以下、本発明の実施形態について図1乃至図11を参照して説明する。図1乃至図6は、照明装置を示し、図7は、発光素子の発光スペクトルを示し、図8乃至図11は、光の評価結果を示している。各図においてリード線等による配線接続関係は省略して示している。なお、同一部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
本実施形態の照明装置は、装置取付面に設置された配線器具としての引掛けシーリングボディに取付けられて使用される一般住宅用のものであり、基板に実装された複数の発光素子を有する光源部から放射される光によって室内の照明を行うものである。
照明装置は、装置本体1と、光源部2と、点灯装置3と、センター部材4と、取付部5とを備えている。さらに、照明装置は、光センサ6と、セード7と、カバー部材8と、間接光光源部9と、補助部品ユニット10とを備えている。また、装置取付面としての天井面Cに設置された引掛けシーリングボディCbに電気的かつ機械的に接続されるアダプタA(図5参照)と赤外線リモコン送信器Rcとを備えている。このような照明装置は、丸形の円形状の外観に形成され、前面側を光の照射面とし、背面側を天井面Cへの取付面としている。これらの構成要素について順次説明する。
図2乃至図5に示すように、装置本体1は、冷間圧延鋼板等の金属材料の平板から円形状に形成された熱伝導性を有するシャーシであり、略中央部に、後述する取付部5が配置される円形状の開口11が形成されている。この開口11は、円形状の一部が外方に突出して取付部5の外形と略等しい形状に形成されている。
開口11の外周側には、四角形状で角部がR形状をなし、背面側へ突出した突出部12が形成されている。また、装置本体1の外周側には、背面側に突出、換言すれば、前面側に凹部を形成する円形環状の突出部13が形成されている。
突出部13によって形成される凹部には、セード7が着脱可能に取付けられるセード受金具75が配置されている。これら突出部12、13は、主としてシャーシに取付けられる部材の取付部として機能し、また、シャーシの強度を補強する機能や放熱面積を増加する機能を有している。
なお、装置本体1は、本実施形態においては、シャーシが該当するが、ケース、反射板やベースと指称されるものであってもよい。一般的には、光源部2が直接的又は間接的に配設される部材や部分を意味しており、格別限定的に解釈されるものではない。
光源部2は、図2、図3及び図5に示すように、基板21と、この基板21に実装された複数の発光素子22とを備えている。なお、図2においては、発光素子22の図示を省略している。基板21は、所定の幅寸法を有した略円弧状の4枚の基板21が繋ぎ合わされるように配設されて全体として略サークル状に形成されている。つまり、全体として略サークル状に形成された基板21は、4枚の分割された基板21から構成されている。
このように分割された基板21を用いることにより、基板21の分割部で熱的収縮を吸収して基板21の変形を抑制することができる。なお、複数に分割された基板21を用いることが好ましいが、略サークル状に一体的に形成された一枚の基板を用いるようにしてもよい。
基板21は、絶縁材であるガラスエポキシ樹脂(FR−4)の平板からなり、表面側には銅箔によって配線パターンが形成されている。発光素子22は、この配線パターンに電気的に接続されるようになっている。また、配線パターンの上、つまり、基板21の表面には反射層として作用する昼光色のレジスト層が施されている。
なお、基板21の材料は、絶縁材とする場合には、セラミックス材料又は合成樹脂材料を適用できる。さらに、金属製とする場合は、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れたべース板の一面に絶縁層が積層された金属製のべース基板を適用できる。
発光素子22は、LEDであり、表面実装型のLEDパッケージである。このLEDパッケージが複数個サークル状の基板21の周方向に沿って、複数列、本実施形態では、半径の異なる略同心円の周上に3列に亘って実装されている。つまり、内周側の列、外周側の列及び、これら内周側の列と外周側の列との中間の列に亘って実装されている。
LEDパッケージは、概略的にはセラミックスや合成樹脂で形成されたキャビティに配設されたLEDチップと、このLEDチップを封止するエポキシ系樹脂やシリコーン樹脂等のモールド用の透光性樹脂とから構成されている。
