実施例に係る錠装置を備えた什器につき、図1から図7を参照して説明する。以下、図4及び図7の紙面左側を錠装置の正面側とし、図5の紙面下側を錠装置の正面側として説明する。
図1の符号1は、オフィス等に設置される什器(デスクサイドワゴン)である。この什器1は、上下三段の引出し2を備えている。また、これらの引出し2は、操作者(利用者)が引出し2を開閉するための取手部(図示略)をそれぞれ有する。なお、取手部は、ラッチ機構(図示略)と連係されており、引出し2が不用意に開放されることがラッチ機構によって防止される。また、取手部が操作者に把持されることで、ラッチ機構が解除されて、引出し2が開放可能になるようになっている。また、什器1の底面には、四隅にキャスタ(図示略)が設けられており、操作者が什器1を任意に移動させ、例えば机の下方や横脇等に配置できるようになっている。なお、什器1は、机と一体に形成されていてもよく、机として利用される天板を備えていてもよい。
本実施例に係る錠装置8は、図2に示すように、オフィス等の窓から入射される太陽光や屋内の天井照明による天井光、机上照明としてのデスクライトによる机上光等を利用して電力を発電する太陽電池3と、施解錠を認証する認証装置4と、認証装置4での認証結果に従って作動する作動機構と、引出し2を施解錠する施解錠装置6と、操作者が施解錠装置6を操作するための摘み部7(操作部材)と、操作者による摘み部7の操作によって発電する発電装置65とから構成されており、この錠装置8は什器1の最上段の引出し2に備えられている。
以下、本実施例に係る錠装置8を構成する各装置および機構について説明する。
まず、太陽電池3は、その受光面が什器1の前方に向けられた状態で、引出し2の前面に配置されている。そして、この太陽電池3は、天井照明等を光源として、後述する認証装置4を作動させるために十分な電力が発電されるだけの受光面の面積を有している。なお、太陽電池3は、認証装置4の作動に要する電力が発電される限り、例えば什器1の側面や天板上に配置されていても構わない。
次に、認証装置4は、操作者が暗証番号を入力するためのテンキー9と、認証が許可されたか否かを操作者に報知するLED表示灯10と、テンキー9入力に基づく制御信号に応じて電気回路の導通状態および非導通状態を切り換えるスイッチ部33と、これらが接続され認証判断等を行う制御部35とを有している。なお、テンキー9およびLED表示灯10は、引出し2の前面板11の前面に配設されている。
また、認証装置4は、太陽電池3から供給される電力によって作動する。この認証装置4は、電気回路による電気的な処理のみを行い、物理的な機械等の動作を行わないようにされているため、オフィス等の天井側に設置された室内灯などの微弱な光源を用いて太陽電池3により発電される微量な電力でも充分に作動するようになっている。なお、この認証装置4の電源として、後述する施解錠装置6のように、摘みやボタン等の操作部材を操作者が操作することによって発電が行われる機構を利用することにより、天井照明等が点灯できない停電時などであっても認証装置4が作動できるようにしてもよい。
そして、認証装置4の制御部35は、テンキー9で操作者により入力された暗証番号が、予め登録されている暗証番号と一致するか否かを判断して、暗証番号と暗証番号が一致して認証を許可した場合には、後述する施解錠装置6の電気回路におけるスイッチ部33をON状態(通電可能状態)に制御するとともに、LED表示灯10を点灯させる。また、暗証番号と暗証番号が一致せず認証を拒否した場合には、スイッチ部33をOFF状態(通電不可能状態)に制御するとともに、LED表示灯10を点滅させる。
また、認証装置4の制御部35には、太陽電池3で発電された電力を蓄えるバッテリ(図示略)が設けられている。なお、LED表示灯10の代わりにインジケータなどの表示器を用いて、操作者に認証の可否を報知するようにしてもよい。
次に、施解錠装置6について詳述する。施解錠装置6は、前述した摘み部7によって操作者に操作される。また、施解錠装置6は、前述の認証装置4と連動されており、認証装置4により認証が許可された操作者のみが解錠できるようになっている。
図3に示すように、施解錠装置6は、最上段の引出し2に内蔵されており、引出し2の前面板11の裏側に固定された取付金具63をベースとしている。この取付金具63には、後述する動作体13(動作部材)を直線状に案内するために、凸状に形成された案内部14が設けられている。この案内部14に沿って動作体13が左右方向(係合方向および非係合方向)に移動可能となっている。
そして、動作体13は、什器1の左右方向に長辺部が伸ばされた長方形の板状に形成された胴体部15を有しており、この胴体部15には、什器1の側板16に形成された受け座17(被係合部)に係合される矩形状の係合部18が胴体部15の左方向に突出して形成されているとともに、後述する回転体19に接触される台形状の接触部20が胴体部15の右方向に突出して形成されている。
また、動作体13は、後述する操作ギア21の操作ピン22が係合されて、操作者が動作体13を左右方向に操作するための操作孔23を備えている。この操作孔23は、略90度の円弧状に形成された弧状部24と、この弧状部24の一端から連続して円弧の中心方向に向けて直線状に形成された線状部25とを有している。そして、操作ピン22が操作孔23の線状部25に係合されている状態で、操作者が摘み部7を反時計回りに回転させることで、操作ギア21の回転に伴って動作体13が左方向に移動される一方で、操作者が摘み部7を時計回りに回転させることで、動作体13が右方向に移動されるようになっている。
また、摘み部7は、図3に示すように、正面視で略円形状をなし、前方に突出し左右方向に延設され操作者に把持される把持部26が形成されている。また、摘み部7の後面の中心部分には、摘み部7の後方側に棒状に突出された回転軸部27が延設されている。そして、この回転軸部27には、回転軸部27と相対的に固定されて、摘み部7の回転と同時に回転される操作ギア21が設けられている。この操作ギア21は、正面視で円形状をなしており、その円周上の全周に歯部28が形成されている。また、操作ギア21の後面側の周縁近傍には、操作ギア21の後方側に棒状に突出された操作ピン22が設けられている。
また、操作ギア21の左方側には油圧式のロータリーダンパ29が設けられている。このロータリーダンパ29は、回転軸に接続されたローター(図示略)がオイル中で回転されることにより、オイルの粘性抵抗で回転軸の回転運動に制動力を作用させる。そして、このロータリーダンパ29の回転軸には、正面視で円形状をなしその全円周上に歯部31が形成されたダンパーギア30が設けられている。ダンパーギア30の歯部31は、操作ギア21の歯部28と噛合されており、操作ギア21の回転に対する抵抗となって、操作ギア21の回転速度を制限するようになっている。
また、操作ギア21は、操作ギア21に隣接して設置される被係合ギア32の被係合片34に係合される係合片36を有している。この係合片36は、操作ギア21の中心から操作ギア21の外周側に向けて延設されているとともに、外周側の先端部に近づくにつれて幅が徐々に狭まる板状に形成されている。また、係合片36と操作ギア21とは、回転軸部27を介し互いに固定されている。
そして、係合片36は、摘み部7が所定の角度の間を回転されているときに、係合片36の先端部が被係合ギア32の被係合片34に係合されるようになっている。すなわち、操作ギア21の係合片36は、操作ギア21が所定の角度回転されている間は、係合片36が被係合片34に係合されて係合状態となり、この係合状態のままさらに操作ギア21が所定の角度を超えて回転されると、係合片36と被係合片34との係合が解除されるようになっている。
また、被係合ギア32は、正面視で円形状をなしており、その円周上の全周に歯部38が形成されている。また、被係合ギア32は被係合片34を有しており、被係合片34は被係合ギア32の中心から被係合ギア32の外周側に向けて延設された略長方形の板状に形成されているとともに、被係合片34の先端部が操作ギア21の係合片36に係合されるようになっている。さらに、被係合片34と被係合ギア32とは、連動軸37を介し互いに固定されている。
図5(b)に示すように、取付金具63の案内部14の右端側近傍には、回転軸51により回転自在となっている略円形状をなす回転体19(規制部材)が設けられている。この回転体19は、その一部が直線状に切り欠かれた切欠部52が形成されている。図7に示すように、回転体19が回転され、その切欠部52が下方位置にあるときには、動作体13は、その係止部が什器1の受け座17から脱離される位置まで、その動作経路中を移動できる。一方で、回転体19の切欠部52が上方位置にあるときには、回転体19の一部が動作体13の移動経路中に配置されて、動作体13の接触部20が回転体19に接触して動作体13の移動動作が規制される。
また、図7に示すように、回転体19の内部には、磁性を有する永久磁石53が固定に設けられている。この永久磁石53に外部から磁力が加わることで、回転体19が回転されるようになっている。そして、永久磁石53の磁極の向きは、回転体19の切欠部52が下方位置にあるときに、回転体19の下方側がN極で上方側がS極となっている。さらに、回転体19の右方位置には、鉄心の周りに銅線がコイル状に巻かれて形成された電磁石54が固定配置されている。この電磁石54に所定のタイミングで電流が通電されることで、電磁石54から磁束64が発生して回転体19に磁力が加えられる。
次に、発電装置65について詳述する。施解錠装置6の取付金具63の後部には、回転軸が回転されることで発電がなされる発電機40が取り付けられている。この発電機40の回転軸41には、全周に歯部42が形成されたピニオンギア44が固定されている。また、このピニオンギア44は、被係合ギア32の動力を伝達する伝達ギア45が噛合されており、伝達ギア45を介して被係合ギア32と機械的に接続されている。そして、発電機40は、ピニオンギア44の回転により駆動されて発電するようになっている。
また、ピニオンギア44には、正面視で円形状をなしてその全円周上に歯部46が形成された発電ギア47が噛合されている。そして、この発電ギア47の外縁付近には、発電用のコイルバネ48を係止する係止孔49が設けられている。このコイルバネ48は、伸長バネであり、一端が発電ギア47の係止孔49に係止材50を介して係止されるとともに、他端が固定ピン12を介して引出し2の底部に係止される。そして、発電ギア47が時計回りまたは反時計回りに一定角度回転されることで、コイルバネ48が一定の長さ伸長されるようになっている。
次に作動機構について詳述する。上述の認証装置4のスイッチ部33および施解錠装置6の発電機40、電磁石54により、図2に示すような作動機構が形成される。この作動機構では、発電機40の2つの電極55、56にそれぞれ電線57、58が繋がれており、発電機40は、2本の電線57、58を介して電磁石54のコイルに接続されている。そして、この2本の電線57、58のうち一方の電線57は、その途中で分岐され、かつ分岐後に再び合流されるように分岐された分岐線59,60を有している。この2つの分岐線59,60には、それぞれの分岐線59,60を流れる電流の方向を一方向に制限する整流器61,62が設けられており、各分岐線59,60を流れる電流は、正方向または逆方向の異なる方向に流れるようになっている。また、分岐線59には、上述のスイッチ部33が設けられており、スイッチ部33がON状態の場合のみ電流が流れる。
このように電気回路を構成することで、操作者が解錠を行う際には、認証装置4で認証を行うことが必要になる一方で、操作者が施錠操作を行う際には、特に認証装置4にて認証を行う必要のない作動機構が認証装置4と施解錠装置6とにより構築される。
次に、図4及び図5を参照しながら、本実施例の錠装置8において什器1を操作者が解錠操作する際の手順について説明する。
先ず、図4(a)に示すように、動作体13は、その係合部18が什器1の受け座17に挿入されて係止されている施錠位置に位置されているとともに、操作ギア21の操作ピン22が動作体13の操作孔23の弧状部24の左端に位置されており、回転体19は、その切欠部52が上方位置にあって動作体13の移動動作を規制している状態(規制状態)である場合を、初期状態として、操作者により解錠操作がなされる際の手順を説明する。
操作者が解錠を行う際には、先ず操作者は認証装置4で認証を行う。そして、操作者が暗証番号をテンキー9で入力して認証が許可された場合には、制御部35により電気回路5のスイッチ部33がON状態(通電可能状態)に制御される。その後、操作者は、摘み部7を時計回りに回転させる。
次に、図4(b)に示すように、操作者によって摘み部7(操作部材)が時計回りに所定の角度回転されると、操作ギア21の係合片36が被係合ギア32の被係合片34の上方側に係合される。その後、摘み部7が更に所定の角度まで回転される間、係合片36が被係合片34を押し下げられて、操作ギア21の回転力が被係合ギア32および伝達ギア45、ピニオンギア44を介して発電ギア47に伝達される。すると、発電ギア47は操作ギア21の回転に伴って時計回りに回転される。そして、発電ギア47の回転に応じて発電用のコイルバネ48が引き伸ばされて、操作者が摘み部7を回転させるエネルギーがコイルバネ48により一時的に機械的エネルギーとして蓄えられる。
なお、この間、回転体19の切欠部52は図5(a)に示すように上方位置にあり、動作体13の移動動作が規制されている。すなわち、回転体19は規制状態が維持されているとともに、動作体13は施錠位置に位置されている。
また、操作ギア21の歯部28がダンパーギア30の歯部31に噛合されているので、ロータリーダンパ29により、操作ギア21の回転が所定速度以下となるように制動がかけられる。
そして、図4(c)に示すように、摘み部7が時計回りに更に所定の角度回転されると、操作ギア21の係合片36と被係合ギア32の被係合片34との係合状態が解除される。すると、発電ギア47による発電用のコイルバネ48の引き伸ばしが終わり、コイルバネ48に蓄えられていた機械的エネルギーが瞬間的に解放されて、コイルバネ48が復元力により縮み始めて、発電ギア47が反時計回りに回転し、発電機40での発電が始まる。そして、コイルバネ48の復元力により付勢された発電ギア47の回転速度が最も早くなる時点において、図6(a)に示すようなピークを有する誘導電流が発生する。このコイルバネ48により本発明のエネルギー蓄積手段が構成される。なお、この間、動作体13は施錠位置にある。
そして、発電機40が発電した電力は、分岐線59のスイッチ部33および整流器61を介して回転体19の右方に配置された電磁石54に供給されるとともに、電磁石54は一時的に磁化されて、図7に示すように電磁石54の上端部がN極、下端部がS極となる磁場を発生させる。
また、回転体19の内部の永久磁石53が磁力の影響を受けて、回転体19が回転され、回転体19の向きが切り換わる。すなわち、図5(b)に示すように、回転体19の切欠部52が下方位置に移動して、動作体13の移動動作の規制が解除された状態(規制解除状態)となる。このように、回転体19が電磁石54の磁極により制御され、操作者が摘み部7を手動操作することにより回転体19の向きが制御されることで、回転体19により、本発明の規制部材が構成される。
また、本実施例では、施解錠操作において、摘み部7が所定の角度の間を回転操作されることにより、コイルバネ48が一定の長さ伸びるようになっているので、操作者による摘み部7の操作具合(摘み部7に加えられる力や回転速度)によらず、コイルバネ48には一定のエネルギーが蓄えられる。そして、コイルバネ48の復元力のみを利用して発電機40により発電させているので、操作者による摘み部7の操作具合によらず、ほぼ一定のピークを有する誘導電流が生じる。したがって、電磁石54で生じる磁場の強さもほぼ一定となり、回転体19は、操作者による摘み部7の操作具合によらず、毎回一定の速度で回転される。
また、本発明における規制状態とは動作体13が所定の動作経路中を通過できない状態のことであり、規制解除状態とは動作体13が所定の動作経路中を通過できる状態のことであって、例えば規制解除状態とは、動作経路中に規制部材があっても、動作体13に接触することで該規制部材が押し出され、動作体13が動作経路中を通過できる状態であってもよい。
次に、図4(d)に示すように、摘み部7が時計回りに更に所定の角度回転されると、操作ギア21の操作ピン22が、動作体13の操作孔23の線状部25に沿いながら移動しつつ、動作体13を右方向に押して移動させる。このとき、動作体13は、操作者による摘み部7の操作に応じた速度で移動される。
