JP6212021B2 - 距離検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの距離を検出する距離検出装置に関する。
上記の距離検出装置として、ステレオカメラで得られた撮像画像を画像処理することで、距離を求めようとする物体を特定し、特定した物体に対してさらに精度よく距離を求めるための処理を実施することで物体の位置を特定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−020845号公報
しかしながら、上記距離検出装置では、物体を特定するまでの処理に、パターンマッチング等を用いたステレオカメラによる画像処理を行うことが一般的である。このような処理を利用して物体を特定すると、物体を特定するまでの処理負荷が大きくなるという問題点がある。
そこで、このような問題点を鑑み、複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの距離を検出する距離検出装置において、より簡素な処理で物体を特定できるようにすることを本発明の目的とする。
本発明の距離検出装置において画素コスト演算手段は、複数の画像のうちの基準画像中のある画素を表す基準画素における画素情報と、基準画像を除く他の画像中の画素を表す比較画素における画素情報と、の差異に基づく画素コストを、基準画素および比較画素を変更しつつ、基準画素毎に演算する。また、最小コスト画素演算手段は、基準画素を変更する際において基準画素と比較画素との座標差である視差の変化量に対するコストを表す視差コストを、基準画素毎に演算し、各基準画素に対して、画素コストと視差コストとの和を表す合計コストが最小値となる際の比較画素との組み合わせを演算する。
そして、対応点設定手段は、各基準画素に対応する比較画素を、各基準画素に対応する対応点として設定し、物体抽出手段は、各基準画素と対応点との関係に基づいて複数の撮像画像のそれぞれから物体を抽出する。
また、画像座標群取得手段は、複数の画像を、予め設定された周期を表す基準周期毎に得られた複数の撮像画像からなる第1撮像画像群、および第1撮像画像群の撮像タイミングに対して非同期時間だけタイミングをずらし、かつ基準周期毎に得られた第2撮像画像群としたときに、第1撮像画像群および第2撮像画像群を構成する各撮像画像中における物体の座標を表す画像座標群をそれぞれ取得する。
そして、距離演算手段は、第1撮像画像群と第2撮像画像群とが非同期時間だけずれた関係であることに基づいて、各画像座標群から物体までの距離を演算する。
このような距離検出装置1によれば、コスト演算により対応点を求めるので、簡素な処理で物体を認識することができる。よって、物体までの距離を求める際の処理負荷を簡素化することができる。
なお、各請求項の記載は、可能な限りにおいて任意に組み合わせることができる。この際、一部構成を除外してもよい。
本発明が適用された距離検出装置1の概略構成を示すブロック図である。 処理部10(CPU11)が実行する距離演算処理を示すフローチャートである。 距離演算処理のうちの対応点探索処理を示すフローチャートである。 左右方向におけるコスト演算の概略を示す説明図である。 SSIMを説明する模式図である。 上下方向におけるコスト演算の概略を示す説明図である。 斜め方向におけるコスト演算の概略を示す説明図である。 高速処理の概略の示す説明図である。 シーン画像と距離画像との関係の一例を示す画像図である。 距離演算処理のうちの物体検出処理を示すフローチャートである。 投票処理の概要を示す模式図である。 非同期ステレオ法において利用する画像を示す説明図である。 非同期ステレオ法の概要を示す説明図である。 高周波領域を除去する処理を示す、周波数と出現頻度との関係を示すグラフである。
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[本実施形態の構成]
本発明が適用された距離検出装置1は、複数の撮像画像の視差を検出することによって撮像画像中の各点(物体)までの距離を検出する装置である。特に、本実施形態の距離検出装置1では、動的計画法であるビタビアルゴリズムを複数の方向に適用することで複数の撮像画像を構成する画素間の対応関係(視差)を高精度かつ低負荷で求めることができるよう配慮されている。また、物体に対して非同期ステレオ法を用いて精度よく距離を推定できるよう設定されている。
詳細には、距離検出装置1は、乗用車等の車両に搭載されており、図1に示すように、処理部10と、2つの撮像部21,22と、車両制御部30とを備えている。なお、撮像部は2つに限られることなく、3以上設けられていてもよい。
