH−SHリンカー123、124を用いて商業的に得られ、Tris緩衝生理食塩水(10mM Tris緩衝液、pH7.4、200mM NaCl、[オリゴ]=1μM)中でプレハイブリダイズさせる。Au表面をピラニア溶液で洗浄した後に、電極をTris緩衝液中の1μM 104/105オリゴ溶液と1時間までインキュベートすることによって、104/105二重鎖を、それらのチオール基を介してAu表面に固定化する。その後、電極をTris緩衝液で洗浄し、SAM形成試薬109、すなわちTris緩衝液中の1mMメルカプトヘキサノールと、およそ/少なくとも5分間インキュベートする。最後に、電極をTris緩衝液で洗浄し、鋳型DNA100(以前に使用したTris緩衝液中に50nM、15分間)とともにインキュベートできる。もちろん他の緩衝液を用いることもできる。
例示的な配列決定態様:
1本鎖DNA鋳型100の未知の配列は、以下のようにして、本発明の配列決定法を行うことによって決定できる。特に、前処理ステップを、配列決定自体を行う前に用いることができる。まず、配列決定されるDNA鋳型100以外は、例えば図1に示すような機構を上記のようにして準備できる。第二に、配列決定されるDNA100を、例えば音響剪断のような標準的な手順によって適当な長さの小片に断片化できる。最大限に達成できる読み取り長さに応じて、小片は、数十塩基対、数百塩基対若しくは数千塩基対又はそれ以上であり得る。第三に、表面上の核酸プライマー鎖104に相補的なアダプタ/プライマー配列106を、標準的な手順を用いて鋳型DNA100にライゲーションする。このステップ中、所望に応じて、任意選択により、鋳型DNAをPCRによって増幅してもよい。第四に、任意選択により、別のアダプタ配列をDNA鋳型の反対の末端に付加してもよい。このことを用いて、例えば、図1に関して前述したように、PLエミッタ標識オリゴを結合させることができる。第五に、アダプタ/プライマー106を有する鋳型DNA100を、標準的な表面ハイブリダイゼーション条件を用いることによってプライマー鎖104及び捕捉鎖へのハイブリダイゼーションによって表面に固定化する。第六に、ポリメラーゼ118は、1本鎖/2本鎖接合部にてプライマー二重鎖104/106と結合する。
図2は、40塩基対DNA層の電圧レスポンスを示し、本発明の例示的な実施形態が用いる距離依存的クエンチ機序の原理を示す。図2は、補助電極に適切な負の電圧を印加することによって、末端で連結された40bp DNA鎖を直立の向きにどのようにしてできるかを示す。さらに、図2は、クエンチ媒体までの標識の距離に関するクエンチの量の依存性を模式的に示す。例えば、クエンチ媒体は、ここで、鎖が結合する電極として具現化されている。DNAの上端に結合した標識は、−0.2V(対ITO対電極、50mM NaCl溶液)を印加した場合に最大値に近づく。このことは、(i)負に荷電したDNAが負に荷電した電極表面から反発し、(ii)星印で図示する標識からの非放射性エネルギー移動が、DNAの頂端がPL−クエンチ層から離れて移動するにつれて弱くなることを考慮した場合に説明できる。まとめると、このことはDNAの直立の配向を示す。エネルギー吸収電極に標識が近いことによって放出203がクエンチされる、寝ている形状201では、シグナル強度は低い。立っている形状/配向200では、標識とクエンチ媒体との間の距離が大きいので、クエンチは低い。したがって、標識は高い強度202を発する。符号204及び205は、電極に負の電場を印加することによってDNA鎖が反発し、電極に正の電場を印加することによってDNAが誘引されることを図示する。ここで用いる標識とクエンチ媒体との組み合わせを選択して、励起された標識からクエンチ媒体中の表面プラスモンまでの非放射性エネルギー移動が、標識がクエンチ媒体に近づく場合に標識のシグナルの放出をクエンチするように、すなわち距離依存的様式にする。図2に示すダイヤグラムは、クエンチ媒体までの標識の距離に対応する、印加した電圧への標識の観察/検出された蛍光の依存性を反映する。
