JP6258202B2 - がん療法における標的リポソーム - Google Patents

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Description

2011年9月8日に出願の米国特許出願第61/532,430号への優先権が主張され、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、治療薬及び診断薬の標的細胞内送達を含む、治療薬及び診断薬の標的送達のための組成物及び方法、並びに過剰増殖性疾患の処置に関する。
化学療法薬による過剰増殖性障害(例えば、悪性及び良性の腫瘍)の処置の効果は、以下を含むいくつかの重大な障壁によって制限される:i)正常組織及び腫瘍組織に対する薬物の非特異的毒性;ii)標的細胞への薬物送達の非効率性;及びiii)薬物の不適当な放出。結果的に、多くの化学療法薬は治療係数が低いことを特徴とし、したがって、比較的高い用量の薬物が必要とされ、それは次に重篤な副作用をもたらす。このように、標的細胞への化学療法薬の送達のためのさらなる標的送達系が開発されたならば、化学療法の望ましくない側面の多くを解決するであろう。本発明は、シスチン/グルタミン酸交換に特異的な系x ヘテロダイマーアミノ酸輸送体の形質細胞膜構成成分の異常に高いレベルを発現する細胞を薬物の標的にすることによって、その必要性に対処する。
系x は、腫瘍環境に存在するものなどの低酸素条件の下での細胞生存にとって重要である抗酸化物、グルタチオン(L−γ−グルタミル−L−システイニルグリシン、以下「GSH」と呼ぶ)の合成のためにL−シスチンを必要とする、細胞の細胞内コンパートメントにL−シスチンを移入する。系x 移入物の構造は、輸送体にそのシスチン特異性を与える触媒サブユニットSLC7A11、及び調節サブユニットSLC3A2で構成される。SLC7A11及びSLC3A2は、当分野でそれぞれxCT及び4F2hc/CD98としても知られる。
腫瘍細胞及び異常に速く分裂又は分化する他の細胞は、より高いレベルの酸化的ストレスを処理するためにより多くの量のGSHを必要とするので、そのような細胞は、シスチンの移入のために正常な条件下の正常な細胞が発現するよりも多くの系x の構成成分を発現する。このように、本発明は、標的細胞の系x の構成成分への送達ビヒクルを媒介するために、シスチンを組み込む薬物及び診断用送達ビヒクルを提供することによって、過剰増殖性細胞による系x の構成成分の発現の増加を利用する。
本発明は、過剰増殖性疾患の処置のための治療薬及び診断薬の標的送達のための、医薬組成物を提供する。様々な実施形態で、本発明は、標的とする構成成分及びカーゴ構成成分を含有する、治療薬又は診断薬又はその両方の標的送達のためのビヒクルを提供する。標的とする構成成分は、治療薬若しくは診断薬若しくはその両方であってよいカーゴ構成成分に、又は治療薬及び若しくは診断薬若しくはその両方を含有するナノ粒子組成物に結合しているシスチン分子である。様々な実施形態では、ナノ粒子組成物は、リポソームに封入された治療薬又は診断薬である。
本発明は、治療薬又は診断薬又はその両方の細胞内送達のために過剰増殖性疾患細胞を標的とすることによって、過剰増殖性障害を処置する方法も提供する。様々な実施形態では、本発明の方法は、治療薬又は診断薬の細胞内送達を達成するために、本発明のビヒクルの有効量を投与し、ビヒクルは細胞内送達のためにカーゴに結合されるシスチン分子を含み、カーゴは治療薬成分であるか、治療薬又は診断薬又はその両方を含む組成物である。
シスチンコンジュゲートリポソームに封入されたダウノルビシン(DNR)の構造を表す図である。図は、シスチン分子のNatta投影を表す。
がん組織でのナノ粒子、例えばリポソームの強化された透過性及び保持を表す図である。(1)は、健全な組織で血管の内皮を透過することができないナノ粒子を表す。(2)は、正常な内皮を表す。(3)及び(4)は、腫瘍組織の血管からのナノ粒子の溢出を表す。
シスチン/グルタミン酸輸送体系の機能図を表す。(1)は、輸送体のSLC3A2サブユニットを表し、(2)は、輸送体によるシスチンの細胞移入を表し、(3)は、輸送体のSLC7A11サブユニットを表し、(4)は、輸送体によるグルタミン酸の移出を表す。
A549細胞についてのDNRの標準曲線(DNR濃度に対する吸光度)を示す図である。
フローサイトメトリー分析で測定された蛍光強度に基づく、A549細胞による、以下のいずれかの形のDNRの10μm及び5μmの相対的細胞取り込みの棒グラフを示す:(1)遊離DNR;(2)リポソームDNR;及び(3)シスチン−リポソームDNR。グラフは、フローサイトメトリーデータに基づく、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度(MFI)を表す。細胞のDNR取り込みは、10μMの遊離DNRに対する、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度として表される。平均及びS.E.Mを示す(***5μM及び10μM濃度での遊離DNRに対するシスチン−リポソームDNRについてp<0.001、n=3;+++5μM及び10μM濃度でのリポソームDNRに対するシスチン−リポソームDNRについてp<0.001。)
以下のいずれかで処置されたA549細胞によるDNR取り込みのヒストグラムを示す:(1)シスチン−リポソームDNR;(2)非シスチン−リポソームDNR;(3)遊離DNR;又は(4)無。全てのDNR製剤は、10μmのDNRを含有した。(n=3)。DNRの細胞取り込みは、蛍光強度と相関する。
以下のいずれかで処置されたA549細胞によるDNR取り込みのヒストグラムを示す:(1)シスチン−リポソームDNR;(2)遊離DNR;(3)非シスチン−リポソームDNR;又は(4)無。全てのDNR製剤は、5μmのDNRを含有した。(n=3)。DNRの細胞取り込みは、蛍光強度と相関する。
以下のいずれかと37℃で6時間インキュベートしたA549細胞の蛍光顕微鏡像を示す:(1)10μM DNR;(2)シスチンリポソームDNRの10μM DNR当量;(3)リポソームDNRの10μM DNR当量;又は(4)グルタミン酸の存在下でのシスチンリポソームDNRの10μM DNR当量。
以下のいずれかと37℃で6時間インキュベートしたA549細胞の蛍光顕微鏡像を示す:(1)5μM DNR;(2)シスチンリポソームDNRの5μM DNR当量;(3)リポソームDNRの5μM DNR当量;又は(4)グルタミン酸の存在下でのシスチンリポソームDNRの5μM DNR当量。
DNRの5μm又は10μm用量のいずれかを含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、グルタミン酸(5mM)の影響の棒グラフを示す。グラフは、フローサイトメトリーデータに基づく、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度(MFI)を表す。細胞のDNR取り込みは、10μMの遊離DNRに対する、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度として表される。平均及びS.E.Mを示す(*5μM及び10μM濃度でのリポソームDNRに対するシスチン−リポソームDNRについてp<0.05を示す、n=3)。棒(1)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの10μm量の添加に続くDNR取り込みを示す。棒(2)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの10μm量の添加に続く、グルタミン酸の存在下でのDNR取り込みを示す。棒(3)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの5μm量の添加に続くDNR取り込みを示す。棒(4)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの5μm量の添加に続く、グルタミン酸の存在下でのDNR取り込みを示す。
DNRの10μm用量を含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、グルタミン酸の影響のヒストグラムを示す。以下のいずれかで処置したA549細胞について、細胞数対蛍光強度を示す:(1)シスチン−リポソームDNR;(2)シスチン−リポソームDNR及びグルタミン酸;並びに(3)無。(n=3)。
DNRの5μm用量を含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、グルタミン酸の影響のヒストグラムを示す。以下のいずれかで処置したA549細胞について、細胞数対蛍光強度を示す:(1)シスチン−リポソームDNR;(2)シスチン−リポソームDNR及びグルタミン酸;並びに(3)無。全てのDNR製剤は、5μmのDNRを含有した。(n=3)。
DNRの10μm用量を含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、冷温の影響のヒストグラムを示す。以下のいずれかで処置したA549細胞について、細胞数対蛍光強度を示す:(1)シスチン−リポソームDNR;(2)冷条件下(4℃)のシスチン−リポソームDNR;及び(3)無。全てのDNR製剤は、10μmのDNRを含有した。(n=3)。
DNRの5μm用量を含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、冷温の影響のヒストグラムを示す。以下のいずれかで処置したA549細胞について、細胞数対蛍光強度を示す:(1)シスチン−リポソームDNR;(2)冷条件下(4℃)のシスチン−リポソームDNR;及び(3)無。全てのDNR製剤は、5μmのDNRを含有した。(n=3)。
DNRの5μm又は10μm用量のいずれかを含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、サイトカラシン(100μM)の影響の棒グラフを示す。グラフは、フローサイトメトリーデータに基づく、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度(MFI)を表す。細胞のDNR取り込みは、10μMの遊離DNRに対する、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度として表される。平均及びS.E.Mを示す。棒(1)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの10μm量の添加に続くDNR取り込みを示す。棒(2)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの10μm量の添加に続く、サイトカラシンの存在下でのDNR取り込みを示す。棒(3)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの5μm量の添加に続くDNR取り込みを示す。棒(4)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの5μm量の添加に続く、サイトカラシンの存在下でのDNR取り込みを示す。
DNRの10μm用量を含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、サイトカラシンの影響のヒストグラムを示す。以下のいずれかで処置したA549細胞について、細胞数対蛍光強度を示す:(1)無;(2)シスチン−リポソームDNR;並びに(3)シスチン−リポソームDNR及びサイトカラシン。(n=3)。
