JP6215182B2 - 疲労試験方法、疲労試験片及び疲労試験装置 - Google Patents
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Description
疲労試験片の歪みを測定するための少なくとも1つの歪みセンサを配置する工程と、
前記疲労試験片の一端部を保持ユニットに固定する工程と、
アクチュエータにより前記保持ユニットを振動させることによって前記疲労試験片を振動させることで前記疲労試験片を捩じり変形させる工程と、
前記少なくとも1つの歪みセンサを用いて前記疲労試験片の歪みを測定する測定工程と、
測定された前記歪みに基づいて、捩じり変形に対する疲労強度を評価する工程と
を備える。
前記少なくとも1つの歪みセンサは、前記疲労試験片の軸線方向に対し斜め方向の歪みを検出可能である。
上記構成(2)によれば、軸線方向に対し斜め方向の歪みを検出可能であるため、疲労試験片の捩り変形を簡単な構成で容易に評価することができる。
厚さの異なる複数の前記疲労試験片を用意する工程と、
前記測定工程により得られた前記複数の疲労試験片の測定結果に基づいて、前記複数の疲労試験片における厚さと疲労限度の関係を求める工程と、
前記関係を利用して、任意の厚さを有する部材の疲労限度を推定する工程と
を更に備える。
前記複数の疲労試験片の厚さは、前記厚さが減少するほど前記疲労限度が減少する範囲に属する。
従来、疲労試験片の寸法がある範囲を超えて大きくなると、疲労限度が徐々に低下するという寸法効果が知られていたが、疲労試験片の寸法が小さい該範囲内では、疲労限度は一定であると考えられていた。しかしながら、本発明者等は、疲労試験片の厚さが極めて小さくなると、疲労試験片の厚さが小さくなるのに従って、疲労限度が徐々に低下することを見出した。ここで問題となるのが、疲労試験片の厚さが変わるたびに、疲労強度試験を行うことは煩雑であるということである。
なお、上記構成(3)及び(4)については、必ずしも捩り変形の評価を目的とする必要は無く、任意の厚さを有する部材の疲労限度を容易に求めることのみを目的としてもよい。
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(4)において、
前記部材は、メカニカルシールに適用される金属製の薄板、又は、金属ベローズである。
メカニカルシールに適用される金属製の薄板や、金属ベローズでは、使用中に捩り変形が発生するため、信頼性を確保するために、捩り変形に対する疲労強度を的確に評価する必要性が高い。この点、上記構成(5)によれば、捩り変形に対する疲労強度を的確に評価することができ、部材の信頼性を確保することが可能になる。
疲労試験片の歪みを測定するための少なくとも1つの歪みセンサを配置する工程と、
前記疲労試験片の一端部を保持ユニットに固定する工程と、
アクチュエータにより前記保持ユニットを振動させることによって前記疲労試験片を振動させながら、前記少なくとも1つの歪みセンサを用いて前記疲労試験片の歪みを測定する測定工程と
を備え、
前記疲労試験片は、前記一端から軸線方向に離間する他端部に、前記疲労試験片の幅方向に延出する拡幅部を有する。
上記構成(6)によれば、拡幅部を設けることで、疲労試験片における質量のバランスを容易に調整することができ、疲労試験片が振動する間、バランスに応じて疲労試験片に捩り変形を生じさせることができる。
前記測定工程の前に、前記疲労試験片に重りを取り付ける工程を更に備える。
上記構成(7)によれば、疲労試験片に重りを取り付けることによって、疲労試験片における質量のバランスを容易に調整することができ、疲労試験片が振動する間、バランスに応じて疲労試験片に捩り変形を生じさせることができる。
前記疲労試験片は、前記一端部から軸線方向に離間した他端部に、前記疲労試験片の幅方向に延出する拡幅部を有し、
前記拡幅部に前記重りを取り付ける。
