JP6232074B2 - 改変され、そして改善された細胞および生物を生成するための組成物および方法 - Google Patents

改変され、そして改善された細胞および生物を生成するための組成物および方法 Download PDF

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Description

[0001]多くの農業および産業生産系およびプロセスは、有用な物質および化合物、例えば食品、繊維、構造材料、燃料、化学薬品、薬剤、またはその原材料の産生のため、特定の生物、例えば植物、藻類、細菌、真菌、酵母、原生動物および培養動物細胞に頼る。多様な化学薬品および燃料のための生物学的生産系への現在のシフトのプロセスにおいて、生物の広い種類が産生のために用いられ、その大部分は微生物であり、光合成生物が増加する傾向があるであろう(Dismukes 2008)。頑強に(robustly)増殖する能力、ならびに関心対象の物質および化合物を効率的に産生する能力は、これらの生物の望ましい特性である。
[0002]これらの生物の増殖、ならびに有用な物質および化合物の収率増大の最適化は、多くの企業および個人の進行しつつある活動であり、商業的に重要な物質および化合物のより高い生産性または収率、あるいはより低い生産コストを達成することを目的とする。こうした改善は、生産系の修飾を通じて、または生物自体の修飾を通じて起こりうる。
[0003]生物における遺伝子的またはエピジェネティック的変化は、生物の性能を改善し、そして生産性を高める、特に強力な方法でありうる。人間が使用するすべての生物は、生産性および有用性を最大限にする特定の遺伝的組成に関して選択されてきている。さらに、多様な技術を使用して、これらの生物によって示される特性または表現型の範囲を増加させ、優れた株および変種の選択を可能にすることも可能でありうる。これらの技術の中には、突然変異誘発、遺伝子操作、遺伝子組換え、代謝操作、育種、適応突然変異等がある。こうした技術の適用は、生物改善における迅速な進展を可能にしてきている。
[0004]遺伝子チェックポイントの脱制御は、有用な生物の増殖特性および収率を修飾するための一般的な戦略である。遺伝子チェックポイントは、一般的に、生物がその増殖、代謝または細胞周期を通じた進行を改変することを可能にするよう進化してきており、ストレスまたは栄養制限の期間を生き抜くことを可能にしてきた。多細胞生物において、チェックポイントはまた、ひとたび組織または臓器が成熟し、そして完全に形成された際に、細胞分裂を阻害するためにも配置されている。ストレス条件が調節可能であり、そして回避可能である、培養されているかまたは培養中で増殖している生物の増殖、収率および生産性を最大限にするために、これらのチェックポイントを緩めることが、しばしば、望ましい。
[0005]過去開発された遺伝子操作法の中には、1またはそれより多い相同または異種ポリヌクレオチドを生物のゲノム内に導入することを通じた、機能獲得型アプローチがある。典型的には、こうしたポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド産物が生物において過剰発現され、したがって、その生物に新規機能または機能改変を分与するであろう方式で構築される。突然変異誘発もまた、細胞または生物において、機能獲得型変化を生じうるが、こうした変化は、突然変異誘発に反応する場合は、機能喪失型変化よりもよりまれであり、機能喪失型では、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド産物の活性が、遺伝子変化によって、損なわれるかまたは破壊される。
[0006]ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド配列の、そしてコードされるRNAまたはタンパク質の生化学的特性の産物である、特異的機能を有する傾向がある。タンパク質またはRNAの配列および生化学的特性が、その構造、生化学的活性、細胞内の局在化、および他の細胞構成要素の関連を支配し、タンパク質またはRNAの適切な活性、およびその活性の適切な制御を可能にする。コードされるタンパク質またはRNAの異常な特性を生じ、その生化学的および構造特性、細胞内局在化、および/または他のタンパク質またはRNAとの会合に影響を及ぼすポリヌクレオチド配列の改変は、生物の特性または表現型に顕著な結果を有しうる。別個のポリヌクレオチドによってコードされる、損なわれていない(intact)または部分的なオープンリーディングフレームの連結を伴う、ポリヌクレオチド融合は、ポリヌクレオチド配列を改変して、コードされるRNAまたはタンパク質の特性を変化させ、そして生物の表現型を改変する既知の方法である。
[0007]ポリヌクレオチド融合が生物の表現型を改変しうる、2つの一般的な機構がある。これらの2つの機構は、タンパク質AおよびBが異なる機能または活性を有し、そして/または細胞の異なる部分に局在する、ポリヌクレオチドB(タンパク質B’をコードする)に融合したポリヌクレオチドA(タンパク質A’をコードする)の場合で例示されうる。第一の機構は、2つのタンパク質の細胞内局在に当てはまる。2つのポリヌクレオチドのポリヌクレオチド融合によってコードされる融合タンパク質は、タンパク質A’が通常存在する細胞部分、またはタンパク質B’が通常存在する細胞部分、またはその両方に局在しうる。タンパク質A’およびB’にコードされる活性の細胞分布のこの改変は、生物における表現型変化を引き起こしうる。融合の結果としての2つのタンパク質の局在改変の模式図を図1に例示する。
[0008]融合タンパク質が細胞または生物の表現型特性を改変する、第二の一般的な機構は、同じタンパク質における、2つの異なる、通常は別個の機能または活性の直接の会合に関する。タンパク質A’およびB’の場合、これらの融合は、タンパク質A’またはタンパク質B’またはこれらのタンパク質が通常存在する多タンパク質複合体、あるいはその組み合わせの活性改変を導きうる。改変される活性には、限定されるわけではないが:活性の定性的改変;活性のレベル改変;活性の特異性改変;細胞による活性の制御の改変;細胞の生化学的または遺伝的経路の変化を導く、細胞におけるタンパク質と他のタンパク質またはRNA分子の会合改変が含まれる。融合タンパク質を発現した結果、細胞で生じる表現型変化の模式図を図1に示す。
[0009]技術の元となる機能生成原理である、遺伝子融合は、通常生じる生物学的機構ではない(Ashby 2006、Babushok 2007、Whitworth 2009、Zhang 2009、Eisenbeis 2010)が、戦略の妥当性を確認するために十分にしばしば観察されてきている。進化的な時間に起こるもの、例えばエクソン・シャッフリング(Gilbert 1978)による新規遺伝子配列進化におけるものとは別に、遺伝子融合は、2つの癌原遺伝子の融合が癌細胞の制御されない細胞増殖に寄与する、発癌における頻繁な事象である(Mitelman 2004、Mitelman 2007、Rabbitts 2009、Inaki 2012)。ポリヌクレオチド融合の活性改変の例は、慢性骨髄性白血病において、調節されない細胞増殖を促進する際に関与するBCL−ABL癌遺伝子(Sawyers 1992、Melo 1996)、侵襲性急性白血病に関与するヒストン−リジンN−メチルトランスフェラーゼをコードする混合細胞系譜白血病(MLL)ポリヌクレオチド(Marshalek 2011)、原核2構成要素シグナル伝達タンパク質(Ashby 2006、Whitworth 2009)、ならびに多機能細菌抗生物質耐性ポリヌクレオチド(Zhang 2009)である。しかし、これらの例にもかかわらず、ポリヌクレオチド融合は、点突然変異などの他の遺伝子変化に比較して、生物学においては比較的まれであり、そして細胞世代あたりというよりも、進化的な時間に渡って、より適切に測定される頻度で生じる傾向がある(Babushok 2007、Eisenbeis 2010)。その結果、人工的なポリヌクレオチド融合を生成するための系は、自然界でまれにしかまたはまったく見られない多くの表現型を生成する潜在能力を有する。多様な有用な生物において、多様な遺伝子チェックポイントをバイパスすることが可能な融合タンパク質は、より迅速に増殖し、そしてより収率が高い株および変種の単離を可能にするであろう。
[0010]今日まで、大規模でそして体系的な方式で、融合遺伝子またはポリペプチドの機能生成能を利用する試みはなされてきていない。ランダム化インフレーム・ポリヌクレオチド融合の大規模コレクションの公表された例はない。融合タンパク質の以前の例は、特定の結果を想定した、限定され、そして指示された方式で、生成されてきている。本発明は、生物学的生物における、遺伝子機能改変、新規遺伝子機能生成、新規タンパク質機能生成および/または関心対象の新規表現型生成の目的で、体系的な、ランダム化された、大規模の、およびインフレームの遺伝子融合またはポリヌクレオチド融合の生成および使用を記載する。
[0011]本発明は、特定の遺伝子およびタンパク質の新規変異体を生成するために、相同配列をランダムに組み換える、遺伝子シャッフリング(Stemmer 1994、Stemmer 1994a)などの遺伝子およびタンパク質進化法とは異なる。本発明は、ランダム組換えおよび新規コード配列を生成するため、インプット配列として実質的に非相同である配列のコレクションを用いる。
Dismukes 2008 Ashby 2006 Babushok 2007 Whitworth 2009 Zhang 2009 Eisenbeis 2010 Gilbert 1978 Mitelman 2004 Mitelman 2007 Rabbitts 2009 Inaki 2012 Sawyers 1992 Melo 1996 Marshalek 2011 Stemmer 1994 Stemmer 1994a
[0012]本発明は、生物ゲノム内へのランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの導入を通じて、生物において、表現型の変化を達成する方法および組成物に関する。多数の配列のランダム会合は、細胞または生物において、既存の遺伝子または生化学的機構または経路を破壊するかまたは改変し、したがって、形質転換された細胞または生物の新規特性を生成する、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを生じる。この方法は、生物集団内の多様性を増加させ、そしてこうした生物における新規のおよび有用な表現型または特性を生成するのに有用である。
[0013]本発明は、ターゲット細胞または生物において、以前は知られていなかった表現型を生成するために、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを用いる。本発明は、少なくとも1つのランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを形成する、インフレームでランダムに融合された少なくとも2つの別個のランダムポリヌクレオチドを含む組成物に関する。ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドは、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現を制御する少なくとも1つの制御配列に機能可能であるように連結されていてもよく、ここで、制御配列は、プロモーター、ターミネーター、または非翻訳配列である。1つの態様において、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドは、ベクターに機能可能であるように連結されている。ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入してもよい。いくつかの場合、宿主細胞を、宿主細胞が得られた生物に再生することも可能である。ランダム化融合ポリペプチドは、対照細胞または対照生物に存在しない表現型を引き起こす。
[0014]本発明はまた、生物からポリヌクレオチドを単離し、場合によってこれらのポリヌクレオチドをランダムに断片化し、そして次いで断片をインフレームでランダムに連結することによって、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを産生する大規模法にも関する。別の態様は、宿主細胞内に、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを含有する組成物を導入する工程を含む、細胞表現型を改変する方法を提示する。さらに別の態様は、宿主細胞内に、ランダム化インフレーム融合ポリペプチドを導入し、そして次いで、その細胞から生物を再生することによって、生物の表現型を改変するための方法を提示する。さらに別の態様は、ランダム化インフレーム融合ポリペプチドを含有する細胞または生物の生活環を、対照細胞または生物に比較し、対照生物に存在しない表現型を示す、ランダム化インフレーム融合ポリペプチドを含有する細胞または生物を選択し、選択した生物からランダム化インフレーム融合ポリペプチドをコードするランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを単離し、単離されたランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入し、そして適切な場合、その宿主細胞から生物を再生し、そして次いで、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド含有細胞または再生生物を、対照生物に比較して、観察された表現型改変が残っていることを確認することによって、改変された表現型の原因であるランダム化インフレーム融合ポリペプチドを同定するための方法を提示する。
[0015]いくつかの態様において、コード配列(オープンリーディングフレームまたはORF)のコレクションを生成し、そしてORFのランダム対をランダム化翻訳融合として発現ベクター内にクローニングする。これは、出発コレクションに存在する各ORFが、融合するORFに対して5’配向で、または3’配向で配置可能であるような方式で行われる。ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの生じたライブラリーをターゲット生物内に導入し、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの存在に関して選択する。別の態様において、形質転換生物集団を、新規表現型に関して選択するか、またはスクリーニングする。望ましい表現型を持つ形質転換生物は、ターゲット生物を典型的に用いるプロセスにおいて、直接有用である。
[0016]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを発現している細胞の表現型変化の例示。天然細胞(図の上部)は、2つの仮説上のタンパク質、タンパク質Aおよびタンパク質B(小さい丸い物体として示す、図の下部のレジェンドを参照されたい)を発現し、この例では、細胞の異なる部分に局在し、そして異なる機能を有する。集団細胞をランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーで形質転換し、そして改変された表現型を有する細胞変異体を選択する。この特定の例において、改変された特性を有する細胞は、タンパク質Aおよびタンパク質Bの間のランダム化融合をコードするポリヌクレオチドを発現する(図の下部でA−B融合タンパク質を発現する細胞)。ランダム化融合タンパク質は、タンパク質Aが通常占める細胞内位置、ならびにタンパク質Bが通常占める位置に存在する。その結果、ランダム化融合タンパク質を発現している細胞は、細胞形状の変化、陰影および細胞内小器官の変化によってこの模式図中に示される、改変された特性を有する。 [0017]ORFのコレクションをランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドにランダム化し、そしてこれらを用いて生物を表現型的に改変する例。ORFのコレクション(A)を、ベクターDNA分子(B)と、ORFがランダム化対形式で組み合わされて、ランダム化融合ORFの大コレクション(C)を生じる方式で、組み合わせる。この例におけるベクター分子は、ORF(二重線)の発現を仲介する配列を含有する。ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのコレクションを生物に導入し(D)、そして形質転換体を単離し(E)、このうちあるものは改変された表現型を有する。関心対照の表現型を持つ修飾生物を、この集団から単離する(F)。改変された表現型を有する形質転換体において発現されるランダム化融合ポリヌクレオチドを再単離し、そして元来の細胞集団への再形質転換によって検証することも可能である(この図には提示しない)。 [0018]相同性依存性クローニングによって、単一工程で、発現ベクター内に2つのORFを組み立てる例。5’ORFおよび3’ORF(A)を、配列特異的プライマー(P1、P2、P3、P4)を用いてPCR増幅する。各プライマーは、他のORFまたはベクター中の配列に対する相同性を特定する余分な配列を5’端に含有し、これは断片を組み立てようとする順序に対応する(Bを参照されたい)。互いに、そしてクローニングベクター(C)に相同な配列を含有するPCR増幅ORF(B)をクローニングベクターと組み合わせ、そして3つの断片間の相同性領域が各断片を正しい位置および配向にすることを可能にすることによって、最終構築物(D)に組み立てる。単純化するため、図は、単一の5’ORFおよび単一の3’ORFしか示さないが、同じ方法は、任意の数のORFを含有する混合物でも働くであろう。 [0019]ランダム化インフレーム・ポリヌクレオチド融合ライブラリーのための配列の出発コレクションとして用いた、長さ93〜2604bpである、選択された大腸菌(Escherichia coli)遺伝子のサイズ分布。 [0020]ランダム化インフレーム・ポリヌクレオチド融合ライブラリーのための配列の出発コレクションとして用いた、長さ102〜2598bpである、選択されたサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)遺伝子のサイズ分布。 [0021]ランダム化インフレーム・ポリヌクレオチド融合ライブラリーのための配列の出発コレクションとして用いた、長さ101〜2598bpである、選択されたシネココッカス・エロンガトゥス(Synechococcus elongatus)遺伝子のサイズ分布。 [0022]3’ORF(A)および5’ORF(B)のために産生されたORF大プールのうち24個を示す1%アガロースゲル。各レーンは、大プール由来のDNA 1μgを含有する。各大プールは、サイズによってグループ分けされた8つの異なる第二段階多重化PCR反応の産物を含有し、各大プール中には、総数208〜216の異なるS.セレビシエORFアンプリコンが存在する。各ゲルの左側および右側のDNAマーカーのサイズは以下の通りである(下部から、bp):75、200、300、400、500、700、1000、1500、2000、3000、4000、5000、7000、10000、20000。 [0023]融合遺伝子ライブラリーへのin vitro組み立ておよび大腸菌におけるクローニング後の、ORFスーパープール組み合わせ1〜17および19〜24を示す1%アガロースゲル。各レーンは、NheI、XhoIおよびPflMI制限酵素で消化された、1μgのライブラリーDNAを示す。NheIは、5’ORFの上流で、完全に組み立てられた融合遺伝子プラスミドを制限処理し;XhoIは、3’ORF下流を制限処理し、そしてPflMIは2つのORFの間を制限処理する。したがって、各ORFは、プロセスにおいて、融合遺伝子構築物から切除される。各レーンは、多様なサイズの多くのDNA断片が存在することを示す、特徴的なスメアを示し、これはDNAライブラリーに特徴的である。ゲル上部で、主要なベクターバンドが明らかに可視である(5538bp)。やはり可視であるのは、約3kbのより小さいバンドであり、これは、組み立て反応においてある程度の規則性を生じる、再編成されたベクターに相当する。ゲル上部の不鮮明なバンドは、大腸菌染色体DNAである。最初のおよび最後のレーンは、以下のサイズのマーカーDNAを含む(下部から、bp):75、200、300、400、500、700、1000、1500、2000、3000、4000、5000、7000、10000、20000。 [0024]熱許容性に関するスクリーニングにおいて、サッカロミセス・セレビシエにおいて単離された融合タンパク質を列挙する表。表の各列は、実施例2に記載するスクリーニングにおいて単離された別個の融合遺伝子を列挙する。融合遺伝子は、名称、配列番号によって同定され、そしてその構成要素5’および3’ORFを、その長さ、配列番号および知られている場合はその細胞機能の簡単な説明を含めて列挙する。列挙する融合遺伝子は、すべて、完全全長5’および3’ORFを有し、そしてインフレームで融合される。すべてのクローニング接合部は完全である。2つのORFを分離するリンカー配列は、融合遺伝子のこの部分が完全に配列決定されているすべての場合で、完全であり、そして完璧であり;いくつかの場合で、配列は不完全であり(SI)、そしてリンカー配列が正しいかどうかの決定は可能ではなかった。 熱許容性に関するスクリーニングにおいて、サッカロミセス・セレビシエにおいて単離された融合タンパク質を列挙する表。表の各列は、実施例2に記載するスクリーニングにおいて単離された別個の融合遺伝子を列挙する。融合遺伝子は、名称、配列番号によって同定され、そしてその構成要素5’および3’ORFを、その長さ、配列番号および知られている場合はその細胞機能の簡単な説明を含めて列挙する。列挙する融合遺伝子は、すべて、完全全長5’および3’ORFを有し、そしてインフレームで融合される。すべてのクローニング接合部は完全である。2つのORFを分離するリンカー配列は、融合遺伝子のこの部分が完全に配列決定されているすべての場合で、完全であり、そして完璧であり;いくつかの場合で、配列は不完全であり(SI)、そしてリンカー配列が正しいかどうかの決定は可能ではなかった。 [0025]図9に列挙する融合遺伝子の熱許容性を立証するスポットアッセイの合成画像。各融合遺伝子を酵母株BY4741内に再形質転換し、そしてプラスミドの存在に関して選択した。形質転換細胞を脱イオン水中に懸濁し、均一な細胞密度に調整し、そして炭素供給源としてガラクトースを含有する、合成完全ウラシルドロップアウト培地を用いて、二つ組プレート上、4連続10倍希釈でスポットした。プレートを、図中に示すように、30℃および40℃でインキュベーションした。融合遺伝子名をスポットの各列の左側に示す。熱許容性は、対照(プラスミドp416−GAL1で形質転換した株BY4741)に比較して40℃での増殖増進によって可視である。合成画像を得た多数のプレートから、多数の対照を示す。
[0026]本発明は、望ましい表現型に関する、多数の生化学的、遺伝的および相互作用的機能をスクリーニングし、そしてサンプリングするための方法を提供する。本発明は、オープンリーディングフレーム(ORF)、またはその断片のランダム化された融合を生成して、有用な生物において新規表現型および特性を生成するために使用可能な、ポリヌクレオチドの組み合わせの大ライブラリーを生成することによって、改変されたまたは改善された細胞または生物を産生する新規方法を開示する。本発明は、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのコレクションを生成する方法を記載する。
[0027]一連のコドンとしてタンパク質またはペプチドをコードする核酸におけるヌクレオチドの任意の配列として、ORFを定義する。出発コレクション中のORFは、任意の特定のアミノ酸で始まるかまたは終わる必要はない。タンパク質またはペプチドをコードするORFまたはポリヌクレオチド配列は、連続していても、またはイントロンによって中断されていてもよい。
[0028]用語「インフレーム」は、本発明において、そして特に句「インフレーム融合ポリヌクレオチド」において、上流または5’ポリヌクレオチド、遺伝子またはORFに融合された、上流ポリヌクレオチド、遺伝子またはORFの下流または3’に配置されたポリヌクレオチド、遺伝子またはORFにおけるコドンの読み枠と同じであるような、上流または5’ポリヌクレオチド、遺伝子またはORFにおけるコドンの読み枠を指す。こうしたインフレーム融合ポリヌクレオチドのコレクションは、互いに関してインフレームである上流および下流ポリヌクレオチドを含有する融合ポリヌクレオチドの割合に関して、多様でありうる。コレクション全体の割合は、少なくとも10%であり、そして数値10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%あるいはその間の任意の数値であることも可能である。
[0029]ORFのコレクションは、別々のDNA断片、またはより大きなDNA断片上の別々の配列として生成される。次いで、組み合わされたポリヌクレオチドが、ランダム化インフレーム融合ペプチドまたはポリペプチドとして、ターゲット細胞中で発現されうるような方式で、2またはそれより多いランダムポリヌクレオチド、またはその断片を組み合わせることによって、ORFをコードするポリヌクレオチドの1またはそれより多いコレクションまたはプールから、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのライブラリーを生成する。ありうる配列の組み合わせの多くまたはすべてが形成されることを可能にする様式で、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのライブラリーを生成する。次いで、ライブラリーを生物内に導入し、そして発現を可能にする。ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを発現する生物の生じたコレクションを、望ましい表現型または特性に関して選択するかまたはスクリーニングする。特定の形質転換体の特性変化に関与するポリヌクレオチドを回収し、そして反復使用することも可能である。このアプローチの一般的な概念を図2に例示する。例えば、生物にコードされるすべてのポリヌクレオチドを、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーの構築に使用してもよい。実験室細菌大腸菌の場合、例えば大腸菌にコードされる5,286タンパク質のうちのすべての1つが、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーを作製するために用いられるORFの最初のコレクションであることも可能である。したがって、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーは、非常に多数のポリヌクレオチドの組み合わせ(5,286x5,286=2.8x10組み合わせ総数)を含有し、そしてその結果、ポリヌクレオチドのこの組み合わせセット内での新規機能の存在は高い。
[0030]ORFの最初のセットを構成するために用いられるポリヌクレオチド、またはその断片は、任意の供給源(ゲノム、メタゲノム、cDNA等)由来であることも可能であり、そして配列組成、機能または他の基準によって選択されるこうした供給源由来のポリヌクレオチドの任意のサブセットであってもよい。したがって、方法をあつらえて、特定の生化学的機能、あるいは特定の供給源生物または供給源環境由来の機能を捕捉することも可能である。本明細書に開示する発明は、したがって、新規ポリヌクレオチド機能および表現型が生成可能である方式で、非常に柔軟である。
[0031]最初のセットのORFを構成するために用いられるポリヌクレオチドは、徹底的な配列相同性を共有するORFとは対照的に、互いに主に非相同であり、そして異なる配列からなるであろう。用語「非相同」は、本発明において、50%未満のヌクレオチドレベルでの配列同一性を有すると定義される。
