JP6247961B2 - 保護粘着フィルム - Google Patents
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Description
一般的に、このような用途に使用される保護粘着フィルムの特性としては、温度や湿度などの環境変化や小さな応力を受けた程度では被保護体から容易に剥離しないが、剥離時には一定の力で剥離可能であることが要求される。
本発明者は、剥がれが生じない保護粘着フィルムの層構成に関して鋭意検討した結果、粘着剤の厚みと、基材フィルムの厚みと、全体の総厚みをそれぞれ一定の厚み以下に制御することによって、適度な粘着力を有し、切削・研磨工程や洗浄工程時においても剥がれが生じず、上記の工程を実施した後には適度な力で剥離可能な保護粘着フィルムが得られることを見い出して、本発明を完成した。
更に、本発明は、前記の特徴を有する保護粘着フィルムにおいて、JIS Z0237:2000に準じて測定された前記粘着剤層の粘着力の24時間経過後の値が3.0〜10.0N/25mmであることを特徴とするものでもある。
又、本発明の保護粘着フィルムは、全光線透過率が高く、HAZE値も小さいので、保護粘着フィルムを貼着した状態でそのまま検品を行なうことが可能である。
図1に示されるように、本発明の保護粘着フィルムは、透明性に優れたPETフィルム基材1と、このPETフィルム基材1の一方の面側に設けられた粘着剤層2から構成されており、PETフィルム基材1の厚みが12μm以下で、粘着剤層2の厚さが10μm以下であり、PETフィルム基材1と粘着剤層2の総厚は22μm以下である。この際、図1のように、粘着剤層2の保護を目的として粘着剤層面に剥離ライナー3を積層するのが一般的であり、剥離ライナー3としては、表面に離型剤がコーティングされた離型処理PETフィルムが一般的である。
本発明では、保護粘着フィルムの基材として、透明性に優れたPETが使用されているので、保護粘着フィルムを貼着したままの状態で光学検査を行なうことが可能であり、この際、保護粘着フィルムの全光線透過率が85%以上で、しかも、HAZE値が5.0%以下であることが好ましい。全光線透過率が85%未満であったり、HAZE値が5.0%を越えた場合には、光学検査を行なうことが難しくなる。
そして、本発明の保護粘着フィルムにおいては、PETフィルム基材1と粘着剤層2の総厚が22μm以下になっている。この理由は、粘着剤層2の厚みが上記の範囲内で、上記総厚が22μmを越えると、粘着フィルム総厚の増加に伴う端部面積の増加により端部側面に負荷がかかり、ガラス基板表面に対する粘着力が弱くなり、表示ガラス基板の切削・研磨工程や洗浄工程時に保護粘着フィルムの剥がれが生じるからである。
尚、本発明における粘着剤層2の粘着力は、JIS Z0237:2000に準じて測定された値であり、粘着力を測定する際には、まず、試料を25mm×150mmの大きさに切り、被着体(耐水研磨紙#360で表面を研磨したステンレス板)に貼り合わせて、2kgゴムローラーで一往復圧着し、引張試験機を用いて接着力を測定する(単位:N/25mm)。この時の測定条件は、180°剥離、23℃・50%RH、剥離速度300mm/分である。
ン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などの各種粘着剤を使用することができる。その中でも、透明性や耐久性の点において、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。本発明に適したアクリル系粘着剤としては、炭素数1〜18のアルキル基を有するアクリル酸エステル共重合体がいずれも使用でき、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、単独で使用されても2種以上を混合して使用されてもよい。
上記の粘着剤層2を形成させる際のコーティング方法は特に限定されるものではなく、公知の各種コーティング方法が利用でき、例えば、ダイコーター、コンマコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ロールコーター等が使用できる。
図2において、符号4は、本発明の保護粘着フィルムが貼着されるOLEDのガラス基板であり、符号5はTFT/ELアレイ基板、符号6は偏光板、符号7はOLED素子、符号8は画素回路である。
まず、粘着剤層を形成するための粘着剤として、市販のアクリル系粘着剤(日本カーバイド工業株式会社製KP−2254)を準備し、これに架橋剤(日本カーバイド工業株式会社製CK−117)を粘着剤コーティング液100質量部に対して0.4質量部添加した後、酢酸エチル、トルエンなどの溶剤にて希釈、十分に撹拌して粘着剤層形成用のコーティング液を得た。一方、PETフィルム基材としては、厚み6μmの市販のPETフィルムを準備した。そして、上記のコーティング液を、乾燥後の粘着剤層厚みが7μmとなるようにしてコーティングを行い、90〜110℃で30〜120秒間乾燥して粘着剤層を形成させ、本発明の保護粘着フィルムを得た。
