以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1および図2を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
1)遊技機の全体構成
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域20に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
遊技領域20には、始動入賞口(第一始動入賞口10aおよび第二始動入賞口10b)、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、一部の図においては、表示領域911を大まかに記載するが、その形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
また、遊技領域20には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域20を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域20に向けて遊技球を発射する。遊技領域20を流下する遊技球が、始動入賞口や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
2)遊技機のゲーム性
本実施形態にかかる遊技機1のゲーム性(遊技を構成する各種部材や遊技方法等を含む)について説明する。図3(a)に示すように、本実施形態にかかる遊技機1は、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。通常遊技状態は、当否抽選に当選する確率が(特別遊技状態に比して)低い(本実施形態では約1/256)状態である。特別遊技状態は、当否抽選に当選する確率が(通常遊技状態に比して)高い(本実施形態では約1/72)状態(いわゆる確率変動状態)である。本実施形態における特別遊技状態は、後述する第三入球領域13に遊技球が入球しやすい状態でもある。第三入球領域13への遊技球の入球により当否抽選が実行されるだけでなく、いわゆる賞球が払い出されることになるため、遊技者は(通常遊技状態に比して)あまり遊技球を減らすことなく遊技することができる。つまり、特別遊技状態は、高ベース状態(いわゆる時短状態)でもある。遊技状態は、当否抽選に当選したときに実行される大当たり遊技終了後に変化する可能性がある。また、本実施形態における特別遊技状態は、当否抽選が所定回数連続してはずれとなることによって終了するものである(いわゆるST機である)。
図2に示すように、本実施形態では、始動入賞口として第一始動入賞口10a(いわゆる特図1の始動入賞口)と第二始動入賞口10b(いわゆる特図2の始動入賞口)が設けられている。これらの始動入賞口に遊技球が入球することを契機として当否抽選(当否判定)が実行される。始動入賞口は、入球した遊技球が内部に取り込まれる構成であってもよいし、入球した遊技球がそのまま遊技領域20を流下する構成(ゲートのような態様)であってもよい。なお、始動入賞口に遊技球が入球したタイミングと当否抽選のタイミングは必ずしも同じではない。上記「契機」とは、始動入賞口へ遊技球が入球しない限り当否抽選が実行されないという意味である。具体的には、始動入賞口への遊技球の入球が検出されたときに当否抽選に用いられる数値が乱数源から数値が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなる。つまり、当該数値は、当否抽選に用いられる当否判定情報ということになる。
上記数値(当否判定情報)のうち、当否抽選が実行されていない(当否抽選の結果を報知する報知演出が開始されていない)数値は、保留情報として図示されない記憶手段に記憶されうる。記憶手段が記憶可能な保留情報の数は所定数を限度とする。本実施形態では、第一始動入賞口10aへの遊技球の入球が検出されたときに取得される第一保留情報(第一当否判定情報)、第二始動入賞口10bへの遊技球の入球が検出されたときに取得される第二保留情報(第二当否判定情報)のそれぞれについて、記憶手段に記憶される上限は4つに設定されている。
基本的には、保留情報(数値)が取得された順に、当否抽選が実行される。ただし、本実施形態では、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されている場合には、第一保留情報を用いた当否抽選が優先的に実行される(第一保留情報(特図1)優先消化である。以下では、保留情報(当否判定情報)を用いた当否抽選が実行されることを当該保留情報(当否判定情報)の「消化」と称することもある)。つまり、第二保留情報を用いた当否抽選は、第一保留情報が存在していないときに実行されることになる。なお、本実施形態では、記憶手段に記憶されている保留情報が存在しないときに始動入賞口に遊技球が入球したときであっても、一度は保留情報として記憶手段に記憶され、当該保留情報を用いて当否抽選が実行されることになる。ただし、保留情報として記憶されずに、取得された数値を用いて即座に当否抽選が実行されるように構成することを否定するものではない。いずれの場合であっても、遊技者には、即座に当否抽選の結果を報知する演出(後述する識別図柄80の変動)が開始されているようにみえる。
当否抽選の結果は、識別図柄80の組み合わせによって報知される。図4に示すように、本実施形態では、複数種の識別図柄80を含む識別図柄群80gが三つ設定されている。当否抽選が大当たりとなる場合には、変動する各識別図柄群80gが停止することによって示される識別図柄80の組み合わせが大当たりを示す組み合わせとなり、はずれとなる場合にはそれ以外の組み合わせで停止する。大当たりを示す組み合わせとしては同じ図柄の三つ揃いを例示することができる。識別図柄80(識別図柄群80g)の変動の開始時点が、対応する当否抽選の結果を報知する演出の開始時点ということになる。
第一始動入賞口10aに遊技球が入球することを契機とした当否抽選(以下、第一当否抽選と称することもある)と、第二始動入賞口10bに遊技球が入球することを契機とした当否抽選(以下、第二当否抽選と称することもある)は、大当たりに当選する確率は同じ(通常遊技状態において約1/256、特別遊技状態において約1/72)であるが、抽選の具体的内容(当選する大当たりの種類、割合(いわゆる大当たり振り分け))が異なる。
図5に示すように、第一当否抽選により当選する大当たり(以下、第一大当たりと称することもある)は、大当たり遊技終了後の遊技状態が通常遊技状態となる通常大当たりが30%であり、特別遊技状態となる特別大当たりが70%である。つまり、いわゆる確率変動大当たりの割合が70%に設定されている。また、通常大当たりは全て4ラウンド(R)大当たりである。一方、特別大当たりは、16ラウンド大当たり、6ラウンド大当たり、5ラウンド大当たり、4ラウンド大当たりが設定されている。第一大当たり全体に占める割合でいうと、16ラウンド大当たりが40%、6ラウンド大当たりが5%、5ラウンド大当たりが15%、4ラウンド大当たりが40%である。なお、大当たり遊技の内容を示す用語である「ラウンド」については公知であるため詳細な説明を省略するが、大当たり遊技は大入賞口906が所定条件成立まで開状態となる単位遊技が一または複数回繰り返されることにより構成されるものであるところ、1ラウンド分の遊技が当該単位遊技の一回分ということである。したがって、「ラウンド」の数が大きいほど、大当たり遊技において獲得することができる遊技球(いわゆる出玉)の期待値が大きくなる。なお、上記ラウンド数は実質的なものを示したものであり、極めて短い時間大入賞口906が開状態となる単位遊技は、上記ラウンド数に含まれていない。このように、第一大当たりは、一部が大当たり遊技終了後に特別遊技状態に突入する大当たりであり、大当たり遊技にて獲得できる出玉の期待値もその都度変化するものである。
