JP6229196B2 - 特性インピーダンスを調整可能な伝送線路 - Google Patents

特性インピーダンスを調整可能な伝送線路 Download PDF

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Description

本発明は、高周波電気信号を正確に伝送するため、適切な特性インピーダンスに調整可能な電線、同軸ケーブルやフィーダー線、ワイヤハーネスなどの伝送線路に関する。
近年、大容量高速通信の必要性から、電子機器の内外伝送線路として、信号の品質を維持しつつ高速で伝送できる、電線やケーブルが求められている。信号の品質を保ちながら高速に伝送できる伝送線路として、差動伝送用に開発された電線やケーブルが用いられることがある。
特許文献1では絶縁層を押し出し成形によって形成しており、またシールド層はめっき技術によって導電層を形成している。
特許文献2では、フラットケーブルの隣会う導電体間を接着剤によって絶縁し、絶縁フィルム、および不織布を、フラットケーブルの導電体と、シールド層をなす最外層の金属箔との絶縁を保つために用いている。
特許文献3の図1では、中心導体が複数の導電体素線からなっており、その各々の導電体素線は、密集して一本の円柱のように並列し、一列に配列されていない。
特開2006−221991号公報 特開2011−204503号公報 特開2012−243560号公報
本発明は、電子機器が信号品質を保ちながら高速信号伝送を行う、高周波伝送線路に必要とされる、特性インピーダンスの調整を簡単に行え、多品種少量生産に適した伝送線路を提供する。
近年の大容量高速化が進む電子機器においては、機器内外部に用いられる伝送線路には多種の要求仕様がある。伝送線路の長さ、太さ、条数、伝送損失、特性インピーダンス等、電子機器の用途毎に複雑多岐にわたる。
例えば、通信機器に必要とされる伝送線路は、特性インピーダンスが50Ωまたは75Ωの同軸ケーブルが多い。一方、その通信機器とともに用いられるアンテナの内部配線には特性インピーダンスが50Ωまたは75Ωの平行二線の伝送線路が必要とされる。
それ以外にもアンテナ内部配線には、特性インピーダンスが200Ωや300Ωの平行二線の伝送線路が用いられることも多く、いずれも場合も一つのアンテナに必要な伝送線路は、長さは短いが、特性インピーダンス、太さ、同軸と平行二線の違い等、要求される仕様は多岐にわたる。
伝送線路の特性インピーダンスZは、伝送線路の単位長さ当たりの静電容量をC、自己インダクタンスをLとした時、(数1)で表される。
静電容量Cと自己インダクタンスLは、絶縁層材料の誘電率と透磁率、絶縁層の厚さと導電体の形状で決定される。一般に、伝送線路の特性インピーダンスを任意に調整するには、絶縁層の厚さと導電体の断面形状を同時に変化させる必要がある。
特許文献1では、絶縁層が樹脂の押し出しにより成形される。樹脂の押し出し成形は、樹脂を溶かして導電体の周囲に成形するための金型を必要とし、樹脂の溶ける温度に金型を加熱しなければならない。伝送線路の特性インピーダンスは、導電体周囲の絶縁層としての樹脂の厚さに大きな影響を受ける。このため、金型の温度、樹脂を押し出す速度、成形後の樹脂の冷却等を厳密に調整する必要がある。
特許文献1等の従来の製造法は、金型を使って樹脂の加熱冷却が必要なため、生産設備が大型になり、一回の生産に一定量以上の生産量を要求され、多品種少量生産には適していなかった。このため電子機器に必要な伝送線路は、市販されている定番品から選ばざるをえず、電子機器の回路開発上の制約にもなっている。
