以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
(実施の形態の原理、概要)
まず、本発明の実施の形態の原理及び概要について、図1〜3を参照して説明する。図1は、本実施の形態の原理及び概要を説明するためのシステム全体構成図である。図1に示すように、本実施の形態のシステムは、中継網300にエッジ装置100、200が接続される構成を有する。各エッジ装置の外側(中継網側でない側)には、ユーザ装置が接続され、各エッジ装置は、ユーザ装置とデータを送受信する。図1の例では、説明の便宜上、エッジ装置100が送信側であり、エッジ装置200が受信側であるものとする。
本実施の形態では、ユーザ装置が送受信するデータは、例えば、映像、Ethernet(登録商標)、ATM、SDH等の非IPトラヒックであり、エッジ装置100のユーザ装置に接続されるインタフェース(入力UNIポートと呼ぶ)と、エッジ装置200のユーザ装置に接続されるインタフェース(出力UNIポートと呼ぶ)は、IPパケットのヘッダのIPアドレスをルックアップしてIPルーティングをすることはしない非IPインタフェースである。なお、図1には、各エッジ装置のUNIポートが1つであるが、これは説明の便宜上のものであり、実際には複数のUNIポートが存在してよい。
本実施の形態では、入力UNIポート、及び出力UNIポートの各々に、仮想的(論理的)にIPアドレスを割り当てる。このIPアドレスは、上位のアプリケーションソフトウェア(API上位)がEnd-End指定に使用できるIPアドレスであり、例えば各エッジ装置においてコンフィグ設定される。
例えば、入力/出力UNIポートが、映像ポート(HD-SDI、DVB-ASI等)やEthernetポートであればポート単位にIPアドレスを付与し、DVB-ASIのPID/CC単位であればPID/CC単位にIPアドレスを付与し、Ethernet vlanであればvlan単位に、SDHであればタイムスロット単位にIPアドレスを付与する。このIPアドレスを本実施形態ではUNIアドレスと呼ぶ。
中継網300においては、データを転送するためのパスの生成・削除やマルチキャストトポロジ変更等にはシグナリングプロトコルを使用する。本発明においてシグナリングプロトコルは特定のものに限定されないが、本実施の形態ではMPLSのRSVP-TE (RFC3209、FRC3473)を使用することを想定している。他のプロトコル(LDP、PIM-SM、PIM-SSM、SIP等)も適用することは可能である。
なお、本実施の形態でのUNIアドレスの位置付けは、中継網側の装置の観点からは、エッジ装置に複数あるループバックIFアドレスの1つとして見える。
中継網300におけるシグナリングの制御セッションでは、端点としてUNIアドレスを使用する。従来はエッジ装置に1つだけシグナリング用のループバックIFアドレスが設定され、このループバックIFアドレスを使用していたが、本実施の形態では上位アプリケーションがEnd-Endで指定するUNIポート(UNIリソース)をダイレクトに中継LSPとmapさせることができ、上位アプリケーションからUNIアドレスをEnd-End指定する時にネットワークにおけるパスの制御は抽象化して隠蔽することができる。
つまり、図1に示すように、エッジ装置100では入力UNIポートに割り当てられたUNIアドレスを制御プレーンのシグナリングセッションのソースのIPアドレスとして用い、出力UNIポートに割り当てられたUNIアドレスを、制御プレーンのシグナリングセッションのデスティネーションのIPアドレスとして用いる。これらの端点間でシグナリングプロトコルに基づくメッセージ送受信を行うことで、装置内のクロスコネクト設定なども合わせて行い、入力UNIポートと出力UNIポートとの間のデータ転送用のパスを構築する。なお、このパスは、エッジ装置100の入力UNIポートとエッジ装置100のシグナリング回線パス(LSP)端点のクロスコネクト、エッジ装置100のLSP端点とエッジ装置200のLSP端点のパス(LSP)、及び、エッジ装置200のLSP端点とエッジ装置200の出力UNIポート間のパス(クロスコネクト)からなる。上記各エッジ装置内でのパス(クロスコネクト)は、転送用テーブルにおける設定データとして実現される。
UNIポート(非IPインタフェース)にコンフィグ設定したUNIアドレスは、あくまでも制御プレーンにおける通信の端点として使用されるものであり、データプレーン上のデータ転送においてIPヘッダをルックアップするIPルーティングを使用しない場合(例えばMPLSなどの場合)にはUNIアドレス(IPアドレス)はヘッダに不要である。もちろんソースをUNIアドレスとするIPマルチキャストによりIPパケットとして転送されることは可能であり、この場合はマルチキャストを実現するためのプロトコルがIPマルチキャスト(PIM-SM、 PIM-SSMなど)に限定される。RSVP-TEのシグナリングにUNIアドレスを使用してP2MP-LSPでマルチキャストトポロジを実現する場合には、データプレーン上のデータ転送にはIPアドレスは不要となる。なお、データプレーン上のヘッダ・ペイロードにIPアドレスが存在しても構わない。
上述したように、UNIアドレスは制御プレーンにおける通信の端点IPアドレスであるが、シグナリングプロトコル実行や保守の面から、中継網のコアスイッチやコアルータ、LSR (Label Switched Router)においてはIPルーティング可能であるものとしている。本実施の形態では、非IPインタフェースのUNIアドレスに対するPing、Traceroute、 LSP-Ping、LSP-Traceroute、BFD等が実行可能であり、OSPFやPCEに対して経路広告可能としている。これにより、ネットワークの運用性が非常に高まる。
なお、送信側のエッジ装置100から明示的経路指定(ERO指定)を完全に行えば中継網300でのIPルーティングは必須ではないが、EROが無くてもシグナリングが実行できるようにIPルーティングの対応を行うこととしている。
図2は、図1に示したシステムにおけるエッジ装置100、200の内部機能構成例を示した図である。
図2に示すように、エッジ装置100は、入力UNIポート101、シグナリング制御部102、データ転送制御部103、データ転送用情報格納部104、UNIアドレス格納部105、命令解釈実行部106を有する。エッジ装置200は、出力UNIポート201、シグナリング制御部202、データ転送制御部203、データ転送用情報格納部204、UNIアドレス格納部205、命令解釈実行部206を有する。以下では、エッジ装置100、200において同様の機能部については、まとめて説明を行う。
入力UNIポート101、出力UNIポート201は、前述したとおり、ユーザ装置と接続される非IPインタフェースである。
データ転送用情報格納部104、204は、データプレーンにおけるデータ転送用情報が格納される機能部である。送信側のエッジ装置100のデータ転送制御部103は、データ転送用情報格納部104を参照することにより、入力UNIポート101から受信したデータを中継網のパスに送出し、受信側のエッジ装置200のデータ転送制御部203は、データ転送用情報格納部204を参照することにより、中継網のパスから受信したデータを、出力UNIポート201に転送する。
