JP6213111B2 - グラビア印刷機及びグラビア印刷方法 - Google Patents
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Description
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、印刷時におけるスジ及びかすれの発生が抑制されたグラビア印刷機、及び印刷時におけるスジ及びかすれの発生が抑制されたグラビア印刷方法を提供することを目的とする。
前記ドクターブレードが、前記被印刷基材側から順に配置された第一のドクターブレード及び第二のドクターブレードを含み、
前記第二のドクターブレードのJIS L 1096:2010で規定される剛軟度が2.5×10−5N以下であり、
前記被印刷基材と前記グラビア版胴との接触中心と前記グラビア版胴の軸中心を結ぶ直線と、前記グラビア版胴に対する前記第一のドクターブレードの刃先の版面接触位置と前記グラビア版胴の前記軸中心を結ぶ直線とがなす角αが、10度から90度の範囲内であり、
前記被印刷基材と前記グラビア版胴との接触中心と前記グラビア版胴の前記軸中心を結ぶ直線と、前記グラビア版胴に対する前記第二のドクターブレードの刃先の版面接触位置と前記グラビア版胴の前記軸中心を結ぶ直線とがなす角βが、前記角αより大きく、且つ90度から180度の範囲内であることを特徴とする。
本発明に係るグラビア印刷機においては、前記角βと前記角αの角度の差(β−α)が10〜170度の範囲内であるが好ましい。
本発明に係るグラビア印刷機においては、前記第二のドクターブレードのJIS L 1096:2010で規定される剛軟度が0.3×10 −5 N以上、1.5×10 −5 N以下であることが好ましい。
インキパンのインキをグラビア版胴の版面に転移させてインキングを行う工程と、
ドクターブレードにより前記版面上の余分なインキを掻き取る工程と、
前記版面の微小な凹部に詰まったインキを被印刷基材に転移させる工程とを有する、グラビア印刷方法であって、
前記ドクターブレードが、前記被印刷基材側から順に配置された第一のドクターブレード及び第二のドクターブレードを含み、前記インキを掻き取る工程において、前記第二のドクターブレード、前記第一のドクターブレードの順で前記版面上の余分なインキを掻き取り、
前記第二のドクターブレードのJIS L 1096:2010で規定される剛軟度が2.5×10−5N以下であり、
前記被印刷基材と前記グラビア版胴との接触中心と前記グラビア版胴の軸中心を結ぶ直線と、前記グラビア版胴に対する前記第一のドクターブレードの刃先の版面接触位置と前記グラビア版胴の前記軸中心を結ぶ直線とがなす角αが、10度から90度の範囲内であり、
前記被印刷基材と前記グラビア版胴との接触中心と前記グラビア版胴の前記軸中心を結ぶ直線と、前記グラビア版胴に対する前記第二のドクターブレードの刃先の版面接触位置と前記グラビア版胴の前記軸中心を結ぶ直線とがなす角βが、前記角αより大きく、且つ90度から180度の範囲内であることを特徴とする。
本発明に係るグラビア印刷方法においては、前記角βと前記角αの角度の差(β−α)が10〜170度の範囲内であることが好ましい。
本発明に係るグラビア印刷方法においては、前記第二のドクターブレードのJIS L 1096:2010で規定される剛軟度が0.3×10 −5 N以上、1.5×10 −5 N以下であることが好ましい。
本発明に係るグラビア印刷方法においては、前記インキの25℃、60%RHの環境下にてザーンカップにより測定した粘度秒数が、30秒以下であることが好ましい。
前記ドクターブレードが、前記被印刷基材側から順に配置された第一のドクターブレード及び第二のドクターブレードを含み、
前記第二のドクターブレードのJIS L 1096:2010で規定される剛軟度が2.5×10−5N以下であることを特徴とする。
なお、本発明において前記剛軟度は、具体的には、前記JIS規格の8.22.1 A法(剛軟度(ガーレ法))に準拠した方法により測定することができる。
インキパンのインキをグラビア版胴の版面に転移させてインキングを行う工程と、
ドクターブレードにより前記版面上の余分なインキを掻き取る工程と、
前記版面の微小な凹部に詰まったインキを被印刷基材に転移させる工程とを有する、グラビア印刷方法であって、
