JP6225136B2 - 推定方法および推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、推定方法および推定装置に関する。
一般に、高分子材料を屋外で使用すると、紫外線により光酸化劣化して強度や伸び等の物性が低下する。強度や伸び等の物性は、高分子材料の分子量に関連があることが知られている。例えば、分子量が高いほど、強度が高いことや、ある程度分子量が低下するまで強度が低下しにくいことが知られている(非特許文献1参照)。また、紫外線により光酸化劣化して分子量が低下すると、分子鎖が切断されて短くなるために、強度や伸び等の物性が低下することが知られている(非特許文献2,3参照)。そのため、高分子材料の分子量と強度や伸び等の物性との間には正の相関があると考えられてきた。
しかしながら、高分子材料が屋外暴露もしくは促進耐候性試験により光酸化劣化して強度や伸び等の物性が低下しても、分子量が増加したケースも報告されている(非特許文献4参照)。この場合、分子量と強度や伸び等の物性との間には、負の相関があることになる。
なお、光酸化劣化の過程では、ラジカルが関与して、分子鎖が切断されて低分子量化する反応と、ラジカル再結合により高分子量化する反応とが起こることが知られている(非特許文献5参照)。
本間,「プラスチックの実用強さと耐久性2」,プラスチックス,Vol.54,No.11,p.95-102 本間,「プラスチックの実用強さと耐久性7」,プラスチックス,Vol.55,No.4,p.143-152 海老沢、他2名,「分子量および分子量分布からみたポリエチレンの紫外線劣化」,高分子論文集,1979年,Vol.36,No.12,p.791-795 J.L.Angulo-Sanchez,H.Ortega-Ortiz,S.Sanchez-Valdes,"Photodegradation of Polyethylene Films Formulated with a Titanium-Based Photosensitizer and Titanium Dioxide Pigment",Journal of Applied Polymer Science,1994,Vol.53,p.847-856 J.F.Rabek,"Polymer Photodegradation:Mechanisms and Experimental Methods",London,Chapman and Hall,1995,p.24-30
高分子材料のうち、ポリエチレンについて、屋外暴露もしくは促進耐候性試験により光酸化劣化して強度や伸び等の物性が低下しても、分子量が増加したり低下したりすることが報告されている。このように、光酸化劣化により強度や伸び等の物性が低下した場合に、分子量が増加する場合も低下する場合もあるとすれば、分子量と強度や伸び等の物性との関係が不明確で、分子量から試料の光酸化劣化による強度や伸び等の物性の低下の度合いを推定することが困難である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光酸化劣化により分子量が増加したり低下したりする高分子材料の強度や伸び等の物性の低下の度合いを精度高く推定することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る推定方法は、推定装置で実行される推定方法であって、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について測定された物性と、該複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料および未知の条件下で光酸化劣化した推定対象の該高分子材料について測定された分子量分布とを記憶する記憶部を参照し、前記分子量分布から分子量を表す複数の分子量パラメータを算出する分子量パラメータ算出工程と、前記複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について、前記物性を従属変数とし、偏回帰係数の正負が異なる複数の前記分子量パラメータを説明変数とする重回帰分析を行う重回帰分析工程と、前記推定対象の高分子材料について、前記分子量パラメータと前記重回帰分析工程において得られた重回帰式とを用いて、物性の推定値を算出する物性推定工程と、を含んだことを特徴とする。
本発明によれば、光酸化劣化により分子量が増加したり低下したりする高分子材料の強度や伸び等の物性の低下の度合いを精度高く推定することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る推定装置の概略構成を示す模式図である。 図2は、本実施形態の物性情報のデータ構成例を示す図である。 図3は、本実施形態の分子量情報のデータ構成例を示す図である。 図4は、本実施形態の物性情報と分子量情報とを統合した図である。 図5は、本実施形態の光酸化劣化の過程を説明するための説明図である。 図6は、本実施形態の光酸化劣化の機構を説明するための説明図である。 図7は、本実施形態の光酸化劣化の機構を説明するための説明図である。 図8は、本実施形態の推定処理手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
[推定装置の構成]
図1は、本実施形態に係る推定装置の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、推定装置1は、ワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータで実現され、測定部2、表示部3、記憶部4および制御部5を備える。