また、このとき、操作ギア21の歯部28がダンパーギア30の歯部31に噛合されており、操作ギア21の回転速度が一定程度減速するように制動がかけられるので、係合片36と被係合片34との係合状態が解除された直後において、操作ギア21を回転させる際の抵抗が急激に減少されることはない。このロータリーダンパ29により本発明の制限手段が構成され、操作者が摘み部7を過剰な力や速さで回し続けてしまい、回転体19の切り換わりが完了する前に、動作体13が回転体19と接触してしまうことが回避される。
そして、動作体13が解錠位置に達すると、動作体13の係合部18が什器1の受け座17から脱せられると、引出し2が開放可能になる。
さらに、図4(e)に示すように、操作ピン22が操作孔の端部に接触するまで、摘み部7が時計回りに更に所定の角度回転されると、摘み部7の操作に応じた速度で、動作体13が更に移動されて、本実施例で動作体13が移動される範囲の最右端に到る。これにより、解錠操作が終了する。なお、この間、動作体13は解錠位置に位置しており、動作体13が最右端に到る前であっても、引出し2は開放可能である。
なお、操作者により解錠操作が行われる際には、先ず認証装置4で認証が行われるが、操作者によりテンキー9で暗証番号が入力されて認証が拒否された場合には、電気回路5における発電機40と電磁石54との間のスイッチ部33がOFF状態(通電不能状態)となる。この状態で操作者により摘み部7が回転されると、操作ギア21および発電ギア47は回転されるが、OFF状態のスイッチ部33と分岐線60の整流器62により電磁石54に電流が流れることが妨げられて磁力が生じないため、回転体19は回転されず、規制状態が維持される。したがって、動作体13が右方向へ移動されるとその接触部20が回転体19に接触するので、動作体13の移動が規制される。すなわち、動作体13が施錠位置に位置されたままの状態が維持されて、動作体13の係合部18が、什器1の側板16の受け座17に係止された状態となっており、操作者は引出し2を開放できない。
次に、錠装置8により什器1を施錠する際の手順について説明する。操作者が施錠操作を行う際には、認証装置の操作は不要である。先ず、解錠操作が終了された状態にある摘み部7が、操作者により反時計回りに回転されると、解錠位置にある動作体13が操作ギア21の操作ピン22によって左方向に押され、動作体13の係合部18が什器1の受け座17に係止される。すなわち、動作体13が施錠位置に移る。
そして、摘み部7が反時計回りに更に回転されると、操作ギア21の係合片36が被係合ギア32の被係合片の下方側に係合される。そして、係合片36が被係合片34を押し上げて、操作ギア21の回転力が発電ギア47に伝達されるとともに、発電ギア47が回転されてコイルバネ48を引き伸ばし、コイルバネ48により機械的エネルギーが一時的に蓄えられる。なお、このとき、操作ギア21や発電ギア47の回転方向は、上述した解錠操作時とは逆方向になっている。
その後、係合片36と被係合片34との係合状態が解除され、コイルバネ48に蓄えられた機械的エネルギーが瞬間的に解放されて、コイルバネ48が復元力により縮み、発電ギア47が時計回りに回転されて、電気回路5では、図6(b)に示すようなピークを有して、上述した解錠時とは逆方向の誘導電流が分岐線60の整流器62を介して流れる。そして、その電流が電磁石54に供給され、電磁石54が一時的に磁化されて、電磁石54の上端部がS極、下端部がN極となる磁場が発生する。この磁場により、回転体19が回転されて、回転体19の向きが切り換わる。すなわち、回転体19の切欠部52が上方位置に移動して、動作体13の移動動作が規制される状態(規制状態)となることで、施錠位置にある動作体13の移動が規制されて、引出し2が開放不能になる。
以上、本実施例における什器1では、コイルバネ48(エネルギー蓄積手段)により摘み部7(操作部材)の操作ストローク内でエネルギーを蓄え、そのエネルギーをコイルバネ48(瞬時放出手段)により操作ストローク内で高い出力で瞬間的に放出することができるため、回転体19(規制部材)を状態変化させるために十分なエネルギー出力を得ることができる。
また、摘み部7(操作部材)の操作に起因して動作体13(動作部材)と回転体19(規制部材)とが各々所定タイミングで動作をなす場合であっても、ロータリーダンパ29(制限手段)により、解錠操作時において動作体13が回転体19に規制されることなく解錠位置に達するように動作体13の移動速度を制限することで、回転体19の所定動作が先に完了された後に、動作体13の所定動作が遂行されるように、動作体13の動作のタイミングが調整されるので、操作者よって想定以上の力や速さで摘み部7が操作された場合であっても、確実に解錠を行うことができる。
また、電気回路の開閉を切り換えることのみで、回転体19(規制部材)の状態を制御できるので、スイッチ部33の電力消費を低減できる。
また、什器1の外部から電力を供給することなく、太陽電池3からの電力で認証装置4(認証手段)を利用できる。
また、電力を利用して、回転体19(規制部材)の規制状態と規制解除状態とを切り換えることで、回転体19が切り換えられるタイミングを、摘み部7の機械的な動きから容易に分離して、回転体19の状態を切り換える制御の自由度を向上できる。なおかつ、回転体19の切り換えに、摘み部7の操作によって発電がなされる発電機40(発電手段)から供給される電力が利用されることで、外部からの電力供給を必要とせずに、操作者による摘み部7の操作のみで、施解錠を行うことができる。
また、コイルバネ48(エネルギー蓄積手段)によって、摘み部7の操作によるエネルギーが一時的に蓄えられて、そのエネルギーが瞬間的に放出されることで、操作者による摘み部7の操作具合によらず、回転体19の状態を切り換えるために必要な電力が所定のタイミングで安定的に供給されて、確実に施解錠を行うことができる。
また、摘み部7(操作部材)が回転軸を中心に回転操作されるので、ロータリーダンパを摘み部7の回転軸等に係合させることで、容易に、摘み部7の回転を制限し、摘み部7の操作に依って動作する動作体13の移動速度を制限できる。
また、認証装置4は、認証動作とスイッチ部33に供給される電力のON/OFF状態の切り換えのみを行うため、認証装置4を微少な電力で動作させられるようになり、かつ物理的な動作を行う施解錠装置6に供給される電力は、認証装置4に供給される電力と別電源とすることができ、施解錠装置6は別電源により充分な電力量を確保できるようになる。
また、施解錠装置6の電磁石54は、手動操作によって発電を行う発電機40から電力の供給を受けることで、手動発電により施解錠装置6の動作に必要な電力量を確保することができる。なおかつ、認証装置4は太陽電池3から電力の供給を受けられるようになるので、省電力化を図ることができ、環境保護に配慮した什器1とすることができる。
また、認証装置4は、スイッチ部33のON/OFFの制御を行い、回転体19による動作体13の動作の規制または非規制の少なくとも一方が許容されることで、動作体13の動作の規制または非規制を選択的に行うことができるとともに、動作体13の動作は、摘み部7の操作に応じて決定されるため、記憶装置等を別途設けて、動作体13の動作態様を記憶しておく必要がなく、什器1の省電力化を図ることができる。
なお、前記実施例では、操作ギア21の円周状の全周に歯部28が設けられているが、摘み部7により動作体13が操作されて移動するときのみ操作ギア21の歯部28がロータリーダンパ29のダンパーギア30に係合するように円周上の一部に歯部を設けてもよい。これにより、係合片36と被係合片34との係合状態が解除されるのとほぼ同時に、操作ギア21の歯部28がダンパーギア30の歯部31に係合され、操作ギア21の回転が所定速度以下となるように制動がかけられる。そして、係合片36と被係合片34との係合状態が解除されても、操作ギア21を回転させる際の抵抗が急激に減少されることがなく、操作者が摘み部7を過剰な速さで回し続けてしまい、後述する回転体の切り替わりが完了する前に、動作体13が回転体19と接触してしまうことが回避される。
また、前記実施例では、制限手段としてロータリーダンパ29を用いているが、制限手段は、規制部材が規制解除状態を取ると同時または取った後に、動作体13が規制部材に達するように、少なくとも動作体13の移動速度を制限するようになっていればよく、例えば、動作体13が動作する際に所定の抵抗を与えるように、動作体13と接触する所定部材の表面にゴム等の高摩擦抵抗体を設けることで構成してもよいし、動作体13にエアダンパを取り付けることで構成してもよい。
また、前記実施例では、制限手段としてロータリーダンパ29を摘み部7の操作ギア21に係合させているが、摘み部7の操作により動作体13を動作させるためにギア等で構成される駆動機構内であれば、ロータリーダンパ29を他のギア等に係合させてもよい。
さらに、オフィス等に設置される什器1の引出し2に対して本発明が適用された施解錠装置6が設けられているが、施解錠装置6は、什器1の引出し2のみならず、観音扉式の開閉部を有する什器や蓋体により収納部を開閉する什器に本発明が適用された施解錠装置6を設けるようにしてもよい。さらに、什器のみならず、家屋の玄関のドアや窓等を施錠する施解錠装置や機械器具などの幅広い用途に適用できる。
また、前記実施例では、認証装置4の電源として太陽電池3を用いているが、太陽電池3に替えて小型乾電池等を用いてもよい。この場合、長期間電池等を交換しないで使用できるようになる。
また、前記実施例では、電線57の分岐線59にスイッチ部33が設けられ、操作者が解錠操作を行う際に、認証装置4による認証が必要であるが、電線57の分岐線59にスイッチ部33を設けずに、電線58の分岐線60にスイッチ部を設けて、操作者が施錠操作を行う際に、認証装置4による認証が必要となるように構成してもよい。
また、前記実施例では、電線57が2本の分岐線59、60により2系統設けられているが、認証装置4にて認証を行う操作の態様に応じて、分岐線を3本や4本やそれ以上設けて、3系統や4系統やそれ以上設けるようにしてもよい。
また、前記実施例では、認証装置4の電源として太陽電池3を用いているが、施解錠装置6のように操作者による手動操作に基づいて発電がなされる発電機構を認証装置4の電源として用いてもよい。これにり、操作者によるボタンの操作により発電がなされた後の所定の時間内に、操作者が暗証番号を入力して認証が許可されると、電気回路のスイッチ部がON(導通状態)になり、続いて操作者による摘み部7の操作により発電がなされて回転体が回転されるとともに、動作体が解錠位置に移動されるような作動機構を構築することができる。この場合、認証装置4用の発電機構と施解錠装置用の発電機構とを別々に設けておくことが望ましい。これによって、夜間の停電時で照明が確保できない場合であっても、確実に錠装置を作動させて、什器1の引出し2を施解錠させることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
前記実施例で述べた施解錠装置、発電装置、作動機構、認証装置および太陽電池の配置方法についての変形例について以下に述べる。
<施解錠装置の変形例>
本発明に係る錠装置を備えた什器を実施するための施解錠装置の形態の変形例1から4について以下に説明する。尚、前記実施例と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
<施解錠装置の変形例1>
施解錠装置の変形例1につき、図8から図22を参照して説明する。本変形例1の施解錠装置106は、図8および図9に示すように、両開き式の扉102が設けられている什器1aに備えられている。そして、この扉102には、扉102を開放するための取手部103と、扉102の施解錠を行うための摘み部7(操作部)と、扉102を開放不能にするための矩形状の棒状部材となっている動作体107(所定の目的物)とが設けられている。動作体107が係合方向(左方向)に移動されることで、その先端部が他方の扉102に形成された受け座108(被係合部)に挿入されて係合し、扉102が開放不能になる。また、動作体107が解除方向(右方向)に移動されることで、その先端部が他方の扉102に形成された受け座108から脱し、扉102が開放可能になる。なお、取手部103は、ラッチ機構(図示略)と連係されており、ラッチ機構により扉102が不用意に開放されないようにするとともに、取手部103を把持することでラッチ機構が解除されて扉102が開放可能となる。
そして、図10及び図12に示すように、施解錠装置106は、扉102の前面を構成する前面板11の後面側に設けられており、施解錠装置106は、前面板11に後面側に取り付けられる略板状をなす取付金具63を有している。この取付金具63には、動作体107を直線状に案内するために、上下2条の凸条で形成される案内部114(経路)が設けられている。この案内部114に沿って動作体107が左右方向に移動可能となっている。
前述した摘み部7は、正面視で略円形状をなし、前面板11に設けられた摘み配置部材115内に配置されている。そして、この摘み部7の後面側には、摘み部7の回転と同時に回転される操作ギア116が設けられている。この操作ギア116の歯部117は、円形状をなす操作ギア116の円周上の一部に形成されている。なお、摘み部7と操作ギア116とは、連動軸118により相対的に固定されている(図10参照)。また、操作ギア116の後面側には、操作ギア116の円周近傍に設けられた操作ピン119が設けられている。
図12に示すように、動作体107には、操作ピン119が係合するための上下に延びる長孔120が形成されている。操作者が摘み部7を回転操作させることで操作ギア116が周方向に回転するようになり、それに伴って操作ピン119の位置が操作ギア116の回転に伴って移動され、操作者の手動操作力が操作ピン119を介して長孔120から動作体107に伝達される。本変形例では、操作者が摘み部7を反時計回りに回転させることで、動作体107が係合方向(左方向)に移動するとともに、操作者が摘み部7を時計回りに回転させることで、動作体107が脱離方向(右方向)に移動するようになっている。
このように摘み部7を操作することで、操作ギア116の回転方向及び動作体107の移動方向は、それぞれ係合方向(正方向)または解除方向(逆方向)に操作されるようになっている。
さらに、案内部114の右端側近傍には、回転軸126により回転自在となっている略円形状をなす回転体127(規制部材)が設けられている。この回転体127は、その一部が直線状に切り欠かれて切欠部128が形成されている。図12に示すように、回転体127が回転され、その切欠部128が下方位置にあるときには、動作体107が最右方側の脱離位置まで移動できる。図19に示すように、回転体127が回転され、その切欠部128が上方位置にあるときには、回転体127の一部が案内部114の内部に配置されるようになり、動作体107が回転体127に接触してその移動動作が規制(ロック)されるようになっている。
図12に示すように、回転体127の内部には、磁性を有する永久磁石53(磁性部材)が設けられている。この永久磁石53に外部から磁力が加わることで、回転体127が回転されるようになっている。なお、回転体127の切欠部128が下方位置にあるときに、永久磁石53の磁極の向きは、左方側がN極で右方側がS極となっている。そして、回転体127の上方位置には、回転体127に磁力を加える電磁石54(磁力切換手段)が配置されている。この電磁石54は、鉄心の周りに銅線により形成されたコイルを配置したものとなっている。なお、回転体127及び電磁石54によって本変形例における作動部を構成している。
図12に示すように、操作者が施錠操作を行う際には、操作者は摘み部7を反時計回りに回転させる。そして、摘み部7の回転に伴い操作ギア116が回転されることで、動作体107が係合方向(左方向)に移動される。
図13に示すように、操作者の手動操作により摘み部7を回転させて操作ギア116が回転され続けることで、摘み部7に加わる手動操作によるエネルギーがコイルバネ125を延ばすようになる。このコイルバネ125には、動作体107の移動に伴うストローク、即ち摘み部7の回転に伴うストロークの一部の動作が、コイルバネ125の延長という機械的エネルギーとして蓄えられる。
図14に示すように、操作ギア116が所定量回転されると、発電ギア122の回転によって発電機40にて発電が行われる。この発電機40が発電した電力は、回転体127の上方位置に配置された電磁石54に供給される。そして、通電された電磁石54は一時的に磁化されて、電磁石54の左端部がN極、右端部がS極となる磁場が発生する(図21参照)。このとき、電磁石54が発生せる磁力により、回転体127の内部の永久磁石53が磁力の影響を受けて、回転体127が回転軸126と中心として回転され、その向きが切り換わるようになっている。なお、回転体127は180°回転されることで、その向きが切り換わる。なお、動作体107は、回転体127の向きに係らず最左方側の係合位置まで移動できる。