前記ドクターブレードが、前記被印刷基材側から順に配置された第一のドクターブレード及び第二のドクターブレードを含み、前記インキを掻き取る工程において、前記第二のドクターブレード、前記第一のドクターブレードの順で前記版面上の余分なインキを掻き取り、
前記第二のドクターブレードのJIS L 1096:2010で規定される剛軟度が2.5×10−5N以下であることを特徴とする。
これに対し、本発明に係るグラビア印刷機及びグラビア印刷方法は、ドクターブレードにより前記版面上の余分なインキを掻き取る際に、まず、上記特定の剛軟度を有する第二のドクターブレードで版面のインキを掻き取った後、さらに、従来一般的に用いられているドクターブレードである第一のドクターブレードで、再度版面のインキを掻き取ることにより、上記の問題を解決することができる。すなわち、本発明では、相対的に柔らかい第二のドクターブレードにより、ある程度の量のインキを掻き取った後、相対的に硬い第一のドクターブレードにより再度インキを掻き取るという、段階的なインキの掻き取りを行い、さらに、第二のドクターブレードの剛軟度を上記特定値以下とすることにより、第二のドクターブレードで掻き取られるインキの量を適度な量とすることができるため、粘性の低いインキを用いた場合であっても、第一のドクターブレード上へのインキの乗り上げを抑制し、且つ版面上のインキを十分に掻き取ることができ、印画表面が良好になると考えられる。
なお、本発明において、粘性が低いインキとは、ザーンカップ(東洋精機社、No.2)により測定した粘度秒数が30秒以下のものをいう。
ここでいう粘度秒数とは、ザーンカップ(東洋精機社製、ZAHN VISCOSIMETER Cup No.2)に塗工液を満たし、その液が落ち始めてから、液の流れが切れるまでの時間である。粘度秒数が大きいほど、粘度が高い。また、本発明において、上記の粘度秒数の測定は、25℃、60%RHの環境下で行なった値である。
第一のドクターブレードのJIS L 1096:2010で規定される剛軟度は、特に限定されないが、40×10−5N以上であることが好ましい。
前記第二のドクターブレードの前記剛軟度は、スジ及びかすれの発生をさらに抑制し、印刷の均一性を向上する点から、1.5×10−5N以下であることが好ましい。一方、柔らかすぎると版面のインキを掻きもらしすぎて、本発明の効果が得られ難い恐れがあるという点から、0.25×10−5N以上であることが好ましく、更に0.3×10−5N以上であることが好ましい。
前記第二のドクターブレードの材質としては、例えば、樹脂、金属等が挙げられ、中でも樹脂が好適に用いられ、より具体的には、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等が挙げられる。中でも、化学的安定性が高く、且つ、前記剛軟度を満たす材料を選択しやすい、ポリエチレンテレフタレート等ポリエステル樹脂のフィルム乃至シートが好適に用いられ、特にポリエチレンテレフタレートフィルム乃至シートが好適に用いられる。また、前記金属としては、例えば、セラミック、鋼等が挙げられる。
前記第二のドクターブレードの厚みは、前記剛軟度が2.5×10−5N以下となるように、材質に応じて適宜選択すればよいが、20〜300μmの範囲内であることが好ましい。前記第二のドクターブレードの材質が前記金属の場合は、厚みは100μm未満の中から適宜選択することが好ましい。
前記第二のドクターブレードの前記剛軟度が前記上限値以下となるための好ましい材質と厚みの組み合わせとしては、例えば、厚み30〜250μmのポリエステル系樹脂製ドクターブレード等を挙げることができる。
第二のドクターブレード7の版面1sに対する接触圧(ドクター圧)は、特に限定されないが、10N/cm2未満で適宜設定されることがより好ましい。
第一のドクターブレード6の版面1sに対する接触角度(ドクター角)θaは、特に限定されないが、通常30〜70度である。また、第一のドクターブレード6の版面1sに対する接触圧(ドクター圧)は、特に限定されないが、通常10〜30N/cm2である。
なお、印刷に伴い第一のドクター装置6d及び第二のドクター装置7d自体が動いて、第一のドクターブレード6及び第二のドクターブレード7が一定範囲で版面を左右に平行して動く構造にされていてもよい。この場合、第一のドクターブレード6及び第二のドクターブレード7の揺動幅は各々通常、50mm 〜100mm程度である。