DNRの5μm用量を含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、サイトカラシンの影響のヒストグラムを示す。以下のいずれかで処置したA549細胞について、細胞数対蛍光強度を示す:(1)無;(2)シスチン−リポソームDNR及びサイトカラシン;又は(3)シスチン−リポソームDNR。(n=3)。
DNRの5μm又は10μm用量のいずれかを含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、クロルプロマジン(10μg/ml)の影響の棒グラフを示す。グラフは、フローサイトメトリーデータに基づく、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度(MFI)を表す。細胞のDNR取り込みは、10μMの遊離DNRに対する、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度として表される。平均及びS.E.Mを示す。棒(1)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの10μm量の添加に続くDNR取り込みを示す。棒(2)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの10μm量の添加に続く、クロルプロマジンの存在下でのDNR取り込みを示す。棒(3)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの5μm量の添加に続くDNR取り込みを示す。棒(4)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの5μm量の添加に続く、クロルプロマジンの存在下でのDNR取り込みを示す。
DNRの5μm用量を含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、クロルプロマジンの影響のヒストグラムを示す。以下のいずれかで処置したA549細胞について、細胞数対蛍光強度を示す:(1)無;(2)シスチン−リポソームDNR;並びに(3)シスチン−リポソームDNR及びクロルプロマジン。(n=3)。
DNRの10μm用量を含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、クロルプロマジンの影響のヒストグラムを示す。以下のいずれかで処置したA549細胞について、細胞数対蛍光強度を示す:(1)シスチン−リポソームDNR及びクロルプロマジン;(2)シスチン−リポソームDNR;又は(3)無。(n=3)。
DNRの5μm又は10μm用量のいずれかを含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、アミロライド(3mM)の影響の棒グラフを示す。グラフは、フローサイトメトリーデータに基づく、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度(MFI)を表す。細胞のDNR取り込みは、10μMの遊離DNRに対する、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度として表される。平均及びS.E.Mを示す。(*5μM及び10μM濃度でのシスチン−リポソームDNR及びアミロライドに対するシスチン−リポソームDNRについてp<0.05を示す、n=3)。棒(1)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの10μm量の添加に続くDNR取り込みを示す。棒(2)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの10μm量の添加に続く、アミロライドの存在下でのDNR取り込みを示す。棒(3)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの5μm量の添加に続くDNR取り込みを示す。棒(4)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの5μm量の添加に続く、アミロライドの存在下でのDNR取り込みを示す。
DNRの10μm用量を含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、アミロライドの影響のヒストグラムを示す。以下のいずれかで処置したA549細胞について、細胞数対蛍光強度を示す:(1)シスチン−リポソームDNR及びアミロライド;(2)シスチン−リポソームDNR;又は(3)無。(n=3)。
DNRの10μm用量を含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、アミロライドの影響のヒストグラムを示す。以下のいずれかで処置したA549細胞について、細胞数対蛍光強度を示す:(1)無;(2)シスチン−リポソームDNR及びアミロライド;並びに(3)シスチン−リポソームDNR。(n=3)。
DNRの5μm又は10μm用量のいずれかを含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、ナイスタチン(100μg/ml)の影響の棒グラフを示す。グラフは、フローサイトメトリーデータに基づく、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度(MFI)を表す。細胞のDNR取り込みは、10μMの遊離DNRに対する、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度として表される。平均及びS.E.Mを示す。(*シスチン−リポソームDNR及びナイスタチンに対するシスチン−リポソームDNRのp<0.05は5μM濃度に基づく、n=3)。棒(1)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの10μm量の添加に続くDNR取り込みを示す。棒(2)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの10μm量の添加に続く、ナイスタチンの存在下でのDNR取り込みを示す。棒(3)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの5μm量の添加に続くDNR取り込みを示す。棒(4)は、シスチン−リポソームDNRの形のDNRの5μm量の添加に続く、ナイスタチンの存在下でのDNR取り込みを示す。
DNRの10μm用量を含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、ナイスタチンの影響のヒストグラムを示す。以下のいずれかで処置したA549細胞について、細胞数対蛍光強度を示す:(1)シスチン−リポソームDNR;(2)シスチン−リポソームDNR及びナイスタチン;又は(3)無。(n=3)。
DNRの10μm用量を含有したシスチン−リポソームDNR製剤で処置した細胞によるDNR取り込みに及ぼす、ナイスタチンの影響のヒストグラムを示す。以下のいずれかで処置したA549細胞について、細胞数対蛍光強度を示す:(1)シスチン−リポソームDNR;(2)シスチン−リポソームDNR及びナイスタチン;又は(3)無。(n=3)。
遊離DNR及びシスチン−リポソームDNRのA549細胞増殖阻害曲線の線グラフを示す。(1)シスチン−リポソームDNR、(2)リポソームDNR、及び(3)遊離DNRのIC50 DNR濃度は、それぞれ4.435μM、10.25μM及び15.25μMである。
5μM又は10μMのいずれかのDNRに等しいDNRの投薬量を含有した、(1)遊離DNR、(2)リポソームDNR又は(3)シスチン−リポソームDNR製剤による処置の後に生存可能であったA549細胞の百分率の棒グラフを示す。(+++p<0.001は遊離DNRの5μM及び10μMのDNR製剤に対するシスチン−リポソームDNRの5μM及び10μMのDNR製剤に基づく、+p<0.01は遊離薬物の5μM及び10μMのDNR製剤に対するリポソームDNRの5μM及び10μMのDNR製剤に基づく、**p<0.01はリポソームDNRの10μMのDNR製剤に対するシスチンリポソームDNRの10μMのDNR製剤に基づく、***p<0.001はリポソームDNRの5μMのDNR製剤に対するシスチンリポソームDNRの5μMのDNR製剤に基づく。)平均及びS.E.Mを示す。(n=3)。
シスチン−リポソームDNRによって媒介されたA549細胞増殖阻害に及ぼすグルタミン酸の影響の線グラフを示す。(1)シスチン−リポソームDNR;及び(2)シスチン−リポソームDNRのIC50DNR濃度は、それぞれ4.435μM及び7.947μMである。
10μM又は5μMのいずれかのDNRに等しいDNRの投薬量を含有した、シスチン−リポソームDNR及び(2)シスチン−リポソームDNR製剤による処置の後に生存可能であったA549細胞の百分率の棒グラフを示す。(***p<0.001はシスチン−リポソームDNRシスチン−リポソームDNR足すグルタミン酸の5μMのDNR製剤に対するシスチン−リポソームDNRの5μMのDNR製剤に基づく)平均及びS.E.Mを示す。(n=3)。
リポソームDNRの形で加えられたDNRの量と72時間の処置後の細胞生存力との間の相関の棒グラフを示す。棒(1)は、0.0001μMのリポソームDNRを示し、棒(2)は、2.5μMのリポソームDNRを示し、棒(3)は、5μMのリポソームDNRを示し、棒(4)は、10μMのリポソームDNRを示し、棒(5)は、15μMのリポソームDNRを示す。
シスチンリポソームDNRを摂取させた咽頭期ゼブラフィッシュ胚(A)対リポソームDNRを摂取させたゼブラフィッシュ胚(B)の胃へのDNRの送達の蛍光像を示す。パネル16Aの矢印は、ゼブラフィッシュの胃に残ったDNRを指す。
in vivo腫瘍モデルのPan02細胞での腫瘍体積に及ぼす以下のDNR製剤の経時的影響を示す図:(1)ペグ化シスチンリポソームDNR;(2)シスチンリポソームDNR;(3)リポソームDNR;(4)遊離DNR;及び(5)食塩水。
図17AのDNR製剤の影響の線グラフをより詳細に示す図。(1)シスチンリポソームDNR;(2)ペグ化シスチンリポソームDNR;(3)遊離DNR;及び(4)リポソームDNR。
図17AのリポソームベースのDNR製剤の抗腫瘍作用を示す図。(1)リポソームDNR;(2)シスチンリポソームDNR;及び(3)ペグ化シスチンリポソームDNR。
体重に及ぼす以下の影響を示す図:(1)食塩水;(2)遊離DNR;(3)リポソームDNR;(4)シスチンリポソームDNR;及び(5)ペグ化シスチンリポソームDNR。
表の簡単な説明
表1は、グルタミン酸の存在下での遊離DNR、リポソームDNR、シスチンリポソームDNR及びシスチンリポソームDNRのIC50(μM DNR)濃度を示す。濃度値は、図12A及び13Aの細胞生存力曲線から誘導された。
本発明は、治療薬及び診断薬の標的送達のためのビヒクル及び方法を提供する。より詳しくは、本発明のビヒクルは、「本発明のビヒクル」を形成するために、治療薬又は診断薬又はその両方を含むカーゴに結合している1つ又は複数のシスチン分子を含む。本発明のビヒクルは、サブユニットSLC7A11及びSLC3A2のヘテロダイマーによって形成され、以降、「輸送体」と呼ばれる、シスチン特異的系x ヘテロダイマーアミノ酸輸送体の構成成分を発現する標的細胞に送達することができる。一般に、輸送体は、過剰増殖性細胞にしばしば存在するものなどの、異常な酸化的ストレス条件下の細胞によってより高度に発現され、したがって、シスチンと輸送体の間での特異的相互作用に基づく本発明のビヒクルのための有効な疾患細胞標的である。カーゴは、治療薬又は診断薬、又は、治療薬、診断薬又はその組合せを含む組成物であってよい。