図13及び図14に示すように、回転体127の向きが切り換わる前は、回転体127の切欠部128が下方位置に配置されている。電磁石54が通電されることで、回転体127の向きが切り換わった後は、回転体127の一部が案内部114内に配置されるようになる。なお、この案内部114内に配置された回転体127の一部が、後述するように動作体107の移動を規制(ロック)する規制部材となる。
図21に示すように、回転体127は、電磁石54の両磁極(両端部)の中間位置Tに配置されるとともに、回転体127の中心である回転軸126は、電磁石54の両磁極の中間位置Tから両磁極のうちいずれか一方側に寄せて配置される。本変形例では、回転軸126が左方側に若干寄せて配置される。
このようにすることで、電磁石54の両磁極の磁力線の向きに沿って回転体127の向きが定まるようになり、かつ各磁極から生じる磁力が若干不均衡な状態で回転体127に加わるため、電磁石54の磁力の発生時に回転体127の向きが切り換え易くなり、電磁石54に通電する電力が微量であっても回転体127の向きを切り換えることができる。
図22(a)に示すように、回転体127は、真円形状の仮想円Eの一部が直線状に切り欠かれて切欠部128が形成されており、この切欠部128が形成された分だけ回転体127の重量が軽減され、仮想円Eの中心位置Cから外れた位置に回転体127の重心Gが配置される。そのため、回転軸126の中心は、回転体127の重心Gと一致するように修正して配置される。このように回転体127の仮想円Eの中心位置Cから外れた重心位置Gを回転軸126に修正することで、重心修正手段が構成されている。
このようにすることで、回転体127が回転軸126を軸心として回転される際の慣性モーメントが最小となり、回転体127が回転し易くなって少ない仕事量、即ち電磁石54に通電される電力量が少なくでも、回転体127の向きの切り換えを行うことができる。
図15に示すように、操作者が解錠を行う際には、先ず認証手段(図示略)により認証が行われる。認証が許可された場合には、発電機40と電磁石54との間のスイッチ133(図11参照)がON状態(通電可能状態)となる。その後、操作者は摘み部7を時計回りに回転させる。そして、摘み部7の回転に伴い操作ギア116が回転されることで、動作体107が脱離方向(右方向)に移動される。
図16に示すように、操作者の手動操作により摘み部7を回転させて操作ギア116が回転され続けることで、摘み部7に加わる手動操作によるエネルギーがコイルバネ125を延ばすようになる。そして、図17に示すように、さらに操作ギア116が所定量回転されると、操作ギア116の歯部117が発電ギア122の歯部123から外れ、コイルバネ125が有する復元力により一気にコイルバネ125が短縮して発電ギア122が時計回りに回転させる。この発電ギア122の回転によって発電機40にて発電が行われる。
そして、電磁石54が発生せる磁力により、回転体127の内部の永久磁石53が磁力の影響を受け、回転体127が回転軸126と中心として回転され、その向きが切り換わるようになっている。このように、電磁石54で動作する回転体127を電磁石54の磁極により制御できるようになり、操作者が摘み部7を手動操作することにより回転体127を制御することができる。
図18に示すように、回転体127の向きが切り換わった後は、回転体127の切欠部128が下方位置に配置され、動作体107が脱離位置まで移動可能となる。操作者は、摘み部7を時計回りに回転させて動作体107を脱離位置まで移動させることで、什器1aと扉102が開放可能となる。
例えば、図19に示すように、認証が不可だった場合には、操作者が解錠を行う際に摘み部7を操作しても、動作体107の端部が回転体127に接触してその移動が規制されるようになっている。この状態では、動作体107の先端部は、他方の扉102に形成された受け座108(被係合部)に挿入されて係合された状態となっており、扉102を開放することができない。
また、図20に示すように、回転体127の回転軸126の中心と回転体127の円周部(縁部)との距離をL1とした場合に、回転体127の回転軸126の中心から動作体107の移動経路である案内部114までの距離をL2とすると、L1とL2との関係がL1>L2となっている。
このようにすることで、回転体127の回転軸126から動作体107の移動経路である案内部114までの距離L2よりも、回転体127の回転軸126から回転体127の円周部までの距離L1が長いため、動作体107が案内部14に沿って移動する際に、動作体107が回転体127に接触し、その接触された箇所から回転体127に加わる力により回転体127の回転軸126に向かって加わり、それ以上の動作体107の移動を規制できる。
即ち、動作体107の端部が回転体127に接触した際に、回転体127の円周上に動作体107の端部の角部が接触し、この接触された箇所から回転体127に加わるベクトルα(力)が回転体127の回転軸126に向かって加わるベクトルβとなり、動作体107の接触で回転体127に加わるベクトルα(力)によって回転体127が回転されることを防止することができ、動作体107の移動の規制を維持することができる。
つまり、回転体127においてその切欠部128以外の部位(回転体127の円周部位)は、動作体107の角部が接触された際に、動作体107を規制する規制部位となっており、この規制部位にて動作体107の移動が規制されるようになっている。そして、回転体127によって動作体107の移動を規制することができるとともに、回転軸126により回転自在の回転体127は、少ない電力量(仕事量)でその向きの切り換えを行うことができ、回転体127の向きの切り換えにより動作体107の規制の解除を行うことができる。なお、回転体127の切欠部128は、動作体107の移動経路中において移動規制しない非規制部位となっている。
このように、回転体127によって動作体107の移動を規制することができるとともに、回転軸126中心の回転体127は、少ない仕事量でその向きを変化させることができるため、動作体107の規制やその解除を小さな力で行うことができる。また、回転体127の少なくとも一部が切り欠かれており、切欠部128が動作体107の経路を塞がない非規制部位となっていることで、回転体127に切欠部128を形成するといった簡単な構成によって、動作体107の移動を許容できることになる。
本変形例における施解錠装置106では、回転軸126により回転自在の回転体127は、少ない電力量(仕事量)でその向きの切り換えを行うことができ、回転体127がその位置は変化せずにその向きが切り換わることで、案内部114に沿って物理的に動作する動作体107の規制またはその解除を行うことができ、動作体107の規制またはその解除を少ない電力量で行うことができる。
また、回転体127が永久磁石53を有するとともに、回転体127の近傍に電磁石54が配置され、電磁石54に通電されることで、回転体127の向きが切り換わるようになっていることで、永久磁石53を有する回転体127と電磁石54という簡素な構成で、動作体107の規制またはその解除を行うことができる。また、電磁石54が消費する電力量は、回転体127の向きを切り換えることができる電力量が確保できればよく、動作体107の規制またはその解除を少ない消費電力で行うことができ、消費電力を抑えた施解錠装置106とすることができる。
また、磁力により回転体127の向きの切り換えを行うことができ、回転体127の向きの切り換えのために回転体127以外に機械的動作を行うバネ部材等の機械要素を設けずに済むので、少ない仕事量で回転体127の向きの切り換えを行うことができる。
このように物理的な機械の動作を行う回転体127を有する施解錠装置106の作動に、操作者の手動操作を利用して発電された電力を用いるため、什器1a全体の電力消費を抑えることができる。
前述したように、本変形例の回転体127では、回転軸126の中心が回転体127の重心Gと一致するように修正することで、重心修正手段が構成されている。次に、回転体127のバリエーションついて説明する。
図22(b)に示すように、バリエーション1の回転体127aでは、回転体127aが真円形状の仮想円Eの一部が直線状に切り欠かれて第1切欠部128が形成されており、この第1切欠部128と回転軸126を挟んで対向する円周上に第2切欠部128’が形成される。この第2切欠部128’は、回転体127aの円周の一部が半円形状に切り欠かれることで形成される。なお、本バリエーション1では、第1切欠部128が回転軸126の下方位置に形成された場合に、第2切欠部128’が回転軸126の上方位置に形成される。この第2切欠部128’を形成することにより、仮想円Eの中心位置Cに回転体127の重心Gが配置されるようになる。なお、この第2切欠部128’が本変形例の重心修正手段を構成している。
図22(c)に示すように、バリエーション2の回転体127bでは、回転体127bが真円形状の仮想円Eの一部が直線状に切り欠かれて切欠部128が形成されており、さらに、回転軸126の周囲における切欠部128が形成された部位以外に、所定の大きさの肉抜部134が形成される。この肉抜部134は、回転体127bに形成される穴部がとなっている。なお、本バリエーション2では、切欠部128が回転軸126の下方位置に形成された場合に、肉抜部134が回転軸126の上方位置及び左右位置の3箇所に形成される。この肉抜部134を形成することにより、仮想円Eの中心位置Cに回転体127の重心Gが配置されるようになる。なお、この肉抜部134が本変形例の重心修正手段を構成している。
<施解錠装置の変形例2>
施解錠装置の変形例2につき、図23を参照して説明する。前記変形例1では、動作体107が案内部114に沿って移動する際に、動作体107が回転体127に接触し、その接触された箇所から回転体127に加わる力により、それ以上の動作体107の移動を規制できるようになっているが、動作体107が案内部114(経路)の所定箇所に接触し、その接触された箇所から案内部114に加わる力により、それ以上の動作体107の移動を規制できるようにしてもよい。
図23(a)に示すように、変形例2の施解錠装置106’では、案内部114が非直線状をなしており、その一部が上方側に屈曲されて形成されている。そして、案内部114の屈曲された部位には、動作体107が乗り上げる坂道状の坂部114aが設けられている。
図23(b)に示すように、回転体127が回転され、その切欠部128が下方位置にあるときには、動作体107の上方への移動が許容され、案内部114の坂部114aを動作体107が乗り上げることができ、動作体107が解除方向(右方向)に移動されるようになっている。
図23(c)に示すように、回転体127が回転され、その切欠部128が上方位置にあるときには、動作体107の上端に回転体127が接触して、動作体107の上方への移動が規制され、案内部114の坂部114aを動作体107が乗り上げることができなくなり、動作体107の先端が案内部114の坂部114aに接触し、この坂部114aの存在によりそれ以上の動作体107の解除方向(右方向)への移動が規制されるようになる。
以上、本発明の変形例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら変形例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記変形例では、オフィス等に設置される什器1aの扉102に対して本発明が適用された施解錠装置106が設けられているが、施解錠装置106は、什器1aの扉102のみならず、什器1a等に設けられる引出しや蓋体の施錠装置、または、什器1aのみならず、家屋の玄関のドアや窓等を施錠する施錠装置、及び人間による手動操作と相俟って電気を必要とする機械器具などに広い分野に適用できることは明らかである。
また、前記変形例では、電磁石54に通電される電力が操作者の手動操作により発電する発電機40から供給されるようになっているが、電磁石54に通電される電力は、発電機40以外に電池等から供給されるようにしてもよい。
また、前記変形例では、本発明の施解錠装置として、回転体が移動を規制する動作体として係合部材が例示されているが、その他の用途にも適用できる。例えば、引戸等の直線的に移動する部材を動作体とし、この引戸等の一部に回転体を当接させることで、その移動を規制するようにしてもよいし、所定の電気機器や操作盤等に設けられる回転する摘み部を動作体とし、その摘み部の一部に回転体を当接させることで、その移動を規制するようにしてもよい。このように、オフィス等に設置される什器のみならず、その他の用途にも本発明を適用することができる。
<施解錠装置の変形例3>
施解錠装置の変形例3につき、図24及び図25を参照して説明する。図24に示すように、本変形例の施解錠装置206eは、引出し2の内部に設けられ、引出し2を開放不能とするためのロック機構605を有しており、引出し2の施解錠を行うようになっている。
また、ロック機構605は、引出し2の側方に配置される筐体の側板606に突設された山型状をなす係止凸部607に係止される係止ローラ608を有している。この係止ローラ608は、コイルバネ609によって側板606に向かって直線移動するように付勢された直動ロッド610の先端部に枢支されている。さらに、この直動ロッド610の内方側の基端部の近傍には、回転体227及び電磁石54が配置されている。
図24に示すように、電磁石54による磁力により回転体227が回転され、直動ロッド610の基端部が回転体227に接触する状態では、直動ロッド610の先端部の係止ローラ608が移動不能に規制(ロック)されて、係止ローラ608が係止凸部607を乗り越えることができず、引出し2が施錠状態となる。
<施解錠装置の変形例4>
施解錠装置の変形例4につき、図26及び図27を参照して説明する。図26に示すように、本変形例の施解錠装置206fは、引出し2の内部に設けられ、引出し2を開放不能とするためのロック機構605’を有しており、引出し2の施解錠を行うようになっている。なお、この施解錠装置206fは、回転体227(規制部材)及び電磁石54の配置位置以外の構成は、前述した変形例と同様の構成となっている。
また、ロック機構605’は、引出し2の側方に配置される筐体の側板16に突設された山型状をなす係止凸部607に係止される係止ローラ608を有している。この係止ローラ608は、コイルバネ609によって側板16に向かって、枢軸611を中心軸として回転移動するように付勢された回動ロッド610’の先端部に枢支されている。さらに、この回動ロッド610’の内方側の基端部の近傍には、回転体227及び電磁石54が配置されている。
図27に示すように、電磁石54による磁力により回転体227が回転され、回動ロッド610’の基端部が回転体227に接触する状態では、回動ロッド610’の先端部の係止ローラ608が移動不能に規制(ロック)されて、係止ローラ608が係止凸部607を乗り越えることができず、引出し2が施錠状態となる。
そして、図27に示すように、電磁石54による磁力により回転体227が回転され、その切欠部228が回動ロッド610’の基端部側を向くと、回動ロッド610’は回転移動自在になるとともに、回動ロッド610’の先端部の係止ローラ608が移動可能になり、係止ローラ608が係止凸部607を乗り越えることができ、引出し2が解錠状態となる。
<発電装置の変形例>
本発明に係る発電装置を実施するための形態の変形例1〜6について以下に説明する。尚、前記実施例または変形例と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
<発電装置の変形例1>
発電装置の変形例1につき、図28から図36及び図6を参照して説明する。図28に示すように、本変形例1の発電装置206は、両開き式の扉102が設けられている什器1における扉102の前面を構成する前面板211の後面側に設けられており、発電装置206には、動作体207を直線状に案内するために、上下2条の凸条で形成される案内部214(経路)が設けられている。この案内部214に沿って動作体207が左右方向に移動可能となっている。
また、図29に示すように、操作手段としての摘み部7の後面側には、摘み部7の回転と同時に回転される係合部材216が設けられている。この係合部材216の第1係合部217は、円形状をなす係合部材216の円周上の一部に形成されている。なお、摘み部7と係合部材216とは、図示しない連動軸により相対的に固定されている。