撮像部21,22は、それぞれ車両の進行方向が撮像範囲内となる周知のカメラとして構成されている。撮像部21,22は、中心軸が平行かつ水平方向に所定の距離だけ離れて配置されたステレオカメラを構成している。これらの撮像部21,22は、予め決まった時間で周期的に同時に撮像を行うよう設定されている。
処理部10は、CPU11と、ROM、RAM等のメモリ12とを備えた周知のコンピュータとして構成されている。処理部10(CPU11)は、撮像部21,22によって撮像された撮像画像を取得する。そして、メモリ12に格納されたプログラムに基づいて後述する距離演算処理等の各種処理を実行する。
車両制御部30は、処理部10による処理結果を利用して車両を制御する処理を行う。例えば、車両制御部30は、撮像部21,22による撮像範囲内の各点(各画素)における距離の情報を処理部10から取得し、この距離の情報に基づいて物体の位置および相対速度を認識する。そして、物体が走行に支障を来す虞がある場合、走行軌道を変更する車両制御を行う。
[本実施形態の処理]
このように構成された距離検出装置1において、処理部10(CPU11)は、図2以下に示す距離演算処理を実施する。距離演算処理は、撮像画像中の各点までの距離を演算する処理である。距離演算処理は、例えば距離検出装置1の電源が投入されると開始され、その後、一定周期毎に繰り返し実施される。
この処理では、まず、撮像部21,22によって撮像された撮像画像を取得する(S10)。続いて、撮像された画像を平行化する(S20)。ここで、画像の平行化とは、撮像画像のレンズによる画像の歪みや姿勢のずれを補正する処理等を示す。
続いて、対応点探索処理を実施する(S30)。対応点探索処理は、基準画像(例えば撮像部21による撮像画像)を構成する各画素と比較画像(例えば撮像部22による撮像画像)を構成する各画素との対応関係、すなわち、同じものが写っている場所を関連付ける処理である。
詳細には図3に示すように、まず、節点のコストを算出する(S210)。ここで、節点とは、図4(a)に示すように、基準画像の画素位置を横軸に取り、基準画像の画素位置と比較画像の画素位置との視差を縦軸に取ったマトリクスにおいて、このマトリクスを構成する要素(基準画像の画素位置と視差との関係)の1つ1つを示す。なお、この処理では、基準画像の画素位置毎に、比較画像の視差探索する範囲内にある画素に対するコストを算出する。
ここで、ピクセル位置p,視差upのときの節点のコストをD(p,up)と表現する。また、コストD(p,up)は、下記SSIM(Structual Similarity)を用いて求める。
なお、上記数式における各記号の定義については、図5に示す。また、上記数式中のα、β、γは、任意の定数である。
次に、ビタビアルゴリズムによるコストを求める(S220〜S260)。S220の処理では、コストExを下記の手順を実施することで求める。
[手順1−1]
まず、基準画像の画素については、基準画像の左上の画素から右方向に順に選択し、右端まで選択し終わると、1段下の左端の画素を選択し、再び右方向に順に選択する処理を繰り返す。この際、比較画像については、基準画像の選択中の画素と同じ高さ(鉛直方向の位置)にある比較画像の画素を、左から右に向かう方向(右方向)に左端から右端まで順次選択する。すなわち、図4(b)に示すように、基準画像および比較画像についてそれぞれ水平方向(X方向)について選択する画素の座標を遷移させる。
そして、比較画像の各画素について、視差(基準画像の画素の位置と比較画像の画素の位置の差)が大きくなるにつれてコストが大きくなるよう予め設定された関数を用いて視差コストS(up,uq)を求める。なお、S(up,uq)は、pからqに視差が変化する際の視差コストを示す。
[手順1−2]
そして、節点のコストD(p,up)と、視差コストS(up,uq)とについてビタビアルゴリズムを適用する。
上記式(ビタビアルゴリズムの式)では、前述のある節点について、図4(a)に示すマトリクスにおける左端の何れかの節点からその節点(ある節点)に至るまでの、節点のコストD(p,up)と、視差コストS(up,uq)との和、を示している。
ここでは、節点毎に、このE(up)が最小となる節点コストおよび視差コストの組み合わせをビタビアルゴリズムを用いて求める。この演算によって得られるこれらのデータを右方向のコストとする。
[手順1−3]
