JP6250958B2 - 超電導式非接触圧縮装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超電導現象を利用した磁気浮上機構を備えることで、シリンダとピストンとを非接触状態で相対的に往復駆動させる非接触式な圧縮装置に関する。
近年、極低温条件下において発現する超電導現象を利用した超電導機器の実用化に向けて研究開発が進められている。この種の超電導機器では、冷却用の極低温冷媒(例えば、液体ヘリウムや液体窒素等)を生成する冷凍機を構成する圧縮機や、該冷媒を機器に循環供給するための循環ポンプでは、極低温下での動作であるので、潤滑油を使用できない。また、このような用途に用いられる圧縮機は、メンテナンス負担が少なく、長時間連続運転が可能であることが望まれる。
この種の用途に適用可能な圧縮機として、磁気軸受を用いたターボ圧縮機が考えられる。特許文献1には、液体ヘリウムを更に冷却して、超電導現象の安定化に効果のある超流動ヘリウムに変化させる装置において、ヘリウムの同位体ガスを、磁気軸受を用いたターボ圧縮機で圧縮することが開示されている。
特開平06−042830号公報
しかしながら、ターボ圧縮機は、大流量の作動ガスには好適であるが、超電導機器のように比較的小流量の作動ガスを扱う場合には効率が悪くなり、実用的ではないという問題がある。例えば液体窒素温度領域における冷凍機容量で言うと、冷却能力が10kW以上であればターボ冷凍機は非常に良く適合するものの、実用化が最も近いとされる超電導限流器や超電導回転機では、液体窒素温度領域で熱負荷が1kW程度と小さいため、効率が極端に悪くなってしまい、実用性に乏しい。
一方、往復動式圧縮機では構造上、比較的大きな振動が発生するため、磁気軸受の制御系が複雑になってしまうという問題がある。また、このような制御系は停電などの異常に対して極端に弱いため、高い信頼性を確保することが難しい。
このような事情から、超電導機器に用いられる冷凍機は蓄冷式冷凍機が主流であり、十分な冷凍能力を得るために、複数台の冷凍機を並列運転しているのが現状である。超電導機器では、長期間に亘って連続的に安定な運転が要求されるが、このような冷凍システムでは達成が困難であるため、実用化を妨げる一因となっている。
また小容量の熱交換器型冷凍機、或いは極低温冷媒の循環ポンプでは、圧縮比が最低でも3以上であることが望まれる。このような圧縮比をドライ方式で実現でき、且つ、小流量において実用的な効率を達成できる方式は非常に限られており、その一例がベローズポンプである。しかしながら、ベローズポンプは機械的な変形を連続的に行うため、材料疲労を避けることができず、長期間に亘る連続的な運転には適していないという問題がある。
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたものであり、極低温条件下において長期間に亘って連続的に圧縮できる高効率な作動ガス圧縮装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、互いに非接触状態にあるシリンダとピストンとを相対的に往復動させ、前記シリンダの内部に導入された作動ガスを圧縮する非接触式流体圧縮装置であって、ピストンに内蔵された第1の永久磁石、該第1の永久磁石に対向するようにシリンダの外側に配設されたクライオスタット、及び該クライオスタットの内部に収容され、超電導転位温度以下に冷却された超電導体で構成された磁気浮上構成体がピストンの軸方向に複数配置されてなる磁気浮上機構と、ピストンに内蔵され、該ピストンの軸方向に異なる極性を呈するように配設された第2の永久磁石、及び該第2の永久磁石に対向するようにシリンダに配設され、該シリンダの軸方向に交互に異なる極性を呈するように配置された複数の電磁石で構成されたリニア駆動機構と、該リニア駆動機構における複数の電磁石の極性を反転制御するコントローラとを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、前記構成の磁気浮上機構を備えることにより、シリンダ外側に配置された超電導体とピストンに内蔵された第1の永久磁石との間に発生する磁気相互作用によって、シリンダに対してピストンが浮上する。特に超電導体と第1の永久磁石の組み合わせを用いることによって、永久磁石同士を組み合わせた場合に比べて優れた安定性を得ることができる。この理由は、超電導体は磁力線捕捉能力(ピンニング特性)があり、内部の磁場分布を維持するために、外力に対して遮蔽電流による反発力が生じ、外乱力を打ち消すことができるためである。このように、前記構成の磁気浮上機構を用いることによって、実質的に制御系が不要な磁気軸受を実現することができる。
