JP6259173B1 - 伝送線 - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽電池によって得られた電力を高効率で伝送でき、かつ、生産性に優れた伝送線を提供する。【解決手段】伝送線4は、入出力端が互いに共通接続されたインナ導線4aおよびアウタ導線4bを有する。アウタ導線4bは、入出力端を除いて、インナ導線4aと電気的に分離されている。また、アウタ導線4bは、自己が螺旋状に巻回された形状を有すると共に、インナ導線4aの延在方向に沿って、インナ導線4aの外周に螺旋状に巻回されている。【選択図】図4

Description

本発明は、太陽電池によって得られた電力を伝送する伝送系に用いられる伝送線に関する。
例えば、特許文献1には、図18(A)に示すように、太陽電池によって得られた電力を伝送する伝送媒体が開示されている。この伝送媒体は、磁性体と、4本のライン#1〜#4(導線)とよって構成されている。入出力端が共通接続された直線ライン#1,#2は、その入力端が太陽電池の一方の電極に接続されていると共に、その出力端が負荷の一端に接続されている。入出力端が共通接続された曲線ライン#3,#4は、その入力端が太陽電池の他方の電極に接続されていると共に、その出力端が負荷の他端に接続されている。直線ライン#1,#2は、相互に離間配置されてほぼ平行に並設されている。曲線ライン#3,#4は、直線ライン#1,#2間に、ほぼ180度異なる位相でほぼ8の字状にそれぞれ巻回されており、これらの長手方向に繰り返されている。この伝送媒体の特徴は、曲線ライン#3,#4と、直線ライン#1,#2とが編み込まれた絡み部Pnにある。例えば、絡み部P1では、曲線ライン#3が直線ライン#2に、図面手前(すなわち上)側から奥(すなわち下)側に回り込むように折曲されて絡んでおり、その隣りの絡み位置P2では、上の直線ライン#1の下側から上側に回り込むように折曲されて絡んでいるといった如くである。
同図(B)に示すように、絡み部P0側の入力(in)から出力(out)側へ向けて電流iを通電すると、直線ライン#1と、曲線ライン#3,#4とによって囲まれた三角形状の各空間maにおいて、N極の垂直変動磁界が形成される。それとともに、直線ライン#2と、曲線ライン#3,#4とによって囲まれた三角形状の各空間mbにおいて、S極の垂直変動磁界が形成される。N極およびS極の垂直変動磁界は、直線ライン#1,#2の長手方向へ順次移動する。このような磁気的作用によって、伝送媒体は、各線#1〜#4を流れる電子を加速させる電子加速器として機能する。
また、特許文献2には、信号や電力の位相遅れや振幅減衰(電圧降下)の抑制を図るべく、上記特許文献1に記載された構造から磁性体を除き、4本のライン#1〜#4のみによって構成された伝送媒体が開示されている。
特許第4335974号公報 特許第4335974号公報
しかしながら、上述した従来技術では、伝送媒体を形成する際、複数の導線を編み込む必要があるので、生産性に課題がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、太陽電池によって得られた電力を高効率で伝送でき、かつ、生産性に優れた伝送線を提供することである。
かかる課題を解決すべく、本発明は、入出力端が互いに共通接続される第1の導線および第2の導線を有し、太陽電池によって得られた電力を伝送する伝送系に用いられる伝送線を提供する。第2の導線は、入出力端を除いて、第1の導線と電気的に分離されている。また、第2の導線は、自己が螺旋状に巻回された形状を有すると共に、第1の導線の延在方向に沿って、第1の導線の外周に螺旋状に巻回されている。
ここで、本発明において、絶縁線をさらに設けてもよい。この絶縁線は、第1の導線の延在方向に沿って、第1の導線の外周に螺旋状に巻回されている。この場合、第2の導線は、絶縁線の延在方向に沿って、絶縁体の外周に巻回されている。また、第1の導線は、互いに電気的に分離された複数の導線よりなる撚線であってもよい。さらに、第2の導線は、第1の導線よりも細いことが好ましい。
本発明によれば、螺旋状の延在する第2の導線に電流が流れることによって外部に磁界が励起される。第2の導線は、第1の導線の外周に螺旋状に巻回されているので、この外部磁界によって、第1の導線を流れる電流が加速される。これにより、太陽電池によって得られた電力を高効率で伝送することが可能になる。また、複数の導線の撚り合わせにて伝送線を形成できるので、生産性にも優れている。
太陽電池システムの構成図 伝送線の構成図 伝送線の概略的な断面図 伝送線の原理を示す模式図 出力波形の比較図 LC回路の構成図 弦振動のモードの説明図 ガラスのモデルの説明図 2個のモードの吸収を表すグラフ ωpの計算値を示す表 実際のアルカリ金属の低周波遮断波長の計算値と実測値を示す表 CLの推定分散関係を示すグラフ CL上の一点x=500cm位置での電場振動波形の例を示すグラフ DC+パルスの駆動力を示す波形図 パルスに含まれる周波数成分を示す図 駆動力ωL〜ωHには10個の集中モードが存在する場合の特性図 数値計算結果のプロット図 従来技術の説明図
