JP6259825B2 - 補償光学システムの調整方法、補償光学システム、及び補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体 - Google Patents

補償光学システムの調整方法、補償光学システム、及び補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体 Download PDF

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Description

本発明の一側面は、補償光学システムの調整方法、補償光学システム、及び補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体に関するものである。
非特許文献1及び2には、位相計測法により補償光学システムを調整する方法が記載されている。位相計測法は、既知の位相分布を空間光変調器に表示させた上で、この位相分布を波面センサによって計測し、その計測結果と既知の位相分布とを対照することにより、変調面上の座標と検出面上の座標とを相互に対応付ける方法である。
Abdul Awwal, et al., "Characterization and Operation of a Liquid Crystal Adaptive OpticsPhoropter", Proceedings of SPIE, Volume 5169, pp104-122 (2003) Jason Porter, Hope Queener, Julianna Lin, Karen Thorn, and AbdulAwwal "Adaptive Optics for Vision Science", Wiley Interscience, Charpter 18, pp496-499 (2006)
補償光学技術は、波面センサを用いて光学的な収差(波面歪み)を計測し、その結果を基に波面変調素子(空間光変調器)を制御することで動的に収差を除去する技術である。この補償光学技術によって、結像特性や集光度、画像のSN比、計測精度を向上させることができる。従来、補償光学技術は、主として天体望遠鏡や大型レーザ装置に使われていた。近年になって、補償光学技術は、眼底カメラ、走査型レーザ検眼鏡、光干渉断層装置、レーザ顕微鏡などにも応用されつつある。このような補償光学技術を用いたイメージングは、従来にない高い分解能での観察を可能にする。例えば、眼の奥(眼底)を観察する眼底イメージング装置に補償光学技術を適用することによって、眼球による収差が除去され、例えば視細胞、神経繊維、毛細血管といった眼底の微細構造を鮮明に描出することができる。眼疾患だけでなく、循環器系疾病の早期診断にも応用することができる。
上記のような補償光学技術を実現するための補償光学システムは、空間光変調器、波面センサ、及びこれらを制御する制御装置によって主に構成される。そして、補償光学システムを正しく動作させて波面歪みを完全に除去するには、補償光学システムの調整(キャリブレーション)が必要となる。補償光学システムのキャリブレーションとは、主に、空間光変調器への制御信号と、波面センサによる計測信号との対応関係を調整することである。
この対応関係には、大きく分けて次の2種類がある。
(1)空間光変調器への制御信号の大きさと、波面センサによる計測信号の大きさとの対応関係
(2)空間光変調器における制御点の位置と、波面センサにおける計測点の位置との対応関係
上記(1)の対応関係は、空間光変調器の位相変調特性から容易に取得できる。なお、空間光変調器の位相変調特性は、空間光変調器を使用している環境(例えば温度や経時変化)にも依存する場合があるが、多く場合は無視できるレベルである。また、上記(2)の対応関係は、空間光変調器と波面センサとの空間的な位置関係(主に光軸と交差する面内での位置関係)に依存する。
補償光学システムでは、光の波長以下(例えばサブマイクロレベル)の精度で波面を制御する。故に、運搬時や設置場所での振動、或いは、波面センサや空間光変調器を保持する部材の熱による変形などに起因して、波面センサにおいて計測される位相分布と、空間光変調器に表示される補償用の位相パターンとの間で位置ずれを生じることがある。したがって、上記(2)に関する調整作業は、補償光学システムを含む装置の組み立てや保守のときに限らず、装置を使用する直前や、複数回の撮像の合間にも行うことが望ましい。そのため、上述した調整作業を容易かつ高精度に実行する手段が求められる。
しかしながら、非特許文献1に記載された位相計測法では、波面センサの計測結果から位相分布を計算する必要があるので、調整の精度が、空間光変調器の位相変調精度、波面センサの位相計測精度、及びキャリブレーション用の光像の精度に依存し、高い精度を安定して実現することが難しい。
本発明の一側面は、これらの問題点に鑑みてなされたものであり、波面センサにおいて計測される位相パターンと、空間光変調器に表示される補償用の位相パターンとの対応関係を短時間でかつ高精度に調整することができる補償光学システムの調整方法、補償光学システム、及び補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明の一側面に係る補償光学システムの調整方法は、変調面に入射した光像の位相を空間的に変調する空間光変調器と、複数のレンズが二次元状に配列されたレンズアレイ、並びにレンズアレイによって形成された集光スポットを含む光強度分布を検出する光検出素子を有しており空間光変調器から変調後の光像を受ける波面センサとを備え、光強度分布から得られる光像の波面形状に基づいて空間光変調器に表示される位相パターンを制御することにより波面歪みを補償する補償光学システムにおいて、変調面と波面センサとの対応関係を調整する方法であって、複数のレンズのうちの一若しくは互いに隣接する二以上のレンズに対応させようとする変調面上の第1の領域に、少なくとも一方向に線形性を有する第1の位相パターン及び空間的に非線形な第2の位相パターンのうち一方を表示させ、第1の領域を囲む第2の領域に第1及び第2の位相パターンのうち他方を表示させた状態で、光検出素子により光強度分布を取得する第1の光強度分布取得ステップと、第1の光強度分布取得ステップにおいて得られた光強度分布に含まれる集光スポットの明瞭さに基づいて、変調面と波面センサとの対応関係を調整する調整ステップとを備える。
また、補償光学システムの調整方法は、空間的に非線形な位相パターンを第1及び第2の領域に表示させた状態で、光検出素子により光強度分布を取得する第2の光強度分布取得ステップと、第1の光強度分布取得ステップにおいて得られた光強度分布に含まれる集光スポットの明瞭さに関する数値と、第2の光強度分布取得ステップにおいて得られた光強度分布に含まれる集光スポットの明瞭さに関する数値との差分を算出する差分算出ステップとを更に備え、調整ステップの際に、第1の光強度分布取得ステップにおいて得られた光強度分布に含まれる集光スポットの明瞭さに代えて、差分算出ステップにおいて得られた差分に基づいて変調面と波面センサとの対応関係を調整してもよい。
また、補償光学システムの調整方法において、調整ステップにおける変調面と波面センサとの対応関係の調整とは、波面歪み補償用の位相パターンを表示する際に変調面上に想定される位置座標と波面センサとの相対位置関係の調整であってもよい。或いは、補償光学システムの調整方法において、調整ステップにおける変調面と波面センサとの対応関係の調整とは、波面センサの取り付け位置と、空間光変調器の取り付け位置との相対関係の調整であってもよい。
また、補償光学システムの調整方法は、複数のレンズの配列方向における第1の領域の幅が、複数のレンズの配列ピッチの(n/M)倍(但し、nは自然数であり、Mは変調面とレンズアレイとの間の光学系の結像倍率)であってもよい。
また、補償光学システムの調整方法は、空間的に非線形な位相パターン(すなわち、空間的に非線形な位相プロファイルを有する位相パターン)が、位相の大きさの分布が不規則であるランダム分布、及び集光スポットを拡径するデフォーカス分布のうち少なくとも一つを含んでもよい。
また、補償光学システムの調整方法は、少なくとも一方向に線形性を有する位相パターン(すなわち、少なくとも一方向の位相プロファイルが線形性を有する位相パターン)が、略均一な位相分布、少なくとも一方向に傾斜した位相分布、第1の方向においてシリンドリカルレンズ効果を有し、該第1の方向と交差(例えば、直交)する第2の方向において略均一である位相分布、及び、第1の方向において回折格子を構成し、該第1の方向と交差(例えば、直交)する第2の方向において略均一である位相分布のうち少なくとも一つを含んでもよい。
また、本発明の一側面に係る補償光学システムは、変調面に入射した光像の位相を空間的に変調する空間光変調器と、複数のレンズが二次元状に配列されたレンズアレイ、並びにレンズアレイによって形成された集光スポットを含む光強度分布を検出する光検出素子を有しており空間光変調器から変調後の光像を受ける波面センサと、光強度分布から得られる光像の波面形状に基づいて空間光変調器に表示される位相パターンを制御することにより波面歪みを補償する制御部とを備え、制御部が、複数のレンズのうちの一若しくは互いに隣接する二以上のレンズに対応させようとする変調面上の第1の領域に、少なくとも一方向に線形性を有する第1の位相パターン及び空間的に非線形な第2の位相パターンのうち一方を表示させ、第1の領域を囲む第2の領域に第1及び第2の位相パターンのうち他方を表示させた状態で、光検出素子により光強度分布を取得し、該光強度分布に含まれる集光スポットの明瞭さに基づいて変調面と波面センサとの対応関係を調整する。
また、補償光学システム用プログラムは、変調面に入射した光像の位相を空間的に変調する空間光変調器と、複数のレンズが二次元状に配列されたレンズアレイ、並びにレンズアレイによって形成された集光スポットを含む光強度分布を検出する光検出素子を有しており空間光変調器から変調後の光像を受ける波面センサと、光強度分布から得られる光像の波面形状に基づいて空間光変調器に表示される位相パターンを制御することにより波面歪みを補償する制御部とを備える補償光学システムにおいて、制御部の動作を制御するためのプログラムであって、複数のレンズのうちの一若しくは互いに隣接する二以上のレンズに対応させようとする変調面上の第1の領域に、少なくとも一方向に線形性を有する第1の位相パターン及び空間的に非線形な第2の位相パターンのうち一方を表示させ、第1の領域を囲む第2の領域に第1及び第2の位相パターンのうち他方を表示させた状態で、光検出素子により光強度分布を取得する第1の光強度分布取得ステップと、第1の光強度分布取得ステップにおいて得られた光強度分布に含まれる集光スポットの明瞭さに基づいて、変調面と波面センサとの対応関係を調整する調整ステップとを制御部に実行させる。
また、本発明の一側面に係る補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体は、変調面に入射した光像の位相を空間的に変調する空間光変調器と、複数のレンズが二次元状に配列されたレンズアレイ、並びにレンズアレイによって形成された集光スポットを含む光強度分布を検出する光検出素子を有しており空間光変調器から変調後の光像を受ける波面センサと、光強度分布から得られる光像の波面形状に基づいて空間光変調器に表示される位相パターンを制御することにより波面歪みを補償する制御部とを備える補償光学システムにおいて、制御部の動作を制御するための補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体であって、補償光学システム用プログラムは、複数のレンズのうちの一若しくは互いに隣接する二以上のレンズに対応させようとする変調面上の第1の領域に、少なくとも一方向に線形性を有する第1の位相パターン及び空間的に非線形な第2の位相パターンのうち一方を表示させ、第1の領域を囲む第2の領域に第1及び第2の位相パターンのうち他方を表示させた状態で、光検出素子により光強度分布を取得する第1の光強度分布取得ステップと、第1の光強度分布取得ステップにおいて得られた光強度分布に含まれる集光スポットの明瞭さに基づいて、変調面と波面センサとの対応関係を調整する調整ステップと、を制御部に実行させる。
