JP6218974B2 - 加速度センサシステム、及び自己診断方法 - Google Patents
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Description
本発明は、加速度センサシステム、及び自己診断方法に関する。
特許文献1には、「コンデンサが共振周波数を有する周波数−静電容量特性を有しているため、共振周波数より極めて大きい、または、極めて小さい第1周波数の制御信号でコンデンサの静電容量を測定する通常測定が行われ、共振周波数を含むその近傍の第2周波数の制御信号でコンデンサの静電容量を測定する自己診断が行われる」と記載されている。
高い感度が求められる静電容量型加速度センサには、共振のQ値が高い可動電極を有するものがある。例えば、サーボ式の静電容量型加速度センサは、Q値が高い可動電極を有する。可動電極は、Q値が高いほど、電圧を印加した際の振動が発生し易い。そのため、Q値が高い可動電極は、Q値が低い可動電極と比べると、電圧の印加を停止した後に振動が残り易い。これは、自己診断のための電圧の印加が停止された場合に、可動電極が静止するために掛かる時間が長くなり、自己診断後の通常測定を直ぐに開始できない、という問題を引き起こす。
そこで、本発明は、可動電極の振動の停止をより正確に制御し、かつ、自己診断の時間を短縮することを目的とする。
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。
本発明の一態様に係る加速度センサシステムは、可動電極の変位に応じて静電容量変化を表す出力信号を出力するセンサと、前記センサを診断するための自己診断信号を前記センサに出力する自己診断部と、を有し、前記自己診断部は、前記可動電極を変位させるための変位信号を含む前記自己診断信号を出力し、前記出力信号のレベルに応じて前記自己診断信号の出力を停止する。
本発明によれば、可動電極の振動の停止をより正確に制御し、かつ、自己診断の時間を短縮することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の各実施形態を説明する前に、サーボ式の静電容量型加速度センサ、及び当該加速度センサを含む加速度センサシステムについて補足的に説明する。
サーボ式の静電容量型加速度センサは、高いQ値(例えば、0.5より高い)を有する可動電極を備える。この加速度センサは、加速度により可動電極に加わる力を相殺する静電気力が印加されることにより、可動電極を平衡状態に保つ。静電気力を発生させるサーボ信号には、PWM(Pulse Width Modulation)電圧を用いることができる。加速度センサシステムは、例えば、検出される加速度が大きい場合はパルス密度を低密度になるように、検出される加速度が小さい場合はパルス密度を高密度になるように、加速度に応じてパルス密度を調整する。この加速度センサシステムは、機械的雑音を低減しつつ、高感度に加速度を検出することができる。
近年では、加速度センサシステムは、性能の向上に伴い、更なる高信頼性と省電力化が要求されている。信頼性を向上するための加速度センサシステムは、その故障を検知するための自己診断機能を備えることが要求される。上記のサーボ式の加速度センサシステムに自己診断機能を実装する場合、例えば、加速度センサが備える固定電極と可動電極の間に、周期的な所定の電圧を印加して可動電極の位置を変位させ、その変位量が所定の範囲にあるかどうかを評価することにより加速度センサの異常を検知する方法を採用することができる。この方法は、可動電極の共振周波数を測定し、測定した共振周波数に基づいて、加速度センサの診断を行う。
しかし、上述の方法においては、可動電極が共振周波数近辺で振動することにより、可動電極の振動が静止するまで通常測定を開始できないため、診断時間が長期化する。また、上記の方法では、共振周波数を測定するために所定の周波数を掃引するために、周波数掃引機能やピーク周波数検出機能などの大規模な論理回路を設ける必要があり、これは消費電力を増大させる。
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各実施形態は、サーボ式の静電容量型加速度センサ(以下、単に加速度センサともいう)、及び当該加速度センサを含むシステム(以下、単に加速度センサシステムともいう)に関する。なお、各実施形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る加速度センサシステムの構成の一例を示すブロック図である。加速度センサシステムは、加速度センサ101と、信号検出部102と、サーボ制御部110と、検出信号生成部120と、自己診断部130と、出力部140と、モード切替部150とを含む。
図1は、本発明の第1実施形態に係る加速度センサシステムの構成の一例を示すブロック図である。加速度センサシステムは、加速度センサ101と、信号検出部102と、サーボ制御部110と、検出信号生成部120と、自己診断部130と、出力部140と、モード切替部150とを含む。
加速度センサ101は、静電容量の変化を表す電気信号として加速度を検出し、検出した電気信号S1(以下、出力信号S1という)を信号検出部102に出力する。加速度センサ101は、例えば、主に電極構造物により構成された静電容量型の加速度検出素子を含む。加速度センサ101については図2を参照して後に詳述する。
信号検出部102は、加速度センサ101から出力信号S1を受信し、受信したアナログ電気信号である出力信号S1を電圧に変換して増幅し、その電圧信号をディジタル信号に変換して、サーボ制御部110及び自己診断部130に出力する。
サーボ制御部110は、信号検出部102から出力信号を受信し、受信した出力信号に基づいてサーボ信号S6を生成し、モード切替部150に出力する。例えば、サーボ制御部110は、加速度に対応した静電容量の変化の大きさに応じて、パルス密度及びレベルの両方を調整したPWM(Pulse Width Modulation)電圧信号をサーボ信号として生成する。本実施形態では、サーボ信号S6は、電圧信号であり、モード切替部150を介して加速度センサ101の後述する2つの固定電極に印加される。
