JP6243277B2 - シールドコネクタ - Google Patents
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Description
一方、両金属シェルのうち内側に嵌合される金属シェルは、その先端側が、装着されたインナハウジングで受けられるのに対して、外側に嵌合される金属シェルは、先端側がインナハウジングの先端から前方に突出した形態を採るため、上記のように複数の接触板に分割されていると、接触板の先端が内側に倒れるように変形する、すなわち内倒れする可能性がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、対向した金属シェル同士を正確にかつスムーズに嵌合できるようにするところにある。
誘導リブは、連結部から少なくとも内側の金属シェルの先端を越えた位置まで延びた形態で形成されているから、同誘導リブを形成するに当たり、スライド型を用いることなく、前後方向に接離する成形型のみで成形でき、製造コストの低減に寄与し得る。また、内側の金属シェルをインナハウジングに装着するに当たり、同金属シェルの接触板の側縁を誘導リブの側面に沿わせることによって、金属シェルをスムーズに装着することができる。
(1)前記誘導リブは、前記内側の金属シェルにおける前記接触板の一側の側縁に沿い、かつ対なす前記外側の金属シェルにおける前記接触板の同側の側縁部の内面側に潜り込むように形成されている。
誘導リブが、内側の金属シェルの各接触板において一方の側縁のみに沿った形態で設けられているから、同接触板の幅寸法の削減が最小限に抑えられ、シールド機能の低下が抑制される。
外側の金属シェルの接触板が誘導リブに乗り上げることに続いて、内側の金属シェルの外周にスムーズに誘導されつつ両金属シェル同士が嵌合される。
本発明の一実施形態を図1から図13に基づいて説明する。
この実施形態では、図1に示すように、互いに嵌合される雌雄一対のコネクタF,Mを備えている。なお以下では、それぞれのコネクタF,Mについて、嵌合面側を前方として説明する。
雌コネクタFは、図6及び図7に示すように、雌側のコネクタハウジング30(以下、雌ハウジング30)と、シールド電線10の端末に固着されて雌ハウジング30内に収容される2個の雌端子20と、雌側金属シェル50とを備えている。
雌端子20は、金属板をプレス加工して形成され、後記する相手の雄端子65と接続される角筒形の接続部21を有し、後端に設けられたバレル22をかしめることで、ゴム栓25ともどもシールド電線10の端末に圧着接続されている。
なお、装着室37の後端には、シールド電線10を緊密に挿通したシール孔38Aを有する一括ゴム栓38が嵌着され、リアホルダ39により抜け止めされるようになっている。
各接触板52の前端部52Aは外面に折り重ねられて二重板構造とされているとともに、各接触板52の前端寄りの位置には、後記する相手の雄側金属シェル80と弾性接触する接点板53が形成されている。正面視で上面左側と下面右側の接触板52には、その基端位置において、係止爪54が内方に向けて切り起こし形成されている。
雌側金属シェル50の後部側では、その上下両面から各シールド電線10における編組線13に嵌着された金属筒15(拡径部15A)を挟むように接触するための対をなす接触片55が、左右方向に2組並んで形成されている。
雌側金属シェル50が正規位置に装着されると、図6及び図7に示すように、6枚の接触板52が、アウタハウジング32の前端の所定寸法手前位置まで延出した形態で、同アウタハウジング32の内周面に沿うように配される。また、後部側の2組の対をなす接触片55は、装着室37内に収容される。
雄ハウジング60は、同様にインナハウジング61とアウタハウジング62とから構成されている。インナハウジング61は、図5に示すように、外形が横長の長方形に形成され、その前面には、雌ハウジング30のインナハウジング31が嵌合される嵌合凹部63が形成されている。同嵌合凹部63内には、雌ハウジング30側の雌端子20と接続可能なバスバー状をなす2本の雄端子65が、対応した配置で奥面から突出している。
雄側金属シェル80の前部側では、図5に示すように、その四つ角並びに上下各面の中央幅位置の計6箇所において、上記したインナハウジング61を宙吊り状態で支持するために設けられた各連結部71を緊密に挿通して逃がすスリット81が、前縁から切り込み形成されている。その結果、各スリット81の間に、前方に片持ち状に延出した6枚の接触板82が形成されている。各接触板82の前端部82Aは、図6に示すように、内面に折り重ねられて二重板構造とされている。したがって挿入空間70の内外の対向面の間隔は、接触板82の前端部82Aの厚さに匹敵する寸法が採られている。