図3は、図1の関係において例示的に記載されているように、フォトルミネッセンス(PL)標識が鋳型核酸100と共有結合又は非共有結合によって結合している本発明の例示的な実施形態を示す。以下において、逐次的スキームの例示的な実施形態は、図3の関係において示す。PL標識117のPL強度102を経時的に連続的に測定し、該強度は図3から推測できる(ステップ1)。任意選択により、表面から負に荷電したDNAを反発させるための負の電圧を作用電極に印加してもよい(ステップ2)。表面を、1つの型のヌクレオチド(例えばdATP)を含有する溶液とともにインキュベートする(ステップ3)。dNTPが、1本鎖/2本鎖接合部の隣の鋳型DNAに沿った、次の不対ヌクレオチドに相補的であるならば、dNTPは、符号118で図1に示されるように、ポリメラーゼによって取り込まれる。その結果、PL強度は、図3のPLプロットから分かるように、特有の値ΔPLだけ増加する。この理由は以下の通りと考えられる。図1aに例示するようにPL標識ポリメラーゼを用いる場合、ポリメラーゼは、100/104の2本鎖部分を伸長して、組み込まれるdNTPごとに1塩基対間隔の距離だけクエンチ表面から離れて移動する。塩基対間隔はおよそ0.34nmである。以下の図5及び6について、このことは、h(n+1)=h(n)+0.34nmを意味する。ポリメラーゼと結合したPL標識とクエンチ層との間の距離hが増加するにつれ、非放射性エネルギー移動が減少し、したがって、PL放射はΔPLだけ増加する。
図1bに例示するようにPL標識DNAの場合、ポリメラーゼは、100/104の2本鎖部分を伸長し、そのことによって、鋳型DNA100のフレキシブル1本鎖部分の固定点、すなわち接合部が表面から離れて移動する。図5及び6を参照されたい。我々は、PL標識117の位置は、それぞれ、空間で絶対的に固定されないが、フレキシブル1本鎖DNAセグメントのブラウン運動の揺らぎを受けることがあることに注目する。しかし、このことは本発明に害を与えない。よって、測定されるPL強度は、クエンチ層の上方のPL標識の時間平均高さhに対応する。垂直に整列されると、2本鎖DNAセグメントは伸長されるようになり、1本鎖セグメントの固定点は上方に移動する。このことは、PL標識の時間平均高さの増加と実質的に解釈され、本発明ではこのことを用いて取り込み事象を検出できる。
鋳型DNAに沿ったホモヌクレオチドストレッチのためにdNTPが複数回取り込まれるならば、図3に示されるように、PL強度は、対応する複数のΔPL(2×ΔPL、3×ΔPLなど)だけ増加する。dNTPがミスマッチであるならば、PL強度は変化しないままである。図3を参照されたい。さらに、取り込まれなかったdNTPは、溶液を、dNTPを含まない緩衝液と交換することによって除去される(ステップ4)。前のステップ2〜4を、異なる型のヌクレオチド(例えばdCTP、dGTP、dTTP)を用いて反復する(ステップ5)。さらに、ステップ2〜5を、PL強度がいずれの型のdNTPについてももはや変化しなくなるまで、すなわち、鋳型DNA鎖全体が1本鎖から2本鎖に変換されるまで反復する。したがって、ユーザは鋳型100の完全配列を得る。シグナル102は、観察されるシグナルΔ又は2Δ又は3Δなどの変化に基づいて鋳型核酸100へのdNTPの各取り込みを検出するために配列決定装置によって利用され、ここで、シグナルの変化は、dNTPの取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体までの標識の距離103の変化に起因する。
図4は、本発明の例示的な実施形態による配列決定法のフローチャートを示す。基材に固定化された鋳型核酸を配列決定するための方法であって、標識が鋳型核酸と共有結合又は非共有結合によって結合しており、核酸プライマーが前記鋳型核酸にアニールされている、方法が示される。さらに、標識のシグナルをクエンチするためのクエンチ媒体が提供されている。方法は、基材を、第1の型の複数のヌクレオチドを含有する溶液とともにインキュベートするステップS5を含む。このステップは、ヌクレオチドを添加するステップと見ることができる。さらに、ヌクレオチドを添加する少なくとも前後に標識のシグナルを観察するステップがS1として示される。第1の型のdNTPが1本鎖/2本鎖接合部の隣の鋳型核酸に沿った、次の不対ヌクレオチドに相補的である第1の場合では、溶液のヌクレオチドがステップS6において鋳型核酸に取り込まれる。第1の場合は図4の左に示す。第1の場合では、ヌクレオチドの取り込みによるシグナルの増加がステップS7で検出され、ここで、シグナルの変化は、鋳型へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体までの標識の距離の変化に起因する。第1の型が次の不対ヌクレオチドに相補的でなく、ヌクレオチドが取り込まれない第2の場合では、変化していないシグナルがステップS8において検出される。両方の場合において、標識の観察されるシグナルを、ステップS2において観察されたシグナルの変化に基づいて鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みを検出するために用いる。所望により、ステップS9中に、ステップS5〜S2を異なる又は同じ型のヌクレオチドを用いて反復できる。その結果、方法は、前記ヌクレオチドが、前記鋳型核酸にアニールした前記核酸プライマーの3’末端に取り込まれたか否かを決定する。