上記[手順1−1]〜[手順1−2]と同様の方法を、右から左に向かう方向(左方向)に適用することによって、ビタビアルゴリズムのコストを得る。この演算によって得られるこれらのデータを左方向のコストとする。
[手順1−4]
上記の手順にて求めた右方向のコストと左方向のコストとを対応する節点同士で加算し、得られたデータを左右方向のコストExとしてメモリ12に記録させる。
続いて、S230の処理では、コストEyを下記の手順を実施することで求める。
[手順2−1]
まず、図6(b)に示すように、各節点について、Y方向(画像の鉛直方向)からみた仮想的な平面を準備する。そしてこの平面に対応する画素を選択する。すなわち、基準画像の画素については、基準画像の左上の画素から下方向に順に選択し、下端まで選択し終わると、1段右側の上端の画素を選択し、再び下方向に順に選択する処理を繰り返す。この際、比較画像については、基準画像のうちの選択中の画素と同じ左右位置(水平方向の位置)にある比較画像の画素を、上から下に向かう方向(下方向)に上端から下端まで順次選択する。
そして、この際の視差コストS(up,uq)を求める。
[手順2−2]
そして、計算済みの節点のコストD(p,up)と、視差コストS(up,uq)とについてビタビアルゴリズムを適用する。
ここでは、図6(a)に示すように、前述のビタビアルゴリズムの式を利用して、節点毎に、このE(up)が最小となる節点コストおよび視差コストの組み合わせを求める。この演算によって得られるこれらのデータを下方向のコストとする。
[手順2−3]
上記[手順2−1]〜[手順2−2]と同様の方法を、下から上に向かう方向(上方向)に適用することによって、ビタビアルゴリズムのコストを得る。この演算によって得られるこれらのデータを上方向のコストとする。
[手順2−4]
上記の手順にて求めた下方向のコストと上方向のコストとを対応する節点同士で加算し、得られたデータを上下方向のコストEyとしてメモリ12に記録させる。
続いて、S240の処理では、コストEx−yを下記の手順を実施することで求める。
[手順3−1]
まず、図7(b)に示すように、各節点について、XY方向(画像の左下から45度斜め右上方向)からみた仮想的な平面を準備する。そしてこの平面に対応する画素を選択する。すなわち、基準画像の画素については、基準画像の左上の画素を選択し、45度右上の画素を順に選択する。
そして、端部まで選択し終わると、左端の画素のうちの最も上段の画素を選択し、再び45度右上に順に選択する処理を繰り返す。この際、比較画像については、基準画像のうちの選択中の画素と対応する斜め方向に位置する画素を左下端から右上端まで順次選択する。
そして、この際の視差コストS(up,uq)を求める。
[手順3−2]
そして、計算済みの節点のコストD(p,up)と、視差コストS(up,uq)とについてビタビアルゴリズムを適用する。
ここでは、図7(a)に示すように、前述のビタビアルゴリズムの式を利用して、節点毎に、このE(up)が最小となる節点コストおよび視差コストの組み合わせを求める。この演算によって得られるこれらのデータを右斜め上方向のコストとする。
[手順3−3]
上記[手順3−1]〜[手順3−2]と同様の方法を、右上から左斜め下に向かう方向に適用することによって、ビタビアルゴリズムのコストを得る。この演算によって得られるこれらのデータを右斜め下方向のコストとする。
[手順3−4]
上記の手順にて求めた右斜め下方向のコストと右斜め上方向のコストとを対応する節点同士で加算し、得られたデータを右斜め方向のコストEx−yとしてメモリ12に記録させる。
[手順4]
続いて、S250の処理では、コストEx+yを下記の手順を実施することで求める。この際には、[手順3−1]〜[手順3−4]と同様に、左斜め方向のコストEx+yを求め、メモリ12に記録させる。
ここで、上記の各処理において、ビタビアルゴリズムのコストE(p,u)(Ex、Ey、Ex−y、Ex+y)は以下の式(11)で求められる。
ただし、E(p,u)は、ピクセル位置p、ピクセル位置p−1との視差uの際のビタビアルゴリズムによるコスト、s(u,v)は、ピクセル位置p−1からピクセル位置p
になるときに、視差がvからuに変化する際のコスト、D(p,u)は、ピクセル位置p、視差uのときの節点のコストを表す。
図8に示す例では、例えば、左から右方向に向けて、ピクセル位置p-1からpへのビタビアルゴリズムのコストを演算する例を示している。ピクセル位置p, 視差uのビタビアルゴリズムのコストは、ピクセル位置p−1にある全ての節点から接続される経路の内で、最も小さい{Ep−1,v}+s(u,v)}に自ノードのD(p,u)を足したものになる。
