以下、本発明に係る実施形態の運転訓練シミュレータシステムおよび運転訓練シミュレーション方法について、図面を参照して具体的に説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複する説明は省略する。ここで説明する下記の実施形態はいずれも、複数のプラントを有する発電所などに用いられる運転訓練シミュレータシステムの一例をとりあげて説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る運転訓練シミュレータシステムの第1の実施形態の構成を示すブロック図である。図2は、図1のリソースデータの構成例を示す図である。また、図3は図1の運転訓練シミュレータシステムに用いられる運転訓練シミュレーション処理フローを示すフロー図であり、図4は図1の運転訓練シミュレータシステムに用いられるリソース共有サーバ処理フローを示すフロー図である。
第1の実施形態の運転訓練シミュレータシステム50aは、図1に示すように、複数のシミュレーション操作端末1Aおよび1Bと、複数の模擬プラントシミュレータ20A(図1では模擬プラントAシミュレータとも記す)および20B(同じく模擬プラントBシミュレータとも記す)と、複数の操作模擬盤3Aおよび3Bと、リソース共有サーバ9aとを備えている。なお、模擬プラントシミュレータ20Aは、プラントA(実プラントの一つ)を模擬するためのシミュレータを示し、模擬プラントシミュレータ20Bは、プラントAとは異なるプラントB(実プラントの他の一つ)を模擬するためのシミュレータを示すものとして区別する。図1に示す模擬プラントシミュレータ20Aおよび20Bの構成において、同一部分には同一符号を付す。
運転訓練シミュレータシステム50aは、例えば発電所などのプラントおよびプラントを運転する監視制御装置等を模擬して、運転訓練員のために模擬プラントでの模擬運転操作を行わせるシステムである。
図1に示す運転訓練シミュレータシステム50aでは、運転訓練員が操作模擬盤3Aを介して模擬プラントAを模擬運転操作する。同様に、運転訓練員が操作模擬盤3Bを介して模擬プラントBを模擬運転操作する。
また、インストラクタが、シミュレーション操作端末1Aを介して、プラントAを構成する各機器の故障や事故を模擬させるための模擬事故などの指示を入力操作し、また、模擬プラントAの運転訓練状態を監視する。同様に、インストラクタが、シミュレーション操作端末1Bを介して、模擬プラントBについて前述したような入力操作および表示等の監視を行う。
操作模擬盤3Aは、模擬プラントシミュレータ20Aを用いた運転訓練の際に、プラントAに対する監視/操作を模擬するための操作盤である。操作模擬盤3Aは、プラントAに備えられた操作盤を模擬し、模擬された操作に基づいて模擬操作信号を生成する。操作模擬盤3Aは、例えば画面表示装置、計器、操作スイッチなどから構成され、プラント状態の監視状態等を表示し、操作スイッチによりプラントの運転操作を模擬することができる。また、操作模擬盤3Bは、模擬プラントシミュレータ20Bを用いた運転訓練の際に、プラントBに対する監視/操作を模擬するための操作盤である。
模擬プラントシミュレータ20Aは、シミュレーション操作入出力手段2、模擬演算手段4、操作模擬盤入出力手段5、シミュレーションデータ記憶手段6、マルファンクション実行手段7、および共有リソース入出力手段8を備えている。なお、模擬プラントシミュレータ20Bについても、同様な構成である。また、模擬プラントシミュレータ20Aが、前述したように、図1に示す構成を備えるとしたが、それに加えてシミュレーション操作端末1Aおよび操作模擬盤3Aを備える構成としてもよい。以下、主に、図1に示す模擬プラントシミュレータ20Aの構成について説明する。
シミュレーション操作入出力手段2は、シミュレーション操作端末1Aと模擬プラントシミュレータ20Aとの間のシミュレーション操作に関する入出力データの受け渡し(インタフェース)を行う。
さらに、シミュレーション操作入出力手段2は、模擬プラントシミュレータ20Aにおいて、模擬演算手段4、操作模擬盤入出力手段5またはマルファンクション実行手段7などに対し、それらとシミュレーション操作端末1Aとの間で入出力されるシミュレーション操作に関する入出力データを受け渡す。
シミュレーション操作に関する入出力データは、例えばプラントAを構成する機器の故障や事故等の模擬事故の要求や、後述する模擬プラントAの訓練モードの手動切り替え等の操作データや、端末の画面表示データなどである。
インストラクタがシミュレーション操作端末1Aを入力操作すると、シミュレーション操作入出力手段2を介して、シミュレーション操作に関する入出力データを必要に応じて、模擬演算手段4、操作模擬盤入出力手段5またはマルファンクション実行手段7に出力する。
操作模擬盤入出力手段5は、操作模擬盤3Aと模擬プラントシミュレータ20Aとの間の模擬操作に関する入出力データの受け渡しを行う。さらに、操作模擬盤入出力手段5は、模擬プラントシミュレータ20A内において、シミュレーション操作入出力手段2またはシミュレーションデータ記憶手段6などのそれらと操作模擬盤3Aとの間で受け渡される模擬操作に関する入出力データを受け渡す。模擬操作に関する入出力データは、例えばシミュレーション操作データ、模擬盤操作データおよびシミュレーションデータなどである。
マルファンクション実行手段7は、シミュレーション操作端末1Aからの要求に応じて、プラントAを構成する機器の故障や事故等の模擬事故を模擬プラントで発生させる。マルファンクション実行手段7は、模擬演算手段4に当該故障や事故等の模擬事故の発生を通知する。
なお、マルファンクション実行手段7に、予め模擬事故を設定し、模擬プラントに設定した模擬事故を発生させてもよい。
操作模擬盤3Aから出力された模擬操作信号は、操作模擬盤入出力手段5を介して模擬演算手段4に入力され、逐次、模擬演算手段4によりプラント状態の模擬演算の際に用いられる。
模擬演算手段4は、模擬操作信号、および、マルファンクション実行手段7により発生させられた模擬事故に基づいて、プラントAに関するプロセス量、制御量、運転状態を含むプラント状態を模擬プラントAについて予め用意された種々のプロセスに関するシミュレーションデータとして模擬演算する。すなわち、模擬演算手段4は、プラント状態を模擬するためのシミュレーションを実行する。模擬演算は、例えば発電プラントに関するタービン圧力、温度、電力資源、水資源等のプロセスに関する演算処理に、入力条件、出力条件、および制御条件などが加味される。