様々な実施形態では、本発明のビヒクルは、細胞の細胞内コンパートメントに治療薬又は診断薬を送達する。いかなる特定の理論によっても縛られることを望まないが、本発明のビヒクルからの治療薬又は診断薬の細胞取り込みは、本発明のビヒクルの1つ又は複数のシスチンと輸送体との相互作用によって達成することができる。様々な実施形態では、本発明のビヒクルのシスチンと輸送体との間の相互作用は、標的細胞に本発明のビヒクル又はビヒクルの様々な構成成分、例えば治療薬若しくは診断薬を飲食運動で取り込ませる一連の細胞事象を開始する。本発明の特定の実施形態では、本発明のビヒクルのシスチンと輸送体との間の相互作用によって開始されるエンドサイトーシス事象は、エネルギー依存性ピノサイトーシス事象である。
シスチン構成成分
本明細書で用いるよう場合、シスチンは、共有結合してジスルフィド結合を作る2つのシステイン残基の酸化によって形成される二量体のアミノ酸であると理解される。本発明の様々な実施形態では、シスチンはL−シスチンである。シスチンは、シスチンと反応性である官能基を含むようにカーゴを改変することを含む、当技術分野で公知の方法を用いることによってカーゴに付着させることができる(例えば、リポソームカーゴ分子を酸化させ、還元アミノ化反応を実施することによってリポソームの表面にシスチンを付着させることができる)。化学結合によって本発明のビヒクルのカーゴ構成成分にシスチンを直接に付着させる方法は、Hermanson,G、「Bioconjugate Techniques」、第1版、Academic Press(1996)、及びHermanson,G、「Bioconjugate Techniques」、第2版、Elsevier Inc.(2008)に見出すことができ、それは、本明細書に完全に組み込まれる。
本発明の様々な他の実施形態では、シスチンは、連結基、例えば、それらに限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、二酸リンカー、例えばコハク酸、リンゴ酸など;ジアルデヒド、例えばグルタルアルデヒド、ヒドロキシ酸、そこにおいてヒドロキシ酸のヒドロキシ基はシスチンカルボキシレートとエステルを形成し、リンカーのカルボン酸はPEGヒドロキシ基とエステルを形成する、及びアミノ酸リンカー、例えばe−アミノカプロン酸、そこにおいてリンカーのアミノ基はシスチンカルボキシレートとアミドを形成し、リンカーのカルボン酸はPEGヒドロキシ基とエステルを形成する、を通してカーゴに間接に付着させることもできる。さらに、シスチンのアミノ基は、リンカー、例えばPEG又は他の任意のリンカー分子と共有結合を形成するために用いることができる。本発明のビヒクルのカーゴ構成成分にシスチンを連結することに加えて、PEG分子は、コンジュゲートが、処置のレシピエントの免疫系による本発明のビヒクルのクリアランスを避けることも可能にする。より具体的には、単核食細胞系は、ビヒクルへのPEGの組込みで克服することができる。本発明は、その分子量についてPEGを特に限定しないが、本発明のビヒクルに付着するPEG分子は、約400から約10,000ダルトンの分子量を一般的に有する。しかし、本発明は、最高100,000ダルトン以上のPEG分子を収容する。
カーゴ構成成分
上記のように、本発明のビヒクルのカーゴは、治療薬を含む組成物であってもよい。例えば、本発明によるカーゴである組成物は、それらに限定されないが以下のものなどの材料との組成物である治療薬を含むナノ粒子であってよい:脂質(例えば、リポソーム);シクロデキストリン;生体適合性ポリマー(例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA、及び参照により組み込まれるFDAのGRASリストで指定されるポリマー)、乳酸/グリコール酸コポリマー(PLGA));又は生体物質(例えば、アルブミン)。
脂質組成物に関しては、本発明は提供される脂質構成成分の選択を特に限定しない。しかし、脂質の例は、それらに限定されないが、コレステロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ステリルアミン、カチオン性脂質、組織由来のホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ラクトシルセラミド、ガラクトースセレブロシド、ガングリオシド、近接のヒドロキシルを含有する過ヨウ素酸塩被酸化性構成成分を有する脂質、及び糖脂質から選択される。本発明のリポソームは、投与経路に応じて薬学的に許容される安定剤及び/又は抗酸化物を含有することもできる。安定剤の非限定例には、糖、例えばグリセロール、マンニトール、ソルビトール、ラクトース及びスクロースが含まれる。コレステロールなどのステロールが膜のさらなる脂質構成要素のために用いられる場合は、そのようなステロールは安定剤としても作用する。
安定剤に加えて、本発明のリポソームカーゴ組成物は、投与経路に応じて薬学的に許容される添加剤を含むこともできる。そのような添加剤の例には、水、生理的食塩水、薬学的に許容される有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリ(アクリル酸ナトリウム)、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、デンプングリコール酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、PBS、in vivo分解性ポリマー、無血清培地、薬学的に許容される界面活性剤及びその任意の組合せが含まれる。
本明細書で理解されるべきであるように、用語「含有させる(loading)」は、基本的に、治療薬がリポソームの閉鎖空間に封入される状態を指すために用いられる。しかし、それは、治療薬の一部が膜に閉じ込められる状態、又は治療薬が膜の外面に付着する状態を含むこともできる。リポソームに含有される、すなわち、封入される治療薬の所望の量は、薬物の種類に応じて異なる。
様々な実施形態では、本発明のビヒクルのカーゴは、リポソームに封入された治療薬であり、そこで、リポソームの表面は親水性の巨大分子の付着によって改変されてよい。そのような改変は、リン脂質誘導体又はコレステロール誘導体などのPEG誘導体の付着反応によって達成することができる。例えば、リポソームの外面にだけPEG鎖を有するリポソームを生成するために、PEGI誘導体又はPEG誘導体の水溶液をリポソーム分散液に加えることができる。或いは、当技術分野で一般的に用いられる方法によって反応性官能基を有するリン脂質などの膜構成脂質を含有するリポソームを生成し、その後、官能基を有するリン脂質などの膜構成脂質へのそのようなPEGの結合のためにリポソームの外部の液に1つの活性化末端を有するPEGを加えることによって、改変リポソームを生成することができる。前記の手法では、所望のサイズを有するリポソームを生成するために、参照により本明細書に組み込まれる様々な技術を利用できる(「Liposome Technology Liposome Preparation and Related Techniques」、第2版、G.Gregoriadis編、I〜III巻、CRC Press)。
ポリマーに封入された治療薬を含むカーゴを含む本発明のビヒクルに関して、そのようなナノ粒子は、例えば封入複合体を形成するために、低エネルギー化学結合、したがって非共有結合の生成を通して1つ又は複数のシクロデキストリン分子とそれ自体を結合する治療薬分子の能力に基づく。この複合体の存在は、a)治療薬及びシクロデキストリンの遊離形とb)封入複合体の間の平衡の形成からもたらされる。それは、その安定度定数によって定量的に特徴づけられる。
本発明は、本発明のビヒクルのカーゴ構成成分に含まれてもよいポリマー構成成分の選択を特に限定しない。しかし、本発明は、それらに限定されないが、ポリカチオンポリマー、ポリアニオンポリマー又は非イオン性ポリマーから選択される少なくとも1つ又は複数のポリマーを可能にする。ポリカチオン性又はポリアニオン性のポリマーは、それぞれ正又は負の電荷を運ぶ少なくとも1つの部位を有する。本発明のビヒクルのカーゴ構成成分に適するポリマーの非限定セットには、それらに限定されずに、環式オリゴ糖、特に中性若しくは荷電しているか、天然であるか(シクロデキストリンα、β、γ、δ及びε)、分枝状若しくは重合しているか、或いは、さらに、例えば、アルキル、アリール、アリールアルキル、グリコシドなどの基による1つ又は複数のヒドロキシプロピルの置換、又はエーテル化、アルコール若しくは脂肪酸によるエステル化による化学改変されてよい、シクロデキストリンの中からのものが含まれる。
本発明のシクロデキストリン含有ポリマーは、直鎖状、分枝状又はグラフト状であってよい。本明細書で用いるよう場合、用語「直鎖状シクロデキストリン含有ポリマー」は、ポリマー鎖に挿入されている(α、β、γ、δ及びε)シクロデキストリン分子又はその誘導体を含むポリマーを指す。
アルブミンを含むカーゴ構成成分を含む本発明のビヒクルに関して、本発明はヒト血清アルブミン(HSA)を一般的に提供する。HSAはM65Kの高可溶性球状タンパク質であり、585アミノ酸からなる。HSAは血漿で最も豊富なタンパク質であり、ヒト血漿のコロイド浸透圧の70〜80%を占める。HSAのアミノ酸配列は、合計17個のジスルフィド架橋、1つの遊離チオール(Cys34)及び単一のトリプトファン(Trp214)を含有する。ヒト血清アルブミン(HSA)は、複数の疎水性結合部位(脂肪酸のために合計8個、HSAの内因性リガンド)を有し、多様な薬物セット、特に中性及び負荷電した疎水性化合物に結合する(Goodmanら、The Pharmacological Basis of Therapeutics、第12版、McGraw−Hill New York(2011))。2つの高親和性結合部位がHSAのサブドメインIIA及びIIIAで提案されており、それらは、極性リガンド特性の付着点として機能する、表面近くの荷電したリシン及びアルギニン残基を有する非常に長い疎水性ポケットである(例えば、Fehskeら、Biochem.Pharmcol.、30、687−92(1981)、Vorum、Dan.Med.Bull.、46、379−99(1999)、Kragh−Hansen、Dan.Med Bull.、1441、131−40(1990)、Curryら、Nat.Struct.Biol.、5、827−35(1998)、Sugioら、Protein.Eng.、12、439−46(1999)、Heら、Nature、358、209−15(1992)及びCarterら、Adv.Protein.Chem.、45、153−203(1994)を参照)。パクリタキセル(Abraxane(商標))及びプロポフォールは、HSAに結合することが示されている(例えば、Paalら、Eur.J.Biochem.、268(7)、2187−91(2001)、Purcellら、Biochim.Biophys.Acta、1478(1)、61−8(2000)、Altmayerら、Arzneimittelforschung、45、1053−6(1995)及びGarridoら、Rev.Esp.Anestestiol.Reanim.、41、308−12(1994)を参照)。さらに、ドセタキセルは、ヒト血漿タンパク質に結合することが示されている(例えば、Urienら、Invest.New Drugs、14(2)、147−51(1996)を参照)。いかなる特定の理論にも縛られることを望まないが、本発明のビヒクルのカーゴ構成成分を形成する組成物にアルブミンなどのタンパク質が含有されることは、組成物に存在するいかなる遊離薬物へのヒト血清アルブミンの結合に少なくとも一部起因する、治療薬の投与と関連する副作用の低減をもたらすことができると考えられている。