そして、係合部材216の上方位置には、左右に2つの同方向巻きの発電コイル223,224が設けられており、これら発電コイル223,224を渡す連結線240によって発電コイル223,224同士が通電可能に連結されている。また、発電コイル223,224間の略中央部には、発電コイル223,224内を移動可能な発電磁性体222(可動部材)が配置されており、発電コイル223,224は、発電磁性体222が発電コイル223,224間を移動することで、コイル内の磁界が変化し、直流電流を発電するようになっている。さらに発電磁性体222の正面側略中央部には第2係合部218が設けられており、係合部材216に設けられた第1係合部217と係合可能に構成されている。
ここでは、発電コイル223,224は左右に2つ分かれて設けられるように構成されているが、必ずしも2つである必要はなく、複数の発電コイルで構成されていてもよく、また連続する一つの発電コイルで構成されていてもよい。
発電磁性体222には、図30に示すように発電磁性体222を長手方向に貫通する遊嵌孔239が形成されており、遊嵌孔239の長手方向の左右端側には案内突起241が形成されている。遊嵌孔239は、ここでは図示しない端部固定部材によって発電装置206に取り付けられる移動軸238に対し、長手方向に左右に移動可能に遊嵌設置されている。即ち、発電磁性体222は移動軸238に案内されて左右方向に移動することになるため、発電磁性体222の移動時において発電コイル223,224に対し平行に案内されることになる。
そのため、発電コイル223,224を通過する磁束を多くでき、エネルギーロスを抑制できる。また移動軸238上を移動する際、案内突起241のみが接触するように構成されているため、移動軸238に対して少ない摩擦係数で発電磁性体222を移動可能としている。
図3に示すように、発電磁性体222の同軸上左右端部には、弾性を有する弾性部材として構成される左右一対のコイルバネ225が取り付けられており、コイルバネ225の他端は、取付金具63に取り付けられている。また左右一対のコイルバネ225の付勢力が略同一に設定されており、発電コイル223,224間の略中央部で発電磁性体222が安定するようになっている。
続いて操作者が行う施錠操作を説明する。図31に示すように、操作者は操作手段を構成する摘み部7を反時計回りに回転させ、この摘み部7の回転に伴い係合部材216が所定のストローク回転され、動作体207が係合方向(左方向)に移動される。動作体207が所定量移動されたとき、即ち係合部材216が所定量回転されたときに、係合部材216の第1係合部217が発電磁性体222の第2係合部218と係合するようになっている。
そして、係合部材216の反時計回りの回転とともに、発電磁性体222が発電コイル223に近付けられるように平行に所定ストローク移動される。この発電磁性体222の平行移動とともに、発電磁性体222の左右のコイルバネ225が変形を始める。このコイルバネ225には、動作体207の移動に伴うストローク、即ち摘み部7の回転に伴う操作量、即ちストロークの一部の操作量を、コイルバネ225の変形という機械的エネルギーとして蓄えられ、本発明のエネルギー蓄積手段を構成している。
図32に示すように、係合部材216をさらに追加のストローク分回転すると、係合部材216の第1係合部217が発電磁性体222の第2係合部218から外れ、互いの係合状態が断たれる。そして、コイルバネ225が有する復元力により一気にコイルバネ225が復元し、コイルバネ225に蓄えられた機械的エネルギーが瞬時に放出され、発電磁性体222を発電コイル223から遠ざけるとともに発電コイル224に近付けられるように平行移動させる。これらにより、本発明の瞬時放出手段が構成される。
図33に示すように、上記の発電磁性体222の平行移動によって発電コイル223,224にて発電が行われる。詳しくは、コイルバネ225の復元力により付勢された発電磁性体222の移動速度が一番速い地点において、図6(a)に示すようなピークを有する誘導電流が発生する。
なお、このとき発電コイル223,224が発電した電力は直流電流であり、矢印方向に対して電流が流れる。この矢印方向の電力によって電磁石54の下方側がN極に、上方側がS極に磁化し、近接配置された回転体227内部の永久磁石53が磁力の影響を受けて、回転体227が回転軸226を中心として回転され、その向きが切り換わるようになっており、本発明の操作出力手段を構成している。
なお、回転体227は180°回転されることで、その向きが切り換わる。さらに、発電磁性体222の平行移動において、コイルバネ225に蓄えられた機械的エネルギーが瞬時に放出されるため、高い電圧を発生させることができる。
このように摘み部7の操作量、即ち移動ストロークの少なくとも一部で、発電磁性体222を移動させてコイルバネ225を一定量変形させ、さらに移動ストロークの残りのストロークにおいて、コイルバネ225の復元力により発電磁性体を発電コイル223,224に対し瞬間的に平行に相対移動させ、発電コイル223,224に生じる電力を作動部に供給するため、操作者の操作具合に変動があっても、それによらずに一定の発電された出力電力を作業部に安定して与えることができる。
また、発電コイル223,224に対し発電磁性体222を往復移動させて、直接発電を行うため、構造が簡素化され、エネルギーの受け渡しの際のエネルギーロスを防止でき、高効率に発電し、一定した出力を行うことができる。
図32に示すように、回転体227の向きが切り換わる前は、回転体227の切欠部228が下方位置に配置されている。そして電磁石54が通電されることで、図33に示すように、回転体227の向きが切り換わり、回転体227の一部が動作体207の移動軌道上に配置されるようになり、回転体227の一部が動作体207の移動を規制し、施錠操作が完了する。
続いて操作者が行う解錠操作を説明する。図33に示すように、係合部材216の第1係合部217が発電磁性体222の第2係合部218から外れると、第1係合部217と第2係合部218の位置関係が入れ替わる。即ち、係合部材216の一方向への動作(施錠操作)の完了とともに第1係合部の位置と第2係合部の位置が入れ替わり、係合部材216の次の動作(解錠操作)の準備が完了する。
図34に示すように、動作体207が所定量移動されたとき、即ち係合部材216が所定量回転されたときに、係合部材216の第1係合部217が発電磁性体222の第2係合部218と係合するようになっている。そして、係合部材216の時計回り回転とともに、発電磁性体222が発電コイル224に近付けられるように平行に移動される。この発電磁性体222の平行移動とともに、発電磁性体222の左右のコイルバネ225が変形を始める。
係合部材216の時計回りの回転とともに、発電磁性体222が発電コイル224に近付けられるように平行に移動される。この発電磁性体222の平行移動とともに、発電磁性体222の左右のコイルバネ225が変形を始める。このコイルバネ225には、動作体207の移動に伴うストローク、即ち摘み部7の回転操作に伴うストロークの一部の動作が、コイルバネ225の変形という機械的エネルギーとして一定運動量蓄えられる。
図35に示すように、さらに係合部材216が所定ストローク回転されると、係合部材216の第1係合部217が発電磁性体222の第2係合部218から外れ、互いの係合状態が断たれる。そして、コイルバネ225が有する復元力により一気にコイルバネ225が復元し、コイルバネ225に蓄えられた機械的エネルギーが瞬時に放出され、発電磁性体222を発電コイル223から遠ざけるとともに発電コイル224に近付けられるように平行移動させる。この発電磁性体222の平行移動によって発電コイル223,224にて発電が行われ、図6(b)に示すようなピークを有する誘導電流が発生する。
なお、このとき発電コイル223,224が発電した電力は、前述の施錠操作時に発電した電力と同様に直流電流であるが、前述の施錠操作時と電極の極性は逆になっており、矢印方向に対して電流が流れる(図36参照)。
即ち、発電コイル224に生じた電流は、回転体227に近接配置された電磁石54に供給され、電磁石54では、電磁石54の下方側がS極、上方側がN極となる磁場が発生する。このように、摘み部7が係合方向(正方向)に操作されたときの発電コイル223,224の電流の方向と、摘み部7が脱離方向(逆方向)に操作されたときの発電コイル223,224の電流の方向と、が互いに異なる。
そして、電磁石54が生じさせる磁力により、回転体227の内部の永久磁石53が磁力の影響を受け、回転体227が回転軸226と中心として回転され、その向きが切り換わるようになっている。このように、電磁石54で動作する回転体227を電磁石54の磁極により制御できるようになり、操作者が摘み部7を手動操作することにより回転体227を制御する出力手段を構成することができる。
なお、本変形例1では、発電磁性体222が発電コイル223,224に対し平行に相対移動可能なように構成されており、図中では直線の移動軸238に案内され、発電磁性体222が発電コイル223,224に対し直線方向に移動するように示されているが、移動軸238が曲線で形成され、発電磁性体222が発電コイル223,224に対し相対移動可能に構成されていてもよい。
<発電装置の変形例2>
発電装置の変形例2につき、図37から図42及び図45を参照して説明する。図39に示すように、変形例2の発電装置206aは、扉102の前面を構成する前面板211の後面側に設けられた取付板234に固定されている。この取付板234には、動作体207(所定の目的物)を直線状に案内するために、上下2条の凸条で形成される案内部214が設けられており、この案内部214に沿って動作体207が左右方向に移動可能となっている。
また、図37及び図39に示すように、第1圧電素子246、第2圧電素子247が棒材248を介しての取付板234の固定点245に取り付けられている。特に図37には、圧電素子246,247の構造とその配線状態が示されており、第1圧電素子246は、セラミックからなる圧電材料246aとこの圧電材料246aの両側にプラス電極246bとマイナス電極246cが設けられている。同様に第2圧電素子247はセラミックからなる圧電材料247aとこの圧電材料247aの両側にプラス電極247bとマイナス電極247cが設けられている。図38の符号33は図示しない認証手段により制御されるスイッチである。また符号249は弾性体等で構成された衝撃吸収部材である。
図39に示されるように、発電ギア221の周縁には第1圧電素子246、第2圧電素子247を殴打する複数のピン部材250(殴打部材)が設けられている。また、プラス電極側の面にはピン部材250の殴打が圧電材料に伝搬しないように弾性体等で構成された衝撃吸収部材249が貼着されている。そのため、第1圧電素子246、第2圧電素子247にはピン部材250がこれら圧電素子246、247を殴打することにより発電を行うことに寄与するマイナス電極側の面(第1面)と、ピン部材250がこれら圧電素子246、247を殴打しても発電を行うことに寄与しないプラス電極側の面(第2面)とを備えることになる(図37及び図38参照)。
この構造によれば、圧電素子の第1面が発電に寄与し第2面が発電に寄与しないため、可動部材の往復動のうち一方の動きのみを発電に用いることができる。なお、第1圧電素子246、第2圧電素子247のそれぞれの電極246b、246c、247b、247cから電線232が延びており、この電線232が電磁石54のコイルに接続されている。
また、発電ギア221の左右端部には、弾性部材として構成される左右一対のコイルバネ225が取り付けられており、それぞれのコイルバネ225の一端は、取付板234に取り付けられている。また、この発電ギア221は、左右両コイルバネ225の付勢力によって、その周方向の定位置に安定的に保持されるようになっている。
操作者は摘み部7を時計回りに回転させる。そして、摘み部7の回転に伴い操作ギア242が回転されることで、動作体207が脱離方向(右方向)に移動される。
摘み部7の後面側には、摘み部7の回転と同時に回転される操作ギア242が設けられており、操作ギア242の歯部243は円形状をなす操作ギア242の円周上の一部に形成されている。なお、摘み部7と操作ギア242とは、相対的に固定されて軸支されており、操作ギア242の後面側には、操作ギア242の円周近傍に設けられた操作ピン219が設けられている。
前記した操作ギア242の上方位置には、発電ギア221(可動部材)が設けられており、この発電ギア221は、取付板234に駆動軸271により軸支され、往復回転可能となっている。この発電ギア221には、その全周に歯部231が形成されており、操作ギア242の歯部243と係脱可能となっている。
また、発電ギア221の周縁には第1圧電素子246、第2圧電素子247を殴打する複数のピン部材250(殴打部材)が設けられている。また前記したようにプラス電極側の面にはピン部材250の殴打が圧電材料に伝搬しないように弾性体等で構成された衝撃吸収部材が貼着されている。
そのため、第1圧電素子246、第2圧電素子247にはピン部材250がこれら圧電素子246、247を殴打することにより発電を行うことに寄与するマイナス電極側の面(第1面)と、ピン部材250がこれら圧電素子246、247を殴打しても発電を行うことに寄与しないプラス電極側の面(第2面)とを備えることになる。この構造によれば、圧電素子の第1面が発電に寄与し第2面が発電に寄与しないため、可動部材の往復動のうち一方の動きのみを発電に用いることができる。
また、発電ギア221の左右端部には、弾性部材として構成される左右一対のコイルバネ225が取り付けられており、それぞれのコイルバネ225の一端は、取付板234に取り付けられている。また、この発電ギア221は、左右両コイルバネ225の付勢力によって、その周方向の定位置に安定的に保持されるようになっている。
操作ギア242が所定量回転されたときに、操作ギア242の歯部243が発電ギア221の歯部231と所定ストローク分係合し、互いにギア242,221が連係されるようになっている。そして、操作ギア242の時計回り回転とともに、発電ギア221が反時計回りに回転される。この発電ギア221の回転とともに、発電ギア221の左右のコイルバネ225が延び始める。その際、第2圧電素子247のピン部材250に殴打される面には衝撃吸収部材が貼着されているため、第2圧電素子247がピン部材250により殴打されたとしても第2圧電素子247が発電に寄与することはない。
図40に示すように、操作者の手動操作により摘み部7を回転させて操作ギア242が回転され続けることで、摘み部7に加わる手動操作によるエネルギーがコイルバネ225を延ばすようになる。このコイルバネ225には、動作体207の移動に伴うストローク、即ち摘み部7の回転に伴うストロークの一部の動作が、コイルバネ225の延長という機械的エネルギーとして蓄えられ、本発明のエネルギー蓄積手段を構成している。
図41に示すように、さらに操作ギア242が所定量回転されると、操作ギア242の歯部243が発電ギア221の歯部231から外れ、互いにギア242,221の連係状態が断たれる(非連係状態)。そして、コイルバネ225が有する復元力により一気にコイルバネ225が短縮し、コイルバネ225に蓄えられた機械的エネルギーが発電ギア221(可動部材)の動きに換えられて瞬時に放出されて発電ギア221を時計回りに回転させる。
この発電ギア221の回転によって第2圧電素子247にて発電が行われ、図45(a)に示すようなピーク電流が発生する。その際に、第2圧電素子247の発電に寄与する面がピン部材により殴打されることになり、本発明の発電手段を構成している。なお、このとき、第2圧電素子247が発電した電力は、前述の施錠操作時に発電した電力と同様に直流電流となっているが、その電極の極性は、逆になっており、ピーク電流も図45(b)のようになる。
即ち、第2圧電素子247が発電した電力は、回転体227の上方位置に配置された電磁石54に供給されるが、電磁石54では、電磁石54の左端部がS極、右端部がN極となる磁場が発生する。このように、摘み部7が係合方向(正方向)に操作されたときの第1圧電素子の電極の極性と、摘み部7が脱離方向(逆方向)に操作されたときの第2圧電素子の電極の極性と、が互いに反転するようになっている。
そして、電磁石54が発生せる磁力により、回転体227の内部の永久磁石53が磁力の影響を受け、回転体227が回転軸226と中心として回転され、その向きが切り換わるようになっている。このように、電磁石54で動作する回転体227を電磁石54の磁極により制御できるようになり、操作者が摘み部7を手動操作することにより回転体227を制御することができるものであり、本発明における発電手段からの電力により一定の出力動作を行う出力手段を構成している。
図42に示すように、回転体227の向きが切り換わった後は、回転体227の切欠部228が下方位置に配置され、動作体207が脱離位置まで移動可能となる。操作者は、摘み部7を時計回りに回転させて動作体207を脱離位置まで移動させることで、什器1と扉102が開放可能となる。