ここで、取り得る視差の範囲をm, 探索範囲(図8での矢印の本数)をn個とすると、ピクセル位置p−1からpへ遷移するためには、m×n回の探索を行う必要があるといえる。
しかしながら、本実施形態においては、下記式を用いてE(p,u)を求める。
この式(12)では、視差(u−1)かつピクセル位置pでのコストと、視差u、ピクセル位置(p−1)のコストと、節点のコストD(p,u)とを利用して、最適解を求めている。
本実施形態において式(11)の代わりに式(12)を用いるのは、式(11)と式(12)とが等価であるからである。式(11)と式(12)とが等価であることを以下に証明する。
式(13)について、E(p,u)は上記のように,minの部分について,{v=0,…,u−1}の範囲と{v=u}のときの2項比較と等価となる。また、式(14)は、式(11)におけるuを(u−1)に置換した定義と同様の式である。
上記式(14)の右辺のDを左辺に移項し,両辺に−s(u−1,v)+s(u,v)を足すと以下の式(16)が得られる。
そして、式(13)の右辺のmin{E(p−1,v)+s(u,v)}の部分を式(16)の左辺に置き換えると、E(p,u)は上記の式(12)で表される。つまり、2項の比較演算(min部分)と節点コストDとの足し算により算出できることが分かる。
なお、上記においては、s(u, v)=u−vとしている。このように式(11)に換えて式(12)を用いてコストE(p,u)を求めることで、m×n回の探索を2m回の
探索とすることができる。すなわち、処理を高速化することができる。
続いて、図3に戻り、コストE(E(p,u))に従って、最小となる視差を選択し(S270)、基準画像における各画素と比較画像における各画素との対応関係をメモリ12に記録し(S280)、対応点探索処理を終了する。
このような対応点探索処理が終了すると、図2に戻り、各画素における対応点の視差に応じて各画素に写っている物体までの距離を算出する(S40)。そして、これらの画素と距離との対応データを車両制御部30に対して出力する(S50)。
ここで、この処理で出力される対応データは、図9(B)に示すようなものである。すなわち、上記処理を用いて図9(A)に示すような撮像画像(シーン画像)を処理すると、図9(B)に示すような距離画像が得られる。図9(B)に示す距離画像では、濃淡によって距離を表現しており、濃度が高くなるにつれて距離が遠くなることを示す。図9(B)に示す距離画像では、エッジ成分がほとんど検出されない路面中央部分であっても、正確に距離が検出できていることが分かる。
ただし、他車両のような比較的距離が遠い位置にある物体については、ノイズ等の影響により継続的には物体の正確な距離が検出できない場合がある。このため、以下に示す処理を用いて正確な距離(軌跡)を検出する。
すなわち、図2に示すように、最初に、投票による物体検出処理を実施する(S60)。投票による物体検出処理は、投票処理を用いて最も確からしい物体の座標を特定し、この物体についての属性を判定する処理である。詳細には、図10に示すように、まず、横位置に対する視差の大きさを投票する(S310)。なお、横位置とは画像における水平方向の座標値を示す。
この処理では、図11に示すように、左右何れかの基準となる基準画像における各画素の横位置、および各画素から他の画像において各画素と対応する対応点までの視差、の関係を示す仮想平面を設定する。視差はピクセル数を単位とする。
この処理では、例えば、処理の対象とする画素を基準画像の水平方向の左端から右端までを1列としたときのn列分(nは自然数。例えば20列分など。)に含まれる画素とする。そして、処理の対象とする画素を順次、鉛直方向に移動しながら実施する。
そして、この仮想平面において各画素の横位置および該各画素に対応する視差との関係を投票する。すると、図11に示すように、何らかの物体(特に、撮像部21,22の方向と概ね直交する面を有する物体)がある場合には、その物体までの距離に対応する視差の位置に相対的に多くの投票が得られる。このため、多くの投票が得られた位置に物体が存在すると推定できることになる。
続いて、比較的多くの投票が得られた領域を1の物体としてひとまとめにするグルーピングを行う(S320)。この処理では、比較的多くの投票が得られた画素のうちの水平方向および鉛直方向に隣接するものを抽出し、これらの画素が内接する矩形を得る。
そして、グルーピングによって得られた物体について属性を判定する(S330)。ここで、属性とは、歩行者、二輪車、乗用車、大型車等の種別を示す。また、これらの属性は、物体の大きさ(矩形の位置、矩形の水平方向および鉛直方向の長さ等)を用いて判定される。
