しかしながら、従来の時計用のバックルでは、生体情報が安定的に測定可能となる、機器の密着性を確保することが困難であるという課題があった。
まず、特許文献1には、2本のバンドの末端側の固定方法(構造)についての記載が見当たらない。仮に、片方のバンドには複数の穴が形成されており、他方のバンドにはピン状のバックルが取り付けられた構成であった場合、装着の度に、バックルを挿入する穴が異なってしまう恐れがあり、測定条件を安定させるのは難しく、使い勝手が悪かった。
また、特許文献1では、表示部やスイッチを備え、腕の幅方向を覆う位の大きなケース部を用いているが、表示部が腕に対して比較的大きなサイズの場合には、この構成では、曲面の有る腕への密着性の確保は難しかった。また、2本のバンドは、ケース部の上下に別部品として取り付けられていると推測されるが、この構成では、2ヶ所の連結部における組み付け公差に起因してがたつきが生じてしまい、やはり腕への密着性の確保を困難にしていた。
さらに、特許文献1に記載のセンサーノード(装置本体)は、正面に表示装置(モニター)とスイッチとを備える他にアンテナのためのスペースも有しており、腕時計と同じかそれ以上の大きさとなる。そのため、大きな装置本体を手首に装着し、その手首が生体情報を検出できる程度に締め付けられるので、長時間装着すると装着者に不快感を与えてしまうおそれがある。また、機器の機能面だけではなく、デザイン性も良くなければ、そもそもユーザーが長時間装着することを妨げるおそれがある。さらに、バンドから装置本体が突出するため、装置本体が衣類の袖に引っ掛かることや障害物等に接触することにより装着者の測定部位から離れたりずれたりしてしまうという課題があった。したがって、装着者の負担が少なく長時間快適に装着でき、かつ、安定した状態で生体情報を測定し続けることができる生体情報測定機器が求められている。
また、特許文献2に記載の生体測定装置用のバンドでは、一部が開放された略U字状の形状を有している。そのため、激しい動作を行った場合や障害物等と物理的に接触した場合等に、生体測定装置が装着者の測定部位から離れたりずれたりしてしまうという課題があった。
また、特許文献3に記載の生体情報管理装置では、手首に装着する腕時計状の装置本体に加えて、別体のセンサー部を指に装着する構成となっている。センサー部の密着性を高めるために、指の根元を締め付けて装着するので、長時間装着すると装着者に指を動かしづらい等の不快感を与えてしまうという課題があった。
また、特許文献4は、腕時計の固定(装着)構造に関する技術であるが、腕時計に要求される装着条件は、測定機器に要求される条件よりも容易なため、生体情報を安定的に測定するのに必要な密着性の確保は難しかった。つまり、腕時計の場合、装着後においてバンドに指一本入る程度の余裕(隙間)を持たせるのが一般的である。これは、腕時計の使用においては時計本体が腕の表裏で回転したり、腕から外れたりすることなどを防止できる程度に装着できれば良いからである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例、態様、または形態として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る生体情報測定機器は、生体情報を検出する検出部を有するケース部と、前記ケース部を生体に固定するバンド部と、前記バンド部と接続するバックル部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、生体情報測定機器を装着する際には、バックル部を長くした状態とし、この状態で形成される大きな開口部に、例えば、手をすぼめて挿入した後、腕の装着位置でバックル部を短くすることにより、生体情報測定機器を装着することができる。ここで、開口部のサイズは、バンド部へのバックル部の接続(取り付け)位置によって、予め装着者に適した寸法に調整されている。なお、装着者に適した寸法とは、装着時に、検出部(ケース部)が腕の検出位置に密着されるような寸法関係のことである。また、密着とは、生体情報測定機器の着脱を繰り返しても、検出部が腕の検出位置に正確に、かつ、略同等の押圧(押し付け力)で固定されることをいう。換言すれば、検出部が腕の検出位置に再現性良く当接することをいう。
よって、この生体情報測定機器によれば、生体情報を安定的に測定するために必要な密着性(装着性)を確保することができる。
従って、着脱を繰り返しても、生体情報を安定的に測定可能な生体情報測定機器を提供することができる。さらに、装着後にバックル部を短くするという簡便な方法で密着性を調節することができる。また、バックル部が長い状態でも、全体が環状となっているため、腕から抜け落ちない限りは紛失してしまうことはなく、さらに、落下による故障も防ぐことができる。
[適用例2]上記適用例において、前記バンド部には穴部が設けられており、前記穴部には、前記ケース部が嵌め込まれ、前記バンド部の延在方向において前記バンド部は、前記穴部から一端側に伸びる第1バンド部と、他端側に伸びる第2バンド部とを含み、前記バックル部は、前記第1バンド部と、前記第2バンド部とを繋いで取り付けられていることが好ましい。
この構成によれば、バンド部とケース部とが一体化されているため、腕への装着性が良い。さらに、一体的なデザインが可能となり、美観に富んだ生体情報測定機器を提供することができる。
[適用例3]上記適用例において、前記バンド部は、弾性を有する樹脂を含んで構成されており、前記バックル部は、金属から構成されていることが好ましい。
この構成によれば、バンド部が弾性を有する樹脂から構成されているため、ケース部を適度な押圧力で腕に固定することが可能となる。よって、検出部を検出位置に密着させることができる。また、バックル部が金属から構成されているため、丈夫であり、耐久性を確保することができる。
[適用例4]上記適用例において、前記バックル部は、ヒンジ部を備えた折り畳み型であり、前記バックル部を開いた開放状態において、前記ケース部、前記バンド部、及び伸びた状態の前記バックル部からなる環状の内周寸法は、200mm以上330mm以下の範囲内であることが好ましい。
この構成によれば、一般成人の殆どが快適に生体情報測定機器を着脱することができる。
[適用例5]上記適用例において、前記バックル部を折り畳んだ装着状態において、前記ケース部、前記バンド部、及び前記バックル部からなる環状の内周寸法は、130mm以上220mm以下の範囲内であることが好ましい。
この構成によれば、殆どの一般成人が快適に生体情報測定機器を装着することができる。
[適用例6]上記適用例において、前記装着状態において、前記ケース部、前記バンド部、及び前記バックル部からなる環状の内周寸法は、前記生体における被装着部の外周よりも短いことが好ましい。
この構成によれば、生体情報測定機器を装着すると腕を締め付ける力が生じるため、ケース部を適度な押圧力で腕に固定することが可能となる。よって、検出部を検出位置に密着させることができる。
[適用例7]上記適用例において、前記開放状態と、前記装着状態とにおける前記環状の内周寸法の差は、70mm以上80mm以下の範囲内であることが好ましい。
この構成によれば、生体情報測定機器を容易に着脱することができるとともに、装着時における検出部の密着性も確保することができる。
[適用例8]上記適用例において、前記バックル部は、前記ヒンジ部を中心にして、第1プレートと、第2プレートとから構成されており、前記第2プレートは、前記第2バンド部に接続するとともに、位置決め穴が設けられており、前記装着状態では、前記第2バンド部と重なるように、前記折り畳まれ、前記第2バンド部には、前記位置決め穴と勘合する位置に、凸形状が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、生体情報測定機器の装着時には、第2プレートの位置決め穴に、第2バンド部の凸形状が勘合するため、バンドの幅方向における位置ズレを抑制することができる。
[適用例9]上記適用例において、前記第1プレートは、前記第1バンド部に接続するとともに、前記折り畳まれた際に、前記第2プレートと係合するための爪部を有し、前記第2バンド部には、前記装着時において、前記爪部と重なる位置に、凹形状が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、生体情報測定機器の装着時には、第1プレートの爪部と、第2バンド部の凹形状とが重なるため、爪部による出っ張りを逃げることができる。よって、第2バンド部の浮き上がりを抑制することができる。
[適用例10]上記適用例において、前記第1バンド部には、前記延在方向に沿って位置調整用の調整穴が複数設けられており、前記第1プレートには、前記調整穴に係合するための爪部が設けられており、複数の前記調整穴は、前記延在方向に沿って少なくとも1つの列として設けられるとともに、前記爪部も、前記列の数と同じ数が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、好適には係合構成が二列となるため、一列の係合構成よりも、強固に第1バンド部と第1プレートとを接続することができる。
[適用例11]上記適用例において、前記第2プレートには、前記第2バンド部に接続するための第1接続部が設けられており、前記第2バンド部には、前記延在方向に沿って第2接続部が複数設けられており、前記第2プレートは、前記第2バンド部に対して、複数の前記第2接続部のいずれかとの間で固定されることが好ましい。
この構成によれば、第2プレート側でも、初期設定における長さ調整を行うことができる。
[適用例12]上記適用例において、前記検出部は、第1の発光部、第2の発光部及び受光部を備えることが好ましい。
この構成によれば、発光部から射出された光は、皮膚などに吸収されずに反射され、受光部に直接到達することができる。すなわち、発光部から射出された光の大部分は皮膚に向かい、反射光は、空気層などの介入なしに直接受光部に入射される効果がある。
[適用例13]上記適用例において、前記検出部はキャリア部を備え、前記キャリア部の一面には前記第1の発光部、前記第2の発光部及び前記受光部が配置されることが好ましい。
この構成によれば、発光部から射出された光の大部分は皮膚に向かい、反射光は、空気層などの介入なしに直接受光部に入射される効果がある。換言すれば、受光部が皮膚に密着する構造であるため、受光部の上面(受光面)と皮膚との間に隙間が生じにくい構造とすることができ、これにより外光などのノイズ源となる光が上面に入射することを抑制することができる。
[適用例14]上記適用例において、前記キャリア部と前記受光部の上面との距離は、前記キャリア部と前記第1の発光部の上面との距離よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、皮膚を通過しない発光部からの光、例えば発光部から直接受光部に入射する光は、受光部の上面に到達することができない。
[態様1]本態様に係る生体情報測定機器は、生体の生体情報を検出する検出部を有するケース部と、前記ケース部を前記生体に固定するバンド部と、を備え、前記ケース部の側面視において、前記ケース部の外面は第1曲面部を有し、前記バンド部は前記ケース部の両側に第2曲面部を有する外面を有しており、前記第2曲面部の曲率半径は、前記第1曲面部の曲率半径よりも小さいことを特徴とする。
本態様によれば、側面視において、ケース部の外面は第1曲面部を有し、バンド部はケース部の両側に曲率半径が第1曲面部よりも小さい第2曲面部を有する外面を有している。したがって、バンド部は、ケース部の両側に位置する部分において、第1曲面部を仮想的に延長した曲面よりも生体側に湾曲している。そのため、バンド部には、ケース部を両側から押し付ける付勢力と、バンド部におけるケース部の両側に延在する部分を生体側に向かわせる付勢力とが付与される。これにより、装着状態において、生体情報測定機器が、装着者の測定部位(例えば、手首等)に対応してフィットし易くなるので、長時間装着しても、装着者の負担(不快感)が抑えられるとともに、安定した状態で生体情報を測定することができる。
[態様2]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記ケース部の両側の端部は、前記ケース部の内面側に張り出しており、前記バンド部は、前記ケース部の前記端部と隣り合い前記ケース部の内面側に張り出した凸状部を有することが好ましい。
本態様によれば、バンド部は、ケース部の両端のケース部の内面側に張り出した端部と隣り合う部分に、ケース部の内面側に張り出した凸状部を有している。そのため、ケース部の両端部がバンド部の凸状部で挟まれた状態で、窓部を生体に接触させることができる。したがって、バンド部が凸状部を有していない場合と比べて、より安定した状態でケース部を生体の測定部位に密着させて保持できるので、生体情報測定機器を長時間装着した場合でも、安定した状態で生体情報を測定することができる。
[態様3]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記バンド部には、開口部が形成されており、前記開口部に、前記ケース部が嵌め込まれていることが好ましい。
本態様によれば、バンド部に設けられた開口部にケース部が嵌め込まれているので、ケース部をバンド部に固定するとともに、ケース部の周囲をバンド部で保護できる。また、ケース部とバンド部との外観上の一体感を向上できる。
[態様4]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記ケース部は、前記開口部に着脱可能に嵌め込まれていることが好ましい。
本態様によれば、バンド部がケース部に着脱可能に嵌合しているので、バンド部が破損した場合等に、バンド部を交換することができる。また、長さが異なる複数のバンド部が用意されている場合に、その中から装着者の測定部位の大きさに合わせてバンド部を付け替えることができる。さらに、色や形状等が異なるバンド部に付け替えて、外観デザインを多様化することができる。