本発明の一側面に係る補償光学システムの調整方法、補償光学システム、及び補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体によれば、波面センサにおいて計測される位相パターンと、空間光変調器に表示される補償用の位相パターンとの対応関係を短時間でかつ高精度に調整することができる。
一実施形態に係る補償光学システムの構成を概略的に示す図である。 一実施形態の波面センサの構成を概略的に示す断面図であって、光像の光軸に沿った断面を示している。 波面センサが備えるレンズアレイを光像の光軸方向から見た図である。 波面センサが備えるイメージセンサを光像の光軸方向から見た図である。 一実施形態の空間光変調器の一例として、LCOS型の空間光変調器を概略的に示す断面図であって、光像の光軸に沿った断面を示している。 空間光変調器の変調面の正面図である。 一実施形態における調整方法の原理を説明するための概念図である。 変調面に表示される特殊な位相パターンを概念的に示す図である。 波面センサのイメージセンサによって検出される光強度分布データ(シャックハルトマングラム)を概念的に示す図である。 図7の波面センサ付近を拡大して示す図である。 光軸方向から見た波面部分とレンズとの位置関係を簡略化して示す平面図である。 空間的に非線形な位相パターンの例として、位相の大きさの分布が不規則であるランダム分布を示す図である。 空間的に非線形な位相パターンの例として、集光スポットを拡径するデフォーカス分布を示す図である。 空間的に非線形な位相パターンの例として、光像に大きな球面収差を生じさせる分布を示す図である。 空間的に非線形な位相パターンの例として、光像に大きな高次収差を生じさせる分布を示す図である。 複数の領域毎に共通の位相分布(例えばデフォーカス分布)が配置された位相パターンを例示している。 複数の領域毎に異なる位相分布(例えば高次収差を含む位相分布)が配置された位相パターンを例示している。 少なくとも一方向に線形性を有する位相パターンの例として、変調面の全面に亘って位相値が略均一な位相分布を示す図である。 制御部の内部構成の一例を示すブロック図である。 補償光学システムの動作および対応関係調整方法を示すフローチャートである。 イメージセンサ上の或る一つのレンズに対向する矩形の領域と、該レンズの周囲に隣接する4つのレンズに対向する矩形の領域とを表す図である。 図21に示された各領域の拡大図である。 集光スポットの特徴量を算出する方法を示すフローチャートである。 一実施例として(a)キャリブレーションのための特殊な位相パターン、(b)第1の領域と対応するレンズとが位置ずれを生じている場合の光強度分布データ、及び(c)第1の領域と対応するレンズとのキャリブレーション後における光強度分布データを示す図である。 補償光学システムの調整(キャリブレーション)の精度が高いことによる利点について説明する図である。 第1変形例に係る補償光学システムの調整方法(制御部の動作)を示すフローチャートである。 第1の領域の様々な大きさの例を示す図である。 第1の方向(例えば行方向)において位相値が傾斜しており、第1の方向と交差(例えば、直交)する第2の方向(例えば列方向)において位相値が略均一である位相分布を示す図である。 第1の方向(例えば行方向)及び第2の方向(例えば列方向)の双方において位相値が傾斜している位相分布を示す図である。 少なくとも一方向に線形性を有する位相パターンの例として、第1の方向における位相分布がシリンドリカルレンズ効果を有し、第2の方向において位相値が略均一である位相分布を示す図である。 少なくとも一方向に線形性を有する位相パターンの例として、第1の方向における位相分布が回折格子を構成し、第2の方向において位相値が略均一である位相分布を示す図である。 重ね合わせによって得られる合成パターンの例を示す図である。 レンズアレイの変形例を示す図である。 図21に示された各領域および特徴量計算領域の変形例を示す図である。 図7の波面センサ付近を拡大して示す図である。 第1の領域の配置例を示す図である。 第1の領域の大きさを可変とする場合の一例を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の一側面に係る補償光学システムの調整方法、補償光学システム、補償光学システム用プログラム、及び補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明において、「位相分布」とは、二次元に分布する位相値を指し、「位相パターン」とは、位相分布(二次元の位相値)を、ある基準を基にコード化したものを指し、「位相プロファイル」とは、位相分布における或る方向(線)に沿った位相値の分布を指すものとする。
(実施の形態)
図1は、本実施形態に係る補償光学システム10の構成を概略的に示す図である。補償光学システム10は、例えば眼科検査装置、レーザ加工装置、顕微鏡装置、または補償光学装置などに組み込まれる。この補償光学システム10は、空間光変調器(Spatial Light Modulator;SLM)11、波面センサ12、制御部13、ビームスプリッタ14、リレーレンズ15及び16、並びに制御回路部17を備えている。
空間光変調器11は、位相パターンを表示する変調面11aに光像Laを受け、光像Laの波面形状を変調して出力する。空間光変調器11に入射する光像Laは、例えばレーザ光源やスーパールミネッセントダイオード(SLD)から発する光、或いは、光が照射された観察物から発生した反射光、散乱光、蛍光等である。波面センサ12は、空間光変調器11から到達した光像Laの波面形状(典型的には光学系の収差によって現れ、波面の歪み、すなわち基準波面からの波面のずれを表す)に関する情報を含むデータS1を制御部13に提供する。制御部13は、波面センサ12から得られたデータS1に基づいて、空間光変調器11に適切な位相パターンを表示させるための制御信号S2を生成する。一例では、制御部13は、波面センサ12からデータS1を入力する入力部、データS1から収差を算出する収差算出部、空間光変調器11に表示させる位相パターンを算出する位相パターン算出部、及び算出した位相パターンに応じて制御信号S2を生成する信号生成部を含む。制御回路部17は、制御部13から制御信号S2を受けて、この制御信号S2に基づく電圧V1を空間光変調器11の複数の電極に与える。
ビームスプリッタ14は、波面センサ12と空間光変調器11との間に配置され、光像Laを分岐する。ビームスプリッタ14は偏光方向非依存型、偏光方向依存型、或いは、波長依存型(ダイクロイックミラー)のビームスプリッタのいずれでもよい。ビームスプリッタ14によって分岐された一方の光像Laは、例えばCCDや光電子増倍管、アバランシェ・フォトダイオードといった光検出素子18に送られる。光検出素子18は、例えば走査型レーザ検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope;SLO)、光断層撮影装置(Optical Coherence Tomography;OCT)、眼底カメラ、顕微鏡、望遠鏡等に組み込まれたものである。また、ビームスプリッタ14によって分岐された他方の光像Laは、波面
センサ12に入射する。
リレーレンズ15及び16は、波面センサ12と空間光変調器11との間において光軸方向に並んで配置される。これらのリレーレンズ15,16によって、波面センサ12と空間光変調器11とが、互いに光学的な共役関係に保たれる。なお、波面センサ12と空間光変調器11との間には、光学結像レンズ及び/又は偏向ミラーなどが更に配置されてもよい。
図2は、本実施形態の波面センサ12の構成を概略的に示す断面図であって、光像Laの光軸に沿った断面を示している。図3は、波面センサ12が備えるレンズアレイ120を光像Laの光軸方向から見た図である。図4は、波面センサ12が備えるイメージセンサ(光検出素子)122を光像Laの光軸方向から見た図である。
波面センサ12には干渉型と非干渉型とがあるが、本実施形態では、波面センサ12として、レンズアレイ120及びイメージセンサ122を有する非干渉型のシャックハルトマン型波面センサを用いる。このような非干渉型の波面センサを用いると、干渉型の波面センサを用いる場合と比較して、耐震性が優れており、また、波面センサの構成及び計測データの演算処理を簡易にできる利点がある。
図3に示されるように、レンズアレイ120は、N個(Nは4以上の整数)のレンズ124を有する。N個のレンズ124は、例えばNa行Nb列(Na,Nbは2以上の整数)の二次元格子状に配置されている。
また、図2に示されるイメージセンサ122は、レンズアレイ120を構成するN個のレンズ124の後焦点面と重なる位置に受光面122aを有しており、N個のレンズ124によって形成されるN個の集光スポットPを含む光強度分布を検出する。図4に示されるように、イメージセンサ122は、Ma行Mb列(Ma,Mbは2以上の整数)の二次元格子状に配列された複数の画素122bを含んで構成されている。なお、イメージセンサ122の行方向および列方向は、レンズアレイ120の行方向および列方向と一致している。但し、イメージセンサ122の画素122bの配列ピッチは、基準位置からの集光像位置のずれの大きさを高い精度で検出できるように、レンズ124の配列ピッチよりも十分に小さくなっている。
後述する制御部13では、イメージセンサ122によって検出された光強度分布に基づいて、光像Laの波面形状(位相勾配の分布)が計測される。すなわち、レンズ124による集光スポットPの位置と基準位置とのずれの大きさは、レンズ124に入射する光像Laの局所的な波面の傾きに比例する。したがって、基準位置からの集光スポットPの位置ずれの大きさをレンズ124毎に算出し、この集光スポットPの位置ずれに基づいて、光像Laの波面形状を計測することができる。
集光像位置のずれの大きさを計算する為に用いられる基準位置としては、複数のレンズ124それぞれの光軸と、イメージセンサ122の受光面122aとが交わる位置とすることができる。この位置は、平行平面波を各レンズ124に垂直入射させて得られる集光像を用いて、重心計算により容易に求められる。
空間光変調器11は、光源若しくは観察対象物からの光像Laを受け、その光像Laの波面を変調して出力する素子である。具体的には、空間光変調器11は、二次元格子状に配列された複数の画素(制御点)を有しており、制御部13から提供される制御信号S2に応じて各画素の変調量(例えば位相変調量)を変化させる。空間光変調器11には、例えば、LCOS−SLM(Liquid Crystal On Silicon Spatial Light Modulator)、PPM(ProgramablePhase Modulator)、LCD(Liquid Crystal Display)、微小電気機械素子(Micro Electro Mechanical Systems;MEMS)、或いは液晶表示素子と光アドレス式液晶空間光変調器とが結合されて成る電気アドレス式の空間光変調器、といったものがある。なお、図1には反射型の空間光変調器11が示されているが、空間光変調器11は透過型であってもよい。
図5は、本実施形態の空間光変調器11の一例として、LCOS型の空間光変調器を概略的に示す断面図であって、光像Laの光軸に沿った断面を示している。この空間光変調器11は、透明基板111、シリコン基板112、複数の画素電極113、液晶部(変調部)114、透明電極115、配向膜116a及び116b、誘電体ミラー117、並びにスペーサ118を備えている。
透明基板111は、光像Laを透過する材料からなり、シリコン基板112の主面に沿って配置される。複数の画素電極113は、シリコン基板112の主面上において二次元格子状に配列され、空間光変調器11の各画素を構成する。透明電極115は、複数の画素電極113と対向する透明基板111の面上に配置される。液晶部114は、複数の画素電極113と透明電極115との間に配置される。配向膜116aは液晶部114と透明電極115との間に配置され、配向膜116bは液晶部114と複数の画素電極113との間に配置される。誘電体ミラー117は配向膜116bと複数の画素電極113との間に配置される。誘電体ミラー117は、透明基板111から入射して液晶部114を透過した光像Laを反射して、再び透明基板111から出射させる。
