JP6233947B1 - 基板検査用プローブ、基板検査装置、及びそれらを用いた基板検査方法 - Google Patents

基板検査用プローブ、基板検査装置、及びそれらを用いた基板検査方法 Download PDF

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Abstract

超小型の表面実装部品、特にチップ部品やQFP・LSIの電極に確実容易に接触可能な基板検査用プローブを提供する。接触体(10)は、一対の接触部材(11,12)それぞれの先端(13,14)近傍に形成された傾斜端面の組み合わせによる凸部又は凹部(17)を備えている。一対の接触部材(11,12)のうち、一方は少なくとも傾斜端面が絶縁体(11)、他方は良導体による接触電極(12)で構成される。凸部又は凹部(17)は、被検査基板(70)に実装された表面実装部品(R1,C1,R2,)の端子電極(1,2)に傾斜端面で接触可能である。絶縁体(11)が端子電極(1,2)の一方に当接することで、接触体(10)は表面実装部品(R1,C1,R2)に対して位置決めされる。すると、接触電極(12)が端子電極(1,2)の他方に接触導通して検査回路(90)へ電気接続される。

Description

本発明は、基板検査用プローブ、基板検査装置、及びそれらを用いた基板検査方法に関し、特に小型の表面実装部品の端子電極に対し、直接に突端を接触させるようにした基板検査用プローブ、基板検査装置、及びそれらを用いた基板検査方法に関する。
回路基板検査装置は、検査対象となる回路基板(以下、「被検査基板」ともいう)の実装デバイス(以下、「被検査部品」ともいう)につながるパターンに、所定の面積及び形状のテストランドが配設されている。そのテストランドに基板検査装置のプローブを接触させることにより、プローブにつながる検査回路と、被検査部品とを検査可能に接続する。
また、携帯電話を始めとするような小型化を追求される商品において、その回路基板にはテストランドを配設するスペースを節約することが求められる。このような場合、被検査部品の電極を半田16で実装された箇所が、テストランドに代えた接触部とされる。
また、小型の角型表面実装部品、いわゆるチップ部品は小型化を追及され続ける傾向にある。チップ部品の外形は直方体であり、その直方体の大きさを、基板実装面の平面視における「長さL×幅W」を(mm)の単位で表示し呼称される。例えば、「長さL×幅W」=(1.6mm×0.8mm)であれば、「1608」と呼ばれる。同様に、(1.0mm×0.5mm)を「1005」、(0.6mm×0.3mm)を「0603」、(0.4mm×0.2mm)を「0402」、(0.2mm×0.1mm)を「0201」、と呼ばれている。
異なる大きさのチップ部品を上述したなかで、「長さL×幅W」=(1.6mm×0.8mm)の「1608」以上の大きさであれば、その電極に対する半田16で実装の箇所、すなわちフィレットが平面視できる程度の面積である。そのフィレットを、テストランドに代えた接触部として、プローブを接触させることが容易かつ確実である。現状の技術では、「1005」(平面視1.0mm×0.5mm)までならば、その電極につながるフィレットに、プローブを接触させることが可能である。
ところが、チップ部品も、ある程度(0.6mm×0.3mm)の「0603」以下にまで小型化されると、フィレットが平面視できない程に小さくなるので、テストランドに代えた接触部として、フィレットにプローブを接触させることは困難かつ不確実となる。
一方、(平面視0.4mm×0.2mm)や(平面視0.2mm×0.1mm)の超小型チップ部品も多数採用された被検査基板も多くなりつつある。さらに、(0.4mm×0.2mm)の「0402」や(0.2mm×0.1mm)の「0201」といった程度にまで超小型化されると、フィレットが隠れてしまう。この場合、テストランドに代えた接触部として、プローブを接触させることは不可能である。
また、検査精度を向上させるようにした回路基板検査装置及びそれを用いた検査方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。その回路基板検査装置は、プローブユニットを回路基板の一方の面側に配設してプローブユニットを回路基板の他方の面側に配設し、配線パターン上に規定された接触ポイントにプローブユニットのプローブのうちの対応する2本を接触させるように構成されたものである。
その回路基板検査装置を用いた検査方法は、配線パターン上に規定された接触ポイントにプローブユニットのプローブのうちの対応する2本を接触させ、接触ポイントに接触されているプローブを短絡させ、プローブを使用して内部導体に測定電流を供給し、プローブを使用して測定した接触ポイント間の電圧、及び測定電流に基づいて内部導体の抵抗を四端子法で測定して内部導体の検査を行う、という検査方法である。
しかしながら、特許文献1に記載の回路基板検査方法及び回路基板検査装置は、スルーホールを含む回路基板に対する検査精度を向上させるための技術であって、超小型チップ部品の電極に容易かつ確実に接触可能な基板検査用プローブ、基板検査装置、及びそれらを用いた基板検査方法ではなかった。
また、微細な検査点に二つの端子を接触させることが容易な基板検査用プローブ、基板検査装置、及びそれらを用いた基板検査方法も知られている(例えば、特許文献2を参照)。その構成は、各ニードルピンの軸線と傾斜して交差する先端面がそれぞれ形成された電流供給用ニードルピン及び電圧測定用ニードルピンと、各ニードルピンを一体に保持する保持部材と、を備える。また、保持部材は、電流供給用ニードルピンと電圧測定用ニードルピンとを平行に微小間隔を有して保持すると共に、先端面の頂部が相隣接する方向に配設されている、というものである。
しかしながら、特許文献2に記載の基板検査用プローブ、及びそれらを用いた基板検査装置も、超小型チップ部品の電極に容易かつ確実に接触可能な基板検査用プローブ、基板検査装置、及びそれらを用いた基板検査方法ではなかった。