<発電装置の変形例3>
発電装置の変形例3につき、図43、図44及び図46を参照して説明する。図43に示すように、回転体251には、発電装置の変形例2と同様に円周方向に複数のピン部材250が設けられており、その両端部に離間して位置する第1圧電素子246,第2圧電素子247が設置されている。そして、変形例2と同様に、第1圧電素子246,第2圧電素子247がピン部材250で連続的に殴打されることで発電を行うことができる。
また、回転体251の円周上には、円周方向に離間して突起253,254が設けられており、後述するように回転体251の所定角度の回転で接続スイッチ256,257に接触するように配置されている。第1圧電素子246、第2圧電素子247には、それぞれ、コンデンサ258,259が給電回路260によって接続されており、コンデンサ258,259は第1圧電素子246,第2圧電素子247により発電した電気を充電して蓄積しておくものである。また各コンデンサは、接続スイッチ256,257を介して出力部255に接続されており、コンデンサに蓄積された電力を出力部255に出力して各種機器の動作を行うことができるようになっている。
次に、変形例3の発電装置206bの作用を図44(a)及び図44(b)により説明する。この発電装置206bの利用者が、変形例1及び2と同様に、摘み部を操作し、図44(a)に示すように、回転体251が時計方向に回転するように操作する。これにより、第1圧電素子246が複数のピン部材250により連続して殴打されて発電する。
そして、各殴打により発電された電流は、第1圧電素子246と接続しているコンデンサ258に次第に蓄電される。すなわち、回転体251の回転操作の少なくとも一部が電力として蓄積されることになる。ピン部材250は、図44に示されているように、回転体251上の一部の範囲にわたって周方向に設けられているため、回転体251の全回転ストロークのうち、ピン部材250が設けられている周方向ストロークの間だけ発電が行われる。そのため、この周方向ストローク長を適宜設定すれば、発電量を調整することが可能である。
圧電素子246がピン部材250により殴打されて発電が終了した後、さらに、回転体251を回転すると、回転体251の突起254が接続スイッチ256に当接し、この時点でコンデンサ258に配線された給電回路261が切断状態から接続状態に切り換わる。これによりコンデンサ258に蓄積された電流は、図46(a)に示すようなピークを持った直流電流が瞬時に出力部255に流れることになる。突起254と接続スイッチとの当接位置を調整することで電流を瞬時に放出する時期を設定することが可能である。そして、出力部255は、変形例1,2と同様の作動部であっても良いし、その他各種機器の表示装置や音声発生器、記録装置などとすることができる。
回転体251は、上記とは逆に反時計方向に回転しても、第2圧電素子247、コンデンサ259、突起254、接続スイッチ257が同様に作動し、出力部255に、図46(b)に示すようなピークを持った直流電流とすることができる。なお、出力部255に流す電流方向は正逆種々に変更可能であることは言うまでもない。
<発電装置の変形例4>
発電装置の変形例4につき、図47から図33を参照して説明する。図47及び図48に示すように、摘み部7の後面側には、摘み部7の回転と同時に回転される操作ギア265が設けられている。この操作ギア265の歯部266は、円形状をなす操作ギア265の円周上の一部に形成されている。なお、摘み部7と操作ギア265とは、連動軸267により相対的に固定されている(図47参照)。また、操作ギア265の後面側には、操作ギア265の円周近傍に設けられた操作ピン219が設けられている。
図48に示すように、動作体207(所定の目的物)には、操作ピン219が係合するための上下に延びる長孔220が形成されている。操作者が摘み部7を回転操作させることで操作ギア265が周方向に回転するようになり、それに伴って操作ピン219の位置が操作ギア265の回転に伴って移動され、操作者の手動操作力が操作ピン219を介して長孔220から動作体207に伝達される。本変形例4では、操作者が摘み部7を反時計回りに回転させることで、動作体207が係合方向(左方向)に移動するとともに、操作者が摘み部7を時計回りに回転させることで、動作体207が脱離方向(右方向)に移動するようになっている。
このように摘み部7を操作することで、操作ギア265の回転方向及び動作体207の移動方向は、それぞれ係合方向(正方向)または解除方向(逆方向)に操作されるようになっている。
また、発電装置206cの取付金具63の後部には、発電機40(発電部)が取り付けられている(図47参照)。この発電機40は直流電流を発電(第1機能)するようになっている。そして、操作ギア265の上方位置には、発電機40を駆動する発電ギア269(可動部材)が設けられている。なお、この発電ギア269は、発電機40の駆動軸271に対して相対的に固定されており、発電ギア269は、駆動軸271を中心として回転されるようになっている。この発電ギア269には、その全周に歯部270が形成されており、操作ギア265の歯部266が係合されるようになっている。
さらに、発電ギア269は、その左右端部に弾性を有する弾性部材として構成される左右一対のコイルバネ225が取り付けられている。なお、コイルバネ225の一端は、発電ギア269に取り付けられるとともに、コイルバネ225の他端は、取付金具63に取り付けられている。また、この発電ギア269は、その周方向に回転自在になっているが、左右両コイルバネ225の付勢力によって、発電ギア269は、その周方向の定位置に安定的に保持されるようになっている。なお、発電ギア269及びコイルバネ225によって変形例4におけるエネルギー蓄積手段を構成している。
さらに、案内部214の右端側近傍には、回転軸226により回転自在となっている略円形状をなす回転体227(規制部材)が設けられている。
図48に示すように、回転体227の上方位置には、回転体227に磁力を加える電磁石54(磁力切換手段)が配置されている。この電磁石54は、鉄心の周りに銅線により形成されたコイルを配置したものとなっている。なお、回転体227及び電磁石54によって変形例4における作動部を構成している。
図11に示すように、発電機40から2つの電線132が延びており、この電線132が電磁石54のコイルに接続されている。なお、この電線132には、認証手段(図示略)によって制御されるON/OFFスイッチ133が設けられている。認証が許可された場合には、発電機40と電磁石54との間のスイッチ133がON状態(通電可能状態)となる。また、認証が不可だった場合には、発電機40と電磁石54との間のスイッチ133がOFF状態(通電不能状態)となる。
図48に示すように、操作者が施錠操作を行う際には、操作者は摘み部7を反時計回りに回転させる。そして、摘み部7の回転に伴い操作ギア265が回転されることで、動作体207が係合方向(左方向)に移動される(第2機能)。
図49に示すように、動作体207が所定量移動されたとき、即ち操作ギア265が所定量回転されたときに、操作ギア265の歯部266が発電ギア269の歯部270と係合し、互いにギア216,222が連係されるようになっている。そして、操作ギア265の反時計回りの回転とともに、発電ギア269が時計回りに回転される。この発電ギア269の回転とともに、発電ギア269の左右のコイルバネ225が延び始める。
図50に示すように、操作者の手動操作により摘み部7を回転させて操作ギア65が回転され続けることで、摘み部7に加わる手動操作によるエネルギーがコイルバネ225を延ばすようになる。このコイルバネ225には、動作体207の移動に伴うストローク、即ち摘み部7の回転に伴うストロークの一部の動作が、コイルバネ225の延長という機械的エネルギーとして蓄えられる。
図51に示すように、さらに操作ギア265が所定量回転されると、操作ギア265の歯部266が発電ギア269の歯部270から外れ、互いにギア216,222の連係状態が断たれる(非連係状態)。そして、コイルバネ225が有する復元力により一気にコイルバネ225が短縮し、コイルバネ225に蓄えられた機械的エネルギーが瞬時に放出されて発電ギア269を反時計回りに回転させる。
この発電ギア269の回転によって発電機40にて発電が行われる。なお、このとき、発電機40が発電した電力は、直流電流となっている。さらに、コイルバネ225に蓄えられた機械的エネルギーが瞬時に放出されるため、高い電圧を発生させることができる。なお、操作ギア265の歯部266が発電ギア269の歯部270から外れ、互いにギア216,222の連係状態が断たれることで、変形例4における瞬時放出手段が構成されている。
図52に示すように、操作者が解錠を行う際には、操作者は摘み部7を時計回りに回転させる。そして、摘み部7の回転に伴い操作ギア265が回転されることで、動作体207が脱離方向(右方向)に移動される(第2機能)。
動作体207が所定量移動されたとき、即ち操作ギア265が所定量回転されたときに、操作ギア265の歯部266が発電ギア269の歯部270と係合し、互いにギア216,222が連係されるようになっている。そして、操作ギア265の時計回り回転とともに、発電ギア269が反時計回りに回転される。この発電ギア269の回転とともに、発電ギア269の左右のコイルバネ225が延び始める。
図53に示すように、操作者の手動操作により摘み部7を回転させて操作ギア265が回転され続けることで、摘み部7に加わる手動操作によるエネルギーがコイルバネ225を延ばすようになる。このコイルバネ225には、動作体207の移動に伴うストローク、即ち摘み部7の回転に伴うストロークの一部の動作が、コイルバネ225の延長という機械的エネルギーとして蓄えられる。
図54に示すように、さらに操作ギア265が所定量回転されると、操作ギア265の歯部266が発電ギア269の歯部270から外れ、互いにギア216,222の連係状態が断たれる(非連係状態)。そして、コイルバネ225が有する復元力により一気にコイルバネ225が短縮し、コイルバネ225に蓄えられた機械的エネルギーが瞬時に放出されて発電ギア269を時計回りに回転させる。この発電ギア269の回転によって発電機40にて発電が行われる。なお、このとき、発電機40が発電した電力は、前述の施錠操作時に発電した電力と同様に直流電流となっているが、その電極の極性は、逆になっている。
即ち、発電機40が発電した電力は、回転体227の上方位置に配置された電磁石54に供給されるが、電磁石54では、電磁石54の左端部がS極、右端部がN極となる磁場が発生する。このように、摘み部7が係合方向(正方向)に操作されたときの発電機40の電極の極性と、摘み部7が脱離方向(逆方向)に操作されたときの発電機40の電極の極性と、が互いに反転するようになっている。
このように物理的な機械の動作を行う回転体227を有する発電装置206cの作動に、操作者の手動操作を利用して発電された電力を用いるため、什器1a全体の電力消費を抑えることができる。
なお、前述のように、操作ギア265と発電ギア269の連係は、操作者が手動操作により摘み部7を回転させて動作体207が所定量移動されたときになされるようになっている。即ち動作体207は、手動操作により案内部214に沿って動作され、案内部214における回転体227から離れた領域を動作体207が動作中に、操作ギア265と発電ギア269の連係が行われ、動作体207の移動に伴うストロークの一部の動作を機械的エネルギーとしてコイルバネ225が蓄えるようになる。
このようにすることで、回転体227が、動作体207を規制する向き、またはその規制が解除される向きのいずれにあっても、コイルバネ225に、動作体207の移動に伴うストロークの一部の動作を機械的エネルギーとして蓄えさせることができ、かつ操作ギア265と発電ギア269の連係状態が断たれて放出された機械的エネルギーを用いて発電機40により発電が行われ、回転体227の向きが切り換わるときに、動作体207は回転体227から離れた領域にあるため、回転体227の回転が動作体207により邪魔される虞がなくなる。
なお、発電ギア269は、摘み部7の移動に伴うストロークの一部にて操作ギア265と連係が可能になっており、瞬時放出手段は、コイルバネ225が機械エネルギーを蓄えた状態で発電ギア269と操作ギア265との連係を断つようになっており、機械エネルギーが発電機240にて瞬間的に電力に変換され、電力が電磁石54に直接供給されることで、コイルバネ225がエネルギーを蓄えた状態で、瞬時放出手段により発電ギア269と操作ギア265との連係が断たれ、コイルバネ225に蓄えられた機械的エネルギーが一気に放出されるようになり、機械的エネルギーを瞬間的に電気に変換して、回転体227を作動させる有効な電力を発生させることができ、かつ発電された電力が電磁石54にて即座に消費されるため、電気的なエネルギーの損失を防止しつつ、発電機40で発電された電力を有効に利用することができる。
<発電装置の変形例5>
発電装置の変形例5につき、図55から図59を参照して説明する。図55に示すように、什器201aに設けられた扉202には、扉202を開閉する際に操作者が把持する取手部203が設けられている。図56及び図57に示すように、取手部203には、操作者が取手部203を把持することで回動されるラッチ把持部600が配置されており、このラッチ把持部600から上下方向にラッチロッド601が延設されている。
そして、操作者が扉202を開放しようと取手部203を把持するとラッチ把持部600を介してラッチロッド601が回動される。なお、ラッチロッド601の上下端部には、ラッチ爪602が設けられており、このラッチ爪602が什器201aの本体側に設けられた被係止穴(図示略)に係止されることで、扉202が開放不能に閉鎖されるようになっている。
また、ラッチロッド601は、ラッチ爪602が被係止穴(図示略)に係止される方向にバネ(図示略)等により付勢されており、操作者が取手部203を把持することで、バネ(図示略)の付勢力に抗してラッチ爪602が被係止穴(図示略)から係脱され、扉202が開放可能となる。
また、扉202には、変形例4の発電装置206cと同様の発電装置206cが設けられており、この発電装置206cの摘み部7が取手部203の近傍に配置されている。さらに、図58に示すように、ラッチロッド601には、発電装置206cの動作体207に係止される制御片603が固着されており、動作体207が発電装置206cから突出された状態では、ラッチロッド601が回動不能に規制されている。
図59に示すように、前述した変形例4と同様に、認証手段(図示略)により認証が許可された場合には、操作者の手動操作により摘み部7を回転させれば、動作体207が発電装置206c内に引き戻される。そして、制御片603が動作体207に規制されることなく、ラッチロッド201が回動可能になり、操作者は扉202を開放できるようになる。
なお、前述した変形例4では、扉202を動作体207により直接的に開放不能に閉塞しているが、本変形例5のように、発電装置206cをラッチ機構の一部に組み込んで、発電装置206cの動作体207によりラッチ機構の動作を規制することで、扉202を動作体207により間接的に開放不能に閉塞することができる。
<発電装置の変形例6>
発電装置の変形例6につき、図60を参照して説明する。図60に示すように、変形例6における発電装置206dは、扉202の内部に設けられ、前述した変形例4と同様の摘み部7(操作部)を有しており、扉202の施解錠を行うようになっている。また、発電装置206dは、扉202を開放不能とするためのフック272(係合部材,所定の目的物)を有しており、このフック272が反時計回りに回転移動されることで、その先端部が他方の扉202に形成された受け座208に挿入され、扉202が開放不能になる。
さらに、発電装置206dの取付金具63には、フック272を枢支する枢支軸273が設けられている。なお、フック272は、枢支軸273に枢支されることで、所定の回転範囲(経路)に沿って回転動作が可能となっている。また、枢支軸273に対して摘み部7及び略扇状をなす操作ギア274(動作体)が取り付けられている。そして、操作ギア274の回転範囲を規制する規制ピン276が取付金具63に設けられており、操作ギア274は、規制ピン276によって360°以上回転できないようになっている。
そして、摘み部7と操作ギア274とフック272とは、枢支軸273を介して互いに相対的に固定されており、操作者が摘み部7を、反時計回り(係合方向,正方向)または時計回り(脱離方向,逆方向)に回転操作することで、操作ギア274とフック272とが枢支軸273を中心として回転されるようになっている。