内周側の列及び外周側の列に実装されているLEDパッケージには、発光色が電球色(L)のものと昼光色(D)のものとが用いられており、これらが円周上に略等間隔を空けて交互に並べられて配設されている。LEDチップは、青色光を発光するLEDチップである。透光性樹脂には、蛍光体が混入されており、電球色(L)、昼光色(D)の昼光色系の光を出射できるようにするために、主として青色の光とは補色の関係にある黄色系の光を放射する黄色蛍光体や赤み成分を補うため赤色蛍光体が用いられている。
中間の列に実装されているLEDパッケージには、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に発光するものが用いられている。したがって、LEDチップは、それぞれ赤色、緑色、青色の光に発光するLEDチップであり、これらLEDチップがモールド用の透光性樹脂によって封止されている。
中間の列に実装されている赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に発光するLEDパッケージは、略円周上に順次、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)と連続的に略等間隔を空けて配置されている。
より詳しくは、これら発光色の異なる赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に発光するLEDパッケージは、発光色ごとに僅かながら半径寸法の異なる略同心円上であって、周方向の位置をずらせて実装されている。
このような発光素子22は、図7に示すような発光スペクトルの特性を有するものが用いられている。図7は、発光スペクトルを示すグラフであり、横軸は、波長(nm)を示し、縦軸は、比エネルギー(%)を示している。
図に示すように、具体的には、赤色(R)光を発光する発光素子22は、その光のピーク波長が620nm〜640nm、半値全幅が10nm〜30nmのものが用いられ、緑色(G)光を発光する発光素子22は、その光のピーク波長が510nm〜530nm、半値全幅が40nm〜60nmのものが用いられ、青色(B)光を発光する発光素子22は、その光のピーク波長が440nm〜470nm、半値全幅が10nm〜30nmのものが用いられている。
また、電球色(L)の光を発光する発光素子22は、その蛍光体由来の蛍光のピーク波長が550nm〜650nm、半値全幅が100nm〜200nmのものが用いられ、昼光色(D)の光を発光する発光素子22は、その蛍光体由来の蛍光のピーク波長が500nm〜600nm、半値全幅が100nm〜200nmのものが用いられている。
ここで、電球色(L)の光を発光する発光素子22の場合は、青色光を発光するLEDチップからピーク波長が440nm〜470nm、半値全幅が10nm〜30nmの青色光が出射され、また、この青色光によって励起された蛍光体から蛍光が出射される。これら光が混色され電球色(L)の光が出射されるようになる。
昼光色(D)の光を発光する発光素子22の場合は、同様に、青色光を発光するLEDチップからピーク波長が440nm〜470nm、半値全幅が10nm〜30nmの青色光が出射され、また、この青色光によって励起された蛍光体から蛍光が出射される。ピーク波長が500nm〜600nm、半値全幅が100nm〜200nmのこれらの光が混色され、昼光色(D)の光が出射されるようになる。
なお、LEDパッケージにおける赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の配列は、特定されず順不同でよく、例えば、緑色(G)、赤色(R)、青色(B)の順に配列してもよい。また、隣接するLEDパッケージは、異なる発光色のものを配置するのが好ましいが、格別限定されるものではない。一例としては、赤色(R)、赤色(R)、緑色(G)、緑色(G)、青色(B)、青色(B)のように同色を2個ずつ連続的に配置することも可能である。
このように半径の異なる略同心円の周上に列をなして電球色(L)、昼光色(D)に発光する複数の発光素子22が配設され、前記円と略中心を同じくする円の周上であって、前記電球色(L)、昼光色(D)に発光する発光素子22の列間に列をなして赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に発光する複数の発光素子22が配設されている。