治療薬
上記のように、本発明によるカーゴは、それ自体治療薬であるか、治療薬を含む組成物であってよく、そこで、治療薬は、少なくとも1つのシスチンにそれを付着させることによって細胞に導入することができる。治療薬は単一の治療薬であるか、異なる治療薬の組合せであってよい。一実施形態で理解されるように、治療薬、すなわち薬物には、それらに限定されないが、細胞内コンパートメントで機能的であり、疾患、すなわちがん及び非悪性腫瘍などの過剰増殖性疾患を含む体に影響を及ぼす異常な状態を処置、診断、抑制するか、その進行を予防するのに用いることができる、有機小分子、無機分子、治療的ペプチド及びタンパク質、抗体、放射性同位体、遺伝子療法用のsiRNA及び核酸、並びに毒素が含まれる。したがって、様々な実施形態では、本発明のビヒクルは、化学療法剤を含む。
本発明によって提供される治療薬のクラスの例には、限定されずに以下のものが含まれる:(i)キナーゼ阻害剤、例えばイマチニブ(Glivec(商標))、ZD−1839/ゲフィチニブ(Iressa(商標))、Bay43−9006(ソラフェニブ、Nexavar(商標))、SU11248/スニチニブ(Sutent(商標))若しくはOSI−774/エルロチニブ(Tarceva(商標))、ダサチニブ(Sprycel(商標))、ラパチニブ(Tykerb(商標))、又は下記も参照、バタラニブ、バンデタニブ(Zactima(商標))若しくはパゾパニブ;(ii)PS−341/ボルテズミブ(Velcade(商標))などのプロテアソーム阻害剤;(iii)17−アリルアミノゲルダナマイシン(17−AAG)のような熱ショックタンパク質90阻害剤;(iv)脈管標的薬剤(VTA)、例えばコンブレタスチン(combretastin)A4ホスフェート若しくはAVE8062/AC7700、及び抗血管新生薬、例えばVEGF抗体、例えばベバシズマブ(Avastin(商標))、又はKDRチロシンキナーゼ阻害剤、例えばPTK787/ZK222584(バタラニブ)若しくはバンデタニブ(Zactima(商標))若しくはパゾパニブ;(v)モノクローナル抗体、例えばトラスツズマブ(Herceptin(商標))又はリツキシマブ(MabThera/Rituxan(商標))又はアレムツズマブ(Campath(商標))又はトシツモマブ(Bexxar(商標))又はC225/セツキシマブ(Erbitux(商標))又はAvastin(上記参照)又はパニツムマブ、並びにモノクローナル抗体の突然変異体及びコンジュゲート、例えばゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(商標))又はイブリツモマブチウキセタン(Zevalin(商標))、及び抗体断片;(vi)G−3139/オブリメルセン(Genasense(商標))のようなオリゴヌクレオチドベースの治療薬;(vii)Toll様受容体/TLR9アゴニスト、例えばPromune(商標)、TLR7アゴニスト、例えばイミキモド(Aldara(商標))又はイサトリビン及びその類似体、又はTLR7/8アゴニスト、例えばレジキモド、並びにTLR7/8アゴニストとしての免疫賦活性RNA;(viii)プロテアーゼ阻害剤(ix)抗エストロゲン(例えばタモキシフェン又はラロキシフェン)、抗アンドロゲン(例えばフルタミド又はカソデックス)、LHRH類似体(例えばロイプロリド、ゴセレリン又はトリプトレリン)及びアロマターゼ阻害剤などのホルモン治療薬。
本発明によって提供される特定の治療薬の例には、限定されずに以下のものが含まれる:5FU、アクチノマイシンD、アバレリックス、アブシキシマブ、アクラルビシン、アダプレネ、アレムツズマブ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミプリロース、アムルビシン、アナストロゾール、アンシタビン、アルテミシニン、アザチオプリン、バシリキシマブ、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベクサー、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブロクスウリジン、ブスルファン、カンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カルボコン、カルムスチン、セトロレリックス、クロラムブシル、クロルメチン、シスプラチン、クラドリビン、クロミフェン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ダクリズマブ、ダクチノマイシン、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン、デスロレリン、デキスラゾキサン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロロキシフェン、ドロスタノロン、エデルホシン、エフロルニチン、エミテフル、エピルビシン、エピチオスタノール、エプタプラチン、エルビツクス、エルロチニブ、エストラムスチン、エトポシド、エクセメスタン、ファドロゾール、フィナステリド、フロクシウリジン、フルシトシン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、ホルメスタン、ホスカーネット、ホスフェストロール、ホテムスチン、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲナセンス、ゲムシタビン、グリベック、ゴセレリン、グスペリムス、ハーセプチン、イダルビシン、イドクスウリジン、イホスファミド、イマチニブ、インプロスルファン、インフリキシマブ、イリノテカン、イクサベピロン、ランレオチド、ラパチニブ、レトロゾール、ロイプロレリン、ロバプラチン、ロムスチン、ルプロリド、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、メツレデパ、ミボプラチン、ミフェプリストーン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシン、ミトキサントロン、ミゾリビン、モテキサフィン、ミロタルグ、ナルトグラスチム、ネバズマブ、ネダプラチン、ニルタミド、ニムスチン、オクトレオチド、オルメロキシフェン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パリビズマブ、パニツムマブ、パツピロン、パゾパニブ、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド、ペンテトレオチド、ペントスタチン、ペルホスファミド、ピポスルファン、ピラルビシン、プリカマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン、プロパゲルマニウム、塩化プロスピジウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラニムスチン、ランピルナーゼ、ラスブリケース、ラゾキサン、リツキシマブ、リファンピシン、リトロスルファン、ロムルチド、ルボキシスタウリン、サルグラモスチム、サトラプラチン、シロリムス、ソブゾキサン、ソラフェニブ、スピロムスチン、ストレプトゾシン、スニチニブ、タモキシフェン、タソネルミン、テガフール、テモポルフィン、テモゾロマイド、テニポシド、テストラクトン、チオテパ、チマルファシン、チアミプリン、トポテカン、トレミフェン、トレイル、トラスツズマブ、トレオスルファン、トリアジコン、トリメトレキサート、トリプトレリン、トロホスファミド、ウレデパ、バルルビシン、バタラニブ、バンデタニブ、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボロゾール及びゼバリン。
疾患状態を処置又は予防するための患者への投与のための治療薬を含む本発明のビヒクルの量は、薬物の種類によって異なり、その治療的有効量を含む。様々な状態を処置するための治療薬の投薬量は、当技術分野で周知である。この点に関して、例えば、Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、2011、第12版、McGraw−Hill、New Yorkに注意されたい。
診断薬
上記のように、本発明のビヒクルは、1つ又は複数の異なる診断薬、すなわち診断マーカーを含むこともできる。様々な実施形態では、本発明のビヒクルは、1つ又は複数の診断薬と1つ又は複数の治療薬との組合せを含む。
様々な実施形態では、本発明のビヒクルは、蛍光性物質を含む。例えば、本発明の蛍光性物質は、それらに限定されないが、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、FAM、発光性物質、例えばルミノール、ルシフェリン、ルシゲニン、又は蛍光性薬物化合物(例えば、ダウノルビシンなどのアントラサイクリンクラスの薬物)又はその任意の組合せから選択することができる。
様々な実施形態では、本発明のビヒクルは、電子高密度物質を含む。例えば、本発明の電子高密度物質は、それらに限定されないが、フェリチン、コロイド金又はコロイド性超常磁性ビーズから選択することができる。
様々な実施形態では、本発明のビヒクルは、レポーター分子を含む。例えば、本発明のレポーター分子は、それらに限定されないが、低濃度の化合物の直接又は間接的な検出を可能にする置換基から選択することができる。適するレポーター部分には、それらに限定されないが以下のものが含まれる:(1)検出可能なシグナル、例えば比色、蛍光又は発光を生成する酵素、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ又はグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ;(2)発色団、例えば蛍光、発光又は色素化合物;(3)電子顕微鏡法によって、又は、例えば伝導率、電流測定、電圧測定又はインピーダンス測定によるそれらの電気的性質を通して検出することができる電子密度を有する基;及び(4)光学的方法、例えば回折、表面プラズマ共鳴若しくは接触角変動、又は物理的方法、例えば原子力分光法若しくはトンネル効果を用いて検出することができる基。他の適するレポーター部分には、それらに限定されないが、ビオチン、ジゴキシゲニン、ペプチド、タンパク質、抗体、糖タンパク質及び糖が含まれる。本発明の診断薬としての特異的結合部分の例には、抗原結合ドメイン、増殖因子、リガンド又はオリゴヌクレオチドが含まれる。
様々な実施形態では、本発明のビヒクルは、放射性物質を含む。例えば、本発明の放射性物質は、それらに限定されないが、H、14C、32P、33P、35S、123I、125I及び131Iから選択することができる。
処置の方法
上記のように、本発明による処置の方法は、疾患を処置するための個体への治療薬の細胞内送達のために、前記のようにビヒクルの治療的有効量を投与する。様々な実施形態では、本発明の方法は、過剰増殖性障害を処置する。本明細書で理解されるように、用語「過剰増殖性障害」は、例えば、それらに限定されないが、腫瘍、がん、新生物組織並びに他の前悪性及び非新生物性か非悪性の過剰増殖性障害を含む、異常又は病理的な細胞増殖を特徴とする障害を指す。本発明によって処置することができる腫瘍、がん及び新生物組織の例には、それらに限定されずに以下のものなどの悪性障害が含まれる:乳がん;骨肉腫;血管肉腫;線維肉腫及び他の肉腫;白血病;リンパ腫;洞腫瘍;卵巣、尿道、膀胱、前立腺及び他の尿生殖器のがん;結腸食道及び胃のがん及び他の胃腸がん;肺がん;骨髄腫;膵がん;肝がん;腎臓がん;内分泌がん;皮膚がん;並びに、神経膠腫及び神経芽細胞腫を含む、脳又は中枢及び末梢神経(CNS)系の悪性か良性の腫瘍。