また、空間光変調器11は、複数の画素電極113と透明電極115との間に印加される電圧を制御する画素電極回路(アクティブマトリクス駆動回路)119を更に備えている。画素電極回路119から何れかの画素電極113に電圧が印加されると、該画素電極113と透明電極115との間に生じた電界の大きさに応じて、該画素電極113上の液晶部114の屈折率が変化する。したがって、液晶部114の当該部分を透過する光像Laの光路長が変化し、ひいては、光像Laの位相が変化する。そして、複数の画素電極113に様々な大きさの電圧を印加することによって、位相変調量の空間的の分布を電気的に書き込むことができ、必要に応じて様々な波面形状を実現することができる。
図6は、空間光変調器11の変調面11aの正面図である。図6に示されるように、変調面11aは、Pa行Pb列(Pa,Pbは2以上の整数)の二次元格子状に配列された複数の画素11bを含んで構成されている。なお、複数の画素11bそれぞれは、複数の画素電極113それぞれによって構成される。
再び図1を参照する。この補償光学システム10では、まず、図示しない光源若しくは観察対象物からの光像Laが、ほぼ平行な光として空間光変調器11に入射する。そして、空間光変調器11によって変調された光像Laは、リレーレンズ15及び16を経てビームスプリッタ14に入射し、2つの光像に分岐される。分岐後の一方の光像Laは、波面センサ12に入射する。そして、波面センサ12において光像Laの波面形状(位相分布)を含むデータS1が生成され、データS1は制御部13に提供される。制御部13は、波面センサ12からのデータS1に基づいて、必要に応じて光像Laの波面形状(位相分布)を算出し、光像Laの波面歪みを適切に補償するための位相パターンを含む制御信号S2を空間光変調器11へ出力する。その後、空間光変調器11によって補償された歪みのない光像Laは、ビームスプリッタ14により分岐され、図示しない光学系を経て光検出素子18に入射し、撮像される。
ここで、空間光変調器11の変調面11a、および波面センサ12の検出面における座標系を次のように設定する。すなわち、空間光変調器11の変調面11aに平行であり且つ互いに直交する二方向を該変調面11aにおけるx軸方向およびy軸方向とし、波面センサ12の検出面に対して平行であり且つ互いに直交する二方向を該検出面におけるx軸方向およびy軸方向とする。但し、空間光変調器11の変調面11aにおけるx軸と、波面センサ12の検出面におけるx軸とは互いに逆向きであり、空間光変調器11の変調面11aにおけるy軸と、波面センサ12の検出面におけるy軸とは互いに逆向きである。また、空間光変調器11の変調面11a中心を原点とする座標を(Xs,Ys)とし、波面センサ12の検出面中心を原点とする座標を(Xc,Yc)とする。
このとき、空間光変調器11の変調面11a上の位置(Xs,Ys)における波面の位相は、波面センサ12の検出面上の位置(Xc,Yc)における波面の位相に一対一で写像されることとなり、変調面11aと検出面とに回転ズレがない場合、これらの関係は次式(1)で表される。
但し、Mはリレーレンズ15,16の倍率である。また、(Xs,Ys)は、波面センサ12の検出面上の座標原点に投影された、空間光変調器11の変調面11a上の座標であり、変調面11aと検出面との位置ずれ量を表す。なお、数式(1)に含まれる倍率Mは、既知であることが多い。
本実施形態における補償光学システム10の変調面11aと波面センサ12との対応関係の調整(キャリブレーション)とは、上記(Xs,Ys)の値を調べ、この値をゼロに近づけることである。言い換えれば、波面センサ12の取り付け位置と、空間光変調器11の取り付け位置との相対関係を調整することである。或いは、変調面11aと波面センサ12との対応関係の調整(キャリブレーション)とは、空間光変調器11に与える位相パターンと波面センサ12から得られる波面形状との対応付けに際し、上記(Xs,Ys)の値を考慮することである。言い換えれば、波面歪み補償用の位相パターンを表示する際に変調面11a上に想定される位置座標と、波面センサ12との相対位置関係を調整することである。
本実施形態に係る補償光学システムの調整方法では、調整のための特殊な位相パターンを空間光変調器11に表示させ、波面センサ12においてその位相パターンにより生じる特徴を検出することで、波面センサ12において計測される波面形状と空間光変調器11に表示される位相パターンとの位置ずれ量を取得し、その位置ずれ量に基づいて、変調面11aと波面センサ12との対応関係の調整(キャリブレーション)を行う。
以下、変調面11aと波面センサ12との対応関係の調整(キャリブレーション)の方法について詳細に説明する。なお、この調整方法は、図1に示された制御部13の記憶領域13aの内部にプログラムとして記憶され、制御部13がこのプログラムを読み出して実行することにより行われる。
図7は、本実施形態における調整方法の原理を説明するための概念図である。図7には、空間光変調器11の変調面11a及び波面センサ12(レンズアレイ120及びイメージセンサ122)に加えて、リレーレンズ15及び16、変調面11aへ入射される光像の波面W1、変調面11aから出射される光像の波面W2、波面センサ12に入射される光像の波面W3が示されている。空間光変調器11からは、入射波面W1に、空間光変調器11に表示されている位相パターンに応じた波面が加えられた波面W2が出射される。波面センサ12には、リレーレンズ15及び16を含む共役光学系を経た波面W3が入射される。また、図7には、一つのレンズ124に対応する変調面11a上の領域から出射して、該レンズ124に達する光像Laが示されている。
ここで、図8は、変調面11aに表示される特殊な位相パターンを概念的に示す図である。いま、一つのレンズ124に対応する大きさを有する変調面11a上の領域B1(以下、第1の領域と称する)に、少なくとも一方向に線形性を有する第1の位相パターンを表示させる。このような第1の位相パターンは、例えば略均一な位相分布、少なくとも一方向に傾斜した位相分布等を含むことによって実現される。または、このような第1の位相パターンは、或る第1の方向においてシリンドリカルレンズ効果を有し、該第1の方向と交差(例えば、直交)する第2の方向において略均一である位相分布、若しくは第1の方向において回折格子を構成し、該第1の方向と交差(例えば、直交)する第2の方向において略均一である位相分布を含むことによって実現される。なお、略均一である位相分布は、線形関数を有する位相分布であってもよい。
また、これと同時に、変調面11a上の第1の領域B1を囲む領域B2(以下、第2の領域と称する)に、空間的に非線形な第2の位相パターン(例えば、位相の大きさの分布が不規則であるランダム分布や、集光スポットを拡径するデフォーカス分布など)を表示させる。すると、出射波面W2のうち第2の領域B2に相当する部分の波面が乱れる(図7の部分A1)。そして、この波面の乱れは、波面センサ12への入射波面W3のうち、第2の領域B2に対応するレンズ124に入射する部分にも生じることとなる(図7の部分A2)。これにより、当該レンズ124によって形成されていた集光スポットPが拡散し、集光スポットPが形成されないか、或いはその光強度が微弱となる。
一方、波面W2,W3における第1の領域B1に相当する部分(図7の部分A3,A4)では、少なくとも一方向に線形性を有する第1の位相パターンによって、該少なくとも一方向において波面が乱されることなくレンズ124に入射する。したがって、当該レンズ124によって集光スポットPが明瞭に形成される。
図9は、波面センサ12のイメージセンサ122によって検出される光強度分布データ(シャックハルトマングラム)を概念的に示す図である。図9(a)は、第1の領域B1において少なくとも一方向に線形性を有する位相パターンが表示され、第2の領域B2において空間的に非線形な位相パターンが表示されている場合の光強度分布データD1を示している。図9(b)は、比較のため、全ての領域において線形性を有する位相パターンが表示されている場合の光強度分布データD2を示している。
図9(b)に示されるように、全ての領域において線形性を有する位相パターンが表示されている場合には、N個のレンズ124に対応するN個の集光スポットPが光強度分布データに含まれる。これに対し、図9(a)に示されるように、第1の領域B1において少なくとも一方向に線形性を有する位相パターンが表示され、第2の領域B2において空間的に非線形な位相パターンが表示されている場合には、第1の領域B1に対応する一個の集光スポットPは光強度分布データに含まれるが、第2の領域B2に対応する集光スポットは、形成されないか、或いはスポットの最大輝度が低減したものか、或いは、スポット径が広げられたものとなる。すなわち、第2の領域B2に対応する集光スポットは、明瞭さが低下したものしか形成できない。
但し、図9(a)に示された光強度分布の例は、空間光変調器11に表示される位相パターンと波面センサ12において計測される波面形状との位置ずれの調整(キャリブレーション)が適切に行われていると仮定した場合のものである。以下、これらが位置ずれを有する場合について検討する。
図10(a)及び図10(b)は、図7の波面センサ12付近を拡大して示す図である。図10(a)に示されるように、波面センサ12の位相パターンと空間光変調器11との位置ずれ調整が適切に行われている場合には、第1の領域B1に対応する波面部分A4と、第1の領域B1に対応するレンズ124とが光軸方向から見て完全に一致するので、そのレンズ124において完全な集光スポットP(以下、このような光像を全集光点像という)が形成される。一方、その周囲のレンズ124、すなわち第2の領域B2に対応するレンズ124では集光スポットが形成されないか、或いは微小なものとなる。
これに対し、図10(b)に示されるように、波面センサ12の位相パターンと空間光変調器11との間に位置ずれが生じている場合には、光軸方向から見て、第1の領域B1に対応する波面部分A4が、第1の領域B1に対応するレンズ124と、このレンズ124に隣接する別のレンズ124とに亘って重なることとなる。この場合、第1の領域B1に対応するレンズ124によって形成される集光スポットPは、その光強度が小さくなり、図10(a)に示された場合と比較して明瞭さが低下する(以下、このような光像を部分集光像という)。
図11(a)〜図11(c)は、光軸方向から見た波面部分A4とレンズ124との位置関係を簡略化して示す平面図である。図11(a)〜図11(c)には、互いに隣接する4枚のレンズ124に、波面部分A4が重ねて示されている。例えば図11(a)のように波面部分A4が4枚のレンズ124に跨がって位置する場合、図11(d)に示されるように、光強度分布データD1には、4枚のレンズ124によって各々形成された4つの集光スポットPが含まれる。この状態から更に、波面部分A4の中心を或るレンズ124の中心に近づけると(図11(b))、図11(e)に示されるように、他の3枚のレンズ124と波面部分A4とが互いに重なる部分の面積が小さくなり、他の3枚のレンズ124によって形成される集光スポットPが次第に微弱となる。そして、波面部分A4の
中心とレンズ124の中心とが完全に一致すると(図11(c))、図11(f)に示されるように、他の3枚のレンズ124によって形成される集光スポットPが、消滅するか或いは極めて微弱なものとなる。一方、一枚のレンズ124では、集光スポットPが全集光点像として形成される。
このことから、光強度分布データD1に含まれる集光スポットPの分布を調べることにより、波面部分A4と特定のレンズ124との位置ずれ量(すなわち、空間光変調器11に表示される位相パターンと波面センサ12において計測される波面形状との位置ずれ量)を知ることができる。
