JP6263683B1 - 空調用対流循環促進装置 - Google Patents
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Abstract
Description
資金力が豊富な企業の進出による大規模な農業用栽培ハウスでは、頑健な鉄骨造りでガラスを多用するなど、透過性や断熱効果にも重点を置いた本格的な建築物が多く見受けられる。
しかしながら、従来の小規模農家のビニールハウスでは、小径パイプを使用した骨組みに農業用ビニールフィルムを覆っただけの簡易ハウスが多く、これらは断熱や保温性に乏しく、冬期間におけるビニールハウス内の温度維持管理費は昼夜を問わず膨大なものであり、中小の野菜農家や花卉栽培農家の経営を圧迫していた。
また、広いハウス内では常に温度差層域が形成されるために上下の空気移動はほとんど起きることがなく、このハウス天井部に一度滞留した高温空気はその状態を維持したまま、夜間の外気温との激しい温度差で急速に熱交換されて無駄に放熱されていた。
つまり、気密性の高い一般の居室と違って、断熱性や保温性に乏しく面積の広いビニールハウスでは温風暖房による局所的な輻射熱方式では効果が薄く、本来の使用目的には適さないものであった。
基本的には、作物の根元の土壌自体を暖め、さらに連作に向けての土壌殺菌にも応用できるヒートパイプ方式が優れているが、高額な初期設備投資が普及へのネックとなっている。
また、作物の品質向上や生育調整のための農業用ハウスの空調装置としては、特開平05−308859号公報が知られている。(特許文献1)
これらの中小規模農家においては、従来からの灯油や重油を使用した温風暖房機等による現状システムの中での、冬期間の暖房費を削減する方法が求められていた。
本発明は、冬期間における太陽熱エネルギーや暖房機による温風がハウス天井部に集約され、常時滞留している高温空気を利用することで上記課題の解決を図ろうとするものである。
前記混合管の後端部を、より大きな径の第二混合管先端部に前記高温空気吸引口と相似形状に形設された二次吸引口から適宜な位置まで挿入し、該挿入空隙部に軸方向に沿って斜設した複数枚の旋回板で前記混合管と前記第二混合管とを接続させ、該第二混合管に接続された吐出管の二股分岐部から立ち下げたそれぞれの下端を建物前方に屈曲して吹出口を設ける。
前記吐出管の略T字状継手の末端解放口と、その延長線上の建物壁面に設けた開閉式ガラリとを接続する。
複数回にわたり段階的に増大する風量に比例して風速は低減するので、最終的にハウス両サイドの吹出口からは緩やかな暖気流が吹出し、この連続性によりハウス内全体の空気に上下対流と循環が生じ、ハウス内の空気を大きく流動させて温度差の平均化を図る。
また、温度差の平均化でハウス内の温度と外気温との差も縮小するので放熱ロスも少なくなり、特に夜間における天井部の高温空気と外気温との激しい差による放熱ロスは、従来に比較して大幅に減少し、温度の平均化により結露対策にも好影響を与える。
本発明は、この夏場の高温空気排熱用の換気用空調装置としても使え、動力を必要とするのは送風機一台のみなのでランニングコストも軽微で済み、単純構造なので故障も少なく維持管理も容易である。
本発明は、エゼクターとベルヌーイの定理等の自然の法則を活用しており、周囲の高温空気を複数回吸引して各混合管内での旋回流を以て混合撹拌するが、風量が増大するたびに風速は低減され、最終的に吹出口からは生産物に害を及ぼさない緩やかな暖気流となる。
前記導入管下部の二股分岐部の両下端にはハウス後方に屈曲した吸込口を設け、前記吐出管下部の二股分岐部の両下端にはハウス前方に屈曲した吹出口が設けられている。
前記導入管1の後端部を、より大きな径の混合管2先端部に設けられた、切り込みにより拡径された複数枚の羽根6を有する高温空気吸引口5から適宜な位置まで挿入し、該挿入空隙部に軸方向に沿って斜設した複数枚の旋回板7で、前記導入管1と前記混合管2とを接続する。
