JP6224114B2 - 吸収率を改善した半透明光電陰極 - Google Patents

吸収率を改善した半透明光電陰極 Download PDF

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Description

本発明は、半透明光電陰極の一般分野、より詳細には、例えばイメージ増強管や光電子増倍管などの電磁放射検出器によく使用されるアンチモン及びアルカリ金属型、又は酸化銀(AgOCs)型半透明光電陰極に関する。
従来技術
例えばイメージ増強管や光電子増倍管などの電磁放射検出器は、電磁放射を光又は電気出力信号に変換することにより電磁放射を検出可能である。
電磁放射検出器は、通常、電磁放射を受け取りその電磁放射に応じて光電子の流れを放射する光電陰極と、前記光電子の流れを受け取りその光電子に応じて、いわゆる二次電子の流れを放出する電子増倍管装置と、次に前記二次電子の流れを受け取りその二次電子に応じて出力信号を放出する出力装置とを有する。
図1に示されたように、そのような光電陰極1は、通常、透明支持体層10と、前記支持体の面12上に付着された光電子放出材料の層20とを含む。
支持体層10は、入射光子を受け取るためのいわゆる受光前面11と、その反対側の後面12とを有する。支持体層10は、入射光子に対して透明であり、したがって1に近い透過率を有する。
光電子放出層20は、支持体層10の後面12に接する上流面21と、その反対側にあり、生成された光電子が放射される下流面22(放射面と呼ばれる)とを有する。
したがって、光子は、受光面11から支持体層10を通り、次に光電子放出層20に入る。
次に、光子は、光電子放出層20に吸収されて電子正孔対を生成する。生成された電子は、光電子放出層20の放射面22に移動し、真空中に放射される。実際には、電子の動きがガス分子の存在によって妨げられないように、検出器内に真空が生成される。
次に、光電子は、マイクロチャネルプレートや1組のダイノードなどの電子増倍管装置に導かれ加速される。
量子収率と呼ばれる光電陰極収率は、従来、受け取った入射光子の数に対する放射された光電子の数の比率によって定義される。
これは、特に、入射光子の波長と光電子放出層の厚さに依存する。
例示のため、S25型光電陰極の場合、量子収率は、500nmの波長で約15%である。
量子収率は、より正確には、光電子放出現象の前述の3つの主段階、即ち、入射光子の吸収及び電子正孔対の形成と、生成された電子の光電子放出層の放射面までの輸送と、真空中の電子の放射とに依存する。
これらの3つの段階は、それ自体の収率を有し、3つの収率の積が、光電陰極の量子収率を定義する。
しかしながら、吸収段階と輸送段階の収率は、光電子放出層の厚さに直接依存する。
したがって、吸収段階の収率εは、光電子放出層の厚さの増加関数である。光電子放出層が厚いほど、入射光子の数に対する吸収光子の数の比率が高くなる。吸収されなかった光子は、光電子放出層を介して送出される。
他方、輸送段階の収率εは、生成された電子に対する放射面に達する電子の比率であり、光電子放出層の厚さの減少関数である。層の厚さが大きいほど収率εが低くなる。実際には、移動する距離が大きいほど、生成された電子が正孔と再結合される確率が高くなる。
したがって、吸収率εと輸送率εの積を最大にすることで量子収率を最大にする最適な厚さがある。
例示のため、イメージ増強管内によく使用されるS25型光電陰極の場合、SbNaK又はSbNaKCsからなる光電子放出層の最適厚さは、通常、50〜200nmである。
図2は、そのような光電子放出層に関して、吸収率εの時間経過を、入射光子の波長と、入射光子の反射率ε”と光電子放出層を通過した入射光子の透過率ε’の関数として示す。
大きい波長の場合、特に波長が光電子放出しきい値に近い場合、吸収率εは大幅に減少し、透過率ε’が増大する。
したがって、波長800mの入射光子の場合、入射光子の40%だけが吸収されるが、60%は光電子放出層を透過する。
吸収率を高めるために光電子放出層の透過率を小さくして量子収率を高めるには、特に大きい波長では、解決策は、前記層の厚さを大きくすることでありえる。
したがって、厚さを前述の光電子放出層の280nmまで大きくすると、800mの波長の場合、吸収率が40%ではなく64%になり、透過率が36%まで低下する。
しかしながら、生成された電子が、光電子放出層の放射面まで移動するための距離が遠くなって再結合される可能性が高くなる場合に、輸送率が大幅に低下する。