UNIアドレス格納部105、205には、UNIポート毎に、割り当てられたIPアドレスが格納される。UNIアドレス格納部105、205に格納されるテーブル情報の例を図3に示す。この例は片方向通信例であり、UNIポートがEthernetなど双方向通信の場合には入力ポートと出力ポートを区別しない。
図2に示すシグナリング制御部102、202は、制御プレーンにおけるシグナリング処理等を行う機能部であり、本実施の形態では、送信側のエッジ装置100のシグナリング制御部102が、端点間のUNIアドレスを指定した指示を受けて、パス設定/削除のためのシグナリングを開始する。ここでの指示は、リアルタイムでのパス設定指示の他、予約情報等も含むものである。なお、予約情報については、後述する"<予約情報、コネクション情報について>"の項等で説明する。
シグナリング制御部102、202は、パス設定等の指示に含まれる端点のIPアドレス(入力UNIポートに対応するIPアドレスと出力UNIポートに対応するIPアドレス)を用いてシグナリングメッセージの送受信を行う。つまり、送信側エッジ装置100のシグナリング制御部102は、入力UNIポートに対応するIPアドレスをソース(接続元)のIPアドレスとして用いてシグナリングメッセージの送受信を行い、受信側エッジ装置200のシグナリング制御部202は、シグナリングメッセージのデスティネーション(接続先)のIPアドレスを出力UNIポートに対応させてシグナリングメッセージの送受信を行う。
例えば、パス設定のシグナリングが完了して中継網300のパスが構築(各ノードでのラベルテーブルが設定されたこと)されると、送信側エッジ装置100のシグナリング制御部102は、シグナリングに使用したソース(接続元)のIPアドレスに基づきUNIアドレス格納部105を参照し、IPアドレスに対応する入力UNIポートを把握し、当該UNIポートとシグナリングにより設定した中継網のパスとを接続するためのデータ転送用情報をデータ転送用情報格納部104に格納する。また、受信側エッジ装置200のシグナリング制御部202は、シグナリングに使用したデスティネーション(接続先)のIPアドレスに基づきUNIアドレス格納部205を参照し、IPアドレスに対応する出力UNIポートを把握し、把握した出力UNIポートと中継網のパスを接続するためのデータ転送用情報をデータ転送用情報格納部204に格納する。
命令解釈実行部106、206は、UNIポートに割り当てられたIPアドレス(UNIアドレス)を指定した接続性確認等の命令を解釈して実行する機能部である。命令解釈実行部106、206は、オペレーションシステムや、経路内の装置などからIPアドレスを指定した状態確認命令を受信したときに、当該IPアドレスに対応するUNIポートを把握し、当該UNIポートを含むパスの状態を確認することができる。
一例として、例えば、命令解釈実行部106が端点間のUNIアドレス(自分のIPアドレスと宛先のIPアドレス)を指定したPing命令を受けたときには、通常のIPのPingと同様に、自身の中継網側の制御プレーンの出力インターフェース(シグナリング制御部102の一部)から、宛先のエッジ装置200の中継網側の制御プレーンの入力インターフェース(シグナリング制御部202の一部)までのIPでの接続性を調べる処理を行うことができる。
また、例えば、命令解釈実行部106が端点間のUNIアドレスを指定したパス接続性試験命令(状態確認命令の一例)を受信したときには、UNIアドレス格納部105及びデータ転送用情報格納部104等を参照することにより、送信側のUNIアドレスに対応する入力UNIポート101と、中継網300のパス(LSP)を把握し、入力UNIポート101に割り当てられたUNIアドレスのIPプロトコルスタックから、当該パス上に試験メッセージを流し、試験メッセージを受信したエッジ装置200では、命令解釈実行部206が、出力UNIポート201に割り当てられたUNIアドレスのIPプロトコルスタックにおいて試験メッセージを受信したことを確認し、そのことを示す確認メッセージをエッジ装置100側へ返し、送信側のエッジ装置100において命令解釈実行部106が、確認メッセージを受信したことで、端点のUNIポート間のパスの正常性を確認できる。
なお、上記の処理内容は一例に過ぎず、命令解釈実行部106、206は、UNIアドレスからUNIポートを把握することで、端点のUNIポートを含む種々の状態を確認する処理を行うことができる。すなわち、本実施の形態の命令解釈実行部106、206は、UNIアドレスを用いることで、少なくとも、ICMP Ping、Traceroute、LSP-Ping、LSP-Tracerouteなどの到達確認試験を行う手段を有している。
UNIポートに対応したIPアドレスに対しては到達確認(疎通)試験機能としてICMP PingやTracerouteなどの発出と返答をすることで保守運用性が向上する。また、データ転送制御部103、203がUNIアドレス格納部105、205に格納されたIPアドレスに関する到達確認(疎通)試験機能の場合は、ネットワークプロトコル処理機能によりICMPなどの到達確認(疎通)試験機能を提供することとしてもよい。
本実施の形態に係る各エッジ装置は、ルータ等のコンピュータの機能を持つ通信装置に、本実施の形態で説明する処理に対応するプログラムを実行させることにより実現可能である。当該プログラムは、可搬メモリ等の記憶媒体に格納して配布し、上記通信装置にインストールして用いてもよいし、ネットワーク上のサーバからダウンロードして上記通信装置にインストールしてもよい。また、本実施の形態で説明する処理をハードウェア回路として実現し、当該ハードウェア回路を通信装置に備えることとしてもよい。
以下、上述した技術を活用したより具体的な例について説明する。以下の具体例は、パスを設定する端点を指定した予約情報に基づいてパスを設定する例である。
(具体例)
<システム全体構成>
図4に、本具体例に係る通信システムの全体構成図を示す。図4に示すように、この通信システムは、Ingressノード装置10、Egressノード装置30、中継ノード装置40、50、及びサービス管理装置60を有する。中継ノード装置40、50は中継網(本具体例ではIP/MPLS網)を構成し、各ノード装置は、図に示すように伝送路により接続されている。Ingressノード装置10はデータを送信するユーザ装置に接続され、Egressノード装置30はデータを受信するユーザ装置に接続されている。サービス管理装置60は、例えばインターネット等によりIngressノード装置10と接続されている。
なお、図4は、本具体例の構成を分かり易く示した一例である。実際のサービス提供に係る構成では、Ingressノード装置10とEgressノード装置30はそれぞれ複数台存在し、中継ノード装置の数や接続は種々の構成をとり得る。また、図4は、片方向の通信に着目した図である。
Ingressノード装置10とEgressノード装置30はそれぞれ中継網のエッジ装置(ルータ等)である。Ingressノード装置10とEgressノード装置30および中継ノード装置40、50との間で、シグナリングメッセージが送受信されることにより、パス(LSP)の設定、切断等が行われる。Ingressノード装置10は、データの送出側のユーザ装置からデータを受信し、設定されたパスに送出し、Egressノード装置30はパスから受信したデータをデータの受信側のユーザ装置に送出する。本実施の形態における各中継ノード装置は、例えばLSR(Label Switched Router)である。