模擬演算手段4は、模擬演算の結果に基づいて、シミュレーションデータをシミュレーションデータ記憶手段6に格納する。この際に、模擬演算手段4は、必要に応じて、共有リソース入出力手段8を介して、リソース共有サーバ9aが管理するリソースデータ10(1)〜10(n)を参照し、必要なリソースを要求する。なお、リソースとは、プラントに備えられる実資源を仮想化する仮想資源である。
シミュレーションデータ記憶手段6は、シミュレーションに予め必要なパラメータ、設定データ、模擬演算の結果から得られるシミュレーションデータを記憶する。
共有リソース入出力手段8は、模擬演算手段4からの要求に応じて、リソース共有サーバ9aにリソースの配分についての要求、または、リソースについての問い合せを行う。また、共有リソース入出力手段8は、模擬演算手段4からの要求またはリソース共有サーバ9aからの応答に応じて、リソース共有サーバ9aにより管理されるリソースデータ10(1)〜10(n)を入出力する。
なお、模擬プラントシミュレータ20Aとリソース共有サーバ9aとは、通信可能なように接続されている。通信媒体は、例えば有線、無線等のLAN(Local Area Network)などである。また、模擬プラントシミュレータ20Bなどについても同様である。
次に、リソース共有サーバ9aについて説明する。リソース共有サーバ9aは、複数のプラントで共有するリソース(共有リソース)を管理し、模擬プラントシミュレータ20Aおよび20Bなどの要求に応じて配分する。そのために、リソース共有サーバ9aは、サーバ通信部90と、リソースデータ記憶部10とを有する。
サーバ通信部90は、模擬プラントシミュレータ20Aおよび20Bとアクセス可能に通信する。リソース共有サーバ9aは、サーバ通信部90を介して、リソースの配分についての要求、または、リソースについての問い合せを受信し、また、それらについての応答を送信する。
リソースデータ記憶部10は、複数の模擬プラントで共有されるリソースに関するリソースデータ10(1)〜10(n)を少なくとも記憶する。リソースデータ記憶部10に格納されるリソースデータ10(1)〜10(n)は、リソース共有サーバ9aにより管理される。
リソース共有サーバ9aは、模擬プラントシミュレータ20Aまたは20Bからリソースの配分についての要求または問い合わせを受け付ける。リソース共有サーバ9aは、サーバ通信部90を介して、模擬プラントシミュレータ20Aまたは20Bからリソースの配分についての要求またはリソースについての問い合せを受けた場合に、リソースデータ記憶部10に格納されたリソースに関するリソースデータ10(1)〜10(n)に基づいて、リソースの配分についての要求またはリソースについての問い合せに応答する。
例えば、リソース共有サーバ9aは、リソースの配分についての要求に応じて、リソースデータ10(1)〜10(n)の中からその要求に対応するリソースデータについて、リソースを配分する。また、リソースの配分ができない場合や不足する場合には、リソース共有サーバ9aは、その旨を応答する。
次に、図2を参照しながら、図1のリソースデータ10(1)〜10(n)の構成例について説明する。
リソースデータ記憶部10は、リソースデータ10(1)〜10(n)を記憶する。リソースデータ記憶部10には、模擬プラントで共有されるリソースごとに、例えばリソースデータ領域RS1〜RSnが確保される。リソースデータ領域RS1〜RSnの各々に対応するリソースデータ10(1)〜10(n)が格納される。リソースデータ10(1)〜10(n)は、例えば名称(リソース名称)、最大値(最大容量)、最小値(最小容量)、現在値(残容量)などを含む。なお、nは1以上の整数である。
図2に示す例において、リソースデータ10(1)は、リソースデータ領域RS1中に、例えばデータ領域RS1Aに「名称:共通純水」、データ領域RS1Bに「最大値:10000」および「最小値:0」、データ領域RS1Cに「現在値:8500」を格納する。また、同様に、リソースデータ10(2)は、リソースデータ領域RS2中に、データ領域RS2Aに「名称:共通重油」、データ領域RS2Bに「最大値:50000」および「最小値:0」、データ領域RS2Cに「現在値:10000」を格納する。その他についても、リソースデータ10(3)〜10(n)は、図2に示すようなデータを格納する。
運転訓練シミュレータシステム50aでの運転訓練を開始する前に、データ領域RS1C〜RSnCの「現在値」の各々は、その各々に対応するデータ領域RS1B〜RSnBに格納された最大値から最小値の間で任意に初期設定可能である。
共有するリソースデータ10(1)〜10(n)は、複数の模擬プラント(例えば模擬プラントAおよび模擬プラントB)が供給/消費する資源データだけでなく、模擬プラントにある(仮想的に設けられた)機器の温度や放射線線量などの環境データ等を含んでもよい。
具体的な運転訓練の指示として、例えばインストラクタがシミュレーション操作端末1Aからプラントを構成する機器の故障に関する模擬事故要求をしたとする。これにより、模擬プラントシミュレータ20AによりプラントAの事故を模擬して、例えば電力資源を対象としたプロセスの演算結果により模擬プラントAが電力不足となったとする。
この場合に、模擬演算手段4は、模擬プラントAの電力不足を補うために、リソース共有サーバ9aに対して、模擬プラントAおよび模擬プラントBの共有リソースであるリソースデータ10(n)(名称RSnA「共通蓄電池電力」)からのバックアップ電力のリソース供給を要求する。
これにより、リソース共有サーバ9aが、例えば模擬プラントシミュレータ20Aからリソースデータ10(n)「共通蓄電池電力」についてリソース供給要求を受ける。図2に示す現在値「100」であると、模擬プラントシミュレータ20Aからのリソース供給要求が「10」の場合に、リソース共有サーバ9aはリソースデータ10(n)から蓄電池電力「10」を供給(配分)することを模擬プラントシミュレータ20Aに応答する。
この応答を受けた模擬プラントシミュレータ20Aは、模擬プラントAに蓄電池電力「10」が供給されたとする条件を加えて、これらに係るプロセスについての模擬演算を実行し、実行中のシミュレーションを継続する。
また、リソース共有サーバ9aは、模擬プラントシミュレータ20Aに応答後、リソースデータ10(n)のデータ領域RSnCを「現在値:90」に更新する。
このように、共有リソースであるバックアップ電力(蓄電池電力)が用いられると、模擬プラントBに対する蓄電池電力の供給能力も影響される。すなわち、リソース共有サーバ9aにより共有リソースが管理されるため、他の模擬プラントのシミュレーションも考慮される。これにより、複数のプラントに対する運転訓練を連携させて実施することができる。
運転訓練シミュレータシステム50aでは、模擬プラントシミュレータ20AによりプラントAの事故を模擬した結果、例えば電力資源を対象としたプラント状態のシミュレーションにより模擬プラントAが電力不足となった場合に、模擬プラントAおよび模擬プラントBの共通のバックアップ電力を使用する等の連携する運転訓練を実施することができる。
