JP6240805B1 - 発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法および作製装置 - Google Patents

発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法および作製装置 Download PDF

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Abstract

【課題】滞留水が存在する場合、簡易に、かつ精度よく、発泡ウレタンの特性を把握することが可能な発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法および作製装置を提供する。【解決手段】内面の各寸法が、高さが30cm以上で50cm以下、底面の縦の長さが40cm、底面の横の長さが12cm以上で15cm以下、の蓋付きの箱状容器10であって、この箱状容器10の内部に、保水シート30を設けた上で水13を滞留させる工程と、前記蓋体11は、注入孔1と排水孔2とを備え、注入孔1は滞留水13に届く長さの注入パイプ14を備えており、当該注入パイプ14を通じてウレタン液を滞留水13の中へ注入して発泡させる作業を、滞留水13が排水孔2から排出されるまで行う工程と、発泡させたウレタン液を硬化させて前記供試体の母材を作製し、しかる後、前記母材の一部を切り取って前記供試体を採取する工程とからなる。【選択図】図2

Description

この発明は、発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法および作製装置の技術分野に属し、さらにいえば、既設トンネルの背面空洞充填の裏込注入工法等の建設工事において発泡ウレタンを用いる場合の水中不分離性試験用供試体の作製方法および作製装置に関する。
例えば、既設トンネル(覆工コンクリート)の背面側には、経年現象等により空洞部が形成され、更に、この空洞部内に地下水が流入して滞留する現象が往々に発生することが知られている。
こうした滞留水を有する空洞部については、トンネル機能及び安全性を確保する目的で、空洞部内へ発泡ウレタン(ウレタン液)を注入、充填し、滞留水を押し出し排出して、地山との隙間がなくなるように密実な硬化体を構築することにより補修する、所謂「発泡ウレタン充填工法」を実施する対策技術が開発されており、既に特許文献1、2等に記載されて公知である。
また、前記「発泡ウレタン充填工法」の実施に際して、空洞部内へ注入、充填した発泡ウレタンの注入状態と、それが奏する作用効果の実情を、発泡ウレタンの発泡時に発生する発熱を熱電対で検知して確認する施工管理方法も、特許文献3に記載されて公知である。
更に、前記施工管理方法の実施に適用できる、空洞部内へ充填した充填材(発泡ウレタン)の充填状況を検知、確認する充填確認装置も、特許文献4に記載されて公知である。
その他、特許文献5には、建設工事に使用する発泡ウレタンの特性(物理的性状)を確認するための供試体を作製する発明として、建設施工(例えば、既設トンネルの裏込工事)の現場で、内面の各寸法を特定した蓋が無い箱形容器を使用し、この箱形容器の内部底面にウレタン液を流し込んで発泡させ、硬化させて供試体の母材を作製し、この供試体の母材の一部を切り取って試験用供試体を採取する、発泡ウレタンの供試体の作製方法及び作製容器が開示されている(請求項1、段落[0014]等参照)。
特開平6−33697号公報 特開2015−36487号公報 特開2012−41697号公報 特開平11−287092号公報 特許第4238253号公報
前記特許文献5に開示された発明は、滞留水については一切考慮されていない。
すなわち、前記「発泡ウレタン充填工法」を実施するに際し、空洞部に水が滞留している場合、注入した発泡ウレタンが滞留水の影響により分離するか否か(所定の密度を確保できるか否か)、また、所定の発泡倍率、圧縮強度を確保できるか否か等の特性(物理的性状)を把握しておくことが重要であるところ、前記特許文献5に開示された発明は、滞留水について一切考慮されていないため、滞留水が存在する場合の発泡ウレタンの前記特性を把握することができなかった。
本発明の目的は、滞留水が存在する場合、簡易に、かつ精度よく、発泡ウレタンの前記特性を把握することが可能な発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法および作製装置を提供することである。
本発明の次の目的は、前記特許文献5に開示された発明を、滞留水が存在するバージョン用に改良した、発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法および作製装置を提供することである。
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法は、