また、画像処理などの高価な設備を用いることなく、プローブをチップ部品に接触させるだけの操作で、バイパスコンデンサなどのチップ部品の実装状態を検査可能とする回路基板検査装置も知られている(例えば、特許文献3を参照)。具体的には、チップ部品が回路基板側のハンダパッド上に実装されているかどうかを検査するため、第1,第2のプローブと、各プローブ間の電気的状態を計測する計測手段とを含み、第1プローブは、スイッチ手段を介して計測手段に選択的に接続される筒状プローブと、筒状プローブ内に挿通されバネ付勢されているプローブピンと、を備えた構成である。
また、上述したスイッチ手段により筒状プローブを計測手段に接続し、その傾斜面をチップ部品の一方のリード電極に接触させると共に、第2プローブをリード電極側のハンダパッドに連なる配線パターンに接触させ、計測手段にて筒状プローブと第2プローブとの間の電気的状態を計測する、というものである。
しかしながら、特許文献3に記載の回路基板検査装置は、チップ部品が、回路基板側のハンダパッド上に実装されているかどうか、を検査するための技術であって、超小型チップ部品の電極に容易かつ確実に接触可能な基板検査用プローブ、基板検査装置、及びそれらを用いた基板検査方法ではなかった。
特開2009−139182号公報 特開2004−279133号公報 特開2008−185598号公報
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、超小型の表面実装部品の電極に容易かつ確実に接触可能な基板検査用プローブを提供することにある。より詳しくは、ある程度(例えば、チップ部品では平面視0.6mm×0.3mm、QFPでは端子間ピッチが0.4mm)以下にまで超小型化され、フィレットが平面視できない程に小さくなった表面実装部品の電極を、テストランドに代えた接触部とし、プローブを接触させることが容易かつ確実にできる基板検査用プローブ、基板検査装置、及びそれらを用いた基板検査方法を提供することを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被検査基板(70)の対象部に離接可能な接触体(10,20,30,40)が当接することにより検査回路(90)へ電気接続する基板検査用プローブ(77,78,79,80)であって、
前記接触体(10,20,30,40)は、一対の接触部材(11,12,21,22,31,32,41,42)それぞれの先端(13,14,23,24,33,34)近傍に形成された傾斜端面(3,4)の組み合わせにより凸部(18)又は凹部(17)を設け、
前記一対の接触部材(11,12,21,22,31,32,41,42)のうち、一方は少なくとも前記傾斜端面(3)が絶縁体(11,21,31,41)であり、他方は良導体による接触電極(12,22,32,42,42)で構成され、
前記凸部(18)又は凹部(17)は、前記被検査基板(70)に実装された表面実装部品(50,R1,C1,R2,C2)の端子電極(1,2,51,52)に前記傾斜端面(3,4)で接触可能であり、
前記絶縁体(11)が前記端子電極(1,2,51,52)の一方に当接することにより、前記接触体(10)は前記表面実装部品(50,R1,C1,R2,C2)に対して位置決めをされると共に、
前記接触電極(12)が前記端子電極(1,2,51,52)の他方に接触導通して検査回路(90)へ電気接続するように構成された基板検査用プローブ(77,78,79,80)。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の基板検査用プローブ(77)において、前記接触体(20)は、一対の接触部材(21,22)それぞれの先端(23,24)近傍に山形の凸部(18)が形成され、
該山形の凸部(18)の中心には、前記一対の接触部材(21,22)の合わせ目にそれぞれの先端(23,24)から基端(15)の方向へ隙間(G)が設けられ、
該隙間(G)は前記傾斜端面(3,4)が前記端子電極(51,52)に当接して押圧されることで弾力的に狭められる構成である。
また、請求項3に記載の発明は、鞘状部(87)に挿通されて弾力的に進退自在の接触体(10)が、被検査基板(70)の対象部に当接して検査回路(90)へ電気接続する基板検査用プローブ(80)であって、
前記接触体(10)は、一対の接触部材(11,12)それぞれの先端(13,14)が二股に分かれて形成された凹部(17)の開口幅(X)を保持して進退するように構成され、
前記一対の接触部材(11,12)のうち、一方が絶縁体(11)であり、他方は良導体による接触電極(12)で構成され、
前記凹部(17)の内側には、前記先端(13,14)から基端(15)へ向かうにつれて奥細りするV字型勾配(M)が形成され、
該V字型勾配(M)は、前記被検査基板(70)に実装された表面実装部品(50,R1,C1,R2,C2)の両端に位置する端子電極(1,2)を挟持可能であり、
前記開口幅(X)は前記表面実装部品(R1,C1,R2,C2)の両端を含む最大外形長さ(L)よりも広く、
前記絶縁体(11)が前記端子電極(1,2)の一方に当接することにより、前記接触体(10)は前記表面実装部品(50,R1,C1,R2,C2)の長手方向に対して位置決めをされると共に、
前記接触電極(12)が前記端子電極(1,2)の他方に接触導通して検査回路(90)へ電気接続するものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3記載の基板検査用プローブ(80)において、前記表面実装部品(R1,C1,R2,C2)は直方体のチップ部品(小型の角型表面実装部品)である。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4記載の基板検査用プローブ(80)において、前記直方体の大きさが実装状態における平面視1.6mm×0.8mm以下とするものである。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の基板検査用プローブ(78,79)において、前記接触体(30,40)は、長手方向の縮み応力に対し弾性限界内の湾曲状態から真っ直ぐな初期形状に復元可能な弾性素材のワイヤーで本体が構成され、該ワイヤーの基端部(15)が、前記被検査基板(70)への離接動作を行う前記プローブ基台(88)に植設されたものである。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の基板検査用プローブ(77,78,79,80)を備えた基板検査装置(100)である。