本具体例では、エッジ装置(Ingressノード装置10、Egressノード装置30)のユーザ装置側の端点が前述した非IPインタフェースであるUNIポートに対応する。Ingressノード装置10のユーザ装置側のUNIポートが入力UNIポートであり、Egressノード装置30のユーザ装置側のUNIポートが出力UNIポートである。
そして、前述したように、各UNIポートに論理的なIPアドレスを割り当て、その割り当てられたIPアドレスを用いてパス構築等のためのシグナリングを行い、データ転送を行うためのパスを構築することとしている。UNIポートに割り当てられたIPアドレスは、制御プレーンでのセッション生成・維持・削除に用いられ、中継ノード装置でのデータ転送には用いられない。
これにより、本具体例では、端点間のUNIポートのIPアドレスを指定してシグナリングすることにより、中継ノード装置の接続まで含めてEnd-Endのパス設定が可能となる。中継IP/MPLS網では、OSPF やPCE などによりシグナリングパケットをルーティングし、または明示的経路指定によりルーティングを行い、端点間の接続性を提供している。
なお、伝送するデータが映像である場合、各端点に映像処理装置(映像ストリーマ)が配置される場合もある。当該映像ストリーマは、非IP通信信号である映像信号をIP/Ethernetネットワーク上で伝送するための装置であり、映像送信側から送信されてきた映像信号をネットワークのフレームとしてIngressノード装置10に送信し、Egressノード装置30から受信したフレームを映像信号として再生し、映像受信側に送出する。伝送するデータが映像である場合、映像処理部分をエッジ装置(Ingress、Egress)のインタフェースとして保持する構成とすることもできる。
サービス管理装置60はオペレーションシステム(OpS)とも呼ばれる装置であり、ユーザやオペレータから入力された後述する予約情報を保持するデータベース、予約情報をIngressノード装置10に送信する機能、Ingressノード装置10から予約情報に対応するコネクションIDを受信し、当該コネクションIDを用いてIngressノード装置10にアクセス(ポーリング)することにより、予約の実行状況等の状態情報を取得して、表示する機能等を有する。なお、コネクションIDについては、後述する"<予約情報、コネクション情報について>"の項等において説明する。より詳細には、サービス管理装置60は、予約情報を記憶するとともに、ネットワーク情報テーブルを基に時間予約情報&アドレス情報を保持しており、予約状況を確認するための機能を有する。なお、予約情報の重複管理を防止するため、予約情報はサービス管理装置60側に原本を持ち、エッジ装置(Ingress)に対して事前もしくは即時に予約情報を送信する。サービス管理装置60はエッジ装置(Ingress)での予約実行状態を取得することで時間予約の管理を行なう。
<マルチキャストについて>
本具体例の通信システムでは、ネットワーク構成として、1つの入力UNIポートと1つの出力UNIポートを接続するポイントツーポイント接続に加えて、1つの入力UNIポートと複数の出力UNIポートを接続するポイントツーマルチポイント接続(P2MP接続、マルチキャスト接続)も可能である。
図5に、P2MP接続の例を示す。図5では、あるIngressノード装置の入力UNIポートであるA点から、1つ又は複数のEgressノード装置の出力UNIポートであるC点、F点、G点を接続するマルチキャストツリーが示されている。C点は中継ノード装置であるB点に接続され、F点、G点は中継ノード装置であるE点に接続されている。本具体例において、C点、F点、G点のようなマルチキャストツリーの終点をリーフと呼び、Ingress(A点)もしくはSub-group originatorとなる中継ノード(B点,E点)と、Egressとなるリーフ(C点,D点,F点,G点)とのパスをSub-LSPと呼ぶ。
本具体例において、A点を構成するIngressノード装置から、マルチキャストの経路等を指定した制御情報を含めたシグナリングメッセージを送信することにより、図5に示すようなマルチキャストツリー(MPLSでのP2MP-LSPに対応)を構築することが可能である。また、部分ツリー(MPLSでのSub-LSPに対応)のリーフに対するシグナリングメッセージにより、例えば、既に構築されたマルチキャストツリーに、図5のA点・B点からD点へのSub-LSPを追加することが可能である。更に、シグナリングメッセージにより、既に構築されているSub-LSPを削除することも可能である。また、データ転送においては、複数のリーフ(他の中継ノード装置に接続されたリーフを含む)が下流側に接続された中継ノード装置は、上流側から送られてきたデータをコピーして、各リーフ(あるいは下流の中継ノード装置)に向けて送信する動作を行う。なお、MPLSのマルチキャストのパス構築シグナリングやマルチキャストのデータ転送技術自体は既存技術である。
本具体例では、P2MP接続を行う場合、1つの時間予約に対して1つのSub-LSP を生成し、これらの集合として1つのマルチキャストツリーが生成されてこれが1パス(P2MP-LSP)となる。
<Ingressノード装置10の構成>
図6は、本具体例に係るIngressノード装置10の機能構成図である。図6を参照してIngressノード装置10の機能構成を説明する。なお、図6に示す構成は、本具体例に関わるIngress側の機能を主に示すものである。MPLSのエッジ装置としての処理動作を行うための図示しない既存機能も含まれている。
図6に示すように、本実施の形態におけるIngressノード装置10は、装置コンフィグ情報受付部11、予約情報受付部12、予約情報格納部13、装置コンフィグデータ格納部14、コネクション情報生成部15、コネクション情報格納部16、状態情報格納部17、シグナリング実行部18、予約実行管理部19、装置リアルタイムクロック(RTC)20、入力UNIポート21、データ転送制御部22、データ転送用情報格納部23、命令実行解釈部24を有する。以下、主な機能部を説明する。
装置コンフィグ情報受付部11は、外部から装置コンフィグデータを受信し、装置コンフィグデータ格納部14に格納する機能部である。ここで、本実施の形態における装置コンフィグデータとは装置の装置構成等に関わる情報であり、一般には時間により変化しない情報である。前述したUNIアドレス格納部105は、装置コンフィグデータ格納部14に含まれるものであり、装置コンフィグデータ格納部14には、図3に示したように、UNIポート毎に、それに割り当てられるIPアドレスが格納されている。
予約情報受付部12は、サービス管理装置60から予約情報を受信し、Ingressノード装置10の予約情報格納部13に格納する機能部である。また、予約情報受付部12は、受信した予約情報についてのリソースチェック、整合性チェック等のvalidate 処理を行う。
コネクション情報生成部15は、予約情報に基づいて後述するコネクション情報を生成し、コネクション情報格納部16に格納する機能部である。コネクション情報格納部16にはコネクション情報が格納される。