また、操作ギア274の右方位置には、発電ギア277が設けられている。この発電ギア277は円形状をなし、発電ギア277の歯部278は、発電ギア277の円周上において、操作ギア274の歯部275と係合する範囲にのみ配置されている。なお、この発電ギア277は、発電機40(発電部)の駆動軸271を中心として回転されるようになっている。さらに、この発電機40の駆動軸271には、ゼンマイ式の回転蓄積装置279が設けられている。なお、発電ギア277及び回転蓄積装置279によって変形例4におけるエネルギー蓄積手段を構成している。
さらに、この回転蓄積装置279は、例えば、操作ギア274から回転力を伝達された発電ギア277が、時計回りに回転した際には、その回転力をゼンマイバネ(図示略)に蓄えることができ、その後、蓄えられた回転力を放出する際には、加わった回転力の方向と逆向きに放出し、反時計回りに発電ギア277を回転させることができる。なお、操作ギア274から回転力を伝達された発電ギア277が、反時計回りに回転した際には、その後、蓄えられた回転力を放出する際には、加わった回転力の方向と逆向きに放出し、時計回りに発電ギア277を回転させることができる。
また、操作ギア274の下方位置には、回転体280(規制部材)と電磁石54(磁力切換手段)が配置されている。回転体280は、変形例4と同様に略円形状をなしているが、回転体280の切欠部281は、操作ギア274の移動方向に合わせて湾曲された形状に切り欠かれている。
操作者が摘み部7を手動操作して操作ギア274が回転されると、操作ギア274が所定量回転された位置で、操作ギア274の歯部275が発電ギア277の歯部278と係合されて、操作ギア274と発電ギア277とが連係される。また、回転蓄積装置279のゼンマイバネ(図示略)に操作ギア274に加わる回転力が蓄積される。その後、操作ギア274がさらに所定量回転された位置で、操作ギア274の歯部275が発電ギア277の歯部278から外れ、互いにギア238,241の連係状態が断たれる(非連係状態)。そして、ゼンマイバネが有する復元力により一気に回転蓄積装置279に蓄えられた回転力(機械的エネルギー)が瞬時に放出されて発電ギア277が回転される。
この発電ギア277の回転によって発電機40にて発電が行われる。なお、操作ギア274の歯部275が発電ギア277の歯部278から外れ、互いにギア238,241の連係状態が断たれることで、変形例4における瞬時放出手段が構成されている。
このように、操作者の手動操作による操作ギア274の回転移動に伴うストロークの一部が、一旦エネルギー蓄積手段としてのゼンマイ式の回転蓄積装置279に機械的エネルギーとして蓄えられて、この蓄えられた機械的エネルギーが瞬時放出手段により瞬時に放出されるため、操作者が手動操作する操作具合によって、回転蓄積装置279の機械的エネルギーの放出態様が変化することが防止され、安定した発電量を確保することができ、発電された電力により作動する作動部としての回転体280に不具合が生じることを防止できる。
次に、エネルギー蓄積手段及び瞬時放出手段のバリエーションについて図61から図66を参照して説明する。
図61(a)は、エネルギー蓄積手段のバリエーション1の発電ギア282であり、この発電ギア282は、発電装置の変形例2または4に適用することができる。この発電ギア282の左右端部には、変形例2または4のコイルバネの代わりに、巻きバネ283が取り付けられている。
また、発電ギア282に左右に横長に形成された長孔284が設けられており、巻きバネ283の端部は、この長孔284に取り付けられるとともに、巻きバネ283の他方の端部は、発電ギア282以外の所定部材に固定される。そして、巻きバネ283の端部は、長孔284内で相対的に移動可能になっており、発電ギア282が反時計回り(係合方向,正方向)(図61(b)参照)または時計回り(脱離方向,逆方向)(図61(c)参照)に回転することができ、この発電ギア282及び巻きバネ283によってエネルギー蓄積手段を構成できる。
また、このバリエーション1では、発電ギア282に2つの巻きバネ283を取り付けているが、バリエーション2として図62に示すように、発電ギア285に1つの巻きバネ286を取り付けてもよい。この巻きバネ286の一方の端部は、発電ギア285に対して固定的に取り付けられ、巻きバネ286の他方の端部は、発電ギア285以外の所定部材に固定される。そして、発電ギア285が反時計回り(係合方向,正方向)または時計回り(脱離方向,逆方向)のいずれに回転させても巻きバネ286の弾性にエネルギーを蓄積できる。
また、図63(a)に示すようにバリエーション3として、発電ギア287の左右端部に板バネ288を取り付けて、エネルギー蓄積手段を構成してもよい。バリエーション3における発電ギア287の左右端部には、切り込まれた切込部289が形成されており、板バネ288の一方の端部は、発電ギア287の切込部289に挟み込まれているとともに、板バネ288の他方の端部は、発電ギア287以外の所定部材に固定される。そして、図63(b)に示すように、発電ギア287が回転されると、板バネ288が弾性変形してエネルギーを蓄えるようになっている。
また、前述した発電装の変形例2または4では、発電ギアと操作ギアとが互いが有する歯部同士が係合されることによって連係状態となり、該歯部同士が外れることで、発電ギアと操作ギアの連係状態が断たれる(非連係状態)ようになっているが、発電ギアと操作ギアとを連係状態及び非連係状態にするのは、該歯部を有する発電ギア及び操作ギアのみならず他の態様も適用できる。
例えば、バリエーション4として図64(a)に示すように、前述した発電ギア及び操作ギアの代わりに発電円板290及び操作円板291を用いることができる。この発電円板290は、変形例4の発電装置と同様の発電機40に接続されており、操作円板291は、摘み部に接続されている。そして、操作円板291の外周部の一部には、ゴム部材292が設けられている。摘み部が操作されて操作円板291が回転を始めて、ゴム部材292が発電円板290の外周部に接触すると(図64(b)参照)、発電円板290が操作円板291の回転につられて回転を始める(図64(c)及び図64(d)参照)。
すると、発電円板290に取り付けられたバネ部材(図示略)にエネルギーが蓄えられる。さらに、操作円板291がさらに回転されるとゴム部材292が発電円板290の外周部から外れて、発電円板290のバネ部材(図示略)に蓄えられたエネルギーによって発電円板290が逆方向に回転されてエネルギーが放出される(図64(e)参照)。このように、バネ部材が取り付けられた発電円板290と、ゴム部材292が取り付けられた操作円板291とで、本発明のエネルギー蓄積手段及び瞬時放出手段を構成することができる。
また、バリエーション5として図65(a)に示すように、発電円板293にその外周部の2箇所を切り欠いた切欠部294を形成し、この切欠部294に係合される操作棒295を設けるようにしてもよい。この発電円板293は、変形例4の発電装置と同様の発電機に接続されており、操作棒293は、摘み部に接続されている。摘み部が操作されて操作棒295が回転を始めて、その先端部が発電円板293の一方の切欠部294に係合すると(図65(b)参照)、発電円板293が操作棒295の回転につられて回転を始める(図65(c)及び図65(d)参照)。
すると、発電円板293に取り付けられたバネ部材(図示略)にエネルギーが蓄えられる。さらに、操作棒295がさらに回転されるとその先端部が発電円板293の切欠部294から外れて、発電円板293のバネ部材(図示略)に蓄えられたエネルギーによって発電円板293が逆方向に回転されてエネルギーが放出される(図65(e)参照)。このように、バネ部材が取り付けられた発電円板293と操作棒295とで、本発明のエネルギー蓄積手段及び瞬時放出手段を構成することができる。なお、操作棒295が逆方向に回転される際には、発電円板293の他方の切欠部294に係合され、発電円板293が操作棒295の回転につられて回転するようになっている。
また、前述した発電ギア及び操作ギアでは、回転運動によりエネルギーの蓄積及びその瞬時放出を行っているが、回転運動以外にも直線運動によりエネルギーの蓄積及びその瞬時放出を行うようにしてもよい。例えば、バリエーション6として図66(a)に示すように、摘み部が操作されることで駆動されるベルト部材296が設けられ、このベルト部材296の一部に突起を有する凸部材97を取り付けるようにし、この凸部材297が係合される凹部が形成された凹部材298にコイルバネ299を取り付けるようにしてもよい。
図66(b)に示すように、摘み部が操作されると、ベルト部材296の駆動とともに、凸部材が移動され、この凸部材297に係合されている凹部材298も一緒に移動される。このときコイルバネ299が圧縮されてエネルギーが蓄えられる。そして、所定量移動された後、凸部材297がベルト部材296の移動とともに下方に移動されて、凸部材297の突起が凹部材298から外れるようになる。すると、コイルバネ299の蓄えられたエネルギーが放出されるようになる(図66(c)参照)。このように、コイルバネ299が取り付けられた凹部材298と、摘み部により駆動されるベルト部材296に取り付けられた凸部材297とで、本発明のエネルギー蓄積手段及び瞬時放出手段を構成することができる。
以上、本発明の変形例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら変形例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記変形例では、オフィス等に設置される什器1aの扉102に対して本発明が適用された発電装置206が設けられているが、発電装置206は、什器1aの扉102のみならず、什器等に設けられる引出し2や蓋体の施錠装置、または、什器のみならず、家屋の玄関のドアや窓等を施錠する施錠装置、及び人間による手動操作と相俟って電気を必要とする機械器具などに広い分野に適用できることは明らかである。
また、前記変形例では、突起253,254を利用して接続スイッチ256,257を作動させているが、エンコーダ等の位置検出によってスイッチのON、OFFを行ってもよい。
また、前記変形例では、圧電素子とコンデンサを用いているが、これらの装置に代えて適宜その他の発電装置や蓄電装置を用いることができることは明らかである。
なお、前記変形例では、手動による操作の例を説明したが、手動以外のエネルギーを使用することもできる。
また、前記変形例1および2において、出力部が回転体を回動して施錠操作を行い、本発明の発電手段からの電力により出力動作を行う操作出力手段を、例えば、表示手段にし、操作手段として摘み部を手動により回動すれば、アラームや警告灯を作動させるようにしても良い。このようにすれば、摘み部の操作を緩慢に行っても、確実にアラームや警告灯を作動させることができ、効果的である。
また、本発明の発電手段からの電力により出力動作を行う操作出力手段を、例えば、記憶手段にし、操作手段として摘み部を手動により回動すれば、その操作回数を記録し、カウンターとして利用することができる。
また、本発明における操作手段は、発電と係合部材の移動を一方向の移動動作によって実現するようになっているが、この一方向の移動動作とは、直線状の一方向へ動作することのみならず、回転動作や、水平に移動した後に向きを変えて垂直方向に移動する動作などの直線状に2方向以上に渡る場合であっても、一連の完結された動作であれば、一方向の移動動作に含まれる。
また、前記変形例では、本発明の発電装置が施解錠装置として適用されているが、その他の用途にも適用できる。例えば、本発明の発電部が発電した電力を用いて、什器に設けられたセキュリティセンサを動作させたり、報知ランプを作動させたりしてもよい。このように、オフィス等に設置される什器のみならず、その他の用途にも本発明を適用することができる。
また、前記変形例では、手動操作に用いる操作部として什器に設けられる摘み部を例示ており、摘み部の回転に伴うストロークの少なくとも一部の動作を機械的エネルギーとして蓄えているが、操作部は什器の摘み部以外にも適用できる。例えば、什器の取手部を操作部として用いたり、ドアのドアノブを操作部として用いたりしてもよく、これら取手部やドアノブの動作の一部を機械的エネルギーとして蓄えるようにしてもよし、施解錠装置としてのシリンダーキー等を操作部とし、このシリンダーキー等の施解錠動作の一部を機械的エネルギーとして蓄えるようにしてもよい。
<作動機構の変形例>
本発明に係る作動機構を実施するための形態の変形例について以下に説明する。尚、前記変形例または変形例と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する
認証装置と施解錠装置により構成される作動機構の変形例につき、図67から図70および図12から図16並びに図19を参照して説明する。図68に示すように、引出し2の内部には、施解錠装置106が設けられている。この施解錠装置106は、前述した摘み部7を有しており、後述するように、この施解錠装置106が認証装置305とも連動されており、認証装置305により認証が許可された操作者が施解錠を行うことができる。なお、認証装置305と施解錠装置106とにより本変形例における作動装置を構成している。
さらに、施解錠装置106は、引出し2を開放不能にするための矩形状の棒状部材をとなっている動作体107を有しており、この動作体107が係合方向(左方向)に移動されることで、その先端部が什器1の側板16に形成された受け座17(被係合部)に挿入されて係合し、引出し2が開放不能になる。
また、動作体107が解除方向(右方向)に移動されることで、その先端部が什器1の側板134の受け座108から脱し、引出し2が開放可能になる。そして、図70に示すように、認証装置305は、操作者が暗証番号を入力するためのテンキー9と、認証が許可されたか否かを表示するインジケータ310と、パネル状をなす太陽電池3(第1電力供給部)と、これらが接続された制御部35(第1被供給部)と、を備えている。なお、テンキー9とインジケータ310と太陽電池3とは、引出し2の前面板11の前面に設けられている(図67及び図68参照)。
次に、施解錠装置106について詳述する。図69及び図12に示すように、施解錠装置106は、引出し2の前面側を閉塞する前面板11に内蔵されており、この施解錠装置106は、前面板11内に固定的に配置された取付金具63をベースとしている。この取付金具63には、動作体107を直線状に案内するために、上下2条の凸条で形成される案内部114(経路)が設けられている。この案内部114に沿って動作体107が左右方向に移動可能となっている。
前述した摘み部7は、正面視で略円形状をなし、前面板11の前面に設けられた摘み配置部材115内に配置されている。そして、この摘み部7の後面側には、摘み部7の回転と同時に回転される操作ギア116が設けられている。この操作ギア116の歯部117は、円形状をなす操作ギア116の円周上の一部に形成されている。なお、摘み部7と操作ギア116とは、連動軸118により相対的に固定されている(図69参照)。また、操作ギア116の後面側には、操作ギア116の円周近傍に設けられた操作ピン119が設けられている。
図12に示すように、動作体107には、操作ピン119が係合するための上下に延びる長孔120が形成されている。操作者が摘み部7を回転操作させることで操作ギア116が周方向に回転するようになり、それに伴って操作ピン119の位置が操作ギア116の回転に伴って移動され、操作者の手動操作力が操作ピン119を介して長孔320から動作体107に伝達される。本変形例では、操作者が摘み部7を反時計回りに回転させることで、動作体107が係合方向(左方向)に移動するとともに、操作者が摘み部7を時計回りに回転させることで、動作体107が脱離方向(右方向)に移動するようになっている。
また、施解錠装置106の取付金具63の後部には、発電機40(第2電力供給部,手動発電部)が取り付けられている(図69参照)。この発電機40は直流電流を発電するようになっている。そして、操作ギア116の上方位置には、発電機40を駆動する発電ギア122が設けられている。なお、この発電ギア122は、発電機40の駆動軸124に対して相対的に固定されており、発電ギア122は、駆動軸124を中心として回転されるようになっている。この発電ギア122には、その全周に歯部123が形成されており、操作ギア116の歯部117が係合されるようになっている。