上記構成(8)によれば、拡幅部に重りをつけることで、より大きな捩り変形を発生させることができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れか1つにおいて、
前記疲労試験片は、軸線に関して非対称な質量分布を有する。
上記構成(9)によれば、疲労試験片が振動する間、バランスに応じて疲労試験片に捩じり変形を生じさせることができる。
振動可能な保持ユニットに固定可能な一端部と、
前記一端部から軸線方向に離間した他端部と、
前記他端部から幅方向に延出する拡幅部と
を備える。
上記構成(10)によれば、拡幅部を設けることで、疲労試験片における質量のバランスを容易に調整することができ、疲労試験片が振動する間、バランスに応じて疲労試験片に捩り変形を生じさせることができる。
前記疲労試験片は平面視にてT字形状を有する。
上記構成(11)によれば、簡単な構成にて、疲労試験片における質量のバランスを容易に調整することができ、疲労試験片が振動する間、バランスに応じて疲労試験片に捩り変形を生じさせることができる。
前記一端部に、前記保持ユニットの一部と嵌合可能な嵌合部を有する。
上記構成(12)によれば、簡単な構成にて、疲労試験片を保持ユニットに確実且つ容易に固定することができる。
疲労試験片の一端部を保持可能な保持ユニットと、
前記保持ユニットを振動させるように構成されたアクチュエータと、
前記疲労試験片の歪みを測定するための少なくとも1つの歪みセンサと
を備え、
前記アクチュエータにより前記保持ユニットを振動させることによって前記疲労試験片を振動させることで前記疲労試験片を捩じり変形させ、前記少なくとも1つの歪みセンサを用いて前記疲労試験片の歪みを測定し、測定された前記歪みに基づいて、捩じり変形に対する疲労強度を評価する。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
疲労試験片1は、一端部3と、該一端部3から軸線方向に離間した他端部5と、他端部5から幅方向に延出する拡幅部7とを有する。一端部3は、後述する疲労試験装置の保持ユニットに固定可能である。疲労試験片1は、一端部3側に、疲労試験片1の歪みを測定するための歪み測定領域1aを有する。歪み測定領域1aの歪みを測定するための歪みセンサとして歪みゲージ8を用いる場合、歪みゲージ8が、例えば接着剤によって歪み測定領域1aに取り付けられる。例えば、疲労試験片1は、金属製の薄板からなり、概ね0.03mm〜1mm程度の厚さを有する。
この場合、疲労試験片1における質量のバランスを重り9によって容易に調整することができ、疲労試験片1における質量分布を、軸線に関して非対称にすることができる。これにより、疲労試験片1が振動する間、バランスに応じて疲労試験片1に捩り変形を生じさせることができる。
なお、重り9を取り付ける場合、疲労試験片1は拡幅部7を有していなくてもよい。
平面視形状がT字形状である場合、簡単な構成にて、疲労試験片1における質量のバランスを容易に調整することができる。つまり、幅方向に延びる拡幅部7の先端側に重り9を取り付けることで、バランスを容易に調整することができる。
ただし、平面視形状はT字形状に限定されることはなく、Y字形状やL字形状であってもよい。
疲労試験装置13は、疲労試験片1の一端部3を保持可能な保持ユニット15と、保持ユニット15を振動させるように構成されたアクチュエータ17と、疲労試験片1の歪みを測定するための少なくとも1つの歪みセンサとして歪みゲージ8と、歪みゲージ8の出力に基づいて歪みを演算可能な歪み測定器19とを備える。
この場合、疲労試験片1の一端部3は、大径軸部23の端面と治具27の端面との間に挟まれ、嵌合部11が小径軸部21に嵌合させられる。
図5に示したように、疲労試験方法は、疲労試験片1の歪みを測定するための少なくとも1つの歪みセンサを配置する工程S10と、疲労試験片1の一端部3を保持ユニット15に固定する工程S12と、アクチュエータ17により保持ユニット15を振動させることによって疲労試験片1を振動させながら、少なくとも1つの歪みセンサを用いて疲労試験片1の歪みを測定する測定工程S14とを備える。