[態様5]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記ケース部は、前記検出部で前記生体情報を検出するための窓部を前記内面側に有し、前記窓部は、前記開口部において露出していることが好ましい。
本態様によれば、ケース部の内面側に配置された生体情報を検出するための窓部が露出している。そのため、装着状態において窓部を遮ることなく生体に対向させられるので、安定した状態で生体情報を検出することができる。
[態様6]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記バンド部の断面視において、前記バンド部における前記内面側の角部が曲面となっていることが好ましい。
本態様によれば、バンド部の断面視において、バンド部における装着者の測定部位側の角部が曲面となっている。そのため、バンド部により生体情報を検出できる程度に装着者の測定部位を締め付けても、測定部位に当たる角部が曲面となっているので、長時間の装着における装着者の負担(不快感)を抑えることができる。
[態様7]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記バンド部の前記内面側に溝部が設けられていることが好ましい。
本態様によれば、バンド部の測定部位側である内面側に溝部が設けられている。そのため、装着状態において装着者の測定部位に接するバンド部の実質的な接触面積を小さくできる。これにより、測定部位への通気性をよくすることや測定部位からの汗を逃がすことができ、装着者の装着感の向上を図ることができる。また、溝部を設けることで、装着状態における生体情報測定機器のずれを抑止できる。
[態様8]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記バンド部は、前記ケース部から第1方向へ延出し複数の調整穴部が並ぶように設けられた第1バンド部と、前記ケース部から前記第1方向の反対である第2方向へ延出する第2バンド部と、を有し、前記第1バンド部と前記第2バンド部とを連結するバックル部を備え、前記バックル部は、前記複数の調整穴部から選択されたいずれかの前記調整穴部において前記第1バンド部と接続される第1バックル部と、ヒンジ部で前記第1バックル部と互いに回動可能に支持され前記第2バンド部に接続される第2バックル部と、を有し、前記第1バックル部の前記生体とは反対側に前記第2バックル部が重なるように折り畳むことで前記生体に装着される装着状態となり、折り畳まれた前記第1バックル部と前記第2バックル部とを展開することで前記生体から取り外し可能な開放状態となることが好ましい。
本態様によれば、バックル部の第1バックル部と第2バックル部とを展開する開放状態において、第1バンド部と第2バンド部とが連結された状態で、生体情報測定機器の生体への装着と取り外しを行うことができる。そのため、着脱する際に生体情報測定機器を誤って落下させてしまうことが抑えられる。また、複数の調整穴部のいずれかを選択することで、生体の測定部位(例えば、手首の周の長さや形等)に合わせてバンド部の長さを調整して、測定部位への締め付け力を適宜調整できる。そして、選択した調整穴部をずらすことなく、生体情報測定機器の生体への装着と取り外しを行うことができる。そのため、生体情報測定機器の生体への着脱を繰り返しても、調整した締め付け力を保持できる。
[態様9]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記装着状態において、前記第1バンド部は前記第1バックル部の前記生体側に前記第1バックル部と重なるように配置され、前記第1バンド部が前記第1バックル部と接続される前記調整穴部の位置は、前記調整穴部から前記第1バンド部の先端部までの長さが最も長くなる第1の位置と、前記調整穴部から前記先端部までの長さが最も短くなる第2の位置との間で設定可能であり、前記第1バンド部が前記第1の位置で前記第1バックル部と接続された場合でも、前記先端部は前記第2バンド部の前記凸状部側において前記ケース部よりも前記第1バックル部寄りに配置されることが好ましい。
本態様によれば、バックル部によりバンド部が環状に連結された状態において、第1バンド部を第1の位置で第1バックル部と接続すると、第1バックル部と接続される調整穴部の位置から先端部までの第1バンド部の長さが最も長くなる。すなわち、第1バンド部を第1の位置で第1バックル部と接続すると、環状に連結されたバンド部の径が最も小さくなり、バックル部及び第2バンド部よりも生体側(内面側)に配置される第1バンド部の先端部は第2バンド部の凸状部側においてケース部に最も近くなる。その第1の位置で第1バンド部が第1バックル部と接続された場合でも、第1バンド部の先端部が生体情報を検出するための窓部が設けられたケース部よりも第1バックル部寄りに配置されるので、第1バンド部がケース部と生体との間に介在することはなく、第1バンド部が窓部を遮ることもない。したがって、環状に連結されたバンド部の径が最も小さくなる装着状態においても、安定した状態で生体情報を測定することができる。
[態様10]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記第1バンド部が前記第1の位置で前記第1バックル部と接続された場合でも、前記先端部は前記第2バンド部の前記凸状部よりも前記第1バックル部寄りに配置されることが好ましい。
本態様によれば、第1バンド部を第1の位置で第1バックル部と接続しても、第1バンド部の先端部は、第2バンド部の凸状部よりも第1バックル部寄りに配置されるので、第1バンド部が第2バンド部の凸状部と生体との間に介在することはない。したがって、環状に連結されたバンド部の径が最も小さくなる装着状態においても、安定した状態で生体情報を測定することができる。
[態様11]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記第1バンド部が前記第2の位置で前記第1バックル部と接続された場合でも、前記先端部は前記第1バックル部よりも前記第2バンド部の前記凸状部寄りに配置されることが好ましい。
本態様によれば、バックル部によりバンド部が環状に連結された状態において、第1バンド部を第2の位置で第1バックル部と接続すると、第1バックル部と接続される位置から先端部までの第1バンド部の長さが最も短くなる。すなわち、バックル部よりも生体側に配置される第1バンド部の先端部が第1バックル部に最も近くなる。その第2の位置で第1バンド部が第1バックル部と接続された場合でも、第1バンド部の先端部が第1バックル部よりも第2バンド部の凸状部寄りに配置されるので、第1バックル部と生体との間に第1バンド部が介在する。したがって、環状に連結されたバンド部の径が最も大きくなる装着状態においても、第1バックル部が生体の測定部位に接触しないので、装着者の負担(不快感)を抑えることができる。
[態様12]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記先端部は、前記開放状態において前記生体に近付く側に曲げられていることが好ましい。
本態様によれば、第1バックル部の生体側(内側)に配置される第1バンド部の先端部が、開放状態において生体側(内側)、すなわち第1バックル部から離れる側に曲げられている。そのため、開放状態から第1バックル部と第2バックル部とを折り畳んで生体の測定部位に装着する際に、第1バンド部の先端部が第1バックル部側(外側)に反り返って、第1バンド部と第1バックル部との間や第2バックル部と第2バンド部との間に巻き込まれてしまうことを抑止できる。
[態様13]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記第2バンド部の先端部は、前記装着状態において前記生体に近付く側に曲げられていることが好ましい。
本態様によれば、第2バックル部の生体とは反対側(外側)に配置される第2バンド部の先端部が、装着状態において生体側(内側)、すなわち第2バックル部に近付く側に曲げられている。そのため、装着状態において、第2バンド部の先端部が衣類の袖等へ引っ掛かることを抑止できる。
[態様14]本態様に係る生体情報測定機器は、生体情報を検出する検出部を有するケース部と、前記ケース部を格納する本体部、前記本体部から第1方向へ延出する第1バンド部、及び前記本体部から前記第1方向の反対である第2方向へ延出する第2バンド部を有するバンド部と、を備え、前記バンド部は、側面視において、前記本体部の外面を構成する第1の曲率半径を有する第3曲面部と、前記第1方向及び前記第2方向に延出し、前記第1の曲率半径よりも小さい曲率半径を有する、前記第3曲面部と連続した第2曲面部を有することを特徴とする。
本態様によれば、側面視において、バンド部は、本体部の外面を構成する第3曲面部と、第1方向及び第2方向に延出し第3曲面部と連続した第2曲面部を有し、第2曲面部の曲率半径は第3曲面部の第1の曲率半径よりも小さい。したがって、バンド部は、ケース部を格納する本体部の両側に位置する部分において、第3曲面部を仮想的に延長した曲面よりも生体側に湾曲している。そのため、バンド部には、ケース部を両側から押し付ける付勢力と、バンド部におけるケース部の両側に延在する部分を生体側に向かわせる付勢力とが付与される。これにより、装着状態において、生体情報測定機器が、装着者の測定部位(例えば、手首等)に対応してフィットし易くなるので、長時間装着しても、装着者の負担(不快感)が抑えられるとともに、安定した状態で生体情報を測定することができる。
[態様15]上記態様に係る生体情報測定機器であって、前記ケース部は、側面視において、前記検出部で前記生体情報を検出するための窓部を中央部に有し、前記第1方向及び前記第2方向に延出する底面を有し、前記底面は、前記中央部とその両側の端部との間に、前記第1の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する第4曲面部を有することが好ましい。
本態様によれば、ケース部の底面における中央部とその両側の端部との間に第4曲面部を有し、第4曲面部の曲率半径はバンド部の本体部の外面を構成する第3曲面部の第1の曲率半径よりも大きい。生体情報測定機器における生体に接する内面側の第4曲面部の曲率半径が本体部の第3曲面部の曲率半径よりも大きいため、検出部の厚さ分を第3曲面部(外面)側を膨らませることで吸収できるので、生体情報測定機器の生体への密着性が損なわれない。
[形態1]本形態に係る生体情報測定機器は、生体の生体情報を検出する検出部を有するケース部と、前記ケース部を前記生体に固定するバンド部と、を備え、前記ケース部の側面視において、前記ケース部の側部の少なくとも一部が前記バンド部で覆われていることを特徴とする。
本形態によれば、ケース部の側面視において、ケース部の側部の少なくとも一部がバンド部で覆われている。したがって、ケース部の側部におけるバンド部の幅はケース部の幅よりも広い。そのため、ケース部の側部がバンド部から突出しないので、衣類の袖への引っ掛かりや障害物等への接触が抑えられる。そして、バンド部で覆われた部分が障害物等に接触した場合でも、接触による衝撃がバンド部で緩和されるので、ケース部が装着者の測定部位から離れたりずれたりしてしまうことを抑制できる。これにより、生体情報測定機器を長時間装着しても、装着者(生体)の負担が抑えられるとともに、安定した状態で生体情報を測定することができる。また、ケース部の側部をバンド部で覆うことにより、ケース部とバンド部との外観上の一体感を持たせることや、ケース部とバンド部との組み合わせで外観デザインを多様化することができるので、生体情報測定機器の見栄えを向上させることが可能となる。
[形態2]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記ケース部の外面の外周が前記バンド部で覆われていることが好ましい。
本形態によれば、ケース部の外面の外周がバンド部で覆われている。そのため、ケース部の外面の外周に亘って、衣類の袖への引っ掛かりや障害物等への接触が抑えられ、障害物等に接触した場合でも衝撃が緩和されるので、ケース部が装着者の測定部位から離れたりずれたりしてしまうことをより効果的に抑制できる。また、ケース部の外周をバンド部で覆うことにより、生体情報測定機器の見栄えをより向上させることが可能となる。
[形態3]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記バンド部の延在方向における前記ケース部の両側の端部は、前記内面側に張り出しており、前記バンド部は、前記ケース部の前記端部と隣り合い前記内面側に張り出した凸状部を有することが好ましい。
本形態によれば、バンド部は、ケース部の両端の内面側に張り出した端部と隣り合う部分に、内面側に張り出した凸状部を有している。そのため、ケース部の両端部がバンド部の凸状部で挟まれた状態で、ケース部を生体に接触させることができる。したがって、バンド部が凸状部を有していない場合と比べて、より安定した状態でケース部を装着者の測定部位に密着させて保持できるので、生体情報測定機器を長時間装着した場合でも、安定した状態で生体情報を測定することができる。
[形態4]上記形態に係る生体情報測定機器であって、バンド部には開口部が形成されており、前記開口部に、前記ケース部が嵌め込まれていることが好ましい。
本形態によれば、バンド部の延在方向における中程に設けられた開口部にケース部が嵌め込まれているので、ケース部をバンド部に固定するとともに、ケース部の周囲をバンド部で保護できる。また、ケース部とバンド部との外観上の一体感を向上できる。
