JP6249221B2 - 地中熱を利用した冷暖房装置 - Google Patents

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Description

石油、ガス、電気等の人口エネルギーの浪費を抑え、地中の地熱を有効に活用して住宅の室温調節を行うための、エネルギーコストが低く構造が簡単な冷暖房装置に関する。
従来の、小規模な住宅における室温調整は、夏期にはクーラーを使用し、冬期には電気、ガス、石油等のエネルギーを利用して冷暖房を行って来たが、近年では地球温暖化防止の観点から、エネルギー消費に伴うCO2排出量の削減が急務となり、エネルギー消費量の削減や、さらに自然エネルギーへの代替が早急に望まれている。
これに伴い、自然エネルギーの利用手段として、現在、一般的に普及しているものは、太陽エネルギーを利用した、太陽熱温水器(熱効率50〜60%)と太陽光発電(変換効率10〜15%)があるが、いずれも、太陽エネルギーだけを利用する省エネ技術は天候に左右され易く、不安定な点から単独では利用が出来ず、他のエネルギーと兼用して利用されて来たため、なお一層の改良が求められている。
これに対して、地下4〜5mの地中は、年間を通じて安定した温度を保つことから、夏期は外気と比べて低温となり、冬期は外気と比べて暖温となる。そのため、従来からこのような地中熱を利用した設備は、大型の建物や公共設備等で実験的に施工されているが、その利用方法は、冬の間に自然界で出来た氷を保存しておき、その氷を夏期に地下に設けた蓄熱槽に移して冷水を作り、その冷水を各室に循環させて冷房を行うことが一般的であり、大掛かりな工事が必要となり、しかも、定期的に蓄熱層に氷を補充しなければならず、小規模な住宅用としては不向きであった。
さらに、地中熱を利用したヒートポンプ方式で、家庭内の給湯と、室内の冷暖房を行う方法も行われているが、水平ループ方式(地中に深さ1〜2mの堀を堀り、そこに採熱用パイプを這わせて埋設する)では、建坪100mの住宅の熱源を得るために400〜600mの採熱用パイプを埋設することが必要であり、又、垂直ループ方式(地中に深さ50〜100mの井戸を堀り、そこに採熱用パイプを埋設する)では2本の井戸が必要となり、一般住宅用で300〜500万円の費用を要すると共に、ヒートポンプの稼動コスト(電気代)が、深夜電力を利用した電気温水器の約75%かかるといった問題があった。
また、平成15年7月に建築基準法が改正され、「シックハウス対策」として、居室の24時間換気(1時間で居室体積の0.5回分を換気させる事)が義務づけられた。
そこで、本出願人は、特許文献1に記載された、建築基準法に対応できる「アース・ソーラーシステム(二層式)」を発明し出願した。この発明によれば、貯水タンクと、貯温水タンクの2つのタンクを地中に埋設し、その双方のタンク内に、外気取入口から各室の24時間給気パイプに連通する熱交換パイプを配管し、貯水タンクを雨水又は地下水又は水道水で満たすと共に、貯温水タンクは太陽熱温水器からの温水で満たし、前記、熱交換パイプに設けた開閉バルブを操作する事により、夏期においては、冬期の冷たい外気で冷やしておいた貯水タンク内の冷水を利用して、外気を貯水タンク内の熱交換パイプを経由させ、暑い外気を冷やして各室に送り込むため、効率よく冷風運転を行うことが出来る。また、冬期においては、夏期の暑い外気で温めておいた貯水タンクの弱温水に冷たい外気を熱交換パイプを経由して暖めると共に、さらに太陽熱温水器を利用した、貯温水タンク内の温水中の熱交換パイプを経由するため、各室に温風を送り込むことが可能となった。
特願2007−42895
しかしながら、本出願人の出願した特許文献1の発明においては、貯水タンクと貯温水タンクの2つのタンクを必要としたため、配管が複雑になり、開閉バルブの数も増え、高価格になると共に、施工するための工期も長く必要であった。