また、リニア駆動機構ではシリンダ外側に配置された複数の電磁石の極性をコントローラによって反転制御することによって、ピストンに内蔵された第2の永久磁石との間に発生する磁気相互作用によって、ピストンに対してシリンダの軸方向に沿った駆動力を付与することができる。
尚、本発明では、シリンダとピストンとを相対的に往復動させればよい。従って、固定されたシリンダに対してピストンを往復動させてもよく、あるいは固定されたピストンに対してシリンダを往復動させてもよい。
このように本発明に係る超電導式非接触圧縮装置では、磁気浮上機構によってピストンとシリンダとを非接触状態に保ちながら、リニア駆動機構によってシリンダ内におけるピストンの往復駆動を可能にする。そのため、潤滑油が不要で、複雑な制御が不要で長時間連続運転が可能となる。
本発明の一態様として、第1の永久磁石は、シリンダの半径方向外側に向かって磁力線が広がるように配置されることができる。このように第1の永久磁石を配置することで、磁力線がシリンダ外側に配置された超電導体に対して略直交するため、ピストンに付与される磁気浮上力を増大させ、磁気浮上効果を向上できる。
本発明の一態様として、超電導体は、第1の永久磁石との間隔を調整可能に支持され、かつ第1の永久磁石に対して任意の間隔を保持して固定可能に構成することができる。この態様によれば、第1の永久磁石に発生する磁力線の分布を調整し、ピストンに付与される磁気浮上力を調整できる。
本発明の一態様として、リニア駆動機構がシリンダの中央部に設けられ、磁気浮上構成体がリニア駆動機構を挟んでシリンダ軸方向両側に少なくとも1組ずつ設けられることができる。さらに、好ましくは、磁気浮上機構をリニア駆動機構の両側でシリンダの周方向に複数組分散配置するとよい。この態様によれば、リニア駆動機構の軸方向両側に磁気浮上機構を配置することで、シリンダ内におけるピストンの浮上姿勢を安定的に維持しながら、ピストンの往復駆動を実現できる。さらに、シリンダ内におけるピストンの傾きを防止し、シリンダとピストンとの非接触状態をより安定的に維持できる。
本発明の一態様として、第1の永久磁石は、ピストンが軸方向の任意の位置にあるとき、常に超電導体のシリンダ軸方向全域と対向するシリンダ軸方向長さを有するように構成できる。この態様によれば、シリンダ内でピストンがシリンダ軸方向の任意の位置に移動しても、磁気浮上機構によってシリンダとピストンとの非接触状態を安定的に維持できる。
本発明の一態様として、シリンダの内部でピストンの両端に形成された作動空間に連通する作動ガス供給路及び作動ガス排出路と、作動ガス供給路に設けられ、作動ガスを作動ガス供給路から作動空間に流入する方向にのみ開弁する第1の逆止弁と、作動流体排出路に設けられ、作動ガスを作動空間から作動ガス排出路に排出する方向のみに開弁する第2の逆止弁とを更に備えることができる。
この態様によれば、シリンダ内でピストンを往復動させるだけで、作動ガスを圧縮し、シリンダ内への作動ガスの供給及びシリンダ外への作動ガスの排出も自動的に行うことができる。
本発明の一態様として、シリンダの両端に設けられ、運転停止時に作動空間に突出してピストンをシリンダに対して非接触状態に支持すると共に、運転時にはピストンから退避可能なピボットをさらに備えることができる。この態様によれば、磁気浮上機構による浮上効果が得られない運転停止時、特に初期起動時においても、シリンダとピストンとの間の非接触状態を維持することができ、この状態で円滑に運転状態へ移行できる。
更に、本発明の一態様として、シリンダを非磁性体で構成することができる。この態様によれば、第1の永久磁石、第2の永久磁石及び電磁石間で発生する磁力線の分布がシリンダによって乱されないので、ピストンに付与される磁気浮上力を効率良く発生させることができる。