図5は、本発明の例示的な実施形態による、フォトルミネッセンス標識で標識されたDNA鎖の配列決定を示す。図6は、フォトルミネッセンス標識で標識されたポリメラーゼを用いる配列決定を示す。クエンチ媒体107までの標識117の距離103の変化は、図5及び6においてヌクレオチド501又は601の取り込みによって引き起こされる。ヌクレオチドの添加は符号500及び600で図示する。鋳型100中の塩基間の塩基対間隔はおよそ0.34nmである。図5及び6の両方において、鋳型100とnヌクレオチドを有するプライマー104とを含む鎖の高さhはh(n)である。したがって、1つのマッチヌクレオチドdNTPの取り込み後は、高さはh(n+1)である。したがって、h(n+1)=h(n)+0.34nmである。ポリメラーゼ結合標識とクエンチ層との間の距離hが増加するにつれ、非放射性エネルギー移動が減少し、したがって、シグナル強度放出はΔの強度だけ変化する。
図7は、本発明の例示的な実施形態によるアンサンブル測定におけるヌクレオチド取り込み中の時間依存的フォトルミネッセンスシグナルを示す。図7は、ヌクレオチド取り込み速度の態様及び修飾ヌクレオチドの区別に関する。異なるdNTPの取り込み速度は、例えば、図7に示すようなリアルタイムPL測定における2本鎖DNAセグメントのポリメラーゼ媒介伸長を追跡することによって決定できる。dNTPインキュベーションとシグナル飽和の間の安定したPLの増加はdNTP濃度に依存し、該濃度は、用いたPL検出機構のサンプリング時間によって調節できる。該増加が、それぞれのdNTPについてのポリメラーゼの処理能力にも依存することが重要である。律速反応体制では、シグナル変化は、指数関数時間経過PL〜exp(−kdNTP×t)(式中、kdNTPは、あるdNTPについてのポリメラーゼの取り込み速度である)をたどる。このdNTP特異的取り込み速度は、本発明の実施形態に従って異なるdNTPを区別するために用いることができる。特に、特有の取り込み速度、又は逆に取り込み時間定数を測定することによって、鋳型DNA鎖に沿ったヌクレオチドが化学的に修飾されているか、例えばヌクレオチドがエピジェネティックプロセスの経過においてメチル化されたか、又はそうでなければ損傷されたかを区別することができる。このことは、ポリメラーゼの処理能力が、取り込まれるヌクレオチドの化学構造及び鋳型DNA鎖上の対応する不対ヌクレオチドの化学構造に一般的に依存するという事実による。本発明の方法はこのことを利用する。本明細書に開示する配列決定のための装置は、通常の取り込み時間が観察されたか、又は異なる取り込み時間が観察されたかを検出するように構成される。所望により、デフォルト取り込み時間との比較を行うことができる。
さらに、取り込み時間定数を測定することによって、溶質dNTPがどれぐらい頻繁にDNA鎖に取り込まれたかも決定でき、すなわち、鋳型に沿ったホモヌクレオチドストレッチの長さを計測することができる。我々は、取り込み時間が、ホモヌクレオチドセグメント内のヌクレオチドの数を測ることを実験的に見出した。シグナル強度の絶対的変化を測定すること(例えば図3のΔPLを参照されたい)に加えて取り込み時間を測定することによって、ホモヌクレオチドセグメントの長さに関する補完的な情報が得られ、このことは決定の精度を改善する。本発明の方法はこの見識も利用する。
上記の測定の様式は、(A)DNA鋳型クローンのアンサンブル及び(B)単一分子の調査に用いることができる。
(A)アンサンブル測定のために、多くの、例えば数十億までのモノクローナルDNAコロニー(いわゆる「ポロニー」)を、確立された方法、例えばブリッジ増幅法又は類似の方法によって、単一表面上で作製できる。典型的な測定シグナルを図3及び7に図示する。
(B)単一DNA分子の配列決定のために、捕捉オリゴを非常に低い密度で電極表面に固定化して、2つの隣接DNA間の距離が光学イメージングシステムの水平方向分解能(典型的におよそ0.5μm)より大きくなるようにする。実際上、このことは、(i)固定化溶液中の非常に薄めたオリゴヌクレオチド濃度を用い、及び/又は(ii)以前の研究において説明されるように、表面上のDNA密度を薄めるために電気的手段を採用し、及び/又は(iii)単一DNA分子だけを収容できるミクロン以下の水平方向寸法の非常に小さい電極構造を用いることによって達成できる。