そこで、本出願人は、特許文献2に記載された、「アース・ソーラーシステム(一層式)」を発明して出願した。この発明によれば、建物の下部の地中に、建物の基礎部と一体に構成したコンクリート製タンクを構築し、コンクリート製タンク内に熱交換パイプを配管し、コンクリート製タンク内を雨水、又は水道水、又は地下水で満たし、全熱交換型換気扇からの供給空気をコンクリート製タンク内の熱交換パイプに導き、夏期は、全熱交換型換気扇からの供給空気を、地中熱で冷やされたコンクリート製タンク内の水と、熱交換パイプとの間で熱交換して冷やした後、給気パイプを経由して各階に給気し、冬期は、太陽熱温水器からの温水を、コンクリート製タンク内に循環させて、コンクリート製タンク内を温水状態とし、全熱交換型換気扇からの供給空気を、コンクリート製タンク内の熱交換パイプに導き、コンクリート製タンク内の温水と、熱交換パイプとの間で熱交換して暖めた後、給気パイプを経由して各階に給気したことにより、各室に温風を送り込むことが可能となった。
特願2008−134783
しかしながら、本出願人の出願した特許文献2の発明においても、建物の下部の地中にコンクリート製タンクを必要としたため、高価になると共に、施工するための工期も長く必要であった。
そこで、本出願人は、特許文献3に記載された、「アース・ソーラーシステム(地中熱回収パイプ方式)」を発明して出願した。この発明によれば、建物の基礎部に外部との通気口を設置せず、1階床下内部の空気を外気と遮断して密封状態とし、建物の室内に取付けた全熱交換型換気扇が室内側に供給する新鮮な外気を、建物の1階床下内部に送り込むと共に、1階床下の基礎底盤に下部をU字形に成形した複数の地中熱回収パイプを、両端を基礎底盤より1階床下部に突き出すように地中に埋設し、地中熱回収パイプの一端には送風機を取付け、その送風機を作動させる事により1階床下内部の空気が地中熱回収パイプに吸い込まれ、その地中熱回収パイプに吸い込まれた空気は、冬期は地中熱により地中熱回収パイプの中で暖められると共に、さらに、1階床下部に設けた温水蓄熱槽に太陽熱温水器で温めた温水を循環させて1階床下内部の空気を暖め、また、夏期は1階床下部に設けた温水蓄熱槽に太陽熱温水器からの温水を循環させず、地中熱により地中熱回収パイプの中で冷やされた空気が1階床下内部に給気され、その1階床下の空気をダクトを通して各階の天井内部に給気し、天井内部に給気した空気を各室天井に設けたガラリより室内に給気した事により、冬期には弱暖房された暖かい空気を各室に送り込むと共に、夏期には弱冷風された涼しい空気を各室に送り込むことが可能となった。
特願2009−158863
しかしながら、本出願人の出願した特許文献3の発明においても、雨や曇りの日が続いた場合、太陽熱温水器のお湯の温度が上がらず、雨や曇りの日と、晴天の日の温度差が大きいといった問題が発生した。
そこで、本出願人は、特許文献4に記載された、「アース・ソーラーシステム(地中熱回収パイプ方式)」を発明して出願した。この発明によれば、冬期においては、建物の基礎部に外部との通気口を設置せず、1階床下内部の空気を外気と遮断して密封状態とし、建物の室内に取付けた全熱交換型換気扇が室内側に供給する新鮮な外気を、建物の1階床下部に送り込むと共に、1階床下の基礎底盤に下部をU字形に成形した複数の地中熱回収パイプを、両端を基礎底盤より1階床下部に突き出すように地中に埋設し、地中熱回収パイプの一端には送風機を取付け、その送風機を稼動させる事により1階床下内部の空気が地中熱回収パイプに吸い込まれ、地中熱により地中熱回収パイプの中で暖められて1階床下内部の空気を暖めると共に、太陽熱温水器からの温水をお風呂で利用した後、温水蓄熱槽に流して溜湯したため、雨や曇りが続いた場合においても、1階床下内部の空気の温度を地中熱だけに頼らず暖かくすることが可能となり、これまで排水溝に流していた温かい風呂の残り湯のエネルギーを再利用することにより、1階床下内部の弱暖房された暖かい空気を各室に給気することが可能となった。