なお、本実施形態では、大当たり遊技中に図示しない所定の領域(V領域等と称される)に遊技球を入球させることにより、当該大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となる仕様、すなわち所定の領域に遊技球を入球させることにより、特別遊技状態に移行する権利を獲得することができる仕様である。この種の遊技機は公知であるため詳細な説明を省略するが、上記特別大当たりは、大当たり遊技中に当該所定の領域が長時間開状態となるものであって、指示通りの遊技を継続しさえすれば、当該所定の領域に遊技球が入球する(極めてイレギュラーな事象が発生しない限り、所定の領域に遊技球が入球する)ことになる態様の大当たりである。一方、通常大当たりは、大当たり遊技中に当該所定の領域が極めて短い時間開状態となるものであって、当該所定の領域への遊技球の入球が不可能または極めて困難なものとなるように設定されたものである。つまり、所定の領域に遊技球を入球させることが特別遊技状態への移行の条件となっているが、実質的には大当たりの種類により大当たり遊技終了後の遊技状態が決まっているものである。ただし、必ずしもこのような仕様としなければならないわけではない。上記のような所定の領域を設けず、大当たりの種類に応じて大当たり遊技終了後遊技状態が必然的に決まる構成としてもよい。
図5に示すように、第二当否抽選により当選する大当たり(以下、第二大当たりと称することもある)は、大当たり遊技終了後の遊技状態が通常遊技状態となる通常大当たりが100%である。つまり、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となる大当たり(上記特別大当たりに相当するもの)は発生しない。また、第二大当たりは50%が16ラウンド大当たり、50%が4ラウンド大当たりとなるものである。
第一大当たりと第二大当たりを比較すると次のようなことがいえる。第一大当たりは、第二大当たりと異なり、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となる可能性がある。つまり、大当たり遊技終了後の遊技状態が遊技者に有利なものとなる可能性がある。その側面においては、第一大当たりの方が第二大当たりに比して遊技者に有利であるといえる。なお、第二大当たりにも、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となる特別大当たりが含まれる構成としてもよい。この場合、第二大当たりに含まれる特別大当たりの割合が、第一大当たりに含まれる特別大当たりの割合(本実施形態では70%)よりも小さくなるようにすればよい。このように設定したとしても、大当たり遊技終了後の遊技状態が遊技者に有利なものとなる蓋然性の高低という側面においては、第一大当たりの方が第二大当たりに比して遊技者に有利な構成といえる。
一方、大当たり遊技中に獲得することができる出玉の期待値という側面においては、16ラウンド大当たりの割合が50%である第二大当たりの方が、第一大当たりに比して大きいといえる。つまり、一回の大当たり遊技において得られる利益の期待値という側面においては、第二大当たりの方が第一大当たりに比して遊技者に有利である。
図3(b)に示すように、本実施形態では、第一始動入賞口10aに相当するものとして二つの入賞口(入球領域)が設けられている。具体的には、第一入球領域11と第三入球領域13が設けられている。一方、第二始動入賞口10bに相当するものとして第二入球領域12が設けられている(すなわち、第二始動入賞口10b=第二入球領域12である)。
図2に示すように、遊技球が通過可能な領域である遊技領域20は、大まかに第一遊技領域21と第二遊技領域22に区分けされる。遊技者の視点で左側の領域が第一遊技領域21であり、右側の領域が第二遊技領域22である。第二遊技領域22は、遊技盤90の上方に形成された特定通路23を通過しなければ遊技球が進入することがない領域である。特定通路23を通過しない遊技球(特定通路23の入口の手前に発射された遊技球)は、第一遊技領域21を流下することになる。特定通路23の出口には衝突部231が設けられている。衝突部231は、特定通路23を通過する遊技球の進行方向に対して交差する面を含む部分である。特定通路23を通過した遊技球は、当該衝突部231に衝突した上で、第二遊技領域22を流下することになる。
第一入球領域11は、第一遊技領域21に設けられている。本実施形態における第一入球領域11は、遊技領域20の幅方向略中央であって、表示装置91の下方に設けられている。第一入球領域11は、当該領域に進入する遊技球が必ず通過することになる入口の大きさが変化しない領域である。実質的には、第一入球領域11の上側に設けられた二つの遊技釘の間が当該入口となる。ここで、「変化しない」とは遊技中に大きく変化することはないという意味であって、遊技釘の位置や形状が意図的にまたは(遊技球の衝突等によって)意図せず変化したことによる入口の大きさの変化は含まない。詳細を後述するように、第三入球領域13は変位部材141の変位により入口が変化するものであるところ、このような入球領域とは異なるという意味での「変化しない」ということである。
第二入球領域12は、第二遊技領域22に設けられている。本実施形態における第二入球領域12は、遊技領域20の右側縁近傍に設けられている。第二入球領域12は、第一入球領域11と同様に、遊技球の入口の大きさが変化しない領域であって、第二入球領域12の上側に設けられた二つの遊技釘の間が当該入口となる。
このように、第一入球領域11と第二入球領域12は、遊技球の入口の大きさが変化しない領域であるという点で共通する。つまり、どのような状態であっても遊技球が入球可能な領域であるという点で共通する。ただし、遊技球の入球しやすさは相違する。具体的には、通常遊技状態において、第一遊技領域21または第二遊技領域22に向かって発射した遊技球あたり(単位遊技球あたり)の各入球領域に遊技球が入球する確率は、第一入球領域11よりも第二入球領域12の方が高い。換言すれば、第一遊技領域21に進入した遊技球の数と、第二遊技領域22に進入した遊技球の数が同じである場合には、第一入球領域11の方が第二入球領域12よりも遊技球がより多く入球する蓋然性が高いということである。なお、後述するように、特別遊技状態中には第二入球領域12よりも上流側に設けられた第三入球領域13に入球する遊技球の数が多くなるため、第二入球領域12に入球する遊技球の数は通常遊技状態中に比して減少することになる。
