JP6255224B2 - コンクリート壁面画像から目地を検出する方法 - Google Patents

コンクリート壁面画像から目地を検出する方法 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート壁面画像から目地を検出する方法に関し、特に鉄道や道路のトンネルや高架橋等の長大な土木構造物のコンクリート壁面の目地をコンクリート壁面画像の中で認識する方法に関する。
鉄道や道路のトンネルの点検はトンネルの管理責任者によって定期的に行われているが、コンクリート片の落下等の原因となる覆工面のひび割れ、漏水等の変状の点検は特に慎重に行われなければならない。ところが、変状の点検は容易ではない。長大な土木構造物である鉄道や道路のトンネルの覆工面の面積は非常に広く、変状の数も多いため、多大の労力と時間を要する作業となっている。そこで、トンネルの点検作業を効率よく行うことが求められている。
特開2002−288180号公報(特許文献1)には、トンネルに関するデータをコンピュータ上で一元管理するデータベースシステムが開示されている。このトンネルデータベースシステムでは、トンネル検査現場の事務所等に設置された複数の端末(コンピュータ)からサーバへのデータ送信が可能となっており、前記サーバでは各端末から入力されたデータを一元管理すると共に、検査該当箇所のトンネルデータ(例えばトンネル内の展開図と覆工面の写真と検査・測定データ等)毎に当該トンネルデータを一つの画面にまとめて表示、またはプリントアウトすることを可能としている。
このトンネルデータベースの構築により、目地情報と格子情報及びキロ程等により該当する疵の位置がトンネル検査現場の事務所等に設置された端末のモニター画面上でも瞬時に読み取れるようになっている。前記目地情報はブロックどうしの間の目地の位置を示すもの、前記格子情報はトンネル内面を展開図上で1m四方の大きさに細分化した格子データ、前記ブロックはコンクリートを打設した覆工区域である。例えば、図6に示すトンネル構造物検査記録簿に示されたトンネルにおいては、ブロック長は最小が5m、最大が10mである。また、前記キロ程は10m間隔のキロ程である。
特開2005−105682号公報(特許文献2)には、トンネル健全度診断に関する複数の検査データとトンネル内の位置データを関連付けて記録するメモリ部を備えるデータベースサーバ10と、前記メモリ部に記録された複数の検査データを持ち運び可能な記録媒体を介して閲覧可能とする固定端末30と、前記固定端末と通信回線を介して接続可能な携帯端末20とを備えるトンネルデータ管理システムが開示されている。このトンネルデータ管理システムは、携帯端末20から位置データを入力できることと、作業現場でトンネル検査データを携帯端末20で閲覧することを可能としたことが特徴である。トンネル検査現場で検査該当位置のトンネルデータを得ることができ、前記トンネルデータを検査現場で閲覧できるので、検査箇所を探すことが容易になる。
ところで、携帯端末20から入力される位置データは、特許文献2の明細書の段落0036の記載によれば、トンネル内の位置情報であり、トンネル内のキロ程と、データ計測位置との相対的な位置関係から導き出される検査該当位置である。前記検査該当位置を導き出すのは作業現場の検査員であり、導き出された位置データは当該検査員によって携帯端末20に入力される。従って、位置データは検査箇所を正確に特定するものではなく、打音検査の範囲を特定できる程度のものである。
上述の特許文献1や2の記載から明らかな如く、トンネル内面を展開したコンクリート壁面画像は、トンネル壁面の検査箇所を探すために不可欠なものとなっている。ところで、検査箇所のコンクリート壁面に存在するひび割れなどの変状は形状も大きさも様々である。このため、熟練した検査員でもコンクリート壁面画像の中に当該変状を目視で的確に認識することは難しい。そこで、コンクリート壁面画像を目地によって区画したブロックを設けたり、更には例えば1m四方の大きさに細分化した格子データを作成したりして、検査箇所を探し易くする工夫がなされている。このように、目地は検査箇所を探す重要な目印となっている。また、距離標などのキロ程を示す銘板は検査箇所を探すための重要な目印となっている。
ところが、コンクリート壁面画像の中で、距離標などのキロ程を示す銘板を探すことは容易ではない。距離標などのキロ程を示す銘板は必ずしも明瞭に映っていないからである。そこで、本出願人は特許文献3(特開2012−202858号公報)に記載する如く、トンネルのコンクリート壁面画像から下束や蛍光灯などの壁面添架物を画像処理により検出する方法を開発した。即ち、予め作成されメモリに記憶されている壁面添架物のテンプレートを用い、スケールの変化に対応した形状ベースのパターンマッチングで検出対象の壁面添架物を検出する方法である。この形状ベースのパターンマッチング方法を用いれば、コンクリート壁面画像の中から画像処理によって距離標などのキロ程を示す銘板を検出することが可能である。しかしながら、形が規定されている距離標、下束、蛍光灯などの検出には形状ベースのパターンマッチング方法が有効であるが、目地の場合は、「鉛直方向に観察される黒い筋状の線」というような形が明確に規定されているわけではないうえ、袴を冠したような目地も存在する。従って、形状ベースのパターンマッチング方法で目地を検出することは不可能である。