次に、図3に示す運転訓練シミュレータシステム50aに用いられる運転訓練シミュレーション処理フロー、および、同じく図4に示すリソース共有サーバ処理フローを説明する。
図3に示す運転訓練シミュレーション処理フローは、例えば模擬プラントシミュレータ20Aのパワーオン後、以下のステップS11の処理が開始される。なお、模擬プラントシミュレータ20Bについては、模擬プラントシミュレータ20Aと同様な処理フローであるため、ここでは省略する。
模擬プラントシミュレータ20Aのマルファンクション実行手段7は、シミュレーション操作端末1Aからの模擬事故要求があるか確認する(ステップS11)。模擬事故要求がない場合(ステップS11のNo)、ステップS13に処理を移す。
一方、模擬事故要求がある場合(ステップS11のYes)、模擬プラントシミュレータ20Aのマルファンクション実行手段7は、要求された模擬事故を模擬プラントAで発生させる(ステップS12)。その発生後、ステップS13に処理を移す。
次に、模擬プラントシミュレータ20Aの模擬演算手段4は、プラント状態を模擬演算する(ステップS13)。すなわち、模擬演算手段4は、シミュレーションを開始または現在実行中のシミュレーションを継続して実行する。具体的には、模擬演算手段4が、模擬操作信号および模擬事故に基づいて、プラントAに関するプロセス量、制御量、運転状態を含むプラント状態を模擬プラントAについてのシミュレーションデータとして模擬演算する。
次に、模擬プラントシミュレータ20Aの模擬演算手段4が、模擬演算されたシミュレーションデータを逐次シミュレーションデータ記憶手段6に記憶する(ステップS14)。
次に、リソース共有サーバ9aに対してリソースについての配分の要求または問い合せがある場合に、模擬プラントシミュレータ20Aの模擬演算手段4が、共有リソース入出力手段8を介して、リソースについての配分の要求または問い合せを行う(ステップS15)。
次に、模擬プラントシミュレータ20Aの共有リソース入出力手段8が、リソース共有サーバ9aからリソースについての配分の要求または問い合せに対する応答を受信する(ステップS16)。
共有リソース入出力手段8がリソース共有サーバ9aからの応答を受信すると、その応答結果を模擬演算手段4に出力し、模擬演算手段4がその応答結果を使用して模擬演算する(ステップS17)。模擬プラントシミュレータ20Aは、ステップS11に処理を戻し、以降はステップS11〜S17に従って処理を繰り返す。
図4に示すリソース共有サーバ処理フローは、例えばリソース共有サーバ9aのパワーオン後、以下のステップS21の処理が開始される。
リソース共有サーバ9aは、サーバ通信部90を介して、模擬プラントシミュレータ20Aまたは20Bからの送信があるかチェックする(ステップS21)。送信がない場合(ステップS21のNo)、ステップS21に処理を戻す。すなわち、リソース共有サーバ9aは、引き続き受信待ちの状態となる。
送信があった場合(ステップS21のYes)、リソース共有サーバ9aは、模擬プラントシミュレータ20Aまたは20Bからリソースについての配分の要求または問い合せを受ける(ステップS22)。
次に、リソース共有サーバ9aは、配分の要求または問い合せのあるリソースについてリソースデータ記憶部10に格納されたリソースデータ10(1)〜10(n)を参照する(ステップS23)。
次に、リソース共有サーバ9aは、当該リソースの参照結果に基づいて、送信先の模擬プラントシミュレータ20Aまたは20Bに対してリソースの配分についての要求またはリソースについての問い合せに応答する(ステップS24)。応答終了後、リソース共有サーバ9aは、以上説明したステップS21〜S24を繰り返す。
ここで、図1に示すシミュレーション操作端末1Aおよび1B、模擬プラントシミュレータ20Aおよび20B、リソース共有サーバ9aなどの主な機器構成として、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、キーボード、マウス、モニタなどを備える構成(コンピュータ)であってもよい。
また、例えば前述したようなリソース共有サーバ処理などを実行するプログラムがリソース共有サーバ9aに備えられ、CPU、RAM等により当該プログラムに従って、リソース共有サーバ9aの各々の処理部における処理を実行することになる。
また、このようなシミュレーション操作端末1Aおよび1Bの構成例の場合に、インストラクタがキーボード、マウスなどからシミュレーション操作入力(例えば模擬事故の要求や、模擬プラントの訓練モードの手動切り替え)等を行ってもよい。また、シミュレーション操作端末1Aまたは1BがLAN等を介して、外部から入力する構成であってもよい。
以上説明したように、運転訓練シミュレータシステム50aは、一つのプラントで発生した事故による影響を他のプラントまで伝播する事象を模擬することができる。また、複数の模擬プラントシミュレータ20Aおよび20Bが連携可能に、運転訓練員に対して異なる複数のプラントAおよびBを模擬運転することを提供することができる。
第1の実施形態によれば、複数のプラントのシミュレーションを連携して模擬することができる。
[第2の実施形態]
図5は、本発明に係る運転訓練シミュレータシステムの第2および第3の実施形態の構成を示すブロック図である。また、図6はユニット間の訓練モードへの切り替えを示す図であり、図7は単独の訓練モードへの切り替えを示す図であり、図8は発電所全体の訓練モードへの切り替えを示す図である。なお、ここでは、図5に示す第2の実施形態の運転訓練シミュレータシステム50bの構成について説明し、第3の実施形態の運転訓練シミュレータシステム50cの構成については後述する。
第2の実施形態の運転訓練シミュレータシステム50bは、第1の実施形態の機能に加えて、詳しくは後述する訓練モードへ切り替える機能を有する。
運転訓練シミュレータシステム50bは、図5に示すように、複数のシミュレーション操作端末1Aおよび1Bと、複数の模擬プラントシミュレータ21Aおよび21Bと、複数の操作模擬盤3Aおよび3Bと、リソース共有サーバ9bとを備えている。
図5の運転訓練シミュレータシステム50bでは、図1の運転訓練シミュレータシステム50aの構成に、モード切替手段11と、連携プラントリスト12とを加えた構成である。具体的には、模擬プラントシミュレータ21Aおよび21Bがモード切替手段11をさらに有し、リソース共有サーバ9bが連携プラントリスト12をさらに有する。なお、第2の実施形態では、模擬プラントシミュレータ21Aおよび21Bにおいて、マルファンクション実行手段7からモード切替手段11への制御信号経路Lm(破線矢印)を除いた構成である。