また、夏期においては、温水蓄熱槽に風呂の残り湯を供給せず、全熱交換型換気扇から1階床下内部に送り込まれた外気は、地中熱により地中熱回収パイプの中で冷やされて1階床下部の空気と混ぜ合わされた後、各階天井内部に設けられたダクトの送風機を稼動させることにより、1階床下内部からダクトを経由して各階の天井内部に送られ、天井に設けたガラリより室内に給気して室内を冷やすことが可能となった。
特願2010−56088
しかしながら、本出願人の出願した特許文献4の発明においても、床下に設置する温水蓄熱槽の長期耐久性に問題が残ると共に、冬期において風呂の残り湯と地中熱だけでは暖房効果が不足するといった問題が発生した。さらに4本の塩ビパイプ製の地中熱回収パイプが地中より回収する熱エネルギーでは熱量が低く、冷暖房のための熱エネルギーが不足するといった問題が発生した。
本発明は、このような、従来の欠点に鑑みて、自然との調和を図ることを目的とし、石油、ガス、電気等の人工エネルギーの浪費を抑え、地中熱を有効に利用して、住宅の室温調整を行うものであり、エネルギーコストが低く、構造が簡単な冷暖房装置を提供することを課題とする。
本出願人の出願した特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4による発明では、上記のような問題が発生したため、当社では、新たに、地中熱を水を介して回収する水冷式の地中熱回収装置を活用した新アース・ソーラーシステムを新たに開発し、本発明を特許出願すると同時に、本製品の発売を開始した。
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、地表に円筒形の穴を掘り、その円筒形の穴に口径60cm、長さ約6.2mの金属製のスパイラル管の筒を埋設し、筒の中に下部を密閉した樹脂フィルムの筒を投入し、その樹脂フィルムの筒の中に水を注水すると共に、樹脂フィルムの筒の内部に、ステンレス製で外径48.6mm、長さ6mの給気専用の10本の給気パイプとステンレス製で外径48.6mm、長さ6mの排気専用の10本の排気パイプで形成し、上部に給気用送風機と排気用送風機を取付けた箱型の上部空気室を取付け、下部に空気を循環させるための箱型の下部空気室を取付けた地中熱回収装置を設置し、下部空気室に溜まった結露水を蒸発させるため、上部空気室を多角形の箱型で構成し、箱の中央部に間仕切りを取付け、上部空気室の内部を給気用空気室と排気用空気室の2室に分け、複数本の給気専用の給気パイプと排気専用の排気パイプの中と、上部空気室と下部空気室との間に太さ6mmの綿ロープをループ状に配置し、建物の室内に給気する新鮮な外気を、給気用送風機で地中熱回収装置に送り込むことにより、冬期においては地中熱により地中熱回収装置の中で暖められた空気を室内に給気し、夏期においては地中熱により地中熱回収装置の中で冷やされた空気を室内に給気したことを特徴とする。