ここで、図8の第2の領域B2に表示される「空間的に非線形な位相パターン」の例を示す。図12〜図15は、このような位相パターンの例を示す図であって、位相の大きさが明暗によって示されており、最も暗い部分の位相は0(rad)であり、最も明るい部分の位相は2π(rad)である。
図12は、位相の大きさの分布が不規則であるランダム分布を示している。なお、図12には、行方向および列方向のそれぞれ一箇所における位相変調量のプロファイルのグラフが併せて例示されている。このような位相パターンが第2の領域B2に表示されると、当該部分の光像Laが拡散し、明瞭な集光スポットPが形成されなくなる。図13は、集光スポットPを拡径するデフォーカス分布を示している。図13にも、行方向および列方向のそれぞれ一箇所における位相変調量のグラフが併せて例示されている。このような位相パターンが第2の領域B2に表示されると、当該部分の光像Laが集光されず逆に拡大されるので、明瞭な集光スポットPが形成されなくなる。図14は、光像Laに大きな球面収差を生じさせる分布を示している。デフォーカスと球面収差を生じる位相パターンの代わりに、大きな非点収差やコマ収差を生じる位相パターンを用いてもよい。図15は、光像Laに球面収差・非点収差・コマ収差より大きな次数の高次収差を含む収差を生じさせる分布を示している。図14や図15に示された位相パターンが第2の領域B2に表示された場合にも、明瞭な集光スポットPが形成されなくなる。空間的に非線形な位相パターンは、これらの分布のうち少なくとも一つを含んでもよく、或いは、これらの分布のうち少なくとも一つと、線形な位相パターンとを重ね合わせた合成パターンを含んでもよい。
また、第2の領域B2に表示される非線形な位相パターンは、第2の領域B2を分割して成る複数の領域毎に共通の位相分布を含んでもよく、また、第2の領域B2を分割して成る複数の領域毎に異なる位相分布を含んでもよい。図16は、第2の領域B2を分割して成る複数の領域毎に共通の位相分布(例えば高次収差を含む位相分布)が配置された位相パターンを例示している。また、図17は、第2の領域B2を分割して成る複数の領域毎に異なる位相分布(例えばデフォーカス分布)が配置された位相パターンを例示している。
図8の第1の領域B1に表示される「少なくとも一方向に線形性を有する位相パターン」は、例えば変調面11aの全面に亘って位相値が略均一な位相分布によって実現される。図18は、そのような位相パターンを示す図であって、図12〜図17と同様に、位相の大きさが明暗によって示されている。図18に示されたような位相パターンが第1の領域B1に表示されると、当該部分の光像Laの波面は平坦となるので、レンズ124によって明瞭な集光スポットPが形成される。
図19は、本実施形態の制御部13の内部構成の一例を示すブロック図である。制御部13は、パターン作成部13bと、計算処理部13cとを含んで構成されることができる。なお、パターン作成部13b及び計算処理部13cは、図1に示された制御部13の記憶領域13aの内部にプログラムとして記憶され、制御部13がこのプログラムを読み出して実行することにより実現される。
パターン作成部13bは、変調面11aと波面センサ12との対応関係の調整(キャリブレーション)のための特殊な位相パターン、すなわち第1の領域B1および第2の領域B2を含む位相パターンを作成する。また、パターン作成部13bは、この位相パターンとは別に、全領域が空間的に非線形である位相パターンを作成する。なお、これらの位相パターンは、パターン作成部13bから制御信号S2として制御回路部17に送られる。
ここで、キャリブレーションのための特殊な位相パターンPは例えば次の数式(2)によって表される。
但し、aは或る定数であり、少なくとも一方向に線形性を有する第1の位相パターンの一例である。また、rand()はランダム関数であり、空間的に非線形な第2の位相パターンの一例である。(n,m)は、変調面11a上の画素単位での座標を表す。ROIは、第1の領域B1を表す記号として定義される。また、全領域が空間的に非線形である位相パターンPは、次の数式(3)によって表される。
前述したように、本実施形態における第1の領域B1は、一つのレンズ124に対応する大きさを有する。レンズアレイ120において、複数のレンズ124が図3に示されたように二次元格子状に配列されている場合、第1の領域B1の形状は正方形となる。したがって、先の数式(2)は、次の数式(4)のように変形可能である。
但し、(xc,yc)は第1の領域B1の中心座標であり、wは第1の領域B1の一辺の画素数である。なお、変調面11aにおける画素11bの配列ピッチをslmPITCHとし、レンズアレイ120におけるレンズ124の配列ピッチをmlaPITCHとし、変調面11aとレンズアレイ120のレンズ面との間の光学系の結像倍率をMとすると、第1の領域B1の一辺の画素数wは次の数式(5)によって表される。
言い換えれば、複数のレンズ124の配列方向における第1の領域B1の幅(=w×slmPITCH)は、複数のレンズ124の配列ピッチmlaPITCHの(1/M)倍である。
計算処理部13cは、上述した位相パターンP,Pが変調面11aに各々表示されているときに、波面センサ12から出力される光強度分布データS1を取得する。計算処理部13cは、光強度分布データS1に含まれる集光スポットPに関する特徴量を、後述するアルゴリズムに従って算出する。そして、計算処理部13cは、その特徴量が条件を満たすように(典型的には、特徴量が最小となるように、或いは、特徴量が所定の閾値未満となるように)、第1の領域B1の中心位置(xc,yc)を移動させる。
以上に説明した、変調面11aと波面センサ12との対応関係の調整(キャリブレーション)を含む、補償光学システム10の動作について図20を参照しつつ説明する。図20は、本実施形態の補償光学システム10の動作および対応関係調整方法を示すフローチャートである。なお、図1に示された制御部13の記憶領域13aの内部にこの対応関係調整方法が補償光学システム用プログラムとして記憶され、制御部13がこのプログラムを読み出して実行する。なお、制御部13は、CPU、主記憶装置であるRAM及びROM、通信を行うための通信モジュール、並びに、ハードディスク等の補助記憶装置等のハードウェア資源を備えるコンピュータを主体として構成され得る。補償光学システム用プログラムは、そのコンピュータに挿入されてアクセスされる記録媒体、或いは、そのコンピュータが備える記録媒体に記憶されている。このような記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、光ディスク、CD−ROM、USBメモリ、コンピュータに内蔵されるメモリ(記憶領域13a)等が該当する。
補償光学システム10では、まず、制御部13の初期処理が行われる(ステップS11)。この初期処理ステップS11では、例えば計算処理に必要なメモリ領域の確保や、パラメータの初期設定などが行われる。また、このステップS11では、キャリブレーションのための特殊な位相パターンPの初期化処理として、第1の領域B1の中心を、変調面11aの中心付近の任意の画素に指定してもよい。また、以降のステップS12〜S19の繰り返し回数を設定する。なお、繰り返し回数は、例えば第1の領域B1における一辺の画素数を二乗した値よりも大きい整数に設定される。
次に、制御部13は、キャリブレーションのための特殊な位相パターンPを作成し、変調面11aに表示させる(ステップS12)。このステップS12では、レンズアレイ120の複数のレンズ124のうち一のレンズ124に対応させようとする変調面11a上の第1の領域B1に、少なくとも一方向に線形性を有する位相パターン(例えば図18を参照)を表示させ、第1の領域B1を囲む第2の領域B2に、空間的に非線形な位相パターン(例えば図12〜図15を参照)を表示させる。
続いて、制御部13は、上記の位相パターンPを表示させた状態で、イメージセンサ122により光強度分布データ(以下、この光強度分布データをDとする)を取得する(ステップS13、第1の光強度分布取得ステップ)。
続いて、制御部13は、全領域が空間的に非線形である位相パターンPを作成し、変調面11aに表示させる(ステップS14)。このステップS14では、空間的に非線形な位相パターン(例えば図12〜図15を参照)を第1の領域B1と第2の領域B2との双方に表示させる。
続いて、制御部13は、上記の位相パターンPを表示させた状態で、イメージセンサ122により光強度分布データ(以下、この光強度分布データをDとする)を取得する(ステップS15、第2の光強度分布取得ステップ)。
続いて、制御部13は、光強度分布データDに含まれる集光スポットPの明瞭さに関する数値、および光強度分布データDに含まれる集光スポットPの明瞭さに関する数値を求める(ステップS16)。ここでは、集光スポットPの明瞭さに関する数値を「特徴量」と称呼する。以下、この特徴量の求め方について説明する。
図21は、イメージセンサ122上の或る一つのレンズ124に対向する矩形の領域L0と、該レンズ124の周囲に隣接する4つのレンズ124に対向する矩形の領域L1〜L4とを表す図である。同図において、領域L1及びL2は領域L0を挟んで行方向に並んでおり、領域L3及びL4は領域L0を挟んで列方向に並んでいる。なお、領域L1〜L4の一辺の画素数、および領域L1〜L4と領域L0との中心間隔(画素数)dは、レンズアレイのピッチmlaPITCHと、イメージセンサの画像ピッチccdPITCHとから次の数式(6)によって算出される。
また、領域L0〜L4の内部には、特徴量計算領域R0〜R4が設定される。特徴量計算領域R0〜R4は、例えば領域L1〜L4の相似形であり、それらの中心位置はそれぞれ領域L1〜L4の中心位置と一致する。
図22は、領域L0〜L4の拡大図である。各領域L0〜L4は、複数の画素122bによって構成されており、複数の画素122bは、Ma行およびMb列(Ma,Mbは2以上の整数)にわたって二次元格子状に配列されている。また、各領域L0〜L4に含まれる特徴量計算領域R0〜R4は、図中において平行斜線で示されており、Ma行およびMb列(Ma<Ma、Mb<Mb)にわたって二次元格子状に配列された画素122bを含んでいる。なお、図中の黒く塗りつぶされた画素は、領域L0〜L4と、特徴量計算領域R0〜R4との共通の中心画素を表している。
図23は、集光スポットPの特徴量の算出方法を示すフローチャートである。特徴量を求める際には、まず、光強度分布データDにおける集光スポットPの位置を検出する(ステップS21)。集光スポットPの位置(c,c)は、次の数式(7)によって表される。なお、Aijは光強度分布データDの座標(i,j)における光強度であり、R0は集光スポットPのピーク位置を含む特徴量計算領域である。
なお、多くの場合、集光スポットPの重心と、領域L0及び特徴量計算領域R0の中心位置とは互いに一致しているので、領域L0,R0の中心座標は(c,c)と表される。また、領域L1,R1の中心座標は(c−d,c)、領域L2,R2の中心座標は(c+d,c)、領域L3,R3の中心座標は(c,c−d)、領域L4,R4の中心座標は(c,c+d)と表される。
次に、集光スポットPのピーク位置を含む領域L0に隣接する4つの領域L1〜L4の特徴量計算領域R1〜R4において、次の数式(8)で表される特徴量VA1,VA2,VA3,及びVA4を算出する(ステップS22)。
続いて、光強度分布データDにおける特徴量計算領域R1〜R4において、次の数式(9)で表される特徴量VB1,VB2,VB3,及びVB4を算出する(ステップS23)。
こうして、光強度分布データDに含まれる集光スポットPの特徴量VA1〜VA4と、光強度分布データDに含まれる集光スポットPの特徴量VB1〜VB4とが算出される。
再び図20を参照する。続いて、次の数式(10)に示されるように、光強度分布データDに含まれる集光スポットPの特徴量VA1〜VA4と、光強度分布データDに含まれる集光スポットPの特徴量VB1〜VB4との差分ΔV〜ΔVを算出する(ステップS17、差分算出ステップ)。なお、記号||は差分の絶対値を表す。