測定部2は、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料の物性および分子量分布を測定する。具体的に、測定部2は、物性測定部21および分子量分布測定部22を備える。物性測定部21は引張試験機等の物性測定装置で実現され、高分子材料の強度や伸び等の物性を測定する。また、分子量分布測定部22は、ゲル浸透クロマトグラフィー装置等で実現され、高分子材料の分子量分布を測定する。
本実施形態では、高分子材料として例えば1mm厚のポリエチレンを様々な条件で光酸化劣化させて作製された複数の試料について、物性測定部21が物性を表す物性パラメータとして引張強度(以下、最大引張強度とも記す。)を測定し、分子量分布測定部22が分子量分布を測定する。
ここで、物性測定部21が測定する物性パラメータは、引張強度に限定されない。例えば、物性測定部21は、物性を表す物性パラメータとして曲げ強度、伸び等を測定してもよい。
光酸化劣化の条件として、例えば、1ヶ月、2か月、3ヶ月の各期間、屋外に暴露する。または、48時間、72時間、96時間の各期間、ブラックパネル温度を60℃として紫外線蛍光ランプ式の促進耐候性試験装置で劣化させる。または、24時間、36時間、48時間の各期間、ブラックパネル温度を80℃として紫外線蛍光ランプ式の促進耐候性試験装置で劣化させる。または、100時間、200時間、300時間の各期間、ブラックパネル温度を63℃としてキセノンアークランプ式の促進耐候性試験装置で劣化させる。または、50時間、100時間、150時間の各期間、ブラックパネル温度を73℃としてキセノンアークランプ式の促進耐候性試験装置で劣化させる。または、24時間、48時間、72時間の各期間、メタルハライドランプ式の促進耐候性試験装置で劣化させる。このような様々な条件下で光酸化劣化させたポリエチレン試料が作製される。なお、光酸化劣化の条件はこれに限定されない。
表示部3は、液晶ディスプレイなどの表示装置、プリンターなどの印刷装置等によって実現され、測定部2によって測定された測定結果や、後述する推定処理により推定された推定結果等を出力する。
記憶部4は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、測定部2によって測定された測定結果や、後述する推定処理により推定された推定結果等を記憶する。記憶部4は、LANやインターネットなどの電気通信回線を介して制御部5と通信する構成でもよい。
記憶部4は、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について測定された物性を記憶する。また、記憶部4は、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料および推定対象の未知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について測定された分子量分布を記憶する。
具体的に、記憶部4に記憶される測定結果には、物性情報41、分子量分布情報42および分子量情報43が含まれる。図2は、物性情報41を例示する図である。物性情報41は、物性測定部21により測定され、図2に例示するように、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料と各高分子材料の引張強度(MPa)の測定値とを含む。図2には、例えば、劣化品1は、3ヶ月屋外暴露されることにより光酸化劣化した高分子材料であり、その引張強度は15.5MPaであることが示されている。
なお、物性情報41には、光酸化劣化していない高分子材料についての測定値が含まれてもよい。この場合、後述する分子量分布情報42にも光酸化劣化していない高分子材料について測定された分子量分布が含まれ、分子量情報43にも光酸化劣化していない高分子材料について算出された分子量パラメータ値が含まれる。
分子量分布情報42は、分子量分布測定部22により測定された各高分子材料の分子量分布を示す情報である。分子量分布情報42には、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料についての分子量分布と、未知の条件下で光酸化劣化した後述する推定処理における推定対象の高分子材料についての分子量分布が含まれる。
また、分子量情報43は、分子量分布情報42の分子量分布から算出された各高分子材料の分子量を表す情報である。図3は、分子量情報43を例示する図である。図3に例示するように、分子量情報43は、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料と、各高分子材料の分子量を表す分子量パラメータとしての数平均分子量Mn、ピークトップ分子量Mp、および重量平均分子量Mwの各算出値とを含む。図3において、各分子量パラメータ値は、光酸化劣化する前の初期値を100%として規格化された残率(%)、すなわち初期値の何%の値になるかで表されている。図3には、例えば、劣化品1は、3ヶ月屋外暴露されることにより光酸化劣化した高分子材料であり、Mnの残率は120.0%、Mpの残率は65.0%、またMwの残率は105.0%であることが示されている。
