JP6263716B2 - 悪性腫瘍のpet診断用トレーサー - Google Patents

悪性腫瘍のpet診断用トレーサー Download PDF

Info

Publication number
JP6263716B2
JP6263716B2 JP2013159132A JP2013159132A JP6263716B2 JP 6263716 B2 JP6263716 B2 JP 6263716B2 JP 2013159132 A JP2013159132 A JP 2013159132A JP 2013159132 A JP2013159132 A JP 2013159132A JP 6263716 B2 JP6263716 B2 JP 6263716B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formula
group
optionally substituted
atom
ppm
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013159132A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015030671A (ja
Inventor
裕史 松井
裕史 松井
磨聖 田村
磨聖 田村
志保 廣原
志保 廣原
谷原 正夫
正夫 谷原
喜代三 垣内
喜代三 垣内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nara Institute of Science and Technology NUC
Institute of National Colleges of Technologies Japan
University of Tsukuba NUC
Original Assignee
Nara Institute of Science and Technology NUC
Institute of National Colleges of Technologies Japan
University of Tsukuba NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nara Institute of Science and Technology NUC, Institute of National Colleges of Technologies Japan, University of Tsukuba NUC filed Critical Nara Institute of Science and Technology NUC
Priority to JP2013159132A priority Critical patent/JP6263716B2/ja
Publication of JP2015030671A publication Critical patent/JP2015030671A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6263716B2 publication Critical patent/JP6263716B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Description