したがって、光電子放出層の厚さを大きくすると、吸収率が改善されるが、特に大きい波長では、輸送率が低下するので、量子収率が高くならない。
本発明は、主に、高い入射光子吸収率を有しまた電子の輸送率が維持された光電子放出層を有する光子検出器用の半透明光電陰極を提供することを目的とする。
このため、本発明の1つの目的は、
前記光子を受け取る前面と反対側の後面とを有する透明支持体層と、
前記後面上に設けられ、反対側の放射面を有する光電子放出層と、を備え、前記光電子放出層は、前記支持体層から前記光子を受け取り、その光子に応じて前記放射面から光電子を放射するように意図された、光子検出器用の半透明光電陰極を提供することである。
本発明によれば、前記光電陰極は、支持体層内に設けられるとともに、前記後面に配置された、前記光子を回折することができる透過回折格子を備える。
いわゆる半透明光電陰極は、入射光子の受光面と反対側の放射面から光電子が放射される光電陰極のことである。これは、光子の受光面から電子が放射される前記不透明光電陰極と区別される。
支持体層は、入射光子を透過できる場合には透明として示される。したがって、支持体層の透過率、即ち、受け取った光子に対する透過する光子の比率は、ほぼ1である。
したがって、入射光子はいわゆる受光前面から支持層に入り、反対側の後面まで通過する。
したがって、光子は、回折格子によって光電子放出層の方に回折される。
光子は、入射角と実質的に異なる回折角で光電子放出層に入る。
定義上、光子の入射、回折及び屈折角は、対象とする面の法線に対して測定される。したがって、前述の入射角と回折角は、回折格子が提供された支持体層の後面の法線に対して規定される。
光子が、実質的にゼロの入射角で回折格子に達したとき、光子は、ゼロでない回折角で光電子放出層に入る。一般に、入射角の所定の分布に関して、実質的にこれより広い分布の回折角が観察される。
したがって、厚さ方向に沿ってeと示され測定された光電子放出層の厚さに関して、光子に関する平均見掛け上の厚さは、e・E(1/|cosα|)であり、ここで、αは、光子の回折角であり、E(.)は、光子の回折角の角度分布に関して得られた平均を示す。
光電子放出層の吸収率は、光電子放出層の厚さ(この場合は見掛け上の厚さ)の増加関数の場合、前述の先行技術による光電陰極の吸収率より高い。
更に、輸送率は、光子から見た光電子放出層の見掛け上の厚さではなく、その実際の厚さに依存する場合に維持される。実際には、光子が、電子正孔対を生成するとき、生成された電子は、光子の前の伝搬方向にかかわらず放射面に近づく。
したがって、本発明による光電陰極は、光子の高い吸収率と電子の維持された輸送率とを有する。
これにより、光電陰極の量子収率を改善することができる。
先行技術の上述の例により、そのような波長を有する光子が、吸収されるより透過されやすい場合は、大きい波長の量子収率、したがって光電子放出しきい値に近い量子収率が、大幅に高くなることに注意されたい。
前記回折格子は、支持体層の後面にエッチングされると有利である。
前記回折格子は、支持体層の後面を少なくとも部分的に限定するように提供されることが好ましい。
前記回折格子は、支持体層の材料と異なる光学指数を有する材料が充填された周期的配列のパターンから構成されることが好ましい。
上記パターンは、支持体層に提供された正弦波形、段付き、台形又は他の形状を有する所定の窪み、刻み目、凹部、切欠き又は擦り傷である。
好ましくは、一方の前記パターン内にある回折格子の材料の光学指数と、他方の支持体層の材料の光学指数との差は、0.2以上である。
有利には、格子間隔及び/又は回折格子の材料は、光子が、光電子放出層内で、厳密にはarcsin(1/n)より高い回折角で回折されるように選択される。
別の実施形態によれば、光電陰極は、前記光子を回折することができる少なくとも1つの他の回折格子を有し、この回折格子は、支持体層内に位置すると共に、前記第1の回折格子の近くに設けられ、支持体層の材料と異なる光学指数を有する材料で埋められた周期的配列のパターンからなる。
回折格子は、異なる方向に沿って、支持体層の平均厚さに対して無視できる距離互いから離間される。この距離は、当該波長の約10分の1〜10倍である。
前記少なくとも1つの他の回折格子の周期的配列のパターンは、前記第1の回折格子の配列に対して支持体層の厚さ方向に直角方向に沿ってオフセットされてもよい。
あるいは、回折格子と他の回折格子が、同じ平面内に設けられる。