特開2002−288180号公報 特開2005−105682号公報 特開2012−202858号公報
本発明が解決しようとする課題は、コンクリート壁面画像の中から、検出漏れや誤検出を防止しながら、目地を検出することである。
上記課題を解決するための第1の手段は、コンクリート壁面画像の中に目地情報に基づいて探索領域を設定するステップ、当該探索領域に対して垂直方向に画素の濃度値を積算した垂直プロジェクション画像を作成するステップ、当該垂直プロジェクション画像の中の単峰的なピーク値を閾値処理して目地候補を検出するステップ、検出された目地候補を目地情報に照らして検定して目地を特定するステップとから成るコンクリート壁面画像から目地を検出する方法である。
上記課題を解決するための第2の手段は、コンクリート壁面画像の中に目地情報に基づいて探索領域を設定するステップ、当該探索領域に対して垂直方向に画素の濃度値を積算した垂直プロジェクション画像を作成するステップ、当該垂直プロジェクション画像に対してテンプレートを用いて形状ベースのパターンマッチングを行って目地候補を検出するステップ、検出された目地候補を目地情報に照らして検定して目地を特定するステップから成るコンクリート壁面画像から目地を検出する方法である。
本発明により、コンクリート壁面画像の中から、検出漏れや誤検出を防止しながら、目地を検出できるようになり、目地位置が明確に特定されたコンクリート壁面画像が得られるようになった。この目地位置が明確に特定されたコンクリート壁面画像を利用することにより検査員が検査対象の変状を迅速かつ確実に探せるようになり、鉄道や道路のトンネルや高架橋等の長大な土木構造物のコンクリート壁面の検査の効率向上に寄与することが期待される。
更に、鉄道構造物の管理台帳においては、一般的に目地単位で管理されているので、その区切り境界を自動的に抽出することになれば、これまでの手作業に比べて迅速かつ正確な境界の特定が期待される。
垂直プロジェクションによる目地の検出処理のフローチャートの一例である。 目地と背景とのコントラストが明瞭なトンネル覆工面画像の検索領域の一例である。 図2の画像に対して目地検出のために作成された垂直プロジェクションの一例である。 単峰性のピークを閾値処理して得られた目地箇所の一例である。 形状ベースのパターンマッチングによる目地の検出処理のフローチャートの一例である。 目地と背景とのコントラストが明瞭でないトンネル覆工面画像の検索領域の一例である。 図6の画像に対して目地検出のために作成された垂直プロジェクションの一例である。 目地部のプロジェクション形状を形状ベースパターンマッチングで抽出するための登録テンプレートの一例である。 形状ベースパターンマッチングで検出された目地箇所の一例である。
本発明は、画像処理装置を用いてコンクリート壁面画像から目地を検出する方法であって、コンクリート壁面画像の中に目地情報に基づいて探索領域を設定するステップ、当該探索領域に対して垂直方向に画素の濃度値を積算した垂直プロジェクション画像を作成するステップ、前記垂直プロジェクション画像を処理して目地候補を検出するステップ、及び前記目地候補を目地情報に照らして検定して目地を特定するステップとから成る方法である。そして、前記垂直プロジェクション画像を処理して目地候補を検出するステップは、実施例1では当該垂直プロジェクション画像の中の単峰的なピーク値を閾値処理して目地候補を検出するステップであり、実施例2では当該垂直プロジェクション画像に対して目地の特徴的な波形に着目したテンプレートを用いて形状ベースのパターンマッチングを行って目地候補を検出するステップである。
図1のフローチャートを参照して、トンネルのコンクリート壁面画像から目地を検出する処理を説明する。本実施例ではトンネルは長さ3000m、断面方向の長さ13mであって、トンネル壁面に形成されている目地の間隔は最短5mで最長10m、目地の数は400箇所であるとするが、これは説明を複雑にしないためである。
先ず、検査員はトンネルデータベースにアクセスし、コンクリート壁面の目地情報を取得する(S101)。前記目地情報は、トンネルの建設台帳や検査台帳などに記録され、前記トンネルデータベースの一部となっているもので、目地の種類、目地の数、目地間隔のデータが少なくとも含まれる。