[0032]配列同一性パーセント:用語「配列同一性パーセント」は、任意の所定のクエリー配列、例えば配列番号102、および対象配列の間の同一性の度合いを指す。対象配列は、典型的には、クエリー配列の長さの約80パーセント〜200パーセントである長さ、例えばクエリー配列の長さの80、82、85、87、89、90、93、95、97、99、100、105、110、115、または120、130、140、150、160、170、180、190または200パーセントの長さを有する。クエリー核酸またはポリペプチドに対して、任意の対象核酸またはポリペプチドに関する同一性パーセントは以下のように決定可能である。クエリー配列(例えば核酸またはアミノ酸配列)を、全長に渡って、核酸またはタンパク質配列の整列を可能にする、コンピュータプログラムClustalW(バージョン1.83、デフォルトパラメーター)を用いて、1またはそれより多い対象核酸またはアミノ酸配列に整列させる(全体整列、Chenna 2003)。
[0033]ClustalWは、クエリーおよび1またはそれより多い対象配列の間の最適マッチを計算し、そして同一性、類似性および相違が決定可能になるように、これらを整列させる。1またはそれより多い残基のギャップをクエリー配列内、対象配列内、または両方に挿入して、配列整列を最大限にしてもよい。核酸配列を迅速に対整列させるため、以下のデフォルトパラメータを用いる:ワードサイズ:2;ウィンドウサイズ:4;スコアリング法:パーセント;トップ対角線の数:4;およびギャップペナルティ:5。核酸配列の複数整列のため、以下のパラメータを用いる:ギャップオープニングペナルティ:10.0;ギャップ伸張ペナルティ:5.0;および加重遷移:あり。タンパク質配列を迅速に対整列させるため、以下のパラメータを用いる:ワードサイズ:1;ウィンドウサイズ:5;スコアリング法:パーセント;トップ対角線の数:5;ギャップペナルティ:3。タンパク質配列の複数整列のため、以下のパラメータを用いる:加重マトリックス:blosum;ギャップオープニングペナルティ:10.0;ギャップ伸張ペナルティ:0.05;親水性ギャップ:あり;親水性残基:Gly、Pro、Ser、Asn、Asp、Gln、Glu、Arg、およびLys;残基特異的ギャップペナルティ:あり。ClustalWアウトプットは、配列間の関係を反映する配列整列である。ClustalWは、例えば、ワールドワイドウェブ上のベイラー医科大学検索ランチャー・ウェブサイトで、そして欧州バイオインフォマティクス研究所ウェブサイト(ebi.ac.uk/clustalw)で実行可能である。
[0034]対象核酸またはアミノ酸配列のクエリー配列に対する同一性パーセントを決定するため、ClustalWを用いて配列を整列させ、整列中の同一マッチの数をクエリーの長さで割り、そして結果に100を乗じる。同一性パーセント値は、小数第2位で四捨五入することも可能であることに留意する。例えば、78.11、78.12、78.13、および78.14は、78.1に切り捨てられ、一方、78.15、78.16、78.17、78.18、および78.19は、78.2に切り上げられる。
[0035]出発コレクション中のORFは、少なくとも5またはそれより大きい数字であり、少なくとも5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、100、200、300、400、500、1000、2000、3000、4000、5000、10000、20000、30000、40000、50000、100000、200000、300000、400000、500000、1000000またはそれより大きい数値が含まれうる。ライブラリー中のランダム化融合ポリヌクレオチドの数は、典型的には、出発コレクション中のORFの数と少なくとも等しく、そして出発コレクション中のORFの数の平方と同程度に多い可能性もあり、これは、各ORFが両方のありうる位(5’および3’)に存在し、そして互いにORFと組み合わせられると仮定した際の、すべてのありうるポリヌクレオチドの組み合わせの予期される数値である。ORFの断片から生成されるライブラリー中の、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの数は、組み合わせのより大きい数を有すると予期されるであろう。
[0036]出発コレクション中のORFは、単一の生物にまたは複数の生物に由来してもよい。ORFの供給源には、限定されるわけではないが:任意のウイルス、細菌、古細菌、原核生物、真核生物、原生動物、酵母、真菌、動物、藻類または植物あるいはその混合集団由来のゲノムDNAまたは増幅ゲノムDNAのランダム片;1またはそれより多い細菌、古細菌または他の原核生物のゲノム由来のタンパク質コード配列の完全もしくは部分的コレクションまたはプールとして存在する細菌ORF;細菌、古細菌、任意の原核生物または任意の真核生物由来のタンパク質コード配列の個々のクローンまたはプールとして存在するcDNAのコレクション;ランダム化または部分的ランダム化オリゴヌクレオチド;増幅によるランダム化オリゴヌクレオチド由来の部分的または完全ランダムDNA配列が含まれる。
[0037]出発コレクション中のORFは、生物のゲノム由来のORFの完全コレクションまたはその一部を含んでもよい。コレクションまたはプール中のORFは、既知の機能、配列組成、配列内容、配列相同性、コードされるタンパク質のアミノ酸組成、コードされるタンパク質のアミノ酸内容、コードされるタンパク質の配列相同性、長さ、特定のモチーフの存在、電荷、疎水性、等電点、三次元構造またはフォールディング、他のタンパク質と会合する能力、あるいは任意の他の特性に基づいて、あらかじめ選択されることも可能である。
[0038]出発コレクション中のORFは、天然配列または突然変異誘発配列を含有してもよく、これには、機能獲得または機能喪失、あるいは機能改変を有することが知られる特定のポリヌクレオチドの既知の変異体が含まれる。これらはまた、縮重配列または突然変異誘発によって改変された配列も含有しうる。この場合の縮重配列は、集団中の異なる分子またはクローンの間で、特定の配列位が異なる場合、配列集団として定義される。配列相違は、単一ヌクレオチド中または任意の数の複数のヌクレオチド、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000ヌクレオチド中であってもよい。多数の縮重ヌクレオチドは、隣接していても、あるいは縮重していない定常または固定配列によって分離されていてもよい。縮重配列における配列相違は、配列、分子またはクローンの集団内の位において、2、3または4つの異なるヌクレオチドの存在を伴うことも可能である。配列の特定の位における縮重ヌクレオチドの例は:AまたはC;AまたはG;AまたはT;CまたはG;CまたはT;GまたはT;A、CまたはG;A、CまたはT;A、GまたはT;C、GまたはT;A、C、GまたはTである。
[0039]出発コレクション中のORFは、原核生物に典型的に見られるORFのように、イントロン不含であってもよく、または真核生物のORFに典型的に見られるように、イントロンを含有してもよい。
[0040]出発コレクション中のORFは、PCR断片、PCR断片プール、cDNA、ゲノムDNAのランダム片、合成DNA、クローニングされたDNA、供給源生物からもしくは環境から、または任意の他の環境から直接単離されたDNA、あるいは供給源の任意の組み合わせから得られてもよい。
[0041]出発コレクション中のORFを、他のORFの濃度に対応するモル量で、あるいは最終ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリー内の提示を変化させる、より少量またはより多量で添加してもよい。例えば、望ましい表現型を与える特定のタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、ターゲット生物において、その表現型を与える特に高い確率を有すると推測される場合、ORFコレクション中のこの配列を過剰提示して、大部分またはすべてのポリヌクレオチド融合組み合わせを、優先される配列と組み合わせて試験することを確実にすることも可能である。
[0042]ORFの上流(5’)の最後のコドンおよびORFの下流(3’)の最初のコドンの間(またはその逆)に挿入されるいかなる配列も伴わずに、ORFが直接互いに融合する方式で、ランダム化インフレーム融合ポリペプチドを設計することも可能である。あるいは、2つのORFの間にさらなるアミノ酸をコードする配列挿入を有する、ランダム化インフレーム融合ポリペプチドを設計する。これらの配列挿入は、長さ3〜3000ヌクレオチドの間の範囲であることも可能であり、そしてランダム化融合ポリヌクレオチドの2つの部分を分離するために適した「リンカー」ペプチドまたはポリペプチド配列をコードすることも可能である。小さいアミノ酸、例えばグリシン、アラニン、セリン、プロリン、スレオニン、アスパラギン酸またはアスパラギンは、柔軟でそして構造化されていないドメイン、またはかさばる側鎖を欠くアルファらせんドメインを形成する傾向があるため、リンカーペプチドとして適しており、コードされるランダム化融合ポリペプチドの2つの部分間の分離を可能にし、そしてコードされるランダム化融合ポリペプチドの各部分が、互いに対して独立に動くことを可能にする。したがって、2つの融合したORFを分離する配列挿入は、これらのアミノ酸を特定するコドンを含有することも可能である。あるいは、特定の二次構造、例えばアルファらせん、ベータシート、コイルドコイルまたはターン、あるいはその組み合わせなどの、コードされるランダム化融合ポリペプチドが、特定の構造または特定の構造の組み合わせによって分離されることを可能にする、リンカーペプチド配列を設計してもよい。
[0043]各ORFは、出発コレクション中の他のORFの5’および3’端にマッチする、保存された5’および3’隣接配列を含有してもよい。これらの配列は、天然ORFの一部ではなく、そしてORFが増幅され、クローニングされ、単離され、そして/または他のORFまたはベクターDNA片に連結されることを可能にする。保存された5’および3’隣接配列は、制限部位、組換え部位、あるいは他のORF、ベクター配列、または生物内へのトランスファーを補助する他の配列への特異的な連結、生物内での複製、その生物における安定性、またはその生物内での発現を可能にする任意の他の配列を含有することも可能である。
[0044]出発コレクション中のORFは、全長ORFまたは部分的ORFであってもよく、そして15ヌクレオチドから100,000ヌクレオチドの範囲のサイズであることも可能である。
[0045]出発コレクション中のORFは、生じるランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの5’端または3’端、あるいはランダムにいずれかの末端に配置されることを可能にするよう設計されることも可能である。ORF末端の保存された配列は、こうした特異的または非特異的配置を可能にするよう設計されることも可能である。ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのライブラリーは、3’端と5’端で同じORFのコレクションを含有してもよいし、各端でORFの別個のコレクションを含有してもよい。
[0046]限定されるわけではないが、制限酵素およびDNAリガーゼを用いた伝統的クローニング(連結依存性クローニング)、アガロースゲル不使用クローニング、連結独立(または連結不使用)クローニング、部位特異的組換え、相同性依存性クローニング、組換えクローニング、相同性依存性末端連結、一本鎖末端のアニーリング、リンカーテーリング、トポイソメラーゼ触媒クローニング、酵素不使用クローニング等を含む、当業者に知られるDNA分子の多様な連結またはクローニング法によって、ランダム化ポリヌクレオチド融合ポリヌクレオチドを生成することも可能である。「核酸分子連結」は、本明細書において、室温で機能可能であるように連結された分子を生じる任意の方法を指す。こうした方法には、限定されるわけではないが、共有連結(連結)、核酸分子の相補鎖のアニーリング、および2またはそれより多い核酸分子を会合させる他の方法が含まれる。
[0047]本発明の特定の態様において、連結しようとする5’および3’ポリヌクレオチドの末端の相同配列を用いて、連結事象を導くかまたは仲介することも可能である。こうした相同性依存性組み立て(Lobban 1973)を達成するために使用可能な多数の方法が存在し、これには、連結テーリング(Lathe 1984)、融合内クローニング(Zhu 2007、Irwin 2012)、配列および連結独立性クローニング(SLIC、Li 2007、Li 2012)、迅速クローニング(Li 2011)、環状ポリメラーゼ伸張クローニング(Quan 2009、Quan 2011)、ギブソン組み立て法(Gibson 2009、Gibson 2010)、迅速およびクリーンクローニング(Thieme 2011)およびその他(Vroom 2008)が含まれる。
[0048]この種のランダム化インフレーム融合ポリペプチドは、生物に新規機能を与え、そして生物の表現型(単数または複数)を多くの異なる方式で変化させることを可能にする。こうした表現型変化を達成するため、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーをターゲット生物内に形質転換する。ターゲット生物は、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーを作製するために用いられるポリヌクレオチド、配列、またはORFのいくつかまたはすべての供給源生物であることも可能であるし、あるいは異なる生物であってもよい。ターゲット生物には、限定されるわけではないが:大腸菌、酵母、任意の種の細菌、古細菌、酵母、真菌、藻類、培養藻類細胞、昆虫、線虫、脊椎動物、動物、培養動物細胞、植物、または培養植物細胞が含まれる。ターゲット生物は、一般的に、限定されるわけではないが、産業または農業における、あるいは化学薬品、食品、繊維、構造材料、燃料、薬剤、農業化学品、染料、化粧品または他の有用な物質の産生における使用を含めて、特定の目的のために用いられる生物である。
[0049]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーのメンバーを発現するターゲット生物の形質転換体を生成する。ランダム化融合ポリペプチドをコードするランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの存在に関して、形質転換体を選択するかまたはスクリーニングして、そして該ポリペプチドを発現させる。次いで、形質転換体の集団を、任意の観察可能、選択可能または測定可能表現型に関して選択するかまたはスクリーニングする。こうした表現型には、限定されるわけではないが、以下の特性の変化または改変が含まれる:増殖速度;細胞分裂速度;世代時間;サイズ;色;テクスチャー;形態;集団密度;生産性;収率;形状;生育習性;組成;代謝;栄養素、ミネラル、塩、イオン、毒素または水の取り込みまたは利用;光合成効率;温度、浸透力、塩分、pH、電磁放射、有機溶媒、酸化、酸化剤、界面活性剤、渇水、風、乾燥、洪水、栄養素制限、飢餓、酸素制限、光、圧力、圧縮、剪断または電離放射線などの非生物的なストレスに対する感度または耐性;疾患、有害生物、ファージ、ウイルス、感染性病原体、寄生虫または病原体などの生物ストレスに対する許容性または耐性;外見;反射特性;蛍光特性;屈折度;光伝達特性;電気抵抗、インピーダンスまたは伝導度;特定の栄養素の存在下での増殖;結合または接着特性;浸透性;他の生物との関連または共生;病原性;密度、強度、硬度、脆性、柔軟性、強剛性、膨圧、電気インピーダンス、電気抵抗、電気伝導度、磁性、浸透性、粘度、色、テクスチャーまたはグレインなどの物理的特性;行動;環境刺激に対する応答;ポリヌクレオチドの発現;酵素の活性;遺伝子的またはエピジェネティック的変化または突然変異の率;相同または異種核酸配列を取り込み、そして/または組み込む能力;集団の表現型多様度;色素または色変化を誘発する化合物によって染色される能力;抗生物質または毒素に対する耐性;浸透に対する耐性;食品、餌、燃料、繊維、構造材料、薬学的化合物、化粧品、染料、化学薬品、タンパク質、脂質、核酸、肥料、あるいはその組み合わせ、または前駆体、またはその生産のための原材料。
[0050]1またはそれより多い特定のランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを発現している生物を、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの同じライブラリー、類似のライブラリー、または異なるライブラリーで再形質転換してもよく、そして生物の特性改変に関して、選択するかまたはスクリーニングするプロセスを反復してもよい。この方式で、形質転換、選択、再形質転換、再選択等の反復アプローチを用いて、生物の特性または表現型を改変し続けることも可能である。
[0051]また、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドで形質転換された生物から、再単離してもよい。限定されるわけではないが、PCR増幅およびプラスミド・レスキュー(Ward 1990)、その後、大腸菌などの実験室生物内へのプラスミド形質転換を含む、いくつかの方法のいずれを用いて、再単離を行ってもよい。再単離後、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを、同じ生物内に、そして/または異なる生物内に再形質転換して、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドが、反復実験において、同じ表現型を再現可能に与えることを確認することが可能である。
[0052]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを発現し、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの結果として改変された表現型を有する生物を、この生物を再びランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドで形質転換することによるさらなる表現型変化の出発点として用いることも可能である。改善の第二周期の融合ポリヌクレオチドのライブラリーは、改変された表現型を持つ生物を生成するために用いたものと同じライブラリーであってもよいし、または異なるライブラリーであってもよい。ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーでの生物の形質転換および表現型選択のこうした反復周期は、多数の表現型変化、あるいは単一周期の形質転換および選択で達成可能であるよりもより顕著な表現型変化を生じることも可能である。
[0053]本発明の別の態様において、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのライブラリーで形質転換された生物のコレクションを、空のベクター配列で形質転換された対照生物に比較して、生物に対して相同であるかまたは異種であるかいずれかのポリヌクレオチド配列の発現における改変に関して選択するかまたはスクリーニングする。この方式で、例えば、通常は発現されないであろう多くのポリヌクレオチド配列が発現される、乱雑な発現の表現型を得ることが可能である。こうした表現型は、新規遺伝的または生化学的経路を単離するか、あるいは、新規遺伝的または生化学的経路を異種生物内に移入するために有用である。あるいは、このアプローチは、通常発現される多くのポリヌクレオチド配列の発現が減少するかまたはサイレントになる、乱雑な抑制の表現型を可能にする。あるいは、ゲノムに天然に存在するトランスポゾンを活性化するかまたは不活性化することが可能である。
[0054]本発明の別の態様において、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのライブラリーで形質転換された生物のコレクションを、ゲノムまたは遺伝的変化率の改変に関して選択するかまたはスクリーニングする。これらのゲノムおよび遺伝子変化には、限定されるわけではないが:点突然変異;配列挿入、欠失、または反転;反復コピー数変動;染色体転位置;染色体クロスオーバー;遺伝子変換;トランスポゾンの分布、蔓延、位置または発現の改変;外来(foreign)核酸配列の取り込み;外来核酸配列の組み込み;あるいは複雑な配列変化およびゲノム再編成を生じるその組み合わせが含まれる。特異的ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドによって与えられるこうした発展表現型は、高率の進化、ならびに生物の遺伝的および表現型的多様性増加を伴う生物を生成するために、あるいはターゲティングされる遺伝子変化を導入するために適した生物、または特定のタイプの遺伝子変化に素因がある生物を生成するために、有用でありうる。
[0055]本発明のさらに別の態様において、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのライブラリーで形質転換された生物のコレクションを、生物によって産生される物質または化合物のより高い収率に関して選択するかまたはスクリーニングする。
[0056]本発明のさらなる態様において、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのライブラリーで形質転換された生物のコレクションを、増殖率、生産性、あるいは細胞または生物の他の特性を制限する、遺伝子チェックポイントの非存在に関して選択するかまたはスクリーニングする。特に、これによって、特定の生理学的または増殖状態においてのみ天然に産生される、あるいは特定の生理学的または増殖状態においてのみ最大レベルで産生される物質または化合物の恒常的産生を伴う生物の単離が可能になる。
[0057]本発明の別の態様において、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのライブラリーで形質転換された生物のコレクションを、細胞によって発現される酵素または生化学的経路の活性または特異性改変に関して選択するかまたはスクリーニングする。
[0058]本発明のさらにさらなる態様において、1または少数の関心対象のポリヌクレオチドを、より多数のポリヌクレオチドのコレクションとランダムに融合させることによって、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのコレクションを作製する。この方式で、特定の特性に関してスクリーニング可能な、関心対象のポリヌクレオチドの変異体または突然変異体のコレクションを生成することが可能である。特に、この方式で、より高い活性、改変された活性、改変された温度最適性、改変されたpH最適性、高温または極端なpHに対する耐性、酸または塩基に対する耐性、乾燥に対する耐性、有機溶媒に対する耐性、高塩濃度に対する耐性、プロテアーゼに対する耐性、あるいは酵素の他の望ましい特性を持つ酵素に関して、スクリーニングすることが可能である。
[0059]実施例1:大腸菌に対するストレス許容性を与えることが可能なランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの単離
細菌株およびゲノムDNA調製:
[0060]大腸菌株K−12 MG1655の参照配列(ウィスコンシン大学ウェブサイトのゲノムセクションを通じて、インターネット上で入手可能)に基づいて、大腸菌ORFの完全コレクションを生成する。この株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手可能であり、そして関心対象のORFを増幅する高純度ゲノムDNAの供給源として用いられる。このゲノムの配列注釈を用いて、各ORFの開始および停止コドンを同定する。例えば、J.クレイグ・ベンター研究所によって用意される1つの特定の注釈(インターネット上でcmr-jcviウェブサイトから入手可能)は、総数5,286のタンパク質コードORFを列挙し、これには、検証されたおよび仮説上のタンパク質コード遺伝子の両方が含まれ、サイズは93bp(31アミノ酸をコードする)から7152bp(2384アミノ酸をコードする)の範囲である。
[0061]インプット配列として用いる遺伝子の長さは、2604bpを上限とし、これによって、PCR増幅の成功、および生じるインフレーム融合ポリペプチドまたはタンパク質の正しいフォールディングの可能性が増加する。結果は、PCR増幅用の総数5095のORFのため、検証され、そして性質決定されていないORFの最終コレクションである。この配列コレクションの平均の長さは、791bpであり、そして長さの中央値は711bpである。これらの大腸菌ORFのサイズ分布を図4に示す。
[0062]大腸菌において、特定の表現型を与えるポリヌクレオチドに関してスクリーニングする際、スクリーニングしようとするORFのコレクションに関心対象の表現型における既知の役割を持つポリヌクレオチドを含めることが好適でありうる。例には、ゲノムが配列決定されている生物において、ストレス耐性に関与することが知られるポリヌクレオチドが含まれる。配列決定されている微生物ゲノムの現在のコレクションには、多数の好熱菌が含まれ、該菌は、シャペロニン、熱ショックタンパク質、または他の生物に、そして他のORFと組み合わせて、ストレス許容性を与える、他のストレス許容性ポリヌクレオチドの優れた供給源である可能性もある。
[0063]ORFの供給源として働く細菌株を、液体培養中で増殖させ、遠心分離によって細胞をペレットとし、そして次いで20mM Tris pH8.0、10mM EDTAおよび100mMグルコースを用いて、元来の培養体積の1/10に再懸濁する。10mM Tris pH8.0、10mM EDTA中に溶解した1/100体積の10mg/mlニワトリ(hen)卵リゾチームを添加することによって細胞を溶解し、そして1/20体積の10mg/mlDNAse不含RNAse Aを添加し、よく混合し、そして室温で15分間インキュベーションした。プロテイナーゼKで処理することによって、細胞溶解およびゲノムDNA放出を完了する。溶解した細胞に、1/10体積の1M Tris、0.5M EDTA、pH9.5および1/100体積の20mg/mlプロテイナーゼK溶液を添加する。試験管に蓋をし、そして反転させることによって、溶解した細胞を穏やかに混合し、そして混合物を時々穏やかに混合しながら50℃で2時間インキュベーションする。次いで、等体積のフェノール−クロロホルム(pH7.0)で、DNAを2回抽出し、その後、等体積のクロロホルムでさらに1回抽出する。1/10体積の3M酢酸ナトリウムpH5.5および2.5体積のエタノール(または1体積のイソプロパノール)を添加することによって、DNAを沈殿させる。アルコールを添加した後、試験管を直ちに反転させ、そしてDNAは紐状の白色沈殿物として可視である。細胞由来の他の不純物(残渣タンパク質または炭水化物)が同時に沈殿するのを回避するため、清浄なピペットチップまたはパスツールピペットを用いてアルコール溶液から沈殿したDNAを取り除き、そして70%エタノールを含有する清浄な試験管に移す。試験管に蓋をし、そして複数回反転させて、DNA沈殿物から塩を除去する。遠心分離によってペレットを収集し、吸引によってエタノールを除去し、そしてエアフローフード中でペレットを乾燥させ、過剰なエタノールを取り除く。ペレットを1xTE(10mM Tris pH8.0、0.1mM EDTA)中に溶解する。カラムクロマトグラフィまたは塩化セシウム密度遠心分離(Sambrook 1989)を用いて、DNAのさらなる精製を行ってもよい。
発現ベクター
[0064]単純なそして標準的な発現ベクターを用いて、すべての融合タンパク質を発現させる。大腸菌lacプロモーター/オペレーターは、大部分の標準的クローニングベクター上に存在し、そしてラクトースまたはラクトース類似体の存在下で、異種ポリヌクレオチドを高レベルで発現することが可能である。pUC19ベクター(Vieira 1982)は、プラスミド骨格(pMB1レプリコン)、抗生物質耐性ポリヌクレオチド(例えばアンピシリン耐性を与えるTn3由来のβ−ラクタマーゼ)、ならびに大腸菌lacプロモーター/オペレーターおよびターミネーター配列の好適な供給源である。図3に例示するように、これらの配列をpUC19からPCR増幅し、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのクローニングおよび発現のためのプラスミド主鎖供給源として用いる。例えば、配列番号25124および配列番号25125に列挙するPCRプライマーを用いて、pUC19由来のこうした断片をPCR増幅して、2391bp直鎖ベクター断片(配列番号25126)を生じることも可能である。5’ORFの5’端および3’ORFの3’端に含まれる、この発現ベクター断片に対する相同性領域(図3を参照されたい)は、このベクター配列の末端と相同性を共有する(配列番号25126)。