図1は、本実施形態に係る太陽電池システムの構成図である。この太陽電池システム1は、太陽電池2と、インバータ等の負荷3と、太陽電池1によって得られた電力を伝送する伝送系として用いられる一対の伝送線4とを主体に構成されている。一方の伝送線4は、太陽電池2のカソード側(正極)の端子2aと、負荷3における一方の端子3aとの間に接続されている。また、他方の伝送線4は、太陽電池2のアノード側(負極)の端子2bと、負荷3における他方の端子3bとの間に接続されている。
図2は、伝送線4の構成図であり、図3は、その概略的な断面図である。この伝送線4は、それぞれに電流が流れるインナ導線4aと,アウタ導線4bを主体に構成されている。これらの導線4a,4bの一端は、端子2a(または2b)に共通接続されており、これらの他端は、端子3a(または3b)に共通接続されている。インナ導線4aは、伝送線4の中心軸に沿って延在している。本実施形態では、インナ導線4aとして、互いに電気的に分離された複数の導線を撚った撚線を用いている。ただし、インナ導線4aとしては、このような撚線構造に代えて、単一の導線を用いてもよいし、上述した特許文献1,2のような4本の導線よりなる構造体(伝送媒体)を用いてもよい。
アウタ導線4bは、インナ導線4aの延在方向に沿って、インナ導線4aの外周に螺旋状に巻回されている。また、このアウタ導線4bは、それ自体が螺旋状に巻回された形状を有している。このような螺旋形状は、アウタ導線4bそのものを間隔を空けて中空コイル状に巻回することによって形成してもよい。ただし、形状の安定性や生産性の観点でいえば、図1および図2に示したように、釣り糸等の絶縁線4cを用い、この絶縁線4cの延在方向に沿って、絶縁線4cの外周にアウタ導線4bを巻回することが好ましい。なぜなら、絶縁線4cがアウタ導線4bの芯材として機能すると共に、アウタ導線4b付きの絶縁線4cをインナ導線4aに巻回するだけで、図示した構造が容易に得られるからである。
アウタ導線4bは、入出力端2a,3a(または2b,3b)を除いて、インナ導線4aと電気的に分離されている。これらの導線4a,4bとして「電線」、すなわち、導線の外周がビニール等の絶縁体で被覆されたものを用いる場合、導線4a,4b間の絶縁性は自ずと確保される。しかしながら、本発明は電線に限らず、露出した導線を用いて伝送線4を形成してもよい。この場合、インナ導線4aの外周を絶縁体でコーティングした上で、アウタ導線4bを巻回するといった如く、導線4a,4b間の絶縁性を確保するための工程が必要となる。
インナ導線4aは、太陽電池によって得られた電力を伝送する本命的な役割を担っている一方、アウタ導線4bは、自己に電流が流れることによって磁界を励起する副次的な役割を担っている。このような役割の相違から、本実施形態において、アウタ導線4bは、メイン導線4aよりも細いものが用いられている。すなわち、アウタ導線4bの径をΦ2、インナ導線4aの径をΦ1とすると、Φ2<Φ1の関係となる。
また、伝送線4としての形状的な安定性等を高めるべく、インナ導線4a、アウタ導線4b、および絶縁線4cよりなる構造体の外周は、絶縁性の材料よりなる被覆層4dによって被覆されている。
なお、後述する磁気的作用の関係から、太陽電池2の正極側に接続される伝送線4と、太陽電池2の負極側に接続される伝送線4とでは、アウタ導線4bが対称形になるように用意される。
図4は、伝送線4の原理を示す模式図である。上述した特許文献1,2に開示された伝送媒体は、自分で磁界を励起し自身の電流を加速させる「自励式」の伝送線路であるのに対し、本実施形態に係る伝送線4は、「一日トータルで発電量が向上すれば良い」という考えから、太陽電池2の出力の一部を外部磁界の励起のために使い、インナ導線4aを本来の電力伝送用途とする「他励式」の伝送線路ということができる。この構成では、螺旋状の延在するアウタ導線4bに電流が流れることで励起された外部磁界により、インナ導線4aを流れる電流が加速される。インナ導線4aが単線の場合には、表皮電流のみが加速され、撚線の場合には、中心軸に沿って仮想電流が生じる。アウタ導線4bは、インナ導線4aと比べて配線が長くなる分だけ出力が低くなるが、これも最終的にはインナ導線4aの出力と合わせて発電電力として利用する。これにより、太陽電池によって得られた電力を高効率で伝送することが可能になる。また、インナ導線4aおよびアウタ導線4bを一体化する際、基本的に、導線4a,4bの撚り合わせにて伝送線を形成でき、これらを編み込む必要がない。したがって、伝送線4としての生産性にも優れており、容易に大量生産することが可能となる。
