JP6253519B2 - 凍結工法及び凍結工法施工システム - Google Patents
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Description
係る止水壁は、例えば放射性物質により汚染された地下水を遮断して、汚染水の拡散を防止するのに有効である。
しかし、長期間の運転管理の間に、例えば、地中に埋設された凍結管が発錆し、発錆箇所から冷却液が施工領域中に漏洩してしまう恐れがある。冷却液が凍結管から漏出してしまうと冷却液の循環量が減少して凍結管周辺の凍土が安定して凍結された状態を維持することが困難になると共に、施工領域の環境に悪影響を及ぼしてしまう。
さらに、水溶性の冷却液を用いた場合には、漏出した冷却液が凍土(氷)と混合して、凍土を溶かしてしまう可能性がある。
係る従来技術(特許文献1)は有効であるが、上述した問題点の解消を企図する技術ではない。
施工領域の地盤中にケーシング(2)を設置する工程(図2)と、
ケーシング(2)内に凍結管(9)を配置する工程(図5)と、
ケーシング内壁面(2i)と凍結管外壁面(9ao)の間の空間に、ケイ酸アルカリ水溶液(200A:ケイ酸を包含し、pHが7よりも大きい水溶液)或いは固化材と粘土を包含する混合物(200B)を充填する工程(図6)を備え、
前記ケーシング(2)の地上側端部(2e)に設けられた冷却液(BL)の漏洩を検知する手段(10T)により、冷却液(BL)が漏洩しているか否かを検査する工程(図7、図8)を有していることを特徴としている。
施工領域の地盤(G)中に設置されたケーシング(2)と、ケーシング(2)内に配置されて冷却液(BL)が流過する凍結管(9)を備え、
ケーシング内壁面(2i)と凍結管外壁面(9ao)の間の空間(E)には、ケイ酸アルカリ水溶液(200A)或いは固化材と粘土を包含する混合物(200B)が充填されており、
前記ケーシング(2)の地上側端部(2e)には冷却液(BL)の漏洩を検知する手段(10T)が設けられていることを特徴としている。
また前記ケーシング(2)は削孔用ケーシングであり、当該削孔用ケーシング(2)は、凍結管(9)を地中に配置するためのボーリング孔(Hb)を削孔した箇所に埋め殺されているのが好ましい。
そして本発明の凍結工法施工システムにおいて、地下水の上昇を防止する機構(25、50、70)を備えているのが好ましい。
または、漏洩した冷却液(BL)の液面のレベルを検出するレベルセンサ(10L)であるのが好ましい。
或いは、漏洩した冷却液(冷却液BL)のpHを検出するpHセンサであるのが好ましい。
そして、当該検出手段(10)の検出信号から、漏洩した冷却液(冷却液BL)の温度(または液面レベル、pH)を検出する機能を有する制御手段(60)を設けているのが好ましい。
そして、凍結した土壌(FG)を連結することにより容易に止水壁を造壁することが出来て、当該止水壁により、例えば放射性物質で汚染された地下水等を遮断して、放射性物質の拡散を抑制することが出来る。
ここで、ケイ酸アルカリ水溶液(200A)は、冷却液(BL)の低温(例えば−20℃〜−30℃)に起因して固化し、固化材と粘土を包含する混合物(200B)は時間が経過すると共に固化する。
すなわち本発明によれば、長期間に亘る運転管理の間に、冷却液(BL)が施工領域周辺の土壌(G)に漏出する事態が防止される。
そして、冷却液(BL)が漏洩していることを正確に検知することが出来れば、直ちに凍結管(9)を交換する等の対策を講じることが出来るので、作業の効率が向上し、施工領域の環境に及ぼす悪影響が小さくなる。
当該溜り部(TL)には漏出した冷却液(BL)を検出する検出手段(レベルセンサ10L)が配置されており、当該検出手段(10L)を冷却液(BL)が押し上げることで冷却液(BL)の凍結管外管(9A)外への漏出、すなわち、凍結管外管(9A)の破損を正確に検知することができる。
本発明で用いられるケイ酸アルカリ水溶液(200A)は、低温下(−20℃〜−30℃)では固化している(凍っている)が、冷却を中止すれば液相になるので、ケイ酸アルカリ水溶液(200A)の冷却を中止して液相とすれば、交換するべき凍結管(9)をケーシング(2)内から容易に引き出すことが出来る。そのため、発錆等の原因により凍結管(9)が破損しても、容易に交換することが出来る。
そして、新しい凍結管(9)をケーシング(2)内に配置して、当該新しい凍結管(9)内に冷却液(BL)を循環させることができる。
