以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1は、本実施形態に係るタイヤ/ホイール組立体の子午断面図である。以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施の形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。また、ホイール径方向とは、タイヤ径方向と同様であり、前記回転軸と直交する方向をいい、ホイール径方向内側とはホイール径方向において回転軸に向かう側、ホイール径方向外側とはホイール径方向において回転軸から離れる側をいう。ホイール周方向とは、上記タイヤ周方向と同様であり、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、ホイール幅方向とは、上記タイヤ幅方向と同様であり、前記回転軸と平行な方向をいい、ホイール幅方向外側とはホイール幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。
タイヤ/ホイール組立体100は、図1に示すように、空気入りタイヤ1と、ホイール102と、を含む。
空気入りタイヤ1は、図1に示すように、トレッド部2と、その両側のショルダー部3と、各ショルダー部3から順次連続するサイドウォール部4およびビード部5とを有している。また、この空気入りタイヤ1は、カーカス層6と、ベルト層7と、ベルト補強層8と、インナーライナー9と、を備えている。
トレッド部2は、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面21が形成されている。トレッド面21は、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なストレート主溝である複数(本実施形態では4本)の主溝22が設けられている。そして、トレッド面21は、これら複数の主溝22により、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なリブ状の陸部23が複数形成されている。また、図には明示しないが、トレッド面21は、各陸部23において、主溝22に交差するラグ溝が設けられている。陸部23は、ラグ溝によってタイヤ周方向で複数に分割されている。また、ラグ溝は、トレッド部2のタイヤ幅方向最外側でタイヤ幅方向外側に開口して形成されている。なお、ラグ溝は、主溝22に連通している形態、または主溝22に連通していない形態の何れであってもよい。
ショルダー部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向両外側の部位である。また、サイドウォール部4は、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出したものである。また、ビード部5は、ビードコア51とビードフィラー52とを有する。ビードコア51は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー52は、カーカス層6のタイヤ幅方向端部がビードコア51の位置で折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材である。
カーカス層6は、各タイヤ幅方向端部が、一対のビードコア51でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返され、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されてタイヤの骨格を構成するものである。このカーカス層6は、タイヤ周方向に対する角度がタイヤ子午線方向に沿いつつタイヤ周方向にある角度を持って複数並設されたカーカスコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。カーカスコードは、有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。このカーカス層6は、少なくとも1層で設けられている。
ベルト層7は、少なくとも2層のベルト71,72を積層した多層構造をなし、トレッド部2においてカーカス層6の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、カーカス層6をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト71,72は、タイヤ周方向に対して所定の角度(例えば、20度〜30度)で複数並設されたコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。また、重なり合うベルト71,72は、互いのコードが交差するように配置されている。