なお、後述する訓練モード111A〜訓練モード111C等を代表して訓練モード111と記し、また、模擬事故モード要求画面101A〜101C等を代表して模擬事故モード要求画面101と記す。また、連携プラント選択112および共有リソース選択113についても同様とし、連携プラントリスト12についても同様とする。
シミュレーション操作端末1Aは、図6に示すように、運転訓練の種別を含む訓練モード111(111A)を選択可能なように、模擬事故モード要求画面101(101A)を表示する。模擬事故モード要求画面101Aには、選択する訓練モード111の種別として、「単独」、「ユニット間」および「発電所全体」との選択項目が表示されている。インストラクタは、この選択項目のいずれか一つを選択する。選択された選択項目は、シミュレーション操作入出力手段2を介して、モード切替手段11に通知される。
モード切替手段11は、シミュレーション操作端末1Aから模擬事故モード要求により要求された対象とされる模擬プラントに対し、複数の訓練モード111のうちの選択されたいずれか一つに切り替える。このために、モード切替手段11は、シミュレーション操作端末1Aからの模擬事故モード要求画面101による入力を受け、シミュレーション操作入出力手段2を介して、入力に応じた複数の訓練モード111のいずれかに切り替える。
さらに、モード切替手段11は、切り替えられた訓練モード111に応じて、共有リソース情報を設定する。ここで、共有リソース情報は、複数のうちのいずれの模擬プラントが連携するかを設定する連携プラント選択112、および、リソースのうちの共有されるリソースデータ10(1)〜10(n)を設定する共有リソース選択113を含む。
訓練モード111は、単独モードとユニット間モードとに少なくとも区分される種別を含む。単独モードは、いずれか一つの模擬プラントが単独でのシミュレーションを実行するモードである。また、ユニット間モードは、複数のうちのいずれかの模擬プラントが連携してシミュレーションを実行するモードである。
単独モードの場合には、共有リソース情報において、連携プラント選択112に連携するプラントがないと設定される。また、同じく共有リソース情報において、共有リソース選択113に共有するリソースがないと設定される。
ユニット間モードの場合には、共有リソース情報において、連携プラント選択112に複数のうちのいずれの模擬プラントが連携するかが設定される。また、同じく共有リソース情報において、共有リソース選択113にその連携するプラントでのリソースのうちの共有されるリソースデータ10(1)〜10(n)が設定される。
模擬プラントシミュレータ21Aは、共有リソース入出力手段8を介して、モード切替手段11により設定された共有リソース情報についてリソース共有サーバ9bに通知する。
リソース共有サーバ9bは、サーバ通信部90を介して、模擬プラントシミュレータ21Aから共有リソース情報について通知された場合に、共有リソース情報に応じて連携プラントリスト12を更新する。
連携プラントリスト12には、プラントごとに、リソースを共有するか否かの設定が格納されている。連携プラントリスト12は、リソース共有サーバ9bが有するリソースデータ記憶部10に予め格納(記憶)されるが、その設定については適宜更新可能である。
リソース共有サーバ9bは、リソースの配分についての要求を受けた場合に、連携プラントリスト12に基づいて、リソースデータ記憶部10に格納されたリソースに関するリソースデータ10(1)〜10(n)を配分し、管理する。
例えば、インストラクタが、図6に示すように、シミュレーション操作端末1Aより模擬事故モード要求画面101Aから模擬事故モードの要求を行うと、モード切替手段11は要求された訓練モード111Aに応じて、図6に示す連携プラントリスト12A(12)を更新する。なお、図6に示す連携プラントリスト12Aでは、リソースを共有する設定は黒丸で記載される。
図6ないし図8に示すように、模擬事故モード要求画面101A〜101Cには、例えば「単独」、「ユニット間」、「発電所全体」の3つの中のいずれか一つに選択可能な訓練モード111の種別が表示される。
「単独」の訓練モード111は、一つの模擬プラントを単独に運転訓練する場合に選択される。「ユニット間」の訓練モード111は、複数(2以上)の模擬プラントを連携して運転訓練する場合に選択される。「発電所全体」の訓練モード111は、登録されているすべての模擬プラントを連携して運転訓練する場合に選択される。
なお、「発電所全体」という名称は、例えばすべてのプラントが発電所に備えられたとする場合の名称として記載したものである。また、「発電所全体」の訓練モード111は、換言すれば、「ユニット間」の訓練モード111の種別に含まれ、かつ、すべての模擬プラントを連携して運転訓練する場合である。
図6に示す例では、例えばシミュレーション操作端末1A(模擬プラントAに対応)において、模擬事故モード要求画面101Aが表示され、インストラクタがその表示画面から「ユニット間」の訓練モード111を選択する。次に、どのユニットと連携するかを選択する連携プラント選択画面(図示しない)が表示される。さらに、どのリソースを共有するかを選択する共有リソース選択画面(図示しない)が表示される。
最初に、インストラクタが、図6に示すシミュレーション操作端末1Aにおいて、連携プラント選択画面にて「プラントB」および「プラントC」を選択し、かつ、共有リソース選択画面で「リソース3」および「リソース4」を選択したとする。なお、「リソース3」は図5のリソースデータ10(3)に対応し、「リソース4」は図5のリソースデータ10(4)に対応するものとする。
この選択により、模擬プラントシミュレータ21Aのモード切替手段11は、ユニット間110Bの訓練モード111Aに切り替える。また、モード切替手段11は、シミュレーション操作端末1Aの選択に応じて、連携プラント選択112Aにて「プラントB」および「プラントC」を選択し、かつ、共有リソース選択113Aで「リソース3」および「リソース4」を選択する。モード切替手段11は、この連携プラント選択112Aおよび共有リソース選択113Aの選択した内容を共有リソース情報として設定する。
模擬プラントシミュレータ21Aのモード切替手段11は、共有リソース入出力手段8を介して、リソース共有サーバ9bに共有リソース情報について通知する。この通知を受けたリソース共有サーバ9bは、共有リソース情報に基づいて、図6に示すように連携プラントリスト12Aを更新する。
続いて次に、インストラクタが、例えば図6の模擬事故モード要求画面101Aから図7の模擬事故モード要求画面101Bを示す状態を選択した場合、すなわち、インストラクタがシミュレーション操作端末1B(模擬プラントBに対応)より「単独」の訓練モード111(111B)の選択に切り替えたとする。