したがって、前記発光スペクトルの特性を有する発光色の異なる複数の発光素子22、すなわち、電球色(L)、昼光色(D)、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に発光する発光素子22が配設されているので、これらが混光されることにより表現可能な光色の範囲が広く、発光素子22の光出力を調整することにより光色を適切に調色することが可能となる。
なお、LEDは、LEDチップを直接基板21に実装するようにしてもよく、また、砲弾型のLEDを実装するようにしてもよく、実装方式や形式は、格別限定されるものではない。
このように構成された光源部2は、図3及び図5に代表して示すように、基板21が装置本体1の前面側であって開口11の周囲に位置して、発光素子22の実装面が前面側、すなわち、下方の照射方向に向けられて配設されている。また、基板21の裏面側が装置本体1の内面側に密着するように例えば、ねじ等の固定手段によって取付けられている。したがって、基板21は、装置本体1と熱的に結合され、基板21からの熱が裏面側から装置本体1に伝導され放熱されるようになっている。
図2及び図5に示すように、光源部2の前面側には、光源部カバー25が配設されている。光源部カバー25は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の絶縁性を有する透明合成樹脂からなり、前記発光素子22の配置に沿って略サークル状に一体的に形成されていて、発光素子22を含めて基板21の全面を覆うように配設されている。
したがって、発光素子22から出射される光は、光源部カバー25を透過するようになる。また、基板21の全面を覆うようになっているので、充電部が光源部カバー25によって覆われ絶縁性が確保される。
点灯装置3は、図5に示すように、回路基板と、この回路基板に実装された制御用IC、トランス、コンデンサ等の回路部品とを備えている。回路基板は、中央部の周囲を囲むように板状に形成されていて、その表面側に回路部品が実装されている。
回路基板には、アダプタA側が電気的に接続されて、アダプタAを介して商用交流電源に接続される。したがって、点灯装置3は、この交流電源を受けて直流出力を生成し、リード線を介してその直流出力を発光素子22に供給し、発光素子22を点灯制御するようになっている。
このような点灯装置3は、図4の参照を加えて示すように、点灯装置カバー35に取付けられ覆われて、装置本体1の背面側に配置されるようになる。この場合、回路基板は、回路部品が前面側(図示上、下方側)に向けられて取付けられる。
点灯装置カバー35は、冷間圧延鋼板等の金属材料によって略四角形の短筒状に形成され、側壁35aは、前面側に向かって拡開するように傾斜状をなしており、背面壁35bの中央部には、開口35cが形成されている。
この点灯装置カバー35は、図4及び図5に示すように、前面側のフランジがシャーシの突出部12に載置され、ねじ止めされて取付けられる。
また、点灯装置カバー35の背面側には、弾性部材36が取付けられている。弾性部材36は、前記複数の各間接光光源部9の取付位置に対応して、その近傍に取付けられている。弾性部材36は、照明装置が装置取付面としての天井面Cに取付けられた状態において、天井面Cとの間に弾性変形を伴って介在するように配設される部材であり、照明装置を天井面Cに確実に保持する作用をなしている。
センター部材4は、図2、図3及び図5に示すように、PBT樹脂等の合成樹脂材料で作られ、略短円筒状に形成されており、中央部に引掛けシーリングボディCbに対向する開口41を有している。また、開口41の周囲には、環状の空間部42が形成されていて、この空間部42には、後述する光センサ6が配設されるようになっている。さらに、センター部材4の前面壁には、光センサ6の受光部と対向する受光窓43が形成されている。
このように構成されたセンター部材4は、主として図5に示すように、背面側のフラン
ジが光源部カバー25を介してシャーシにねじ止めされて取付けられている。なお、センター部材4は、シャーシに直接的又は間接的に取付けることができ、その具体的な取付構成が限定されるものではない。
取付部5は、アダプタガイドであり、アダプタAが挿通し係合する部材であり、照明装置を天井面Cに取付けるための部材である。アダプタガイドは、図5に示すように、略円筒状に形成され、中央部には、アダプタAが挿通し、係合する係合口51が設けられている。このアダプタガイドは、本体1の中央部に形成された開口11に対応して配設されている。
