以下、この発明による電子機器の幾つかの実施形態を、図を参照しながら説明する。
[第1の実施形態;図1〜図6]
図1(A)は、この発明の第1の実施形態の電子機器10の外観の例を示すための図であり、図1(B)は、この第1の実施形態の電子機器10に設けられるセンサ部の構成例を示す図である。
この例の電子機器10は、いわゆるスマートフォンと呼ばれる高機能携帯電話端末であって、薄型扁平の略直方体形状の筐体11の一面側に、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)からなる表示デバイスの表示画面12が、視認可能な状態となるように設けられている。この表示画面12の下には、ディスプレイ対応センサ部13が重畳されて配設されており、その指示入力面13Aはディスプレイ画面12の全面とほぼ同じ領域面積を備えている。なお、ディスプレイ対応センサ部13の指示入力面13Aの全域で、指示体の検出が可能であり、したがって、指示入力面13Aの領域は、ディスプレイ対応センサ部13の指示体検出領域となる。
ディスプレイ対応センサ部13は、この例では、電磁誘導方式のセンサ部の構成とされており、図1(B)に示すように、指示入力面13Aの全域をカバーするように、第1の方向(筐体11の長手方向;X軸方向)に配列されるループコイル群15Xと、第1の方向と直交する第2の方向(Y軸方向)に配列されるループコイル群15Yとを備える。
図1(B)に示すように、ループコイル群15Xは、この例では、X軸方向に配列されるn(nは2以上の整数、例えば40)個のループコイルX1,X2,・・・,Xnからなる。また、ループコイル群15Yは、この例では、Y軸方向に配列されるm(mは2以上の整数、例えば20)個のループコイルY1,Y2,・・・,Ymからなる。なお、図1(B)において、実線12´で囲んで示す矩形領域は、表示画面12の領域である。
ディスプレイ対応センサ部13においては、複数個のループコイルX1〜Xn及びY1〜Ymが基板上に形成され、表示画面12の下に配置されている。
また、図1(A)に示すように、筐体11の長手方向(X軸方向)の一側の表示画面12とは別領域には、表示画面12と近接して、キー対応指示入力領域14A,14Bが設けられている。筐体11の、このキー対応指示入力領域14A,14Bに対応する部分には、図1(B)に示すように、ディスプレイ対応センサ部13と同じ電磁誘導方式のキー対応センサ部16が設けられている。このキー対応センサ部16は、キー対応指示入力領域14A,14Bのそれぞれに対応して、基板上にループコイル16A,16Bが形成されて構成されている。
この第1の実施形態の電子機器10においては、図2に示すように、ディスプレイ対応センサ部13と、キー対応センサ部16とは、センサコントローラ100に対して接続されている。このセンサコントローラ100は、電子機器10の制御回路を構成している。
センサコントローラ100は、ディスプレイ対応センサ部13のループコイル群15X及び15Yの複数個のループコイルX1〜Xn及びY1〜Ymについてのスキャン動作を制御すると共に、キー対応センサ部16の2個のループコイル16A,16Bについてのスキャン動作を制御する。
そして、センサコントローラ100は、ディスプレイ対応センサ部13でのスキャン結果から、指示入力面(指示入力領域)13A上における、指示体、この例では、電磁誘導方式に対応するペン型の位置指示器20による指示位置の検出処理を行うと共に、キー対応センサ部16での2個のループコイル16A,16Bについてのスキャン結果から、位置指示器20をいずれかのキー対応指示入力領域14A,14Bで検出しているか否かの検出処理を行う。
そして、センサコントローラ100は、表示画面12に対応する指示入力面13A及びキー対応指示入力領域14A,14Bのいずれにおいても位置指示器20を検出していないときには、ディスプレイ対応センサ部13に対しては、ディスプレイ対応センサ部13の全てのループコイルX1〜Xn及びY1〜Ymを、第1の速度、例えば125msecの時間間隔で、順次にスキャンするオールスキャンを行い、キー対応センサ部16に対しては、ループコイル16A,16Bを、オールスキャン時の第1の速度、この例では125msecの時間間隔で、交互にスキャンする。
また、センサコントローラ100は、指示入力面13Aにおいて位置指示器20を検出したときには、ディスプレイ対応センサ部13に対しては、位置指示器20の検出位置近傍の複数個のループコイルのみを、第1の速度よりも高速の第2の速度、例えば7.5msecごとに、順次にスキャンするローカルスキャンを行い、一方、キー対応センサ部16に対しては、この例ではスキャンを休止する。
ディスプレイ対応センサ部13に対するローカルスキャンにおいては、例えば、位置指示器20がループコイルXi及びループコイルYj(i及びjは整数)の交点位置で検出された時には、ループコイルXiを中心とした複数個、例えば3本のループコイルXi−1,Xi,Xi+1と、ループコイルYjを中心とした複数個、例えば3本のループコイルYj−1,Yj,Yj+1を、順次にスキャンするようにする。
そして、センサコントローラ100は、キー対応指示入力領域14A,14Bのいずれかで位置指示器20を検出したときには、キー対応センサ部16に対しては、ループコイル16A,16Bを、前記ローカルスキャンの第2の速度、この例では7.5msecの時間間隔で、交互にスキャンすると共に、ディスプレイ対応センサ部13に対しては、オールスキャンではなく、キー対応センサ部16に近接するディスプレイ対応センサ部13の周縁部のエリアのループコイルのみについて、第2の速度によるローカルスキャン(以下、この時のスキャンを近接エリアスキャンという)を行う。
この第1の実施形態では、キー対応センサ部16は、ディスプレイ対応センサ部13のX軸方向に近接して配置されているので、ディスプレイ対応センサ部13では、X軸方向に配列されているループコイル群15Xのうちの、キー対応センサ部16に近接している1または複数個のループコイル、この例では2本のループコイルX1及びX2について近接エリアスキャンを行う。
このような近接エリアスキャンを行うようにすれば、位置指示器20をキー対応センサ部16から、ディスプレイ対応センサ部13に高速で移動しても、位置指示器20をディスプレイ対応センサ部13において、追従性良く検出することができる。
この場合に、この例では、キー対応センサ部16で検出されている位置指示器20が、ディスプレイ対応センサ部13にX軸方向に沿って移動してくるのを検出することができればよいので、X軸方向に配列されていて、キー対応センサ部16に近接しているループコイルX1,X2のみをスキャンするだけで十分であり、Y軸方向に配列されているループコイル群15Yの内のループコイルをスキャンする必要はない。
図3は、図2の各部の詳細構成例、特に、センサコントローラ100からなる制御回路の部分の詳細構成例である。図3の例においては、この例の電磁誘導方式のセンサ部と共に使用するペン型の位置指示器20の回路構成も示している。すなわち、位置指示器20は、図3に示すように、コイル20Lと、このコイル20Lに並列に接続されるコンデンサ20Cとから構成される共振回路を内蔵している。
前述したように、ディスプレイ対応センサ部13においては、X軸方向ループコイル群15Xと、Y軸方向ループコイル群15Yとが、基板の表裏に形成されている。X軸方向ループコイル群15X及びY軸方向ループコイル群15Yのそれぞれを構成する複数個ループコイルX1〜Xn及びループコイルY1〜Ymは、図1(B)にも示したように、互いに重畳されて配置されている。
コイルループ群15Xを構成する複数個のループコイルX1〜Xnは、位置指示器20を検出するための検出領域のX軸方向に、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。また、ループコイル群15Yを構成する複数個のループコイルY1〜Ymもまた、検出領域のY軸方向に、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。
また、キー対応センサ部16のループコイル16A及び16Bのそれぞれは、例えば2ターンの矩形のループコイルとされている。
センサコントローラ100は、ディスプレイ対応センサ部13用の選択回路101D及送受信切替スイッチ回路102Dと、キー対応センサ部16用の選択回路101K及び送受信切替スイッチ回路102Kと、ディスプレイ対応センサ部13及びキー対応センサ部16に共用の送信信号発生回路110及び受信信号処理回路120と、共用の送信信号発生回路110及び受信信号処理回路120をディスプレイ対応センサ部13とキー対応センサ部16とで切り替えるためのセンサ切替スイッチ回路103及び104と、処理制御部105と、を備えている。処理制御部105は、マイクロコンピュータにより構成されている。
選択回路101Dは、ディスプレイ対応センサ部13のX軸方向ループコイル群15X及びY軸方向ループコイル群15Yに接続されている。この選択回路101Dは、ディスプレイ対応センサ部13のループコイル群15X,15Yのうちの1本のループコイルを、処理制御部110からの選択制御信号に従って順次選択する。そして、選択回路101Dで選択された1本のループコイルは、送受信切替スイッチ回路102Dの可動端子に接続される。
選択回路101Kは、キー対応センサ部16のループコイル16A及び16Bに接続されており、処理制御部110からの選択制御信号に従ってそのループコイル16A及び16Bのいずれか一方を選択する。そして、選択回路101Kで選択された1本のループコイルは、送受信切替スイッチ回路102Kの可動端子に接続される。
処理制御部105は、選択回路101D及び選択回路101Kにおけるループコイルの選択の制御をすると共に、その選択の速度を制御することにより、前述したオールスキャン及びローカルスキャン、さらに近接エリアスキャンを実行するようにする。