前悪性及び非新生物又は非悪性の過剰増殖性障害の例には、限定されずに、脊髄形成異常障害;頸部の上皮内癌;ガードナー症候群などの家族性腸ポリポーシス;口の白斑症;組織球症;ケロイド;血管腫;過剰増殖性動脈狭窄、炎症性関節炎;関節炎を含む過角化症及び丘疹鱗屑性の発疹が含まれる。ウイルスによって誘発される過剰増殖性疾患、例えばいぼ、及びEBVによって誘発される疾患(すなわち、感染性の単核球症)、瘢痕形成なども含まれる。本明細書に開示される処置方法は、本明細書に規定される過剰増殖性障害を抱えていることが知られているか疑われる、又はその発症の危険がある任意の対象で用いることができる。
本明細書で用いるよう場合、過剰増殖性障害の「処置」は、過剰増殖性細胞若しくは腫瘍かがんの増殖を殺滅、抑制するか、その増殖又はその集合体か集団のサイズの増加を減速する方法、過剰増殖性細胞の数を減少させる方法、或いは他の解剖学的部位への拡散を予防する方法、並びに過剰増殖性増殖のサイズ又は過剰増殖性細胞の数を低減する方法を指す。「処置」は、当技術分野で公知である検出方法による標的細胞の同定を可能にするために、標的細胞に診断薬を送達することによる過剰増殖性障害の診断も含む。本明細書で用いるよう場合、「処置」は、過剰増殖性増殖の治癒又は完全消滅を意味するものとは必ずしも限らない。本明細書で用いるよう場合、治療薬の処置有効量は、過剰増殖性細胞の死滅、過剰増殖性細胞の増殖速度の減速、過剰増殖性細胞の集合体のサイズの低減、又は過剰増殖性細胞の数の減少、及びその任意の組合せをもたらすのに有効な量である。
本発明の処置方法には、本発明の2つ以上のビヒクルがそれぞれ異なる治療薬又は治療薬の組合せを含み、患者に同時投与される実施形態を含む併用療法も含まれる。他の実施形態では、本発明のビヒクル又は本発明のビヒクルの組合せは、別の療法と併用投与されてもよい。上で提供される薬物及び薬物クラスを含む薬物のいずれかと同時投与されることに加えて、本発明のビヒクルは、他の種類の療法、例えばアジュバント及びネオアジュバント療法(例えば、長期の無症候生存の可能性を増加させるために一次療法の後に与えられる任意の処置)、生物学的療法(例えば、免疫療法、生物療法又は生物学的応答調整剤療法)、骨髄移植及び末梢血幹細胞移植、がんワクチン療法、凍結手術、遺伝子療法、ホルモン療法、レーザー療法(例えば、がんを治療する高強度光)、光力学療法、放射線療法、予防的乳房切除術、放射線療法又は当業技術者に公知である他の標的がん療法と併用投与することもできる。
用語「処置」は、細胞の細胞内コンパートメントに診断マーカーを輸送することによって疾患を診断するために用いられる組成物及び方法も含む。より具体的には、本発明のビヒクルは、検出可能なマーカー部分、例えば蛍光標識、電子高密度物質、レポーター部分、特異的若しくは非特異的結合部分、放射性又は当技術分野で公知であるような他の検出可能な部分、及び本発明の方法によって検出及び診断される特定の疾患に適当であると当業者がみなすものに連結することによって、検出可能に標識することができる。診断目的のために投与される本発明のビヒクルの量は、使用目的のための診断標識の有効な量を含むべきである。そのような量は経験的に判断することができ、当技術分野で周知でもある。
診断方法
様々な実施形態で、本発明のビヒクルのシスチン構成成分が診断マーカーで標識され、他の実施形態では、ビヒクルのカーゴ構成成分が診断マーカーで標識される。さらに他の実施形態では、ビヒクルのシスチン及びカーゴ構成成分は、同じか異なる診断マーカーで標識される。
本発明の診断法を適用することができる組織の例には、限定されずに以下のものが含まれる:がん細胞、例えば、中枢神経系腫瘍、乳がん、肝がん、肺、頭けい部がん、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、膀胱がん、卵巣がん、前立腺がん、腎腫瘍、肉腫、結腸及び他の胃腸がん、転移並びに黒色腫。より具体的には、本発明は、肉腫及びがん腫などのがん、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、骨髄原発性肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん、膵がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、脂腺がん、乳頭状がん、乳頭状腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、セミノーマ、胚性がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、上皮がん、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴覚神経腫、希突起膠細胞腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫;白血病、例えば、急性リンパ球性白血病及び急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単核球性及び赤白血病);慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病及び慢性リンパ球性白血病);並びに、真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病及び非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症及び重鎖病に適用することができる。
本発明の実施で有益な検出方法には、限定されずに、磁気共鳴、超伝導量子干渉素子(squid)、光学的画像化、陽電子放出断層撮影法、プレーナーシンチグラフィー又は単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)が含まれる。代替の検出方法には、ガンマ計数、シンチレーション計数、走査ラジオグラム、デンシトメトリー、フルオログラフィー及び電子顕微鏡法による可視化が含まれる。これらの検出方法は、本発明のペプチド複合体の投与の後の診断又は画像化のために、有効な時間的間隔の間か後に使用することができる。そのような有効な時間的間隔は当技術分野で周知であるか、本明細書に開示されるものなどの方法を使用する日常の実験によって判断することができる。
製剤
本発明のビヒクルは、前記のように、医薬用の剤形として製剤化して、処置を必要とする対象、例えばヒト患者などの哺乳動物に、選択された投与経路に適合する様々な形式で、例えば、経口的、経腸的、経粘膜的、経皮的、非経口的、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、関節内、クモ膜下腔内及び腹腔内に、必要に応じて注入又は注射によって、例えば、当業者に入手可能なポンプによる連続的注入若しくは間欠的注入、又は過剰増殖性組織若しくは細胞への直接的注射によって投与することができる。
医薬組成物は硬質か軟質のシェルのゼラチンカプセルに封入することができるか、錠剤に圧縮することができるか、患者の食事の食品に直接に組み込むことができる。経口による治療的投与のために、本発明のビヒクルは、1つ又は複数の賦形剤と組合せ、摂取可能な錠剤、口内錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハー剤などの形で用いることができる。本発明のビヒクルは、微細な不活性の粉末担体と組合せ、対象に吸入させるか吹き込むことができる。
錠剤、トローチ剤、ピル、カプセル剤などは、以下のトラガカントゴム、アカシアゴム、トウモロコシデンプン若しくはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;並びにスクロース、フルクトース、ラクトース若しくはアスパルテームなどの甘味剤を含有することもでき、又はハッカ、ウィンターグリーン油若しくはチェリー香料などの着香剤を加えることができる。単位剤形がカプセル剤である場合には、それは、上記の種類の材料に加えて、液状担体、例えば植物油又はポリエチレングリコールを含有することができる。種々のその他の材料がコーティング剤として、さもなければその固形の単位剤形の物理形状を変えるために存在してよい。例えば、錠剤、ピル又はカプセル剤をゼラチン、ワックス、シェラック又は糖などでコーティングしてよい。シロップ剤又はエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてスクロース又はフルクトース、保存剤としてメチル及びプロピルパラベン、色素、並びに香料、例えばチェリー又はオレンジのフレーバーを含有することができる。当然ながら、任意の単位剤形の調製で用いられるいかなる材料も、使用される量で薬学的に許容されるべきで、実質的に非毒性であるべきである。さらに、本発明のビヒクルは、徐放性調製物及び装置に組み込むことができる。
本発明のビヒクルの溶液は、任意選択で非毒性の界面活性剤を混合した水で調製することができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン及びそれらの混合物、及び油で分散液を調製することもできる。通常の貯蔵及び使用条件では、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含有することができる。
注射又は注入のために適する医薬用剤形には、無菌の水性溶液若しくは分散液、又は注射若しくは注入が可能である無菌の溶液若しくは分散液の即席の調製に適合する、本発明のビヒクルを含む無菌の粉末が含まれてよい。全ての場合に、製造及び貯蔵条件下で、最終剤形は無菌の流体で、安定しているべきである。液体担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリルエステル、及びその適する混合物を含む溶媒又は液体分散媒体であってよい。適切な流動性は、例えば:i)本発明のビヒクルのカーゴがリポソームを含む場合はリポソームの形成;ii)分散液の場合は必要な粒径の維持によって、又は界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物活動の防止は、様々な抗細菌及び抗かび剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、緩衝剤又は塩化ナトリウムを含ませることが好ましいであろう。吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物中での使用によって、注射可能な組成物の長期吸収をもたらすことができる。
無菌の注射可能な溶液は、必要に応じて上に列挙される他の様々な成分と一緒に、適当な溶媒に本発明のビヒクルを必要な量で組み込み、続いてフィルター滅菌を実施することによって調製される。無菌の注射可能な溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製法は減圧乾燥及び凍結乾燥技術であり、それらは、前もってろ過滅菌された溶液に存在する、有効成分と任意のさらなる所望の成分との粉末を与える。