なお、取付部5は、必ずしもアダプタガイド等と指称される部材である必要はない。例えば、装置本体1等に形成される開口であってもよく、要は、配線器具としての引掛けシーリングボディCbに対向し、アダプタAが係合される部材や部分を意味している。
光センサ6は、図5に示すように、基板に実装され、その受光部が受光窓43に対向するようにセンター部材4の空間部42内に配設され取付けられている。光センサ6は、照度センサであり、フォトダイオード等のセンサ素子からなっていて、周囲の明るさを検知して検出信号を出力するように動作する。これにより、周囲が明るい場合には、光源部2、すなわち、発光素子22を調光(減光)して点灯するように制御する。
セード7は、アクリル樹脂等の透光性を有し、乳昼光色を呈する拡散性を備えた材料から略円形状に形成されており、中央部には円形状の開口71が形成されている。また、セード7の外周部には、セード化粧枠7aが取付けられていて、このセード化粧枠7aは、アクリル樹脂等からなる透明材料から形成されている。
そして、セード7は、光源部2を含めた本体1の前面側を覆うように本体1の外周縁部に着脱可能に取付けられるようになっている。具体的には、セード7を回動することによって、セード7に設けられたセード取付金具74を、装置本体1の突出部13によって形成された凹部に設けられたセード受金具75に係合することにより取付けられる。
また、セード7を取外す場合には、セード7を取付時とは反対方向に回動して、セード取付金具74とセード受金具75との係合を解くことにより、取外すことができる。
カバー部材8は、透明のアクリル樹脂等の材料から円形状に形成されている。このカバー部材8は、セード7の開口71に対応し、センター部材4の前面壁に取付けられて、センター部材4の開口41を覆って閉塞するように配設される。また、カバー部材8には、光センサ6の受光窓43と対向する透過部81が形成されている。
間接光光源部9は、装置本体1の背面側に配設されていて、主として天井面を明るく照らす機能を有している。図4及び図5に示すように、間接光光源部9は、取付部5の周囲に位置して複数個配設されており、基板91と、この基板91に実装された複数の発光素子92とを備えている。
基板91は、略長方形状の平板に形成されており、発光素子92は、この基板91の長手方向に沿って直線状に並べられて実装されている。
この発光素子92が実装された基板91が前記点灯装置カバー35の側壁35aにおける4箇所に取付けられている。この場合、点灯装置カバー35は、略四角形に形成されており、基板91は、その側壁35aにおける直線状の平坦面に取付けられているので、取付けが安定的に行われることとなる。
また、基板91の取付部をなす側壁35aは、前面側に向かって拡開する傾斜状に形成されているため、基板91は、斜め上方、つまり、天井面方向に向けられることとなり、発光素子92から出射される光は、天井面方向に向かって効果的に照射されるようになる。
さらに、各間接光光源部9は、断面が背面側へ向かって拡開するような傾斜状に形成された透光性のカバー93に覆われるようになっている。
発光素子92は、前記光源部2と同様に、LEDであり、表面実装型のLEDパッケージであって、発光色が電球色(L)のものが用いられている。そして、発光素子92は、前記光源部2の電球色(L)の光を発光する発光素子22と同様な発光スペクトルの特性を有している。この発光素子92は、点灯装置3に接続されて点灯制御されるようになっている。
補助部品ユニット10は、図2、図3及び図5に示すようにユニット基板101及びこの基板101に実装された複数の電気的補助部品を備えて構成されている。本実施形態における電気的補助部品は、赤外線リモコン信号受信部102、常夜灯用の発光素子103やチャンネル設定スイッチ104等である。この補助部品ユニット10は、装置本体1の前面側であって光源部2の内側に配設されている。
アダプタAは、図5に示すように、天井面Cに設置された引掛けシーリングボディCbに、上面側に設けられた引掛刃によって電気的かつ機械的に接続されるもので略円筒状をなし、周壁の両側には一対の係止部A1が、内蔵されたスプリングによって常時外周側へ突出するように設けられている。この係止部A1は下面側に設けられたレバーを操作することにより没入するようになっている。また、このアダプタAからは、前記点灯装置3へ接続する図示しない電源コードが導出されていて、点灯装置3とコネクタを介して接続されるようになっている。