第三入球領域13は、第二遊技領域22に設けられている。本実施形態における第三入球領域13は、第二遊技領域22における第二入球領域12が設けられた箇所よりも上流側に設けられている。第三入球領域13の入口には、変位部材141が設けられている。変位部材141は、第三入球領域13の入口を閉鎖する閉状態と、入口を開放する開状態に変位可能な部材である。本実施形態では、変位部材141が閉状態にあるときには、第三入球領域13に遊技球が入球することはない。ただし、変位部材141が閉状態にあるときには、(開状態にあるときよりも)第三入球領域13に遊技球が入球しにくい状態であることに留まる(全く入球しないわけではない)態様としてもよい。変位部材141が開状態にあるときには、第三入球領域13に遊技球が入球する可能性がある。本実施形態では、開状態にある変位部材141は遊技球が流下する向き(下方)に対して交差するような態様となるため、変位部材141自体が遊技球を第三入球領域13に誘導する部材として機能する。つまり、変位部材141が開状態にあるときには遊技球が比較的容易に第三入球領域13に入球する。
変位部材141は、常態において閉状態にあり、開放抽選に当選した場合に開状態となる。開放抽選は、遊技球が普通始動領域14に進入することを契機として行われる。開放抽選に当選する確率は、通常遊技状態中よりも特別遊技状態中の方が高く設定されている。本実施形態では、通常遊技状態中の開放抽選の当選確率は0または極めて低く(0に近い確率)設定されており、通常遊技状態中に開放抽選が実行されるよう遊技した場合(第二遊技領域22に遊技球が進入するよう遊技した場合)であっても、変位部材141が開状態に変位することはほとんどない。一方、特別遊技状態中の開放抽選の当選確率は極めて高く(1に近い確率)に設定されているため、特別遊技状態中に開放抽選が実行されるよう遊技した場合(第二遊技領域22に遊技球が進入するよう遊技した場合)には、変位部材141は頻繁に開状態に変位する。つまり、遊技球が頻繁に第三入球領域13に入球する高ベース状態ということである。
また、第二遊技領域22には、大当たり遊技中に開状態となる大入賞口906が設けられている。なお、大入賞口906の数は適宜変更可能である。本実施形態では、二つの大入賞口906が設けられており、1ラウンド毎に開状態となる大入賞口906が切り替えられる。
このように構成される本実施形態にかかる遊技機1の遊技方法について説明する。本実施形態にかかる遊技機1は、大当たりに当選することを目指して遊技する通常遊技状態中における遊技態様(第一遊技態様と第二遊技態様)を遊技者が選択可能なものである。
第一遊技態様は、第一遊技領域21に向かって遊技球を発射させる(いわゆる左打ちを行う)遊技態様である。つまり、遊技球が特定通路23を通過しないような発射強度となるように発射装置908を操作する遊技態様である。第一遊技領域21には、第一入球領域11が設けられているため、第一遊技領域21に進入した遊技球は第一入球領域11に進入する可能性がある。つまり、第一入球領域11に遊技球が進入することを契機として実行される第一当否抽選を経た大当たりの当選を目指す遊技態様である。なお、本実施形態では、第一遊技領域21を流下した遊技球が第二入球領域12に入球しないような(遊技球が予期せぬ方向に大きく跳ねる等のイレギュラーな事象が発生しない限り第二入球領域12に入球しない)遊技領域20の構成となっている。具体的には、第一遊技領域21と第二遊技領域22の境界に設けられた障壁部50により、第一遊技領域21を流下した遊技球が第二入球領域12に入球しないように構成されている。したがって、第一遊技態様を実行しているときに、第二当否抽選が行われることはほぼない。
第二遊技態様は、第二遊技領域22に向かって遊技球を発射させる(いわゆる右打ちを行う)遊技態様である。つまり、遊技球が特定通路23を通過するような発射強度となるように発射装置908を操作する遊技態様である。第二遊技領域22には、第二入球領域12が設けられているため、第二遊技領域22に進入した遊技球は第二入球領域12に進入する可能性がある。つまり、第二入球領域12に遊技球が進入することを契機として実行される第二当否抽選を経た大当たりの当選を目指す遊技態様である。なお、本実施形態では、第二遊技領域22を流下した遊技球が第一入球領域11に入球しないような(遊技球が予期せぬ方向に大きく跳ねる等のイレギュラーな事象が発生しない限り第一入球領域11に入球しない)遊技領域20の構成となっている。具体的には、第一遊技領域21と第二遊技領域22の境界に設けられた上記障壁部50により、第二遊技領域22を流下した遊技球が第一入球領域11に入球しないように構成されている。また、通常遊技状態中は、開放抽選に当選して変位部材141が開状態となることはまれであるため、遊技球が第三入球領域13に入球することはほとんどない。したがって、第二遊技態様を実行しているときに、第一当否抽選が行われることはほぼない。
このように、第一遊技態様は第一当否抽選が実行される遊技態様である。すなわち、第一大当たりに当選することを目指して遊技する遊技態様である。一方、第二遊技態様は第二当否抽選が実行される遊技態様である。すなわち、第二大当たりに当選することを目指して遊技する遊技態様である。第一当否抽選と第二当否抽選は、抽選の内容が異なる(当選する大当たりの種類、割合が異なる)ものであるため、本実施形態にかかる遊技機1は、どちらの抽選を受けたいかに応じて遊技者が任意に選択可能なものであるといえる。
具体的には、第一大当たりは、大当たり遊技終了後の遊技状態が遊技者によって有利なもの(特別遊技状態)となる蓋然性が第二大当たりよりも高い(図3(a)、図5参照)という観点において遊技者に有利なものである一方、第二大当たりは、大当たり遊技中に獲得することができる出玉の期待値が第一大当たりよりも高い(図5参照)という観点において遊技者に有利なものである。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、大当たり遊技終了後の遊技状態を重視するのであれば第一遊技態様、大当たり遊技中に獲得することができる出玉の期待値を重視するのであれば第二遊技態様、といったように、どちらの観点を重視するかに応じて、遊技態様を遊技者に選択させる構成である。
かかる遊技態様の選択は、通常遊技状態中にいつでも変化させることができる。つまり、遊技状態の変化に応じて遊技態様を変化させるといった構成の遊技機は公知であるところ、本実施形態にかかる遊技機1は遊技状態の変化によらず(通常遊技状態が維持されたままであっても)、遊技者自らの選択により異なる態様の遊技性を体感することができるという点で優れたものであるといえる。
特に、本実施形態における第二大当たりは、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となる可能性がないものである(全てが通常大当たりである)(図3(a)、図5参照)。したがって、第二遊技態様を継続している場合、特別遊技状態に移行することで、所有する遊技球の数をあまり減らすことなく次の大当たりを獲得する(いわゆる連チャンが発生する)ことで、遊技球の数を増加させていくといった遊技展開にはならない。つまり、第二遊技態様は、通常遊技状態中での大当たり(第二大当たり)当選ということによって所有する遊技球の数を増加させていく遊技展開となる(図3(a)参照)。換言すれば、第二遊技態様は、いわゆる単発の大当たり(連チャンによる大当たりではない大当たり)を重ねて、所有する遊技球の数が増加していくことを目指す遊技性といえる。これに対し、第一遊技態様は、特別遊技状態への移行、すなわち連チャンの発生(大当たりの継続的な発生)により、所有する遊技球の数が増加していくことを目指す遊技性といえる(図3(a)参照)。