内面の各寸法が、高さが30cm以上で50cm以下、底面の縦の長さが40cm、底面の横の長さが12cm以上で15cm以下、の蓋付きの箱状容器であって、この箱状容器の内部に、保水シートを設けた上で水を滞留させる工程と、
前記箱状容器の蓋体は、注入孔と排水孔とを備え、前記注入孔は前記滞留水に届く長さの注入パイプを備えており、当該注入パイプを通じてウレタン液を滞留水の中へ注入して発泡させる作業を、前記滞留水が前記排水孔から排出されるまで行う工程と、
発泡させたウレタン液を硬化させて前記供試体の母材を作製し、しかる後、前記母材の一部を切り取って前記供試体を採取する工程と、からなることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法において、前記水は、前記箱状容器の底面から5cm程度の高さ(水位)まで滞留させることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法において、前記注入パイプの下端は、前記箱状容器の底面から30mm程度離間した高さに設定することを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載した発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法において、前記ウレタン液の注入速度は、0.1kg/分〜10.0kg/分の範囲内に設定することを特徴とする。
請求項5に記載した発明に係る発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製装置は、内面の各寸法が、高さが30cm以上で50cm以下、底面の縦の長さが40cm、底面の横の長さが12cm以上で15cm以下、の蓋付きの箱状容器と、
前記箱状容器の内面に設けられた保水シートと、
前記箱状容器の内部に滞留された水と、
前記箱状容器の蓋体に設けられた注入孔および排水孔と、
前記注入孔に設けられ、前記滞留水に届く長さの注入パイプと、からなることを特徴とする。
本発明に係る発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法および作製装置によれば、以下の効果を奏する。
(1)注入パイプ、排水パイプの構成、ウレタン液の注入速度を含む注入要領を適宜適正範囲に設定して実施しているので、発泡倍率、圧縮強度試験等の試験結果が良好で、品質にばらつきがない(均一な品質の)供試体を得ることができる。
また、透明アクリル板を用いて可視化した状態で注入作業を行う場合は、注入状況を要所でチェックできるので、更に、前記試験結果が良好で品質にばらつきがない供試体を得ることを期待できる。
(2)これまで現場で実施されてきた、いわゆる気中作製容器(前記特許文献5に係る作製容器、同文献5の図1参照)に蓋をつけただけで実施できるので、作業性、経済性、及び合理性に優れている。さらにいえば、いわゆる気中試験(前記特許文献5に係る作製方法により得られた供試体に対して行う試験)の結果と対比検討するのに相応しい供試体を容易に実現することができる。
なお、本明細書において、滞留水を構成要件とする本発明に関連する用語を、前記特許文献5に係る「気中」と区別する意味で、水中試験、水中供試体等のように「水中」を使う場合があることを念のため特記しておく。
本発明に係る発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製装置に用いる蓋付き箱状容器を示した斜視図である。 本発明に係る発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製装置を正面方向から示した立面図である。 図2のX−X線矢視断面図である。 試験結果を示した表である。
次に、本発明に係る発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法および作製装置の実施例を図面に基づいて説明する。
先ず、前記作製装置の構成について説明すると、この作製装置は、内面の各寸法が、高さが30cm以上で50cm以下、底面の縦の長さが40cm、底面の横の長さが12cm以上で15cm以下、の蓋付きの箱状容器10と、前記箱状容器10の内面に設けられた保水シート30と、前記箱状容器10の内部に滞留(貯留)された水13と、前記箱状容器10の蓋体11に設けられた注入孔1と排水孔2と、前記注入孔1に設けられ、前記滞留水(貯留水)13に届く長さの注入パイプ14と、からなることを特徴とする。
前記内面寸法を前記数値に限定した意義は、供試体の品質を対比検討する上で参考(基準)とする前記特許文献5に係る供試体の作製容器の標準寸法に合致させたことによる。よって、前記数値を限定した根拠は前記特許文献5に詳細に説明されているので、ここでの説明は割愛する。