本発明においては、粘性が低いインキ、すなわち、ザーンカップ(東洋精機社、No.2)により測定した粘度秒数が30秒以下のインキを用いる場合に、特に印刷時におけるスジ及びかすれを抑制する効果を顕著に発揮することができる。このようなインキとしては、例えば、溶剤として水を含む水系インキ、特に固形分濃度が30%以下の水系インキ等が挙げられる。
実施例1のグラビア印刷機として、図1に示すようなグラビア印刷機を準備した。すなわち、実施例1のグラビア印刷機は、外径D:1800mmの版胴1(版面のメッシュ:格子300L/インチ)を備え、第一のドクターブレード6として、厚さ100μmのセラミック製ドクターブレード(剛軟度55×10−5N)を、第二のドクターブレード7として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製ドクターブレード(剛軟度1.1×10−5N)を備えるものであった。
第一のドクターブレード6は、被印刷基材3とグラビア版胴1との接触中心4と版胴1の軸中心5を結ぶ直線10とグラビア版胴に対する第一のドクターブレードの刃先の版面接触位置P1と版胴1の軸中心5を結ぶ直線11とがなす角αが、30度になるように配置され、ドクター角θaは30度、ドクター圧は25N/cm2であった。
第二のドクターブレード7は、被印刷基材3とグラビア版胴1との接触中心4と版胴1の軸中心5を結ぶ直線10とグラビア版胴1に対する第二のドクターブレードの刃先の版面接触位置P2と版胴1の軸中心5を結ぶ直線12とがなす角βが、120度になるように配置され、ドクター角θbは45度であった。
実施例1において、第二のドクターブレードとして、厚さ200μmのPET製ドクターブレード(剛軟度2.1×10−5N)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のグラビア印刷機を得た。
実施例1において、第二のドクターブレードとして、厚さ50μmのPET製ドクターブレード(剛軟度0.25×10−5N)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のグラビア印刷機を得た。
実施例1において、第二のドクターブレードを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のグラビア印刷機を得た。
実施例1において、第二のドクターブレードとして厚さ100μmのスチール製ドクターブレード(剛軟度800×10−5N)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のグラビア印刷機を得た。
実施例1において、第二のドクターブレードとして厚さ300μmのPET製ドクターブレード(剛軟度3.3×10−5N)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3のグラビア印刷機を得た。
実施例1において、第二のドクターブレードとして厚さ100μmのセラミック製ドクターブレード(剛軟度55×10−5N)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4のグラビア印刷機を得た。
各実施例及び各比較例で得られたグラビア印刷機を用い、インキとして下記組成のインキ(粘度:ザーンカップ(東洋精機社、No.2)により測定した粘度秒数が20秒)を用いて、下記条件でグラビア印刷を行い、印画物(熱転写シート)を得た。得られた印画物の印画表面を目視で観察し、シート面質について評価した。評価結果を表1に示す。
[インキの組成]
水性ポリエステル樹脂(バイロナールMD−1500 東洋紡社製)(固形分30%) 100質量部
水 50質量部
2−プロパノール(IPA) 50質量部
[印刷条件]
印刷方式:ダイレクトグラビア方式
印刷速度:400m/min
被印刷基材:材質PET、厚さ6μm
A:印画表面にかすれ及びスジがない
B:印画表面にかすれ及びスジが若干見えるが、完全にインクが抜けていないスジであり、品質には問題ないレベル
C:印画表面にかすれ及びスジがあり、完全にインクが抜けているスジであり、印画物に支障があるレベル
実施例1〜3のグラビア印刷機は、ドクターブレードとして、被印刷基材側から順に配置された第一のドクターブレード及び第二のドクターブレードを備え、第二のドクターブレードのJIS L 1096:2010で規定される剛軟度が2.5×10−5N以下であったため、粘性の低いインキを用いた場合であっても、得られた印画物は、印画表面にかすれ及びスジがないか(実施例1)、スジが若干あっても、完全にインクが抜けていないスジであり、品質には問題ないレベルであった(実施例2、3)。