また、本実施形態では、単位遊技球あたりの各入球領域に遊技球が入球する確率は、第一入球領域11よりも第二入球領域12の方が高く設定されている。つまり、第一遊技態様選択時における発射された単位遊技球あたりの第一当否抽選が実行される頻度よりも、第二遊技態様選択時における発射された単位遊技球あたりの第二当否抽選が実行される頻度の方が高い。このように、本実施形態にかかる遊技機1は、第一遊技態様と第二遊技態様の選択が、より多くの当否抽選を受ける態様を望むか否かの選択であるともいえる。
本実施形態とは逆の設定、すなわち単位遊技球あたりの各入球領域に遊技球が入球する確率が、第二入球領域12よりも第一入球領域11の方が高く設定された構成としてもよい。ただし、本実施形態では、第二遊技態様はいわゆる連チャンによらず単発の大当たりを重ねていくことを目指す遊技態様であるため、第二遊技態様を選択したときの方がより多くの当否抽選を受けることができるようにして、大当たりに当選できない時間が長くなってしまうことを抑制することが好ましい。
また、本実施形態では、第一大当たりおよび第二大当たりの特別大当たり割合や、一回の大当たり遊技中に獲得することができる出玉の期待値を調整することで、第一遊技態様を選択した場合と第二遊技態様を選択した場合とで、一回の大当たり当選により遊技者が享受する直接的な利益(出玉率)に差が生じるように設定している。具体的には、一回の第一大当たりがもたらす利益の期待値(特別遊技状態への移行(いわゆる連チャンの発生)が生じる可能性を加味した獲得できる遊技球の期待値)の方が、一回の第二大当たりがもたらす利益の期待値(一回の第二大当たりによって獲得できる遊技球の期待値)よりも大きくなるように設定している。したがって、遊技態様の選択は、一回の大当たりによって享受することができる利益の大きさについての選択であるともいえる。ただし、本実施形態では、第一遊技態様よりも第二遊技態様の方が当否抽選を受けやすい構成であるため、遊技を継続的に実行した場合における総合的な利益という観点でいえば、一方の遊技態様が他方の遊技態様に比して有利であるとはいえないような設定である。
また、本実施形態では、通常遊技状態中において、第一当否抽選の結果を報知する第一報知演出の長さの平均よりも、第二当否抽選の結果を報知する第二報知演出の長さ(報知演出の演出時間)の平均の方が短くなるように設定されている。ここで、「報知演出の長さ」とは、対象の当否抽選の結果を報知するための識別図柄80(識別図柄群80g)が変動を開始してから、当否抽選の結果を報知する組み合わせで停止するまでの時間(いわゆる(図柄)変動時間)をいう。このようにすることで、(保留情報の取得の経過が同じであれば)第二遊技態様を選択した場合の方が、第一遊技態様を選択した場合よりも、単位時間あたりに報知される当否抽選の結果の数が多くなるということになる。つまり、第一遊技態様よりも第二遊技態様の方が遊技の進行が速くなるといえる。このように、本実施形態にかかる遊技機1は、ゆっくり遊技を楽しみたいか、遊技の進行を速くしたいかに応じて、遊技者に遊技態様を選択させるものでもある。
本実施形態とは逆の設定、すなわち第二報知演出の長さの平均よりも、第一報知演出の長さの平均の方が短くなるように設定された構成としてもよい。ただし、本実施形態では、第二遊技態様はいわゆる連チャンによらず単発の大当たりを重ねていくことを目指す遊技態様であるため、第二遊技態様を選択したときの方が遊技の進行が速くなるようにして、大当たりに当選できない時間が長くなってしまうことを抑制することが好ましい。
また、第二遊技態様を選択した場合の利点として、同じ遊技を継続して実行することができるという点がある。第二遊技態様による遊技が継続されている限りにおいて遊技状態が特別遊技状態となることはないのであるから、第二遊技態様による遊技が継続された場合には、通常遊技状態と、大当たり(第二大当たり)遊技が実行されている状態(大当たり遊技状態)が繰り返されることになる。第二遊技態様は第二入球領域12に遊技球が入球するよう遊技球を発射させる遊技であるし、大当たり遊技は大入賞口906に遊技球が入球するよう遊技球を発射させる遊技であるから、いずれも第二遊技領域22に向けて遊技球を発射させる(いわゆる右打ちを行う)遊技である。したがって、遊技者は、第二遊技領域22に向けて遊技球を発射させる遊技を継続して実行すればよく、発射装置908を調整する必要がない。
かかる第二遊技領域22に向けて遊技球を発射させる遊技が、いわゆる右打ち遊技であることが特徴である。第二遊技領域22に遊技球が進入するためには遊技球が特定通路23を通過する必要があるところ、当該特定通路23の出口には、特定通路23を通過した遊技球が衝突する衝突部231が設けられている。当該衝突部231に遊技球が衝突し、その勢いが殺された上で、第二遊技領域22を遊技球が流下することになるから、いわゆる右打ち遊技においては遊技球の発射強度を変化させても、第二遊技領域22での遊技球の流下態様はあまり変化しない。よって、遊技者は、通常遊技状態と大当たり遊技状態の一方から他方に移行したときであっても、発射強度を微妙に調整する等の操作を行う必要がない。いわゆる左打ち遊技(本実施形態に則していえば、第一遊技領域21に遊技球が進入するような遊技)を継続して実行すればよいという構成の遊技機は知られているが、いわゆる左打ち遊技は遊技球の発射強度(狙う位置)によって遊技球の流下態様が右打ち遊技に比して変化しやすいものであるため、状態に応じた発射強度の微調整は必要になるのに対し、本実施形態で第二遊技態様が継続的に実行される場合はこのような微調整も不要であるという利点がある。
第一遊技態様により遊技し、第一大当たりに当選したとき、当該大当たりが通常大当たりであった場合には、大当たり遊技終了後、再び通常遊技状態に移行することになる(図3(a)参照)。大当たり遊技終了後に通常遊技状態に移行したときには、遊技者は改めて遊技態様を選択することができる。つまり、第二遊技態様に切り替えて遊技することもできる。
一方、当選した第一大当たりが特別大当たりであった場合には、大当たり遊技終了後、特別遊技状態に移行する(図3(a)参照)。特別遊技状態においては、遊技者は第二遊技領域22に遊技球が進入するように遊技する(右打ち遊技を行う)。特別遊技状態中は普通始動領域14に遊技球が入球することを契機とした開放抽選に当選しやすい状態であるため、変位部材141が頻繁に開状態となる。つまり、遊技球が第三入球領域13に入球することを契機とした第一当否抽選が受けやすい(第一保留情報が取得されやすい)状態である。第三入球領域13に入球しなかった遊技球は、第二入球領域12に入球する可能性(第二保留情報が取得される可能性)がある。しかし、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されている場合には、第一保留情報を用いた当否抽選が優先的に実行される設定であるため、第一保留情報が途切れない程度に継続的に遊技が実行されていれば、第二保留情報に基づく第二当否抽選が実行されることはない。つまり、第二大当たりに当選することはない。