光電子放出層は、アンチモンと少なくとも1つのアルカリ金属とを含むことができる。
そのような光電子放出層は、SbNaKCs、SbNaKCs、SbNaK、SbKCs、SbRbKCs、又はSbRbCsから選択された材料で作成されてもよい。
あるいは、光電子放出層は、AgOCsから形成されもよい。
光電子放出層は、略一定の厚さを有することが好ましい。
光電子放出層は、300nm以下の厚さを有することが好ましい。
本発明は、また、以上の特性のいずれかによる光電陰極と、前記光電陰極によって放射された光電子に応じて出力信号を放出する出力装置とを有する光子検出光学システムに関する。
そのような光学システムは、イメージ増強管又は光電子増倍管でよい。
本発明の更に他の利点及び特性は、以下の詳細な非限定的な記述で明らかである。
本発明の実施形態は、次に、非限定的な例によって、添付図面を参照して述べられる。
既に述べた先行技術の例による光電陰極の概略断面図である。 既に述べた、吸収、透過及び反射率の時間経過の例を、先行技術の例によるS25型光電陰極の厚さ140nm光電子放出層の波長の関数として示す図である。 本発明の第1の好ましい実施形態による光電陰極の概略断面図である。 図3に示された光電陰極の一部分の概略拡大断面図である。 量子収率の時間経過の例を、先行技術による光電陰極と本発明の第1の好ましい実施形態による光電陰極の波長の関数として示した図である。 回折した光子が、光電陰極の放射層で完全に反射される、本発明の別の好ましい実施形態による光電陰極の概略断面図である。 光電陰極が2つの回折格子を有する、本発明の別の好ましい実施形態による光電陰極の概略断面図である。
図3と図4は、本発明の第1の好ましい実施形態による半透明光電陰極1を示す。
図を分かりやすくするために、倍率が考慮されていないことに注意されたい。
本発明による光電陰極1は、例えばイメージ増強管や電子増倍管などの任意のタイプの光子検出器を備えることができる。
光電陰極は、入射光子の流れを受け取り、その光子に応じて光電子と呼ばれる電子を放射する機能を有する。
光電陰極は、透明支持体層10と、光電子放出材料層20と、本発明により、入射光子を回折できる少なくとも1つの回折格子30とを含む。
支持体層10は、光電子放出層20が付着された透明材料層である。
支持体層10は、入射光子が吸収されずに透過する場合に、透明として示される。したがって、支持体層10の透過率は、実質的に1である。
光子受光面と呼ばれる前面11と、その反対側の後面12とを有する。
前記後面12の支持体層10に、少なくとも1つの透過回折格子30が提供される。
図3と図4に示された本発明の好ましい実施形態では、単一の回折格子30が設けられる。
回折格子30は、支持体層10の材料と異なる光学指数を有する材料で満たされた周期的配列のパターン31から構成される。
パターンによって、回折格子30は、支持体層に設けられた正弦波形、段付き、台形又は他の形状を有する所定の窪み、刻み目、凹部、切欠き又は擦り傷であるように意図される。
一方の前記パターン31内にある回折格子30の材料の光学指数と、他方の支持体層10の材料の光学指数との差は、0.2以上である。
回折格子30は、2つの隣り合ったパターン31の間の距離(格子間隔と呼ばれる)によって特徴付けられる。格子間隔は、入射光子を回折できるように、入射光子の波長の関数として定義される。
図4に詳細に示されたように、回折格子30は、支持体層10の後面12に提供されてもよく、それにより、後面12が少なくとも部分的に画定される。
あるいは、回折格子は、支持体層内に設けられ、後面の近くに、支持体層の厚さに対して無視できる距離に配置されてもよい。
支持体層10の後面12が実質的に平面であることに注意されたい。しかしながら、後面12は、光電陰極自体が規定された曲率を有する場合には湾曲されてもよい。
図4では、回折格子30は、支持体層10内にあり、その結果、格子のパターン31を埋める材料が、前記パターンから突出しない。しかしながら、光電陰極を製造する際に分かるように、パターン31を埋める材料は、ある代替案によれば、支持体層の後面12と光電子放出層20との間に層を形成する。
光電子放出層20は、支持体層10の後面12に対して設けられる。
光電子放出層20は、支持体層10の後面12と接触する上流面21と、反対側の光電子放射面と呼ばれる下流面22とを有する。
光電子放出層20は、実質的に一定の平均の厚さ(eと示された)を有する。厚さは、300nm以下であることが好ましい。