続いて、検査員はトンネルのコンクリート壁面画像を画像処理装置のモニターに表示させ、目地の探索のための探索領域を設定する(S102)。前記探索領域は、トンネル延長方向に或る長さで切った矩形状の画像であるが、目地情報に基づいて少なくとも1箇所の目地が存在するように設定される。
前記探索領域は、画像処理装置のメモリに取り込めるサイズであるので、本実施例ではトンネル延長方向即ちY方向に30m程度の長さで切った矩形状の画像とした。なお、前記矩形状の画像のX方向はトンネルの断面方向の長さであって、そのX方向の全長はトンネルの断面の一方の端部から他方の端部までの長さ13mである。前記矩形状の画像縦横の画素数は、1画素を1mmとしているので、横30000画素×縦13000画素である。このように設定した探索領域の画像は、本実施例におけるトンネルでは100枚となる。この100枚の探索領域について、1番目の探索領域から順番に垂直プロジェクション処理(S103)がなされる。図2は、この1番目の探索領域の画像である。
即ち、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、1番目の探索領域に対して垂直方向に画素の濃度値を積算した垂直プロジェクションを作成する。図3は、図2の探索領域に対して作成された垂直プロジェクションの画像である。探索領域は、Y方向に30m程度の長さで切った矩形状の画像であり、この探索領域について作成された垂直プロジェクションは30000本のラインで構成されている。
ステップS103に続いて、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、濃度投影値を一ライン毎に閾値処理し(S104)、各ラインのピーク値が、閾値以下か否かを判定する(S105)。閾値以下か否かを調べる理由は、目地はその特徴として周囲に比べて暗い、つまり輝度値が低い画素が垂直方向に並んでいるため、もし当該ラインが目地の中に存在すれば、当該ラインの各輝度値を垂直に積算した値は非常に小さな値をとるからである。なお、ステップ104の閾値処理は、本実施例では30000本のラインの左端から右端に順に進むように、予めプログラムされている。
ステップS105の判定結果がYesならば当該ラインを目地候補1としてメモリに記録し(S106)、次のステップS107に進む。ステップS105の判定結果がNoならば直ちにステップS107に進む。
ステップS107では、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、全ライン処理が終了したか否かを判定し、判定結果がNoならばステップS104に戻り、次の2本目のラインについて閾値処理がなされる。以下、この2本目のラインについてステップ105からステップ108までの処理が順になされる。そして、これらの処理は最後の30000本目のラインまで、順に行われる。
ステップS107の判定結果がYesならば1番目の探索領域の垂直プロジェクション画像をメモリに記録する(S108)。前記垂直プロジェクション画像は、図3に示す画像である。
ステップS108に続いて、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、最後の探索領域か否かを判定し(S109)、判定結果がNoならばステップS102に戻る。ここでは1番目の探索領域であったので、判定結果がNoであり、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、ステップS102で2番目の探索領域を設定する。以下、ステップ103からステップ109までの処理を順に行う。
このようにして、1番目の探索領域から最後の100番目の探索領域の全てに対して垂直方向に画素の濃度値を積算した垂直プロジェクション画像が作成され、前記垂直プロジェクション画像を処理して目地候補が検出される。
ステップS109の判定結果がYesならば、即ちトンネルのコンクリート壁面画像の全体について目地候補1の検出処理が終了したと判定したら、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、目地候補1の検定を行う(S110)。
ステップS110において、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、メモリから全ての目地候補1を読み出し、目地情報に照らして検定を行う。前記検定は、目地候補1の総数がトンネルデータベースに記録されている目地の総数と一致しているか否か、隣り合う目地候補1の間隔が最短5mで最長10mという条件を満たしているか否かを判定するものである。
ステップS110の検定を合格すると、目地が確定する(S111)。図2の如き目地と背景とのコントラストが明瞭なトンネル覆工面画像であれば、検定は確実に合格し、全ての目地候補1は目地であることが確定する。検出した確定目地の画像を図4に示す。