このような処理が終了すると、物体検出処理を終了し、図2に戻る。
続いて、検出された物体についての信頼度を判定する(S70)。この処理では、例えば、コストEの値が予め設定された閾値以上となる場合、信頼度が低いと判定し、コストEの値がこの閾値未満であれば、信頼度が高いと判定する。
信頼度が高ければ(S70:YES)、この物体を追跡するよう設定する(S80)。つまり、このフレーム(撮像画像)において検出された物体を、距離を演算する際に利用するよう設定する。また、信頼度が低ければ(S70:NO)、このフレームにおいては物体を追跡しないよう設定する(S90)。この場合、物体の情報は過去のフレームのうちの信頼度が高い最新のものを利用する。
続いて、物体位置が得られたフレーム数と予め設定された基準フレーム数とを比較する(S110)。基準フレーム数は、非同期ステレオ法を用いて物体の軌跡を推定する際に、精度を向上させるために必要となるフレーム数(例えば20フレーム程度)であり、予め実験的に求められるものである。物体位置が得られたフレーム数が基準フレーム数に満たない場合(S110:NO)、S10の処理に戻る。
また、物体位置が得られたフレーム数が基準フレーム数を満たす場合(S110:YES)、物体の代表点を選択する(S120)。この処理では、物体位置が得られたフレームのそれぞれから、代表点となる任意の点を選択する。
特に、図12に示すように、左右の撮像部21,22から得られたそれぞれの画像の一方を交互に選択し、選択した画像から代表点を選択する。なお、図12では、丸印を付した画像が選択されたことを示す。また、代表点となる任意の点を選択する際には、例えば、物体の重心の1点や、物体の中心付近の2点、或いはテールランプ等の1または複数の光源の中心等、物体中の任意の位置における任意の個数の点を選択すればよい。
続いて、選択した点を利用して、非同期ステレオ法を実施する(S130)。ここで、非同期ステレオ法とは、特開2014−020845号公報(特に、段落[0038]〜[0093])記載された物体の軌跡を求めるための手法である。
この処理では、図13に示すように、フーリエ変換により周波数空間において表記された物体の位置の軌跡を示す周波数空間軌跡を求め、周波数空間軌跡に対してフーリエ逆変換を行うことによって物体までの距離を演算する。つまり、左右の画像の撮像タイミングが所定の時間だけずれていること、およびカメラ行列が既知であることを利用して、物体の周波数空間軌跡を実空間の軌跡を求める。
なお、この処理の詳細は、上記公報に詳細に記載されているため、ここでの記載は省略する。ただし、未知変数X(n)、Y(n)、Z(n)の解が得られると(上記公報の段落[0078]参照)、これらの解の高周波成分を除去する。ここで、これらの解の高周波成分は、物体の移動速度が非常に速いことを示すため、通常の物体として考慮する必要がない程度に高速で移動するものについては、ノイズとして除去するよう設定する。
例えば、解として、図14に示すような、周波数fと出現頻度との関係が得られた場合、閾値SHよりも高周波側の成分(ハッチングで示す部分)を除去する。そして、高周波側の成分を除去した上で、フーリエ逆変換を行う。
続いて、このようにして得られた物体の軌跡に基づいて、物体の位置(物体までの距離)を出力し(S140)、距離演算処理を終了する。
[本実施形態による効果]
以上のように詳述した距離検出装置1において処理部10は、複数の画像のうちの基準画像中のある画素を表す基準画素における画素情報と、基準画像を除く他の画像中の画素を表す比較画素における画素情報と、の差異に基づく画素コストを、基準画素および比較画素を変更しつつ、基準画素毎に演算する。また、処理部10は、基準画素を変更する際において基準画素と比較画素との座標差である視差の変化量に対するコストを表す視差コストを、基準画素毎に演算し、各基準画素に対して、画素コストと視差コストとの和を表す合計コストが最小値となる際の比較画素との組み合わせを演算する。
そして、処理部10は、各基準画素に対応する比較画素を、各基準画素に対応する対応点として設定し、各基準画素と対応点との関係に基づいて複数の撮像画像のそれぞれから物体を抽出する。
また、処理部10は、複数の画像を、予め設定された周期を表す基準周期毎に得られた複数の撮像画像からなる第1撮像画像群、および第1撮像画像群の撮像タイミングに対して非同期時間だけタイミングをずらし、かつ基準周期毎に得られた第2撮像画像群としたときに、第1撮像画像群、および第2撮像画像群を構成する各撮像画像中における物体の座標を表す画像座標群をそれぞれ取得する。