光電子放出層20は、適切な半導体材料、好ましくはアンチモン系アルカリ化合物で作成される。そのようなアルカリ材料は、SbNaKCs、SbNaKCs、SbNaK、SbKCs、SbRbKCs又はSbRbCsから選択されうる。光電子放出層20は、酸化銀AgOCsから形成されてもよい。
放射面22を水素、セシウム又はセシウム酸化物で処理して、その電子親和力を低下させることができる。したがって、光電子放出層20の下流放射面22に達した光電子は、自然にその下流放射面22から抽出されて真空に放射されうる。
電子リザーバを構成する電極(図示せず)は、光電子放出層20と接し、電位を発生させる。
電極は、下流放射面22からの電子放出を減少させたり妨げたりしないように、光電子放出層20の側面に提供されてもよい。
電子リザーバは、入射光子によって生成された孔を再結合することを可能にする。したがって、光電子放出層20の全電荷は、略一定のままである。
光電子放出層20が、生成された電子が必然的に放射面22まで移動するように十分に薄いことに注意されたい。
したがって、放射面までの電子輸送を保証するために光電子放出層20の電界を生成しなくてもよい。そのような電界の生成は、実際には、2つのバイアス電極を付着させる必要があり、その一方の電極は、光電子放出層20の上流面21に面し、他方の電極は、下流放射面22に面する。
本発明による光電陰極の動作を以下に述べる。
光子は、支持体層10の受光前面11を介して光電陰極1に入る。
光子は、支持体層10をその後面12まで通る。
次に、光子は、回折格子30によって回折され、光電子放出層20を透過する。光子は、統計的には、絶対値で入射角より実質的に高い回折角を有し、入射角と回折角は、後面12の法線に対して定義される。
より正確には、α=αが、格子上の入射角、f(α)が入射ビームの角度分布、αが回折角の場合、回折ビームの角度分布は、次のように記述することができる。
Figure 0006224114
ここで、Πは、格子の回折像であり、近似は、θ=λ/pにより一次回折に制限することによって行われ、ここで、pは格子空間である。その結果、回折ビームの角度分布は、入射ビームの角度分布より広くなる。電子は、平均見掛け上の厚さを有する光電子放出層20に向かう。
Figure 0006224114
ここで、eは、層の実際の厚さであり、αmaxは、格子上の最大入射角である。
光電子放出層の平均見掛け上の厚さeは、その実際の厚さeより実質的に大きく、換言すると、層内で光子が移動する平均距離は、先行技術より実質的に大きい。その結果、回折された光子が吸収される割合が高くなる。
回折された光子の吸収によって、電子正孔対が生成される。生成された電子は、光電子放出層20内を下流放射面22まで伝播し、そこで真空に放射される。
光電子放出層20内の電子の輸送が、光子の前の伝搬方向に依存しないので、光電子放出層20の輸送率は、回折格子がない先行技術による光電陰極の輸送率と実質的に等しい。したがって、輸送率は維持される。
したがって、本発明による光電陰極1は、高い吸収率と維持された輸送率とを有し、その結果、特にエネルギーが光電子放出しきい値に近い場合に、量子収率が最適化される。
本発明による光電陰極1は、以下のように作成されうる。
支持体層10は、例えば石英又は硼珪酸ガラスの適切な透明材料で作成される。
回折格子30のパターン31は、例えばホログラフィ及び/又はイオンエッチングなどの既知のエッチング技術、更にはダイヤモンド彫刻技術によって、支持体層10の後面12にエッチングされる。
次に、パターン31は、例えばAl(n〜1.7)、TiO(n〜2.3−2.6)、Ta(n〜2.2)、更にはHfOなど、光学指数が支持体層と異なる回折材料で充填される。
この材料は、例えばスパッタリング、蒸発、又は電子ビーム物理蒸着法(EBPVD)などの既知の物理蒸着技術によって付着されてもよい。また、例えば原子層堆積(ALD)などの既知の化学蒸着技術、並びに例えば反応性スプレーングやイオンビーム支援蒸着(IBAD)などの既知のいわゆるハイブリッド技術を使用することもできる。
図4に示された第1の有利な代替案によれば、後面12は、回折格子30のパターン31から突出する余分な回折材料を除去するために研磨される。
第2の選択肢(図示せず)によれば、後面は、後面と同一平面にならないように研磨される。その結果、後面22上に、パターンと連続して、回折材料の均一な層が残る。