[0065]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現のためのlacプロモーター系の代替物として、他の大腸菌プロモーター、例えばcycGプロモーター(Belyaeva 1992)、Tn3 β−ラクタマーゼプロモーター、Pspcリボソームタンパク質プロモーターまたはファージラムダPおよびPプロモーター(Liang 1999、Menart 2002)を用いてもよい。ストレス誘導性大腸菌pspオペロンのプロモーター(Brisette 1990、Brisette 1991、Weiner 1991、Weiner 1995、Jovanovic 1996、Model 1997、Beekwilder 1999)は、非生物ストレスの条件下で、植物性細胞増殖に依存する恒常性プロモーターが非常に活性でない可能性もある場合、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現のために特に適している可能性もある。あるいは、細菌発現のためのコンセンサス要素を含有する部分的ランダム化配列から、合成プロモーターを発展させてもよい(Jensen 1998a、Jensen 1998b、Hammer 2006、De May 2007)。
[0066]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現のための適切性に関して、候補プロモーターを試験するため、選択したプロモーターおよびその会合5’UTRを250bp DNA断片として合成し、そしてpUC19などの高コピー数プラスミド中のlacZ α断片の上流にクローニングする。大腸菌ターミネーターを、プロモーター断片の上流に配置して、プラスミド上の別の箇所に存在するプロモーターからのリードスルー転写を防止する。lacZ α断片の発現の指標となる、発色原基質X−Galの存在下で、青色コロニー色表現型を与える能力に関して、生じた構築物を大腸菌において試験する。
[0067]本明細書記載のプラスミドは、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現のため、pMB1複製起点を含有するものなどの高コピー数プラスミドに基づく。しかし、他のプラスミド系もまた、この研究に適している。例えば、F’に基づくプラスミド、例えばpBeloBAC11(Shizuya 1992)を用い、上記と同じプロモーターを用いて、または異なるプロモーターセットを用いて、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを発現させてもよい。
融合遺伝子構造およびORF増幅戦略:
[0068]2つの異なるプライマーセットを各ORFに関して設計し、1つはORFをランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの5’位にクローニングするためのものであり、そしてもう一方は3’に配置するためのものである。5’端に15〜100塩基の保存配列を含有するようにプライマーを設計する。この保存配列は、対形成するであろう他のORFの末端の配列に相同であるか、またはベクター配列の末端に相同である。この配列相同性を図3に例示する。各ORFは、すべての他のORFと組み合わせて、5’および3’位の両方に配置されるはずであるため、各ORFに関して、2つの異なるPCRアンプリコンが生成され、1つは5’位に、そしてもう一方は3’位に向けられる(図3を参照されたい)。
[0069]例えば、ペプチドまたはタンパク質をコードする仮説上のポリヌクレオチド配列Aは、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのコレクションの構築のために用いられるよう意図される、ポリヌクレオチドの出発コレクションの一部であってもよい。ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのコレクションを生成する目的は、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドシリーズの5’位に存在する、ポリヌクレオチドAを含めた出発コレクション中の各ポリヌクレオチドを有すること、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの異なるシリーズの3’位に存在する同じ配列を有することである。これらの2つのシリーズのランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの各々において、ポリヌクレオチドAは、こうした融合を生成するために利用可能な方法で実現可能であるような出発コレクションの出来る限り多くの他のメンバーと融合するであろう。出発コレクションに存在する他のポリヌクレオチドに対して5’または3’位のポリヌクレオチドAを含む、これらの別個のシリーズの融合を可能にするため、2つの異なるバージョンのポリヌクレオチド配列Aを生成する。5’位で使用するために意図されるポリヌクレオチド配列Aのバージョンは、停止コドンを含有しないであろうし、そして発現ベクターのプロモーター領域に5’相同性(またはクローニング目的のための他の配列適合性)を有するであろう。3’ 位で使用するために意図されるポリヌクレオチド配列Aのバージョンは、停止コドンを含有するであろうし、そして発現ベクターのターミネーター領域に3’相同性(またはクローニング目的のための他の配列適合性)を有するであろう。
[0070]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドにおいて、2つのORFを分離する配列(図3において、「リンカー配列」と示される)は、グリシンおよびセリン残基が豊富な短いペプチドをコードする。こうしたペプチドは、非構造であることが予期され、そしてランダム化融合タンパク質の2つのメンバーを分離する柔軟なタンパク質スペーサーを提供する一方、タンパク質分解には比較的耐性であろう。適切なリンカーペプチド配列の例は、GGGGSGGSGGSGGGGS(配列番号25117)またはSGGSSAAGSGSG(配列番号25118)またはSAGSSAAGSGSG(配列番号25119、Wang 2010)である。あるいは、アルファらせんリンカー配列を用いてもよく、例えば配列A(EAAAAK)A、n=2〜5(配列番号25120〜25123、Arai 2001)がある。
[0071]各プライマーは、2つの目的を持つ、16塩基の保存配列を5’に含有する。まず、余分な配列は、互いに関して異なるORFの提示にバイアスを掛けることなく、コレクション中のORFすべてを増幅することが可能な、保存されたPCRプライマー配列を用いた、ORFプールの効率的なPCR増幅を可能にする(Dahl 2005、Myllykangas 2011、Natsoulis 2011)。第二に、これらは、発現ベクター(クローニングおよび発現ベクターpUC19の誘導体(Vieira 1982、配列番号25126))に、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・パートナーの末端の保存配列に相同性を含有し、ベクター中での、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの、迅速でそして効率的な、相同性依存性組み立てを可能にする(図3を参照されたい)。各ORFの2つのアンプリコンは、停止コドンの存在(ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーの3’位に関して向けられるORFにのみ存在する)、および保存隣接配列のみが異なる。
[0072]融合遺伝子の5’位に向けられるORFのすべての5’PCRプライマーに付加される保存された配列は、GCTGGATCCTGCTAGC(配列番号25127)である。融合遺伝子の5’位に向けられるORFのすべての3’PCRプライマーに付加される保存された配列は、CAGGAGCTGCACTTCC(配列番号25128)である。融合遺伝子の3’位に向けられるORFのすべての5’PCRプライマーに付加される保存された配列は、TGGAAGTGGTTCAGGA(配列番号25129)である。融合遺伝子の3’位に向けられるORFのすべての3’PCRプライマーに付加される保存された配列は、CTACTCGAGACTGCAG(配列番号25130)である。
[0073]融合遺伝子の5’位に向けられるORFの3’PCRプライマー中の5’末端16ヌクレオチド、および融合遺伝子の3’位に向けられるORFの5’PCRプライマー中の5’末端16ヌクレオチドは、2つのORFを分離するリンカー配列の一部を形成する。この60bpリンカー配列(配列番号25103)は、融合遺伝子中の2つのORFを連結する際に他の研究者が用いた配列(Arai 2001、Eldridge 2009、Wang 2010)に大まかに基づく、グリシン、セリンおよびアラニンが豊富な20アミノ酸ペプチド(配列番号25104)をコードする。このリンカー配列は、PCR増幅の第二のまたは保存される段階で完全にコードされ(以下を参照されたい)、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの5’位に向けられるORFの3’端およびランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの3’位に向けられるORFの5’端への、保存されたコード配列の付加を生じる。
[0074]1つは融合遺伝子の5’位そしてもう一方は3’位である、大腸菌ORFの2つの完全なセットが生成される必要があるため、以下に記載するすべての方法は、2つのORF位に関して、2つ組で行われる。
配列増幅:
[0075]3’端の20〜30ポリヌクレオチド特異的塩基を含有するポリヌクレオチド特異的プライマーおよび5’端の保存配列を含有するプライマーを用いて、各ORFをPCR増幅する。各ポリヌクレオチドに関して個々に、またはポリヌクレオチドプールに関して同時に、増幅を行う。
[0076]個々の増幅のため、各々、最終濃度0.5〜5μMの2つのプライマーを、10〜1000ngの大腸菌ゲノムDNA、PCR緩衝液および熱安定性ポリメラーゼと、1〜50μlの総反応体積中で合わせる。高忠実度熱安定性ポリメラーゼ、例えばPhusion(登録商標)ポリメラーゼが使用可能である。Phusion(登録商標)ポリメラーゼに関しては、95℃2分間の変性、その後、95℃20秒間、60℃20秒間の10〜35周期、および72℃1分/kb(72℃で最低30秒間)によって、PCRアンプリコンを生成する。アガロース電気泳動によって、または蛍光計、例えばQubit(登録商標)蛍光計(Life Technologies)を用いた蛍光分光測定によって、PCR産物形成の効率を測定する。DNA精製に適したシリカ樹脂を用いて、成功したPCR反応を精製することも可能である。成功しなかった反応を、PCR反応中のMg+2濃度および/または他の反応条件を変化させることによって反復する。各ORFの増幅成功後、各PCR産物濃度を規準化し、そして特定のサイズ範囲に対応する産物をクローニングのためにプールする。
[0077]個々の増幅は、各ORFの増幅が別個に行われ、そして監視され、ORFの最終プール中の各ORFがほぼ同等の提示であることを可能にする利点を有する。多数のPCR反応を平行して行い、そしてアッセイする必要があり、ロボット装置および多数の増幅の最適化を必要とする、不都合な点がある。
[0078]プールした増幅に関しては、PCR増幅の効率は、非常にサイズ依存性であるため、そしてPCR条件(72℃での伸張時間、上記を参照されたい)はアンプリコンのサイズに応じるため、ORFは、サイズによってプールされる。ORFは、任意の数のサイズプールに分離される。より少数のサイズプールは、増幅をより少数の試料で行うことが可能であり、時間および試薬を節約する利点を有する。多数のサイズプールは、各プールの複雑性がより低く、より高い濃度の各プライマー対、そしてしたがって、各ポリヌクレオチドの増幅成功の可能性がより高いことを意味する。好適な数のサイズプールは、1または2の96ウェルプレート中のウェルの数に対応する。例えば各26〜27のORFの192プール(192プールx平均26.54 ORF=総数5095 ORF;これは、各27プライマー対を含有する103プール、および各26プライマー対を含有する89プールに対応する)。
[0079]PCR増幅を3工程で行う:1)遺伝子特異的プライマーを用いた最初の増幅、その後、2)保存されたプライマーを用いた各ORFプールの増大、その後、さらなるプーリング、ゲル上でのサイズ選択、および3)最終長PCR産物を生じる第三の増幅工程。3つの増幅工程は、それぞれ、第一段階、第二段階および第三段階増幅と称される。
[0080]PhusionTMホットスタートII熱安定性高忠実度ポリメラーゼ(Thermo ScientificTM)を用いて、すべてのPCR増幅を行う。5xHF増幅緩衝液とともに酵素を供給し、すべての反応に用いる。増幅は、以下に示すように、20μLまたは50μL反応体積で行う。すべての増幅を、96ウェルブロックを含有するT100サーマルサイクラー(Bio-Rad Laboratories)上で行う。すべての増幅で用いるデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)は、各dNTP 10mMを含有するストックであり、やはりThermo Scientific(登録商標)より得られる。すべての反応に脱イオン水を用い、そしてポリメラーゼとともに供給されないすべての溶液を作るためにも脱イオン水を用いる。
[0081]すべてのPCR増幅は、同じ一般的な方法にしたがう:
[0082]1. PCR反応の各段階のため、以下に記載するようなPCR混合物を調製し、そしてサーマルサイクラーに挿入するまで低温で維持する。
[0083]2. 試料を完全に混合し、そして次いで、4000rpmで1分間遠心分離して、試験管またはプレートウェルの底に反応産物を集める。
[0084]3. プレートまたは試験管をサーマルサイクラー内に挿入する。
第一段階増幅:
[0085]上述のような配列特異的PCRプライマープールを用いて、第一段階増幅を行う。反応あたり2μLの10ng/μL大腸菌株MG1655ゲノムテンプレートDNAを用いて、20μL総体積中、各増幅を行う。各反応に、100μMストックから2.5μLプライマープールを添加して、12.5μMの最終総プライマー濃度を提供する。各プライマープールは、26または27プライマー対のいずれかを含有し;そして最終の個々のプライマー濃度は、およそ0.23〜0.24μMである。
[0086]第一段階のPCR反応混合物は、20μl総体積中で設定され、そして以下の構成要素から混合される:4μl 5x Phusion(登録商標)HF緩衝剤、0.4μl 10mM dNTP、10.7μl脱イオンHO、2μl 10ng/μlゲノムテンプレートDNA、2.5μLプライマープール(100μM)、0.4μl PhusionTMホットスタートII熱安定性ポリメラーゼ(2単位/μl)。PCRサイクリング条件は以下の通りである:98℃45秒間の最初の変性、各3工程(98℃10秒間、60℃30秒間および72℃3分間)からなる10周期、72℃3分間の最終伸張工程、およびサーマルサイクラーから試料を取り出すまでの4℃での浸漬。PCR増幅が完了した後、試料をサーマルサイクラーから取り出し、完全に混合し、そして4000rpmで1分間遠心分離して、第一段階増幅産物を提供する。
第二段階増幅:
[0087]第二段階の増幅で用いるプライマーは、第一段階の増幅プライマーの保存された部分に相同性を持つ単一のプライマーである。第二段階のプライマーは、対の混合物として調製され、各々、等モル量の2つのプライマーを含有し、そして20μMの総プライマー濃度を含有する。
[0088]第二段階PCR反応混合物を50μl総体積中にセットアップし、そして以下の構成要素から混合する:10μl 5x Phusion(登録商標)HF緩衝剤、1μl 10mM dNTP、22μl脱イオンHO、10μl第一段階反応産物、6μl第二段階プライマー混合物(20μM)および1μl PhusionTMホットスタートII熱安定性ポリメラーゼ(2単位/μl)。PCRサイクリング条件は以下の通りである:98℃45秒間の最初の変性、各2工程(98℃20秒間および72℃3分間)からなる25周期、72℃3分間の最終伸張工程、およびサーマルサイクラーから取り出すまでの4℃での浸漬。
[0089]PCR増幅が完了した後、試料をサーマルサイクラーから取り出し、完全に混合し、そして4000rpmで1分間遠心分離する。
[0090]試料のより効率的な下流プロセシングを可能にするため、8試料を1つにプールすることによって、192多重PCR試料を24のより大きいプールに統合する。各多重PCR反応中の産物の量をまず定量化して、異なるサイズの断片コレクションの等モルプールを可能にする。これは、各多重反応に対してゲル電気泳動を行い、そして予期されるサイズの各バンド中の蛍光を定量化することによって、あるいはApplied Biosystems(登録商標)3730 DNA分析装置またはQIAGEN(登録商標)QIAxcel(登録商標)装置などのキャピラリー電気泳動によってのいずれかで、行う。各多重プールの平均サイズを考慮に入れ、一緒にプールされて、プールに添加される各産物の等モル量を生じる、各多重PCR反応の相対量を計算するために、各多重反応中の望ましい産物の濃度を用いる。産物をサイズによってグループ分けし、そしてプールして、下流PCR増幅における増幅バイアスを最小限にする。
[0091]192多重反応を、以下のように24のより大きいプールに合わせる。大プール1:多重プール1〜8;大プール2:多重プール9〜16;大プール3:多重プール17〜24;大プール4:多重プール25〜32;大プール5:多重プール33〜40;大プール6:多重プール41〜48;大プール7:多重プール49〜56;大プール8:多重プール57〜64;大プール9:多重プール65〜72;大プール10:多重プール73〜80;大プール11:多重プール81〜88;大プール12:多重プール89〜96;大プール13:多重プール97〜104;大プール14:多重プール105〜112;大プール15:多重プール113〜120;大プール16:多重プール121〜128;大プール17:多重プール129〜136;大プール18:多重プール137〜144;大プール19:多重プール145〜152;大プール20:多重プール153〜160;大プール21:多重プール161〜168;大プール22:多重プール169〜176;大プール23:多重プール177〜184;および大プール24:多重プール185〜192。構成要素ORFのサイズに基づいて、各大プールの生じた平均ORFサイズ(添加されるプライマー配列を伴うおよび伴わない)を計算する。
[0092]ひとたびプーリングが完了したら、製造者の推奨にしたがって、シリカ樹脂カラムまたはMacherey Nagel NucleoSpin(登録商標)96PCRクリーンアップキットなどのプレートを用いて、10μgの望ましい産物総量に対応する各ORF大プールの量を精製する。精製PCR産物の溶出後、各試料を完全に混合し、そしてその濃度を分光光度測定で決定する。
[0093]48の大プールから望ましくないサイズの産物およびプライマー二量体を取り除くため、2μgの各プールを1%アガロースゲル上で電気泳動し、そしてエチジウムブロミドで染色し、バンドをUVまたは青い光の下で視覚化し、そしてより大きいプール各々の正しいサイズに対応するゲル断片をゲルから切り出す。ゲル断片の重量を測定し、そして製造者の推奨にしたがって、Macherey Nagel NucleoSpin(登録商標)ゲルおよびPCRクリーンアップキットなどのシリカ樹脂ゲル精製法を用いて、そこからDNAを精製する。精製が完了したら、すべての試料の濃度を分光光度測定で決定し、そして精製第二段階大プール増幅産物各々の濃度を、第三段階増幅のため、10ng/μLに調整する。
第三段階増幅
[0094]第三段階増幅は、各PCR産物に最終配列を付加して、末端相同性によって効率的な組み立てを可能にし、そして各大プールの量を増加させる。第三段階増幅に用いるプライマーは、第一段階および第二段階増幅プライマーの保存された部分に相同性を持つ単一プライマーである。第三段階プライマーは、対の混合物として調製され、各々、等モル量の2つのプライマーを含有し、そして20μMの総プライマー濃度を含有する。
[0095]第三段階PCR反応混合物を50μl総体積中にセットアップし、そして以下の構成要素から混合する:10μl 5x Phusion(登録商標)HF緩衝剤、1μl 10mM dNTP、22μl脱イオンHO、10μlゲル精製したプール第二段階反応産物(10ng/μl)、6μl第三段階プライマー混合物(20μM)および1μl Phusion(登録商標)ホットスタートII熱安定性ポリメラーゼ(2単位/μl)。PCRサイクリング条件は以下の通りである:98℃45秒間の最初の変性、各2工程(98℃20秒間および72℃3分間)からなる25周期、72℃3分間の最終伸張工程、およびサーマルサイクラーから取り出すまでの4℃での浸漬。
[0096]第三段階増幅が完了した後、試料を完全に混合し、遠心分離し、そして製造者の推奨にしたがって、Macherey Nagel NucleoSpin(登録商標)96 PCRクリーンアップキットなどのシリカ樹脂精製を用いて、精製する。溶出後、各試料を完全に混合し、そしてその濃度を分光光度で測定する。
[0097]より効率的な下流プロセシングのため、次いで、4つの最小の大プールを1つのスーパープールに合わせ、そして5つの大プールの続くセットを合わせて、さらなるスーパープールを形成することによって、24の大プールを5つの「スーパープール」に統合する。各スーパープールに添加される各大プールの相対量は、第三段階増幅および精製後の各大プールの最終濃度、ならびに各大プールの最終平均サイズ(プライマーによって付加される配列を含む)と、等モル量の各大プールを各スーパープールに添加する目的とを考慮することによって、計算される。
[0098]この実施例の先の工程におけるように、スーパープールをORFサイズに基づいて調製し、同様のサイズのORFのより大きいプールを同じスーパープールにグループ分けする。挿入物サイズに基づくクローニングバイアスを最小限にするため、各々の場合に、クローニングベクターと一緒に、5’ORFの各サイズプールを3’ORFの各サイズプールと対で合わせることによって、サイズ分画を別個に発現ベクターにクローニングする。
ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリー構築
[0099]増幅およびスーパープールへのプーリング後、ORFの相対濃度を、DNA分子のモル濃度(質量濃度ではなく)に関して規準化する。上述のような個々のまたはプールされたPCR増幅によって生成されたORFコレクションに添加される、他の生物由来のクローニングされたポリヌクレオチドまたはORF由来のORFを含めた、特定のORFを、多様な量でORFコレクションに添加してもよい。例えば、特定のORFを、他のORFの濃度に対応するモル量で、あるいは最終ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリー内の提示を変化させる、より低いまたはより高い量で、添加する。例えば、ストレス耐性を与える特定のタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、大腸菌におけるストレス許容性を与える特に高い可能性を有すると推測される場合、ORFコレクション中にこの配列を過剰提示して、大部分のまたはすべてのランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの組み合わせが、この優先される配列とともに試験されることを確実にすることも可能である。
[00100]2つのORFのpUC19発現ベクター分子内への一工程組み立ては、各断片の5’および3’端に位置し、そして図3に示す環状の組み立てられた産物の構造を特定する、保存された/相同配列によって指示される。多数の方法のいずれか1つを用いて、この相同性依存性組み立てを達成することも可能であり、これらのすべては、相同一本鎖DNA端のアニーリングに基づくクローニング法、例えばリンカーテーリング法(Lathe 1984)またはDNA分子の末端の相補的ホモポリマー性一本鎖テールに依存する方法(Lobban 1973)に由来する。さらに、現代の相同性依存性クローニング技術は、1990年代初期に記載される連結独立性クローニング法(Aslanidis 1990、Aslanidis 1994)に概念的に関連する。こうした相同性依存性クローニング法には、限定されるわけではないが:融合内クローニング(Zhu 2007、Irwin 2012)、配列および連結独立性クローニング(SLIC、Li 2007、Li 2012)、迅速クローニング(Li 2011)、環状ポリメラーゼ伸張クローニング(Quan 2009、Quan 2011)、ギブソン組み立て法(Gibson 2009、Gibson 2010)、迅速およびクリーンクローニング(Thieme 2011)およびその他(Vroom 2008)が含まれる。
[00101]in vitroで、5つの5’および5つの3’ORFスーパープールの各組み合わせを用いて、総数25の組み立て反応に関して、ライブラリー組み立てを行う。各反応において、150fmolの5’ORFスーパープールDNAおよび150fmolの3’ORFスーパープールDNA(平均サイズに基づくモル濃度)を、75fmolのPCR増幅単一断片pUC19ベクターDNA(配列番号25126)と合わせる。DNA混合物の体積を10μlに調整し、これに10μlの組み立て混合物(200mM Tris pH8.0、20mM MgCl、各0.4mMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、20mMジチオスレイトール、2mMニコチンアミドアデニン二ヌクレオチド、0.02単位/μl T5エキソヌクレアーゼ、0.05単位/μl Phusion(登録商標)熱安定性DNAポリメラーゼ、0.4単位/μl Taqリガーゼ)を添加する。反応を穏やかに混合し、そして50℃で1〜2時間インキュベーションする。次いで、反応を氷上に維持するか、または大腸菌形質転換に使用する前に凍結する。
[00102]このin vitro組み立て法を記載するように実行するか、またはこの方法に適している可能性もあるエキソヌクレアーゼ活性を持つ他の酵素、例えばT4 DNAポリメラーゼ、エキソヌクレアーゼIII、ラムダエキソヌクレアーゼ、T5エキソヌクレアーゼまたはT7エキソヌクレアーゼを用いて行ってもよい。活性の5’から3’の方向性を持つエキソヌクレアーゼ(すなわちT4ポリメラーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、T5エキソヌクレアーゼまたはT7エキソヌクレアーゼ)は、各クローニング接合部の2つのニックの間に、より多数のアニーリング配列塩基対を生じ、したがって、望ましい産物を安定化させるため、こうしたエキソヌクレアーゼが好ましい。Taq DNAリガーゼを添加せずに、この方法を実行して、満足出来る結果を得ることも可能である。反応に、最終濃度5〜10%でポリエチレングリコール(分子量4000〜10000)を補充して、一本鎖DNA端のアニーリングを促進することも可能である。しかし、上述のような十分に高いDNA濃度が与えられていれば、PEGは必要ではない。
[00103]1μlの組み立て反応と25μlのエレクトロコンピテントDH10B細胞(Life Technologies社)またはEC100細胞(Epicentre Technologies)を氷上で混合することによって、エレクトロポレーションによって組み立て反応を大腸菌に形質転換する。次いで、細胞/DNA混合物を1mmギャップ幅エレクトロポレーション・キュベット内に移し、そしてBio-Rad Micropulserエレクトロポレーターを用いて、1.5kVでエレクトロポレーションする。細胞を1ml LBブロス中に再懸濁し、10ml培養試験管中、℃で1時間、250rpmで培養し、そして50〜100μg/μlカルベニシリンを含有するLB寒天上にプレーティングする。組み立て反応を、エタノールでのDNA沈殿によって、または微小透析によって、または製造者の推奨にしたがってBio-Rad Micro Bio-Spin P6ゲルカラムを通じて遠心分離することによってのいずれかで、組み立て反応を脱塩することによって、形質転換効率を改善することも可能である。