状態情報格納部17は、シグナリング実行状態等の種々の状態を格納する格納部である。なお、コネクション情報格納部16に格納されるコネクション情報も実行状態の情報を含むが、この実行状態の情報は状態情報格納部17の実行状態の情報を参照することにより保持されるものである。状態情報格納部17には、コネクション情報に含まれる実行状態の情報だけでなく全ての状態情報が格納される。すなわち、コネクション情報で実行状態の概要を知ることができ、より詳細な実行状態の値については状態情報格納部17の各オブジェクトにアクセスすることにより取得することが可能である。
本具体例では、UNIポートに結び付けられたIPアドレスを用いてシグナリングを行うため、状態情報格納部17等に格納されるシグナリング実行状態情報等には当該IPアドレスが含まれ、当該IPアドレスに基づいて、どのUNIポート間での接続に対応するシグナリング実行状態であるかをすぐに把握することができる。
上述した予約情報格納部13、装置コンフィグデータ格納部14、コネクション情報格納部16、状態情報格納部17は、データベースシステムの中でそれぞれ別に管理されるテーブルデータであるとしてもよいし、記憶装置の中の各所定の領域であるとしてもよいし、物理的に別々の記憶装置であるとしてもよい。
シグナリング実行部18は、予約実行管理部19からの指示に基づいて、シグナリングを実行してパスの生成や削除を行う。シグナリングプロトコルとしては本具体例ではRSVP-TEが使用される。また、前述したように、本具体例では、1つの入力UNIポートと1つの出力UNIポートを接続するポイントツーポイント接続に加えて、1つの入力UNIポートと複数の出力UNIポートを接続するポイントツーマルチポイント接続(P2MP接続、マルチキャスト接続)が可能であり、シグナリング実行部18は、これらの接続制御のためのシグナリングを行う。
予約実行管理部19は、装置リアルタイムクロック(RTC)20から提供される時刻に基づいて、コネクション情報で設定されている予約時刻の到来を検知して、予約の実行を行う機能部である。なお、前述した図2におけるシグナリング制御部102は、本具体例では、予約情報受付部12、予約情報格納部13、コネクション情報生成部15、コネクション情報格納部16、予約実行管理部19、シグナリング実行部18を含む機能部に相当する。
入力UNIポート21は、ユーザ装置からデータを受信するインタフェースである。データ転送制御部22は、データ転送用情報格納部23に格納されたデータ転送用情報(転送テーブル)を参照して、入力UNIポート21により入力されたデータを、設定されたパスに送出する。つまり、パスに対応するラベルを付加して、所定の出力インタフェースから出力する。なお、データ転送制御部22は、中継伝送路と接続される中継網インタフェースを含む機能部として記載している。また、データ転送制御部22は、入力されたデータを、データの宛先に該当するパス(方路)に接続する処理を行うので、クロスコネクト機能部と呼ぶこともできる。
データ転送用情報格納部23は、データ転送のためのテーブル情報を格納する。データ転送用情報格納部23には、例えば、データの宛先、設定されているパスのラベル情報、入力インタフェース、出力インタフェースが対応付けて格納される。本具体例のデータ転送制御部22が図2におけるデータ転送制御部103に対応し、データ転送用情報格納部23は、図2におけるデータ転送用情報格納部104に対応する。
命令実行解釈部24は、図2で説明した命令実行解釈部106に対応する機能部であり、外部から受信するIPアドレス(UNI)を指定したパス接続性確認命令等を受信し、命令に応じた試験等を行い、結果を外部に提供する機能部である。
なお、本具体例に係る図6に示す装置構成(機能区分)は一例に過ぎず、本具体例における動作を実現できる構成であれば、装置構成は図6に示す構成に限られない。
本具体例に係るIngressノード装置10の機能を有するエッジノード装置は、ルータ等のコンピュータの機能を持つ通信装置に、本実施の形態で説明する処理に対応するプログラムを実行させることにより実現可能である。当該プログラムは、可搬メモリ等の記憶媒体に格納して配布し、上記通信装置にインストールして用いてもよいし、ネットワーク上のサーバからダウンロードして上記通信装置にインストールしてもよい。また、本実施の形態で説明する処理をハードウェア回路として実現し、当該ハードウェア回路を通信装置に備えることとしてもよい。
<予約情報、コネクション情報について>
本具体例において、サービス管理装置60から送信され、Ingressノード装置10の予約情報受付部12が受信する予約情報は、開始時刻・終了時刻、始点ポート・終点ポート、中継経路/中継リンク/中継リソース、時間予約情報ID 等を含む。
ここで、"始点ポート・終点ポート"は、始点ポート(入力UNIポート)に割り当てられたIPアドレスと終点ポート(出力UNIポート)に割り当てられたIPアドレスである。本具体例では、これらのIPアドレスがシグナリングで使用される。
中継経路/中継リンク/中継リソースにおける中継経路は、始点ポート・終点ポート間の経路となる中継ノード装置の情報である。中継リンクは、中継ノード装置間のリンクの情報である。中継リソースは、リンクに必要とされる帯域の情報である。時間予約情報IDは、当該予約情報を識別するIDである。
コネクション情報とは、サービス管理装置60のアプリケーションが扱う時間予約情報とネットワーク装置が扱うパス情報とをマッピングする情報であり、装置内リソース管理としてユーザ入力毎やネットワークインタフェース毎に予約可能な時間帯を管理し、シグナリングによるパスの状態と予約実行の状態を反映する情報である。
図7に、コネクション情報生成部15により生成され、コネクション情報格納部16に格納されるコネクション情報の属性の一例を示す。なお、図7に示す例は、Ingress側でのコネクション情報であり、同一装置内にEgress機能がある場合、受コネクション情報も保持する。また、図7に示す例は、コネクション情報を例示したものに過ぎず、パスの経路情報等、制御に必要な他の情報を含んでよい。また、図7に示す例は、マルチキャストの場合の例であるが、ユニキャストの場合も同様に、ユニキャストのLSP(パス情報)と予約時刻と端点情報が対応付けられたコネクション情報を生成する。
それぞれの属性は、図7の「説明」に記載された内容のとおりであるが、以下、いくつか補足する。
Ingress端点ポートは、前述した入力UNIポートに相当する。発コネクションIDは、該当の予約に係る時間帯において、当該Ingress端点ポートに対応付けられる。
中継ネットワークIF情報に関し、例えば、冗長構成を実現するために、該当のIngress端点ポートから中継網における複数経路を経由して1つのEgress端点ポートに接続する場合を想定して、経路毎に中継ネットワークIF情報が設定可能になっている。
リーフ情報は、リーフ毎に設定され、各リーフは予約リーフIDで識別される。リーフ情報の中の中継ネットワークSub-LSP情報は、前述したように複数経路を経由して1つのEgress端点ポートに接続する場合を想定して、経路毎にSub-LSP情報が設定されるようになっている。Sub-LSPインデクス番号は該当Sub-LSPオブジェクトのキー情報に対応付けられており、このオブジェクトにはSub-LSPのネットワーク上の経路情報等のデータが含まれている。このようなオブジェクトは、Ingressノード装置10の記憶手段(データベース)に格納されている。