単一分子測定は、光退色しにくい安定なPL標識の使用を必要とする。したがって、非退色半導体ナノ結晶又は高さに光安定性の有機蛍光体を用いることが好ましいことがある。複数のPL標識で標識することも可能である。さらに、光退色安定性はクエンチ金層によって増加する。
図7に示すような観察されたデータに基づいて、以下のステップを、本発明の実施形態によって行うことができる。標識が発する時間平均シグナルを決定するステップ、すなわちステップS3、及び時間平均シグナルを、インキュベーション前の時点のシグナルと比較するステップ、すなわちステップS4。上述した決定するステップb)を比較の結果に基づいて実行する。
図8は、単一分子レベルでのヌクレオチド取り込みを模式的に示す。単一分子測定のPLトレースを図8に示す。図7のアンサンブル測定で観察される安定して増加するシグナルとは対照的に、マッチdNTPの取り込みは、単一分子の場合において特有のΔPL値によってPL強度の突然の急増をもたらす。表面全体にわたってdNTP溶液をポンプで送ること、すなわちインキュベーションの開始と、PL強度の実際の急増との間の時間の広がりは、単一DNA鋳型への単一dNTPの取り込み時間を反映する。アンサンブル取り込み時間t−1=concdNTP×kdNTPに対応するのは、期待値を有する確率変数である。アンサンブル測定での取り込み速度決定についての上での議論と同様に、異なる、すなわち化学的に修飾されたヌクレオチドの存在は、単一分子取り込み時間の広がりから推断できる。しかし、単一dNTP取り込みの確率的性質のために、異なる単一分子取り込み時間から2つの異なるヌクレオチドを区別することは、取り込み時間についての期待値が有意に異なる、すなわち1桁を超えて異なる場合にのみ、妥当な確実性をもって行うことができる。本明細書に開示する配列決定のための装置は、このような違いを検出するように構成される。
以下において、ポリメラーゼ会合速度及び解離速度の決定に関する態様について説明する。配列決定装置と容器とを含む上述した実験的機構は、ポリメラーゼとDNA配列との会合速度定数kon及び解離速度定数koffの決定を可能にする。ポリメラーゼとDNA配列との会合速度定数kon及び解離速度定数koffを下記ダイヤグラムに図示する。
このために、シグナル強度を経時的に記録する。図1のケースaによると、シグナル強度は、ポリメラーゼ上の標識の存在によって、ポリメラーゼがDNAプライマー領域と結合する場合に、ゼロ強度又はバックグラウンド強度から増加する。動態速度定数は、分析的相互作用モデルを時間分解会合曲線及び解離曲線にフィッティングさせることによって決定でき、親和性定数は、分析された速度定数K=kon/koffから、又は濃度依存的滴定によって決定できる。ここに記載される配列決定装置、例えば提供する計算ユニットは、これに従ってこの方法を行うことができる。
図9は、本発明の例示的な実施形態による、3ヌクレオチドの1本鎖突出を有する表面固定化2本鎖DNA配列(図9a)と、ミスマッチdNTP(図9b)及びマッチdNTP(図9c)と、のインキュベーションを示す。以下において、本発明の確証となるさらなる実験データを記載する。図9のデータは、図1bに図示される事例、すなわち標識DNA鎖を用いる検出に関する。New England Biolabsから市販で入手したBst DNAポリメラーゼをポリメラーゼとして用いた。しかし、これは、単なる例示的な実施形態である。図9は、表面の遠いほうの末端に3ヌクレオチド、すなわちTTTの1本鎖突出を有する42塩基対を特徴とする混合ランダムDNA配列についてのデータを示す。DNA104及び105は、溶液中でプレハイブリダイズさせ、その後、メルカプトヘキサノール(HO−(CH−SH)をSAM109として用いて2つの…−(CH−SHリンカー123及び123を介して表面と結合させた。プロトコールは本明細書において以前に説明されている。標識及びエミッタ117として蛍光体Cy3を用いた。陰性対照として表面を1μM dGTPとともにインキュベートした(図9b)。Gは最初の不対ヌクレオチドT(43位)と塩基対を形成できないので、Cy3蛍光強度は一定のままであり、したがって、Gは取り込まれず、dsDNAセグメントは伸長されない。43、44、45位の3つの不対Tについてのマッチ相補ヌクレオチドである1μM dATPとともに表面固定化DNAをインキュベートする場合(図9c)、蛍光は+31%強く増加する。この増加は、3つのAの取り込みとdsDNAセグメントの3塩基対の伸長とに帰する。蛍光増加は、図5に図示され、本明細書において以前に説明されているスキームを支持する。実線は単一指数関数フィッティングであり、これは、図7に示すスキームと一致して、取り込み速度定数kdATP=(0.029±0.001)s−1をもたらす。