サーボ制御部110は、受信したディジタル信号である出力信号を受信し、当該ディジタル信号を信号処理することによりサーボ信号を生成する。サーボ信号を生成する信号処理の一例として、PID制御(Proportional-Integral-Derivative Control)を用いることができる。PID制御は、制御対象への入力値の制御を、制御対象からの出力値と目標値との偏差、その積分及び微分によって行う方式である。サーボ制御部110は、PID制御により、受信したディジタル信号に基づいて、加速度センサ101の可動電極を平衡状態に維持するために必要な静電気力に相当する値(電圧、ディジタル値など)を導出する機能を有する。
検出信号生成部120は、検出信号S7を生成し、モード切替部150に出力する。検出信号S7は、加速度の検出のために加速度センサ101に印加され、加速度センサ101に静電容量変化を電気信号として検出させるための電気信号である。本実施形態では、検出信号S7は、電圧信号であり、モード切替部150を介して加速度センサ101の後述する2つの固定電極に印加される。
自己診断部130は、信号検出部102から出力信号を受信する。自己診断部130は、自己診断信号S8を生成し、モード切替部150に出力する。自己診断部130は、信号検出部102から出力信号に基づいて、自己診断信号S8の停止タイミングを判定する。このような機能を実装するため、自己診断部130は、診断信号生成部131と、出力信号評価部132とを含む。また、自己診断部130は、解析部133を含む。
診断信号生成部131は、モード切替部150の制御により後述する自己診断モードが選択されると、自己診断信号S8を生成し、モード切替部150に出力する。自己診断信号S8は、加速度センサ101の可動電極に変位を与えるための電気信号と、加速度の検出のために加速度センサ101に印加され、加速度センサ101に静電容量変化を電気信号として検出させるための電気信号とを含む。本実施形態では、自己診断信号S8は、電圧信号であり、モード切替部150を介して加速度センサ101の後述する2つの固定電極に印加される。診断信号生成部131は、出力信号評価部132から後述する停止信号を受信した場合に、自己診断信号S8の生成及び出力を停止する。
出力信号評価部132は、自己診断信号S8に応じた出力信号が示す静電容量の信号レベルに基づいて、信号レベルのピーク値と、自己診断信号S8の印加の開始後に信号レベルが所定値に達するまでの周期時間を測定する。この所定値は、加速度センサの可動電極のQ値に応じて設定するのが望ましい。出力信号評価部132は、信号レベルが所定値に達したか否かを判定し、所定値に達した場合に停止信号を診断信号生成部131に出力するとともに、測定した信号レベルのピーク値及び周期時間を解析部133に出力する。
解析部133は、出力信号評価部132から測定された信号レベルのピーク値及び周期時間を受信する。解析部133は、受信したピーク値及び周期時間の少なくとも一方に基づいて、静電容量変化が正常であるか否かを判定し、その判定結果を診断結果S5として、例えばPC(Persona Computer)などの外部装置に出力する。診断結果S5は、データ信号、データファイル、画面データなど、各種の形態とすることができる。
自己診断部130については図3を参照して後に詳述する。
出力部140は、サーボ制御部110からサーボ信号S6を受信し、受信したサーボ信号に基づいて加速度を出力する。このような機能を実装するため、出力部140は、加速度出力部141を含む。また、出力部140は、解析部142を含む。
加速度出力部141は、サーボ信号S6に基づいて加速度を計算し、その加速度を含む加速度情報S3を生成し、例えばPCなどの外部装置に出力する。加速度出力部141は、信号検出部102から出力信号を受信して、出力信号に基づいて加速度を計算し、その加速度を含む加速度情報S3を生成し、外部装置に出力してもよい。加速度出力部141は、計算した加速度を解析部142に出力する。サーボ信号あるいは出力信号に基づいて加速度を計算する処理は、一般的な技術を用いることができるため、説明を省略する。
解析部142は、加速度出力部141から加速度を受信し、受信した加速度に対して所定の解析処理を実施し、その解析結果を含む解析情報S4を生成し、例えばPCなどの外部装置に出力する。加速度の解析処理は、一般的な技術を用いることができるため、説明を省略する。解析情報S4は、データ信号、データファイル、画面データなど、各種の形態とすることができる。
モード切替部150は、サーボ制御部110からのサーボ信号S6と、検出信号生成部120からの検出信号S7と、自己診断部130からの自己診断信号S8とを受信する。モード切替部150は、これらの3種類の信号の中から、選択した動作モードに対応する1つの信号を選択し、選択した信号を信号S2として加速度センサ101に出力する。すなわち、信号S2は、サーボ信号S6、検出信号S7、及び自己診断信号S8のいずれか1つからなる。信号S2は、電圧信号であり、加速度センサ101の後述する2つの固定電極に印加される。
加速度センサシステムは、3つの動作モードとして、サーボ制御モードと、検出モードと、自己診断モードとを有する。サーボ制御モード(本発明の第1のモードに相当する)は、サーボ制御を実行するモードである。検出モード(本発明の第1のモードに相当する)は、加速度を検出するモードである。自己診断モード(本発明の第2のモードに相当する)は、加速度センサ101の状態を診断するモードである。サーボ信号S6は、サーボ制御モードにおいて選択される。検出信号S7は、検出モードにおいて選択される。自己診断信号S8は、自己診断モードにおいて選択される。
モード切替部150は、基本的には予め設定された時分割に基づいて動作モードの切り替えを制御することにより、動作モードを選択する。モード切替部150は、例えば、予め定めた時分割に基づいて、サーボ制御モードと検出モードとを交互に切り替える。モード切替部150は、任意のタイミングでサーボ制御モード又は検出モードを自己診断モードに切り替える。モード切替部150は、例えば、通常測定期間(サーボ制御モード及び検出モードの2つを含む期間)が所定の時間を経過したか否かを判定し、経過した場合にサーボ制御モード又は検出モードを自己診断モードに切り替えることができる。また、モード切替部150は、例えば、他のセンサ(図示せず)により計測された環境温度や環境湿度などの値を取得し、当該値が所定の閾値を超えた又は下回った場合に自己診断モードに切り替えてもよい。
モード切替部150は、自己診断モードを選択した後、自己診断部130からの自己診断信号S8が停止したか否かを判定し、停止した場合、自己診断モードを通常測定(サーボ制御モード又は検出モード)に切り替える。