処理制御部105は、後述するようにして、ディスプレイ対応センサ部13における位置指示器20の指示位置の検出処理を行うと共に、キー対応センサ部16における位置指示器20の検出処理を行うようにする。処理制御部105は、これらのディスプレイ対応センサ部13における位置指示器20の指示位置の検出処理結果及びキー対応センサ部16における位置指示器20の検出処理に基づいて、選択回路101D,101Kに供給する選択制御信号を生成して、ディスプレイ対応センサ部13及びキー対応センサ部16に対するスキャン動作を制御する。
送受信切替スイッチ回路102D及び102Kは、ディスプレイ対応センサ部13及びキー対応センサ部16に対するスキャン時の信号の送受信の切り替え用である。送受信切替スイッチ回路102D及び102Kは、処理制御部105の制御により、選択回路101D及び101Kによって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を、所定時間毎に切り替え、送信と受信とを時分割で切り替えられる。
すなわち、処理制御部105は、切替スイッチ回路102Dを、ディスプレイ対応センサ部13へ送信信号を供給するときには端子T側に、ディスプレイ対応センサ部13から受信信号を得るときには端子R側に、それぞれ切り替えられる。
また、切替スイッチ回路102Kは、処理制御部105の制御により、キー対応センサ部16へ送信信号を供給するときには端子T側に、キー対応センサ部16から受信信号を得るときには端子R側に、それぞれ切り替えられる。
センサ切替スイッチ回路103及び104は、処理制御部105により、ディスプレイ対応センサ部13に対するスキャンを実行するときには、端子D側に切り替えられ、キー対応センサ部16に対するスキャンを実行するときには、端子K側に切り替えられる。
センサ切替スイッチ回路103の可動端子は送信信号発生回路110の出力端に接続されると共に、端子D側は、送受信切替スイッチ回路102Dの送信側端子T側に接続され、端子K側は、送受信切替スイッチ回路102Kの送信側端子T側に接続される。また、センサ切替スイッチ回路104の可動端子は受信信号処理回路120の入力端に接続されると共に、端子D側は、送受信切替スイッチ回路102Dの端子R側に接続され、端子K側は、送受信切替スイッチ回路102Kの受信側端子R側に接続される。
送信信号発生回路110は、所定の周波数f0の交流信号を発生する発振器111と、電流ドライバ112とからなる。送信信号発生回路110の発振器111から発生した周波数f0の交流信号は、電流ドライバ112に供給されて電流に変換された後に、切替スイッチ回路103の可動端子に供給される。
受信信号処理回路120は、受信アンプ121、検波回路122、ローパスフィルタ123、サンプルホールド回路124、A/D(Analog to Digital)変換回路125を備えている。センサ切替スイッチ回路104の可動端子は、受信信号処理回路120の受信アンプ121の入力端に接続されている。
以上のような構成において、処理制御部105は、ディスプレイ対応センサ部13のスキャン時には、センサ切替スイッチ回路103及び104を、端子D側に切り替える。このときには、送信信号発生回路110の出力端は、センサ切替スイッチ回路103を通じて、送受信切替スイッチ回路102Dの送信側端子Tに供給され、また、送受信切替スイッチ回路102Dの受信側端子Rがセンサ切替スイッチ回路104を通じて受信信号処理回路120の入力端に接続される。
したがって、処理制御部105により、送受信切替スイッチ回路102Dが送信側端子Tに接続されているときには、発振器111からの周波数f0の交流信号が、電流ドライバ103、センサ切替スイッチ回路103及び送受信切替スイッチ回路102Dを通じて選択回路101Dへ送出される。これにより、この送信時には、送信信号発生回路110からの交流信号が、選択回路101Dで選択されているループコイルに供給される。
そして、処理制御部105により、送受信切替スイッチ回路102Dが受信側端子Rに切り替えられると、選択回路101Dで選択されたループコイルは、選択回路101D及び送受信切替スイッチ回路102Dの受信側端子Rを介して、受信信号処理回路120の受信アンプ121の入力端に接続される。
受信アンプ121で増幅された信号は検波回路122へ供給されて、検波される。検波回路122によって検波された信号は、低域フィルタ123及びサンプルホールド回路124を介してA/D変換回路125に供給される。A/D変換回路125では、アナログ信号をディジタル信号に変換し、処理制御部105に供給する。
処理制御部105は、この時、ディスプレイ対応センサ部13のスキャンのための制御及び位置検出のため制御を行う。すなわち、処理制御部105は、選択回路101Dにおけるループコイルの選択制御、送受信切替スイッチ回路102Dでの送受信切り替え制御、サンプルホールド回路124のタイミングなどを制御する。
処理制御部105は、送受信切替スイッチ回路102Dを送信側端子Tに接続するように切り替えることにより、X軸方向ループコイル群15XあるいはY軸方向ループコイル群15Yのうち、選択回路101Dで選択されているループコイルを通電制御して電磁波を送出させる。このとき、ディスプレイ対応センサ部13上で位置指示器としての位置指示器20により位置指示されているときには、位置指示器20の共振回路は、このループコイルから送出された電磁波を受けて、エネルギーを蓄える。
次に、処理制御部105が、送受信切替スイッチ回路102Dを受信側端子Rに接続するように切り替えると、X軸方向ループコイル群15X及びY軸方向ループコイル群15Yの各ループコイルには、位置指示器20がディスプレイ対応センサ部13上で位置指示しているときには、当該位置指示器20から送信される電磁波によって誘導電圧が発生する。処理制御部105は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて、ディスプレイ対応センサ部13の指示入力領域における、位置指示器20による指示位置のX軸方向及びY軸方向の座標値を算出する。なお、位置指示器20がディスプレイ対応センサ部13上で位置指示していないときには、受信時には、位置指示器20からの送信信号はループコイルには送られていないので、選択回路101Dで選択されているループコイルからは上記の誘導電圧は得られず、処理制御部105は、位置指示器20を検出していないと判別するようにする。
次に、処理制御部105は、キー対応センサ部16のスキャン時には、センサ切替スイッチ回路103及び104を、端子K側に切り替える。したがって、送信信号発生回路110の出力端は、センサ切替スイッチ回路103を通じて、送受信切替スイッチ回路102Kの送信側端子Tに供給され、また、送受信切替スイッチ回路102Kの受信側端子Rがセンサ切替スイッチ回路104を通じて受信信号処理回路120の入力端に接続される。
そして、この時には、処理制御部105は、選択回路101Kで2個のループコイル16A,16Bの切り替えを制御すると共に、送受信切替スイッチ回路102Kを切り替え制御することで、ディスプレイ対応センサ部13の時と同様にして、位置指示器20を検出したか否か、検出したときには、2個のキー対応指示入力領域14A,14Bのいずれで位置指示器20を検出したかを判定するようにする。
以上のようにして、第1の実施形態では、処理制御部105は、ディスプレイ対応センサ部13と、キー対応センサ部16とについての位置指示器20による指示位置の検出を行うようにするが、この検出を行うに当たって、上述したように、互いに近接して配置されているディスプレイ対応センサ部13とキー対応センサ部16とにおけるスキャン動作を制御することで、位置指示器20の、異なるセンサ部への移動に伴う遅れという問題を回避するようにしている。
この第1の実施形態の電子機器10の処理制御部105が行うスキャン制御動作の流れの一例を、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
処理制御部105は、まず、指示体としての位置指示器20が、ディスプレイ対応センサ部13及びキー対応センサ部16のいずれによっても検出されていない状態として、ディスプレイ対応センサ部13についてオールスキャンを行い、キー対応センサ部16についてオールスキャンの速度によるスキャンを行う(ステップS1)。
このステップS1におけるスキャン動作の例を図5(A)及び(B)に示す。すなわち、処理制御部105は、例えば125msecごとに、ディスプレイ対応センサ部13の全ループコイル15X,15Yのスキャン(オールスキャン)を行うと共に、キー対応センサ部16の2個のループコイル16A,16Bのスキャンを行う。
この場合に、図5(A)において、「All Scan」の期間は、ディスプレイ対応センサ部13のオールスキャンを行う期間であり、処理制御部105は、この期間に、図5(B)に示すように、X軸方向ループコイル群15Xの全ループコイルX1〜X40を順次にスキャン(前述した送受信及び座標検出処理)した後、Y軸方向ループコイル群15Yの全ループコイルY1〜Y20を順次にスキャンする。そして、この「All Scan」の期間の直後の「Key Scan」の期間においては、処理制御部105は、図5(B)に示すように、キー対応センサ部16の2個のループコイル16A,16Bをスキャンする。ステップS1においては、この「All Scan」の期間及び「Key Scan」の期間を、125msec毎に繰り返すものである。
次に、処理制御部105は、ステップS1のスキャンにおいて、ディスプレイ対応センサ部13で指示体の例としての位置指示器20を検出したか否か判別する(ステップS2)。このステップS2で、ディスプレイ対応センサ部13でペンを検出したと判別したときには、処理制御部105は、ディスプレイ対応センサ部13については、検出した位置指示器20による指示位置の座標の近傍のループコイルのみをスキャンするローカルスキャンを行い、キー対応センサ部16のスキャンは休止する(ステップS3)。