[形態5]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記ケース部は、前記検出部で前記生体情報を検出するための窓部を前記内面側に有し、前記窓部は、前記開口部において露出していることが好ましい。
本形態によれば、ケース部の内面側に配置された生体情報を検出するための窓部が露出している。そのため、装着状態において窓部を遮ることなく装着者の測定部位に対向させられるので、安定した状態で生体情報を検出することができる。
[形態6]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記窓部は、前記端部よりも前記内面側に突出していることが好ましい。
本形態によれば、ケース部の両側の端部よりも内面側に窓部が突出しているため、装着状態において窓部が装着者の測定部位に確実に押し付けられるので、安定した状態で生体情報を測定することができる。
[形態7]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記端部は、前記窓部よりも前記内面側に突出していることが好ましい。
本形態によれば、窓部がケース部の両側の端部よりも内面側に突出していないため、装着状態において窓部が装着者の測定部位に過度に押し付けられないので、装着者の装着部位へのフィット性を向上できる。
[形態8]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記バンド部は、前記ケース部から一方の側に延在し複数の調整穴部が並ぶように設けられた第1バンド部と、前記ケース部から他方の側に延在する第2バンド部と、を有し、前記第1バンド部と前記第2バンド部とを連結するバックル部を備え、前記バックル部は、前記複数の調整穴部のいずれかにおいて前記第1バンド部と接続される第1バックル部と、ヒンジ部で前記第1バックル部と互いに回動可能に支持され前記第2バンド部に接続される第2バックル部と、を有し、前記第1バックル部の前記生体とは反対側に前記第2バックル部が重なるように折り畳むことで前記生体に装着される装着状態となり、折り畳まれた前記第1バックル部と前記第2バックル部とを展開することで前記生体から取り外し可能な開放状態となることが好ましい。
本形態によれば、バックル部の第1バックル部と第2バックル部とを展開する開放状態において、第1バンド部と第2バンド部とが連結された状態で、装着者の測定部位への生体情報測定機器の装着と取り外しを行うことができる。そのため、着脱する際に生体情報測定機器を誤って落下させてしまうことが抑えられる。また、複数の調整穴部のいずれかを選択することで、装着者の測定部位(例えば、手首の周の長さや形等)に合わせてバンド部の長さを調整して、測定部位への締め付け力を適宜調整できる。そして、選択した調整穴部をずらすことなく、生体情報測定機器の装着と取り外しを行うことができる。そのため、装着者の測定部位への生体情報測定機器の着脱を繰り返しても、調整した締め付け力を保持できる。
[形態9]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記複数の調整穴部の配置ピッチが不均一であることが好ましい。
本形態によれば、第1バンド部と第1バックル部とを接続する際に調整穴部がケース部に近いほど、第1バンド部における調整穴部からケース部までの長さが短くなるので、同じ歪み量(伸び量)に対して第1バンド部の引張り応力は増大する。そのため、複数の調整穴部の配置ピッチが均一であると、接続する調整穴部がケース部に近付くほど、調整穴部を一つずらすことによる測定部位への締め付け力の増加量は大きくなる。本適用例の構成によれば、複数の調整穴部の配置ピッチが不均一であるので、例えば、調整穴部がケース部に近付くほど調整穴部の配置ピッチが小さくなる構成とすれば、調整穴部を一つずらすことによる測定部位への締め付け力の増加量を抑えることができる。これにより、装着者によって測定部位(手首の周の長さや形等)に差異があっても、測定部位への締め付け力のばらつきを抑えて生体情報測定機器を装着することができる。この結果、様々な装着者に対して、ケース部が装着者の測定部位から離れたりずれたりしてしまうことを抑制でき、長時間の装着における装着者の負担を抑えることができる。
[形態10]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記第1バンド部には、前記複数の調整穴部のそれぞれに対応して符号が付されていることが好ましい。
本形態によれば、第1バンド部には複数の調整穴部のそれぞれに対応して符号が付されている。そのため、符号を参照することで調整穴部を個別に特定できるので、最適な調整穴部を選択して第1バンド部と第1バックル部とを接続した後でその接続を外しても、容易に最適な調整穴部で再接続することができる。
[形態11]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記装着状態において、前記第1バンド部は前記第1バックル部の前記生体側に前記第1バックル部と重なるように配置され、前記第2バンド部は前記第2バックル部の前記生体とは反対側に前記第2バックル部と重なるように配置され、前記第2バンド部の前記第2バックル部と重なる部分における幅は、前記第1バックル部及び前記第2バックル部の幅よりも広いことが好ましい。
本形態によれば、装着状態において、生体側(内側)から生体とは反対側(外側)へ順に第1バンド部と第1バックル部と第2バックル部と第2バンド部とが重なるように配置される。そして、最も外側に配置される第2バンド部の幅が、第1バックル部及び第2バックル部の幅よりも広い。そのため、外側から見て第1バックル部及び第2バックル部が第2バンド部で覆われるので、第1バックル部及び第2バックル部の衣類の袖等への引っ掛かりや障害物等への接触が抑えられるとともに、見栄えも向上する。
[形態12]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記第1バンド部の先端部は、前記開放状態において前記生体に近付く側に曲げられていることが好ましい。
本形態によれば、第1バックル部の生体側(内側)に配置される第1バンド部の先端部が、開放状態において生体側(内側)、すなわち第1バックル部から離れる側に曲げられている。そのため、開放状態から第1バックル部と第2バックル部とを折り畳んで生体の測定部位に装着する際に、第1バンド部の先端部が第1バックル部側(外側)に反り返って、第1バンド部と第1バックル部との間や第2バックル部と第2バンド部との間に巻き込まれてしまうことを抑止できる。
[形態13]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記第2バンド部の先端部は、前記装着状態において前記生体に近付く側に曲げられていることが好ましい。
本形態によれば、生体に対して第2バックル部よりも外側に配置される第2バンド部の先端部が、生体に近付く側、すなわち内側に曲げられている。そのため、第1バックル部と第2バックル部とを折り畳んで生体に装着する際や装着状態において、第2バンド部の先端部が衣類の袖等に引っ掛かることを抑止できる。
[形態14]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記第1バンド部及び前記第2バンド部の少なくとも互いに接触する部分の表面には、凹凸加工が施されていることが好ましい。
本形態によれば、第1バンド部及び第2バンド部の互いに接触する部分の表面に凹凸加工(シボ加工)が施されているため、第1バンド部と第2バンド部とが互いに擦れ合う際の摩擦力が低減されて滑り易くなる。そのため、凹凸加工が施されていない場合と比べて、装着する際の第1バンド部及び第2バンド部の先端部の巻き込みが抑えられるとともに、着脱を容易に行うことができる。
[形態15]上記形態に係る生体情報測定機器であって、前記第1バンド部及び前記第2バンド部の前記生体に接する部分の表面には、凹凸加工が施されていることが好ましい。
本形態によれば、第1バンド部及び第2バンド部の生体に接する部分の表面に凹凸加工(シボ加工)が施されている。そのため、凹凸加工が施されていない場合と比べて、第1バンド部及び第2バンド部の単位面積当たりの実質的に生体と接触する面積を小さくできる。これにより、装着状態において、第1バンド部及び第2バンド部が生体に密着することによる装着者の不快感を抑えることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならしめてある。
(実施形態1)
《生体情報測定機器の概要》
図1(a)は、実施形態1に係る生体情報測定機器を生体に装着した装着状態を示す図である。図1(b)は、生体情報測定機器を生体から取り外した開放状態を示す図である。
本実施形態1に係る生体情報測定機器(以下では、測定機器ともいう)1は、生体情報を測定される生体(例えば人体)に装着され、脈拍等の生体情報を測定する電子機器である。図1(a)に示すように、測定機器1は、腕時計のように装着者(生体)の測定部位(手首等)に装着され使用される。図1(a)では、測定機器1が装着者の左側の腕ARの手首WRに装着された状態を示している。
本明細書では、測定機器1の正面の法線方向を、図1(a)における手前側を正とするZ軸方向とする。測定機器1の正面とは、発光部14が配置された面を指す。また、Z軸方向と交差する方向であって、腕ARの長さ方向を、指がある先端側を正とするX軸方向とする。そして、Z軸方向及びX軸方向と交差する方向であって、腕ARの幅方向を、小指側を正とするY軸方向とする。
なお、本明細書では、測定機器1を正面の法線方向(Z軸方向)から見ることを「正面視」という。また、測定機器1をX軸方向から見ることを「側面視」という。また、測定機器1が手首WRに装着された状態で、生体側、すなわち手首WRに面する側を「内側」または「内面」といい、生体とは反対側、すなわち手首WRに面する側の反対側を「外側」または「外面」という。
測定機器1は、腕時計に類似した一般の生体情報測定機器(以下では、一般の測定機器という)のように文字やグラフィックス等を表示するためのモニター部(ディスプレイ)を備えておらず、その代わりに、発光部14を備えている。また、測定機器1は、一般の測定機器のように操作するためのボタンやスイッチ類を備えていない。測定機器1は、測定機器1の正面とは反対側の底面(検出部)を手首WRに密着させた状態で生体情報を測定する。なお、発光部14の代わりに振動モーターやアラームなどを用いる構成としても良い。
図1(b)に示すように、測定機器1は、機器本体であるケース部10と、ケース部10を手首WRに固定するバンド部20と、バンド部20に接続するバックル部30と、を備えている。
バンド部20は、Y軸方向に沿ってケース部10の正面側を覆うとともにケース部10の両側から延出されており、バックル部30により連結されている。
バックル部30は、2枚の金属製のプレートを回動軸で繋いだ蝶番状の部材で、2枚のプレートを重ねて折り畳むと長さが短くなり、並べて伸ばすと長くなる構造となっている。
つまり、測定機器1は、生体情報を検出する検出部を有するケース部10と、ケース部10を生体に固定するためのバンド部20と、バンド部20と環状に接続するとともに、長さを調整可能なバックル部30とを備えている。
このように、バンド部20の両端がバックル部30により連結されることにより、測定機器1は、図1(a)に示す手首WRに装着された状態(以下では、装着状態という)、及び、図1(b)に示す手首WRから取り外された状態(以下では、開放状態という)の双方の状態において環状となっている。
この構成により、測定機器1を装着する際には、バックル部30を伸ばした状態として、図1(b)に示す環状の大きな開口部に、手をすぼめて挿入した後、腕の装着位置でバックル部30を折畳んで短くすることにより、図1(a)に示すように、測定機器1を装着することができる。特に、バンド部20の構成や材質、環状の開口部サイズの最適化などの様々な創意工夫を施すことにより、測定機器1の着脱を繰り返しても、検出部が腕の検出位置に正確に、かつ、略同等の押圧(押し付け力)で固定可能な構成を実現している。なお、詳細な説明は後述する。
《生体情報測定機器の全体構成》
図2は、生体情報測定機器の概略構造の展開図である。
図2に示すように、バンド部20には、その延在方向における中程に開口部21b(穴部)が形成されている。開口部21bには、平面的に略長方形をなしたケース部10が嵌め込まれている。ケース部10は、発光部14を上(正面側)に向けた状態で、バンド部20の背面側から開口部21bに嵌め込まれ(挿入され)ている。バンド部20の延在方向における開口部21bが形成されている部分は、両端部よりも幅広に形成されている。 バンド部20は、開口部21bから一端側に伸びる第1バンド部22と、他端側に伸びる第2バンド部24とを備えている。単品(初期)状態におけるバンド部20は、側面視において、その中程(開口部21b)を頂部として、左右に第1バンド部22と、第2バンド部24とが垂れ下がる逆U字状の形状となっている。
ケース部10は、Y軸方向に沿った側部11とX軸方向に沿った端部12とを有し、正面視において側部11を長辺とし端部12を短辺とする略長方形状である。また、ケース部10は、測定機器1の正面側に凸状の曲面で構成される上面10aを有し、上面10aとは反対側、すなわち、手首WRに面する側に底面10bを有している。底面10bには、検出部としての窓部13が配置されている。なお、実際に生体情報を検出するセンサーは、窓部13の奥に配置されている光電脈波センサー部5であるが、構造上、手首WR側に最も突出しており、かつ、密着性が求められる部位が窓部13となるので検出部としている。ケース部10は、例えば、ポリカーボネイト(PC)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂等の樹脂材料からなる。