図2は、第1実施形態おける加速度センサの構造の一例を説明する図である。図2は、説明のための方向として、X方向及びZ方向を示す。X方向は、電極の主面が延在する方向であり、図2の左右方向に対応する。Z方向は、電極同士が距離を置いて重なる方向であり、図2の上下方向に対応する。
加速度センサ101は、一対の固定電極1011a及び固定電極1011bと、1つの可動電極1013とを備える。これらの2つの固定電極は、信号線を通じてモード切替部150に接続されている。可動電極1013は、信号線を通じて信号検出部102に接続されている。
可動電極1013は、X方向において広い主面を有する。固定電極1011a及び固定電極1011bは、可動電極1013に静電気力を発生させるために、Z方向で平面視した場合に可動電極1013の主面に対して重なる面領域を含む。固定電極1011aの面領域及び固定電極1011bの面領域は、それぞれ、可動電極1013の両側の対応する主面に対して面するように、Z方向に所定の距離を置いて配置されている。
固定電極1011a及び固定電極1011bの信号線は、動作モードに応じた信号S2(サーボ信号S6、検出信号S7、又は自己診断信号S8)を伝送する。
サーボ信号S6は、詳細には、固定電極1011aに印加されるサーボ信号S6aと、固定電極1011bに印加されるサーボ信号S6bとから成る。サーボ信号S6aは、例えば、矩形波パルスの繰り返しによる電圧信号である。サーボ信号S6bは、サーボ信号S6aに対して反転された電圧信号である。
検出信号S7は、詳細には、固定電極1011aに印加される検出信号S7aと、固定電極1011bに印加される検出信号S7bとから成る。検出信号S7aは、例えば、矩形波パルスの繰り返しによる電圧信号である。検出信号S7bは、検出信号S7aに対して反転された電圧信号である。
自己診断信号S8は、詳細には、固定電極1011aに印加される自己診断信号S8aと、固定電極1011bに印加される自己診断信号S8bとから成る。また、自己診断信号S8aは、可動電極1013を変位させるための変位信号S8c(図示せず)と、静電容量変化を検出する検出信号S8e(図示せず)を含む。自己診断信号S8bは、変位信号S8cに対応する変位信号S8d(図示せず)と、検出信号S8eに対応する検出信号S8f(図示せず)とを含む。変位信号S8c及び変位信号S8dは、可動電極1013が変位するように調整される。例えば、変位信号S8cは、可動電極電圧と同じ電圧とし、変位信号S8dは、可動電極電圧と異なる電圧とすることにより、固定電極1011bと可動電極1013の間に静電気力が発生し、可動電極1013が固定電極1011b側に変位する。検出信号S8eは、例えば、矩形波パルスの繰り返しによる電圧信号である。検出信号S8fは、検出信号S8eに対して反転された電圧信号である。
可動電極1013の信号線は、出力信号S1を伝送する。加速度に応じた可動電極1013のZ方向の位置の変化(図中のd)は、固定電極1011a及び固定電極1011bと可動電極1013との間の静電容量を変化させる。詳細には、例えば、固定電極1011aと可動電極1013との間の静電容量をC1と表し、固定電極1011bと可動電極1013との間の静電容量をC2と表す。これらの静電容量の静電容量差deltaCは、例えばdeltaC=C1−C2と計算することができる。出力信号S1は、静電容量差deltaCを含む静電容量変化を表す電圧信号である。ある時点の出力信号S1は、可動電極1013の変位の状態に応じた静電容量差deltaCを表している。2つの時点の出力信号S1は、静電容量差deltaCの時間変化を表している。
図3は、第1実施形態における加速度センサへの入力信号及び加速度センサからの出力信号のタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
通常測定の期間では、上述したように、サーボ制御モードと検出モードとが交互に切り替えられる。具体的には、サーボ信号S6と検出信号S7とが交互に繰り返し加速度センサ101に印加される。これにより、可動電極の位置が平衡状態に維持されるとともに静電容量変化に応じた信号が出力される。サーボ制御により可動電極の位置が平衡状態又は平衡に近い状態に保持されるため、出力信号S1は、0又は0に近い値である。
自己診断モードは、上述したように、モード切替部150により選択されることで開始する。具体的には、自己診断モードでは、診断信号生成部131は、変位信号S8c及び変位信号S8dと検出信号S8e及び検出信号S8fとを、交互に繰り返し加速度センサ101に出力する。すなわち、自己診断の期間は、変位信号により可動電極を変位させる変位期間P1と、検出信号により静電容量変化を検出する検出期間P2とを含む。変位期間P1では、可動電極を変位させるために固定電極と可動電極間に電圧が印加される。この電圧は主に直流電圧である。検出期間P2では、検出信号S7と同じ周波数及び電圧の信号が固定電極に印加される。変位期間P1及び検出期間P2の長さは、予め設定される。これにより、可動電極の位置が変位するとともに静電容量変化に応じた信号が出力される。
可動電極のQ値が0.5よりも高い場合、この可動電極の位置は、可動電極変位期間P1に直流電圧を印加すると、平衡状態から離れるように徐々に変位し(T1からT2)、ピーク(T2)に達した後、徐々に平衡状態に戻るように徐々に変位する(T2からT3)。この変化は、リンギングと呼ばれる現象の最初の1周期に相当する。可動電極のQ値が高いほど、ピーク後に平衡状態に向かって戻る変位量は大きい。可動電極のQ値が0.5以下である場合、リンギングは発生しない。さらに、Q値が0.5よりも高い可動電極の場合、自己診断モードが終了する(自己診断信号S8が停止する)タイミングによっては、可動電極の振動が残り、振動が静止するまで通常測定を再開できない。例えば、T3より前に自己診断信号が停止した場合、可動電極の振動がT3よりも後に残る。