代替案と関係なく、薄い拡散障壁を付着させて、光電子放出層の材料と回折格子の材料との間の化学的移動/相互作用を防ぐことができる。拡散障壁の厚さは、十分な薄さ(λ/4未満、好ましくは約λ/10)に選択される。
いかなる場合も、光電子放出層20は、前述の蒸着技術のうちの1つによって付着される。
例示として、本発明の第1の好ましい実施形態によるS25型光電陰極1は、以下の方法で作成することができる。
支持体層10は、石英で作成される。
回折格子30は、支持体層10の後面12に、互いに平行な周期的配列の溝31の形でエッチングされる。
溝31は、幅341nm、深さ362nmである。格子間隔は、2つの隣接し平行な溝31を離す距離であり、795nmである。
溝31は、例えばTiOで埋められ、その光学指数は、2.3〜2.6である。
TiOは、既知の原子層堆積(ALD)技術によって付着されてもよい。
後面12を研磨する段階を行なって、溝31から突出する余分な回折材料を除去する。
これにより、後面12は、実質的に平面であり、支持体層10の材料(石英)によって部分的に制限され、回折格子30の溝31の回折材料(TiO)によって部分的に制限される。
光電子放出層20は、最終的にSbNaK又はSbNaKCsで作成され、実質的に常に厚さ50〜240nmになるように支持体層10の後面12に付着される。
図5は、量子収率の時間経過を入射光子の波長の関数として示し、一方はそのような光電陰極のものであり、他方は前述の先行技術の例による光電陰極のものである。
量子収率が、波長範囲全体にわたって、より詳細には大きい波長で改善されることに注意されたい。
したがって、λ≒825nmの場合、本発明による光電陰極の量子収率は、約18%であるが、回折格子のない光電陰極の場合には約10%であり、量子収率の80%近くの改善が得られる。
図6は、本発明の第2の実施形態による光電陰極を示す。
前述の図3のものと同一の参照数字は、同一の要素又は類似の要素を示す。
光電陰極1は、光子が垂直入射(α=0)で達し、回折され、光電子放出層20に吸収されず、下流放射面22で反射されるように回折格子30が寸法決めされる点だけが、第1の好ましい実施形態と異なる。
あるいは、回折格子30は、平均回折角度α(角度分布F(α)を考慮して)が、厳密にはarcsin(1/n)より高くなるように寸法決めされると有利であり、nは光電子放出層の光学指数である。より正確には、格子の間隔p及び/又はパターン31を埋める回折材料の光学指数は、平均回折角度αが、厳密にはarcsin(1/n)より高くなるように選択される。
したがって、これらの反射された光子は、光子が吸収され電子正孔対が生成されるまで光電子放出層20内に留まる。
これにより、吸収率の向上により、光電子放出層20の光子の透過率を著しく小さくすることができる。
したがって、電子の輸送率が変化しないので、光電陰極の量子収率は、特に光子が、光電子放出しきい値に近いエネルギーを有する場合に、更に改善される。
図7は、上から見た、本発明の第3の実施形態による光電陰極を示し、2つの回折格子30,40が、後面12の支持体層10内にある。
前述の図3のものと同一の参照数字は、同一の要素又は類似の要素を示す。
光電陰極は、支持体層10内に更なる回折格子40が存在する点だけが第1の好ましい実施形態と異なる。
この更なる格子40は、第1の回折格子30の近くに、光子の伝搬方向に沿って第1の回折格子30の上流に提供される。
これらの両方の格子30,40は、好ましくは異なる直角方向に向けられ、また、支持体層の厚さに対して無視できる距離(例えば、約λ/10〜10λの距離)だけ互いに離される。
更なる格子40は、例えば、前述の第1の回折格子30と同じ間隔である。
代替案によれば、第1の回折格子とその他の格子は、同一平面内において二次元パターンにより作成され、その伝達関数は、第1の格子とその他の格子のそれぞれの伝達関数の積である。二次元パターンは、ホログラフィ技術によって得られる。
したがって、2つの直角の格子の仮説では、回折された光子の角度分布は、同じ表記法を維持することにより、次のように記述することができる。
Figure 0006224114
ここで、αとβはそれぞれ、第1の格子の方向に垂直な平面内の光子の入射角と、更なる格子の方向に垂直な平面内の光子の入射角であり、θ=λ/p;θ’=λ/p’であり、ここで、pとp’は、第1の格子と更なる格子の間隔である。
したがって、角度分布は、第1の実施形態ではより広くなり、光子の光電子放出層20の見掛け上の厚さが大きくなり、それにより吸収率が改善される。