このステップS3におけるローカルスキャンの動作例を、図5(C)及び図5(D)に示す。すなわち、処理制御部105は、ディスプレイ対応センサ部13についてのみ、オールスキャン時の速度よりも速い速度で、例えば7.5msec毎に、ローカルスキャン(図5(C)の「Local Scan」参照)を実行する。
このローカルスキャンにおいては、処理制御部105は、前述したように、位置指示器20のディスプレイ対応センサ部13での座標位置が(Xi,Yj)であった場合には、その座標位置を中心としたX軸方向の及びY軸方向の3本ずつのループコイルXi−1,Xi,Xi+1及びYj−1,Yj,Yj+1(図5(D)参照)のみをスキャンするようにする。
ステップS3の次には、処理制御部105は、位置指示器20が、ディスプレイ対応センサ部13で検出されない状態まで離れたか否か判別し(ステップS4)、離れていないと判別したときには、処理をステップS3に戻して、ローカルスキャンを継続する。ステップS4で、位置指示器20が、ディスプレイ対応センサ部13で検出されない状態まで離れたと判別したときには、処理制御部105は、処理をステップS1に戻し、このステップS1以降の処理を繰り返す。
そして、ステップS2で、ディスプレイ対応センサ部13では位置指示器20を検出しなかったと判別したときには、処理制御部105は、キー対応センサ部16で位置指示器20を検出したか否か判別し(ステップS5)、キー対応センサ部16でも位置指示器20を検出しなかったと判別したときには、処理をステップS1に戻し、このステップS1以降の処理を繰り返す。
また、ステップS5で、キー対応センサ部16で位置指示器20を検出したと判別したときには、処理制御部105は、ディスプレイ対応センサ部13については、ローカルスキャンの速度で、前述した近接エリアスキャンを行い、キー対応センサ部16についてローカルスキャンの速度によるスキャンを行う(ステップS6)。
このステップS6におけるスキャン動作の例を図6(A)及び(B)に示す。すなわち、処理制御部105は、ローカルスキャンの速度である7.5msecごとに、図6(A)に示す「Key Scan´」の期間でキー対応センサ部16の2個のループコイル16A,16Bのスキャン(図6(B)参照)を行うと共に、ディスプレイ対応センサ部13については、図6(A)に示す「NR Scan」の期間に、キー対応センサ部16に近接する1または複数個のループコイル、この例では、2個のX軸方向のループコイルX1及びX2のみをスキャン(図6(B)参照)する近接エリアスキャンを行う。
このステップS6の次には、処理制御部105は、ディスプレイ対応センサ部13で位置指示器20を検出したか否か判別する(ステップS7)。すなわち、位置指示器20がキー対応センサ部16からディスプレイ対応センサ部13に移動したか否か判別する。この時、ディスプレイ対応センサ部13では、近接エリアスキャンが行われているので、キー対応センサ部16からディスプレイ対応センサ部13への位置指示器20の移動は、それが高速であっても処理制御部105は、確実に検出することができる。
ステップS7で、ディスプレイ対応センサ部13で位置指示器20を検出してはいないと判別したときには、処理制御部105は、位置指示器20がキー対応センサ部16から離れたか否か判別する(ステップS8)。そして、このステップS8で、位置指示器20がキー対応センサ部16から離れてはいないと判別したときには、処理制御部105は、処理をステップS6に戻し、このステップS6以降の処理を繰り返す。また、ステップS8で、位置指示器20がキー対応センサ部16から離れたと判別したときには、処理制御部105は、処理をステップS1に戻し、このステップS1以降の処理を繰り返す。
また、ステップS7で、ディスプレイ対応センサ部13で位置指示器20を検出したと判別したときには、処理制御部105は、処理をステップS3に戻し、このステップS3以降の処理を繰り返す。
[第1の実施形態の効果]
以上説明したように、上述の第1の実施形態によれば、キー対応センサ部16で指示体を検出しているときには、ディスプレイ対応センサ部13では、キー対応センサ部16に近接するエリアのループコイルのみをローカルスキャン速度でスキャンする近接エリアスキャンを行うようにしたので、キー対応センサ部16から指示体としての位置指示器20をディスプレイ対応センサ部13に移動させるようにしたときに、その移動が高速であっても、追従性良く、指示体をディスプレイ対応センサ部13で検出することができる。
また、指示体がディスプレイ対応センサ部13で検出したときには、キー対応センサ部16でのスキャンは休止するようにしたので、使用者が指示体をディスプレイ対応センサ部13上で操作しているときに、不注意などにより誤って、指示体をキー対応センサ部16の指示入力領域に位置させたとしても、その位置させる時間が短時間であれば、キー対応センサ部16で指示体は検出されないので、誤作動を防止することができる。
[第1の実施形態の変形例]
なお、上述の第1の実施形態においては、キー対応センサ部16で指示体を検出しているときには、ディスプレイ対応センサ部13では、キー対応センサ部16に近接するエリアのループコイルのみをローカルスキャン速度でスキャンする近接エリアスキャンを行うようにした。しかし、キー対応センサ部16で指示体を検出しているときには、ディスプレイ対応センサ部13では、キー対応センサ部16に近接するエリアのループコイルのみをローカルスキャン速度でスキャンする近接エリアスキャンと、オールスキャンとを時分割で実行するようにしてもよい。そして、近接エリアスキャンと、オールスキャンとを時分割で実行する場合に、近接エリアスキャンとオールスキャンとを交互に等しい頻度で行うようにしてもよいし、主として近接エリアスキャンを行うと共に、時々、オールスキャンを行うようにしてもよい。
また、キー対応センサ部16におけるキー対応指示入力領域の数は、上述の例では2個としたが、1個でもよく、また、3個以上であっても良いことは言うまでもない。また、上述の例では、2個のキー対応指示入力領域14A,14Bに共通の1個のセンサ部16の構成としたが、2個のキー対応指示入力領域14A,14Bのそれぞれに対応する2個のセンサ部を設けるように構成してもよい。3個以上のキー対応指示入力領域を設ける場合にも同様である。
なお、上述の実施形態では、指示体がディスプレイ対応センサ部13で検出されたときには、その検出位置に関係なく、キー対応センサ部16でのスキャンを休止するようにしたが、指示体がディスプレイ対応センサ部13のキー対応センサ部16との近接エリアにおいて検出されたときに、キー対応センサ部16でのスキャンを休止するようにしてもよい。
また、ディスプレイ対応センサ部13からキー対応センサ部16に指示体を移動する場合を考慮したときには、キー対応センサ部16のスキャンを休止せずに、キー対応センサ部16ではオールスキャン速度でスキャンを行うようにしてもよい。
また、ディスプレイ対応センサ部13での指示体のキー対応センサ部16の方向への移動を検出したときであって、指示体がディスプレイ対応センサ部13の指示入力領域のうちの、キー対応センサ部16との近接エリアで検出されたときに、休止しているキー対応センサ部16でのスキャン(オールスキャン速度またはローカルスキャン速度のどちらでもよい)を開始するようにしてもよい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、電子機器が2個の表示画面を備えると共に、それぞれの表示画面の下側(裏側)に重畳して、センサ部が配設される場合である。
図7は、この第2の実施形態の電子機器30の概要を説明するための図である。この電子機器30は、矩形の扁平形状の2個の筐体31,32を、結合部33で回動可能に結合した構成を有する。そして、筐体31,32のそれぞれには、例えばLCDからなる表示デバイス34,35と、その表示デバイス34,35の表示画面34D,35Dと重畳するようにセンサ部SA,SBが設けられる。
この電子機器30は、2個筐体31,32を結合部33の部分で回動して重ね合わせるように閉じると、細長の1個の筐体のようにすることができると共に、結合部33の部分を回動中心として開くと、図7に示すように、重ね合わせた時に互いに対向していた面に設けられている表示画面34D及び35Dが観視可能となるように構成されている。
センサ部SA及びSBは、上述した第1の実施形態のディスプレイ対応センサ部13と同様の電磁誘導方式のセンサ部の構成とされており、図示は省略するが、X軸方向の複数個のループコイルX1〜Xnと、Y軸方向のループコイルY1〜Ymとを備えている。
そして、この第2の電子機器30においては、図8に示すように、センサ部SAと、センサ部SBとは、センサコントローラ300に対して接続されている。このセンサコントローラ300は、電子機器30の制御回路を構成している。
センサコントローラ300は、上述した第1の実施形態において図3に示したセンサコントローラ100と同様の構成を有するものとすることができる。ただし、この第2の実施形態においては、第1の実施形態のディスプレイ対応センサ部13の代わりに、ディスプレイ対応センサ部13と同様の構成のセンサ部SAが接続されると共に、キー対応センサ部16の代わりに、ディスプレイ対応センサ部13と同様の構成のセンサ部SBが接続される。したがって、センサ部SB用として、選択回路101Kの代わりに、選択回路101Dと同様の選択回路が設けられ、マイクロコンピュータからなる処理制御部により、選択回路101Dと同様に制御される。
すなわち、センサコントローラ300は、センサ部SAの複数個のループコイルX1〜Xn及びY1〜Ymについてのスキャン動作を制御すると共に、センサ部SBの複数個のループコイルX1〜Xn及びY1〜Ymについてのスキャン動作を制御する。