本発明は、陽電子放出同位体を用いた悪性腫瘍のPET診断用トレーサーに関する。
腫瘍に対するポルフィリン類の親和性はよく知られており、比較的長い三重項寿命を有するポルフィリン化合物は、光線力学療法(PDT)を用いた悪性腫瘍の治療に使用されている。
他方、ポルフィリン化合物は、腫瘍の治療のみならず、腫瘍を可視化して腫瘍を検出又は診断するツールとして利用することが可能である。ポルフィリンはそれ自身が赤色に蛍光する物質であることから光線力学診断(PDD)として用いられてもいる。しかしこの診断では、多量の薬剤が必要となりこの薬剤によって正常部位に損傷(光細胞毒性)を与えてしまう。一方、陽電子放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)に用いる薬剤濃度は光細胞毒性の起こらない低濃度で診断することから、ポルフィリンに由来する副作用がほぼないという利点がある。
18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)は、主にPETに使用されている診断薬である。しかし、18F-FDGは、糖を必要としない部位や通常でも糖代謝が高い部位の診断には適用することができないため、脳腫瘍や胃癌の診断をすることが困難である。また、18Fは半減期(t1/2 = 1.83時間)が短いため、使用しにくいという問題がある。
また、胃癌や脳腫瘍に特異的に集積するポルフィリン誘導体(Photochlor)に124I核(t1/2= 4.13日)を導入したSingle-photon emission computed tomography (SPECT)用薬剤として、124I-Photochlor誘導体が開発された。マウス大腸癌(Colon26)腫瘍を移植したBALB/cマウスに対し、この化合物を用いた生体動態が報告されている(文献名:Suresh K. Pandey, J.Med. Chem. 2005, 48, 6286-6296(非特許文献1))。この化合物はPDT薬剤の誘導体であるが、放射核種を導入するための前駆体合成が特別に必要となり、放射核種の導入にも時間がかかる。このため、123I核(t1/2= 13時間)が使えず、半減期の長い124I核を用いたSPECT診断しかできない。この124I-Photochlor誘導体は腫瘍に集積するものの集積までの時間が遅く(48時間かかる)、また遊離したヨウ素が甲状腺に集まるという問題がある。
Suresh K. Pandey, J.Med. Chem. 2005, 48, 6286-6296
本発明は、悪性腫瘍のPET診断用トレーサーを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、 ポルフィリン化合物に陽電子亜鉛などの陽電子放出金属同位体を錯体化した物質を作製し、これを用いてPET診断を行うことにより従来よりも効果的に腫瘍を検出し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[12]に記載の発明を提供するものである。
[1]次式(I):
(式中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アゾメチンイリド、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、又は任意に置換されてもよいC2-10アルキニルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニル、任意に置換されてもよいC6-14アリール、任意に置換されてもよいC7-20アリールアルキル、又は任意に置換されてもよい5〜14員ヘテロアリールを表し、ここで、置換基は、C1-6アルキル、C6-14アリール、C7-20アリールアルキル、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
(式中、nは1〜200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、アミノ酸、葉酸、抗体、次式:
(式中、nは1〜200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよく、
Mは、[64Cu]、[52Mn] 、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種であり、
は単結合又は二重結合を表す。)
で示されるポルフィリン化合物を含む、腫瘍のPET診断用トレーサー。
[2]R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、又は任意に置換されてもよいC1-10アルキルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、[1]に記載のトレーサー。
[3]R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は任意に置換されてもよいC6-14アリールを表し、ここで、置換基は、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
(式中、nは1〜200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、葉酸、次式:
(式中、nは1〜200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよい、
[1]または[2]に記載のトレーサー。
[4] R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、水素原子を表し、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、任意に置換されてもよいC6-14アリールを表し、ここで、置換基は、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
(式中、nは1〜200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のトレーサー。
[5]アミド結合を有する基が、-CONHCH2CH2NHCOCH2CH2COOR40(R40は次式:
(式中、nは1〜200の整数を表す。)
で示される基を表す。)で示される基である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のトレーサー。
[6]Mが[62Zn] である[1]〜[5]のいずれか1項に記載のトレーサー。
[7]ハロゲン原子がFである[1]〜[6]のいずれか1項に記載のトレーサー。
[8]ポルフィリン化合物が、次式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)のいずれかで示されるものである[1]に記載のトレーサー。
(式中、PEG1000は分子量1000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
(式中、PEG5000は分子量5000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
(式中、PEG3000は分子量3000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
(式中、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ独立して、フッ素原子又はエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
[9]次式(IX)で示されるポルフィリン化合物を含む、腫瘍のPET診断用トレーサー。
(式中、Rbは-CH(OH)CH3又は-CH=CH2を表し、Znは[62Zn]を表し、nは1〜6の整数を表す。)
[10]次式(IV)で示されるポルフィリン化合物。
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
[11] 次式(VII)で示されるポルフィリン化合物。
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
[12]次式(I'):
(式中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アゾメチンイリド、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニル、任意に置換されてもよいC6-14アリール、任意に置換されてもよいC7-20アリールアルキル、又は任意に置換されてもよい5〜14員ヘテロアリールを表し、ここで、置換基は、C1-6アルキル、C6-14アリール、C7-20アリールアルキル、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
(式中、nは1〜200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、アミノ酸、葉酸、抗体、次式:
(式中、nは1〜200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよく、
は単結合又は二重結合を表す。)
で示されるポルフィリン化合物に、[64Cu]、[52Mn]、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種を導入することを特徴とする、次式(I):
(式中、R1〜R12及び
は前記と同様であり、Mは、[64Cu]、[52Mn]、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種を表す。)
で示される化合物の製造方法。
本発明により、ポルフィリン化合物に陽電子放出金属同位体を錯体化した化合物が提供される。本発明の化合物は、悪性腫瘍のPET診断用トレーサーとして利用できる点で極めて有用である。
本発明のポルフィリン化合物の癌様細胞への取り込み実験を行った結果を示す図である。 本発明のポルフィリン化合物の癌様細胞への取り込み実験を行った結果を示す図である。 本発明のポルフィリン化合物を用いてPET評価を行った結果を示す図である。 65Zn-TFPP(SGlc)trans-2の組織分布を示す図である。 65Zn-TFPP(SGlc)trans-2の血中サンプル量測定結果を示す図である。 65Zn-TFPP(SGlc)trans-2の全組織合計ID%を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ポルフィリン化合物に陽電子放出金属同位体を錯体化した化合物であり、悪性腫瘍のPET(Positron Emission Tomography)の診断用トレーサーとして利用することができるものである。
本発明者は、ポルフィリンの腫瘍特異的集積性に着目し、陽電子放出金属同位体を用いてポルフィリンに錯体形成し、さらに必要に応じて錯体を糖鎖やエチレングリコール等で修飾した。この修飾された錯体は、腫瘍特異的に集積することからPET用造影剤として利用することができる。
腫瘍細胞は、ブドウ糖の細胞膜輸送が正常細胞に比較すると亢進しているため、増殖することができる。フルオロデオキシグルコース(FDG)は、ブドウ糖の類似物質であり、ブドウ糖と同様に細胞に取り込まれてFDG6リン酸に変化する。その後、解糖系で代謝されずに細胞内に蓄積される。FDGにおけるF18(フッ素18)(18F-FDGという)はγ線を発生するので、PETでは、そのγ線を検出して画像化させる。従って、PET造影においては、患者に18F-FDGを投与してその集積を診断する。しかし、脳や胃などの正常でも糖利用の多い臓器では、腫瘍を検出することが困難であった。
そこで本発明者は、脳などの糖利用の多い臓器でも腫瘍を検出することを可能とするべく鋭意研究を行った結果、62Zn等の陽イオン放出金属同位体を用いて錯体を形成させることにより高感度に腫瘍を検出することを見出した。
本発明は、金属が導入されていないポルフィリン化合物に陽電子放出核種を導入することを特徴とするポルフィリン誘導体の迅速合成法を提供する。また、本発明は、合成されたポルフィリン誘導体がin vitro及びin vivoにおいて特異的に胃癌に集積するという知見に基づき、新規PET診断用トレーサーを提供する。
本発明において使用されるポルフィリン化合物は次式(I)に示されるものである。
式(I):
式中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アゾメチンイリド、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、又は任意に置換されてもよいC2-10アルキニルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニル、任意に置換されてもよいC6-14アリール、任意に置換されてもよいC7-20アリールアルキル、又は任意に置換されてもよい5〜14員ヘテロアリールを表し、ここで、置換基は、C1-6アルキル、C6-14アリール、C7-20アリールアルキル、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
(nは1〜200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、アミノ酸、葉酸、抗体、次式:
(nは1〜200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよく、
Mは、[64Cu]、[52Mn] 、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種であり、
は単結合又は二重結合を表す。
本発明において、「C1-10アルキル」、「C1-6アルキル」とは、炭素数がそれぞれ1〜10個、1〜6個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を意味する。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、2-メチル-1-プロピル基(i-ブチル基)、2-メチル-2-プロピル基(t-ブチル基)、1-ブチル基、2-ブチル基、1-ペンチル基、ヘキシル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基などが挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基などである。
「C2-10アルケニル」、「C2-6アルケニル」とは、炭素数がそれぞれ1〜10個、2〜6個の直鎖状又は分枝鎖状のアルケニル基を意味する。このようなアルケニル基としては、例えばエテニル基(ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、ペンテニル基などが挙げられる。
「C2-10アルキニル」、「C2-6アルキニル」とは、炭素数がそれぞれ2〜10個、2〜6個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキニル基を意味する。このようなアルキニル基としては、例えばエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、ペンチニル基などが挙げられる。
「C6-14アリール」とは、炭素数が6〜14個の芳香族炭化水素基を意味し、例えばフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、インデニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基である。
「C7-20アリールアルキル」は、C7〜C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、例えばベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル等を挙げることができる。
「5〜14員ヘテロアリール」とは、環を構成する原子数が5〜14個であり、その原子中に1〜5個のヘテロ原子(窒素原子、酸素原子又は硫黄原子)を含有する芳香族基を意味する。このようなヘテロアリール基としては、例えばフリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基などが挙げられる。
本発明において、「アミド結合」とは、カルボニル基と窒素との結合を意味し、「アミド結合を有する基」としては、例えば-CONHCH2CH2NHCOCH2CH2COOR40(R40は次式:
(nは1〜200の整数を表す。)
で示される基を表す。)で示される基が挙げられる。
本発明において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)又はヨウ素原子(I)を意味し、好ましくはFである。
本発明において、「糖」としては、グルコース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、フコース、グルコサミン、ガラクトサミンなどが挙げられ、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合した糖も含まれる。中でも、硫黄原子(チオール基)が結合したグルコースが好ましい。
また、本発明において、「アミノ酸」は、同一分子内にカルボキシル基とアミノ基を有する化合物をいうが、プロリン、ヒドロキシプロリン等のイミノ酸もアミノ酸に含まれる。アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、アルギニン、システイン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン、4-ヒドロキシプロリンなどが挙げられる。
「葉酸」は、プテロイルグルタミン酸であり、下記式:
のいずれかで示される。
「抗体」としては、モノクロナール抗体などが挙げられる。
「アジ化物」は、-N3原子団を持つ化合物であり、アジドともいう。本発明においては、アジ化物には、トリアゾリル基なども含まれる。
また、式(I)において、
は単結合又は二重結合を示すが(式(I)の7位と8位、17位と18位)、単結合の場合は、7位と8位、及び17位と18位には、それぞれR4及びR5、R10及びR11以外に水素原子が結合している。
本発明の好ましい態様において、 R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、又は任意に置換されてもよいC1-10アルキルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つである。
また、本発明の好ましい態様において、R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は任意に置換されてもよいC6-14アリールを表し、ここで、置換基は、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