赤外線リモコン送信器Rcは、例えば、周波数38kHzのパルス状の特定のコード化された赤外線リモコン制御信号を送信するもので、例えば、モード切替えボタン、全光点灯ボタン、調光点灯ボタン、常夜灯ボタンや消灯ボタン等が設けられている。このリモコン送信器Rcを補助部品ユニット10、すなわち、赤外線リモコン信号受信部102に向けて操作することによって光源部2及び間接光光源部9の照明状態を制御することができる。
次に、図6を参照して本実施形態に係る照明装置の概略のブロック構成について説明する。図に示すように、商用交流電源ACに接続された点灯装置3と、この点灯装置3に接続された光源部2及び間接光光源部9と、制御手段31とから構成されている。
点灯装置3は、直流電源として機能するもので、商用交流電源ACを受けて直流出力を生成する。光源部2は、前記したように基板21に実装されて接続された電球色(L)、昼光色(D)、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に発光する5色の発光色の異なる発光素子22を備えている。また、間接光光源部9は、電球色(L)に発光する発光素子92を備えている。
制御手段31は、設定情報入出力部32と、この設定情報入出力部32に接続された調光制御手段33及び記憶手段34とを備えており、設定情報入出力部32には、赤外線リモコン信号受信部102が接続されている。なお、記憶手段34には、モード記憶部341が設けられている。
調光制御手段33には、PWM制御回路331及びこのPWM制御回路331に接続されたスイッチング制御回路332が設けられている。このPWM制御回路331及びスイッチング制御回路332は、前記光源部2の電球色(L)、昼光色(D)、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に発光する5色の発光色の発光素子22及び間接光光源部9の電球色(L)に発光する発光素子92にそれぞれ対応して6個設けられている。これにより、光源部2と間接光光源部9とを独立して制御可能であるとともに、発光色ごとの調光制御が可能となっている。したがって、光源部2については、発光色ごとの調光比を調整して発光色ごとの光出力を可変し、電球色(L)、昼光色(D)、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光色を混色して所望の発光色を表現することができる。
このような構成において、生活シーンに合わせた光空間を演出するため、複数の点灯モード、すなわち、6つの点灯モードの内から所望のモードを選択して切替えて照明できるようになっている。具体的には、発光素子22、92において、発光色ごとの光出力が調整された6つのモード設定情報(点灯パターン情報)がモード記憶部341に格納されている。このモードを赤外線リモコン送信器Rcによって選択し、点灯パターンを再現することができる。
例えば、「あざやか」「勉強」「おやすみ」「くつろぎ」「シアター」「ヒーリング」の6つのモードが設定されている。
「あざやか」モードは、電球色(L)、昼光色(D)、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光色を混色し、平均演色評価Ra88と色の再現性の高い演色性に優れた昼光色系の光を表現して、食卓や色彩を鮮やかにきれいに見せるものである。
「勉強」モードは、一般に文字が識別しやすい相関色温度の高い(5100K)昼白色系の光であり、緑色(G)、青色(B)の光成分を加えることにより集中力に効果的な光を創出するものである。
「おやすみ」モードは、緑色(G)の光を表現するものである。緑色(G)の光は、他の光色に比べ、まぶたを透過しにくい光のため、隣に寝ている人をまぶしさで起こさないようにしながら、夜間のちょっとした作業を可能とするものである。
「くつろぎ」モードは、光源部2による電球色(L)の下向きの光と、間接光光源部9による電球色(L)の上向きの光との組み合わせにより、空間全体を電球色(L)のやわらかい光で照らし、落ち着きのあるくつろぎ空間を演出するものである。
「シアター」モードは、間接光光源部9による電球色(L)の上向きの光のみによる照明である。天井面を照らすことができ、映画館の臨場感を演出し、ホームシアターを楽しむ光空間を創出するものである。