局所投与については、本発明のビヒクルは、純粋な形で用いることができる。しかし、一般に、固体又は液体であってよい皮膚科学的に許容される担体と一緒に、それらを製剤として皮膚に投与することが望ましい。有用な固体担体には、微細固体、例えばタルク、粘土、微結晶セルロース、シリカ、アルミナなどがある。他の固体担体には、非毒性ポリマーナノ粒子又は微粒子が含まれる。有用な液体担体には、水、アルコール又はグリコール、又は水/アルコール/グリコールのブレンドがあり、そこに、任意選択で非毒性界面活性剤の助けを借りて、本発明のビヒクルを有効なレベルで溶解又は分散させることができる。アジュバント、例えばフラグランス及び追加の抗微生物剤を、所与の用途のための特性を適正化するのに加えてよい。生じる液体組成物は、吸収パッドから適用すること、包帯及び他のドレッシングを含浸するために用いること、又はポンプ型若しくはエアゾールの噴霧器を用いて患部に噴霧することができる。
使用者の皮膚への直接塗布のために、展性ペースト剤、ゲル剤、軟膏、石鹸などを形成するために、合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩及びエステル、脂肪アルコール、変性セルロース又は変性無機物質などの増粘剤を液体担体と使用することもできる。本発明のビヒクルを皮膚に送達するために用いることができる有用な皮膚科組成物の例は、当技術分野で公知である;例えば、Jacquetら(米国特許第4,608,392号)、Geria(米国特許第4,992,478号)、Smithら(米国特許第4,559,157号)及びWortzman(米国特許第4,820,508号)を参照。
本発明のビヒクルの有益な投薬量は、動物モデルでのそれらのin vitro活性及びin vivo活性を比較することによって判断することができる。マウス及び他の動物での有効量のヒトへの外挿のための方法は、当技術分野で公知である;例えば、米国特許第4,938,949号を参照。処置で使用するために必要とされる本発明のビヒクルの量は、特定の治療薬、あるならば治療薬を含む組成物、投与経路、処置される状態の性質、並びに患者の年齢及び状態によって異なり、最終的には主治医又は臨床医の裁量で決められる。
治療的有効用量は、当業者に公知である従来の手法によって経験的に判断することができる。例えば、The Pharmacological Basis of Therapeutics、Goodman及びGilman編、Macmillan Publishing Co.、New Yorkを参照。例えば、有効用量は、細胞培養アッセイ又は適する動物モデルで最初に推定することができる。動物モデルは、適当な濃度範囲及び投与経路を判断するために用いることもできる。そのような情報は、ヒトでの投与のための有益な用量及び経路を判断するために次に用いることができる。治療的用量は、同等の治療薬の投薬量から類推して選択することもできる。
特定の投与様式及び投薬処方計画は、その症例の詳細(例えば、対象、疾患、関与する疾患状態、及び処置が予防的かどうか)を考慮して、主治医によって選択される。処置は、数日から数カ月、さらには数年にわたる、日用量又は複数日用量の化合物(単数又は複数)を含むことができる。
(例1)ダウノルビシン(DNR)含有リポソームの調製
リポソームは、12:1:5の比及び20mgの全合計重量のジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)及びコレステロールの混合脂質から、薄膜水和方法によって調製した。混合脂質を5〜8mlのクロロホルムに溶解し、次に室温の真空条件下で、円底フラスコ内で回転蒸発させ、薄い脂質膜を与えた。生じた脂質膜に、20mMホウ酸ナトリウム及び0.15MNaClのpH8.4の緩衝された溶液の2〜3mlを加えた。緩衝された溶液を、15分の間、脂質膜と一緒に静置させた。緩衝された溶液−脂質膜混合物を次に撹拌し、超音波処理によって2分の間ホモジナイズし、次に100nmのnuclepore Whatman(商標)フィルター(GE Healthcare)を有するポリカーボネート膜を通してミニエクストルーダで10回押し出した。押出し手法を実施した後、リポソーム溶液を−80℃で冷凍し、凍結乾燥させた。凍結乾燥した空のリポソームは、次に使用時まで−20℃で保存した。
500μlの無菌PBSに溶解した11.56mgの塩酸ダウノルビシンを凍結乾燥させたリポソーム粉末に加え、37℃で1時間DNR−リポソーム混合物をインキュベートし、次に混合物を2mlの総容積まで無菌PBSに希釈し、37℃でさらなる1時間インキュベートすることによって空のリポソームにDNRを含有させた。リポソーム−DNR混合物中の最終DNR濃度は、10mMであった。リポソームを分散させるためにピペット操作によってリポソーム懸濁液を混合し、その後未封入のDNRを除去するために40分間、13,000rpmで遠心分離した。遠心分離工程の後、上清を次に除去し、2mlの無菌PBSをペレットに加え、ピペット操作によってペレットを再懸濁させた。
DNR−リポソームの粒径は、Nicomp(商標)380サブミクロン粒径分析計(Particle Sizing Systems、Santa Barbara、CA)を用いて測定した。径測定のためにリポソームを準備するために、1mgのリポソームDNRを約1〜2分の間1ml PBS中で超音波処理し、次に2mlの容積までPBSで希釈した。PBSに懸濁したリポソームは、製造業者の指示に従ってNicomp(商標)粒径分析計で次に測定した。
リポソームDNRの特定の調製物中のDNRの量は、455nmの波長でUV可視光分光計(UV Shimandzu)を用いてリポソーム中のDNRを直接に測定し、吸光度を図4に示すDNR濃度に対する吸光度の標準曲線と比較することによって調査した。DNR−リポソーム調製物に存在するDNRの量に基づき、次に封入効率を以下の式:封入効率(%)=F/F×100、によって計算し、式中、Fは、クロロホルム:メタノール:水(2:1:0.05)からなる有機溶媒混合物に溶解した後のリポソーム中のDNR濃度であり、Fは、封入前の媒体中のDNRの初期濃度である。一般に、リポソームDNRの封入効率は、20%から25%であった。
(例2)シスチンリポソームDNRの調製
空のリポソームは、例1に記載されているように、押出し工程を通して調製した。リポソームを押し出した後に、4mlの0.6M過ヨウ素酸ナトリウム溶液をリポソーム懸濁液に加え、暗所で30分間、混合液を反応させた。この工程は、リポソーム表面の糖脂質部分を酸化する。過ヨウ素酸ナトリウム反応工程の後、過ヨウ素酸ナトリウム−リポソーム混合液を透析管(M.W 14,000KD、Spectrum labs)に添加し、未反応のあらゆる過ヨウ素酸ナトリウムを除去するために用いて4℃で12時間、水に対して透析した。以下の通りに実施された還元アミノ化反応によって、シスチン分子を過ヨウ素酸ナトリウム酸化リポソームの表面にコンジュゲートさせた。先ず、60mgのシスチンを10mg/mlの濃度まで、例1に記載の緩衝された溶液(pH8.4の20mMホウ酸ナトリウム及び0.15M NaCl)に溶解した。透析したリポソーム懸濁液及びシスチン溶液を混合し、反応させてシック塩基を形成した。次に、混合液の各mlにつき10μlの2Mシアノ水素化ホウ素溶液をリポソーム懸濁液−シスチン溶液混合物に加え、全混合液を一晩室温で反応させ、その後、コンジュゲートしていないあらゆるシスチンを除去するために、再び14,000KD M.W透析管(Spectrum labs)を用いて4℃で12時間水に対して透析した。透析したリポソーム懸濁液を−80℃で冷凍し、凍結乾燥器で凍結乾燥させた。凍結乾燥した空のシスチンコンジュゲートリポソームを−20℃で保存し、使用時に再構成した。シスチン−リポソームのDNR含有工程、並びに粒径分析及びDNR含有効率分析は、リポソームのDNR含有に関して例1に記載されているように実施した。一般に、シスチンリポソームDNRの封入効率は、15%から20%であった。
(例3)遊離DNR、リポソームDNR又はシスチンリポソームDNRのいずれかの添加の後のDNRの細胞取り込み
遊離DNR、リポソームDNR又はシスチンリポソームDNRのいずれかによる処置の後、A549ヒト肺がん細胞系細胞でDNR、蛍光化合物を検出するために、蛍光活性化細胞分取(FACS)及び蛍光顕微鏡法を用いた。A549細胞はx 輸送体を高度に発現し、したがって、シスチン媒介取り込み研究に好適である。(Gatti及びZunino、2005)。5%二酸化炭素の加湿雰囲気中の37℃の25cm組織培養フラスコ中の、10%熱不活性化FBS及び1%抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン)を追加したRPMI1640培地でA549細胞を培養した。細胞を実験のために用いるまで、標準の組織培養手順に従ってA549細胞を単層として培養し、週2回継代した。
DNR取り込み実験のために、前記のように25cmの組織培養フラスコで培養したA549細胞をトリプシン処理し、洗浄し、各ウェルの10%熱不活性化FBS及び1%抗生物質を追加した2mlのRPMI1640の培地に懸濁させた3×10個の細胞を置くことによって、6ウェル組織培養プレートに再播種した。上記の培養条件下で細胞を24時間静置させた後に、細胞を以下の通りに処置した。ウェルの培地にDNRの以下の製剤を加えることによって、3反復のウェルを処置した:1)10μMのDNRを含有するシスチンリポソームDNR;2)5μMのDNRを含有するシスチンリポソームDNR;3)10μMのDNRを含有するリポソームDNR;4)5μMのDNRを含有するシスチンリポソームDNR;5)10μMの遊離DNR;及び6)5μMの遊離DNR。5%二酸化炭素の加湿雰囲気で、細胞をDNR製剤と一緒に37℃で5時間インキュベートした。次に、FACS及び蛍光顕微鏡法によって、細胞によるDNR取り込みを測定した。
FACS分析。遊離DNR、リポソームDNR又はシスチンリポソームDNRによるA549細胞の処置の終了時に、ウェルから培地を吸引し、細胞を無菌のPBS溶液で洗浄した。フラスコから細胞を切り離すために、100μlから200μlのトリプシン(0.25%w/v)を細胞に加え、細胞をおよそ1〜3分の間トリプシン溶液にインキュベートし、その後、トリプシン活性を停止するために、各ウェルに1mlの増殖培地を加えた。各ウェルの生じた細胞懸濁液を、4℃で3分の間、2000rpmで遠心分離した。上清を吸引し、500μlの無菌の氷冷PBS溶液に細胞ペレットを再懸濁させた。次に、細胞懸濁液を無菌のポリスチレン管に移した。FL3チャネルで蛍光シグナルを検出することによって、DNRの細胞取り込みを定量化した。平均の蛍光強度値も、測定した。DNRもリポソームも受けなかったA549細胞を、陰性対照として用いた。図5Aは、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度(MFI)を示す。細胞のDNR取り込みは、10μMの遊離DNRに対する、異なる代表的DNR製剤の平均蛍光強度として表される。平均及びS.E.Mを示す(***5μM及び10μM濃度での遊離DNRに対するシスチン−リポソームDNRについてp<0.001、n=3;+++5μM及び10μM濃度でのリポソームDNRに対するシスチン−リポソームDNRについてp<0.001。)図5Aに示すMFIを計算するために用いられた蛍光強度と相関する細胞数は、DNRの10μM及び5μM量のそれぞれについて図5B及び図5Cに示すヒストグラムで報告される。統計的比較を二元配置ANNOVA及び一元配置ANOVAで判定し、ボンフェローニ及びチューキーの事後検定をそれぞれ用いてペアワイズ分析を行った。全ての計算は、Graphpad Prism(商標)5(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)を用いた。0.05未満のP値を有する差は、統計的に有意であるとみなされた。