そして、削孔用ケーシング(2)を埋め殺すことにより、施工領域の地盤中から削孔用ケーシング(2)を撤収する手間が省けて、ケーシング撤収工程の廃止による労力とコストを低減するとともに、工期の短縮が可能となる。
先ず、図1〜図8を参照して、第1実施形態を説明する。
図1において、第1実施形態に係る凍結工法の施工で用いられる施工システムは、全体を符号101で示されている。
凍結管9は外管9Aと内管9Bとからなる2重管によって構成されており、第1実施形態では、地上から供給された冷却液BLが内管9Bを介して凍結管9の底部まで供給され、外管9Aと内管9Bの間の円環状の隙間を流過して地上側に戻る。その際に、冷却液BLから施工領域の地盤Gに対して冷熱が投入される(冷却している)。
図2で示すように、排出管3は、管本体30と、下方フランジ31と、上方フランジ32と、水平排出管部33とを有している。円環状の下方フランジ31及び上方フランジ32は、管本体30の下端部、上端部に固設されている。また、水平排出管部33は、管本体30の外周で軸方向の中心に管本体30と直交するように連通している。水平排出管部33の端部には開閉バルブ4が取り付けられ、当該開閉バルブ4には、スラリー排出管5が接続される。
排出管3の下端側フランジ31は、複数の植え込みボルトBによって床版コンクリート1の上面に固定されている。
また、図1において、符号24で示す箇所には逆止弁25が設けられている。
図1において、符号24で示す箇所に設けられた逆止弁25は、掘削水の供給(図1の下方に向う流れ)は許容するが、地下水(スラリーを含む)が地上側に上昇(逆流)することを防止している。
例えば図3で示すように、削孔用ケーシング2の内周面側に設けた止水キャップ50により、地下水が地上側へ上昇するのを防止することが出来る。
ボーリング孔Hbを削孔した後、掘削水の供給を停止して、止水キャップ50及びロッド54を地上側から削孔用ケーシング2の内周面側に挿入する。そして、ロッド54を介して止水キャップ50を回転して、止水キャップ50の雄ネジ50tと止水キャップ係止部52の雌ネジ52tを螺合して、止水キャップ50により削孔用ケーシング2における接続部20の内部空間を閉鎖する。止水キャップ50により、地下水(スラリーを含む)が削孔用ケーシング2の内周面側の空間内に侵入することが阻止され、地下水が地上側に上昇することが防止される。
図4において、削孔用ケーシング2における接続部20にパッカ70が設けられ、パッカ70は図示しない流体搬送経路を介して地上側から供給された膨張用流体(例えば、固化材:図示せず)により膨張している。
削孔用ケーシング2における接続部20の内周面側には半径方向内方に突出した円環状の突起72が設けられており、膨張したパッカ70の上端は突起72に当接している。
ボーリング孔Hbを削孔した後、掘削水の供給を停止して、図示しない流体搬送経路を介して地上側から膨張用流体(例えば、固化材)をパッカ70に供給して、膨張させる。膨張したパッカ70は削孔用ケーシング2における接続部20の内部空間を閉鎖するので、地下水(スラリーを含む)が削孔用ケーシング2の内部空間に侵入し、地上側に上昇することが防止される。ここで、膨張したパッカ70の上端が突起72に当接しているので、地下水圧が高圧であっても、パッカ70が押圧されて地上側に移動することはない。
それに対して図示の実施形態では、逆止弁25(図1)止水キャップ50(図3)、パッカ70(図4)のように、地下水(スラリーを含む)が削孔用ケーシング2の内周面側の空間内に侵入するのを防止する部材を設けているので、大量の地下水が発生する施工現場においても、冷却液BLの冷熱が土壌に投入され、確実に凍土を形成して、止水壁等を地中に造成することが出来る。
すなわち、削孔用ケーシング2は、凍結管9を地中に配置するためのボーリング孔Hbを削孔した後、埋め殺される。
冷却液貯留部LTの内部には、冷却液BLの漏洩を検知する手段として、温度センサ10Tが配置されている。温度センサ10Tは、信号ラインLsを介して、地上側(図1では床版コンクリートの上面1f)に設置した制御手段60に接続されている。
さらに、温度センサ10Tに代えて、pHセンサを用いることも可能である。冷却液BLはアルカリ性であるため、冷却液BLが漏洩して冷却液貯留部LTの内部に貯留すると、冷却液貯留部LTの内部のpHが変動する。当該pHの変動をpHセンサで検出すれば、冷却液BLの漏洩(漏出)を検知することが出来るのである。
なお、ケーシング2の材料に、例えば、ステンレス鋼管のような防錆効果の高い材料を用いれば、耐用年数をさらに長くすることができる。