ケース部10の上面10aには、発光部14が配置されている。発光部14は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等からなる複数の発光素子で構成される。好適例では、5つのLEDを一列に配置している。測定機器1は、発光部14において、例えば、各発光素子の発光色を異ならせたり、点灯、消灯、点滅等の状態を組み合わせたりすることにより、測定機器1の動作モードや、生体情報の測定に関わる情報等を装着者に通知することができる。
バンド部20は、Y軸方向に沿って延在している。バンド部20の本体部21の表面21aは、ケース部10の上面10aに沿って略円弧状に湾曲している。バンド部20の材料としては、例えば、シリコーンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、アミド系エラストマー、ナイロン系エラストマー、動的架橋型エラストマー等、または、これらをブレンドしたものを用いることができる。バンド部20は、手首WRに対して適度な締め付け力が得られるような弾性力と良好な耐久性とを有し、肌に優しい(皮膚に対する刺激の少ない)ことが望ましい。このような特性を有する材料として、シリコーンゴムを好適に用いることができる。
バンド部20は、ケース部10の上面10aを覆う本体部21と、本体部21からケース部10の側部11に沿った方向の一方の側に延出する第1バンド部22と、本体部21からケース部10の側部11に沿った方向の他方の側に延出する第2バンド部24とを有している。本体部21、第1バンド部22、及び第2バンド部24は、一体で成形されている。バンド部20の中程に位置する本体部21は、ケース部10の上面10aに沿って湾曲しており、凸状の曲面で構成される表面21aを有している。本体部21には、開口部21bが形成されている。
第1バンド部22及び第2バンド部24は、湾曲した本体部21からケース部10の底面10b側に反るように延在している。第1バンド部22は、その先端に先端部23を有している。先端部23は第1バンド部22の延在方向から内側へ曲げられている。第2バンド部24は、その先端に先端部25を有している。先端部25も、第2バンド部24から内側へ曲げられている。
第1バンド部22には、複数の調整穴部26が第1バンド部22の延在方向に沿って並ぶように設けられている。複数の調整穴部26は、第1バンド部22をその厚さ方向に貫通して設けられ、略均一な配置ピッチで配置されている。第2バンド部24には、先端部25側に接続部27が設けられている。接続部27は、第2バンド部24から内側に凸状に突出して設けられ、第2バンド部24の幅方向に貫通する接続穴を有している。
バックル部30は、第1プレート(第1バックル部)31と、第2プレート(第2バックル部)32と、第1プレート31と第2プレートとを回動可能に軸支するヒンジ部33とを有している。バックル部30は、第1バンド部22と、第2バンド部24とを繋ぐ、折畳み型の長さ調整部材であり、第1プレート31は第1バンド部22に接続され、第2プレート32は第2バンド部24に接続される。バックル部30の材質は、好適例では、ステンレス鋼を主体に用いている。なお、これに限定する物ではなく、耐蝕性が良く、折畳み耐久性を満たし、軽量な材料であれば良い。例えば、チタンであっても良い。また、バックル部30は、金属ではなく樹脂で構成しても良い。これにより、バンド部20とバックル部30との一体感が増すので、見栄えが良くなる。
バックル部30は、第2プレート32が第1プレート31の外側に重なるように折り畳むことで装着状態となる。また、バックル部30は、第2プレート32を第1プレート31から外側へ離間して展開することで開放状態となる。
ケース部10とバンド部20とは、ケース部10の上面10a側がバンド部20の開口部21bに嵌め込まれて、一体に設けられている。ケース部10の上面10a、側部11、及び端部12の一部は、バンド部20で覆われている。また、ケース部10の上面10aの一部は、カバー部16で覆われている。カバー部16は、発光部14と重なる部分を開口部とした化粧板である。カバー部16は、ポリカーボネイトなどの樹脂製のフィルム部材から構成されており、カラフルな着色がなされ、文字などの印刷が可能な構成となっている。カバー部16は、ケース部10を保護するとともに、デザインの自由度を高めている。
測定機器1は、機器本体であるケース部10内に制御部、電源部、通信部、センサー部等を備えている。なお、ケース部10内に備えるこれらの構成要素については図示を省略する。制御部は、例えばCPU、ROM、RAM等で構成され、これらのハードウェアとROM等に記憶されたソフトウェアとが協働して測定機器1の動作を制御する。電源部は、電源回路、電池等で構成される。ケース部10には、電池を充電するための端子部が設けられている。
通信部は、測定機器1とスマートフォンやパーソナルコンピューター等の外部機器との間で、例えばBluetooth(登録商標)等の公知の無線通信方式により、無線通信を行う。これにより、外部機器から測定機器1を操作することや、測定機器1で測定された生体情報を外部機器に送信して装着者の生体情報の蓄積及び管理をすることができる。測定機器1は、外部機器との連携により、測定した装着者の生体情報を蓄積しその情報に基づいて装着者に、例えば、生体情報の分析結果や運動量が適正であるか否か等の情報を提供する機能を有している。
センサー部としては、前述した生体情報を検出する光電脈波センサー部5に加えて、装着者のタップ操作を検出するタップ操作センサー部(図示省略)を備えている。光電脈波センサー部5は、例えばLED等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子とで構成される。光電脈波センサー部5は、発光素子から装着者の手首WRに向けて検出光を照射し、手首WRの血管で反射された反射光を受光素子で受光することにより、装着者の脈波を検出する。なお、検出光及び反射光は、検出部としての窓部13を介して出入射される。測定機器1は、光電脈波センサー部5で検出された脈波に基づいて、装着者の脈拍数を測定する。
タップ操作センサー部は、例えば加速度センサーで構成される。タップ操作とは、測定機器1を指や手のひら等で叩く操作のことである。装着者は、測定機器1を叩くタップ操作を行うことで、測定機器1を操作する。測定機器1は、装着者のタップ操作を、タップ操作センサー部のセンサー情報に基づいて検出する。測定機器1では、簡単な操作はタップ操作で行われ、測定機器1の各種設定や詳細な操作等は無線通信を介して外部機器により行われる。測定機器1は、このような構成により、操作のためのボタンやスイッチ類を不要にしている。なお、加速度センサーからの信号は、生体情報を検出する際に脈波信号に重畳される体動ノイズの抑制処理においても用いることができる。
測定機器1は、装着者が歩行や走行等の運動をする際だけでなく常に装着することにより、装着者の日常生活における生体情報を測定することを目的とする機器である。そのため、測定機器1には、長時間装着していても装着者の負担(例えば、機器の重さ、大きさ、形状や、締め付け力に起因する不快感)が少なく、かつ、装着者の姿勢や動作に関わらず安定した状態で生体情報を測定できることが求められる。測定機器1は、モニター部(ディスプレイ)、ボタンやスイッチ類を排することで、一般の測定機器と比べて、小型化及び軽量化と電池の長寿命化とを可能にしている。また、装着者が運動時に脈拍数を測定する場合、検出部で検出された脈波には運動に起因する体動ノイズが重畳される。この体動ノイズが重畳された脈波信号から脈波成分だけを抽出するために、タップ操作センサー部の加速度センサーから出力される加速度信号を利用しても良い。これにより、タップ操作検出用の加速度センサーと脈波成分を抽出するための加速度センサーとを1つの加速センサーで共用することができ、低コスト化、小型化、電池の長寿命化を実現できる。
《ケース部及びバンド部の構成》
図3(a)は、測定機器の正面図、(b)は側面図である。図3(c)は、底面側(検出部)から見た平面図(背面図)である。続いて、図3及び図4を参照して、ケース部10及びバンド部20の構成を詳しく説明する。
図3(a)に示す正面視において、ケース部10の上面10a(図2参照)はバンド部20の本体部21と一対のカバー部16とで覆われている。また、正面視において、ケース部10の側部11はバンド部20の本体部21で覆われている。従って、正面視においては、ケース部10は露出していない。
カバー部16は、Y軸方向に沿った上底と下底とを有する略台形状であり、互いの下底同士が対向するように配置されている。一対のカバー部16同士の間には、Y軸方向に沿って延在する開口部が設けられており、その開口部から発光部14が露出している。
バンド部20の延在方向(Y軸方向)における幅は、本体部21において最も広い。本体部21の幅は、ケース部10の幅よりも広い。第1バンド部22の幅は、本体部21から離れるにしたがって細くなった後、所定の幅W1となる。第2バンド部24の幅は、本体部21から離れるにしたがって細くなった後、所定の幅W2となる。
図3(b)に示す側面視において、ケース部10の側部11のうち、上面10a側はバンド部20の本体部21で覆われており底面10b側は露出している。底面10bの中央部は略平坦な面となっており、側部11の両端に位置する端部12は、底面10bから−Z軸方向(手首WRに装着される側)に張り出している。したがって、ケース部10の底面10bは中央部から端部12に向かって凹状に湾曲した曲面部17を有している。この曲面部17の曲率半径は、本体部21の表面21aの曲率半径よりも大きい。手首に接する内面側の曲面部17の曲率半径が外面側の表面21aの曲率半径よりも大きいため、光電脈波センサー部5(図2参照)の厚さ分を表面21a(ケース部10の上面10a)側を膨らませることで吸収できるので、測定機器1の手首WRへの密着性が損なわれない。
そして、底面10bの中央部には−Z軸方向に張り出した検出部としての窓部13が設けられている。
図3(c)に示す底面10b側から見た平面視において、略長方形状のケース部10がバンド部20の中程に設けられた開口部21b(図2参照)に嵌めこまれている。ケース部10の外周はバンド部20で覆われており、底面10bが露出している。底面10bの中央部に設けられた窓部13は、平面視において略円形状である。また、平面視において窓部13の外側には、窓部13の周りを囲うリング状の土手部15が形成されている。
土手部15は、ケース部10と一体で形成されたリブであり、底面10bから手首WR側に張り出した凸状に設けられている。
窓部13は、透明な凸レンズ状の部材であり、好適例では、透明樹脂を用いている。光電脈波センサー部5(図2)の発光素子から発せられた光は窓部13を透過して装着者の手首WRに照射され、手首WRの血管で反射された光は窓部13を透過して光電脈波センサー部5の受光素子で受光される。そのため、光電脈波センサー部5により安定した状態で生体情報を検出するためには、装着状態において窓部13(検出部)を装着者の手首WRに密着させた状態で安定して保持することが望ましい。
第1バンド部22は、手首WRに面する側(内側、または内面)に、表面から窪んだ複数の溝部28を有している。第2バンド部24は、手首WRに面する側に、表面から窪んだ複数の溝部29を有している。複数の溝部28,29は、例えば、それぞれがY軸方向に沿って延在し、X軸方向に略同一の間隔で並ぶように設けられている。第1バンド部22及び第2バンド部24が複数の溝部28,29を有していることにより、装着状態において装着者の手首WRに接する第1バンド部22及び第2バンド部24の実質的な面積を小さくできる。
これにより、例えば、手首WRへの通気性をよくすることや手首WRからの汗を逃がすことができ、装着者の装着感の向上を図ることができる。また、複数の溝部29をY軸方向に沿って設けることで、装着状態における測定機器1の幅方向(Y軸方向と交差するX軸方向)のずれを抑止できる。なお、本実施形態ではケース部10の側部11の一部と底面10bとが露出するような開口部がバンド部20の本体部21に設けられているが、窓部13だけが露出するような開口部を本体部21に設けるように構成しても良い。このように構成することで、ケース部10とバンド部20との一体感が増すのでデザイン性が向上する。
《バックル部の構成》
図4及び図5は、バックル部の構成及びバンド部との接続構造を示す図である。詳しくは、図4(a)は、開放状態におけるバックル部の側面図である。図4(b)は、第1プレートに第1バンド部が接続された状態のバックル部を内側から見た斜視図である。図4(c)は、図4(b)の状態を外側から見た平面図である。図5(a)は第2プレートに第2バンド部が接続された状態のバックル部を内側から見た斜視図である。図5(b)は、装着状態におけるバンド部及びバックル部の側面図である。図5(c)は、図5(b)の状態を外側から見た平面図である。なお、図5(b)には、装着者の手首WRの断面を2点鎖線で模式的に示している。
ここでは、図4及び図5を参照して、バックル部30の構成及びバンド部20との接続構造について説明する。
図4(a)に示すように、バックル部30において、第1プレート31の一端と第2プレートの一端とがヒンジ部33で互いに回動可能に軸支されている。第1プレート31は、他端に設けられたガイド部34と、内側に延出する爪部35と、外側に延出する爪部36とを有している。第2プレート32は、他端に設けられた接続部37と、開放状態において内側に突出する凸状部38とを有している。
バックル部30は、ヒンジ部33を回動軸として第2プレート32の接続部37側を矢印の方向に回動させ、図4(b)に示すように、第2プレート32が第1プレート31の外側に重なるように折り畳むことで装着状態となる。装着状態では、第1プレート31の爪部36と、第2プレート32の凸状部38とが係合することにより、バックル部30が折り畳まれた装着状態が保持される。また、凸状部38の隣には、位置決め穴39が形成されている。位置決め穴39は、第2プレート32の延在方向に沿った略長方形の穴である。