特許文献2のフラットケーブルでは、特性インピーダンスを決定している主たる材料は接着剤である。接着剤が、隣合う導電体間の間隔を一定に保ち絶縁することで、特性インピーダンスを決定している。絶縁フィルム、および不織布は、フラットケーブルが屈曲するとき、フラットケーブルの厚みの局所的微少な変化を吸収するために使われており、特性インピーダンスを一定に保つ作用を積極的に担っているものではない。
特許文献2のような接着剤は、一般に誘電体損失が大きい材料であり、通常の伝送線路に絶縁層として使われる、フッ素樹脂やポリエチレン等と比べると伝送損失が大きくなる。
伝送線路を電気信号が伝送する時、絶縁層のもつ誘電体損失によって電気信号は減衰を受ける。誘電体損失が最も小さい材料は空気であり、絶縁層に空気を含有させることで誘電体損失を減らすことができる。
上記目的を達成するために、絶縁性の糸を巻きつけ導体に絶縁層を形成し、絶縁層に空隙を含ませた伝送線路で解決できる。
即ち(1)、円形断面を有する二本の導電体素線を並列した導電体、及び二本の導電体素線の周囲に一括して絶縁性の糸を巻き付けて形成された絶縁層を備える、電気的に絶縁された電線を平行に二本並べた伝送線路であって、伝送線路の任意の位置での断面において、伝送線路を構成している四本の導電体素線の断面中心点が、長方形または正方形の各頂点の位置に設定された伝送線路にある。
そして(2)、細長形状の導電体及び前記導電体の周囲に絶縁性の糸を巻き付けて形成される絶縁層を備える、電気的に絶縁した電線を平行に二本並べた伝送線路であって、前記電線の導電体は複数の細長形状の導電体素線が平行に並んで構成されており、前記電線は、任意の位置での断面において全ての導電体素線が一列に配列して、前記二本の電線が、断面形状の長辺側を互いに接して正対する位置関係に設定された伝送線路にある。
そして(3)、外周に細長形状の導電体箔を巻き付けて形成された導電層を備える、上記1または上記2に記載の伝送線路にある。
そして(4)、一本の円形断面を有する導電体、及び前記導電体の周囲に絶縁性の糸を巻き付け形成される絶縁層を備える電気的に絶縁した電線と、電線の周囲に細長形状の導電体箔を巻き付けて形成される導電層とを備えた伝送線路にある。
本発明の伝送線路は、上記のように構成されているので、同軸、平行二線、両形態の伝送線路について、特性インピーダンスを容易に調整可能で、伝送損失を低減できる。
本発明の伝送線路では、絶縁性の糸を導電体に巻きつけ絶縁層を形成するため、微視的には糸の太さ分だけ、絶縁層の厚さが周期的に変化する。しかし、その周期は伝送線路に伝送する高周波電気信号の波長よりも、十分に小さいため厚さの変化は無視でき、一定厚さの絶縁層と見なせる。このように、絶縁層の厚さは巻きつける糸の太さだけで決定されるので、従来の金型による樹脂の押し出し成形のように、被覆厚さの厳密な制御のための生産設備の調整を必要とせず、伝送線路の品質の安定化が図られ、多品種少量生産に適した伝送線路が実現する。
本発明の伝送線路では、糸で形成された絶縁層は空隙を含むので、糸材質単体の誘電率よりも、絶縁層全体としての等価的な誘電率は小さくなる。絶縁層内部に分布する空隙の間隔は、伝送線路を伝送する高周波電気信号の波長よりも十分小さいことにより、絶縁層の等価誘電率を計算することが可能で、絶縁層を形作る糸の体積と空隙の体積との比から、等価誘電率を計算することができる。このことで、空隙を含んだ絶縁層からなる伝送線路の伝送損失は、空隙を含まない絶縁層からなる伝送線路の伝送損失よりも小さくなる。
このように従来の電線製造のような金型を必要とすることなく、糸を適切に選択することで、特性インピーダンスを適切な値に調整した低伝送損失の伝送線路が実現できる。また、必要な時に必要なだけの生産が可能で、少量でも仕様に合わせた伝送線路を生産できる。