先ず、図2に示す様に、施工領域の地盤Gの地表部に床版コンクリート1を打設し、ボーリング孔Hb及び床版コンクリート1の貫通孔1oの削孔箇所を設定する。そして、貫通孔1oの削孔箇所上部に、排出管3を配置し、排出管3の水平排出管部33にスラリー排出管(図示せず)を接続する。
削孔用ケーシング2は、図示しないボーリングマシーンに接続されている。図示しないボーリングマシーンを駆動することにより、削孔用ケーシング2を回転する(図2の矢印R)。そして、掘削水を噴射(図示せず)しつつ、削孔用ケーシング2先端のビット2Aによりボーリング孔Hbを所定の深さまで削孔する。
図5における工程では、削孔用ケーシング2を図示しないボーリングマシーンと切り離す。掘削用ケーシング2は、そのままボーリング孔Hbを削孔した地盤Gに埋め殺される。
掘削用ケーシング2を地盤Gに埋め殺したならば、ケーシング2の開口部(上端)2eから凍結管9を挿入する。上述した様に、凍結管9は外管9Aと内管9Bを有する2重管である。
外管9Aの地中側先端9Atは円錐形状であり、その先端(地中側端部)は盲プラグ24の上端近傍まで達している。
内管9Bの地中側先端は袈裟掛け状に切断した形状となっており、内管9Bの開口部9Boは、外管9Aの地中側先端9Atにおける円錐形状領域の上端に到達している。
図6で示す工程では、ケーシング内壁面2iと凍結管外壁面9aoの間の環状空間Eに、ケイ酸アルカリ水溶液200Aが充填される。
上述した様に、ケイ酸アルカリ水溶液200Aは低温(−20℃〜−30℃)で固化する。
上述した様に、環状空間Eから洩れ出た冷却液BLは、冷却液貯留部LT内に貯留される。
環状空間Eにケイ酸アルカリ水溶液200Aを充填したならば、図7で示す工程を実行する。
冷却液BLは、内管9Bと外管9Aの間の空間を上昇する際に、外管9A、固化したケイ酸アルカリ200A、ケーシング2を介して、施工領域の地盤Gに対して冷熱を供給する(冷却する)ので、地盤Gは、ケーシング2の外周に接する部分から半径方向外方に向かって徐々に地盤(土壌)が凍結(凍土:FG)する。そして、所定の凍結半径Rgfまで凍結する。
図7では単一の凍土FGのみを示しているが、隣接する凍土FGが重なり合った領域も存在する。そして、隣接する凍土FGにより、直線状あるいは円弧状の地中止水壁が造成される。
図8において、例えば、錆の発生及びその他の要因により凍結管9の外管9Aにおいて、符号2bで示す位置が破損した場合、破損位置2bから冷却液BLが漏出する。
符号2bで示す破損位置から漏出した冷却液BLには、凍結管9に冷却液BLを供給するための圧力(供給圧)が付加されている。そのため、凍結管9に破損箇所2bが存在すると、破損箇所2bから冷却液BLは凍結管外管9Aの外側に漏出する。漏出した冷却液BLは、凍結管外管9A表面と円環状空間E内部で固化したケイ酸アルカリとの境界、ケーシング内壁面2iと円環状空間E内部で固化したケイ酸アルカリとの境界、円環状空間E内部で固化したケイ酸アルカリに形成された亀裂等を介して、地上まで上昇する。そしてケーシング2の上端2eの冷却液貯留部LTに到達し、貯留部LT内に滞留する。
冷却液BLが漏洩していることを正確に検知することが出来るので、図1〜図7の実施形態によれば、直ちに凍結管9を交換する等の対策を講じることが出来る。そのため、施工領域の環境に及ぼす悪影響を防止することが出来る。
さらに、pHセンサを貯留部LT内に設ければ、冷却液BLの漏出があったことを認識することが出来る。冷却液BLは強いアルカリ性を示すため、冷却液BLが漏出して貯留部LT内に到達すれば、貯留部LT内のpHが変動するからである。
そして、凍結管9内に再び冷却液BLが流過すれば、冷却液BLが保有する冷熱が供給されることにより、ケイ酸アルカリ水溶液200Aは低温となり、固化する。
そして、凍結した土壌FGを連結することにより容易に止水壁を造壁することが出来る。
従って、凍結管9から冷却液BLが漏洩したとしても、漏洩した冷却液BLが施工領域周辺の土壌Gに浸透して、施工領域の環境に悪影響を及ぼしてしまうことはない。
すなわち第1実施形態によれば、長期間に亘る運転管理の間に、冷却液BLやケイ酸アルカリ水溶液200Aが施工領域周辺の土壌Gに漏出する事態は回避される。
第1実施形態によれば、冷却液貯留部LT内部には温度センサ10Tが配置されており、冷却液BLが冷却液貯留部LT内部まで上昇すれば、貯留部LT内部が冷却され、温度センサ10Tはその旨を直ちに検知するので、冷却液BLが漏洩していることを正確に検知(検出)することが出来る。