蛍光顕微鏡法。遊離DNR、リポソームDNR又はシスチンリポソームDNRによるA549細胞の処置の終了時に、A549細胞の細胞内DNRを蛍光顕微鏡分析によって観察した。緑色フィルターによる明るい光又は蛍光の下で、細胞を蛍光顕微鏡で観察した。蛍光画像化のために、天然の蛍光薬であるDNRで染色した細胞の画像を捕獲する。Nikon Eclipse(商標)Tiシリーズの倒立顕微鏡(Nikon Instruments,Inc.Melville、NY)を用いてDNR蛍光を分析し、NIS Elements(商標)ソフトウェア(Nikon Instruments,Inc.Melville、NY)を用いて画像を捕獲した。
上のFACS結果、分析と一貫して、蛍光顕微鏡像は、遊離DNR又はリポソームDNRのいずれかで処置した細胞に対して、シスチンリポソームDNRで処置した細胞で相対的に高い蛍光を示す。さらに、リポソームDNRの蛍光は、遊離DNRの蛍光と比較していかなる差も示さなかった。蛍光顕微鏡及びフローサイトメトリーのデータは一貫しており、そのことは、リポソームDNR及び遊離DNRと比較して、シスチンリポソームDNRの強化された細胞取り込みを示す。遊離DNR、リポソームDNR又はシスチンリポソームDNRの形の、10μM及び5μMのDNRでそれぞれ処置された細胞の蛍光顕微鏡像については、図6A及び図6Bを参照されたい。
(例4)グルタミン酸による細胞の前処置は、シスチンリポソームDNRからのDNRのシスチンによって媒介される細胞取り込みを阻害する
シスチンリポソームDNRからのDNRの取り込みでx 輸送体が演ずる潜在的役割を実証するために、シスチンリポソームDNRの導入の前に、グルタミン酸、x 輸送体を通すシスチン取り込みの特異的阻害剤で、A549細胞を前処置した。これらの取り込み阻害研究を実施するために、A549細胞を6ウェルプレートに3反復のウェルで平板培養し、DNR製剤の導入前の30分間、細胞を5mM濃度のグルタミン酸(Sigma−Aldrich)で前処置したこと以外は正確に上の例3に記載の通りに、DNRの10μm又は5μm量のいずれかを含有したシスチンリポソームDNRで処置した。DNR取り込みのFACS分析は、例3に記載されるプロトコルに従って実施した。FACS分析からの結果は、5mMグルタミン酸による前処置が、それぞれ10μMDNR及び5μMDNRのシスチンリポソームDNRで処置した細胞で、約1.3倍及び2.1倍、DNRの細胞取り込みを低減することを示した。グルタミン酸で処置されなかった及び処置された10μM及び5μMのシスチンリポソームDNRでのDNR蛍光のMFIを示し、そこで、細胞DNR取り込みは10μMの遊離DNRによるA549細胞の処置に基づく蛍光強度に対するMFIとして表される図7Aを参照されたい。これらのグルタミン酸処置研究での蛍光強度に対する細胞数の間の関係を、10μM及び5μMのDNRを含有するシスチンリポソームDNRで処置したA549細胞について、それぞれ図7B及び7Cに示す。
(例5)シスチンリポソームDNRからのDNRの細胞取り込みに及ぼす冷温の影響
シスチンリポソームDNRの取り込みがエネルギー依存性の飲食過程であるかどうか判断するために、シスチンリポソームDNRからのDNRの細胞取り込みに及ぼす冷温の影響を検討した。これらの温度研究を実施するために、A549細胞を6ウェルプレートの3反復のウェルに平板培養し、冷温にさらした細胞についてはDNR含有シスチンリポソーム製剤との5時間のインキュベーションを4℃で実施したこと以外は正確に上の例3に記載の通りに、DNRの10μm又は5μm量のいずれかを含有したシスチンリポソームDNRで処置した。DNR取り込みのFACS分析は、例3に記載されるプロトコルに従って実施した。図8A及び8Bのそれぞれ10μM及び5μMのDNR含有シスチンリポソーム製剤で処置されたA549細胞について示すように、DNRの細胞摂取は37℃条件下に対して4℃条件下で低減された。したがって、これらのデータは、シスチンリポソームDNRからのDNRの細胞取り込みがエネルギー依存性の過程であることを示唆する。
(例6)シスチンリポソームDNRからのDNRの細胞取り込みに及ぼすカベオラ媒介飲食作用阻害の影響
シスチンリポソームDNRからのDNRの取り込みが飲食作用を含むことを示唆した例5に記載の冷温研究を考慮して、シスチンリポソームDNRからのDNR取り込みを阻害する、飲食作用の特定の機構の特定の阻害剤の能力を試験した以降のDNR取り込み研究を実施した。これらの研究の第1のものは、シスチンリポソームDNRからのDNR取り込み機構がカベオラ媒介飲食作用を含むかどうか判断することを目指した。より詳細には、シスチンリポソームDNRと一緒に細胞を培養する前にA549細胞を前処置するために、サイトカラシンD、カベオラ媒介飲食作用の特異的取り込み阻害剤を用いた。これらの取り込み阻害研究を実施するために、A549細胞を6ウェルプレートの3反復のウェルに平板培養し、DNR製剤の導入前の30分間、細胞を100μM濃度のサイトカラシンD(Sigma−Aldrich)で前処置したこと以外は正確に上の例3に記載の通りに、DNRの10μm又は5μm量のいずれかを含有したシスチンリポソームDNRで処置した。DNR取り込みのFACS分析は、例3に記載されるプロトコルに従って実施した。
FACS分析からの結果は、100μMのサイトカラシンDによる前処置が、10μMのDNR又は5μMのシスチンリポソームDNRで処置した細胞によるDNRの細胞取り込みを有意に低減しないことを示した。10μM又は5μMのいずれかのシスチンリポソームDNRを受けた、サイトカラシンDで処置しなかった及び処置したA549細胞でのDNR蛍光のMFIを示す図9Aを参照されたい。より詳細には、一元配置ANOVAは、DNRの相対的平均蛍光強度が処置の有意な差(F3、8=588.73;P<0.001)を示すことを示す。図9Aのチューキーの事後検定を用いるデータのさらなる分析は、両濃度(10μM及び5μM)について未処置のシスチンリポソームDNRと比較して、サイトカラシンで処置したシスチンリポソームDNRの相対的平均蛍光強度の有意な差を示していない。さらに、DNRの10μMか5μMの量が加えられたかどうかにかかわらず、サイトカラシンDで前処置された細胞によるシスチンリポソームDNRからのDNRの取り込みと比較して、単独で投与されたシスチンリポソームDNRからのDNRの細胞取り込みにいかなる差もなかった。図9B及び9Cを参照。
(例7)シスチンリポソームDNRからのDNRの細胞取り込みに及ぼすクラスリン媒介飲食作用阻害の影響
DNR含有シトシンリポソームからのDNRの細胞取り込みに関与することができる飲食作用機構の同定に関する例6での議論に続いて、シスチンリポソームDNRからのDNRの取り込み機構がクラスリン媒介飲食作用を含むかどうか判断するための、以下のDNR取り込み研究で、クロルプロマジン、クラスリン媒介飲食作用の特異的阻害剤を用いた。これらの研究は、A549細胞を6ウェルプレートの3反復のウェルに平板培養し、DNR製剤の導入前の30分間、細胞を10μg/ml濃度のクロルプロマジン(Sigma−Aldrich)で前処置したこと以外は正確に上の例3に記載の通りに、DNRの10μm又は5μm量のいずれかを含有したシスチンリポソームDNRで処置することによって実施した。DNR取り込みのFACS分析は、例3に記載されるプロトコルに従って実施した。
FACS分析からの結果は、10μgクロルプロマジンによる前処置が、10μMのDNRで処置された細胞によるDNRの細胞取り込みのわずかな低減だけを引き起こし、5μMのシスチンリポソームDNRで処置された細胞によるDNR取り込みの有意な低減を引き起こさないことを示した。10μM又は5μMのいずれかのシスチンリポソームDNRを受けた、サイトカラシンDで処置しなかった及び処置したA549細胞でのDNR蛍光のMFIを示す図10Aを参照されたい。一元配置ANOVAは、DNRの相対的平均蛍光強度が処置の有意な差(F3、8=85.74;P<0.001)を示すことを示す。図10Aのチューキーの事後検定によるデータのさらなる分析は、10μMのシスチンリポソームDNRと比較して、クロルプロマジンで処置した10μMのシスチンリポソームDNRの相対的平均蛍光強度のわずかな有意な上昇を示す(P<0.05)。DNRの10μMか5μMの量が加えられたかどうかにかかわらず、クロルプロマジンで前処置された細胞によるシスチンリポソームDNRからのDNRの取り込みと比較して、単独で投与されたシスチンリポソームDNRからのDNRの細胞取り込みの差の欠如。図10B及び10Cを参照されたい。
(例8)シスチンリポソームDNRからのDNRの細胞取り込みに及ぼすマクロピノサイトーシス阻害の影響
DNR含有シトシンリポソームからのDNRの細胞取り込みに関与することができる飲食作用機構の同定に関する例6での議論に続いて、シスチンリポソームDNRからのDNR取り込み機構がマクロピノサイトーシスを含むかどうか判断するための以下のDNR取り込み研究で、アミロライド、マクロピノサイトーシスの特異的阻害剤を用いた。これらの研究は、A549細胞を6ウェルプレートの3反復のウェルに平板培養し、DNR製剤の導入前の30分間、細胞を3mM濃度のアミロライド(Sigma−Aldrich)で前処置したこと以外は正確に上の例3に記載の通りに、DNRの10μm又は5μm量のいずれかを含有したシスチンリポソームDNRで処置することによって実施した。DNR取り込みのFACS分析は、例3に記載されるプロトコルに従って実施した。
FACS分析からの結果は、3mMのアミロライドによる前処置が、10μMのDNR又は5μMのシスチンリポソームDNRで処置した細胞によるDNRの細胞取り込みの有意な低減を引き起こすことを示した。10μM又は5μMのいずれかのシスチンリポソームDNRを受けた、サイトカラシンDで処置しなかった及び処置したA549細胞でのDNR蛍光のMFIを示す図11Aを参照されたい。一元配置ANOVAは、DNRの相対的平均蛍光強度が処置間の有意な差(F3、8=98.53;P<0.001)を示すことを示す。図11Aのチューキーの事後検定によるデータのさらなる分析は、細胞がシスチンリポソームDNRだけを受けたときに対して、細胞がアミロライドでも前処置されたときの、10μMのシスチンリポソームDNRで処置された細胞の相対的平均蛍光強度の有意な低下を示す(P<0.05)。細胞がシスチンリポソームDNRだけを受けるときに対して、細胞がアミロライドでも前処置されるときの、5μMのシスチンリポソームDNRで処置した細胞の相対的平均蛍光強度の有意な低下もあった。図11B及び11Cは、シスチンリポソームDNRだけで前処置された細胞に対して、アミロライドで前処置された、それぞれ10μM及び5μMのシスチンリポソームDNRで処置された細胞によるDNRの細胞取り込みの減少をヒストグラム形式で示す(用いたデータはn=3の最良のものに由来する)。
(例9)シスチンリポソームDNRからのDNRの細胞取り込みに及ぼす細胞膜コレステロール減損の影響
DNR含有シトシンリポソームからのDNRの細胞取り込みに関与することができる飲食作用機構の同定に関する例6での議論に続いて、シスチンリポソームDNRからのDNR取り込み機構が細胞膜コレステロールを含むかどうか判断するための以下のDNR取り込み研究で、ナイスタチン、コレステロール依存性細胞取り込みを阻害する薬物を用いた。これらの研究は、A549細胞を6ウェルプレートの3反復のウェルに平板培養し、DNR製剤の導入前の30分間、細胞を100μg/ml濃度のナイスタチン(Sigma−Aldrich)で前処置したこと以外は正確に上の例3に記載の通りに、DNRの10μm又は5μm量のいずれかを含有したシスチンリポソームDNRで処置することによって実施した。DNR取り込みのFACS分析は、例3に記載されるプロトコルに従って実施した。