請求項1の記載の発明によれば、地表に円筒形の穴を掘り、その円筒形の穴に口径60cm、長さ約6.2mの金属製のスパイラル管の筒を埋設し、筒の中に下部を密閉した樹脂フィルムの筒を投入し、その樹脂フィルムの筒の中に水を注水すると共に、樹脂フィルムの筒の内部に、ステンレス製で外径48.6mm、長さ6mの給気専用の10本の給気パイプとステンレス製で外径48.6mm、長さ6mの排気専用の10本の排気パイプで形成し、上部に給気用送風機と排気用送風機を取付けた箱型の上部空気室を取付け、下部に空気を循環させるための箱型の下部空気室を取付けた地中熱回収装置を設置し、下部空気室に溜まった結露水を蒸発させるため、上部空気室を多角形の箱型で構成し、箱の中央部に間仕切りを取付け、上部空気室の内部を給気用空気室と排気用空気室の2室に分け、複数本の給気専用の給気パイプと排気専用の排気パイプの中と、上部空気室と下部空気室との間に太さ6mmの綿ロープをループ状に配置し、建物の室内に給気する新鮮な外気を、給気用送風機で地中熱回収装置に送り込むことにより、冬期においては地中熱により地中熱回収装置の中で暖められた空気を室内に給気し、夏期においては地中熱により地中熱回収装置の中で冷やされた空気を室内に給気したことにより、熱交換するための媒体に水を使用したことにより熱量が安定し、年間を通じて水の温度を、ほぼ一定に保つことが出来るようになったため、地中熱を効率よく回収することが可能となった。
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
[発明の実施の形態1]
図1乃至図6には、この発明の実施の形態1を示す。
図1と図2には、本発明の地中熱回収装置12を住宅1の基礎9の横の地表面5に設置した状態を示す。地中熱回収装置12は、地表面5にオーガー(穴堀機)で円筒形の穴を掘り、その円筒形の穴に筒13を埋設し、さらに筒13の中に筒13より全長が少し長く下部を密閉した樹脂フィルムの筒71を投入し、その樹脂フィルムの筒71の中に水16を注水すると共に、樹脂フィルムの筒71の内部に、複数本のパイプ14の上部に多角形の箱型で構成した上部空気室11を取付け、パイプ14の下部には多角形の箱型で構成した下部空気室15を取付け、上部空気室11には地中熱回収装置12に外気を取り入れるための外気取入パイプ25と、取り入れた外気を地中熱回収装置12の中で熱交換したあと、室内に給気するための室内給気パイプ22を取付け、さらに上部空気室11の上側に断熱カバー6を取付け、このように構成した地中熱回収装置12の中で熱交換された外気は1階床下26に給気されたあと、ガラリ20に取付けられた送風機21により室内に供給される。
図3には、地中熱回収装置12の上部空気室11と下部空気室15を分解した立体部品図(図3a)と、その立体部品を組立てた組立図(図3b)を示す。上部空気室11の給気・排気パイプ取付箱49は図3aで示すように、ステンレス製の厚さ2.0又は2.5mmで多角形な枡状に成形され、上部が枡内側に90度折り曲げられ、底面には水垢が付きにくい♯400のステンレス製で外径48.6mm、長さ6mの給気パイプ53、排気パイプ52を全周溶接で取付けるための丸形の給気パイプ取付穴46と排気パイプ取付穴50が開けられ、給気パイプ取付穴46と排気パイプ取付穴50の間は給気と排気が上部空気室11の内部で混じり合うことが無いように長方形をしたステンレス製の間仕切り板45で仕切り、さらに給気・排気パイプ取付箱49の両側には図1、図2で説明した筒13に給気・排気パイプ取付箱49をボルト48とナット58で取付けるためのL字形状で立ち上がり部に2個の取付穴(図示せず)を開けたステンレス製のL形固定金具51が取付けられる。このように構成した給気・排気パイプ取付箱49の上面には給気・排気パイプ取付箱49の上面形状に合わせて成形したステンレス製で平板状の固定蓋41が配置され、固定蓋41には塩ビパイプ製の排気エルボ31と給気エルボ32を取付けるための排気エルボ取付穴42と給気エルボ取付穴36を開けると共に、さらに固定蓋41には箱49の内部を点検するため、概ね台形の形状をした点検穴39を開口する。このように構成した固定蓋41の排気エルボ取付穴42と給気エルボ取付穴36の上部に、呼び径100mmの排気エルボ31(塩ビパイプ製の90°エルボ)、給気エルボ32(塩ビパイプ製の90°エルボ)を取付けると共に、点検穴39の形状に合わせて成形した点検蓋33を、点検蓋33に開けた穴35にビス34挿入して固定蓋41に固定し、排気用送風機43と給気用送風機44を排気エルボ取付穴42と給気エルボ取付穴36の下部に取付け、このように構成した固定蓋41を、固定蓋41に開けた穴38にビス37を挿入して箱49に開けた穴47に固定した状態を図3bの上部空気室11で示す。