図5(b)に示す装着状態においては、第1バンド部22が最も手首WR側(内側)に配置され、手首WRとは反対側(外側)に向かって、第1プレート31、第2プレート32、第2バンド部24の順に配置される。この装着状態から、第1プレート31の爪部36と第2プレート32の凸状部38との係合を外し、第2プレート32の接続部37側を第1プレート31から離間して外側へ展開することで、図4(a)に示す開放状態となる。
図4(b)及び(c)に示すように、第1バンド部22は、複数の調整穴部26のいずれかが第1プレート31の爪部35と係合することにより、第1プレート31に接続される。爪部35と係合する調整穴部26を適宜選択することにより、装着状態におけるバンド部20の実質的な長さが調整でき、これによりバンド部20による締め付け力を調整することができる。また、開放状態においても調整穴部26と爪部35とが係合し第1バンド部22と第1プレート31とが接続された状態で保持されるので、一旦バンド部20による締め付け力を調整すれば、手首WRへの着脱を繰り返しても調整した締め付け力が再現される。
図4(b)に示すように、第1バンド部22の先端部23は、内側、すなわち第1プレート31とは反対側に曲げられている。そのため、開放状態から第1プレート31と第2プレート32とを折り畳んで装着状態にする際に、先端部23が第1プレート31側(外側)に反り返って、第1バンド部22と第1プレート31との間や、第2バンド部24と第2プレート32(図5(b))との間に巻き込まれてしまうことを抑止できる。
図5(a)に示すように、第2バンド部24は、第2プレート32の接続部37と接続部27とがピン等により回動可能に軸支されることにより、第2プレート32に接続される。第2バンド部24の先端部25は、内側、すなわち手首WR側に曲げられている。また、第2バンド部24には、折り畳み時において第2プレート32の位置決め穴39と重なる位置に、凸形状40が形成されている。バックル部30が折り畳まれて、第2プレート32と第2バンド部24とが重なると、位置決め穴39に凸形状40が勘合される。これにより、第2バンド部24の幅方向における両者の位置ズレを抑制することができる。上述したように、図5(b)に示す装着状態において、第2バンド部24は最も外側に配置される。その第2バンド部24の先端部25が内側に曲げられているので、装着状態において、先端部25が衣類の袖等へ引っ掛かることが抑えられる。
また、図5(b)に示すように、第2バンド部24には、装着時において、爪部36と重なる位置に、凹形状41が形成されている。凹形状41は、第2バンド部24幅方向の中程に窪み状(図6参照)に形成されており、爪部36と凸状部38とによる出っ張りを逃げている。これにより、第2バンド部の浮き上がりを抑制している。
図5(c)に示すように、第1バンド部22の幅W1と第2バンド部24の幅W2とは、W1<W2の関係にある。すなわち、装着状態において内側に配置される第1バンド部22の幅W1よりも外側に配置される第2バンド部24の幅W2の方が広い(大きい)。また、バックル部30の最も幅が広い部分(本実施形態では、ガイド部34)の幅をW3とすると、W3<W2であることが好ましい。すなわち、装着状態において第2バンド部24よりも内側に配置されるバックル部30の幅W3よりも、第2バンド部24の幅W2の方が広い(大きい)ことが好ましい。
最も外側に配置される第2バンド部24の幅W2が、第1バンド部22の幅をW1及びバックル部30の幅W3よりも広いと、第1バンド部22とバックル部30が第2バンド部24で覆われる。これにより、装着状態において、金属材料からなるバックル部30の衣類の袖等への引っ掛かりや障害物等への接触が抑えられ、見栄えも向上する。
ここで、第1バンド部22及び第2バンド部24の少なくとも互いに接触する部分には、シボ加工、つまり凹凸加工が施されていることが好ましい。互いに接触する部分にシボ加工が施されていると、第1バンド部22と第2バンド部24とが互いに擦れ合う際の摩擦力が低減されて滑り易くなる。そのため、シボ加工が施されていない場合と比べて、装着する際の第1バンド部22の先端部23や第2バンド部24の先端部25の巻き込みが抑えられる、測定機器1の着脱を容易に行うことができる。
また、第1バンド部22及び第2バンド部24の手首WRに接する部分にも、シボ加工が施されていることが好ましい。手首WRに接する部分にシボ加工が施されていると、シボ加工が施されていない場合と比べて、第1バンド部22及び第2バンド部24の単位面積当たりの実質的な接触面積を小さくできる。これにより、装着状態において、第1バンド部22及び第2バンド部24が手首WRに密着することによる装着者の不快感を抑えることができる。
《装着時における環状の開口サイズについて》
図6は、開放状態における測定機器の側面図である。図7は、装着状態における測定機器の側面図である。図8(a)は、複数の被験者から取得した実測データの集計表である。図8(b)は、手をすぼめた状態を示す図である。
ここでは、開放状態、及び装着状態における測定機器1の環状の開口部サイズについて説明する。前述したように、安定して生体情報を検出するためには、着脱を繰り返しても、検出部が腕の検出位置に正確に密着することが必要である。発明者等は、実験及び検証を繰り返して、最適な環状の開口部サイズ(長さ)を導出した。以下に説明する。
図6は、測定機器1のバックル部30を開放状態としたときの側面図であり、その内周71が点線(破線)で示されている。図7は、バックル部30を折り畳んで装着状態としたときの側面図であり、その内周72が点線で示されている。
測定機器1には、スムーズな装着性と、装着後の生体情報の安定した計測機能と、長時間装着してもストレスを感じさせないフィット性とが求められている。発明者等は、これらの要件を満たす寸法を調査した。
図8(a)の表80は、一般成人からなる複数人の被験者について、被装着部位(手首)の寸法や、最適な装着寸法などを調査した結果である。詳しくは、手首(腕)の周囲長さ「a」、適切な装着状態における内周72(図7)の長さ「b」、手をすぼめた状態で最も太い部分の外周73(図8(b))の長さ「c」について、被験者ごとに測定した。なお、表80には、代表的な被験者6名分のデーターを抜粋して記載しているが、実際はさらに多くの被験者によるデーター(元データー)に基づいている。
まず、手首の周囲長さ「a」は、138〜203mmの範囲内で、平均値は165mmであった。
適切な装着状態における内周72の長さ「b」は、133〜196mmの範囲内で、平均値は159mmであった。なお、内周72は、適切な装着状態における装着者の手首の周囲長さと読み替えることもできる。
ここで、手首の周囲長さ「a」の平均値165mmよりも、装着状態の内周72の長さ「b」の平均値159mmの方が小さいのは、検出部を腕に適切な強さで密着させるために必要な締め付けを行っているからである。つまり、検出部の密着性を確保するためには、内周72の長さ「b」を手首の周囲長さ「a」よりも、約5mm短くする必要があることが解る。換言すれば、ケース部10、バンド部20、及びバックル部30からなる環状の内周寸法を、生体における被装着部(手首)の外周よりも短くしている。これは、前述した腕時計の場合(a>b)とは逆の設定であり、測定機器1ならではの要件である。
次に、手をすぼめた状態での外周73の長さ「c」は、203〜270mmの範囲内で、平均値は231mmであった。なお、長さ「c」は、開放状態における内周71(図6)の長さと読み替えることができる。
そして、バックル部30に求められる長さ調整範囲(開閉時の寸法差)「d」は、手をすぼめた状態での外周73の長さ「c」から、装着状態の内周72の長さ「b」を減じた寸法となる。寸法差「d」は、70〜74mmの範囲内で、平均値は72mmであった。なお、寸法差「d」は、開放状態(図6)と、装着状態(図7)とにおける環状の内周寸法の差と読み替えることができる。
発明者等は、これらの結果、及び前述の元データーに基づいて、測定機器1の設計値を以下のように規定している。換言すれば、バンド部20の長さ、調整穴の数、バックル部30の長さなどが以下の寸法を満たす(調整できる)ように設計している。
まず、図7に示す、装着状態における内周72の長さ「b」は、130〜220mmの範囲内とした。換言すれば、130mm以上で220mm以下の範囲内とした。下限を130mmとしたのは、これ未満だと成人には小さ過ぎる(窮屈過ぎる)からである。また、上限を220mmとしたのは、これよりも手首が太い人は稀であり、ここまであれば殆どの一般成人に対応できるからである。なお、実際の長さ調整は、測定機器1を使う際の初期設定として、第1バンド部22に対するバックル部30の取り付け位置によって調整する。詳しくは、装着状態で、内周72の長さが、装着者の手首WRの周囲長さよりも約5mm短くなるように、調整穴の位置を選んでバックル部30を取り付ける。
次に、図6に示す、開放状態における内周71の長さ「c」は、200〜300mmの範囲内とした。換言すれば、200mm以上で300mm以下の範囲内とした。下限を200mmとしたのは、このサイズより小さいと、スムーズに着脱できないからである。また、300mmを越えると、一般成人には大きすぎることが解っている。また、大型化するとバンド部20などの材料が増えてしまい、コストアップとなってしまう。
そして、バックル部30の長さ調整範囲(開閉時の寸法差)「d」は、70〜80mmの範囲内とした。換言すれば、70mm以上で80mm以下の範囲内とした。上限を80mmとしたのは、若干の余裕を持たせることにより、着脱し易くするためである。なお、より平均的なサイズの装着者におけるフィット性を向上させたい場合には、「d」を72〜78mmの範囲内としても良いし、個人に最適化して、例えば、74mmの設定とすることであっても良い。
なお、上述した設定値は一般成人用の設定値の一例であり、これらの設定値に限定するものではなく、対象ごとに設定しても良い。例えば、性別や、年齢、人種別に設定しても良いし、装着部位についても、上腕、足首、首など、生体部位であれば良い。
以上述べたように、本実施形態に係る測定機器1によれば、以下の効果を得ることができる。
測定機器1を装着する際には、バックル部30を伸ばして長くした状態とし、この状態で形成される環状の大きな開口部に、手をすぼめて挿入した後、手首の装着位置でバックル部30を折り畳んで短くすることにより、測定機器1を簡便に装着することができる。ここで、装着状態における内周72サイズ(図7)は、バンド部20へのバックル部30の取り付け位置によって、予め初期設定として装着者に適した寸法に調整されている。好適例では、約5mmの締め代で窓部13(検出部)が腕に密着される。
よって、測定機器1によれば、生体情報を安定的に測定するために必要な密着性(装着性)を確保することができる。
従って、着脱を繰り返しても、生体情報を安定的に測定可能な測定機器1を提供することができる。さらに、装着後にバックル部30を短くするという簡便な方法で密着性を確保することができる。また、バックル部30が長い状態でも、全体が環状となっているため、腕から抜け落ちない限りは紛失してしまうことはなく、さらに、落下による故障も防ぐことができる。
さらに、一般成人の手首に装着する場合において、前述したように、実験データーに基づき、装着状態における内周72の長さ「b」、開放状態における内周71の長さ「c」、バックル部30の長さ調整範囲「d」の最適値を設定した。これにより、殆どの一般成人が快適に使用することが可能な測定機器1を提供することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
図9は、変形例1に係るバンド部周辺の斜視図であり、図4(b)に対応している。
上記実施形態では、第1バンド部22に、複数の調整穴部26が一列に形成されているものとして説明したが、この構成に限定するものではなく複数列形成されていても良い。例えば、図9に示すように、第1バンド部22の延在方向に沿って、複数の調整穴部26からなる列が2列形成される構成であっても良い。好適例では、第1プレート31の爪部35も、2列に合せて2ヶ所形成している。
この構成によれば、係合構成が二列となるため、一列の係合構成よりも、強固に第1バンド部22と第1プレート31とを接続することができる。さらに、デザイン的にもアクセントとなるため、美観も高めることができる。
(変形例2)
図10は、変形例2に係る生体情報測定機器の概略構造の展開斜視図であり、図2に対応している。
上記実施形態では、第2バンド部24には、バックル部30との接続部27が1ヶ所形成されているものとして説明したが、この構成に限定するものではなく複数形成されていても良い。例えば、図10に示すように、第2バンド部24の延在方向に沿って接続部27が2ヶ所形成されていても良い。なお、図10と図2との相違点は、接続部27の数だけである。
この構成によれば、第2プレート32を第2バンド部24に接続する際には、複数の接続部27のいずれかを選択して接続すれば良い。よって、初期設定において環状の開口部長さ調整を行う際に、第1バンド部22側だけでなく、第2バンド部24側でも調整を行うことができる。従って、環状の開口長さの調整幅が広がるため、より多くの装着者による使用が可能となる。
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2について図面を用いて説明する。
実施形態2に係る生体情報測定機器(以下では、測定機器という)1Bは、前述の実施形態1と同様に、生体情報を測定される生体(例えば人体)に装着され、脈拍等の生体情報を測定する電子機器である。なお、以下、実施形態2の説明においては、実施形態1の測定機器1と異なる構成を中心に説明し、実施形態1の測定機器1と同様な構成については同符号を付して説明を省略する。また、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際の構成要素とは適宜に異ならせて記載する場合がある。