本発明によれば、磁気浮上機構を備えることにより、シリンダの外側に配置された超電導体とピストンに内蔵された第1の永久磁石との間に発生する磁気相互作用によって、シリンダに対してピストンが浮上可能となる。また、リニア駆動機構では、シリンダ外側に配置された複数の電磁石の極性をコントローラによって反転制御することによって、ピストンに内蔵された第2の永久磁石との間に発生する磁気相互作用によって、ピストンに対してシリンダの軸方向に沿った駆動力を付与することができる。
このように本発明に係る超電導式非接触圧縮装置では、磁気浮上機構によってピストンとシリンダとを非接触状態に保ちながら、リニア駆動機構によってシリンダ内におけるピストンの往復駆動を実現することができる。
本発明の一実施形態に係る超電導式非接触圧縮装置の正面視断面図である。 図1中のA―A線に沿う横断面図である。 前記実施形態でリニア駆動機構の動作説明図である。 前記実施形態で永久磁石の磁力線分布を示す横断面図である。 (A)及び(B)は前記実施形態で磁気浮上構成体の配置を示す横断面図である。 前記実施形態で磁気浮上構成体を示す正面視断面図である。 前記実施形態でピボットの配置を示す正面視断面図である。 超電導体と磁石の配置を示す説明図である。 超電導体内の磁場分布を示す線図である。 超電導体に発生する遮蔽電流の分布を示す線図である。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
本発明を往復動圧縮機に適用した一実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。図1に示す超電導式非接触圧縮装置10において、中空円筒形のシリンダ12は、例えばステンレス鋼やセラミックス、FRP等の非磁性体で構成されている。シリンダ12の内部には、円筒形のピストン14が収容されている。ピストン14の両端外側に作動空間s1及びs2が形成されている。シリンダ12の両端面には作動ガスgの供給管16及び排出管18が接続されている。供給管16がシリンダ12に接続する接続部には、作動ガスgをシリンダ12に供給する方向にのみ作動ガスgを流す逆止弁20が設けられている。また、排出管18がシリンダ12に接続する接続部には、作動ガスgをシリンダ12から排出管18に排出する方向にのみ作動ガスgを流す逆止弁22が設けられている。
シリンダ12の軸方向中央には、リニア駆動機構24が設けられている。リニア駆動機構24は、ピストン14に内蔵されピストン14の外周面に面して配置され、ピストン14の軸方向にN極26aとS極26bとが配置された強磁性の永久磁石26と、永久磁石26に対向するようにシリンダ12の外側に設けられ、シリンダ12の軸方向に配置された複数の電磁石28とで構成されている。複数の電磁石28は、交互に異なる極性を呈するようにコントローラ30で制御されると共に、各電磁石28の極性はコントローラ30によって反転制御される。
図2は図1に記載の往復動圧縮機10のA-A断面を示している。図2に示すように、
クライオスタット34は、バルク超電導体36を内蔵し、ピストン14に内蔵された永久磁石38に対向するようにシリンダ12の外側に配置されている。このような構成がシリンダ12に対して位相が180度異なる位置に合計2ヵ所設けられている。これにより、シリンダ12とピストン14との間に対向する向きにそれぞれ浮力を与えることができ、シリンダ12内におけるピストン14の浮上状態を安定的に保つことができる。
尚、本実施例では磁気浮上構成体34と永久磁石38との組み合わせを位相が180度異なる位置に2ヵ所配置した例を示しているが、2ヵ所以上に配置してもよい。この場合、それぞれが等しい位相間隔になるように配置することで、シリンダ12内におけるピストン14の浮上状態をより安定的に保つことができる。
ここで図3を参照して、電磁石28の極性の反転制御について説明する。まず初期状態において図3(A)に示すように、電磁石28と対向する隣り合う2つの電磁石28の極性が、それぞれ対向する永久磁石26の極性と異なるように設定されているとする。この場合、各電磁石28及び永久磁石26間には、図3(A)の矢印で示すように吸引力が作用している。