また、請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の基板検査用プローブ(79,80)を備えた基板検査装置(100)である。
また、請求項9に記載の発明は、基板検査用プローブ(80)を被検査基板(70)のテストポイント(6〜9)に当接することにより検査回路(90)へ電気接続して所定の検査を行う基板検査方法であって、
前記被検査基板(70)に実装された表面実装部品(50,R1,C1,R2,C2)の長手方向の両端に位置する端子電極(1,2)そのものを前記テストポイント(6〜9)に設定するテストポイント設定工程(S10)と、
前記基板検査用プローブ(80)の鞘状部(87)に挿通されて弾力的に進退自在の接触体(10)を、前記テストポイント(6〜9)それぞれの上方に移動待機させる移動待機工程(S20)と、
少なくとも内側の一部が絶縁体(11)と良導体による接触電極(12)とによって形成された凹部(17)が、前記表面実装部品(50,R1,C1,R2,C2)の長手方向の両端に位置する端子電極(1,2)を含む最大外形長さ(L)よりも広い幅(X)で開口し、該凹部(17)の先端(13,14)から基端(15)へ向かうにつれて奥細りするV字型勾配(M)が形成された前記接触体(10)を、前記テストポイント(6〜9)に降下させるプローブ降下工程(S30)と、
前記端子電極(1,2)の一方(1)に前記絶縁体(11)が弾力的に当接しながら、前記凹部(17)が前記端子電極(1,2)の両端を外側から挟持することにより前記接触体(10)が前記表面実装部品(50,R1,C1,R2,C2)の長手方向に対して位置決めする位置決め工程(S40)と、
前記位置決めされた前記接触体(10)のうち前記絶縁体(11)と対をなす前記接触電極(12)が前記端子電極(1,2)の他方(2)に接触導通して検査回路(90)へ電気接続される検査回路接続工程(S50)と、
前記表面実装部品(50,R1,C1,R2,C2)に前記テストポイント(6〜9)経由で前記検査回路(90)から検査信号を巡らせる検査信号巡回工程(S60)と、
前記検査信号を巡らせた結果を検査回路(90)により判定する結果判定工程(S70)と、
前記接触体(10)を前記テストポイント(6〜9)から離間させるように前記基板検査用プローブ(80)を上昇させるプローブ上昇工程(S80)と、
を有するものである。
本発明によれば、超小型の表面実装部品の電極に容易かつ確実に接触可能な基板検査用プローブを提供できる。より詳しくは、ある程度(例えば、チップ部品では平面視0.6mm×0.3mm、QFPでは端子間ピッチが0.4mm)以下にまで超小型され、フィレットが平面視できない程に小さくなった表面実装部品の電極を、テストランドに代えた接触部とし、プローブを接触させることが容易かつ確実にできる基板検査用プローブ、基板検査装置、及びそれらを用いた基板検査方法を提供できる。
本発明の第1実施例に係る基板検査用プローブ(以下、「本プローブ」ともいう)、本プローブを備えた基板検査装置(以下、「本装置」ともいう)、及びそれらを用いた基板検査方法(以下、「本方法」ともいう)の概略を説明するための回路図である。 本装置及び本プローブの概略構成を説明するための模式図である。 本装置及び本プローブの構成をより実態的に説明するため一部透視又は一部断面による正面図である。 本方法の手順を説明するためのフローチャートである。 QFPの実装状態を説明するための図であり、図5(A)は平面図、図5(B)は一部拡大平面図、図5(C)は側断面図、図5(D)は一部拡大側断面図、図5(E)は使用状態の本プローブの一部拡大正面図、である。 本発明の第2実施例に係るプローブ(これも「本プローブ」と略称する)の概略構成及び使用実態を説明するための模式図である。 本発明の第3実施例に係るプローブ(これも「本プローブ」と略称する)の概略構成を説明するための正面図であり、図7(A)は先端がテストポイントに到達直後の状態、図7(B)は圧接する状態、をそれぞれ示している。 第3実施例に係る本プローブを形成する接触体を説明するための模式図であり、図8(A)は凹部の形状、図8(B)は凸部の形状である。
[第1実施例]
以下、第1実施例に係る本装置及び本方法について、図1〜図4を用いて詳細に説明する。なお、各図に亘って、同一効果の部材及び工程には、同一符号を付して説明の重複を避ける。図1は、本プローブ、本装置、及び本方法の概略を説明するための回路図である。図1に示すように、本装置100は、本プローブ80と、検査回路90を備えて構成され、被検査基板(以下、「回路基板」、又は単に「基板」ともいう)70を検査するものである。
本プローブ80については、より詳細に後述する。検査回路90は、信号源91と、検出器92と、切り替えスイッチSW1〜SW4(以下、単に「SW1〜SW4」ともいう)と、を備えて構成されている。また、基板70に実装された表面実装部品(以下、「チップ部品」ともいう)R1,C1,R2,C2の長手方向の両端に位置する端子電極1,2そのものが、テストポイント6〜9に設定されている。
基板70には配線パターン71〜75が配設され、それら配線パターン71〜75の所定位置に、チップ部品R1,C1,R2,C2が半田16で実装されている。これらのチップ部品R1,C1,R2,C2は、それぞれの両端に端子電極1,2が形成されている。チップ部品R1の端子電極1は、配線パターン71に半田16で実装され、チップ部品R1の端子電極2は、配線パターン72に半田16で実装されている。
その配線パターン72には、チップ部品C1の端子電極1が半田16で実装され、チップ部品C1の端子電極2は、配線パターン73に半田16で実装されている。その配線パターン73には、チップ部品R2の端子電極2が半田16で実装され、チップ部品R2の端子電極1は、配線パターン74に半田16で実装されている。