なお、これらの分子量パラメータ値は、後述するように、分子量分布測定部22により測定された分子量分布情報42の分子量分布から、分子量パラメータ算出部51により算出される。また、分子量情報43には、未知の条件下で光酸化劣化した後述する推定処理における推定対象の高分子材料についての分子量パラメータ値が含まれる。
制御部5は、メモリに記憶された処理プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等を用いて実現され、処理プログラムを実行することにより、分子量パラメータ算出部51、重回帰分析部52、および物性推定部53として機能する。
分子量パラメータ算出部51は、測定された分子量分布から分子量を表す複数の分子量パラメータを算出する。具体的に、分子量パラメータ算出部51は、測定部2が測定した測定結果の分子量分布情報42を記憶部4から抽出し、各高分子材料について、分子量分布から分子量を表す分子量パラメータであるMn、Mp、Mwの値を算出する。算出された分子量情報43(図3参照)は、記憶部4に記憶される。なお、分子量パラメータ算出部51は、後述する重回帰分析部52で説明変数として使用される分子量パラメータの値のみを算出するようにしてもよい。
ここで、図4を参照して、物性と分子量との相関について説明する。図4は、図2に例示した物性情報41と図3に例示した分子量情報43とを統合した図である。図4に示すように、光酸化劣化により同程度に引張強度が低下した試料同士を比較すると、光酸化劣化の条件により、分子量分布や各分子量パラメータの値が大きく異なる。例えば、屋外暴露で光酸化劣化させた試料(劣化品1)、紫外線蛍光ランプ式の促進耐候性試験装置で光酸化劣化させた試料(劣化品8〜11)では、MnとMwとがほぼ増加している一方で、Mpは低下している。また、キセノンアークランプ式の促進耐候性試験装置で光酸化劣化させた試料(劣化品2〜5)では、紫外線の強さや設定温度の違いにより、Mn、Mwが低下するものと増加するものとが混在する。メタルハライドランプ式の促進耐候性試験装置で光酸化劣化させた試料(劣化品6〜7)では、Mn、Mp、Mwの全てが低下している。とくに、Mpは、全ての試料において光酸化劣化により低下しており、引張強度と正の相関があることがわかる。このように、分子量パラメータの種類により光酸化劣化時の値の変化挙動が異なることがわかる。
次に、図5〜7を参照して光酸化劣化の機構について説明する。光酸化劣化の過程では、図5に例示するように、ラジカルが関与した反応が起こる。すなわち、式(2.14)および式(2.15)に示すように、ノリッシュ反応により分子鎖が切断されて低分子量化される反応と、式(2.35)および式(2.36)に示すように、ラジカル再結合により高分子量化される反応とが起こる(非特許文献5参照)。
当初から高分子量化するように設計された高分子材料では、分子構造が規則的であるため、高分子量化するほど強度や強度低下耐性の向上が見込まれる。一方、高分子材料が屋外暴露または促進耐候性試験による光酸化劣化で高分子量化する場合、ラジカル再結合による高分子量化の反応がランダムに発生する。
この場合、高分子量化する前の高分子材料では、図6に例示するように、分子鎖同士が互いに独立している。そのため、伸びがよく、また、引張応力が特定の分子鎖に集中することなく分散されるため、引張強度も高い。
一方、光酸化劣化により高分子量化した高分子材料では、図7に例示するように、分子鎖同士が結合するため、破線で囲んだ領域A、Bに示すように、伸びる余地が減少して伸びが低下する。また、破線で囲んだ領域Aに示すように、複数の分子鎖にかかる引張応力が特定の分子鎖に集中して切断されやすくなるため、もしくは引張応力が集中し、その分子鎖と隣の分子鎖との間がずれるため、引張強度が低下する。
重回帰分析部52は、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について、物性を従属変数とし、偏回帰係数の正負が異なる複数の分子量パラメータを説明変数とする重回帰分析を行う。具体的に、重回帰分析部52は、図4に例示した物性情報41および分子量情報43を用いて、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について、最大引張強度(MPa)を従属変数とし、光酸化劣化時の値の変化挙動が異なるMpとMwとを説明変数とする重回帰分析を行って、次式(1)に例示する重回帰式を得る。
Figure 0006225136
上記式(1)の重回帰式において、Mpの偏回帰係数(=0.114)は正の値であることから、Mpの残率と引張強度とは正の相関があることがわかる。一方、Mwの偏回帰係数(=−0.046)は負の値であって、Mwの残率と引張強度とは負の相関があることがわかる。このように、偏回帰係数の正負の符号が異なる2つの説明変数を用いて重回帰分析を行うことにより、精度よく従属変数の引張強度を表すことができる。
例えば、光酸化劣化によりMpが低下しMwが増加した試料Aと、光酸化劣化によりMp、Mwがともに低下した試料Bについて、引張強度が近似している場合に、MpのみあるいはMwのみでは引張強度を精度よく表すことができない。このように、MpおよびMwの値が大きく異なるにも関わらず引張強度が近似している試料A、Bについて、上記式(1)により精度よく引張強度を表すことができる。このようにして得られた重回帰式により、引張強度の推定対象の高分子材料について、精度高く引張強度を推定することができる。
なお、光酸化劣化していない高分子材料についての物性の測定値および分子量パラメータの算出値があれば、上記の重回帰分析を行う際に適用してもよい。
