JP6241840B2 - 導電性高分子の製造方法および導電性高分子 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性高分子の製造方法とその方法で得られる導電性高分子に関する。
自然界には選択反射光をもつ生物が存在する。例えばシイラ(Coryphaena hippurus)はフォトニック構造に由来する美しい色を示す。シイラの皮膚の色は金属反射色(以下、単に金属色ともいう)を示し、状況に応じて変化する。このような金属色の変化は魚類などの生物系において観察されてきた。
一方、本発明者はこれまでにコレステリック液晶場での電解重合による導電性高分子の合成について検討を進めてきた(例えば特許文献1−2)。例えば特許文献1の導電性高分子は二重らせん構造を有し、可逆の光学活性エレクトロミズムを有することが見出された。特許文献2の導電性高分子は真珠光反射によりその表面が多色化され、その多色が可逆的に変化可能な特性を有していることが見出された。
特開2008−223016号公報 特開2010−181743号公報
しかしながら、金属色の人工的な調色を可能にした導電性高分子は未だ見出されていない。このような背景において、本発明者は、これまでに蓄積してきたコレステリック液晶中での電解重合の技術に基づいて、これまでにない新たな光学的、電気的特性を有する導電性高分子の合成について検討を行った。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、コレステリック液晶を用いた電解重合による新規な導電性高分子の製造方法および導電性高分子を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の導電性高分子の製造方法は、コレステリック液晶電解質溶液を結晶相及び液晶相それぞれに相転移させ、その結晶相中及び液晶相中それぞれにおいて共役芳香族モノマーを電解重合して結晶−液晶層の二重構造を有する導電性高分子を製造する方法であって、前記共役芳香族モノマーを結晶相中において電解重合させ、結晶秩序を持つ高分子層を合成し、引き続き連続して前記共役芳香族モノマーを液晶相中において電解重合させ、液晶秩序を持つ高分子層を前記結晶秩序を持つ高分子層の上に合成して、結晶−液晶層の二重構造を有する導電性高分子を製造することを特徴とする。
この導電性高分子の製造方法においては、ある一つの態様においては、前記コレステリック液晶電解質溶液の液晶相−結晶相の相転移温度を電解重合温度とし、その温度を維持した状態で、前記結晶秩序を持つ高分子層の合成と、前記液晶秩序を持つ高分子層の合成とを行う。
本発明の導電性高分子は、上記のいずれかの方法によって得られる導電性高分子であって、結晶秩序を持つ高分子層と、その上に形成され、液晶秩序を持つ高分子層とからなる結晶−液晶層の二重構造を有する。
この導電性高分子は、ある一つの態様においては金属反射を有する。
また、この導電性高分子は、別の態様においては、金属反射色を示し、前記金属反射色が電気化学的に変化可能である。
さらにまた、この導電性高分子は、別の態様においては、フィルム状又はシート状である。
本発明によれば、コレステリック液晶電解質溶液を結晶相及び液晶相に相転移させ、その結晶中及び液晶中それぞれにおいて共役芳香族モノマーを電解重合して結晶−液晶層の二重構造を有する導電性高分子を得るという新規な方法が提供される。またその方法によって得られる導電性高分子は、金属反射エレクトロミズムをもつなどこれまでにない新たな光学的、電気的特性を有する。