本実施形態では、出力信号評価部132は、各検出期間P2に出力される出力信号に基づいて、可動電極の平衡状態からの変位レベルD(n)を繰り返し測定する。また、出力信号評価部132は、測定した各変位レベルD(n)について、所定の閾値Dthを下回ったか否かを判定する。閾値Dthは、平衡状態(平衡状態に近い状態を含む)を判定するための値であり、予め設定されている。閾値Dthは、Q値が高いほど小さく設定される。閾値Dthの設定値は、外部装置からの指示に基づいて変更できてもよい。変位レベルD(n)が閾値Dthを下回った場合、出力信号評価部132は、停止信号を診断信号生成部131に出力する。このようにすることで、可動電極が平衡状態に戻ったタイミングで自己診断信号が停止され、その後の可動電極の振動が完全に或いは小さく抑制され、静止までの時間が短縮される。一方、仮に、変位レベルD(n)が閾値Dth以上のタイミングで自己診断信号が停止された場合は、その後の可動電極の振動がT3よりも後に残り、静止までの時間が長期化する。
図4は、第1実施形態に係る自己診断処理の一例を示すフローチャートである。図7は、自己診断モードが開始された場合を示している。
nの初期値は、「0」である。Dpeakの初期値は、「0」である。D(0)の値は、例えば、本図のフローチャートの開始直前の出力信号レベルを出力信号評価部132が取得して設定してもよいし、所定値、例えば「0」を設定してもよい。出力信号評価部132、本図のフローチャートの開始後、経過時間を計測する。
まず、診断信号生成部131は、nを1インクリメントする(ステップS100)。次に、診断信号生成部131は、変位期間P1の間、変位信号を出力する(ステップS101)。次に、診断信号生成部131は、変位期間P1の後、検出期間P2の間、検出信号を出力する(ステップS102)。次に、出力信号評価部132は、ステップS102の検出信号に応じて加速度センサ101から信号検出部102を介して出力された出力信号レベルD(n)を取得する(ステップS103)。ステップS103では、出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)を取得した時刻、すなわち経過時間t(n)を取得する。
次に、出力信号評価部132は、ステップS103で取得した出力信号レベルD(n)が、前回取得した出力信号レベルD(n−1)以下であるか否かを判定する(ステップS104)。出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)が出力信号レベルD(n−1)を超えると判定した場合(ステップS104でno)、処理をステップS100に戻す。
出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)が出力信号レベルD(n−1)以下であると判定した場合(ステップS104でyes)、出力信号レベルのピーク値Dpeakが0であるか否かを判定する(ステップS105)。出力信号評価部132は、出力信号レベルのピーク値Dpeakが0であると判定した場合(ステップS105でyes)、ピーク値Dpeakに出力信号レベルD(n−1)を設定する(ステップS106)。
出力信号評価部132は、出力信号レベルのピーク値Dpeakが0でないと判定した場合(ステップS105でno)、又は、ステップS106の処理を実行した後、出力信号レベルD(n)が閾値Dthより小さいか否かを判定する(ステップS107)。出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)が閾値Dth以上であると判定した場合(ステップS107でno)、処理をステップS100に戻す。
出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)が閾値Dthより小さいと判定した場合(ステップS107でyes)、ステップS103で取得した出力信号レベルD(n)の経過時間t(n)を、周期時間tsに設定する(ステップS108)。
次に、解析部133は、出力信号レベルのピーク値Dpeakが、正常範囲(最小値Dminから最大値Dmaxまで)に含まれるか否かを判定する(ステップS109)。ピーク値Dpeakは、加速度センサ101の感度と相関を有する。解析部133は、ピーク値Dpeakが正常範囲に含まれると判定した場合(ステップS109でyes)、周期時間tsが正常範囲(最小値tminから最大値tmaxまで)に含まれるか否かを判定する(ステップS110)。周期時間tsは、加速度センサ101の共振周波数と相関がある。
解析部133は、ピーク値Dpeakが正常範囲に含まれないと判定した場合(ステップS109でno)、加速度センサ101が異常である(故障している)と判定する(ステップS111)。解析部133は、例えば、診断結果S5として、センサが故障していることを示す情報を外部装置に出力する。診断結果S5は、ピーク値Dpeakを含んでいてもよい。
解析部133は、周期時間tsが正常範囲に含まれないと判定した場合(ステップS110でno)、加速度センサ101が異常である(故障している)と判定する(ステップS111)。解析部133は、例えば、診断結果S5として、センサが故障していることを示す情報を外部装置に出力する。診断結果S5は、周期時間tsを含んでいてもよい。
解析部133は、周期時間tsが正常範囲に含まれると判定した場合(ステップS110でyes)、加速度センサ101は正常であると判定する(ステップS112)。解析部133は、例えば、診断結果S5として、センサが正常であることを示す情報を外部装置に出力する。診断結果S5は、ピーク値Dpeak及び周期時間tsを含んでいてもよい。解析部133は、診断結果S5を出力しなくてもよい。そして、解析部133は、本フローチャートに示す処理を終了する。
なお、出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)が閾値Dthより小さいと判定した場合(ステップS107でyes)、停止信号を診断信号生成部131に出力する。このタイミングに限定されず、出力信号評価部132は、S107から本フローチャートの終了までの間に停止信号を出力すればよい。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。第1実施形態に係る加速度センサシステムは、自己診断モードの開始後、出力信号レベルが所定値を下回ったか否かを判定する。また、加速度センサシステムは、出力信号レベルが所定値を下回った場合に、自己診断信号を停止する。これにより、加速度センサシステムは、可動電極が平衡状態又はその近辺に戻ったタイミングで自己診断信号を停止させ、可動電極の振動の停止をより正確に制御し、かつ、自己診断の時間を短縮することができる。また、加速度センサシステムは、出力信号レベルがピーク値を過ぎ、且つ、出力信号レベルが所定値を下回った場合に、自己診断信号を停止する。これにより、加速度センサシステムは、可動電極をその共振周波数f0の1周期分T0にできる限り近い期間(図3の例ではT1〜T3の期間)変位させ、短い期間で自己診断を行うことができる。また、加速度センサシステムは、周波数掃引機能やピーク周波数検出機能などの大規模な論理回路を設ける必要がないため、消費電力を低減できる。
