JP6247046B2 - 温室及び温室用骨組み材 - Google Patents

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Description

本発明は、特殊な断面形状を有する温室用中空管に関するものである。
従来、組み立てて温室にするためのパイプ材料としては、断面円形の中空管が多用されている。
この断面円形の中空管を従来周知の十字接手を用いて縦横十字形に接合すると、縦方向の中空管と横方向の中空管とが、その円形表面同士が交叉して直接接触する接合形態とならざるを得ず、その接触面積が極めて小さい点接触となる。
このため、十字接手の鋼材厚が同一の場合、その緊締強度は縦横の部材の点接触の摩擦力に依拠することとなり、接手の緊締強度を向上しようとしても自ずと限界がある。
実開平06−067727号公報
本発明は、従来の中空管製造設備を利用して安価、簡単に製造可能で、十字等の各種接手の緊締強度が高い温室用中空管を提供することを目的とするものである。
また、温室用中空管は通常、2本の中空管を棟部で接合したアーチ部材を棟方向に間隔を置いて必要本数、その両下端部を地面に挿入してあるいはコンクリート製基礎に埋めることによって建て込んで、次いでこれら複数のアーチ部材に水平方向の直線部材を各種接手にて連結して、温室が構築されている。
ところで、このアーチ部材は、断面円形の中空直管を両端部を除く中央部分で曲げ加工した2本の中空湾曲管を連結パイプにて連結して製造されている。
そこで、本発明は、中空管の断面形状を多角形としても、曲げ加工を施す湾曲部にて損傷することのない、曲げ加工容易な温室用中空管を提供することをも併せて目的としている。
請求項1に係る発明は、上記の目的を達成するため、長さ方向全体に亘って直線状の断面八角形の中空直管と、一方端が直線状の軒部で他端が略直線状の屋根部で中間部が円弧状に湾曲した湾曲部である断面八角形の中空湾曲管と、の組み合わせを備えた温室であって、前記中空湾曲管は、前記湾曲部の最も外側に位置する湾曲外面と最も内側に位置する湾曲内面が平坦面とされており、前記直線状の断面八角形の中空直管と前記湾曲部である断面八角形の中空湾曲管とを接合する接ぎ手が十字接手であって、該十字接手は門形であって、上部側に八角中空管の断面の内5面に接する曲折面を有する巻回部(31)と、下部側面側に八角中空管の断面の内5面に対応する受け部(32)を備えていることを特徴としている。
請求項2に係る発明は、前記中空湾曲管と前記中空直管の少なくとも一部の表面が、粗面加工されて摩擦係数が増大されていることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、温室用骨組み材として、長さ方向全体に亘って直線状の断面八角形の中空直管と、一方端が直線状の軒部で他端が略直線状の屋根部で中間部が円弧状に湾曲した湾曲部である断面八角形の中空湾曲管と、門形であって、上部側に八角中空管の断面の内5面に接する曲折面を有する巻回部(31)と、下部側面側に八角中空管の断面の内5面に対応する受け部(32)を有する十字接手とを備えていることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、断面円形の中空管であった従来の温室用中空管を、断面八角形とする簡単な構成で、従来の中空管製造設備を利用して安価、簡単に製造可能で、十字等の各種接手の緊締強度が高く、曲げ加工が施された湾曲部における損傷の少ない温室用中空管を提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、各種接手の緊締強度をさらに高くすることができる。
本発明に係る温室用中空管の断面図である。 本発明に係る温室用中空管同士を十字形に接合した接合構造を示す図で、左は正面図、右は側面図である。 一対の中空湾曲管からなるアーチ部材と棟方向の中空直管との接合構造を示す斜視図である。 本発明に係る温室用中空管とフィルム受け部材とを十字形に接合した接合構造を示す図で、左は正面図、右は側面図である。 本発明に係る温室用中空管を組み上げて構築した温室の骨組みの斜視図である。 温室用六角中空管同士を十字形に接合した接合構造を示す図で、左は正面図、右は側面図である。