なお、リーフ情報の中のDest端点ポートIPアドレスは、宛先となるリーフの端点ポートのIPアドレスであるが、このIPアドレスは前述したように端点UNIポートに論理的に割り当てられたアドレスである。Egressノード装置30においてはこのDest端点ポートIPアドレスが前述した出力UNIポートの指定に使用される。本具体例において、このIPアドレスは、シグナリングにおける宛先を指定するために用いられ、データプレーンでのデータ転送に用いられるものではない。
運用ツリーIDは、マルチキャストツリーであるパスに対応付けられたID(予約情報として入力され、パス情報としても使用する一例)である。なお、この運用ツリーIDはシグナリングメッセージにおいてP2MP-LSPのマルチキャストツリーを識別するパス情報として利用可能である。
運用ツリー開始時刻は、例えば、発コネクションID(もしくは運用ツリーID)で識別されるマルチキャストツリーの中で最初に接続されるリーフの接続開始時刻とし、運用ツリー終了時刻は、例えば、発コネクションID(もしくは運用ツリーID)で識別されるマルチキャストツリーの中で最後に終了するリーフの接続終了時刻とすることができる。
コネクション情報生成の一例を以下に説明する。以下の説明におけるマルチキャストツリー構成は図5に示すものであるとする。以下では説明を分かり易くするために、中継経路の冗長構成はとらないものとする。
まず、(開始時刻:9時、終了時刻:11時、始点ポート:A点、終点ポート:F点、中継経路:B点→E点)、(開始時刻:9時、終了時刻:10時、始点ポート:A点、終点ポート:G点、中継経路:B点→E点)、(開始時刻:8時、終了時刻:11時、始点ポート:A点、終点ポート:C点、中継経路:B点)を有する予約情報がサービス管理装置60からIngressノード装置10に入力されたものとする。
すると、コネクション情報生成部15は、受信した予約情報から、データ転送経路が、図5に示すようにA点を起点とするマルチキャストツリーになることを把握し(マルチキャストツリーを算出)、図7に示した属性についての値を有するコネクション情報を生成し、格納する。本例では、リーフ情報としては、C点のリーフ情報(開始時刻:8時、終了時刻:11時)、F点のリーフ情報(開始時刻:9時、終了時刻:11時)、G点のリーフ情報(開始時刻:9時、終了時刻:10時)の3つのリーフ情報が生成され、格納される。それぞれのリーフは予約リーフIDで識別可能である。リーフ情報におけるSub-LSP情報は予約実行中においてはパス実行状態の情報となる。
その後、(開始時刻:10時、終了時刻:11時、始点ポート:A点、終点ポート:D点、中継経路:B点)を有する予約情報がサービス管理装置60からIngressノード装置10に入力されたものとする。すると、コネクション情報生成部15は、既に生成されているコネクション情報と新たな予約情報とを比較することにより、当該予約情報が既に生成されているマルチキャストツリーに対する部分ツリー(Sub-LSP)の追加であることを認識し、C点のリーフ情報、F点のリーフ情報、G点のリーフ情報に追加する形で、D点のリーフ情報を追加する。
このように、コネクション情報生成部15は、端点間を指定した予約情報を入力情報として、マルチキャストツリーの部分ツリーというネットワークにおける構成を認識し、ネットワーク構成上の情報としてパス情報を生成し、予約時刻と対応付けられたコネクション情報(この場合、リーフ情報)を追加できる。
予約を実行する際には、部分ツリーに対応するパス情報を含むコネクション情報を参照することにより、マルチキャストのリーフ追加のシグナリングメッセージを迅速かつ正確に作成し、迅速にパス生成を行うことができる。
特に、本具体例では、端点のUNIポートにIPアドレスが割り当てられ、コネクション情報において端点のUNIポートの情報としてIPアドレスが用いられているので、コネクション情報におけるIPアドレスを使用して迅速かつ正確にマルチキャストのリーフ追加のシグナリングを行うことが可能である。
サービス管理装置60から受信した予約情報に基づきコネクション情報を生成したIngressノード装置10は、コネクション情報に付与したコネクションIDをサービス管理装置60に返す。以降、サービス管理装置60はIngressノード装置10に対してコネクションIDをキー情報としてコネクション情報を参照し、各予約の実行状態、マルチキャストツリー全体としての予約の実行状態、パス(Sub-LSP)の実行状態、データプレーンの転送状態、などを参照し、さらに詳細な情報はコネクション情報内の属性毎のキー情報(オブジェクトのインデクス番号)を使用して各属性オブジェクトの状態を取得することができる。
このように、コネクション情報を導入したことにより、少ないホップ数で迅速かつ確実に目的の情報に到達することができる。もし、コネクション情報がなく、サービス管理装置60から受信した予約情報のIDをべースにして各状態を取得しようとした場合、ポインタで複雑に接続された多くのデータを辿って取得することが想定され、迅速性や正確性に問題が生じる可能性がある。他方、本実施の形態のように、コネクション情報を導入したことで、このような問題は生じない。
また、本具体例では、端点UNIポートにIPアドレスを割り当て、当該IPアドレスをシグナリングに用いるので、少ないホップ数で迅速かつ確実に目的の情報に到達することができるという効果が一層大きくなる。すなわち、端点UNIポートにIPアドレスを割り当て、そのIPアドレスでシグナリングを行うこととしているので、コネクション情報におけるシグナリングに関わる状態情報(IPアドレスが含まれる)を参照することにより、すぐにどの端点UNIポート間でのパスの状態かを特定することができる。また中継ノード装置においてもシグナリングセッション毎に入力UNIポートと出力UNIポートを把握することができ、通常はIngressとEgressで行うSub-LSP・UNIポートの特定と状態確認を中継ノード装置でも実施できる効果がある。
<本具体例のIngressノード装置10の特徴について>
本具体例のIngressノード装置10では、状態情報格納部17、及びコネクション情報格納部16等において、インタフェース、シグナリング、予約実行など全ての実行状態のデータを保持している。また、予約情報を基に予約実行管理部19が予約実行し外部から参照される場合にキー情報となるのは、予約情報やパスのデータではなく、コネクション情報となる。以下、コネクション情報を導入する理由について説明する。