そして、センサコントローラ300は、センサ部SAでのスキャン結果から、表示画面34Dに対応するセンサ部SAの指示入力面(指示入力領域)上における、指示体、この例では、電磁誘導方式に対応するペン型の位置指示器21(位置指示器20と同一の構成)による指示位置の検出処理を行うと共に、センサ部SBでのスキャン結果から、表示画面35Dに対応するセンサ部SBの指示入力面(指示入力領域)上における、位置指示器21による指示位置の検出処理を行う。
そして、センサコントローラ300は、表示画面34Dに対応するセンサ部SAの指示入力面及び表示画面35Dに対応するセンサ部SBの指示入力面のいずれにおいても位置指示器21を検出していないときには、センサ部SA及びSBにおいて、第1の速度、例えば125msecの時間間隔で、順次にスキャンするオールスキャンを行うように制御する。
また、センサコントローラ300は、表示画面34Dに対応するセンサ部SAの指示入力面において位置指示器21を検出したときには、センサ部SAに対しては、位置指示器21の検出位置近傍の複数個のループコイルのみを、第1の速度よりも高速の第2の速度、例えば7.5msecごとに、順次にスキャンするローカルスキャンを行うように制御する。このローカルスキャンは、第1の実施形態と同様に、例えば、位置指示器21がループコイルXi及びループコイルYj(i及びjは整数)の交点位置で検出された時には、ループコイルXiを中心とした複数個、例えば3本のループコイルXi−1,Xi,Xi+1と、ループコイルYjを中心とした複数個、例えば3本のループコイルYj−1,Yj,Yj+1を、順次にスキャンするようにする。
また、センサコントローラ300は、表示画面35Dに対応するセンサ部SBの指示入力面において位置指示器21を検出したときにも、センサ部SAと同様のローカルスキャンを行うように制御する。
そして、この第2の実施形態では、センサコントローラ300は、センサ部SAまたはセンサ部SBの一方で位置指示器21を検出したとき、他方は、そのスキャンを以下のように制御する。すなわち、センサコントローラ300は、センサ部SAまたはセンサ部SBの一方、例えばセンサ部SAにおける位置指示器21の検出位置を監視し、その検出位置が、他方のセンサ部SBとの近接エリアであったときには、他方のセンサ部SBにおいて、一方のセンサ部SAとの近接エリアにおけるローカルスキャン、すなわち、近接エリアスキャンを行い、位置指示器の検出位置が前記近接エリアではなかったときには、他方のセンサ部SBではオールスキャンを行うように制御する。
この場合に、位置指示器の検出位置が他方のセンサ部との近接エリアであるか否かを判断する場合の前記近接エリアは、他方のセンサ部と近接する1または複数個分、例えば2〜3個のループコイルが占める面積エリアである。
そして、この第2の実施形態においても、センサ部SAまたはセンサ部SBが実行する近接エリアスキャンは、それぞれ他方のセンサ部と近接している1または複数個のループコイルで行う。図7の例では、センサ部SAとセンサ部SBとはY軸方向に隣接しているので、図8に示すように、センサ部SAにおいては、センサ部SBと近接する1または複数個のループコイル、この例では2個のY軸方向のループコイルYm、Ym−1が近接エリアスキャンの対象となり、センサSBにおいては、センサ部SAと近接する1または複数個のループコイル、この例では2個のY軸方向のループコイルY1、Y2が近接エリアスキャンの対象となる。
このように、この第2の実施形態では、センサ部SA及びSBにおいて、自センサ部ではない他方のセンサ部の指示入力面の、自センサ部との近接エリアで位置指示器21が検出されたときには、近接エリアスキャンを行うようにするので、位置指示器21が、センサ部SAとセンサ部SBとの間で高速に移動しても、その移動に追従して、位置指示器21を検出することができる。
次に、この第2の実施形態の電子機器30のセンサコントローラ300が行うスキャン制御動作の流れの一例を、図9及び図10のフローチャートを参照しながら説明する。なお、このフローチャートにおける各ステップの処理は、センサコントローラ300の処理制御部が実行するが、ここでは、便宜上、センサコントローラ300が行う処理として説明する。また、以下の説明で、指示体は、この例では位置指示器21である。
センサコントローラ300は、まず、指示体が、センサ部SA及びSBのいずれによっても検出されていない状態として、センサ部SA及びSBについて、例えば125msec毎の繰り返し周期のオールスキャンを行う(ステップS11)。
次に、センサコントローラ300は、ステップS11のスキャンにおいて、センサ部SAで、指示体を検出したか否か判別する(ステップS12)。このステップS12で、センサ部13で指示体を検出したと判別したときには、センサコントローラ300は、センサ部SAについては、検出した指示体による指示位置の座標の近傍のループコイルのみを、例えば7.5msec毎にスキャンするローカルスキャンを行い、他方のセンサ部SBはオールスキャンのままとする(ステップS13)。
このステップS13の次には、センサコントローラ300は、センサ部SAにおける指示体の位置座標が、センサSBとの近接エリア内となっているか否か判別する(ステップS14)。このステップS14で、センサ部SAにおける指示体の位置座標が、センサSBとの近接エリア内となってはいないと判別したときには、センサコントローラ300は、指示体がセンサ部SAの指示入力面から離れて検出できなくなったか否か判別する(ステップS15)。
このステップS15で、指示体がセンサ部SAの指示入力面から離れて検出できなくなってはいないと判別したときには、センサコントローラ300は、処理をステップS13に戻し、このステップS13以降の処理を繰り返す。また、ステップS15で、指示体がセンサ部SAの指示入力面から離れて検出できなくなったと判別したときには、センサコントローラ300は、処理をステップS11に戻し、このステップS11以降の処理を繰り返す。
ステップS14で、センサ部SAにおける指示体の位置座標が、センサSBとの近接エリア内となったと判別したときには、センサコントローラ300は、センサ部SAについては、ローカルスキャンを継続するが、センサ部SBでは、オールスキャンから、ローカルスキャンと同じ速度の近接エリアスキャンに変更する(ステップS16)。
次に、センサコントローラ300は、センサ部SAが指示体を近接エリア以外で検出したか否か判別し(ステップS17)、センサ部SAが指示体を近接エリア以外で検出したと判別したときには、処理をステップS13に戻し、センサ部SAについてはローカルスキャンを行い、他方のセンサ部SBについてはオールスキャンを行う状態に変更する。
ステップS17で、センサ部SAが指示体を近接エリア以外で検出してはいないと判別したときには、センサコントローラ300は、指示体をセンサ部SAではなく、センサ部SBが検出する状態になったか否か判別する(ステップS18)。このステップS18で、指示体をセンサ部SAではなく、センサ部SBが検出する状態になってはいないと判別したときには、センサコントローラ300は、指示体がセンサ部SAの指示入力面から離れて検出できなくなったか否か判別する(ステップS19)。
このステップS19で、指示体がセンサ部SAの指示入力面から離れて検出できなくなってはいないと判別したときには、センサコントローラ300は、処理をステップS16に戻し、このステップS16以降の処理を繰り返す。また、ステップS19で、指示体がセンサ部SAの指示入力面から離れて検出できなくなったと判別したときには、センサコントローラ300は、処理をステップS11に戻し、このステップS11以降の処理を繰り返す。
そして、ステップS18で、指示体をセンサ部SAではなく、センサ部SBが検出する状態になったと判別したときには、センサコントローラ300は、センサ部SAについては、オールスキャンを行う状態にし、センサ部SBについては、検出した指示体による指示位置の座標の近傍のループコイルのみを、例えば7.5msec毎にスキャンするローカルスキャンを行う(図10のステップS21)。
このステップS21の次には、センサコントローラ300は、センサ部SBにおける指示体の位置座標が、センサSAとの近接エリア内となっているか否か判別する(ステップS22)。このステップS22で、センサ部SBにおける指示体の位置座標が、センサSAとの近接エリア内となってはいないと判別したときには、センサコントローラ300は、指示体がセンサ部SBの指示入力面から離れて検出できなくなったか否か判別する(ステップS23)。
このステップS23で、指示体がセンサ部SBの指示入力面から離れて検出できなくなってはいないと判別したときには、センサコントローラ300は、処理をステップS21に戻し、このステップS21以降の処理を繰り返す。また、ステップS23で、指示体がセンサ部SBの指示入力面から離れて検出できなくなったと判別したときには、センサコントローラ300は、処理をステップS11に戻し、このステップS11以降の処理を繰り返す。
ステップS22で、センサ部SBにおける指示体の位置座標が、センサSAとの近接エリア内となったと判別したときには、センサコントローラ300は、センサ部SAについては、オールスキャンから、ローカルスキャンと同じ速度の近接エリアスキャンに変更し、センサ部SBについては、ローカルスキャンを継続する(ステップS24)。
次に、センサコントローラ300は、センサ部SBが指示体を近接エリア以外で検出したか否か判別し(ステップS25)、センサ部SBが指示体を近接エリア以外で検出したと判別したときには、処理をステップS21に戻し、センサ部SAについてはオールスキャンを行う状態に変更し、センサ部SBについてはローカルキャンを継続する。
ステップS25で、センサ部SBが指示体を近接エリア以外で検出してはいないと判別したときには、センサコントローラ300は、指示体をセンサ部SBではなく、センサ部SAが検出する状態になったか否か判別する(ステップS26)。このステップS26で、指示体をセンサ部SBではなく、センサ部SAが検出する状態になったと判別したときには、センサコントローラ300は、処理をステップS13に戻し、このステップS13以降の処理を繰り返す。