図5は、伝送路の長さを29mで実験した場合における一般電線と本実施形態に係る伝送線4との出力波形の比較図である。同図(a)に示すように、一般電線では、エネルギーを伝送すると、実線で示す入力波形に対して、破線で示す出力波形のように電圧が降下し、かつ、伝達時間の遅延が生じる。これは、距離に比例して直流抵抗やインダクタンスが発生すること、および、インピーダンスを補正しないと信号の反射が起きて真のデータ転送の妨げになってこと、つまり、伝送線上において減衰と遅延が発することに起因するものである。これに対して、同図(b)に示すように、伝送線4では、電圧が殆ど降下せず、伝達時間の遅延も殆ど生じない。このことから、伝送線4は、ロスの少ないエネルギー伝送、特に、太陽光発電関連事業の伝送線に適していることが理解できる。
このように、本実施形態によれば、螺旋状に巻回された第2の導線に電流が流れることによって外部に磁界が励起されると共に、この外部磁界によって、第1の導線を流れる電流が加速される。これにより、太陽電池によって得られた電力を高効率で伝送することが可能になる。また、従来技術のように複数の導線を編み込む必要がなく、これらの撚り合わせによって伝送線を形成できるため、生産性にも優れている。
つぎに、本実施形態に係る伝送線4(以下、「CL(Carrier Line)」と称する。)にパルス状HFV(High Frequency Voltage)が重畳された駆動電圧(以下、「「SV( Solar Voltage)と称する。)を与えた場合における負荷応答特性について、実験事実および良く知られた物理法則のみから定性的に詳述する。
(1)アナロジーと分散関係
一般に、物理系は、同一形式の微分方程式で記述されることが多い。電気系と機械系のアナロジーとして電流をドライブフォース(力)に、ばね(剛性)をインダクタンス(L)の逆数に、質量を電気容量(C)に、摩擦を電気抵抗(R)に対応させている。別の流儀では、電圧を力に、インダクタンスを質量に、電気容量をばね(剛性)の逆数に対応させるやり方もある。機械的単振子は、以下の数式1で表される。
(数式1)
ω=√(k/m) (1)
したがって、Cannon流のアナロジーを用いれば、ばね定数kを1/Lで、mをCで置き換えると、図6に示すLC回路の振動数は、以下の数式2で表される。
(数式2)
ω=√(1/LC) (2)
結合されたLC回路網は、結合された振動子とのアナロジーを用いて、その特性を解析することができる。また、分布したLC回路網は、弦とのアナロジーを用いて解析することができる。振動系の配置が与えられたとき、その運動方程式から固有方程式を導いて解くと、モードとその強度を求めることができる。結合された2個のLC回路網は、以下の数式3に示すように、2個のモードのうちの一つは、1個のLC振動子と同じであり、他方はそれの√(3)倍である。したがって、単一のLC振動子に共振するモードω1の外的駆動力に対しては、全く同じ動作を行う。
(数式3)
ω1=√(1/LC)
ω2=√(3/LC)
さて、多数の結合されたLC振動子で構成される回路網を解析するためには、振動子の自由度をNとすると、N×Nの固有値方程式からN個のモードを求める必要があるが、これは一般的には不可能である。そこで、多数の連結された振動子を拡張したバイオリンの弦とのアナロジーを用いて解析を進めることにする。バイオリンの弦の場合は近似として倍音構造が成立している。つまり、図7に示すように、波長が半分の振動の周波数は倍になる。これを角周波数ωnと角波数knの関係として表すと便利である。理想化された弦ではωnはknに比例する。ωn=αkn。αは振動が伝達する速さを表す。倍音構造では、その基準周波数をω1とするとき、共振周波数、つまりモードは離散的で、ωn=nω1である。真空中の電磁波ではαは光速度cである。一般的には、角周波数ωは角波数kの関数で、これを分散関係 (Dispersion Relation)といい、物理学において重要な意味を持つものである。例えば、真空中では電磁波は正弦波で、その速さcと周波数νと波長λの間に、c=νλという関係を保ちながら進行する。真空は非分散性(どのような波長の電磁波も同じ速度で伝播する)であるが、以下の数式4の関係を真空の分散関係ということにする。
(数式4)
ω=ck 真空の分散関係
分散関係は一般の媒質中、例えば、ガラス中や分子中、金属中または電離層の中では別の形をとる。そこでωをkの関数として以下の数式5で表す。ここで、c、α、β、・・は、角波数kには無関係な定数で、振動系を構成する材質、張力、質量などで決まる量である。理想化された弦や真空中の電磁波では、kの一次の係数α以外は0となる。
(数式5)
ω=Φ(k)
=c+αk+βk2+γk3+・・・(多項式展開)