歪みセンサを配置する工程S10は、疲労試験片1の歪み測定領域1aの歪みを測定可能なように歪みセンサが配置される。歪みセンサとして歪みゲージ8を用いる場合、歪みセンサを配置する工程S10では、歪みゲージ8が歪み測定領域1aに取り付けられる。
測定工程S14では、疲労試験片1が破断するまでの疲労試験片1の振動の回数が数えられる。アクチュエータ17の振動回数と疲労試験片1の振動が同期している場合には、疲労試験片1の振動の回数に代えて、アクチュエータ17の振動回数を数えてもよい。
この構成によれば、歪みゲージ8によって軸線方向に対し斜め方向の歪みを検出可能であるため、疲労試験片1の捩り変形を簡単な構成で容易に評価することができる。
なお、曲げ変形を評価する場合には、歪みゲージ8は、疲労試験片1の軸線方向の歪みを検出可能に取り付けられる。また、曲げ変形と捩り変形の複合した変形を評価する場合には、歪みゲージ8として、2軸又は3軸の歪みゲージが、疲労試験片1の軸線方向に対し斜め方向の歪み及び軸線方向の歪みを同時に検出可能に取り付けられる。斜め方向とは、例えば、軸線方向及び幅方向に対し45°の方向である。
この構成によれば、拡幅部7に重り9を取り付けることで、より大きな捩り変形を発生させることができる。
図8は、重り9の重さと応力振幅の関係を概略的に示すグラフである。図8に示したように、重り9が重くなるほど、応力振幅が大きくなる。従って、重り9の重さを調整することで、応力振幅を調整することができる。
図9は、アクチュエータ17の振動周波数fと応力振幅の関係を概略的に示すグラフである。図9に示したように、アクチュエータ17の振動周波数fが高くなるほど、応力振幅が大きくなる。従って、アクチュエータ17の振動周波数fを調整することで、応力振幅を調整することができる。
図14の疲労試験方法は、厚さの異なる複数の疲労試験片1、換言すれば、複数の標準試料を用意する工程S18を有する。複数の標準試料は同一の材料からなる。
そして、図16は、疲労強度の測定結果に基づいて、厚さと疲労強度の関係を求める方法を説明するためのグラフである。図16に示したように、測定結果を例えば直線近似することによって得られた特性線(近似直線)が、厚さと疲労強度の関係を表す。例えば、厚さがxの部材の疲労限度の値は、特性線に基づいてyであることがわかる。
従来、疲労試験片1の寸法がある範囲を超えて大きくなると、疲労限度が徐々に低下するという寸法効果が知られていたが、疲労試験片1の寸法が小さい該範囲内では、疲労限度は一定であると考えられていた。しかしながら、本発明者等は、疲労試験片1の厚さが極めて小さくなると、疲労試験片1の厚さが小さくなるのに従って、疲労限度が徐々に低下することを見出した。ここで問題となるのが、疲労試験片1の厚さが変わるたびに、疲労強度試験を行うことは煩雑であるということである。
メカニカルシール31に適用される金属製の薄板33や、金属ベローズ35では、使用中に捩り変形が発生するため、信頼性を確保するために、捩り変形に対する疲労強度を的確に評価する必要性が高い。この点、図14の疲労試験方法によれば、捩り変形に対する疲労強度を的確に評価することができ、これらの部材の信頼性を確保することが可能になる。
例えば、歪みセンサは、図19に示したようにチタン酸バリウム等の圧電素子37からなるものであってもよい。圧電素子37は図20及び図21に示したように、圧縮によって電圧を発生する。歪みゲージ8と同様に、疲労試験片1の歪み測定領域1aに圧電素子37を例えば接着剤で取り付け、発生電圧を電圧計38で測定することで、疲労試験片1の歪みを測定可能である。
更に、歪みセンサは、歪みゲージ8や圧電素子37のような接触式でなく、非接触式であってもよい。非接触式の歪みセンサとして、例えば、歪み測定領域1aの歪みを測定可能な光干渉計を用いてもよい。
1a 歪み測定領域
3 一端部
5 他端部
7 拡幅部
8 歪みゲージ
9 重り
11 嵌合部