ポリマーフィルムの偏光顕微鏡(POM)画像。 反射光でのポリマーの円偏光微分界面コントラスト光学顕微鏡(C−DIM)画像。 ポリマーの偏光光学顕微鏡画像(左側は還元状態、右側は酸化状態)。 0.1M過塩素酸テトラブチルアンモニウム/アセトニトリル溶液中の0−1Vvs.Ag/Ag電極におけるポリマーのその場UV−可視光吸収スペクトル。 (a)は0−1Vにおける吸収スペクトルで計算されたCIE(国際照明委員会)色空間によって提示されたポリマーの色の変化を示し、(b)は反射光での種々の電位vs.Ag/AgにおけるフィルムのCIE色空間を示す。図中、θ=10°である。 0.1M過塩素酸テトラブチルアンモニウム/アセトニトリル溶液中での、0−1Vvs.Ag/Ag電極におけるポリマーのその場旋光分散(ORD)スペクトル。 0.1M過塩素酸テトラブチルアンモニウム/アセトニトリル溶液中での0−1Vの間の繰り返し印加電圧に際しての498nmにおける旋光度(上側)および光学的吸収(下側)の電気化学的に駆動される繰り返し変化。 反射エレクトロクロミズム θ、θ’=10°(θ=垂直方向からの試料に対する入射光の角度、θ’=試料表面に対する垂直方向からの検出角度)。 0Vにおけるポリマーについての、反射率vs.角度の変化(θ=θ’、θ=垂直方向からの試料に対する入射光の角度、θ’=試料表面に対する垂直方向からの検出角度)。 0V、0.2V、0.5V、0.7V、および1V vs.Ag/Ag参照電極におけるモノマーフリー0.1M過塩素酸テトラブチルアンモニウム/アセトニトリル溶液中のポリマーの円二色性(CD)スペクトル。 還元状態のポリマーのCDおよび直線二色性(LD)スペクトル。 (a)は10−100mV/sのスキャン速度での、0.1M過塩素酸テトラブチルアンモニウム/アセトニトリル溶液vs.Ag/Ag中のポリマーのサイクリックボルタンモグラムである。(b)−(g)は0.1M過塩素酸テトラブチルアンモニウム/アセトニトリル溶液中のポリマーの外観である。(b)−0.5V;(c)0.7V;(d)1V;斜角度における白色光での照射に際しての金属反射色の外観;(e)−0.5V(ブロンズ色);(f)0.7V(銀色);(g)1V(金色)。 ポリマーの走査型電子顕微鏡画像。 結晶秩序層の上にコレステリック秩序層が生成されたことを示す、結晶秩序層上の指紋パターンを示したポリマー(薄い試料)の偏光顕微鏡(POM)画像。
本発明は、コレステリック液晶電解質溶液を結晶相及び液晶相それぞれに相転移させ、その結晶相中及び液晶相中それぞれにおいて共役芳香族モノマーを電解重合して結晶−液晶層の二重構造を有する導電性高分子を製造する。この導電性高分子を製造する際には、まず、共役芳香族モノマーを結晶相中において電解重合させ、結晶秩序を持つ高分子層を合成する。引き続き連続して共役芳香族モノマーを液晶相中において電解重合させ、液晶秩序を持つ高分子層を前記結晶秩序を持つ高分子層の上に合成する。こうして結晶−液晶層の二重構造を有する導電性高分子を得る。
共役芳香族モノマーとしては、例えば、次式(I)で表される化合物を用いることができる。
(式中、2つのAはそれぞれ独立に1価の芳香族環含有基を示し、n個のAはそれぞれ独立に2価の芳香族環含有基を示し、nは0〜3の整数を示す。)
式(I)で表される共役芳香族モノマーにおいて、Aの芳香族環含有基は、芳香族環として炭化水素芳香族環または複素芳香族環を有するものである。
炭化水素芳香族環としては、六員環等の単環またはこれを含む多環等を挙げることができ、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等のC−C18の炭化水素芳香族環が挙げられる。
複素芳香族環としては、窒素、酸素、硫黄等のヘテロ原子を含有する五員環、六員環等の単環またはこれを含む多環等を挙げることができ、例えば、チオフェン環、ピリジン環、ピロール環、フラン環、イミダゾール環、オキサゾリン環、チアゾール環、ピラゾリン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環等を含む単環または多環のものが挙げられる。