<生体情報測定機器の概略構成>
測定機器1Bの構成は、前述の図1および図2を用いて説明した実施形態1と同様である。したがって、ここでの説明は省略する。
<ケース部及びバンド部の構成>
次に、図11及び図12を参照して、実施形態2に係る測定機器1Bのケース部10及びバンド部20の構成をさらに説明する。図11及び図12は、実施形態2に係る生体情報測定機器1Bのケース部10、及びバンド部20の概略構成を示す図である。図11(a)は測定機器1Bの正面図であり、図11(b)は測定機器1Bの側面図であり、図11(c)は、測定機器1Bを手首WRに装着される底面10b側から見た平面図である。図12は、図11(b)におけるケース部10とその周辺部分を拡大した側面図である。なお、図12には、装着者の手首WRの断面を2点鎖線で模式的に示している。また、前述の実施形態と同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
図11及び図12に示すように、実施形態2に係る測定機器1Bは、ケース部10の端部12と隣り合う第1バンド部22の部分に、−Z方向に張り出した凸状部22bを有している。また、ケース部10の端部12と隣り合う第2バンド部24の部分に、−Z方向に張り出した凸状部24bを有している。
詳細には、図12に示すように、バンド部20の本体部21の表面(外面)21aは、ケース部10の上面(外面)10aに沿って略円弧状に湾曲している。第1バンド部22は、ケース部10の端部12と隣り合う部分に、−Z方向に張り出した凸状部22bを有している。第2バンド部24は、ケース部10の端部12と隣り合う部分に、−Z方向に張り出した凸状部24bを有している。そのため、装着状態において、ケース部10が端部12の両側から第1バンド部22の凸状部22b及び第2バンド部24の凸状部24bで挟まれた状態で手首WRに装着されるので、機器本体であるケース部10を安定した状態で保持できる。
さらに、装着状態において、第1バンド部22の凸状部22b及び第2バンド部24の凸状部24bにより、測定機器1Bの内面側が手首WRの周囲に沿うような形状となり、測定機器1Bと手首WRとの間に生じる隙間が埋められる。これにより、装着者が測定機器1Bを手首WRに装着して運動する際等において、装着者の動作による測定機器1Bのがたつきを抑制することができるので、安定した生体情報の測定が可能になる。
第1バンド部22は、凸状部22bが設けられた部分の表面21a側に、略円弧状に湾曲し表面21aと連続して設けられた外面22a(第2曲面部)を有している。また、第2バンド部24は、凸状部24bが設けられた部分の表面21a側に、略円弧状に湾曲し表面21aと連続して設けられた外面24a(第2曲面部)を有している。外面22aの曲率半径と外面24aの曲率半径とは略同一であり、ケース部10の上面10aの曲率半径よりも小さい。本体部21はケース部10の上面10aを覆っているので、本体部21の表面21a(第3曲面部)の曲率半径(第1の曲率半径)はケース部10の上面10aの曲率半径よりも大きい。
したがって、バンド部20は、第1バンド部22及び第2バンド部24と本体部21との接続部分において、表面21aを仮想的に延長した曲面よりも内面側(手首WRに装着される側)に湾曲している。そのため、バンド部20に、凸状部22b,24bをケース部10の両側から端部に向けて押し付けるとともに、第1バンド部22及び第2バンド部24を内面側(手首WRに装着される側)に向かわせる付勢力が付与される。
ケース部10の底面(底面部)10bは、中央部と両側の端部12との間に曲面部17(第4曲面部)を有している。曲面部17の曲率半径は、本体部21の表面21a(第3曲面部)の曲率半径(第1の曲率半径)よりも大きい。測定機器1Bにおける手首WRに接する内面側の曲面部17の曲率半径が外面側の表面21aの曲率半径よりも大きいため、検出部としての光電脈波センサー部5(図2参照)の厚さ分を表面21a(ケース部10の上面10a)側を膨らませることで吸収できるので、測定機器1Bの手首WRへの密着性が損なわれない。
底面10bに対する窓部13の突出量をD1とし、底面10bに対する端部12の張り出し量をD2とすると、本実施形態では、D1<D2となっており、底面10bに対して端部12が窓部13よりも装着者の手首WR側に張り出している。換言すれば、窓部13は、装着者の手首WRに対して端部12よりも+Z方向側に離れた位置にある。したがって、装着状態において、装着者の手首WRの丸みに対応してケース部10の底面10b側がフィットし易くなっており、窓部13を手首WRに密着させて保持できる。また、装着者の負担(例えば、窓部13が手首WRに押し付けられることによる圧迫感)が軽減される。
なお、底面10bに対する窓部13の突出量D1及び端部12の張り出し量D2は、ケース部10のY軸方向における長さや、第1バンド部22及び第2バンド部24の凸状部22b,24bの張り出し量等の設定に基づき、手首WRへの締め付け力や装着感も考慮して設定されることが好ましい。ケース部10の底面10bに対する窓部13の突出量D1が端部12の張り出し量D2よりも大きい(D1>D2)設定としてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る測定機器1Bのケース部10及びバンド部20の構成によれば、安定した状態で機器本体であるケース部10の底面10b(窓部13)を手首WRに密着させて保持できるので、測定機器1Bを長時間装着した場合でも、安定した状態で生体情報を測定することができる。
ケース部10は、正面視において幅方向(X軸方向)を短辺とする略長方形状である。したがって、測定機器1Bを手首WRに装着した状態における幅(X軸方向における長さ)を、一般の測定機器と比べて小さくできる。これにより、測定機器1Bを装着する装着者の負担を軽減でき、視覚的な圧迫感も抑えられる。
また、ケース部10の側部11の上面10a側及びケース部10の外周が、バンド部20で覆われている。換言すれば、バンド部20は、機器本体であるケース部10の周囲を覆って保護する保護部材としての役割も有している。そのため、ケース部10は、その厚さ方向及び幅方向においてバンド部20から表面21a側へ突出しないので、衣類の袖への引っ掛かりや障害物等への接触が抑えられる。
そして、バンド部20で覆われた部分が障害物等に接触した場合でも、ケース部10が直接接触しないため、接触によるケース部10への衝撃が緩和されるので、ケース部10が装着者の手首WRにおける測定部位から離れたりずれたりしてしまうことを抑制できる。これにより、長時間装着しても、装着者の負担が抑えられるとともに、安定した状態で生体情報を測定し続けることが可能となる。
さらに、ケース部10の一部をバンド部20で覆うことにより、ケース部10とバンド部20との外観上の一体感を持たせることや、ケース部10とバンド部20とカバー部16との組み合わせで外観デザインを多様化することができるので、測定機器1Bの見栄えを向上させることが可能となる。
<バンド部及びバックル部の構成>
実施形態2に係る測定機器1Bにおけるバンド部20及びバックル部30の構成は、前述の図4および図5を用いて説明した実施形態1と略同様である。したがって、ここでは、同様な構成の説明は省略し、異なる構成について図13を用いて説明する。
図13(a)は、バックル部30により環状に連結されたバンド部20の径が最も小さくなるように接続された装着状態を示す側面図である。第1バンド部22を第1バックル部(第1プレート)31に接続する際に、複数の調整穴部26(図5(b)及び(c)参照)のうち先端部23から最も離れた位置、すなわち凸状部22bに最も近い位置の調整穴部26を爪部35と係合させて接続することで、連結されたバンド部20の径が最も小さくなる。この接続位置を第1の位置とする。
第1バンド部22と第1バックル部31とを第1の位置で接続すると、爪部35と係合する調整穴部26の位置から凸状部22bまでの長さは最も短くなり、爪部35と係合する調整穴部26の位置から先端部23までの長さは最も長くなる。すなわち、バックル部30及び第2バンド部24よりも内面側に配置される第1バンド部22の先端部23が、第2バンド部24の凸状部24b及びケース部10に最も近くなる。
この第1の位置で第1バンド部22が第1バックル部31と接続された場合でも、先端部23は第2バンド部24の凸状部24b及びケース部10よりも第1バックル部31寄りに配置される。したがって、第1バンド部22の先端部23が生体情報を検出するための窓部13が設けられたケース部10よりも第1バックル部31寄りに配置されるので、第1バンド部22(先端部23)がケース部10と手首WRとの間に介在することはなく、第1バンド部22(先端部23)が窓部13を遮ることもない。
また、第1の位置で第1バンド部が第1バックル部と接続された場合でも、先端部23は第2バンド部24の凸状部24bよりも第1バックル部31寄りに配置されるので、第1バンド部22が第2バンド部24の凸状部24bと手首WRとの間に介在することはない。これにより、測定機器1Bは、環状に連結されたバンド部20の径が最も小さくなる装着状態においても、安定した状態で生体情報を検出し測定することができる。
図13(b)は、バックル部30により環状に連結されたバンド部20の径が最も大きくなるように接続された装着状態を示す側面図である。第1バンド部22を第1バックル部31に接続する際に、複数の調整穴部26のうち先端部23に最も近い位置、すなわち凸状部22bから最も離れた位置の調整穴部26を爪部35と係合させて接続することで、連結されたバンド部20の径が最も大きくなる。この接続位置を第2の位置とする。
第1バンド部22と第1バックル部31とを第2の位置で接続すると、爪部35と係合する調整穴部26の位置から凸状部22bまでの長さは最も長くなり、爪部35と係合する調整穴部26の位置から先端部23までの長さは最も短くなる。すなわち、バックル部30及び第2バンド部24よりも内面側に配置される第1バンド部22の先端部23が、第1バックル部31に最も近くなる。
この第2の位置で第1バンド部22が第1バックル部31と接続された場合でも、第1バンド部22の先端部23は、第1バックル部31よりも第2バンド部24の凸状部24b及びケース部10寄りに配置される。したがって、第1バックル部31と手首WRとの間には、第1バンド部22が介在する。そのため、環状に連結されたバンド部20の径が最も大きくなる装着状態においても、第1バックル部31が生体の手首WRに接触しないので、装着者の負担(不快感)を抑えることができる。
<バンド部の形状及び長さ>
図14は、本実施形態に係る生体情報測定機器のバンド部の形状を示す図である。図14(a)は第1バンド部を拡大して示す平面図であり、図14(b)は第1バンド部を拡大して示す側面図であり、図14(c)は図14(a)のA−A’線に沿った断面図である。
図14(a)に示すように、第1バンド部22の先端部23の平面視における角部が曲面Rとなっている。また、図14(b)に示すように、第1バンド部22の先端部23の側面視における内面側の角部も曲面Rとなっている。さらに、図14(c)に示すように、第1バンド部22の断面視において、第1バンド部22における内面側の角部も曲面Rとなっている。なお、第2バンド部24についても同様である。
このように、バンド部20における装着者の手首WR側の角部が曲面となっているので、生体情報を検出できる程度に装着者の手首WRを締め付けても、長時間の装着における装着者の負担(不快感)を抑えることができる。
図15は、長さの異なるバンド部を比較して示す図である。図15は、図11(b)に示す側面図に相当する。本実施形態に係る測定機器1Aでは、互いに長さが異なる複数のバンド部が用意されており、これらのいずれか一つが選択されケース部10と組み合わせて使用される。図15に示す測定機器1Aは、バンド部20の代わりに、バンド部20よりも長さが短いバンド部50を備えている。図15には、バンド部50を実線で示し、バンド部20を破線で示している。
バンド部50は、手首WRの周囲の長さが比較的短く、バンド部20を用いた場合に測定機器1Aを装着する際の締め付け力が不足する可能性がある装着者のために用意されたものである。バンド部50は、ケース部10の上面10aを覆う本体部51と、本体部51から一方の側に延出する第1バンド部52と、本体部51から他方の側に延出する第2バンド部54とを有している。本体部51は凸状の曲面で構成される外面51a(第3曲面部)を有している。外面51aの曲率半径は、バンド部20の表面21aの曲率半径と略同一である。
バンド部20と比較して、第1バンド部52の先端部53までの長さは第1バンド部22の先端部23までの長さよりも短く、第2バンド部54の先端部55までの長さは第2バンド部24の先端部25までの長さよりも短い。第1バンド部52は、ケース部10の端部12と隣り合う部分に−Z方向に張り出した凸状部52bを有している。第2バンド部54は、ケース部10の端部12と隣り合う部分に−Z方向に張り出した凸状部54bを有している。そのため、装着状態において、ケース部10が端部12の両側から第1バンド部52の凸状部52b及び第2バンド部54の凸状部54bで挟まれた状態で手首WRに装着されるので、機器本体であるケース部10を安定した状態で保持できる。さらに装着者が測定機器1Aを手首WRに装着したときに、測定機器1Aと手首WRとの間に生じる隙間を第1バンド部52の凸状部52b及び第2バンド部54の凸状部54bが埋めるために、装着者の動作による測定機器1Aのがたつきを抑制することができるので、安定した生体情報の測定が可能になる。