さらに、発電ギア122は、その左右端部に弾性を有する弾性部材として構成される左右一対のコイルバネ125が取り付けられている。なお、コイルバネ125の一端は、発電ギア122に取り付けられるとともに、コイルバネ125の他端は、取付金具63に取り付けられている。また、この発電ギア122は、その周方向に回転自在になっているが、左右両コイルバネ125の付勢力によって、発電ギア122は、その周方向の定位置に安定的に保持されるようになっている。
さらに、案内部114の右端側近傍には、回転軸126により回転自在となっている略円形状をなす回転体127(規制部材)が設けられている。この回転体127は、その一部が直線状に切り欠かれて切欠部128が形成されている。図12に示すように、回転体127が回転され、その切欠部128が下方位置にあるときには、動作体107が最右方側の脱離位置まで移動できる。図19に示すように、回転体127が回転され、その切欠部128が上方位置にあるときには、回転体127の一部が案内部114の内部に配置されるようになり、動作体107が回転体127に接触してその移動動作が規制(ロック)されるようになっている。
図12に示すように、回転体127の内部には、磁性を有する永久磁石53(磁性部材)が設けられている。この永久磁石53に外部から磁力が加わることで、回転体127が回転されるようになっている。なお、回転体127の切欠部128が下方位置にあるときに、永久磁石53の磁極の向きは、左方側がN極で右方側がS極となっている。そして、回転体127の上方位置には、回転体127に磁力を加える電磁石54(第2被供給部)が配置されている。この電磁石54は、鉄心の周りに銅線により形成されたコイルを配置したものとなっている。
図70に示すように、発電機40の2つの電極331、331からそれぞれ電線357、332が延びており、この2本の電線537、332を介して発電機40が電磁石54のコイルに接続されている。なお、この2本の電線357、332のうち、一方の電線357は、その途中で分岐され、かつ分岐後に再び合流されるように分離された分岐線332a、332bを有している。この2つの分岐線332a、332bには、それぞれの分岐線332a、332bを流れる電流の方向を一方向にする整流器361,336が設けられている。そして、分岐線332a、332bを流れる電流は、正方向または逆方向の異なる方向に流れるようになっている。なお、この分岐線332a、332bにより、正方向または逆方向に電流を流す少なくとも2系統が構成される。
そのため、操作者が施錠操作を行う際には、特に認証装置305にて認証を行う必要はない。操作者が施錠操作を行う際には、先ず操作者は摘み部7を反時計回りに回転させる。そして、摘み部7の回転に伴い操作ギア316が回転されることで、動作体107が係合方向(左方向)に移動される。
図13に示すように、動作体107が所定量移動されたとき、即ち操作ギア116が所定量回転されたときに、操作ギア116の歯部317が発電ギア122の歯部123と係合し、互いに連係されるようになっている。そして、操作ギア116の反時計回りの回転とともに、発電ギア122が時計回りに回転される。この発電ギア122の回転とともに、発電ギア122の左右のコイルバネ125が延び始める。
そして、操作者の手動操作により摘み部7を回転させて操作ギア116が回転され続けることで、摘み部7に加わる手動操作によるエネルギーがコイルバネ125を延ばすようになる。このコイルバネ125には、動作体107の移動に伴うストローク、即ち摘み部7の回転に伴うストロークの一部の動作が、コイルバネ125の延長という機械的エネルギーとして蓄えられる。
図14に示すように、さらに操作ギア116が所定量回転されると、操作ギア116の歯部117が発電ギア122の歯部123から外れ、互いにギア116,122の連係状態が断たれる。そして、コイルバネ125が有する復元力により一気にコイルバネ125が短縮し、コイルバネ125に蓄えられた機械的エネルギーが瞬時に放出されて発電ギア122を反時計回りに回転させる。
また、発電機40が発電した電力は、回転体127の上方位置に配置された電磁石54に供給される。そして、通電された電磁石54は一時的に磁化されて、電磁石54の左端部がN極、右端部がS極となる磁場が発生する。このとき、電磁石54が発生せる磁力により、回転体127の内部の永久磁石53が磁力の影響を受けて、回転体127が回転軸126と中心として回転され、その向きが切り換わるようになっている。なお、回転体127は180°回転されることで、その向きが切り換わる。なお、動作体107は、回転体127の向きに係らず最左方側の係合位置まで移動できる。
また、操作者が解錠操作を行う際に、分岐線332bを介して発電機40から電磁石54に電流が流れるようになっている。この解錠操作を行う際に分岐線332bを流れる電流を逆方向とすると、この逆方向の電流の流れは、スイッチ部333がOFF状態とされることで通電不能状態となっている。
そのため、操作者が解錠を行う際には、先ず認証装置305にて認証を行う。操作者が暗証番号をテンキー9に暗証番号を入力して認証が許可された場合には、分岐線332bのスイッチ部333がON状態(通電可能状態)となる。その後、操作者は摘み部7を時計回りに回転させる。そして、摘み部7の回転に伴い操作ギア116が回転されることで、動作体107が脱離方向(右方向)に移動される。
図15に示すように、動作体107が所定量移動されたとき、即ち操作ギア116が所定量回転されたときに、操作ギア116の歯部117が発電ギア122の歯部123と係合し、互いにギア116,122が連係されるようになっている。そして、操作ギア116の時計回り回転とともに、発電ギア122が反時計回りに回転される。この発電ギア122の回転とともに、発電ギア122の左右のコイルバネ125が延び始める。
そして、操作者の手動操作により摘み部7を回転させて操作ギア116が回転され続けることで、摘み部7に加わる手動操作によるエネルギーがコイルバネ125を延ばすようになる。このコイルバネ125には、動作体107の移動に伴うストローク、即ち摘み部7の回転に伴うストロークの一部の動作が、コイルバネ125の延長という機械的エネルギーとして蓄えられる。
図16に示すように、さらに操作ギア116が所定量回転されると、操作ギア116の歯部117が発電ギア122の歯部123から外れ、互いにギア116,122の連係状態が断たれる。そして、コイルバネ125が有する復元力により一気にコイルバネ125が短縮し、コイルバネ125に蓄えられた機械的エネルギーが瞬時に放出されて発電ギア122を時計回りに回転させる。この発電ギア122の回転によって発電機40にて発電が行われる。
即ち、発電機40が発電した電力は、回転体127の上方位置に配置された電磁石54に供給されるが、電磁石54では、電磁石54の左端部がS極、右端部がN極となる磁場が発生する。このように、摘み部7が係合方向に操作されたときの発電機40の電極の極性と、摘み部7が脱離方向に操作されたときの発電機40の電極の極性と、が互いに反転するようになっている。
そして、電磁石54が発生せる磁力により、回転体127の内部の永久磁石53が磁力の影響を受け、回転体127が回転軸126と中心として回転され、回転体127の向きが切り換わった後は、回転体127の切欠部128が下方位置に配置され、動作体107が脱離位置まで移動可能となる。操作者は、摘み部7を時計回りに回転させて動作体107を脱離位置まで移動させることで、什器1と引出し2が開放可能となる。
なお、操作者が解錠操作を行う際には、先ず認証装置305にて認証を行うようになっているが、認証装置305において、操作者が暗証番号をテンキー9に暗証番号を入力して認証が不可だった場合には、発電機40と電磁石54との間の分岐線332bのスイッチ部333がOFF状態(通電不能状態)となる(図70参照)。この状態で操作者が摘み部7を回転させると、操作ギア116及び発電ギア122は回転されるようになっているが、スイッチ部333がOFF状態(通電不能状態)であるため、電磁石54が通電されることはなく、回転体127が回転されないようになっている。
例えば、図19に示すように、認証装置305において認証が不可だった場合には、操作者が解錠を行う際に摘み部7を操作しても、動作体107の端部が回転体127に接触してその移動が規制されるようになっている。この状態では、動作体107の先端部は、什器1の側板134の受け座108(被係合部)に挿入されて係合された状態となっており、引出し2を開放することができない。
以上、本変形例における什器1では、認証装置305は、認証動作とスイッチ部333に供給される電力のON/OFF状態の切り換えのみを行うため、認証装置305が省電力で動作できるようになり、かつ物理的な動作を行う施解錠装置106に供給される電力は、認証装置305に供給される電力と別電源とすることができ、施解錠装置106に供給される充分な電力量を確保できるようになる。
また、認証装置305は、スイッチ部333のON/OFFの制御を行い、回転体127による動作体107の動作の規制または非規制の少なくとも一方が許容されることで、動作体107の動作の規制または非規制を選択的に行うことができるとともに、動作体107が行う動作は、摘み部7の操作に応じて決定されるため、認証装置305若しくは別途の記憶装置により、動作体107の動作態様を記憶しておく必要がなく、什器1の省電力化を図ることができる。
また、回転体127による動作体107の動作の規制または非規制の選択は、摘み部7の操作に応じて決定され、認証装置305は、発電機40から電磁石54に供給される電力の流れのいずれか一方の流れの許容の制御を行い、該電力の他方の流れは常に許容されるようになっているため、認証装置305は、動作体107の動作の規制または非規制のいずれか一方を制御するだけで済み、認証装置305若しくは別途の記憶装置により、回転体127の状態を記憶しておく必要がなく、什器1の省電力化を図ることができる。
また、2系統の電力線(分岐線332a、332b)と整流器361、336という簡素な構成で、動作体107の規制または非規制を行う施解錠装置306を構成でき、認証装置305は、1系統の分岐線59のスイッチ部333を制御するだけで済み、認証装置305は、発電機40から電磁石54に供給される電力の流れの方向を把握する必要がなく、什器1の省電力化を図ることができる。
以上、本発明の変形例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら変形例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
<認証装置の変形例>
本発明に係る認証装置を実施するための形態の変形例1および2について以下に説明する。尚、前記実施例または変形例と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
<認証装置の変形例1>
認証装置の変形例1につき、図71から図73を参照して説明する。本変形例1における認証装置405は、操作者が暗証番号を入力するためのテンキー9(入力部)と、暗証番号を設定(変更)する際に入力者が自身の入力した暗証番号が表示されるインジケータ104(表示部)と、パネル状をなす太陽電池3と、これらが接続された制御部(図示略)と、を備えている。なお、テンキー9と太陽電池3とは、引出し2の前面板11の前面に設けられている(図71及び図72参照)。さらに、インジケータ104は、引出し2の前面板11よりも内部側に設けられている(図73)。
次に、本変形例におけるインジケータ104について図73、図710及び図73を参照して詳述する。前述したように、インジケータ104は、引出し2の前面板11よりも内部側に設けられている。引出し2を開閉する前面板11の内部側は、正しい暗証番号を入力部に入力して認証装置405により許可された者のみがアクセスできる領域となっており、この領域にインジケータ104が設けられることで、引出し2を開放する前には、一切インジケータ104を見ることはできなくなり、ショルダーハッキングを防止することができ、かつ入力者が自身の入力した暗証番号が正しいか否かを確認する必要がある暗証番号を設定する際には、引出し2を開放した状態で行えばよく、不用意に他者に暗証番号を盗み見られることがなくなる。
そして、インジケータ104が設けられる高さ位置は、前面板11よりも低い位置に設けられており、引出し2を開放した状態であっても、インジケータ104が正面視で前面板11により隠蔽されるようになっている。そのため、引出し2を開放した状態であっても、他者がインジケータ104を視認することが困難になり、不用意に他者に暗証番号を盗み見られることがなくなる。
また、認証装置405の制御部(図示略)は、暗証番号を設定(変更)するときのみ、インジケータ104に暗証番号が表示されるようにし、それ以外の状態では、インジケータ104に暗証番号が非表示となる制御を行うようになっている。つまり、通常使用時において、前述した認証操作等がなされても、暗証番号は表示されておらず、引出し2を開放した状態であっても、非表示のままとなっている。そして、暗証番号を設定(変更)する際には、入力者が自身の入力した暗証番号が正しいか否かを確認する必要があるため、入力した暗証番号がインジケータ104に表示されるようになっている。
このようにすることで、正しい暗証番号を入力部に入力して認証装置405により許可された者が引出し2を開放した状態で、他者が引出し2を使用(アクセス)しても、インジケータ104は非表示となっており、暗証番号を見ることができなくなり、かつ入力者が自身の入力した暗証番号が正しいか否かを確認する必要がある暗証番号を設定する際には、インジケータ104に暗証番号が表示されるため、不用意に他者に暗証番号を盗み見られることがなくなる。
また、インジケータ104は、その表示面が上方を向くように引出し2の内部に配置されている。このようにすることで、引出し2を開放した状態であっても、引出し2を上方から覗き込まない限り、インジケータ104の表示面が視認できなくなり、不用意に他者に暗証番号を盗み見られることがなくなる。
<認証装置の変形例2>
認証装置の変形例2につき、図74を参照して説明する。図74に示すように、引出し2の前面板11の上面にインジケータ104を設けるようにし、什器1の天板438の前端縁でインジケータ104を隠蔽するようにしてもよい。このように、本発明における前面板11よりも内部側とは、前面板11により収納部である引出し2を閉塞した状態で見えなくなる位置を示している。そして、インジケータ104を前面板11に設けるのみならず、引出し2を閉塞した状態で見えなくなり、引出し2を開放した状態で見える位置であれは、インジケータ104を引出し2のその他の部位に設けるようにしてもよい。
以上、本発明の変形例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら変形例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
<太陽電池の配設の変形例>
本発明に係る太陽電池の配設の変形例1〜5について以下に説明する。尚、前記実施例または変形例と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
<太陽電池の配設の変形例1>
太陽電池の配設の変形例1につき、図75および図77を参照して説明する。図75および図77に示すように、太陽電池3は、側面視で三角形状をなし引出し2の前面板11に配置される配置部537の表面に配設されている。そして、配置部537の下辺には、前述した取手部503’が設けられおり、使用者は、この配置部537の下辺を把持して引出し2を引き出すようになっている。
このように、太陽電池3の受光面が上方に向くように傾斜されて前面板11の前面に設けられることで、照明機器の光を用いて太陽電池3が効率的に発電を行うことができる。また、テンキー9及びインジケータ104が引出し2の正面側にいる操作者に向くようになるため、テンキー9を使用し易くなるとともに、インジケータ104を視認し易くなる。なお、引出し2の上端は、什器1の天板538と同じ高さ位置まで突出されており、前面板11の前面の表面積を増やすことができ、かつ太陽電池3に天板538の前端縁の陰が生じることがなくなる。
以上、本変形例における什器1では、引出し2の前面板11に太陽電池3を設けることで、スライド移動される引出し2と什器1の他の部位との間に、認証装置4に電力を供給する配線等を設ける必要がなくなり、認証装置4を内蔵した引出し2を備える什器1の製造及びメンテナンスが容易になるとともに、受光面を引出し2の前面板11から上方に向けることで、大きな受光面積を確保しつつ、屋内の天井に設置された照明機器から照射される光を受光し易くすることができ、かつ引出し2の前面板11に太陽電池3が固定的に設けられることで、引出し2の開閉によっても太陽電池3がぐらつく虞がなく、長期間の使用に耐えられる什器1とすることができる。