ライブラリー形質転換およびスクリーニング
[00104]組み立て後、大腸菌内への形質転換のため、異なるライブラリーをプールして、扱う必要がある形質転換および試料の総数を減少させる。特定のORFプールの組み立てから生じる別個の連結/ライブラリーは、ほぼ5’ORFの数x3’ORFの数x2に対応する配列組み合わせの数を含有する。例えば、1000の5’ORFを1000の3’ORFと組み合わせる場合、総数200万の組み合わせがある。典型的には、スクリーニングプロジェクトの目的は、DNAプールの中に等しい配列提示があると仮定して、形質転換体間で各組み合わせが提示される>90%の可能性を達成するために、ライブラリー複雑性の3倍多いクローンまたは形質転換体をスクリーニングすることである。上記の例では、これは、600万の形質転換体を選択するかまたはスクリーニングする必要があることを意味する。
[00105]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを含有する、プールされたライブラリーを大腸菌の実験室株に形質転換し、プラスミドの存在に関して選択し、そしてコードされるランダム化融合ペプチドまたはポリペプチドを発現することを可能にする。形質転換体をIPTGまたはラクトースの存在下で固形培地上にプレーティングし、lacプロモーターからのランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現を誘導する。プレート上のコロニー増殖を監視し、改変された増殖および耐性特性を持つコロニーのスクリーニングまたは選択を可能にする。固形培地上で選択またはスクリーニング可能な特質には、限定されるわけではないが:増殖率(細胞数または細胞量のいずれかまたは両方の増加率)、増殖収率(培養が定常期に到達した後の最終細胞密度または最終細胞量)、ストレス許容性(高温または低温あるいは高い浸透力の条件下で、増殖するかまたは生存する能力)および産物許容性(エタノールおよびブタノールなどの有機溶媒または毒性化学薬品の存在下で増殖するかまたは生存する能力)が含まれる。
[00106]あるいは、形質転換体をバルクで、液体培養中、細胞の多様なタイプの増殖および耐性特性に関して選択する条件下で培養する。固形培地上で選択またはスクリーニング可能な特質には、限定されるわけではないが:増殖率(細胞数または細胞量のいずれかまたは両方の増加率)、ストレス許容性(高温または低温あるいは高い浸透力の条件下で、増殖するかまたは生存する能力)および産物許容性(エタノールおよびブタノールなどの有機溶媒または毒性化学薬品の存在下で増殖するかまたは生存する能力)が含まれる。固形および液体培地を用いた選択およびスクリーニングの例を以下に提供する。
[00107]固形培地上での選択およびスクリーニングのため、ランダム化融合ポリペプチド・ライブラリーの形質転換後、形質転換体を、抗生物質を欠く液体培地中であらかじめ、37℃で1時間培養する。次いで、抗生物質およびIPTGを液体培養に添加して、プラスミドの存在に関して選択し、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現を誘導し、そして形質転換体をさらに1時間培養する。次いで、培養を適切に希釈して、プレートあたりの形質転換体数をほぼ管理可能であるようにする(選択するかまたはスクリーニングする特質に応じて、10cmプレートあたり、およそ2000〜20000コロニー)。培養を固形培地上でプレーティングし、この組成は、選択する特質に応じ、例えばLB寒天、または表1に列挙する添加物を含有するLB寒天である。プレートを12時間から数日インキュベーションし、そしてコロニー摘み取り、プラスミド単離、表現型検証および活性ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの性質決定のため、その時点で選択する(以下を参照されたい)。コロニー選択は、コロニーサイズ(増殖率および増殖収率を反映し、増殖率、低温増殖および増殖収率特性に影響を及ぼすポリヌクレオチドを同定するために用いられる)に基づいて、または陽性選択に基づいて、すなわち大多数の形質転換体がプレート上で増殖するのに失敗し、そして増殖するのが、関心対象のランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを含有するもののみである場合(高温、塩または有機溶媒の耐性に影響を及ぼすランダム化融合ポリヌクレオチドを同定するために用いられる)に基づいて行われる。
[00108]固形培地上のスクリーニングは、個々のクローンまたは形質転換体の可視化を可能にするため、より大きいコロニーとして明らかに可視である、迅速な増殖に寄与するランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを発現している形質転換体を同定するために、特に柔軟である。倍加時間の数パーセント程度の小さい相違が、定常期前のコロニーサイズの測定可能な相違を導きうる。例えば、30分間の平均倍加時間の株の12時間の増殖期間は、24回の倍加を可能にし、一方、28.5分間の、5%より迅速な平均倍加時間を持つ株は、25.3回倍加し、コロニーサイズに明らかに反映される、細胞数の2.5倍の相違を導く。こうしたスクリーニングを任意の培地条件で行ってもよく、例えば、致死量以下の量の阻害剤、例えば塩、エタノールまたはブタノールの存在下で、あるいは致死量以下の高温または低温下で、増殖率に関してスクリーニングすることが可能である。
[00109]液体培地中の選択およびスクリーニングは、一般的に、バルク選択として行われる。ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーのコンピテント細胞への形質転換後、形質転換体を、抗生物質を欠く液体培地中であらかじめ、37℃で1時間培養する。次いで、抗生物質およびIPTGを培養に添加して、プラスミドの存在に関して選択し、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現を誘導する。次いで、培養を、抗生物質およびIPTGを含有し、そして適切な場合、表1に列挙するものなどの選択剤を含有する新鮮な培地中、2〜10倍希釈する。細胞に課される選択のタイプに応じて、培養は37℃または選択する温度で、さらに12時間から数日間、増殖することを可能にされる。その時点で、細胞を遠心分離によって採取し、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを含有するプラスミドDNAを、標準的ミニプレッププラスミド単離法を用いて抽出し、次いでプラスミドを新鮮なコンピテント細胞バッチに導入し、そして選択を反復する。形質転換体を、個々の形質転換体の選択を可能にする固形培地上にプレーティングする前に、この方式で、2〜10周期のバッチ選択を行った後、コロニーを摘み取り、プラスミドを単離し、表現型を検証し、そして活性融合ポリヌクレオチドの性質決定をしてもよい(下記参照)。
[00110]生存選択または迅速に分裂している細胞の選択のいずれかとして、液体中の選択を行ってもよい。致死濃度の選択剤(例えば塩、エタノールまたはブタノール)の存在下で、あるいは致死性の高温または低温で、そして特定の期間(一般的に6〜12時間)、生存選択を行う。選択期間後、選択培養を新鮮な非選択性培地中で希釈するか、または温度を37℃に戻して、いかなる生存細胞も正常増殖を再開することを可能にする。上述のように、生存細胞を含有するこの培養を増殖させ、プラスミドを抽出し、そして必要であれば、バッチ選択を反復する。
[00111]あるいは、液体培養中での選択を行って、致死量以下の濃度の選択剤(本実施例では、塩、エタノールまたはブタノール)の存在下で、あるいは致死性でない高温または低温で、迅速な増殖に関して選択する。この場合、選択条件下で維持された、形質転換体の液体培養は、対数中期(一般的に、選択条件の重度に応じて、増殖の6〜24時間)までの増殖を可能にされる。この時点で、培養中の細胞の大部分は、生存していることが期待されるが、培養は、選択条件下で、正常で迅速な増殖が可能である細胞に関して濃縮されている。細胞を遠心分離によってペレットにし、プラスミドを抽出し、そして必要であれば、バッチ選択を反復する。
活性ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのプラスミド単離および表現型検証
[00112]望ましい増殖または許容性表現型を与えるランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを含有するクローンの単離後、個々のコロニーを小規模培養に置き、増殖させ、そしてそこからプラスミドを単離する。これは、小規模培養を含有する個々の試験管(1〜5ml)で、または100〜2000μlの液体培地を含有する96ウェルプレート中で行うことが可能である。標準的プラスミド単離法を用いて、各クローンからプラスミドDNAを抽出する。必要な場合、制限消化ゲル電気泳動によってプラスミドDNAを性質決定して、プラスミド構造およびランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド挿入物の存在を確認する。次いで、候補プラスミドを大腸菌内に再形質転換して、表現型を検証する。再形質転換は、選択に用いたものと同じ細菌株内、または異なる株内で行ってもよい。96ウェルまたは384ウェル形式で、同じ時間および試薬で、再形質転換を行ってもよい。
[00113]次いで、増殖または許容性表現型に関して、再形質転換を試験する。増殖率および増殖収率特性に関して、これは、形質転換体を低細胞密度でプレーティングし、そして対照形質転換体に比較して、生じたコロニーのサイズを観察するか、あるいは液体培養中で、選択条件を伴いまたは伴わず、倍加時間または細胞ペレットサイズを、対照株の増殖率に比較する工程を伴う。耐性表現型(温度、エタノールおよびブタノール)に関して、再スクリーニングは、形質転換体の固形培地上への複製プレーティング(すなわち96ピンツールを用いたプレート上への96ウェルプレートからの複製)および選択条件下での増殖を伴い、各形質転換の増殖の度合いを対照に比較する。あるいは、形質転換を液体培養中の選択条件に曝露した後、非選択固形培地上にピンツールによって複製して、生存コロニーの数に反映される、各培養中の細胞生存の度合いを評価する。
[00114]特定の候補ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを、元来選択していた表現型の授与に関して、または別の表現型に関してのいずれかで、試験してもよい。細胞増殖およびストレス許容性に関連する多様な表現型は、交差反応性でありうる。例えば、温度耐性の授与に関して選択されるランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドはまた、塩耐性等も与えうる。多様な条件下でランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを徹底的に交差試験することによって、多様な非生物ストレス条件下で、細胞増殖を前進させる広範囲の能力を持つランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを発見することが可能である。
[00115]上述のように、この実施例に記載するスクリーニングは、高コピー数のプラスミド、例えばpMB1複製起点を含有するものの使用に基づく。しかし、他のプラスミド系もまたこの研究に適切であり;ここで発見されたポリヌクレオチドの最大複製性のため、他のプラスミド型で試験することが有用である。例えば、F’に基づくプラスミド、例えばpBeloBAC11(Shizuya 1992)を用い、高コピー数プラスミド上で用いられるものと同じプロモーターまたは異なるプロモーターセットを用いて、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを発現させることも可能である。
陽性クローンの性質決定およびさらなるスクリーニング
[00116]最も劇的なまたは広い表現型を与えるランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド発現構築物を配列決定して、活性ポリヌクレオチドを同定する。結果を表にし、そして最適な融合ポリヌクレオチドを将来の研究のために選択する。別個のランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド内に反復して同定される配列を、ORFコレクションの部分として、将来のスクリーニングに用いる。望ましい表現型を与えることが可能なORFを含有することがすでに知られるランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを含有するORFコレクションは、大腸菌に関して上述する全ゲノムORFコレクションよりも小さい可能性もある。
ORFコレクションのサイズを限定すると多くの利点があり、その最も重要なものは、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの生じるライブラリー中に提示される対の組み合わせの数がより小さいことである。より低い複雑性のライブラリーは、より複雑なライブラリーよりも、より迅速にそしてより安価にスクリーニング可能であり、そして可視スクリーニングおよび陽性選択を伴う、上に列挙したものより複雑な表現型に関してスクリーニング可能である。より低い複雑性のライブラリーはまた、(数千の数のORFコレクションから生じる)数千万の配列の組み合わせを含有するライブラリーをスクリーニングすることが現実的でないかまたは妥当に可能ではない可能性もあるが、(数百の数のORFコレクションから生じる)数十万の配列の組み合わせを含有するライブラリーをスクリーニングするために適している可能性もある、より低い形質転換効率を持つ生物における試験も可能にする。
実施例2:サッカロミセス・セレビシエに熱、塩、UVおよびブタノール許容性を与えることが可能なランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの単離
[00117]産生微生物の産物許容性特質は、発酵産物の最大収率および力価に寄与する重要な要因である(Ding 2009、Jia 2009、Dunlop 2011)。微生物が毒性化合物の存在下で耐性を示し、そして増殖し続ける能力は、多数の経路の大きな組の遺伝子に依存しており、遺伝子的に複雑である(Liu 2009、Dunlop 2011)。細菌、シアノバクテリアおよび酵母における産物許容性を操作する、以前の努力は、ある程度の成功を収めてきた(Alper 2006、Tomas 2003、Atsumi 2010、Dunlop 2011a、Liu 2012、Tian 2013)。耐性特質は、生成することが本質的に困難であり、そして生じる耐性株のいくつかは、より低い収率に苦しむ(Baer 1987、Zhao 2003、Atsumi 2010)。これは、問題の複雑さと組み合わされて、そして産物許容性のための解決の経路の必要性を強調し、これらをまず、個々に、そして次いで組み合わせて試験して、細胞増殖および産物力価に対する影響を決定することも可能である。ブタノールは、多くが高い毒性を有し、そして微生物におけるその産生が試みられ、そして最適化されている、中鎖燃料および化学薬品の代表であるため、この例のターゲットとして特徴付けられる(Dunlop 2011、Jang 2012、Lee 2012)。ブタノールは、多くの他の化学薬品の産生のために用いられる化学的原材料である(Mascal 2012)。
配列同定およびPCRプライマー設計:
[00118]サッカロミセス・セレビシエ遺伝子配列の完全コレクションを、酵母ゲノムウェブサイト上で入手可能な酵母株S288Cの参照配列に基づいて生成する。やはり酵母ゲノムウェブページ上で入手可能なこのゲノムの配列注釈は、各遺伝子の開始および停止コドンを同定するために用いられる。
[00119]この特定の注釈は、総数6607のタンパク質コード遺伝子を列挙し、このうち5820が2,598bp以下の長さである。インプット配列として用いる遺伝子の長さは、2502bp、好ましくは2598bpを上限とし、これは、生じるインフレーム融合ポリペプチドまたはタンパク質のPCR増幅成功および正しいフォールディングの可能性を増加させる。予備的分析において、すべての転位性要素遺伝子、シュード遺伝子、注釈に「疑わしい」と示されるORF、および長さ102bp未満、好ましくは長さ90bp未満のORFは、排除される。重複ORFは、ATG開始コドンで始まる最初の24bp、および停止コドンで終わる最後の24bpの同一配列の存在に基づいて排除される。目的が、出来る限り多くの酵母ORFを含める一方で、多数の同一PCRプライマー対の冗長な合成を回避することであるため、内部相同性は重複排除においては考慮されない。
[00120]結果は、PCR増幅用の5,095 ORFの最終コレクションである。この配列コレクションの平均の長さは1146bpであり、そして長さ中央値は1074bpである。これらのORFのサイズ分布を図5に示す。ORFを配列番号1〜配列番号5019に列挙する。
[00121]各端から24bpのコード配列を含めて、各ORFの既知の開始コドンおよび停止コドンに基づいて、PCRプライマーを設計する。酵母ゲノムウェブサイト上で入手可能な酵母株S288Cの注釈に基づいて、コード領域の5’端にATGを欠く、いくつかの酵母ORFに、ATG開始コドンを付加する。2つの異なるプライマーセットを各ORFに関して設計して、1つはORFを融合遺伝子の5’位にクローニングするため、そしてもう一方は3’位に配置するため、2つの異なるPCR産物が生成されるようにする。
[00122]各プライマーは、2つの目的に役立つ5’端の16塩基の保存配列を含有する。まず、過剰な配列は、互いに関して異なるORFの提示にバイアスを掛けることなく、コレクション中のすべてのORFを増幅することが可能な保存されたPCRプライマー配列を用いたORFプールの効率的なPCR増幅を可能にする(Dahl 2005、Myllykangas 2011、Natsoulis 2011)。第二に、これらは発現ベクターに(酵母発現ベクターp426−GAL1の誘導体(Funk 2002)、配列番号25096)に、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・パートナー末端の保存された配列に、相同性を含有し、ベクター中のランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの迅速でそして効率的な相同性依存性組み立てを可能にする(図3を参照されたい)。各ORFの2つのアンプリコンは、停止コドンの存在(ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーの3’位に向けられるORFにのみ存在)および保存された隣接配列の存在のみが異なる。
[00123]融合遺伝子の5’位に向けられるORFのすべての5’PCRプライマーに付加される、保存された配列は、GGATCCAGCTAGCAAA(配列番号25099)である。融合遺伝子の5’位に向けられるORFのすべての3’ PCRプライマーに付加される、保存された配列は、CAGGAGCTGCACTTCC(配列番号25100)である。融合遺伝子の3’位に向けられるORFのすべての5’ PCRプライマーに付加される、保存された配列は、TGGAAGTGGTTCAGGA(配列番号25101)である。融合遺伝子の3’位に向けられるORFのすべての3’ PCRプライマーに付加される、保存された配列は、AATTACATGACTCGAG(配列番号25102)である。
[00124]すべての5’ORFを増幅するために用いられる5’プライマーを、ORFと同じ順序で、配列番号5020から配列番号10038に列挙する。すべての5’ORFを増幅するために用いられる3’プライマーを、ORFと同じ順序で、配列番号10039から配列番号15057に列挙する。すべての3’ORFを増幅するために用いられる5’プライマーを、ORFと同じ順序で、配列番号15058から配列番号20076に列挙する。すべての3’ORFを増幅するために用いられる3’プライマーを、ORFと同じ順序で、配列番号20077から配列番号25095に列挙する。したがって、配列番号1に列挙するORFを、5’位用に増幅する場合には配列番号5020および配列番号10039のプライマーでPCR増幅することが可能であり;3’位用に増幅する場合には、同じORFを配列番号15058および配列番号20077のプライマーでPCR増幅することが可能である。配列番号2に列挙するORFを、5’位用に増幅する場合には配列番号5021および配列番号10040のプライマーでPCR増幅することが可能であり;3’位用に増幅する場合には、同じORFを配列番号15059および配列番号20078のプライマーでPCR増幅することが可能である。配列番号3に列挙するORFを、5’位用に増幅する場合には配列番号5022および配列番号10041のプライマーでPCR増幅することが可能であり;3’位用に増幅する場合には、同じORFを配列番号15060および配列番号20079のプライマーでPCR増幅することが可能である。以下同様である。
[00125]融合遺伝子中の5’位に向けられるORFの3’PCRプライマー中の5’末端16ヌクレオチド、および融合遺伝子中の3’位に向けられるORFの5’PCRプライマー中の5’末端16ヌクレオチドは、2つのORFを分離するリンカー配列の一部を形成する。この60bpリンカー配列(配列番号25103)は、融合遺伝子中の2つのORFを連結する際に他の研究者が用いる配列(Arai 2001、Eldridge 2009、Wang 2010)に大まかに基づく、グリシン、セリンおよびアラニンが豊富な20アミノ酸ペプチド(配列番号25104)をコードする。このリンカー配列は、PCR増幅の第二のまたは保存される段階で完全にコードされ(以下を参照されたい)、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの5’位に向けられるORFの3’端およびランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの3’位に向けられるORFの5’端に、保存されたコード配列の付加を生じる。
[00126]1つは融合遺伝子の5’位そしてもう一方は3’位である、酵母ORFの2つの完全なセットが生成される必要があるため、以下に記載するすべての方法は、2つのORF位に関して、2つ組で行われる。
PCR増幅のためのゲノムDNA:
[00127]選択したサッカロミセス・セレビシエ遺伝子を株S288CからPCR増幅する。この株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ワールドワイドウェブ上、ATCC:エラー。ハイパーリンク参照は有効でない)から入手可能であり、そして関心対象の遺伝子およびポリヌクレオチドを増幅可能である高純度ゲノムDNAの供給源として用いられる。
[00128]高純度ゲノムDNAを生成するため、商業的に入手可能な酵母ゲノムDNA精製キット、例えばZymo Research社YeaStarTMゲノムDNAキットを、さらなるクリーンアップ工程とともに用いて、十分な純度のゲノムDNAを生成する。50ml YPD培地(培地1リットルあたり:20g Difco BactoTMペプトン、10g BactoTM酵母エキスおよび20gグルコース)に、プレートまたは液体培養由来のS288C細胞を接種することによって、S.セレビシエ株S288Cの50ml培養を生成し、そして30℃で振盪しながら2日間増殖させる。細胞を3000gで5分間遠心分離し、そしてキットとともに供給される3.5ml YD消化緩衝液中に再懸濁し;次いで、キットとともに供給される150μlのザイモリアーゼ溶液を添加し、そして細胞懸濁物を混合する。細胞懸濁物を37℃で振盪せずに1.5時間インキュベーションする。次いで、3.5mlのYD溶解緩衝液(およびここ)を添加し、そして溶液を完全に混合する。
[00129]細胞溶解物に7.5mlのクロロホルムを添加し、2分間激しく混合し、そして4000rpmで5分間遠心分離することによって、有機抽出を実行する。上清を新鮮な50ml試験管内に取り除き、そしてZymo Research社YeaStarTMゲノムDNAキットの10のスピンカラムに分配して、QIAGEN(登録商標)QIAvac 24 Plus真空マニホールド内に挿入する。真空を用いて、溶解物をカラムに抜き取り、これを次いで、300μl DNA洗浄緩衝液で2回洗浄する。スピンカラムをマニホールドから取り除き、キャッチ試験管内に挿入し、そして14,000rpmで1分間遠心分離して、残渣エタノールを取り除く。ゲノムDNAを100μl TE緩衝液(10mM Tris pH8.0、0.25mM EDTA)中に溶出させ、そしてすべての溶出物をプールする(〜総量1.0ml)。等体積の25:24:1フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールで1回、そして等体積のクロロホルムで1回抽出することによって、DNA調製物をさらに精製する。1/10体積の3M酢酸ナトリウムpH5.0および2.5体積のエタノールを添加することによって、ゲノムDNAを沈殿させる。試験管を14000rpmで10分間遠心分離し、ペレットを800μlの70%エタノールで1回洗浄し、そして再び5分間遠心分離し;上清を吸引によって取り除き、そしてペレットを200μl TE緩衝液中に溶解する。DNA濃度を分光光度測定で決定し、そしてTE緩衝液を添加することによって、DNA濃度を10ng/μlに調整する。
遺伝子増幅:
[00130]時間および試薬を節約するため、ORFを各26〜27のORFの192プール中でPCR増幅する(192プールx平均26.14 ORF=総数5019 ORF;これは、各27プライマー対を含有する27プール、および各26プライマー対を含有する165プールに対応する)。PCR増幅の効率は、非常にサイズ依存性であるため、そしてPCR伸張時間はアンプリコンのサイズに依存するため、ORFをサイズによってプールにグループ分けする。各多重プールの平均ORFサイズは、表2に以下に示すとおりである。
表2:サッカロミセス・セレビシエ多重ORFプールの平均ORF長
[00131]PCR増幅を3工程で行う:1)遺伝子特異的プライマーを用いた最初の増幅、その後、2)保存されたプライマーを用いた各ORFプールの増大、その後、さらなるプーリング、ゲル上でのサイズ選択、および3)最終長PCR産物を生じる第三の増幅工程。3つの増幅工程は、それぞれ、第一段階、第二段階および第三段階増幅と称される。
[00132]PhusionTMホットスタートII熱安定性高忠実度ポリメラーゼ(Thermo ScientificTM)を用いて、すべてのPCR増幅を行う。5xHF増幅緩衝液とともに酵素を供給し、すべての反応に用いる。増幅は、以下に示すように、20μLまたは50μL反応体積で行う。すべての増幅を、96ウェルブロックを含有するT100サーマルサイクラー(Bio-Rad Laboratories)上で行う。すべての増幅で用いるデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)は、各dNTP 10mMを含有するストックであり、やはりThermo Scientific(登録商標)より得られる。すべての反応に脱イオン水を用い、そしてポリメラーゼとともに供給されないすべての溶液を作るためにも脱イオン水を用いる。
[00133]すべてのPCR増幅は、同じ一般的な方法にしたがう:
[00134]1. PCR反応の各段階のため、以下に記載するようなPCR混合物を調製し、そしてサーマルサイクラーに挿入するまで低温で維持する。
[00135]2. 試料を完全に混合し、そして次いで、4000rpmで1分間遠心分離して、試験管またはプレートウェルの底に反応産物を集める。
[00136]3. プレートまたは試験管をサーマルサイクラー内に挿入する。
第一段階増幅:
[00137]上述のような配列特異的PCRプライマープールを用いて、第一段階増幅を行う。反応あたり2μLの10ng/μLサッカロミセス・セレビシエ株S288CゲノムテンプレートDNAを用いて、20μL総体積中、各増幅を行う。各反応に、100μMストックから2.5μLプライマープールを添加して、12.5μMの最終総プライマー濃度を提供する。各プライマープールは、26または27プライマー対のいずれかを含有し;そして最終の個々のプライマー濃度は、およそ0.23〜0.24μMである。
[00138]第一段階のPCR反応混合物は、20μl総体積中で設定され、そして以下の構成要素から混合される:4μl 5x Phusion(登録商標)HF緩衝剤、0.4μl 10mM dNTP、10.7μl脱イオンHO、2μl 10ng/μl酵母ゲノムテンプレートDNA、2.5μLプライマープール(100μM)、0.4μl PhusionTMホットスタートII熱安定性ポリメラーゼ(2単位/μl)。PCRサイクリング条件は以下の通りである:98℃45秒間の最初の変性、各3工程(98℃10秒間、60℃30秒間および72℃3分間)からなる10周期、72℃3分間の最終伸張工程、およびサーマルサイクラーから試料を取り出すまでの4℃での浸漬。PCR増幅が完了した後、試料をサーマルサイクラーから取り出し、完全に混合し、そして4000rpmで1分間遠心分離して、第一段階増幅産物を提供する。
第二段階増幅:
[00139]第二段階の増幅で用いるプライマーは、第一段階の増幅プライマーの保存された部分に相同性を持つ単一のプライマーである。融合遺伝子中の5’位に向けられるORFを増幅するために用いた第二段階プライマーはPG0085(配列番号25105)およびPG0095(配列番号25106)である。融合遺伝子中の3’位に向けられるORFを増幅するために用いた第二段階プライマーはPG0096(配列番号25107)およびPG0088(配列番号25108)である。第二段階のプライマーは、対の混合物として調製され、各々、等モル量の2つのプライマーを含有し、そして20μMの総プライマー濃度を含有する。上に列挙するように、5’ORFプライマー混合物は、プライマーPG0085およびPG0095を含有し;3’ORFプライマー混合物は、プライマーPG0096およびPG0088を含有する。
[00140]第二段階PCR反応混合物を50μl総体積中にセットアップし、そして以下の構成要素から混合する:10μl 5x Phusion(登録商標)HF緩衝剤、1μl 10mM dNTP、22μl脱イオンHO、10μl第一段階反応産物、6μl第二段階プライマー混合物(20μM)および1μl PhusionTMホットスタートII熱安定性ポリメラーゼ(2単位/μl)。PCRサイクリング条件は以下の通りである:98℃45秒間の最初の変性、各2工程(98℃20秒間および72℃3分間)からなる25周期、72℃3分間の最終伸張工程、およびサーマルサイクラーから取り出すまでの4℃での浸漬。
[00141]PCR増幅が完了した後、試料をサーマルサイクラーから取り出し、完全に混合し、そして4000rpmで1分間遠心分離する。
[00142]試料のより効率的な下流プロセシングを可能にするため、8試料を1つにプールすることによって、192多重PCR試料を24のより大きいプールに統合する。各多重PCR反応中の産物の量をまず定量化して、異なるサイズの断片コレクションの等モルプールを可能にする。これは、各多重反応に対してゲル電気泳動を行い、そして予期されるサイズの各バンド中の蛍光を定量化することによって、あるいはApplied Biosystems(登録商標)3730 DNA分析装置またはQIAGEN(登録商標)QIAxcel(登録商標)装置などのキャピラリー電気泳動によってのいずれかで、行う。各多重プールの平均サイズを考慮に入れ、一緒にプールされて、プールに添加される各産物の等モル量を生じる、各多重PCR反応の相対量を計算するために、各多重反応中の望ましい産物の濃度を用いる。産物をサイズによってグループ分けし、そしてプールして、下流PCR増幅における増幅バイアスを最小限にする。
[00143]192多重反応を、以下のように24のより大きいプールに合わせる。大プール1:多重プール1〜8;大プール2:多重プール9〜16;大プール3:多重プール17〜24;大プール4:多重プール25〜32;大プール5:多重プール33〜40;大プール6:多重プール41〜48;大プール7:多重プール49〜56;大プール8:多重プール57〜64;大プール9:多重プール65〜72;大プール10:多重プール73〜80;大プール11:多重プール81〜88;大プール12:多重プール89〜96;大プール13:多重プール97〜104;大プール14:多重プール105〜112;大プール15:多重プール113〜120;大プール16:多重プール121〜128;大プール17:多重プール129〜136;大プール18:多重プール137〜144;大プール19:多重プール145〜152;大プール20:多重プール153〜160;大プール21:多重プール161〜168;大プール22:多重プール169〜176;大プール23:多重プール177〜184;および大プール24:多重プール185〜192。各大プールの生じた平均ORFサイズ(添加されるプライマー配列を伴わない)を計算する。
[00144]ひとたびプーリングが完了したら、製造者の推奨にしたがって、シリカ樹脂カラムまたはMacherey Nagel NucleoSpin(登録商標)96 PCRクリーンアップキットなどのプレートを用いて、10μgの望ましい産物総量に対応する各ORF大プールの量を精製する。精製PCR産物の溶出後、各試料を完全に混合し、そしてその濃度を分光光度測定で決定する。図7は、48の精製サッカロミセス・セレビシエ5’および3’ORFの、より大きいプール各々を含むアガロースゲルを示す。
[00145]48の大プールから望ましくないサイズの産物およびプライマー二量体を取り除くため、2μgの各プールを1%アガロースゲル上で電気泳動し、そしてエチジウムブロミドで染色し、バンドをUVまたは青い光の下で視覚化し、そしてより大きいプール各々の正しいサイズに対応するゲル断片をゲルから切り出す。ゲル断片の重量を測定し、そして製造者の推奨にしたがって、Macherey Nagel NucleoSpin(登録商標)ゲルおよびPCRクリーンアップキットなどのシリカ樹脂ゲル精製法を用いて、そこからDNAを精製する。精製が完了したら、すべての試料の濃度を分光光度測定で決定し、そして精製第二段階大プール増幅産物各々の濃度を、第三段階増幅のため、10ng/μLに調整する。
第三段階増幅:
[00146]第三段階増幅は、各PCR産物に最終配列を付加して、末端相同性によって効率的な組み立てを可能にし、そして各大プールの量を増加させる。第三段階の増幅で用いるプライマーは、第一段階および第二段階の増幅プライマーの保存された部分に相同性を持つ単一のプライマーである。融合遺伝子中の5’位に向けられるORFを増幅するために用いた第三段階プライマーはPG0055(配列番号25109)およびPG0003(配列番号25110)である。融合遺伝子中の3’位に向けられるORFを増幅するために用いた第三段階プライマーはPG0004(配列番号25111)およびPG0006(配列番号25112)である。第三段階のプライマーは、対の混合物として調製され、各々、等モル量の2つのプライマーを含有し、そして20μMの総プライマー濃度を含有する。上に列挙するように、5’ORFプライマー混合物は、プライマーPG0055およびPG0003を含有し、一方、3’ORFプライマー混合物は、プライマーPG0004およびPG0006を含有する。
[00147]第三段階PCR反応混合物を50μl総体積中にセットアップし、そして以下の構成要素から混合する:10μl 5x Phusion(登録商標)HF緩衝剤、1μl 10mM dNTP、22μl脱イオンHO、10μlゲル精製したプール第二段階反応産物(10ng/μl)、6μl第三段階プライマー混合物(20μM)および1μl Phusion(登録商標)ホットスタートII熱安定性ポリメラーゼ(2単位/μl)。PCRサイクリング条件は以下の通りである:98℃45秒間の最初の変性、各2工程(98℃20秒間および72℃3分間)からなる25周期、72℃3分間の最終伸張工程、およびサーマルサイクラーから取り出すまでの4℃での浸漬。
[00148]第三段階増幅が完了した後、試料を完全に混合し、遠心分離し、そして製造者の推奨にしたがって、Macherey Nagel NucleoSpin(登録商標)96 PCRクリーンアップキットなどのシリカ樹脂精製を用いて、精製する。溶出後、各試料を完全に混合し、そしてその濃度を分光光度で測定する。
[00149]より効率的な下流プロセシングのため、次いで、4つの最小の大プールを1つのスーパープールに合わせ、そして5つの大プールの続くセットを合わせて、さらなるスーパープールを形成することによって、24の大プールを5つの「スーパープール」に統合する。各スーパープールに添加される各大プールの相対量は、第三段階増幅および精製後の各大プールの最終濃度、ならびに各大プールの最終平均サイズ(プライマーによって付加される配列を含む)と、等モル量の各大プールを各スーパープールに添加する目的とを考慮することによって、計算される。表3は、大プールおよびスーパープール各々におけるORFの平均サイズを列挙する。ORFサイズは、純粋ORFサイズおよびPCR増幅中にプライマーによって付加される配列を含む最終PCR断片サイズの両方として提供される。
表3:サッカロミセス・セレビシエORF大プールおよびスーパープールにおける平均ORFサイズ
[00150]例えばハイスループットIllumina(登録商標)またはIon Torrent(登録商標)配列決定系を用いた多重化短区画読み取り配列決定によって、PCR産物の増幅プールを分析して、各増幅反応中のORFの相対存在量を決定する。
[00151]この特定の例において、第一段階および第二段階多重PCR増幅から生じる個々のORFの相対量を決定するため、総数418 ORFを含む16の多重プール(プール番号8、17、28、41、56、70、86、101、113、125、136、146、156、164、171、178)に対して3’ORFの試験増幅を行い、そして総数419 ORFを含む16の多重プール(プール番号7、16、27、40、55、69、85、100、112、124、135、145、155、163、170、177)に対して、5’ORFの試験増幅を行った。16の多重プールの各群の第二段階増幅産物を上記のように調製し、そして合わせて、そしてIon TorrentTM Ion 318TMチップを用いて配列決定した。CLCゲノムワークベンチ配列分析ソフトウェア(CLC Bio(登録商標))を用いて、これらのプールにおけるターゲットORF配列に、16の多重プールの各組み合わせから得られる配列を整列させることによって、結果を分析した。3’ORF多重プールにおいて、395/418(94%)のORFが少なくとも単一の配列反応によって検出され、そして非常に少数の読み取り値によって含まれる外れ値を排除した後、374/418 ORF(89%)が、妥当なレベルで提示された。5’ORF多重プールにおいて、405/419(97%)のORFが少なくとも単一の配列反応によって検出され、そして非常に少数の読み取り値によって含まれる外れ値を排除した後、386/419 ORF(92%)が、妥当なレベルで提示された。多重化PCR戦略から予期されるように、各プール中の個々のORFの提示は変動し:3’ORF多重プール間の平均標準偏差は平均読み取り値の75%であり、そしてこの数値は、外れ値を排除すると62%に低下した。5’ORF多重プール間の平均標準偏差は平均読み取り値の69%であり、そして5’ORF間で、この数値は、外れ値を排除すると60%に低下した。これらの結果は、各試料内の高い割合のORFの多重化増幅成功を示し、これらのORFコレクションから作製される融合遺伝子ライブラリー中のORFの対応する高い割合の提示を確実にする。
ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリー構築
[00152]酵母中心体発現プラスミドp416−GAL1(Funk 2002)を、すべてのランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・クローニングおよび発現研究に用いる。このプラスミド発現ベクターは、GAL1ガラクトース誘導性プロモーターを用いて、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現を指示する。全発現ベクター(5538bp)を、PCRプライマーPG0089(配列番号25113)およびPG0090(配列番号25114)を用いてPCRによって増幅する。増幅された直鎖ベクターを以下に記載するように、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの複雑なライブラリーをクローニングするために用いる。あるいは、2つの別個の断片;プライマーPG0089(配列番号25113)+PG0097(配列番号25115)で増幅される4295bpの第一の断片、およびプライマーPG0090(配列番号25114)+PG0098(配列番号25116)で増幅される1626bpの第二の断片として、ベクターを増幅する。これらの2つの断片は、ベクター配列中に存在するURA3遺伝子内の383bpの末端相同性を共有する。2つのベクター断片を使用すると、単一のベクター断片とは異なり、ベクターのみで得られるコロニーのバックグラウンドを低下させる利点がある可能性があり、そしてより高い率の融合遺伝子組み立てを生じることも可能である。
[00153]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリー構築工程の効率はまた、挿入物サイズに依存すると予期されるため、配列は、長さに基づいて分離され続ける、表3を参照されたい。インフレーム融合遺伝子のランダム化ライブラリーの組み立てのため、各5’スーパープール中のORFを、各3’スーパープール中のORFと、総数25のスーパープール組み立てのために組み合わせる。ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリー組み立て工程中で形成される25のライブラリーに関して予期される平均挿入物サイズは、表3に示すスーパープール各々の平均アンプリコンサイズの合計である。
[00154]2つのORFの発現ベクター分子内への一工程組み立ては、各断片の5’および3’端に位置し、そして図3に示す環状の組み立てられた産物の構造を特定する、保存された/相同配列によって指示される。こうした相同性依存性組み立て(Lobban 1973)を達成するために使用可能な多数の方法が存在し、融合内クローニング(Zhu 2007、Irwin 2012)、配列および連結独立性クローニング(SLIC、Li 2007、Li 2012)、迅速クローニング(Li 2011)、環状ポリメラーゼ伸張クローニング(Quan 2009、Quan 2011)、ギブソン組み立て法(Gibson 2009、Gibson 2010)、迅速およびクリーンクローニング(Thieme 2011)、酵母における直接組み立て(Ma 1987、Degryse 1995、Raymond 1999、Raymond 2002、Shao 2009、Wingler 2011、Eckert 2012、Kuijpers 2013)およびその他(Vroom 2008)が含まれる。
[00155]この特定の例において、2つの異なる組み立て法を用いる:酵母における直接組み立て(Kuijpers 2013)および相同性依存性in vitro組み立て法の修飾法(Gibson 2010、Li 2012)。
ライブラリー組み立ておよび大腸菌におけるクローニング
[00156]in vitroで、5つの5’および5つの3’ORFスーパープールの各組み合わせを用いて、総数25の組み立て反応に関して、ライブラリー組み立てを行う。各反応において、150fmolの5’ORFスーパープールDNAおよび150fmolの3’ORFスーパープールDNA(平均サイズに基づくモル濃度、表3を参照されたい)を、75fmolのPCR増幅単一断片ベクターDNA(5538bp)と合わせる。DNA混合物の体積を10μlに調整し、これに10μlの組み立て混合物(200mM Tris pH8.0、20mM MgCl、各0.4mMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、20mMジチオスレイトール、2mMニコチンアミドアデニン二ヌクレオチド、0.02単位/μl T5エキソヌクレアーゼ、0.05単位/μl PHUSION熱安定性DNAポリメラーゼ、0.4単位/μl Taqリガーゼ)を添加する。反応を穏やかに混合し、そして50℃で1〜2時間インキュベーションする。次いで、反応を氷上に維持するか、または大腸菌形質転換に使用する前に凍結する。
[00157]1μlの組み立て反応と25μlのエレクトロコンピテントDH10B細胞(Life Technologies社)またはEC100細胞(Epicentre Technologies)を氷上で混合することによって、エレクトロポレーションによって組み立て反応を大腸菌に形質転換する。次いで、細胞/DNA混合物を1mmギャップ幅エレクトロポレーション・キュベット内に移し、そしてBio-Rad Micropulserエレクトロポレーターを用いて、1.5kVでエレクトロポレーションする。細胞を1ml LBブロス中に再懸濁し、10ml培養試験管中、℃で1時間、250rpmで振盪しながら培養し、そして50〜100μg/μlカルベニシリンを含有するLB寒天上にプレーティングする。組み立て反応を、エタノールでのDNA沈殿によって、または微小透析によって、または製造者の推奨にしたがってBio-Rad Micro Bio-Spin P6ゲルカラムを通じて遠心分離することによってのいずれかで、組み立て反応を脱塩することによって、形質転換効率を改善することも可能である。
[00158]5’スーパープールSP−3と3’スーパープールSP−3およびp416−GAL1ベクター(配列番号25096)の組み立て由来の20のランダムクローンを摘み取り、そして配列決定することによって、この組み立て法の品質を評価した。20のクローンのうち、12がインフレームで融合した全長5’および3’ORFを示し、すべてのクローニング接合部は完全であり、そして完全なリンカー配列によって分離されており、いずれのORFも1回より多くは見られなかった。残りの8つのクローンは、損なわれていない5’または3’ORFのいずれかを含有したが、第二のORF内に、再編成、フレームシフトまたは未知の配列を示した。これらの結果によって、in vitro組み立て後の大腸菌におけるクローニングは、インフレームで融合したランダムORFからなる融合遺伝子で実質的に構成されるライブラリーを産生可能であることを示す。
[00159]小体積の形質転換混合物をプレーティングし、そして翌日コロニーを計数することによって、パイロットエレクトロポレーションにおいて、各組み立て反応の形質転換効率を試験する。次いで、エレクトロポレーションをスケールアップして、ORFプール組み合わせあたり100万またはそれより多いライブラリークローンの生成を可能にする。大腸菌において、S.セレビシエ機能生成ライブラリーをクローニングする際は、各ORFスーパープール組み合わせに関して、総数5回のエレクトロポレーションを行って、6500万クローンを超える総ライブラリー複雑性に関して、表4に列挙するクローン数を生じた。
表4:in vitro組み立て機能生成ライブラリーの大腸菌クローニング
[00160]エレクトロポレーション後、表4に列挙する各ORFスーパープール組み合わせを250rpmで振盪しながら37℃で1時間回復させて、そして次いで、軟ゲル中のライブラリー増幅のため、0.3%超低融点アガロース(Lonza SeaPrepアガロース)を含有する500ml LBブロス中に細胞を希釈する(Elsaesser 2004)。各ORFスーパープール組み合わせのための500ml細胞懸濁物を、3枚の2.5cm深型15cmペトリプレートに分配し、そして4℃で1時間インキュベーションして、アガロースが半固形ゲルを形成することを可能にする。次いで、プレートを37℃にトランスファーし、そして16時間増殖させる。次いで、10,000gで30分間遠心分離することによって、細胞を採取する。Machery Nagel NucleoSpin 96プラスミド精製キット(Clontech)に用いる12ml再懸濁緩衝液A1に、各細胞ペレットを再懸濁する。各ORFスーパープール組み合わせに関して、次いで、製造者の推奨にしたがって、キットを用いて0.25mlの細胞懸濁物をプロセシングする。残った細胞を将来の使用のため、−80℃で凍結する。
[00161]溶出後、分光光度測定によって、プラスミドDNAを定量化する。ライブラリー品質をチェックするため、各スーパープール組み合わせ由来の1μgのDNAを、完全に組み立てられた融合遺伝子ベクター中、5’ORFの上流、2つのORF間、および3’ORFの3’で切断する制限酵素であるNheI、PflMIおよびXhoIで消化して、こうしてプロセスにおいて、両方の融合遺伝子を切除する。図8は、25のORFの組み合わせのうち23に関するこの消化の結果を示す。
[00162]酵母を形質転換するため、in vitro組み立ておよび大腸菌クローニングライブラリーのいずれかを、別個のスーパープールの組み合わせとして、またはすべての組み合わせが混合された単一プールとして、形質転換することも可能である。最終融合遺伝子プラスミドのサイズは、ベクターDNA(5538bp)によって優先的に占められているため、異なるスーパープール間のサイズ相違は、個々のORFで実施するより少ないサイズバイアスを生じ、そしてその結果、すべてのスーパープールの組み合わせを、酵母形質転換のための単一試料にプールすることが安全である。
[00163]上述のいずれかの組み立て法での形質転換によって生成された酵母形質転換体が、インフレームで融合されたランダムORFからなる融合遺伝子を含有することを検証するため、酵母形質転換体に含有されるプラスミドを大腸菌内にレスキューし(Ward 1990、および以下に記載する通り)、そしてこれらのプラスミドの挿入物を配列決定して、構造を確認することによって、in vitroで生成され、そして大腸菌においてクローニングされたランダム化インフレーム融合遺伝子ライブラリーで形質転換された11のランダム酵母クローン、ならびに酵母における組み立てのため、別個の5’および3’ORFプールおよびベクター断片で形質転換された10のランダム酵母クローンをさらに分析した。この分析の結果によって、in vitroで生成され、そして大腸菌においてクローニングされたランダム化インフレーム融合遺伝子ライブラリーでの形質転換によって生成され、そして大腸菌においてクローニングされた11の酵母クローンのうち4つ、ならびに酵母における組み立てのため、別個の5’および3’ORFプールおよびベクター断片での形質転換によって生成された10の酵母クローンのうち6つが、インフレームで融合され、そして損なわれていないリンカー配列によって分離された2つの損なわれていない全長酵母ORFを含有する融合遺伝子を含有することが確認された。残りのクローンは、いずれかの組み立て法を用いた際に、ある程度の頻度で生じるようである、未知の起源の一部切除5’ORF、ならびに損なわれていない、そして全長のリンカー配列および3’ORFを含有した。これらの21クローンにおいて観察されるORFのいずれも、1回より多くは現れなかった。これらの結果は、上述のどちらの組み立て法も、インフレームで融合したランダムORFの対からなる融合遺伝子を含有する酵母形質転換体をかなりの比率で生じることを確認する。
酵母におけるライブラリー組み立ておよび酵母へのライブラリー形質転換
[00164]酵母株BY4741(mat a his 3D1 leu2D0 met15D0 ura3D0)をすべての形質転換およびスクリーニングに用いる(Brachmann 1998)。酵母における融合遺伝子ライブラリーの組み立てを達成するため、この酵母株を別個に各々25の組み合わせの5’および3’ORFスーパープールで形質転換する。各形質転換において、200fmolの5’ORFスーパープールを、200fmolの3’ORFスーパープールと、そして100fmolの単一ベクターPCR断片(5538bp)または上述のようにURA3遺伝子内で重複する各100fmolの2つのベクター断片(4295および1626bp)のいずれかと組み合わせる。酵母内への形質転換前に、各25の組み合わせをあらかじめ混合する。こうした形質転換は、典型的には、以下に記載するように、形質転換あたり、4000〜5000コロニーの酵母を生じ、このうち>90%がp416−GAL1ベクター内で正しく組み立てられた融合遺伝子を含有する。大腸菌において、すでにクローニングされ、そして拡大されたライブラリーでの形質転換のため、以下に要約する形質転換法は、クローニングされたプラスミドライブラリーDNAのマイクログラムあたり、約250,000〜300,000形質転換体を生じる。2つのアプローチ各々(in vitro組み立ておよび大腸菌におけるライブラリークローニング対酵母の形質転換によるライブラリーの組み立て)は、異なる配列バイアスを生じると予期される(すなわち、あるORFが他のもののに比較して、クローンまたは形質転換体のコレクション内に優先して取り込まれる)ため、特定の表現型に関してスクリーニングする際、両方の方法を使用することが好適である。にもかかわらず、in vitroで組み立てられそして大腸菌にクローニングされたライブラリーの酵母の形質転換効率は、50〜60倍高いため、非常に多数の形質転換体を生成するためには、この方法が好ましい。
[00165]酵母形質転換体は、酢酸リチウム−熱ショック法によって行われる(Gietz 2002、Gietz 2006、Gietz 2007)。プレートまたは一晩培養からの酵母株BY4741(Brachmann 1998)を50mlのYPD培地(1リットルあたり、20g Bactoペプトン、10g Bacto酵母エキスおよび20gグルコース)に、30℃で225rpmの振盪装置上、出発密度5x10細胞/ml〜2x10細胞/mlで、接種する。3000gで5分間遠心分離することによって細胞を採取し、次いで細胞を25mlの無菌脱イオン水に再懸濁し、再び遠心分離し、1mlの無菌水中に再懸濁し、1.5mlの微量遠心管に移し、3000rpmで30秒間遠心分離し、そして上清を吸引する。次いで、細胞ペレットを0.4mlの無菌脱イオン水中に再懸濁した。細胞懸濁物を3.26mlの形質転換混合物(2.4mlの50%w/v PEG3350、360μl 1M酢酸リチウムおよび500μl 10mg/mlの剪断煮沸したサケ精子DNA)と合わせ、そしてよく混合する。DNAのアリコット(100ng〜1μg)を別個の1.5ml微量遠心管にピペッティングし、そして360μlの形質転換緩衝液中の細胞懸濁物と組み合わせる。細胞/DNA混合物を徹底的に混合し、そして振盪装置上、42℃、250rpmで40分間、インキュベーションする。次いで、形質転換体を3000rpmで1分間、微量遠心管中で遠心分離し、上清を吸引し、そして各細胞アリコットを0.5〜1mlの無菌脱イオン水中に再懸濁する。コロニーの望ましい密度に応じて、10μl〜1mlの細胞懸濁物を、無菌4mmガラスビーズを用いて、炭素供給源としてグルコースを含有する合成完全ウラシルドロップアウト培地(1Lに関しては、6.7g酵母窒素塩基、0.77gウラシルドロップアウト混合物、15g Bacto寒天、pHを5.6〜5.8に調整する120μl 10N NaOH、および20gグルコース)、炭素供給源としてガラクトースを含有する合成完全ウラシルドロップアウト培地(1Lに関しては、6.7g酵母窒素塩基、0.77gウラシルドロップアウト混合物、pHを5.6〜5.8に調整する120μl 10N NaOH、15g Bacto寒天、およびオートクレーブ後に添加される100ml無菌濾過20%ガラクトース)を含有する10cmまたは15cmプレート上にプレーティングする。プレートをベンチトップ上で開放して、液体が乾燥することを可能にし、そして次いで、蓋をし、そして30℃で、または選択的温度で数日間、インキュベーションする。