本発明の典型的な伝送線路の断面図である。 二本の平行な円形断面導電体から成る伝送線路の、単位長さの静電容量と自己インダクタンスと、特性インピーダンスとの関係を説明するための図である。 伝送線路を構成する両方の導電体が、それぞれ所用数の導電体素線からなる断面図である。 図1の本発明の典型的な伝送線路に細長形状の導電体箔を巻いて導電層を形成し、特性インピーダンスを調整した伝送線路の断面図である。 図3の伝送線路に細長形状の導電体箔を巻いて導電層を形成し、特性インピーダンスを調整した伝送線路の断面図である。 本発明の伝送線路が一本の電線で構成されている例で、導電体が一本の円形断面導電体素線からなる場合の断面図である。 図1の構成をとり56dtexの糸で絶縁層を形成したときの、導電体素線の径と伝送線路の特性インピーダンスとの関係を表す図である。 図4の構成をとり56dtexと33dtexの糸で絶縁層を形成したときの、導電体素線の径と伝送線路の特性インピーダンスとの関係を表す図である。 図6の構成をとり、それぞれ84dtex、56dtex、33dtexの糸で絶縁層を形成したときの、導電体素線の径と伝送線路の特性インピーダンスとの関係を表す図である。 図3の構成の伝送線路の変形例で、一本の導電体素線で導電体が設定され33dtexの糸で絶縁層を形成した伝送線路の断面図である。
以下、実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、二本の電線2で構成された典型的な伝送線路1の断面図である。二本の円形断面導電体素線4aを接触させて並列し、電気的に一つの導電体として、これらの導電体素線4aの周囲に一括して絶縁性の糸を巻き付け絶縁層3が形成されることで、電線2は構成されている。そして、同一断面を持つ二本の電線2を、四本の導電体素線4aの断面中心点が、長方形または正方形の各頂点の位置となるように配置して伝送線路1を構成している。防水や引っ張り強度の向上など必要に応じ、伝送線路1の外周に補強材を配設してもよい。
絶縁層3は、たとえば組み紐を製造する製紐機によって、導電体の周囲に糸を巻き付けて形成することが可能で、繊維製品製造技術を応用して、必要な時に必要な量だけ生産する多品種少量生産を実現できる。絶縁層3を形成した電線2に、後述するように細長形状の導電体箔を巻き付ける工程も、同じ製紐機が利用可能で、たとえば金属箔を細く裁断した平箔糸を、上記製紐機に懸架することで巻き付け可能である。
絶縁層3に用いられる糸の繊維材料としては、フッ素繊維、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系繊維が適しており、ポリエチレンテレフタレート、PBT(ポリブチレンレテフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)等のポリエステル系繊維、ナイロン(ポリアミド繊維)、アラミド(芳香族ポリアミド繊維)、アクリル等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の化学繊維、綿、麻、ウール、絹等が挙げられる。そして、これらの繊維素材を、撚糸、紡績、混繊、カバーリング、組紐等の方法により複合して均一な太さの糸を製造することができる。
導電体素線4aに用いられる材料としては、銀、銅、金、アルミニウム等の金属や、糸など長尺品に金属めっきを施した材料が挙げられる。
図2の、二本の円形断面導電体6から成る伝送線路の特性インピーダンスZは、(数1)で決定されるので、伝送線路の単位長さ当たりの静電容量Cと自己インダクタンスLをそれぞれ調整することで、特性インピーダンスZを調整することができる。