また、屋内の天井に設置された照明機器から照射される光は、深い角度で什器1に向かって入射されるため、太陽電池3の受光面が上方に向くように傾斜されて前面板11の前面に設けられることで、照明機器の光の入射方向を太陽電池3の受光面に対して垂直に近付けることができ、照明機器の光を用いて太陽電池3が効率的に発電を行うことができる。
<太陽電池の配設の変形例2>
太陽電池の配設の変形例2につき、図78から図82を参照して説明する。図78のバリエーション1の引出し2では、その前面板11の前面に太陽電池3の上辺が固着されており、この太陽電池3自体が、その受光面が上方に向くように傾斜されている。このようにすることで、前面板11に前述のような配置部537を形成せずに済むようになる。
図79のバリエーション2の引出し2では、その前面板11の前面が前方に膨出するように湾曲された湾曲面539となっており、この前面板11の湾曲面539に沿って受光面が湾曲された太陽電池3が設けられている。このようにすることで、太陽電池3が前面板11から大きく前方に突出されずに、その受光面の面積を拡大することができ、照明機器の光を用いて太陽電池3が効率的に発電を行うことができる。
図80のバリエーション3の引出し2では、その前面板11の上端縁近傍が切り欠かれて傾斜面540が形成されており、この傾斜面540に太陽電池3が配置されている。このようにすることで、前面板11を前方に突出させずに、受光面が上方を向く太陽電池3を設けることができる。
図81のバリエーション4の引出し2では、その前面板11の上端縁が前方に突出され、前面板11の上面の面積が増やされている。そして、この前面板11の上面に、受光面が上方を向く太陽電池3が設けられる。屋内の天井に設置された照明機器から照射される光は、ほぼ垂直の深い角度で什器1に向かって入射されるため、太陽電池3の受光面が上方に向くように前面板11の上面に設けられることで、照明機器の光の入射方向を太陽電池3の受光面に対して垂直に近付けることができ、照明機器の光を用いて太陽電池3が効率的に発電を行うことができる。
図82のバリエーション5の引出し2では、その前面板11の側面及び上面に太陽電池3が設けられている。このように、前面板11の上面及び側面を利用して太陽電池3を設けることで、前面板11を正面視の見映えを向上させることができる。なお、前面板11の上面または側面のいずれか一方に太陽電池3を設けるようにしてもよい。さらになお、前面板11の上面、側面及び前面の全ての面に太陽電池3を設けるようにすれば、前面板11の表面積を最大限利用して太陽電池3の受光面積を確保できる。
なお、窓から室内に太陽光が入射された場合、この窓から室内に入射される太陽光は、屋内の天井に設置された照明機器から照射される光と比較して、浅い角度で什器1に向かって入射される場合が多く、この太陽光が什器1の前面板11に設けられた太陽電池3の受光面により反射されて什器1の正面側にいる事務員の目線や事務作業を行う机上に入射されて事務作業の邪魔になることがある。しかしながら、本変形例における什器1では、この太陽光が什器1の前面板11に設けられた太陽電池3の受光面により反射されても、太陽電池3の受光面が前面板11から上方または側方の方向に向けられていることで、反射された太陽光が、什器1の正面側に着席している事務員の目線や事務作業を行う机上に入射され難くなり、反射された太陽光が、事務員の事務作業の邪魔になることを防ぐことができる。
<太陽電池の配設の変形例3>
太陽電池の配設の変形例3につき、図83から図85を参照して説明する。図84および図85に示すように、太陽電池3は、引出し2の前面板11に対して左右水平方向に延びた軸回りに180度回動可能なヒンジ部72を介して、引出し2の前面板11に配設されている配置部材73上に配置されている。
さらに、図86に示すように、ヒンジ部72は、長方形の板状に形成された配置部材73の上方の長辺部の左右端に形成された軸受け部74と什器1の引出しの前面板の上部に固定された軸受け部材75と、軸受け部74と軸受け部材75とに支持され中空に形成された棒状のシャフト76により構成されている。そして、軸受け部材75と軸受け部74とにシャフト76がその径方向に摺動可能に挿入されることで、シャフト76の中心軸を本発明の回動軸線として太陽電池3が回動可能になる。
また、引出し2の前面板11に固定された軸受け部材75には、引出し2の内部に貫通する貫通孔77が設けられている。中空状のシャフト76の内部と貫通孔77を介して電気配線78が引出し内部に導かれて認証装置4に接続される。すなわち、シャフト76の中空部分が本発明の太陽電池と電気機器とを接続する電気配線を収納する配線収納部を構成する。
また、ヒンジ部72の下方の前面板11には、側面視で直角三角形をなし、その斜辺が太陽電池3の配置部材73の底面に接触されるように形成された支持部79が設けられている。この支持部79は本発明の支持部を構成しており、太陽電池3の受光面が少なくとも什器1の前上方に向けた状態で支持され、この状態では例えば屋内の天井照明光を採り入れ易くなっている。なお、支持部79は前面板11から突出するように形成された1本または複数の棒状の部材でも、板状に形成された部材で構成されてもよいし、あるいは、太陽電池3の受光面が什器1の前上方に向けた状態で支持されるように、ヒンジ部に回動を所定角度で規制する規制部を設けても構わない。
このように、太陽電池の受光面を机の天板と平行な位置まで回動自在とする回動手段を介して太陽電池3が什器に設けられるので、屋内の天井光K2が什器1の周辺にない場合であっても、ヒンジ部72(回動手段)により机70の天板71と平行な位置まで太陽電池3の受光面を向けることで、机70の天板上のデスクライトや液晶モニタ等の机上光K1を効率よく受光させて、太陽電池3に確実に発電をさせることができる。
また、ヒンジ部72(回動手段)により太陽電池3の受光面が机70の天板71の上方部に向くように回動させることで、太陽電池3の受光面を机上照明としてのデスクライトSや液晶モニタ等の机上光K1に向けて、太陽電池3に光をより多く受光させることができる。
また、ヒンジ部72(回動手段)に形成された空間(配線収納部)に、太陽電池3と認証装置4(電気機器)とを接続する電気配線78が収納されるので、回動される太陽電池3と引出しの間に、電気配線等を設ける必要がなくなり、太陽電池3を有する引出し2(収納部)を備える什器1の製造及びメンテナンスが容易になるとともに、太陽電池3を回動させて使用している際に電気配線78が外部に露出されて切断される等の故障が生じることを防止できる。
また、ヒンジ部72(回動手段)により水平に延びる回動軸線を中心にして太陽電池3の受光面を回動させることで、デスクライトや液晶モニタ等が机70の天板71の奥方に置かれている場合であっても、什器1の上後方に太陽電池3の受光面を向けることで、太陽電池に机70の上の机上光K1から発せられる光を、より多く受光させて発電をさせることができる。
また、支持部79によって太陽電池3の受光面が什器1の前上方に向けられた状態で支持されるので、什器1の上方周辺に屋内の天井照明等の光源がある場合には、太陽電池に屋内の天井光K2を効率的に受光させることができる。
さらに、引出し2の前面板11に中空状のヒンジ部72を介して太陽電池3を設けることで、スライド移動される引出し2と什器1の他の部位との間に、太陽電池3から認証装置4に電力を供給する配線等を設ける必要がなくなり、認証装置4を内蔵した引出し2を備える什器1の製造及びメンテナンスが容易になるとともに、太陽電池3の受光面を引出し2の前面板11の前面から回動させて、机70の天板71の上方部さらには什器1の後方に向けて、机70の天板上、特に奥方に設置された照明機器から照射される机上光K1を受光し易くすることができる。
また、屋内の天井や机上に設置された照明機器から照射される光は、深い角度で什器1に向かって入射されるが、回動手段により太陽電池3の受光面を回動可能にすることで、天井光K2や机上光K1の入射方向を太陽電池3の受光面に対して垂直に近づけることができ、天井光K2や机上光K1を用いて太陽電池3が効率的に発電を行うことができる。
なお、窓から室内に太陽光が入射された場合、この入射される太陽光は、屋内の天井に設置された照明機器から照射される天井光K2と比較して、浅い角度で什器1に向かって入射される場合が多く、この太陽光が什器1の前面板11に設けられた太陽電池3の受光面により反射されて什器1の正面側にいる事務員の目線や事務作業を行う机上に入射されて事務作業の邪魔になることがある。しかしながら、本変形例における什器1では、この太陽光が什器1の前面板11に設けられた太陽電池3の受光面により反射されても、太陽電池3の受光面を前面板11から上方または側方の任意の方向に向けられることで、反射された太陽光が、什器1の正面側に着席している事務員の目線や事務作業を行う机上に入射され難くなり、反射された太陽光が、事務員の事務作業の邪魔になることを防ぐことができる。
<太陽電池の配設の変形例4>
太陽電池の配設の変形例4につき、図87および図88を参照して説明する。図87に示すように、本変形例の太陽電池3は、側面視で底面が円弧凸形状を成すスライド移動可能な配置部材80の上面に配設されている。この配置部材80は、正面視で太陽電池3とほぼ等しい大きさの長方形に形成されているとともに、側面視で略90度の円弧凸形状の底面を有している。また、配置部材80の底面には、円弧凸形状の底面の周方向に形成された直線状の係合孔81が平行に2つ形成されている(図88参照)。さらに、配置部材80の内部は空洞になっており、太陽電池3から錠装置8の認証装置4に電力を供給するための電気配線78の一部を収納できるようになっている。
また、引出し2の前面板11の上部は、前板面と天板面との交差線を中心にして円弧状に切り欠かれたように凹形状に加工されており、円弧状の湾曲面を有し配置部材80が配置される基台部82が設けられている。引出し2側の基台部82の上面には、配置部材80の係合孔81に対応する位置に、配置部材80の係合孔81に係合され棒状に突出形成された係合棒83が2つ設けられている。この係合棒83は、係合孔81に沿って摺動可能になっており、前板面と天板面との仮想の交差線96を回動軸線として配置部材80が回動される。係合棒83と係合孔81により本発明の回動手段が構成される。
また、2つの係合棒83の一方には、その上面から引出し2の内部にかけて貫通する貫通孔84が設けられている。この貫通孔84を介して配置部材80の太陽電池3から引出し2内部の認証装置4に電力を供給する電気配線78を導くことができるようになっている。
なお、配置部材80の係合孔81と基台部82の係合棒83との接触面に、導電体をそれぞれ配置して、この導電体を端子として、太陽電池3から認証装置4に電力が供給されるように構成してもよい。このようにすることで、配置部材80と基台部82との間の電気配線を省略でき、配置部材80のスライド移動により電気配線が切れて故障を生じることを防止できる。
これにより、太陽電池3が配置された配置部材80を、什器1の前板面と天板面との交差部を水平な回動軸線96として円弧状に什器1の手前側にスライド移動させて、太陽電池3の受光面を什器1の後方に向けて回動できるので、什器1が机70の天板71の下方や横脇に配置使用されて、天井側の照明機器の天井光K2を受光できない場合であっても、机70の上に置かれた机上照明としてのデスクライトSや液晶ディスプレイなどに太陽電池3の受光面を向けて、デスクライトS等を光源として用いて太陽電池3で効率的に発電を行うことができる。
また、配置部材80をスライドさせずに基台部82内に収納した場合には、基台部82により、太陽電池3の受光面が少なくとも什器1の前上方に向けられた状態で支持され、本発明の支持部が構成されるので、什器1の上方周辺に屋内の天井照明等の光源がある場合には、支持部により太陽電池3の受光面を什器1の前上方に向けておくことで、太陽電池3に屋内の天井光K2を効率的に受光させることができる。
<太陽電池の配設の変形例5>
太陽電池の配設の変形例5につき、図89および図90を参照して説明する。図89に示すように、本変形例のヒンジ部85は、什器1の引出し2の前面板11の上部に軸方向に離間して固定された2つの軸受け部材86と、これ等の軸受け部材86,86の間に配置され中空状に形成されるとともに互いに連通した長い長管部87と短い短管部88によりT字状に形成されたT字管89と、配置部材92の上方の長辺の中央部に形成された軸受け孔93と、2つの軸受け部材86,86にそれぞれ支持され中空状に形成された棒状の第1シャフト90,90と、T字管89の短管部88と軸受け孔93とに支持される中空状の第2シャフト91とにより構成されている。なお、短管部88および第2シャフト91は、机70の天板71の高さに応じて太陽電池3の受光面の高さを適宜調整できるように、伸縮自在に構成されてもよい。
そして、2つの軸受け部材86,86とT字管89の長管部87の内部に第1シャフト90,90が周方向に摺動可能に挿入されるとともに、軸受け孔93とT字管89の短管部88とに架けて第2シャフト91が周方向に摺動可能に挿入される。これにより、太陽電池3が、第1シャフト90の中心を本発明の水平な回動軸として回動可能になるとともに、第2シャフト91の中心を本発明の第2の回動軸線として回動可能になる(図90参照)。
また、T字管89の短管部88と長管部87の接合部には、これらの内部空間が連通するように連通部94が形成されている。さらに、引出し2の前面板11および前面板11に固定された軸受け部材86には、引出し2の内部に貫通する貫通孔77が設けられている。そして、中空状の第1および第2シャフト90、91の内部と貫通孔77を介して電気配線78が引出し2の内部に導かれて認証装置4に接続される。すなわち、第1および第2シャフト90、91の中空部分が本発明の太陽電池と電気機器とを接続する電気配線を収納する配線収納部を構成する。
また、ヒンジ部85の下方側には、側面視で直角三角形をなし、その斜辺が太陽電池3の配置部材92の底面に接触されるように形成された支持部79が設けられており、この支持部79は本発明の支持部を構成しており、太陽電池3の受光面が少なくとも什器1の前上方に向けた状態で支持される。なお、支持部79は前面板11から突出するように形成された1本または複数の棒状の部材でも、板状に形成された部材で構成されても構わない。
このようにすることで、ヒンジ部85によって、太陽電池3は、引出し2の前面板11に互いに直交する第1、第2回動軸線L1,L2を中心として回動可能に連結される。第1回動軸線L1は、前面板11と平行であり、前面板11の左右方向に延びている。また、第2回動軸線L2は、第1回動軸線L1と直交するように配置されている。なお、第2回動軸線L2は、第1回動軸線L1と交差する方向に延びている限り、第1回動軸線L1から離して配置してもよい。また、第2回動軸線L2は、第1回動軸線L1と所定の角度で交差するようにしてもよい。
これにより、第2の回動軸線を中心にして、太陽電池3の受光面が机の天板の側方にも向けられることで、デスクライトや液晶モニタ等の光源が什器1とは反対側の天板上にある場合であっても、回動手段により光源に対して太陽電池3の受光面を向けて、太陽電池3に机上光K1をより多く受光させて発電をさせることができる。
以上、本発明の変形例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら変形例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記変形例3から5では、引出し2に設けられた認証装置4の電源として太陽電池3を用いているが、太陽電池3にて発電した電力を施解錠装置6にも供給して、認証装置4および施解錠装置6の双方の電力を太陽電池3の発電で賄うようにしてもよい。
また、前記変形例では、平面状の太陽電池3を用いているが、太陽電池3の受光面が凹状または凸状に湾曲された太陽電池を用いてもよい。このようにすることで、太陽電池3が前面板11から大きく前方に突出されずに、その受光面の面積を拡大することができ、天井光K2や机上光K1を用いて太陽電池が効率的に発電を行うことができる。
また、前記変形例では、太陽電池3の受光面を引出し2の前面板11に対して90度以上回動可能に構成しているが、太陽電池3の受光面を机の天板面と平行になるように回動させる、すなわち、前面板11に対して90度まで回動可能に構成してもよい。これにより、机上の光源から広がる机上光K1を太陽電池3が効率的に受光することができる。
また、前記変形例では、太陽電池3を引出し2の前面板11にヒンジ部72、85を介して固定しているが、太陽電池3が什器1の収納部の前面部に配置される限り、例えば、ヒンジ部を什器1の側面板95などの引出し2の前面板11以外の所定部材に固定するようにしてもよい。