(nは1〜200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
各置換基は、葉酸、次式:
(nは1〜200の整数を表す。)
で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよい。
これらの中でも、本発明においては、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、水素原子を表し、
R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、任意に置換されてもよいC6-14アリールを表し、ここで、置換基は、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
(nは1〜200の整数を表す。)
で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
本発明において「これらの組み合わせを含む基」としては、例えば、次式で示される基などが挙げられる。
また、本発明において、「アミド結合を有する基」は、-CONHCH2CH2NHCOCH2CH2COOR40(R40は前記と同様である。)で示される基であることが好ましい。
次式:
で示される基においてnは1から200の整数を表すが、本発明においては、nが1のときはエチレングリコールであり、nが2以上のものをポリエチレングリコールという。従って、ポリエチレングリコールには、ジエチレングリコール(n=2)、トリエチレングリコール(n=3)等も含まれる。
ポリエチレングリコールの場合の分子量は124(n=2)以上であり12,500(n=200)以下である。好ましくは1000〜8000であり、さらに好ましくは1000〜5000である。
また本発明において、 Mは、62Znであることが好ましい。
このようなポルフィリン化合物のさらに好ましい具体例としては、例えば次式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)のいずれかで示されるものを挙げることができる。
(式中、PEG1000は分子量1000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
(式中、PEG5000は分子量5000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
式(IV)において、R21〜R24の少なくとも一つは、硫黄原子が結合したグルコース(SGlc)であることが好ましい。
式(IV)において、R21がSGlc、R22、R23及びR24がフッ素原子のものを「ZnTFPP(SGlc)1」という。
R21及びR22がSGlc、R23及びR24がフッ素原子のものを「ZnTFPP(SGlc)cis-2」という。
R21及びR23がSGlc、R22及びR24がフッ素原子のものを「ZnTFPP(SGlc)trans-2」という。
R21、R22及びR23がSGlc、R24がフッ素原子のものを「ZnTFPP(SGlc)3」という。
R21、R22、R23及びR24がSGlcのものを「ZnTFPP(SGlc)4」という。
(式中、PEG3000は分子量3000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
(式中、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ独立して、フッ素原子又はエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
式(VI)において、R31〜R34の少なくとも一つは、エチレングリコール(EG)であることが好ましい。
式(VI)において、R31がEG、R32、R33及びR34がフッ素原子のものを「Zn1EG」という。
R31及びR32がEG、R33及びR34がフッ素原子のものを「Zncis-2EG」という。
R31及びR33がEG、R32及びR34がフッ素原子のものを「Zntrans-2EG」という。
R31、R32及びR33がEG、R34がフッ素原子のものを「Zn3EG」という。
R31、R32、R33及びR34がEGのものを「Zn4EG」という。
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
式(VII)で示される化合物を「Zn1propa」という。
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
式(VIII)で示される化合物を「ZnTFPP-triazole-TEG-FA」という。
さらに、本発明においては、次式(IX):
(式中、Rbは-CH(OH)CH3又は-CH=CH2を表し、Znは[62Zn]を表し、nは1〜6の整数を表す。)
で示される化合物(「Zn-Photofrin」)も好ましい具体例として挙げることができる。
これらの化合物は、PET診断用のトレーサーとして使用することができる。
これらの中でも、本発明のPET診断用のトレーサーとしては、次式(IV)で示される化合物が好ましく、硫黄原子が結合した糖がトランス型に配置した化合物(ZnTFPP(SGlc)trans-2)を特に好ましく使用することができる。
(式中、Znは[62Zn]を表す。)
式(I)で示される化合物は、
次式(I'):
で示されるポルフィリン化合物に、[64Cu]、[52Mn]、[52Fe]、[99mTc]、[111In]、[68Ga]及び[62Zn]から選択される陽電子放出核種を導入することで製造することができる。
本発明の一態様においては、例えば、金属が導入されていないポルフィリン化合物(式(I'))含有溶液に金属イオン(例えば62Znの金属イオン)含有溶液を加えて反応させることにより、陽電子放出核種が導入されたポルフィリン化合物を得ることができる。
陽電子放出核種を導入するためのポルフィリン骨格としては、例えば、フッ素ポルフィリン(TFPP)だけでなく、テトラフェニルポルフィリン(TPP)、プロトポルフィリン、ヘマトポルフィリンなどが挙げられる。
TFPPは、式(I)で示される化合物のR3、R6、R9及びR12がC6-14アリール(例えばフェニル)で置換され、さらにC6-14アリール(例えばフェニル)がフッ素原子、糖(例えば硫黄原子が結合した糖)又はエチレングリコールで置換されたものである。
式(I')で示される化合物の製造方法は、例えば、Hirohara S. et al., Bioconjugate Chem. 2009, 20, 944-952; Hirohara S. et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry 18 (2010) 1526-1535、F.C. Santos et al., Tetrahedron Letters, 2008, 49, 7268-7270.を参照することができる。また、式(II)、(III)及び(V)などで示されるPEG含有ポルフィリン化合物は、S. K. Sahoo et al., Bioconjugate Chem. 2002, 13, 1031-1038を参照することができる。また、市販品を用いることもできる。
ポルフィリン化合物に陽電子放出核種を導入するには、ポルフィリン含有溶液と金属イオン含有溶液(例えば、陽電子放出核種を有する塩化亜鉛や酢酸亜鉛など)とを混合したのち、溶媒を留去すればよい。本発明においては、上記のように簡便でかつ迅速な方法でポルフィリン化合物に陽電子核種を導入することができる。
溶媒としては、ポルフィリン化合物及び金属イオンに不活性なものであればよく、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、クロロベンゼン、ベンゾニトリルなどを使用できる。
反応は、常温で行うことができるが、必要に応じて加熱還流などを行うことが好ましい。
また、金属の導入に際しては窒素またはアルゴン雰囲気下で行うことが望ましい。
式(IX)で示される化合物も上記と同様にして得ることができる。例えば、ファイザー株式会社より市販されている「Photofrin」(登録商標)に、塩化亜鉛や酢酸亜鉛などの金属イオン含有溶液を加え、必要に応じて加熱することで得ることができる。
ポルフィリン化合物に金属イオンが導入されたことの確認は、例えば核磁気共鳴分光法(NMR)、紫外可視分光光度法(UV-Vis)や質量分析(MS)等により行なうことができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
ポルフィリン化合物の合成
(1) 精製62Zn水の作製
真空中のタングステンボート中ニッケル粉を1800℃で加温溶解して蒸発させ、アルミ箔に蒸着した。このニッケル蒸着アルミ箔をターゲットとして、ニッケル蒸着面を後方に設置し、加速した3Heを入射させた。このときの最適加速エネルギーは597KeVであった。ニッケルと3He間との核反応によって、62Znが形成された。この62Znは反跳エネルギーによって後方へ放出されるので、ニッケル蒸着アルミ箔後方にKClを置き、62Znを捕捉した。この62Zn 含有KClを水溶液とし、イオン交換樹脂カラムTOYO PEARL CM-650とイオン交換水を用いて精製62Zn水を得た。
(2) 金属が導入されていない糖鎖結合ポルフィリン化合物(1OH, cis-2OH, trans-2OH, 3OH, 4OH)の合成
市販品である5,10,15,20-テトラキス (ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン(H2TFPP)に2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルチオアセテート(AcGlcSAc)を反応させ、その後ナトリウムメトキシドにより糖鎖のアセチル基を脱保護した。この反応は、公知方法(Hirohara S. et al., Bioconjugate Chem. 2009, 20, 944-952; Hirohara S. et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry 18 (2010) 1526-1535)に従って行なった。
具体的化合物の合成法を以下に示す。
5-[4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-10,15,20-トリス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン(1Ac)
100 mLナスフラスコにH2TFPP (49.3 mg, 50.6μmol)とAcGlcSAc(20.9mg, 51.5μmol)をDMF(10 mL)に溶解させた。この溶液にジエチルアミンを(37μL,724μmol)加えて、室温で24時間撹拌した。反応溶液をCH2Cl2で抽出した後、蒸留水(15 mL) 5回で分液した。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥させた後、溶媒留去した。その後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silicagel, CH2Cl2 to CH2Cl2/AcOEt = 100 - 60:40)で各置換体を分離した後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により精製し1置換体(1Ac)を収率41.7%で得た。
5,10-ビス[4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-15,20-ビス (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン (cis-2Ac)
H2TFPP (50.0 mg, 51.3μmol), AcGlcSAc(41.6 mg,102.5μmol)を用いて1置換体の合成法と同様の合成法により、cis-2置換体(cis-2Ac)を収率18.5%で得た。
5,15-ビス[4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-10,20-ビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン (trans-2Ac)
H2TFPP (50.0 mg, 51.3μmol), AcGlcSAc(41.6 mg,102.5μmol)を用いて1置換体の合成法と同様の合成法により、trans-2置換体(trans-2Ac)を収率13.5%で得た。
5,10,15-トリス[4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル) ポルフィリン (3Ac)
H2TFPP (49.5 mg, 50.8μmol), AcGlcSAc(61.9 mg,152.5μmol)を用いて1置換体の合成法と同様の合成法により、3置換体(3Ac)を収率31.5%で得た。
5,10,15,20-テトラキス(4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル) ポルフィリン (4Ac)
H2TFPP (64.9 mg, 66.6μmol), AcGlcSAc(113 mg, 278μmol)を用いて1置換体の同様の合成法により、4置換体(4Ac)を収率74.0%で得た。
5-[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-10,15,20-トリス (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル) ポルフィリン (1OH)
100 mLナスフラスコに、1Ac(23.7 mg, 18.0μmol)をCH2Cl2(20 mL)とMeOH(20 mL)の混合溶液に溶解させた。この溶液にpH9になるようにナトリウムメトキシドを加えた。この溶液を、45〜50℃の水浴で約10分間還流した。反応溶液に酢酸を加え中和した後、溶媒留去した。粗生成物を逆相カラムクロマトグラフィー(acetonitrile / H2O = 8 / 2)により精製し、1OHを60.9%で得た。
5,10-ビス[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-15,20-ビス (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル) ポルフィリン (cis-2OH)
cis-2Ac (81.2 mg, 48.8μmol)を用いて1置換体(1OH)の同様の合成法により、cis-2置換体(cis-2OH)を収率54.9%で得た。
5,15-ビス[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-10,20-ビス (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル) ポルフィリン(trans-2OH)
trans-2Ac (23.2 mg, 13.9μmol)を用いて1置換体(1OH)の同様の合成法により、trans-2置換体(trans-2OH)を収率50.9%で得た。
5,10,15-トリス[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)]-20-ビス (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル) ポルフィリン (3OH)
3Ac (47.9 mg, 23.9μmol)を用いて1置換体(1OH)の同様の合成法により、3置換体(3OH)を収率52.4%で得た。
5,10,15,20-テトラキス(4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル) ポルフィリン (4OH)
4Ac (51.1 mg, 21.7μmol)を用いて1置換体(1OH)の同様の合成法により、4置換体(4OH)を収率68.8%で得た。
(3) 金属が導入された糖鎖結合ポルフィリン化合物の合成
上記のとおり作製したサンプルにZn核を下記のように導入した。なお、65Zn含有ポルフィリン誘導体及び62Zn含有ポルフィリン誘導体は、(3-3)のように金属が導入されていない各フリーベースポルフィリン誘導体に65Zn核または62Zn核を導入することにより合成した。
(3-1) 65Zn含有ポルフィリン誘導体の合成
150μM in MeOHのポルフィリン溶液を30 mLナスフラスコに264μL分注し、65ZnCl2in MeOHを26.4μL (26.5 kBq)を加えた。その後、ナスフラスコをエバポレータで回転させながら10分間ドライヤーで加熱した後、溶媒留去した。その後、ナスフラスコに生化学用DMSOを396μL加えたのち、2 mLのエッペンチューブに溶液を移した。その後10分間溶液を静置させ殺菌した。
(3-2) 62Zn含有ポルフィリン誘導体の合成
150μM in MeOHのポルフィリン溶液を10 mLナスフラスコに317μL分注し、62ZnCl2in MeOHを31.7μL (31.7 kBq)を加えた。その後、ナスフラスコをエバポレータで回転させながら10分間ドライヤーで加熱した後、溶媒留去した。その後、ナスフラスコに生化学用DMSOを317μL加えたのち、2 mLのエッペンチューブに溶液を移した。その後10分間溶液を静置させ殺菌した。
(3-3)64Zn含有ポルフィリン誘導体の合成
5-[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-10,15,20-トリス (ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛(II) (Zn1OHまたは64ZnTFPP(SGlc)1)
50 mLナスフラスコに1OH (53.0 mg, 46.1μmol)とメタノール10 mLを加え、化合物を溶解させた。このナスフラスコに安定同位体元素である64Zn核を有する塩化亜鉛(31.3 mg, 231μmol)を加え10分間加熱還流させた。その後、粗生成物をゲル浸透クロマトグラフィー(LH20)で精製し、目的化合物Zn1OHを収率89.3%で得た。