続いてコントローラ30は、図3(B)に示すように、図3(A)で極性を設定した2つの電磁石28からピストン14の移動方向に1つシフトした2つの電磁石28に対して、極性をシフトする。このとき対向する電磁石28と永久磁石26との極性は互いに同じになるため、図3(B)の矢印で示すように反発力が作用する。
更にコントローラ30は、図3(C)に示すように、図3(B)で極性を設定した2つの電磁石28からピストン14の移動方向に更に1つシフトした2つの電磁石28に対して、極性をシフトする。このとき対向する電磁石28と永久磁石26との極性は再び互いに異なるため、図3(C)の矢印で示すように吸引力が作用する。
このようにリニア駆動機構24では、電磁石28の極性を反転させることで、シリンダ12の軸方向に沿ってピストン14を往復駆動することができる。
再び図1に戻って、リニア駆動機構24のピストン軸方向の両側には、磁気浮上構成体32が設けられている。磁気浮上構成体32は、シリンダ12の外側に設けられたクライオスタット34と、クライオスタット34の内部に収容され、冷却媒体により超電導転位温度以下に冷却されるバルク超電導体36と、バルク超電導体36に対向するようにピストン14に内蔵された永久磁石38とで構成されている。バルク超電導体36は、YBaCu(以後「YBCO」と言う。)等の超電導体で構成されている。クライオスタット34の内部には液体窒素等の極低温冷却液が封入され、バルク超電導体36を超電導転位温度以下に冷却している。
永久磁石38は本発明の第1の強磁性体の一例であり、例えば多数のNdFeB磁石やサマリウム・コバルト等の強力な永久磁石が用いられている。図4は、永久磁石38から発生する磁力線mの分布を示しているが、このように本実施形態では、特に、ピストン14の半径方向外側に磁力線が広がるように永久磁石38を配置することで、磁力線がシリンダ外側に配置された超電導体に対して略直交するため、ピストン14に付与される磁気浮上力を増大させ、磁気浮上効果を向上できる。
図5に示すように、バルク超電導体36は、支持機構(図示省略)によりシリンダ12の半径方向へ若干量移動可能に支持されている。そのため、ピストン14との間隔を調整可能である。また、調整後は該支持機構により強固に固定可能に支持される。
また、図6において、Hはピストン14の移動ストロークを示しており、永久磁石38のシリンダ軸方向長さhは、ピストン14がシリンダ軸方向の任意の位置にあっても、バルク超電導体36のシリンダ軸方向の全域に対向配置可能な長さを有している。これにより、シリンダ12内でピストン14がシリンダ軸方向の任意の位置に移動しても、磁気浮上機構32によってシリンダ12とピストン14との非接触状態を安定的に維持できるようになっている。
尚、シリンダ12の内面からピストン14を安定浮上させるため、磁気浮上構成体32は、リニア駆動機構24のシリンダ軸方向両側に配置されると共に、シリンダ周方向に等間隔で3組又は4組配置するのが望ましい。しかし、例え1組の磁気浮上構成体32であっても、バルク超電導体36を用いるため、安定に動作できる事は言うまでもない。
かかる構成において、図7に示すように、シリンダ12の両端部に運転停止時にピストン14側へ突出するピボット40を設けている。運転停止中、ピボット40がピストン14側に突出し、ピストン14を浮上状態に支持する。運転開始後、ピストン14が磁気浮上構成体32の作用により浮上した後、ピボット40はシリンダ側に引っ込み、ピストン14の支持を解除する。その後、作動ガス供給路16から作動ガスを作動空間s1及びs2に供給する。ピストン14の往復動によって作動空間s1及びs2で圧縮された作動ガスは、作動ガス排出路18に排出される。
ところで、本実施形態では、シリンダ12に対してピストン14を浮上させて非接触状態を維持するために、磁気浮上構成体32を用いていることは前述の通りである。磁気浮上構成体32では、磁石を超電導体に近づけると、超電導体は侵入してくる磁束を排斥しようとして遮蔽電流が流れ、新たな磁場が形成されるため、磁石は反発力を受け浮き上がるという原理を利用している。単に浮上力を得るという目的であれば、超電導体に代えて永久磁石を用いた場合であっても反発力が発生するため利用可能であるが、この場合、得られる浮力が不安定であるという問題がある。これは磁気軸受においても、反発力を利用した磁気軸受は未だ実現されず、現状の磁気軸受はすべて吸引制御方式となっていることと、同様の理由である。