上記集光スポットの明瞭さに関する特徴量計算式(8)と(9)では、光強度分布データDAとDBを用いて計算したが、光強度分布データDAとDBを画像処理する後のデータを用いて計算してもよい。特に、画像処理方法の1つである二値化処理を用いて計算する場合は、計算される特徴量は集光スポットの広がりを示すものとなる。すなわち、集光スポットの明瞭さに関する特徴量は、集光スポットのパワーに関する量と、集光スポットの広がりに関する量とを含む。
続いて、差分算出ステップS17において得られた差分ΔV〜ΔVに基づいて、制御部13が、位相パターンPの第1の領域B1と、領域L0との対応関係を調整する(ステップS18、第1の調整ステップ)。このステップS18では、まず、次の数式(11)に示される値V及びVを算出する。
値Vは、差分ΔVと差分ΔVとの差の絶対値であり、領域L0を挟んで行方向に並ぶ領域L1及びL2における集光スポットPの明瞭さのバランスを示している。また、値Vは、差分ΔVと差分ΔVとの差の絶対値であり、領域L0を挟んで列方向に並ぶ領域L3及びL4における集光スポットPの明瞭さのバランスを示している。
次に、値V及び値Vが小さくなる方向に、変調面11aと波面センサ12との対応関係を調整する。例えば、差分ΔVが差分ΔVよりも小さい(又は大きい)場合には、差分ΔVが大きくなり差分ΔVが小さくなる方向に(又は差分ΔVが小さくなり差分ΔVが大きくなる方向に)、位相パターンPの第1の領域B1を行方向に例えば一画素だけ移動させる。また、差分ΔVが差分ΔVよりも小さい(又は大きい)場合には、差分ΔVが大きくなり差分ΔVが小さくなる方向に(又は差分ΔVが小さくなり差分ΔVが大きくなる方向に)、位相パターンPの第1の領域B1を列方向に例えば一画素だけ移動させる。
このステップS18ののち、制御部13は、上記の差分ΔV〜ΔVが所定の終了条件を満足しているか否かを判定する(ステップS19)。例えば、制御部13は、値V及びVが最小となっているか、若しくは値V及びVが所定の閾値を下回っているかにより判定を行う。値V及びVが最小となるように終了条件を判定する場合、上述したステップS12〜19を、予め設定される繰り返し回数に達するまで繰り返す。なお、本実施形態では位相パターンPの第1の領域B1を一画素ずつ移動させるので、繰り返し回数の最大値は、第1の領域B1を構成する画素数と等しい。また、値V及びVと所定の閾値との大小により終了条件を判定する場合、上述したステップS12〜19を、終了条件を満たすまで繰り返す。
差分ΔV〜ΔVが所定の終了条件を満足した場合、キャリブレーションが完了する。なお、光学系の組立やメンテナンスの時、また、空間光変調器11と波面センサ12との対応関係が大きくずれている場合には、制御部13は、上述のキャリブレーションの前に変調面11aと波面センサ12との対応関係を調整してもよい(第2の調整ステップ)。例えば、波面歪みを補償するための位相パターンと波面センサ12との相対位置が互いに合致するように、波面センサ12の取り付け位置と、空間光変調器11の取り付け位置との相対関係を調整する。
以上に説明した、本実施形態による補償光学システム10の調整方法、補償光学システム10、補償光学システム用プログラム、及び補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体によって得られる効果について説明する。
本実施形態では、第1の光強度分布取得ステップS13において、空間光変調器11の第1の領域B1に少なくとも一方向に線形性を有する位相パターンを表示させ、この第1の領域B1を囲む第2の領域B2に空間的に非線形な位相パターンを表示させた状態で、波面センサ12のイメージセンサ122により光強度分布データDを取得する。この光強度分布データDでは、第1の領域B1に対応する領域L0に集光スポットPが形成されるが、第1の領域B1と対応するレンズ124とが位置ずれを生じている場合には、領域L0の集光スポットPは明瞭に形成されず、第1の領域B1からの光の一部は隣接するレンズ124を介して領域L1〜L4のいずれかに集光される。また、領域L1〜L4に形成される集光スポットPは、位置ずれが大きいほど明瞭になる。したがって、領域L0〜L4における集光スポットPの明瞭さ(すなわち特徴量VA1〜VA4)に基づいて、変調面11aと波面センサ12との対応関係を調整することができる。
ここで、図24は、一実施例として(a)キャリブレーションのための特殊な位相パターン、(b)第1の領域B1と対応するレンズ124とが位置ずれを生じている場合の光強度分布データD、及び(c)第1の領域B1と対応するレンズ124とのキャリブレーション後における光強度分布データD、を示している。なお、この実施例では、第1の領域B1を複数(図では5箇所)設けている。図24から明らかなように、位置ずれが生じている場合には集光スポットPが分散して明瞭さに欠けるが(図24(b))、キャリブレーション後は集光スポットPが一点に集中して明瞭さが増していることがわかる(図24(c))。
このように、本実施形態によれば、制御部13による空間光変調器11の位相パターン制御と制御部13内部での計算のみによってキャリブレーションを行うことができるので、波面センサ12において計測される位相パターンと、空間光変調器11に表示される補償用の位相パターンとの対応関係を短時間でかつ高精度に調整することができる。
図25は、補償光学システムの調整(キャリブレーション)の精度が高いことによる利点について説明する図である。図25(a)は、比較として、調整精度が低い場合の入射波面61、補償用波面62、及び補償済み波面63(入射波面61と補償用波面62との和)を概念的に示している。また、図25(b)は、調整精度が高い場合の入射波面71、補償用波面72、及び補償済み波面73(入射波面71と補償用波面72との和)を概念的に示している。
図25(a)に示されるように、調整精度が低いため入射波面61と補償用波面62との間に位置ずれがある場合、補償済み波面63において波面の歪みが完全には除去されない。従って、結像特性が悪化する可能性があり、またフィードバック制御の影響によって、波面歪みが増大してしまうおそれもある。これに対し、図25(b)に示されるように、調整精度が高く入射波面71と補償用波面72との間の位置ずれが小さい場合、波面歪みが適切に補正されて、補償済み波面73はほぼ平面波となることができる。
なお、前述した非特許文献2に記載された方法では、キャリブレーションに使用される位相パターンの構造が複雑であり、空間光変調器11によりその複雑な位相パターンの構造を正確に発生させることが容易ではない。これに対し、本実施形態では、単純な位相パターンから成る第1及び第2の領域B1,B2を位相パターンPが含めばよく、位相パターンの構造が簡易であり、制御部13による位相パターンの作成も容易であり、正確に発生させることができる。
また、非特許文献2に記載された方法では、波面センサ12から出力された光強度分布データに基づいて、全体的な波面形状を算出する必要がある。これに対し、本実施形態では光強度分布データの一部のみに基づいてキャリブレーションを行うことができるので、計算処理が容易となる。
また、非特許文献2に記載された方法では、キャリブレーションに使用される位相パターンが変調面のほぼ全面に表示される大きさを望まれるので、変調面に照射される光像としてビーム径の大きなものが必要となる。これに対し、本実施形態では第1の領域B1およびその周辺領域B2に光像が照射されれば足りるので、変調面11aに照射される光像Laのビーム径を小さくすることができる。なお、本実施形態では、光像Laのビーム径はレンズ124の径の3倍以上であればよい。このように、光像Laのビーム径を小さくできるので、光源の小型化も可能となる。これにより、キャリブレーション作業をより簡便に行うことが可能となる。
また、変調面11aと波面センサ12とは光学的に互いに共役な関係となっているが、これらの光学距離にずれが存在すると、変調面11aに表示された位相パターンと、波面センサ12において検出される位相パターンとの間には差異が生じる。従って、非特許文献2に記載された方法では、変調面11aと波面センサ12との光学距離にずれに起因するキャリブレーション精度の低下が懸念される。
これに対し、本実施形態では、変調面11aと波面センサ12とが互いに共役な位置関係から多少ずれた場合であっても、キャリブレーション精度を維持することができる。その理由は次の通りである。変調面11aと波面センサ12とが互いに共役な位置関係から多少ずれた場合、第1の領域B1及び第2の領域B2の位相パターンを波面センサ12に投影すると、第1の領域B1に対応する波面形状は線形パターンに対して多少のデフォーカス成分が加えられた球面波となり、第2の領域B2に対応する波面形状は依然として非線形(例えばランダム波形)の波面となる。そして、球面波の部分が或るレンズ124と重なる場合には、多少のデフォーカスはされるものの、明瞭な集光スポットPが形成される。一方、非線形波面の部分と重なるレンズ124では、依然として集光スポットPが拡散されて明瞭ではなくなる。従って、本実施形態によれば、変調面11aと波面センサ12とが互いに共役な位置関係から多少ずれた場合であっても、集光スポットPの特徴量の差を十分に見い出すことができ、キャリブレーション精度を維持することができる
また、本実施形態のように、空間的に非線形な位相パターンPを第1及び第2の領域B1,B2に表示させた状態で光強度分布データDを取得し(ステップS15)、光強度分布データDに含まれる集光スポットPの特徴量VA1〜VA4と、光強度分布データDに含まれる集光スポットPの特徴量VB1〜VB4との差分ΔV〜ΔVを算出し(ステップS17)、第1の調整ステップS18において、差分ΔV〜ΔVに基づいて変調面11aと波面センサ12との対応関係を調整すると尚良い。このような差分ΔV〜ΔVに基づいて対応関係を調整することにより、ノイズ等の影響を排除して更に精度良くキャリブレーションを行うことができる。
また、本実施形態のように、複数のレンズ124の配列方向(行方向および列方向)における第1の領域B1の幅(=w×slmPITCH)は、複数のレンズ124の配列ピッチmlaPITCHの(1/M)倍とすることができる。これにより、第1の領域B1に対応する波面部分A4の幅とレンズ124の径とが合致するので、図21に示された領域L0における集光スポットPと、周囲の領域L1〜L4における集光スポットPとの明瞭さの違いを際立たせることができるので、更に精度良くキャリブレーションを行うことができる。なお、後述するように、第1の領域B1の幅は、複数のレンズ124の配列ピッチmlaPITCHの(n/M)倍(nは1以上の整数)であってもよい。その場合であっても上記と同様の効果を奏することができる。
なお、本実施形態では、キャリブレーション用の特殊な位相パターンPを表示した状態で光強度分布データDを取得し(ステップS13)、その後、全領域が空間的に非線形である位相パターンPを表示した状態で光強度分布データDを取得している(ステップS15)。しかしながら、光強度分布データD,Dの取得順序は特に制限がなく、光強度分布データDを取得した後に光強度分布データDを取得してもよい。
また、空間光変調器としては、正六角形の複数の画素が隙間無く並んでいるようなものを用いても良い。また、上述した実施形態は、液晶を用いた空間光変調器を例に説明したが、液晶以外の電気光効果を有する材料を用いた空間光変調器や、画素が微小ミラーで形成されている空間光変調器、あるいは膜ミラーをアクチュエーターで変形させる可変鏡などを用いても良い。
(第1の変形例)
上述した実施形態では、位相パターンPを表示した状態で光強度分布データDを取得し(ステップS13)、位相パターンPを表示した状態で光強度分布データDを取得したのち(ステップS15)、これらの光強度分布データD,Dから算出される特徴量VA1〜VA4と特徴量VB1〜VB4との差分ΔV〜ΔVを求めている。しかしながら、特徴量VA1〜VA4のみに基づいてキャリブレーションを行うことも可能である。