そして、冷却液BLが漏洩していることを正確に検知することにより、凍結管9を交換する等の対策を迅速に講じることが出来るので、作業の効率が向上し、施工領域の環境に及ぼす悪影響が小さくなる。
そして、削孔用ケーシング2を埋め殺すため、削孔用ケーシング2を撤収する必要がなく、そのための労力とコストを低減して、工期を短縮することが出来る。
図9において、全体を符号101Aで示す凍結システムは、複数(図9では4本)のケーシング2から誘引管TLtを介して、凍結管9から漏れ出た冷却液BLを、共通の冷却液貯留部LT2に誘引している。
共通の冷却液貯留部LT2内には、1個の温度センサ10Tが配置されており、当該温度センサ10Tは、信号ラインLsにとって制御手段60と接続している。
漏洩が発生した凍結管9が何れのケーシング2に挿入された凍結管であるのかについては、例えば、複数の誘引管TLtの全てに透し窓(図示せず)を設け、制御装置60からの漏洩発生の警報を受けた監視員が、透し窓を介して複数の誘引管TLtの各々を目視でチェックすることにより、判断することが出来る。もちろん、その他の手法も可能である。
第1実施形態の変形例101Aのその他の構成に関しては、図1〜図8の第1実施形態と同様であり、作用効果も同様である。
図1〜図9の第1実施形態では、削孔用ケーシング2の内壁面2iと凍結管9の外壁面9aoの間における環状空間Eには、ケイ酸アルカリ水溶液200Aが充填されている。
これに対して、図10の第2実施形態では、削孔用ケーシング2の内壁面2iと凍結管9の外壁面9aoの間における環状空間Eには、固化材と粘土を包含する混合物であるセメントベントナイト200Bが充填されている。なお、セメントベントナイト200Bは例示であり、本発明の第2実施形態の実施に際しては、その他の固化材と粘土を包含する混合物を充填することも可能である。
削孔用ケーシング2の内壁面2iと凍結管9の外壁面9aoの間における環状空間Eにセメントベントナイト200Bを充填した後、所定時間経過した後に冷却液BLを凍結管9内に流過させれば、セメントベントナイト200Bが固化した後に冷却液BLが凍結管9内を流過する。そのため、例えば、凍結管9の外壁面9aoが発錆によって穿孔しても、固化したセメントベントナイト200B及び削孔用ケーシング2を透過して冷却液BLが施工領域の土壌Gに漏れ出すことはない。
当該貯留部LTには温度センサ10Tが配置されており、冷却液BLにより貯留部LT内の温度が低下した旨を検知することにより、冷却液BLが凍結管9の外管9A外へ漏出したことを検知し、凍結管9の外管9Aが破損したことを正確に検知する。
図10における第2実施形態のその他の構成及び作用効果については、図1〜図9の第1実施形態と同様である。
2・・・ケーシング
3・・・排出管
4・・・バルブ
5・・・スラリー排出管
6・・・ゴムパッキン
7・・・シール部材
9・・・凍結管
10T・・・温度センサ
60・・・制御手段
Claims (6)
- 施工領域の地盤中にケーシングを設置する工程と、
ケーシング内に凍結管を配置する工程と、
ケーシング内壁面と凍結管外壁面の間の空間に、ケイ酸アルカリ水溶液或いは固化材と粘土を包含する混合物を充填する工程を備え、
前記ケーシングの地上側端部に設けられた冷却液の漏洩を検知する手段により、冷却液が漏洩しているか否かを検査する工程を有していることを特徴とする凍結工法。 - 前記ケーシングは削孔用ケーシングであり、当該削孔用ケーシングは、凍結管を地中に配置するためのボーリング孔を削孔した後、施工領域の土壌中に残存される請求項1の凍結工法。
- 削孔用ケーシングを土壌中に残存する前に、地下水が削孔用ケーシング内部へ上昇することを防止する請求項2の凍結工法。
- 施工領域の地盤中に設置されたケーシングと、ケーシング内に配置されて冷却液が流過する凍結管を備え、
ケーシング内壁面と凍結管外壁面の間の空間には、ケイ酸アルカリ水溶液或いは固化材と粘土を包含する混合物が充填されており、
前記ケーシングの地上側端部には冷却液の漏洩を検知する手段が設けられていることを特徴とする凍結工法施工システム。 - 前記ケーシングは削孔用ケーシングであり、当該削孔用ケーシングは、凍結管を地中に配置するためのボーリング孔を削孔した箇所に埋め殺されている請求項4の凍結工法施工システム。
- 地下水が削孔用ケーシング内部へ侵入することを防止する機構を備えている請求項5の凍結工法施工システム。
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