[00166]5019 ORFのランダムの対の組み立てから生じる配列組み合わせのありうる総数は、この数値の平方=2520万である。典型的には、スクリーニングプロジェクトの目的は、(DNAプール内に等しい配列の提示があると仮定して)各々の組み合わせが形質転換体間で示される>90%の可能性を有するライブラリー複雑性の3倍より多いクローンをスクリーニングすることである。本発明者らの場合、これは、ほぼ7400万の形質転換体に相当し、酵母においては、DNAのμgあたり10形質転換体に近づく形質転換効率と仮定することが可能であり、これは特定の株に関していくつかのプロトコル最適化でルーチンに達成可能であり(Gietz 2007)、特に、in vitroで組み立てられそして大腸菌にクローニングされているライブラリを用いた際に達成可能である。
熱および塩許容性を与える融合遺伝子に関するスクリーニング
[00167]形質転換後、細胞を5000rpmで1分間遠心分離し、そして上清を吸引する。ペレットを、炭素供給源としてグルコースを含有する1ml合成完全培地(1Lに関しては、6.7g酵母窒素塩基、0.77gウラシルドロップアウト混合物、pHを5.6〜5.8に調整する120μl 10N NaOH、および20gグルコース)中に再懸濁し、そして各形質転換を30℃で2〜3時間、250rpmの振盪装置上で培養した後、細胞を遠心分離し、1ml無菌脱イオン水中に再懸濁し、そして適切な選択培地上でプレーティングする。
[00168]熱選択のため、細胞を、炭素供給源としてガラクトースを含有する合成完全培地ウラシルドロップアウト培地(1Lに関しては、6.7g酵母窒素塩基、0.77gウラシルドロップアウト混合物、pHを5.6〜5.8に調整する120μl 10N NaOH、15g Bacto寒天、およびオートクレーブ後に添加される、100ml無菌濾過20%ガラクトース)上にプレーティングする。10〜15の4mm無菌ガラスビーズを用いて、細胞をプレート上に広げる。プレートを開放したまま放置して乾燥させ、そして30℃で24時間インキュベーションし、その後、40℃で4日間インキュベーションする。高温に抵抗することが可能な個々のコロニーは、プレーティング5日後に可視である。
[00169]塩選択のため、細胞を回転振盪装置上、30℃で1.5時間置き、そして次いで、炭素供給源としてガラクトースを含み、そして1M NaClを含有する合成完全ウラシルドロップアウト培地(1Lに関しては、6.7g酵母窒素塩基、0.77gウラシルドロップアウト混合物、pHを5.6〜5.8に調整する120μl 10N NaOH、15g Bacto寒天、58.44g NaClおよびオートクレーブ後に添加される100ml無菌濾過20%ガラクトース)上にプレーティングする。10〜15の4mm無菌ガラスビーズを用いて、細胞をプレート上に広げる。プレートを開放したまま放置して乾燥させ、そして30℃で5日間インキュベーションする。高温に抵抗することが可能な個々のコロニーは、プレーティング5日後に可視である。
[00170]選択的増殖条件下で生じるコロニーを摘み取り、そして炭素供給源としてグルコースを含有する合成完全ウラシルドロップアウト培地(1Lに関しては、6.7g酵母窒素塩基、0.77gウラシルドロップアウト混合物、15g Bacto寒天、pHを5.6〜5.8に調整する120μl 10N NaOH、および20gグルコース)上に再ストリークする。30℃で数日増殖させた後、増殖を示すクローンを、炭素供給源としてグルコースを含有する1ml合成完全ウラシルドロップアウト液体培地(1Lに関しては、6.7g酵母窒素塩基、0.77gウラシルドロップアウト混合物、pHを5.6〜5.8に調整する120μl 10N NaOH、および20gグルコース)内、深型ウェル96ウェルプレート中に摘み取り、そして振盪装置上、800rpm、30℃で2日間増殖させる。次いで、ベンチトップ遠心分離装置中、細胞を4000rpm5分間の遠心分離によってペレットにし、上清をこぼし、そして製造者の指示にしたがって、商業的キット(例えばZymo ResearchのZymoprep酵母プラスミドミニプレップキット)を用いて、酵母プラスミドDNAを精製する。2μlのDNAと20μlのエレクトロコンピテント細胞を氷上で合わせ、1mmギャップサイズ・エレクトロポレーション・キュベット内に移し、そしてBio-Rad MicroPulserエレクトロポレーターを用いて、1.5kVでエレクトロポレーションし、細胞を0.5ml LBブロス中に再懸濁し、振盪装置上、37℃で1時間、細胞を回復させ、そして50μg/mlカルベニシリンを含むLB寒天培地を含有する10cmプレート上に形質転換細胞0.2mlアリコットをプレーティングすることによって、大腸菌のDH10B細胞(Life Technologies)またはEC100細胞(Epicentre Technologies)株内に、再懸濁DNAを導入する。
[00171]プレート上に現れてきた細菌コロニーを摘み取り、各酵母クローンに関して2つのコロニーをDNA単離に用い、そして標準法(Sambrook 1989)を用いて、これらからプラスミドDNAを調製する。プラスミドDNAを5’ORFの5’(NheI)、3’ORFの3’(XhoI)で、そして2つのORFの間(PflM1)で切断する制限酵素で消化して、レスキューされたプラスミドが融合タンパク質を含有することを検証する。
[00172]クローニングされたプラスミドDNAを、上述のような酢酸リチウム−熱ショック形質転換(Gietz 2006)によって酵母内に再導入し、形質転換から生じる個々のコロニーを摘み取り、脱イオン水に懸濁し、そして5μlアリコットを、炭素供給源としてガラクトースを含む合成完全ウラシルドロップアウト混合物上に、または炭素供給源としてガラクトースを含有するYPGalリッチ培地(1リットルあたり、20g Bactoペプトン、10g Bacto酵母エキスおよび20gガラクトース)上に、連続10倍希釈でスポットし、そして40℃でインキュベーションして熱許容性を検証するか、あるいは炭素供給源としてガラクトースを含み、そして1M NaClを含有する同じ培地上に連続10倍希釈でスポットして、そして30℃でインキュベーションして塩許容性を検証する。候補融合遺伝子構築物で形質転換した酵母クローンを、p416−GAL1空ベクターでの形質転換体に、選択条件下で、増殖に関して比較して、融合遺伝子構築物の活性を確立する。
[00173]熱許容性(40℃で増殖する能力)に関するスクリーニングから単離された融合遺伝子の例を図9に列挙し、そしてこれらのクローンで形質転換された酵母細胞が、上昇した温度で増殖する能力を図10に示す。図10に示すプレート上にスポットした細胞は、図9に列挙する融合遺伝子クローンでの株BY4741の再形質転換体に相当し、そして熱許容性を与える能力を確認する。
ブタノール許容性表現型を与える融合遺伝子に関するスクリーニング:
[00174]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを含有するプールしたライブラリーを酵母の実験室株内に形質転換し、そして次いで、プラスミドの存在に関して選択し、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドにコードされるランダム化インフレーム融合ポリペプチドの発現が誘導される条件下で、増殖させる。4つの異なるアプローチを用いて、ブタノール許容性形質転換体に関して選択するかまたはスクリーニングする。これらのうちの2つは、生存選択を伴い、致死濃度のブタノールを用いて、アルコールで生き延びる能力を持つ細胞を単離する。他の2つのアプローチは、ブタノールの致死量以下の濃度の存在下で改善された増殖特性を持つ細胞を単離することを目的とする。選択に際して、2回の生存選択および2回の増殖許容性選択の各々は、固形培地上の増殖および選択を伴い、一方、もう一方は、液体培地中での増殖後、固形培地上の選択またはスクリーニングを用いる。3つの選択およびスクリーニング・アプローチを、公表された情報に基づくブタノール濃度範囲とともに、表5に要約する(Knoshaug 2008)。
[00175]4つの選択スキームには、各選択のための最適なブタノール濃度に到達するため、後にバルク酵母形質転換体とともに用いる正確なプレーティングまたは培養条件および細胞密度のもとでの、注意深い力価決定が先行する。キャリアーDNAと組み合わせ、そしてそのほかは実際の形質転換におけるように処理した偽形質転換を、これらの力価決定実験に用いる。注意深く制御された一定の条件下で、すべての培養を30℃で増殖させて、選択における均一性を維持する。
[00176]固形培地上での生存選択のため、特定の最適増殖密度で酵母培養を再採取し、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーDNAで形質転換した。形質転換培養を形質転換後2時間、ガラクトースを含有する液体培養中、ウラシルドロップアウト培地中で増殖させて、細胞が形質転換ショックから回復し、そしてコードされるランダム化インフレーム融合ポリペプチドの発現を誘導し始めることを可能にする。次いで、細胞密度を決定し、そして一定の細胞密度で、そしてセントロメア・プラスミドの存在に関して選択するために用いる、特定の栄養素を欠き、そしてガラクトースおよびブタノールを含有する、固形最少培地を含有する15cmの選択プレートあたりおよそ50,000形質転換体の予期されるコロニー密度でプレーティングする。形質転換の小規模アリコットを、対照として、同じ培地であるが、ブタノールを欠くプレート上にプレーティングする。プレートを密封し、そして生存コロニーが可視になるまで30℃でインキュベーションする。
[00177]あるいは、酵母細胞を上記と同じ方式で、融合遺伝子ライブラリーDNAで形質転換する。細胞を、炭素供給源としてグルコースを含有する合成完全ウラシルドロップアウト培地(1Lに関しては、6.7g酵母窒素塩基、0.77gウラシルドロップアウト混合物、15g Bacto寒天、pHを5.6〜5.8に調整する120μl 10N NaOH、および20gグルコース)上にプレーティングし、そして形質転換されたコロニーが可視になるまで、30℃でインキュベーションする。次いで、掻き取ることによって、またはプレートの上部に添加される液体中で、コロニーを懸濁するためのガラスビーズを用いることによって、細胞をプレートから取り除く。細胞を0.1のOD600まで希釈し、そして炭素供給源としてラフィノースを含有する液体合成完全ウラシルドロップアウト培地(1Lに関して、6.7g酵母窒素塩基、0.77gウラシルドロップアウト混合物、pHを5.6〜5.8に調整するための120μl 10N NaOH、および20gラフィノース)中で4時間増殖させて、細胞が残りのグルコースを代謝し、そしてGAL1プロモーターの異化抑制を取り除くことを可能にする。次いで、炭素供給源としてガラクトースを含有するYPGalリッチ培地内に、細胞を再びOD600=0.1の密度に希釈して、そして振盪装置上、30℃で2時間増殖させて、GAL1プロモーターを通じた融合遺伝子の発現を誘導する。血球計算板で計数することによって、生じた懸濁物の細胞密度を決定し、そして15cmプレートあたり2.5x10細胞の密度で(平方cmあたりおよそ150,000細胞)、2〜3%ブタノールを含有するYPGal寒天培地上にプレーティングし、2%は致死量以下であり、そして3%は致死量である。プレートを30℃で4〜10日間インキュベーションし、そして次いで、コロニーに関して(プレート中で致死濃度のブタノールを用いた場合)、またはバックグラウンドより大きいコロニーに関して(プレート中で致死量未満のブタノールを用いた場合)、調べる。
[00178]固形培地上のスクリーニングは、個々のクローンまたは形質転換体の可視化を可能にするため、より大きいコロニーとして明らかに可視である、迅速な増殖に寄与する遺伝子を発現している形質転換体を同定するために、特に有用である。倍加時間の数パーセント程度の小さい相違が、コロニーサイズの測定可能な相違を導きうる。例えば、2時間の平均倍加時間の株の48時間増殖期間は、24回の倍加を可能にし、一方、114分間の、5%より迅速な平均倍加時間を持つ株は、25.3回倍加し、コロニーサイズに明らかに反映される、細胞数の2.5倍の相違を導く。したがって、致死量以下の濃度のブタノールを含有する固形培地上でのプレーティングは、ブタノールの存在下で増殖利点を有する形質転換体の同定を可能にし、ブタノール許容性の指標となる。こうしたスクリーニングは、エタノール許容性に寄与する遺伝子の単離のため、他の研究者によって用いられてきている(Hong 2010)。
[00179]液体培地中の耐性選択のため、酵母培養を上述と同じ方式で、融合遺伝子ライブラリーDNAで形質転換する。細胞を、炭素供給源としてグルコースを含有する合成完全ウラシルドロップアウト培地(1Lに関しては、6.7g酵母窒素塩基、0.77gウラシルドロップアウト混合物、20g Bacto寒天、pHを5.6〜5.8に調整する120μl 10N NaOH、および20gグルコース)上にプレーティングし、そして形質転換されたコロニーが可視になるまで、30℃でインキュベーションする。掻き取ることによって、またはプレートの上部に添加される液体中で、コロニーを懸濁するためのガラスビーズを用いることによって、細胞をプレートから取り除き、そして次いで、0.1のOD600まで希釈し、そして炭素供給源としてラフィノースを含有する液体合成完全ウラシルドロップアウト培地(1Lに関して、6.7g酵母窒素塩基、0.77gウラシルドロップアウト混合物、pHを5.6〜5.8に調整するための120μl 10N NaOH、および20gラフィノース)中で4時間増殖させて、細胞が残りのグルコースを代謝し、そしてGAL1プロモーターの異化抑制を取り除くことを可能にする。次いで、炭素供給源としてガラクトースを含有するYPGalリッチ培地内に、細胞を再びOD600=0.1の密度に希釈して、そして振盪装置上、30℃で2時間増殖させて、GAL1プロモーターを通じた融合遺伝子の発現を誘導する。次いで、ブタノールを培養に3%まで添加し、培養に蓋をして蒸発を防止し、そしてさらに2〜7日間、穏やかに振盪しながら30℃で増殖させる。次いで、選択期間の終了時に残った細胞を回転して落とし、そして大腸菌内へのクローニングのため、プラスミドDNAを単離し、そして酵母内に再度形質転換し、そして別の選択周期を行うか、あるいは炭素供給源としてグルコースを含有する合成完全ウラシルドロップアウト混培地上に細胞をプレーティングして、生存細胞を単離する。
[00180]選択プレート上に生じるコロニーを摘み取るか、または液体培地中の選択を生き延びる酵母細胞プールを遠心分離によって収集し、必要であれば選択培地中で拡大し、そしてプラスミド抽出および大腸菌におけるプラスミド増加に用いる。2つの大腸菌コロニーを各酵母形質転換体に関して摘み取り、そして液体選択から20の大腸菌コロニーを生存酵母細胞の各プールに関して摘み取り、DNAを単離し、そして制限消化によってチェックする。次いで、表現型確認のため、プラスミドDNAを酵母に再導入する。
[00181]単純化するため、96ウェル形式で行う2つの標準的ブタノール許容性アッセイを用いて、すべてのプラスミドをチェックする。2つのアッセイは、液体培養中で、それぞれ、致死および致死量以下の濃度のブタノールを用いる。致死条件下での培養期間後、または致死量以下の条件下での増殖の数継代後、培養を連続希釈し、そして固形培地上で複製プレーティングして、生存細胞の密度を評価する。これらのアッセイによって、必要な対照を用いたすべての単離プラスミドの迅速でそして均質な試験が可能になり、そしてブタノールの存在下で、生存または増殖利点を与えるランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの迅速な検証が可能になる。
陽性クローンの性質決定
[00182]最も劇的であるかまたは広い表現型を与えるランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド発現構築物を配列決定して、活性遺伝子を同定する。結果を表にして、そして最適なランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを将来の研究のために選択する。別個のランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド内に反復して同定される配列を、将来のスクリーニングに用いるか、またはORFコレクションの部分として用いる。望ましい表現型を与えることがすでに知られるORFコレクションを含有するランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドは、大腸菌に関して上述する全ゲノムORFコレクションよりも小さい可能性もあり、これは、より小さいライブラリーサイズ、より安価でそして迅速なスクリーニング、ならびに藻類および植物を含めて、より低い形質転換効率の生物における従順性を含めて、多くの利点を有する。
実施例3:シアノバクテリア、すなわちシネココッカス・エロンガトゥス(Synechococcus elongatus)に、より高いバイオマス、増殖率加速またはアルコール耐性を与えることが可能なランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの単離
序論:
[00183]シアノバクテリアは、エタノール(Deng 1999、Dexter 2009、Gao 2012)、イソブチルアルデヒド(Atsumi 2009)、イソブタノール(Atsumi 2009)、n−ブタノール(Lan 2011、Lan 2012)、1,3−ブタンジオール(Oliver 2013)、アセトン(Zhou 2012)、エチレン(Takahama 2003)、イソプレン(Lindberg 2010)、脂肪酸および脂肪族アルコール(Liu 2011、Tan 2011)ならびに糖(Ducat 2011、Ducat 2012)を含む、多様な化学薬品を産生するように操作されてきており、いくつかの場合、有望な結果が得られている(すなわち、Ducat 2011、Oliver 2013)。植物および真核藻類と比較して、相対的に遺伝子が単純であり、培養のためのインプット必要性が低く、ストレスに抵抗する能力があり、そして遺伝子操作に対して従順であるため、シアノバクテリアは、生物学的産生に向かうこの全般的なシフトにおいて、主要な役割を果たすであろう光合成生物の1つである(Ducat 2011、Robertson 2011、Ruffing 2011)。
[00184]シアノバクテリアはまた、増殖および炭素固定率が生得的に高いため、関心対象でもあり;その結果、これらの生物は、燃料および化学薬品産生のための原材料として利用可能なバイオマスの供給源として、非常に有望である。にもかかわらず、バイオマス生産性は、遺伝的に複雑で、そしてほとんど理解されておらず、そしてしたがって操作が困難である。産業的に有望なシアノバクテリア種におけるバイオマス集積率を増加させることは、シアノバクテリアを経済的産生生物に発展させる試みにおいて、シアノバクテリア・バイオテクノロジー産業が直面する障害の1つである。
[00185]本実施例は、ランダム化インフレーム・ポリヌクレオチド融合を用いた、シアノバクテリア、シネココッカス・エロンガトゥスにおいて、より高いバイオマス、増殖率加速またはアルコール耐性を操作することを記載する。S.エロンガトゥスは、迅速に増殖し、そして容易に培養され、容易にそして効率的に形質転換可能な、重要な実験シアノバクテリアである(Golden 1987、Tsinoremas 1994、Elhai 1994、Vioque 2007、Clerico 2007、Flores 2008、Heidorn 2011)。
配列同定およびPCRプライマー設計:
[00186]シネココッカス・エロンガトゥス遺伝子配列の完全コレクションを、J. Craig Venter研究所(JCVI)包括的微生物リソースゲノムデータコレクション(インターネット上、CMR−JCVIウェブサイト上で入手可能)から入手可能なS.エロンガトゥス株PCC7942の参照配列に基づいて生成する。各遺伝子の開始および停止コドンを同定するため、このゲノムの配列注釈を用いる。
[00187]JCVI注釈は、7アミノ酸のタンパク質をコードする21bpから、1595アミノ酸のタンパク質をコードする4,785bpの間の長さの範囲の、2991の総タンパク質コード遺伝子を列挙する。これらのORFのうち、2958は、長さ100bp〜3000bpの間である。インプット配列として用いる遺伝子の長さは、3000bpを上限とし、好ましくは2604bpであり、これによって、PCR増幅の成功、および生じるインフレーム融合ポリペプチドまたはタンパク質の正しいフォールディングの可能性が増加する。結果は、PCR増幅用の長さ100〜2604bpの間である総数2,925のORFの最終コレクションである。この配列コレクションの平均の長さは785bpであり、そして長さの中央値は693bpである。これらのS.エロンガトゥスORFのサイズ分布を図6に示す。
[00188]各端から24bpのコード配列を含めて、各ORFの既知の開始コドンおよび停止コドンに基づいて、PCRプライマーを設計する。2つの異なるプライマーセットを各ORFに関して設計して、1つはORFを融合遺伝子の5’位にクローニングするため、そしてもう一方は3’位に配置するため、2つの異なるPCR産物が生成されるようにする。各ORFに関する2つのアンプリコンは、停止コドンの存在(ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーの3’位に向けられるORFのみに存在)および保存される隣接配列に関してのみ異なる。
[00189]各プライマーは、2つの目的に役立つ5’端の16塩基の保存配列を含有する。まず、過剰な配列は、互いに関して異なるORFの提示にバイアスを掛けることなく、コレクション中のすべてのORFを増幅することが可能な保存されたPCRプライマー配列を用いたORFプールの効率的なPCR増幅を可能にする(Dahl 2005、Myllykangas 2011、Natsoulis 2011)。第二に、これらは発現ベクター(詳細は以下を参照されたい)に、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・パートナー末端の保存された配列に、相同性を含有し、ベクター中のランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの迅速でそして効率的な相同性依存性組み立てを可能にする(図3を参照されたい)。
[00190]融合遺伝子中の5’位に向けられるORFの3’PCRプライマー中の5’末端16ヌクレオチド、および融合遺伝子中の3’位に向けられるORFの5’PCRプライマー中の5’末端16ヌクレオチドは、2つのORFを分離するリンカー配列の一部を形成する。この60bpリンカー配列は、グリシン、セリンおよびアラニンが豊富な20アミノ酸ペプチド(配列番号25104)をコードし、該配列は、融合遺伝子中の2つのORFを連結する際に他の研究者が用いる配列(Arai 2001、Eldridge 2009、Wang 2010)に大まかに基づく。このリンカー配列は、PCR増幅の第二のまたは保存される段階で完全にコードされ(以下を参照されたい)、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの5’位に向けられるORFの3’端およびランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの3’位に向けられるORFの5’端に、保存されたコード配列の付加を生じる。
[00191]1つは融合遺伝子の5’位そしてもう一方は3’位である、シアノバクテリアORFの2つの完全なセットが生成される必要があるため、以下に記載するすべての方法は、2つのORF位に関して、2つ組で行われる。
シアノバクテリア株およびゲノムDNA調製:
[00192]選択したシネココッカス・エロンガトゥス遺伝子を、株PCC7942からPCR増幅する。この株は、パスツール研究所シアノバクテリア培養コレクションから入手可能であり、そして関心対象の遺伝子を増幅可能な高純度ゲノムDNAの供給源として使用可能である。
[00193]ORFの供給源として働くシアノバクテリア株を、BG11培地または修飾BG11培地中で、標準的増殖条件(Bustos 1992、Kulkarni 1997、Mutsuda 2003、Clerico 2007)を用いて、液体培養中で増殖させる。修飾BG−11液体培地(BG11M、Clerico 2007)を以下のように作製する: 1.5g/L NaNO3、0.039g/L K2HPO4、0.075g/L MgSO4 7H2O、0.02g/L Na2CO3、0.027g/L CaC12、0.001g/L EDTA、0.012g/L FeNH4クエン酸塩、および1mLの以下の微量要素溶液: 2.86g/L H3BO3、1.81g/L MnC12・4H2O、0.222g/L、ZnSO4・7H2O、0.391g/L Na2MoO4、0.079g/L CuSO4・5H2O、および0.0494g/L Co(NO3)2・6H2O。別個にオートクレーブした等体積の2倍濃縮BG−11M液体培地およびDifco寒天溶液(無菌水中、3%)を合わせ、そしてともに混合することによって固形培地を作製し;濾過滅菌したNa2SO3を1mMまで添加する。
[00194]遠心分離によって細胞をペレットにし、そして次いで、20mM Tris pH8.0、10mM EDTAおよび100mMグルコースを用いて、元来の培養体積の1/10に再懸濁する。10mM Tris pH8.0、10mM EDTA中に溶解した10mg/mlニワトリ卵リゾチームの1/100体積を添加し、そして10mg/ml DNアーゼ不含RNアーゼAの1/20体積を添加し、よく混合し、そして室温で15分間インキュベーションすることによって、細胞を溶解する。プロテイナーゼKで処理することによって、細胞溶解およびゲノムDNA放出を完了させる。溶解した細胞に、1/10体積の1M Tris、0.5M EDTA、pH9.5および1/100体積の20mg/mlのプロテイナーゼK溶液を添加する。試験管に蓋をし、そして反転させることによって、溶解した細胞を穏やかに混合し、そして混合物を時々穏やかに混合しながら、50℃で2時間インキュベーションする。次いで、等体積のフェノール−クロロホルム(pH7.0)で2回、DNAを抽出し、その後、等体積のクロロホルムでさらに1回抽出する。1/10体積の3M酢酸ナトリウムpH5.5および2.5体積のエタノール(または1体積のイソプロパノール)を添加することによって、DNAを沈殿させる。アルコールを添加した後、試験管を直ちに反転させ、そしてDNAは紐状の白色沈殿物として可視である。細胞由来の他の不純物(残渣タンパク質または炭水化物)が同時に沈殿するのを回避するため、清浄なピペットチップまたはパスツールピペットを用いてアルコール溶液から沈殿したDNAを取り除き、そして70%エタノールを含有する清浄な試験管に移す。試験管に蓋をし、そして複数回反転させて、DNA沈殿物から塩を除去する。遠心分離によってペレットを収集し、吸引によってエタノールを除去し、そしてエアフローフード中でペレットを乾燥させ、過剰なエタノールを取り除く。ペレットを1xTE(10mM Tris pH8.0、0.1mM EDTA)中に溶解する。カラムクロマトグラフィまたは塩化セシウム密度遠心分離(Sambrook 1989)を用いて、DNAのさらなる精製を行ってもよい。
[00195]本明細書に記載したものと同等の結果を生じる他のDNA調製法が、文献に記載されてきている(Clerico 2007、Heidorn 2011)。
発現ベクター
[00196]単純なそして標準的な発現ベクターを用いて、すべての融合タンパク質を発現させる。イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、Geerts 1995、Kutsuna 1998)によって誘導可能なS.エロンガトゥスPtrcプロモーターは、頻繁に用いられ、そしてS.エロンガトゥスにおける遺伝子発現のために有効である。さらに、発現ベクターは、S.エロンガトゥス染色体内への部位特異的組み込みを指示するNS1またはNS2中性部位要素(Matsuda 2003)、適切なターミネーター(Wang 2012)、pUC19由来の抗生物質耐性マーカー遺伝子(単数または複数)および高コピー数pMB1プラスミドレプリコン(Yanish-Perron 1985)を含有する。pUC19ベクターは、プラスミド主鎖(pMB1レプリコン)、抗生物質耐性ポリヌクレオチド(例えばアンピシリン耐性を与えるTn3由来のβ−ラクタマーゼ)、ならびに大腸菌lacプロモーター/オペレーターおよびターミネーター配列の好適な供給源である。図3に例示するように、これらの配列をpUC19からPCR増幅し、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのクローニングおよび発現のためのプラスミド主鎖供給源として用いる。例えば、PCRプライマー5’−agctgtttcctgtgtgaaattgtt−3’および5’−ttaagccagccccgacacccgcca−3’を用いて、pUC19からのこうした断片をPCR増幅することも可能である。5’ORFの5’端および3’ORFの3’端に含まれる、この発現ベクター断片に対する相同性領域(図3を参照されたい)は、これらの2つのPCRプライマーによって特定される同じDNA配列に相当する。