一方で、本実施形態では、永久磁石38とバルク超電導体36との組合せを用いた磁気浮上構成体32を備えることによって、優れた安定性を得ることができる。
図8に模式的に示すように、磁石42をバルク超電導体44の真上に置いたときの超電導体44の内部の磁場分布は、図9に示すようになる。即ち、磁束は超電導体44の表皮近傍に侵入し、その大きさは表皮からの深さに概ね直線的に変化する。
この状態で、磁石42が浮上している時、磁石42に垂直方向(図1においてシリンダ12の軸方向に垂直な方向)に外力Fが加わると、超電導体44の内部には磁力線がより深く侵入するが、この状態で外力Fを除去すると、図10に示すように、超電導体外周部には逆方向の磁場勾配を生じる遮蔽電流が流れ始める。この遮蔽電流は磁石42を引き戻す力になるため、磁石42は反発力と吸引力を同時に受ける事になり、磁石42は一定の位置に安定して浮上することができる。
YBCO等からなるバルク超電導体36は、磁力線捕捉能力(ピンニング特性)があり、外力を受けた場合にこのような遮蔽電流による安定化作用を得ることができる。
ピストン14がシリンダ12の内部で浮上している時、シリンダ12の内部で回転しようとする力が加わった時は、図9に示すように、超電導体内にアンバランスの電流が流れ、復元力がピストン14に加わるので、ピストン14は半径方向や回転方向には微動だにせず、常に一定の位置を維持し続ける。一方、シリンダ軸方向に関しては、バルク超電導体36の長さがピストン14の移動ストロークHよりも十分長いので、ピストン14が移動しても、磁場分布の変化がない。即ち、ピストン14はシリンダ軸方向には自由に動くことができる。そのため、リニア駆動機構24でピストン14を動かすと、圧縮機として機能することができる。
永久磁石38とバルク超電導体36とで組み合わせた磁場結合力は極めて強固であり、シリンダ12及びピストン14の機械加工精度を高くすることで、シリンダ12とピストン14間の隙間を十分小さくして完全非接触かつ完全オイルフリーの圧縮機を実現できる。
次に、超電導式非接触圧縮装置10の動作手順を説明する。
(1)最初に、ピストン14をシリンダ12の中央に固定するため、ピボット40をシリンダ12の両端から突出させ、ピボット40でピストン14を固定する。
(2)次に、バルク超電導体36をシリンダ12から若干離して冷却し、超電導状態とする。所謂フィールド・クーリングを行い、バルク超電導体36の内部に磁力線を捕捉させる。
(3)すべてのバルク超電導体36が超電導状態になると、補足磁力線はピストン14を十分浮上できるが、さらにバルク超電導体36を若干シリンダ12に近づける。この時、バルク超電導体36は永久磁石38から猛烈な反発力を受けるので、十分な機械力が必要である。距離を近づけた後は、機械力を解放し固定する。これで、長時間連続運転が可能になる。
(4)この後、ピボット40を引っ込める。これでピストン14はシリンダ12の内部で完全に浮上し、長時間連続運転が可能な圧縮機として動作できる。
本来、超電導体は電気抵抗がゼロであるので、ステップ(2)で捕捉した磁力線が作る遮蔽電流は永久電流となるはずであるが、実際には、動作温度が絶対零度でないので、熱励起によって極めて少しずつではあるが低下する。従って、本実施形態でも、ピストン14の浮上力が時間の経過に従って徐々に低下することになる。通常、YBCO超電導体であると、ステップ(2)のままでも、1か月間程度で10%以内の電流低下に収まる(但し、バルク超電導体36の製造精度、例えば、結晶構造の緻密性とか、不純物の量などに応じて変化する。)。
このような電流低下を低減するために、前記ステップ(1)〜(4)の操作で、図10に示すような遮蔽電流を強制的に流し、吸引力と反発力とをバランスさせながら、ピストン14を浮上させてもよい。このようなステップを踏むと、位置調整後にバルク超電導体36の内部に流れる遮蔽電流は吸引力となり、しかもバルク超電導体36の外周部を流れるので、反発力が発生している中央部の遮蔽電流よりも減少が速いことも起き得る(但し、実際には、侵入磁場の分布は直線的な変化ではないので、実験的に確認するのが難しい。)。