下部空気室15は、外回りの形状を上部空気室11の給気・排気パイプ取付箱49と同一形状で成形し、多角形で枡状に成形されたステンレス製の厚さ2.0又は2.5mmの箱57の上側に、箱57の上部外周形状に合わせて成形したステンレス製の平板状の固定蓋56を配置し、固定蓋56には排気パイプ52と給気パイプ53を全周溶接で取付けるため、上部空気室11の給気・排気パイプ取付箱49に開口した給気パイプ取付穴46、排気パイプ取付穴50と同じ位置に給気パイプ取付穴55と排気パイプ取付穴54が開けられ、固定蓋56は箱57の上面に全周溶接で固定される。このように、箱57と固定蓋56を全周溶接で固定し、さらに固定蓋56の給気パイプ取付穴55と排気パイプ取付穴54に排気パイプ52と給気パイプ53を全周溶接で固定したため、下部空気室15と排気パイプ52と給気パイプ53の内部を防水することが可能となった。
このように構成された、図3aで説明した上部空気室11の合計10個の給気パイプ取付穴46に合計10本の水垢が付きにくい♯400のステンレス製の給気パイプ53を全周溶接して接続すると共に、給気パイプ53の下端は固定蓋56の合計10個の給気パイプ取付穴55に全周溶接で接続される。さらに上部空気室11の合計10個の排気パイプ取付穴50に水垢が付きにくい♯400の合計10本のステンレス製の排気パイプ52を全周溶接して接続すると共に、給気パイプ52の下端は固定蓋56の合計10個の給気パイプ取付穴54に全周溶接で接続した状態を図3bで示す。
図4では、地中熱回収装置12の部品断面図と、その組立図を断面図で示す。図4aでは、地表面5に円筒形の穴を掘り、その円筒形の穴に、口径60cm、長さ約6.2mの金属製のスパイラル管の筒13を埋設し、筒13の中に下部を密閉した円筒形の形状をした樹脂フィルムの筒71を挿入して水を注水し、筒13の地表面5の回りの地表面周囲70を空練りモルタルで凹状に仕上げた状態を示す。筒13の上部には、地中熱回収装置12の断熱効果を高めるため、角形形状をして排気エルボ用穴66と給気エルボ用穴67が開けられ下部をコの字形に曲げた外箱65と、その上部を覆うように外箱65の形状に合わせて蓋形状に成形した上蓋64がビス68により取付けられ、断熱カバー6の内側には発泡スチロールの断熱材69が取付けられる。このように筒13の内側に樹脂フィルムの筒71を挿入して水を注水することにより、地中3メートル以下では、通年を通して水の温度が地中熱により15〜18℃に保つことが出来るようになるため、年間を通じて地中熱を安定して効率よく回収することが可能となった。
図4bは、図3bで説明した排気エルボ31、給気エルボ32、上部空気室11、排気パイプ52、給気パイプ53、下部空気室15の断面図である。
図4cは、図4aで説明した筒13の中に投入した樹脂フィルムの筒71の中に、図4b(図3bと同様の構成)で説明した排気エルボ31、給気エルボ32、上部空気室11、排気パイプ52、給気パイプ53、下部空気室15を入れ、図4aで説明した筒13、樹脂フィルムの筒71と断熱カバー6をボルト48、ナット58で固定した状態を示す。この場合、下部空気室15と樹脂フィルムの筒71の底部との間に2cm以上の隙間を設けることにより、下部空気室15の内部は底面においても水により効率良く熱交換を行うことが出来るようになった。このように構成することにより給気エルボ32から給気した新鮮な外気は給気用送風機44により、給気パイプ53の中を矢印75方向から矢印74方向に流れて下部空気室15に達し、さらに下部空気室15に達した外気は排気パイプ52の中を矢印73方向から矢印76方向に流れ、排気用送風機43により排気エルボ31から図2で説明した室内給気パイプ22を経由して1階床下26に給気され、さらに1階床に設置された送風機21により室内に供給される。