図1に本発明に係る八角形の空管の断面形状を示す。
多角形パイプ同士を十字形を初めとする接合をする際に、パイプ同士の接触面積を大きくするためには、それぞれの断面が四角形、六角形、八角形、十二角形、十六角形のものが考えられるが、このうち断面四角形は、最も接触面積が大きく緊締強度を高くすることができる半面、湾曲加工時に損傷しやすく安定した中空湾曲管の製造が困難である。
また、断面六角形のものは十字接合をする際に、図6に示すように、上側の一方の管1と下側の他方の管2は平坦部同士が面接触するものの、一方の管1と十字接手3の断面門形の巻回部31内面との接触面の数は3、十字接手3の両側に形成された六角中空管に対応する受け部32の辺縁とそこに挿通された他方の管2との接触部の数は表裏夫々2となる。
これは、一方の管1の下面は十字接手3の受け部32の上縁321より下側に位置して、両者は接触しないためである。
このため、断面六角形の中空管を十字接合をすると、管同士の接触面を大きく確保できる一方、十字接手が中空管を拘束する十字接手自体の中空管拘束力が縮減する。
これに対応するためには、十字接手の鋼材厚みを厚くする必要が生じ、製作コストが嵩むこととなる問題が生じる。
さらに、断面十二角形のものは、断面六角形の中空管に比べ中空管同士の接触面積が想到限定的となり、採用しづらい。
これに対し、断面八角形の中空管同士を十字接手する場合は、図2に示されるように、管同士の接触面を適度に大きく確保できるとともに、一方の管1と十字接手3の断面門形の巻回部31内面との接触面の数は5、とりわけ中空管1の垂直面が拘束され、また、十字接手3の両側に形成された八角中空管2に対応する受け部32の辺縁とそこに挿通された中空直管2との接触部の数は表裏夫々4となる。
すなわち、中空管同士1、2の接触面積、十字接手3自体の中空管拘束力がバランスよく確保される。
よって、本発明は断面八角形の中空管を採用することとした。
この温室用中空管は、温室の棟方向部材である、長さ方向全体に亘って直線状の断面八角形の中空直管と、軒部と屋根部が直線状で中間部が円弧状に湾曲した断面八角形の中空湾曲管との組み合わせから構成されている。
そして、一対の中空湾曲管は、互いの湾曲部が凸状態、温室の棟部となる上端部において軸方向に接合され、図5に示されるように、略馬蹄形のアーチ部材4とされるものである。
このアーチ部材4の外面12と内面11、すなわち中空湾曲管の湾曲部の最も外側に位置する湾曲外面と最も内側に位置する湾曲内面が平坦面とされ、決して角部が上記した湾曲外面や湾曲内面に存在することはない。
この構成によって、棟方向に間隔を置いて建て込まれる多数のアーチ部材4を構成する中空湾曲管1と、棟方向に配設される中空直管2との接合部は、それぞれの管の平坦部同士が対向して直接接触することとなり、大きな接触面積が確保されるものである。
図2にアーチ部材の構成部材である中空湾曲管1と中空直管2の十字接手3の接手構造を示す。
図2左は、十字接手構造を温室妻面からみた正面図で、同図右は、その側面図である。
この十字接手3は、中空丸管用の従来周知の十字接手を八角中空管用に変更したもので、中空湾曲管1に十字接手3の断面門形の巻回部31を当て、該十字接手3の両側に形成された八角中空管に対応する受け部32に中空直管2を入れ、この十字接手の下部に形成された係合片33に楔部材34を打ち込むことによって中空直管2を上記中空湾曲管1に緊締するようにした。
これら図面をみて明らかなように、本発明に係るそれぞれの八角形中空管は、互いにその平坦部同士が相対して接触している。
このため、本発明の温室用中空管は、従来の中空丸管同士が接合されたときの点接触の接触面積に比し、格段に広い接触面積を確保できるので、強固な緊締強度を得ている。
図3に示した十字接手3は、図5に示される温室の中空湾曲管1が軸方向に連結パイプ41にて接合されたアーチ部材4の屋根部、軒部、裾部等の直線部分と中空直管2の交叉部において緊締金具として用いられる。