前記混合管2の後端部を、より大きな径の第二混合管2aの先端部に、前記高温空気吸引口5と相似形状に形設された二次吸引口5aから適宜な位置まで挿入し、該挿入空隙部に軸方向に沿って斜設した複数枚の旋回板7aで、前記混合管2と前記第二混合管2aとを接続する。
前記第二混合管2aに接続された吐出管3後端部の、二股分岐部10aから立ち下げたそれぞれの下端は、ハウスA前方に屈曲されて先端には吹出口9が設けられている。
さらに、温風暖房器からの温風(高温空気)や膨大な太陽熱エネルギーによる高温空気も、ハウスA下部からの冷気の侵入等で直ぐに上昇して天井部に滞留するので、広いハウス内では常に温度差層域が形成されることになる。
導入管1及び吐出管3の略T字形状継手11、11aは内部構造を含む部品として一体製作し、導入管1及び吐出管3における、管径違いの挿入部分の構成・接続構造も一体化した部品として製造することで在庫化を可能にした。
また、それらの部品や接続する嵌合用ソケット継手を採用したことにより、現場での組み立て作業は直管の長さ調整のみとなり作業時間の短縮となった。
図1は、本発明の一実施例のビニールハウスにおける機構説明図である。
ビニールハウスA長手方向天井部の導入管1前端部の二股分岐部10から立ち下げられ、ハウスA後方に屈曲された両下端の吸入口8からは、導入管1の送風機4を介してハウスA下部の密度の大きい低温空気を機械的に吸引する。
つぎに、より大きな径の混合管2内に挿入された導入管1からの吐出圧により、高温空気吸引口5からエゼクターで周囲の密度の小さい高温空気を吸引する際に、挿入空隙部に軸方向に沿って斜設した複数枚の旋回板7により混合管2内に旋回流を形成し、径(風量)が増大した分だけ風速は低減する。
つぎに、より大きな径の第二混合管2a内に挿入された混合管2からの吐出圧により、二次吸引口5aからエゼクターで周囲の高温空気を吸引する際に、挿入空隙部に軸方向に沿って斜設した複数枚の旋回板7aにより混合管2a内に旋回流を形成して上記と同様の作用・効果をもたらし、同じく風量が増大した分だけ風速はさらに低減する。
第二混合管2aに接続された吐出管3後端部の二股分岐部10aから立ち下げられ、ハウスA前方に屈曲された両下端の吹出口9からは緩やかな温風が吹きだされることになる。
上記の連続性により、ハウスA全体の空気に上下対流と循環が生じ、大きく流動することでハウスA内の温度差が平均化され、放熱ロスが減少して冬期間の暖房費の削減につながる。
なお、本装置は使用するビニールハウスや建築物の大きさや形状によって、混合管を適宜に増減させたり、または奥行の長い建物では天井部に本装置を直列に二台配置したり、横幅が広い建物には並列して用いたり、自由な組み合わせにも対応できる。
混合管2の高温空気吸引口5及び第二混合管2aの二次吸引口5aは、切り込みによって拡径された複数枚の羽根6、6aを有し、周囲の高温空気を吸引しやすく形設されている。
また、適宜な深さまで挿入された導入管1及び混合管2は、それぞれの空隙部に軸方向に沿って複数枚の旋回板7、7aを斜設して次の管と固定されている。
尚、変形態様として、複数枚の羽根6、6aの形状に旋回板7、7aと同方向の捻りを加えて直進性を高めても良い。
混合管2の高温空気吸引口5及び第二混合管2aの二次吸引口5aの形状は、切り込みのない略ラッパ状に形設されており、適宜な深さまで挿入された導入管1及び混合管2はそれぞれの空隙部に、軸方向に沿って設けられた縦長の複数枚の平板7、7aで次の管と固定されているが、これらは製作時の加工性とコストの削減を優先したものである。
図は冬期間の使用状態を表わしており、略T字状継手11の可動式切換弁12のハンドル操作で末端解放口を閉じ、下端口を開けることで二股分岐部10から立ち下げられた両下端の吸入口8から、ハウスA内下部の低温空気を混合管2内に供給することができる。