雄側金属シェル80が正規位置に装着されると、図6に示すように、6枚の接触板82が、インナハウジング61の前端における段差部61Aの所定寸法手前位置まで延出した形態で、インナハウジング61の外周面に沿うように配される。
詳細には、図5における右上と左下の2組の対をなす接触板52,82では、両接触板52,82の幅寸法はほぼ同じである一方、内側(雄側金属シェル80)の接触板82が同図の反時計回り方向前方に略1/5幅程度ずれており、言い換えると、外側(雌側金属シェル50)の接触板52の反時計回り方向後方の側縁が、内側の接触板82の同側縁よりも反時計回り方向後方へ所定寸法張り出している。
機器側の雄コネクタMでは、図5から図7に示すように、雄ハウジング60におけるインナハウジング61に対し、2本の雄端子65が、横方向に並んで嵌合凹部63内に所定寸法突出した形態で装着される。それとともに、雄側金属シェル80が挿入空間70に後方から挿入され、正規位置まで挿入されたところでは、各接触板82の先端が、誘導リブ90の先端よりも所定寸法控えた位置に達する。
インナハウジング31の外周に内側ハウジングシール47が嵌着されて、フロントリテーナ31Aで外れ止めされるとともに、アウタハウジング32の外周に外側ハウジングシール48が嵌着されて、シール押さえ32Aで外れ止めされるされる。
次に雌側金属シェル50が、図3に参照して示すように、アウタハウジング32の装着室37から挿入空間40に向けて挿入され、各スリット51の奥縁が連結部41に当たったところで押し込みが停止され、併せて抜け止めされて装着される。雌側金属シェル50が正規位置に装着されると、図6及び図7に示すように、雌側金属シェル50の6枚の接触板52が、アウタハウジング32の前端の所定寸法手前位置まで延出した形態で、同アウタハウジング32の内周面に沿うように配される。
そののち、シールド電線10に先通しされていた一括ゴム栓38が装着室37の後端に嵌着され、リアホルダ39で保持されることによって、雌コネクタFの組み付けが完了する。
これにより、雄端子65から雌雄の端子金具20,65の接続部分、さらにはシールド電線10の端末における金属筒15の嵌着部分にわたり、電気的に一体接続された雌雄の金属シェル50,80で覆われた状態となる。
そのような内倒れした接触板52Xがある状態で、雌コネクタFが相手の雄コネクタMに嵌合されると、嵌合動作の途中において、図12(A)に示すように、接触板52Xの先端の一側縁が、相手のインナハウジング61に形成された誘導リブ90の先端のテーパ面91に当たり、続いてテーパ面91を昇って外方に弾性変形しつつ誘導リブ90に乗り上げ、併せて同図(B)に示すように、相手の接触板82の外面の先端に誘導される。
さらに嵌合動作が継続されると、接点板53を弾性変形させつつ相手の接触板82の外面上を摺接し、雄コネクタMが正規位置まで嵌合されたところでは、同図(C)及び図11に示すように、接点板53が復元弾力で接触板82に押し付けられた形態で、接触板82の外側に接触板52が嵌合された状態となる。
また、雄側金属シェル80を挿入空間70に挿入してインナハウジング61の外周に装着するに当たり、同雄側金属シェル80の接触板82の側縁を誘導リブ90の側面に沿わせることで、同雄側金属シェル80をがたつきなくスムーズに装着することが可能となる。
誘導リブ90の外面が、雄側金属シェル80の接触板82における前端部82Aの外面の高さ位置とほぼ一致するように形成されているから、雌側金属シェル50の接触板52が誘導リブ90に乗り上げることに続いて、雄側金属シェル80の接触板82の外周にスムーズに誘導されつつ、両金属シェル50,80同士が嵌合される。
例えば、比較例を示す図14のように、誘導リブ90Xが、雌側金属シェル50の接続板52の乗り上げのみを意図した短寸のものであった場合は、同図(A)に示すように、仮に雄側金属シェル80の接触板82Xが外開きしていると、以下のような弊害がある。
すなわち、このような外開きした接触板82Xがある状態で、雌コネクタFが相手の雄コネクタMに嵌合されると、同図(B)に示すように、雌側金属シェル50の接触板52の先端が誘導リブ90Xの上面を摺接しつつ、外開きした相手の接触板82Xの先端に当たり、引き続き同図(C)に示すように、接触板82Xをさらに開きつつその内側に潜り込もうとする。さらに嵌合が継続されると、同図(D)に示すように、接触板52が誘導リブ90Xの背面側において内方に屈曲して接触板82Xの内側に潜り込みつつ、所定量の嵌合が許容されてしまう。