バイオリンを例にとって、上記数式5の分散関係をもう少し定性的、感覚的に考察する。バイオリンの音は音叉の音よりも調和(協和)しているように聞こえる。音叉の音は無味乾燥(音叉を鳴らして直接聞くか、発信機でサイン波を出してスピーカで聞いてみるとよい。ちなみに時報もそうである)であるが、これが単振動の音であり、純音といわれる。純音に対して、長さの違う複数の弦を同時に鳴らした場合の音は複合音(合成音)といわれる。複合音には聞いて気持ちの良い調和音(協和音)とそうではない不協和音がある。ピタゴラスは、調和音(ハーモニー)は、弦の長さが整数比であるときに生じることを発見した。バイオリンは一本の弦でも、分散関係による複合音(ほぼ、調和音)を生じさせるのである。この時、モード1、すなわち基本周波数が音の高さとなり、その他のモード、すなわち倍音構造が音色を決める。つまり、分散関係が、音質を決めているのである。バイオリンの名器例えばストラディバリの音色も分散関係、つまり振動系を構成する材質、形状、張力、質量、糊、ニスなどの全ての構成要素とその組み合わせによるのである。
(2)CLの分散関係の推定
CLでも、上記数式5の分散関係は、振動系を構成する金属材料、回路形状、被服物形状糊、ニスなどの全要素の組み合わせで決まる。電子回路中では振動する要素は電子または時によってはイオンであるから、これらがどのように振動するのかを考察しなければならない。錘の振動は錘を平衡位置からずらして離すことにより励起される。音叉は叩いたり別の音を鳴らすことにより励起される。バイオリンの音は叩いたり弾いたり弓で弾くことにより励起される。CL中の電子は電場(電界・電圧)によりその振動が励起される。電子は電場により加速度を得て運動する。しかし電子がどの程度動き易いかによって、その運動特性が大きく変化する。また、電子は加速されると電磁波を放射しエネルギーを散逸する。これらが上記数式5の分散関係に大きく寄与する。電子がイオンに束縛されているような誘電体の場合は、電子はイオンの周りを、電磁波を放射してエネルギーを散逸しながら個々に微小振動する。ガラスが典型的な例で、上記数式5の分散関係により透明であったり、色づいたりする。実は分散関係は、ガラスの引き起こすこの現象から名づけられた。また、音に色が付く、つまり音色という言葉も、自然な感覚とこの現象に由来しているのである。電子が自由に動けるような金属の場合は、電子はイオンの電場の影響を受けつつ集団で運動する。金属、電離層、プラズマなどが典型的な例である。電子が束縛されている場合と自由である場合は両極端の例である。
(2−1)電子がイオンに束縛されている場合
CLの分散関係を理解するための基礎としてまず、ガラスなどの誘電体の振動現象を考察する。もちろんガラスの機械的振動ではなく、電気的駆動に対する振動を考察するのである。振動を引き起こす電気的駆動はこの場合振動電場である。パルス状電界も振動を励起するが、この振動はすぐに減衰して消滅する。継続的振動は交番電場つまり電磁波により励起される。ガラスでは、電子(質量m、電荷−e)とイオン(質量M、電荷e)が硬く束縛されており、イオンは重いので、電子がイオンの周りを振動する。そのモードを求めてみる。
図8に示すガラスのモデルにおいて、イオンと電子の距離をaとすると、これらはクーロン力F=−e2/a2で引き合っている。したがって、単位変位、単位質量当たりの復元力、すなわち電子の角周波数ω2は、以下の数式6で表される。
(数式6)
ω2=e2/(m・a3
したがって、電子の振動数νeは、以下の数式7で表される。
(数式7)
νe=ω/2π=1/2π・√(e2/(m・a3))
また、電子の振動波長λeは、以下の数式8で表される。
(数式8)
λe=c/νe (cは電磁波の速さ)
数値を代入して電子の振動モードの波長λeを計算する。c=3×1010cm/sec, e=4.8×10-10e.s.u, m=9×10-28g, a≒10-8cm を代入すると、波長λeは、以下の数式9で表される。
(数式9)
λe≒1.18×10-5 cm≒120 nm
すなわち、電子の共振モード波長は、紫外線の領域にある。イオンの振動モードは上記数式7の電子質量mの替わりにイオン質量Mを代入すれば得られる。M≒1.7×10-24gであるからvI,λIは、以下の数式10で表される。すなわち、イオンの共振モード波長は、赤外線の領域にある。
(数式10)
νI=ω/2π=1/2π・√(e2/(M・a3))
λI≒1500 nm
さて、ガラスが実際に示す性質とこれら2個のモードとの関係を考察する。ガラスは可視光の領域では透明である。また、赤外線や紫外線に対しては不透明になる。図9は、2個のモードの吸収を表すグラフである。Aabが吸収を示しており、Γは負荷である。吸収の大きさと吸収線の幅は負荷に依存する。
電子のモード、つまり高い周波数モードωeと、イオンのモード、つまり低い周波数モードωIとの間の電磁波(光)ωI<<ω<<ωeでは、エネルギーの吸収は発生せず、それより低い周波数ω<ωIおよび高い周波数ω>ωeの電磁波(光)はガラスを通過できないし吸収もされない。吸収はこれら二つのモードの近傍のみで起きるということが分かる。これを共鳴吸収という。2個のモード(これをω1とω2:ω1<ω2とする;図10)の系の結論として、以下の結果(A)〜(C)が理解できる。これらはガラスの既知の特性と推論から導かれたものであるが、CLの分散関係を理解するための基礎として重要なものである。
(A)入力はω1とω2の近傍で大きく吸収される。