[第2実施形態]
第2実施形態の加速度センサは、第1実施形態の加速度センサと電極構造が異なる。第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
第2実施形態の加速度センサは、第1実施形態の加速度センサと電極構造が異なる。第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る加速度センサシステムの構成の一例を示すブロック図である。加速度センサシステムは、加速度センサ201と、信号検出部102と、サーボ制御部110と、検出信号生成部220と、自己診断部130と、出力部140と、モード切替部250とを含む。
加速度センサ201は、静電容量の変化を表す出力信号S1を信号検出部102に出力する。加速度センサ201については図6を参照して後に詳述する。
検出信号生成部220は、検出信号S7を生成し、加速度センサ201に出力する。検出信号S7は、加速度センサ201の後述する2組の固定電極のうち一方の組の固定電極に印加される。
自己診断部130は、診断信号生成部231と、出力信号評価部132とを含む。また、自己診断部130は、解析部133を含む。診断信号生成部231は、モード切替部250の制御により自己診断モードが選択されると、自己診断信号S8を生成し、モード切替部250に出力する。自己診断信号S8は、変位信号を含み、検出信号を含まない。
モード切替部250は、サーボ制御部110からのサーボ信号S6と、自己診断部130からの自己診断信号S8とを受信する。モード切替部250は、これらの2種類の信号の中から、選択した動作モードに対応する1つの信号を選択し、選択した信号を信号S2として加速度センサ201に出力する。すなわち、信号S2は、サーボ信号S6、及び自己診断信号S8のいずれか1つからなる。信号S2は、加速度センサ201の後述する2組の固定電極のうち他方の組の固定電極に印加される。
第2実施形態の加速度センサシステムは、2つの動作モードとして、サーボ制御モード(本発明の第1のモードに相当する)と、自己診断モード(本発明の第2のモードに相当する)とを有する。サーボ信号S6は、サーボ制御モードにおいて選択される。自己診断信号S8は、自己診断モードにおいて選択される。検出信号S7は、いずれの動作モードが選択されていても、加速度センサ201に出力される。
モード切替部250は、任意のタイミングでサーボ制御モードを自己診断モードに切り替える。モード切替部250は、例えば、通常測定期間(サーボ制御モード含む期間)が所定の時間を超えたか否かを判定し、超えた場合にサーボ制御モードを自己診断モードに切り替えることができる。また、モード切替部250は、例えば、他のセンサ(図示せず)により計測された環境温度や環境湿度などの値を取得し、当該値が所定の閾値を超えた又は下回った場合に自己診断モードに切り替えてもよい。
モード切替部250は、自己診断モードを選択した後、自己診断部130からの自己診断信号S8が停止したか否かを判定し、停止した場合、自己診断モードを通常測定(サーボ制御モード)に切り替える。
図6は、第2実施形態おける加速度センサの構造の一例を説明する図である。図6は、説明のための方向として、X方向(左右方向)及びZ方向(上下方向)を示す。
加速度センサ201は、一対の固定電極2011a及び固定電極2011bと、一対の固定電極2012a及び固定電極2012bと、1つの可動電極2013とを備える。固定電極2011a及び固定電極2011bは、信号線を通じて、検出信号生成部220に接続されている。固定電極2012a及び固定電極2012bは、信号線を通じて、モード切替部250に接続されている。可動電極2013は、信号線を通じて信号検出部102に接続されている。
可動電極2013は、X方向において広い主面を有する。固定電極2011a及び固定電極2011bは、Z方向で平面視した場合に可動電極2013の主面の一部(X方向の一端)に対して重なる面領域を含む。固定電極2011aの面領域及び固定電極2011bの面領域は、それぞれ、可動電極2013の前記一端の両側の対応する主面に対して面するように、Z方向に所定の距離を置いて配置されている。固定電極2012a及び固定電極2012bは、Z方向で平面視した場合に可動電極2013の主面の一部(X方向の他端)に対して重なる面領域を含む。固定電極2012aの面領域及び固定電極2012bの面領域は、それぞれ、可動電極2013の前記他端の両側の対応する主面に対して面するように、Z方向に所定の距離を置いて配置されている。
固定電極2011a及び固定電極2011bの信号線は、検出信号S7を伝送する。固定電極2012a及び固定電極2012bの信号線は、動作モードに応じた信号S2(サーボ信号S6、又は自己診断信号S8)を伝送する。
検出信号S7は、詳細には、固定電極2011aに印加される検出信号S7aと、固定電極2011bに印加される検出信号S7bとから成る。
サーボ信号S6は、詳細には、固定電極2012aに印加されるサーボ信号S6aと、固定電極2012bに印加されるサーボ信号S6bとから成る。
自己診断信号S8は、詳細には、固定電極2012aに印加される自己診断信号S8aと、固定電極2012bに印加される自己診断信号S8bとから成る。また、自己診断信号S8aは、可動電極2013を変位させるための変位信号S8c(図示せず)を含む。自己診断信号S8bは、変位信号S8cに対応する変位信号S8d(図示せず)を含む。
可動電極2013の信号線は、出力信号S1を伝送する。加速度に応じた可動電極2013のZ方向の位置の変化(図中のd)は、固定電極2011a及び固定電極2011bと可動電極2013との間の静電容量C1及びC2を変化させる。出力信号S1は、静電容量差deltaCを含む静電容量変化を表す電圧信号である。
上記の加速度センサ201の電極構造は、サーボ信号S6及び自己診断信号S8が時分割で切り替えて印加されると共に、検出信号S7が常に加速度センサ201に印加される。これにより、可動電極2013の変位を動作モードに関わらず継続的に測定することができる。