これらの炭化水素芳香族環、複素芳香族環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、シアノ基、C−Cアルキル基、C−Cアルケニル基、C−C18アリールアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cアルコキシカルボニル基、C−C10アリールオキシ基、C−Cジアルキルアミノ基、C−Cアシル基等が挙げられる。また、炭化水素芳香族環または複素芳香族環の2原子に置換した2価の置換基、例えばC−Cアルキレン基、あるいはC−Cアルキレン基の主鎖に1〜3個のヘテロ原子が導入されたもの等であってもよい。
また、隣接するAとA、あるいはAとAの間で、C−Cアルキレン基、あるいはC−Cアルキレン基の主鎖にヘテロ原子が導入されたもの等の2価の置換基を共有していてもよい。
式(I)で表される共役芳香族モノマーにおいて、Aの芳香族環含有基は、芳香族環として炭化水素芳香族環または複素芳香族環を有するものであり、このような炭化水素芳香族環、複素芳香族環としては、Aについて上記に例示したものが挙げられる。
共役芳香族モノマーとして、具体的には、例えば、2,7−ジ(2−フリル)フルオレン、ビチオフェン、ターチオフェン、ビピリジン、1,4−ジ(2−チエニル)フェニレン、2,5−ジ(2−チエニル)ピリジン、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)またはその2量体や3量体、4,4’−ジ(2−フリル)ビフェニル等が挙げられる。
共役芳香族モノマーとして1種を選択すればホモポリマーが得られ、2種以上とすれば、混合共役系のポリマーが得られる。
電解重合に用いられるコレステリック液晶電解質溶液は、ネマチック液晶物質に支持電解質および光学活性分子(キラル誘導物質)を適宜混合して調製することができる。
ネマチック液晶物質は、特に限定されず各種のものを用いることができる。例えば、次式の6CB(4−シアノ−4’−n−ヘキシルビフェニル)等を好ましく用いることができる。
その他、例えば、5CB、7CB、8CB(これらの頭の数字はアルキル基の炭素数を示す)、アルキルアゾベンゼン、フェニルアゾメチン系化合物等を用いることができる。
支持電解質は、電解重合反応を阻害せず、液晶に十分な導電性を与えるものであればよく、一般に電気化学反応に用いられる種々のイオン性の塩等から印加電圧等に応じて適宜に選択することができる。具体的には、例えば、過塩素酸テトラブチルアンモニウム(TBAP)や過塩素酸リチウム等が挙げられる。
光学活性分子の具体例としては、コレステロール誘導体、アミノ酸、糖類、ミルテナール、αまたはβピネン等が挙げられる。
本発明では、以上の共役芳香族モノマー、ネマチック液晶物質、支持電解質および光学活性分子は、それぞれ、例えば、
共役芳香族モノマー:1〜8モル%
ネマチック液晶物質:90〜96モル%
支持電解質:0.1〜1.0モル%
光学活性分子:1〜5モル%
の範囲で含有されることが考慮される。
電解重合のための装置としては、例えば実施例のような構造を用いることができるが、これに限定されず、電極を有する各種の構成とすることができる。電極間の距離は0.1〜5mmの範囲とすることができる。
操作条件(電圧、時間)については対象とするモノマーと、所要のポリマーの性質に応じて適宜に定めることができる。たとえば、電圧は1−5Vまで、通電時間は1−5時間の範囲とすることができる。
電解重合温度は、まずコレステリック液晶電解質溶液が結晶相となる温度に設定される。こうして結晶相中で共役芳香族モノマーを電解重合させ、結晶秩序(結晶の形態)を持つ高分子層を合成する。引き続き液晶相となる温度で液晶相中で共役芳香族モノマーを電解重合させ、液晶秩序(液晶の形態)を持つ高分子層を結晶秩序を持つ高分子層の上に合成する。