この事は、ピストン14の浮上力が時間の経過と共に一旦上昇し、その後減少すると予想される。その場合、浮上力が初期状態から10%低下するのは、超電導体磁気軸受の実験から数年〜数十年であるので、事実上、超電導式非接触圧縮装置10は長時間連続運転が可能となる。また、超電導式非接触圧縮装置10のピストン浮上力は、バルク超電導体36が超電導状態であれば安定なので、バルク超電導体36が液体窒素で冷却されている限り、瞬間的に運転が停止してもピストン14がシリンダ12に接触することがない。そのため、信頼性の高い圧縮機を実現できる。
本実施形態によれば、複数の磁気浮上構成体32からなる磁気浮上機構を備えることにより、バルク超電導体36と永久磁石38との間に発生する磁気相互作用によって、シリンダ12に対してピストン14が安定的に浮上できる。また、この安定浮上を維持するために、複雑な制御系を必要としない。
また、リニア駆動機構24では、複数の電磁石28の極性をコントローラ30によって反転制御することで、永久磁石26との間に発生する磁気相互作用によって、ピストン14に対してシリンダ軸方向に沿った駆動力を付与することができる。
従って、シリンダ12とピストン14とを非接触状態に保ちながら、ピストン14の往復駆動を可能にする。そのため、潤滑油が不要となり、かつ複雑な制御が不要で長時間連続運転が可能となる。
また、永久磁石38は、ピストン14の半径方向外側に向かって磁力線mが広がるように配置されているので、磁力線mがシリンダ外側に配置されたバルク超電導体36に対して略直交するため、ピストン14に付与される磁気浮上力を増大でき、磁気浮上効果を向上できる。
また、バルク超電導体36は永久磁石38との間隔を調整可能に支持され、かつ永久磁石38に対して任意の間隔を保持して固定可能に構成されているので、永久磁石38に発生する磁力線の分布を調整し、ピストン14に付与される磁気浮上力を調整できる。
また、リニア駆動機構24がシリンダ12の中央部に設けられ、磁気浮上構成体32がリニア駆動機構24を挟んでシリンダ軸方向両側に設けられ、さらに、好ましくは、磁気浮上構成体32はリニア駆動機構24の両側でシリンダ周方向に複数組分散配置することで、シリンダ12内におけるピストン14の浮上姿勢を安定的に維持しながら、ピストン14の往復駆動を実現できる。さらに、シリンダ12内におけるピストン14の傾きを防止し、シリンダ12とピストン14との非接触状態をより安定的に維持できる。
また、永久磁石38は、ピストン14がシリンダ軸方向の任意の位置にあるとき、常にバルク超電導体36のシリンダ軸方向全域と対向可能なシリンダ軸方向長さを有しているので、シリンダ12内でピストン14がシリンダ軸方向の任意の位置に移動しても、磁気浮上機構によってシリンダ12とピストン14との非接触状態を安定的に維持できる。
また、作動ガス供給路16、作動ガス排出路18、及びこれら流路に設けられた逆止弁20及び22によって、シリンダ12内への作動ガスgの供給及びシリンダ12外への作動ガスgの排出も自動的に行うことができる。
また、ピボット40を設けたことで、磁気浮上機構による浮上効果が得られない運転停止時、特に初期起動時においても、シリンダとピストンとの間の非接触状態を維持することができ、この状態で円滑に運転状態へ移行できる。
さらに、シリンダ12を非磁性体で構成したので、永久磁石26及び電磁石28間で発生する磁力線の分布がシリンダ12によって乱されないので、ピスト14に付与される磁気浮上力を効率良く発生させることができる。
本発明によれば、極低温条件下において長期間に亘って連続的に圧縮でき、複雑な制御を必要とせず、かつ長時間の安定運転が可能な高効率の作動ガス圧縮装置を実現できる。
10 超電導式非接触圧縮装置
12 シリンダ
14 ピストン
16 作動ガス供給管
18 作動ガス排出管
20、22 逆止弁
24 リニア駆動機構
26 永久磁石(第2の永久磁石)
28 電磁石
30 コントローラ
32 磁気浮上構成体
34 クライオスタット
36 バルク超電導体
38 永久磁石(第1の永久磁石)
40 ピボット
42 磁石
44 超電導体
g 作動ガス
m 磁力線

Claims (8)

  1. 互いに非接触状態にあるシリンダとピストンとを相対的に往復動させ、前記シリンダの内部に導入された作動ガスを圧縮する超電導式非接触圧縮装置であって、