図26は、本変形例に係る補償光学システム10の調整方法(制御部13の動作)を示すフローチャートである。図26に示されるように、本変形例では、制御部13が、上記実施形態と同様のステップS11〜S13(図20を参照)を行う。その後、図20に示されたステップS14及びS15を省略し、特徴量算出のためのステップS36に進む。このステップS36が上記実施形態のステップS16と異なる点は、図23に示されたステップS21(スポット重心の算出)およびステップS22(特徴量VA1〜VA4の算出)を行い、ステップS23(特徴量VB1〜VB4の算出)を省略する点である。
続いて、制御部13は、上記実施形態のステップS17を行わずに、第1の調整ステップS37を行う。このステップS37では、ステップS36において得られた特徴量VA1〜VA4に基づいて、制御部13が、位相パターンPの第1の領域B1と、領域L0との対応関係を調整する。
このステップS37では、まず、次の数式(12)に示される値V及びVを算出する。
値Vは、特徴量VA1と特徴量VA2との差の絶対値であり、領域L0を挟んで行方向に並ぶ領域L1及びL2における集光スポットPの明瞭さのバランスを示している。また、値Vは、特徴量VA3と特徴量VA4との差の絶対値であり、領域L0を挟んで列方向に並ぶ領域L3及びL4における集光スポットPの明瞭さのバランスを示している。
次に、値V及び値Vが小さくなる方向に、変調面11aと波面センサ12との対応関係を調整する。例えば、特徴量VA1が特徴量VA2よりも大きい(又は小さい)場合には、特徴量VA1が大きくなり特徴量VA2が小さくなる方向に(又は特徴量VA1が小さくなり特徴量VA2が大きくなる方向に)、位相パターンPの第1の領域B1を行方向に例えば一画素だけ移動させる。また、特徴量VA3が特徴量VA4よりも大きい(又は小さい)場合には、特徴量VA3が大きくなり特徴量VA4が小さくなる方向に(又は特徴量VA3が小さくなり特徴量VA4が大きくなる方向に)、位相パターンPの第1の領域B1を列方向に例えば一画素だけ移動させる。
その後、制御部13は、上記の特徴量VA1〜VA4が所定の終了条件を満足しているか否かを判定する(ステップS38)。例えば、制御部13は、値V及びVが最小となっているか、若しくは値V及びVが所定の閾値を下回っているかにより判定を行う。値V及びVが最小となるように終了条件を判定する場合、上述したステップS12〜19またはS12〜S38を、予め設定される繰り返し回数に達するまで繰り返す。また、値V及びVと所定の閾値との大小により終了条件を判定する場合、上述したステップS12〜19またはS12〜S38を、終了条件を満たすまで繰り返す。
特徴量VA1〜VA4が所定の終了条件を満足した場合、キャリブレーションが完了する。ただし、制御部13は、変調面11aと波面センサ12との対応関係を調整してもよい(第2の調整ステップ)。なお、第2の調整ステップにおける調整方法は上記実施形態と同様である。
本変形例では、光強度分布データDに含まれる集光スポットPの明瞭さ(すなわち特徴量VA1〜VA4)に基づいて、変調面11aと波面センサ12との対応関係を調整している。このように、差分ΔV〜ΔVに代えて特徴量VA1〜VA4を用いた場合であっても、上記実施形態と同様に、波面センサ12において計測される波面と、空間光変調器11に表示される補償用の位相パターンとの対応関係を短時間でかつ高精度に調整することができる。また、本変形例では上記実施形態よりもステップ数が少なくて済むので、調整に要する時間を短縮することができる。
(第2の変形例)
上記実施形態および第1変形例では、特徴量の算出の際、領域L0に隣接する領域L1〜L4について特徴量VA1〜VA4及び特徴量VB1〜VB4を算出し、これらの特徴量に基づいてキャリブレーションを行う。しかしながら、領域L0についての特徴量に基づいてキャリブレーションを行ってもよい。
すなわち、本変形例では、図20に示された特徴量算出ステップS16において、特徴量VA1〜VA4及び特徴量VB1〜VB4に代えて、次の数式(13)によって表される特徴量VA0及びVB0を求める。
また、続くステップS17では、次の数式(14)によって表される差分ΔVを求める。
そして、第1の調整ステップS18では、差分算出ステップS17において得られた差分ΔVに基づいて、制御部13が、位相パターンPの第1の領域B1と、領域L0との対応関係を調整する。具体的には、差分ΔVが大きくなる方向に、位相パターンPの第1の領域B1を行方向または列方向に例えば一画素だけ移動させる。
その後、ステップS19において、制御部13は、上記の差分ΔVが所定の終了条件を満足しているか否かを判定する。例えば、制御部13は、差分ΔVが最大となっているか、若しくは差分ΔVが所定の閾値を上回っているかにより判定を行う。差分ΔVが最大となるように終了条件を判定する場合、ステップS12〜19を、予め設定される繰り返し回数に達するまで繰り返す。また、差分ΔVと所定の閾値との大小により終了条件を判定する場合、ステップS12〜19を、終了条件を満たすまで繰り返す。なお、差分ΔVが所定の終了条件を満足した場合の処理(第2の調整ステップ)は上記実施形態と同様である。
本変形例では、差分ΔV〜ΔVに代えて、差分ΔVに基づいて変調面11aと波面センサ12との対応関係を調整する。このような方法であっても、上記実施形態と同様に、波面センサ12において計測される波面と、空間光変調器11に表示される補償用の位相パターンとの対応関係を短時間でかつ高精度に調整することができる。なお、前述した第1変形例のように、差分ΔVに代えて、特徴量VA0に基づいて対応関係を調整してもよい。その場合、ステップ数が少なくて済むので、調整に要する時間を短縮することができる。また、本変形例では、変調面11aに入射される光像Laの光強度が時間的に一定であることが望ましい。
(第3の変形例)
上記実施形態および各変形例では、図20に示されたステップS18において変調面11aと波面センサ12との対応関係を調整する際、位相パターンPの第1の領域B1を行方向(又は列方向)に一画素だけ移動させている。しかしながら、ステップS18における第1の領域B1の移動量は一画素に限られない。例えば、値V及びVの大きさに応じて、第1の領域B1の移動量を変化させてもよい。一例としては、値Vが所定値よりも小さいときには一回当たりの第1の領域B1の移動量を一画素とし、値Vが所定値よりも大きいときには、一回当たりの第1の領域B1の移動量を2画素や3画素などとすることができる。なお、前述した第2変形例にこの方法を適用する場合、差分ΔVの大きさに応じて、第1の領域B1の移動量を決定することができる。
値V及びV(若しくは差分ΔV)の大きさと第1の領域B1の一回当たりの移動量との関係は、例えば予め行われる実験によって決定され得る。この実験では、例えば、波面センサ12と空間光変調器11とが適切な対応関係にあると仮定し、その状態から、第1の領域B1を行方向又は列方向に一画素ずつ移動して特徴量を算出する。そして、第1の領域B1の移動量(画素数)と、値V及びV(若しくは差分ΔV)との相関を示すグラフを作成する。このグラフを基に、値V及びV(若しくは差分ΔV)の大きさから第1の領域B1の一回当たりの移動量を決定することができる。
本変形例によれば、上記実施形態と同様に、波面センサ12において計測される波面と、空間光変調器11に表示される補償用の位相パターンとの対応関係を短時間でかつ高精度に調整することができる。また、第1の領域B1の移動量を値V及びV(若しくは差分ΔV)の大きさに応じて変化させることにより、対応関係の調整に要する時間を短縮することができる。
(第4の変形例)
上記実施形態および各変形例では、波面部分A4(図7を参照)の大きさが一つのレンズ124の径と一致するように、第1の領域B1の大きさを設定している(数式(5)を参照)。しかしながら、第1の領域B1の大きさはこれに限られず、以下に示すような種々の大きさに設定されてもよい。
図27は、第1の領域B1の様々な大きさの例を示す図である。図27(a)及び図27(b)は、領域L0の一辺の長さ(画素数)がレンズ124の径の2倍となるように、第1の領域B1の大きさが設定された場合を概念的に示している。なお、図27(a)では、周囲の領域L1〜L4の一辺の長さ(画素数)がレンズ124の径と等しくなるように設定された場合を表しており、図27(b)では、周囲の領域L1〜L4の四辺のうち領域L0に接する辺の長さ(画素数)が領域L0の辺の長さと等しく、領域L0に接しない辺の長さ(画素数)がレンズ124の径と等しくなるように設定された場合を表している。
また、図27(c)は、領域L0の一辺の長さ(画素数)がレンズ124の径の3倍となるように、第1の領域B1の大きさが設定された場合を概念的に示している。なお、同図では周囲の領域L1〜L4の一辺の長さ(画素数)がレンズ124の径と等しくなるように設定された場合を表しているが、図27(b)のように領域L0に接する辺の長さ(画素数)が領域L0の辺の長さと等しくなるように設定されてもよい。
また、図27(d)は、第1の領域B1の行方向の長さと列方向の長さとが互いに異なる例を示している。この場合、領域L0の行方向の長さと列方向の長さとが互いに異なる。なお、周囲の領域L1〜L4の形状は、図27(a)に示された形状や図27(b)に示された形状などを任意に組み合わせることができる。
本変形例による第1の領域B1の形状は、次のように表現され得る。すなわち、変調面11aにおける画素11bの配列ピッチをslmPITCHとし、レンズアレイ120におけるレンズ124の配列ピッチをmlaPITCHとし、変調面11aとレンズアレイ120のレンズ面との間の光学系の結像倍率をMとすると、第1の領域B1の一辺の画素数wは次の数式(15)によって表される。
但し、nは自然数である。言い換えれば、複数のレンズ124の配列方向における第1の領域B1の幅(=w×slmPITCH)は、複数のレンズ124の配列ピッチmlaPITCHの(n/M)倍であることができる。
(第5の変形例)
上記実施形態および各変形例では、図20に示されたステップS12において、少なくとも一方向に線形性を有する第1の位相パターンを第1の領域B1に表示し、空間的に非線形な第2の位相パターンを第2の領域B2に表示している。しかしながら、少なくとも一方向に線形性を有する位相パターンを第2の領域B2に表示し、空間的に非線形な位相パターンを第1の領域B1に表示した場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、この場合、前述した数式(2)は、次のように書き換えられる。
また、前述した数式(3)は、次のように書き換えられる。但し、a’は或る定数であり、少なくとも一方向に線形性を有する第1の位相パターンの一例である。
本変形例では、変調面11aと波面センサ12との対応関係が適切に調整されているほど、領域L0の集光スポットPが不明瞭となり、領域L1〜L4の集光スポットPの明瞭さが増す。この場合においても、図20に示されたステップS18と同様に、値V,Vが小さくなる方向に変調面11aと波面センサ12との対応関係を調整することができる。
本変形例によれば、上記実施形態と同様に、波面センサ12において計測される波面と、空間光変調器11に表示される補償用の位相パターンとの対応関係を短時間でかつ高精度に調整することができる。また、線形性を有する位相パターンを第1の領域B1以外の全領域に表示できるので、該位相パターンを波面歪み補償用の位相パターンとすることによって、補償光学の実行中に並行してキャリブレーションを行うことが可能となる。
(第6の変形例)
上記実施形態および各変形例では、変調面11aにおいて第1の領域B1が一つのみ設定された場合を説明しているが、第1の領域B1は複数箇所設定されてもよい。これにより、複数の第1の領域B1のそれぞれに関して算出された特徴量に基づいて各第1の領域B1と波面センサ12との位置ずれを調べたのち、これらの位置ずれを統計的に処理し、その結果に基づいて、変調面11aと波面センサ12との対応関係をより精度良く調整することができる。
(第7の変形例)
上記実施形態および各変形例では、第1の領域B1(第5変形例では第2の領域B2)に表示される少なくとも一方向に線形性を有する第1の位相パターンの例として、定数a(若しくはa’)で表される略均一な分布を例示した。しかしながら、第1の位相パターンは、少なくとも一方向に傾斜した(線形的に変化する)位相分布であってもよい。このような位相パターンを含むキャリブレーション用の特殊な位相パターンPは、次の数式(18)により表される。