このようにして得られた本発明の保護粘着フィルムの全光線透過率(JIS K7361−1に準じて測定)は89.5%であり、HAZE値(JIS K7136に準じて測定)は2.8%であった。
同様に、以下の表1に記載される厚み(2μm、4μm、6μm、12μm)のPETフィルム基材上に、表1に記載されるコーティング厚み(5μm、7μm、8μm、10μm)にて上記粘着剤をコーティングして本発明の保護粘着フィルムを作製した。
更に、比較例として、同様の方法を用いて、以下の表1に記載される厚みのPETフィルム基材(12〜50μm)上に、表1に記載されるコーティング厚み(5μm〜20μm)にて上記粘着剤をコーティングして比較品を作製した。
その結果を、以下の表1に示す。
前記実施例1記載の粘着剤層形成用のコーティング液中に、アクリレート成分100質量部に対して0.1質量部の市販のシランカップリング剤(エポキシ系シラン化合物)を添加し、コーティング液を調製した。
そして、このコーティング液を用いて、実施例1の場合と同様に、厚み6μmのPETフィルム基材の表面に、乾燥後の粘着剤層厚みがそれぞれ7μmとなるようにしてコーティングを行い、粘着剤層を形成させ、本発明の保護粘着フィルムを作製した。
このようにして得られた保護粘着フィルムは、シランカップリング剤を添加していないものと比べて、粘着力及び光学的特性(全光線透過率、HAZE値)の点では同等であるが、ガラス基板の表面に貼着する際の濡れ性が優れ、ガラス基板との密着性が改良されることが確認された。
実施例1で得られた本発明の保護粘着フィルムのPETフィルム基材の表面(粘着剤層が設けられていない方の面)に、市販の帯電防止剤(イオン伝導型帯電防止コーティング剤)をコーティングし(厚さ約2μm)、帯電防止処理を行ったものと、行なっていないものについてそれぞれ、PETフィルム基材表面の表面抵抗値を測定した。この表面抵抗値の測定においては、測定装置として東亜ディーケーケー社製SM−8200超絶縁計を使用し、温度23℃、相対湿度50%RHの雰囲気下にて測定を行った。
その結果、帯電防止処理を行っていない保護粘着フィルムの表面抵抗値が1012Ω/□以上であるのに対して、帯電防止処理を行った保護粘着フィルムの表面抵抗値は108Ω/□〜109Ω/□であり、静電気による埃・異物等が付着しにくいものであることが確認された。
2 粘着剤層
3 剥離ライナー
4 ガラス基板
5 TFT/ELアレイ基板
6 偏光板
7 有機物質(OLED素子)
8 画素回路(poly−Si TFT)
Claims (6)
- ガラス基板の表面を保護するための粘着フィルムであって、厚さ12μm以下のポリエチレンテレフタレートフィルム基材の一方の面に粘着剤層が形成されており、前記粘着剤層の厚さが10μm以下であること、前記粘着剤層を構成する粘着剤がアクリル系粘着剤であること、及び、前記粘着剤層の厚さA[μm]と前記ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の厚さB[μm]との関係において、A/(A+B)2の値が1.95×10−2〜10.3×10−2の間にあることを特徴とする保護粘着フィルム。
- JIS Z0237:2000に準じて測定された前記粘着剤層の粘着力の20分経過後の値が2.0〜7.0N/25mmであることを特徴とする請求項1に記載の保護粘着フィルム。
- JIS Z0237:2000に準じて測定された前記粘着剤層の粘着力の24時間経過後の値が3.0〜10.0N/25mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護粘着フィルム。
- 前記の保護粘着フィルムの全光線透過率が85%以上であり、HAZE値が5.0%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の保護粘着フィルム。
- 前記粘着剤層が、当該粘着剤層を構成する樹脂成分100質量部に対して1質量部以下のシランカップリング剤を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の保護粘着フィルム。
- 前記ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の表面に帯電防止処理が施されており、当該基材表面の表面抵抗値が106Ω/□〜1011Ω/□であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の保護粘着フィルム。
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