13 疲労試験装置
15 保持ユニット
17 アクチュエータ
19 歪み測定器
21 小径軸部
23 大径軸部
25 軸
27 治具
29 ナット
31 メカニカルシール
33 薄板
35 金属ベローズ
37 圧電素子
38 電圧計
Claims (13)
- 疲労試験片の歪みを測定するための少なくとも1つの歪みセンサを配置する工程と、
前記疲労試験片の一端部を保持ユニットに固定する工程と、
アクチュエータにより前記保持ユニットを振動させることによって前記疲労試験片を振動させることで前記疲労試験片を捩じり変形させる工程と、
前記少なくとも1つの歪みセンサを用いて前記疲労試験片の歪みを測定する測定工程と、
測定された前記歪みに基づいて、捩じり変形に対する疲労強度を評価する工程と
を備えることを特徴とする疲労試験方法。 - 前記少なくとも1つの歪みセンサは、前記疲労試験片の軸線方向に対し斜め方向の歪みを測定可能であることを特徴とする請求項1に記載の疲労試験方法。
- 厚さの異なる複数の前記疲労試験片を用意する工程と、
前記測定工程により得られた前記複数の疲労試験片の測定結果に基づいて、前記複数の疲労試験片における厚さと疲労限度の関係を求める工程と、
前記関係を利用して、任意の厚さを有する部材の疲労限度を推定する工程と
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の疲労試験方法。 - 前記複数の疲労試験片の厚さは、前記厚さが減少するほど前記疲労限度が減少する範囲に属することを特徴とする請求項3に記載の疲労試験方法。
- 前記部材は、メカニカルシールに適用される金属製の薄板、又は、金属ベローズであることを特徴とする請求項4に記載の疲労試験方法。
- 疲労試験片の歪みを測定するための少なくとも1つの歪みセンサを配置する工程と、
前記疲労試験片の一端部を保持ユニットに固定する工程と、
アクチュエータにより前記保持ユニットを振動させることによって前記疲労試験片を振動させながら、前記少なくとも1つの歪みセンサを用いて前記疲労試験片の歪みを測定する測定工程と
を備え、
前記疲労試験片は、前記一端部から軸線方向に離間した他端部に、前記疲労試験片の幅方向に延出する拡幅部を有することを特徴とする疲労試験方法。 - 前記測定工程の前に、前記疲労試験片に重りを取り付ける工程を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の疲労試験方法。
- 前記疲労試験片は、前記一端部から軸線方向に離間した他端部に、前記疲労試験片の幅方向に延出する拡幅部を有し、
前記拡幅部に前記重りを取り付けることを特徴とする請求項7に記載の疲労試験方法。 - 前記疲労試験片は、軸線に関して非対称な質量分布を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の疲労試験方法。
- 振動可能な保持ユニットに固定可能な一端部と、
前記一端部から軸線方向に離間した他端部と、
前記他端部から幅方向に延出する拡幅部と
を備えることを特徴とする疲労試験片。 - 平面視にてT字形状を有することを特徴とする請求項10に記載の疲労試験片。
- 前記一端部に、前記保持ユニットの一部と嵌合可能な嵌合部を有することを特徴とする請求項10又は11に記載の疲労試験片。
- 疲労試験片の一端部を保持可能な保持ユニットと、
前記保持ユニットを振動させるように構成されたアクチュエータと、
前記疲労試験片の歪みを測定するための少なくとも1つの歪みセンサと
を備え、
前記アクチュエータにより前記保持ユニットを振動させることによって前記疲労試験片を振動させることで前記疲労試験片を捩じり変形させ、前記少なくとも1つの歪みセンサを用いて前記疲労試験片の歪みを測定し、測定された前記歪みに基づいて、捩じり変形に対する疲労強度を評価することを特徴とする疲労試験装置。
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