本実施形態では、特別遊技状態は、通常遊技状態中に第一遊技態様による遊技を実行しているときに限り移行するものであるから、通常遊技状態中、特別遊技状態中のいずれも、(特別遊技状態中に継続的な遊技が実行されなかった場合を除き)第一当否抽選による抽選が実行されることになる。そして、特別遊技状態中に第一大当たりに当選し、その第一大当たりが特別大当たりとなる限りにおいて、大当たり遊技終了後の特別遊技状態が継続することになる。つまり、いわゆる連チャンが継続することになる。一方、特別遊技状態中に当選する第一大当たりが通常大当たりとなった場合には、大当たり遊技終了後通常遊技状態に移行することになる。また、特別遊技状態に移行後、所定回数の当否抽選が連続してはずれとなった場合には、特別遊技状態が終了し、通常遊技状態に移行することになる(図3(a)参照)。通常遊技状態に移行したときには、遊技者は改めて遊技態様を選択することができる。つまり、第二遊技態様に切り替えて遊技することもできる。
一方、第二遊技態様による遊技によって当選する第二大当たりは、全てが通常大当たりであるため、大当たり遊技終了後は再び通常遊技状態に戻る(図3(a)参照)。通常遊技状態に戻った後は、遊技者は改めて遊技態様を選択することができる。つまり、第一遊技態様に切り替えて遊技することもできる。
遊技者が遊技態様を選択可能な状態、すなわち通常遊技状態中においては、第一遊技態様と第二遊技態様のどちらでも遊技することができることを遊技者に対して報知されることがあるようにするとよい。例えば、「左打ち、右打ちのどちらでも遊技可能です」といった表示がなされるようにするとよい。このような報知は、通常遊技状態中常に行われるようにしてもよいし、特定条件下にて行われるようにしてもよい。例えば、所定期間遊技が実行されなかったときに待機状態に移行するように設定された構成において、当該待機状態に移行したときに上記のような報知がなされるようにしてもよい。
3)保留表示の表示態様
3−1)当否抽選に用いられる数値であって、当否抽選の結果を報知する報知演出が開始されていない(識別図柄80の変動が開始されていない)、第一保留情報(第一当否判定情報)が記憶手段に記憶されていることを示す第一保留表示31、第二保留情報(第二当否判定情報)が記憶手段に記憶されていることを示す第二保留表示32が、表示装置91に表示されうる。以下、当該保留表示の表示態様(保留表示を制御する表示制御手段)について説明する。
本実施形態における表示制御手段は、保留表示の表示態様を、第一保留表示31と第二保留表示32のうちの一方を表示し、他方を表示しない特定表示態様とすることが可能である。具体的には、特定表示態様は、記憶手段に第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶されているときであっても、一方の保留情報に対応する保留表示のみを表示し、他方の保留表示に対応する保留表示を表示しない態様である(図6参照)。第一保留表示31や第二保留表示32それ自体の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、第一保留表示31を「丸」で、第二保留表示32を「四角」で表示するが、各保留表示の態様は異なっていてもよいし、態様が変化しうる(いわゆる保留変化演出が発生しうる)構成であってもよい。
どちらの保留表示を表示するか(どちらの保留表示を表示しないか)は、種々の観点から決定することができる。本実施形態では、現在実行されている当否抽選の結果を報知する報知演出が、第一当否抽選(第一当否判定情報を用いた当否抽選)の結果を報知するものであるのか、第二当否抽選(第二当否判定情報を用いた当否抽選)の結果を報知するものであるのかを判断し、第一当否抽選である場合には第一保留表示31を表示して第二保留表示32を表示しない態様(図6(a)参照)、第二当否抽選である場合には第二保留表示32を表示して第一保留表示31を表示しない態様(図6(b)参照)とする。つまり、いわゆる「当該変動」と同じ種類のものを表示し、異なる種類のものは表示しない態様である。
図6(a)と図6(b)を比較すれば分かるように、第一保留表示31が表示されるときに当該第一保留表示31が表示される領域(第一領域311)と、第二保留表示32が表示されるときに当該第二保留表示32が表示される領域(第二領域321)は異なっていること(両保留表示が同時に表示されていると仮定した場合において互いに重複しないようにすること)が好ましい。これにより、第一保留表示31が表示されている状態と第二保留表示32が表示されている状態の違いが明確になる。
本実施形態にかかる遊技機1は、上述したように、通常遊技状態中は遊技者が第一遊技態様と第二遊技態様のいずれかを選択して遊技することができるものである。第一遊技態様は、第一入球領域11に遊技球が入球して第一保留情報(第一当否判定情報)が取得される遊技態様であり、第二遊技態様は、第二入球領域12に遊技球が入球して第二保留情報(第二当否判定情報)が取得される遊技態様である。したがって、第一当否抽選の結果を報知する報知演出が実行されている場合には、遊技者は第一遊技態様を選択しているものとみなし、第一保留表示31を表示する。一方、第二当否抽選の結果を報知する報知演出が実行されている場合には、遊技者は第二遊技態様を選択しているものとみなし、第二保留表示32を表示する。このような構成とすることで、現在選択している遊技態様に合わせた保留表示のみが表示されるため、別の保留表示が表示されることによる紛らわしさを防止することが可能である。
特に、本実施形態では、第一保留情報が第二保留情報に対して優先的に消化される。したがって、第二保留情報が記憶手段に記憶された状態で第一遊技態様が実行されると、第一保留情報に対応する当否抽選の結果の報知が完了しない限り、第二保留情報が消化されずに記憶手段に記憶され続けてしまうことになる。例えば、第二遊技態様にて遊技していたときに第二保留情報が記憶された状態で第二大当たりに当選し、当該大当たり遊技の終了後に遊技態様を第一遊技態様に切り替えた場合には、第二保留情報が消化されずに記憶手段に記憶され続けてしまうおそれがある。そのため、第一遊技態様が実行されているとき(第一当否抽選の結果を報知する報知演出が実行されているとき)は、第二保留情報が記憶されているときであっても第二保留表示32が表示されないようにすることが好ましい。これにより、第二保留表示32が表示され続けてしまうといった事態の発生を防止することが可能である。
しかし、保留情報が記憶されているにも拘わらず、それに対応する保留表示が表示されないと、遊技者は表示されていない保留情報の存在に気付かないおそれがある。特定表示態様とされているときにおいて、表示されている方の保留表示を現出保留表示と、表示されていない方の保留表示を非現出保留表示とした場合、現出保留表示とともに、非現出保留表示に対応する保留情報が記憶手段に記憶されていることを示す示唆表示40が表示される。示唆表示40の具体的態様は種々考えられるが、保留表示の態様(非現出保留表示が現出保留表示として表示されているときの態様)とは異なる態様とされる。
本実施形態における示唆表示40は、所定のキャラクタを含むものであって、所定の範囲を移動するように表示される(図7参照)。本実施形態では、所定の範囲を往復動作するよう表示される。示唆表示40の移動は、保留情報(当否判定情報)の増減に応じて変化することはない。つまり、予め設定された移動態様にて移動し続けるように表示される。より具体的にいえば、示唆表示40の表示位置は、時間経過に応じて変化し続けるということである。これは、保留情報の増減に応じて表示される位置が変化等する現出保留表示の表示態様とは大きく異なる点である。