この場合に、模擬プラントシミュレータ21Bのモード切替手段11は、単独110Aの訓練モード111Bに切り替える。また、モード切替手段11は、シミュレーション操作端末1Bの選択に応じて、連携プラント選択112Bにてチェック(選択符号)を外し(連携する対象プラントなし)、かつ、共有リソース選択113Bでチェックを外す(共有するリソースなし)。モード切替手段11は、この連携プラント選択112Bおよび共有リソース選択113Bの選択した内容を共有リソース情報として設定する。
モード切替手段11は、共有リソース入出力手段8を介して、リソース共有サーバ9bに共有リソース情報について通知する。この通知を受けたリソース共有サーバ9bは、共有リソース情報に基づいて連携プラントリスト12Aを更新し、図7に示すように、更新後における連携プラントリスト12Bを得る。
具体的には、リソース共有サーバ9bは、プラントBを単独運転するために、更新前の連携プラントリスト12AからプラントBの関連付け符号(図7中では黒丸)をクリアする。このクリア後には、図7の連携プラントリスト12Bに示すように、プラントAとプラントCの間でリソースを共有する関連付け符号(図中では黒丸)のみが残る。
さらに続いて(最後に)、インストラクタが、例えばシミュレーション操作端末1C(模擬プラントCに対応)において、図7の模擬事故モード要求画面101Bから図8の模擬事故モード要求画面101Cを示す状態を選択、すなわち、「発電所全体」の訓練モード111(111C)の選択に切り替え、かつ、共有リソース選択画面ですべてのリソース(「すべて」)を選択したとする。なお、プラントCを模擬するための模擬プラントCシミュレータ(図5では図示しない)を備えているものとする。
この場合に、模擬プラントCシミュレータのモード切替手段11は、発電所全体110Cの訓練モード111Cに切り替える。また、モード切替手段11は、シミュレーション操作端末1Cの選択に応じて、連携プラント選択112Cにてすべてにチェックを付け(連携する対象プラントすべて)、かつ、共有リソース選択113Cですべてのリソースにチェックを付ける(「すべて」)。モード切替手段11は、この連携プラント選択112Cおよび共有リソース選択113Cの選択した内容を共有リソース情報として設定する。
モード切替手段11は、共有リソース入出力手段8を介して、リソース共有サーバ9bに共有リソース情報について通知する。この通知を受けたリソース共有サーバ9bは、共有リソース情報に基づいて連携プラントリスト12Bを更新し、図8に示すように、更新後に連携プラントリスト12Cを得る。
なお、連携プラントリスト12では、どのリソースを共有するか選択した後に、選択した内容が更新される。また、仮にプラントAとプラントCとの間でリソースを共有する「ユニット間」の訓練モード111で連携プラントリスト12に保持されている時に、その間にインストラクタにより訓練モード111が「発電所全体」に切り替えられた場合、後の選択が優先とされて「発電所全体」の訓練モード111で連携プラントリスト12に更新される。
以上説明したように、第2の実施形態によれば、複数のプラントのシミュレーションを連携して模擬することができる。
また、リソースを共有するプラントおよびそのリソースを任意に選択可能とすることにより、運転訓練中に訓練モードを切り替えることができる。これにより、プラント単独の運転訓練および複数のプラントが連携する運転訓練の切り替えを容易に実施することができ、インストラクタの負荷を軽減することができる。
[第3の実施形態]
図5は、本発明に係る運転訓練シミュレータシステムの第2および第3の実施形態の構成を示すブロック図である。また、図9はユニット間の訓練モードへの自動切り替えを示す図であり、図10は発電所全体の訓練モードへの自動切り替えを示す図である。なお、ここでは、図5に示す第3の実施形態の運転訓練シミュレータシステム50cの構成について説明する。
第3の実施形態の運転訓練シミュレータシステム50cは、第2の実施形態の機能に加えて、訓練モードを自動切り替えする機能を有する。
運転訓練シミュレータシステム50cは、図5に示すように、複数のシミュレーション操作端末1Aおよび1Bと、複数の模擬プラントシミュレータ21Aおよび21Bと、複数の操作模擬盤3Aおよび3Bと、リソース共有サーバ9bとを備えている。なお、模擬プラントシミュレータ21Aおよび21Bにおいて、マルファンクション実行手段7からモード切替手段11への制御信号経路Lm(破線矢印)を接続した構成である。
以下、図5、図9および図10を参照しながら、運転訓練シミュレータシステム50cにおける訓練モードの自動切り替え方法について説明する。
マルファンクション実行手段7は、模擬プラント(例えば模擬プラントA)で発生させた模擬事故に応じて、いずれの訓練モード111で対応するかを判定する模擬事故モード判定リスト72を有する。模擬事故モード判定リスト72は、模擬事故の種別ごとに、対応する訓練モード111を格納する。なお、後述する模擬事故モード判定リスト72D、72E等を代表して模擬事故モード判定リスト72と記す。
マルファンクション実行手段7は、発生させた模擬事故について模擬事故モード判定リスト72を照合し、照合した結果に応じて訓練モード111を決定する。照合は、例えば、模擬事故モード判定リスト72により複数の訓練モード111が抽出される場合に、その抽出された訓練モードのOR(論理和)が取られる。論理和は、例えば「単独モード」と「単独モード」との論理和では「単独モード」であり、「単独モード」と「ユニット間モード」との論理和では「ユニット間モード」等となる。
モード切替手段11は、マルファンクション実行手段7により決定された訓練モード111に応じて、単独のプラントおよび複数の模擬プラント間のリソースに関する共有リソース情報を設定する。
はじめに、図9に示すプラント状態71Dからの訓練モード111の自動切替について説明する。
マルファンクション実行手段7で模擬(発生)される模擬事故により、対応する模擬プラントのプラント状態が変化する。例えば、図9に示すように、マルファンクション実行手段7により模擬プラントAで「主発電機トリップ」の模擬事故が発生し、かつ、「バックアップディーゼル発電機両系トリップ」の模擬事故が発生した場合に、プラント状態71Dでは多重系(I系およびII系)電源の両系電源が断(両系断)となる。また、同時に「循環水配管の破断」の模擬事故が発生した場合に、プラント状態71Dでは循環水タンクの水位が低下(タンク水位低)となる。