但し、n及びmは第1の領域B1(ROI)の中心画素であり、a、b、及びcは定数である。
図28は、第1の方向(例えば行方向)において位相値が傾斜しており、第1の方向と交差(例えば、直交)する第2の方向(例えば列方向)において位相値が略均一である位相分布を示している。これは、上記の数式(18)においてb≠0且つc=0とした場合のROIにおける位相分布である。また、図29は、第1の方向(例えば行方向)及び第2の方向(例えば列方向)の双方において位相値が傾斜している位相分布を示している。これは、上記の数式(18)においてb≠0且つc≠0とした場合のROIにおける位相分布である。なお、図28及び図29には、行方向および列方向のそれぞれの1行及び1列における位相変調量のグラフが併せて示されている。これらの位相パターンが第1の領域B1に表示されると、当該部分の光像Laの波面は平坦となるので、レンズ124によって明瞭な集光スポットPが形成される。従って、上記実施形態および各変形例と同様に、領域L0〜L4における集光スポットPの明瞭さに基づいてキャリブレーションを行うことができる。
但し、本変形例では、領域L0〜L4に形成される集光スポットPの重心位置が、第1の位相パターンの傾斜分だけ、領域L0〜L4の中心位置(すなわち各レンズ124の光軸上)からずれることとなる。従って、特徴量を算出する際には、図21に示された特徴量計算領域R0〜R4をそのずれ量だけ移動させた上で、上記実施形態と同様の演算を行うことができる。なお、集光スポットPの重心位置のずれ量は、波面センサ12の構成パラメータと、係数b及びcとに基づいて一義的に決定される。また、集光スポットPの重心位置から上記ずれ量を差し引くことにより、本来の中心位置を得ることができるので、上記実施形態と同様の手順によりキャリブレーションを行うことが可能である。
(第8の変形例)
第1の領域B1(第5変形例では第2の領域B2)に表示される第1の位相パターンは、図30に示されるような、第1の方向(例えば行方向)における位相分布がシリンドリカルレンズ効果を有し、第2の方向(例えば列方向)において位相値が略均一であるような位相分布であってもよい。このような位相分布を含むキャリブレーション用の特殊な位相パターンPは、次の数式(19)により表される。
なお、行方向における位相値が略均一であり、列方向における位相分布がシリンドリカルレンズ効果を有し、2次関数を有する位相分布を構成する場合の位相パターンPは、次の数式(20)により表される。
上記の数式(19)及び(20)において、n及びmは第1の領域B1(ROI)の中心画素であり、a、b、及びcは定数である。
数式(19)に示される位相パターンPが変調面11aに表示されると、波面センサ12では、行方向に伸張し、列方向に集束された集光スポットPが形成される。従って、数式(19)に示される位相パターンPを用いて、列方向のキャリブレーションを行うことができる。また、数式(20)に示される位相パターンPが変調面11aに表示されると、波面センサ12では、行方向に集束し、列方向に拡散された集光スポットPが形成される。従って、数式(20)に示される位相パターンPを用いて、行方向のキャリブレーションを行うことができる。本変形例では、例えば数式(19)に示される位相パターンPを用いて列方向のキャリブレーションを行い、その前若しくは後に、数式(20)に示される位相パターンPを用いて行方向のキャリブレーションを行うことができる。
(第9の変形例)
第1の領域B1(第5変形例では第2の領域B2)に表示される第1の位相パターンは、図31に示されるような、第1の方向(例えば行方向)における位相分布が回折格子を構成し、第2の方向(例えば列方向)において位相値が略均一であるような位相分布であってもよい。図31に示される第1の位相パターンを含む位相パターンPが変調面11aに表示されると、波面センサ12では、行方向に分離される複数の集光スポットPが形成される。従って、この位相パターンPを用いて、列方向のキャリブレーションを行うことができる。なお、行方向のキャリブレーションを行う際には、上記第1の方向を列方向とし、上記第2の方向を行方向とした第1の位相パターンを含む位相パターンPを、変調面11aに表示することができる。
(第10の変形例)
第1の領域B1(第5変形例では第2の領域B2)に表示される第1の位相パターンは、上記実施形態および第7〜9変形例に示された位相分布を互いに重ね合わせた合成パターンを含んでもよい。図32は、そのような重ね合わせによって得られる合成パターンの例を示す図である。図32(a)に示される位相パターンは図30に示されたものであり、図32(b)に示される位相パターンは、図28に示された位相パターンを90°回転させたものである。そして、図32(c)に示される位相パターンは、これらを重ね合わせた合成パターンである。図32(c)に示される位相パターンは第1の方向における位相分布が2次関数を有し、第2の方向における位相分布が線形関数を有する位相分布の位相パターンである。図32(c)に示された合成パターンを含む位相パターンPが変調面11aに表示されると、波面センサ12では、行方向に拡散し、列方向に集束された集光スポットPが形成される。従って、この位相パターンPを用いて、列方向のキャリブレーションを行うことができる。なお、行方向のキャリブレーションを行う際には、第1の方向を列方向とし、第2の方向を行方向とした上記合成パターンを第1の位相パターンとして含む位相パターンPを、変調面11aに表示することができる。
(第11の変形例)
上記実施形態および各変形例では、第2の領域B2(第5変形例では第1の領域B1)に表示される空間的に非線形な第2の位相パターンの例として、ランダム分布(図12)及びデフォーカス分布(図13)を例示した。第2の位相パターンはこれらに限られず、明瞭な集光スポットPが形成されないような位相分布を有していればよい。このような位相分布としては、例えばFresnel Zone Plate(FZP)型の位相パターンが挙げられる。FZP型位相パターンは、入射された略均一な位相値を有する光像Laを集光或いは発散させる作用を有する。従って、FZP型位相パターンにより集光或いは発散された光像Laがレンズ124に入射すると、集光スポットPの光軸方向の位置が、レンズ124の焦点面(すなわちイメージセンサ122の表面)からずれる。このため、イメージセンサ122の表面では、ぼけた点像が形成される。
このようなFZP型位相パターンを含むキャリブレーション用の特殊な位相パターンPは、次の数式(21)により表される。
但し、aは定数であり、bは十分に大きい定数である。(n,m)は第2の領域B2の中心画素である。なお、bが十分に大きいことにより、レンズ124により形成される集光スポットPをレンズ124の焦点面(イメージセンサ122の表面)から十分に離すことができる。
(第12の変形例)
上記実施形態および各変形例では、波面センサ12のレンズアレイ120として、図3に示されたように、複数のレンズ124が二次元格子状に配列された形態を例示している。しかしながら、波面センサ12のレンズアレイはこのような形態に限られない。例えば、図33に示されるように、レンズアレイ120は、正六角形の複数のレンズ128が隙間無く並んだハニカム構造を有していてもよい。なお、この場合、第1の領域B1は六角形に設定されてもよい。また、図21に示された領域L0等や特徴量計算領域R0等は、図34に示されるように、全て六角形に設定されてもよい。更に、図20のステップS18において算出された値V及びVに相当する値は、領域L0を挟んで対向する領域(具体的には、領域L1及びL2、領域L3及びL4、並びに領域L5及びL6)において算出される特徴量から求められる。
(第13の変形例)
上記実施形態および各変形例では、第1の領域B1に対応する波面部分A4(図10を参照)の大きさが、レンズ124の径のn倍(但し、nは自然数)であるとしている。しかしながら、nは自然数ではない実数(例えば0.8や1.2など)であってもよい。ここで、nがそのような値をとる場合における、第1の領域B1の大きさとキャリブレーション精度との関係について説明する。図35は、図7の波面センサ12付近を拡大して示す図である。図35(a)は、第1の領域B1に対応する波面部分A4の幅が一つのレンズ124の径よりも若干大きい場合を示しており、図35(b)は、波面部分A4の幅が一つのレンズ124の径よりも若干小さい場合を示している。
図35(a)に示されるように、波面部分A4の幅が一つのレンズ124の径よりも若干大きい場合、波面部分A4の中心位置がレンズ124の中心に近い場合であっても、隣接するレンズ124への入射光量が波面部分A4の位置ずれに応じて変化するため、上記実施形態の値V(若しくは値V)が変動する。従って、上記実施形態のように、値V及びVが最小となっているか、若しくは値V及びVが所定の閾値を下回っているかにより終了判定を行うことによって、上記実施形態と同様の高いキャリブレーション精度を維持することができる。これに対し、図35(b)に示されるように、波面部分A4の幅が一つのレンズ124の径よりも若干小さい場合には、波面部分A4の中心位置がレンズ124の中心に近いと、隣接するレンズ124への入射光量が波面部分A4の位置ずれに応じて変化しないため、上記実施形態の値V(若しくは値V)は変動しないか、或いは、微小な変化しかない。従って、上記実施形態と比較してキャリブレーション精度が僅かに低下することとなる。
なお、第2変形例に示された方法では、図35(a)及び図35(b)の何れに示された場合であっても、波面部分A4の中心位置がレンズ124の中心に近いと、当該レンズ124への入射光量が波面部分A4の位置ずれに応じて変化しないため、上記実施形態と比較してキャリブレーション精度が僅かに低下することとなる。
以上のことから、nが自然数ではない場合には、nは1よりも大きくてもよい。また、その場合、上記実施形態のように、値V及びVが最小となっているか、若しくは値V及びVが所定の閾値を下回っているかにより終了判定を行うことができる。なお、このような形態は、例えば、空間光変調器11と波面センサ12との間の結像倍率Mが設計値に対して誤差を有する場合に有用である。また、一般的に式5(式15)により見積もった数値は非整数の場合にも有効である。式5(式15)により見積もった数値が非整数である場合は、該数値よりも大きい整数の数値を第1の領域B1の幅(画素数)とすればよい。
(第14の変形例)
上記実施形態では、図20に示されたステップS18において位相パターンPの第1の領域B1を一画素ずつ移動させながら、ステップS12〜S18を繰り返し行っているが、次のような形態も可能である。すなわち、キャリブレーションを行う前に、ステップS12〜S18を行うことにより、複数の(例えば、第1の領域B1を構成する画素数と同じ数の)値V及びVの組を予め取得しておく。そして、キャリブレーション時には、ステップS12〜S18(値V及びVの算出まで)を一回のみ行い、得られた値V及びVと、予め取得しておいた複数の値V及びVの組とを比較する。このとき、例えば得られた値V及びVと予め取得しておいた複数の値V及びVの組との類似性の度合い(相関係数)を算出してもよい。そして、得られた値V及びVに最も近い値V及びVの組が算出された際の第1の領域B1の位置に基づいて、変調面11aと波面センサ12との対応関係を調整する。これにより、図20に示されたステップS12〜S18を繰り返すことなく、キャリブレーションを短時間で行うことができる。なお、値V及びVの組に代えて、予め取得しておいた複数の光強度分布データDや特徴量を比較対象としてもよい。
(第15の変形例)
上記実施形態および各変形例において、第1の領域B1と、該第1の領域B1に対応するレンズ124とのずれ幅の最大値は、第1の領域B1の一辺の画素数wの±1/2倍である。従って、第1の領域B1と、該第1の領域B1に対応するレンズ124との位置関係の組み合わせの数はw×w通りである。そして、そのw×w通りの位置関係のうち、第1の領域B1の位置とレンズ124の位置とが完全に一致するのは一通りだけであり、他の(w×w−1)通りの場合、第1の領域B1は、レンズ124に対して行方向若しくは列方向、又はその双方に、各位置関係毎に固有のずれ量を有している。