また、かかる示唆表示40は、現出保留表示に対して重畳する状態が発生するように表示される。すなわち、現出保留表示は、保留が消化される順に応じた位置に表示されているところ、示唆表示40の移動範囲は現出保留表示の少なくともいずれかに対して重畳することになる位置を含むものである(図7(b)参照)。具体的には、現出保留表示が一つしか表示されていない状態であっても、当該一つの現出保留表示に対して、所定のタイミングで示唆表示40が重畳する。
現出保留表示と示唆表示40が重畳しているとき、現出保留表示の方が優先的に表示される。つまり、現出保留表示と示唆表示40の重畳した部分については、現出保留表示の方が手前側(遊技者側)に位置するような表示態様とされる(図7(b)参照)。より具体的には、現出保留表示の表示レイヤは、示唆表示40の表示レイヤよりも手前に設定された制御態様とする。現在実行されている遊技態様に応じた保留表示を遊技者にはっきりと示すことが重要であるから、示唆表示40よりも現出保留表示を優先して表示する。
このような示唆表示40が表示されることにより、遊技者は、表示されていない保留表示(非現出保留表示)に対応する保留情報が記憶手段に記憶されていることを把握することが可能である。
特に、本実施形態における示唆表示40は、現出保留表示に対して重畳するように表示される。現出保留表示は、現在遊技している遊技態様に対応する保留情報がいくつ記憶されているかを示すものであって遊技者が注目するものであるため、かかる現出保留表示に重なる示唆表示40を遊技者が見逃してしまうおそれは低い。
また、本実施形態における示唆表示40は、保留情報(当否判定情報)の増減が発生していない状況においても移動するものである。つまり、保留情報の増減によらずとも移動していることは明らかであるため、示唆表示40が保留表示そのものであると遊技者が勘違いしてしまうおそれを低減することが可能である。つまり、示唆表示40は、保留表示そのものではなく、あくまで未消化の保留情報が存在していることを示すに過ぎないものであるため、従来一般の保留表示の表示態様とは異なる表示態様で示唆表示40が表示されるようにするとよい。
なお、上記保留表示の態様(特定表示態様)は、本実施形態のように遊技態様を遊技者が選択可能な構成においてのみ適用する意義があるというわけではない。当否抽選の内容が異なる第一保留情報(特図1)および第二保留情報(特図2)が設定された遊技機において、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶された状態となりうる構成であれば、保留表示の表示に関する紛らわしさを低減するために、上記のような制御手法を適用する意義はあるといえる。
3−2)以下、上記保留表示の表示態様を変形、改良等した変形例について説明する。なお、以下の変形例にて説明する技術思想を単独で適用した構成としてもよいし、組み合わせて適用した構成としてもよい。
・第一変形例
上記実施形態にかかる遊技機1のように、一方の保留情報が、他方の保留情報に対して優先的に消化される構成、すなわち優先情報と非優先情報に区分けされた構成であるとする。例えば、上記実施形態と同様に、第一保留情報が第二保留情報に対して優先的に消化される構成であるとする。この場合、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶され、いわゆる当該変動が第一保留情報に対応するものである場合には、第二保留表示32が表示されることによる紛らわしさを防止するため、第一保留表示31を表示し、第二保留表示32が表示されないようにする(示唆表示40は表示されてもよい)ことが好ましい(図8(a)参照)。一方、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶され、いわゆる当該変動が第二保留情報に対応するものである場合には、第一保留情報は第二保留情報よりも先に消化される(第一保留情報が消化されていく)のであるから、第一保留表示31と第二保留表示32の両方が表示される構成としてもよい(図8(b)参照)。つまり、当該変動が優先情報に対応するものである場合には一方の保留表示のみを表示し、当該変動が非優先情報に対応するものである場合には両方の保留表示が表示される構成としてもよい。
・第二変形例
示唆表示40は、実行されていない方の遊技態様に対応する保留情報が記憶手段に記憶されていることを示す表示である。したがって、示唆表示40は、実行されていない方の遊技態様の存在を直接または間接的に示す表示(非実行遊技態様表示41)を含むものであるとよい。
例えば、第一遊技態様が実行されているときには「Aモード」、第二遊技態様が実行されているときには「Bモード」と名付けられた演出が発生するものとする。具体的には、例えば、第一遊技態様が実行されているときには表示装置91に「Aモード」の表示がなされ、第二遊技態様が実行されているときには表示装置91に「Bモード」の表示がなされる構成とする。このように、第一遊技態様=Aモード、第二遊技態様=Bモードの対応関係にあることが、遊技者に把握可能な構成とする。
第一遊技態様(Aモード)が選択されているとき(当該変動が第一当否抽選の結果を報知するものであるとき)の示唆表示40は、「Bモード保留待機中」といった表示を含むものとする(図9参照)。同様に、第二遊技態様(Bモード)が選択されているとき(当該変動が第二当否抽選の結果を報知するものであるとき)の示唆表示40は、「Aモード保留待機中」といった表示を含むものとする。このような構成とすることにより、遊技者は、現在選択している遊技態様とは別の遊技態様を実行したときに取得できる保留情報が残存していることを容易に把握することが可能となる。
4)連続短縮変動制御
当否抽選の結果は報知演出にて報知される。報知演出が開始されてから終了するまでの時間(以下、演出時間と称する)は、当否抽選の結果を示すための識別図柄80(識別図柄群80g)の変動開始から変動停止までの時間(いわゆる変動時間)と同じである。
演出時間(変動時間)として設定されうる時間として、複数種の候補時間が設定されている。つまり、一つの当否抽選の結果を報知するのに要する時間は、複数種の候補時間のいずれかとなる。図10(a)に示すように、本実施形態では、候補時間として、時間の短いものから順にT1(最も短い時間。以下、特定時間と称することもある)、T2、T3、T4、T5(最も長い時間)の五種が設定されている。各候補時間の長さや候補時間の種類の数は適宜設定することができる。図示されない制御基板に構築された演出時間設定手段は、種々の要素を考慮して、一の当否抽選結果を報知する報知演出に対し、いずれかの候補時間を演出時間として設定することになる。
本実施形態では、特定期間中、全ての報知演出の演出時間を上記特定時間T1とする連続短縮変動制御が実行される。以下、かかる制御について説明する。本実施形態における特定期間は、特別遊技状態が終了し、通常遊技状態に移行してから(通常遊技状態移行条件が成立してから)、7回の当否抽選結果が報知されるまでの期間(7変動分の期間)である。特別遊技状態から通常遊技状態に移行するケースは、特別遊技状態中に通常大当たりに当選した大当たり遊技終了後に移行するケースと、特別遊技状態において所定回数連続して当否抽選がはずれとなったことを契機として移行するケースが考えられる。