模擬プラントAに図9に示すような模擬事故が発生した場合に、運転訓練員が模擬プラントAをプラント単独の運転訓練で事故対応することは困難である。このような模擬事故の場合には、他模擬プラントとの電源リソース(例えばリソースデータ10(n))、循環水リソース(例えばリソースデータ10(1))等を共有したリソースを用いて、複数の模擬プラント間で連携する運転訓練が必要となる。
そこで、マルファンクション実行手段7およびモード切替手段11により運転訓練の自動切替(以降に説明する訓練モード111の自動切替)を実現する。
マルファンクション実行手段7は、図9に示す模擬事故モード判定リスト72Dにより模擬事故の内容(プラント状態71D)を照合し、その照合した結果をモード切替手段11へ通知する。
例えば、図9に示す模擬事故モード判定リスト72Dでは、プラント状態71Dが両系電源断およびタンク水位低であると照合され、その照合から模擬プラントAをユニット間の訓練モード111D(図9では「ユニット」と記す)で運転訓練するようにマルファンクション実行手段7により判定される。マルファンクション実行手段7は、制御信号経路Lmを介して、この照合した結果(図9の論理和での出力)をモード切替手段11に通知する。
モード切替手段11は、この照合した結果「ユニット」を受けて、訓練モード111Dをユニット間110Bに切り替える。また、マルファンクション実行手段7による通知を受けた場合に、モード切替手段11は、連携プラント選択112および共有リソース選択113を設定するために、例えば図9に示すようにユニット間110Bについて連携プラント選択112Dとして記憶し、および、共有するリソースの設定を共有リソース選択113Dとして予め記憶している。
すなわち、各模擬プラントでは、訓練モードごとに、連携プラント選択112の設定および共有リソース選択113の設定を含む共有リソース情報の一部または全部が予め記憶されている。なお、共有リソース情報の一部とは、連携プラント選択112または共有リソース選択113のいずれか一方であり、全部とは連携プラント選択112および共有リソース選択113の両方である。
モード切替手段11は、連携プラント選択112Dおよび共有リソース選択113D(予め記憶された共有リソース情報)に基づいて、例えば「プラントB」および「プラントC」と連携し、「リソース3」(リソースデータ10(3)とする)およびリソース4(リソースデータ10(4)とする)を配分するように、リソース共有サーバ9bに通知する。この通知を受けたリソース共有サーバ9bは、通知された共有リソース情報に基づいて、図9に示す連携プラントリスト12Dに更新する。
次に、図9に示すプラント状態71Dから図10に示すプラント状態71Eに変化した場合の訓練モード111の自動切替について説明する。
続けて、マルファンクション実行手段7で発生される模擬事故により、対応する模擬プラントのプラント状態が変化する。
例えば、図10に示すように、マルファンクション実行手段7により模擬プラントAで「主発電機トリップ」の模擬事故と、「外部電源断」の模擬事故と、さらに「バックアップディーゼル発電機両系トリップ」の模擬事故とが発生した場合に、プラント状態71Eでは、蓄電池を使用することになり蓄電池電力が低下(蓄電池電力低下)する。
マルファンクション実行手段7は、図10に示す模擬事故モード判定リスト72Eにより模擬事故の内容(プラント状態71E)を照合し、その照合した結果をモード切替手段11へ通知する。
例えば、図10に示す模擬事故モード判定リスト72Eでは、プラント状態71Eが蓄電池電力低下であると照合され、その照合から模擬プラントAを発電所全体110Cの訓練モード111Eで運転訓練するようにマルファンクション実行手段7により判定される。マルファンクション実行手段7は、制御信号経路Lmを介して、この照合した結果をモード切替手段11に通知する。
モード切替手段11は、この照合した結果を受けて、訓練モード111Eを発電所全体110Cに切り替える。例えば、モード切替手段11は、連携プラント選択112Eに「プラントA」〜「プラントD」のすべてのプラントを設定する。また、共有リソース選択113Eは、発電所全体110Cの訓練モード111Eに対応して、予め「リソース2」が設定(共有リソース情報として記憶)されているとする。なお、共有リソース情報は、訓練モード111の種別に応じて、複数あってもよい。
モード切替手段11は、連携プラント選択112Eおよび共有リソース選択113Eに基づいて、「プラントA」〜「プラントD」のすべてのプラントと連携し、「リソース2」(リソースデータ10(2)とする)を配分するように、リソース共有サーバ9bに通知する。この通知を受けたリソース共有サーバ9bは、共有リソース情報に基づいて、図10に示す連携プラントリスト12Eに更新する。
以上のように、模擬プラントで前述したような模擬事故が発生した場合、プラント単独の運転訓練では対応が困難となり、複数のプラントがリソースを共有して連携する運転訓練が必要となる場合がある。
以上説明したように、第3の実施形態によれば、複数のプラントのシミュレーションを連携して模擬することができる。
また、運転訓練中に、模擬事故によるプラント状態に応じて自動的に訓練モードを切り替えることができる。これにより、プラント単独の運転訓練および複数のプラントが連携する運転訓練の切り替えを容易に実施することができ、インストラクタの負荷を軽減することができる。
[第4の実施形態]
図11は、本発明に係る運転訓練シミュレータシステムの第4の実施形態の構成を示すブロック図である。また、図12は、図11のリソース制限リストの構成例を示す図である。
第4の実施形態の運転訓練シミュレータシステム50dは、第3の実施形態の機能に加えて、模擬プラントごとに配分するリソースを制限する機能を有する。
運転訓練シミュレータシステム50dは、図11に示すように、複数のシミュレーション操作端末1Aおよび1Bと、複数の模擬プラントシミュレータ22Aおよび22Bと、複数の操作模擬盤3Aおよび3Bと、リソース共有サーバ9dとを備えている。以下、図11および図12を参照しながら、運転訓練シミュレータシステム50dにおけるリソース制限機能について主に説明する。
運転訓練シミュレータシステム50dでは、例えばインストラクタがシミュレーション操作端末1Aからプラントを構成する機器の故障などの模擬事故要求を行い、以下に説明するような複数のプラントが連携した運転訓練が可能となる。
例えば、インストラクタが、シミュレーション操作端末1Aからシミュレーション操作入出力手段2を介してプラントを構成する機器の故障や模擬事故要求を行い、これにより模擬演算手段4が必要なリソースデータ10(1)〜10(n)のいずれかを共有リソース入出力手段8を介して、リソース共有サーバ9dに要求したとする。