その結果、図9に基づいて、
ヌクレオチドの添加の少なくとも前後に標識のシグナルを観察し、
標識の観察されたシグナルの変化に基づいて鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みを検出するために標識の観察されたシグナルを使用する
方法が提供される。ここで、シグナルの変化は、鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体までの標識の距離の変化に起因する。
図10は、本発明の例示的な実施形態による単一dNTPの取り込みを示す。図10は、図9aと同様であるが15ヌクレオチドの1本鎖突出を有するDNA構築物への単一ヌクレオチドの取り込みのデータを示す。1μM dGTP溶液とのインキュベーション(tおよそ1.2分)の際に、Cy3蛍光は+12%増加する。この蛍光の増加は、図9Cにおける3つのdNTPの取り込みについて観察された蛍光増加(これは+31%)の3分の1に相当する。このことは、図3に示すスキーム、すなわちPL変化の大きさが、取り込まれたヌクレオチドの数を測ることを裏付けている。
図11は、本発明の例示的な実施形態による、4つすべてのdNTPの混合物とのインキュベーション(図11b)又はマッチdNTPとの逐次的なインキュベーション(図11c)による45nt DNA配列に沿った25nt 1本鎖セグメントの重合を示す。図11は、図11aに列挙する45ヌクレオチドDNA配列への25ヌクレオチドの取り込みを示す。DNAをdATPとdGTPとdCTPとdTTPとの1μM混合物とともにインキュベートする場合に、DNAが2つの(CH−SHリンカー(図11bにおいて「ダブル−SH−DNA」と命名される。)を用いて表面に連結されているならば、非常に明白な蛍光の増加が観察されるが、1つだけのリンカー(図11bにおいて「シングル−SH−DNA」と命名される。)を用いて連結されているDNAについて得られる蛍光の増加はかなり明白さが少ない。このことによって、2つのリンカーを用いることによってDNAが垂直の向きに効率的に整列されることが確認される。図11cは、固定化DNAを、A(#=1)、T、A、G、A、G、T、G、A、T、G、T、A、C、G、A、G、A、T、A(#=20)の1μM溶液と逐次的にインキュベートする場合の蛍光変化を示す。各ステップについて得られる蛍光の増加は、取り込まれたヌクレオチドの数にほぼ直線的に比例する。注入#3、#13及び#20が、鋳型DNAに沿ったホモヌクレオチドストレッチのために複数のヌクレオチドの取り込みを導いたが、この取り込みは本発明の方法及び装置によって検出できることにも留意されたい。
以下において、本発明が提供する整列手段の利点を説明する。特に、1つより多いリンカー及び/又はその他の手段を用いてDNA整列を固定することの利点は、この分野での熟練した平均的な研究者にとって自明でない。なぜなら、我々自身が、最初は、1つのリンカーで連結されたDNAを用いて作業することを試みたからである。しかし、ある種のシナリオでは、そしてある種の機構を用いると、これらの実験は、図12aが示されるように、一見解釈できないと考えられる配列決定データをもたらすことがある。マッチヌクレオチドを、図11aに列挙するものと同様であるが、2つのリンカーの代わりに1つだけを特徴とするDNA配列に逐次的に取り込む場合、PLシグナルは、全く予期できない様式で増加したが、調節された挙動を示した。図12aを参照されたい。我々は、この挙動を、以下に説明する「らせん−ターン」モデルを考案することによって説明できた。
DNAがその鎖のうちの一方によって表面に連結されているだけであることに鑑みて、DNAは、ブラウン運動によってその回転軸の周囲をまだ自由に回転できる。この自由度(及び関連するエントロピー)の結果として、平均DNA配向は、かなり傾いた向きである30°〜50°の間の低いDNA−表面角度に調整される。この場合、ヌクレオチドの取り込みの際の表面までのDNAの頂端の高さの増加は、dsDNA長さの伸長に依存するだけでなく、DNA構造のらせん性と重なる。10の取り込まれたヌクレオチドごとにDNA構造は完全にらせんターンする。DNAの頂端に結合した標識の高さhは、等式:

を用いて、取り込まれたヌクレオチドの数nの関数として計算できる。これは図12bにプロットされているが、図12aの実験データに似ている。この予期できない機序の複雑さのために、これらのデータから、本明細書に示すらせんターンモデルを用いずには、曖昧でない配列情報を抽出することは不可能である。したがって、このことは、本明細書において以前に示され、また以下に開示されるように、堅いリンカー構造及び/又はその他の手段を用いて、規定された垂直のDNAの向きを容易にすることの利点を強調する。
開示する実施形態のその他の変形は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲を吟味することによって、請求される発明を実行する当業者によって理解され、実行され得る。特許請求の範囲では、語句「含む」は他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。単一のプロセッサ又はその他のユニットは、特許請求の範囲に記載されるいくつかの項目又はステップの機能を充足し得る。ある種の措置が互いに異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの措置の組み合わせを有利に用いることができないことを示さない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体のような適切な媒体に貯蔵して該媒体において流通できるが、インターネット又はその他の有線若しくは無線の電気通信システムによるようなその他の形で流通することもできる。特許請求の範囲中のいずれの参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとは解釈されない。

Claims (22)

  1. 基材(101)に固定化された鋳型核酸(100)を配列決定するための方法であって、
    標識(117)が鋳型核酸と共有結合によって又は非共有結合によって結合しており、
    核酸プライマー(104)が前記鋳型核酸にアニールされており、
    標識のシグナルをクエンチするためのクエンチ媒体(107)が提供されており、
    クエンチ媒体はクエンチ層であり、
    該方法は、
    a)鋳型核酸において高さh1にて標識を提供するステップと、
    b)ヌクレオチドを添加するステップであって、ヌクレオチドは非標識である、ステップと、
    c)ヌクレオチドを鋳型核酸に取り込むことによって、標識の高さをクエンチ媒体(107)の上方の高さh1から高さh2に変化させるステップと、
    d)高さh1から高さh2への変化に基づいて標識のシグナルの変化を記録するステップと、
    e)前記ヌクレオチドが、前記鋳型核酸(100)にアニールした前記核酸プライマーの3’末端に取り込まれたか否かを、
    ヌクレオチドを添加する少なくとも前後に標識のシグナルを観察するサブステップ(S1)、及び
    標識の観察されたシグナル(102)の変化に基づいて鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みを検出するために標識の観察されたシグナルを使用するサブステップ(S2)
    によって決定するステップであって、
    シグナルの変化は、鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体までの標識の距離(103)の変化に起因する、ステップと、
    を少なくとも含む、
    方法。
  2. f)ステップa)〜e)を反復して前記鋳型核酸(100)の完全配列を決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 捕捉核酸を介して鋳型核酸を基材に固定化するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 捕捉核酸は、第1の鎖末端と第2の鎖末端とを有する2本鎖捕捉核酸であり、
    該方法は、2本鎖捕捉核酸を基材に、第1の鎖末端にて第1の化学リンカーによって、及び第2の鎖末端にて第2の化学リンカーによって固定化するステップをさらに含む、
    請求項に記載の方法。
  5. 捕捉核酸に対して力を加えることによって、基材の表面に対して所望の角度構成で捕捉核酸を整列させるステップをさらに含む、請求項又はに記載の方法。