図3に示す十字接手は、温室の棟部における十字接手3である。
41は断面八角形の中空湾曲管1の上端部同士をその両端部に挿入して、両者を軸方向に連結して全体としてアーチ状のアーチ部材4とする連結パイプである。
この連結パイプ41は、八角形の中空湾曲管1が両端部に挿入されるものであるから、当然にその断面形状は全長に亘って中空八角形とされている。
また、この連結パイプ41の中央部42は、連結パイプ41と中空直管2及び連結パイプ41と十字接手3のそれぞれの接触面積を大きくするために、水平方向に直線形としてある。
これにより、連結パイプ41の下面と中空直管2の上面のそれぞれの平坦部同士が対向するとともに、連結パイプ41の上面と十字接手3の内面のそれぞれの平坦部同士が対向し、十字接手3によって緊締される際に三者が直接面接触して、棟部における交叉部の緊締強度も他の十字接手部と同様に強化されている。
一方、温室においては、骨組み表面にビニールフィルム等の合成樹脂製被覆材を被覆することが多く行われている。
図4に、断面八角形のアーチ部材4に、上記合成樹脂製被覆材を被覆するための鳩尾状溝を有するフイルム受け部材5を固定する、フイルム受け部材固定装置6を示す。
このフイルム受け部材固定装置6は、中空湾曲管1を受け入れる断面倒コ字形の巻回部61と、中空湾曲管1をフイルム受け部材5底面に押し付ける楔62とから構成されている。
また、上端部にはフイルム受け部材5を受け入れその斜め外壁を係止する係止部を備え、楔62と協同してフイルム受け部材5と中空湾曲管1を圧接するものである。
フイルム受け部材5の底面は平坦部とされているため、中空湾曲管1の湾曲外面11の平坦部と直接接触して圧接され強力な緊締力を確保している。
このように、中空湾曲管1と中空直管2は断面八角形の中空管とされ、その上フイルム受け部材5の溝形状が鳩尾状であるため、十字接手3あるいはフイルム受け部材固定装置6の緊締力は、平坦面同士が接触して緊締されることから、広い面積での面接触が得られ、強い緊締力が確保されるものである。
特に、本発明の断面八角形の中空管同士の十字接手は、断面円形の中空管同士のそれの緊締力に比べ、上記したように格段に強化されていることが理解されよう。
また、中空湾曲管1と中空直管2の全表面あるいは接合部位を梨地加工等することにより、表面に粗面を形成して摩擦係数を増大しておけば、さらに断面八角形の中空管同士の十字接手の緊締力はさらに増大される。
1 中空湾曲管
11 管内面
12 管外面
2 中空直管
3 十字接手
4 アーチ部材
41 連結パイプ
42 直線部
5 フイルム受け部材
6 フイルム受け部材固定装置

Claims (3)

  1. 長さ方向全体に亘って直線状の断面八角形の中空直管と、一方端が直線状の軒部で他端が略直線状の屋根部で中間部が円弧状に湾曲した湾曲部である断面八角形の中空湾曲管と、の組み合わせを備えた温室であって、
    前記中空湾曲管は、前記湾曲部の最も外側に位置する湾曲外面と最も内側に位置する湾曲内面が平坦面とされており、
    前記直線状の断面八角形の中空直管と前記湾曲部である断面八角形の中空湾曲管とを接合する接ぎ手が十字接手であって、該十字接手は門形であって、上部側に八角中空管の断面の内5面に接する曲折面を有する巻回部(31)と、下部側面側に八角中空管の断面の内5面に対応する受け部(32)を備えている
    ことを特徴とする温室。
  2. 前記中空湾曲管と前記中空直管の少なくとも一部の表面が、粗面加工されて摩擦係数が増大されていることを特徴とする請求項1に記載された温室。
  3. 長さ方向全体に亘って直線状の断面八角形の中空直管と、
    一方端が直線状の軒部で他端が略直線状の屋根部で中間部が円弧状に湾曲した湾曲部である断面八角形の中空湾曲管と、
    門形であって、上部側に八角中空管の断面の内5面に接する曲折面を有する巻回部(31)と、下部側面側に八角中空管の断面の内5面に対応する受け部(32)を有する十字接手とを備えている温室用骨組み材。
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