また、このステップS26で、指示体をセンサ部SBではなく、センサ部SAが検出する状態になってはいないと判別したときには、センサコントローラ300は、指示体がセンサ部SBの指示入力面から離れて検出できなくなったか否か判別する(ステップS27)。
このステップS27で、指示体がセンサ部SBの指示入力面から離れていないと判別したときには、センサコントローラ300は、処理をステップS24に戻し、このステップS24以降の処理を繰り返す。また、ステップS27で、指示体がセンサ部SBの指示入力面から離れて検出できなくなったと判別したときには、センサコントローラ300は、処理をステップS11に戻し、このステップS11以降の処理を繰り返す。
[第2の実施形態の効果]
このように、この第2の実施形態では、電子機器が2個の表示画面を備えると共に、その表示画面のそれぞれに重畳して、同種の検出方式のセンサ部SA及びSBを備えている場合において、センサ部SA,SBの一方の指示入力面の、他方のセンサ部との近接エリアで指示体が検出されたときには、他方のセンサ部では近接エリアスキャンを行うようにするので、指示体が、センサ部SAとセンサ部SBとの一方から他方に高速に移動しても、他方のセンサ部では、その移動に追従して指示体を確実に検出することができる。
したがって、第2の実施形態の電子機器によれば、2個の表示画面を1個の表示画面のようにして指示体を移動させることができる。そのため、第2の実施形態の電子機器は、2個の表示画面に対応するセンサ部の指示入力面において、指示体を追従性良く移動させることができるので、2画面間でのファイルのやり取りや、2画面を用いたゲームなど、種々のアプリケーションにおける指示体を用いた処理を、良好に実現することができる。
[第2の実施形態の変形例]
なお、上述の第2の実施形態では、一方のセンサ部の指示入力面のうち、他方のセンサ部との近接エリアで指示体を検出したときにのみ、他方のセンサ部において近接エリアスキャンを行うようにしたが、一方のセンサ部で指示体を検出したときには、その指示体の検出位置に関係なく、他方のセンサにおいては、近接エリアスキャンを行うようにしてもよい。
また、上述の第2の実施形態においては、一方のセンサ部で指示体を検出しているときには、他方のセンサ部では、一方のセンサ部に近接するエリアのループコイルのみをローカルスキャン速度でスキャンする近接エリアスキャンを行うようにした。しかし、一方のセンサ部で指示体を検出しているときには、他方のセンサ部では、一方のセンサ部に近接するエリアのループコイルのみをローカルスキャン速度でスキャンする近接エリアスキャンと、オールスキャンとを時分割で実行するようにしてもよい。そして、近接エリアスキャンと、オールスキャンとを時分割で実行する場合に、近接エリアスキャンとオールスキャンとを交互に等しい頻度で行うようにしてもよいし、主として近接エリアスキャンを行うと共に、時々、オールスキャンを行うようにしてもよい。
また、一方のセンサ部で指示体を検出してローカルスキャンを行っているときであって、指示体の検出位置が他方のセンサ部との近接エリアではないときには、他方のセンサ部では、オールスキャンを行うようにしたが、他方のセンサ部でのスキャンを休止するようにしてもよい。
なお、上述の第2の実施形態の電子機器は、2個の表示画面を備えると共に、それら2個の表示画面に重畳して配置される2個のセンサ部を備えるものであったが、この発明の電子機器は、3個以上の表示画面を備えると共に、それらの表示画面に重畳して配置される3個以上のセンサ部を備えるものであってもよい。
[第3の実施形態]
以上の実施形態の電子機器は、複数個のセンサ部を備えると共に、それら複数個のセンサ部を共通の1個のセンサコントローラでスキャン制御を含めた制御を行うようにした場合であった。第3の実施形態の電子機器は、自分の機器では、センサ部は、1個しか持たないが、他の電子機器と通信を行うことにより、2個のセンサ部の間での指示体の移動の検出を可能にする場合である。
この第3の実施形態では、この発明による2個のセンサ部の間での指示体の移動の検出処理を、2台の電子機器で連携するアプリケーションを実現する場合の指示体の移動の検出に適用するようにする。すなわち、2台の電子機器を近接して配置し、その近接して配されている2台の電子機器のセンサ部間での高速の指示体の移動に追従した指示体の検出を可能にする必要があり、そのための電子機器のセンサ部に対するスキャン制御に、この発明を適用する。
まず、第3の実施形態の電子機器を説明する前に、2台の電子機器で連携するアプリケーションについて説明する。以下に説明では、電子機器が例えばスマートフォンと呼ばれる高機能の携帯電話端末である場合の例として、2台の電子機器で連携するアプリケーションについて説明する。この例のアプリケーションは、複数個の電子機器の間で通信を行いながら、例えば一方の電子機器の表示画面に表示されているファイルなどのオブジェクトを、ペンなどの指示体を用いてドラッグして、他方の電子機器の表示画面にまで移動させることで、そのドラッグしたオブジェクトを、一方の電子機器から他方の電子機器にコピーや移動することできるようにする。
この例のアプリケーションを適用するために、まず、電子機器の例としての2台の携帯電話端末40A,40Bを、図11に示すように、その表示画面41A,41Bが近接するように並べて置くようにする。この場合に、2台の携帯電話端末40A,40Bは、例えば前述したディスプレイ対応センサ部13と同様の電磁誘導方式のセンサ部42A,42B(図11における点線参照)を、表示画面41A,41Bに重畳して配置して備えている。この例では、図11に示すように、略直方体形状の携帯電話端末40A、40Bは、その長手方向が平行になるように、左右に隣接して並べて、表示画面41A,41B、延いてはセンサ部42A,42Bが、それらの指示入力面の面方向に沿った方向に近接して配置されるようにする。
そして、使用者は、2台の携帯電話端末40A,40Bの当該アプリケーションを起動させ、一方の携帯電話端末の表示画面に、コピーや移動するオブジェクトのアイコンを表示させ、そのアイコンを、指示体、この例では電磁誘導方式のペン型の位置指示器22(前述したペン20と同様の構成)によりドラッグする操作をして、他方の携帯電話端末の表示画面まで移動させ、当該他方の携帯電話端末の表示画面において、当該オブジェクトのアイコンをドロップする操作をする。
図11の例では、使用者は、携帯電話端末40Aの表示画面41Aに表示されている、オブジェクトの例としての所定のファイルFL(アイコン)を、位置指示器22により長押ししたり、位置指示器22に設けられているスイッチを押下操作したりするなどの操作によりドラッグし、そのドラッグを維持したまま、表示画面41A上を位置指示器22により移動させることで、図11に示すように、表示画面41A上を移動させ、さらに、隣接する電子機器40Bの表示画面41Bにまで、その移動を継続するようにする。そして、携帯電話端末40Bにおいて、位置指示器22を表示画面41Bから離す、あるいは押下している前記スイッチの押下を解除するなどの操作をして、ファイルFLのドロップ操作をする。これにより、携帯電話端末40Aに格納されているファイルFLの携帯電話端末40Bへのコピーまたは移動を行うようにする。
この場合に、携帯電話端末40Aのセンサ部42Aと、携帯電話端末40Bのセンサ部42Bに対するセンサコントローラによる制御を、上述の第2の実施形態の2個のセンサ部SAとセンサ部SBとに対する制御と同様に施すことで、位置指示器22の移動が、2台の携帯電話端末の間で追従性良く伝達され、ファイルFLが表示画面41Aから表示画面41Bにスムースに移動する表示を行うことができる。
しかし、この第3の実施形態では、センサ部42Aと、センサ部42Bとは、それぞれ独立のセンサコントローラにより制御される構成となるので、そのままでは、第2の実施形態の共通のセンサコントローラによる制御と同様の制御を行うことはできない。そこで、この第3の実施形態においては、当該アプリケーションの際には、2台の電子機器の間で通信を行い、センサコントローラ間で、互いの位置指示器22の位置検出座標を送受信することで、上述の第2の実施形態と同様にして、2個のセンサ部42Aと、センサ部42Bとの間での位置指示器22の移動を、追従性良く検出することができるようにする。
以下、以上のことを実現する第3の実施形態の電子機器の例としての携帯電話端末の構成例及び処理動作例を、さらに説明する。
[電子機器の例としての携帯電話端末のハードウエア構成例]
図12は、この第3の実施形態の電子機器の例としての携帯電話端末40のハードウエア構成例を示す図である。携帯電話端末40A及び40Bは、この図12に示す携帯電話端末40と全く同様の構成を備える。なお、以下の説明において、携帯電話端末を区別する必要がないときには、携帯電話端末40と表記することにする。
図12に示すように、この例の携帯電話端末40は、マイクロコンピュータで構成される制御部401が、システムバス400を通じて、携帯電話通信回路部402、送受信処理部403、通話回路部404、ディスプレイインターフェース405、センサコントローラ406、近接無線通信部407、メモリ408のそれぞれと接続されている。
制御部401は、携帯電話端末40の電話機能やその他の各種制御処理を制御するためのものである。この例では、制御部401は、メモリ408に格納される種々のアプリケーションプログラムを実行して、例えば後述する2台の携帯電話端末間40でのコピーや移動のアプリケーション処理などを実行制御するようにする。
携帯電話通信回路部402は、携帯電話網の基地局を通じて相手方端末と接続したり、インターネットに接続したりするためのものである。送受信処理部403は、携帯電話通信回路部402を通じて受信される情報を解析し、制御部401の制御にしたがって、システムバス400を通じて必要な各部に転送すると共に、基地局に送出する送信情報を生成し、携帯電話通信回路部402に転送する。また、近接無線通信部407を通じて送受信する情報の処理をも、この実施形態では行う。