Purity(HPLC): 99%. Anal. Calcd. for C50H19O5N4F19SZn + CH3CN: C, 47.84; H, 1.53; N, 4.46. Found: C, 47.97; H, 1.76; N, 4.84. 1H NMR (600.17 MHz, CD3OD, CHD2OD = 3.30 ppm):δ(ppm) = 9.03 (8H, brs, 2,3,7,8,12,13,17,18-pyrroleH), 5.10 (1H, d, 3J = 8.5 Hz, 1-GlcH), 3.93 (1H, m, 6-GlcH), 3.71 (1H, m, 6-GlcH), 3.49-3.38 (4H, m, 2,3,4,5-GlcH). 13C NMR (150.92 MHz, CD3OD, CD3OD = 49.0 ppm):δ(ppm) = 151.7 (1,9,11,14,16,19-pyrroleC), 151.6 (4,6-pyrroleC), 149.3, 147.6 (5-(2,6-PhC)), 148.9, 147.2 (10,15,20-(2,6-PhC)), 148.5, 146.9 (5-(3,5-PhC)), 144.3, 142.6 (10,15,20-(4-PhC)), 139.9, 138.2 (10,15,20-(3,5-PhC)), 133.2 (3,7-pyrroleC), 133.0 (2,8,12,13,17,18-pyrroleC), 123.5 (5-(4-PhC)), 118.4 (1-PhC), 113.3 (5-(1-PhC)), 106.0 (5-mesoC), 104.8 (10,15,20-mesoC), 87.0 (1-GlcC), 82.7 (5-GlcC), 79.8 (3-GlcC), 76.0 (2-GlcC), 71.7 (4-GlcC), 63.1 (6-GlcC). 19F NMR (564.72 MHz, CD3OD, CF3CO2H = -76.50 ppm):δ(ppm) = -133.6 (2F, m, 5-(3,5-PhF)), -137.9 (6F, m, 10,15,20-(3,5-PhF)), -138.2 (2F, m, 5-(2,6-PhF)), -154.4 (3F, m, 10,15,20-(4-PhF)), -163.6 (6F, m, 10,15,20-(2,6-PhF)). UV-vis (c = 1.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/ nm(ε×10-4 / M-1cm-1) = 423 (50.8), 553 (2.65), 587 (0.38).
5,10-ビス[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-15,20-ビス (ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛(II) (Zncis-2OHまたは64ZnTFPP(SGlc)cis-2)
cis-2OH (37.5 mg, 28.3μmol)を用いて1OHと同様の実験を行い、目的化合物Zncis-2OHを86.6%で得た。
Purity(HPLC): 99%. Anal. Calcd. for C56H30O10N4F18S2Zn + 2CH3CN: C, 45.68; H, 2.05; N, 3.80. Found: C, 46.12; H, 2.23; N, 4.94. 1H NMR (600.17 MHz, CD3OD, CHD2OD = 3.30 ppm):δ(ppm) = 9.03 (8H, m, 2,3,7,8,12,13,17,18-pyrroleH), 5.17 (2H, d, 3J = 8.0 Hz, 1-GlcH), 3.94 (2H, m, 6-GlcH), 3.70 (2H, m, 6-GlcH), 3.50-3.39 (8H, m, 2,3,4,5-GlcH). 13C NMR (150.92 MHz, CD3OD, CD3OD = 49.0 ppm):δ(ppm) = 151.7 (1,14,16,19-pyrroleC), 151.6 (4,6,9,11-pyrroleC), 149.4, 147.7 (5,10-(2,6-PhC)), 148.9, 147.3 (15,20-(2,6-PhC)), 148.6, 147.0 (5,10-(3,5-PhC)), 144.3, 142.6 (15,20-(4-PhC)), 139.8, 138.2 (15,20-(3,5-PhC)), 133.2 (3,7,8,12-pyrroleC), 132.9 (2,13,17,18-pyrroleC), 123.6 (5,10-(4-PhC)), 118.4 (15,20-(1-PhC)), 114.2 (5,10-(1-PhC)), 105.9 (5,10-mesoC), 104.7 (15,20-mesoC), 86.9 (1-GlcC), 82.7 (5-GlcC), 79.8 (3-GlcC), 76.0 (2-GlcC), 71.7 (4-GlcC), 63.1 (6-GlcC). 19F NMR (564.72 MHz, CD3OD, CF3CO2H = -76.50 ppm):δ(ppm) = -133.3 (4F, m, 5,10-(3,5-PhF)), -137.6 (4F, 15,20-(3,5-PhF)), -137.9 (4F, m, 5,10-(2,6-PhF)), -154.2 (2F, m, 15,20-(4-PhF)), -163.3 (4F, m, 15,20-(2,6-PhF)). UV-vis (c = 1.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/ nm(ε×10-4 / M-1cm-1) = 424 (52.0), 553 (2.73), 587 (0.35).
5,15-ビス[4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-10,20-ビス (ペンタフルオロフェニル) ポルフィナート亜鉛(II) (Zntrans-2OHまたは64ZnTFPP(SGlc)trans-2)
trans-2OH (30.1 mg, 22.7μmol)を用いて1OHと同様の実験を行い、目的化合物Zntrans-2OHを91.7%で得た。
Purity(HPLC): 99%. Anal. Calcd. for C56H30O10N4F18S2Zn + 2CH3CN: C, 45.68 H, 2.05; N, 3.80. Found: C, 45.89; H, 2.38; N, 5.44. 1H NMR (600.17 MHz, CD3OD, CHD2OD = 3.30 ppm):δ(ppm) = 9.01 (8H, brs, 2,3,7,8,12,13,17,18-pyrroleH), 5.11 (2H, d, 3J = 7.6 Hz, 1-GlcH), 3.94 (2H, m, 6-GlcH), 3.71 (2H, m, 6-GlcH), 3.49-3.38 (8H, m, 2,3,4,5-GlcH). 13C NMR (150.92 MHz, CD3OD, CD3OD = 49.0 ppm):δ(ppm) = 151.7 (1,9,11,19-pyrroleC), 151.6 (4,6,14,16-pyrroleC), 149.3, 147.6 (5,15-(2,6-PhC)), 148.9, 147.3 (10,20-(2,6-PhC)), 148.6, 146.9 (5,15-(3,5-PhC)), 144.2, 142.6 (10,20-(4-PhC)), 139.9, 138.2 (10,20-(3,5-PhC)), 133.2 (3,7,13,17-pyrroleC), 132.9 (2,8,12,18-pyrroleC), 123.6 (5,15-(4-PhC)), 118.4 (10,20-(1-PhC)), 114.2 (5,15-(1-PhC)), 105.9 (5,15-mesoC), 104.7 (10,20-mesoC), 87.0 (1-GlcC), 82.7 (5-GlcC), 79.8 (3-GlcC), 76.0 (2-GlcC), 71.7 (4-GlcC), 63.0 (6-GlcC). 19F NMR (564.72 MHz, CD3OD, CF3CO2H = -76.55 ppm):δ(ppm) = -133.5 (4F, m, 5,15-(3,5-PhF)), -137.7 (4F, m, 10,20-(3,5-PhF)), -138.1 (4F, m, 5,15-(2,6-PhF)), -154.4 (2F, m, 10,20-(4-PhF)), -163.3 (4F, m, 10,20-(2,6-PhF)). UV-vis (c = 1.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/ nm(ε×10-4 / M-1cm-1) = 424 (52.5), 553 (2.82), 588 (0.37).
5,10,15-トリス [4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-20-ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛(II) (Zn3OHまたは64ZnTFPP(SGlc)3)
3OH (64.0 mg, 42.6μmol)を用いてZn1OHと同様の実験を行い、目的化合物Zn3OHを87.4%で得た。
Purity(HPLC): 98%. Anal. Calcd. for C62H41O15N4F17S3+ H2O + 2CH3CN: C, 44.68; H, 2.60; N, 3.36. Found: C, 44.6; H, 2.84; N, 4.40. 1H NMR (600.17 MHz, CD3OD, CHD2OD = 3.30 ppm):δ(ppm) = 9.00 (8H, m, 2,3,7,8,12,13,17,18-pyrroleH), 5.10 (3H, d, 3J = 8.2 Hz, 1-GlcH), 3.94 (3H, m, 6-GlcH), 3.71 (3H, m, 6-GlcH), 3.49-3.38 (12H, m, 2,3,4,5-GlcH). 13C NMR (150.92 MHz, CD3OD, CD3OD = 49.0 ppm):δ(ppm) = 151.7 (1,19-pyrroleC), 151.6 (4,6,9,11,14,16-pyrroleC), 149.3, 147.6 (5,10,15-(2,6-PhC)), 148.9, 147.2 (20-(2,6-PhC)), 148.5, 146.9 (5,10,15-(3,5-PhC)), 144.3, 142.6 (20-(4-PhC)), 139.8, 138.2 (20-(3,5-PhC)), 133.1 (3,7,8,12,13,17-pyrroleC), 132.9 (2,18-pyrroleC), 123.6 (5,10,15-(4-PhC)), 118.4 (20-(1-PhC)), 114.2 (5,10,15-(1-PhC)), 105.8 (5,10,15-mesoC), 104.6 (20-mesoC), 86.9 (1-GlcC), 82.7 (5-GlcC), 79.8 (3-GlcC), 76.0 (2-GlcC), 71.7 (4-GlcC), 63.1 (6-GlcC). 19F NMR (564.72 MHz, CD3OD, CF3CO2H = -76.50 ppm):δ(ppm) = -133.3 (6F, m, 5,10,15-(3,5-PhF)), -137.6 (2F, m, 20-(3,5-PhF)), -137.9 (6F, m, 5,10,15-(2,6-PhF)), -154.2 (1F, m, 20-(4-PhF)), -163.3 (2F, m, 20-(2,6-PhF)). UV-vis (c = 1.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/ nm (ε×10-4 / M-1cm-1) = 424 (51.6), 553 (2.69), 588 (0.35).
5,10,15,20-テトラキス(4-(β-D-グルコピラノシルチオ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル) ペンタフルオロフェニル) ポルフィナート亜鉛(II) (Zn4OHまたは64ZnTFPP(SGlc)4)
4OH (50.5 mg, 30.1μmol)を用いてZn1OHと同様の実験を行い、目的化合物Zn4OHを79.9%で得た。
Anal. calcd. for C68H52O20N4F16S4Zn + 10H2O: C, 42.47; H, 2.73; N, 2.91. Found: C, 42.50; H, 3.34; N, 2.85. 1H NMR (600.07 MHz, CD3OD, CHD2OD = 3.30 ppm):δ(ppm) = 8.99 (8H, s,β-pyrroleH), 5.08 (4H, m, 1-GlcH), 3.91 (4H, m, 6-GlcH), 3.69 (4H, m, 6-GlcH), 3.44 - 3.22 (16H, m, 2,3,4,5-GlcH). 13C NMR (100.40 MHz, CD3OD, CD3OD = 49.0 ppm):δ(ppm) = 151.20 (α-pyrroleC), 149.11 (2,6-PhC), 146.67 (3,5-PhC), 133.77 - 131.87 (β-pyrroleC), 132.82 (4-PhC), 123.47 (1-PhC), 114.00 (mesoC), 86.69 (1-GlcC), 82.80 (5-GlcC), 79.25 (3-GlcC), 75.43 (2-GlcC), 71.07 (4-GlcC), 63.13 (6-GlcC). 19F NMR (376 MHz, CD3OD, CF3CO2H = -76.05 ppm):δ(ppm) = -134.06 (8F, dd, 3JF-F = 24 Hz, 5JF-F= 12 Hz, 3,5-PhF), -138.57 (8F, dd, 3JF-F = 26 Hz, 5JF-F= 12 Hz, 2,6-PhF). UV-vis (c = 5.16μM, DMSO, path length = 1 cm, 25 oC):λ/ nm (ε×10-3 / M-1・cm-1) = 425 (50.2), 554 (2.63), 597 (0.16). FL (c = 5.16μM, DMSO, path length = 1 cm,λex = 415 nm, 25 oC):λ/ nm = 599, 650.
(3-4) エチレングリコール結合ポルフィリン化合物(62Zn-TFPP-(EG)3またはZn3EG)の合成
テトラフルオロ-プロトポルフィリン(エチレングリコール(EG))3メタノール溶液と62Zn水を3:1で混和し、70℃10分処理することで62Zn-TFPP-(EG)3を得た。反応後、溶液のメタノールを加温で分溜し、ゲルクロマトグラフィー(LH20)で精製することで目的の62Zn-TFPP-(EG)3水溶液とした。405nmの吸収を測定し、標品の値と比較して濃度決定した。
本実施例は、合成されたポルフィリン誘導体(ZnTFPP(SGlc)trans-2)がin vitro, in vivoにおいて特異的に胃癌に集積するという知見に基づきPET診断薬として利用可能なことを示すものである。
in vitro及びin vivoの実験とそのデータを以下に示す。
(1)62Zn含有ポルフィリン誘導体の in vitro試験(細胞取り込み試験)
6 wellプレートにRGM-1, RGK-1細胞株を播種(1×106cells/well, 1.0 mL)し、37oC, 5% CO2インキュベータで終夜培養した。
15 mL遠沈管に10% FCS入り培地3430μLに実施例1で合成したポルフィリン化合物のDMSO溶液を70μL加え、添加溶液を調製した。この添加溶液を、1.5 mL/well (n = 3)ずつ6 wellプレートに暗所下で添加し、6 wellプレートを37oC, 5% CO2インキュベータで6時間薬剤(ZnTFPP(SGlc)cis-2, ZnTFPP(SGlc)trans-2)を接触させた。
薬剤濃度:4.5μM in 1% DMSO/10% FCS/培地, 62Zn濃度:3.0 kBq/well
薬剤接触後、各wellをPBS 1 mL×2で洗浄し、0.02% EDTA/0.25% trypsin in PBS (1:1)溶液を各wellに0.5 mL加え細胞をはがした。その後1% Triton-X 100 in PBSを加えた後、新しい15 mL遠沈管に各wellの溶液をうつし、細胞抽出液をシンチレータで測定した。
時間に対する薬剤の取り込み量を、亜鉛の同位体元素である64Znを導入した64Znポルフィリン誘導体(c = 0.5μM)、又は62Znを導入した62Znポルフィリン誘導体を用いて行った。その結果を図1、図2に示す。
64Zn-TFPP(SGlc)trans-2は薬剤接触12, 24時間後にガン細胞株(RGK-1)に特異的に取り込まれた(図1)。
放射核種(62Zn)の導入したポルフィリン誘導体(62Zn-TFPP(SGlc)trans-2)の細胞取り込み試験においても、図1と同様の結果が得られた(図2)。
(2) 62Zn導入の動物試験(PET評価)
ナシ型フラスコに150μMの薬剤メタノール溶液を200μL分注し、62ZnCl2in NaClaq.を500μL (16 MBq/mL)を加えた。その後、ナスフラスコをあらかじめ滅菌したエバポレータを用い回転させながら10分間ドライヤーで加熱した後、溶媒留去した。その後、ナスフラスコにあらかじめ滅菌したEtOH:PEG400:water (2:3:5)を300μL加えたのち1.5 mLのエッペンチューブに溶液を移した。
PET撮影
RGK-36細胞を左後肢に移植したヌードマウス(BALB/cSLC-nu/nu)に、62Znポルフィリンの溶液100μLを尾静脈投与した。
薬剤濃度:3μM in EtOH:PEG400:water (2:3:5), 62Zn濃度:4.0 kBq
薬剤投与1,3, 8, 24時間後、iPET/MRI装置を用いてマウスの全身のPET画像を撮影した。
その結果、薬剤投与8時間後までは、どちらの薬剤も肝臓や腸管に集積し、腫瘍へはほぼ集積していなかった。しかし24時間後では肝臓や腸管に高い集積(黄色)が見られたが、腫瘍部位にも薬剤が集積(赤色)した。投与3時間後と24時間後のPET画像を図3に示す。
ポルフィリン化合物の合成
5-[4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-10,15,20-トリス (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン (H21EG)
5-[4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6- テトラフルオロフェニル]-10,15,20-tris(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛 (II) (Zn1EG)