一方、比較例1のグラビア印刷機は、第二のドクターブレードを備えていなかったため、得られた印画物にかすれ及びスジがあり、印画物に支障があるレベルであった。
比較例2〜4のグラビア印刷機は、第二のドクターブレードの前記剛軟度が大きすぎたため、得られた印画物にかすれ及びスジがあり、印画物に支障があるレベルであった。
2 圧胴
3 被印刷基材
6 第一のドクターブレード
6h 第一のドクターホルダー
6d 第一のドクター装置
7 第二のドクターブレード
7h 第二のドクターホルダー
7d 第二のドクター装置
8 インキパン
9 インキ
Claims (7)
- インキパンのインキをグラビア版胴の版面に転移させてインキングを行い、ドクターブレードにより前記版面上の余分なインキを掻き取った後、前記版面の微小な凹部に詰まったインキを被印刷基材に転移させるグラビア印刷機であって、
前記ドクターブレードが、前記被印刷基材側から順に配置された第一のドクターブレード及び第二のドクターブレードを含み、
前記第二のドクターブレードのJIS L 1096:2010で規定される剛軟度が2.5×10−5N以下であり、
前記被印刷基材と前記グラビア版胴との接触中心と前記グラビア版胴の軸中心を結ぶ直線と、前記グラビア版胴に対する前記第一のドクターブレードの刃先の版面接触位置と前記グラビア版胴の前記軸中心を結ぶ直線とがなす角αが、10度から90度の範囲内であり、
前記被印刷基材と前記グラビア版胴との接触中心と前記グラビア版胴の前記軸中心を結ぶ直線と、前記グラビア版胴に対する前記第二のドクターブレードの刃先の版面接触位置と前記グラビア版胴の前記軸中心を結ぶ直線とがなす角βが、前記角αより大きく、且つ90度から180度の範囲内であることを特徴とする、グラビア印刷機。 - 前記角βと前記角αの角度の差(β−α)が10〜170度の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載のグラビア印刷機。
- 前記第二のドクターブレードのJIS L 1096:2010で規定される剛軟度が0.3×10 −5 N以上、1.5×10 −5 N以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のグラビア印刷機。
- グラビア印刷機を用いて、
インキパンのインキをグラビア版胴の版面に転移させてインキングを行う工程と、
ドクターブレードにより前記版面上の余分なインキを掻き取る工程と、
前記版面の微小な凹部に詰まったインキを被印刷基材に転移させる工程とを有する、グラビア印刷方法であって、
前記ドクターブレードが、前記被印刷基材側から順に配置された第一のドクターブレード及び第二のドクターブレードを含み、前記インキを掻き取る工程において、前記第二のドクターブレード、前記第一のドクターブレードの順で前記版面上の余分なインキを掻き取り、
前記第二のドクターブレードのJIS L 1096:2010で規定される剛軟度が2.5×10−5N以下であり、
前記被印刷基材と前記グラビア版胴との接触中心と前記グラビア版胴の軸中心を結ぶ直線と、前記グラビア版胴に対する前記第一のドクターブレードの刃先の版面接触位置と前記グラビア版胴の前記軸中心を結ぶ直線とがなす角αが、10度から90度の範囲内であり、
前記被印刷基材と前記グラビア版胴との接触中心と前記グラビア版胴の前記軸中心を結ぶ直線と、前記グラビア版胴に対する前記第二のドクターブレードの刃先の版面接触位置と前記グラビア版胴の前記軸中心を結ぶ直線とがなす角βが、前記角αより大きく、且つ90度から180度の範囲内であることを特徴とする、グラビア印刷方法。 - 前記角βと前記角αの角度の差(β−α)が10〜170度の範囲内であることを特徴とする、請求項4に記載のグラビア印刷方法。
- 前記第二のドクターブレードのJIS L 1096:2010で規定される剛軟度が0.3×10 −5 N以上、1.5×10 −5 N以下であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のグラビア印刷方法。
- 前記インキの25℃、60%RHの環境下にてザーンカップにより測定した粘度秒数が、30秒以下であることを特徴とする、請求項4乃至6のいずれか1項に記載のグラビア印刷方法。
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