FACS分析からの結果は、100μg/mlのナイスタチンによる前処置が、10μMのDNR又は5μMのシスチンリポソームDNRで処置した細胞によるDNRの細胞取り込みの有意な低減を引き起こさないことを示した。10μM又は5μMのいずれかのシスチンリポソームDNRを受けた、ナイスタチンで処置しなかった及び処置したA549細胞でのDNR蛍光のMFIを示す図12Aを参照されたい。一元配置ANOVAは、DNRの相対的平均蛍光強度が処置の有意な差(F3、8=271.8;P<0.001)を示すことを示す。図12Aのチューキーの事後検定によるデータのさらなる分析は、細胞がシスチンリポソームDNRだけを受けるときに対して、細胞がナイスタチンでも前処置されるときの、10μMのシスチンリポソームDNRで処置された細胞の相対的平均蛍光強度の有意な差を示さない。さらに、10μMのシスチンリポソームDNRだけで処置された細胞と比較して、ナイスタチンで前処置された、10μMのシスチンリポソームDNRで処置された細胞の相対的平均蛍光強度のわずかな有意な低下を示す(P<0.05)。図12B及び12Cは、シスチンリポソームDNRだけを受けた細胞と比較して、ナイスタチンで前処置された、10μM又は5μMのシスチンリポソームDNRからのDNRの細胞取り込みのわずかな減少を示す。
(例10)シスチンリポソームDNRによる処置の後のDNR媒介細胞毒性
DNRは細胞毒性化合物であるので、DNR取り込みの測定手段としての細胞毒性測定に頼ることによって、細胞内送達系としてのシスチンリポソームDNRの効果を評価した。シスチンリポソームDNRの対照には、遊離DNR及びシスチンを含有しないリポソームDNRが含まれた。細胞毒性は、細胞への前記のDNR製剤の添加、及び続くインキュベーション期、及びMTSアッセイを用いる細胞毒性の判定の後に、A549細胞で測定した。簡潔には、MTSアッセイは、テトラゾリウム化合物(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2ーイル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩;MTS)及び電子結合試薬、フェナジンメトスルフェート(PMS)の非放射性細胞増殖アッセイである。MTSは、代謝活性のある細胞に存在するレダクターゼ酵素によって、細胞によってホルマザン化合物に生体還元される。ホルマザン化合物の吸光度は、490nmの波長で測定することができ、生細胞数に正比例する。IC50を求めるために、用量反応曲線を用いて毒性を測定した。IC50は、細胞の吸光容量を50%低減するのに必要とされる試験化合物の濃度である。
容積8mlのRPMI1640培地で20%MTSと1%PMSの溶液を混合することによって、MTS試薬を調製した。ウェルから増殖培地を除去した後、この調製したMTS試薬の100μlを各ウェルに加え、5%COの加湿雰囲気中で、37℃で4時間インキュベートした。MTSは生細胞によって有色のホルマザン生成物に還元され、培地に可溶性である。ホルマザンの量を、490nm波長で測定した。
100μlのRPMI培地に懸濁した5×10個の細胞を96ウェルプレートの各ウェルに平板培養し、5%COの加湿雰囲気中で細胞を37℃で24時間インキュベートすることによって、DNR含有リポソーム製剤の用量反応曲線を作製した。インキュベーションの後、例4に記載の通り、5mMのシスチン取り込み阻害剤、グルタミン酸で細胞を30分の間前処置した。グルタミン酸添加の対照ウェルは、50μlのRPMI培地だけで被覆された。5%COの加湿雰囲気中の37℃でのインキュベーションは、半時間であった。連続希釈の最終DNR濃度が、3反復のウェルに200μl/ウェルで72時間懸濁させた合計で2.5μMのDNR、5μMのDNR、10μMのDNR及び15μMのDNRであるように、DNR含有シスチンリポソーム、遊離DNR及びリポソームDNRを連続希釈した。プレートの各側の最初の列には細胞を平板培養せず、アッセイで用いなかったが、代わりに汚染又は蒸発を最小にするために、100μlのPBSを満たした。用量反応曲線は、Prism(商標)ソフトウェア(San Diego、CA)を用いてプロットした。各実験は、独立して2回実施した。IC50データは、図13Aに報告する。図13Bは、遊離DNR、リポソームDNR又はシスチンリポソームDNRのいずれかによる72時間の処置の後のA549細胞の生存力を示す。
表1は、遊離DNR及びシスチンリポソームDNR及びDNR含有リポソームのIC50濃度を示す。遊離DNR、リポソームDNR及びシスチンリポソームDNRのIC50濃度は、それぞれ15.25μM、10.25μM及び4.44μMであった。図13Aも参照されたい。リポソームDNRのIC50は遊離DNRのIC50より1.5倍低く、それは、リポソームDNRが遊離DNRより細胞毒性が高いことを意味する。シスチンリポソームDNRのIC50は遊離DNR及びリポソームDNRのIC50よりそれぞれ3.5倍及び2.3倍低く、それは細胞毒性の増加と相関した。
例4に記載のように、A549細胞を5mMのグルタミン酸で前処置するとき、シスチンリポソームDNRのIC50濃度は有意に増加する。表1及び図14Aを参照されたい。図14Bに示すグラフは、5mMのグルタミン酸による前処置の不在下及び存在下での10μM及び5μM濃度の遊離DNR、リポソームDNR及びシスチンリポソームDNRについて、細胞の生存力を示す。***p<0.001は、5μMシスチンリポソームDNR+グルタミン酸に対する5μMシスチンリポソームDNRである。
二元配置ANOVAは、濃度の有意な影響(F1、12=25.99;p<0.001)、並びに遊離DNR、DNR含有リポソーム、及びDNR含有シスチンリポソーム製剤の有意な影響(F2、12=49.52;p<0.001)を示した。リポソームDNRの形で加えられたDNRの量と細胞生存力との間には、有意な相関はなかった。詳細には、0.0001、2.5、5、10及び15μM濃度のいずれのリポソームDNRも、リポソームDNR製剤による72時間の処置の後、A549細胞の細胞生存力に影響を及ぼさなかった。図15を参照されたい。両方の濃度(10μM及び5μM)で、リポソームDNRと遊離DNRとの間にも有意な差があった(P<0.05)。
(例11)ゼブラフィッシュ研究
in vivoでDNRを送達するシスチンリポソームDNRの能力は、シスチンリポソームDNR又はリポソームDNRのいずれかを摂取させた咽頭期ゼブラフィッシュの胃腸管でDNRを追跡することによって評価した。パネル16Aの矢印は、ゼブラフィッシュの胃に残ったDNRを指す。
(例12)in vivo腫瘍研究
SLC7A11がすい臓、肺、前立腺及び胃起源のがん細胞で上方制御されるという事実を考慮して、腫瘍細胞にDNRを送達するシスチンリポソームDNRの能力を以下の通りに実施した。8週齢の雌C57BL/6J野生型マウスを、Jackson Laboratories(Bar Harbor、ME)から購入した。動物は無菌施設において食事及び水を自由摂取で飼い、これらの研究に入れる前に1週間順化させた。皮下腫瘍は、マウスの右側腹部への、同質遺伝子的すい臓腫瘍細胞系(Pan02、NCI、Frederick、MD)の1×10個の細胞の、27ゲージ針を用いる皮下注射によって確立した。腫瘍が触知可能になったとき、マウスをn=7の5つの処置群に無作為化した。各群のマウスの腫瘍サイズの範囲は、同等であった。試験の1日目に、5群のマウスの尾静脈に以下のいずれかをそれぞれ注射した:1)食塩水;2)体重1kgにつき5mgの遊離DNR;3)リポソームDNR(体重1kgにつき5mgのDNR);4)シスチンリポソームDNR(体重1kgにつき5mgのDNR);又は5)ペグ化シスチンリポソームDNR(体重1kgにつき5mgのDNR)。腫瘍サイズは、デジタルバーニヤカリパスを2つの寸法で用いることにより、処置の日から17日間にわたって2〜3日おきに測定した。アッセイの20日目にマウスを屠殺し、腫瘍をもう一度測定した。腫瘍体積は、以下の方程式を用いて計算し:V=π/6×L×W、式中、L=最長寸法であり、W=最短寸法である。群間比較のために、全てのデータは二元配置ANOVAとボンフェローニ事後検定によって分析した。(n=7)。
シスチンリポソームDNRによる腫瘍の処置は、リポソームDNR又は非封入(遊離)DNRのいずれかによる処置と比較して、動物の腫瘍サイズを有意に低減した。図17A〜Cを参照されたい。腫瘍サイズのさらにより有意な低減が、ペグ化シスチンリポソームDNRによって達成された。ペグ化シスチンリポソームDNRのPEG構成成分は、食細胞による認識を避けるために加えられた。ペグ化シスチンリポソームは、挿入後技術を用いることによって作製した。簡潔には、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DSPE)−mPEG2000(Avanti Polar Lipids Inc.Alabaster、AL、USA)の溶液をシスチンリポソームと混合して数時間インキュベートさせ、予め形成されたリポソームにDSPE−mPEG2000を挿入した。次に、LIPEXエクストルーダを用いてこの懸濁液を12回押し出し、凍結乾燥させ、使用時まで−80℃で冷凍した。
動物の全体的な健康の指標として用いるために、腫瘍測定時に体重も測定した。試験の全過程でのマウスの体重に基づいて判断されるように、リポソーム製剤、すなわち、リポソームDNR、シスチンリポソームDNR及びペグ化シスチンDNRの有害作用は、遊離DNRの有害作用と比較して低減された。図17Dを参照されたい。

Claims (12)

  1. カーゴに結合しているシスチン分子を含む、治療薬又は診断薬又はその両方の標的細胞内送達のためのビヒクルであって、該カーゴが治療薬、診断薬若しくはその両方を含むナノ粒子組成物であり、ナノ粒子が標的細胞に送達されるように、該ナノ粒子の表面をシスチン分子で修飾している、上記ビヒクル。
  2. シスチン分子が化学結合によって直接にカーゴに結合している、請求項1に記載のビヒクル。
  3. シスチン分子が連結基によってカーゴに結合している、請求項1に記載のビヒクル。
  4. 連結基がポリエチレングリコール分子である、請求項3に記載のビヒクル。
  5. 治療薬が、有機小分子、無機分子、治療的ペプチド及びタンパク質、抗体、放射性同位体、遺伝子療法のためのsiRNA及び核酸、毒素並びに抗がん剤からなる群から選択される、請求項1に記載のビヒクル。
  6. 診断薬が、蛍光性物質、電子高密度物質、レポーター部分、特異的結合部分及び放射性物質から選択される、請求項1に記載のビヒクル。
  7. ナノ粒子組成物がリポソームである、請求項1から6のいずれか一項に記載のビヒクル。
  8. 前記リポソームが少なくとも1つのリン脂質を含み、シスチンが少なくとも1つのリン脂質に結合している、請求項7記載のビヒクル。
  9. a)細胞内送達のためにカーゴに結合しているシスチン分子を含む、治療薬、診断薬又はその両方の標的細胞内送達のためのビヒクルであって、該カーゴが治療薬、診断薬若しくはその両方を含むナノ粒子組成物であり、ナノ粒子が標的細胞に送達されるように、該ナノ粒子の表面をシスチン分子で修飾している、上記ビヒクルと、
    b)薬学的に許容される担体と
    を含む、医薬製剤。
  10. がん治療に使用するための請求項に記載の医薬製剤。
  11. ビヒクルがシスチン/グルタミン酸交換に特異的な系x ヘテロダイマーアミノ酸輸送体の形質細胞膜構成成分の異常に高いレベルを発現する細胞を標的とする、治療薬、診断薬又はその両方の細胞内送達のための請求項1から8のいずれか一項に記載のビヒクル。
  12. 治療薬が抗がん剤である、請求項1から5、7、又は11のいずれか一項に記載のビヒクル。
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