(B)ω1<<ω<<ω2の範囲では吸収・反射はほぼ零で、これを、系は分散的に振舞うという。「分散的」のニュアンスは、プリズムが光を吸収も反射もせず、ただ周波数(波長)によってその屈折率が変わり、透過光が虹のように色づくこと(これを光の分散と呼ぶ)のアナロジーである。
(C)ω<<ω1およびω2<<ωでは、系は入力に応答しない。ω1を「低域遮断周波数」といい、これより低い周波数領域を「低周波リアクティブ領域」という。また、ω2を「高域遮断周波数」といい、これより高い周波数領域を「高周波リアクティブ領域」という。この領域では系は入力に応答しないので、別の作用が引き起こされる。
(2−2)電子が比較的に自由な場合
金属、電離層、プラズマ内部での振動のように、電子が比較的に自由な場合の振動特性および分散関係(Dispersion Relation)について考察する。電子が比較的に自由な場合、振動特性の最低のモード、すなわち基準モードは、電子全体が集団で同一の振動をするものである。例えば、2個の錘の振動では、この2個が同一の動きをするモードが最低のモードであった。2個が別々の動きをする場合は、そのモードはもっと高い周波数となる。ガラスの場合は電子が個々にほぼ同一の振動をするモードがωeで、イオンが個々にほぼ同一の振動をするモードがωIであるが、ガラスの場合は電子とイオンの束縛が厳しく、勝手気ままな振動モードは励起できない。しかし、電離層や金属では電子は個々に比較的自由に動けるので、もっと高い周波数のモードが数多く存在するのである。まず、電子の集団運動のモードは、電子系の運動方程式を解くことにより、以下の数式11で表される。
(数式11)
ωp=(4πNe2/m)1/2
ここで、ωpは、プラズマ振動の角周波数といわれる。また、このモード自体をプラズマ振動という。ここで、Nは電離層の電子数密度、eは電荷、mは電子質量である。電離層の電子数密度は地表からの高さや時間によって変化する。また、太陽風や磁場によって変動する。電離層では、昼の電子密度N=1010個/cm2程度であり、eとmは前節にも示したようにe=4.8×10-10e.s.u, m=9×10-28gであるから、典型的なプラズマ周波数はνp=ωp/2π ≒30 MHzである。
さて、電離層のプラズマ周波数は、νp=10〜30 MHz程である。これよりも低いAmラジオの放送周波数、例えば1000kHzで駆動すると、電離層はこれを反射する。これを利用して、電離層を電波に対する鏡のように用いて目に見えない受信者に信号を伝送することが行われてきた。この点を詳述すると、この周波数に対して電離層はリアクティブ媒質として作用する。電磁波動は電離層に入ると指数関数的に減衰する。電離層が得たエネルギーは次のサイクルで戻される。従って、単純に電離層はこれを反射するといってよい。このことから、νpが低周波遮断周波数であることがいえる。FMやTV放送の周波数は100MHz程度で、これはνpよりも十分に高周波であるので、電離層は分散性媒質として振舞う。またはFMやTV放送周波数に対して電離層は透明である。従って、この場合は電離層を電波に対する鏡のように用いて目に見えない受信者に信号を伝送することはできない。つまり、FMやTV放送は直視できる範囲に限られるのである。これらの内容は上述した結果(A)〜(C)に対応する。
つぎに、電離層のプラズマ周波数より高い周波数に対する振る舞いについて考える。我々は夜空を見上げて赤や青に光る星を見ることができる。つまり、電離層は可視光に対して透明である。したがって、少なくとも青色の振動数1015=109MHzよりも高い高周波遮断周波数を持つ。また、紫外線を有る程度吸収することが知られている。しかし、それよりも波長の短いX−線やγ―線も吸収はされながらも、電離層を透過して地表に届いていることも知られている。つまり、高周波遮断角周波数は、γ―線の振動数1023よりも高いので、真空と同じとしてこれを無視することにする。つまり、電離層は低周波遮断角周波数ωpを持ちながらも、それよりも高周波に関しては真空のように振舞うとして分散関係の推定を行う。真空は上記数式4からω=ckであるから、以下の数式12を仮定する。
(数式12)
ck=√(ω2−ωp2
これは、ω>>ωpであれば真空と同じ分散関係ω〜ckとなる。またω<ωpの時は、kは純虚数であるから、電離層はリアクティブとなる。もう少し精密な分散関係は、以下の数式13で表される。
(数式13)
ω>ωpの時 ω2=ωp2+(ck)2
ω<ωpの時 ω2=ωp2―(ck)2
さて、電離層に関するこれらの事実を感覚的に言葉で言い表してみる。電離層は、ωpよりも相当に高い周波数に対しては透明であるが、これはこのように高い周波数に対してつまり、電場の向きの変動に対して電子がついていけなくなり(運動を起こす暇がなく)電流が無視されて、電磁波は電流の生じないところ(電荷の散在しないところ)を進むかのように、つまり真空中であるかのように進行する。逆に、ωpよりも低い周波数に対しては電場の向きの変動に対して電子が十分についていくことができ、電離層内の電場の変動を打ち消すように電子が配置を変えて(電流が発生して)、電離層内への電磁波の進入を阻止しようとするということで説明される。
