以下、本発明に係る電池ユニットの製造方法、及び電池ユニットの一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一の要素同士、或いは相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態に係る製造方法は、角型電池セルを含む電池ユニットの製造方法である。
図1〜5は、本実施形態に係る電池ユニットの製造方法の主要な工程を示す図である。図1の(a)は、角型電池セルの斜視図であり、図1の(b)は、角型電池セルの底面図である。図1に示されるように、この電池ユニットの製造方法においては、まず、角型電池セル(一の角型電池セル)10を用意する(工程S101:第1の工程)。角型電池セル10は、例えば、リチウム二次電池等の非水電解質二次電池である。角型電池セル10は、直方体状のケース11と、ケース11内に収容された電極組立体(不図示)とを備えている。
ケース11は、互いに対向する一対の側面(第1の面)11a,11bと、互いに対向する一対の別の側面(第2の面)11c,11dと、互いに対向する上面(第2の面)11e及び底面(第2の面)11fと、を有している。側面11a,11bは、互いに略平行であり、例えば、電極組立体における電極の積層方向に交差する方向に沿って延在している。側面11a,11bは、ケース11において最も広い面である。側面11a,11bの少なくとも一方の面上には、後述する粘着テープ21及び該粘着テープ21によって側面11a,11bに接着される被接合部材(図示の例では、別の角型電池セル10)が設けられる。
側面11c,11dは、互いに略平行であり、側面11a,11bの延在方向に交差する方向(例えば電極の積層方向)に沿って延在している。側面11c,11dは、側面11aと側面11bとを互いに接続している。上面11e及び底面11fは、互いに略平行であり、側面11a,11bの延在方向及び側面11c,11dの延在方向に交差する方向(例えば電極の積層方向)に沿って延在している。上面11e及び底面11fは、側面11aと側面11bとを互いに接続すると共に、側面11cと側面11dとを互いに接続している。上面11eからは、電極組立体に電気的に接続された一対の端子12が突出している。
続く工程においては、図2に示されるように、両面テープを用意する(工程S102:第2の工程)。この工程S102においては、まず、図2の(a)に示されるように、ロールRから巻き出された両面テープを所定位置Pにおいて切断することにより、所定寸法のシート状の両面テープ20を用意する。この両面テープ20の寸法は、例えば以下の通りである。
すなわち、図2の(b)に示されるように、両面テープ20を角型電池セル10の(ケース11の)側面11a上に配置した場合、側面11cから側面11dに向かう方向における両面テープ20の寸法は、同方向における側面11a,11bの寸法よりも大きい。また、同様の場合、上面11eから底面11fに向かう方向における両面テープ20の寸法は、一例として、同方向における側面11a,11bの寸法と略同一である。
両面テープ20は、粘着テープ21と、粘着テープ21に貼着された剥離紙22と、を有する。粘着テープ21は、例えば、角型電池セル10同士の絶縁を確保可能な材料から構成される。粘着テープ21は、第1の粘着面21aと、第1の粘着面21aの反対側の第2の粘着面21bと、を含む。剥離紙22は、第1の粘着面21aを介して粘着テープ21に貼着されている。剥離紙22には、一対の切込み22cが形成されている。したがって、両面テープ20は、剥離紙22に形成された切込み22cからなる一対の切込み部23を有している。切込み22cのそれぞれは、両面テープ20を側面11a上に配置した場合に、上面11eから底面11fに向かう方向における両面テープ20の一端から他端にわたって形成されている。
切込み22c同士の間隔は、側面11cから側面11dに向かう方向における側面11a,11bの寸法と略同一である。したがって、両面テープ20においては、一方の切込み22cを、側面11aと側面11cとの境界部分(ここではケース11の角部分)上に配置し、他方の切込み22cを側面11aと側面11dとの境界部分(ここではケース11の角部分)上に配置することが可能である。なお、以上の工程S101及び工程S102の実施の順序は、任意に設定することができる。