リソース共有サーバ9dは、共有するリソースについて模擬プラントごとのリソース割当量およびリソース全体の残量を示すリソース制限リスト13をリソースデータ記憶部10に予め格納している。リソース共有サーバ9dは、リソース制限リスト13に基づいて、模擬プラントごとにリソースデータ10(1)〜10(n)の配分を制限するか否かを判断する。
リソース制限リスト13には、図12に示すように、リソースデータ記憶部10に格納されたリソースデータ10(1)〜10(n)の各々の割当に対して、模擬プラントごとに割り当てる量(使用可能量)を予め設定したリソース制限リストデータ13(1)〜13(n)が用意される。さらに、リソース制限リストデータ13(1)〜13(n)には、模擬プラントごとにリソースの使用可能量と共に、使用量、その他に全体リソース量のリソースの残量(保有指標)を記憶する領域が確保されている。
リソース共有サーバ9dは、リソース制限リストデータ13(1)〜13(n)についてその設定された使用可能量を参照し、模擬プラントごとの各リソースの使用量と残量とを適宜更新し、管理する。すなわち、リソース共有サーバ9dにより各リソースの配分(供給)は制限される。
図12を参照しながら、リソース制限リストデータ13(1)〜13(n)の構成例について説明する。
リソースデータ記憶部10は、リソース制限リストデータ13(1)〜13(n)を記憶する。リソースデータ記憶部10には、制限するリソースごとに、例えばリソース制限データ領域RL1〜RLnが確保される。リソース制限データ領域RL1〜RLnの各々に対応するリソース制限リストデータ13(1)〜13(n)が格納される。リソース制限リストデータ13(1)〜13(n)は、例えば名称(リソース名称)、使用可能量、使用量、残量などを含む。なお、nは1以上の整数である。
図12に示す例において、リソース制限リストデータ13(1)は、リソース制限データ領域RL1中に、例えばデータ領域RL1Aに「名称:共通純水」、データ領域RL1Bに「模擬プラントA使用可能量:5000」および「模擬プラントA使用量:0」、データ領域RL1Cに「模擬プラントB使用可能量:5000」および「模擬プラントB使用量:0」、データ領域RL1Dに「共通純水残量:10000」を格納する。
また、同様に、リソース制限リストデータ13(2)は、リソースデータ領域RL2に、データ領域RL2Aに「名称:共通重油」、データ領域RL2Bに「模擬プラントA使用可能量:30000」および「模擬プラントA使用量:0」、データ領域RL2Cに「模擬プラントB使用可能量:20000」および「模擬プラントB使用量:0」、データ領域RL2Dに「共通重油残量:50000」を格納する。その他についても、リソース制限リストデータ13(3)〜13(n)は、図12に示すようなデータを格納する。
リソース共有サーバ9dは、リソースデータ10(1)〜10(n)を更新する都度、リソース制限リストデータ13(1)〜13(n)の対応する使用量および残量について更新する。
運転訓練シミュレータシステム50dでの運転訓練を開始する前に、データ領域RL1B〜RLnBの「模擬プラントA使用可能量」およびデータ領域RL1C〜RLnCの「模擬プラントB使用可能量」の各々は設定される。
リソース制限リストデータ13(1)〜13(n)は、複数の模擬プラント(例えば模擬プラントAおよび模擬プラントB)が供給/消費する資源データだけでなく、模擬プラントにある(仮想的に設けられた)機器の温度や放射線線量などの環境データ等を含んでもよい。
以上説明したように、第4の実施形態によれば、複数のプラントのシミュレーションを連携して模擬することができる。また、運転訓練中に、模擬事故によるプラント状態に応じて自動的に訓練モードを切り替えることができる。これにより、プラント単独の運転訓練および複数のプラントが連携する運転訓練の切り替えを容易に実施することができ、インストラクタの負荷を軽減することができる。
さらに、プラント単独としてリソースを制限した運転訓練や、他プラント間とのリソースの共有あるいはプラント全体のリソース使用割り当てを考慮した複数のプラントが連携する運転訓練等を実施することができる。これにより、より高度なプラント単独の運転訓練および複数のプラントが連携する運転訓練を実施することができる。
[第5の実施形態]
図13は、本発明に係る運転訓練シミュレータシステムの第5の実施形態の構成を示すブロック図である。
第5の実施形態の運転訓練シミュレータシステム50eは、第4の実施形態の機能に加えて、外部供給リソース追加機能を有する。
運転訓練シミュレータシステム50eは、図13に示すように、複数のシミュレーション操作端末1Aおよび1Bと、複数の模擬プラントシミュレータ23Aおよび23Bと、複数の操作模擬盤3Aおよび3Bと、リソース共有サーバ9eとを備えている。具体的には、運転訓練シミュレータシステム50eは、図11の運転訓練シミュレータシステム50dに、外部供給リソース追加手段15と、外部供給リソースデータ14(1)〜14(n)と、外部供給リソースデータ分配部17とをさらに備えた構成である。
運転訓練シミュレータシステム50eでは、例えばインストラクタがシミュレーション操作端末1Aを操作して、リソース共有サーバ9eに対して、共有リソースに外部から追加する外部供給リソースの設定を行うことができる。外部供給リソースに関する入力データは、例えば模擬プラントシミュレータ23Aのシミュレーション操作入出力手段2を介して、外部共有リソース追加手段15へ入力される。
図13に示すように、模擬プラントシミュレータ23Aは、さらに、外部供給リソース追加手段15を有する。外部供給リソース追加手段15は、シミュレーション操作端末1Aからの入力に基づいて、外部供給リソース情報を生成する。外部供給リソース情報は、例えば外部供給リソースがリソースデータ10(1)〜10(n)のいずれに属するか、または、新たに追加するリソースであるか、外部供給量の範囲等を含む。
外部供給リソース追加手段15は、生成した外部供給リソース情報に基づいて、リソースデータ記憶部10に格納されたリソースに加えて外部供給リソースを追加する要求を、または、いずれかの外部供給リソースに関する外部供給リソースデータ14(1)〜14(n)を追加する要求を、リソース共有サーバ9eに送信する。
この要求についての応答をリソース共有サーバ9eから受信後、外部供給リソース追加手段15は、共有リソース入出力手段8を介して、リソース共有サーバ9eに生成した外部供給リソース情報を送信する。
リソース共有サーバ9eは、図13に示すように、外部供給リソースデータ14(1)〜14(n)、および外部供給リソース分配部17をさらに有する。