通話回路部404は、電話音声の処理であり、受話器を構成するスピーカ411と送話器を構成するマイクロホン412が接続されている。
ディスプレイインターフェース405には、例えばLCDからなり、表示画面41Aを備えるディスプレイ413が接続される。ディスプレイ413の表示画面上にはセンサ部414が重畳されて設けられており、このセンサ部414は、センサコントローラ406に接続されている。なお、このセンサ部414は、携帯電話端末40Aにおいてはセンサ部42Aと表記するものであり、携帯電話端末40Bにおいてはセンサ部42Bと表記するものである。
センサコントローラ406は、前述したセンサコントローラ300等と同様の構成を有するもので、センサ部414のスキャンを制御すると共に、センサ部414を通じた使用者による位置指示器22による指示位置を検出する。ただし、センサコントローラ406は、自端末のセンサ部414における位置指示器22の位置検出しかできないが、近接無線通信部407から他の携帯電話端末のセンサ部414における位置指示器22の位置検出結果を用いることで、前述したセンサコントローラ300と同様の機能を実現することができる。
また、この第3の実施形態では、位置指示器22による操作入力は、センサ部414を通じて行えるようにされており、ディスプレイ413の表示画面には、制御部401の制御にしたがって、文字入力キー操作画面や設定受付画面などが表示される。使用者は、このセンサ部414に対して、位置指示器22でタッチ操作したり、ドラッグ操作したり、ドロップ操作したり、スライド移動させたりする所定の振る舞いをすることにより、所定の操作入力をすることができる。
センサコントローラ406は、センサ部414を通じた使用者による操作指示入力に応じた操作検出信号を、システムバス400を通じて制御部401に送出する。制御部401は、センサコントローラ406から受けた操作検出信号から、使用者により、どのような操作入力がされたかを検出し、その検出結果に応じた制御処理を行う。
近接無線通信部407は、他の携帯電話端末との間で無線通信するための通信部で、この例では、ブルートゥース(登録商標)規格の通信部とされている。なお、この近接無線通信部は、赤外線通信部、Wi−Fi(登録商標)通信部などの、その他の通信部の構成とすることもできる。
メモリ408は、携帯電話端末40で用いられる種々のデータの格納部であり、この実施形態では、図示は省略するが、アプリケーションプログラムなどの記憶エリアを備えている。
図13は、第3の実施形態の電子機器の例である上述の構成の携帯電話端末40A及び40Bにおいて、上述した2台の携帯電話端末間でのオブジェクトのコピーや移動を行うアプリケーションを起動している場合における、センサ部42A及び42Bの制御のための構成を説明するための図である。
すなわち、携帯電話端末40A及び40Bは、それぞれのセンサ部414、すなわち、センサ部42A及び42Bのスキャン制御及び位置指示器22の位置検出のための処理制御を、それぞれのセンサコントローラ406において行う。そして、2台の携帯電話端末間でのオブジェクトのコピーや移動を行うアプリケーションを起動している場合においては、携帯電話端末40A及び40Bは、センサコントローラ406のそれぞれで検出した、センサ部42A及び42Bのそれぞれにおける位置指示器22の位置検出出力を、互いの近接無線通信部407で送受する。そして、近接無線通信部407のそれぞれは、受信した他の携帯電話端末のセンサ部における位置指示器22の位置検出出力を、センサコントローラ406に供給する。
センサコントローラ406のそれぞれは、自端末のセンサ部414における位置指示器22の位置検出結果と、近接無線通信部407から取得した他の携帯電話端末のセンサ部414における位置指示器22の位置検出結果とから、上述の第2の実施形態と同様のスキャン制御を行う。すなわち、センサコントローラ406は、他の携帯電話端末から取得した位置指示器22の位置検出結果が、当該他の携帯電話端末のセンサ部414の指示入力面の、自端末のセンサ部414との近接エリアとなっていることを検出されたときには、自端末のセンサ部414について近接エリアスキャンを行うようにする。
この場合に、この例では、自携帯電話端末の他の携帯電話端末が左脇に置かれるか、右脇に置かれるかを検出する手段を備えないので、センサコントローラ406は、自端末のセンサ部の左右両側の縁部に存在する1または複数個のループコイル、例えばX軸方向ループコイルX1、X2及びXn−1、Xnを近接エリアスキャンにおいてスキャンするようにする。
もっとも、例えば光を用いた近接センサなどで、自端末の左脇か、右脇かのいずれに他の携帯電話端末が置かれたかを検出するようにした場合には、その検出結果に応じた一方の側においてのみ、センサ部414について近接エリアスキャンを行うようにしてもよいことは言うまでもない。
[実施形態の携帯電話端末における処理動作の例]
<2台の携帯電話端末で連携してコピーや移動を行うアプリケーションでの処理例>
図14〜図16は、2台の携帯電話端末で連携してコピーや移動を行うアプリケーションでの携帯電話端末の処理動作の流れの一例を示すフローチャートである。このフローチャートの各ステップは、制御部401が実行するものである。なお、以下の説明において、指示体は、この例では位置指示器22である。
先ず、携帯電話端末の制御部401は、近接する2台の携帯電話端末間での指示体の移動を伴うアプリケーションの項目が選択されたか否か判別する(ステップS31)。このステップS31で、前記アプリケーションの項目が選択されたと判別したときには、制御部401は、近傍に置かれる他の携帯電話端末に、互いの近接配置を確認するための近接情報を、近接無線通信部407を通じて送信する処理を開始する(ステップS32)。
この近接情報は、他の携帯電話端末が前記アプリケーションを実行するために、自端末の脇に置かれたか否かを判別するためであり、前記アプリケーションの実行中においては、この近接情報を、例えば一定周期で送出する。そして、自端末のセンサ部414で検出した位置指示器22の位置検出情報や、ドラッグしたことやドロップしたことを示す情報などは、この例ではこの近接情報に含めて送信する。ただし、位置指示器22の位置検出情報や、ドラッグしたことやドロップしたことを示す情報などを含めた近接情報は、一定周期ではなく、必要に応じて送出するようにする。なお、位置指示器22の位置検出情報や、ドラッグしたことやドロップしたことを示す情報などは、近接情報とは別の情報として、送出するようにしてもよい。
ステップS32の次には、制御部401は、他の携帯電話端末からの近接情報を受信したか否か判別し(ステップS33)、受信してはいないと判別したときには、ディスプレイ413の表示画面に、他の携帯電話端末を、自端末の近接位置に置くように促すメッセージを表示する(ステップS34)。そして、制御部401は、所定時間が経過したか否か判別し(ステップS35)、アプリケーションを立ち上げた後、所定時間が経過してはいないと判別したときには、処理をステップS32に戻し、このステップS32以降の処理を繰り返す。また、ステップS35で、アプリケーションを立ち上げた後、所定時間が経過したと判別したときには、制御部401は、処理をステップS31に戻し、このステップS31以降の処理を繰り返す。
また、ステップS33で、他の携帯電話端末からの近接情報を受信したと判別したときには、制御部401は、近接した携帯電話端末を考慮したセンサ部のスキャンコントロールを開始する(ステップS37)。このステップS37におけるスキャンコントロールの処理は、センサコントローラ406により実行されるもので、この処理については、図17を用いて後で詳述する。
次に、制御部401は、センサコントローラ406の検出出力に基づいて、指示体によってディスプレイ113の表示画面に表示されているオブジェクトのドラッグ操作がなされたか否か判別する(ステップS38)。
ステップS31で、近接する2台の携帯電話端末間での指示体の移動を伴うアプリケーションの項目が選択されてはいないと判別したときには、制御部401は、他の携帯電話端末から近接情報を受信したか否か判別し(ステップS39)、受信してはいないと判別したときには、その他の処理を実行し(ステップS40)、その処理の終了後、処理をステップS31に戻し、このステップS31以降の処理を繰り返す。
また、ステップS39で、他の携帯電話端末から近接情報を受信したと判別したときには、制御部401は、他の携帯電話端末に対する送信を開始する(ステップS41)。すなわち、他の携帯電話端末から近接情報を受信したら、自端末も近接情報の送信を開始するようにすることで、互いが近接して配置されていることを確認するようにする。制御部401は、このステップS41の後には、ステップS37に進み、このステップS37以降の処理を行う。
ステップS38で、指示体によってディスプレイ113の表示画面に表示されているオブジェクトのドラッグ操作がなされたと判別したときには、制御部401は、自端末から送信する近接情報に、ドラッグしたオブジェクトの識別情報(以下IDという)を含めて他の携帯電話端末に送信する(図15のステップS51)。
次に、制御部401は、センサコントローラ406の検出出力に基づいて、オブジェクトをドラッグしたままの移動を検知したか否か判別し(ステップS52)、検知したと判別したときには、ドラッグしたオブジェクトのアイコンの画像の、ディスプレイ113の表示画面上の表示位置を、センサコントローラ406の検出出力に基づいて移動するように表示制御する(ステップS53)。
次に、制御部401は、センサコントローラ406の検出出力に基づいて、オブジェクトをドラッグしたままの移動が、自端末の表示画面外になったか否か判別する(ステップS54)。このステップS54で、オブジェクトをドラッグしたままの移動が、自端末の表示画面外になってはいないと判別したときには、制御部401は、処理をステップS52に戻し、このステップS52以降の処理を繰り返す。