続く工程においては、図3に示されるように、角型電池セル10に両面テープ20を貼着する(工程S103:第3の工程)。より具体的には、図3の(a)に示されるように、側面11aから側面11c,11dにわたって両面テープ20が配置されるように、粘着テープ21の第2の粘着面21bを介して、角型電池セル10に両面テープ20を貼着する。これにより、側面11aと側面11cとの境界部分及び側面11aと側面11dとの境界部分を起点として(すなわちケース11の角部分を起点として)、側面11a,11c,11dに沿って、両面テープ20に引張力が生じる。
一方で、この工程S103においては、剥離紙22の一方の切込み22cが側面11aと側面11cとの境界部分上に位置し、他方の切込み22cが側面11bと側面11dとの境界部分上に位置するように、両面テープ20を角型電池セル10に貼着する。このため、両面テープ20の一対の切込み部23に対して、上述した引張力がほぼ減衰することなく付与される。これにより、両面テープ20の切込み部23に加わる引張力が、粘着テープ21の第1の粘着面21aと剥離紙22との間の粘着力よりも大きくなる。
つまり、この工程S103においては、両面テープ20を角型電池セル10に貼着したときに、両面テープ20の切込み部23に生じる引張力が、粘着テープ21の第1の粘着面21aと剥離紙22との間の粘着力よりも大きくなるように、両面テープ20を角型電池セル10に貼着する。その結果、図3の(b)に示されるように、剥離紙22が切込み22cからめくれ上がるようにして粘着テープ21から部分的に剥離し、剥離紙22に剥離部22pが生じる。
続く工程においては、剥離紙22の剥離部22pを利用して(把持して)、図4の(a)に示されるように、剥離紙22を部分的に粘着テープ21から剥離する(工程S104:第4の工程)。より具体的には、この工程S104においては、側面11c,11d上に配置される両面テープ20の端部20aから切込み22cまで延在する剥離紙22の一部22aを粘着テープ21に残存させつつ、剥離紙22の残部22bを粘着テープ21から剥離する。ここでは、剥離紙22の一部22aは、剥離紙22のうちの側面11c,11d上に位置する部分である。また、剥離紙22の残部22bは、剥離紙22のうちの側面11a上に位置する部分である。
以上の工程により、テープ付角型電池セル10Aが作製される。テープ付角型電池セル10Aは、側面11a上に被接合部材を積層することにより、当該被接合部材とテープ付角型電池セル10Aとで電池ユニットを構成する。被接合部材としては、例えば、別のテープ付角型電池セル10A,10B、粘着テープ21が設けられていない角型電池セル10、後述する伝熱プレート30、或いはエンドプレート等である。テープ付角型電池セル10Aは、上述したように、角型電池セル10と角型電池セル10に貼着された両面テープ20と、を備える。角型電池セル10は、互いに対向する一対の側面11a,11bと、側面11a,11bの延在方向と異なる方向に延在する側面11c,11d、上面11e、及び底面11fと、を有する。
両面テープ20は、第1の粘着面21a及び第2の粘着面21bを含む粘着テープ21と、第1の粘着面21aを介して粘着テープ21に貼着された剥離紙22(より詳細には剥離紙22の一部22a)と、を有する。また、両面テープ20は、側面11aから側面11c,11dにわたって、第2の粘着面21bを介して角型電池セル10に貼着されている。粘着テープ21は、側面11c,11d上に設けられた剥離紙22(より詳細には剥離紙22の一部22a)に覆われた領域21rと、側面11a上に設けられ第1の粘着面21aが露出した領域21qと、を含む。すなわち、粘着テープにおける側面11a上に設けられる部分の少なくとも一部には、剥離紙22が設けられていない。
引き続き、本実施形態に係る電池ユニットの製造方法について説明する。続く工程においては、図4の(b)に示されるように、剥離紙22の剥離部22p(図3の(b)参照)を利用して(把持して)、剥離紙22の一部22aを粘着テープ21から剥離する(工程S105)。これにより、粘着テープ21から剥離紙22の全体が剥離され、粘着テープ21の領域21rにおける第1の粘着面21aも露出する。この工程S105により、両面テープ20のうちの粘着テープ21のみが角型電池セル10に貼着されてなるテープ付角型電池セル10Bが作製される。なお、この工程S105は、実施しなくてもよい。すなわち、剥離紙22の一部22aを剥離せずに残存させておいてもよい。