100 mLフラスコを三本用意し、一本当たり約200 mgのH2TFPPを加え、DMF 30 mLを加えた後、6当量のエチレングリコールとカリウム-t-ブトキシドを加えて-15℃で15分間反応させた。使用したH2TFPP総量613 mg (629μmol)、エチレングリコール総量210μL (3.78 mmol)、カリウム-t-ブトキシド総量は423 mg (3.78 mmol)、DMF 60 mLで反応を行い、反応後は反応溶液を合わせた。この反応溶液に、冷CH2Cl2 100 mL加え、冷水100 mLで5回分液した。有機層を無水Na2SO4で乾燥後、溶媒留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2〜CH2Cl2 : EtOAc : acetone = 5 : 3 :3)で目的物を分離精製した後、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 : EtOAc = 7 : 3)で精製を行い、H21EGを収率15.3% (収量97.7 mg, 96.2μmol)、HPLC純度99%以上で得た。
得られたH21EGを100 mLフラスコに、酢酸亜鉛二水和物を5当量加えCH2Cl2 10 mLで溶解し、30℃で終夜撹拌した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2: EtOAc : hexane = 7 : 5 : 8)で精製し、Zn1EGを収率98.6%、HPLC純度99%以上で得た。化合物は、1H NMRのインナーピロールプロトンピークの消失とUV-visスペクトルにより亜鉛導入を確認した。
H21EG; 1H NMR (500.16 MHz, CDCl3, Si(CH3)4= 0 ppm)δ(ppm)= 8.95 (2H, m,β-pyrroleH), 8.91 (6H, m,β-pyrroleH), 4.73 (2H, t, 3J= 4.5 Hz, CH2), 4.18 (2H, q, 3J= 4.5 Hz, OCH2) 2.26 (1H, t, CH2OH), -2.92 (2H, s, inner pyrroleH). 19F NMR (470.62 MHz, CDCl3, CF3CO2H= -76.50 ppm):δ(ppm)= -137.2 (6F, m, 2,6-PhF), -139.0 (2F, m, 2,6-PhFEG), -152.0 (3F, m, 4-PhF), -157.6 (2F, m, 3,5-PhFEG), -162.0 (6F, m, 3,5-PhF). 13C NMR (100.53 MHz, CDCl3, CDCl3= 77.00 ppm):δ(ppm)= 147.8, 145.3, 143.6, 142.1, 140.9, 139.6, 138.8, 136.3 (PhC), 131.2 (β-pyrroleC), 115.6 (1-PhC), 114.1 (1-PhCEG), 104.8 (meso-PhCEG), 103.5 (meso-PhC), 76.8 (-OCH2), 62.0 (CH2OH). ESI-MS (m/ z)= [M+Na+] calcd for C46H15F19N4O2Na, 1039.07893; found, 1039.07886. UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 412 (369), 506 (28.4), 535 (5.51), 582 (9.37), 633 (1.75).
Zn1EG; 1H NMR (399.65 MHz, acetone-d6, (CD3)2CO = 2.05 ppm):δ(ppm)= 9.25-9.22 (8H, m,β-pyrroleH), 4.69 (2H, t, 3J= 4.6 Hz, OCH2), 4.11 (2H, q, 3J= 5.5 Hz, CH2OH). UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 422 (434), 507 (4.42), 553 (18.1).
5,15-トリス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-10,20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル) ポルフィリン(H2trans-2EG)
5,10-トリス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-15,20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン (H2cis-2EG)
5,10,15-トリス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン(H23EG)
5,15-トリス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-10,20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛(Zntrans-2EG)
5,10-トリス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-15,20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛(II) (Zncis-2EG)
5,10,15-トリス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]-20-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ポルフィナート亜鉛(II) (Zn3EG)
H2TFPP総量1.252 g (1.29 mmol)、エチレングリコール総量575μL (10.32 mmol)、カリウム-t-ブトキシド総量は1.158 g (10.32 mmol)、DMF 60 mLを用いてH21EGと同様の実験を行い、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2〜CH2Cl2 : EtOAc : acetone = 5 : 3 :3)で目的物を分離精製した後、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 : EtOAc = 7 : 3 (H2trans-2EG, H2trans-2EG), CH2Cl2 : EtOAc : acetone = 5 : 3 :3 (H23EG))で精製を行い、H2trans-2EGを収率3.0% (収量40.7 mg, 38.5μmol)、HPLC純度96%、H2cis-2EGを収率9.7% (収量132 mg, 125μmol)、HPLC純度99%、またH23EGを収率35.8% (収量506 mg, 460μmol)、HPLC純度99%で得た。Zn1EGと同様の方法を用い、これらのポルフィリンに亜鉛を導入しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2: EtOAc : hexane = 5 : 2 : 3)で精製し、Zntrans-2EGを収率63.5% HPLC純度96%、またZncis-2EGを収率59.3% HPLC純度99%、Zn3EGを収率52.9% HPLC純度97%で得た。
H2cis-2EG; 1H NMR (500.16 MHz, CDCl3, Si(CH3)4= 0 ppm)δ(ppm)= 8.94 (4H, m,β-pyrroleH), 8.90 (4H, m,β-pyrroleH), 4.73 (4H, t, 3J= 4.5 Hz, CH2), 4.17 (4H, q, 3J= 4.5 Hz, OCH-2) 2.32 (2H, t, CH2OH), -2.92 (2H, s, inner pyrroleH). 1H NMR (500.16 MHz, C6D6, C6D6= 7.16 ppm):δ(ppm)= 8.87 (2H, d, 3J= 2.0 Hz, CH), 8.80 (2H, s, CH), 8.71 (2H, s, CH), 8.66 (2H, d, 3J= 2.0Hz, CH), 4.12(4H, t, 3J= 5.0 Hz, CH2), 3.53(4H, q, 3J= 5.0 Hz, CH2OH), 1.41(2H, t, 3J= 6.0 Hz, CH2OH), -3.22 (2H, s, inner pyrroleH). 19F NMR (470.62 MHz, CDCl3, CF3CO2H= -76.50 ppm):δ(ppm) = -137.2 (4F, m, 2,6-PhF), -139.0 (4F, m, 2,6-PhFEG), -152.1 (2F, m, 4-PhF), -157.7 (4F, m, 3,5-PhFEG), -162.1 (4F, m, 3,5-PhF). 13C NMR (100.53 MHz, CDCl3, CDCl3= 77.00 ppm):δ(ppm)= 147.8, 145.3, 143.6, 142.1, 140.9, 139.6, 138.8, 136.3 (PhC), 131.2 (β-pyrroleC), 115.6 (1-PhC), 114.1 (1-PhCEG), 104.6 (meso-PhCEG), 103.2 (meso-PhC), 76.8 (-OCH2), 62.0 (CH2OH). 13C NMR (100.53 MHz, CD3OD, CD3OD= 49.0 ppm):δ(ppm)= 146.9, 145.1, 143.9, 142.6, 141.3, 140.6, 139.5, 138.0, 135.9 (PhC), 129.6 (β-pyrroleC), 116.8 (1-PhC), 114.8 (1-PhCEG), 106.1 (meso-PhCEG), 104.6 (meso-PhC), 78.0 (-OCH2), 62.5 (CH2OH). ESI-MS (m/ z)= [M+Na+] calcd for C48H20F18N4O4Na, 1081.10948; found, 1081.10953. UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 413 (373), 506 (27.9), 535 (5.27), 581 (9.20), 632 (1.63).
Zncis-2EG; 1H NMR (399.65 MHz, acetone-d6, (CD3)2CO = 2.05 ppm):δ(ppm)= 9.17-9.14 (8H, m,β-pyrroleH), 4.61 (4H, t, 3J= 4.5 Hz, OCH2), 4.00 (4H, q, 3J= 5.1 Hz, CH2OH). UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 422 (434), 507 (4.42), 553 (18.1).
H2trans-2EG; 1H NMR (500.16 MHz, CDCl3, Si(CH3)4= 0 ppm):δ(ppm)= 8.96 (4H, m,β-pyrroleH), 8.91 (4H, m,β-pyrroleH), 4.72 (4H, t, 3J= 4.5 Hz, CH2), 4.17 (4H, q, 3J= 4.5 Hz, OCH-2) 2.35 (2H, t, CH2OH), -2.92 (2H, s, inner pyrroleH). 1H NMR (500.16 MHz, C6D6, C6D6= 7.16 ppm):δ(ppm)= 8.86 (4H, d, 3J= 2.5 Hz, CH), 8.66 (4H, d, 3J= 2.5Hz, CH), 4.12(4H, t, 3J= 4.0 Hz, CH2), 3.53(4H, q, 3J= 4.0 Hz, CH2OH), 1.38(2H, t, 3J= 6.0 Hz, CH2OH), -3.21 (2H, s, inner pyrroleH). 19F NMR (470.62 MHz, CDCl3, CF3CO2H= -76.50 ppm):δ(ppm) = -137.2 (4F, m, 2,6-PhF), -139.0 (4F, m, 2,6-PhFEG), -152.1 (2F, m, 4-PhF), -157.7 (4F, m, 3,5-PhFEG), -162.1 (4F, m, 3,5-PhF). 13C NMR (100.53 MHz, CD3OD, CD3OD= 49.0 ppm):δ(ppm)= 146.9, 145.1, 143.9, 142.6, 141.3, 140.6, 139.5, 138.0, 135.9 (PhC), 129.6 (β-pyrroleC), 116.8 (1-PhC), 114.8 (1-PhCEG), 106.0 (meso-PhCEG), 104.7 (meso-PhC), 78.0 (-OCH2), 62.5 (CH2OH). ESI-MS (m/ z)= [M+Na+] calcd for C48H20F18N4O4Na, 1081.10948; found, 1081.10988. UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 413 (333), 506 (24.9), 535 (4.85), 581 (8.14), 632 (1.41).
Zntrans-2EG; 1H NMR (399.65 MHz, acetone-d6, (CD3)2CO = 2.05 ppm):δ(ppm)= 9.18-9.14 (8H, m,β-pyrroleH), 4.60 ppm (4H, t, 3J= 4.8 Hz, OCH2), 4.00 ppm (4H, q, 3J= 5.1 Hz, CH2OH). UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C): λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 423 (579), 508 (2.88), 553 (25.6).
H23EG; 1H NMR (500.16 MHz, CDCl3, Si(CH3)4= 0 ppm):δ(ppm)= 8.94 (6H, m,β-pyrroleH), 8.90 (2H, m,β-pyrroleH), 4.72 (6H, t, 3J= 4.5 Hz, CH2), 4.17 (6H, q, 3J= 4.5 Hz, OCH2) 2.34 (3H, t, CH2OH), -2.92 (2H, s, inner pyrroleH). 1H NMR (500.16 MHz, (CD3)2CO, (CD3)2CO = 2.05 ppm)δ(ppm)= 9.61-9.02 (8H, m,β-pyrroleH), 4.70 (6H, t, 3J= 5.5 Hz, CH2), 4.10 (6H, q, 3J= 5.5 Hz, CH2OH).
19F NMR (470.62 MHz, CDCl3, CF3CO2H= -76.50 ppm):δ(ppm) = -137.2 (2F, m, 3,5-PhF), -139.0 (6F, m, 2,6-PhFEG), -152.2 (1F, m, 4-PhF), -157.7 (6F, m, 3,5-PhFEG), -162.1 (2F, m, 2,6-PhF). 19F NMR (470.62 MHz, (CD3)2CO, CF3CO2H= -76.50 ppm)δ(ppm) = -139.4 (2F, m, 2,6-PhF), -141.5 (6F, m, 2,6-PhFEG), -155.0 (1F, m, 4-PhF), -158.3 (6F, m, 3,5-PhFEG), -164.0 (2F, m, 3,5-PhF).
13C NMR (100.53 MHz, CD3OD, CD3OD= 49.0 ppm):δ(ppm)= 146.9, 145.1, 143.9, 142.6, 141.3, 140.6, 139.5, 138.0, 135.9 (PhC), 129.6 (β-pyrroleC), 114.9 (1-PhCEG), 105.8 (meso-PhCEG), 104.5 (meso-PhC), 78.0 (-OCH2), 62.5 (CH2OH). ESI-MS (m/ z)= [M+Na+] calcd for C50H25F17N4O6Na, 1123.14003; found, 1123.13974. UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C): λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 414 (322), 506 (23.9), 535 (4.90), 581 (7.96), 633 (1.48).
Zn3EG; 1H NMR (399.65 MHz, acetone-d6, (CD3)2CO = 2.05 ppm):δ(ppm)= 9.24 (8H, m,β-pyrroleH), 4.62 ppm (4H, t, 3J= 5.1 Hz, OCH2), 4.02 ppm (4H, q, 3J= 4.9 Hz, CH2OH). UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C): λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 423 (483), 508 (2.42), 553 (2.10).
5,10,15,20-テトラキス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル] ポルフィリン (H24EG)
5,10,15,20-テトラキス [4-(3-ヒドロキシエトキシ)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル] ポルフィナート亜鉛(II) (Zn4EG)
H2TFPP総量234 mg (240μmol)、エチレングリコール総量120μL (2.16 mmol)、カリウム-t-ブトキシド総量は242 mg (10.32 mmol)、DMF 60 mLを用いてH21EGと同様の実験を行い、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2〜CH2Cl2 : EtOAc : acetone = 5 : 3 :3)で目的物を分離精製した後、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 : EtOAc : acetone = 5 : 3 :3)で精製を行い、H24EGを収率11.2% (収量26.9 mg, 23.6μmol)、HPLC純度96%で得た。Zn1EGと同様の方法を用い、これらのポルフィリンに亜鉛を導入しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2: EtOAc : acetone = 5 : 3 :3)で精製し、Zn4EGを収率35.0% HPLC純度95%で得た。