図2は、本装置の概略構成を説明するための模式図であり、チップ部品C1だけの検査について説明し易くしたものである。図1及び図2に示すように、基板70に実装されたチップ部品R1,C1,R2,C2(図2,図3ではC2を省略)の何れかに対し、検査回路90のSW1〜SW4の操作により、本プローブ80を介して、信号源91及び検出器92が電気接続される。例えば、SW1をN(ニュートラル)、SW2をP(端子)、SW3をQ(端子)、SW4をN、に設定することにより、チップ部品C1が、本プローブ80を介して、信号源91及び検出器92に電気接続される。
チップ部品C1以外のチップ部品R1,R2,C2の何れかに対しては、SW1〜SW4を適切に切り替え操作することにより、本プローブ80を介して、信号源91及び検出器92に電気接続することが可能である。例えば、図1において、チップ部品R1に対しては、SW1をP、SW2をQ、SW3,4をNに設定する。同様に、チップ部品R2に対しては、SW3をP、SW4をQ、SW1,2をNに設定する。
なお、図1及び図2の記載範囲において、チップ部品C2を検査回路90に閉回路構成することはできないが、単なる図面描写の制約に過ぎず、チップ部品R1,C1,R2と類似の方法で検査回路90に閉回路構成できることはいうまでもない。
本プローブ80は、鞘状部87と、その鞘状部87に挿通されて弾力的に進退自在の接触体10と、によりテレスコピック構成されている。このように構成された本プローブ80は、接触体10が被検査基板70において、任意に設定された対象部に当接して検査回路90へ電気接続する。すなわち、本プローブ80は、被検査基板70に実装されたチップ部品R1,C1,R2,C2の何れか1つに設定された検査対象に当接して検査回路90へ電気接続する。なお、何れか1つに設定する理由は、単に説明の便宜上のことであり、複数の検査対象を同時に検査する設定でも構わない。その場合は、検査回路90を相応に充実させる必要がある。
以下、主に図2を用いて、接触体10をより詳細に説明する。接触体10は、一対の接触部材11,12を一体結合することにより構成されている。この接触体10は、挿通された鞘状部87の中で、揃って進退動作可能に支承されている。これら一対の接触部材11,12のうち、一方が絶縁体11であり、他方は良導体による接触電極12で構成されている。
また、基端15から大部分を一体に結合された接触部材11,12は、それぞれの先端13,14が、二股に分かれて凹部17を形成している。接触体10は、この凹部17の開口幅Xを保持して進退するように構成されている。この開口幅Xは表面実装部品R1,C1,R2(図2,図3ではC2を省略)の両端を含む最大外形長さLよりも広い。
また、凹部17の内側には、先端13,14から基端15へ向かうにつれて奥細りするV字型勾配Mが形成されている。このV字型勾配Mは、被検査基板70に実装された表面実装部品R1,C1,R2の両端に位置する端子電極1,2を挟持することが可能である。
本プローブ80は、上述のように、凹部17の内側にV字型勾配Mが形成された一対の接触部材11,12により接触体10が構成されている。このため、接触体10の一方の接触部材11である絶縁体11が、表面実装部品R1,R2それぞれの一方の端子電極1に当接することにより、接触体10は表面実装部品R1,R2の長手方向に対して位置決めをされる。このように位置決めされた接触体10の他方の接触部材12である接触電極12が、表面実装部品R1,R2それぞれの他方の端子電極2に接触導通して検査回路90へ電気接続する。なお、このとき「位置決めされる」ことをセルフアライメント(Self-alignment)と呼ぶ場合もある。
凹部17の内側に形成されたV字型勾配Mは、先端13,14が、長さLよりも広い開口幅Xに設定され、基端15へ向かうにつれて奥細りしている。長さLとは、表面実装部品R1,C1,R2それぞれの長手方向の両端に位置する端子電極1,2を含む最大外形長さLである。凹部17は、その内側のV字型勾配Mの先端13,14の間口が、長さLよりも広い開口幅Xを保持しているので、表面実装部品R1,C1,R2それぞれの端子電極1,2を、長手方向の両側から確実に挟持することが可能である。
本プローブ80は、このような凹部17を有するので、端子電極1,2の一方に対して絶縁体11が当接することにより接触体10の表面実装部品R1,R2の長手方向に対する位置決めできる。さらに、本プローブ80は、位置決めされた凹部17により、端子電極1,2の他方に対し、接触電極12が直接に接触導通して検査回路90へ電気接続する。
表面実装部品R1,C1,R2,C2は、直方体のチップ部品である。その直方体の大きさは、基板実装面の平面視において(長さL×幅W)=(1.6mm×0.8mm)以下である。この長さLは、表面実装部品R1,C1,R2,C2の両電極1,2が形成された両端の長さである。上述のように、凹部17の先端13,14は、チップ部品R1,C1,R2,C2の長手方向の両端の長さLよりも広い開口幅Xが保持され、内側には、奥細りのV字型勾配Mが形成されている。このため、凹部17の先端13,14は、被検査基板70に実装されたチップ部品R1,C1,R2,C2の端子電極1,2を、容易かつ確実に挟持することが可能である。
また、本プローブ80は、接触体10を被検査基板70に接近し、表面実装部品R1,C1,R2,C2の両電極1,2を、一対の接触部材11,12により挟持する。その結果、両電極1,2には、接触部材11,12がそれぞれ当接する。ただし、接触部材11,12の一方が絶縁体11であり、他方は良導体による接触電極12であるため、両電極1,2のうち片方のみが検査回路90へ電気接続される。このとき、一方の端子電極1に当接した絶縁体11は、接触体10を表面実装部品R1,R2の長手方向に対して位置決めする機能を発揮する。
図1及び図2に示して上述したように、SW1をN、SW2をP、SW3をQ、SW4をN、に設定することにより、チップ部品C1が、本プローブ80を介して、信号源91及び検出器92に電気接続される。この接続形態について、より詳細に説明する。