そして、処理部10は、第1撮像画像群と第2撮像画像群とが非同期時間だけずれた関係であることに基づいて、各画像座標群から物体までの距離を演算する。
このような距離検出装置1によれば、コスト演算により対応点を求めるので、簡素な処理で物体を認識することができる。よって、物体までの距離を求める際の処理負荷を簡素化することができる。
また、距離検出装置1において処理部10は、基準画素および比較画素を複数の方向に沿って順に変更したときにおける合計コストが最小となるときの最小コストを演算し、方向毎に演算された最小コストを互いに加算した値を最小値、または逐次、方向毎に最小コストを畳み込み演算して得られた値を最小値とする。
このような距離検出装置1によれば、複数の方向について最小コストを演算するので、物体を認識する際の精度をより向上させることができる。
また、距離検出装置1において処理部10は、基準画像における各画素の横位置、および各画素から他の画像において各画素と対応する対応点までの視差、の関係を示す仮想平面に、各画素の横位置および該各画素に対応する視差との関係を投票し、相対的に多くの投票が得られた位置に物体が存在すると推定する。
このような距離検出装置1によれば、投票処理によって撮像画像中の物体の位置を推定するので、簡素な処理で物体の位置を点または領域で求めることができる。
また、距離検出装置1において処理部10は、時系列に従って撮像された複数の撮像画像に対して物体を抽出する作動を実施し、抽出された物体の数(フレーム数)が、予め設定された基準数だけ揃ってから物体までの距離を演算する処理を実施する。
このような距離検出装置1によれば、抽出された物体の数が基準数だけ揃ってから物体までの距離を演算する処理を実施するので、精度よく物体までの距離を演算できる場合だけ物体の位置を出力することができる。
また、距離検出装置1において処理部10は、フーリエ変換により周波数空間において表記された物体の位置の軌跡を示す周波数空間軌跡を求め、周波数空間軌跡に対してフーリエ逆変換を行うことによって物体までの距離を演算する。
このような距離検出装置1によれば、既知であるカメラの撮像周期を用いてフーリエ逆変換を行うことができるので、精度よく物体までの距離を演算することができる。
また、距離検出装置1において処理部10は、周波数空間軌跡のうちの予め設定された高周波成分を除去した値に対してフーリエ逆変換を行う。
このような距離検出装置1によれば、想定された物体としては不自然なほど高速移動するものをノイズとして除去することができる。
また、距離検出装置1において処理部10は、物体領域内でコストの外れ値を除去して平均コストの大きさに応じて物体の位置信頼度を推定する。
このような距離検出装置1によれば、平均コストが小さくなるほど物体の検出精度が高い傾向があることを利用するので、平均コストの大きさに応じて位置信頼度を求めることができる。
[その他の実施形態]
本発明は、上記の実施形態によって何ら限定して解釈されない。また、上記の実施形態の説明で用いる符号を特許請求の範囲にも適宜使用しているが、各請求項に係る発明の理解を容易にする目的で使用しており、各請求項に係る発明の技術的範囲を限定する意図ではない。上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
上述した距離検出装置1の他、当該距離検出装置1を構成要素とするシステム、当該距離検出装置1としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、位置検出方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。
[実施形態の構成と本発明の手段との対応関係]
上記実施形態において、処理部10が実行する処理のうちのS60の処理は本発明でいう物体抽出手段に相当し、上記実施形態においてS70〜S90の処理は本発明でいう位置信頼度推定手段に相当する。また、上記実施形態においてS120の処理は本発明でいう画像座標群取得手段に相当し、上記実施形態においてS130の処理は本発明でいう距離演算手段に相当する。
さらに、上記実施形態においてS210の処理は本発明でいう画素コスト演算手段に相当し、上記実施形態においてS220〜S260の処理は本発明でいう最小コスト画素演算手段に相当する。また、上記実施形態においてS270の処理は本発明でいう対応点設定手段に相当する。
1…距離検出装置、10…処理部、11…CPU、12…メモリ、21…撮像部、22…撮像部、30…車両制御部。