図7は、第2実施形態における加速度センサへの入力信号及び加速度センサからの出力信号のタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
通常測定の期間では、上述したように、サーボ制御モードが選択される。具体的には、サーボ信号S6が加速度センサ201に印加される。検出信号S7も、加速度センサ201に印加される。これにより、可動電極の位置が平衡状態に維持されるとともに静電容量変化に応じた信号が出力される。
自己診断モードは、上述したように、モード切替部250により選択されることで開始される。具体的には、自己診断モードでは、診断信号生成部231は、変位信号S8c及び変位信号S8dを加速度センサ201に出力する。検出信号S7も、加速度センサ201に印加される。これにより、可動電極の位置が変位するとともに静電容量変化に応じた信号が出力される。
可動電極のQ値が0.5よりも高い場合、この可動電極の位置は、直流電圧を印加すると、平衡状態から離れるように徐々に変位し(T1からT2)、ピーク(T2)に達した後、徐々に平衡状態に戻るように徐々に変位する(T2からT3)。
第1実施形態と同様に、出力信号評価部132は、自己診断モードの期間に出力される出力信号に基づいて、可動電極の平衡状態からの変位レベルD(n)を繰り返し測定する。また、出力信号評価部132は、測定した各変位レベルD(n)について、閾値Dthを下回ったか否かを判定する。変位レベルD(n)が閾値Dthを下回った場合、出力信号評価部132は、停止信号を診断信号生成部231に出力する。
図8は、第2実施形態に係る自己診断処理の一例を示すフローチャートである。図8は、自己診断モードが開始された場合を示している。図4と異なる点を中心に説明する。
まず、診断信号生成部231は、変位信号の出力を開始する(ステップS201)。次に、診断信号生成部231は、nを1インクリメントする(ステップS202)。次に、出力信号評価部132は、検出信号に応じて加速度センサ201から信号検出部102を介して出力された出力信号レベルD(n)を取得する(ステップS203)。ステップS203では、出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)を取得した時刻、すなわち経過時間t(n)を取得する。
ステップS104〜S112の処理は、図4と同様である。なお、出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)が出力信号レベルD(n−1)を超えると判定した場合(ステップS104でno)、処理をステップS202に戻す。出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)が閾値Dth以上であると判定した場合(ステップS107でno)、処理をステップS202に戻す。出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)が閾値Dthより小さいと判定した場合(ステップS107でyes)、ステップS203で取得した出力信号レベルD(n)の経過時間t(n)を、周期時間tsに設定する。出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)が閾値Dthより小さいと判定した場合(ステップS107でyes)、停止信号を診断信号生成部231に出力する。このタイミングに限定されず、出力信号評価部132は、S107から本フローチャートの終了までの間に停止信号を出力すればよい。
以上、本発明の第2実施形態について説明した。第2実施形態に係る加速度センサシステムは、第1実施形態と同様の効果に加え、次の効果を得ることができる。加速度センサシステムは、自己診断モードの開始後、変位信号を連続的に可動電極に印加するとともに、可動電極の変位を連続的に測定する。これにより、ピーク値や周期時間などのセンサ特性の評価精度及び診断精度を向上することができる。第1実施形態の加速度センサシステムでは、自己診断モードにおいて、変位期間と検出期間が時分割され、可動電極の変位が間欠的に検出される。
[第3実施形態]
第1実施形態及び第2実施形態の加速度センサシステムは、共振周波数に係る特性(ピーク値及び周期時間)を使って自己診断を行う。第3実施形態は、共振周波数に係る特性としてQ値を測定して、これを用いて自己診断を行うことで、加速度センサの診断精度を向上する。第1実施形態及び第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1実施形態及び第2実施形態の加速度センサシステムは、共振周波数に係る特性(ピーク値及び周期時間)を使って自己診断を行う。第3実施形態は、共振周波数に係る特性としてQ値を測定して、これを用いて自己診断を行うことで、加速度センサの診断精度を向上する。第1実施形態及び第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
まず、Q値の導出方法について説明する。図9は、診断信号を印加した場合の可動電極の変位の一例を説明する図である。
可動電極変位x(t)は、例えば式(1)に従って変化する。f0は加速度センサの共振周波数を表し、Qは可動電極のQ値を表し、tは自己診断信号S8の印加の開始からの経過時間を表し、x0は比例定数を表す。t1(=0)では、可動電極変位xは0である。
t2では、可動電極変位xはピークに達する。このときのt2及び可動電極変位xは、それぞれ、例えば式(2)及び式(3)で表される。
さらに時間が経過すると、可動電極変位xは0に向かって戻り始める。t3では、可動電極変位xは、自己診断開始時の位置0に最も近づく。このときのt3及び可動電極変位xは、それぞれ、例えば式(4)及び式(5)で表される。
式(4)から分かるように、t3は,f0およびQに応じて変化する。ただし、t3は、Qが5以上のとき、ほぼ共振周波数f0の逆数に等しくなる。このような関係に基づいて、時間t3から共振周波数f0を導出することができる。また、式(5)から分かるように、t3における可動電極変位xは、Qに応じて変化する。このような関係に基づいて、t3における可動電極変位xからQ値を導出することができる。
図4又は図8を参照しながら、自己診断部130の処理を説明する。