「ヒーリング」モードは、水と光を連想するようなマリンブルー系の光を表現して、やすらぎや癒しのリラックス空間を創出するものである。
具体的には、「あざやか」モードの場合は、点灯パターンが混光比(光束比)として赤色(R)光が2〜32%、緑色(G)光が5〜62%、青色(B)光が0.5〜6%、電球色(L)の光と昼光色(D)の光を合わせた光が0〜92.5%であり、その内訳は、電球色(L)の光が40〜50%、昼光色(D)の光が50〜60%の割合となるように設定されている。
「勉強」モードの場合は、点灯パターンが混光比(光束比)として赤色(R)光が0%、緑色(G)光が8〜43%、青色(B)光が2〜13%、電球色(L)の光と昼光色(D)の光を合わせた光が44%〜90%であり、その内訳は、電球色(L)の光が30〜40%、昼光色(D)の光が60〜70%の割合となるように設定されている。
また、「ヒーリング」モードの場合は、点灯パターンが混光比(光束比)として赤色(R)光が0%、緑色(G)光が90〜95%、青色(B)光が5〜10%、電球色(L)の光及び昼光色(D)の光が0%の割合となるように設定されている。
このように設定されたモードを再現する場合には、赤外線リモコン送信器Rcを操作して、特定のモードを選択する。このモード選択信号が赤外線リモコン信号受信部102で受信されると、その信号が設定情報入出力部32に送信される。設定情報入出力部32では、モード記憶部341から選択されたモード設定情報(点灯パターン情報)を読み出し、これを調光制御手段33に送信する。
調光制御手段33におけるPWM制御回路331では、モード設定情報に基づいてPWM制御信号を生成してスイッチング制御回路332へ送出する。スイッチング制御回路332では、点灯装置3からの直流出力をPWM制御信号に基づいてPWM制御し、光源部6、すなわち、電球色(L)、昼光色(D)、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の発光素子22及び間接光光源部9の電球色(L)の発光素子92に供給する。これによって、モード設定情報に従った調光比で各色の発光素子22、92が発光色ごとに制御されて所定の混光比で発光され、全体として混色した発光色が表現されるようになる。
次に、照明装置の天井面Cへの取付状態について図5を参照して説明する。まず、予め天井面Cに設置されている引掛けシーリングボディCbにアダプタAを電気的かつ機械的に接続する。照明装置のカバー部材8を取外した状態において、アダプタガイドの係合口51をアダプタAに合わせながら、アダプタAの係止部A1がアダプタガイドの係合口51に確実に係合するまで装置本体1を弾性部材36の弾性力に抗して下方から手で押し上げて取付け操作を行う。
次いで、カバー部材8を取付け、引掛けシーリングボディCbに対向するセンター部材4の中央部の開口41を覆って閉塞する。
また、照明装置を取外す場合には、カバー部材8を取外し、センター部材4の開口41を通じてアダプタAに設けられているレバーを操作してアダプタAの係止部A1の係合を解くことにより取外すことができる。
次に、このような照明装置を設計するにあたって、各種評価した結果について図8乃至図11を参照して説明する。
(評価結果1)図8に示すように、演色性を評価したものである。図8は、a*b*色度座標図を示しており、JIS演色評価試験色No.1〜No.8を「あざやか」モードの光と電球色(L)、昼光色(D)の発光素子のみ点灯させた光で照らしたときの見え方を比較している。
評価試験色No.1〜No.8を光源で照らしたときの色度点を線分で結ぶと八角形ができるが、この八角形が外側に広がるほど鮮やかに見えることになる。「あざやか」モードの光と電球色(L)、昼光色(D)の発光素子のみ点灯させた光によって形成される八角形を比較すると、「あざやか」モードの光の方が、電球色、昼光色の発光素子のみ点灯させた光よりも八角形が外側に広がっていることがわかる。
したがって、電球色(L)、昼光色(D)の発光素子のみ点灯させた光で照らすよりも「あざやか」モードの光で照らした方が鮮やかな見え方をすることが確認できる。
この「あざやか」モードの光は、電球色(L)、昼光色(D)の発光素子からの発光に対して、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光素子からの発光を7%程度以上混色することにより、電球色(L)、昼光色(D)の発光素子からの発光だけのときよりも食品を鮮やかに見せるように設計されている。