ちなみに本実施例に係る前記蓋付きの箱状容器10は、図1〜図3に示したように、容器10内面の各寸法が、一例として、高さ(h)が50cm、底面の縦の長さ(b)が40cm、底面の横の長さ(a)が15cmに形成した直方体形状で、その上面は開口されているが、同開口を密閉できる蓋体11を備えている。
次に、前記保水シート30は、例えば、ビニールシート、ポリエチレンシートが好適に用いられ、前記蓋体11を除く箱形容器10の内面を覆うように貼り付けられている。この保水シート30は、漏水防止のほか、直方体形状に発泡したウレタン(発泡ウレタン成形品)を箱形容器10から容易に取り出す(抜き出す)ための剥離シートの役割も果たす。
前記滞留水13は、箱形容器10の底面12(の保水シート30)上に一定の水位d(例えば、5cm)まで貯留されている。これは実施工に近い状況を想定したことによる。すなわち、既設トンネルの背面空洞に地下水等が滞留しているとき、発泡ウレタンをトンネル坑内から注入する施工を反映させるため、滞留水13の水位(高さ)を5cm、投入水量を3.0リットルとした。
地下水の深さが2〜10cmを想定したときは、投入水量は、1.2〜6.0リットルの範囲が適している。この中に注入パイプ(注入管)を挿入しウレタン液を注入する。そうすると、実施工では、滞留水はウレタン発泡圧により押し出され上面へ流される。滞留水があった空洞部は、硬化した発泡ウレタンに入れ替わり、充填される。
前記蓋体11は、注入孔1と排水孔2とが設けられている。
前記注入孔1は、蓋体11の略中央部に貫通して設けられ、同注入孔1には、注入パイプ14が下向きに、具体的には箱形容器10内に溜めた滞留水13中へ先端部(下端部)が十分に浸漬され、その先端開口部14aを箱形容器10の底面12へ一定寸法c(例えば、c=30mm)まで接近させた配置で、ジョイント14’を利用して設置されている。また、前記ジョイント14’には、前記注入パイプ14と連通する撹拌ホース16が連結されている。
前記一定寸法cを30mmに設定した意義は、発泡ウレタンが発熱硬化する過程において、滞留水13と多く接触すると発泡倍率が大きくなることが分かっているので、あまり滞留水13と接触させないための配慮による。
一方、前記排水孔2は、前記蓋体11における注入孔1(注入パイプ14)を間に挟む配置に、排水処理に適度な距離を隔てた2箇所、具体的にはウレタン液の注入にしたがい比重差(水:ウレタン液=1.0:1.2)により押し上げられ浮上してきた前記滞留水13を箱形容器10の外へ効率良く排出させるのに好適な2箇所(但し2箇所の限りではない。)に設けられ、同排水孔2、2を利用して排水パイプ15、15が上向きに(例えば10cm)突き出して設置されている。各排水パイプ15の下端開口は、好ましくは蓋体11の下面と面一に排水口15aを持つ構成として設けられている。
ちなみに、本実施例に係る排水パイプ15、15は、注入パイプ14を通過する蓋体11の長手方向の中央ライン上で、かつ、同ラインの両端からそれぞれ10cm離間した部位に設けられている。
なお、前記蓋体11は、本実施例では、図示を省略した留め具類にて、箱形容器10の上面開口へ着脱自在な構成で取り付け固定して実施しているがこの限りではなく、自重が大きい場合は単に載置するだけで実施することもできる。
前記箱状容器10は、木材、合成木材、或いはアクリル板で製造することが好ましい。前記木材、合成木材は、鋼材よりも軽く、熱伝導率が小さい特長を有しているため、発泡熱による試験員(作業員)の負担も軽減でき、作業性に適しているからである。
また、前記箱形容器10の正・背面板の少なくとも一方の面板10a、および蓋体11は、本実施例のように、ウレタン液の注入状況、発泡状況を目視で確認(可視化)できるように、透明板(例えば、透明アクリル板)で実施することが好ましい。
ちなみに、前記箱状容器10の構成部材(木材等)の板厚は、20〜30mm程度が適している。ウレタン発泡時の発泡圧による箱状容器10の変形、ひいては供試体の変形を防止するためである。
前記注入パイプ14と排水パイプ15には、一例として、ウレタン発泡時の発熱に対処可能なように、内径(φ)20mmの耐熱性を備えた塩化ビニル管(HTパイプ)が好適に用いられている。
以上の構成を前提として、本発明に係る発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法は、以下の通り実施する。
先ず、上記箱形容器10の底面12(の保水シート30)上へ先行して水を投入(供給)し、滞留させた滞留水13中へ、上記撹拌ホース16および注入パイプ14を通じてウレタン液を注入して発泡させる。ウレタン液の注入速度は、(気中試験で通常行われる施工条件と同じく)0.1〜10.0kg/分(min)、その中でも好ましくは6.5〜10.0kg/分の範囲で注入する。