伝送線路の単位長さ当たりの静電容量Cと自己インダクタンスLは、伝送線路を構成する二つの導電体の直径とその間の距離、導電体間を充填している材料の誘電率と透磁率によって決まる。図2に示すように、平行な二本の半径rの円形断面をもつ導電体6からなる伝送線路で、導電体の中心間の距離をd、導電体間を満たす絶縁体11の誘電率をε 、透磁率をμとすると、単位長さ当たり静電容量Cは(数2)で表され、自己インダクタンスLは(数3)で表される。(数2)、(数3)は厳密な式で、伝送線路が図2に示すような単純な形状の導電体と、導電体間が一様な材料で満たされ絶縁されているときに成立する。実際の伝送線路では(数2)、(数3)は、設計の指針として使われる。
本発明の伝送線路では、糸の太さだけで絶縁層の厚さを決定できる。(数2)、(数3)のd、即ち図2の距離dは、図1の伝送線路1では絶縁層3の厚さに対応する。また、複数の導電体素線を組み合わせることで(数2)、(数3)にある導電体の直径2rと導電体間の距離dとの比を等価的に制御することになる。たとえば、後述する図3のよう
に導電体断面の縦横比が大きくなると、(数2)、(数3)の等価的な導電体の直径2rと導電体間の距離dとの比d/2rは小さくなる。よって、静電容量Cは大きくなり自己インダクタンスLは小さくなるので、導電体断面の縦横比を大きくすることによって特性インピーダンスは小さくなり、絶縁層を形成する糸の太さの選定と同時に調整することで、特性インピーダンスの設定範囲が広くなる。
(数2)、(数3)の誘電率ε、透磁率μは、本発明の伝送線路では絶縁層の誘電率と透磁率に対応する。絶縁層を形成する絶縁性の糸は、通常、非磁性体であり絶縁層の透磁率は空気と同じになる。本発明の伝送線路では、絶縁層が糸で構成され、絶縁層の中に空隙を含むことになるため、絶縁層全体としての誘電率は、糸の材料単体の誘電率より空隙の体積分だけ小さい等価的な誘電率になる。
特性インピーダンスを調整するには、(数2)、(数3)に示される絶縁層の厚さdを、伝送線路全体に渡って厳密に一定にする必要がある。特許文献1のような従来の電線製造法では、金属線の周囲に金型を使い樹脂成形を行い絶縁層を形成する。このとき樹脂を充填する速度や樹脂の温度、電線を引く速度、生産装置の振動、冷却速度等の調整度合いにより、絶縁層の厚さが変動し特性インピーダンスに影響を及ぼす。本発明では、導電体を巻いている糸の太さによって、絶縁層の厚さが決定されるので、伝送線路全体で絶縁層の厚さを一定にすることができ、また適切な糸の選定によって厚さを容易に調整することができる。
本発明では、導電体素線を組み合わせ任意の断面を持つ伝送線路が可能で、自己インダクタンスLと静電容量Cとの組み合わせで、伝送線路に対する様々な要求仕様の特性インピーダンスに対応する事ができる。
図3は、別の実施形態の断面図である。伝送線路1’は、平行に配列された二本の電線2’から構成されている。電線2’は、導電体の周囲に絶縁層3を形成して、電気的に絶縁されている。導電体は複数の形状の異なる細長形状の導電体素線4bを並列させ、一列に配列して構成されており、絶縁層3は絶縁性の糸を巻き付けて形成されている。
電線2’は、隣会う導電体素線4bが接触することで、電気的に一つの導電体となり、絶縁性の糸で絶縁されている。二本の同一断面を持つ電線2’は、断面形状の長辺側を互いに接するように正対する位置関係に設定されている。防水や引っ張り強度の向上など必要に応じ、伝送線路1’の外周に補強材を配設してもよい。
図4は、図1に示す伝送線路1の変形例に関する伝送線路1’’の断面図である。伝送線路1の周囲に細長形状の導電体箔を巻き付けて形成された導電体層5が設けられている。導電体箔としては、銀、銅、金、アルミニウム等の金属箔が挙げられる。防水や引っ張り強度の向上など必要に応じ、伝送線路1’’の外周に補強材を配設してもよい。