そこで、本変形例では、図20に示されたステップS12において、各々に対応するレンズ124に対するずれ量が互いに一画素ずつ異なる複数(典型的にはw×w個)の第1の領域B1を同時に含むキャリブレーション用の位相パターンPを作成し、この位相パターンPを変調面11aに表示させる。このとき、第1の領域B1の配列ピッチ(画素数)は、(2×w)以上に設定されてもよい。そして、ステップS18において算出される値V及びVが最も小さい第1の領域B1が有するずれ量に基づいて、変調面11aと波面センサ12との対応関係を調整する。これにより、図20に示されたステップS12〜S18を繰り返すことなく、キャリブレーションを短時間で行うことができる。
本変形例において位相パターンPに含まれる第(i,j)番目の第1の領域B1の中心位置(slmXij,slmYij)は、例えば次の数式(22)によって表される。
但し、i=−w/2,…,w/2−1であり、j=−w/2,…,w/2−1である。また、Paは変調面11aの行方向の画素数であり、Pbは変調面11aの列方向の画素数である。なお、上式(22)は、第1の領域B1に対応する波面部分A4の幅とレンズ124の径とが互いに等しい場合(数式(5)を参照)を示している。
図36は、w=3である場合の第1の領域B1の配置例を示す図である。図中において、太枠で示された領域は第1の領域B1を表しており、各第1の領域B1の内部に一つずつ存在する画素Dは、対応するレンズ124の中心に相当する画素を表している。この例では、中央に位置する第1の領域B1の中心位置が、対応するレンズ124の中心位置と一致しており、他の8個の第1の領域B1の中心位置は、各々対応するレンズ124の中心位置からずれている。従って、光強度分布データDに含まれる9個の集光スポットPのうち、中央の第1の領域B1に対応する集光スポットPのみが明瞭になり、他の8個の集光スポットPは不明瞭となる。本変形例では、集光スポットPが最も明瞭になる(具体的には、値V,Vが最も小さくなる)第1の領域B1の位置を把握し、その第1の領域B1の位置に基づいて、変調面11aと波面センサ12とのずれ量を判断することができる。
本発明の一側面に係る補償光学システムの調整方法、補償光学システム、補償光学システム用プログラム、及び補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態および各変形例では、第1の領域B1の大きさを予め設定してキャリブレーション処理を行っているが、第1の領域B1の大きさは可変であってもよい。図37は、第1の領域B1の大きさを可変とする場合の一例を示している。図37(a)に示される例では、第1の領域B1の大きさを比較的大きく設定しておき、得られた光強度分布データに基づいて、適切な大きさ(例えば、レンズ124の径に対応する大きさ)に縮小している。また、図37(b)に示される例では、第1の領域B1の大きさを比較的小さく設定しておき、得られた光強度分布データに基づいて、適切な大きさ(例えば、レンズ124の径に対応する大きさ)に拡大している。このように、第1の領域B1の大きさを可変とすることにより、適切な大きさの第1の領域B1を設定し、キャリブレーションを更に精度良く行うことができる。
また、上記実施形態および各変形例では、補償光学システムが一つの空間光変調器を備えている場合について示されているが、補償光学システムは、光学的に直列に結合された複数の空間光変調器を備えてもよい。その場合、一つの空間光変調器にキャリブレーション用の特殊な位相パターンPを表示し、他の空間光変調器には例えば略均一な位相パターンを表示させておくことにより、該一つの空間光変調器と波面センサとのキャリブレーションを行うことができる。そして、そのような作業を複数の空間光変調器それぞれについて行うことにより、全ての空間光変調器と波面センサとのキャリブレーションを行うことができる。また、複数の空間光変調器を備えた補償光学システムであって、複数の空間光変調が光学的に並列的に結合された場合でも、全ての空間光変調器と波面センサとのキャリブレーションと、複数の空間光変調器の間の相互的な対応付けとを行うことができる。
本発明の一側面に係る補償光学システムの調整方法、補償光学システム、補償光学システム用プログラム、及び補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体によれば、波面センサにおいて計測される位相パターンと、空間光変調器に表示される補償用の位相パターンとの対応関係を短時間でかつ高精度に調整することができる。
10…補償光学システム、11…空間光変調器、11a…変調面、11b…画素、12…波面センサ、13…制御部、13a…記憶領域、13b…パターン作成部、13c…計算処理部、14…ビームスプリッタ、15,16…リレーレンズ、17…制御回路部、18…光検出素子、120…レンズアレイ、122…イメージセンサ、122a…受光面、122b…画素、124…レンズ、B1…第1の領域、B2…第2の領域、D,D…光強度分布データ、La…光像、P…集光スポット、P,P…位相パターン、R0〜R4…特徴量計算領域。

Claims (9)

  1. 変調面に入射した光像の位相を空間的に変調する空間光変調器と、複数のレンズが二次元状に配列されたレンズアレイ、並びに前記レンズアレイによって形成された集光スポットを含む光強度分布を検出する光検出素子を有しており前記空間光変調器から変調後の前記光像を受ける波面センサとを備え、前記光強度分布から得られる前記光像の波面形状に基づいて前記空間光変調器に表示される位相パターンを制御することにより波面歪みを補償する補償光学システムにおいて、前記変調面と前記波面センサとの対応関係を調整する方法であって、
    前記複数のレンズのうちの一若しくは互いに隣接する二以上のレンズに対応させようとする前記変調面上の第1の領域に、少なくとも一方向に線形性を有する位相パターン及び空間的に非線形な位相パターンのうち一方を表示させ、前記第1の領域を囲む第2の領域に前記少なくとも一方向に線形性を有する位相パターン及び前記空間的に非線形な位相パターンのうち他方を表示させた状態で、前記光検出素子により前記光強度分布を取得する第1の光強度分布取得ステップと、
    前記第1の光強度分布取得ステップにおいて得られた前記光強度分布に含まれる前記集光スポットの明瞭さに基づいて、前記変調面と前記波面センサとの対応関係を調整する調整ステップと、
    を備える補償光学システムの調整方法。
  2. 空間的に非線形な位相パターンを前記第1及び第2の領域に表示させた状態で、前記光検出素子により前記光強度分布を取得する第2の光強度分布取得ステップと、
    前記第1の光強度分布取得ステップにおいて得られた前記光強度分布に含まれる前記集光スポットの明瞭さに関する数値と、前記第2の光強度分布取得ステップにおいて得られた前記光強度分布に含まれる前記集光スポットの明瞭さに関する数値との差分を算出する差分算出ステップと、
    を更に備え、
    前記調整ステップの際に、前記第1の光強度分布取得ステップにおいて得られた前記光強度分布に含まれる前記集光スポットの明瞭さに代えて、前記差分算出ステップにおいて得られた前記差分に基づいて前記変調面と前記波面センサとの対応関係を調整する請求項1に記載の補償光学システムの調整方法。
  3. 前記調整ステップにおける前記変調面と前記波面センサとの対応関係の調整とは、波面歪み補償用の前記位相パターンを表示する際に前記変調面上に想定される位置座標と前記波面センサとの相対位置関係の調整である請求項1または2に記載の補償光学システムの調整方法。
  4. 前記調整ステップにおける前記変調面と前記波面センサとの対応関係の調整とは、前記波面センサの取り付け位置と、前記空間光変調器の取り付け位置との相対関係の調整である請求項1または2に記載の補償光学システムの調整方法。
  5. 前記複数のレンズの配列方向における前記第1の領域の幅が、前記複数のレンズの配列ピッチの(n/M)倍(但し、nは自然数であり、Mは前記変調面と前記レンズアレイとの間の光学系の結像倍率)である請求項1〜4のいずれか一項に記載の補償光学システムの調整方法。
  6. 前記空間的に非線形な位相パターンが、位相の大きさの分布が不規則であるランダム分布、および前記集光スポットを拡径するデフォーカス分布のうち少なくとも一つを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の補償光学システムの調整方法。
  7. 前記少なくとも一方向に線形性を有する位相パターンが、略均一な位相分布、少なくとも一方向に傾斜した位相分布、第1の方向においてシリンドリカルレンズ効果を有し、該第1の方向と交差する第2の方向において略均一である位相分布、及び、第1の方向において回折格子を構成し、該第1の方向と交差する第2の方向において略均一である位相分布のうち少なくとも一つを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の補償光学システムの調整方法。
  8. 変調面に入射した光像の位相を空間的に変調する空間光変調器と、
    複数のレンズが二次元状に配列されたレンズアレイ、並びに前記レンズアレイによって形成された集光スポットを含む光強度分布を検出する光検出素子を有しており前記空間光変調器から変調後の前記光像を受ける波面センサと、
    前記光強度分布から得られる前記光像の波面形状に基づいて前記空間光変調器に表示される位相パターンを制御することにより波面歪みを補償する制御部と、
    を備え、
    前記制御部が、前記複数のレンズのうちの一若しくは互いに隣接する二以上のレンズに対応させようとする前記変調面上の第1の領域に、少なくとも一方向に線形性を有する位相パターン及び空間的に非線形な位相パターンのうち一方を表示させ、前記第1の領域を囲む第2の領域に前記少なくとも一方向に線形性を有する位相パターン及び前記空間的に非線形な位相パターンのうち他方を表示させた状態で、前記光検出素子により前記光強度分布を取得し、該光強度分布に含まれる前記集光スポットの明瞭さに基づいて前記変調面と前記波面センサとの対応関係を調整する補償光学システム。
  9. 変調面に入射した光像の位相を空間的に変調する空間光変調器と、複数のレンズが二次元状に配列されたレンズアレイ、並びに前記レンズアレイによって形成された集光スポットを含む光強度分布を検出する光検出素子を有しており前記空間光変調器から変調後の前記光像を受ける波面センサと、前記光強度分布から得られる前記光像の波面形状に基づいて前記空間光変調器に表示される位相パターンを制御することにより波面歪みを補償する制御部とを備える補償光学システムにおいて、前記制御部の動作を制御するための補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体であって、
    前記補償光学システム用プログラムは、
    前記複数のレンズのうちの一若しくは互いに隣接する二以上のレンズに対応させようとする前記変調面上の第1の領域に、少なくとも一方向に線形性を有する位相パターン及び空間的に非線形な位相パターンのうち一方を表示させ、前記第1の領域を囲む第2の領域に前記少なくとも一方向に線形性を有する位相パターン及び前記空間的に非線形な位相パターンのうち他方を表示させた状態で、前記光検出素子により前記光強度分布を取得する第1の光強度分布取得ステップと、
    前記第1の光強度分布取得ステップにおいて得られた前記光強度分布に含まれる前記集光スポットの明瞭さに基づいて、前記変調面と前記波面センサとの対応関係を調整する調整ステップと、
    を前記制御部に実行させる、
    補償光学システム用プログラムを記憶する記録媒体。
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