図5は、図4で説明した地中熱回収装置12を、図5aでは筒13と断熱カバー6を立体図で示し、図5bでは樹脂フィルムの筒71を立体図で示す。さらに図5cでは排気エルボ31、給気エルボ32、上部空気室11、排気パイプ52、給気パイプ53、下部空気室15を立体図で示す。このように図5a〜図5cで示した各々部材を組み合わせることにより、地中熱回収装置12が構成される。
図6は、地中熱回収装置12の中に設置する結露水89を蒸発させるために使用する綿ロープ88の構成と取付方法を正面図と平面図で示す。地中熱を利用した地中熱回収装置において、特に、夏期や梅雨の時期の湿気を大量に含んだ暑い空気を地中熱回収パイプ等を利用して弱冷風にして各室に給気する場合、暑い空気の中に含まれる水分が地中熱回収パイプ等の中で冷やされ、結露水となり地中熱回収パイプ等の底部に溜まり、最悪の場合には、地中熱回収パイプ等の底部が結露水により満水となるため、そのつど小型水中ポンプ等により結露水を汲み出す必要があった。図6aは、図4bで説明した上部空気室11と給気パイプ53、排気パイプ52と下部空気室15の中に太さ6〜9mmの綿ロープ88を通し、上部空気室11と下部空気室15との間に綿ロープ88をループ状に配置した状態を示す。図6bは、図6aの平面図である。図6dは図6bの固定蓋41を取り外した状態を示す。給気・排気パイプ取付箱49の矢印A−A位置に、給気・排気パイプ取付箱49を給気室と排気室に分ける間仕切り板45(図6cでは側面図で示す)を取付け、上部空気室11の内部を給気用空気室と排気用空気室の2室に分け、給気用空気室には10本の給気パイプ用取付穴46が開けられると共に、排気用空気室にも同様に10本の排気パイプ取付穴50が開口し、給気パイプ用取付穴46と排気パイプ取付穴50の穴位置は前後左右の位置が等間隔になるように構成される。さらに図6eで示す下部空気室15にも、図6dで説明した給気パイプ用取付穴46と排気パイプ取付穴50が、同様の位置に給気パイプ用取付穴55と排気パイプ取付穴54として開口され、図6eの矢印B−Bの裏面には、綿ロープ88を交換する際にスムーズに巻き取ることが出来るように、図6aで示すステンレス製で半円形の形状をした綿ロープ保護カバー72が一対の給気パイプ用取付穴55と排気パイプ取付穴54の円周外に接して取付けられる。
さらに、図6cで示す間仕切り板45の上部には、綿ロープ88の直径に合わせて半円形状の欠き込み部87を、左右対称に一対の給気パイプ取付穴50と排気パイプ取付穴46の中心部に対応して開口し、このように構成した一対の給気パイプ53と排気パイプ52に下部空気室15を経由して綿ローブ88を通し、欠き込み部87の横部の結ぶ86ことにより下部空気室15に溜まった結露水を容易に蒸発させることが可能になった。この発明の実施の形態1では、3組の給気パイプ53と排気パイプ52に綿ロープをループ状に配置することにより結露水89を蒸発させ下部空気室15の底部に結露水89が溜まらないように構成される。