(評価結果2)図9(a)(b)(c)に示すように計算問題を解く際の意識についての評価を示すものである。図9(a)は、被験者が計算問題を解いた際のミス回答数を示している。図9(b)は、計算問題を解く際、明瞭な意識で作業できたか否かを示し、図9(c)は、集中して作業できたか否かを示している。
ここで、条件1とは、1回目に電球色(L)、昼光色(D)の発光素子のみ点灯させた光、2回目も同様に電球色(L)、昼光色(D)の発光素子のみ点灯させた光で照明した場合、条件2とは1回目に電球色(L)、昼光色(D)の発光素子のみ点灯させた光、2回目に「勉強」モードの光で照明した場合である。
図9(a)において、横軸は、回数を示し、縦軸は、ミス回答数の平均を示している。
この結果、「勉強」モードの光で照明した場合には、ミス回答数が減少し、効果的に作用することが分かる。
また、同様に、図9(b)(c)で示す明瞭な意識、集中して作業できたか否かについても「勉強」モードの光で照明した場合には、評価が向上することが分かる。
なお、文字の読みやすさに関しても文字が読みやすいと評価した被験者が電球色(L)、昼光色(D)の発光素子のみ点灯させた光では20%、「勉強」モードの光では60%であった。「勉強」モードの光は、電球色(L)、昼光色(D)の光に対して緑色(G)、青色(B)の光を10%程度以上混色し、明るさを電球色(L)と昼光色(D)の発光素子を全点灯させたときと同等の光出力とすることにより実現している。
(評価結果3)図10は、赤色、黄色、緑色、青緑色、青色、紫色の6つの光色を被験者に提示し、リラックス効果の高い順に3位まで順位をつけさせた評価の結果を示している。図中、横軸は、点数の平均値を示し、縦軸は、各光色を示している。
1位に選ばれた光色を3点、2位を2点、3位を1点、それ以外を0点と換算したときの8人の被験者の平均値を示している。その結果、青緑色が最もリラックス効果が高いという結果が得られている。
したがって、「ヒーリング」モードは、青緑光として、緑色(G)光を95%、青色(B)光を5%混色し、明るさを電球色(L)と昼光色(D)の発光素子を全点灯させたときの0.038倍程度の光出力とすることにより実現している。
(評価結果4)図11は、光源部2における電球色(L)の発光素子22と間接光光源部9における電球色(L)の発光素子92の点灯下で、被験者にビデオを視聴させ、テレビを見る際に適している適切な光環境かどうかを回答させた評価の結果を示している。
光源部2における電球色(L)の光と間接光光源部9における電球色(L)の光は同等の光出力となるように点灯させている。
その結果、光源部2における電球色(L)の直接光よりも間接光光源部9における電球色(L)の間接光で電球色(L)の発光素子92を点灯させたほうがテレビ視聴の際に適していることが分かる。この結果は、「シアター」モードとして実現されている。
照明装置の天井面Cへの取付状態において、点灯装置3に電力が供給されると、光源部2における基板21を介して発光素子22に通電され、各発光素子22が点灯する。発光素子22から前面側へ出射された光は、光源部カバー25を透過し、セード7によって拡になる。
これと同時に、間接光光源部9に通電されると、各発光素子92が点灯し、発光素子92から斜め上方に出射された光は、透光性のカバー93を透過し、アダプタガイド5の周囲から放射されるように、主として天井面に照射される。したがって、天井面が明るくなり、空間の明るさ感を向上させることができる。
また、複数のモードを再現することにより、生活シーンに合わせた適切な光空間を演出することが可能となる。
発光素子22から発生する熱は、基板21の裏面側が装置本体1と熱的に結合しているため、装置本体1に効果的に伝導され、広い面積で放熱されるようになる。
以上のように本実施形態によれば、前記発光スペクトルの特性を有する電球色(L)、昼光色(D)、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に発光する5色の発光色の異なる発光素子22が用いられ、これら発光素子22の光出力が調整された複数のモードを有して整理番
いるので、表現可能な光色の範囲を広くすることが可能であるとともに、生活シーンに合わせた適切な光空間を演出することができる照明装置を提供することが可能となる。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。