続く工程においては、図5の(a)に示されるように、テープ付角型電池セル10Bに対して、同様に作製された別のテープ付角型電池セル10B(被接合部材)を、粘着テープ21を介して積層する(工程S106)。これにより、一のテープ付角型電池セル10Bの角型電池セル10と別のテープ付角型電池セル10Bの角型電池セル10とが粘着テープ21により接着され、互いに固定される。
なお、一のテープ付角型電池セル10Bと別のテープ付角型電池セル10Bとの間に、伝熱プレート30を介在させてもよい。この場合には、図5の(b)に示されるように、角型電池セル10の側面11b側にも、同様の工程により、粘着テープ21を貼着しておいてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る電池ユニットの製造方法においては、まず、角型電池セル10と両面テープ20とを用意する。角型電池セル10は、互いに対向する一対の側面11a,11bと、その側面11a,11bの延在方向に交差する方向に延在する側面11c,11dとを有する。また、両面テープ20は、第1の粘着面21a及び第2の粘着面21bを含む粘着テープ21と、第1の粘着面21aを介して粘着テープ21に貼着された剥離紙22と、を有する。
そして、角型電池セル10と両面テープ20とを用意した後に、角型電池セル10の側面11aから側面11c,11dにわたって両面テープ20が配置されるように、第2の粘着面21bを介して角型電池セル10に両面テープ20を貼着する。このように、互いに異なる方向に延在する側面11a及び側面11c,11dにわたって両面テープ20を貼着すれば、側面11aと側面11cとの境界部分及び側面11aと側面11dとの境界部分を起点として、両面テープ20に引張力が生じる。
特に、ここでは、両面テープ20を角型電池セル10に貼着したときに、両面テープ20の切込み部23(剥離紙22に切込み22cが設けられている部分)に生じる引張力が、第1の粘着面21aと剥離紙22との間の粘着力よりも大きくなるようする。これにより、剥離紙22が切込み22cからめくれ上がるようにして部分的に剥離されるので、その剥離部22pを用いて粘着テープ21から剥離紙22を容易に剥離することが可能となる。よって、剥離紙22の剥離に時間がかかることに起因して電池ユニットの生産性が低下することが抑制される。
また、本実施形態に係る電池ユニットの製造方法においては、両面テープ20を角型電池セル10に貼着した後に、側面11c,11d上に設けられた粘着テープ21の一対の領域21rに剥離紙22の一部22аを残存させつつ、剥離紙22の残部22bを粘着テープ21から剥離する。このため、その剥離紙22の一部22aを残存させたままとすれば、粘着テープ21の一対の領域21rに異物が付着することが抑制される。
一方、本実施形態に係るテープ付角型電池セル10Aにおいては、その作製に際して、両面テープ20を角型電池セル10に貼着したときに、上述したように側面11aと側面11cとの境界部分及び側面11aと側面11dとの境界部分を起点として、両面テープ20に引張力が生じる。このため、予め粘着テープ21の全面に剥離紙22が貼着されていても、その引張力により剥離紙22の部分的な剥離が生じやすい。したがって、テープ付角型電池セル10Aを有する電池ユニットを容易に作製可能である。つまり、本実施形態に係るテープ付角型電池セル10A(電池ユニット)によれば、剥離紙22の剥離に時間がかかることに起因して電池ユニットの生産性が低下することが抑制される。
また、本実施形態に係るテープ付角型電池セル10A(電池ユニット)の粘着テープ21は、剥離紙22に覆われた領域21rと剥離紙22が設けられていない領域21qとを有する。このため、側面11a上において別の角型電池セル10(被接合部材)を接着可能であると共に、側面11c,11d上において粘着テープ21に異物が付着することが抑制される。