リソース共有サーバ9eは、サーバ通信部90を介して、模擬プラントシミュレータ23Aまたは23Bのいずれかの外部供給リソースを追加する要求を受けると、当該要求に関する外部供給リソース情報を送信するように応答する。応答後、リソース共有サーバ9eが外部供給リソース情報を受信して、リソースデータ記憶部10に格納されたリソースに加えて外部供給リソースを追加し、または、いずれかの外部供給リソースに関する外部供給リソースデータを追加する。
例えば、リソース共有サーバ9eが、サーバ通信部90を介して、模擬プラントシミュレータ23Aから送信される外部供給リソース情報を受信する。リソース共有サーバ9eは、受信した外部供給リソース情報に基づいて、リソースデータ記憶部10に外部供給リソースデータ14(1)〜14(n)のうちの少なくともいずれか一つを格納する。なお、リソース共有サーバ9eは、外部供給リソースデータ14(1)〜14(n)に対して、追加、変更、削除等の更新が可能である。
外部供給リソースデータ14(1)〜14(n)は、例えば名称(リソース名称)、最大値(最大容量)、最小値(最小容量)、現在値(残容量)に加えて、各々がリソースデータ10(1)〜10(n)のいずれと連携するかを示す共有リソースリンク情報を含む。
外部供給リソース分配部17は、例えば各リソースの使用量および残量からリソースの枯渇の危険度を判断する。外部供給リソース分配部17は、各リソースの残量が例えば閾値を下回った場合に、リソースの枯渇の危険度が高まったと判断する。なお、監視するリソースの種類によっては、閾値を超える場合を危険度が高まったと判断してもよい。
外部供給リソース分配部17は、リソースの枯渇の危険度があると判断した場合に、外部供給リソースデータ14(1)〜14(n)から共有リソースリンク情報に基づいて、対応するリソースを選択し、選択したリソース(リソースデータ10(1)〜10(n)にデータ追加等)へ追加(供給)する。
一方、各リソースの残量が閾値以上の場合、外部供給リソース分配部17は、リソースの枯渇の危険度が高まっていないと判断する。すなわち、現状のリソースで維持され、リソースデータ10(1)〜10(n)に外部供給リソースから追加しない。
以上説明したように、第5の実施形態によれば、リソースの枯渇の危険度が高まった場合に、外部からの共有リソースの追加供給を模擬することができる。これにより、第4の実施形態の効果に加えて、例えば自然災害時のような有事等を想定した運転訓練を実施することができる。
[第6の実施形態]
図14は、本発明に係る運転訓練シミュレータシステムの第6の実施形態の構成を示すブロック図である。
第6の実施形態の運転訓練シミュレータシステム50fは、少なくとも一つの模擬プラントシミュレータ40Aがリソース共有サーバを仮想化する手段を有する。
運転訓練シミュレータシステム50fは、図14に示すように、複数のシミュレーション操作端末1Aおよび1Bと、複数の操作模擬盤3Aおよび3Bと、模擬プラントシミュレータ40Aと、模擬プラントシミュレータ30Bとを備えている。模擬プラントAをシミュレーションする模擬プラントシミュレータ40Aは、例えば図11に示す模擬プラントシミュレータ20Aの構成に、リソース共有サーバ仮想化手段41、およびリソースデータ記憶手段42をさらに備えた構成である。なお、模擬プラントBをシミュレーションする模擬プラントシミュレータ30Bは、例えば図11に示す模擬プラントシミュレータ20Bと同様な構成である。
リソース共有サーバ仮想化手段41は、例えば図11に示すリソース供給サーバ9dが実行する処理を実現する。すなわち、リソース共有サーバ仮想化手段41は、複数のプラントが共有するリソースについて配分、管理等を行う。なお、本実施形態では、図11に示すリソース供給サーバ9dを代替する機能を有する例を示すが、言うまでもなく、第1ないし第5の実施形態に示したリソース供給サーバ9a〜9e等を代替する機能を有することができる。
そのために、リソース共有サーバ仮想化手段41は、複数の模擬プラントシミュレータ40Aおよび30Bと通信可能に接続されている。模擬プラントシミュレータ30Bとリソース共有サーバ仮想化手段41との通信は、例えばLAN等を介する通信である。模擬プラントシミュレータ40Aとリソース共有サーバ仮想化手段41との通信は、模擬プラントシミュレータ40A装置内での通信であってもよく、また、LAN等を介する通信であってもよい。
リソースデータ記憶手段42には、複数プラントで共有するリソースに関するリソースデータ10(1)〜10(n)および連携プラントリスト12が格納されている。リソース共有サーバ仮想化手段41は、複数プラントで共有するリソースデータ10(1)〜10(n)を適宜更新する。
例えば、インストラクタがシミュレーション操作端末1Aより模擬事故モード要求を行うと、模擬プラントシミュレータ40Aのモード切替手段11が共有リソース入出力手段8を介して、例えばリソース共有サーバ仮想化手段41に共有リソース情報を通知する。リソース共有サーバ仮想化手段41は、当該通知された共有リソース情報に応じて、リソースデータ記憶手段42に格納された連携プラントリスト12を更新する。
また、シミュレーション操作端末1Bより模擬事故モード要求が行われる場合に、模擬プラントシミュレータ30Bのモード切替手段11が共有リソース入出力手段8を介して、模擬プラントシミュレータ40Aのリソース共有サーバ仮想化手段41に共有リソース情報を通知する。これを受信したリソース共有サーバ仮想化手段41が、当該通知された共有リソース情報に応じて、連携プラントリスト12を更新する。
模擬プラントシミュレータ40Aまたは模擬プラントシミュレータ30Bにおいて、模擬演算手段4が、模擬演算の際、必要に応じてリソース共有サーバ仮想化手段41に、リソースの配分についての要求、または、リソースについての問い合せを行う。この場合に、模擬演算手段4は、共有リソース入出力手段8を介して、リソース共有サーバ仮想化手段41に対して、前述した要求または問い合せを行う。
これを受けて、リソース共有サーバ仮想化手段41は、模擬プラントシミュレータ40Aまたは模擬プラントシミュレータ30Bの共有リソース入出力手段8を介して、模擬演算手段4からのリソースの配分についての要求、または、リソースについての問い合せについて応答する。
以上説明したように、第6の実施形態によれば、複数のプラントのシミュレーションを連携して模擬することができる。
また、少なくとも一つの模擬プラントシミュレータに、リソース共有サーバ仮想化手段およびリソースデータ記憶手段などを設けることによりリソース共有サーバを設置することなく、複数のプラントが連携する運転訓練を実施することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形には、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。