さて、CLは金属が主な要素であるから無論金属の性質を合わせ持っているはずである。金属も固体内電子プラズマの現象を引き起こす。例えば、金属は光を透過せずに反射する。これは、金属内電子プラズマの低周波遮断周波数が可視光の振動数よりも十分に高く、可視光以下の領域はリアクティブであることを意味している。図10において、ωpは、上記数式11による計算値である。
電子数密度が高いものはアルカリ金属(Li, Na, K, Rb, Ca)であり、電子数密度が低い金属は電離層と同じレベルである。図11に、実際のアルカリ金属の低周波遮断波長λpの計算値と実測値を示す。
紫の波長が4000Åであるから、アルカリ金属は紫外線より短い波長の電磁波に対しては透明になる。このことから、CLが電離層と金属との性質を合わせ持ったような特性を示すことが理解できよう。
(2−3)CLの分散関係
CLがω>ωpの高周波領域では電離層と同じ分散関係を持つことを仮定したが、これを確かめるためには、ω>ωpであるような高周波電界はCL上を光速度で伝わるということを実験で確かめる必要がある。幸いにも、このような実験は実施済みでCL上の伝播速度は計測プローブの遅延時間以内であるということであるから、これは確立されたものとする。そこで、ω>ωpである場合は、CLの分散関係として、上記数式10を採用する。しかし、ω<ωpの時にも電離層のモデルを採用することはできない。なぜなら、このモデルでは電界は指数関数的に減衰してしまうからであり、これは実験事実に反する。金属の場合(平行線や平面)はω<ωpの電磁波は反射される。しかし、外部電界、つまり電圧で強制駆動すれば、電子が自由に追随できるので、オームの法則に従う電流が流れる。CLはその構造と実験事実によりDC〜極低周波ではオームの法則に従うが、周波数が増すに従い分布した共鳴点を持つようになると考えられる。そこで、CLの分散関係として、ω>ωpの高周波領域では電離層と同じ分散関係を採用し、ω<ωpの時にはLとCが多数連結された結合LC回路網の分散関係を採用する。
この点について、少し解説する。錘の付いた紐の横振動に複数の玉の付いた弦に対する分散関係は、以下の数式14で表される。
(数式14)
ω(k)=ωmax sin(ka/2)
ここで、aは玉の間隔である。そこで、アナロジーから、ω<ωpの時のLC回路網の分散関係としては、以下の数式15を仮定する。こうすれば、kΘが0からπ/2間で変化する時、ωは0からωpまで変化する。Θは玉の間隔とのアナロジーから、CLに固有のパラメータであり、CLの共振体が集中する長さの半分であると考えることができる。
(数式15)
ω(k)=ωpsin(kΘ)
ゆえに、CLの分散関係は、以下の数式16で表される。
(数式16)
ω>ωpの時 ω=√(ωp2+(ck)2
ω<ωpの時 ω=ωpsin(kΘ)
図12は、CLの推定分散関係を示すグラフである。CLの実測から、νp≒30MHz であるからλp=103cmであり、kpΘ=π/2となることから、kpΘ=2π/λp・Θ=π/2 よって、Θ=λp/4≒250cmである。CLは上図に示すようなほぼ連続的な共振周波数を有している。そこで、CLはω>>ωpでなければ、いたる所に共振周波数を持つ分散性媒質であるといえる。無論、DC〜極低周波では共振モードが存在せず、オームの法則に従う金属線として振舞う。実験ではこの周波数は約1Hzである。
(2−4)CL内の波動
上記(2−3)でCLの分散関係、つまりモードが推定できたので、CL内の波動形状は、これらのモードの重ねあわせとして求めることができる。このためには、波動を数式で表して全てのモードを重ね合わせればよい。モードが離散的でN個あるとし、これをω1のモードが強さA1で、ω2のモードが強さA2で、ω3のモードが強さA3で----ωNのモードが強さANであるとするならば、CL内の波動ψは、以下の数式17〜19で表される。
(数式17)
ψ(x, t)=A1exp{i(k1x―ω1t)+A2exp{i(k2x―ω2t)+・・・
(数式18)
ωn<ωpの時 ωn=ωpsin(knΘ)
(数式19)
ωn>ωpの時 ωn=√(ωp2+(ckn)2
ここで、ωn<ωpであるとして、上記数式18を上記数式17に代入すると、以下の数式20が得られる。
Figure 0006259173
あるいは、もっと初等的な記述として、錘の付いた紐の横振動の式である以下の数式21を用いれば、上記数式20は、以下の数式22で表現される。
(数式21)
ψ(x, t)=A(x)cos(ωt+φ)
A(x)=Asin(kx)+Bcos(kx)
Figure 0006259173