ベルト補強層8は、ベルト層7の外周であるタイヤ径方向外側に配置されてベルト層7をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に略平行(±5度)でタイヤ幅方向に複数並設されたコード(図示せず)がコートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。図1で示すベルト補強層8は、ベルト層7のタイヤ幅方向端部を覆うように配置されている。ベルト補強層8の構成は、上記に限らず、図には明示しないが、ベルト層7全体を覆うように配置された構成、または、例えば2層の補強層を有し、タイヤ径方向内側の補強層がベルト層7よりもタイヤ幅方向で大きく形成されてベルト層7全体を覆うように配置され、タイヤ径方向外側の補強層がベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されている構成、あるいは、例えば2層の補強層を有し、各補強層がベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されている構成であってもよい。すなわち、ベルト補強層8は、ベルト層7の少なくともタイヤ幅方向端部に重なるものである。また、ベルト補強層8は、帯状(例えば幅10[mm])のストリップ材をタイヤ周方向に巻き付けて設けられている。
インナーライナー9は、空気入りタイヤ1の内面を構成し、タイヤ外側への空気分子の透過を抑制するためのものである。インナーライナー9は、カーカス層6の内周面に、各タイヤ幅方向両端部が一対のビード部5に至り、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されて貼り付けられている。
ホイール102は、上述した空気入りタイヤ1が取り付けられる。ホイール102は、リム103と、センターディスク104と、有する。
リム103は、ホイール幅方向に延在し、中心軸(図示せず)を中心としてリング状に形成されたものである。リム103は、各ホイール幅方向外側に、空気入りタイヤ1の各ビード部5と嵌合するタイヤ嵌合部103Aを有する。すなわち、リム103の各タイヤ嵌合部103Aに、空気入りタイヤ1の各ビード部5が嵌合することで、リム103のホイール径方向外側の面となる外面と、空気入りタイヤ1の内周面である内面とで囲まれて、気体(空気や窒素など:以下空気という)が充填される空洞部分であるタイヤ内腔120が形成される。
センターディスク104は、連結部を構成するもので、リム103のホイール径方向内側に設けられるものである。センターディスク104は、図には明示しないが、リム103に連結され、回転軸の位置に、当該回転軸と一致するように車両の車軸と連結されるハブを有する。また、センターディスク104は、ハブとリム103との間を連結するスポークを有する。ハブと、車両の車軸とは、ボルトおよびナットを有する締結部材で連結される。一般に、締結部材は、ボルトが車軸側に取り付けられている。これにより、ホイール102は、空気入りタイヤ1を伴い車軸と一体で回転可能となる。
このように構成されたタイヤ/ホイール組立体100において、タイヤ内腔120となる、空気入りタイヤ1の内面に凸部10が形成され、ホイール102におけるリム103の外面に凹部11が形成されている。
凸部10は、空気入りタイヤ1の内面、すなわちインナーライナー9の内周面からタイヤ内腔120に突出して形成されている。凸部10は、空気入りタイヤ1の成形時に、インナーライナー9の内周面に押し付けられるブラダー(図示せず)の外面に形成された窪みにより成形される。
凸部10は、図2の凸部や凹部の配置を示す平面図に示すように、タイヤ幅方向およびタイヤ周方向で複数設けられている。図2では、凸部10は、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向からの投影が重なるように設けられている。なお、凸部10は、図2では、平面視が円形状で示されているが、円形状の他、楕円形状、長円形状、矩形状、多角形状などに形成されていてもよい。また、凸部10は、タイヤ周方向で無端状に連続していない形状が好ましい。
また、凸部10は、断面形状が、図3〜図9の凸部の断面図に示すように形成されている。図3に示す凸部10は、断面形状が四角形とされている。図4に示す凸部10は、断面形状が三角形状とされている。図5に示す凸部10は、断面形状が台形状とされている。その他、図には明示しないが、凸部10の断面形状は、四角形状の頂部が三角形であったり、四角形状の頂部がジグザグ状であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部10の断面形状は、曲線を基にした外形であってもよい。図6に示す凸部10は、断面形状が半円形とされている。その他、図には明示しないが、凸部10の断面形状は、例えば、半楕円形状であったり、半長円形状であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部10の断面形状は、直線および曲線を組み合わせた外形であってもよい。図7に示す凸部10は、断面形状が四角形の角を曲線とされている。図8に示す凸部10は、断面形状が三角形の角を曲線とされている。その他、図には明示しないが、四角形状の頂部が波形であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部10の断面形状は、図7〜図9に示すように、空気入りタイヤ1の内面から突出する根元部分を曲線とした形状とされていてもよい。
このような凸部10は、図1に示すように、タイヤ断面高さHSのタイヤ径方向外側1/2の範囲に設けられる。タイヤ断面高さHSは、タイヤを正規リムにリム組みし、正規内圧を充填した無負荷状態(正規荷重0%)のタイヤの外径とリム径との差の1/2である。
なお、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