目地候補1の総数がトンネルデータベースに記録されている目地の総数よりも少ない場合は、ステップS110の検定は不合格となる。この場合は、目地間隔に照らして合格となった目地候補1の画像上の位置から、本来は検出されるべき目地候補1の画像上の位置が推定されるので、その推定位置が存在する検索領域の画像をメモリにコメントを付して記憶させる。また、目地候補1の総数がトンネルデータベースに記録されている目地の総数よりも多い場合も、ステップS110の検定は不合格となる。この場合は、目地状の変状が目地候補1として検出されたと推定されるが、この偽の目地候補1は隣り合う目地候補1との間隔が最短5mで最長10mという条件を満たすことはない。従って、このような場合も、前記偽の目地候補1が存在する検索領域の画像をメモリにコメントを付して記憶させる。
実施例1は、目地と背景とのコントラストが明瞭なトンネル覆工面画像から目地を検出するのに適している。目地と背景とのコントラストが明瞭なトンネル覆工面画像においては、垂直プロジェクションの画像中に顕著な単峰性のピークが観察されるので、閾値処理による目地候補の検出が容易かつ確実であるからである。
ところで、図2はトンネルの断面方向の上下に袴が形成されている袴付の目地を有するトンネル壁面画像である。このようなトンネル壁面画像については、ステップS102の目地の探索のための探索領域の設定は、目地の袴画像部分をマスクして行う。なお、図2の画像には袴画像部分の境界線が示されているが、この境界線は画像処理のために挿入されたものである。
次に、図5のフローチャートを参照して、トンネルのコンクリート壁面画像から目地を検出する処理を説明する。先ず、検査員はトンネルデータベースにアクセスし、コンクリート壁面の目地情報を取得する(S201)。前記目地情報は、トンネルの建設台帳や検査台帳などに記録され、前記トンネルデータベースの一部となっているもので、目地の種類、目地の数、目地間隔のデータが少なくとも含まれる。
続いて、検査員はトンネルのコンクリート壁面画像を画像処理装置のモニターに表示させ、目地の探索のための探索領域を設定する(S202)。前記探索領域は、トンネル延長方向に或る長さで切った矩形状の画像であるが、目地情報に基づいて少なくとも1箇所の目地が存在するように設定される。
前記探索領域は、画像処理装置のメモリに取り込めるサイズであるので、本実施例ではトンネル延長方向即ちY方向に30m程度の長さで切った矩形状の画像とした。なお、前記矩形状の画像のX方向はトンネルの断面方向の長さであって、そのX方向の全長はトンネルの断面の一方の端部から他方の端部までの長さ13mである。前記矩形状の画像縦横の画素数は、1画素を1mmとしているので、横30000画素×縦13000画素である。このように設定した探索領域の画像は、本実施例におけるトンネルでは100枚となる。この100枚の探索領域について、1番目の探索領域から順番に垂直プロジェクション処理(S203)がなされる。図6は、この1番目の探索領域の画像である。
即ち、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、1番目の探索領域に対して垂直方向に画素の濃度値を積算した垂直プロジェクションを作成する。図7は、図6の探索領域に対して作成された垂直プロジェクションの画像である。探索領域は、Y方向に30m程度の長さで切った矩形状の画像であり、この探索領域について作成された垂直プロジェクションは30000本のラインで構成されている。
ステップS203に続いて、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、垂直プロジェクション画像毎の形状ベースのパターンマッチング処理(S204)を行う。この目地部のプロジェクション形状を形状ベースパターンマッチングで抽出するためのテンプレート、即ち目地の特徴的な波形に着目したテンプレートは、例えば図8の左側の画像の○で囲った部分のプロジェクション形状を画像処理装置のメモリに登録したものである。このように鋭角に切り立った特徴的なプロジェクション形状は、たとえコントラストの悪い目地にあっても常に観察されることに着眼したものである。なお、図8の右側の画像は前記○で囲った部分のプロジェクション形状を拡大して示したものである。
ステップS204の形状ベースのパターンマッチング処理は、画像処理装置が予め記録されたプログラムに従って、上記の目地の特徴的な波形に着目したテンプレートをメモリから読出し、ステップS203の処理で形成された1番目の探索領域の垂直プロジェクション画像に適用し、当該画像の中の垂直プロジェクションと目地の特徴的な波形に着目したテンプレートが一致したか否かを判定する(S205)。