物性推定部53は、推定対象の高分子材料について、分子量パラメータと重回帰分析により得られた重回帰式とを用いて、物性の推定値を算出する。具体的に、物性推定部53は、引張強度の推定対象の試料について、分子量分布測定部22が測定した分子量分布を用いて分子量パラメータ算出部51が算出したMpおよびMwを、上記式(1)に例示される重回帰式に代入して、引張強度の推定値を得る。
例えば、引張強度の推定対象の試料Cについて、Mwはその残率が130%と増加し、Mpはその残率が55%と低下した。この試料Cでは、Mwが増加していることから、重量ベースではラジカル再結合により高分子量化した分子の割合が増加していることがわかる。また、Mpが低下していることから、分子鎖が切断され分子量が低下した分子の数が増加していることがわかる。
また、引張強度の推定対象の試料Dについて、Mwの残率が70%、Mpの残率が25%と、Mw、Mpがともに低下した。この試料Dでは、MwもMpも低下していることから、ラジカル再結合による高分子量化はあまり発生せず、分子鎖の切断による分子量の低下が著しいことがわかる。
この場合に、上記式(1)により、試料Cの引張強度は14MPa、試料Dの引張強度は14MPaと推定された。その後、試料C、Dについて、引張強度を測定したところ、いずれも14MPa前後であることが確認され、上記式(1)により精度よく推定できることが確認された。
なお、推定装置1は必ずしも測定部2を備える必要はない。その場合、推定装置1は、外部の測定装置が測定した測定値を収集して物性情報41および分子量分布情報42とすればよい。
[推定処理手順]
次に、図8のフローチャートを参照して、推定装置1における推定処理手順について説明する。図8のフローチャートは、例えば、操作者による開始を指示する操作入力があったタイミングで開始される。
まず、制御部5が、複数の高分子材料について、測定部2が測定した物性および分子量分布の測定値を収集する(ステップS1)。具体的に、制御部5は、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について、物性測定部21が測定した物性の測定値を、物性情報41として記憶部4に記憶させる。また、制御部5は、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料および未知の条件下で光酸化劣化した推定対象の高分子材料について、分子量分布測定部22が測定した分子量分布の測定値を、分子量分布情報42として記憶部4に記憶させる。
次に、分子量パラメータ算出部51が、分子量パラメータを算出する(ステップS2)。具体的に、分子量パラメータ算出部51は、記憶部4から分子量分布情報42を抽出し、各高分子材料の分子量分布の測定値から分子量を表す複数の分子量パラメータを算出して、分子量情報43として記憶部4に記憶させる。
次に、重回帰分析部52が、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について、物性を従属変数とし、偏回帰係数の正負が異なる複数の分子量パラメータを説明変数とする重回帰分析を行って、重回帰式を作成する(ステップS3)。
具体的には、重回帰分析部52が、記憶部4から物性情報41と分子量情報43とを抽出する。そして、重回帰分析部52が、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について、物性の測定値と分子量パラメータの算出値とを用いて、物性を従属変数とし、偏回帰係数の正負が異なる複数の分子量パラメータを説明変数とする重回帰分析を行って、重回帰式を作成する。
次に、物性推定部53が、推定対象の高分子材料について、分子量パラメータと重回帰式とを用いて、物性値を推定する(ステップS4)。また、物性推定部53は、推定した物性値等の推定結果を記憶部4に記憶させる。これにより、一連の推定処理が終了する。
なお、ステップS1の処理は、推定処理が開始される前に予め行ってもよい。また、ステップS2の処理における分子量パラメータ値の算出は、推定処理が開始される前に予め行ってもよい。
以上、説明したように、推定装置1では、記憶部4に、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について測定された物性を示す物性情報41と、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料および未知の条件下で光酸化劣化した推定対象の高分子材料について測定された分子量分布を示す分子量分布情報42とが記憶される。そして、分子量パラメータ算出部51が、分子量分布から分子量を表す複数の分子量パラメータを算出して分子量情報43として記憶部4に記憶させる。また、重回帰分析部52が、複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について、物性を従属変数とし、偏回帰係数の正負が異なる複数の分子量パラメータを説明変数とする重回帰分析を行う。そして、物性推定部53が、推定対象の高分子材料について、分子量パラメータと重回帰分析により得られた重回帰式とを用いて、物性の推定値を算出する。
これにより、光酸化劣化時の値の変化挙動が異なる分子量パラメータを説明変数として従属変数である物性を表す重回帰式を得ることができる。したがって、光酸化劣化により分子量が増加したり低下したりする高分子材料の強度や伸び等の物性の低下の度合いを精度高く推定することができる。