伝送線路1の周囲に導電層5を設けることで、静電シールド効果が得られ外部からの電磁気的雑音に対する耐性が高まる。加えて、(数1)の伝送線路の単位長さ当たりの静電容量Cが大きくなるので、図1の構成の伝送線路1よりも、周囲に導電層5を設けた伝送線路1’’の特性インピーダンスは小さくなる。
図5は、図3に示す伝送線路1’の変形例に関する伝送線路1’’’の 断面図である。伝送線路1’の周囲に細長形状の導電体箔を巻き付けて形成された導電体層5が設けられている。伝送線路1’の周囲に導電層5を設けることで、静電シールド効果が得られ外部からの電磁気的雑音に対する耐性が高まる。加えて、(数1)の伝送線路の単位長さ当たりの静電容量Cが大きくなるので、図3の構成の伝送線路1’よりも、周囲に導電層5を設けた伝送線路1’’’の特性インピーダンスは小さくなる。防水や引っ張り強度の向上など必要に応じ、伝送線路1’’’の外周に補強材を配設してもよい。
図6は、別の実施形態に関する断面図である。伝送線路10は一本の円形断面を有する導電体素線4cの周囲に、絶縁性の糸を巻き付け形成された絶縁層3を備える電線2’’と、電線2’’の周囲に細長形状の導電体箔を巻き付けて形成された導電層5とで構成されている。伝送線路10は同軸ケーブルの構成になっており、防水や引っ張り強度の向上など必要に応じ、伝送線路10の外周に補強材を配設してもよい。伝送線路10は、導電体素線4cの直径と絶縁層3を形成する糸の太さを調整することで、特性インピーダンスを調整できる。
本発明の伝送線路の絶縁層は絶縁性の糸によって構成されているので、絶縁層には空隙が含まれることになり、絶縁層の誘電率は糸の材質単体の誘電率よりも小さくなる。前述のポリプロピレン糸を使って絶縁層を形成した場合、実測すると糸を巻きつけ形成した絶縁層の比誘電率は1.4前後の値になり、ポリプロピレン単体の比誘電率2.3よりも小さくなる。
糸を巻いて絶縁層とすることで、絶縁層に空隙を含み、絶縁層全体としての等価的な誘電率が小さくなることは、伝送線路の伝送損失を低減するように作用する。伝送線路の伝送損失には、導電体の電気抵抗に起因する成分と絶縁層の誘電体損失に起因する成分がある。絶縁層に含まれる空隙は、誘電体損失を減らすように働くので、伝送線路の損失を低減する効果がある。
この絶縁層の空隙が伝送損失を低減させる効果は、図1、図3、図4、図5、図6、後述する図10の伝送線路に共通している。
このように本発明の伝送線路では、後述する実施例図7、図8、図9から、平行二線、同軸、両形態の伝送線路に対して、導電体の形状、絶縁性糸の太さと材質、導電体箔で巻くか否かによって、特性インピーダンスを調整することができるので、伝送線路に要求される様々な仕様を満たした多品種少量生産に対応した伝送線路の生産が可能である。
<実施例1>
図1の構成で、円形断面導電体素線4aを直径0.2mmの銅、56dtexの太さのポリプロピレン製の糸を使って絶縁層3を形成した時、伝送線路1の特性インピーダンスは120Ωになる(図7)。
上記伝送線路は、直径0.2mmの二本の銅線の周囲に、56dtexのポリプロピレン糸を16本用いて、ブレーディングマシン(株式会社コクブンリミテッド製:101−C中型キャリアブレーダー)により2/2の丸打ち組紐加工で絶縁層を形成した電線を、二本正対させて試作した。
この特性インピーダンスは、4ポートネットワークアナライザを使って実測したものである。(56dtexは長さ1万mで質量56gの糸)
前記伝送線路1において、円形断面導電体素線4aを直径0.27mmの銅に換えた時、上記と同じように測定すると、特性インピーダンスは100Ωになる。同じく、円形断面導電体素線4aが直径0.52mmの銅では50Ωの特性インピーダンスになる(図7)。
<実施例2>