    前記ピストンに内蔵された第1の永久磁石、該第1の永久磁石に対向するように前記シリンダの外側に配設されたクライオスタット、及び、該クライオスタットの内部に収容され、超電導転位温度以下に冷却された超電導体で構成された磁気浮上構成体が前記ピストンの軸方向に複数配置されてなる磁気浮上機構と、
    前記ピストンに内蔵され、該ピストンの軸方向に異なる極性を呈するように配設された第2の永久磁石、及び、該第2の永久磁石に対向するように前記シリンダに配設され、該シリンダの軸方向に交互に異なる極性を呈するように配置された複数の電磁石で構成されたリニア駆動機構と、
    前記リニア駆動機構における前記複数の電磁石の極性を反転制御するコントローラと
    フィールド・クーリング実施位置と、該フィールド・クーリング実施位置よりも前記シリンダに近い連続運転位置との間で前記超電導体の位置を切り替え可能に前記超電導体を支持する支持機構と、
    を備えることを特徴とする超電導式非接触圧縮装置。
  2. 前記第1の永久磁石は、前記シリンダの半径方向外側に向かって磁力線が広がるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導式非接触圧縮装置。
  3. 前記超電導体は前記第1の永久磁石との間隔を調整可能に支持され、前記第1の永久磁石に対して任意の間隔を保持して固定可能であることを特徴とする請求項1に記載の超電導式非接触圧縮装置。
  4. 前記リニア駆動機構が前記シリンダの中央部に設けられ、前記磁気浮上構成体が前記リニア駆動機構を挟んで前記シリンダの軸方向両側に少なくとも1組ずつ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の超電導式非接触圧縮装置。
  5. 前記第1の永久磁石は、前記ピストンが軸方向の任意の位置にある場合において、常に前記超電導体のシリンダ軸方向全域と対向するシリンダ軸方向長さを有していることを特徴とする請求項1に記載の超電導式非接触圧縮装置。
  6. 前記シリンダの内部で前記ピストンの両端に形成された作動空間に連通する作動ガス供給路及び作動ガス排出路と、
    前記作動ガス供給路に設けられ、作動ガスを前記作動ガス供給路から前記作動空間に流入する方向にのみ開弁する第1の逆止弁と、
    前記作動ガス排出路に設けられ、作動ガスを前記作動空間から前記作動ガス排出路に排出する方向のみに開弁する第2の逆止弁とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の超電導式非接触圧縮装置。
  7. 互いに非接触状態にあるシリンダとピストンとを相対的に往復動させ、前記シリンダの内部に導入された作動ガスを圧縮する超電導式非接触圧縮装置であって、
    前記ピストンに内蔵された第1の永久磁石、該第1の永久磁石に対向するように前記シリンダの外側に配設されたクライオスタット、及び、該クライオスタットの内部に収容され、超電導転位温度以下に冷却された超電導体で構成された磁気浮上構成体が前記ピストンの軸方向に複数配置されてなる磁気浮上機構と、
    前記ピストンに内蔵され、該ピストンの軸方向に異なる極性を呈するように配設された第2の永久磁石、及び、該第2の永久磁石に対向するように前記シリンダに配設され、該シリンダの軸方向に交互に異なる極性を呈するように配置された複数の電磁石で構成されたリニア駆動機構と、
    前記リニア駆動機構における前記複数の電磁石の極性を反転制御するコントローラと
    を備え、
    前記シリンダの両端に設けられ、前記シリンダの内部で前記ピストンの両端に形成された作動空間に運転停止時に突出して前記ピストンを前記シリンダに対して非接触状態に支持すると共に、運転時には前記ピストンから退避可能なピボットをさらに備えていることを特徴とする超電導式非接触圧縮装置。
  8. 前記シリンダが非磁性体で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導式非接触圧縮装置。
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