ステップS54で、オブジェクトをドラッグしたままの移動が、自端末の表示画面外になったと判別したときには、ドラッグして移動していたオブジェクトのIDが含まれている近接情報を他の携帯電話端末から受信したか否か判別する(ステップS55)。このステップS55で、他の携帯電話端末からドラッグして移動していたオブジェクトのIDが含まれている近接情報を受信しないと判別したときには、制御部401は、オブジェクトのコピーまたは移動の処理は中止されたと判断し(ステップS61)、処理をステップS38に戻し、このステップS38以降の処理を繰り返す。
また、ステップS55で、他の携帯電話端末からドラッグして移動していたオブジェクトのIDが含まれている近接情報を受信したと判別したときには、制御部401は、ドロップ操作がなされたことの通知を含む近接情報の受信を待ち(ステップS56)、ドロップ操作がなされたことの通知を含む近接情報の受信を確認したときには、ドロップしたオブジェクトの実体情報のコピーまたは移動を実行する(ステップS57)。このステップS57では、制御部401は、オブジェクトのIDに基づいて、当該オブジェクトの実体情報をメモリ408から読み出して、近接無線通信部407を通じて、他の携帯電話端末に送信する。
次に、制御部401は、他の携帯電話端末からの近接情報が受信できなくなっていないかどうか判別し(ステップS58)、他の携帯電話端末からの近接情報の受信ができなくなったと判別したときには、センサ部414についてのスキャンコントロールを、前記アプリケーション用である近接した携帯電話端末を考慮したセンサ部のスキャンコントロールから、通常モードのときのスキャンコントロールに戻す(ステップS59)。そして、この処理ルーチンを終了する。また、ステップS58で、他の携帯電話端末からの近接情報の受信は継続していると判別したときには、制御部401は、処理をステップS38に戻し、このステップS38以降の処理を繰り返す。
そして、ステップS52で、オブジェクトをドラッグしたままの移動を検知してはいないと判別したときには、制御部401は、センサコントローラ406の検出出力に基づいて、指示体によるドラッグは解除されたか否か判別し(ステップS60)、解除されてはいないと判別したときには、処理をステップS52に戻し、解除されたと判別したときには、処理をステップS61に移行する。
図14のステップS38で、指示体によってディスプレイ113の表示画面に表示されているオブジェクトのドラッグ操作がなされてはいないと判別したときには、制御部401は、他の携帯電話端末から受信した近接情報にオブジェクトのIDが含まれているか否か判別する(図16のステップS71)。
このステップS71で、他の携帯電話端末から受信した近接情報にオブジェクトのIDが含まれてはいないと判別したときには、制御部401は、処理をステップS38に戻し、このステップS38以降の処理を繰り返す。
また、ステップS71で、他の携帯電話端末から受信した近接情報にオブジェクトのIDが含まれていると判別したときには、制御部401は、その受信したオブジェクトのIDを一時保存する(ステップS72)。次に、制御部401は、センサコントローラ406の検出出力に基づいて、他の携帯電話端末から連続する指示体によるドラッグ移動を検知したか否か判別する(ステップS73)。このステップS73では、実際的には、センサ部414において、左右端から中央方向に移動する指示体を検出したか否かを判別するものである。
ステップS73で、他の携帯電話端末から連続する指示体によるドラッグ移動を検知してはいないと判別したときには、制御部401は、他の携帯電話端末から近接情報が受信できなくなっていないかどうか判別する(ステップS74)。制御部401は、ステップS74で、他の携帯電話端末から近接情報が受信できなくなってはいないと判別したときには、処理をステップS73に戻し、他の携帯電話端末から近接情報が受信できなくなっていると判別したときには、処理をステップS59に移行して、センサ部414のスキャンコントロールを通常モードに戻して、この処理ルーチンを終了する。
ステップS73で、他の携帯電話端末から連続する指示体によるドラッグ移動を検知したと判別したときには、制御部401は、一時保存しているオブジェクトのIDを近接情報に含めた他の携帯電話端末に送信する(ステップS75)。次に、制御部401は、センサコントローラ406の検出出力を監視して、オブジェクトについてのドロップ操作がなされるのを待つ(ステップS76)。
そして、ステップS76で、オブジェクトについてのドロップ操作がなされたことを判別すると、制御部401は、近接情報にドロップ通知情報を含めて、他の携帯電話端末に送信する(ステップS77)。そして、制御部401は、オブジェクトの実体情報のコピーまたは移動を実行する(ステップS78)。このステップS78では、制御部401は、IDで識別されるオブジェクトの実体情報が他の携帯電話端末から送られてくるので、その実体情報を近接無線通信部407で受信し、当該オブジェクトのIDに対応付けて、メモリ408に書き込むようにする。
次に、制御部401は、他の携帯電話端末から近接情報が受信できなくなっていないかどうか判別し(ステップS79)、他の携帯電話端末から近接情報が受信できなくなってはいないと判別したときには、処理をステップS38に戻して、このステップS38以降の処理を繰り返し、また、他の携帯電話端末から近接情報が受信できなくなっていると判別したときには、処理をステップS59に移行して、センサ部414のスキャンコントロールを通常モードに戻して、この処理ルーチンを終了する。
<近接した携帯電話端末を考慮したセンサ部のスキャンコントロールでの処理例>
次に、ステップS37で実行されるスキャンコントロールの処理例について説明する。
≪第1の例≫
図17は、ステップS37で実行されるスキャンコントロールの第1の処理例を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの各ステップの処理は、センサコントローラ406が制御部401の制御の下に行う。なお、制御部401が、センサコントローラ406の処理をもソフトウエアプログラムにより実行するようにすることもできるものである。
図17の例においては、センサコントローラ406は、指示体をセンサ部414で検出していない状態において、センサ部414について、まず、前述したように、例えば125msec周期でのオールスキャンを実行する(ステップS81)。次に、センサコントローラ406は、センサ部414で、指示体を検出したか否か判別し(ステップS82)、検出したと判別したときには、前述したように、例えば7.5msec周期での、指示体の検出位置近傍位置におけるローカルスキャンを実行する(ステップS83)。
そして、センサコントローラ406は、検出した指示体の位置情報を制御部401に渡して、近接情報に含めて、その指示体の位置情報を、他の携帯電話端末に送信するようにする(ステップS84)。
次に、センサコントローラ406は、センサ部414において指示体が検出できなくなったか否か判別し(ステップS85)、指示体が検出できなってはいないと判別したときには、処理をステップS83に戻し、このステップS83以降の処理を繰り返す。また、ステップS85で、指示体が検出できなくなったと判別したときには、センサコントローラ406は、他の携帯電話端末から受信した近接情報から指示体の位置情報を取得できたか否か判別する(ステップS86)。また、ステップS82で、センサ部414で、指示体を検出してはいないと判別したときにも、センサコントローラ406は、処理をステップS86に移行するようにする。
このステップS86で、他の携帯電話端末から指示体の位置情報を取得してはいないと判別したときには、センサコントローラ406は、処理をステップS81に戻し、このステップS81以降の処理を繰り返す。また、ステップS86で、他の携帯電話端末から指示体の位置情報を取得したと判別したときには、その位置情報に基づいて、他の携帯電話端末のセンサ部414で検出された指示体の位置は、センサ部414の指示入力面の自端末との近接エリア(この例では、センサ部414の指示入力面の左右両端)であるか否か判別する(ステップS87)。
このステップS87で、指示体の位置は、他の携帯電話端末のセンサ部414の指示入力面の自端末との近接エリアではないと判別したときには、センサコントローラ406は、処理をステップS86に戻し、このステップS86以降の処理を繰り返す。
また、ステップS87で、指示体の位置は、他の携帯電話端末のセンサ部414の指示入力面の自端末との近接エリアであると判別したときには、センサコントローラ406は、自端末のセンサ部414について、近接エリアスキャン(この例では、センサ部414の指示入力面の左右両端のループコイルのスキャン)を実行する(ステップS88)。そして、センサコントローラ406は、処理をステップS82に戻し、このステップS82以降の処理を繰り返す。
≪第2の例≫
図18は、ステップS37で実行されるスキャンコントロールの第2の処理例を説明するためのフローチャートである。
センサコントローラ406は、指示体をセンサ部414で検出していない状態において、センサ部414について、まず、前述したように、例えば125msec周期でのオールスキャンを実行する(ステップS91)。次に、センサコントローラ406は、センサ部414で、指示体を検出したか否か判別し(ステップS92)、検出したと判別したときには、前述したように、例えば7.5msec周期での、指示体の検出位置近傍位置におけるローカルスキャンを実行する(ステップS93)。
次に、センサコントローラ406は、検出した指示体の位置情報に基づいて、センサ部414で検出された指示体の位置は、自端末と他の携帯電話端末との近接エリア(この例では、センサ部414の指示入力面の左右両端)であるか否か判別する(ステップS94)。このステップS94で、指示体の位置は、自端末と他の携帯電話端末との近接エリアではないと判別したときには、センサコントローラ406は、処理をステップS93に戻し、このステップS93以降の処理を繰り返す。