ステップS205の判定結果がYesならば当該ラインを目地候補2としてメモリに記録し(S206)、次のステップS207に進む。ステップS205の判定結果がNoならば直ちにステップS207に進む。
ステップS207では、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、垂直プロジェクション画像が最後の画像か否かを判定する。判定結果がNoならばステップS202に戻る。ここでは1番目の探索領域の垂直プロジェクション画像であったので、判定結果がNoであり、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、ステップS202で2番目の探索領域を設定する。以下、ステップ203からステップ206までの処理を順に行う。
このようにして、1番目の探索領域から最後の100番目の探索領域の全てに対して垂直方向に画素の濃度値を積算した垂直プロジェクション画像が作成され、前記垂直プロジェクション画像を処理して目地候補が検出される。
ステップS207の判定結果がYesならば、即ちトンネルのコンクリート壁面画像の全体について目地候補2の検出処理が終了したと判定したら、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、目地候補2の検定を行う(S208)。
ステップS208において、画像処理装置は予め記録されたプログラムに従って、メモリから全ての目地候補2を読み出し、目地情報に照らして検定を行う。前記検定は、目地候補2の総数がトンネルデータベースに記録されている目地の総数と一致しているか否か、隣り合う目地候補2の間隔が最短5mで最長10mという条件を満たしているか否かを判定するものである。
ステップS208の検定を合格すると、目地が確定する(S209)。目地候補2の総数がトンネルデータベースに記録されている目地の総数よりも少ない場合は、ステップS209の検定は不合格となる。この場合は、目地間隔に照らして合格となった目地候補2の画像上の位置から、本来は検出されるべき目地候補2の画像上の位置が推定されるので、その推定位置が存在する検索領域の画像をメモリにコメントを付して記憶させる。また、目地候補2の総数がトンネルデータベースに記録されている目地の総数よりも多い場合も、ステップS209の検定は不合格となる。この場合は、目地状の変状が目地候補2として検出されたと推定されるが、この偽の目地候補2は隣り合う目地候補2との間隔が最短5mで最長10mという条件を満たすことはない。検出した確定目地の画像を図9に示す。
実施例2は、目地と背景とのコントラストが明瞭でないトンネル覆工面画像から目地を検出するのに適している。目地と背景とのコントラストが明瞭でないトンネル覆工面画像に対して垂直プロジェクションを作成すると、顕著な単峰性のピークが観察されないので、閾値処理による目地候補1の検出ができない場合がある。しかし、目地の特徴的な波形に着目したテンプレートを用いた形状ベースのパターンマッチングによれば、このような顕著な単峰性のピークが観察されない垂直プロジェクションであっても、目地候補2は確実に検出できるからである。
以上、本発明の実施例1と実施例2を詳細に説明したが、本発明はひび割れや漏水のような変状が目地に沿って垂直方向に多く発生しているという事実に着目したものであり、目地箇所は周囲に比べ、鉛直方向に黒く太い線領域として観察されるという知識を利用したものである。そこで、コンクリート壁面画像の目地を含む探索領域を設定し、当該画像領域の垂直方向の濃度投影を取る垂直プロジェクションを作成すると、前記垂直プロジェクションの中に単峰的なピークが存在すること、及び前記単峰的なピークは目地に対応する箇所に発生することを本願発明者は気が付いたのである。前記単峰的なピークを検出する方法は実施例1における閾値処理に該当し、垂直プロジェクション画像中から目地の特徴的な波形を検出する方法は実施例2におけるパターンマッチング処理に該当する。
ところで、実施例1において、単峰的なピークが閾値以下でなかった場合には、目地候補1は検出されない。実施例1ではステップS108で全ての垂直プロジェクション画像がメモリに記憶されるようになっている。そこで、このようなケースが生じた垂直プロジェクション画像をメモリから読みだして、実施例2における目地の特徴的な波形に着目したテンプレートを用いた形状ベースのパターンマッチングを適用して目地候補1を検出するようにしてもよい。
或いは、同じコンクリート壁面画像に、実施例1を適用して目地候補1を検出し、続いて実施例2を適用して目地候補2を検出する。そして、目地候補1と目地候補2を目地情報に照らして検定を行い、目地を確定するという方法もある。この用法によれば、目地は確実に検出される。