以上の実施形態は、本発明に係る電池ユニットの製造方法、及び電池ユニットの一実施形態を説明したものである。したがって、本発明に係る電池ユニットの製造方法、及び電池ユニットは、上述したものに限定されない。
例えば、図6の(a)に示されるように、工程S102において用意する両面テープ20は、剥離紙22に単一の切込み22cが形成されたものとしてもよい。ここでは、続く工程S103において、その単一の切込み22cが側面11a上に配置される。この場合にも、図6の(b)に示されるように、両面テープ20を角型電池セル10に貼着したときに、両面テープ20の切込み部23に生じる引張力が、粘着テープ21の第1の粘着面21aと剥離紙22との間の粘着力よりも大きくなるように、両面テープ20を角型電池セル10に貼着する。
その結果、図6の(c)に示されるように、剥離紙22が切込み22cからめくれ上がるようにして粘着テープ21から部分的に剥離し、剥離紙22に剥離部22pが生じる。したがって、工程S104,105において、その剥離部22pを利用して剥離紙22を粘着テープ21から容易に剥離することが可能となる。
なお、工程S103において、両面テープ20の切込み部23に生じる引張力が第1の粘着面21aと剥離紙22との間の粘着力よりも大きくなるようにするためには、例えば、両面テープ20を角型電池セル10に貼着する際に、側面11aの中心よりも側面11aと側面11c(或いは側面11d)との境界部分側に切込み22cを位置させることが考えられる。
一方、図7の(a)に示されるように、工程S102において剥離紙22に単一の切込み22cが形成された両面テープ20を用意した場合には、図7の(b)に示されるように、工程S103において切込み22cが側面11c(或いは側面11d(以下同様))上に配置されるように、両面テープ20を角型電池セル10に貼着してもよい。
この場合には、側面11c(或いは側面11d)の両面テープ20の切込み部23に生じる引張力が第1の粘着面21aと剥離紙22との間の粘着力よりも大きくなるようにするためには、両面テープ20を角型電池セル10に貼着する際に、例えば、側面11c上の中心よりも側面11cと側面11aとの境界部分側に切込み22cを位置させることが考えられる。このように、工程S102において用意する両面テープ20は、剥離紙22に少なくとも1つの切込み22cが形成されたものであればよい。
また、工程S101において用意する角型電池セル10は、図8に示されるように、角部が面取りされたケース11を備えるものとしてもよい。この場合、ケース11は、一例として、側面11aと側面11cとを接続する曲面状(例えば円筒面状)の接続面(第2の面)11sを有している。この接続面11sも、側面11cと同様に、側面11aの延在方向と異なる方向に延在している。このため、工程S103において、側面11aから接続面11sにわたって両面テープ20が配置されるように、両面テープ20を角型電池セル10に貼着すれば、側面11aと接続面11sとの境界部分を起点として両面テープ20に引張力が生じる。
したがって、工程S103において、両面テープ20を角型電池セル10に貼着したときに、両面テープ20の切込み部23に生じる引張力が、粘着テープ21の第1の粘着面21aと剥離紙22との間の粘着力よりも大きくなるように、両面テープ20を角型電池セル10に貼着することが可能となる。なお、ここでは、両面テープ20は、側面11aから接続面11sにわたって配置される一方で、側面11c上までは延在していないが、側面11c上にまで延在するように配置されてもよい。
このように、工程S101において用意する角型電池セル10は、直方体状の外形(ケース11)を有するものに限定されず、第1の面と、その第1の面の延在方向に交差する方向に延在する第2の面との組を少なくとも1つ有していればよい。そのような構成であれば、両面テープ20を角型電池セル10に貼着したときに、第1の面と第2の面との境界部分を起点として両面テープ20に引張力を生じさせることが可能となる。
さらに、上記実施形態においては、主に、側面11aと側面11c,11dとを、両面テープ20の貼着対象として説明を行ったが、側面11aと上面11e及び底面11fとを、両面テープ20の貼着対象としても、同様の工程を実施して上述した効果を奏することが可能である。