図2に示すように、チップ部品C1の端子電極1は、配線パターン72を介してチップ部品R1の端子電極2に接続されている。また、チップ部品C1の端子電極2は、配線パターン73を介してチップ部品R2の端子電極2に接続されている。ここで、チップ部品C1の単品機能を検査する場合、チップ部品C1の端子電極1,2を、両方共に検査回路90に電気接続して閉回路を形成する必要がある。これに対し、チップ部品C1の端子電極1,2に、1つの本プローブ80の先端13,14を直接に接続しなくても、配線パターン72,73を介して接続された他のチップ部品R1,R2それぞれの端子電極2に接続すれば良い。より具体的には以下のとおりである。
まず、検査回路90の信号源91から接続線94を介して図2左側に位置する本プローブ80の接触電極12の基端15まで接続されている。接触電極12の先端14から奥細りに形成されているV字型勾配Mが、チップ部品R1の端子電極2に接触導通する。チップ部品R1の端子電極2は、配線パターン72を介してチップ部品C1の端子電極1に接続されている。このような経路で、チップ部品C1の端子電極1は、検査回路90の信号源91に接続されている。
一方、検査回路90の信号源91は接続線93を介して検出器92に直列接続され、その検出器92から、接続線95を介して図2右側に位置する本プローブ80の接触電極12の基端15まで接続されている。接触電極12の先端14から奥細りに形成されているV字型勾配Mが、チップ部品R2の端子電極2に接触導通する。チップ部品R2の端子電極2は、配線パターン73を介してチップ部品C1の端子電極2に接続されている。このような経路で、チップ部品C1の端子電極2は、検査回路90の検出器92に接続されている。
また、上述のように、図1において、チップ部品C1以外のチップ部品R1,R2,C2の何れかに対しては、SW1〜SW4を適切に切り替え操作することにより、本プローブ80を介して、信号源91及び検出器92に電気接続することが可能である。さらに、図1〜図3の記載範囲において、チップ部品C1以外のチップ部品R1,R2,C2の何れかに対しては、本プローブ80を非接触状態にしてから基板70の実装面を平行移動することにより、適切な接続形態を実現できる。以下、図3を用いて本プローブ80のより詳細な実施形態を説明する。
図3は本装置及び本プローブの構成をより実態的に説明するため一部透視又は一部断面による正面図である。図3に例示するように、本装置100は、不図示の検査台上に水平に載置された基板70に対し、平行な対面姿勢を維持しながら接近(矢印D方向)と離間(矢印U方向)の動作を自在にするプローブ基台88を備えている。
なお、図2及び図3では、基板70の上面を部品実装面として、その上方からプローブ基台88が覆い被さる形態を例示しているが、これに限定するものではない。すなわち、本装置100は、基板70の両面が部品実装面であり、その上下両方からプローブ基台88が覆い被さる形態であっても構わない。
図3の上方において、上下動作可能なプローブ基台88には、適切な間隔をおいてプローブ植設孔89が穿設されている。このプローブ植設孔89には、本プローブ80の基部を形成する円筒形の鞘状部87が密嵌装着されており、適宜交換可能である。本プローブ80は、鞘状部87と、それに挿通されて弾力的に進退自在の接触体10と、によりテレスコピック構成をなしている。また、鞘状部87の奥には、接触体10の基端部を押し出す方向に付勢するコイルバネ81が配設されている。鞘状部87と、接触体10とは何れも導電部で密に電気接触を維持されている。
本プローブ80は、接触体10の周面に、半径方向に突出する回り止め突起82が突設されており、これを摺動自在に受容する回り止めガイド長孔83が、鞘状部87の周面で軸方向に穿設されている。多数の本プローブ80が林立するプローブ基台88を上下動作させると、本プローブ80の先端を形成する接触体10も一体的に上下動作する。本プローブ80を矢印U,D方向に昇降動作すれば、接触体10を基板70の部品実装面に離間と近接させることができる。
接触体10は、一対の接触部材11,12により構成されており、これらが挿通された鞘状部87の中で、揃って進退動作可能に支承されている。これら一対の接触部材11,12のうち、一方が絶縁体11であり、他方は良導体による接触電極12で構成されている。
絶縁体11と接触電極12との間には、両者に囲まれるように凹部17が形成されている。凹部17は、接触部材11,12が二股に分かれたそれぞれの先端13,14から基端15へ向かうにつれて奥細りするV字型勾配Mにより形成されている。このV字型勾配Mは、先端13,14が長さLよりも広く幅Xで開口し、基端15へ向かうにつれて奥細りしている。
接触体10は、テレスコピック構成のため、基板70の部品実装面に柔軟に当接することにより電気接触する。電気接触した接触体10は、検査対象と検査回路90との導通状態を維持できるように構成されている。より具体的には、図2を用いて上述した要領で、被検査基板70に実装されたチップ部品R1,C1,R2,C2の何れかに当接して検査回路90へ電気接続する。以下に、図2を用いて本発明の典型例である第1実施例について、要点のみを簡略に説明する。
本プローブ80は、被検査基板70の対象部に当接して検査回路90へ電気接続する接触体10で主要構成されている。この接触体10は、鞘状部87に挿通されて弾力的に進退自在のテレスコピック構成である。また、接触体10は、一方の絶縁体11と他方の接触電極12それぞれが、基端15で結合して先端13,14で分かれた二股構造である。その二股構造の先端13,14が、開口幅Xを保持して一体的に進退する凹部17を形成している。この凹部17の内側は、先端13,14から基端15へ向かうにつれて奥細りするV字型勾配Mを形成している。
この凹部17は、被検査基板70に実装された表面実装部品R1,R2の両端に位置する端子電極1,2を、V字型勾配Mに当接させて、二股の間に挟持することが可能である。この二股の開口幅Xは、表面実装部品R1,R2の両端を含む最大外形長さLより広い。一方の端子電極1に絶縁体11が当接すれば、その絶縁体11を含んで一体構成の接触体10は、表面実装部品R1,R2の長手方向に対して位置決めされる。すると、一体構成の接触体10に含まれる接触電極12が、他方の端子電極2に接触導通して検査回路90へ容易かつ確実に電気接続される。