本実施形態では、両ケースとも特定期間が設定されるが、一方のケースのみ特定期間が設定される構成としてもよい。後述するように、連続短縮変動制御は、通常遊技状態に移行したときに記憶されている保留情報を速く消化させるために行う制御であるところ、特別遊技状態において所定回数連続して当否抽選がはずれとなったことを契機として通常遊技状態に移行したケースは、大当たり遊技を介在せずに通常遊技状態に移行する状況であって、通常遊技状態に移行した時点において記憶手段に記憶されている保留情報の数が多くなりやすいケースであるから、かかるケースのみ特定期間が設定される構成としてもよい。
図10(b)に概念的に示すように、連続短縮変動制御は、当該特定期間中に実行される報知演出の全ての演出時間を、候補時間のうちで最も短い特定時間T1とするものである。ただし、特定期間中に実行される報知演出のいずれかが、大当たりの当否抽選結果を報知するものである場合には連続短縮変動制御は実行されない。つまり、特定期間中に実行される報知演出の全てが、はずれの当否抽選結果を報知するものである場合に連続短縮変動制御が実行される。大当たりとなる報知演出が含まれる場合には、その演出時間は、通常通り(特定期間以外の期間における演出時間の設定手法に沿って)決定されることとなる。ただし、大当たりとなる報知演出が含まれる場合であっても、当該大当たりとなる報知演出の演出時間を特定時間T1とすることを否定するものではない。
このような連続短縮変動制御が実行されることにより、7回の当否抽選結果(はずれ)の全てが報知されるのに要する時間は(当該制御が実行されない場合に比して)短くなる。
特定時間T1について説明する。特定時間T1は候補時間のうちで最も短い時間であって、特定期間以外の期間において設定されうる最も短い時間よりも短い時間である。当該特定期間以外の期間において設定されうる最も短い時間は、候補時間T2である。
例えば、特定時間T1は、高ベース状態(いわゆる時短状態)時における報知演出の演出時間として設定されうる最も短い時間T2よりも短い時間である。具体的には、高ベース状態において、公知のいわゆるリーチ状態が構成されるかもしれないという煽り演出すら発生せずにはずれが報知される場合には、報知演出の演出時間として候補時間T2が設定される。
また、特定時間T1は、高ベース状態でない状態(低ベース状態。本実施形態では通常遊技状態)において、記憶手段に記憶されている保留情報の数が所定数以上である場合に設定されうる最も短い時間T2よりも短い時間である。記憶手段に記憶されている保留情報の数が所定数以上である場合には、遊技の進行を早めるため、意図的に演出時間を短くするように設定された遊技機が公知であるところ、かかる目的により設定されうる最も短い時間T2よりも特定時間T1は短い。
なお、高ベース状態において設定されうる最も短い時間と、保留情報の数が所定数以上である場合に設定されうる最も短い時間がT2で同じとするのはあくまで一例である。すなわち、高ベース状態において設定されうる最も短い時間と、保留情報の数が所定数以上である場合に設定されうる最も短い時間の一方の方が他方よりも短い場合には、短い方の時間よりも特定時間T1が短くなるように設定されていればよい。
このように、特定時間T1は、特定期間以外の期間において設定されうる(遊技の進行を早めたいときに設定されうる)比較的短い時間である候補時間T2よりも短いため、7回の当否抽選結果(はずれ)の全てが報知されるのに要する時間は極めて短いといえる。
特定期間終了後は、演出時間として特定時間T1以外の候補時間が設定される。すなわち、特定期間以外の期間における演出時間の設定手法に沿って、候補時間T2〜T5のいずれかが設定されることになる。
このように、特定期間において連続短縮変動制御を実行することにより、特別遊技状態中に取得されていた保留情報を強制的に短時間で消化させる。例えば、特別遊技状態から通常遊技状態に移行したときに、遊技者が第一遊技態様を選択したとする。第一遊技態様は、第一保留情報を取得する遊技態様であるから、特別遊技状態中に取得されていた第二保留情報が消化されずに残ってしまうおそれがある。これに対応するため、通常遊技状態に移行したときに設定される特定期間において、特別遊技状態中に取得されていた保留情報を短時間で消化させることにより、通常遊技状態に移行した後遊技を開始する時点では、記憶手段に記憶される保留情報が存在しないようにする。
本実施形態において、7回の当否抽選結果(はずれ)の全てが報知される期間を特定期間としているのは、記憶手段に記憶可能な保留情報の最大数が8であることによる。つまり、記憶手段に記憶可能な保留情報(当否判定情報)の最大数をX個とした場合、特定期間はX−1個以上の報知演出を含む期間とされる。このようにすれば、特定遊技状態中にX個の保留情報が記憶されていたときであっても、通常遊技状態に移行したときに設定される特定期間によって残り1個の保留情報が記憶された状態まで即座に移行する。その後遊技者が遊技を開始したときには残り1個の保留情報(当否判定情報)に対応する当否抽選結果を報知する報知演出が開始されているから、記憶手段に記憶されている保留情報はなくなる。つまり、記憶手段に記憶される保留情報が0の状態で遊技者が通常遊技状態での遊技を開始することになるから、特定の保留情報(非優先情報)が消化されずに残ってしまうといった状況の発生を防止することが可能となる。
さらに、本実施形態では、特定期間が終了する前に遊技者が遊技を開始し、新たに保留情報が取得されてしまう状況が発生しないようにするための対処措置が施されている。当該対処措置の例(第一具体例〜第四具体例)を以下に列挙する。なお、以下に示す対処措置の全部が施された構成としてもよいし、一部のみが施された構成としてもよい。
・第一具体例
特定期間中には、遊技者に対して遊技を行うように促す指示は出されないようにする。つまり、通常遊技状態に移行した直後の所定期間は、遊技球の発射を促すような指示は出されないようにする。当該「指示」は、表示装置91に表示されるものだけでなく、音声により出力されるもの等も含む(以下、「指示」というときは同じ)。このような指示の態様としては種々例示することができる。例えば「左打ちして下さい」「右打ちして下さい」「左打ちまたは右打ちして下さい」といった、遊技球の発射の仕方を示すような類のものを挙げることができる。なお、本実施形態では、特定期間の終了後に、第一遊技態様および第二遊技態様のいずれかを選択して遊技を行うように促す指示が出される。
・第二具体例
特定期間中には、遊技者に対して遊技方法を説明する遊技説明が実行されるようにする。遊技説明の具体的な態様はどのようなものであってもよい。このような遊技説明が実行されれば、遊技者はそれを確認した上で遊技を開始しようとすることが考えられるから、特定期間中における遊技の開始が抑制される。本実施形態のように通常遊技中における遊技態様が複数設定されたものであれば、異なる態様で遊技することができることを遊技者に説明するようにするとよい(図11(a)参照)。
・第三具体例
特定期間中には、遊技者に対して、特定期間の終了後に遊技者が遊技を開始すべきであることを示すような指示が出されるようにする。かかる指示は、特定期間中の遊技の実行を否定するような指示であってもよい。例えば、「遊技を停止してください」といった指示を行うことや、「遊技開始可能状態まで○秒(○をカウントダウンさせていく)」といった特定期間の終了時点を示すような指示(図11(b)参照)を行うことが挙げられる。