凹部11は、ホイール102におけるリム103の外面から窪んで形成されている。凹部11は、ホイール102の成形時に、ホイール102の成形型においてリム103の外面に対応する面に形成された突起により成形される。
凹部11は、図2の凸部や凹部の配置を示す平面図に示すように、タイヤ幅方向およびタイヤ周方向で複数設けられている。図2では、凹部11は、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向からの投影が重なるように設けられている。なお、凹部11は、図2では、平面視が円形状で示されているが、円形状の他、楕円形状、長円形状、矩形状、多角形状などに形成されていてもよい。また、凹部11は、タイヤ周方向で無端状に連続していない形状が好ましい。
また、凹部11は、断面形状が、図10〜図16の凸部の断面図に示すように形成されている。図10に示す凹部11は、断面形状が四角形とされている。図11に示す凹部11は、断面形状が三角形状とされている。図12に示す凹部11は、断面形状が台形状とされている。その他、図には明示しないが、凹部11の断面形状は、四角形状の底部が三角形であったり、四角形状の底部がジグザグ状であったりする様々な形状であってもよい。また、凹部11の断面形状は、曲線を基にした外形であってもよい。図13に示す凹部11は、断面形状が半円形とされている。その他、図には明示しないが、凹部11の断面形状は、例えば、半楕円形状であったり、半長円形状であったりする様々な形状であってもよい。また、凹部11の断面形状は、直線および曲線を組み合わせた外形であってもよい。図14に示す凹部11は、断面形状が四角形の角を曲線とされている。図15に示す凹部11は、断面形状が三角形の角を曲線とされている。その他、図には明示しないが、四角形状の底部が波形であったりする様々な形状であってもよい。また、凹部11の断面形状は、図14〜図16に示すように、リム103の外面から窪む開口縁を曲線とした形状とされていてもよい。
このような凹部11は、図1に示すように、リム103のタイヤ内腔120でのホイール幅方向の範囲に設けられる。また、凹部11は、最もホイール径方向の小さい部分に設けられていることが好ましい。
このように、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100は、中央部に車両に連結される連結部を有するとともに外周部にリム103を有するホイール102と、ホイール102のリム103に装着される空気入りタイヤ1とを備えるタイヤ/ホイール組立体100において、空気入りタイヤ1は、その内面であってタイヤ断面高さHSのタイヤ径方向外側1/2の範囲に多数の凸部10を有し、ホイール102は、リム103の外面に多数の凹部11を有する。
車両の走行時にタイヤ/ホイール組立体100が回転する場合、車内にロードノイズと呼ばれる騒音が発生することがある。ロードノイズは、路面の凹凸が空気入りタイヤ1への入力となり、このときに空気入りタイヤ1の内面とリム103の外面で囲まれたタイヤ内腔120で共鳴する空洞共鳴となって騒音の原因となる。
本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100では、タイヤ内腔120において、空洞長(周方向長さ)の長い側の空気入りタイヤ1の内面に凸部10を設けている。凸部10は、タイヤ内腔120での空気の流れを凸部10の下流側で巻き込み、空気入りタイヤ1の内面からの空気の剥離を抑制する。このため、比較的空気の流れが速い空洞長の長い側の空気伝搬速度が遅くなる。また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100では、タイヤ内腔120において、空洞長(周方向長さ)の短いリム103の外面に凹部11を設けている。凹部11は、タイヤ内腔120での空気の流れを乱流化させ、リム103の外面からの空気の剥離を促進させる。このため、比較的空気の流れが遅い空洞長の短い側の空気伝搬速度が速くなる。これらの結果、タイヤ内腔120全体での空気伝搬速度(音の伝搬速度)が分散され、空洞共鳴を低減させることから、空洞共鳴が原因の周波数帯のロードノイズを低減することができる。
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100では、凸部10は、空気入りタイヤ1の内面からの突出高さが、0.1mm以上5.0mm以下の範囲を満たすことが好ましい。
凸部10の空気入りタイヤ1の内面からの突出高さを0.1mm未満とすると、空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果が低減する傾向となる。一方、凸部10の空気入りタイヤ1の内面からの突出高さが5.0mmを超えると、凸部10が空気の流れの抵抗となり、空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果が低減する傾向となる。従って、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100によれば、空気入りタイヤ1の内面からの凸部10の突出高さを0.1mm以上5.0mm以下の範囲とすることで、凸部10により空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果を顕著に得ることができる。