本発明によれば、超小型チップ部品R1,C1,R2,C2の電極1,2に容易かつ確実に接触可能な基板検査用プローブ(本プローブ)80を提供できる。より詳しくは、ある程度(平面視0.6mm×0.3mm)以下にまで超小型され、フィレットが平面視できない程に小さくなったチップ部品R1,C1,R2,C2の電極1,2を、テストランドに代えた接触部とし、プローブ80を接触させることが容易かつ確実にできる本プローブ80、基板検査装置100、及びそれらを用いた基板検査方法(本方法)を提供できる。以下、図4を用いて本方法の手順を説明する。
図4は、本方法の手順を説明するためのフローチャートである。本方法は、本プローブ80を被検査基板70のテストポイント6〜9に当接することにより検査回路90へ電気接続して所定の検査を行う方法である。図4に示すように、本方法には、テストポイント設定工程(S10)と、移動待機工程(S20)と、プローブ降下工程(S30)と、位置決め工程(S40)と、検査回路接続工程(S50)と、検査信号巡回工程(S60)と、結果判定工程(S70)と、プローブ上昇工程(S80)と、を有している。
まず、テストポイント設定工程(S10)では、被検査基板70に実装された表面実装部品R1,C1,R2,C2の長手方向の両端に位置する端子電極1,2そのものをテストポイント6〜9に設定する。つぎに、移動待機工程(S20)では、接触体10をテストポイント6〜9それぞれの上方に移動待機させる。接触体10は、本プローブ80の鞘状部7に挿通されて弾力的に進退自在である。
つぎに、プローブ降下工程(S30)では、本プローブ80の接触体10を、テストポイント6〜9(図1)に降下させる。この接触体10は、その先の方に凹部17が形成されている。この凹部17は、少なくとも内側の一部が、絶縁体11と、良導体による接触電極12と、によって形成されている。また、凹部17の先端13,14から基端15へ向かうにつれて奥細りするV字型勾配Mが形成されている。凹部17の開口された先端13,14は、チップ部品R1,C1,R2,C2の長手方向の両端に位置する端子電極1,2を含む最大外形長さLよりも広い開口幅Xが保持されている。
つぎに、位置決め工程(S40)では、一方の端子電極1に絶縁体11が弾力的に当接される。このとき、凹部17が端子電極1,2の両端を外側から挟持するように被さる。ここで、接触体10が表面実装部品R1,R2の長手方向に対して位置決めされる。つぎに、検査回路接続工程(S50)では、位置決めされた接触体10のうち絶縁体11と対をなす接触電極12が、他方の端子電極2に接触導通して検査回路90へ電気接続される。
つぎに、検査信号巡回工程(S60)では、表面実装部品R1,C1,R2,C2にテストポイント6〜9(図1)経由で検査回路90から検査信号を巡らせる。つぎに、結果判定工程(S70)では、検査信号を巡らせた結果を検査回路90により判定する。最後に、プローブ上昇工程(S80)では、接触体10をテストポイント6〜9(図1)から離間させるように本プローブ80を上昇させる。以上の手順に示したとおり、本方法によれば、超小型チップ部品R1,C1,R2,C2の電極1,2に対して、本プローブ80を容易かつ確実に接触可能である。
[第2実施例]
以下、QFP(Quad Flat Package)に好適な第2実施例に係る本プローブについて、図5及び図6を用いて詳細に説明する。図5は、QFPの実装状態を説明するための図であり、図5(A)は平面図、図5(B)は一部拡大平面図、図5(C)は側断面図、図5(D)は一部拡大側断面図、図5(E)は使用状態の本プローブの一部拡大正面図、である。
QFPは、その名の示すとおり、図5(A)における平面視が概ね方形の薄型フラットパッケージにLSI(large-scale integration)が格納された表面実装型の電子デバイスである。すなわち、図5(C)及び図5(D)に示すように、QFPは、4辺から多数の端子がほぼ等間隔かつ緻密に突き出されており、プリント配線板の表面に半田付けで実装される。
図5(B)に示すように、このQFPの端子間ピッチ、すなわち、隣接する端子それぞれの中心どうしの間隔については、現在のところ最小ピッチとして、0.4mmのものが知られている。端子間ピッチが0.4mmであれば、端子間の隙間はさらに狭い。
図6を用いてより詳しく後述するが、図5(E)に示すように、本プローブ77は、一対の接触部材21,22、それぞれの先端23,24近傍に山形の凸部18が形成された接触体20を備えている。この凸部18は、山形の両肩に概ね左右対称の傾斜端面3,4を有している。このような山形の傾斜端面3,4が、QFPの端子51,52間の狭い隙間に割り込んで押し広げるように当接する。
また、山形の凸部18の中心には、一対の接触部材21,22、それぞれの先端23,24から基端15の方向へ隙間Gが設けられている。すなわち、一対の接触部材21,22の合わせ目に、非接触部分が設けられ、その非接触部分が隙間Gを形成している。
本プローブ77を矢印D方向に下降させると、傾斜端面3,4が端子電極51,52に当接して押圧される。このとき、山形の傾斜端面3,4は、両側から矢印J方向に押圧されるので、隙間Gは弾力的に狭められる。逆に、本プローブ77を矢印U方向に上昇させると、傾斜端面3,4が端子電極51,52から離間して解放される。このとき、山形の傾斜端面3,4は、絶縁体(接触部材)21、及び接触電極22の素材が備える本来の弾性力によって、矢印Kに示す方向へと隙間Gが広げられる(図6参照)。
図6は、第2実施例に係る本プローブの概略構成及び使用実態を説明するための模式図である。上述した第1実施例の接触体10は、その先の方に凹部17が形成されている。これに対し、図6に示す第2実施例に係る本プローブ77を形成する接触部20は、その先の方に、凹部でなく山形の凸部18が形成されている。
被検査基板70の対象部に離接可能な本プローブ77の接触体20が、端子51,52に当接することによって、検査回路90に電気接続する要領は、第1実施例により上述したとおりなので説明を省略する。接触体20は、一対の接触部材21,22それぞれの先端23,24の近傍に形成された傾斜端面3,4の組み合わせにより凸部18が設けられている。