前述したように、本具体例ではサービス管理装置60から予約情報を投入する。この予約情報については、ユーザ・オペレータからの予約受付により生成された時間予約情報データベースが原本となっており、決してネットワーク設定情報ではなく、あくまで時間予約型通信サービス側のアプリケーション情報である。このため、Ingressノード装置10は、受信した予約情報に含まれる時間予約情報ID 類を装置内での予約実行のキー情報とすることはできず、装置として一貫性を担保できるキー情報が必要であり、これがコネクション情報である。Ingressノード装置10に予約情報が投入されるとコネクション情報が生成されて図7に示す通りに予約実行・ポート情報・パス情報およびこれらの実行状態を保持し、予約が終了して運用マルチキャストツリーが消滅するまで存在し、この期間は装置ユニークなキー情報となる。もしも例えば、本具体例のコネクション情報がないものとし、アプリケーション情報の時間予約情報ID 類をキー情報とすると、予約の実行状態や時刻に依存して時間予約型接続の受付の可否が決定されるという問題がある。また、後述する動作説明のところで述べるように、本具体例では、予約の発動時において、予約が隣接しておりネットワークトポロジが同一である場合にはパケットドロップを回避するため既存パスを削除しない、という動作が可能であるが、時間予約情報ID類をキー情報としてしまうとこの予約隣接時の動作を実現できないという問題がある。コネクション情報を導入した本具体例ではこれらの問題は生じない。
<通信システムの動作>
次に、図8に示すシーケンス図を参照して、本具体例の通信システム全体での予約投入からパス生成までの動作例を説明する。
サービス管理装置60から予約情報がIngressノード装置10の予約情報受付部12に送信され(ステップ1)、予約情報受付部12は予約情報のvalidate 処理を行い、受け入れO.K.と判断したらコネクション情報を生成してコネクション情報格納部16に格納する(ステップ2)。そして、予約情報受付部12は、サービス管理装置60に対して予約情報の受信応答を、コネクション情報のキー情報ID である発コネクションID を含めて返答する(ステップ3)。これにより、サービス管理装置60では、時間予約情報IDに対応してIngressノード装置10側で管理されているコネクション情報の発コネクションIDを把握できる。
予約実行管理部19は、装置リアルタイムクロック(RTC)20から現在時刻を取得するとともに、コネクション情報格納部16におけるコネクション情報を参照して、予約の発動を常に監視している。
例えば、接続開始時刻が9時であるSub-LSPの予約に従って、予約実行管理部19は現在時刻が9時になったら、当該予約を発動し、シグナリングの実行をシグナリング実行部18に対して指示する(ステップ4)。ここでの指示の際には、予約実行管理部19はコネクション情報を基にシグナリングに必要なパラメータを生成し、当該パラメータを含む指示をシグナリング実行部18に通知する。ここでのパラメータは、例えば、シグナリングの端点となる入力UNIアドレス・出力UNIアドレス、マルチキャストツリーの経路情報、追加するSub-LSPの経路情報等を含む。
シグナリングの実行指示を受信したシグナリング実行部18は、シグナリングプロトコルのシグナリングメッセージ(例えばRSVP-TE ではPath メッセージ)を中継ノード装置に送信する。より詳細には、ペイロードのデータフローを予め設計したタイミングで送受信するために、所定のタイミングで制御プレーンのプロセスを動作させて、シグナリングメッセージをEgressノード装置30に向けて送信する。すなわち、本実施の形態では、データプレーンのトラフィックを送信・受信するタイミングを微調整するために、制御プレーン上のシグナリングメッセージの送信や返信のタイミングにオフセット時間を設定している。このオフセット時間は、制御プレーンの処理時間のズレを見込んで、余裕をもたせるために導入されるものである。上記所定のタイミングがオフセット時間に相当する。
その後、パス生成完了メッセージ(RSVP-TEではResv メッセージ)が届くと、予約情報で指定された端点間でのEnd-Endのパスが生成される(ステップ5〜9)。このとき、Egressノード装置30において、サービス管理装置60から予約情報を予め取得しておき、受信するシグナリングメッセージが予約情報と整合しているかどうかをチェックすることにより、接続の正当性を判断することとしてもよい。
End-Endのパスには、Ingressノード装置10内で入力UNIポートと中継網のパスとを接続するクロスコネクト(具体的には、Ingress側のデータ転送情報の設定)と、中継網のパスと、Egressノード装置30内で中継網のパスと出力UNIポートとを接続するクロスコネクト(具体的には、Egress側のデータ転送情報の設定)が含まれる。
なお、パス生成完了メッセージを受信した時点では、Ingressノード装置10内でのデータ転送情報の設定を行わず、中継網のパスが生成されたことを予約実行管理部19に通知し、予約実行管理部19がそれを確認した後に、パラメタ指定されている僅かな時間だけ特定時刻からオフセットしたタイミングにIngressノード装置10内でのデータ転送情報の設定を行うこととしてもよい。Ingressノード装置10内でのデータ転送情報の設定が行われると、Egressノード装置30へのデータ転送が開始される。
End-Endのパスが生成されると、シグナリング実行部18は、パス生成完了を予約実行管理部19に通知する(ステップ10)。また、シグナリング実行部18は、パス生成に関する状態をデータベース(状態情報格納部17等)に保存する(ステップ11)。
また、予約実行管理部19はコネクション情報格納部16、状態情報格納部17等に対してネットワーク情報のデータおよび予約実行情報のデータ、コネクション情報の状態データを更新し(ステップ12)、また更新したデータについて外部のサービス管理装置60などに通知する(ステップ13)。また、シグナリング実行部18からは、サービス管理装置60に対してパス生成完了の通知が送られる(ステップ14)。
サービス管理装置60は、自身が管理している予約情報(時間予約情報ID)に対して、現在の予約実行状態やシグナリングの実行状態を参照する場合には、Ingressノード装置10に対して、時間予約情報IDに対応する発コネクションIDからコネクション情報を取得することができる。さらに詳細な各データの実行状態パラメータが必要であれば、コネクション情報に含まれるデータのインデクス値を用いて個別の実行状態データを取得する。
ステップ4において、予約実行管理部19はコネクション情報を基に判断して、パス設定が必要であれば上記の通りにシグナリング実行部18にパス生成を指示するが、予約時刻になっても、新規のパスは不要と判断すれば新規の生成を指示しない。例えば、仮にある予約で14時から15時まである端点間の接続予約があり、次の15時から16時まで同一端点間の予約がある場合には、15時のタイミングで既存パスの削除と新規パスの生成を実施するのでなく、既存パスの削除・新規パスの生成を行わずに既存パスをそのまま次の予約のパスとして再利用すると判断する。このように、既存パスの再利用が可能な場合には、通信データのドロップ(通信断)を無しにすることができるという効果がある。
また、上記の動作例はパスを設定する場合の動作例であるが、パスを削除する場合も上記の動作例と同様に、パス終了時刻になったことを検知したら、パス削除のシグナリングを行ってパスを削除し、転送テーブルからクロスコネクト情報を削除し、状態情報を更新する。
<具体例のまとめ>
これまでに説明したように、本具体例では、予約情報はEnd-End(IPアドレスを割り当てた端点UNIポート間)のパスの始点ノード(Ingress)に対して設定し、予約時刻になると始点ノード(Ingress)からのシグナリングにより動的に端点UNIポート間のパスを生成する。パスに関連する全てのNW 装置、特に中継ノード装置に対して予約情報を設定しないことにより、非常に短時間(1 秒粒度)でのパス制御処理および予約の変更・キャンセルなどを実現でき、例外処理を大幅に軽減できる。