そして、ステップS94で、指示体の位置は、自端末と他の携帯電話端末との近接エリアであると判別したときには、センサコントローラ406は、指示体が近接エリアに存在することの通知情報を、近接情報に含めて、他の携帯電話端末に送信するように、制御部401に依頼する(ステップS95)。
次に、センサコントローラ406は、センサ部414において指示体が検出できなくなったか否か判別し(ステップS96)、指示体が検出できなってはいないと判別したときには、処理をステップS93に戻し、このステップS93以降の処理を繰り返す。また、ステップS96で、指示体が検出できなくなったと判別したときには、センサコントローラ406は、他の携帯電話端末から受信した近接情報から、指示体が近接エリアに存在することの通知情報を取得できたか否か判別する(ステップS97)。また、ステップS92で、センサ部414で、指示体を検出してはいないと判別したときにも、センサコントローラ406は、処理をステップS97に移行するようにする。
このステップS97で、他の携帯電話端末から、指示体が近接エリアに存在することの通知情報を取得してはいないと判別したときには、センサコントローラ406は、処理をステップS91に戻し、このステップS91以降の処理を繰り返す。また、ステップS97で、他の携帯電話端末から、指示体が近接エリアに存在することの通知情報を取得したと判別したときには、センサコントローラ406は、その通知情報に基づいて、自端末のセンサ部414について、近接エリアスキャン(この例では、センサ部414の指示入力面の左右両端のループコイルのスキャン)を実行する(ステップS98)。そして、センサコントローラ406は、処理をステップS92に戻し、このステップS92以降の処理を繰り返す。
[第3の実施形態の効果]
以上説明したように、第3の実施形態によれば、2台の電子機器のセンサ部間における指示体の移動を追従性良く検出することができる。このため、近接して配置した2台の電子機器間での指示体の移動を伴うアプリケーションによる処理を、良好に行なうことができる。
[第3の実施形態の変形例]
上述の第3の実施形態では、2台の電子機器が、自身が備えるメモリ部に記憶しているオブジェクトのコピーや移動について説明したが、電子機器が管理しているオブジェクトではあるが、その実体データが、インターネットなどのネットワークを通じてアクセスすることができるサーバなどの格納部に格納されている場合、すなわち、いわゆるクラウドの場合であっても、第3の実施形態は適用可能である。
また、上述の第3の実施形態では、オブジェクトのコピーや移動についてのアプリケーションの場合に、この発明を適用したが、この発明が適用できるアプリケーションは、上述の例に限られるものではないことは言うまでもない。例えば、複数画面を使用するゲームにおいて、指示体による複数画面間の移動を伴うような操作が想定される際には、この発明を適用することができる。
なお、以上の第3の実施形態の説明では、2台の電子機器間での指示体の移動について説明したが、この発明は、3台以上の電子機器間での指示体の移動を考慮する場合にも、同様に適用することができる。
なお、この第3の実施形態においても、上述の第2の実施形態と同様に、センサコントローラ406は、指示体が近接エリアに存在することの通知情報を取得したと判別したときには、その通知情報に基づいて、自端末のセンサ部414について、近接エリアスキャンと、オールスキャンとを時分割で実行するようにしてもよい。
[その他の実施形態または変形例]
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、センサコントローラは、複数個のセンサ部に対して共通の1個としたが、それぞれのセンサ部に対してセンサコントローラをそれぞれ設けるようにしてもよい。その場合には、第3の実施形態と同様に、それぞれのセンサコントローラの間で、他のセンサコントローラで検出した指示体の位置検出情報を互いに送受するようにすればよい。
例えば、第2の実施形態の場合に適用すると、図19に示すように構成すればよい。すなわち、この例においては、センサ部SAに対しては、センサコントローラ300Aを設けると共に、センサ部SBに対しては、センサコントローラ300Bを設ける。そして、センサコントローラ300Aとセンサコントローラ300Bとの間も接続するようにし、センサコントローラ300Aで検出した指示体の位置検出出力は、センサコントローラ300Bに供給するようにすると共に、センサコントローラ300Bで検出した指示体の位置検出出力は、センサコントローラ300Aに供給するようにする。
そして、センサコントローラ300A及び300Bは、上述した第3の実施形態のセンサコントローラ406と同様に構成するようにすればよい。
また、以上の実施形態では、センサ部は、電磁誘導方式のセンサ部の構成としたが、この発明は、電磁誘導方式のセンサ部のみに適用されるものではなく、他の方式のセンサ部、例えば静電容量方式のセンサ部にも適用することが可能であることは勿論である。
図20は、第1の実施形態の場合のセンサ部に、静電容量方式のセンサ部を用いた場合の構成例である。この図20の例においては、ディスプレイ対応センサ部13の代わりに、静電容量方式のディスプレイ対応センサ部50が設けられ、キー対応センサ部16の代わりに、静電容量方式のキー対応センサ部60が設けられる。
ディスプレイ対応センサ部50は、この例では、クロスポイント静電容量方式のセンサの構成とされており、透明基板51の一面に、透明電極群52が形成されて構成されている。透明電極群52は、Y軸方向に配置された複数本の透明電極53と、Y軸方向に直交するX軸方向に配置された複数本の透明電極54からなる。
また、キー対応センサ部60は、X軸方向に配列される複数本の透明電極61Aと、Y軸方向に配列される複数本の透明電極62Aとからなる第1のセンサ部60Aと、X軸方向に配列される複数本の透明電極61Bと、Y軸方向に配列される複数本の透明電極62Bとからなる第1のセンサ部60Bとで構成されている。
センサコントローラ500は、図20に示すように、送信信号発生回路501、送信電極選択回路502、受信電極選択回路503、受信信号処理回路504及び制御回路505を備えている。
送信信号発生回路501は、制御回路505の制御に従った所定のタイミングで、所定の送信信号を送信電極選択回路502に供給する。送信電極選択回路502は、制御回路505の選択制御にしたがって、ディスプレイ対応センサ部50の透明電極54を選択すると共に、キー対応センサ部60の透明電極62Aまたは透明電極62Bを選択する。送信電極選択回路502によって選択された透明電極54または透明電極62A,62Bには送信信号発生回路501から送信信号が供給される。
受信電極選択回路503は、制御回路505の制御にしたがって、ディスプレイ対応センサ部50の透明電極53を選択すると共に、キー対応センサ部60の透明電極61A,61Bを選択し、選択した透明電極53または透明電極61A,61Bからの受信信号を受信信号処理回路504に供給する。
受信信号処理回路504は、制御回路505による制御に基づいて、受信信号を処理し、指や位置指示器などの指示体が、ディスプレイ対応センサ部50やキー対応センサ部60上で位置を指示することで生じる信号変化を透明電極53または透明電極61A,61Bで検出し、その検出出力を制御回路505に供給する。
制御回路505は、受信信号処理回路504の検出出力から、前記信号変化が生じた透明電極53または透明電極61A,61Bと、そのときに送信信号が供給されている透明電極54または透明電極62A,62Bとから、指または位置指示器などの指示体によって指示された位置に対応した指示位置検出信号である座標出力を生成する。
そして、制御回路505は、上述の第1の実施形態と同様にして、ディスプレイ対応センサ部50においては、オールスキャン及びローカルスキャン、さらに近接エリアスキャンを行うように制御するものである。
第2の実施形態のセンサ部SA,SB及び第3の実施形態のセンサ部414も、静電容量方式のセンサ部の構成とすると共に、上述の図20に示したようなセンサコントローラを備える構成とするようにしてもよいことは言うまでもない。
なお、上述の第1の実施形態では、ディスプレイ対応センサ部13とキー対応センサ部16とは、共に電磁誘導方式のセンサ部として同種の検出方式のセンサを用いるようにしたが、ディスプレイ対応センサ部13とキー対応センサ部16とで異なる検出方式のセンサ部の構成としてもよい。例えばディスプレイ対応センサ部13を静電容量方式のセンサ部とし、キー対応センサ部16を電磁誘導方式のセンサ部の構成としてもよいし、その逆であってもよい。
また、ディスプレイ対応センサ部13として、例えば表示画面12の下側に電磁誘導方式のセンサ部を重畳して設けると共に、表示画面12の上側に静電容量方式のセンサ部を重畳して設けるようにする等、異なる検出方式のセンサ部を重畳して設ける構成であってよい。キー対応センサ部16についても同様に構成することができる。この場合に、ディスプレイ対応センサ部13とキー対応センサ部16とで、共に異なる検出方式のセンサ部を重畳して設ける構成としてもよいし、一方のみを共に異なる検出方式のセンサ部を重畳して設ける構成としてもよい。
また、第2の実施形態においても、センサ部SAとセンサ部SBとを互いに異なる検出方式のセンサ部の構成としてもよい。また、センサ部SAとセンサ部SBのそれぞれとして、あるいは、センサ部SAとセンサ部SBの一方として、異なる検出方式のセンサ部を重畳して設ける構成であってよい。
また、第3の実施形態における2台の携帯電話端末40A,40Bのセンサ部42A,42Bは、互いに異なる検出方式のセンサ部の構成としてもよい。また、センサ部42Aとセンサ部42Bのそれぞれとして、あるいは、センサ部42Aとセンサ部42Bの一方として、異なる検出方式のセンサ部を重畳して設ける構成であってよい。