・第四具体例
特定期間中には、遊技者に対して、遊技以外の行動をとるような指示が出されるようにする。例えば、遊技に際して遊技球の貸し出しを受けるため、プリペイドカードに対応した遊技機(いわゆるCR機)が公知であるところ、「カードの取り忘れにご注意ください」といった類の指示(図11(c)参照)を行い、遊技者がプリペイドカードをカードリーダ装置から抜き出す作業を行っている間に特定期間が終了することを狙う措置が考えられる。本実施形態における特定期間は、特別遊技状態から通常遊技状態に移行したときに設定されるものであるため、遊技者は一定程度の遊技球を保持している蓋然性が高い。そのため、すぐにプリペイドカードによる遊技球の貸し出しを受ける必要はないであろうから、上記のような指示を行っても違和感は生じない。
上記のように、本実施形態では通常遊技状態に移行する前は特別遊技状態であったのであるから、通常遊技状態に移行した時点における記憶手段に記憶されている保留情報の数は記憶手段が記憶可能な保留情報の数の最大数または最大数に近い(最大数−1程度)であることが通常である。しかし、通常遊技状態に移行した時点おいて記憶されている保留情報の数が少なく、特定期間の途中で記憶手段に記憶されている保留情報が0となる(保留切れとなる)ことも考えられる。このように、特定期間中において途中で記憶手段に記憶されている保留情報が0となった場合には、当然ではあるがその時点で報知演出は実行されなくなる。本実施形態では、このような場合であっても、特定期間内(所定回数の報知演出が実行される間)は演出時間として特定時間T1が設定されるように構成されている。
ただし、図12に示すように、特定期間の開始から所定回数(本実施形態では7回)の当否抽選結果の報知が完了する前に、記憶手段に記憶されている保留情報が0となったことが検出された時点で特定期間が終了したと判断するような制御としてもよい。換言すれば、記憶手段に記憶されている保留情報が0とならない限りにおいて、所定回数の報知演出が実行されるまで特定期間が継続するように構成するということである。記憶手段に記憶されている保留情報が0となった時点で、特定の保留情報(非優先情報)が消化されずに残ってしまうといった状況が発生することはなくなるのであるから、その時点で特定期間が終了したと判断し、新たな保留情報(当否判定情報)が取得されたときに開始されるそれ以降の報知演出の演出時間は特定時間T1以外の候補時間が演出時間として設定されるようにすればよい。
また、特定期間の開始から所定回数(本実施形態では7回)の当否抽選結果の報知が完了する前に、記憶手段に記憶されている保留情報が0となったことが検出されたときには、遊技者は遊技を開始しても問題はないのであるから、その時点で上述したような対処措置を行う必要がなくなる。したがって、対処措置として実行される報知等が終了した時点で遊技者に対し遊技を開始するよう促す指示を出したり、対処措置として実行される報知等を途中で打ち切り、遊技者に対し遊技を開始するよう促す指示を出したりするように構成される。
以上説明したような連続短縮変動制御は、本実施形態のように遊技態様を遊技者が選択可能な構成であって、一方の保留情報が他方の保留情報よりも優先して消化される構成においてのみ適用する意義があるというわけではない。効果的な適用例は種々考えられる。例えば、遊技者に遊技を実行させるべきではない期間が生じる遊技機に対しては有効である。具体的には、新たな遊技球が発射されてしまうと遊技者に不利な状況が発生しうる構成の遊技において、当該状況が解消するまでの期間を特定期間として、上記と同様の制御を実行するといった適用例が考えられる。
また、遊技の進行速度に変化をつける等、従来にない遊技の進行態様が発生するようにするために、上記と同様の制御を実行するといった適用例が考えられる。例えば、所定条件成立時に特定期間が開始される設定とし、当該特定期間内においては高速で当否抽選の結果が報知されるようにすれば、所定条件成立後の所定期間内はそれ以外の期間に比して遊技の進行速度が高まることになるため、従来にない遊技の進行態様を実現することが可能である。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
○手段1
当否抽選結果を報知する報知演出の開始から完了までの演出時間を、予め設定された複数種の候補時間のうちのいずれかに設定する演出時間設定手段を備えた遊技機であって、
前記演出時間設定手段は、全ての当否抽選結果がはずれとなる連続する所定数の報知演出を含む通常遊技状態中の特定期間において、当該特定期間中に実行される全ての報知演出の演出時間を、前記複数種の候補時間のうちの最も短い特定時間に設定することを特徴とする遊技機。
このような構成とすれば、特定期間中はその他の期間に比して遊技の進行が速くなるため、遊技の進行態様を変化に富むものとすることが可能である。
○手段2
前記特定期間以外の期間において報知演出の演出時間として設定されうる最も短い時間よりも、前記特定時間は短い時間であることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このような構成とすることで、特定期間中の遊技の進行態様は、その他の期間においては発生し得ない態様とすることが可能である。
○手段3
遊技球の入球が当否抽選に用いられる当否判定情報の取得の契機となる入球領域を備え、前記通常遊技状態よりも当該入球領域に入球しやすい状態である高ベース状態が設定されており、
前記高ベース状態時において報知演出の演出時間として設定されうる最も短い時間よりも、前記特定時間は短い時間であることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このような構成とすることで、特定期間中の遊技の進行態様は、高ベース状態においても発生し得ない態様とすることが可能である。
○手段4
前記特定期間中は、遊技者に対して遊技を行うように促す指示が出されないように構成されていることを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
このような構成とすることで、特定期間中に遊技がなされることによる不具合の発生を防止することが可能である。
○手段5
前記特定期間中には、遊技者に対して遊技方法を説明する遊技説明が実行されることを特徴とする手段1から手段4のいずれかに記載の遊技機。
このような構成とすることで、特定期間中、遊技者は遊技説明を注視することになるから、特定期間中に遊技がなされることによる不具合の発生を防止することが可能である。
○手段6
前記特定期間中には、当該特定期間の終了後に遊技者が遊技を開始すべきであることを示す指示が出されることを特徴とする手段1から手段5のいずれかに記載の遊技機。
このような構成とすることで、特定期間中に遊技がなされることによる不具合の発生を防止することが可能である。
○手段7
当否抽選に用いられる当否判定情報をX個記憶することが可能な記憶手段を備え、
前記特定期間は、X−1個以上の報知演出を含む期間であることを特徴とする手段1から手段6のいずれかに記載の遊技機。
このような構成とすることで、記憶手段に記憶されている保留情報を0にした上で遊技を開始させることが可能である。