H24EG; 1H NMR (500.16 MHz, CDCl3, Si(CH3)4= 0 ppm)δ(ppm)= 8.93 (8H, s,β-pyrroleH), 4.72(8H, t, 4J= 4.5 Hz, CH2), 4.17 (8H, q, 4J= 4.5 Hz, OCH-2), 2.32 (4H, t, CH2OH), -2.92 (2H, s, inner pyrroleH). 19F NMR (470.62 MHz, (CD3)2CO, CF3CO2H= -76.50 ppm)δ(ppm) = -141.5 (8F, m, 2,6-PhFEG), -158.3 (8F, m, 3,5-PhFEG). 13C NMR (100.53 MHz, CD3OD, CD3OD= 49.0 ppm):δ(ppm)= 146.9, 145.1, 143.9, 142.6, 141.3, 140.6, 139.5, 138.0, 135.9 (PhC), 129.6 (β-pyrroleC), 114.9 (1-PhCEG), 105.7 (meso-PhCEG), 78.0 (-OCH2), 62.5 (CH2OH). ESI-MS(m/z)= [M+Na+] calcd for C52H30F16N4O8Na, 1165.17058; found, 1165.18026. UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C): λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 414 (419), 507 (30.4), 535 (6.20), 581 (9.95), 633 (1.67).
Zn4EG; 1H NMR (399.65 MHz, acetone-d6, (CD3)2CO = 2.05 ppm):δ(ppm)= 9.12 (8H, brs,β-pyrroleH), 4.62 ppm (4H, t, 3J= 5.1 Hz, OCH2), 4.00 ppm (4H, q, 3J= 5.0 Hz, CH2OH). UV-vis (c = 5.00μM, DMSO, path length = 1 cm, 25°C):λ/nm(ε×10-3/M-1・cm-1) = 424 (764), 508 (5.19), 553 (34.7).
ZnTFPP-OCH2CCH (Zn1propa)
100 mLフラスコにZnTFPP (96.8 mg, 93.1μmol)、propargylalchol (5.43μL, 93.3μmol)とK2CO3 (106.3 mg, 745μmol)をDMSO 30 mLを50℃で15時間加熱撹拌した。この反応溶液に、冷CH2Cl2 100 mL加え、冷水100 mLで5回分液した。有機層を無水Na2SO4で乾燥後、溶媒留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 : hexane = 20:80 - 50:50)で目的物の分離精製を行い、Zn1propaを収率13%で得た。
1H NMR (500.16 MHz, CDCl3, Si(CH3)4= 0 ppm):δ(ppm)= 9.05-9.04 (2H, m,β-pyrroleH), 9.01-9.00 (6H, m,β-pyrroleH), 5.22 (2H, d, 3J= 2.47 Hz, CH2), 2.81 (1H, t, 3J= 2.47 Hz, CCH). 19F NMR (470.62 MHz, CDCl3, CF3CO2H= -76.50 ppm):δ(ppm)= -136.65 (2F, m, 3,5-PhF), -138.46 (2F, t, 2,6-PhFpropa), -151.81 (1F, m, 4-PhF), -155.63 (2F, m, 3,5-PhFpropa), -161.60 (2F, m, 2,6-PhF).
ZnTFPP-triazole-TEG-FA
50 mLナスフラスコにZn1propa (34.5 mg, 32.2μmol)とテトラエチレングリコールアジドを連結した葉酸誘導体(FA-TEG-N3, 45.8 mg, ca. 1eq.)をDMF 20 mLに溶解させ、減圧脱気しアルゴン置換した。この溶液に臭化銅(11.2 mg, 78.1μmol)とN,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA, 13.5μL, 64.3μmol)を加えアルゴン雰囲気下、室温で48時間撹拌した。この反応溶液に、冷CH2Cl2 100 mL加え、飽和食塩水100 mLで1回、水100 mLで3回分液した。有機層を無水Na2SO4で乾燥後、溶媒留去した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 : MeOH = 1:0 - 4:1)で目的物の分離を行い、葉酸連結ポルフィリン(ZnTFPP-triazole-TEG-FA)を収率2.4%, HPLC純度97%で得た。
1H NMR (600.17MHz, acetone-d6, (CD3)2CO = 2.05 ppm):δ(ppm)=9.26-9.19 (9H, m,β-pyrroleH + pteridineC7H), 7.78-7.64 (5H, m, Ph-CONH + CH2CONHCH2 + 2-PhH ), 6.99-6.36 (3H, m, pteridineNH + pteridineC6-CH2NH-Ph +3-PhH), 5.72 (2H, m, propargylCH2), 4.71-3.99 (4H, m, pteridineC6-CH2NH-Ph + NHCH), 3.65-3.32 (16H, m, NHCH2CH2O, CH2CH2O, OCH2, CH2CH2N3), 2.37-0.83 (4H, m, CHCH2CH2, CH2CONH). 19F NMR (470.62 MHz, acetone-d6, CF3CO2H= -76.50 ppm):δ(ppm)= -140.63 (2F, m, 3,5-PhF), -142.38 (2F, m, 2,6-PhFtriazole-TEG-FA), -157.16 (1F, m, 4-PhF), -158.68 (2F, m, 3,5-PhFtriazole-TEG-FA), -165.89 (2F, m, 2,6-PhF).
65Znポルフィリンの合成と体内動態評価
(1) PETサンプルの調製
使用サンプル濃度
TFPP(SGlc)trans-2: 2 mg/mL (1.5 mM)
Glu連結ポルフィリン TFPP(SGlc)trans-2を1.5 mMとなるようメタノール中に溶解し、溶解サンプル160μLに65Znを10 MBq 加えた。10分間のドライヤーによる加熱で錯体反応を起こし、その後エバポレータにより溶媒を除去した。得られた回収物に、PET造影剤の溶媒(EtOH:PEG 400:water = 2:3:5 (v:v:v))を2.4 mLを加えて1.0μMの65Zn-TFPP(SGlc)trans-2を得た。
(2) 担癌マウスによる体内動態評価
担癌マウスは、BALB系ヌードマウスにRGK細胞を1×106cells (100μL)皮下移植して、1週間以上飼育することにより作成した。担癌マウスに対して上記要領で作成したPETサンプル血中投与後、1、3、24時間後にマウスを麻酔下で解剖し、臓器を摘出、摘出臓器のγカウンターによる放射線量の測定を行った。
摘出臓器:腫瘍、脳、心、肺、肝、腎、脾臓、血液
65Zn濃度:1×105 cpm/100μL
(3) 実験結果
65Zn標識TFPP(SGlc)trans-2をマウスに尾静脈より血中投与した結果、TFPP(SGlc)trans-2は高いがん集積性を示した(図4:図中、左から1時間後、3時間後、24時間後のがん集積性を示す。)。TFPP(SGlc)trans-2は全臓器で高い値を示し、血液含有量が高い肝臓・腎臓・脾臓ではその傾向が顕著であった。血中の濃度をみるとTFPP(SGlc)trans-2は一定の値であり、経時的な変化は認められなかった(図5)。ここでマウスの体重を約20g、循環血液量1.7mLとして今回摘出した全臓器のTotal ID%を算出すると、24時間後にTFPP(SGlc)trans-2はTotal ID%≒73%(Blood ID%≒41.4)と投与したサンプルのほとんどが体内に残留していた(図6)。