これら一対の接触部材21,22のうち、少なくとも、一方の傾斜端面3は、絶縁体21であり、他方は良導体による接触電極22で構成されている。凸部18は、被検査基板70に実装された表面実装部品50(以下、「QFT50」ともいう)の端子電極51,52に傾斜端面3,4で接触可能である。
一対の接触部材21,22のうち、一方の傾斜端面3をなす絶縁体21が、一方の端子電極41に当接することにより、接触体10はQFT50に対して位置決めをされる。すると、一対の接触部材21,22のうち、他方の傾斜端面4をなす接触電極12が、他方の端子電極42に接触導通して検査回路90へ電気接続される。
[第3実施例]
以下、QFP(Quad Flat Package)に好適な第3実施例について図7及び図8を用いて詳細に説明する。上述した第1,2実施形態の接触体10,20は、その基端部15は、鞘状部87に挿通されて弾力的に進退自在とするようにテレスコピック構成されている。これに対し、図7及び図8に示す第3実施例の接触体は、先端をとがらせた高弾性のワイヤー単独で構成された、いわゆるワイヤープローブ(wire Probe)である。このワイヤープローブは、自身が弓なりに弾性変形することにより、適正な押圧力が得られて良好に電気接触するように構成されている。
図7は、第3実施例に係る本プローブ78,79の概略構成を説明するための正面図であり、図7(A)は先端がテストポイント6〜9(図1も参照)に到達直後の状態、図7(B)は圧接する状態、をそれぞれ示している。図7(A)に示すように、本プローブ78,79を構成する接触体30,40は、プローブ基台88に植設された弾性素材のワイヤーにより構成されている。
なお、本プローブ78と、本プローブ79と、の違い、及び接触体30と、接触体40との違いについては、図8を用いて後述するが、図7に係る説明の段階において、両者は同等である。また、テストポイント6〜9と、検査回路90との接続については、図1を用いて説明したとおりである。
接触体30,40は、長手方向の縮み応力に対し、弾性限界内の湾曲状態から真っ直ぐな初期形状に復元可能な弾性素材、例えばピアノ線等によるワイヤーで構成されている。また、ワイヤーの基端部15が、プローブ基台88に植設され、ワイヤーの先端部は、ガイド板85に穿設されたガイド孔86に挿通されている。
なお、このワイヤープローブは、多数を支持して被検査基板70への離接動作を一括して行うプローブ基台88及びガイド板85の機械的精度によって、テストポイント6〜9に命中する。さらに、このワイヤープローブは、ストローク限度を管理し、弾性限界を超えない範囲で用いることにより、屈伸動作が連続しても、湾曲状態から真っ直ぐな待機形状に戻れるのでピンポイントの的を外さない。
ワイヤープローブは、図5に示したQFP50の端子51,52のような狭ピッチへの対応が可能である。例えば、ワイヤーφ0.07mmならば、110μmピッチに対応可能である。図7(B)の矢印Tに示すように、プローブ基台88の下降動作より、接触体30,40は、先端がテストポイント6〜9に当接し、接触導通して検査回路90へ電気接続される。このとき、ワイヤーの中腹は、弾性限界内の湾曲状態であり、狭ピッチで使用しても高いピン圧力が得られる。さらに一体構造であるため、電気抵抗値が安定している。また、コイルバネを使用していないため、長寿命であり、例えば、100万回程度の当接耐久性能が知られている。
なお、図7(B)の矢印Tに示した湾曲形状は、説明のために誇張しており、相互に接触しない程度にプローブ基台88のストロークが制限されている。また、プローブ基台88に比べて、ガイド板85は少ないストロークであるため、被検査基板70のテストポイント6〜9の近傍に待機し、ガイド孔86に挿通された接触体30,40の水平位置を案内する。
図8は、第3実施例に係る本プローブを形成する接触体を説明するための模式図であり、図8(A)は凹部の形状、図8(B)は凸部の形状である。図8(A)に示すように、本プローブ78は、例えば45度の角度で傾斜した接触電極32の先端に対し、同様に45度の角度で傾斜した先端形状の絶縁体31を(紙面の裏側から)接着することにより、内周にV字型勾配Mの凹部17を有する接触体30を構成している。接触体30の凹部17がチップ部品R1の端子1,2に接触する要領は、図2及び図3に示した第1実施例に係る接触体10と同様である。
また、図8(B)に示すように、45度の傾斜角で山形に形成された接触電極42の先端に対し、絶縁体41を被覆することにより、傾斜端面3を形成している。絶縁体41は基端側を解放した形状であるほか、片側の傾斜端面4は良導体による接触電極42を露出させる構成である。このため、接触体40は、一方の傾斜端面3が絶縁体41で、他方の傾斜端面4は良導体による接触電極42という一対構成をなす。接触体40の凸部18がQFP50の端子51,52に接触する要領は、図5及び図6に示した第2実施例に係る接触体20と同様である。
なお、図8(B)に示した凸部18について、例えば、山形の帽子形状の樹脂製部材における片側斜面に孔を開けた絶縁体41を、接触体40の先端に被覆することにより構成している。しかし、絶縁体41は、接触電極42に対して別部材を被覆することなく、接触電極42の先端に絶縁酸化被膜を形成し、片側の傾斜端面4を研磨するなどして良導体による接触電極42を露出させる構成にしても良い。
以上、説明したように、本発明によれば、超小型の表面実装部品の電極に容易かつ確実に接触可能な基板検査用プローブを提供できる。より詳しくは、ある程度(例えば、チップ部品では平面視0.6mm×0.3mm、QFPでは端子間ピッチが0.4mm)以下にまで超小型され、フィレットが平面視できない程に小さくなった表面実装部品の電極を、テストランドに代えた接触部とし、プローブを接触させることが容易かつ確実にできる基板検査用プローブ、基板検査装置、及びそれらを用いた基板検査方法を提供できる。
本発明に係る基板検査用プローブ、基板検査装置、及びそれらを用いた基板検査方法は、あらゆる電子機器を構成するプリント基板に半田付けされた超小型の表面実装部品、特にチップ部品やQFP・LSIに対する検査装置及びそれらを用いた検査方法に採用される可能性がある。