共役芳香族モノマーを電解重合するに際して、電解重合初期の温度をコレステリック液晶電解質溶液の液晶相−結晶相の相転移温度に設定し、その温度を維持した状態で共役芳香族モノマーの電解重合を行うことができる。すなわち、共役芳香族モノマーの電解重合を行うにあたり、電解重合温度としてコレステリック液晶電解質溶液の液晶相−結晶相の相転移温度に設定し、その温度で電解重合する。かかる温度での電解重合は共役芳香族モノマーを結晶相中で電解重合することを意図するものであり、結晶秩序を持つ高分子層が合成される。電解重合により共役芳香族モノマー及び支持電解質が消費されると、液晶電解質溶液の転移温度が変化する。つまり、電解重合温度を電解重合初期から一定に維持して電解重合すると、電解重合による共役芳香族モノマー及び支持電解質の消費によって液晶電解質溶液の転移温度が変化し、当該電解重合温度においては結晶の鋳型(matrix)が自然に液晶相へと相転移する。これによって、結晶相中での電解重合と液晶相中での電解重合が連続して行われる。このような方法を、相転移連続電解重合法と呼ぶことができる。
こうして得られる導電性高分子は、結晶−液晶層の二重構造を有する。この導電性高分子は、層構造による反射が生じ、金属光沢を示す。すなわち、金属反射をもつ。金属光沢と高分子本来の光吸収とが連動し、さらにエレクトロクロミック現象を組み合わせることにより金属反射色を変えることができる。例えば、1V以下の電圧を印加することによって金属反射色を金−銀−銅に変化させることも可能である。さらにまた、フィルム状(膜状)又はシート状に形成することもできる。このように新しく見出した金属反射エレクトロクロミズム現象は、これまでの液晶ディスプレイやEL素子では発色が不可能であった金属色表示機能をもつディスプレイへの応用が期待できる。
本発明の連続重合法で得られる高分子は、自然界の黄金色に光るカナブンの表皮構造と類似しており、この形成機構もよく似ている。ボトムアップテクノロジーの方法で秩序ある多層膜構造を形成することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
共役芳香族モノマーとしてビチオフェンを用意した。
キラル誘導物質(chiral inducer)としての少量の光学活性分子をアキラルネマチック液晶に添加することで、らせん構造を有するコレステリック液晶の形成を生じさせることが可能であることは、一般に知られている。本例では、キラル誘導物質としてペラルゴン酸コレステリルを使用した。
共役芳香族モノマーとしてのビチオフェン、キラル誘導物質としてのペラルゴン酸コレステリル、液晶鋳型として使用される、ネマチック液晶物質としての4−n−ヘキシル−4’−シアノビフェニル(6CB)、および支持電解質としてのテトラブチル アンモニウム パークロレイト(TBAP)で構成される液晶電解質溶液を調製した。組成比を表1に示す。
テフロン(登録商標)シート(厚さ約0.2mm)をスペーサに用い、サンドイッチ構造のインジウムスズ酸化物(ITO)被覆ガラス電極間に前記の液晶電解質溶液を注入した。次いで、4.0Vの電圧を印加し、温度を13.5℃(液晶相−結晶相の相転移温度)に維持して電解重合を行った。30分後に不溶性かつ不融性のポリマーフィルム(薄膜)が、このITO電極のアノードを被覆する形で得られた。次にITO表面の薄膜をメタノール、水、アセトンで順に洗浄し、乾燥させ、純粋なポリマーフィルムを得た。偏光光学顕微鏡観察により、結晶秩序上に指紋テクスチャが確認された。
図1は、ポリマーフィルムの偏光顕微鏡(POM)写真である。図1(a)のポリマーフィルムは、室温(コレステリック液晶となる温度範囲)でコレステリック液晶中のビチオフェンを電解重合したものである。このポリマーフィルムは不溶性かつ不融性であり、扇状の指紋テクスチャを有する。このテクスチャはコレステリック液晶のテクスチャと非常に似ている。これは、コレステリック液晶鋳型中で電解重合が行われ、その分子秩序が液晶鋳型のらせん構造から転写されたことを示している。
図1(b)のポリマーフィルムは本実施例で合成したポリマーフィルムである。13.5℃での電解重合によって、指紋状パターンを持つ多結晶様構造の外観を生じさせた。拡大画像により、指紋状テクスチャがポリマーの球状結晶様構造を被覆していることが明らかとされた。