j,Bj,φjは、初期条件ψ(x, 0)、ψ’(x, 0)及び境界条件ψ(0, t)等が与えられれば決まる。CLではモードが連続的であると見做してもよいとすれば、上記数式20を用いると、CL内の波動ψは、以下の数式23で表される(勿論、計算の結果は、上記数式22のリアルパートである。)。こうして、上記数式17の分散関係をもとに、CLの自由振動が推定できた。
(数式23)
ψ(x, t)=∫A(k)exp{i(kx―ωpt sin(kΘ))}dk
図13は、CL中の自由振動の空間分布をx=500cm, t=10-4sec〜3×10-3secで描画した一例を示すグラフである。各モードの振幅Ajは不明なので、等しくしてある。また、このグラフは、CLのインパルス応答(過渡応答といってもよい。)でもある。CLにインパルスを与え、その減衰時間以内(おそらく10-3sec以内)で観察すれば、これに似た振動(インパルス応答:過渡応答)が観察できよう。
(3)強制振動(外部駆動力)に対する応答
ある系が自由振動のモードを持っているとき、その振動数と同じ振動を外部から加えれば、系は共鳴という物理現象を引き起こす。音叉の共鳴箱が典型である。この場合の共鳴箱の自由振動モードは、音叉と同じであればよい。ピアノやバイオリンでは、その共鳴版はピアノやバイオリンの弦の全てに共鳴しなければならない。したがって、共鳴版は、楽器の発生周波数の全域にわたって、振動モードを持つ必要がある(楽器では振動弦から共鳴版に音を伝える部分を駒と言うが、これの伝達特性も大事である。)。このように共鳴が起きると、振動は増幅される。これを物理学的に表現すると、弦が外部駆動力、共鳴版が伝達系、空気が負荷であり、最終的には空気になるべく多くの振動エネルギーを伝えることが楽器の目的である。つまり、負荷に与えられるパワーは共鳴系の方が非共鳴系よりも大きいということは、楽器の例からも明らかであろう。
CLは、外部駆動電力を負荷まで伝達する共鳴系である。CL共鳴系の方が、非共鳴系である一般の電線よりも、負荷に伝えるエネルギーが大きいということは、これまでの説明からほぼ自明のことと思われる。しかし、多少の数式を用いてこれを説明してみる。
まず、唯一個の共鳴系、すなわち、外部駆動起電力V、一個の振動体(電子;質量m、電荷e)、負荷からなる系の運動方程式は、以下の数式24で表される。ここで、mは電子質量、σは負荷係数、qは電子の振動を引き起こす復元力の係数である。また、「‘」という表記は、時間微分を表す。
(数式24)
mx'’+ σx’+ qx=eE
また、上記数式24について、Γ=σ/m、ω02=q/mで置き換え、振動effective field EをE0cos(ωt+α)とすると、以下の数式25が得られる。
(数式25)
x'’+ Γx’+ ω02x=eE0cos(ωt+α)/m
外部から加えられた電界Vは、物体内部では、effective field Eとなる。すなわち、以下の数式26とした。
(数式26)
Γ=σ/m、ω02=q/m
E=E0cos(ωt+α)
微分方程式の解を以下の数式27と仮定して、上記数式25に代入すると、以下の数式28に示すように、係数A=Aab,係数B=Aelの場合に、数式27が微分方程式である上記数式24の解であることが分かる。
(数式27)
x=Asinωt+Bcosωt
Figure 0006259173
ここで、A=Aabは、エネルギー吸収を表している。振動の1サイクルで電力の平均Pを計算すると、以下の数式29が得られる。
(数式29)
P=<eEx’>=eE0ωAab/2
共鳴周波数 ω=ω0 では、Ael=0であり、以下の数式30で表される。
(数式30)
Aab=eE0/(Γmω0)
共鳴周波数が2点あれば、個々の共鳴周波数の所で同じような現象が引き起こされ、モードが2個の場合の図9に示したグラフとなる。モードが1個の場合は、左半分を見ればよい。一般の伝送線では、振動を引き起こす復元力 ω02x が存在しない。つまりω0=0である。この時は駆動電圧 E=E0cos(ωt+α)に対する応答として、上記数式27にω0=0を代入したものをLとすれば、以下の数式31が得られる。
(数式31)
L=eE0Γ/[m(ω3+ωΓ2)]
CLと一般の線路Lとの電力吸収の比は、共鳴周波数の所で以下の数式32となり、CLの方が一般の電線より(ω0/Γ)2だけ大きくなる。
(数式32)
CL:L=Aab/L=1+(ω0/Γ)2
さて、CLは、多数の共鳴周波数(モード)を持っているので、殆ど全ての外部駆動周波数に対して共鳴し、上の議論が成り立つと考えられる。ここで、負荷Γについてもう少し深く考察する。負荷Γは、入力電力を消費するものである。外部負荷も勿論のこと、CL自体も負荷の一部となるべき電気抵抗を持っている。さらに、電子の振動により電磁波が発生する。これはローレンツ摩擦と呼ばれる負荷となる。これは振動数の4乗に比例するようなものである。したがって、負荷Γは、0になることはできない。実験によれば、CL:Lは周波数に依らないということである。そこで、CLの共鳴モードでは、そのeffectiveな負荷Γは全ての効果を合算した場合、そのモードに比例すると仮定する。この仮定は観測によるものであるが、ほぼ納得できるであろう。なぜなら、激しく振動するものは、より多くの抵抗を受けるであろうからである。あるいは、流体中の抵抗は物体の速さに比例することのアナロジーとして考えれば納得できる(空気抵抗は物体の速さに比例するが、ジェット機並みの速さの時は速さの2乗に比例する。)。