  6. 捕捉核酸に対する力は、基材上の電極と対電極との間にDC電圧を印加することによってもたらされる、請求項に記載の方法。
  7. 鋳型核酸及び/又は捕捉核酸を立体的に反発させるために、捕捉核酸の近傍の基材上に共吸着分子を提供するステップをさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. クエンチ媒体によって標識のシグナルをクエンチするステップをさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みの際のクエンチの量を低減することによって、標識が発するシグナルを増加させるステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
  10. 標識が発する時間平均シグナルを決定するステップ(S3)と、
    時間平均シグナルをインキュベーション前の時点のシグナルと比較するステップ(S4)と、
    をさらに含み、
    決定ステップ)は比較の結果に基づいて行われる、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 基材を、複数の第1の型のヌクレオチドを含有する溶液とともにインキュベートするステップ(S5)と、
    第1の型が、1本鎖/2本鎖接合部の隣の鋳型核酸に沿った、次の不対ヌクレオチドに相補的である第1の場合に、溶液のヌクレオチドを鋳型核酸に取り込むステップ(S6)と、
    第1の場合において、ヌクレオチドの取り込みによるシグナルの増加を検出するステップ(S7)、又は第1の型が次の不対ヌクレオチドに相補的でなく、ヌクレオチドが取り込まれない第2の場合において、変化していないシグナルを検出するステップ(S8)と、
    ステップ(S5)〜(S8)を異なる型のヌクレオチドを用いて反復するステップ(S9)と、
    をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. ヌクレオチドの取り込み中に標識が発するシグナルの時間展開に基づいてヌクレオチド取り込み速度又はヌクレオチド取り込み時間を決定するステップをさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 決定されたヌクレオチド取り込み速度をデフォルトヌクレオチド取り込み速度と比較するか、又は決定されたヌクレオチド取り込み時間を少なくとも1つのデフォルトヌクレオチド取り込み時間と比較するステップと、
    比較の結果に基づいてヌクレオチドの型を決定するステップと、
    をさらに含む、請求項12に記載の方法。
  14. 決定されたヌクレオチド取り込み時間を少なくとも1つのデフォルトヌクレオチド取り込み時間と比較するステップと、
    鋳型ヌクレオチドの化学状態、例えば鋳型ヌクレオチドのメチル化状態を、ヌクレオチド取り込み時間の比較の結果に基づいて決定するステップと、
    をさらに含む、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 該方法はチップ上で行われ、
    該方法は、

    チップを、複数の第1の種類のヌクレオチドを含む溶液とともにインキュベートするステップと、
    決定されたヌクレオチド取り込み速度に基づいて鋳型核酸に沿ってのホモヌクレオチドストレッチの長さを計測するステップと、
    をさらに含む、
    請求項1214のいずれか一項に記載の方法。
  16. 基材に固定化された鋳型核酸を配列決定するためのプログラム要素であって、
    核酸プライマーが前記鋳型核酸にアニールされており、標識が鋳型核酸と共有結合又は非共有結合によって結合しており、基材は、標識のシグナルをクエンチするためのクエンチ媒体を含み、クエンチ媒体はクエンチ層であり、標識は鋳型核酸において高さh1にて提供されており、非標識ヌクレオチドが添加されており、
    該プログラム要素は、プロセッサによって実行される場合、
    高さh1から高さh2への変化に基づいて標識のシグナルの変化を記録するステップと、
    標識のシグナルのデータを使用するステップであって、シグナルはヌクレオチドの添加の少なくとも前後に観察されたものである、ステップと、