図1(c)、(d)に示されるように、結晶性ドメイン中での重合および、それに引き続いて生じるコレステリック液晶中での重合の発生が確認された。コレステリック液晶は、層状構造を形成しないためドメイン(domain)を形成しない。しかしながら、このポリマーの光学的構造は単なるコレステリック秩序ではない。なぜなら、このポリマーは明瞭なドメイン構造を示すからである。POM画像では、指紋状構造が結晶ドメイン構造を被覆していることを明瞭に示している。
図1(e)では、POM観察により、石膏の第一次赤色板(gypsum first order red plate)を組み込んだドメイン構造をはっきりと示している。また、三角形指紋状テクスチャを示している。さらに図2に示すように、反射光でのポリマーの円偏光微分界面コントラスト光学顕微鏡(C−DIM)イメージは、指紋状ドメイン構造を示している。これは、まず結晶相中で重合が生じ、続いて、その結晶マルチドメイン上でコレステリック相中の重合が生じていることを示している。なぜなら、電解重合中、電解質およびモノマーの消費を伴って液晶の転移温度が変化し、結晶相から液晶相への相転移が生じたからである。従って、結晶相中での重合および液晶相中での重合は、結晶秩序の層と液晶秩序の層とを有する二重構造を生じさせる。結晶秩序の層を有しないポリマーは、このような幾何学的テクスチャを示さない。
本方法で合成したポリマーは液晶分子を含有しない。なぜなら、電解重合中、相分離によってこのポリマーからマトリックス液晶が排除されるからである。
このポリマーの色はレドックス法(redox process)によって調色可能である。酸化状態(1V、電気化学的ドーピング)では、ポリマーは青色となり、還元状態(−0.5V、脱ドーピング)では赤色となる。図3に示されるように、ポリマーの形態はレドックス周期によって影響されない。また、指紋形状を構成するらせん状の線のピッチは酸化で変化しない。
電気化学的方法で外部電圧(vs.Ag/Ag)を印加した際のモノマーフリー0.1M TBAP/アセトニトリル溶液中のITO上のポリマーのUV−可視光吸収スペクトルより、ポリマーのエレクトロクロミズムを確認した。図4に示されるように、主鎖のπ−π遷移による光学吸収バンドが487nmに観察される。主鎖のπ−π遷移による吸収強度は、電圧の増加に伴って減少する。他方、>700nmの吸収バンドは、主鎖上でのポラロン(polarons)(ラジカルカチオン)の発生に対応して、吸収強度が増加する。より高い電圧においては、ポリマーから電子が除去されて、電荷キャリアー(ビポラロン(bipolarons)、ジカチオン)としてのホールを生じさせる。低い電圧での還元では電子を導入し、過塩素酸イオンをポリマーから除去する。この電気化学的ドーピング−脱ドーピングプロセスはポリマーの電子状態を変化させる。図5(a)に示されるように、ドーピング(酸化)プロセスでのポリマーのCIE(国際照明委員会)色空間は、電圧に伴って赤色から青色へと色が変化する。
0.1M TBAP/アセトニトリル溶液中の種々の電位(vs.Ag/Ag)におけるポリマーの旋光分散(ORD)スペクトルは、図6に示されるように、電気−キロプチカル的(electro−chiroptically)に活性なクロミズムを示す。
酸化に際して、506nmにおける旋光度トラフが632nmの等濃度点をもつスペクトルに出現した。これは酸化プロセスでの過塩素酸イオンの電気化学的ドーピング−脱ドーピングに起因する。この結果は、ポリマーが電気光学的に活性であり、ドーピングプロセスにより旋光度を制御できることを示す。
図7には、モノマーフリー0.1M TBAP/アセトニトリル中、参照電極として0Vから1Vまでの間(vs.Ag/Ag)でスキャンニングを7回繰り返した光学的吸収(下側)と旋光度(上側)のポリマーの繰り返し変化が示されている。スイッチング時間は10s(0−1V)であった。吸収強度は498nmにおいてモニターした。0Vの酸化プロセスでは、498nmにおける吸収強度が減少する一方で、旋光度は増大した。還元プロセスでは、その逆のことが観察された。吸収および旋光性強度のこれらの変化は繰り返し可能であり、低い外部電圧でも色および旋光度を繰り返し制御可能であることを示している。