Ingressノード装置10のみにパス設定のための予約情報を持つ構成において、Ingressノード装置10は装置リアルタイムクロック(RTC)20を参照して予約時刻になったことを認識し、予約情報に対応した各種アドレス情報に基づいて装置内の転送テーブル(クロスコネクト)を設定し、OSPF やPCE、管理システム(OpS)の明示的経路指示などを用いて端点のUNIポート情報から中継網内のパスを設定し、これらの動作状況をコネクション情報に反映させる。
通常の専用線では、網内のパスは張りっぱなしにして装置内のクロスコネクトのみを設定する。しかし大容量パスのニーズに対応するにはパスを張りっぱなしにすることはできず、送信元・送信先アドレスの情報に基づいて網内のパスを動的に設定・削除しなければならない。従来は、このようなニーズに応える技術がなかったところ、本実施の形態に係る技術では、このようなニーズに応え、迅速にパスの設定・削除が可能である。
また、本具体例では、予約情報を装置の第一記憶部(予約情報格納部13)に記憶し、第一記憶部とは別に、第二記憶部(装置コンフィグデータ格納部14)に静的な装置情報であるコンフィグ情報を記憶する。第二記憶部に記憶する情報は、予約情報とパス設定を除いた静的な装置情報である。このように、予約情報を第二記憶部(コンフィグ)に格納しないことで、装置の静的なコンフィグの管理とシグナリング(時間予約)情報の管理の重複をなくすことができ、さらに予約情報の受付時の装置内リソースチェックを迅速に行うことができる。
時間予約が発動する時にはネットワーク上のパス設定が行われるが、具体的にどのようなネットワーク上のパス制御を行なうかは、送信元ポート・送信先ポートのアドレス情報および予約情報に基づいて判断される。つまり、送信元・送信先ポートの情報だけでは必ずネットワーク上のパスを設定・削除することにしかならないが、予約情報もあわせて判定することで、同一送信元・同一送信先ポートが時間的に連続する場合には同じパスを設定する予約の連続であるため、パス削除・パス生成を同時に連続して実行することはせずに何も実行しない、といった動作を取ることができる。本具体例によれば、例えば下記の効果が得られる。
大規模ネットワークにおいて大容量パスを即時に設定したり切断したり、指定した開始・終了の予約時間だけ設定するという要求が頻繁に発生する時間予約型通信サービスを実現することができる。また、システムとして静的なネットワーク構成管理と動的な予約の受付・変更・実行を管理することができ、即時や時刻指定でのマルチキャストパスをリーフ単位に1 秒粒度で指定でき、この実行状態をコネクション情報から参照することでサービス管理装置60により常に最新の時間予約型パスの実行状態および予約の運用状態を一元的に管理することができる。また、突発的な予約変更や予約異常状態、ネットワーク障害が発生したとしてもソフトステートなシグナリングによるパス設定をしているため数分以内にはパスクリアされ再設定することで正常な状態にロールバックすることができる。すなわち、設定・削除失敗時に最小の手順で設定前状態に復帰することが可能である。
予約情報と端点ポート情報、ネットワークパス、装置内の転送テーブル(クロスコネクト)の組み合わせをコネクション情報等の情報として装置内に記憶し、予約の発動からパスの設定・削除、実行状態の管理までをすべてこのコネクション情報を用いて行うこととした。つまり、コネクション情報は時々刻々と変化する予約情報とネットワークパス(LSP)情報をmap できるため、全ての実行状態の参照元とすることができる。
また、コンフィグ情報では無いコネクション情報を閲覧することで予約管理とパス管理が可能となり、サービス管理装置60内やNW装置内のコンフィグに予約情報とパス情報を持たなくしたことで、予約情報を受け付ける際の装置内validate 処理(リソースチェックなど)やコンフィグ変更時の装置内validate 処理(コンフィグ一貫性チェック)を独立させて処理を軽く短時間に実行することができ、実行状態が装置間で不一致する事象の発生などを回避できる。
(本発明の実施の形態の特徴等)
以下、UNIポートに仮想的にIPアドレスを割り当て、当該IPアドレスを中継網でのシグナリングに使用するという本実施の形態における技術の特徴を、従来技術と比較しながら説明する。なお、以下の説明では、本実施の形態の技術を映像伝送に適用することを想定している。
映像信号をIP/Ethernetネットワークにより伝送する標準規格としてSMPTE 2022が議論されている。特にSMPTE 2022-5/-6はDVB-ASIと非圧縮HD-SDIをEthernetフレームおよびIPパケットのフォーマットにより伝送する規格であり、今後の映像伝送の中心になると考えらえる。SMPTE 2022に準拠した映像伝送装置は映像ストリーマとしての実装を前提としている。つまり、映像ストリーマの映像IF(DVB-ASI、HD-SDI)から映像信号を入力し、この映像データをIPパケット/Ethernetフレームのペイロードに入れて映像ストリーマのネットワークIF(Ethernet)から送出し、ネットワークはIP網(L3-VPN)、広域Ethernet網(L2-VPN)を想定しており、受信側の映像ストリーマは逆順に映像データを映像IFから出力する。ここでデータ転送されるIPパケット/Ethernetフレームのエンカプシュレーションは、一般的にはIPヘッダやMACアドレス・VLAN-IDが付与されており、特にIPアドレスが中心的に使用されている。SMPTE 2022の映像ストリーマと本実施の形態の技術を比較した場合に、映像IFのソースのポートや宛先にIPアドレスを付与する点は同様であり、それによって宛先への到達性が制御できる点では類似している。しかし、SMPTE2022は転送データのフレーム形式がIPエンカプセレーションであることを前提としている。このため、SMPTE2022の映像ストリーマを利用する場合では、中継区間ではコネクションレス型のIPルーティング転送(IPマルチキャスト)の利用が必須になり、その結果、受信側の受信状況を送信側から把握することが難しい点や、受信側で映像を受信できない場合にネットワーク障害か送信側の映像障害かを即時に判定できない点は許容せざるを得なくなる。
一方、本発明を使用せずに中継網でMPLSを使う場合には、UNI端点にIPアドレスは付与されないので、エッジ装置のUNI端点間でのパスの制御が容易にできない。
本発明に係る技術を使えば、IPマルチキャストを使わずにコネクション型転送方式(MPLSなど)が使えるため、上記の課題は解決される。