    前記ヌクレオチドが、前記鋳型核酸にアニールした前記核酸プライマーの3’末端に取り込まれたか否かを決定するステップであって、決定は、標識の観察されたシグナルの変化に基づき、シグナルの変化は、鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体までの標識の距離の変化に起因し、ヌクレオチドの鋳型核酸への取り込みは、標識の高さをクエンチ媒体の上方の高さh1から高さh2に変化させる、ステップと、
    を行うように適合されている、
    プログラム要素。
  17. 基材に固定化された鋳型核酸を配列決定するためのコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
    核酸プライマーが前記鋳型核酸にアニールされており、標識が鋳型核酸と共有結合又は非共有結合によって結合しており、基材は、標識のシグナルをクエンチするためのクエンチ媒体を含み、クエンチ媒体はクエンチ層であり、標識は鋳型核酸において高さh1にて提供されており、非標識ヌクレオチドが添加されており、
    該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行される場合、
    高さh1から高さh2への変化に基づいて標識のシグナルの変化を記録するステップと、
    標識のシグナルのデータを使用するステップであって、シグナルはヌクレオチドの添加の少なくとも前後に観察されたものである、ステップと、
    前記ヌクレオチドが、前記鋳型核酸にアニールした前記核酸プライマーの3’末端に取り込まれたか否かを決定するステップであって、決定は、標識の観察されたシグナルの変化に基づき、シグナルの変化は、鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体までの標識の距離の変化に起因し、ヌクレオチドの鋳型核酸への取り込みは、標識の高さをクエンチ媒体の上方の高さh1から高さh2に変化させる、ステップと、
    を行うように適合されている、
    コンピュータ読み取り可能な媒体。
  18. 鋳型核酸(100)を配列決定するための配列決定装置(120)であって、
    該配列決定装置は、鋳型核酸が固定化されている基材と、鋳型核酸と共有結合又は非共有結合によって結合した標識と、を有する容器(119)を収容するように構成されており、標識は鋳型核酸において高さh1にて提供されており、基材は、標識のシグナルをクエンチするためのクエンチ媒体を含み、クエンチ媒体はクエンチ層であり、前記鋳型核酸には核酸プライマー(104)がアニールされており、
    該配列決定装置は、
    標識のシグナルを観察するための検出手段(110)と、
    非標識ヌクレオチドが、前記鋳型核酸(100)にアニールした前記核酸プライマーの3’末端に取り込まれたか否かを決定するように構成された計算ユニット(122)と、
    を含み、
    計算ユニットは、基材への非標識ヌクレオチドの添加の少なくとも前後に観察されたシグナルの変化に基づいて前記決定を行うように構成されており、
    シグナルの変化は、鋳型核酸へのヌクレオチドの取り込みによって引き起こされるクエンチ媒体までの標識の距離(103)の変化に起因し、ヌクレオチドの鋳型核酸への取り込みは、標識の高さをクエンチ媒体の上方の高さh1から高さh2に変化させ、
    該配列決定装置は、高さh1から高さh2への変化に基づいて標識のシグナルの変化を記録するように構成されている、
    配列決定装置。
  19. 容器を収容するための収容部と、
    容器の表面の上方の無標識のヌクレオチドを含む溶液を逐次的に交換するように構成されたインキュベーションモジュールと、
    をさらに含む、請求項18に記載の配列決定装置。
  20. 検出手段(110)は、容器上の溶液の逐次的交換中の標識のシグナルをリアルタイムで記録するように構成されている、請求項19に記載の配列決定装置。
  21. DC電源をさらに含み、
    DC電源は、基材の表面に対して所望の角度構成で捕捉核酸を整列させるためのものである、
    請求項1820のいずれか一項に記載の配列決定装置。
  22. 計算ユニットは、標識が発する時間平均シグナルを決定するように構成されており、
    計算ユニットは、時間平均シグナルを以前の時点のシグナルと比較するように構成されており、
    計算ユニットは、比較の結果に基づいて、ヌクレオチドが取り込まれたか否かの決定を行うように構成されている、
    請求項1821のいずれか一項に記載の配列決定装置。
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