[00197]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現のためのPtrcプロモーター系の代替物として、文献(Ruffing 2011、Wang 2012)に記載されるような他のシアノバクテリア・プロモーターを用いてもよい。あるいは、細菌発現のためのコンセンサス要素を含有する部分的ランダム化配列から合成プロモーターを発展させてもよい(Jensen 1998a、Jensen 1998b、Hammer 2006、De May 2007)。
[00198]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現のための適切性に関して、候補プロモーターを試験するため、選択したプロモーターおよびその関連5’UTRを250bp DNA断片として合成し、そして選択可能マーカーを含有するベクター中、大腸菌lacZベータ−ガラクトシダーゼ遺伝子の上流にクローニングする(Heidorn 2011、Ruffing 2011)。プロモーター断片の上流にターミネーターを配置して、プラスミド上の別の箇所に存在するプロモーターからのリードスルー転写を防止する。生じた構築物をS.エロンガトゥスに形質転換し、そして形質転換体をベータ−ガラクトシダーゼ活性に関してアッセイする(Bustos 1991)。ホタル(firefly)ルシフェラーゼもまた、アッセイ可能マーカー遺伝子として適切であり、そしてlacZの代わりにプロモーター試験に使用可能である(Kondo 1993、Andersson 2000)。
[00199]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現のための本明細書記載のプラスミドは、pMB1複製起点を含有するものなどの高コピー数プラスミドに基づく。しかし、他のプラスミド系もまた、この研究に適している。例えば、F’に基づくプラスミド、例えばpBeloBAC11(Shizuya 1992)または広宿主域プラスミド系(Heidorn 2011)を用い、上記と同じプロモーターを用いて、または異なるプロモーターセットを用いて、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを発現させてもよい。クローニングおよびプラスミド精製後、S.エロンガトゥスの形質転換には、任意の適切な宿主細胞において、関心対象の配列のクローニングおよび増加を可能にする任意のプラスミド主鎖が使用可能である(Heidorn 2011)。
融合遺伝子設計:
[00200]例えば、ペプチドまたはタンパク質をコードする仮説上のポリヌクレオチド配列Aは、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのコレクションの構築のために用いられるよう意図される。ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドのコレクションを生成する目的は、ポリヌクレオチドAを含めた出発コレクション中の各ポリヌクレオチドをランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドシリーズの5’位に存在させること、そして同じ配列を、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの異なるシリーズの3’位に存在させることである。これらの2つのシリーズのランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの各々において、ポリヌクレオチドAは、こうした融合を生成するために利用可能な方法で実現可能であるような出発コレクションの出来る限り多くの他のメンバーと融合するであろう。出発コレクションに存在する他のポリヌクレオチドに対して5’または3’位のポリヌクレオチドAを含む、これらの別個のシリーズの融合を可能にするため、2つの異なるバージョンのポリヌクレオチド配列Aを生成する。5’位で使用するために意図されるポリヌクレオチド配列Aのバージョンは、停止コドンを含有せず、そして発現ベクターのプロモーター領域に5’相同性(またはクローニング目的のための他の配列適合性)を有する。3’ 位で使用するために意図されるポリヌクレオチド配列Aのバージョンは、停止コドンを含有し、そして発現ベクターのターミネーター領域に3’相同性(またはクローニング目的のための他の配列適合性)を有する。
[00201]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドにおいて、2つのORFを分離する配列(図3において、「リンカー配列」と示される)は、グリシンおよびセリン残基が豊富な短いペプチドをコードする。こうしたペプチドは、非構造であることが予期され、そしてランダム化融合タンパク質の2つのメンバーを分離する柔軟なタンパク質スペーサーを提供する一方、タンパク質分解には比較的耐性であろう。適切なリンカーペプチド配列の例は、GGGGSGGSGGSGGGGS(配列番号25117)またはSGGSSAAGSGSG(配列番号25118)またはSAGSSAAGSGSG(配列番号25119、Wang 2010)である。あるいは、アルファらせんリンカー配列を用いてもよく、例えば配列A(EAAAAK)A、n=2〜5(配列番号25120〜25123、Arai 2001)がある。
配列増幅:
[00202]3’端の24ポリヌクレオチド特異的塩基を含有するポリヌクレオチド特異的プライマーおよび5’端の16bpの保存配列を含有するプライマーを用いて、各ORFをPCR増幅する。各ポリヌクレオチドに関して個々に、またはポリヌクレオチドプールに関して同時に、増幅を行う。
[00203]個々の増幅のため、各々、最終濃度0.5〜5μMの2つのプライマーを、10〜1000ngの大腸菌ゲノムDNA、PCR緩衝液および熱安定性ポリメラーゼと、1〜50μlの総反応体積中で合わせる。高忠実度熱安定性ポリメラーゼ、例えばPhusion(登録商標)ポリメラーゼが使用可能である。Phusion(登録商標)ポリメラーゼに関しては、95℃2分間の変性、その後、95℃20秒間、60℃20秒間の10〜35周期、および72℃1分/kb(72℃で最低30秒間)によって、PCRアンプリコンを生成する。アガロース電気泳動によって、または蛍光計、例えばQubit(登録商標)蛍光計(Life Technologies)を用いた蛍光分光測定によって、PCR産物形成の効率を測定する。DNA精製に適したシリカ樹脂を用いて、成功したPCR反応を精製することも可能である。成功しなかった反応を、PCR反応中のMg+2濃度および/または他の反応条件を変化させることによって反復する。各ORFの増幅成功後、各PCR産物濃度を規準化し、そして特定のサイズ範囲に対応する産物をクローニングのためにプールする。
[00204]個々の増幅は、各ORFの増幅が別個に行われ、そして監視され、ORFの最終プール中の各ORFがほぼ同等の提示であることを可能にする利点を有する。多数のPCR反応を平行して行い、そしてアッセイする必要があり、ロボット装置および多数の増幅の最適化を必要とする、不都合な点がある。
[00205]プールした増幅に関しては、PCR増幅の効率は、非常にサイズ依存性であるため、そしてPCR条件(72℃での伸張時間、上記を参照されたい)はアンプリコンのサイズに応じるため、ORFは、サイズによってプールされる。ORFは、任意の数のサイズプールに分離される。より少数のサイズプールは、増幅をより少数の試料で行うことが可能であり、時間および試薬を節約する利点を有する。多数のサイズプールは、各プールの複雑性がより低く、より高い濃度の各プライマー対、そしてしたがって、各ポリヌクレオチドの増幅成功の可能性がより高いことを意味する。
[00206]遺伝子増幅に用いる、妥当で、そして好適なプール数は、各30〜31遺伝子の96プールであり、1つの96ウェルプレートを満たす(96プールx平均30.81遺伝子=総数2958遺伝子)。プールへの各遺伝子の割り当てに到達するため、遺伝子およびその対応するプライマー対を、遺伝子サイズに基づいてソーティングし、そしてソーティングしたリスト由来の連続したプライマーセットから、プライマーを各プールに割り当てる。増幅総数を96プールに分割する際、同一のまたは類似のサイズの31遺伝子=62プライマーを78プール各々に割り当て、そして残った18プールは各々、30遺伝子に対応する60プライマーを含有する。
[00207]3’端の20〜30ポリヌクレオチド特異的塩基を含有するポリヌクレオチド特異的プライマーおよび5’端の保存配列を含有するプライマーを用いて、各ORFをPCR増幅する。各ポリヌクレオチドに関して個々に、またはポリヌクレオチドプールに関して同時に、増幅を行う。
[00208]個々の増幅のため、各々、最終濃度0.5〜5μMの2つのプライマーを、10〜1000ngの大腸菌ゲノムDNA、PCR緩衝液および熱安定性ポリメラーゼと、1〜50μlの総反応体積中で合わせる。高忠実度熱安定性ポリメラーゼ、例えばPhusion(登録商標)ポリメラーゼが使用可能である。Phusion(登録商標)ポリメラーゼに関しては、95℃2分間の変性、その後、95℃20秒間、60℃20秒間の10〜35周期、および72℃1分/kb(72℃で最低30秒間)によって、PCRアンプリコンを生成する。アガロース電気泳動によって、または蛍光計、例えばQubit(登録商標)蛍光計(Life Technologies)を用いた蛍光分光測定によって、PCR産物形成の効率を測定する。DNA精製に適したシリカ樹脂を用いて、成功したPCR反応を精製することも可能である。成功しなかった反応を、PCR反応中のMg+2濃度および/または他の反応条件を変化させることによって反復する。各ORFの増幅成功後、各PCR産物濃度を規準化し、そして特定のサイズ範囲に対応する産物をクローニングのためにプールする。
[00209]個々の増幅は、各ORFの増幅が別個に行われ、そして監視され、ORFの最終プール中の各ORFがほぼ同等の提示であることを可能にする利点を有する。多数のPCR反応を平行して行い、そしてアッセイする必要があり、ロボット装置および多数の増幅の最適化を必要とする、不都合な点がある。
[00210]プールした増幅に関しては、PCR増幅の効率は、非常にサイズ依存性であるため、そしてPCR条件(72℃での伸張時間、上記を参照されたい)はアンプリコンのサイズに応じるため、ORFは、サイズによってプールされる。ORFは、任意の数のサイズプールに分離される。より少数のサイズプールは、増幅をより少数の試料で行うことが可能であり、時間および試薬を節約する利点を有する。多数のサイズプールは、各プールの複雑性がより低く、より高い濃度の各プライマー対、そしてしたがって、各ポリヌクレオチドの増幅成功の可能性がより高いことを意味する。好適な数のサイズプールは、1または2の96ウェルプレート中のウェルの数に対応する。例えば各15〜16のORFの192プール(192プールx平均15.23 ORF=総数2925のORF;これは、各16プライマー対を含有する45プール、および各15プライマー対を含有する147プールに対応する)。
[00211]プールしたPCR増幅を3工程で行う:1)遺伝子特異的プライマーを用いた最初の増幅、その後、2)保存されたプライマーを用いた各ORFプールの増大、その後、さらなるプーリング、ゲル上でのサイズ選択、および3)最終長PCR産物を生じる第三の増幅工程。3つの増幅工程は、それぞれ、第一段階、第二段階および第三段階増幅と称される。
[00212]PhusionTMホットスタートII熱安定性高忠実度ポリメラーゼ(Thermo ScientificTM)を用いて、すべてのPCR増幅を行う。5xHF増幅緩衝液とともに酵素を供給し、すべての反応に用いる。増幅は、以下に示すように、20μLまたは50μL反応体積で行う。すべての増幅を、96ウェルブロックを含有するT100サーマルサイクラー(Bio-Rad Laboratories)上で行う。すべての増幅で用いるデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)は、各dNTP 10mMを含有するストックであり、やはりThermo Scientific(登録商標)より得られる。すべての反応に脱イオン水を用い、そしてポリメラーゼとともに供給されないすべての溶液を作るためにも脱イオン水を用いる。
[00213]すべてのPCR増幅は、同じ一般的な方法にしたがう:
[00214]1. PCR反応の各段階のため、以下に記載するようなPCR混合物を調製し、そしてサーマルサイクラーに挿入するまで低温で維持する。
[00215]2. 試料を完全に混合し、そして次いで、4000rpmで1分間遠心分離して、試験管またはプレートウェルの底に反応内容物を集める。
[00216]3. プレートまたは試験管をサーマルサイクラー内に挿入する。
第一段階増幅:
[00217]上述のような配列特異的PCRプライマープールを用いて、第一段階増幅を行う。反応あたり2μLの10ng/μLシネココッカス・エロンガトゥス株PCC7942ゲノムテンプレートDNAを用いて、20μL総体積中、各増幅を行う。各反応に、100μMストックから2.5μLプライマープールを添加して、12.5μMの最終総プライマー濃度を提供する。各プライマープールは、15または16プライマー対のいずれかを含有し;そして最終の個々のプライマー濃度は、およそ0.39〜0.42μMである。
[00218]第一段階のPCR反応混合物は、20μl総体積中で設定され、そして以下の構成要素から混合される:4μl 5x Phusion(登録商標)HF緩衝剤、0.4μl 10mM dNTP、10.7μl脱イオンHO、2μl 10ng/μlゲノムテンプレートDNA、2.5μLプライマープール(100μM)、0.4μl PhusionTMホットスタートII熱安定性ポリメラーゼ(2単位/μl)。PCRサイクリング条件は以下の通りである:98℃45秒間の最初の変性、各3工程(98℃10秒間、60℃30秒間および72℃3分間)からなる10周期、72℃3分間の最終伸張工程、およびサーマルサイクラーから試料を取り出すまでの4℃での浸漬。PCR増幅が完了した後、試料をサーマルサイクラーから取り出し、完全に混合し、そして4000rpmで1分間遠心分離して、第一段階増幅産物を提供する。
第二段階増幅:
[00219]第二段階の増幅で用いるプライマーは、第一段階の増幅プライマーの保存された部分に相同性を持つ単一のプライマーである。第二段階のプライマーは、対の混合物として調製され、各々、等モル量の2つのプライマーを含有し、そして20μMの総プライマー濃度を含有する。
[00220]第二段階PCR反応混合物を50μl総体積中にセットアップし、そして以下の構成要素から混合する:10μl 5x Phusion(登録商標)HF緩衝剤、1μl 10mM dNTP、22μl脱イオンHO、10μl第一段階反応産物、6μl第二段階プライマー混合物(20μM)および1μl PhusionTMホットスタートII熱安定性ポリメラーゼ(2単位/μl)。PCRサイクリング条件は以下の通りである:98℃45秒間の最初の変性、各2工程(98℃20秒間および72℃3分間)からなる25周期、72℃3分間の最終伸張工程、およびサーマルサイクラーから取り出すまでの4℃での浸漬。
[00221]PCR増幅が完了した後、試料をサーマルサイクラーから取り出し、完全に混合し、そして4000rpmで1分間遠心分離する。
[00222]試料のより効率的な下流プロセシングを可能にするため、8試料を1つにプールすることによって、192多重PCR試料を24のより大きいプールに統合する。各多重PCR反応中の産物の量をまず定量化して、異なるサイズの断片コレクションの等モルプールを可能にする。これは、各多重反応に対してゲル電気泳動を行い、そして予期されるサイズの各バンド中の蛍光を定量化することによって、あるいはApplied Biosystems(登録商標)3730 DNA分析装置またはQIAGEN(登録商標)QIAxcel(登録商標)装置などのキャピラリー電気泳動によってのいずれかで、行う。各多重プールの平均サイズを考慮に入れ、一緒にプールされて、プールに添加される各産物の等モル量を生じる、各多重PCR反応の相対量を計算するために、各多重反応中の望ましい産物の濃度を用いる。産物をサイズによってグループ分けし、そしてプールして、下流PCR増幅における増幅バイアスを最小限にする。
[00223]192多重反応を、以下のように24のより大きいプールに合わせる。大プール1:多重プール1〜8;大プール2:多重プール9〜16;大プール3:多重プール17〜24;大プール4:多重プール25〜32;大プール5:多重プール33〜40;大プール6:多重プール41〜48;大プール7:多重プール49〜56;大プール8:多重プール57〜64;大プール9:多重プール65〜72;大プール10:多重プール73〜80;大プール11:多重プール81〜88;大プール12:多重プール89〜96;大プール13:多重プール97〜104;大プール14:多重プール105〜112;大プール15:多重プール113〜120;大プール16:多重プール121〜128;大プール17:多重プール129〜136;大プール18:多重プール137〜144;大プール19:多重プール145〜152;大プール20:多重プール153〜160;大プール21:多重プール161〜168;大プール22:多重プール169〜176;大プール23:多重プール177〜184;および大プール24:多重プール185〜192。構成要素ORFのサイズに基づいて、各大プールの生じた平均ORFサイズ(添加されるプライマー配列を伴うおよび伴わない)を計算する。
[00224]ひとたびプーリングが完了したら、製造者の推奨にしたがって、シリカ樹脂カラムまたはMacherey Nagel NucleoSpin(登録商標)96 PCRクリーンアップキットなどのプレートを用いて、10μgの望ましい産物総量に対応する各ORF大プールの量を精製する。精製PCR産物の溶出後、各試料を完全に混合し、そしてその濃度を分光光度測定で決定する。
[00225]48の大プールから望ましくないサイズの産物およびプライマー二量体を取り除くため、2μgの各プールを1%アガロースゲル上で電気泳動し、そしてエチジウムブロミドで染色し、バンドをUVまたは青い光の下で視覚化し、そしてより大きいプール各々の正しいサイズに対応するゲル断片をゲルから切り出す。ゲル断片の重量を測定し、そして製造者の推奨にしたがって、Macherey Nagel NucleoSpin(登録商標)ゲルおよびPCRクリーンアップキットなどのシリカ樹脂ゲル精製法を用いて、そこからDNAを精製する。精製が完了したら、すべての試料の濃度を分光光度測定で決定し、そして精製第二段階大プール増幅産物各々の濃度を、第三段階増幅のため、10ng/μLに調整する。
第三段階増幅
[00226]第三段階増幅は、各PCR産物に最終配列を付加して、末端相同性によって効率的な組み立てを可能にし、そして各大プールの量を増加させる。第三段階増幅に用いるプライマーは、第一段階および第二段階増幅プライマーの保存された部分に相同性を持つ単一プライマーである。第三段階プライマーは、対の混合物として調製され、各々、等モル量の2つのプライマーを含有し、そして20μMの総プライマー濃度を含有する。
[00227]第三段階PCR反応混合物を50μl総体積中にセットアップし、そして以下の構成要素から混合する:10μl 5x Phusion(登録商標)HF緩衝剤、1μl 10mM dNTP、22μl脱イオンHO、10μlゲル精製したプール第二段階反応産物(10ng/μl)、6μl第三段階プライマー混合物(20μM)および1μl Phusion(登録商標)ホットスタートII熱安定性ポリメラーゼ(2単位/μl)。PCRサイクリング条件は以下の通りである:98℃45秒間の最初の変性、各2工程(98℃20秒間および72℃3分間)からなる25周期、72℃3分間の最終伸張工程、およびサーマルサイクラーから取り出すまでの4℃での浸漬。
[00228]第三段階増幅が完了した後、試料を完全に混合し、遠心分離し、そして製造者の推奨にしたがって、Macherey Nagel NucleoSpin(登録商標)96 PCRクリーンアップキットなどのシリカ樹脂精製を用いて、精製する。溶出後、各試料を完全に混合し、そしてその濃度を分光光度で測定する。
[00229]より効率的な下流プロセシングのため、次いで、4つの最小の大プールを1つのスーパープールに合わせ、そして5つの大プールの続くセットを合わせて、さらなるスーパープールを形成することによって、24の大プールを5つの「スーパープール」に統合する。各スーパープールに添加される各大プールの相対量は、第三段階増幅および精製後の各大プールの最終濃度、ならびに各大プールの最終平均サイズ(プライマーによって付加される配列を含む)と、等モル量の各大プールを各スーパープールに添加する目的とを考慮することによって、計算される。
[00230]この実施例の先の工程におけるように、スーパープールをORFサイズに基づいて調製し、同様のサイズのORFのより大きいプールを同じスーパープールにグループ分けする。挿入物サイズに基づくクローニングバイアスを最小限にするため、各々の場合に、クローニングベクターと一緒に、5’ORFの各サイズプールを3’ORFの各サイズプールと対で合わせることによって、サイズ分画を別個に発現ベクターにクローニングする。
ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリー構築
[00231]増幅後、ORFの相対濃度を、DNA分子のモル濃度(質量濃度ではなく)に関して規準化する。上述のような個々のまたはプールされたPCR増幅によって生成されたORFコレクションに添加される、他の生物由来のクローニングされたポリヌクレオチドまたはORF由来のORFを含めた、特定のORFを、多様な量でORFコレクションに添加してもよい。例えば、特定のORFを、他のORFの濃度に対応するモル量で、あるいは最終ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリー内の提示を変化させる、より低いまたはより高い量で、添加する。例えば、ストレス許容性を与える特定のタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、S.エロンガトゥスにおけるストレス許容性を与える特に高い可能性を有すると推測される場合、ORFコレクション中にこの配列を過剰提示して、大部分のまたはすべてのランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの組み合わせが、この優先される配列とともに試験されることを確実にすることも可能である。
ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリー構築
[00232]増幅およびスーパープールへのプーリング後、ORFの相対濃度を、DNA分子のモル濃度(質量濃度ではなく)に関して規準化する。上述のような個々のまたはプールされたPCR増幅によって生成されたORFコレクションに添加される、他の生物由来のクローニングされたポリヌクレオチドまたはORF由来のORFを含めた、特定のORFを、多様な量でORFコレクションに添加してもよい。例えば、特定のORFを、他のORFの濃度に対応するモル量で、あるいは最終ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリー内の提示を変化させる、より低いまたはより高い量で、添加する。例えば、ストレス許容性を与える特定のタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、大腸菌におけるストレス許容性を与える特に高い可能性を有すると推測される場合、ORFコレクション中にこの配列を過剰提示して、大部分のまたはすべてのランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの組み合わせが、この優先される配列とともに試験されることを確実にすることも可能である。
[00233]2つのORFのpUC19発現ベクター分子内への一工程組み立ては、各断片の5’および3’端に位置し、そして図3に示す環状の組み立てられた産物の構造を特定する、保存された/相同配列によって指示される。多数の方法のいずれか1つを用いて、この相同性依存性組み立てを達成することも可能であり、これらのすべては、相同一本鎖DNA端のアニーリングに基づくクローニング法、例えばリンカーテーリング法(Lathe 1984)またはDNA分子の末端の相補的ホモポリマー性一本鎖テールに依存する方法(Lobban 1973)に由来する。さらに、現代の相同性依存性クローニング技術は、1990年代初期に記載される連結独立性クローニング法(Aslanidis 1990、Aslanidis 1994)に概念的に関連する。こうした相同性依存性クローニング法には、限定されるわけではないが:融合内クローニング(Zhu 2007、Irwin 2012)、配列および連結独立性クローニング(SLIC、Li 2007、Li 2012)、迅速クローニング(Li 2011)、環状ポリメラーゼ伸張クローニング(Quan 2009、Quan 2011)、ギブソン組み立て法(Gibson 2009、Gibson 2010)、迅速およびクリーンクローニング(Thieme 2011)およびその他(Vroom 2008)が含まれる。
[00234]in vitroで、5つの5’および5つの3’ORFスーパープールの各組み合わせを用いて、総数25の組み立て反応に関して、ライブラリー組み立てを行う。各反応において、150fmolの5’ORFスーパープールDNAおよび150fmolの3’ORFスーパープールDNA(平均サイズに基づくモル濃度)を、75fmolのPCR増幅単一断片pUC19ベクターDNA(配列番号25126)と合わせる。DNA混合物の体積を10μlに調整し、これに10μlの組み立て混合物(200mM Tris pH8.0、20mM MgCl、各0.4mMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、20mMジチオスレイトール、2mMニコチンアミドアデニン二ヌクレオチド、0.02単位/μl T5エキソヌクレアーゼ、0.05単位/μl Phusion(登録商標)熱安定性DNAポリメラーゼ、0.4単位/μl Taqリガーゼ)を添加する。反応を穏やかに混合し、そして50℃で1〜2時間インキュベーションする。次いで、反応を氷上に維持するか、または大腸菌形質転換に使用する前に凍結する。
[00235]このin vitro組み立て法を記載するように実行するか、またはこの方法に適している可能性もあるエキソヌクレアーゼ活性を持つ他の酵素、例えばT4 DNAポリメラーゼ、エキソヌクレアーゼIII、ラムダエキソヌクレアーゼ、T5エキソヌクレアーゼまたはT7エキソヌクレアーゼを用いて行ってもよい。活性の5’から3’の方向性を持つエキソヌクレアーゼ(すなわちT4ポリメラーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、T5エキソヌクレアーゼまたはT7エキソヌクレアーゼ)は、各クローニング接合部の2つのニックの間に、より多数のアニーリング配列塩基対を生じ、したがって、望ましい産物を安定化させるため、こうしたエキソヌクレアーゼが好ましい。Taq DNAリガーゼを添加せずに、この方法を実行して、満足出来る結果を得ることも可能である。反応に、最終濃度5〜10%でポリエチレングリコール(分子量4000〜10000)を補充して、一本鎖DNA端のアニーリングを促進することも可能である。しかし、上述のような十分に高いDNA濃度が与えられていれば、PEGは必要ではない。