ネットワーク系の標準規格としてはIETFのL2VPN-WGやPWE3-WGで議論されており、「Pseudo Wire Emulation Edge-to-Edge (PWE3)」がRFC3985として提案され、非IPトラフィック(ATM、SDH、FR、映像など)をパケットネットワーク上でPseudo Wireにより伝送することができる。このPseudo Wireをマルチキャスト(Point-to-MultiPoint、 P2MP)に対応させた「Framework and Requirements for Virtual Private Multicast Service (VPMS)」がdraft-ietf-l2vpn-vpms-frmwk-requirements-04.txt で提案されている。IETFのL2VPNアーキテクチャではスケール性を考慮してProvide-Edge(PE)はCustomer-Edge(CE)を収容するAttachment-CircuitのVPNインスタンス空間とPacket Switch Network (中継LSP)の中継コアネットワーク空間とを明確に分離しており、遠隔のノード間で互いに接続可能なAttachement-Circuitの構成情報を共有するには、事前にコンフィグ設定する方法や特別なAuto-Discoveryの仕組み(プロトコル)が必要となる。またPE間のPacket Switch Network (中継LSP)の端点は通常PEのループバックアドレスを使用する。
一方、本実施の形態では、非IPインタフェースであるAttachment-Circuitに回線シグナリング制御用の端点IPアドレスをコンフィグ設定し、このIPアドレスを用いて中継P2MP-LSP等を生成する。これにより、アプリケーションデータを入力されてSDNとしてマルチキャスト回線を提供する際に、アプリケーションが認識しているユーザ収容IF(Attachment-Circuit相当)の端点IPアドレスを、そのまま中継コアネットワークでの回線シグナリング制御セッションの端点アドレスとすることで、上位アプリケーションに対してネットワーク回線制御を抽象化して隠蔽することができるという効果がある。また、遠隔エッジノードのUNIアドレスを知るためには特別なAuto-Discoveryの仕組みを必要とせず、UNIアドレスをIP中継網において通常のルーティングプロトコルで広告することができ、UNIアドレスのインタフェースの存在有無(Up/Down)についても従来のIP保守オペレーション(ping,tracerouteなど)が使用できるという効果がある。
GMPLS(RFC3471、RFC3473)では、伝送パスが主なターゲットであるためユーザ回線と中継LSPが1:1に対応している。UNIのポート位置とリソース位置(SDHではタイムスロット位置、WDMインタフェースでは波長)を指定する方法が必要であり、中継LSPの制御セッションの端点はMPLSと同様にループバックIFアドレスを使用する。GMPLSでUNIを指定する方法としては、Generalized-UNIオブジェクトによる指定やERO(TEリンクとGeneralized-Labelを指定) による指定の方法がある。
ユーザ回線と中継LSPが1:1に対応している既存技術としてJuniper社のCircuit Cross-Connect (CCC)がある。中継LSPに直接Attachment-Circuitをmapする方法をとるが、中継LSPの端点はPEのループバックIFアドレスを使用する。
Pseudo WireやL2VPN、GMPLS、CCCでは、UNIと中継LSPをmapさせるため、エッジ装置(Ingress)においてUNIとLSPのキー情報をmapするコンフィグを指定している。具体的にはLSPのキー情報はLSP名称やTunnel-IDなどが該当する。
一方、本実施の形態ではこれらの既存技術と比較して、UNIポート・リソースに対して制御セッションの端点IPアドレスをコンフィグ設定しておくことにより容易に1:1対応した中継LSPにmapできる点が異なる。
(本発明の実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、SDNとして上位アプリケーションから要求を受ける場合に、ネットワーク設定を抽象化してEnd-Endのネットワークサービスを提供できる。特に具体例で説明したように、上位アプリケーションのソフトウェアから時刻指定のEnd-End回線接続予約をマルチキャストトポロジのLeaf単位で実行する、という目的において効果が高い。
また、本実施の形態によれば、IP制御シグナリングによる回線制御のためにUNIアドレスを使用し、データプレーンはIPアドレスから独立させることで、IPマルチキャストに限定せずMPLS のP2MP-LSPなど様々なプロトコルが適用可能となる。
以下、本明細書に開示される構成を例示的に列挙する。
(第1項)
パスを設定することにより通信サービスを提供する通信ネットワークにおけるエッジノード装置であって、
ユーザ装置と接続されるUNIポートと、
前記通信ネットワークにおける中継網を介して対向エッジノード装置との間で制御プレーンにおけるシグナリングを行うシグナリング制御手段とを備え、
前記シグナリング制御手段は、前記UNIポートに対応付けられたIPアドレスを用いてシグナリングを行うことにより、前記UNIポートと対向エッジノード装置のUNIポートとの間のパスの制御を行う
ことを特徴とするエッジノード装置。
(第2項)
前記UNIポートは、非IPインタフェースであることを特徴とする第1項に記載のエッジノード装置。
(第3項)
前記UNIポートと前記IPアドレスとを対応付けて格納するアドレス格納手段を備えることを特徴とする第1項又は第2項に記載のエッジノード装置。
(第4項)
前記エッジノード装置は、データプレーンにおけるデータの転送を行うための情報であるデータ転送用情報を格納するデータ転送用情報格納手段を備え、
前記シグナリング制御手段は、前記アドレス格納手段を参照することにより、前記シグナリングで用いたIPアドレスに対応するUNIポートを把握し、当該UNIポートと前記シグナリングにより設定した中継網のパスとを接続するためのデータ転送用情報を前記データ転送用情報格納手段に格納することを特徴とする第3項に記載のエッジノード装置。
(第5項)
IPアドレスを指定した状態確認命令に基づき、当該IPアドレスに対応するUNIポートを把握し、当該UNIポートを含むパスの状態を確認する命令解釈実行手段を備えることを特徴とする第1項ないし第4項のうちいずれか1項に記載のエッジノード装置。
(第6項)
前記命令解釈実行手段は、ICMP Ping、Traceroute、LSP-Ping、LSP-Tracerouteを含む状態確認試験を行う手段を備えることを特徴とする第5項に記載のエッジノード装置。
(第7項)
前記シグナリング制御手段は、1つのUNIポートと対向の複数のUNIポートとを接続するマルチキャストパスの制御を行う
ことを特徴とする第1項ないし第6項のうちいずれか1項に記載のエッジノード装置。
(第8項)
パスを設定することにより通信サービスを提供する通信ネットワークにおけるエッジノード装置が実行する制御方法であって、
ユーザ装置と接続されるUNIポートに対応付けられたIPアドレスを用いて、前記通信ネットワークにおける中継網を介して対向エッジノード装置との間で制御プレーンにおけるシグナリングを行うことにより、前記UNIポートと対向エッジノード装置のUNIポートとの間のパスの制御を行う
ことを特徴とする制御方法。
(第9項)
コンピュータの機能を含む通信装置を、第1項ないし第7項のうちいずれか1項に記載の前記エッジノード装置における各手段として機能させるためのプログラム。
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。