図8に示すように、還元状態(0V)および酸化状態(1V)でのポリマーの反射スペクトルは、赤色領域において674nmで反射極大を示す。一方、酸化状態(1V)のポリマーは、緑色領域において552nmで反射極大を示す。これらの結果は、還元状態のポリマーが赤色領域で色を反射し、酸化状態のポリマーが緑色領域で色を反射することを示す。これは、金属色を示す天然のフォトニック昆虫に匹敵する。
図9は、0Vにおけるポリマーについての、反射率vs.角度の変化(θ=θ’、θ=垂直方向からの試料に対する入射光の角度、θ’=試料表面に対する垂直方向からの検出角度)を示す。ポリマーの反射率は光の入射角度と共に変化する。
図10に示されるように、ポリマーの円二色性(CD)は電気化学的方法によって調節可能である。400nmにおける正のシグナルは印加電圧の増加に伴い減少し、600nm付近における負のシグナルは印加電圧の増加に伴い増加した。この結果は、ポリマーのCDが外部電圧によって調節できることを示した。図11に示されるように、直線二色性(LD)を測定すると、CDにおいてLDエレメントを示さなかった、これは、CDシグナルがポリマーの固有の性質であることを示す。入射光のCD光エレメントは、ある波長においてポリマーによって選択的に吸収され得る。ポリマーのコレステリック液晶秩序はCD吸収機能を与える。1Vにおける酸化されたポリマーのCDは、UV−可視光範囲で正のコットン効果を呈する一方、−0.5Vにおける還元されたポリマーのCDは、スプリットパターンをもつ負の第一のおよび正の第二のコットン効果を示す。
サイクリックボルタンメトリー測定により、本ポリマーが良好な電気化学的応答および明確なレドックスプロセスを呈することが確認された。これは、図12(a)に示されるように、ポリマーフィルムは電気活性であり、電極に忠実であることを示す。電気化学的特性評価の結果、不溶性および不融性特性により、薄いフィルムはポリマーであることが確認される。
図12(b)〜(d)は、Ag/Ag参照電極および作用電極としてのPtワイヤを含有するアセトニトリル中の0.1M TBAP溶液中のポリマーの外観を示す。−0.5Vにおいてポリマーは赤色となり、1Vにおいては青色となる。一方、白色光の斜入射は、金属ブロンズ色(−0.5V、図12(e))、銀色(0.7V、図12(f))および金色(1V、図12(g))反射を生じさせた。これらは、ポリマーの表面多層構造に由来する構造色である。走査型電子顕微鏡測定により、図13に示されるように、ポリマーの表面は平坦であり、凹凸構造は存在しないことが明らかとされた。当該ポリマーは、電解重合中にキラル液晶から写された分子秩序によって生じた誘電性周期的構造の連続よりなるものであった。当該ポリマーのコレステリック秩序層は結晶秩序層の上に被覆されていた。
図14は、ポリマー(試料のエッジ部分、薄い層の部分)がコレステリック秩序層および結晶秩序層よりなる二重構造を有していることを示す。2つの層のポリマーは同一の化学構造を有するが、コレステリック液晶秩序層と結晶秩序層の2つの層の屈折率は互いに異なる。二重構造は多層反射体として機能する。電気化学的レドックス(ドーピング−脱ドーピング)プロセスは、ポリマーフィルムの反射色を赤色から青色に変える(図5(b))。還元状態の赤色成分および干渉を介した構造色はブロンズ色反射を発する。この場合、補色としての全反射および赤色光反射における青色成分の減算は、−0.5Vの還元形態でのブロンズ色の出現を可能とする。酸化状態での赤色範囲の光の吸収および青色範囲の光の反射は1Vで金色反射を示す。このプロセスにおいて、銀色反射が0.7Vで観察される。さらに、試料上でのランダムな結晶の形成が拡散反射を生じさせる。光をの拡散させると、Lamellibranch molluscs(二枚貝類)の殻では白色光の反射の増加が観察できる。本ポリマーの反射メカニズムは、構造色をもつ動物の反射メカニズムと同様である。モルフォチョウの場合には、玉虫色構造直下の顔料の存在は特定の色(モルフォチョウ色)を呈するのに重要である。ネオンテトラ(魚類)は、表皮下コラーゲンラメラ下のイリドフォアおよびこれらの層直下のメラノフォアの1または2の層を有する。ネオンテトラの反射光の色は、周囲の光度の変化、および励起状態若しくは応力下の変化でK濃度が変化する。ネオンテトラの色の変化は、機械的運動を伴うイリドフォア中のグアニンで作成された反射する小板の運動によって引き起こされる。