[00236]1μlの組み立て反応と25μlのエレクトロコンピテントDH10B細胞(Life Technologies社)またはEC100細胞(Epicentre Technologies)を氷上で混合することによって、エレクトロポレーションによって組み立て反応を大腸菌に形質転換する。次いで、細胞/DNA混合物を1mmギャップ幅エレクトロポレーション・キュベット内に移し、そしてBio-Rad Micropulserエレクトロポレーターを用いて、1.5kVでエレクトロポレーションする。細胞を1ml LBブロス中に再懸濁し、10ml培養試験管中、℃で1時間、250rpmで培養し、そして50〜100μg/μlカルベニシリンを含有するLB寒天上にプレーティングする。組み立て反応を、エタノールでのDNA沈殿によって、または微小透析によって、または製造者の推奨にしたがってBio-Rad Micro Bio-Spin P6ゲルカラムを通じて遠心分離することによってのいずれかで、組み立て反応を脱塩することによって、形質転換効率を改善することも可能である。
ライブラリー形質転換およびスクリーニング
[00237]産業的にならびに研究目的のために用いられているS.エロンガトゥス株PCC7942またはPCC7002(Ruffling 2011)をすべての形質転換およびスクリーニングに用いる。
[00238]組み立て後、異なるライブラリーを直接用いて、S.エロンガトゥス形質転換体を生成するか、または大腸菌への形質転換によって最初に増幅する。
[00239]2925のORFのランダム対組み立てから生じる配列組み合わせのありうる総数は、この数字の平方=860万に等しい。典型的には、スクリーニングプロジェクトの目的は、各組み合わせが提示される>90%の可能性を達成するために、ライブラリー複雑性の3倍多いクローンまたは形質転換体をスクリーニングすることである。この例では、これは、およそ2600万の形質転換体に対応し、これはS.エロンガトゥスにおいて、多様な実験室株で達成されてきている高い形質転換効率のために可能である。1000万のS.エロンガトゥス形質転換体の生成は、10リットルの培地中で増殖させる細胞を用いて、およそ1000の形質転換を実行することに対応する。
[00240]相同性依存性クローニング法を用いたプラスミド組み立て反応は非常に効率的である可能性があり(Li 2007、Quan 2009、Gibson 2010、Li 2011、Quan 2011、Thieme 2011、Li 2012)、インプットDNAの正しい産物への組み立てを高率で生じるため、S.エロンガトゥスをFGプールDNAで直接形質転換することも可能である。S.エロンガトゥスの形質転換効率を、DNA μgあたり、1E6形質転換体と仮定すると、これは>10μgの組み立てFGプールDNAを必要とし、各組み立て反応は、全部で約0.5μgのDNAを含有することを考慮すると、これは達成可能な数値である。パイロットS.エロンガトゥス形質転換実験を用いて、FGプールDNAから生成可能な形質転換体の数を測定し、そしてこれらの形質転換体が正しい構造の組み込み配列を含有するかどうかを調べる。
[00241]観察されるS.エロンガトゥス形質転換効率が、FGプールDNAから直接、十分な数の形質転換体を生成するには限定されている場合、FGプールをまず、大腸菌において増幅することも可能である。単一の20μl相同性仲介組み立て反応は、およそ200万の大腸菌形質転換体を生じることも可能であり、これは、液体ゲル培地(Elsaesser 2004)において、または液体増殖およびphi29ポリメラーゼを用いた増幅の組み合わせ(Fullwood 2008)によってのいずれかで増幅可能である。プラスミド増幅を、25の組み立てプール各々に関して別個に行い、各プール中に提示される配列組み合わせの比率を維持する。
[00242]以下の方法(Clerico 2007)を用いて、形質転換を達成する。S.エロンガトゥス細胞を100mLの液体BG−11M中で、0.7のOD750まで増殖させる。15mLのシアノバクテリア細胞懸濁物を、6000g10分間の遠心分離によって採取する。細胞ペレットを10mLの10mM NaCl中で再懸濁し、そして6000g10分間の遠心分離によって再びペレットにする。細胞ペレットを0.3mLのBG−11Mに再懸濁し、そして微量遠心管に移す。0.3mLの細胞の各アリコットに、50ng〜2μgの間のDNAを、1〜20μLの体積で添加する。試験管をアルミニウムホイルで包み、細胞を光から遮蔽して、そして30℃で穏やかに攪拌しながら一晩インキュベーションする。全0.3mL細胞懸濁物を、適切な抗生物質または選択剤を含有するBG−11Mプレート上にプレーティングする。プレートを一定の光の中、30℃で、単一コロニーが出現するまで、およそ5日間インキュベーションする。
[00243]また、S.エロンガトゥス内に、融合タンパク質遺伝子のライブラリーを送達する効率的な方法として、大腸菌およびS.エロンガトゥスの間の細菌コンジュゲート化を用いてもよい(Tsinoremas 1994、Elhai 1994)。
[00244]単離されたコロニーを再ストリークするか、または抗生物質の存在下で液体培養中で増殖させて、挿入物に関して選択し続けることも可能である。形質転換細胞を誘導剤の存在下で増殖させて、融合タンパク質の発現を活性化させることも可能である(すなわち、Ptrcプロモーターを用いる場合、IPTGの存在下で)。
迅速増殖/高バイオマス表現型に関するスクリーニング
[00245]S.エロンガトゥスのPCC7942実験室株(Ruffing 2011)に、融合遺伝子を含有するプールされたライブラリーを形質転換し、そして次いで、プラスミドの存在に関して選択し、そして融合タンパク質の発現を誘導する条件下で増殖させる。すべての培養を、光照射されたラックおよび光照射された軌道プラットフォーム振盪装置中の注意深く調節された一定条件下で増殖させて、選択の均一性を維持する。
[00246]2つの異なるアプローチを用いて、より高い増殖率および/またはより高いバイオマス集積率を持つ形質転換体に関して、選択するかまたはスクリーニングする。これらのうちの一方は、より大きいサイズのコロニーに関して形質転換プレートをスクリーニングする工程を伴い、一方、他方は、アルギン酸ビーズ中に被包し、そして増殖させた、シアノバクテリア微小コロニーを、FACSソーティングを用いて単離する。
[00247]より大きいコロニー:固形培地上のスクリーニングは、個々のクローンまたは形質転換体の可視化を可能にするため、より大きいコロニーとして明らかに可視である、迅速な増殖に寄与する遺伝子を発現している形質転換体を同定するために、特に有用である。倍加時間の数パーセント程度の小さい相違が、コロニーサイズの測定可能な相違を導きうる。例えば、6時間=360分間の平均倍加時間の株の6日間=144時間の増殖期間は、24回の倍加を可能にし、一方、342分間の、5%より迅速な平均倍加時間を持つ株は、25.3回倍加し、コロニーサイズに明らかに反映される、細胞数の2.5倍の相違を導く。こうしたスクリーニングは、他の研究者によって用いられてきており、酵母においてエタノール耐性に寄与する遺伝子の単離のため、用いられてきている(Hong 2010)。
[00248]より大きいコロニーに関してスクリーニングする際、偽陽性が生じる可能性があり、これは、細胞分裂速度の増加または平均細胞サイズの増加以外の理由のためにコロニーサイズが改変されるものであろう。こうした偽陽性の例は、より平らなコロニーまたはコロニーの縁から広がる傾向を持つ、高い運動性を持つ細胞を含有するコロニーである。これらの偽陽性を迅速に排除するため、各候補コロニーを、針金またはプラスチックループでスクリーニングプレートから持ち上げるかまたは掻き取り、そして少量の液体培地に懸濁する。細胞懸濁物の半量を、フローサイトメーターで計数し、細胞数、および細胞サイズの指標である細胞の光散乱特性を決定する。10の対照コロニー中に見られる平均細胞数よりも2標準偏差を超える細胞数のコロニー、または細胞サイズの比例的に類似の増加を持つ細胞を含有するコロニーのみが、さらなる性質決定および検証のために保持される。
[00249]ゲル微小ビーズ中の被包:アルギン酸またはアガロースゲル微小ビーズまたは微小滴中の被包は、多様な環境条件における増殖が可能な微生物の単離に、高い栄養素濃度では増殖不可能な微生物の培養に、あるいは微生物株または微生物混合物の増殖アッセイの実行に、成功裡に用いられてきている。ゲル微小ビーズ内に被包された個々の微生物は、増殖するにつれて、ビーズ内に微小コロニーを形成し、そして微小ビーズ内部の微小コロニーサイズを反映する、微小ビーズの側方散乱特性に基づく蛍光活性化細胞ソーティングによって分離可能である。
[00250]液体培地でプレートを湿らせ、そして4〜5mmガラスビーズの延展作用を用いて、寒天マトリックスからコロニーを分離することによって、シアノバクテリア形質転換体をプレートから除去する。懸濁された形質転換細胞を、産生に用いたサブライブラリーに対応してプールし、そして各プールの一部を凍結保存する。公表されたプロトコル、ならびにOne Cell Systems Incによって販売される被包材料および装置を用いて、個々のシアノバクテリア細胞をゲル微小滴中に被包する。微小滴組成物を調整して、細胞分裂の正常な速度での滴内のS.エロンガトゥス細胞の均質な増殖を可能にする。
[00251]細胞を、50mlあたり10微小滴の密度で、照明バイオリアクターまたは増殖フラスコ中、一定の振盪を加えながら増殖させる。多数の細胞が同じ微小滴内に被包される可能性を減少させるため、細胞密度を調整して、およそ10%の微小滴が細胞を含有するようにし、>90%提示信頼性で10形質転換体の全ライブラリーを提示するには、およそ3x10微小滴(培地総体積1.5L中)を必要とする。
[00252]数日間増殖させた後、遠心分離によってゲル微小ビーズを収集し、そして蛍光活性化細胞ソーティングによってソーティングする。側方散乱において平均より2標準偏差高い微小コロニーを含有するゲル微小小滴を単離し、液体培養に戻し、そしてさらに数日間増殖させて、シアノバクテリア細胞が過剰増殖して微小小滴を破裂させるのを可能にする。こうした培養からDNAを単離し、そして大腸菌におけるプラスミド・レスキューに用いる(Dolganov 1993)。レスキューされたプラスミドを分子の集団として精製し、そしてS.エロンガトゥスに再導入し、そして被包、増殖およびソーティング・プロセスを反復する。
バイオマスおよび増殖率に関する活性融合遺伝子の性質決定および検証
[00253]プレート上で、または微小滴培養中で生じる関心対象の表現型を持つ細胞のコロニーまたは集団を摘み取り、拡大し、そして大腸菌におけるプラスミド・レスキューに用いる(Dolganov 1993)。4つの大腸菌コロニーを各S.エロンガトゥス形質転換体に関して摘み取るか、または200の大腸菌コロニーを微小小滴の各集団から摘み取る。DNAを単離し、そして制限消化によってチェックする。次いで、表現型確認のため、プラスミドDNAをS.エロンガトゥスに再導入する。
[00254]単純化するため、96ウェル形式で行う標準増殖率およびバイオマスアッセイを用いて、この方式で単離したすべてのプラスミドを検証する。検証しようとする各S.エロンガトゥス形質転換体由来の細胞を、自動化フローサイトメーターを用いて計数し、そして同じ標準的細胞密度に希釈する。各細胞培養100μlアリコットを96ウェルプレート中のウェルに添加し、これを覆い、そして蒸発を最小限にする条件下、照明下で穏やかに攪拌しながらインキュベーションする。数日増殖させた後、各培養の少量のアリコットをフローサイトメトリーによって分析して、細胞密度および平均細胞サイズを決定する。各培養の残りを水で洗浄して塩を取り除き、細胞ペレットを乾燥させて、そして重量測定し、乾燥重量を測定する。結果を表にして、生じた培養の細胞数、細胞サイズ、または乾燥重量に対して最大の影響を持つ、最も有望な融合遺伝子構築物の選択を可能にする。
アルコール耐性に関するスクリーニング
[00255]4つの異なるアプローチを用いて、ブタノールまたはエタノール許容性形質転換体に関して選択するかまたはスクリーニングする。これらの2つは、生存選択を伴い、致死濃度のブタノールを用いて、アルコールで生き延びる能力を持つ細胞を単離する。他の2つのアプローチは、ブタノールまたはエタノールの致死量以下の濃度の存在下で改善された増殖特性を持つ細胞を単離することを目的とする。選択/スクリーニングは、固形培地上での増殖および選択を伴うか、または固形培地上でのスクリーニングと液体培地中での増殖を組み合わせるかいずれかを伴う。ブタノールに関する選択およびスクリーニング・アプローチを表6の例として要約し、ブタノール濃度範囲は、イソブタノールおよびn−ブタノールに関する公表された情報に基づいて概算される(Atsumi 2009、Kamarainen 2012)。列「インキュベーション時間」は、ブタノールの存在下で形質転換体が培養された時間の量を指す。また、アルコール耐性またはアルコール許容性細胞を単離するために用いるのと同じ方法を用いて、ブチルアルデヒドなどの他の毒性化合物に対する、または高塩および高温などの非生物ストレスの他の条件に対する許容性に関して選択し、そしてスクリーニングすることも可能である。
[00256]あるいは、形質転換体を、バルクで、液体培養中、細胞の増殖および耐性特性の多様なタイプに関して選択する条件下で培養する。4つの選択スキームには、正確なプレーティングまたは培養条件、および各選択のための最適なブタノール濃度に到達するため、後にバルクS.エロンガトゥス形質転換体とともに用いる細胞密度のもとでの、注意深い力価決定が先行する。注意深く制御された一定の条件下で、すべての培養を増殖させて、選択における均一性を維持する。
[00257]固形培地上での選択およびスクリーニングのため、ランダム化融合ポリペプチド・ライブラリーの形質転換後、形質転換体を、抗生物質を欠く液体培地中、30℃で6時間、照明下であらかじめ培養する。次いで、抗生物質およびIPTGを液体培養に添加して、プラスミドの存在に関して選択し、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現を誘導し、そして形質転換体をさらに1時間培養する。次いで、培養を希釈して、プレートあたりの形質転換体数をほぼ管理可能であるようにする(選択するかまたはスクリーニングする特質に応じて、10cmプレートあたり、およそ2000〜20000コロニー)。培養を固形培地上でプレーティングし、この培地組成は、選択する特質に応じ、例えばブタノールを含有するBG11M寒天である。表6を参照されたい。プレートを30℃で数日間インキュベーションし、そしてコロニー摘み取り、プラスミド単離、表現型検証および活性ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの性質決定のため、その時点で選択する(以下を参照されたい)。コロニー選択は、コロニーサイズ(増殖率および増殖収率を反映し、増殖率、低温増殖および増殖収率特性に影響を及ぼすポリヌクレオチドを同定するために用いられる)に基づいて、または陽性選択に基づいて、すなわち大多数の形質転換体がプレート上で増殖するのに失敗し、そして関心対象のランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを含有するもののみが増殖する場合(高温、塩または有機溶媒の許容性に影響を及ぼすランダム化融合ポリヌクレオチドを同定するために用いられる)のいずれかで行われる。
[00258]固形培地上のスクリーニングは、個々のクローンまたは形質転換体の可視化を可能にするため、より大きいコロニーとして明らかに可視である、迅速な増殖に寄与するランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを発現している形質転換体を同定するために、特に有用である。倍加時間の数パーセント程度の小さい相違が、コロニーサイズの測定可能な相違を導きうる。例えば、6時間=360分間の平均倍加時間の株の6日間=144時間の増殖期間は、24回の倍加を可能にし、一方、342分間の、5%より迅速な平均倍加時間を持つ株は、25.3回倍加し、コロニーサイズに明らかに反映される、細胞数の2.5倍の相違を導く。こうしたスクリーニングを任意の培地条件で行ってもよく、例えば、致死量以下の量の阻害剤、例えば塩、エタノールまたはブタノールの存在下で、あるいは致死量以下の高温または低温下で、増殖率に関してスクリーニングすることが可能である。類似のスクリーニングが、エタノール許容性に寄与する遺伝子の単離に関して、他の研究者によって用いられてきている(Hong 2010)。
[00259]液体培地中の選択およびスクリーニングは、一般的に、バルク選択として行われる。ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーのコンピテント細胞への形質転換後、形質転換体を、抗生物質を欠く液体培地中であらかじめ、30℃で6時間、照明下で培養する。次いで、抗生物質およびIPTGを液体培養に添加して、プラスミドの存在に関して選択し、そしてランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの発現を誘導し、そして形質転換体をさらに1時間培養する。次いで、培養を、抗生物質およびIPTGを含有し、そして表6に列挙するようなブタノールなどの選択剤を含有する新鮮な培地中、2〜10倍希釈する。細胞に課される選択のタイプに応じて、培養を30℃で、またはさらに24時間から数日間、増殖させる。その時点で、細胞を遠心分離によって採取し、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを含有するDNAを、染色体DNA単離法(Clerico 2007)を用いて抽出し、プラスミドを大腸菌においてクローニングし、バルクで調製し、そしてS.エロンガトゥスの形質転換および選択を反復する。形質転換を固形培地上にプレーティングし、個々の形質転換体の選択を可能にする前に、この方式で2またはそれより多い周期のバッチ選択を行い、その後、コロニー摘み取り、プラスミド単離、表現型検証および活性融合ポリヌクレオチドの性質決定を行ってもよい(以下を参照されたい)。
[00260]生存選択または迅速分裂細胞のための選択のいずれかとして、液体中の選択を行ってもよい。致死濃度の選択剤(すなわち、本実施例では、塩、エタノールまたはブタノール)の存在下で、あるいは致死性の高温または低温で、そして特定の期間(一般的に12時間またはそれより長い)、生存選択を行う。選択期間後、選択培養を新鮮な非選択性培地中で希釈するか、または温度を37℃に戻して、いかなる生存細胞も正常増殖を再開するようにする。上述のように、生存細胞を含有するこの培養を増殖させ、染色体DNAを抽出し、プラスミドを大腸菌においてクローニングし、そして必要であれば、バッチ選択を反復する。
[00261]あるいは、液体培養中での選択を行って、致死量以下の濃度の選択剤(すなわち、本実施例では、塩、エタノールまたはブタノール)の存在下で、迅速な増殖に関して選択する。この場合、選択条件下で維持された、形質転換体の液体培養は、対数中期(一般的に、選択条件の重度に応じて、増殖の2〜5日間)までの増殖を可能にされる。この時点で、培養中の細胞の大部分は、生存していることが期待されるが、選択条件下で、培養は、正常の迅速な増殖が可能である細胞に関して濃縮される。細胞を遠心分離によってペレットにし、染色体DNAを抽出し、プラスミドを大腸菌においてクローニングし、そして必要であれば、バッチ選択を反復する。あるいは、致死量以下の増殖条件から採取した細胞を、致死量または致死量以下の濃度のブタノールまたは別の選択剤を含有する固形培地上でプレーティングして、選択剤の存在下で増殖が可能な、または増殖が加速しているコロニーの視覚的選択を可能にしてもよい。
アルコール許容性に関する活性融合遺伝子の性質決定
[00262]選択プレート上で生じるブタノール耐性表現型を持つコロニーを摘み取り、拡大し、そして大腸菌におけるプラスミド・レスキューに用いる(Dolganov 1993)。4つの大腸菌コロニーを各S.エロンガトゥス形質転換体に関して摘み取り、DNAを単離し、そして制限消化によってチェックする。次いで、表現型確認のため、プラスミドDNAをS.エロンガトゥスに再導入する。
[00263]単純化するため、96ウェル形式で行う2つの標準的ブタノール許容性アッセイを用いて、すべてのプラスミドをチェックする。2つのアッセイは、液体培養中で、それぞれ、致死および致死量以下の濃度のブタノールを用いる。致死条件下での培養期間後、または致死量以下の条件下での増殖の数継代後、培養を連続希釈し、そして固形培地上にスポットして、生存細胞の密度を評価する。これらのアッセイによって、必要な対照を用いたすべての単離プラスミドの迅速でそして均質な試験が可能になり、そしてブタノールの存在下での生存または増殖利点を与える融合遺伝子の迅速な検証が可能になる。
[00264]また、より広く、増殖または許容性表現型に関して、活性プラスミドの再形質転換を試験する。増殖率および増殖収率特性に関して、これは、形質転換体を低細胞密度でプレーティングし、そして対照形質転換体に比較して、生じたコロニーのサイズを観察するか、あるいは液体培養中で、選択条件を伴いまたは伴わず、倍加時間または細胞ペレットサイズを、対照株の増殖率に比較する工程を伴う。耐性表現型(温度、エタノールおよびブタノール)に関して、再スクリーニングは、形質転換体の固形培地上への複製プレーティング(すなわち96ピンツールを用いた、プレート上への96ウェルプレートからの複製)および選択条件下での増殖を伴い、各形質転換の増殖の度合いを対照に比較する。あるいは、形質転換を液体培養中の選択条件に曝露した後、非選択固形培地上にピンツールによって複製して、生存コロニーの数に反映される、各培養中の細胞生存の度合いを評価する。
[00265]特定の候補ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを、元来選択していた表現型の授与に関して、または別の表現型に関してのいずれかで、試験してもよい。細胞増殖およびストレス耐性に関連する多様な表現型は、交差反応性でありうる。例えば、ブタノール許容性の授与に関して選択されるランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドはまた、エタノール許容性、温度許容性、塩許容性等も与えうる。多様な条件下でランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを徹底的に交差試験することによって、多様な非生物ストレス条件下で、細胞増殖を前進させる広範囲の能力を持つランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを発見することが可能である。
[00266]最も劇的なまたは広い表現型を与える融合遺伝子発現構築物を配列決定して、活性遺伝子を同定する。結果を表にし、そして最適な融合遺伝子を将来の研究のために選択する。別個の融合遺伝子内に反復して同定される配列を、ORFコレクションの部分として、将来のスクリーニングに用いてもよい。望ましい表現型を与えることがすでに知られる遺伝子を含有するORFコレクションは、本提案に記載する全ゲノムORFコレクションよりも小さい可能性もあり、より小さいライブラリー・サイズ、より安価でそしてより迅速なスクリーニング、ならびに、真核藻類および植物を含む、より複雑なゲノムおよびより低い形質転換効率を持つ生物への適用可能性を含めて、多くの利点が生じる。
[00267]ORFコレクションのサイズを限定すると多くの利点があり、その最も重要なものは、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドの生じるライブラリー中に提示される対の組み合わせの数がより小さいことである。より低い複雑性のライブラリーは、より複雑なライブラリーよりも、より迅速にそしてより安価にスクリーニング可能であり、そして可視スクリーニングおよび陽性選択を伴う、上に列挙したものよりも、より複雑な表現型に関してスクリーニング可能である。より低い複雑性のライブラリーはまた、(数千の数のORFコレクションから生じる)数千万の配列の組み合わせを含有するライブラリーをスクリーニングすることが現実的でないかまたは妥当に可能ではない可能性もあるが、(数百の数のORFコレクションから生じる)数十万の配列の組み合わせを含有するライブラリーをスクリーニングするために適している可能性もある、より低い形質転換効率を持つ生物における試験も可能にする。
結果の評価および結論
[00268]ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチドを構築しそして試験するこのアプローチを実施する際、結果を、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド・ライブラリーを構築するために用いたものと同じ遺伝子コレクションの単純な過剰発現から得られたものに比較することが可能である。こうした実験の経過で生じたデータによって、各アプローチで単離される活性遺伝子の数、活性遺伝子の頻度(すなわちスクリーニングする1000遺伝子あたり)および生じる表現型の性質の比較が可能になる。これらの3つの計量は、ランダム化インフレーム融合ポリヌクレオチド技術がシアノバクテリアの有用な表現型を操作する有望性を保持するかどうかを決定する際に非常に重要である。
参考文献
[00397]本明細書に引用するすべての刊行物、データベース、GenBank配列、特許および特許出願は、本明細書において、各々が特にそして個々に本明細書に援用されると示されるように、本明細書に援用される。

Claims (7)

  1. ポリヌクレオチド・ライブラリーを産生する方法であって、以下:
    (a)生物の完全長オープンリーディングフレームをプライマーセットを用いて増幅することにより、互いに異なる配列を有する複数のポリヌクレオチドを含む第一のコレクションを生成する、ここで当該プライマーセットは、発現ベクターのプロモーター領域の一部である16ヌクレオチドの配列を含む5’プライマーおよび配列番号25103に示される配列の一部に対して相補的な16ヌクレオチドの配列を5’端において含む3’プライマーを含む;
    (b)生物の完全長オープンリーディングフレームをプライマーセットを用いて増幅することにより、互いに異なる配列を有する複数のポリヌクレオチドを含む第二のコレクションを生成する、ここで当該プライマーセットは、配列番号25103に示される配列の一部である16ヌクレオチドの配列を含む5’プライマーおよび発現ベクターのターミネーター領域と相補的な16ヌクレオチドの配列を5’端において含む3’プライマーを含む;および、
    (c)工程(a)のコレクションを工程(b)のコレクションとランダムな様式で融合して、互いに異なる配列を有する複数のランダムに組み合わされたポリヌクレオチドを含むライブラリーを産生する、ここでそれぞれのランダムに組み合わされたポリヌクレオチドは、2つの完全長非同一オープンリーディングフレームをインフレームでともに連結することにより産生される単一の融合ポリペプチドをコードする単一のオープンリーディングフレームを含み、ここで、1つの完全長オープンリーディングフレームは工程(a)に由来し、そして1つの完全長オープンリーディングフレームは工程(b)に由来する;
    を含む、前記方法。
  2. 工程(a)および工程(b)の5’プライマーが、ATG開始コドンをさらに含む、請求項に記載の方法。
  3. 工程(b)の5’プライマーが、配列番号25101に示される配列をさらに含む、請求項に記載の方法。
  4. 工程(b)の3’プライマーが、配列番号25102に示される配列をさらに含む、請求項に記載の方法。
  5. 工程(a)の3’プライマーが、配列番号25100に示される配列をさらに含む、請求項に記載の方法。
  6. 工程(a)のプライマーセットが配列番号25099に示される配列を含む5’プライマーおよび配列番号25100に示される配列を含む3’プライマーを含み、そして工程(b)のプライマーセットが配列番号25101に示される配列を含む5’プライマーおよび配列番号25102に示される配列を含む3’プライマーを含む、請求項に記載の方法。
  7. 工程(a)のプライマーセットが配列番号25127に示される配列を含む5’プライマーおよび配列番号25128に示される配列を含む3’プライマーを含み、そして工程(b)のプライマーセットが配列番号25129に示される配列を含む5’プライマーおよび配列番号25130に示される配列を含む3’プライマーを含む、請求項に記載の方法。
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