第1バンド部52は、凸状部52bが設けられた部分の外面51a側に、略円弧状に湾曲し外面51aと連続して設けられた外面52a(第2曲面部)を有している。また、第2バンド部54は、凸状部54bが設けられた部分の外面51a側に、略円弧状に湾曲し外面51aと連続して設けられた外面54a(第2曲面部)を有している。外面52aの曲率半径と外面54aの曲率半径とは略同一であり、バンド部20における外面22a及び外面24aの曲率半径よりも小さい。
したがって、バンド部50では、バンド部20と比べて、第1バンド部52及び第2バンド部54と本体部51との接続部分において、外面51aを仮想的に延長した曲面よりもより内面側に湾曲している。これにより、装着者の手首WRの周囲の長さが比較的短い場合に、バンド部20の代わりにバンド部50を使用することで手首WRに沿いフィットし易くなる。
このように、本実施形態では、互いに長さが異なる複数のバンド部20,50を用意し装着者の手首WRの周囲の長さに応じていずれかを適宜選択して使用することができる。そのため、様々に手首WRの周囲の長さが異なる装着者に対して、適度な締め付け力が得られ、ケース部10が装着者の手首WRから離れたりずれたりしてしまうことを抑制できる。これにより、長時間の装着における装着者の負担(不快感)が抑えられるとともに、安定した状態で生体情報を測定することができる。
なお、ここでは、長さの異なる2つバンド部20,50の違いについて説明したが、バンド部20,50の他にさらに長さの異なるバンド部が用意されていてもよい。その場合、長さが短いバンド部ほど第2曲面部の曲率半径は小さく設定される。
上述した実施形態2は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例3)
上記実施形態2に係る測定機器1B(又は1A)では、ケース部10とバンド部20(又は50)とが一体に設けられた構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。ケース部10がバンド部20(又は50)に着脱可能に嵌めこまれた構成としてもよい。ケース部10とバンド部20(又は50)とが着脱可能に嵌合した構成とすることで、例えば、バンド部20(又は50)が破損した場合等に、バンド部20(又は50)を交換することができる。また、バンド部20(又は50)を含む長さが異なる複数のバンド部が用意されている場合に、その中から装着者の測定部位の大きさに合わせてバンド部を付け替えることができる。さらに、色や形状等が異なる様々なバンド部を用意しておき、装着者の好みに応じてバンド部を付け替えることで、外観デザインを多様化することができる。
(変形例4)
上記実施形態2に係る測定機器1B(又は1A)は、第1バンド部22(又は52)と第2バンド部24(又は54)とを連結するバックル部30を備えた構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、第2バンド部24(又は54)の先端部25(又は55)に第1バンド部22(又は52)の調整穴部26と係合する接続部を備え、その接続部と第1バンド部22(又は52)の調整穴部26とを係合させることにより、第1バンド部22(又は52)と第2バンド部24(又は54)とを連結する構成としてもよい。しかしながら、測定機器1がバックル部30を備える方が、着脱時の落下が抑えられ着脱を繰り返しても調整した締め付け力を保持できる点で好ましい。
(変形例5)
上記実施形態2に係る測定機器1Bでは、バックル部30の各部は金属材料で構成されているが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、バックル部30の各部は樹脂で構成されても良い。これにより、バンド部20とバックル部30との一体感がさらに増し、バンド部20及びバックル部30を含めた測定機器1B全体の見栄えがより良くなる。
(変形例6)
上記実施形態2に係る測定機器1Bでは、窓部13が装着者の手首WRに対して端部12よりも+Z方向側に離れた位置にある構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。窓部13が端部12よりも−Z方向側の装着者の手首WRに近い位置にある構成であってもよい。図16は、変形例6に係る生体情報測定機器2のケース部及びバンド部の概略構成を示す図である。なお、図16は、図11(b)におけるケース部10とその周辺部分を拡大した側面図に相当する。
図16に示すように、変形例6に係る測定機器2では、ケース部10Aの底面10bに対する窓部13の突出量D1が端部12の張り出し量D2よりも大きい(D1>D2)。換言すれば、装着状態において、窓部13が端部12よりも装着者の手首WRに近い位置にあるので、上記実施形態と比べて窓部13を装着者の手首WRにより強く押し付けて確実に密着させることができる。
なお、底面10bに対する窓部13の突出量D1及び端部12の張り出し量D2は、ケース部10のY軸方向における長さや、第1バンド部22の凸状部22b及び第2バンド部24の凸状部24bの張り出し量等の設定に基づき、手首WRへの締め付け力や装着感も考慮して設定されることが好ましい。
(変形例7)
上記実施形態2に係る測定機器1Bでは、第1バンド部22に設けられた複数の調整穴部26の配置ピッチが略均一な構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。複数の調整穴部26の配置ピッチが不均一な構成であってもよい。図17は、変形例7に係る生体情報測定機器のバンド部の概略構成を示す図である。なお、図17は、変形例7に係るバンド部20Aを外側(手首WRとは反対側)から見た図である。
図17に示すように、変形例7に係るバンド部20Aの複数の調整穴部26のうち、本体部21に最も近い位置にある調整穴部26と次の調整穴部26との間のピッチをP1とし、その次の調整穴部26との間のピッチをP2とし、そのまた次の調整穴部26との間のピッチをP3とする。同様にして、本体部21から最も遠い位置にある調整穴部26とその前の調整穴部26との間のピッチをPnとすると、P1<P2<P3<・・・<Pn−1<Pnとなっている。すなわち、バンド部20Aでは、複数の調整穴部26の配置ピッチが本体部21(ケース部10)に近付くほど小さくなる構成となっている。
第1バックル部31の爪部35(図4(b)参照)と係合する調整穴部26が本体部21に近いほど、第1バンド部22おける調整穴部26から本体部21までの長さが短くなるので、同じ歪み量(伸びる長さ)に対して第1バンド部22の引張り応力は増大する。そのため、複数の調整穴部26の配置ピッチが均一であると、爪部35と係合する調整穴部26が本体部21に近付くほど、調整穴部26を一つずらすことによる手首WRへの締め付け力の増加量が大きくなることとなる。
変形例7に係るバンド部20Aのように、複数の調整穴部26の配置ピッチが本体部21に近付くほど小さくなる構成であれば、調整穴部26を一つずらすことによる手首WRへの締め付け力の増加量が過度に大きくならないように抑えることができる。これにより、装着者による手首WRの大きさの差異や調整穴部26の選択による手首WRへの締め付け力のばらつきを抑えることができる。この結果、ケース部10(窓部13)が装着者の手首WRから離れたりずれたりしてしまうことを効果的に抑制でき、長時間の装着における装着者の負担を抑えることができる。
また、複数の調整穴部26の配置ピッチが均一であると、爪部35と係合する調整穴部26が本体部21に近付くほど、係合する調整穴部26の位置における第1バンド部22に対する引張り応力が増大する。変形例7のバンド部20Aの構成であれば、調整穴部26を一つずらすことによる第1バンド部22に対する引張り応力が過度に大きくならないように抑えることができる。これにより、第1バンド部22(バンド部20)の耐久性を向上させることができる。
なお、すべての調整穴部26の配置ピッチを不均一とするのではなく、例えば、本体部21から遠い側の複数の調整穴部26の配置ピッチを均一にして、本体部21に近い側の複数の調整穴部26の配置ピッチを不均一とする構成としてもよい。
(変形例8)
上記実施形態2に係る測定機器1Bにおいて、複数の調整穴部26のそれぞれに対応して符号が付された構成としてもよい。図18は、変形例8に係る生体情報測定機器のバンド部の概略構成を示す図である。なお、図18は、変形例8に係るバンド部20Bを内側(手首WR側)から見た図である。
図18に示すように、変形例8に係るバンド部20Bでは、第1バンド部22の内側の面に、複数の調整穴部26のそれぞれに対応して符号mが付されている。符号mは、例えば、本体部21側から順に数字で「1,2,3,・・・n−1,n」と付されている。第1バンド部22の内側の面に符号mが付されていることで、図4(b)に示すように、調整穴部26を第1バックル部31の爪部35と係合させる際に、符号mを参照することで調整穴部26を個別に特定できる。そのため、例えば、最適な調整穴部26を選択して第1バンド部22と第1バックル部31とを接続した後でその接続を外しても、先に選択した最適な調整穴部26で容易に再接続することができる。
なお、符号mは、数字に限定されず、アルファベットや記号等であってもよい。また、符号mの位置は各調整穴部26の横の位置であってもよいし、隣り合う調整穴部26同士の間の位置であってもよい。また、符号mが第1バンド部22の外側の面に付されていてもよい。
(変形例9)
上記実施形態2に係る測定機器1Bは、第1バンド部22と第2バンド部24とを連結するバックル部30を備えた構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、第2バンド部24の先端部25に第1バンド部22の調整穴部26と係合する接続部を備え、その接続部と第1バンド部22の調整穴部26とを係合させることにより、第1バンド部22と第2バンド部24とを連結する構成としてもよい。しかしながら、測定機器1Bがバックル部30を備える方が、着脱時の落下が抑えられ着脱を繰り返しても調整した締め付け力を保持できる点で好ましい。
(変形例10)
上記実施形態2に係る測定機器1Bでは、バックル部30の各部は金属材料で構成されているが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、バックル部30の各部は樹脂で構成されても良い。これにより、バンド部20とバックル部30との一体感がさらに増し、バンド部20及びバックル部30を含めた測定機器1B全体の見栄えがより良くなる。
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について図面を用いて説明する。
実施形態3に係る生体情報測定機器(以下では、測定機器という)は、前述の実施形態と同様に、生体情報を測定される生体(例えば人体)に装着され、脈拍(心拍数)等の生体情報を測定する心拍数監視装置である。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際の構成要素とは適宜に異ならせて記載する場合がある。
まず、実施形態3に係る生体情報測定機器としての心拍数監視装置について説明する前に、図19を用いて実施形態3に係る生体情報測定機器としての心拍数監視装置の従来例について説明する。
図19は、心拍数監視装置(図19はユーザーの腕を示す)を持っているユーザー1000の生理的パラメーターを測定する従来例の生体情報測定機器としての心拍数監視装置1010を示す断面図である。心拍数監視装置1010は、ユーザー1000の少なくとも一つの生理的パラメーターとしての心拍数を計測するセンサー1012と、センサー1012を収納しているケース1014を備えている。心拍数監視装置1010は、固定部1016(例えばバンド)によって、ユーザー1000の腕1001に装着される。
このセンサー1012は、二つのセンサーエレメントである発光素子1121および受光素子1122を備え、心拍数を測定するかまたはモニターするための心拍数監視センサーである。しかし、一つ以上の生理的パラメーター(例えば心拍数、血圧、呼気量、皮膚伝導率、皮膚湿度など)を測定するセンサーであってもよい。また、ケース1014が、バンドタイプのハウジングを備えている場合は、例えばスポーツにおいて使われる腕時計型の監視装置として用いることができる。なお、ケース1014の形は、主にユーザー1000に関して所望の位置でセンサー1012を保持することができればよく、任意に電池、処理ユニット、表示、ユーザー・インターフェイスなどのような更なる要素を収納することができてもよい。
従来例の生体情報測定機器は、ユーザーの心拍数をモニターするための心拍数監視装置1010である。そして、センサー1012は発光素子1121および受光素子1122から成る光学センサーである。光学的心拍数モニターの原則は、皮膚に光をあてる光源としての発光素子1121(通常LEDが用いられる)に依存する。皮膚に照射された光は、皮膚下の血管を流れる血液によって一部が吸収されるが、残りの光は反射され皮膚を出る。そして、反射された光は、受光素子1122(通常フォトダイオードが用いられる)によって、捕捉される。受光素子1122からの受光信号は、血管を流れる血液量に相当する情報を含む信号である。血管を流れる血液量は、心臓の脈動によって変化する。そして、このように、受光素子1122上の信号は心臓の拍動に対応して変化する。つまり、受光素子1122の信号の変化は、心拍数のパルスに相当するものである。そして、単位時間当たりパルス数を計数することによって(例えば10秒当たり)、心臓が1分間に打つ数(すなわち心拍数)が得られる。
以下、図20を用いて実施形態3に係る生体情報測定機器としての心拍数監視装置1020について説明する。図20は、実施形態3に係る生体情報測定機器としての心拍数監視装置を示す斜視図である。