すなわち、両金属シェル50,80同士が歪な形態で嵌合しながらも、コネクタF,M同士が正規量嵌合されてしまう事態を招く。
そのため、同図(A)に示すように、仮に雄側金属シェル80の接触板82Xが外開きしている場合には、雌コネクタFが相手の雄コネクタMに嵌合されることに伴い、同図(B)に示すように、雌側金属シェル50の接触板52が先端が誘導リブ90の上面を摺接しつつ、外開きした相手の接触板82Xの先端の内側に潜り込もうとするが、接触板52は誘導リブ90により内方への屈曲が規制されるから、結局は同図(C)に示すように、接触板52の先端が相手の接触板82Xの先端に突き当たったまま、接触板52のそれ以上の進出、すなわちそれ以上のコネクタF,Mの嵌合が規制される。
そのため、両金属シェル50,80同士が歪な形態で嵌合したままコネクタF,M同士が正規量嵌合されてしまう、すなわち誤嵌合することを未然に防止できる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)誘導リブの先端が、内側に嵌合される金属シェルの接触板の先端を越えて延びる寸法は、外側に嵌合される金属シェルの接触板の先端が先に誘導リブの先端に当接する限り適宜に設定し得る。
(2)上記実施形態では、ガイド用に誘導リブの前端面にテーパ面を形成した場合を例示したが、外側に嵌合される金属シェルの接触板の先端にガイド部があれば、誘導リブのテーパ面はこれを割愛してもよい。
(4)金属シェルの先端側に設けられる接触板の分割数は、任意である。
(5)上記実施形態では、機器直結型のシールドコネクタに適用した場合を例示したが、共にシールド電線の端末に接続された雌雄のコネクタ同士を嵌合する、いわゆるワイヤ−ワイヤ形式のシールドコネクタについても、本発明は同様に適用することができる。
M…雄コネクタ
10…シールド電線
20…雌端子(端子金具)
30…雌ハウジング(コネクタハウジング)
31…インナハウジング
32…アウタハウジング
40…挿入空間
41…連結部
50…雌側金属シェル(外側に嵌合される金属シェル)
51…スリット
52,52X…接触板
60…雄ハウジング(コネクタハウジング)
61…インナハウジング
62…アウタハウジング
70…挿入空間
71…連結部
80…雄側金属シェル(内側に嵌合される金属シェル)
81…スリット
82,82X…接触板
90…誘導リブ
Claims (3)
- 互いに嵌合される一対のコネクタハウジングを備え、
各コネクタハウジングは、端子金具が収容されるインナハウジングが、アウタハウジングの内周に対し周方向に間隔を開けて配された複数の連結部を介してクリアランスを持って支持されるとともに、
前記インナハウジングの外周に、前記連結部を逃がすスリットが切られることにより先端側が複数枚の接触板に分割された筒状をなす金属シェルが後方から装着された構造になり、
両コネクタハウジングが嵌合されると、対向した端子金具同士が接続されるとともに、前記両金属シェルの先端側同士が嵌合しつつ、前記両端子金具の接続部分付近の回りを覆って電磁遮蔽するようにしたシールドコネクタにおいて、
前記両金属シェルのうち内側に嵌合される前記金属シェルが装着された前記インナハウジングの外周面には、前記両コネクタハウジングの嵌合時において外側に嵌合される前記金属シェルの前記接触板の先端と係合して同接触板を前記内側に嵌合される前記金属シェルの外周に誘導する誘導リブが設けられ、
かつ、この誘導リブは、前記連結部から少なくとも前記内側に嵌合される前記金属シェルの先端を越えた位置まで延びて形成されており、
前記外側に嵌合される前記金属シェルの前記接触板における挿入方向と直交した幅方向の位置が、前記内側に嵌合される前記金属シェルの前記接触板とその隣接する前記誘導リブに共に接するように配置されていることを特徴とするシールドコネクタ。 - 前記誘導リブは、前記内側の金属シェルにおける前記接触板の一側の側縁に沿い、かつ対なす前記外側の金属シェルにおける前記接触板の同側の側縁部の内面側に潜り込むように形成されていることを特徴とする請求項1記載のシールドコネクタ。
- 前記誘導リブの高さが、前記内側の金属シェルの前記接触板における前端部の厚さとほぼ等しい寸法に採られていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシールドコネクタ。
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