なお、高分子材料は、ポリエチレン以外のポリオレフィン材料でもよい。ポリオレフィン材料の光酸化劣化の機構は共通しているためである。あるいは、高分子材料は、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、あるいはポリウレタン系樹脂、あるいは、分子構造内にエチレン基が重合したポリエチレン構造を有する樹脂のいずれかであって、非架橋タイプの構造のものでもよい。ここで、非架橋タイプの構造とは、光酸化劣化する前の初期状態で、各分子の分子鎖は多少の枝分かれ構造を有するもののその主鎖は1本であって、網目状の構造ではないことを意味する。これら高分子材料は、溶媒に溶けて分子量分布の測定が可能であり、光酸化劣化の機構が上記ポリオレフィンとラジカルが介在する点で共通しているためである。また、高分子材料は、上記高分子材料を含む複合材料であってもよく、例えば、プラスチック中に繊維を配置して高硬度化されたFRP(Fiber Reinforced Plastics)でもよい。
また、分子量パラメータは、Mn、Mw、Mpに限定されない。例えば、Z平均分子量Mz、微分分子量分布曲線における10、10あるいは10等の特定の分子量Mに対するdw/d(Log(M))、積分分子量分布曲線における積算10%、積算50%あるいは積算90%等の特定の積算値に対する分子量等を分子量パラメータとしてもよい。
その場合に、上記式(1)に例示する重回帰式の説明変数は、劣化時の値の変化挙動が異なる組み合わせであればよい。すなわち、重回帰式の偏回帰係数の正負が異なる2以上の説明変数の組み合わせであればよく、3以上でもよい。例えば、Mwに加え、あるいはMwの代わりに、Mn、Mz、微分分子量分布曲線における特定の分子量Mに対するdw/d(Log(M))、あるいは積分分子量分布曲線における特定の積算値に対する分子量等を用い、これらの分子量パラメータとMpとを説明変数としてもよい。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 推定装置
2 測定部
21 物性測定部
22 分子量分布測定部
3 表示部
4 記憶部
41 物性情報
42 分子量分布情報
43 分子量情報
5 制御部
51 分子量パラメータ算出部
52 重回帰分析部
53 物性推定部

Claims (6)

  1. 推定装置で実行される推定方法であって、
    複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について測定された物性と、該複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料および未知の条件下で光酸化劣化した推定対象の該高分子材料について測定された分子量分布とを記憶する記憶部を参照し、
    前記分子量分布から分子量を表す複数の分子量パラメータを算出する分子量パラメータ算出工程と、
    前記複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について、前記物性を従属変数とし、偏回帰係数の正負が異なる複数の前記分子量パラメータを説明変数とする重回帰分析を行う重回帰分析工程と、
    前記推定対象の高分子材料について、前記分子量パラメータと前記重回帰分析工程において得られた重回帰式とを用いて、物性の推定値を算出する物性推定工程と、
    を含んだことを特徴とする推定方法。
  2. 前記分子量パラメータは、数平均分子量、ピークトップ分子量、重量平均分子量、Z平均分子量、微分分子量分布曲線における特定の分子量Mに対するdw/d(Log(M))、または積分分子量分布曲線における特定の積算値に対する分子量であることを特徴とする請求項1に記載の推定方法。
  3. 前記物性は、前記高分子材料の強度または伸びのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の推定方法。
  4. 前記高分子材料は、光酸化劣化する前の初期状態において、非架橋タイプの構造をもつことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の推定方法。
  5. 前記高分子材料は、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、または分子構造内にエチレン基が重合したポリエチレン構造を有する樹脂のいずれか1つであることを特徴とする請求項4に記載の推定方法。
  6. 複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について測定された物性と、該複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料および未知の条件下で光酸化劣化した推定対象の該高分子材料について測定された分子量分布とを記憶する記憶部と、
    前記分子量分布から分子量を表す複数の分子量パラメータを算出する分子量パラメータ算出部と、
    前記複数の既知の条件下で光酸化劣化した高分子材料について、前記物性を従属変数とし、偏回帰係数の正負が異なる複数の前記分子量パラメータを説明変数とする重回帰分析を行う重回帰分析部と、
    前記推定対象の高分子材料について、前記分子量パラメータと前記重回帰分析部により得られた重回帰式とを用いて、物性の推定値を算出する物性推定部と、
    を備えることを特徴とする推定装置。
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