実施形態3に係る生体情報測定機器としての心拍数監視装置1020は、少なくとも二つのセンサーエレメントを備えたセンサー1022(本例では、三つのセンサーエレメントとして、第1の発光部および第2の発光部としての二つの発光素子1221,1223と、受光部としての受光素子1222とを用いている)を有している。センサーエレメントは、センサー信号を検出する。センサー1022は、ユーザーの皮膚に対して発光するための二つのLEDを用いた発光素子1221,1223から成る光学センサーと、皮膚から反射した光を受信するための少なくとも一つの受光素子1222(フォトダイオード)とを備えている。さらに、心拍数監視装置1020は、ケースまたはハウジング(図示せず)を有している。ケースまたはハウジングは、図19に示されるケース1014と類似、あるいは同一でもよいし、上述の実施形態1,2におけるケース部10と類似、あるいは同一でもよい。
そして、センサー1022は、キャリア(基板)1026の一面に担持されている。発光素子1221,1223から射出された光は、皮膚などに吸収されずに反射され、受光素子1222直接到達することができる。心拍数監視装置1020において、キャリア1026と発光素子1221,1223の上面1221a,1223aとの間の距離は、キャリア1026と受光素子1222の上面1222aとの間の距離より小さい。すなわち、キャリア1026と発光素子1221,1223の上面1221a,1223aとの間の距離と、キャリア1026と受光素子1222の上面1222aとの間の距離との差が、Δhである。そして、受光素子1222は、一番上の表層であるその上面1222aから光を受信する。それらの構成によれば、発光素子1221,1223から射出された光の大部分は皮膚に向かい、反射光は、空気層などの介入なしに直接受光素子1222に入射される効果がある。換言すれば、受光素子1222が皮膚に密着する構造であるため、受光素子1222の上面(受光面)1222aと皮膚との間に隙間が生じにくい構造とすることができ、これにより外光などのノイズ源となる光が上面1222aに入射することを抑制することができる。また、皮膚を通過しない発光素子1221,1223からの光、例えば発光素子1221,1223からから直接受光素子1222に入射する光は、受光素子1222の上面1222aに到達することができない。
(実施形態4)
次に、図21を参照して実施形態4に係る生体情報測定機器1030について説明する。図21は、実施形態4に係る生体情報測定機器1030を示す正面図である。図21に示すように、発光素子1221,1223および受光素子1222の電気的接続端子1034は、電気的要素の保護のために絶縁性材料(例えばエポキシ樹脂)1032で、好ましくは覆われていなければならない。また、絶縁性材料1032が発光素子1221,1223や受光素子1222を覆わないように構成することができる。具体的には、発光素子1221と受光素子1222との間の領域、発光素子1223と受光素子1222との間の領域を絶縁材料1223で埋めるように構成することができる。換言すれば、少なくとも受光素子1222の上面1222a、発光素子の上面1221a、1223aが絶縁性材料1032に覆われないように構成することができる。このように構成することで、皮膚と発光素子1221,1223との間のエアギャップによる妨害を抑制することができる。さらに、絶縁性材料1032が発光素子の上面1221a、1223aや受光素子の上面1222aを覆うように構成しても良い。このように構成することで、皮膚と接触する受光素子の上面1222aや、発光素子の上面1221a、1223aを保護することができるので、受光素子の上面1222aや、発光素子の上面1221a、1223aの損傷を防ぐことができる。この場合、絶縁性材料1032は保護膜とみなすこともできる。
本実施形態4に係る生体情報測定機器1030では、一般に可能性がある実施例として、エポキシ樹脂用いた絶縁性材料1032を設けている。図21においては、絶縁性材料1032は、発光素子1221,1223の上面1221a,1223aを覆うことなく配置され、電気的接続端子1034を保護する。発光素子1221,1223から射出されている光は、矢印にて表される。
このように、絶縁性材料1032の配置は、生体情報測定機器1030の正しい機能を妨げない程度の最小限で行うことにより、発光素子1221,1223および受光素子1222の電気的接続端子1034を保護することで、この生体情報測定機器1030は更に改良されることができる。なお、本実施形態4におけるエポキシを注入する構成に変えて、図22に示すような実施形態5に係る生体情報測定機器1040とすることが好適である。
(実施形態5)
次に、実施形態5に係る生体情報測定機器1040について、図22を参照して説明する。図22は、実施形態5に係る生体情報測定機器を示す斜視図である。実施形態5に係る生体情報測定機器1040は、作成されたフレーム1041,1042,1043が配置される。フレーム1041,1042,1043は、発光素子1221,1223および受光素子1222の周囲に配置され、フレーム1041,1042,1043と、発光素子1221,1223および受光素子1222との間の隙間1036が形成される。
そして、フレーム1041,1042,1043をガイドとして絶縁性材料(図22では図示されない)が注入され、発光素子1221,1223および受光素子1222の電気的接続端子1034を覆う。
実施形態4に示す例では、発光素子1221,1223および受光素子1222は、個々のフレーム1041,1042,1043によって、囲まれる。なお、他の例としては、すべてのフレーム1041,1042,1043は、互いに結合されてもよく、または、すべてのセンサーエレメントは一体のフレームによって囲まれてもよい。
生体情報測定機器1040の機能に影響を及ぼさないための改善点として、発光素子1221,1223のまわりのフレーム1041,1043の上部エッジ1041a,1043aは、好ましくは発光素子1221,1223の上面1221a,1223aより低いことが好ましい。換言すれば、個別のフレーム1041,1043の上部エッジ1041a,1043aとキャリア1026との距離hFR−LEDは、個別のフレーム1041,1043で囲まれている発光素子1221,1223の上面1221a,1223aとキャリア1026との距離hLEDと、同じか小さい(hFR−LED≦hLED)。
好ましくは、発光素子1221,1223の上面1221a,1223aとキャリア1026との距離hFR−LEDと、フレーム1041,1043の上部エッジ1041a,1043aとキャリア1026との距離hLEDとの差は、0.1mmから0.8mmの範囲に設定する。なお、さらに好ましくは、発光素子1221,1223の上面1221a,1223aとキャリア1026との距離hFR−LEDと、フレーム1041,1043の上部エッジ1041a,1043aとキャリア1026との距離hLEDとの差は、0.2mmから0.5mmの範囲に設定する。
また、受光素子1222のまわりのフレーム(レシーバーフレーム)1042の上部エッジ1042aは、好ましくは受光素子1222の上面1222aより高いことが好ましい。換言すれば、フレーム1042の上部エッジ1042aとキャリア1026との距離hFR−PDは、フレーム1042で囲まれている受光素子1222の上面1222aとキャリア1026との距離hPDより大きい(hFR−PD>hPD)。
好ましくは、受光素子1222の上面1222aとキャリア1026との距離hFR−PDと、フレーム1042の上部エッジ1042aとキャリア1026との距離hFR−PDの差は、0mmから0.5mmの範囲に設定する。なお、さらに好ましくは、受光素子1222の上面1222aとキャリア1026との距離hFR−PDと、フレーム1042の上部エッジ1042aとキャリア1026との距離hFR−PDの差は、0.1mmから0.2mmの範囲に設定する。
さらに、フレーム1042の上部エッジ1042aとキャリア1026との距離hFR−PDは、発光素子1221,1223の上面1221a,1223aとキャリア1026との距離hFR−LEDよりも大きい(hFR−PD>hFR−LED)。
なお、例えば、受光素子1222および発光素子1221,1223が間近である場合、受光素子1222と発光素子1221,1223との間に、1枚のフレーム壁だけが存在する構成であってもよい。これは、製造容易性の理由で発生する場合がある。その1枚のフレーム壁がケースである場合、受光素子1222および発光素子1221,1223で両方のフレームのフレーム壁は一致する。これは、発光素子1221,1223のフレーム壁がより高くなることを意味する、詳述すると、発光素子1221,1223を囲むフレーム1041,1043の内の、受光素子1222がある側のフレーム壁が高くなり、他のフレーム壁は発光素子1221,1223の上面1221a,1223aより低くなる。
さらに、フレーム1041、1042、1043に代えて、受光素子1222と発光素子1221、あるいは1223との間に第1の壁部を設け、発光素子1221、1223の外側、つまり受光素子1222に対して第1の壁部とは反対側に第2の壁部を設けるように構成しても良い。
このように構成した場合、キャリア1026と第1の壁部の上面との距離は、キャリア1026と第2の壁部の上面との距離よりも大きくなるように構成しても良い。このように構成することで、図22のように発光素子や受光素子を囲うように構成した場合に比べ、より少ない部材でフレームの機能を実現することができる。
なお、本実施形態5のようにフレーム1041,1043やフレーム1042を用いることにより、注入されるエポキシ樹脂などの絶縁性材料が流れ出すことを防ぐことができる。またこのように、追加構造を作成してエポキシ樹脂などの絶縁材料を区切ることは、高い量産性を可能にするオプションである。なお、フレーム1041,1043やフレーム1042は、キャリア1026と同じ材料によって構成されても良い。例えばエポキシ系樹脂やポリカーボネイト系樹脂を用いて射出成型でフレームが形成されても良い。
前述したように、絶縁性材料1032(図20参照)は、センサーエレメント(発光素子1221,1223および受光素子1222)の電気的接続端子1034を保護する。しかしながら、これらの電気的接続端子1034は他の要素である追加電子機器(例えばドライバー、検出エレクトロニクス、プロセッサーまたは電源)と、さらに接触しなければならない。そして、キャリア1026(プリント基板(PCB)でもよい)に、これらの追加電子機器とのなんらかの電気接続があることを意味する。
図23を参照して、実施形態6に係る生体情報測定機器を説明する。図23は、実施形態6に係る生体情報測定機器を示す断面図である。実施形態6に係る生体情報測定機器1050は、前述した追加電子機器(例えばプロセッサー1052およびドライバー1054)を備えている。外部電気接続端子(図示せず)は、センサーエレメント(発光素子1221および受光素子1222)と同じキャリア1026に配置されない。つまり、追加電子機器は、センサーエレメントとは別のキャリアあるいは基板に配置されている。このように構成することで、皮膚とセンサーエレメント(発光素子1221および受光素子1222)との良好な接触を維持しつつ、必要な追加電子機器を生体情報測定機器1050に搭載することができる。例えば、外部電気接続端子は、キャリア1026の側面に配置されることができる。
上述したように、異なる種類のセンサーが、本発明に係る生体情報測定機器において用いられることが可能である。例えば、上述の受光素子1222が電気センサーである場合は、ユーザーの皮膚に接触して、ユーザーの伝導率を測定するための2本の皮膚コンダクタンス電極(例えば、センサーエレメント(図20に示される発光素子1221、受光素子1222))は、皮膚でおおわれる。なお、さらなる、二つ以上の種類のセンサーが、この種の生体情報測定機器において、用いられることが可能である、さらに、センサーエレメントの数は問わない。
実施形態3〜6において、提唱される生理的パラメーターを測定する生体情報測定機器を製造する方法のフローチャートは、図24において示される。
第1ステップS1において、センサー信号を検出するための少なくとも二つのセンサーエレメント(発光素子1221および受光素子1222)から成るセンサー1022は、キャリア1026上に配置される。第2ステップS2において、前記センサーエレメントの電気的接触をキャリア1026に形成する。第3ステップS3において、一つ以上のフレーム1041,1042は、センサー1022および/または個々のセンサーエレメント(発光素子1221および受光素子1222)周辺で、キャリア1026の上に形成される。第4ステップS4において、キャリア1026に備えられているセンサーエレメント(発光素子1221および受光素子1222)の上面1221a,1222aを覆わない、それぞれのフレーム1041、1042によって囲まれる領域に絶縁性材料1032が注入され満たされる。
上記実施形態3〜6によれば、生体情報測定機器の性能に負の影響を及ぼすことのない電気的接触の保護を成し遂げる方法が提案される。そして、センサーの性能を保つような方法で形成される。例えば、これらのフレーム1041,1043の少なくとも一つは、皮膚全体のセンサーの位置がシフトすることを防ぐ。さらに、これらのフレーム1041,1043の少なくとも一つは、射出された直射的な光が受光素子1222に入力するのを防止するのに役立つことができる。好ましくは、受光素子1222の向きになっている側の、発光素子1221,1223のまわりのフレーム1041,1043の高さは、発光素子1221,1223の上面1221a,1223aの高さより小さくなければならない。加えて、受光素子1222のまわりのフレーム1042は、受光素子1222の上面1222aより高くてもよい。