そうすると、前記ウレタン液は、箱形容器10内の底面12上に溜めた滞留水13を比重差により押し退け・押し上げて沈降しつつ、底面12上へ層状に溜まり、遂には前記滞留水13をウレタン液の上面部に載せた形で持ち上げ、同ウレタン液の上面部に載った滞留水13は、当該箱形容器10の上面開口を閉じた前記蓋体11の下面にまで到達するに至る。そして、ウレタン液の注入量の増加にしたがい、蓋体11の下面に到達した滞留水13は、その逃げ場として同蓋体11の下面に設けられた前記排水口15a、15aを通じて押し上げられ、更には前記排水パイプ15、15を通じて箱形容器10の外部へ排出される。
上記のように箱形容器10内へ注入したウレタン液が発泡し、その上面に載せた滞留水13を箱形容器10の外へ排出させる状況は、箱形容器10を構成する透明な前面板10a、と蓋体11を通して子細に目視確認することができる。
前記滞留水13の完全な排除の状況が確認された段階で、ウレタン液の注入を停止する。そして、そのまま箱形容器10内で発泡させたウレタン液が硬化(冷却、固化)されるのを待つ。
前記ウレタン液が十分に固形化したことを確認できた段階で、前記蓋体11の固定状態を解除し、撹拌ホース16および注入パイプ14を引き抜いて取り除く。
もって、保水シート30に包まれた直方体形状(高さhが50cm、底面の縦の長さbが40cm、底面の横の長さaが15cm)の母材を取り出すことができる。
なお、ウレタン液の注入速度を、0.1〜10.0kg/分で実施する意義は、滞留水13をウレタン液の注入により良好に上面に押し出す(押し上げる)ことを可能とするためである。言い換えると、本発明に係る供試体(水中供試体)の品質(発泡倍率等)を正常値とするためである。仮に、注入速度が前記10.0kg/分を超えると当該供試体の圧縮強度は大きくなるので好ましくない。
例えば、本出願人が行った試験結果によると、水中速度を12.0kg/分で実施した場合、ウレタン液が短時間に注入されることによって滞留水13を上面に良好に押し出す(押し上げる)ことができない。その結果、採取した供試体の発泡倍率は、気中試験結果が40倍であるのに対し、本発明の水中試験結果が33.0倍、圧縮強度が、気中試験結果が0.17N/mmであるのに対し、本発明の水中試験結果が0.28N/mm、と品質がばらつく結果となった。
その他の注入要領として、例えば前記箱状容器10の絶対体積は、発泡ウレタン40倍原液で0.9kgとなる。よって、撹拌ホース16等のロスを考慮すると注入量は、0.9kg〜1.2kgが適している。
空気混合式の撹拌方法においては、注入時の空気圧は(気中試験で通常行われる施工条件と同じく)、15〜30リットル/分が好ましい。
撹拌ホース16の長さは、一般的な2m以上が適している。撹拌ホースが2m未満では、ウレタン液の混合が正常に行われづらくなり、品質が一定にならないので好ましくない。
<試験例>
以下、本出願人が行った試験例を示す。
(試験概要)
上記構成の蓋付きの箱状容器10に、滞留水を3.0リットル(水位5cmになるまで)投入して実施した。
一般的に使用されている発泡ウレタン注入機を用い、注入量1.2kg、注入速度9.0kg/分、空気圧20リットル/分の条件で試験を行った。
試験の要諦は、発泡ウレタン製品の発泡倍率が30倍と40倍、試験の種別が気中試験と水中試験、注入パイプ14の注入口位置が、上面から下方へ長さ10cmの短い場合と、底面から上面に向かい長さ30mmの長い場合(図2参照、請求項3記載の発明)とで供試体の母材を作製し、その母材から供試体(水中供試体)を採取し、JIS A 9511に準拠して発泡倍率および圧縮強度試験を行った。
一方、対比検討の対象とする気中試験による気中供試体の作製方法は、前記した特許文献5(特許第4238253号)にしたがった。
(試験状況)
ウレタン液の注入開始から約8秒で注入が終了し、約60秒後に前記排水パイプ15、15の2箇所から水(滞留水13)が噴き出した。
正面板10aと蓋体11に透明なアクリル板を用いた箱形容器10は、ウレタン液の注入初期から最後まで、ウレタン液の流動や発泡の状況、及び滞留水13が上方へ押し出される状況を鮮明に確認できた。
20分経過した後に、箱形容器10を解体して発泡ウレタンの硬化体(母材)を取り出した。
しかる後、前記母材から、高さ方向の中間部の適正な部位において、水平に50mm×50mm×50mmの立方体を5ブロック切り出して供試体(水中供試体)を採取した。
(考察)
試験結果を図4に示す。
図4の試験結果から、水中試験による注入管の注入口位置が上面から下方へ長さ10cmの短い場合で作製した水中供試体の発泡倍率は、気中試験のそれと比べ、発泡ウレタン製品が30倍のとき、42.9倍と30.0倍のように大きく差が開き、また、発泡ウレタン製品が40倍のとき、52.6倍と40.0倍のように大きく差が開き、結果、水中供試体の品質がわるいことが判明した。
一方、水中試験による注入管の注入口位置が底面から上面に向かい長さ30mmの長い場合(請求項3記載の発明)で作製した水中供試体の発泡倍率は、気中試験のそれと比べ、発泡ウレタン製品が30倍のとき、31.8倍と30.0倍のように略同様の値を示し、また、発泡ウレタン製品が40倍のとき、42.7倍と40.0倍のようにやはり略同様の値を示し、結果、水中供試体の品質が非常に優れていることが判明した。