なお、空気入りタイヤ1の内面からの凸部10の突出高さを0.2mm以上2.0mm以下の範囲を満たすことで、凸部10により空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果をより顕著に得ることができる。
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100では、凹部11は、ホイール102のリム103の外面から窪む深さが、0.1mm以上5.0mm以下の範囲を満たすことが好ましい。
凹部11のリム103の外面から窪む深さを0.1mm未満とすると、リム103の外面から空気の剥離を促進する効果が低減する傾向となる。一方、凹部11のリム103の外面から窪む深さが5.0mmを超えると、凹部11が空気の流れの抵抗となり、リム103の外面から空気の剥離を促進する効果が低減する傾向となる。従って、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100によれば、リム103の外面から凹部11が窪む深さを0.1mm以上5.0mm以下の範囲とすることで、凹部11によりリム103の外面から空気の剥離を促進する効果を顕著に得ることができる。
なお、リム103の外面からの凹部11の窪む深さを0.2mm以上2.0mm以下の範囲を満たすことで、凹部11によりリム103の外面から空気の剥離を促進する効果をより顕著に得ることができる。
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100では、凸部10は、空気入りタイヤ1の内面からの突出形状が半球状に形成されていることが好ましい。
このタイヤ/ホイール組立体100によれば、空気入りタイヤ1の内面からの凸部10の突出形状を半球状とすることで、空気の流れの抵抗をより低減できるため、凸部10により空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果をより顕著に得ることができる。
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100では、凹部11は、ホイール102のリム103の外面からの窪み形状が半球状に形成されていることが好ましい。
このタイヤ/ホイール組立体100によれば、リム103の外面からの凹部11の窪み形状を半球状とすることで、空気の流れの抵抗をより低減できるため、凹部11によりリム103の外面から空気の剥離を促進する効果をより顕著に得ることができる。
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100では、凸部10は、図1に示すように、空気入りタイヤ1に設けられたベルト層7のタイヤ幅方向最大幅BWの30%以上120%以下の範囲BWaに設けられることが好ましい。なお、BWaは、タイヤ赤道面CLを中心とする範囲である。
凸部10の配置をベルト層7のタイヤ幅方向最大幅BWの30%未満とすると、空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果が低減する傾向となる。一方、凸部10の配置がベルト層7のタイヤ幅方向最大幅BWの120%を超えると、広範囲に亘り空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制することになり、空気伝搬速度の分散効果が低減する傾向となる。従って、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100によれば、空気入りタイヤ1に設けられたベルト層7のタイヤ幅方向最大幅BWの30%以上120%以下の範囲BWaに凸部10を設けることで、凸部10により空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果を顕著に得ることができる。
なお、空気入りタイヤ1に設けられたベルト層7のタイヤ幅方向最大幅の30%以上100%以下の範囲に凸部10を設けることで、凸部10により空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果をより顕著に得ることができる。また、凸部10は、タイヤ径方向の距離が最も大きく、空気の流れが最も速いタイヤ赤道面CLの位置を含むように設けることが、凸部10により空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果をより顕著に得るうえでより好ましい。
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100では、図1に示すように、凹部11は、ホイール102のリム103のホイール幅方向最大幅RWの30%以上100%以下の範囲に設けられることが好ましい。なお、リム103のホイール幅方向最大幅RWとは、リム103に組まれた空気入りタイヤ1のビード部5の間隔とする。
凹部11の配置をリム103のホイール幅方向最大幅RWの30%未満とすると、リム103の外面から空気の剥離を促進する効果が低減する傾向となる。一方、凹部11の配置がリム103のホイール幅方向最大幅RWの100%を超えると、空気入りタイヤ1のビード部5下に凹部11が存在してビード部5とリム103との嵌合を低下させる傾向となる。従って、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100によれば、リム103のホイール幅方向最大幅RWの30%以上100%以下の範囲に凹部11を設けることで、ビード部5とリム103との嵌合を低下させることなく、凹部11によりリム103の外面から空気の剥離を促進する効果を顕著に得ることができる。