このように地中熱回収装置12を構成することにより、冬期においては、図1、図2で説明したように、外気取入口23から取り込まれた外気は外気取入パイプ25を経由し、さらに図4cで説明したように給気エルボ32を経由して給気用送風機44により給気パイプ53に送り込まれて水63により温められ、さらに下部空気室15の中で温められた外気は排気パイプ52を経由して排気用送風機43により排気エルボ31を経由し、図2で説明したように室内給気パイプ22から1階床下26に送り込まれて1階床下26を暖め、1階床下26を暖めた空気は送風機21によりガラリ20を経由して室内を暖めることが可能となった。さらに、夏期においては、図1、図2で説明したように、外気取入口23から取り込まれた外気は外気取入パイプ25を経由し、さらに図4cで説明したように給気エルボ32を経由して給気用送風機44により給気パイプ53に送り込まれて水63により冷やされ弱冷風となり、さらに下部空気室15の中で冷やされた外気は排気パイプ52を経由して排気用送風機43により排気エルボ31を経由し、図2で説明したように室内給気パイプ22から1階床下26に送り込まれて1階床下26を冷やし、1階床下26を冷やした空気は送風機21により室内に送り込むことが可能となった。このように地中熱を利用することにより電気の消費を最小限に抑え、構造が簡単で効率的な冷暖房装置を提供することが可能となった。
以下、この発明の実施の形態2について説明する。
[発明の実施の形態2]
図7には、この発明の実施の形態2を示す。上記発明の実施の形態1では、図6において、上部空気室11の給気・排気パイプ取付箱49に、各々10本の排気パイプ取付穴50と給気パイプ取付穴46を開け、下部空気室15の固定蓋56にも、同様に各々10本の排気パイプ取付穴54と給気パイプ取付穴55を開け、上部空気室11の給気パイプ取付穴46、排気パイプ取付穴50と下部空気室15の給気パイプ取付穴55、排気パイプ取付穴に、各々10本のステンレス製で外径48.6mm、長さ6mの給気パイプ53と排気パイプ52を取付けるように構成されていたが、この発明の実施の形態2では、図7に示すように、上部空気室93の給気・排気パイプ取付箱112に各々16本の排気パイプ取付穴106と給気パイプ取付穴107を前後左右の位置が等間隔になるよう開け、下部空気室101の固定蓋113にも同様に各々16本の排気パイプ取付穴108と給気パイプ取付穴109を前後左右の位置が等間隔になるよう開け、上部空気室93の給気パイプ取付穴107、排気パイプ取付穴106と下部空気室101の給気パイプ取付穴109、排気パイプ取付穴108に、各々16本のステンレス製で外径42.7mm、長さ4mの給気パイプ99と排気パイプ98を取付けると共に、さらに上部空気室93と下部空気室101の内部を広く構成したことにより、上部空気室93と下部空気室101の内部抵抗が少なくなり、下部空気室101における地中熱回収の回収がより効率よく出来るようになった。その他の構造に関しては、この発明の実施の形態1と同様である。
以上、実施の形態に基づいて、本発明に係る地中熱を利用した冷暖房装置について詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
図1、図2において、地中熱回収装置12に室外の外気取入口23から外気を取入れしていると説明したが、室内に全熱交換型換気扇を取付け、室内に取付けた全熱交換型換気扇が室内に給気する新鮮な外気を地中熱回収装置12に送り込むことにより、室内で温度調節された外気をさらに無駄なく利用することは、もちろん可能である。
図3において、上部空気室11、給気パイプ53、排気パイプ52、下部空気室15にステンレス鋼材を使用すると説明したが、ステンレス鋼材に限定せず、アルミ鋼材、真鍮等の熱効率の良い鋼材を使用することも、もちろん可能である。
図4において、筒13に金属製のスパイラル管を使用すると説明したが、金属製のスパイラル管に限定せず、鋼管等を使用することも、もちろん可能である。