本ポリマーに関して、分子レベルにおけるπ−共役骨格の電子状態の変化による固有の色の変化、および多結晶構造による白色拡散反射の組合せは、電気化学的プロセスにより対イオン(ClO4−)のドーピング−脱ドーピングを伴う迅速な調色可能な金属反射を生じさせる。ポリマーへのイオンの侵入および放出による色の変化機能の点でネオンテトラのそれと同様である。
コレステリック液晶中で合成されたポリマーは従前の研究においては虹色およびレーザー回折を示すが、本二重構造のポリマーは虹色反射を示さず、ある電位においては単色の金属反射を示す。単色発色は、多層構造の-に由来となる結晶秩序層と液晶秩序層よりなるラミネート構造に由来する。当該ポリマーは、100mV/sにおいて良好な電気化学的スイッチングを呈する。これは、ポリマーvs.印加電圧の応答が≦5s(0−1V)で可能であることを示す。当該応答は、金属反射色の変化に対応する。これらの結果は、結晶秩序層の上にコレステリック秩序層を備えたポリマーが、低い印加電圧(≦1V)でCD、旋光度、および金属色の電気化学的な変化を可能としていることを示している。当該ポリマーの金属色の光学的なメモリー効果が期待できる。なぜなら、ある種のドーピングされた状態は、印加電圧をカットオフした後でも保持されるからである。
最後に、光の斜入射で金属反射をもつポリチオフェンは、結晶相と液晶相の電解質溶液中で合成された。ポリマーの個々の主鎖は、エピタキシャル電気化学重合の間、媒体の構造のトポロジー的インプリンティングによって配置される。重合の進行は、電解質溶液の結晶から液晶への相転移に従う。重合プロセス中の自然な相転移の結果、結晶秩序をもつポリチオフェン上に液晶秩序という、二重構造がもたらされる。本発明の相転移連続重合は、幾何学的構造をもつ指紋状パターンの形成を可能とする。多結晶秩序をもつフィルムは拡散した反射を可能とし、これは金属色を生じさせる。当該ポリマーは金属色の電気化学的駆動変化を示す。金属材料(鉄、銀)は、低電圧でこのような金属色の変化を示さない。このような金属反射エレクトロクロミズムは、フォトニックな生体系の調色可能な保護色の機能に相当する。

Claims (4)

  1. コレステリック液晶電解質溶液を結晶相及び液晶相それぞれに相転移させ、その結晶相中及び液晶相中それぞれにおいて共役芳香族モノマーを電解重合して結晶−液晶層の二重構造を有する導電性高分子を製造する方法であって、
    前記共役芳香族モノマーを結晶相中において電解重合させ、結晶秩序を持つ高分子層を合成し、引き続き連続して前記共役芳香族モノマーを液晶相中において電解重合させ、液晶秩序を持つ高分子層を前記結晶秩序を持つ高分子層の上に合成して、結晶−液晶層の二重構造を有する導電性高分子を製造することを特徴とする導電性高分子の製造方法。
  2. 前記コレステリック液晶電解質溶液の液晶相−結晶相の相転移温度を電解重合温度とし、その温度を維持した状態で、前記結晶秩序を持つ高分子層の合成と、前記液晶秩序を持つ高分子層の合成とを行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 晶秩序を持つ高分子層と、その上に形成され、液晶秩序を持つ高分子層とからなる結晶−液晶層の二重構造を有し、金属反射色を示し、前記金属反射色が電気化学的に変化可能であることを特徴とする導電性高分子。
  4. フィルム状又はシート状であることを特徴とする請求項3に記載の導電性高分子。
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