なお、リム103のホイール幅方向最大幅RWの50%以上100%以下の範囲に凹部11を設けることで、凹部11によりリム103の外面から空気の剥離を促進する効果をより顕著に得ることができる。また、凹部11は、ホイール径方向の距離が最も小さく、空気の流れが最も遅い部分を含むように設けることが、凹部11によりリム103の外面から空気の剥離を促進する効果をより顕著に得るうえでより好ましい。
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100では、凸部10は、タイヤ周方向の30%以上100%以下の範囲に設けられることが好ましい。
凸部10の配置をタイヤ周方向の30%未満とすると、空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果が低減する傾向となる。従って、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100によれば、タイヤ周方向の30%以上100%以下の範囲に凸部10を設けることで、空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果を顕著に得ることができる。
なお、タイヤ周方向の80%以上100%以下の範囲に凸部10を設けることで、凸部10により空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果をより顕著に得ることができる。また、凸部10は、タイヤ周方向において、均等に配置されていることが、凸部10により空気入りタイヤ1の内面から空気の剥離を抑制する効果をより顕著に得るうえでより好ましいが、タイヤ周方向の30%以上(好ましくは80%以上)の範囲で偏って設けられていてもよい。
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100では、凹部11は、ホイール周方向の30%以上100%以下の範囲に設けられることが好ましい。
凹部11の配置をホイール周方向の30%未満とすると、リム103の外面から空気の剥離を促進する効果が低減する傾向となる。従って、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100によれば、ホイール周方向の30%以上100%以下の範囲に凹部11を設けることで、リム103の外面から空気の剥離を促進する効果を顕著に得ることができる。
なお、ホイール周方向の80%以上100%以下の範囲に凹部11を設けることで、凹部11によりリム103の外面から空気の剥離を促進する効果をより顕著に得ることができる。また、凹部11は、ホイール周方向において、均等に配置されていることが、凹部11によりリム103の外面から空気の剥離を促進する効果をより顕著に得るうえでより好ましいが、ホイール周方向の30%以上(好ましくは80%以上)の範囲で偏って設けられていてもよい。
本実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、空洞共鳴に関する性能試験が行われた(図17参照)。
この性能試験は、タイヤサイズ195/65R15 91Hの空気入りタイヤを、15×6Jの正規リムに組み付け、正規内圧(220kPa)を充填し、試験車両(排気量1500ccFF国産車)に装着した。
空洞共鳴の評価方法は、上記試験車両にて、テストコース(舗装路面)を100km/hで走行したときの車内騒音(上記タイヤサイズでの空洞共鳴周波数228Hzの音圧レベル)を、車内に設置したマイクロフォンにより測定した。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準とした評価が行われる。この評価は、従来例の音圧との差が0.5dB以上で空洞共鳴の低減効果があることを示している。
図17において、従来例は、空気入りタイヤ側に凸部やリム側に凹部を有していない。また、比較例1は、空気入りタイヤ側に凸部を有し、リム側に凹部を有していない。比較例2は、空気入りタイヤ側に凸部を有さず、リム側に凹部を有している。
図17において、実施例1〜実施例16は、空気入りタイヤ側に凸部を有し、リム側に凹部を有している。実施例1〜実施例8は、凸部がタイヤ断面高さのタイヤ径方向外側1/2の範囲でタイヤ幅方向に均等配置され、かつタイヤ周方向の25%で均等配置されており、凹部がリム幅の25%で均等配置されている。実施例2〜実施例16は、凸部の高さが規定されている。実施例3〜実施例16は、凹部の深さが規定されている。実施例7〜実施例16は、凸部が半球形状である。実施例8〜実施例16は、凹部が半球形状である。実施例9〜実施例16は、凸部のタイヤ幅方向の配置範囲がベルト層最大幅に対して規定されている。実施例11〜実施例16は、凹部のホイール幅方向の配置範囲がリム幅に対して規定されている。実施例13〜実施例16は、凸部のタイヤ周方向の配置範囲が規定されている。実施例14〜実施例16は、凹部のホイール周方向の配置範囲が規定されている。
そして、図17の試験結果に示すように、実施例1〜実施例16は、空洞共鳴が改善していることが分かる。