このようにしてeffectiveな負荷Γが角周波数ωの関数であるとし、また、以下の数式33であるとし、ω=0ならΓe=Γ0であり、ωが0でなければΓe(ω)≒γω であるとすれば、数式33を上記数式32に代入し、CLは、ほぼ全ての駆動周波数に共振するとして、エネルギー吸収の比は、数式34で表現することができる。
(数式33)
Γe(ω)≒Γ0+γω γω>>Γ0
(数式34)
CL:L=Aab/L=1+(1/γ)2
例えば、CLがLに比べて3%の電力伝達率の向上、つまり実験値が示すように、負荷による電力吸収が3%増加したとすれば、1/γ2=0.03から、γ=5.77 eff ということにする。effは「effective friction」の略とする。γが小さいほど電力伝達率の向上が図れる。γは、以下の数式35として計測することができる。
(数式35)
(Γe(ω)―Γ0)/ω
以上の事柄は、CLを含む回路を単一周波数で駆動した場合の解析である。その基礎となるものは実験事実と基礎物理学である。
(4)パルス状HFV(High Frequency Voltage)に対する応答
CLと負荷として、図14に示すようなDC+パルス状の外部起電力を印加したとする(Δt=10ns)。外部起電力が駆動力として、CLおよび負荷を駆動するが、この場合、どのような周波数成分が駆動力に含まれているかを知る必要がある。このためには駆動力のフーリエ成分を求めればよい。
図15は、パルスに含まれる周波数成分を示す図であり、図14の波形のフーリエ変換結果を示す(DC〜10MHz)。これを見れば、殆ど全周波数に亘る正弦波駆動力があることがわかる。
図14に示した駆動力をF(t)とする。また、振動数ωを持つ振動成分F(ω)は、以下の数式36で表される。
(数式36)
F(ω)=∫F(t)e−iωtdt
そうすると、上述した数式24から、以下の数式37であるとすれば、モードωが受け取る(吸収する)エネルギー(パワー)P(ω)は、以下の数式38となる。
(数式37)
F(t)=eE0cos(ωt+α)/m
(数式38)
P(ω)=|∫cos(ωt+α)e−iωtdt|2 (eE0/m)2
モードが連続であるという仮定の下では、全吸収パワーPは、以下の数式39にて与えられる。
(数式39)
P=∫P(ω)dω
CLとLの比較は、簡単にできる。1個のモードωに対して1/γ2だけ効率がアップするのであるから、N個のモードが存在する場合には、CLはLに対してN/γ2だけ効率が上がる。実験データはγ=5.77を示しているから、図16に示すように、N=10ならば30%のエネルギー効率のアップが期待できるはずである。実測では30%のエネルギー効率のアップが確認されている。この10個のモードが駆動力のフーリエ成分に含まれているとすれば、実験で確かめられた事実を説明することができる。なお、この10個の集中モードは、入力波数エリアに平均的に分布されているとしてもよい。CLと異なり、Lはモードを持たないので、パルス状エネルギーの蓄積ができない。
図17に、上記数式38および上記数式39に基づき数値計算してプロットしたものを示す。ただし、入力は図14に示すHFVの数値である。電気抵抗は無視している。計算の結果に定量的意味はなく、あくまでも定性的なものである。
(5)結論
以上のとおり、CLにパルス状HFVが重畳された駆動電圧を与えた場合の負荷応答特性が解明された。
1 太陽電池システム
2 太陽電池
3 負荷
4 伝送線
4a インナ導線
4b アウタ導線
4c 絶縁線
4d 被覆層

Claims (4)

  1. 太陽電池によって得られた電力を伝送する伝送系に用いられる伝送線において、
    第1の導線と、
    入出力端が前記第1の導線と共通接続され、前記入出力端を除いて、前記第1の導線と電気的に分離されており、自己が螺旋状に巻回された形状を有すると共に、前記第1の導線の延在方向に沿って、前記第1の導線の外周に螺旋状に巻回された第2の導線と
    を有することを特徴とする伝送線。
  2. 前記第1の導線の延在方向に沿って、前記第1の導線の外周に螺旋状に巻回された絶縁線をさらに有し、
    前記第2の導線は、前記絶縁線の延在方向に沿って、前記絶縁体の外周に巻回されていることを特徴とする請求項1に記載された伝送線。
  3. 前記第1の導線は、互いに電気的に分離された複数の導線よりなる撚線であることを特徴とする請求項1に記載された伝送線。
  4. 前記第2の導線は、前記第1の導線よりも細いことを特徴とする請求項1に記載された伝送線。
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