出力信号評価部132は、ステップS107において、可動電極変位xが極小に達したか否かを判定する。例えば、出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)の微分値を算出し、微分値が0であるか否かを判定する。あるいは、出力信号評価部132は、前回の出力信号レベルD(n−1)の微分値が負の値であり且つ今回の出力信号レベルD(n)の微分値が正の値であるか否かを判定してもよい。出力信号評価部132は、出力信号レベルD(n)の微分値が0である、又は前回の微分値が負であり且つ今回の微分値が正であると判定した場合、処理をステップS108に進め、この場合以外は、処理をステップS100又はステップS202に戻す。
出力信号評価部132は、ステップS108において、極小に達したと判定した可動電極変位xの経過時間t(n)を、周期時間tsに設定する。tsは、上述の式(5)におけるt3に相当する。D(n)は、上述の式(5)における可動電極変位x(t3)に相当する。また、出力信号評価部132は、Q値を算出する。出力信号評価部132は、例えば、出力信号評価部132により算出されたt3における可動電極変位xを上述の式(5)に代入して、Qを算出する。
なお、出力信号評価部132は、可動電極変位xが極小に達したと判定した場合、停止信号を診断信号生成部に出力する。このタイミングに限定されず、出力信号評価部132は、S107から本フローチャートの終了までの間に停止信号を出力すればよい。
解析部133は、ステップS109及びS110に加えて、上述のように算出されたQ値が、正常範囲に含まれるか否かを判定する。解析部133は、Q値が正常範囲に含まれないと判定した場合、加速度センサが異常である(故障している)と判定する。解析部133は、例えば、診断結果S5として、センサが故障していることを示す情報を外部装置に出力する。診断結果S5は、Q値を含んでいてもよい。解析部133は、ピーク値、周期時間、及びQ値が全て対応する正常範囲に含まれる判定した場合、例えば、診断結果S5として、センサが正常であることを示す情報を外部装置に出力する。診断結果S5は、Q値を含んでいてもよい。解析部133は、診断結果S5を出力しなくてもよい。
以上、本発明の第3実施形態について説明した。第3実施形態に係る加速度センサシステムは、自己診断モードの開始後、可動電極の変位が極小に達した場合に、自己診断信号を停止する。これにより、第1実施形態及び第2実施形態のように出力信号レベルと所定値を比較する場合と比べて、可動電極が平衡状態又はその近辺に戻ったタイミングをより精度よく判定し、可動電極の振動の停止をより正確に制御し、かつ、自己診断の時間を短縮することができる。また、加速度センサシステムは、共振周波数に係る特性として、ピーク値及び周期時間に加えてQ値を測定して、これを用いて自己診断を行う。これにより、加速度センサの診断精度を向上することができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
上述の各実施形態の加速度センサシステムは、可動電極の共振の1周期を測定し、その1周期のピーク値等の特性に基づいて診断を行う。もちろん、加速度センサシステムは、N周期(Nは1より大きい整数)における可動電極のピーク値等の特性を測定してもよい。この場合、自己診断時間は長くなるが、特性をより正確に測定することができる。
上述の第3実施形態の加速度センサシステムは、可動電極変位xが極小に達したか否かを判定する一方で、Q値を算出しなくてもよい。また、第3実施形態の加速度センサシステムは、ピーク値、周期時間、及びQ値のうち少なくとも1つを評価してもよい。第1実施形態及び第2実施形態の加速度センサシステムは、ピーク値、及び周期時間の少なくとも1つを評価してもよい。
上述の各実施形態の加速度センサシステムは、1つの加速度センサを含む。もちろん、加速度センサシステムは、複数の加速度センサを含んでもよい。この場合、加速度センサシステムは、複数の加速度センサについて自己診断を行えばよい。また、複数の加速度センサを複数のグループに分け、加速度センサシステムは、時分割により各グループに対して異なるタイミングで自己診断を実行してもよい。このようにすれば、システム全体を停止することなく加速度を計測することができる。
図4及び図8で示したフローチャートの処理単位は、自己診断処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。自己診断処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。さらに、本発明の目的及び効果を達成できるのであれば、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明が、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
上記した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現されてもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリーや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
101…加速度センサ、102…信号検出部、110…サーボ制御部、120…検出信号生成部、130…自己診断部、131…診断信号生成部、132…出力信号評価部、133…解析部、140…出力部、141…加速度出力部、142…解析部、150…モード切替部、201…加速度センサ、220…検出信号生成部、231…診断信号生成部、250…モード切替部、1011a…固定電極、1011b…固定電極、1013…可動電極、2011a…固定電極、2011b…固定電極、2012a…固定電極、2012b…固定電極、2013…可動電極、S1…出力信号、S2…信号、S3…加速度情報、S4…解析情報、S5…診断結果、S6…サーボ信号、S6a…サーボ信号、S6b…サーボ信号、S7…検出信号、S7a…検出信号、S7b…検出信号、S8…自己診断信号、S8a…自己診断信号、S8b…自己診断信号、S8c…変位信号、S8d…変位信号、S8e…検出信号、S8f…検出信号
Claims (9)
- 加速度センサシステムであって、
可動電極の変位に応じて静電容量変化を表す出力信号を出力するセンサと、
前記センサを診断するための自己診断信号を前記センサに出力する自己診断部と、を有し、
前記自己診断部は、前記可動電極を変位させるための変位信号を含む前記自己診断信号を出力し、前記出力信号のレベルに応じて前記自己診断信号の出力を停止し、