夏期間には逆のハンドル操作で下端口を閉じ、ハウスA内への循環回路を遮断することで、末端解放口から天井部の高温空気を取り込み吐出圧によるエゼクターで、高温空気吸引口5と二次吸引口5aから周囲の高温空気を巻き込み混合管2、及び第二混合管2aに送り込むことができる。
図は夏季間の使用状態を表わしており、略T字状継手11aの可動式切換弁12aのハンドル操作で下端口を閉じてハウスA内への循環回路を遮断し、略T字形状継手11aの末端解放口とハウス外壁の開閉式ガラリ13とを開放することで、天井部分の高温空気のみを複数回にわたり吸引して屋外に放出する。 なお、その際にはハウスA内への給気を考慮する。
既存の暖房設備を使用することで初期投資額を抑え、ハウス天井部分に常に滞留して無駄に放熱されていた高温空気と、ハウス下部の低温空気とを送風機一台で吸引・混合撹拌し、ハウス内の空気全体を大きく上下対流と循環をさせて燃料費を大幅に削減することで、通年栽培を促すとともに、夏場のハウス内の高温対策にも利用できる省エネ型の発明である。
2 混合管
2a 第二混合管
3 吐出管
4 送風機
5 高温空気吸引口
5a 二次吸引口
6、6a 羽根
7、7a 旋回板
8 吸込口
9 吹出口
10、10a 二股分岐部
11、11a 略T字形状継手
12,12a 切換弁
13 開閉式ガラリ
A ビニールハウス
Claims (3)
- 適宜な位置に送風機を備えた導入管と、接続順に径がより大きくなる複数個の混合管と、吐出管とから構成され、建物長手方向手前側の天井部に装置された、前記導入管前端部の二股分岐部から立ち下げたそれぞれの下端を建物後方に屈曲して吸込口を設け、前記導入管の後端部を、より大きな径の前記混合管先端部に形設された複数枚の羽根を有する高温空気吸引口から適宜な深さまで挿入し、該挿入空隙部に軸方向に沿って斜設した複数枚の旋回板で前記導入管と前記混合管とを接続するとともに、前記混合管の後端部を、より大きな径の第二混合管先端部に前記高温空気吸引口と相似形状に形設された二次吸引口から適宜な深さまで挿入し、該挿入空隙部に軸方向に沿って斜設した複数枚の旋回板で前記混合管と前記第二混合管とを接続し、前記第二混合管に接続された前記吐出管の前記二股分岐部から立ち下げたそれぞれの下端を、建物前方に屈曲して吹出口を設けたことを特徴とする空調用対流循環促進装置。
- 送風機を備えた導入管と、接続順に径がより大きくなる複数個の混合管と、吐出管とから構成され、前記導入管前端部の二股分岐部から立ち下げたそれぞれの下端を建物後方に屈曲して吸込口を設け、前記導入管の後端部を、より大きな径の前記混合管先端部に略ラッパ状に形設された高温空気吸引口から適宜な深さまで挿入し、該挿入空隙部に軸方向に沿って設けられた縦長の複数枚の平板で、前記導入管と前記混合管とを接続するとともに、前記混合管の後端部を、より大きな径の第二混合管先端部に前記高温空気吸引口と相似形状に形設された二次吸引口から適宜な深さまで挿入し、該挿入空隙部に軸方向に沿って設けられた縦長の複数枚の平板で、前記混合管と前記第二混合管とを接続し、前記第二混合管に接続された前記吐出管の二股分岐部から立ち下げたそれぞれの下端を、建物前方に屈曲して吹出口を設けたことを特徴とする空調用対流循環促進装置。
- 前記導入管及び前記吐出管の前記二股分岐部を略T字状継手に替え、前記略T字状継手のそれぞれの下端に前記二股分岐部を形設せしめ、前記略T字状継手のそれぞれの末端解放口と下端口とを開閉する可動式の切替弁を設けるとともに、前記吐出管の前記略T字状継手の前記末端解放口と、その延長線上の建物壁面に設けた開閉式のガラリとを接続したことを特徴とする、請求項1乃至請求項2に記載の空調用対流循環促進装置。
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