図4の構成で、細長形状の銅箔を用い導電層5を形成し、円形断面導電体素線4aを直径0.2mmの銅、33dtexの太さのポリプロピレン製の糸を使って絶縁層3を形成した時、伝送線路1’’の特性インピーダンスは40Ωになる。また、円形断面導電体素線4aを直径0.27mmの銅に換えた時、特性インピーダンスは35Ωになり、円形断面導電体素線4aを直径0.1mmの銅に換えた時の特性インピーダンスは49Ωになる(図8)。
<実施例3>
円形断面導電体素線4cを直径0.2mmの銅、絶縁層3の形成に33dtexのポリプロピレン製の糸を使い、細長形状の銅箔で導電層5を形成した、図6の構成の伝送線路10は75Ωの特性インピーダンスになる。また、円形断面導電体素線4cを直径0.27mmの銅に換えると、50Ωの特性インピーダンスになる。円形断面導電体素線4cが、直径0.1mmの銅では100Ωの特性インピーダンスになる(図9)。
56dtex、84dtexの糸で絶縁層を形成すると、それぞれ図9のような特性インピーダンスが得られる。
<実施例4>
図1の構成の伝送線路1の周囲に導電層5を設けた構成の図4の伝送線路1’’は、導電層5を設けない伝送線路1よりも、特性インピーダンスは小さくなる。図7と図8で、56dtexの糸で同じ厚みの絶縁層3を形成し、直径が等しい銅を円形断面導電体素線4aとしたとき、導電層5を設けた伝送線路1’’は導電層5を設けない伝送線路1に対して、特性インピーダンスは58%に小さくなる。
<実施例5>
図10は、図3の伝送線路1’を変形した実施例で、導電体は一本の導電体素線4dからなり、33dtexの糸で絶縁層3を形成した電線2’’’を二本正対させて構成した伝送線路20の断面図である。導電体素線4dは、縦1mm、横2mmの長方形断面をもつ銅で、この伝送線路20の特性インピーダンスは35Ωになる。
本発明の伝送線路では、平行二線の特性インピーダンスを広範囲の値に厳密に制御することが可能で、差動伝送用の高速伝送線路に適している。図6に示される同軸ケーブル型の伝送線路10においても、この伝送線路10を二本使い、二本の導電体素線4cを平行二線として使用することで差動伝送が可能である。
高速大容量化が進む電子機器に使われる伝送線路では、差動伝送による電気信号伝送が行われるようになってきている。差動伝送では、平行二線伝送線路が用いられ特性インピーダンスを厳密に調整することが要求される。加えて、信号の品質を保つことのできる信号伝送が求められており、本発明は低伝送損失の伝送線路として有用である。
1 1’ 1’’ 1’’’ 10 20 伝送線路
2 2’ 2’’ 2’’’ 電線
3 絶縁層
4a 4b 4c 4d 導電体素線
5 導電層
6 導電体
11 導電体間を充填する絶縁体

Claims (3)

  1. 円形断面を有する二本の導電体素線を並列した導電体、及び二本の導電体素線の周囲に一括して絶縁性の糸を巻き付けて形成された絶縁層を備える、電気的に絶縁された電線を平行に二本並べた伝送線路であって、伝送線路の任意の位置での断面において、伝送線路を構成している四本の導電体素線の断面中心点が、長方形または正方形の各頂点の位置に設定された伝送線路。
  2. 細長形状の導電体及び前記導電体の周囲に絶縁性の糸を巻き付けて形成される絶縁層を備える、電気的に絶縁した電線を平行に二本並べた伝送線路であって、前記電線の導電体は複数の細長形状の導電体素線が平行に並んで構成されており、前記電線は、任意の位置での断面において全ての導電体素線が一列に配列して、前記二本の電線が、断面形状の長辺側を互いに接して正対する位置関係に設定された伝送線路。
  3. 外周に細長形状の導電体箔を巻き付けて形成された導電層を備える、請求項1または請求項2に記載の伝送線路。
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