Claims (11)

  1. 次式(I):
    (式中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アゾメチンイリド、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、又は任意に置換されてもよいC2-10アルキニルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
    R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニル、任意に置換されてもよいC6-14アリール、任意に置換されてもよいC7-20アリールアルキル、又は任意に置換されてもよい5〜14員ヘテロアリールを表し、ここで、置換基は、C1-6アルキル、C6-14アリール、C7-20アリールアルキル、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
    (式中、nは1〜200の整数を表す。)
    で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
    各置換基は、アミノ酸、葉酸、抗体、次式:
    (式中、nは1〜200の整数を表す。)
    で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよく、
    Mは、 [ 62 Zn]であり、
    は単結合又は二重結合を表す。)
    で示されるポルフィリン化合物を含む、腫瘍のPET診断用トレーサー。
  2. R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、又は任意に置換されてもよいC1-10アルキルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載のトレーサー。
  3. R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は任意に置換されてもよいC6-14アリールを表し、ここで、置換基は、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
    (式中、nは1〜200の整数を表す。)
    で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
    各置換基は、葉酸、次式:
    (式中、nは1〜200の整数を表す。)
    で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよい、請求項1または2に記載のトレーサー。
  4. R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、水素原子を表し、
    R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、任意に置換されてもよいC6-14アリールを表し、ここで、置換基は、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
    (式中、nは1〜200の整数を表す。)
    で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトレーサー。
  5. アミド結合を有する基が、-CONHCH2CH2NHCOCH2CH2COOR40(R40は次式:
    (式中、nは1〜200の整数を表す。)
    で示される基を表す。)で示される基である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトレーサー。
  6. ハロゲン原子がFである請求項1〜のいずれか1項に記載のトレーサー。
  7. ポルフィリン化合物が、次式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)のいずれかで示されるものである請求項1に記載のトレーサー。
    (式中、PEG1000は分子量1000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
    (式中、PEG5000は分子量5000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
    (式中、Znは[62Zn]を表す。)
    (式中、PEG3000は分子量3000のポリエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
    (式中、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ独立して、フッ素原子又はエチレングリコールを表し、Znは[62Zn]を表す。)
    (式中、Znは[62Zn]を表す。)
    (式中、Znは[62Zn]を表す。)
  8. 次式(IX)で示されるポルフィリン化合物を含む、腫瘍のPET診断用トレーサー。
    (式中、Rbは-CH(OH)CH3又は-CH=CH2を表し、Znは[62Zn]を表し、nは1〜6の整数を表す。)
  9. 次式(IV)で示されるポルフィリン化合物。
    (式中、Znは[62Zn]を表す。)
  10. 次式(VII)で示されるポルフィリン化合物。
    (式中、Znは[62Zn]を表す。)
  11. 次式(I'):
    (式中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アゾメチンイリド、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニルを表し、ここで、置換基は、アミド結合を有する基、並びにOR20及びCOOR20(R20は、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルを表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
    R3、R6、R9及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、任意に置換されてもよいC1-10アルキル、任意に置換されてもよいC2-10アルケニル、任意に置換されてもよいC2-10アルキニル、任意に置換されてもよいC6-14アリール、任意に置換されてもよいC7-20アリールアルキル、又は任意に置換されてもよい5〜14員ヘテロアリールを表し、ここで、置換基は、C1-6アルキル、C6-14アリール、C7-20アリールアルキル、OR20及びCOOR20(R20は前記と同様である。)、酸素原子、窒素原子、炭素原子又は硫黄原子が結合してもよい糖、ハロゲン原子、並びに次式:
    (式中、nは1〜200の整数を表す。)
    で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
    各置換基は、アミノ酸、葉酸、抗体、次式:
    (式中、nは1〜200の整数を表す。)
    で示される基、アジ化物又はこれらの組み合わせを含む基でさらに置換されてもよく、
    は単結合又は二重結合を表す。)
    で示されるポルフィリン化合物に、[ 62 Zn]を導入することを特徴とする、次式(I):
    (式中、R1〜R12及び
    は前記と同様であり、Mは、[ 62 Zn]を表す。)
    で示される化合物の製造方法。
JP2013159132A 2013-07-31 2013-07-31 悪性腫瘍のpet診断用トレーサー Active JP6263716B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013159132A JP6263716B2 (ja) 2013-07-31 2013-07-31 悪性腫瘍のpet診断用トレーサー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013159132A JP6263716B2 (ja) 2013-07-31 2013-07-31 悪性腫瘍のpet診断用トレーサー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015030671A JP2015030671A (ja) 2015-02-16
JP6263716B2 true JP6263716B2 (ja) 2018-01-24