1,41 (表面実装部品の一方の)端子電極、2,42 (表面実装部品の他方の)端子電極、3,4 傾斜端面、6〜9 テストポイント、10,20,30,40 接触体、11,21,31,41 絶縁体(接触部材)、12,22,32,42 接触電極(接触部材)、13,14,23,24,33,34 (接触部材の)先端、15 (表面実装部品の両電極の)基端、16 半田、17 凹部、18 凸部、50(QFP),R1,C1,R2,C2 表面実装部品、70 被検査基板、71〜75 配線パターン、77,78,79,80 基板検査用プローブ(本プローブ)、81 コイルバネ、82 回り止め突起、83 回り止めガイド長孔、85 ガイド板、86 ガイド孔、87 (基板検査用プローブ80の)鞘状部、88 プローブ基台、89 プローブ植設孔、90 検査回路、91 信号源、92 検出器、93〜95 接続線、100 基板検査装置(本装置)、D,J,K,U 矢印、G 隙間、L (表面実装部品の両電極1,2を含む最大外形の)長さ、M V字型勾配、S10 テストポイント設定工程、S20 移動待機工程、S30 プローブ降下工程、S40 位置決め工程、S50 回路接続工程、S60 検査信号巡回工程、S70 結果判定工程、S80 プローブ上昇工程、W (表面実装部品の両電極間の)幅、X (凹部17の)開口幅、Y (プローブ基台88とガイド板85との)間隔

Claims (9)

  1. 被検査基板の対象部に離接可能な接触体が当接することにより検査回路へ電気接続する基板検査用プローブであって、
    前記接触体は、一対の接触部材それぞれの先端近傍に形成された傾斜端面の組み合わせにより凸部又は凹部を設け、
    前記一対の接触部材のうち、一方は少なくとも前記傾斜端面が絶縁体であり、他方は良導体による接触電極で構成され、
    前記凸部又は凹部は、前記被検査基板に実装された表面実装部品の端子電極に前記傾斜端面で接触可能であり、
    前記絶縁体が前記端子電極の一方に当接することにより、前記接触体は前記表面実装部品に対して位置決めをされると共に、
    前記接触電極が前記端子電極の他方に接触導通して検査回路へ電気接続するように構成された基板検査用プローブ。
  2. 前記接触体は、一対の接触部材それぞれの先端近傍に山形の凸部が形成され、
    該山形の凸部の中心には、前記一対の接触部材の合わせ目にそれぞれの先端から基端の方向へ隙間が設けられ、
    該隙間は前記傾斜端面が前記端子電極に当接して押圧されることで弾力的に狭められる構成である請求項1記載の基板検査用プローブ。
  3. 鞘状部に挿通されて弾力的に進退自在の接触体が、被検査基板の対象部に当接して検査回路へ電気接続する基板検査用プローブであって、
    前記接触体は、一対の接触部材それぞれの先端が二股に分かれて形成された凹部の開口幅を保持して進退するように構成され、
    前記一対の接触部材のうち、一方が絶縁体であり、他方は良導体による接触電極で構成され、
    前記凹部の内側には、前記先端から基端へ向かうにつれて奥細りするV字型勾配が形成され、
    該V字型勾配は、前記被検査基板に実装された表面実装部品の両端に位置する端子電極を挟持可能であり、
    前記開口幅は前記表面実装部品の両端を含む最大外形長さよりも広く、
    前記絶縁体が前記端子電極の一方に当接することにより、前記接触体は前記表面実装部品の長手方向に対して位置決めをされると共に、
    前記接触電極が前記端子電極の他方に接触導通して検査回路へ電気接続するように構成された基板検査用プローブ。
  4. 前記表面実装部品は直方体のチップ部品である請求項3記載の基板検査用プローブ。
  5. 前記直方体の大きさが実装状態における平面視1.6mm×0.8mm以下である請求項4記載の基板検査用プローブ。
  6. 前記接触体は、長手方向の縮み応力に対し弾性限界内の湾曲状態から真っ直ぐな初期形状に復元可能な弾性素材のワイヤーで本体が構成され、該ワイヤーの基端部が、前記被検査基板への離接動作を行う前記プローブ基台に植設されている請求項1〜5の何れかに記載の基板検査用プローブ。
  7. 請求項1〜5の何れかに記載の基板検査用プローブを備えた基板検査装置。
  8. 請求項6に記載の基板検査用プローブを備えた基板検査装置。
  9. 基板検査用プローブを被検査基板のテストポイントに当接することにより検査回路へ電気接続して所定の検査を行う基板検査方法であって、
    前記被検査基板に実装された表面実装部品の長手方向の両端に位置する端子電極そのものを前記テストポイントに設定するテストポイント設定工程と、
    前記基板検査用プローブの鞘状部に挿通されて弾力的に進退自在の接触体を、前記テストポイントそれぞれの上方に移動待機させる移動待機工程と、
    少なくとも内側の一部が絶縁体と良導体による接触電極とによって形成された凹部が、前記表面実装部品の長手方向の両端に位置する端子電極を含む最大外形長さよりも広い幅で開口し、該凹部の先端から基端へ向かうにつれて奥細りするV字型勾配が形成された前記接触体を、前記テストポイントに降下させるプローブ降下工程と、
    前記端子電極の一方に前記絶縁体が弾力的に当接しながら、前記凹部が前記端子電極の両端を外側から挟持することにより前記接触体が前記表面実装部品の長手方向に対して位置決めする位置決め工程と、
    前記位置決めされた前記接触体のうち前記絶縁体と対をなす前記接触電極が前記端子電極の他方に接触導通して検査回路へ電気接続される検査回路接続工程と、
    前記表面実装部品に前記テストポイント経由で前記検査回路から検査信号を巡らせる検査信号巡回工程と、
    前記検査信号を巡らせた結果を検査回路により判定する結果判定工程と、
    前記接触体を前記テストポイントから離間させるように前記基板検査用プローブを上昇させるプローブ上昇工程と、
    を有する基板検査方法。
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