Claims (7)

  1. 複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの距離を検出する距離検出装置(1)であって、
    前記複数の画像のうちの基準画像中のある画素を表す基準画素における画素情報と、前記基準画像を除く他の画像中の画素を表す比較画素における画素情報と、の差異に基づく画素コストを、前記基準画素および前記比較画素を変更しつつ、前記基準画素毎に演算する画素コスト演算手段(S210)と、
    前記基準画素を変更する際において前記基準画素と前記比較画素との座標差である視差の変化量に対するコストを表す視差コストを、前記基準画素毎に演算し、前記各基準画素に対して、前記画素コストと前記視差コストとの和を表す合計コストが最小値となる際の比較画素との組み合わせを演算する最小コスト画素演算手段(S220〜S260)と、
    前記各基準画素に対応する比較画素を、前記各基準画素に対応する対応点として設定する対応点設定手段(S270)と、
    前記各基準画素と対応点との関係に基づいて前記複数の撮像画像のそれぞれから物体を抽出する物体抽出手段(S60)と、
    前記複数の画像を、予め設定された周期を表す基準周期毎に得られた複数の撮像画像からなる第1撮像画像群、および前記第1撮像画像群の撮像タイミングに対して非同期時間だけタイミングをずらし、かつ前記基準周期毎に得られた第2撮像画像群としたときに、前記第1撮像画像群、および前記第2撮像画像群を構成する各撮像画像中における物体の座標を表す画像座標群をそれぞれ取得する画像座標群取得手段(S120)と、
    前記第1撮像画像群と前記第2撮像画像群とが前記非同期時間だけずれた関係であることに基づいて、前記各画像座標群から前記物体までの距離を演算する距離演算手段(S130)と、
    を備えたことを特徴とする距離検出装置。
  2. 請求項1に記載の距離検出装置において、
    前記最小コスト画素演算手段は、前記基準画素および前記比較画素を複数の方向に沿って順に変更したときにおける合計コストが最小となるときの最小コストを演算し、方向毎に演算された最小コストを互いに加算した値を前記最小値とすること、または、逐次、方向毎に最小コストを畳み込み演算して得られた値を最小値とすること
    を特徴とする距離検出装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の距離検出装置において、
    前記物体抽出手段は、前記基準画像における各画素の横位置、および前記各画素から前記他の画像において前記各画素と対応する対応点までの視差、の関係を示す仮想平面に、前記各画素の横位置および該各画素に対応する視差との関係を投票し、相対的に多くの投票が得られた位置に物体が存在すると推定すること
    を特徴とする距離検出装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の距離検出装置において、
    前記画素コスト演算手段、前記対応点設定手段、前記物体抽出手段は、時系列に従って撮像された複数の撮像画像に対して前記物体を抽出する作動を実施し、
    前記画像座標群取得手段および前記距離演算手段は、前記抽出された物体の数が、予め設定された基準数だけ揃ってから物体までの距離を演算する処理を実施すること
    を特徴とする距離検出装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の距離検出装置において、
    前記距離演算手段は、フーリエ変換により周波数空間において表記された物体の位置の軌跡を示す周波数空間軌跡を求め、該周波数空間軌跡に対してフーリエ逆変換を行うことによって前記物体までの距離を演算すること
    を特徴とする距離検出装置。
  6. 請求項5に記載の距離検出装置において、
    前記距離演算手段は、前記周波数空間軌跡のうちの予め設定された高周波成分を除去した値に対してフーリエ逆変換を行うこと
    を特徴とする距離検出装置。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の距離検出装置において、
    前記合計コストの大きさに応じて前記物体の位置信頼度を推定する位置信頼度推定手段(S70〜S90)、
    を備えたことを特徴とする距離検出装置。
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