本発明の実施の形態1に係る、地中熱回収装置を住宅に設置した状態を立体図で示す。 同実施の形態に係る、地中熱回収装置を住宅に設置した状態を正面から断面図で示す。 同実施の形態に係る、地中熱回収装置を立体部品にして分解図で示す。 同実施の形態に係る、地中熱回収装置を各々部品図と組立図で示す。 同実施の形態に係る、図4を立体図で示す。 同実施の形態に係る、地中熱回収装置の中に設置する結露水を蒸発させるために使用する綿ロープの設置方法を正面図と平面図で示す。 本発明の実施の形態2に係る、地中熱回収装置の中に設置するパイプと結露水を蒸発させるための綿ロープの構造を正面図と平面図で示す。
1 住宅
2 屋根
3 窓
4 窓
5 地表面
6 断熱カバー
7 排気
8 給気
9 基礎
10 玄関ドア
11 上部空気室
12 地中熱回収装置
13 筒
14 パイプ
15 下部空気室
16 水
17 ダクト
18 換気扇
19 ダクト
20 ガラリ
21 送風機
22 室内給気パイプ
23 外気取入口
24 換気扇
25 外気取入パイプ
31 排気エルボ
32 給気エルボ
33 点検蓋
34 ビス
35 穴
36 給気エルボ取付穴
37 ビス
38 穴
39 点検穴
40 穴
41 固定蓋
42 排気エルボ取付穴
43 排気用送風機
44 給気用送風機
45 間仕切り板
46 給気パイプ取付穴
47 穴
48 ボルト
49 給気・排気パイプ取付箱
50 排気パイプ取付穴
51 L形固定金具
52 排気パイプ
53 給気パイプ
54 排気パイプ取付穴
55 給気パイプ取付穴
56 固定蓋
57 箱
58 ナット
64 上蓋
65 外箱
66 排気エルボ用穴
67 給気エルボ用穴
68 ビス
69 断熱材
70 地表面周囲
71 樹脂フィルムの筒
72 綿ロープ保護カバー
73 矢印
74 矢印
75 矢印
76 矢印
81 穴
82 穴
86 結ぶ
87 欠き込み部
88 綿ロープ
89 結露水
91 排気エルボ
92 給気エルボ
93 上部空気室
94 L形固定金具
95 排気用送風機
96 給気用送風機
97 結ぶ
98 排気パイプ
99 給気パイプ
100 綿ロープ
101 下部空気室
102 固定蓋
103 点検蓋
104 間仕切り板
105 欠き込み部
106 排気パイプ取付穴
107 給気パイプ取付穴
108 排気パイプ取付穴
109 給気パイプ取付穴
110 結露水
111 綿ロープ保護カバー

Claims (1)

  1. 地表に円筒形の穴を掘り、その円筒形の穴に口径60cm、長さ約6.2mの金属製のスパイラル管の筒を埋設し、筒の中に下部を密閉した樹脂フィルムの筒を投入し、その樹脂フィルムの筒の中に水を注水すると共に、樹脂フィルムの筒の内部に、ステンレス製で外径48.6mm、長さ6mの給気専用の10本の給気パイプとステンレス製で外径48.6mm、長さ6mの排気専用の10本の排気パイプで形成し、上部に給気用送風機と排気用送風機を取付けた箱型の上部空気室を取付け、下部に空気を循環させるための箱型の下部空気室を取付けた地中熱回収装置を設置し、下部空気室に溜まった結露水を蒸発させるため、上部空気室を多角形の箱型で構成し、箱の中央部に間仕切りを取付け、上部空気室の内部を給気用空気室と排気用空気室の2室に分け、複数本の給気専用の給気パイプと排気専用の排気パイプの中と、上部空気室と下部空気室との間に太さ6mmの綿ロープをル ープ状に配置し、建物の室内に給気する新鮮な外気を、給気用送風機で地中熱回収装置に送り込むことにより、冬期においては地中熱により地中熱回収装置の中で暖められた空気を室内に給気し、夏期においては地中熱により地中熱回収装置の中で冷やされた空気を室内に給気したことを特徴とする地中熱を利用した冷暖房装置。
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