上述のコンクリート壁面画像から目地を検出する方法は、コンクリート壁面画像の中に目地情報に基づいて探索領域を設定するステップ、当該探索領域に対して垂直方向に画素の濃度値を積算した垂直プロジェクション画像を作成するステップ、当該垂直プロジェクション画像の中の単峰的なピーク値を閾値処理して目地候補1を検出するステップ、当該垂直プロジェクション画像に対して目地の特徴的な波形に着目したテンプレートを用いて形状ベースのパターンマッチングを行って目地候補2を検出するステップ、検出された目地候補1と目地候補2を目地情報に照らして検定し目地を特定するステップから成るコンクリート壁面画像から目地を検出する方法である。
このように、実施例1と実施例2を組み合わせて適用する方法は非常に有効である。なぜなら、実際の処理作業においては、当該トンネルの目地と背景のコントラストが「明瞭」か「不明瞭」かを明確に区別することは難しい上、一つのトンネルにおいても、目地と背景とのコントラストが、区間の途中から明瞭になったり不明瞭になったりすることもあるため、2つのパターンに一律に区分できないからである。このような現実的なトンネルにおいては、上記のように閾値処理とパターンマッチング処理を適宜適用することで、検出性能の向上が期待できる。
ところで、また、実施例1では原寸サイズの画像を探索領域としたが、1/10に圧縮した画像でも十分に目地の垂直プロジェクションが識別できることが分かった。そこで、Y方向に30m程度を取り込んだ矩形の画像、即ち横30000画素×縦13000画素の画像を、1/10に圧縮すると横3000画素×縦1300画素程度の矩形の画像となり、この画像を探索領域とすることもできる。この1/10に圧縮した探索領域の画像のライン数は3000本となる。従って、探索領域を圧縮すれば、目地検出処理の速度が向上するというメリットがある。
以上、コンクリート壁面画像として鉄道トンネルのコンクリート覆工面画像を取り上げて、本発明の実施例を詳細に説明した。しかしながら、本発明が適用されるコンクリート壁面画像は実施例に限定されるものではなく、道路のトンネルや高架橋等の長大な土木構造物のコンクリート壁面を含むことは勿論である。ところで、長大な土木構造物の壁面にはレンガ積みなどのトンネル壁面もあるが、本発明を適用すればレンガ積みなどのトンネル壁面からも目地を検出することができる。















Claims (6)

  1. コンクリート壁面画像の中に目地情報に基づいて探索領域を設定するステップ、当該探索領域に対して垂直方向に画素の濃度値を積算した垂直プロジェクション画像を作成するステップ、当該垂直プロジェクション画像に対して目地の特徴的な波形に着目したテンプレートを用いて形状ベースのパターンマッチングを行って目地候補を検出するステップ、検出された目地候補を目地情報に照らして検定し目地を特定するステップから成るコンクリート壁面画像から目地を検出する方法。
  2. コンクリート壁面画像の中に目地情報に基づいて探索領域を設定するステップ、当該探索領域に対して垂直方向に画素の濃度値を積算した垂直プロジェクション画像を作成するステップ、当該垂直プロジェクション画像の中の単峰的なピーク値を閾値処理して目地候補1を検出するステップ、当該垂直プロジェクション画像に対して目地の特徴的な波形に着目したテンプレートを用いて形状ベースのパターンマッチングを行って目地候補2を検出するステップ、検出された目地候補1と目地候補2を目地情報に照らして検定し目地を特定するステップから成るコンクリート壁面画像から目地を検出する方法。
  3. コンクリート壁面はトンネルのコンクリート覆工面であって、前記探索領域はコンクリート覆工面画像を延長方向にある長さで切った矩形状の画像であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート壁面画像から目地を検出する方法。
  4. 前記探索領域は目地情報に基づいて少なくとも1箇所の目地が存在するように設定されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート壁面画像から目地を検出する方法。
  5. 前記目地の特徴的な波形に着目したテンプレートは、前記垂直プロジェクション画像の中の目地部のプロジェクション形状を登録したテンプレートあることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート壁面画像から目地を検出する方法。
  6. 目地が袴のある目地である場合、前記探索領域は前記袴の画像箇所をマスクして設定されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート壁面画像から目地を検出する方法。
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