ウレタンの圧縮強度は、発泡倍率に比例することが分かっており、本試験結果もこの理論と同様な変化を示した。図4の右端列の結果から分かるように、水中作製で注入口位置が底面から上面に向かい30mmで作製したものは、気中試験による気中供試体(気中試験結果)とほぼ同等の良好な結果を得た。
(利用可能性)
本発明により成形された直方体形状の母材から採取された供試体は、前記した圧縮強度試験のほか、曲げ強度、せん断強度、圧縮弾性係数、密度等の各種試験に供することができる。
また、本発明に係る発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法および作製装置は、特に現場において簡単に実施できることから、建設分野で発泡ウレタンを用いる施工の全般に利用できる。
近年、予防保全の意味合いから既設トンネルの背面空洞の充填対策に発泡ウレタンを用いているが、これまで現場で実施されてきた、気中作製容器をそのままの構成で蓋をつけただけで用いることができ、試験費用も特別な機械・器具も揃える必要がない経済的利点を有している。
さらに、利用可能性が大きいのは、既設水路トンネルの裏込充填、およびトンネル坑内充填、既設排水管内の充填、新設トンネルの先受け地山改良、シールドトンネル切羽改良、道路や斜面の空隙充填、河川や貯水池の擁壁や壁の充填、地下構造物の充填・改良工事など、水(滞留水)が存在する場所で発泡ウレタンが用いられる工事全般において実施することができる。
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
1 注入孔
2 排水孔
10 箱状容器
10a 正面板(透明板)
11 蓋体
12 底面
13 滞留水(水)
14 注入パイプ
14’ ジョイント
14a 先端開口部
15 排水パイプ
15a 排水口
16 撹拌ホース
30 保水シート
a 底面の横の長さ
b 底面の縦の長さ
c 底面からの距離
d 水位
h 高さ

Claims (5)

  1. 発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法であって、
    内面の各寸法が、高さが30cm以上で50cm以下、底面の縦の長さが40cm、底面の横の長さが12cm以上で15cm以下、の蓋付きの箱状容器であって、この箱状容器の内部に、保水シートを設けた上で水を滞留させる工程と、
    前記箱状容器の蓋体は、注入孔と排水孔とを備え、前記注入孔は前記滞留水に届く長さの注入パイプを備えており、当該注入パイプを通じてウレタン液を滞留水の中へ注入して発泡させる作業を、前記滞留水が前記排水孔から排出されるまで行う工程と、
    発泡させたウレタン液を硬化させて前記供試体の母材を作製し、しかる後、前記母材の一部を切り取って前記供試体を採取する工程と、
    からなることを特徴とする、発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法。
  2. 前記水は、前記箱状容器の底面から5cm程度の高さまで滞留させることを特徴とする、請求項1に記載した発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法。
  3. 前記注入パイプの下端は、前記箱状容器の底面から30mm程度離間した高さに設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載した発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法。
  4. 前記ウレタン液の注入速度は、0.1kg/分〜10.0kg/分の範囲内に設定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載した発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製方法。
  5. 発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製装置であって、
    内面の各寸法が、高さが30cm以上で50cm以下、底面の縦の長さが40cm、底面の横の長さが12cm以上で15cm以下、の蓋付きの箱状容器と、
    前記箱状容器の内面に設けられた保水シートと、
    前記箱状容器の内部に滞留された水と、
    前記箱状容器の蓋体に設けられた注入孔および排水孔と、
    前記注入孔に設けられ、前記滞留水に届く長さの注入パイプと、
    からなることを特徴とする、発泡ウレタンの水中不分離性試験用供試体の作製装置。
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