この実施形態が2つの回折格子に限定されないことを当業者は理解するであろう。後面の支持体層内に、異なる方向を有するより多くの回折格子があってもよい。
他方、当業者は、単に非限定的な例として述べた本発明に対する様々な変更を行うことができる。
最後に、前述の光電陰極は、光子検出光学システムに組み込まれてもよい。そのような光学システムは、光電子を電気信号に変換するのに適した出力装置を含む。この出力装置は、CCDアレイを含むことができ、光学システムは、電子衝撃CCD(EB−CCD)として知られる。あるいは、出力装置は、薄型不動態化基板上にCMOSアレイを有してもよく、その光学システムは、電子衝撃CMOS(EBCMOS)として知られる。
1:半透明光電陰極
10:透明支持体層
11:前面
12:後面
20:光電子放出層
22:放射面
30:透過回折格子
31:パターン

Claims (13)

  1. 光子検出器のための半透明光電陰極(1)であって、
    前記光子を受け取る前面(11)と反対側の後面(12)とを有する透明支持体層(10)と、
    前記後面(12)上に直接付着されており、反対側の放射面(22)を有する光電子放出層(20)と、を備え、
    前記光電子放出層(20)は、前記支持体層(10)から前記光子を受け取り、前記光子に応じて前記放射面(22)から光電子を放射するよう意図され、
    前記支持体層(10)内に設けられると共に、前記後面(12)に配置され、前記光子を回折することができる透過回折格子(30)を備え、前記後面(12)が実質的に平面であることを特徴とする半透明光電陰極(1)。
  2. 前記回折格子(30)は、前記支持体層(10)の材料と異なる光学指数を有する材料で埋められた周期的配列のパターン(31)で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の光電陰極(1)。
  3. 前記回折格子(30)は、前記支持体層(10)の前記後面(12)と同一平面となることで少なくとも部分的に前記後面(12)の境界を示すように設けられることを特徴とする請求項2に記載の光電陰極(1)。
  4. 前記材料の層は、前記パターンと連続して前記後面上に直接設けられることを特徴とする請求項2に記載の光電陰極(1)。
  5. 前記光子を回折することができる他の回折格子(40)を少なくとも備え、
    前記他の回折格子(40)は、前記支持体層(10)内に配置されると共に、前記回折格子(30)の近くに設けられ、前記回折格子(30)の前記パターンの方向と異なる方向に沿った周期的配列のパターン(41)で構成されたことを特徴とする請求項2に記載の光電陰極(1)。
  6. 前記回折格子(30)と前記他の回折格子(40)は、同一平面内に配置され、二次元パターンで作成されたことを特徴とする請求項5に記載の光電陰極(1)。
  7. 前記光電子放出層(20)は、アンチモンと少なくとも1つのアルカリ金属とを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光電陰極(1)。
  8. 前記光電子放出層(20)は、SbNaKCs、SbNaKCs、SbNaK、SbKCs、SbRbKCs、又はSbRbCsから選択された材料からなることを特徴とする請求項6に記載の光電陰極(1)。
  9. 前記光電子放出層(20)は、AgOCsで形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光電陰極(1)。
  10. 前記光電子放出層(20)は、略一定の厚さを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光電陰極(1)。
  11. 前記光電子放出層(20)は、300nm以下の厚さを有することを特徴とする請求項10に記載の光電陰極(1)。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項による光電陰極(1)と、前記光電陰極(1)によって放射された光電子に応じて出力信号を放出する出力装置とを含む、光子検出光学システム。
  13. EB−CCD又はEBCMOS型のイメージ増強管又は光電子増倍管である、請求項12に記載の光学システム。
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