Family

ID=52516304

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013159132A Active JP6263716B2 (ja) 2013-07-31 2013-07-31 悪性腫瘍のpet診断用トレーサー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6263716B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11130431A (ja) * 1997-10-30 1999-05-18 Hamamatsu Photonics Kk 無水塩化ガリウム68およびポルフィリン誘導体のガリウム68錯体
US6566517B2 (en) * 2001-06-06 2003-05-20 Brookhaven Science Associates, Llc Metalloporphyrins and their uses as imageable tumor-targeting agents for radiation therapy
AU2007287205B8 (en) * 2006-08-23 2013-08-15 Yeda Research And Development Co. Ltd Conjugates of RGD peptides and porphyrin or (bacterio)chlorophyll photosynthesizers and their uses

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015030671A (ja) 2015-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6030724B2 (ja) Psma結合剤及びその使用
AU2013258027B2 (en) 18F-labelled follate/antifolate analogues
Srivatsan et al. In vitro cellular uptake and dimerization of signal transducer and activator of transcription-3 (STAT3) identify the photosensitizing and imaging-potential of isomeric photosensitizers derived from chlorophyll-a and bacteriochlorophyll-a
Entract et al. Development of PDT/PET theranostics: Synthesis and biological evaluation of an 18F-radiolabeled water-soluble porphyrin
JPH0797340A (ja) Mri造影剤組成物
JP2019534846A (ja) キレート化されたpsma阻害剤
Guleria et al. Comparative evaluation of using NOTA and DOTA derivatives as bifunctional chelating agents in the preparation of 68Ga-labeled porphyrin: impact on pharmacokinetics and tumor uptake in a mouse model
Ruivo et al. Improved stability of a novel fluorine-18 labeled TCO analogue for pretargeted PET imaging
Joyard et al. Synthesis of new 18F-radiolabeled silicon-based nitroimidazole compounds
Song et al. Synthesis and preliminary evaluation of a 99mTc‐labeled folate‐PAMAM dendrimer for FR imaging
Guleria et al. Effect of structural variation on tumor targeting efficacy of cationically charged porphyrin derivatives: Comparative in-vitro and in-vivo evaluation for possible potential in PET and PDT
Er et al. Primary evaluation of a nickel-chlorophyll derivative as a multimodality agent for tumor imaging and photodynamic therapy
EP3004075A1 (fr) Chélates du plomb (ii) et du bismuth (iii) à base de tétraazacycloalcanes trans-di-n- picolinates
JP6263716B2 (ja) 悪性腫瘍のpet診断用トレーサー
Aguilar-Ortiz et al. Synthesis, characterization and evaluation of a Cu-labeled macrocyclic-porphyrin as a potential chelator for 64 Cu-based radiopharmaceuticals
TW202146420A (zh) 化合物及放射性標誌化合物
Kakkar et al. Comparative evaluation of glutamate-sensitive radiopharmaceuticals: Technetium-99m–glutamic acid and technetium-99m–diethylenetriaminepentaacetic acid–bis (Glutamate) conjugate for tumor imaging
Yadav et al. Retracted: Synthesis, Characterization, and Preclinical Evaluation of 99mTc‐Labeled Macrobicyclic and Tricyclic Chelators as Single Photon Emission Computed Tomography Tracer
Ramzi et al. Synthesis and evaluation of radiolabeled porphyrin derivatives for cancer diagnoses and their nonradioactive counterparts for photodynamic therapy
Wang et al. Synthesis, 99m Tc (CO) 3-labeling and preliminary biodistribution studies of a novel colchicine complex
ES2685698T3 (es) Soluciones acuosas de complejos radiometálicos con ligandos tridentados
US9546193B2 (en) Compositions and methods for 18F-fluorodeoxyglycosylamines
WO2023063154A1 (ja) 放射性pet診断用トレーサー組成物、その中間体、その製造方法
RU2730507C1 (ru) Соединение для диагностики опухолей, экспрессирующих псма, и композиция на его основе
Sinha et al. Synthesis and biological evaluation of 99mTc-DTPA-bis (His) as a potential probe for tumor imaging with SPECT

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160729

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160804

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170808

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171003

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171024

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171109

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6263716

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250