前記自己診断部は、前記出力信号のレベルを複数回測定し、前記レベルが所定の閾値に達したか否かを判定し、前記レベルが前記所定の閾値に達した場合に、前記自己診断信号の出力を停止し、
前記自己診断部は、前記レベルがピーク値に達した後、前記レベルが前記所定の閾値に達した場合に、前記自己診断信号の出力を停止する
加速度センサシステム。 - 請求項1に記載の加速度センサシステムであって、
前記所定の閾値は、前記レベルの極小値である
加速度センサシステム。 - 加速度センサシステムであって、
可動電極の変位に応じて静電容量変化を表す出力信号を出力するセンサと、
前記センサを診断するための自己診断信号を前記センサに出力する自己診断部と、
加速度の測定を行うための第1のモードと、
自己診断を行うための第2のモードと、
前記第1のモードと前記第2のモードとを相互に切り替えるモード切替部と、を有し、
前記自己診断部は、前記可動電極を変位させるための変位信号を含む前記自己診断信号を出力し、前記出力信号のレベルに応じて前記自己診断信号の出力を停止し、
前記モード切替部は、前記自己診断信号の出力が停止した場合に、前記第2モードを前記第1のモードに切り替える
加速度センサシステム。 - 加速度センサシステムであって、
可動電極の変位に応じて静電容量変化を表す出力信号を出力するセンサと、
前記センサを診断するための自己診断信号を前記センサに出力する自己診断部と、
前記出力信号を得るための検出信号を前記センサに出力する検出信号生成部と、
サーボ制御のためのサーボ信号を前記センサに出力するサーボ制御部と、
前記検出信号及び前記サーボ信号が出力される第1のモードと、
前記自己診断信号が出力される第2のモードと、を有し、
前記自己診断部は、前記可動電極を変位させるための変位信号を含む前記自己診断信号を出力し、前記出力信号のレベルに応じて前記自己診断信号の出力を停止し、
前記自己診断部は、前記第2のモードにおいて、前記変位信号と前記検出信号とを交互に含む前記自己診断信号を出力し、前記検出信号に応じて得られた前記出力信号のレベルに応じて、前記自己診断信号の出力を停止する
加速度センサシステム。 - 加速度センサシステムであって、
可動電極の変位に応じて静電容量変化を表す出力信号を出力するセンサと、
前記センサを診断するための自己診断信号を前記センサに出力する自己診断部と、
前記出力信号を得るための検出信号を前記センサに出力する検出信号生成部と、
サーボ制御のためのサーボ信号を前記センサに出力するサーボ信号生成部と、
前記検出信号及び前記サーボ信号が出力される第1のモードと、
前記検出信号及び前記自己診断信号が出力される第2のモードと、を有し、
前記自己診断部は、前記可動電極を変位させるための変位信号を含む前記自己診断信号を出力し、前記出力信号のレベルに応じて前記自己診断信号の出力を停止し、
前記自己診断部は、前記第2のモードにおいて、前記検出信号に応じて得られた前記出力信号のレベルに応じて、前記自己診断信号の出力を停止する
加速度センサシステム。 - 加速度センサシステムであって、
可動電極の変位に応じて静電容量変化を表す出力信号を出力するセンサと、
前記センサを診断するための自己診断信号を前記センサに出力する自己診断部と、を有し、
前記自己診断部は、前記可動電極を変位させるための変位信号を含む前記自己診断信号を出力し、前記出力信号のレベルに応じて前記自己診断信号の出力を停止し、
前記自己診断部は、前記出力信号のレベルを複数回測定し、前記レベルが所定の閾値に達したか否かを判定し、前記レベルが前記所定の閾値に達した場合に、前記自己診断信号の出力を停止し、
前記自己診断信号の出力の開始後、前記レベルが前記所定の閾値に達するまでの時間を測定し、前記測定した時間と所定の時間範囲とを比較することにより、前記センサが正常か否かを判定する
加速度センサシステム。 - 加速度センサシステムであって、
可動電極の変位に応じて静電容量変化を表す出力信号を出力するセンサと、
前記センサを診断するための自己診断信号を前記センサに出力する自己診断部と、を有し、
前記自己診断部は、前記可動電極を変位させるための変位信号を含む前記自己診断信号を出力し、前記出力信号のレベルに応じて前記自己診断信号の出力を停止し、
前記自己診断部は、
前記出力信号のレベルを複数回測定し、前記レベルが所定の閾値に達したか否かを判定し、前記レベルが前記所定の閾値に達した場合に、前記自己診断信号の出力を停止し、
前記自己診断信号の出力の開始後、前記レベルのピーク値を測定し、前記ピーク値と所定の値範囲とを比較することにより、前記センサが正常か否かを判定する
加速度センサシステム。 - 加速度センサシステムであって、
可動電極の変位に応じて静電容量変化を表す出力信号を出力するセンサと、
前記センサを診断するための自己診断信号を前記センサに出力する自己診断部と、を有し、
前記自己診断部は、前記可動電極を変位させるための変位信号を含む前記自己診断信号を出力し、前記出力信号のレベルに応じて前記自己診断信号の出力を停止し、
前記自己診断部は、
前記出力信号のレベルを複数回測定し、前記レベルが所定の閾値に達したか否かを判定し、前記レベルが前記所定の閾値に達した場合に、前記自己診断信号の出力を停止し、
前記自己診断信号の出力の開始後、前記レベルが前記所定の閾値に達するまでの時間を測定し、前記測定した時間に基づいて前記センサのQ値を算出し、前記Q値と所定の値範囲とを比較することにより、前記センサが正常か否かを判定する
加速度センサシステム。 - 可動電極の変位に応じて静電容量変化を表す出力信号を出力する加速度センサの自己診断方法であって、
前記加速度センサを診断するための自己診断信号を前記加速度センサに出力する自己診断工程を含み、
前記自己診断工程では、前記可動電極を変位させるための変位信号を含む前記自己診断信号が出力され、前記出力信号のレベルに応じて前記自己診断信号の出力が停止され、
前記自己診断工程では、前記出力信号のレベルを複数回測定し、前記レベルが所定の閾値に達したか否かを判定し、前記レベルが前記所定の閾値に達した場合に、前記自己診断信号の出力が停止され、
前記自己診断工程では、前記レベルがピーク値に達した後、前記レベルが前記所定の閾値に達した場合に、前記自己診断信号の出力が停止される
自己診断方法。
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